JP2004041189A - 新規パン酵母 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明では、第一に中種法の本捏工程での炭酸ガス発生量の持続性を高めることでホイロ時間を短縮させ、良好な窯伸び性と従来よりも柔らかな食感が得られることを可能とするパン酵母の開発、および第二に乳化剤、αアミラーゼなどの添加剤や製法による老化遅延法以外の老化抑制法を提供し、今までよりも柔らかな食感が持続し、パンの商品価値を高めることを可能とするパン酵母の開発。
【解決手段】小麦粉70g、65%水分換算したパン酵母2.2g、水40mlを加えてミキシングした中種生地を30℃、4時間発酵した後、小麦粉30g、砂糖6g、食塩2g、水19mlを添加し、本捏ミキシング後、生地を30℃で30分間インキュベートしてから38℃で2時間測定した炭酸ガス発生量が該生地50gあたり320ml以上であるパン酵母を用いることで商品価値の高いパンを製造できる。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパン用の酵母、パン酵母を含有するパン生地、ならびにパン酵母を使用するパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンは通常、小麦粉、水、パン酵母、砂糖(糖類)、食塩、油脂、乳製品、その他の副原料をミキシングし、パン酵母による発酵を行い製造される。パン酵母の発酵基質となる砂糖はパンの種類により添加量が変わり、全く添加されないフランスパンから、少量添加される食パン、さらには砂糖添加量が多い菓子パンまで様々な種類のものがある。
【0003】
また、パンの製法には、主としてストレート法と中種法がある。ストレート法は小麦粉にパン酵母、砂糖、食塩、油脂、水等を添加、ミキシングして発酵させる方法である。一方、中種法は、小麦粉の一部にパン酵母と水を加えてミキシングした生地を作製し、一次発酵即ち中種発酵を行った後、ミキサーに戻し、残りの小麦粉、砂糖数%、食塩、油脂等を加え再度ミキシングした後、二次発酵即ち本捏発酵を行う。
【0004】
こうした砂糖添加量や製法の違いにより、パン酵母の適性は異なる。食パンのような低糖濃度での中種法では、中種発酵時にパン酵母が活性化されるため、本捏生地では急激に発酵が進むことになる。このため、添加砂糖量が数%と少ない本捏生地では、発酵により生地中の添加した砂糖を活発に消費するため基質の量律速となる。本捏初期発酵力の高いパン酵母程、時間と共に炭酸ガス発生量が低下する問題があった。このため、ホイロ発酵の後半から生地膨張速度が低下し、一定のパン容積を得るために要するホイロ時間が長引く欠点がみられ、また焼成時の窯伸びも不十分となる。
【0005】
通常砂糖を添加していない無糖生地では、パン酵母は小麦粉中のマルトースをマルターゼにより2分子のグルコースに分解後、発酵する。
【0006】
マルターゼをコードするマルターゼ遺伝子は、マルトース透過酵素をコードする遺伝子及びこれらの発現に必要な制御因子をコードする遺伝子の3遺伝子によりマルトース発酵性遺伝子を構成している(非特許文献1)。マルトース発酵性遺伝子は異なる5本の染色体上に存在する重複遺伝子であることが知られており、そのうち1遺伝子を保有し、発現すればマルトース発酵性を示すこととなる(非特許文献2)。
【0007】
一般にマルターゼは、マルトースの存在下で発現する誘導酵素(非特許文献3)であり、グルコースの存在下では発現は抑制されるため、通常の食パンのような砂糖を加える生地では抑制された状態にある。一方、制御因子をコードする遺伝子の変異により構成的に発現する例(非特許文献4、5、6)が報告されており、且つこれらが劣性発現する例(非特許文献7)、及び優性発現する例(非特許文献8、9)が報告されている。
【0008】
既に、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子により、パン酵母の無糖発酵力が向上した例がみられるが(非特許文献10)、本発明のような低糖生地に関する内容ではなく、また、構成的マルトース発酵性遺伝子も1遺伝子保有しているのみである。通常の発酵では、パン酵母の保有する構成的マルトース発酵性遺伝子が1遺伝子でもグルコース低抑制性を示すが、中種法の本捏発酵では、グルコース低抑制性を示さない。
【0009】
また、上記のような発酵力の問題に加え、特に食パンにおいて問題となるのが老化である。老化は、小麦粉の主成分であるデンプンの結晶状態変化により生じる。
【0010】
以下老化について説明する。小麦粉の約70%を占めるデンプンは、ブドウ糖を構成単位として長く連なった構造をしており、ブドウ糖の結合方法の違いにより、直鎖状のアミロースと分枝状のアミロペクチンの2つに種別され、それらによりデンプン粒を形成している。
【0011】
