JP2004045749A - 高含水性眼用レンズ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所期の含水率を安定して確保し得ると共に、使用上において、充分な強度を実現する高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを、簡易に且つ安定して製造することが出来る方法を、提供すること。
【解決手段】カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、含水率が50〜90%の高含水性眼用レンズを、形成せしめた。
【選択図】 なし
【解決手段】カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、含水率が50〜90%の高含水性眼用レンズを、形成せしめた。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、高含水性眼用レンズ及びその製造方法に係り、特に、所期の含水率を安定して確保し得ると共に、充分な強度を実現する高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを簡易に且つ安定して製造することが出来る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、コンタクトレンズは、軟質のソフトコンタクトレンズと、硬質のハードコンタクトレンズの2種類に大別され、何れのコンタクトレンズにあっても、角膜に対して充分な酸素が供給され得るように、酸素透過性のより一層優れたものが、求められている。
【0003】
かかる酸素透過性は、酸素のレンズ素材への溶け込み易さ(溶解)やレンズ素材中における酸素の移動のし易さ(拡散)に大きく依存し、それら酸素の溶解や拡散が行われ易いもの程、酸素透過性に優れたレンズとなる。具体的に、ハードコンタクトレンズの場合には、酸素がレンズ素材の分子間隙を通過する等して、角膜に供給されるようになっているところから、分子間隙を大きくしたり、酸素との親和性が高い成分を使用すること等によって、酸素透過性の向上が図られているのであるが、そのようなハードレンズは、眼にゴミ等が入ると大変痛いことから、近年においては、装用感に優れたソフトコンタクトレンズ、中でも、使い捨て型のソフトコンタクトレンズの需要が、急速に伸びてきている。
【0004】
そのようなソフトコンタクトレンズの酸素透過性は、シリコーン系素材からなるものを除き、レンズに含まれる水に溶け込んだ酸素が移動することにより、酸素がレンズを透過して角膜に供給されるようになっているところから、含水率に依存し、含水率の高いレンズが、特に、望まれているのである。
【0005】
ところで、ビニルアルコール単位を主成分とするポリビニルアルコール系高分子材料(PVA系材料)は、含水率が高く、アルコール性水酸基(−OH基)が中性且つ非イオン性であること等から、酸素透過性に優れ、また、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れが付着し難くなる等といった効果が得られるところから、コンタクトレンズ材料として特に好ましい材料であると考えられ、これまでに、各種のものが提案されている。
【0006】
しかしながら、これまでに提案されたPVA系材料からなるコンタクトレンズは、所望とする含水率を安定的に確保し、且つ、充分な強度を実現することが困難であったため、研究は為されても販売までには至らなかったり、販売されても破損等が問題となり、何れも、実用に供し難いものであったのである。
【0007】
例えば、特開昭62−21101号公報には、脂肪酸ビニルエステルを主成分とし、これと、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー(以下、マクロモノマーと呼称する)との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系高分子材料が提案されている。かかるポリビニルアルコール系高分子材料では、マクロモノマーの配合量の増減によって、含水率が変化し、調整されるようになっているのであるが、該マクロモノマーは、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有することから、複数個の重合性基を有する架橋性の分子も存在することとなり、多量に使用すれば、脆くなって充分な強度が得られなくなるという欠点があった。また、マクロモノマーは、その製造が複雑で、分子量が分布し、一定の分子量に揃えることが難しく、また1分子当たりの重合性基の数も一定にすることも難しいところから、そのようなマクロモノマーを用いて、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズを作製しても、所期の含水率を安定して得ることは難しく、含水率がばらつくといった問題をも有していたのである。
【0008】
さらに、特開平9−40179号公報や特開平9−40720号公報にあっては、酢酸ビニルと架橋性モノマー(架橋剤)との共重合体をケン化処理して得られるコンタクトレンズが提案されている。そして、それらのコンタクトレンズにあっては、それぞれ、架橋剤であるトリアリルイソシアヌレートやジアリリデンペンタエリスリットの配合量の増減によって、その含水率が変化し、調整されるようになっているのであるが、架橋剤にて含水率を調整するには限界があり、架橋剤の配合量を少なくして高い含水率を得ようとすると、ポリビニルアルコールを充分に架橋せしめ得ず、レンズの形状保持性や弾性が不足したり、また逆に、架橋剤の配合量を多くしてやや低めの含水率を得ようとすると、レンズの形状保持性や弾性は確保されるものの、架橋点が多くなり過ぎて、レンズが脆くなっていたのである。
【0009】
このように、従来のPVA系材料からなるコンタクトレンズにあっては、仮に高含水率を達成することが出来ても、その含水率を、充分な強度を確保しつつ、所望とする値にコントロールすることは、著しく困難であったのである。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、所期の含水率を安定して確保し得ると共に、使用上において、充分な強度を実現する高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを、簡易に且つ安定して製造することが出来る方法を、提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の課題とするところは、眼用レンズの含水率を任意に調整することによって、装用者に応じた眼用レンズを、即ち、涙液の多い人に対しては、より高含水性の眼用レンズを、また、涙液の少ない人に対しては、高含水性の眼用レンズの中でも、やや低めの含水率の眼用レンズを、提供し得るようにすることにあり、更に、別の解決課題とするところは、レンズ素材自体を、陰イオンや陽イオンを生じない非イオン性とすることにより、耐汚れ付着性に優れた眼用レンズを、提供することにある。
【0012】
【解決手段】
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、従来のマクロモノマーに比して分子量が小さく、且つ架橋性モノマーではない疎水性のハロゲン化アルキルエチレンを用い、かかるハロゲン化アルキルエチレンにて含水率を調整するようにすれば、所望とする含水率、及び充分な強度を有する眼用レンズが、簡易に且つ安定して得られることを見出したのである。
【0013】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、形成されていると共に、含水率が50〜90%であることを特徴とする高含水性眼用レンズにある。
【0014】
すなわち、かかる本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、カルボン酸ビニルエステル及び架橋性モノマー(架橋剤)の他に、カルボン酸ビニルエステルとの重合性が良好で、且つケン化処理によって分解しない疎水性のモノマーであるハロゲン化アルキルエチレンが必須の構成成分として用いられているところから、かかるハロゲン化アルキルエチレンの導入によって、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズの含水率を、簡易に且つ安定して調整することが可能となると共に、眼用レンズに必要とされる強度を充分に確保することが出来るようになるのである。
【0015】
この理由としては、種々のことが推察されるのであって、例えば、その一つとして、ハロゲン化アルキルエチレンは、上記したマクロモノマーとは異なり、蒸留等にて容易に精製することが出来、その純度を高くし得るところから、所期の含水率を安定して得られることがある。また、重合性基を二つ以上有するもの(架橋性モノマー)ではない疎水性モノマーであるところから、その配合量(導入量)の増加によって、架橋点を増加せしめるようなこともなく、疎水性を上げて、含水率を下げることが出来るようになっていることがある。しかも、そのようなハロゲン化アルキルエチレンの導入によって、眼用レンズの強度向上も図られ得るものと考えられるのである。
【0016】
加えて、共重合体中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、ケン化処理によって分解されることはなく、しかもビニルアルコール単位と同様に、非イオン性であるところから、かかるハロゲン化アルキルエチレンの添加によって、眼用レンズがイオン性となるようなことはなく、このため、レンズを装用しても、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも付着し難くなっており、以て優れた耐汚れ付着性が実現され得るのである。
【0017】
なお、このような本発明に従う高含水性眼用レンズの好ましい態様の一つによれば、前記重合性モノマー組成物が、前記カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、前記ハロゲン化アルキルエチレン及び前記架橋性モノマーを、それぞれ、0.0001〜0.5モル及び0.0005〜0.3モルの割合において含有することが望ましい。
【0018】
さらに、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記カルボン酸ビニルエステルとしては、86〜1000の分子量を有するモノ、ジ若しくはポリカルボン酸ビニルエステルが好適に採用され得るのであり、また、前記ハロゲン化アルキルエチレンとしては、アルキル基の全ての水素原子がフッ素置換されたパーフルオロアルキルエチレンが好適に採用され得るのである。
【0019】
また、本発明は、上述せる如き高含水性眼用レンズを製造する方法にして、目的とする眼用レンズ形状を与える重合型の成形キャビティ内に、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、少なくとも含有する重合性モノマー組成物を収容して、光重合又は熱重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことにより、エステル部分の加水分解を行ない、親水化することを特徴とする高含水性眼用レンズの製造方法も、また、その要旨とするものである。このような本発明に係る製造方法に従って、眼用レンズを作製すれば、所望とする眼用レンズを、簡易に且つ安定的に製造することが出来るのである。
【0020】
