JP2004043770A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004043770A JP2004043770A JP2002371736A JP2002371736A JP2004043770A JP 2004043770 A JP2004043770 A JP 2004043770A JP 2002371736 A JP2002371736 A JP 2002371736A JP 2002371736 A JP2002371736 A JP 2002371736A JP 2004043770 A JP2004043770 A JP 2004043770A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ethylene
- olefin
- weight
- oil
- thermoplastic elastomer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】耐変色性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である熱可塑性エラストマー組成物。
(A)オレフィン系樹脂
(B)エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が75/25〜90/10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有する油展エチレン−α−オレフィン系共重合体
【選択図】 なし
【解決手段】下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である熱可塑性エラストマー組成物。
(A)オレフィン系樹脂
(B)エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が75/25〜90/10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有する油展エチレン−α−オレフィン系共重合体
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムからなる熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムと比べて、通常の熱可塑性樹脂の成形機で加工が可能であり、リサイクルが可能であることから、自動車部品、家電部品、雑貨等の広い分野において用途開発が行われている。例えば、プロピレン系樹脂、プロピレン系ゴム、鉱物油系軟化剤、有機過酸化物を含有する組成物を溶融混練してなる熱可塑性エラストマー組成物が、柔軟性、弾性、成形品の外観などに優れるオレフィン系熱可塑性エラストマーとして提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−93143号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱可塑性エラストマー組成物は、経時により黄変などの変色が発生することがあり、該組成物を用いた製品の外観は十分満足のいくものではなかった。かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、耐変色性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である熱可塑性エラストマー組成物にかかるものである。
(A)オレフィン系樹脂
(B)エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が75/25〜90/10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有する油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる成分(A)のオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数2〜10のオレフィン1種または2種以上から誘導される繰り返し単位を主成分とする重合体であって、JIS K−6253のA硬度が98を超える重合体である。
【0007】
成分(A)のオレフィン系樹脂としては、たとえば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体があげられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用される。また、これらは公知の方法で製造することができる。
【0008】
成分(A)のオレフィン系樹脂の中では、耐熱性を高める観点から、プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量が80重量%以上であるプロピレン系重合体が好ましい。該重合体のプロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量は、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上である。
【0009】
成分(A)のオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、加工性を高める観点から、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分である。なお、MFRは、JIS K 6758に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0010】
本発明に用いられる成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとは、エチレン−α−オレフィン系ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有するものである。
【0011】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとは、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜10のα−オレフィン1種または2種以上とエチレンから誘導される繰り返し単位を主成分とする無定型ランダムな弾性共重合体であって、JIS K−6253のA硬度が98以下の重合体である。
【0012】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、オレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有していてもよく、オレフィン以外の単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの炭素数4〜8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸があげられる。
【0013】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、たとえば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などがあげられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用される。また、これらは公知の方法で製造することができる。
【0014】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの中では、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体が好ましい。ここで、α−オレフィンとしては、入手容易性の観点から、プロピレン、1−ブテンが好ましく、プロピレンがより好ましい。非共役ジエンとしては、入手容易性の観点から、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好ましい。
【0015】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムのエチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)は75/25〜90/10であり、好ましくは80/20〜85/15である。該重量比が小さすぎると耐変色性が劣ることがあり、該重量比が大きすぎると得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が低下することがある。ここで、エチレンおよびα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析により求めることができる。
【0016】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は、好ましくは5〜40である。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを混合して用いてもよい。
【0017】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは10〜350であり、より好ましくは30〜300である。該ムーニー粘度が小さすぎると機械的強度に劣ることがあり、一方、該ムーニー粘度が大きすぎると加工性が低下することがある。なお、ムーニー粘度は、ASTM D−927−57Tに従って、100℃で測定される。
【0018】
鉱物油系軟化剤としては、油展ゴム調整用に通常用いられる伸展油を使用することができ、たとえば、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油などの石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)をあげることができる。これらのなかでも、パラフィン系鉱物油が好ましい。
【0019】
成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムにおいて、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対する鉱物油系軟化剤の含有量は、耐変色性の観点から、60重量%以下であり、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下である。また、該含有量は、熱可塑性エラストマー組成物の加工性、耐変色性の観点から、20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは35重量%以上である。
【0020】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムに鉱物油系軟化剤を配合する方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、ロール、バンバリーミキサーなどの混練装置を用い、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムと鉱物油系軟化剤を機械的に混練する方法、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム溶液に所定量の鉱物油系軟化剤を添加し、その後、スチームストリッピング等の方法により脱溶媒して得る方法などがある。