パン生地の焼成段階で小麦粉中のデンプンは水の共存下で加熱されることにより、アミロースはデンプン粒外へ流出し、一方分枝状であるアミロペクチンはその側鎖が開き、水分子が結合して結晶性を失い、この結果、焼成直後のデンプンは柔らかな糊状となっている。このうちアミロースは焼成したパンの粗熱がとれる比較的短時間の間に急速にゲルを形成するが、まだ柔らかい状態で商品性は高い。
【0012】
しかし、数日の時間経過で分枝状のアミロペクチンから水分子が放出され、アミロペクチンの側鎖は閉じていき、元の結晶状態へと戻って行くとパンのみずみずしさ、柔らかさは失われ、ぱさついた状態即ち一般に老化とよばれる現象が進行し、パンの商品価値は低下する(非特許文献11)。
【0013】
パンの製造には、パンの老化を抑制するため、乳化剤やαアミラーゼなどが広く使用されている。乳化剤としては、モノグリセライド、有機酸モノグリセライドなどが使用され、これらはアミロース及びアミロペクチンと複合体を形成することで、再結晶化を抑制し老化を遅らせる効果を示す(非特許文献12)。
【0014】
一方、αアミラーゼはアミロペクチンを部分分解してデキストリンとすることにより、元の分子状態に戻りにくくさせる事により再結晶化を抑制し老化を遅らせている(非特許文献13)。
【0015】
このように添加物により老化の抑制が講じられているが、完全には老化を避けることはできず、また乳化剤使用によりパン咀嚼時のくちゃつき感が発生し食感が低下するのが現状である。
【0016】
【非特許文献1】
医学出版センター、「酵母のニューバイオテクノロジー」、1990年、235頁
【0017】
【非特許文献2】
Adv.Carbohydr.Chem.Biochem、1976年、32巻、126−234頁
【0018】
【非特許文献3】
Biochim.Biophys.Acta.、1970年、204巻、590−609頁
【0019】
【非特許文献4】
Mol.Cell.Biol.、1986年、6巻、2757−2765頁
【0020】
【非特許文献5】
Mol.Gen.Genet., 1974年,134巻,261−272頁
【0021】
【非特許文献6】
Mol.Gen.Genet.、1971年、112巻、317−322頁
【0022】
【非特許文献7】
Mol.Cell.Biol.、1986年、6巻、2757頁−2765頁
【0023】
【非特許文献8】
Mol.Gen.Genet.、1974年、134巻、261頁−272頁
【0024】
【非特許文献9】
Mol.Gen.Genet.、1971年、112巻、317頁−322頁
【0025】
【非特許文献10】
化学と生物、1991年、29巻、258−262頁
【0026】
【非特許文献11】
パン科学会誌、2001年、47巻、9,10号、3−15頁
【0027】
【非特許文献12】
パン科学会誌、1999年、45巻、7号、3−23頁
【0028】
【非特許文献13】
パン科学会誌、2001年、47巻、5号、5−15頁
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、第一に中種法の本捏工程での炭酸ガス発生量の持続性を高めることでホイロ時間を短縮させ、良好な窯伸び性と従来よりも柔らかな食感が得られることを可能とするパン酵母の開発、および第二に乳化剤、αアミラーゼなどの添加剤や製法による老化遅延法以外の老化抑制法を提供し、今までよりも柔らかな食感が持続し、パンの商品価値を高めることを可能とするパン酵母の開発を目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題解決のため、小麦粉中のマルトースを活用することにより、糖律速を補いガス発生量の向上を追求した。
【0031】
本発明者らは、グルコースに抑制されずにマルトース発酵を行い発酵性の糖量を増加させるパン酵母の作製を鋭意検討した。その結果、構成的に発現するグルコース低抑制性のマルトース発酵性遺伝子を有する胞子株を取得し、このような構成的マルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有する株は、食パン本捏発酵において、グルコース存在下でもマルトース発酵を開始し、持続性のある発酵が得られることを見いだした。
【0032】
これにより、本捏発酵時にみられたガス発生量低下は減少し、かつ窯伸びの良好なパン酵母が得られた。また、こうしたガス発生量増大と窯伸びの改善により、ソフトな食パンが得られ、老化に対する抑制効果を有していた。
【0033】
すなわち本発明の第1は、小麦粉70g、65%水分換算したパン酵母2.2g、水40mlを加えてミキシングした中種生地を30℃、4時間発酵した後、小麦粉30g、砂糖6g、食塩2g、水19mlを添加し、本捏ミキシング後、生地を30℃で30分間インキュベートしてから38℃で2時間測定した炭酸ガス発生量が該生地50gあたり320ml以上であるパン酵母に関する。
【0034】