なお、この本発明に従う高含水性眼用レンズの製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記重合型を雄型と雌型とから構成すると共に、それら雄型と雌型のうちの少なくとも一方を光透過性材料にて形成せしめ、それらを型合せすることにより、それらの型間に形成される前記成形キャビティ内に、前記重合性モノマー組成物を収容して、光重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施す構成が、好適に採用されることとなる。特に、このような光重合法を採用することによって、熱重合に比して重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るといった効果が享受され得るのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従う高含水性眼用レンズは、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマー(架橋剤)を、重合体の必須の構成成分として用い、そして、それらを少なくとも含有する重合性モノマー組成物を共重合し、その得られた共重合体を、ケン化処理することによって、得られるものである。
【0022】
そして、上述せる如き重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つであるカルボン酸ビニルエステルは、主たる構成成分であって、重合後のケン化処理により、エステル結合が加水分解せしめられて、ビニルアルコール単位[−CH2 −CH(OH)−]を与え、このビニルアルコール単位の水酸基によって、優れた含水性(酸素透過性)、具体的には、50%〜90%の含水率が付与せしめられるのである。
【0023】
ここにおいて、かかるカルボン酸ビニルエステルとしては、他の重合性モノマー成分との共重合が可能で、共重合後のケン化処理によって容易に加水分解されてビニルアルコール単位を与え、また、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を実現し得るものであれば、如何なるカルボン酸ビニルエステルであっても良いのであるが、好適には、分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にある、モノカルボン酸のビニルエステルやジカルボン酸のビニルエステル、ポリカルボン酸のビニルエステルが、有利に用いられることとなる。
【0024】
けだし、そのような分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にあるカルボン酸ビニルエステルは、成形後にケン化処理を施して、目的とする眼用レンズを得る場合において、ケン化処理の前後でサイズが大幅に変化するようなことがないことから、換言すれば、成形直後の眼用レンズのサイズとケン化処理後の眼用レンズのサイズとが、大幅に変化するようなことがないことから、望ましいのである。
【0025】
なお、成形直後の眼用レンズのサイズに比して、ケン化処理後の眼用レンズのサイズが大きくなり過ぎるような場合には、重合によって得られた共重合体に、重合歪みや傷、欠け、変形等の欠陥が存在すると、ケン化処理後の膨潤により、これらの欠陥が増幅されたり、不規則な形状になることが推察されるのであり、また逆に、ケン化処理後の眼用レンズのサイズが小さくなり過ぎるような場合には、重合歪みや傷、欠け、変形等の欠陥が存在すると、ケン化処理後の縮小により、これらの欠陥が強化されたり、不規則に反映されることが推察されるからである。
【0026】
例えば、含水率が80%の眼用レンズの場合において、その乾燥レンズの重量割合は、含水レンズ重量の20%であるところから、含水により、レンズ重量が5倍となることになる。従って、共重合後のケン化処理の前後でのサイズ変化を抑制して、80%程度の含水率を有する眼用レンズを得るためには、カルボン酸ビニルエステルとしては、概ね、ビニルアルコールの分子量:44の約5倍の分子量:220前後であるものが、好適に選択されるのである。
【0027】
これに対して、分子量が86である酢酸ビニルよりも分子量が小さなカルボン酸ビニルエステル、例えば、蟻酸ビニル(分子量:72)にあっては、沸点が約50℃と低く、揮発性が高いために、その使用が困難であるところから望ましくない。また、分子量が1000を超えるようなカルボン酸ビニルエステルは、仮に、それが分子量の割に沸点が低いパーフルオロアルキルカルボン酸のビニルエステルであったとしても、精製が実質的に困難で、純度の高いものが得られないために望ましくなく、加えて、共重合後のケン化処理によって、大きなカルボン酸分子が加水分解して外れるために、ケン化処理後において、サイズが大幅に縮小する恐れがあるところからも、望ましくないのである。このため、上述せるように、分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にある、モノカルボン酸のビニルエステルやジカルボン酸のビニルエステル、ポリカルボン酸のビニルエステルが、本発明においては、好適に採用されることとなる。
【0028】
具体的には、そのようなモノカルボン酸ビニルエステルとしては、分子量が86の酢酸ビニルの他、分子量が86〜1000の範囲にある、ハロゲンやニトロ基、シアノ基、−COR基等の、従来から公知の電子吸引性基が導入されたモノカルボン酸のビニルエステルが、かかる電子吸引性基の導入によって重合性が向上することに起因するのか理由は明らかではないものの、眼用レンズに必要とされる形状保持性や、適度な弾性が極めて効果的に得られることから、より好適に採用され得るのである。
【0029】
ここにおいて、上記した電子吸引性基が導入されたモノカルボン酸としては、例えば、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、2−クロロ酪酸、3−クロロ酪酸、4−クロロ酪酸、2−クロロカプリル酸、3−クロロカプリル酸、2−クロロラウリル酸、3−クロロラウリル酸、ジクロロ酢酸、2,3−ジクロロプロピオン酸、2,3−ジクロロイソ酪酸、トリクロロ酢酸、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオン酸、パーフルオロデカン酸、ニトロ酢酸、p−ニトロフェニル酢酸、シアノ蟻酸、シアノ酢酸、3−シアノプロピオン酸、2−シアノ−2−メチルプロピオン酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、3−メチル−2−オキソ酪酸等が挙げられるが、これらに何等限定されるものではない。なお、カルボン酸ビニルエステルを構成するカルボン酸部分には、重合性を有する不飽和結合が存在しないことが必要である。けだし、カルボン酸部分に重合性の不飽和結合があると、この部分でも重合し、ケン化処理後にカルボン酸が外れることなく、骨格となるポリマー部分に酸が残り、汚れの付着やレンズ強度の低下の原因となるからである。
【0030】
さらに、ジカルボン酸のビニルエステルやポリカルボン酸のビニルエステルとしては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、蓚酸、マロン酸、メチルマロン酸、琥珀酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、メチル琥珀酸、グルタル酸、ジメチル琥珀酸、イソプロピルマロン酸、メチルグルタル酸、メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ジ−n−プロピルマロン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,3−フェニレンジ酢酸、フェニル琥珀酸、ベンジルマロン酸等のジカルボン酸のビニルエステルや、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸のビニルエステルを挙げることが出来るが、これらに何等限定されるものではない。なお、それらジカルボン酸ビニルエステルやポリカルボン酸ビニルエステルを構成するカルボン酸部分にあっても、上例と同様の理由で、重合性を有する不飽和結合が存在しないことが必要である。
【0031】
また、上述せる如きジカルボン酸ビニルエステルやポリカルボン酸ビニルエステルは、分子内に2つ以上のカルボキシル基(−COOH)を含む多塩基カルボン酸を、エステル化してなるものであるが、それらの中でも、特に、分子内の全てのカルボキシル基がエステル化されているものが、溶解性等の面から、より望ましい。
【0032】
そして、本発明におけるカルボン酸ビニルエステルとして、上記したもののうちの少なくとも1種が用いられれば充分なのであるが、また、2種以上が組み合わされて用いられても、何等差支えないのである。例えば、低分子量のカルボン酸ビニルエステルは、沸点が余り高くなく、揮発する恐れがあるところから、それを、高分子量のカルボン酸ビニルエステルと組み合わせて使用することにより、重合性モノマー組成物の組成変化を防止することが可能となったり、また、高分子量のものは、粘度が高いために、取扱性が悪いだけでなく、気泡が発生するといった問題が惹起されるところから、粘度が低い低分子量のものと組み合わせて使用することにより、そのような問題を防止することが出来るようになるのである。但し、2種類以上のカルボン酸ビニルエステルを組み合わせ、混合して使用する場合には、組み合わされたカルボン酸ビニルエステル同士の共重合性が良いことが重要な要件となる。尤も、多少の重合性の違いは、架橋性モノマーの選定や使用量の調節等により、解消され、均質な重合体が得られる場合もあるが、重合性が余りにも違い過ぎると、架橋性モノマーや増感剤、重合開始剤、重合条件等の調節では、均質な重合体が得られなくなってしまうため、注意が必要である。
【0033】
一方、上記したカルボン酸ビニルエステルと同様に、重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つであるハロゲン化アルキルエチレンは、眼用レンズの強度を高度に確保しつつ、その含水率を目的とする値に有利に調整せしめ得る成分であって、このようなハロゲン化アルキルエチレンの配合量を適宜に調整するだけで、眼用レンズの含水率を、簡単に且つ安定的にコントロール出来るようになっているのである。
【0034】
具体的には、ハロゲン化アルキルエチレンは、分子量の分布の範囲が大きなマクロモノマーとは異なり、蒸留等によって容易に精製出来、純度の高いものが用いられ得るところから、所期の含水率を安定して得ることが出来、また、レンズ強度に大きな影響を与える架橋性モノマーでもないところから、該ハロゲン化アルキルエチレンの配合量を増加せしめることによって、眼用レンズの疎水性を上げて含水率を低くしたり、或いは、その配合量を減少せしめることによって、含水率を高くすることが、必要なレンズ強度を高度に確保しつつ、出来るようになっているのである。
【0035】
なお、かかるハロゲン化アルキルエチレンとしては、カルボン酸ビニルエステル等の他の重合性モノマー成分と均一に共重合され、また、共重合後のケン化処理によって分解されないものであり、更に、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を確保し得るものであれば、何れのハロゲン化アルキルエチレンも採用することが出来る。
【0036】