【0021】
成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの含有量としては、成分(A)と成分(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である。成分(A)が少なすぎる(成分(B)が多すぎる)と、加工性が低下することがある。一方、成分(A)成分が多すぎる(成分(B)が少なすぎる)と、柔軟性、弾性が低下することがある。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、老化防止剤、離型剤などの添加剤、顔料などを含有してもよい。
【0023】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の調整方法としては、公知の方法が用いられ、成分(A)のオレフィン系樹脂および成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよび必要に応じて配合される他の成分を、ドライブレンドしてもよく、オープンロール、バンバリーミキサー、押出機などを用いて溶融混練してもよい。
【0024】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は動的熱処理されていてもよい。動的熱処理とは、成分(A)のオレフィン系樹脂および成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムを、架橋剤の存在下で溶融混練することである。なお、必要に応じて添加される他の成分は、動的熱処理前に配合してもよく、動的熱処理後に配合してもよい。
【0025】
動的熱処理に用いられる架橋剤としては、硫黄、フェノール樹脂、有機過酸化物などをあげることができ、これらの中では、有機過酸化物が好ましい。該有機過酸化物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン、ジクミルパーオキサイドなどをあげることができる。また、架橋剤の配合量は、成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体との合計量100重量部あたり、通常0.01〜5重量部である。
【0026】
動的熱処理は、必要に応じて、架橋剤と架橋助剤を併用して行ってもよい。架橋助剤としては、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能のビニルモノマーがあげられる。また、架橋助剤の配合量は、成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体との合計量100重量部あたり、通常0.01〜5重量部である。
【0027】
動的熱処理に用いられる溶融混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサーなど、従来公知のものを使用しうる。これらのうちでは、非開放型の装置を用いるのが好ましい。また、動的熱処理温度は、通常150〜250℃であり、動的熱処理時間は、通常1〜30分間である。
【0028】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性樹脂で使用されている装置を用いて、押出成形、カレンダー成形、射出成形により種々の成形品に成形される。
【0029】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐変色性に優れるため、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド、ウェザストリップ等の自動車内装部品;各種工業部品;各種建築材料など、種々の用途に用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
[物性評価方法]
(1)メルトフローインデックス
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)ムーニー粘度(ML1+4100℃)
ASTM D−927−57Tに従い測定を行った。
(3)エチレン単位量、プロピレン単位量
赤外線吸収スペクトル分析により求めた。
(4)耐変色性
得られた熱可塑性エラストマー組成物シートをサンシャインウェザーメーター(温度=63℃、スプレー12/120分)により1000時間経時させ、経時前後の該シートの変色の程度を、JIS K 7105に従って、黄変度(ΔYI)にて評価を行った。
【0031】
[実施例1]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを93.2kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを31.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.594kg/hの割合で、更に水素を40リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00413kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03307kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と20重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲1▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲1▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=80/20、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=34、油展量20重量部であった。
【0032】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
ポリプロピレン(住友化学製ノーブレンY501N、メルトフローインデックス(230℃、21.18N)=12g/10分)20重量部、油展EPDM▲1▼80重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.1重量部、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.2重量部、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物0.3重量部をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーでペレットにした。次いで、このペレット100重量部に対して架橋剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.16重量部をタンブラーミキサーにより10分間均一混合し、2軸押出機を用いて200±10℃で押出して動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を25mm単軸押出機により、1mm厚のシートに成形した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0033】
[比較例1]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを104.9kg/h、エチレンを5.0kg/h、プロピレンを23.0kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.449kg/hの割合で、更に水素を7リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00715kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.05722kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と20重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲2▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲2▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=72/28、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=34、油展量20重量部であった。
【0034】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
油展EPDM▲1▼に代えて油展EPDM▲2▼を用いる以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0035】
[実施例2]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを93.2kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを31.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.594kg/hの割合で、更に水素を40リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00413kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03307kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と40重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲3▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲3▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=80/20、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=22、油展量40重量部であった。
【0036】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
ポリプロピレン(住友化学製ノーブレンY501N、メルトフローインデックス(230℃、21.18N)=12g/10分)20重量部、EPDM▲3▼80重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.1重量部、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.2重量部、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物0.3重量部、酸化チタン(石原産業社製タイペークR550)1重量部をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーでペレットにした。次いで、このペレット100重量部に対して架橋剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.2重量部をタンブラーミキサーにより10分間均混合し、2軸押出機を用いて200±10℃で押出して動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を25mm単軸押出機により、1mm厚のシートに成形した。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0037】