好ましい実施態様は、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有することを特徴とする上記記載のパン酵母、より好ましくは、25℃、3日間保存後の乳化剤無添加パンのレオナー測定値が乳化剤、汎用パン酵母(鐘淵化学工業(株)社製REDイースト)を使用して25℃、3日間保存した後の食パンのレオナー測定値と比較して+5%以下となる上記記載のパン酵母、特に好ましくは、パン酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属するKSY290株(寄託番号:FERM P−18863)であることを特徴とする上記記載のパン酵母に関する。本発明の第2は、25℃、3日間保存後の乳化剤無添加パンのレオナー測定値が乳化剤、汎用パン酵母(鐘淵化学工業(株)社製REDイースト)を使用して25℃、3日間保存した後のパンのレオナー測定値と比較して+5%以下となるパン酵母に関する。好ましい実施態様は、パン酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属するKSY290株(寄託番号:FERM P−18863)であることを特徴とする上記記載のパン酵母に関する。
【0035】
本発明の第3は、上記記載のパン酵母を含有するパン生地に関する。
【0036】
本発明の第4は、上記記載のパン酵母を使用するパンの製造方法に関する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。尚、本明細書において使用される用語は、以下に特に説明する場合を除いて、当該分野で通常に使用される用語の意味と同一であり、「部」、「%」は特に断りのない限り重量基準である。
【0038】
本発明のパン酵母は食パン中種法の本捏発酵に持続性を有している。即ち本発明のパン酵母は、日本イースト工業会編「パン用酵母試験法」に準拠して、小麦粉70g、水分65%換算したパン酵母2.2g、水40mlを加えて3分間中種ミキシングした中種生地を30℃で4時間発酵した後、小麦粉30g、砂糖6g、食塩2g、水19mlを添加し、3分間本捏ミキシング後、生地を30℃で30分間インキュベートしてから38℃で2時間測定した炭酸ガス発生量が該生地50gあたり、320ml以上、好ましくは330ml以上、より好ましくは340ml以上であることを特徴とする。ミキシングの例として、ホバート社製N−50型卓上ミキサーを用いて速度1で実施した。
【0039】
一般に、食パン中種法の本捏発酵の初期ガス発生量が高いパン酵母は本捏生地中の糖消費が早く、炭酸ガス発生の低下も早い結果となる。しかし、本発明のパン酵母を用いれば、初期ガス発生量が高いにも関わらず、炭酸ガス発生の持続性を有している。
【0040】
また本発明のパン酵母は胞子株の交雑により作製したパン酵母を例として挙げるが、自然界からの分離株でも何ら差し支えない。
【0041】
本発明において構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を保有するパン酵母とは、高マルトース発酵力を示しかつ生地系でグルコース抑制性の少ない発酵力を示す菌株のことをいい、そのために、マルトース発酵力測定において、乾燥菌体100mgあたり100mg以上の炭酸ガス発生量を示す。
【0042】
ここで、マルトース発酵力の測定は、次のように行った。まず表1の組成の培地を5ml/大型試験管、50ml/500ml坂口フラスコに分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用した。交雑育種株1白金耳を大型試験管に植菌し、30℃で20時間振とう培養後、500ml坂口フラスコに全量継植し、更に30℃で17時間振とう培養した培養液10mlを採取し、遠心分離後、水洗した菌体を用いて次のようにマルトース発酵力を測定した。
【0043】
【表1】
Figure 2004041189
マルトース発酵力測定は表2に示した組成の発酵液を100ml三角フラスコに15ml分注し、上記培養菌体を5mlの水に懸濁してから該発酵液に加えて、総重量を測定後、33℃で4時間インキュベートし、再度総重量を測定して、初期重量から炭酸ガス発生により減少した値をマルトース発酵力とした。
【0044】
【表2】
Figure 2004041189
【0045】
構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を1遺伝子保有する交雑株の場合、食パン中種法本捏生地での初期炭酸ガス発生量の高い交雑株を取得可能であった。しかし、それら交雑株の炭酸ガス発生量は時間とともに低下し、持続性がみられなかった。一方、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有する交雑株は、炭酸ガス発生量が時間とともに低下することもなく、発酵の持続性がみられた。
【0046】