具体的に、そのようなハロゲン化アルキルエチレンとしては、例えば、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のアルキル基の水素原子が全てハロゲン原子で置換されたパーフルオロアルキルエチレンの他、塩化アリル、3−クロロ−1−ブテン、3−クロロ−2−クロロメチル−1−プロペン、臭化アリル等が挙げられ、それらのうちの1種が、単独で、又は、2種以上が組み合わされて用いられるのであるが、それらの中でも、特に、パーフルオロアルキルエチレンは、ハロゲンの電子吸引効果に起因すると推察される、その重合性の向上により、カルボン酸ビニルエステルとの共重合性が良好となるところから、好適に採用され得るのである。
【0037】
そして、上述せる如きハロゲン化アルキルエチレンは、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.0001〜0.5モル、より好適には、0.0002〜0.3モルとなる割合が採用される。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、ハロゲン化アルキルエチレンの添加による効果が充分に得られず、実質的に眼用レンズの含水率を調整することが出来なくなるのであり、逆に、かかる配合割合が過大である場合には、眼用レンズの含水率が50%未満に低下して、高含水性が確保され得なくなる恐れがあるからである。
【0038】
他方、上記したカルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレンと同様に、重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つである架橋性モノマー(架橋剤)は、従来より、眼用レンズを与える高分子材料に橋かけ結合を形成せしめるために用いられているものであり、カルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレン等の他の重合性モノマー成分との共重合性が良く、均一に重合し、且つ、ケン化処理によって分解されず(つまり、ケン化処理によって橋かけ部分が切断されず)、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を確保し得る等の条件を満たすものが採用されることとなる。
【0039】
そして、そのような架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼンや、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメリット酸トリアリル、アリルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのジアリルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのジビニルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのアリルエーテルビニルエーテル、特開平9−40720号公報に示されるジアリリデンペンタエリスリット等を始め、上述せる如き条件を満足するものであれば、従来から公知の各種の架橋性モノマーを例示することが出来、それらのうちの少なくとも1種が、カルボン酸ビニルエステルの種類や重合方法等に応じて、適宜に選択されて用いられるのである。
【0040】
例えば、酢酸ビニルを、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の増感剤の存在下で、光重合する場合には、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のポリアルキレングリコールのジビニルエーテルが、好ましく選択され得るのであり、また、酢酸ビニルを、アゾビスイソバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で、熱重合する場合には、ジエチレングリコールジアリルエーテル等のポリアルキレングリコールのジアリルエーテルが、好適に採用され、更に、モノクロロ酢酸ビニルを、増感剤の存在下で、光重合する場合には、トリアリルイソシアヌレート等が、より好適に選択され得るのであるが、本発明にあっては、このような組み合わせに何等限定されるものでは決してない。
【0041】
また、かくの如き架橋性モノマーの配合割合は、カルボン酸ビニルエステルの種類や重合方法等に応じて、適宜に設定されることとなるのであるが、通常、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.0005モル〜0.3モル、より好適には、0.001〜0.2モルとなる割合が採用される。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、架橋不足となり、ケン化処理後の眼用レンズに、充分な形状保持性や適度な弾性が得られなくなる恐れがあるからであり、逆に、かかる配合割合が過大である場合には、架橋点が多くなり過ぎて眼用レンズが脆くなり、ケン化処理後の眼用レンズに、必要とされる強度が得られなくなる恐れがあるからである。
【0042】
また、かかる配合割合の中でも、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.008モル〜0.3モルを採用すれば、眼用レンズを形成する高分子材料の結晶化が防止され、凍結・解凍を繰り返したり、5℃付近の低温度に長期間保存しても、レンズサイズが縮小したり、レンズが白濁する等といった結晶化に起因すると推察される問題の発生を防止すること出来るといった効果が享受されるようになる。
【0043】
ところで、上述せる如きカルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレン、重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、少なくとも含有する重合性モノマー組成物には、更に必要に応じて、従来から眼用レンズに一般的に用いられている各種の添加剤、例えば、眼用レンズに紫外線吸収性を付与したり、レンズを着色するために、重合性の紫外線吸収性モノマーや色素、紫外線吸収性色素等を、従来と同様に、添加せしめて、共重合体中に導入し、レンズ構成成分の一つとすることも可能である。但し、それらの添加剤は、本発明による効果を阻害しないものであり、阻害しない量的範囲において用いられることとなることは、勿論、言うまでもないところである。
【0044】
かくして、上述せる如き各種成分を含有する重合性モノマー組成物を用いて、目的とする眼用レンズを得るには、先ず、かかる重合性モノマー組成物を共重合せしめて、共重合体を形成せしめ、次いで、そのようにして得られた共重合体に対して、ケン化処理を施すのである。
【0045】
具体的には、重合性モノマー組成物の重合手法としては、例えば、重合開始剤を添加した後、先ず、約30〜50℃にて数時間〜数十時間加熱して重合させ、次いで、約120℃まで十数時間で順次昇温して、重合を完結させる方法(熱重合法)や、増感剤を添加した後、適当な光線(例えば、紫外線等)を照射して重合を行なう方法(光重合法)、又は、それら熱重合法と光重合法とを組み合わせて、重合を行なう方法等が挙げられる。これらの重合法の中でも、特に、光重合法を採用すれば、熱重合に比して、重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るといった利点が得られる。更に、重合形式としては、効率が良く、生産性に優れた、通常の塊状重合法が採用されることが望ましいが、必要に応じて溶液重合法等が採用されても、何等差支えない。
【0046】
なお、一般に、熱重合の場合には、重合開始剤が使用される一方、紫外線等の光照射にて重合する場合には、増感剤が使用されるのであるが、増感剤及び重合開始剤の何れか一方を用いて、又は、その両方を組み合わせて用いて、光及び/又は熱にて重合することも可能である。
【0047】
ここにおいて、重合開始剤としては、通常の重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、また、増感剤としては、通常の増感剤、例えば、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロピル−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロピル−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノフェニル−ブタノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0048】
また、これらの重合開始剤及び増感剤は、そのうちの1種又は2種以上を選択して使用すればよく、その使用割合としては、重合性モノマーの1モルに対して、0.00001〜0.05モル、好ましくは、0.00002〜0.03モルとなる割合が採用され得ることとなる。なお、0.05モルを超えるような使用量の場合には、共重合体の平均分子量が大きくならず、レンズに必要とされる強度が確保され得なくなったり、レンズが黄変したり等して、望ましくなく、また0.00001モルに満たない使用量の場合には、残留モノマーが多くなり過ぎて、共重合体が固化しなくなるからである。
【0049】
そして、上記した重合によって得られた共重合体を用い、それに対して、ケン化処理を施すことによって、共重合体のエステル部分が加水分解されて、親水化した眼用レンズ、つまり、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズが得られることとなるのであるが、ここでいうケン化処理とは、従来より公知のポリビニルアルコール(PVA)を得るためのポリビニルエステルのケン化処理方法と同様の方法が採用され得るのであり、共重合体中のカルボン酸ビニルエステル単位を、アルカリ性化合物又は酸性化合物により処理して、ビニルアルコール単位とすることにある。但し、後者の酸性化合物によるケン化処理は、ケン化速度が遅く、また均一なものが得られ難く、副反応が惹起される等といった欠点があるため、本発明においては、アルカリ性化合物によるケン化処理手法が、好適に採用されることとなる。
【0050】
なお、上述せる如きケン化処理に採用されるアルカリ性化合物としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を例示することが出来る。また、これらのアルカリ性化合物は、一般に、固体であるため、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、水等の溶媒に溶解せしめられ、アルカリ性溶液として用いられるのであり、そして、そのようなアルカリ性溶液中に共重合体が浸漬されることによって、ケン化処理が施されるのである。なお、かかるアルカリ性溶液の中でも、特に、アルコール類を用いた、0.1〜1.0Nのアルカリアルコール溶液が好ましいが、ケン化処理を効率よく進めるために、該アルカリアルコール溶液に、アルカリ水溶液を混合して用いることも出来る。
【0051】
また、ケン化温度としては、一般に、0〜70℃の範囲の温度に適宜に設定されるが、ケン化処理の効率を上げるためには、ケン化処理を行なう溶液を、20〜70℃程度の温度範囲に設定することが好ましい。なお、あまり高温でのケン化処理は、眼用レンズの劣化を招来する恐れがあるところから、反応温度は、70℃程度以下となるように設定することが好ましい。また、ケン化時間にあっては、アルカリ性化合物の種類、アルカリ性化合物の濃度、ケン化温度等に応じて、適宜に設定されることとなるが、実用的には、例えば、室温でケン化処理を行なう場合には、数分〜数時間でケン化反応が完了するように、アルカリ性化合物の種類とその濃度を選択することが好ましい。また、不均一系でケン化反応を行なうことも可能である。