[実施例3]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを77.3kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを39.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.558kg/hの割合で、更に水素を44リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00485kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03876kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と40重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲4▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲4▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=75/25、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=44、油展量40重量部であった。
【0038】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
EPDM▲3▼に代えてEPDM▲4▼を用いる以外は、実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0039】
[比較例2]
EPDM▲3▼に代えてエスプレン673(住友化学工業社製 エチレン単位/プロピレン単位(重量比)=70/30、ヨウ素価=10、ML1+4121℃=57、油展量40重量部)を用いる以外は、実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、耐変色性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することができた。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド、ウェザストリップ等の自動車内装部品;各種工業部品;各種建築材料などに用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムからなる熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムと比べて、通常の熱可塑性樹脂の成形機で加工が可能であり、リサイクルが可能であることから、自動車部品、家電部品、雑貨等の広い分野において用途開発が行われている。例えば、プロピレン系樹脂、プロピレン系ゴム、鉱物油系軟化剤、有機過酸化物を含有する組成物を溶融混練してなる熱可塑性エラストマー組成物が、柔軟性、弾性、成形品の外観などに優れるオレフィン系熱可塑性エラストマーとして提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−93143号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱可塑性エラストマー組成物は、経時により黄変などの変色が発生することがあり、該組成物を用いた製品の外観は十分満足のいくものではなかった。かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、耐変色性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である熱可塑性エラストマー組成物にかかるものである。
(A)オレフィン系樹脂
(B)エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が75/25〜90/10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有する油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる成分(A)のオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数2〜10のオレフィン1種または2種以上から誘導される繰り返し単位を主成分とする重合体であって、JIS K−6253のA硬度が98を超える重合体である。
【0007】
成分(A)のオレフィン系樹脂としては、たとえば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体があげられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用される。また、これらは公知の方法で製造することができる。
【0008】
成分(A)のオレフィン系樹脂の中では、耐熱性を高める観点から、プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量が80重量%以上であるプロピレン系重合体が好ましい。該重合体のプロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量は、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上である。
【0009】
成分(A)のオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、加工性を高める観点から、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分である。なお、MFRは、JIS K 6758に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0010】
本発明に用いられる成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとは、エチレン−α−オレフィン系ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有するものである。
【0011】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとは、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜10のα−オレフィン1種または2種以上とエチレンから誘導される繰り返し単位を主成分とする無定型ランダムな弾性共重合体であって、JIS K−6253のA硬度が98以下の重合体である。
【0012】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、オレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有していてもよく、オレフィン以外の単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの炭素数4〜8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸があげられる。
【0013】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、たとえば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などがあげられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用される。また、これらは公知の方法で製造することができる。
【0014】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの中では、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体が好ましい。ここで、α−オレフィンとしては、入手容易性の観点から、プロピレン、1−ブテンが好ましく、プロピレンがより好ましい。非共役ジエンとしては、入手容易性の観点から、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好ましい。
【0015】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムのエチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)は75/25〜90/10であり、好ましくは80/20〜85/15である。該重量比が小さすぎると耐変色性が劣ることがあり、該重量比が大きすぎると得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が低下することがある。ここで、エチレンおよびα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析により求めることができる。
【0016】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は、好ましくは5〜40である。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを混合して用いてもよい。
【0017】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは10〜350であり、より好ましくは30〜300である。該ムーニー粘度が小さすぎると機械的強度に劣ることがあり、一方、該ムーニー粘度が大きすぎると加工性が低下することがある。なお、ムーニー粘度は、ASTM D−927−57Tに従って、100℃で測定される。
【0018】
鉱物油系軟化剤としては、油展ゴム調整用に通常用いられる伸展油を使用することができ、たとえば、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油などの石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)をあげることができる。これらのなかでも、パラフィン系鉱物油が好ましい。
【0019】
成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムにおいて、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対する鉱物油系軟化剤の含有量は、耐変色性の観点から、60重量%以下であり、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下である。また、該含有量は、熱可塑性エラストマー組成物の加工性、耐変色性の観点から、20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは35重量%以上である。