構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有する交雑株を得るために、本発明ではまず無糖発酵力の高い自然界からの分離株および保存菌株から胞子株を取得し、それらから構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を有する胞子株を選択し、続いて選択した胞子株を異なる接合型でマルトース発酵力が50mg以下の胞子株と交雑し、交雑株のマルトース発酵検定により優性、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子をもった胞子株を複数選択した。
【0047】
本発明のパン酵母のマルトース発酵性遺伝子はグルコース低抑制性である。マルトース発酵性遺伝子はグルコースの存在により発酵が抑制されるが、本発明におけるパン酵母は低抑制性マルトース発酵性遺伝子を保有し、パン酵母はグルコース存在下でもマルトース発酵が進行する。本発明のパン酵母は低糖生地で砂糖が生地中に存在してもマルトース発酵するため本捏生地における炭酸ガス発生量の増加をもたらし、その結果、持続性を示すことになる。
【0048】
上記で選択した構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子をもつ胞子株を相互に交雑し、作製した交雑株より中種法本捏発酵力の高い菌株を選択した。これらは構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有しており、選択株からは本捏初期発酵力が高くかつ、本捏発酵力の炭酸ガス発生に持続性を有する菌株が得られた。
【0049】
本発明のパン酵母を用いて作製したパンは、従来のパン酵母を用いて作製したパンよりも老化が遅いことに特徴を有している。パンの硬さは、一般的にパンに荷重を加えた時のパンからの応力値で表すため、数値が小さいほどパンが柔らかいことを示し、パンが老化するほどこの数値が大きくなっていく。
【0050】
本発明でいう乳化剤、汎用パン酵母を使用した食パンとは、表3に示した標準的な配合で、表4に示したような条件で作製したパンのことである。一方、乳化剤無添加パンとは、表5に示した乳化剤無添加の配合で、表4に示したような条件で作製したパンのことである。
【0051】
【表3】
Figure 2004041189
【0052】
【表4】
Figure 2004041189
【0053】
【表5】
Figure 2004041189
【0054】
乳化剤及び汎用パン酵母を使用したパンを室温で3日間保存すると、乳化剤無添加パンと比べて、レオナー測定値が10%以上低く、食感上も柔らかくなる。本発明のパン酵母では乳化剤無添加でパンを製造しても、乳化剤、汎用パン酵母を使用したパンと較べて−5%〜+5%の硬さであり、食感上も差が感じられない。また、乳化剤と本発明のパン酵母を併用すると、乳化剤無添加で本発明のパン酵母を用いて製造したパンに較べ、更にレオナー測定値が10%以上低下し、食感上も柔らかくなる。
【0055】
ここで、レオナー測定値とは、上記の条件で焼成したパンの端から2cm厚で2枚を切り捨てた後、更に2cm厚で6枚をスライスし、クラムの中心部より5cm四方の大きさの断片を切り取り山電製レオナー(RE3305)にて生地の硬さを測定した値の事である。
【0056】
本発明のパン酵母を用いて食パン中種法により食パンを製造した場合、従来のパン酵母と比べてホイロ時間の短縮または比容積の増大がみられ、かつ窯伸び良好となり、膜が薄く、ソフトな食パンが得られた。
【0057】
本発明において、パン酵母はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属し、上記方法により選択した交雑株が好ましく、KSY290が例示できる。このKSY290株はサッカロミセス・セレビシエと同定され、本菌株は2002年5月17日にFERM P−18863として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)に寄託されている。
【0058】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するがこれらは本発明を例示的に記載するのみで本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に使用した材料について、小麦粉は日清製粉(株)社製のカメリアを使用し、イーストフードはイーストフードC(鐘淵化学工業(株)社製)、ショートニングはスノーライト(鐘淵化学工業(株)社製)を使用した。また乳化剤はモノグリセリド、コハク酸モノグリセリドから成る理研ビタミン(株)社製のパンマック200Bを使用した。その他の製パン材料および製パン副原料は、一般小売店から入手可能なものを使用した。また、対照菌株は鐘淵化学工業(株)から市販されているパン酵母2株及び交雑株RKB34を用いた。
従来パン酵母A(鐘淵化学工業(株)製REDイースト)
従来パン酵母B(鐘淵化学工業(株)製MYイースト)