【0052】
なお、ケン化度は、90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることが望ましい。これは、ケン化度が、90モル%未満である場合には、所望とする含水率が確保され難くなったり、得られる眼用レンズを長期に亘って用いる際に、煮沸処理等を繰り返すこと等によって含水率が変化し、サイズ変化を起こし易くなる等といった長期安定性に劣るものとなる傾向があるからである。
【0053】
次いで、このようにしてケン化処理が施された共重合体には、アルカリ性化合物等が残留しているところから、水や生理食塩水で洗浄されたり等して中和され、また、滅菌されたり等して、生体に対して安全で、含水された状態の眼用レンズとなるのである。
【0054】
また、かくの如きPVA系材料からなる眼用レンズ、例えば、コンタクトレンズや眼内レンズ等を成形する方法(加工方法)としては、特に限定されるものではなく、重合を適当な型内又は容器内で行ない、棒状、ブロック状、板状等の素材(重合体)を得た後、切削加工、研磨加工等の機械的加工によって所望の形状に成形する切削加工法や、所望とする眼用レンズ形状を与える重合型を用意し、この型内で前記した重合成分の重合を行なって成形物を得る鋳型(モールド)法、更に必要に応じて、機械的に仕上げ加工を施すモールド法と切削加工法を組み合わせた方法等、当業者に従来から公知の各種の手法が、何れも採用され得るのであるが、上記した方法の中でも、特に、モールド法が、生産コストを効果的に低減せしめることが出来るため、好適に採用されることとなる。
【0055】
なお、そのようなモールド法にて、眼用レンズとしてのコンタクトレンズを製造するには、以下の如き方法を、一例として例示することが出来る。すなわち、先ず、所望とするコンタクトレンズ形状を与える成形面を有する雄型と雌型とからなる重合型を用い、それら雄型と雌型を型合せすることによりそれらの型間に形成される成形キャビティ内に、重合のために必要な増感剤及び/又は重合開始剤が添加された重合性モノマー組成物を収容した後、紫外線等の光線を照射して光重合を行なったり、或いは、加熱せしめて熱重合を行なうことにより、共重合体を形成せしめるのである。
【0056】
この際、使用される重合型の材質としては、特に限定されるものではなく、従来から眼用レンズの製造に使用されているものであれば、何れの材質も採用され得るのであるが、光重合を採用する場合には、重合型を構成する雄型と雌型のうちの少なくとも一方が、光線を透過し得る材料(光透過性材料)にて形成されている必要がある。
【0057】
次いで、このようにして得られた共重合体を、常法に従って離型して、前述せる如きケン化処理を行なうことによって、本発明に従う眼用レンズが製造されるのである。なお、かかる眼用レンズには、生体に対する充分な安全性が確保されるように、中和処理や滅菌処理等が施されることは、勿論、言うまでもないところである。
【0058】
そして、かくの如くして製造された眼用レンズにあっては、ハロゲン化アルキルエチレンが必須の構成成分として用いられ、かかるハロゲン化アルキルエチレンにて含水率の調整が行なわれ得るところから、分子量の分布範囲が大きな高分子量のマクロモノマーやレンズ強度に大きな影響を与える架橋性モノマーにて含水率を調整する場合とは異なり、眼用レンズの含水率を、簡易に且つ安定して調整することが出来ると共に、含水率を変化せしめても、眼用レンズに必要とされる強度を充分高度に確保することが出来るのである。
【0059】
従って、眼用レンズの含水率を任意に調整すれば、装用者に応じて、より安全性の高い眼用レンズを供給することが可能となる。
【0060】
さらに、この本発明に従う眼用レンズを構成する高分子材料(共重合体)中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、非イオン性であるところから、イオン性の汚れが付着し難くなっているのである。
【0061】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0062】
先ず、カルボン酸ビニルエステルとして、酢酸ビニルとモノクロロ酢酸ビニルを、また、ハロゲン化アルキルエチレンとして、パーフルオロヘキシルエチレンとパーフルオロオクチルエチレンを、更に、架橋性モノマーとして、ポリアルキレングリコールのジビニルエーテルであるジエチレングリコールジビニルエーテルと、トリアリルイソシアヌレートを準備した。また、増感剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:ダロキュア1173)を準備した。更に、着色剤として、テトラ(4−メタクリルアミド)銅フタロシアニンを準備した。
【0063】
一方、重合型(成形型)として、光透過性材料たるポリプロピレンを用いてそれぞれ形成された雄型と雌型とから構成されるコンタクトレンズ用の重合型を準備した。なお、かかる重合型は、一般的なレンズである、中心厚み:0.1mm、直径:14mm、パワー:−3Dの規格のレンズが得られるように設計されたものであった。
【0064】
−重合性モノマー組成物の調製−
そして、下記表1に示される配合組成となるように、各種の重合成分を混合し、更に、増感剤を加えて、均一に混合・溶解せしめて、実施例1,2及び比較例1〜3に係る重合性モノマー組成物を調製した。
【0065】
−重合性モノマー組成物の重合−
そして、このようにして調製された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種重合性モノマー組成物を、ぞれぞれ、雌型に充填して、雄型と型合せすることによって、重合型の成形キャビティ内に重合性モノマー組成物を充填、収容せしめ、そして、その後、2kWの高圧水銀ランプを用いて、10mW/cm2 の強度の紫外線を15分間照射することによって、各々の重合性モノマー組成物を重合せしめた。重合後、重合型の型開きを行ない、実施例1及び比較例1,2はエタノール中に、実施例2及び比較例3はエトキシエタノール中に浸漬せしめることによって、エタノール又はエトキシエタノールで膨潤したコンタクトレンズを型から分離した。
【0066】
−ケン化処理−
上記で得られた膨潤したコンタクトレンズを、バイアル瓶に収容された0.5NのNaOHを含有する65%メタノール水溶液の2mLに浸漬して、そのまま、室温で2時間放置することによって、ケン化処理を実施した。その後、かかるコンタクトレンズを水で洗浄することによって、NaOHを除去するための中和処理を行ない、更に、そのコンタクトレンズを、水の入った耐熱性の瓶に入れて蓋をした後、121℃の温度で20分間、高圧蒸気滅菌した。
【0067】
−含水率の測定−
かかる高圧蒸気滅菌が施された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、20℃の水の中に2時間浸漬した後、吸湿紙で余分な水分を拭き取って、含水状態のレンズの重量(W1 )を測定した。また、コンタクトレンズを、60℃の乾燥機に一夜放置して乾燥させて、乾燥状態のレンズの重量(W2 )を測定した。そして、それら含水状態のレンズの重量(W1 )と乾燥状態のレンズ重量(W2 )とを用いて、下記(I)式により、含水率を算出し、その結果を、下記表1に示した。
含水率(重量%)=[(W1 −W2 )/W1 ]×100 ・・・(I)
【0068】
−形状保持性の評価−
含水された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、水中から取出し、その形状が、所望とする形状(中心厚み:0.1mm、直径:14mm、パワー:−3D)を保持しているかを確認し、その結果を下記表1に示した。なお、表1中、「良好」は、形状が保持され、指に載せて眼に装着することが容易であったことを、また、「困難」は、形状を維持出来ず、指に載せて眼に装着することが困難であったことを示している。
【0069】
−擦り強度の評価−
実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、それぞれ、指で強く擦り、破損が惹起されるか否かを確認し、その結果を下記表1に示した。
【0070】
−寸法安定性・透明性の評価−
実施例1及び2に係るコンタクトレンズを、水が収容されたバイアル瓶の中に、水中に浸漬された状態となるようにして入れ、5℃の温度下で、3ヶ月間、保存した。そして、3ヶ月保存したコンタクトレンズを、20℃の水中に2時間浸漬せしめた後、レンズサイズの測定を行ない、保存前のレンズサイズと比較したところ、どちらのコンタクトレンズもサイズは変化せず、また、白濁等の外観上の変化も何等認められなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1の結果から明らかなように、ハロゲン化アルキルエチレンが何等添加されていない比較例1〜3に係るコンタクトレンズにあっては、80%程度の含水率を得ようとすると、弾性が低下して、レンズの形状保持が困難となったり、或いは、70%程度の含水率を得ようとすると、架橋性モノマーの配合量の増加に伴う架橋点の増加に起因するのか明らかではないものの、レンズが脆くなって、充分な強度が得られず、破損し易くなっていることが認められる。
【0073】
これに対して、ハロゲン化アルキルエチレンを用いた実施例1及び2のコンタクトレンズにあっては、ハロゲン化アルキルエチレンの添加によって、良好な形状保持性及び擦り強度が確保されていると共に、低温下に長期間晒しても、レンズサイズの縮小や白濁が何等惹起され得ないことが分かる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を共重合し、それによって得られた共重合体をケン化処理することによって得られるPVA系高分子材料から形成されているところから、構成成分の一つであるハロゲン化アルキルエチレンによって、含水率を、簡易に且つ安定して調整することが可能となると共に、含水率を変化せしめても、眼用レンズに必要とされる強度を充分に確保することが出来るのである。
【0075】
このため、眼用レンズの含水率を任意に調整することによって、涙液の多い人に対しては、より高含水性の眼用レンズを提供し、また、涙液の少ない人に対しては、高含水性の眼用レンズの中でも、やや低めの含水率の眼用レンズを提供することが可能となり、装用者に応じて、より安全性の高い眼用レンズを供給することが可能となる。
【0076】
しかも、共重合体中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、ケン化処理によって分解されず、ビニルアルコール単位と同様に、非イオン性であるために、その添加によって、眼用レンズがイオン性となるようなことはなく、このため、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも付着し難くなっており、優れた耐汚れ付着性が実現され得るのである。
【0077】
また、本発明に従う高含水性眼用レンズの製造法によれば、上述せる如き高含水性眼用レンズを、簡易に且つ安定して製造することが可能となるのである。
【技術分野】
本発明は、高含水性眼用レンズ及びその製造方法に係り、特に、所期の含水率を安定して確保し得ると共に、充分な強度を実現する高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを簡易に且つ安定して製造することが出来る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、コンタクトレンズは、軟質のソフトコンタクトレンズと、硬質のハードコンタクトレンズの2種類に大別され、何れのコンタクトレンズにあっても、角膜に対して充分な酸素が供給され得るように、酸素透過性のより一層優れたものが、求められている。