【0020】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムに鉱物油系軟化剤を配合する方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、ロール、バンバリーミキサーなどの混練装置を用い、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムと鉱物油系軟化剤を機械的に混練する方法、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム溶液に所定量の鉱物油系軟化剤を添加し、その後、スチームストリッピング等の方法により脱溶媒して得る方法などがある。
【0021】
成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの含有量としては、成分(A)と成分(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である。成分(A)が少なすぎる(成分(B)が多すぎる)と、加工性が低下することがある。一方、成分(A)成分が多すぎる(成分(B)が少なすぎる)と、柔軟性、弾性が低下することがある。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、老化防止剤、離型剤などの添加剤、顔料などを含有してもよい。
【0023】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の調整方法としては、公知の方法が用いられ、成分(A)のオレフィン系樹脂および成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよび必要に応じて配合される他の成分を、ドライブレンドしてもよく、オープンロール、バンバリーミキサー、押出機などを用いて溶融混練してもよい。
【0024】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は動的熱処理されていてもよい。動的熱処理とは、成分(A)のオレフィン系樹脂および成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムを、架橋剤の存在下で溶融混練することである。なお、必要に応じて添加される他の成分は、動的熱処理前に配合してもよく、動的熱処理後に配合してもよい。
【0025】
動的熱処理に用いられる架橋剤としては、硫黄、フェノール樹脂、有機過酸化物などをあげることができ、これらの中では、有機過酸化物が好ましい。該有機過酸化物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン、ジクミルパーオキサイドなどをあげることができる。また、架橋剤の配合量は、成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体との合計量100重量部あたり、通常0.01〜5重量部である。
【0026】
動的熱処理は、必要に応じて、架橋剤と架橋助剤を併用して行ってもよい。架橋助剤としては、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能のビニルモノマーがあげられる。また、架橋助剤の配合量は、成分(A)のオレフィン系樹脂と成分(B)の油展エチレン−α−オレフィン系共重合体との合計量100重量部あたり、通常0.01〜5重量部である。
【0027】
動的熱処理に用いられる溶融混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサーなど、従来公知のものを使用しうる。これらのうちでは、非開放型の装置を用いるのが好ましい。また、動的熱処理温度は、通常150〜250℃であり、動的熱処理時間は、通常1〜30分間である。
【0028】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性樹脂で使用されている装置を用いて、押出成形、カレンダー成形、射出成形により種々の成形品に成形される。
【0029】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐変色性に優れるため、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド、ウェザストリップ等の自動車内装部品;各種工業部品;各種建築材料など、種々の用途に用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
[物性評価方法]
(1)メルトフローインデックス
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)ムーニー粘度(ML1+4100℃)
ASTM D−927−57Tに従い測定を行った。
(3)エチレン単位量、プロピレン単位量
赤外線吸収スペクトル分析により求めた。
(4)耐変色性
得られた熱可塑性エラストマー組成物シートをサンシャインウェザーメーター(温度=63℃、スプレー12/120分)により1000時間経時させ、経時前後の該シートの変色の程度を、JIS K 7105に従って、黄変度(ΔYI)にて評価を行った。
【0031】
[実施例1]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを93.2kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを31.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.594kg/hの割合で、更に水素を40リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00413kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03307kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と20重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲1▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲1▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=80/20、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=34、油展量20重量部であった。
【0032】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
ポリプロピレン(住友化学製ノーブレンY501N、メルトフローインデックス(230℃、21.18N)=12g/10分)20重量部、油展EPDM▲1▼80重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.1重量部、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.2重量部、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物0.3重量部をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーでペレットにした。次いで、このペレット100重量部に対して架橋剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.16重量部をタンブラーミキサーにより10分間均一混合し、2軸押出機を用いて200±10℃で押出して動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を25mm単軸押出機により、1mm厚のシートに成形した。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0033】
[比較例1]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを104.9kg/h、エチレンを5.0kg/h、プロピレンを23.0kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.449kg/hの割合で、更に水素を7リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00715kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.05722kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と20重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲2▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲2▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=72/28、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=34、油展量20重量部であった。
【0034】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
油展EPDM▲1▼に代えて油展EPDM▲2▼を用いる以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0035】
[実施例2]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを93.2kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを31.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.594kg/hの割合で、更に水素を40リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00413kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03307kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と40重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲3▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲3▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=80/20、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=22、油展量40重量部であった。