RKB34(マルトース発酵性遺伝子1個を有する交雑株)
【0059】
<レオナー測定値の求め方>
山電レオナー(RE3305)により、以下の条件に従って、レオナー値を測定した。
プランジャー   :6cm×6cm
ロードセル    :2kgf
アンプの倍率   :1倍
測定点数     :550個
測定時間     :55sec
測定歪率     :50%
測定速度     :1mm/sec
戻り距離     :5mm
パンの厚さ    :20mm
接触面積     :2500mm
【0060】
(実施例1)  交雑育種
本出願人が保有するサッカロミセス・セレビシエ保存菌株よりマルトース発酵力を有する複数の菌株を元株として使用した。これらの菌株を胞子形成培地により胞子を形成させ、次のステップで交雑育種を実施した。
(1)分離胞子株より高マルトース発酵株を選択した。続いてこれら胞子株に非マルトース発酵株を交雑し、交雑株のマルトース発酵力から胞子株マルトース発酵性の優性、劣性を判定した。
(2)異なる元株に由来する優性、高マルトース発酵株を交雑することにより構成的マルトース発酵性遺伝子を2遺伝子保有する株を作製した。
(3)更に構成的マルトース発酵性遺伝子を3遺伝子保有する菌株を作製するために、(2)の交雑株を胞子化しマルトース発酵性に関する4分子分析よりマルトース発酵性遺伝子が同一染色体上に存在するか否かを判定した。
(4)マルトース発酵性遺伝子が異なる染色体上に存在すると想定される交雑株のマルトース発酵性分離比より、マルトース発酵性遺伝子を2遺伝子保有すると推定される胞子株を選択した。
(5)(4)よりマルトース発酵性遺伝子を2遺伝子保有すると推定される胞子株と他の元株由来の優性、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を有する胞子株との間で交雑株を作製し、優性、構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を3遺伝子保有する株とした。
【0061】
上記の(2)および(5)の交雑株より食パン中種法本捏発酵力を指標に選択し、本発明のKSY290株を取得した。
【0062】
(実施例2)  パン酵母菌体の作製方法
・バッチ培養
表6組成の培地を5ml/大型試験管、50ml/500ml坂口フラスコに分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用した。
交雑育種株1白金耳を大型試験管に全量植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植、さらに30℃、1日管振とう培養により作製したバッチ培養菌体を以下の5Lジャーの種母培養、ならびに実施例3の2%グルコース低糖生地発酵力測定に供した。
【0063】
【表6】
Figure 2004041189
【0064】
・5Lジャー種母培養
5Lジャーに表7組成の培地2Lを入れて、オートクレーブ殺菌後、500ml坂口フラスコ5本分の菌体を植菌し表8の条件で種母培養を行った。
【0065】
【表7】
Figure 2004041189
【0066】
【表8】
Figure 2004041189
【0067】
・5Lジャー本培養
始発液量を表9の培地組成で、5Lジャーで培養した種母菌体を湿菌体として50g添加し、表10の条件で本培養を行った。
【0068】
【表9】
Figure 2004041189
【0069】
【表10】
Figure 2004041189
【0070】
13時間培養を行い、糖は12時間培養の間に分割添加した。バッチ培養、ならびに5Lジャー培養菌体は培養終了後直ちに遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水し湿菌体を作製、以下の実施例に使用した。実験に使用する際には、湿菌体の水分含量を測定し、使用量は65%水分に換算した。
【0071】
(実施例3)  グルコース2%低糖生地発酵力
表11に示すパン生地において、実施例2のバッチ培養後、ヌッチェにより吸引脱水、作製したパン酵母KSY290の湿菌体について炭酸ガス発生量を測定した。その結果を表12に示す。その際、炭酸ガス発生量測定法は、表11の生地組成でホバート卓上ミキサーにより3分間ミキシングし、38℃、4時間の炭酸ガス発生量をファーモグラフ(ATTO社製)にて測定し、550mlの炭酸ガス発生に要する時間を比較した。その結果は、表12に示す。
【0072】
【表11】
Figure 2004041189
【0073】
【表12】
Figure 2004041189
【0074】
(比較例1)
パン酵母として、従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例3と同様にして、炭酸ガス発生量を測定し、550mlの炭酸ガス発生に要する時間を求めた。その結果は、表12に示す。
【0075】
(比較例2)