【0003】
かかる酸素透過性は、酸素のレンズ素材への溶け込み易さ(溶解)やレンズ素材中における酸素の移動のし易さ(拡散)に大きく依存し、それら酸素の溶解や拡散が行われ易いもの程、酸素透過性に優れたレンズとなる。具体的に、ハードコンタクトレンズの場合には、酸素がレンズ素材の分子間隙を通過する等して、角膜に供給されるようになっているところから、分子間隙を大きくしたり、酸素との親和性が高い成分を使用すること等によって、酸素透過性の向上が図られているのであるが、そのようなハードレンズは、眼にゴミ等が入ると大変痛いことから、近年においては、装用感に優れたソフトコンタクトレンズ、中でも、使い捨て型のソフトコンタクトレンズの需要が、急速に伸びてきている。
【0004】
そのようなソフトコンタクトレンズの酸素透過性は、シリコーン系素材からなるものを除き、レンズに含まれる水に溶け込んだ酸素が移動することにより、酸素がレンズを透過して角膜に供給されるようになっているところから、含水率に依存し、含水率の高いレンズが、特に、望まれているのである。
【0005】
ところで、ビニルアルコール単位を主成分とするポリビニルアルコール系高分子材料(PVA系材料)は、含水率が高く、アルコール性水酸基(−OH基)が中性且つ非イオン性であること等から、酸素透過性に優れ、また、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れが付着し難くなる等といった効果が得られるところから、コンタクトレンズ材料として特に好ましい材料であると考えられ、これまでに、各種のものが提案されている。
【0006】
しかしながら、これまでに提案されたPVA系材料からなるコンタクトレンズは、所望とする含水率を安定的に確保し、且つ、充分な強度を実現することが困難であったため、研究は為されても販売までには至らなかったり、販売されても破損等が問題となり、何れも、実用に供し難いものであったのである。
【0007】
例えば、特開昭62−21101号公報には、脂肪酸ビニルエステルを主成分とし、これと、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー(以下、マクロモノマーと呼称する)との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系高分子材料が提案されている。かかるポリビニルアルコール系高分子材料では、マクロモノマーの配合量の増減によって、含水率が変化し、調整されるようになっているのであるが、該マクロモノマーは、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有することから、複数個の重合性基を有する架橋性の分子も存在することとなり、多量に使用すれば、脆くなって充分な強度が得られなくなるという欠点があった。また、マクロモノマーは、その製造が複雑で、分子量が分布し、一定の分子量に揃えることが難しく、また1分子当たりの重合性基の数も一定にすることも難しいところから、そのようなマクロモノマーを用いて、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズを作製しても、所期の含水率を安定して得ることは難しく、含水率がばらつくといった問題をも有していたのである。
【0008】
さらに、特開平9−40179号公報や特開平9−40720号公報にあっては、酢酸ビニルと架橋性モノマー(架橋剤)との共重合体をケン化処理して得られるコンタクトレンズが提案されている。そして、それらのコンタクトレンズにあっては、それぞれ、架橋剤であるトリアリルイソシアヌレートやジアリリデンペンタエリスリットの配合量の増減によって、その含水率が変化し、調整されるようになっているのであるが、架橋剤にて含水率を調整するには限界があり、架橋剤の配合量を少なくして高い含水率を得ようとすると、ポリビニルアルコールを充分に架橋せしめ得ず、レンズの形状保持性や弾性が不足したり、また逆に、架橋剤の配合量を多くしてやや低めの含水率を得ようとすると、レンズの形状保持性や弾性は確保されるものの、架橋点が多くなり過ぎて、レンズが脆くなっていたのである。
【0009】
このように、従来のPVA系材料からなるコンタクトレンズにあっては、仮に高含水率を達成することが出来ても、その含水率を、充分な強度を確保しつつ、所望とする値にコントロールすることは、著しく困難であったのである。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、所期の含水率を安定して確保し得ると共に、使用上において、充分な強度を実現する高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを、簡易に且つ安定して製造することが出来る方法を、提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の課題とするところは、眼用レンズの含水率を任意に調整することによって、装用者に応じた眼用レンズを、即ち、涙液の多い人に対しては、より高含水性の眼用レンズを、また、涙液の少ない人に対しては、高含水性の眼用レンズの中でも、やや低めの含水率の眼用レンズを、提供し得るようにすることにあり、更に、別の解決課題とするところは、レンズ素材自体を、陰イオンや陽イオンを生じない非イオン性とすることにより、耐汚れ付着性に優れた眼用レンズを、提供することにある。
【0012】
【解決手段】
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、従来のマクロモノマーに比して分子量が小さく、且つ架橋性モノマーではない疎水性のハロゲン化アルキルエチレンを用い、かかるハロゲン化アルキルエチレンにて含水率を調整するようにすれば、所望とする含水率、及び充分な強度を有する眼用レンズが、簡易に且つ安定して得られることを見出したのである。
【0013】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、形成されていると共に、含水率が50〜90%であることを特徴とする高含水性眼用レンズにある。
【0014】
すなわち、かかる本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、カルボン酸ビニルエステル及び架橋性モノマー(架橋剤)の他に、カルボン酸ビニルエステルとの重合性が良好で、且つケン化処理によって分解しない疎水性のモノマーであるハロゲン化アルキルエチレンが必須の構成成分として用いられているところから、かかるハロゲン化アルキルエチレンの導入によって、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズの含水率を、簡易に且つ安定して調整することが可能となると共に、眼用レンズに必要とされる強度を充分に確保することが出来るようになるのである。
【0015】
この理由としては、種々のことが推察されるのであって、例えば、その一つとして、ハロゲン化アルキルエチレンは、上記したマクロモノマーとは異なり、蒸留等にて容易に精製することが出来、その純度を高くし得るところから、所期の含水率を安定して得られることがある。また、重合性基を二つ以上有するもの(架橋性モノマー)ではない疎水性モノマーであるところから、その配合量(導入量)の増加によって、架橋点を増加せしめるようなこともなく、疎水性を上げて、含水率を下げることが出来るようになっていることがある。しかも、そのようなハロゲン化アルキルエチレンの導入によって、眼用レンズの強度向上も図られ得るものと考えられるのである。
【0016】
加えて、共重合体中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、ケン化処理によって分解されることはなく、しかもビニルアルコール単位と同様に、非イオン性であるところから、かかるハロゲン化アルキルエチレンの添加によって、眼用レンズがイオン性となるようなことはなく、このため、レンズを装用しても、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも付着し難くなっており、以て優れた耐汚れ付着性が実現され得るのである。
【0017】
なお、このような本発明に従う高含水性眼用レンズの好ましい態様の一つによれば、前記重合性モノマー組成物が、前記カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、前記ハロゲン化アルキルエチレン及び前記架橋性モノマーを、それぞれ、0.0001〜0.5モル及び0.0005〜0.3モルの割合において含有することが望ましい。
【0018】
さらに、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記カルボン酸ビニルエステルとしては、86〜1000の分子量を有するモノ、ジ若しくはポリカルボン酸ビニルエステルが好適に採用され得るのであり、また、前記ハロゲン化アルキルエチレンとしては、アルキル基の全ての水素原子がフッ素置換されたパーフルオロアルキルエチレンが好適に採用され得るのである。
【0019】
また、本発明は、上述せる如き高含水性眼用レンズを製造する方法にして、目的とする眼用レンズ形状を与える重合型の成形キャビティ内に、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、少なくとも含有する重合性モノマー組成物を収容して、光重合又は熱重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことにより、エステル部分の加水分解を行ない、親水化することを特徴とする高含水性眼用レンズの製造方法も、また、その要旨とするものである。このような本発明に係る製造方法に従って、眼用レンズを作製すれば、所望とする眼用レンズを、簡易に且つ安定的に製造することが出来るのである。
【0020】
なお、この本発明に従う高含水性眼用レンズの製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記重合型を雄型と雌型とから構成すると共に、それら雄型と雌型のうちの少なくとも一方を光透過性材料にて形成せしめ、それらを型合せすることにより、それらの型間に形成される前記成形キャビティ内に、前記重合性モノマー組成物を収容して、光重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施す構成が、好適に採用されることとなる。特に、このような光重合法を採用することによって、熱重合に比して重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るといった効果が享受され得るのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従う高含水性眼用レンズは、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマー(架橋剤)を、重合体の必須の構成成分として用い、そして、それらを少なくとも含有する重合性モノマー組成物を共重合し、その得られた共重合体を、ケン化処理することによって、得られるものである。
【0022】