【0036】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
ポリプロピレン(住友化学製ノーブレンY501N、メルトフローインデックス(230℃、21.18N)=12g/10分)20重量部、EPDM▲3▼80重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.1重量部、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.2重量部、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物0.3重量部、酸化チタン(石原産業社製タイペークR550)1重量部をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーでペレットにした。次いで、このペレット100重量部に対して架橋剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.2重量部をタンブラーミキサーにより10分間均混合し、2軸押出機を用いて200±10℃で押出して動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を25mm単軸押出機により、1mm厚のシートに成形した。得られたシートの評価結果を表2に示す。
【0037】
[実施例3]
(油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを77.3kg/h、エチレンを8.57kg/h、プロピレンを39.1kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.558kg/hの割合で、更に水素を44リットル/hで供給し、触媒としてオキシ三塩化バナジウム0.00485kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライド0.03876kg/hの割合で連続的に供給し、64℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と40重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(以下、油展EPDM▲4▼と称する。)を得た。この油展EPDM▲4▼はエチレン単位/プロピレン単位(重量比)=75/25、ヨウ素価=10、ML1+4100℃=44、油展量40重量部であった。
【0038】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
EPDM▲3▼に代えてEPDM▲4▼を用いる以外は、実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0039】
[比較例2]
EPDM▲3▼に代えてエスプレン673(住友化学工業社製 エチレン単位/プロピレン単位(重量比)=70/30、ヨウ素価=10、ML1+4121℃=57、油展量40重量部)を用いる以外は、実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、耐変色性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することができた。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド、ウェザストリップ等の自動車内装部品;各種工業部品;各種建築材料などに用いられる。
Claims (2)
- 下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量100重量%に対し、成分(A)の含有量が10〜60重量%であり、成分(B)の含有量が90〜40重量%である熱可塑性エラストマー組成物。
(A)オレフィン系樹脂
(B)エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の重量比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が75/25〜90/10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり、鉱物油系軟化剤を20〜60重量部含有する油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム - オレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371736A JP2004043770A (ja) | 2002-03-29 | 2002-12-24 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002093596 | 2002-03-29 | ||
JP2002141365 | 2002-05-16 | ||
JP2002371736A JP2004043770A (ja) | 2002-03-29 | 2002-12-24 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004043770A true JP2004043770A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31721259
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002371736A Pending JP2004043770A (ja) | 2002-03-29 | 2002-12-24 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004043770A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006131878A (ja) * | 2004-10-05 | 2006-05-25 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 複合体製造用熱可塑性エラストマー組成物及び複合体 |
JP2007112824A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-05-10 | Idemitsu Kosan Co Ltd | プロセスオイル及びゴム組成物 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002371736A patent/JP2004043770A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006131878A (ja) * | 2004-10-05 | 2006-05-25 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 複合体製造用熱可塑性エラストマー組成物及び複合体 |
JP4736587B2 (ja) * | 2004-10-05 | 2011-07-27 | 住友化学株式会社 | 複合体製造用熱可塑性エラストマー組成物及び複合体 |
JP2007112824A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-05-10 | Idemitsu Kosan Co Ltd | プロセスオイル及びゴム組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6135065B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 | |
US8592524B2 (en) | Thermoplastic elastomer compositions | |
JP6717982B2 (ja) | ゴム組成物 | |
US20130041090A1 (en) | Method for producing thermoplastic elastomer composition | |
JP2004043770A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3735096B2 (ja) | オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP4182288B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3941397B2 (ja) | カレンダー成形用熱可塑性エラストマー組成物及びシート | |
JP2001123027A (ja) | 押出し成形用熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 | |
JP2985622B2 (ja) | カレンダー成形加工用熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2003213049A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
US11560470B2 (en) | Thermoplastic elastomer composition | |
JP4507606B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2004217913A (ja) | 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体及びその組成物並びに水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の製造方法 | |
JP3535640B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2000072933A (ja) | オレフィン系エラストマー組成物 | |
JP2891075B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3254800B2 (ja) | オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2013018968A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 | |
JPH04130106A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JPH0649283A (ja) | シート用熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3254806B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物の製造法 | |
JP2000327718A (ja) | オレフィン系熱可塑性エラストマーおよび製造方法 | |
JP2008163098A (ja) | オレフィン系熱可塑性エラストマー | |
JP2006104245A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 |