パン酵母として、従来パン酵母Bを用いた以外は、実施例3と同様にして、炭酸ガス発生量を測定し、550mlの炭酸ガス発生に要する時間を求めた。その結果は、表12に示す。
【0076】
炭酸ガス発生の基質は添加したグルコース2%と小麦粉中に元々存在するマルトースであり、通常、パン酵母はグルコース発酵後にマルトース発酵するため、全基質からの炭酸ガス発生が終了するにはかなりの時間を要する。本発明のパン酵母はグルコース2%と小麦粉中のマルトースから発酵される全炭酸ガス発生量に近い550mlの炭酸ガスを165分で発生、終了させ、従来パン酵母A、Bよりも著しく早い。本発明のパン酵母はグルコースの存在下でもグルコース発酵とマルトース発酵が平行して進行し、グルコース抑制性が低いことを示している。
【0077】
(実施例4)  中種法本捏発酵力
表13に示すパン生地においてパン酵母KSY290について炭酸ガス発生量を測定した。その結果を表14に示す。その際炭酸ガス発生量測定法は表13の生地組成でホバート卓上ミキサーにより3分間ミキシング、30℃、4時間の中種発酵を行い、発酵した中種生地と本捏生地の材料を混合、更に3分間ミキシングし、分割した生地玉50gについて30℃、30分間ベンチタイムを取った後、38℃でのガス発生量を2時間測定した。また、ベンチタイム後1時間までの炭酸ガス発生量に対する、ベンチタイム後1時間から2時間までの炭酸ガス発生量の比率も算出した。
【0078】
【表13】
Figure 2004041189
【0079】
【表14】
Figure 2004041189
【0080】
(比較例3)
パン酵母として、RKB34を用いた以外は、実施例4と同様にして、38℃での炭酸ガス発生量を2時間測定した。また、ベンチタイム後1時間までの炭酸ガス発生量に対する、ベンチタイム後1時間から2時間までの炭酸ガス発生量の比率も算出した。その結果は、表14に示す。
【0081】
(比較例4)
パン酵母として、従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例4と同様にして、38℃での炭酸ガス発生量を2時間測定した。また、ベンチタイム後1時間までの炭酸ガス発生量に対する、ベンチタイム後1時間から2時間までの炭酸ガス発生量の比率も算出した。その結果は、表14に示す。
【0082】
(比較例5)
パン酵母として、従来パン酵母Bを用いた以外は、実施例4と同様にして、38℃での炭酸ガス発生量を2時間測定した。また、ベンチタイム後1時間までの炭酸ガス発生量に対する、ベンチタイム後1時間から2時間までの炭酸ガス発生量の比率も算出した。その結果は、表14に示す。
【0083】
本捏で小麦粉に対して糖量を6%添加する食パン中種法での本捏発酵では、本発明のKSY290はRKB34、従来パン酵母A、Bに比べて高い炭酸ガス発生量を示した。また、1時間までのガス発生量に対する1時間から2時間までのガス発生量の比率は、マルトース発酵性遺伝子を複数個保有するKSY290はマルトース発酵性遺伝子を1個しか保有しないRKB34と比べて高い値を示した。さらに、KSY290の1時間までの発酵力は従来パン酵母A、Bに対して向上しているにもかかわらず、1時間までのガス発生量に対する1時間から2時間までのガス発生量の比率は、従来パン酵母A、B並みの値を示した。これらの結果からKSY290株は持続性のある高い本捏発酵力を有しているといえる。
【0084】
(実施例5)  中種法製パン試験(定容積ホイロ法)
表15に示すパン生地組成、表16に示す工程においてパン酵母KSY290について中種製パン試験(定容積ホイロ法)を行った。結果を表17に示す。
【0085】
【表15】
Figure 2004041189
【0086】
【表16】
Figure 2004041189
【0087】
【表17】
Figure 2004041189
【0088】
(比較例6)
パン酵母として、従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例5と同様にして、中種製パン試験(定容積ホイロ法)を行った。結果を表17に示す。
【0089】
(比較例7)
パン酵母として、従来パン酵母Bを用いた以外は、実施例5と同様にして、中種製パン試験(定容積ホイロ法)を行った。結果を表17に示す。
【0090】
KSY290は従来パン酵母A、Bと比べてホイロ時間が大幅に短縮されており、かつ窯伸びも良好であるために比容積も大きくなり、中種法での本捏発酵力がすぐれていることが分かる。
【0091】
(実施例6)  中種法製パン試験(定時間ホイロ法)
表18に示すパン生地組成、表19に示す工程においてパン酵母KSY290について中種製パン試験(定時間ホイロ法)を行った。結果を表20に示す。
【0092】
【表18】
Figure 2004041189
【0093】
【表19】
Figure 2004041189
【0094】
【表20】
Figure 2004041189
【0095】
(比較例8)