そして、上述せる如き重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つであるカルボン酸ビニルエステルは、主たる構成成分であって、重合後のケン化処理により、エステル結合が加水分解せしめられて、ビニルアルコール単位[−CH2 −CH(OH)−]を与え、このビニルアルコール単位の水酸基によって、優れた含水性(酸素透過性)、具体的には、50%〜90%の含水率が付与せしめられるのである。
【0023】
ここにおいて、かかるカルボン酸ビニルエステルとしては、他の重合性モノマー成分との共重合が可能で、共重合後のケン化処理によって容易に加水分解されてビニルアルコール単位を与え、また、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を実現し得るものであれば、如何なるカルボン酸ビニルエステルであっても良いのであるが、好適には、分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にある、モノカルボン酸のビニルエステルやジカルボン酸のビニルエステル、ポリカルボン酸のビニルエステルが、有利に用いられることとなる。
【0024】
けだし、そのような分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にあるカルボン酸ビニルエステルは、成形後にケン化処理を施して、目的とする眼用レンズを得る場合において、ケン化処理の前後でサイズが大幅に変化するようなことがないことから、換言すれば、成形直後の眼用レンズのサイズとケン化処理後の眼用レンズのサイズとが、大幅に変化するようなことがないことから、望ましいのである。
【0025】
なお、成形直後の眼用レンズのサイズに比して、ケン化処理後の眼用レンズのサイズが大きくなり過ぎるような場合には、重合によって得られた共重合体に、重合歪みや傷、欠け、変形等の欠陥が存在すると、ケン化処理後の膨潤により、これらの欠陥が増幅されたり、不規則な形状になることが推察されるのであり、また逆に、ケン化処理後の眼用レンズのサイズが小さくなり過ぎるような場合には、重合歪みや傷、欠け、変形等の欠陥が存在すると、ケン化処理後の縮小により、これらの欠陥が強化されたり、不規則に反映されることが推察されるからである。
【0026】
例えば、含水率が80%の眼用レンズの場合において、その乾燥レンズの重量割合は、含水レンズ重量の20%であるところから、含水により、レンズ重量が5倍となることになる。従って、共重合後のケン化処理の前後でのサイズ変化を抑制して、80%程度の含水率を有する眼用レンズを得るためには、カルボン酸ビニルエステルとしては、概ね、ビニルアルコールの分子量:44の約5倍の分子量:220前後であるものが、好適に選択されるのである。
【0027】
これに対して、分子量が86である酢酸ビニルよりも分子量が小さなカルボン酸ビニルエステル、例えば、蟻酸ビニル(分子量:72)にあっては、沸点が約50℃と低く、揮発性が高いために、その使用が困難であるところから望ましくない。また、分子量が1000を超えるようなカルボン酸ビニルエステルは、仮に、それが分子量の割に沸点が低いパーフルオロアルキルカルボン酸のビニルエステルであったとしても、精製が実質的に困難で、純度の高いものが得られないために望ましくなく、加えて、共重合後のケン化処理によって、大きなカルボン酸分子が加水分解して外れるために、ケン化処理後において、サイズが大幅に縮小する恐れがあるところからも、望ましくないのである。このため、上述せるように、分子量が86〜1000、より望ましくは、86〜600の範囲にある、モノカルボン酸のビニルエステルやジカルボン酸のビニルエステル、ポリカルボン酸のビニルエステルが、本発明においては、好適に採用されることとなる。
【0028】
具体的には、そのようなモノカルボン酸ビニルエステルとしては、分子量が86の酢酸ビニルの他、分子量が86〜1000の範囲にある、ハロゲンやニトロ基、シアノ基、−COR基等の、従来から公知の電子吸引性基が導入されたモノカルボン酸のビニルエステルが、かかる電子吸引性基の導入によって重合性が向上することに起因するのか理由は明らかではないものの、眼用レンズに必要とされる形状保持性や、適度な弾性が極めて効果的に得られることから、より好適に採用され得るのである。
【0029】
ここにおいて、上記した電子吸引性基が導入されたモノカルボン酸としては、例えば、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、2−クロロ酪酸、3−クロロ酪酸、4−クロロ酪酸、2−クロロカプリル酸、3−クロロカプリル酸、2−クロロラウリル酸、3−クロロラウリル酸、ジクロロ酢酸、2,3−ジクロロプロピオン酸、2,3−ジクロロイソ酪酸、トリクロロ酢酸、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオン酸、パーフルオロデカン酸、ニトロ酢酸、p−ニトロフェニル酢酸、シアノ蟻酸、シアノ酢酸、3−シアノプロピオン酸、2−シアノ−2−メチルプロピオン酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、3−メチル−2−オキソ酪酸等が挙げられるが、これらに何等限定されるものではない。なお、カルボン酸ビニルエステルを構成するカルボン酸部分には、重合性を有する不飽和結合が存在しないことが必要である。けだし、カルボン酸部分に重合性の不飽和結合があると、この部分でも重合し、ケン化処理後にカルボン酸が外れることなく、骨格となるポリマー部分に酸が残り、汚れの付着やレンズ強度の低下の原因となるからである。
【0030】
さらに、ジカルボン酸のビニルエステルやポリカルボン酸のビニルエステルとしては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、蓚酸、マロン酸、メチルマロン酸、琥珀酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、メチル琥珀酸、グルタル酸、ジメチル琥珀酸、イソプロピルマロン酸、メチルグルタル酸、メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ジ−n−プロピルマロン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,3−フェニレンジ酢酸、フェニル琥珀酸、ベンジルマロン酸等のジカルボン酸のビニルエステルや、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸のビニルエステルを挙げることが出来るが、これらに何等限定されるものではない。なお、それらジカルボン酸ビニルエステルやポリカルボン酸ビニルエステルを構成するカルボン酸部分にあっても、上例と同様の理由で、重合性を有する不飽和結合が存在しないことが必要である。
【0031】
また、上述せる如きジカルボン酸ビニルエステルやポリカルボン酸ビニルエステルは、分子内に2つ以上のカルボキシル基(−COOH)を含む多塩基カルボン酸を、エステル化してなるものであるが、それらの中でも、特に、分子内の全てのカルボキシル基がエステル化されているものが、溶解性等の面から、より望ましい。
【0032】
そして、本発明におけるカルボン酸ビニルエステルとして、上記したもののうちの少なくとも1種が用いられれば充分なのであるが、また、2種以上が組み合わされて用いられても、何等差支えないのである。例えば、低分子量のカルボン酸ビニルエステルは、沸点が余り高くなく、揮発する恐れがあるところから、それを、高分子量のカルボン酸ビニルエステルと組み合わせて使用することにより、重合性モノマー組成物の組成変化を防止することが可能となったり、また、高分子量のものは、粘度が高いために、取扱性が悪いだけでなく、気泡が発生するといった問題が惹起されるところから、粘度が低い低分子量のものと組み合わせて使用することにより、そのような問題を防止することが出来るようになるのである。但し、2種類以上のカルボン酸ビニルエステルを組み合わせ、混合して使用する場合には、組み合わされたカルボン酸ビニルエステル同士の共重合性が良いことが重要な要件となる。尤も、多少の重合性の違いは、架橋性モノマーの選定や使用量の調節等により、解消され、均質な重合体が得られる場合もあるが、重合性が余りにも違い過ぎると、架橋性モノマーや増感剤、重合開始剤、重合条件等の調節では、均質な重合体が得られなくなってしまうため、注意が必要である。
【0033】
一方、上記したカルボン酸ビニルエステルと同様に、重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つであるハロゲン化アルキルエチレンは、眼用レンズの強度を高度に確保しつつ、その含水率を目的とする値に有利に調整せしめ得る成分であって、このようなハロゲン化アルキルエチレンの配合量を適宜に調整するだけで、眼用レンズの含水率を、簡単に且つ安定的にコントロール出来るようになっているのである。
【0034】
具体的には、ハロゲン化アルキルエチレンは、分子量の分布の範囲が大きなマクロモノマーとは異なり、蒸留等によって容易に精製出来、純度の高いものが用いられ得るところから、所期の含水率を安定して得ることが出来、また、レンズ強度に大きな影響を与える架橋性モノマーでもないところから、該ハロゲン化アルキルエチレンの配合量を増加せしめることによって、眼用レンズの疎水性を上げて含水率を低くしたり、或いは、その配合量を減少せしめることによって、含水率を高くすることが、必要なレンズ強度を高度に確保しつつ、出来るようになっているのである。
【0035】
なお、かかるハロゲン化アルキルエチレンとしては、カルボン酸ビニルエステル等の他の重合性モノマー成分と均一に共重合され、また、共重合後のケン化処理によって分解されないものであり、更に、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を確保し得るものであれば、何れのハロゲン化アルキルエチレンも採用することが出来る。
【0036】
具体的に、そのようなハロゲン化アルキルエチレンとしては、例えば、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のアルキル基の水素原子が全てハロゲン原子で置換されたパーフルオロアルキルエチレンの他、塩化アリル、3−クロロ−1−ブテン、3−クロロ−2−クロロメチル−1−プロペン、臭化アリル等が挙げられ、それらのうちの1種が、単独で、又は、2種以上が組み合わされて用いられるのであるが、それらの中でも、特に、パーフルオロアルキルエチレンは、ハロゲンの電子吸引効果に起因すると推察される、その重合性の向上により、カルボン酸ビニルエステルとの共重合性が良好となるところから、好適に採用され得るのである。
【0037】
そして、上述せる如きハロゲン化アルキルエチレンは、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.0001〜0.5モル、より好適には、0.0002〜0.3モルとなる割合が採用される。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、ハロゲン化アルキルエチレンの添加による効果が充分に得られず、実質的に眼用レンズの含水率を調整することが出来なくなるのであり、逆に、かかる配合割合が過大である場合には、眼用レンズの含水率が50%未満に低下して、高含水性が確保され得なくなる恐れがあるからである。
【0038】
他方、上記したカルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレンと同様に、重合性モノマー組成物を構成する必須成分の一つである架橋性モノマー(架橋剤)は、従来より、眼用レンズを与える高分子材料に橋かけ結合を形成せしめるために用いられているものであり、カルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレン等の他の重合性モノマー成分との共重合性が良く、均一に重合し、且つ、ケン化処理によって分解されず(つまり、ケン化処理によって橋かけ部分が切断されず)、ケン化処理後の眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を確保し得る等の条件を満たすものが採用されることとなる。
【0039】
そして、そのような架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼンや、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメリット酸トリアリル、アリルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのジアリルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのジビニルエーテル、アルキレングリコール若しくはポリアルキレングリコールのアリルエーテルビニルエーテル、特開平9−40720号公報に示されるジアリリデンペンタエリスリット等を始め、上述せる如き条件を満足するものであれば、従来から公知の各種の架橋性モノマーを例示することが出来、それらのうちの少なくとも1種が、カルボン酸ビニルエステルの種類や重合方法等に応じて、適宜に選択されて用いられるのである。
【0040】
例えば、酢酸ビニルを、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の増感剤の存在下で、光重合する場合には、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のポリアルキレングリコールのジビニルエーテルが、好ましく選択され得るのであり、また、酢酸ビニルを、アゾビスイソバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で、熱重合する場合には、ジエチレングリコールジアリルエーテル等のポリアルキレングリコールのジアリルエーテルが、好適に採用され、更に、モノクロロ酢酸ビニルを、増感剤の存在下で、光重合する場合には、トリアリルイソシアヌレート等が、より好適に選択され得るのであるが、本発明にあっては、このような組み合わせに何等限定されるものでは決してない。
【0041】
また、かくの如き架橋性モノマーの配合割合は、カルボン酸ビニルエステルの種類や重合方法等に応じて、適宜に設定されることとなるのであるが、通常、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.0005モル〜0.3モル、より好適には、0.001〜0.2モルとなる割合が採用される。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、架橋不足となり、ケン化処理後の眼用レンズに、充分な形状保持性や適度な弾性が得られなくなる恐れがあるからであり、逆に、かかる配合割合が過大である場合には、架橋点が多くなり過ぎて眼用レンズが脆くなり、ケン化処理後の眼用レンズに、必要とされる強度が得られなくなる恐れがあるからである。
【0042】
また、かかる配合割合の中でも、カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、0.008モル〜0.3モルを採用すれば、眼用レンズを形成する高分子材料の結晶化が防止され、凍結・解凍を繰り返したり、5℃付近の低温度に長期間保存しても、レンズサイズが縮小したり、レンズが白濁する等といった結晶化に起因すると推察される問題の発生を防止すること出来るといった効果が享受されるようになる。
【0043】
ところで、上述せる如きカルボン酸ビニルエステルやハロゲン化アルキルエチレン、重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、少なくとも含有する重合性モノマー組成物には、更に必要に応じて、従来から眼用レンズに一般的に用いられている各種の添加剤、例えば、眼用レンズに紫外線吸収性を付与したり、レンズを着色するために、重合性の紫外線吸収性モノマーや色素、紫外線吸収性色素等を、従来と同様に、添加せしめて、共重合体中に導入し、レンズ構成成分の一つとすることも可能である。但し、それらの添加剤は、本発明による効果を阻害しないものであり、阻害しない量的範囲において用いられることとなることは、勿論、言うまでもないところである。
【0044】
かくして、上述せる如き各種成分を含有する重合性モノマー組成物を用いて、目的とする眼用レンズを得るには、先ず、かかる重合性モノマー組成物を共重合せしめて、共重合体を形成せしめ、次いで、そのようにして得られた共重合体に対して、ケン化処理を施すのである。
【0045】
具体的には、重合性モノマー組成物の重合手法としては、例えば、重合開始剤を添加した後、先ず、約30〜50℃にて数時間〜数十時間加熱して重合させ、次いで、約120℃まで十数時間で順次昇温して、重合を完結させる方法(熱重合法)や、増感剤を添加した後、適当な光線(例えば、紫外線等)を照射して重合を行なう方法(光重合法)、又は、それら熱重合法と光重合法とを組み合わせて、重合を行なう方法等が挙げられる。これらの重合法の中でも、特に、光重合法を採用すれば、熱重合に比して、重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るといった利点が得られる。更に、重合形式としては、効率が良く、生産性に優れた、通常の塊状重合法が採用されることが望ましいが、必要に応じて溶液重合法等が採用されても、何等差支えない。
【0046】
なお、一般に、熱重合の場合には、重合開始剤が使用される一方、紫外線等の光照射にて重合する場合には、増感剤が使用されるのであるが、増感剤及び重合開始剤の何れか一方を用いて、又は、その両方を組み合わせて用いて、光及び/又は熱にて重合することも可能である。
【0047】
ここにおいて、重合開始剤としては、通常の重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、また、増感剤としては、通常の増感剤、例えば、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロピル−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロピル−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノフェニル−ブタノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0048】
また、これらの重合開始剤及び増感剤は、そのうちの1種又は2種以上を選択して使用すればよく、その使用割合としては、重合性モノマーの1モルに対して、0.00001〜0.05モル、好ましくは、0.00002〜0.03モルとなる割合が採用され得ることとなる。なお、0.05モルを超えるような使用量の場合には、共重合体の平均分子量が大きくならず、レンズに必要とされる強度が確保され得なくなったり、レンズが黄変したり等して、望ましくなく、また0.00001モルに満たない使用量の場合には、残留モノマーが多くなり過ぎて、共重合体が固化しなくなるからである。
【0049】
そして、上記した重合によって得られた共重合体を用い、それに対して、ケン化処理を施すことによって、共重合体のエステル部分が加水分解されて、親水化した眼用レンズ、つまり、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズが得られることとなるのであるが、ここでいうケン化処理とは、従来より公知のポリビニルアルコール(PVA)を得るためのポリビニルエステルのケン化処理方法と同様の方法が採用され得るのであり、共重合体中のカルボン酸ビニルエステル単位を、アルカリ性化合物又は酸性化合物により処理して、ビニルアルコール単位とすることにある。但し、後者の酸性化合物によるケン化処理は、ケン化速度が遅く、また均一なものが得られ難く、副反応が惹起される等といった欠点があるため、本発明においては、アルカリ性化合物によるケン化処理手法が、好適に採用されることとなる。
【0050】
なお、上述せる如きケン化処理に採用されるアルカリ性化合物としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を例示することが出来る。また、これらのアルカリ性化合物は、一般に、固体であるため、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、水等の溶媒に溶解せしめられ、アルカリ性溶液として用いられるのであり、そして、そのようなアルカリ性溶液中に共重合体が浸漬されることによって、ケン化処理が施されるのである。なお、かかるアルカリ性溶液の中でも、特に、アルコール類を用いた、0.1〜1.0Nのアルカリアルコール溶液が好ましいが、ケン化処理を効率よく進めるために、該アルカリアルコール溶液に、アルカリ水溶液を混合して用いることも出来る。
【0051】
また、ケン化温度としては、一般に、0〜70℃の範囲の温度に適宜に設定されるが、ケン化処理の効率を上げるためには、ケン化処理を行なう溶液を、20〜70℃程度の温度範囲に設定することが好ましい。なお、あまり高温でのケン化処理は、眼用レンズの劣化を招来する恐れがあるところから、反応温度は、70℃程度以下となるように設定することが好ましい。また、ケン化時間にあっては、アルカリ性化合物の種類、アルカリ性化合物の濃度、ケン化温度等に応じて、適宜に設定されることとなるが、実用的には、例えば、室温でケン化処理を行なう場合には、数分〜数時間でケン化反応が完了するように、アルカリ性化合物の種類とその濃度を選択することが好ましい。また、不均一系でケン化反応を行なうことも可能である。
【0052】
なお、ケン化度は、90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることが望ましい。これは、ケン化度が、90モル%未満である場合には、所望とする含水率が確保され難くなったり、得られる眼用レンズを長期に亘って用いる際に、煮沸処理等を繰り返すこと等によって含水率が変化し、サイズ変化を起こし易くなる等といった長期安定性に劣るものとなる傾向があるからである。
【0053】
次いで、このようにしてケン化処理が施された共重合体には、アルカリ性化合物等が残留しているところから、水や生理食塩水で洗浄されたり等して中和され、また、滅菌されたり等して、生体に対して安全で、含水された状態の眼用レンズとなるのである。
【0054】
また、かくの如きPVA系材料からなる眼用レンズ、例えば、コンタクトレンズや眼内レンズ等を成形する方法(加工方法)としては、特に限定されるものではなく、重合を適当な型内又は容器内で行ない、棒状、ブロック状、板状等の素材(重合体)を得た後、切削加工、研磨加工等の機械的加工によって所望の形状に成形する切削加工法や、所望とする眼用レンズ形状を与える重合型を用意し、この型内で前記した重合成分の重合を行なって成形物を得る鋳型(モールド)法、更に必要に応じて、機械的に仕上げ加工を施すモールド法と切削加工法を組み合わせた方法等、当業者に従来から公知の各種の手法が、何れも採用され得るのであるが、上記した方法の中でも、特に、モールド法が、生産コストを効果的に低減せしめることが出来るため、好適に採用されることとなる。
【0055】