パン酵母として、従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例6と同様にして、中種製パン試験(定時間ホイロ法)を行った。結果を表20に示す。
【0096】
(比較例9)
パン酵母として、従来パン酵母Bを用いた以外は、実施例6と同様にして、中種製パン試験(定時間ホイロ法)を行った。結果を表20に示す。
【0097】
従来パン酵母A、Bと比べてKSY290株の食パン比容積は向上し、食感は非常にソフトであった。
【0098】
(実施例7)  パン老化抑制試験(1)
上述したようにKSY290株を用いて製造したパンは比容積が向上しソフトな食感であったため、さらにパンの硬さを数日の保存期間測定した。表21に示すパン生地組成(乳化剤添加)、表22に示す工程においてパン酵母KSY290について中種法製パン試験を行った。焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、3日間保存した。保存後、端から2cm厚で2枚を切り捨てた後、更に2cm厚で6枚をスライスした。これらスライスしたパンのクラムの中心部より5cm四方の大きさの断片を切り取り、そのレオナー値を測定し、その平均値を求めた。レオナー値が低いほどパンが柔らかいことを示している。食感は同一パンを5名のパネラーにより◎、○、○〜△、△、×(順に優、良、並、やや悪い、悪い)の5段階で評価した。その結果を表23に示す。
【0099】
【表21】
Figure 2004041189
【0100】
【表22】
Figure 2004041189
【0101】
【表23】
Figure 2004041189
【0102】
(実施例8)
表21に示すパン生地組成において、乳化剤を無添加にした以外は、実施例7と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、3日間保存した後、そのレオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表23に示す。
【0103】
(比較例10)
パン酵母として従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例7と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、3日間保存した後、レオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表23に示す。
【0104】
(比較例11)
パン酵母として従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例8と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、3日間保存した後、レオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表23に示す。
【0105】
乳化剤を添加しない製造法の場合、焼成3日後においてKSY290を使用したパンは従来パン酵母Aを使用したパンよりもレオナー測定値に明らかな差が認められ、従来パン酵母Aと比べた場合、パンの老化を遅らせる効果があることが認められた。この傾向はパネラーによる食感の評価でも同様であり、本発明のパン酵母を用いて製造したパンの方が柔らかな食感が得られた。
さらにKSY290の特徴として、乳化剤を添加せずに作製したパンでも、従来パン酵母Aを用いて乳化剤を添加したパンと比較して焼成3日後の硬さは同程度であり、パネラーによる食感評価でも柔らかさに差は感じられなかった。
一般的なパン製造で行なわれているように乳化剤添加をした場合、焼成3日後においてKSY290を使用したパンは従来パン酵母Aを使用したパンよりもレオナー測定値に明らかな差が認められ、従来パン酵母Aと比べた場合、パンの老化を遅らせる効果があることが認められた。この傾向はパネラーによる食感の評価でも同様であり、本発明のパン酵母と乳化材を用いて製造したパンは、従来パン酵母Aと乳化剤を併用した今までのパンにはない柔らかな食感であった。
【0106】
(実施例9)  パン老化抑制試験(2)
室温保存よりも老化が早くパンの品質低下がより顕著となる冷蔵条件下で測定を行なった。表24に示すパン生地組成(乳化剤添加)、表25に示す工程においてパン酵母KSY290について中種法製パン試験を行った。焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン袋に入れて密封し5℃で1、2日間保存した。保存後、端から2cm厚で2枚を切り捨てた後、更に2cm厚で6枚をスライスした。これらスライスしたパンのクラムの中心部より5cm四方の大きさの断片を切り取り山電製レオナー(RE3305)にて生地の硬さを測定し、これらの平均値を求めた。食感は同一パンを5名のパネラーにより◎、○、○〜△、△、×(順に優、良、並、やや悪い、悪い)の5段階で評価した。これらの結果を表26に示す。