なお、そのようなモールド法にて、眼用レンズとしてのコンタクトレンズを製造するには、以下の如き方法を、一例として例示することが出来る。すなわち、先ず、所望とするコンタクトレンズ形状を与える成形面を有する雄型と雌型とからなる重合型を用い、それら雄型と雌型を型合せすることによりそれらの型間に形成される成形キャビティ内に、重合のために必要な増感剤及び/又は重合開始剤が添加された重合性モノマー組成物を収容した後、紫外線等の光線を照射して光重合を行なったり、或いは、加熱せしめて熱重合を行なうことにより、共重合体を形成せしめるのである。
【0056】
この際、使用される重合型の材質としては、特に限定されるものではなく、従来から眼用レンズの製造に使用されているものであれば、何れの材質も採用され得るのであるが、光重合を採用する場合には、重合型を構成する雄型と雌型のうちの少なくとも一方が、光線を透過し得る材料(光透過性材料)にて形成されている必要がある。
【0057】
次いで、このようにして得られた共重合体を、常法に従って離型して、前述せる如きケン化処理を行なうことによって、本発明に従う眼用レンズが製造されるのである。なお、かかる眼用レンズには、生体に対する充分な安全性が確保されるように、中和処理や滅菌処理等が施されることは、勿論、言うまでもないところである。
【0058】
そして、かくの如くして製造された眼用レンズにあっては、ハロゲン化アルキルエチレンが必須の構成成分として用いられ、かかるハロゲン化アルキルエチレンにて含水率の調整が行なわれ得るところから、分子量の分布範囲が大きな高分子量のマクロモノマーやレンズ強度に大きな影響を与える架橋性モノマーにて含水率を調整する場合とは異なり、眼用レンズの含水率を、簡易に且つ安定して調整することが出来ると共に、含水率を変化せしめても、眼用レンズに必要とされる強度を充分高度に確保することが出来るのである。
【0059】
従って、眼用レンズの含水率を任意に調整すれば、装用者に応じて、より安全性の高い眼用レンズを供給することが可能となる。
【0060】
さらに、この本発明に従う眼用レンズを構成する高分子材料(共重合体)中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、非イオン性であるところから、イオン性の汚れが付着し難くなっているのである。
【0061】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0062】
先ず、カルボン酸ビニルエステルとして、酢酸ビニルとモノクロロ酢酸ビニルを、また、ハロゲン化アルキルエチレンとして、パーフルオロヘキシルエチレンとパーフルオロオクチルエチレンを、更に、架橋性モノマーとして、ポリアルキレングリコールのジビニルエーテルであるジエチレングリコールジビニルエーテルと、トリアリルイソシアヌレートを準備した。また、増感剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:ダロキュア1173)を準備した。更に、着色剤として、テトラ(4−メタクリルアミド)銅フタロシアニンを準備した。
【0063】
一方、重合型(成形型)として、光透過性材料たるポリプロピレンを用いてそれぞれ形成された雄型と雌型とから構成されるコンタクトレンズ用の重合型を準備した。なお、かかる重合型は、一般的なレンズである、中心厚み:0.1mm、直径:14mm、パワー:−3Dの規格のレンズが得られるように設計されたものであった。
【0064】
−重合性モノマー組成物の調製−
そして、下記表1に示される配合組成となるように、各種の重合成分を混合し、更に、増感剤を加えて、均一に混合・溶解せしめて、実施例1,2及び比較例1〜3に係る重合性モノマー組成物を調製した。
【0065】
−重合性モノマー組成物の重合−
そして、このようにして調製された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種重合性モノマー組成物を、ぞれぞれ、雌型に充填して、雄型と型合せすることによって、重合型の成形キャビティ内に重合性モノマー組成物を充填、収容せしめ、そして、その後、2kWの高圧水銀ランプを用いて、10mW/cm2 の強度の紫外線を15分間照射することによって、各々の重合性モノマー組成物を重合せしめた。重合後、重合型の型開きを行ない、実施例1及び比較例1,2はエタノール中に、実施例2及び比較例3はエトキシエタノール中に浸漬せしめることによって、エタノール又はエトキシエタノールで膨潤したコンタクトレンズを型から分離した。
【0066】
−ケン化処理−
上記で得られた膨潤したコンタクトレンズを、バイアル瓶に収容された0.5NのNaOHを含有する65%メタノール水溶液の2mLに浸漬して、そのまま、室温で2時間放置することによって、ケン化処理を実施した。その後、かかるコンタクトレンズを水で洗浄することによって、NaOHを除去するための中和処理を行ない、更に、そのコンタクトレンズを、水の入った耐熱性の瓶に入れて蓋をした後、121℃の温度で20分間、高圧蒸気滅菌した。
【0067】
−含水率の測定−
かかる高圧蒸気滅菌が施された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、20℃の水の中に2時間浸漬した後、吸湿紙で余分な水分を拭き取って、含水状態のレンズの重量(W1 )を測定した。また、コンタクトレンズを、60℃の乾燥機に一夜放置して乾燥させて、乾燥状態のレンズの重量(W2 )を測定した。そして、それら含水状態のレンズの重量(W1 )と乾燥状態のレンズ重量(W2 )とを用いて、下記(I)式により、含水率を算出し、その結果を、下記表1に示した。
含水率(重量%)=[(W1 −W2 )/W1 ]×100 ・・・(I)
【0068】
−形状保持性の評価−
含水された実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、水中から取出し、その形状が、所望とする形状(中心厚み:0.1mm、直径:14mm、パワー:−3D)を保持しているかを確認し、その結果を下記表1に示した。なお、表1中、「良好」は、形状が保持され、指に載せて眼に装着することが容易であったことを、また、「困難」は、形状を維持出来ず、指に載せて眼に装着することが困難であったことを示している。
【0069】
−擦り強度の評価−
実施例1,2及び比較例1〜3に係る各種コンタクトレンズを、それぞれ、指で強く擦り、破損が惹起されるか否かを確認し、その結果を下記表1に示した。
【0070】
−寸法安定性・透明性の評価−
実施例1及び2に係るコンタクトレンズを、水が収容されたバイアル瓶の中に、水中に浸漬された状態となるようにして入れ、5℃の温度下で、3ヶ月間、保存した。そして、3ヶ月保存したコンタクトレンズを、20℃の水中に2時間浸漬せしめた後、レンズサイズの測定を行ない、保存前のレンズサイズと比較したところ、どちらのコンタクトレンズもサイズは変化せず、また、白濁等の外観上の変化も何等認められなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1の結果から明らかなように、ハロゲン化アルキルエチレンが何等添加されていない比較例1〜3に係るコンタクトレンズにあっては、80%程度の含水率を得ようとすると、弾性が低下して、レンズの形状保持が困難となったり、或いは、70%程度の含水率を得ようとすると、架橋性モノマーの配合量の増加に伴う架橋点の増加に起因するのか明らかではないものの、レンズが脆くなって、充分な強度が得られず、破損し易くなっていることが認められる。
【0073】
これに対して、ハロゲン化アルキルエチレンを用いた実施例1及び2のコンタクトレンズにあっては、ハロゲン化アルキルエチレンの添加によって、良好な形状保持性及び擦り強度が確保されていると共に、低温下に長期間晒しても、レンズサイズの縮小や白濁が何等惹起され得ないことが分かる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を共重合し、それによって得られた共重合体をケン化処理することによって得られるPVA系高分子材料から形成されているところから、構成成分の一つであるハロゲン化アルキルエチレンによって、含水率を、簡易に且つ安定して調整することが可能となると共に、含水率を変化せしめても、眼用レンズに必要とされる強度を充分に確保することが出来るのである。
【0075】
このため、眼用レンズの含水率を任意に調整することによって、涙液の多い人に対しては、より高含水性の眼用レンズを提供し、また、涙液の少ない人に対しては、高含水性の眼用レンズの中でも、やや低めの含水率の眼用レンズを提供することが可能となり、装用者に応じて、より安全性の高い眼用レンズを供給することが可能となる。
【0076】
しかも、共重合体中に導入されたハロゲン化アルキルエチレンは、ケン化処理によって分解されず、ビニルアルコール単位と同様に、非イオン性であるために、その添加によって、眼用レンズがイオン性となるようなことはなく、このため、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも付着し難くなっており、優れた耐汚れ付着性が実現され得るのである。
【0077】
また、本発明に従う高含水性眼用レンズの製造法によれば、上述せる如き高含水性眼用レンズを、簡易に且つ安定して製造することが可能となるのである。
Claims (6)
- カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、必須の構成成分として含有する重合性モノマー組成物を、共重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、形成されていると共に、含水率が50〜90%であることを特徴とする高含水性眼用レンズ。
- 前記重合性モノマー組成物が、前記カルボン酸ビニルエステルの1モルに対して、前記ハロゲン化アルキルエチレン及び前記架橋性モノマーを、それぞれ、0.0001〜0.5モル及び0.0005〜0.3モルの割合において含有する請求項1に記載の高含水性眼用レンズ。
- 前記カルボン酸ビニルエステルが、86〜1000の分子量を有するモノ、ジ若しくはポリカルボン酸ビニルエステルである請求項1又は請求項2に記載の高含水性眼用レンズ。
- 前記ハロゲン化アルキルエチレンが、アルキル基の全ての水素原子がフッ素置換されたパーフルオロアルキルエチレンである請求項1乃至請求項3の何れかに記載の高含水性眼用レンズ。
- 前記請求項1乃至請求項4の何れかに記載の高含水性眼用レンズを製造する方法にして、
目的とする眼用レンズ形状を与える重合型の成形キャビティ内に、カルボン酸ビニルエステルと共に、ハロゲン化アルキルエチレン及び重合後のケン化処理により分解されることのない架橋性モノマーを、少なくとも含有する重合性モノマー組成物を収容して、光重合又は熱重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことにより、エステル部分の加水分解を行ない、親水化することを特徴とする高含水性眼用レンズの製造方法。 - 前記重合型を雄型と雌型とから構成すると共に、それら雄型と雌型のうちの少なくとも一方を光透過性材料にて形成せしめ、それらを型合せすることにより、それらの型間に形成される前記成形キャビティ内に、前記重合性モノマー組成物を収容して、光重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことを特徴とする請求項5に記載の高含水性眼用レンズの製造方法。
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