【0107】
【表24】
Figure 2004041189
【0108】
【表25】
Figure 2004041189
【0109】
【表26】
Figure 2004041189
【0110】
(実施例10)
表24に示すパン生地組成において、乳化剤を無添加にした以外は、実施例9と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、2日間保存した後、そのレオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表26に示す。
【0111】
(比較例12)
パン酵母として従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例9と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、2日間保存した後、そのレオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表26に示す。
【0112】
(比較例13)
パン酵母として従来パン酵母Aを用いた以外は、実施例10と同様にして中種法製パン試験を行い、焼成したパンは2時間放置冷却後、ポリエチレン製袋に入れて密封し25℃で1、2日間保存した後、そのレオナー値を測定し、また食感を評価した。その結果を表26に示す。
【0113】
乳化剤を添加しない場合、あるいは添加した場合ともに、焼成2日後においてKSY290を使用したパンは従来パン酵母Aを使用したパンよりもレオナー測定値に明らかな差が認められ、従来パン酵母Aと比べた場合、パンの老化を遅らせる効果があることが認められた。この傾向はパネラーによる食感の評価でも同様であり、本発明のパン酵母を用いて製造したパンの方が柔らかな食感が得られた。さらにKSY290の特徴として、乳化剤を添加せずに作製したパンでも、従来パン酵母Aを用いて乳化剤を添加したパンと比較して焼成2日後の硬さは同程度であり、パネラーによる食感評価でも柔らかさに差は感じられなかった。
【0114】
デンプン質の食品であるパンはマイナス2℃から2℃付近で最も老化速度が速いため、チルド用サンドイッチ食パンではその影響は大きく、室温保存と比べてパンの食感は低下しやすい。本実施例では5℃保存であるため老化進行が比較的速い条件下にあったと考えられるが、このような条件下においても本発明のパン酵母は従来パン酵母と比べて老化が遅く、食感上も柔らかさに差がみられたことは、チルド用サンドイッチ食パン製造に本発明のパン酵母は適していると考えられた。
【0115】
【発明の効果】
本発明のパン酵母は優性、構成的に発現し、かつグルコース抑制性の低いマルトース発酵性遺伝子を複数保有し、高いマルトース発酵性を獲得させることを目的として作製された。このために、食パン中種法製パン生地のホイロ発酵での炭酸ガス発生量が多く、この結果、従来のパン酵母と比べてホイロ時間の短縮さらには比容積の増大がみられ、膜が薄くソフトなパンが得られ、同時に乳化剤によって老化がある程度遅延されたパンの老化をさらに遅延させ、結果的に今までのパンよりも柔らかな食感が持続しパンの商品性を高めることが可能となった。

Claims (7)

  1. 小麦粉70g、65%水分換算したパン酵母2.2g、水40mlを加えてミキシングした中種生地を30℃、4時間発酵した後、小麦粉30g、砂糖6g、食塩2g、水19mlを添加し、本捏ミキシング後、生地を30℃で30分間インキュベートしてから38℃で2時間測定した炭酸ガス発生量が該生地50gあたり320ml以上であるパン酵母。
  2. 構成的に発現するマルトース発酵性遺伝子を少なくとも2遺伝子保有する請求項1に記載のパン酵母。
  3. 25℃、3日間保存後の乳化剤無添加パンのレオナー測定値が乳化剤、汎用パン酵母(鐘淵化学工業(株)社製REDイースト)を使用して25℃、3日間保存した後の食パンのレオナー測定値と比較して+5%以下となる請求項1または2に記載のパン酵母。
  4. 25℃、3日間保存後の乳化剤無添加パンのレオナー測定値が乳化剤、汎用パン酵母(鐘淵化学工業(株)社製REDイースト)を使用して25℃、3日間保存した後のパンのレオナー測定値と比較して+5%以下となるパン酵母。
  5. パン酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属するKSY290株(寄託番号:FERM P−18863)であることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のパン酵母。
  6. 請求項1〜5何れかに記載のパン酵母を含有するパン生地。
  7. 請求項1〜5何れかに記載のパン酵母を使用するパンの製造方法。
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