JP4849721B2 - 産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに劣性を導入する方法 - Google Patents

産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに劣性を導入する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに、例えばlti性質のような、劣性対立遺伝子に基づく、特定酵母菌株の性質を安定に導入する新規な方法に関する。本発明はさらに、上記方法によって得られる酵母菌株であって、ドウの製造及び産業的規模でのそれからのベークト製品の製造に用いることができる前記酵母菌株に関する。
【0002】
【従来の技術】
市場では、現在、消費者が例えばピザークラスト、パン、クロワッサン等のような、多様な種類のベークト食物を製造するために非常に種々なドウ製品が入手可能である。これらの製品は一般に、ドウを発酵させるプロセスに基づいて2つの主要なグループに、即ち、化学的作用剤を用いてドウを発酵させるような製品と、ドウ中に含有されるパン酵母の発酵活性によってドウを発酵させるような製品に分類することができる。
【0003】
ドウのための発酵剤としての化学薬品の使用は一般に利用されており、それらの挙動が予測可能な化学反応に基づくものであり、ドウを発酵させるための二酸化炭素発生量(体積)の特異的制御を可能にするという利点を有する。二酸化炭素発生量と前記発生が行われる瞬間とが制御可能であるので、長い貯蔵寿命後にもドウからのベークト製品(baked products)の製造を行うことができる。
【0004】
それにも拘わらず、それによって得られる最終ベークト製品はパン酵母を用いて発酵された製品に比べて総合品質において劣っている。特に、前記製品のテキスチャーは消費者にしばしば許容されず、製品は発酵プロセス中に酵母によって発生されるフレーバー化合物をも欠いている。
【0005】
この理由から、食用ベークト製品の製造者はかれらの製品にこのような化学薬品の使用をむしろ避けようと試みて、パン酵母の使用に頼っている。しかし、通常のパン酵母を含有する製品は“生きている微生物”そのもの自体の使用に固有な、非常に多様な問題を有している。
【0006】
これらの問題の1つは、ドウ中の酵母の活性が直線的に制御されることができないという事実にある。この理由から、通常のパン酵母は例えば室温のような一般的な貯蔵条件下又は冷蔵庫において一般的であるような、より低温においてさえも、二酸化炭素の一貫した産生を結果として生じる実質的な活性を示すので、酵母含有ドウ組成物はごく限られた期間のみ貯蔵できるに過ぎない。所望の活性化度を越えた通常のパン酵母のこの連続的な活性はドウの感覚器官刺激的及びレオロジー的性質に不利な影響を与えて、味及びテキスチャーの観点から許容されない最終製品を生じる。
【0007】
この特定の欠点を回避するための1つの試みは、酵母の活性を最小に減ずるために、酵母含有ドウを通常はプレベークト(prebaked)形で約−20℃の凍結温度において貯蔵することであった。
【0008】
この目的に関して、EP−0442575は、基質限定説を利用するドウ組成物の使用を教示する。したがって、ドウをマルターゼ陰性酵母によって、その直接発酵可能な成分の全てが消耗されるまで発酵させ、その後、このドウを長期間貯蔵のために凍結する。使用の前に、凍結ドウを解凍して、化学作用剤を用いてドウをさらに発酵させる。しかし、このアプローチは、凍結ドウ組成物から製造された製品が消費者のために新鮮な、例えば冷蔵された、ドウ製品ほど便利ではない点で不充分であることも実証されている。凍結ドウは解凍して、たいていの場合に、ベーキングの前に予め活性化しなければならず、ドウの徹底した活性化を回避するために、この予めの活性化は消費者によるモニターリングを必要とする。
【0009】
その上、凍結ドウに由来する最終ベークト製品のテキスチャーは、非凍結ドウから製造された製品よりも劣ることが判明しており、酵母発酵に伴う特徴的なフレーバーも劣っているか又はしばしば全く欠けている。
【0010】
新鮮な酵母を含有するドウ組成物の貯蔵問題を克服するための他のアプローチは、低温不活性な酵母菌株を開発して、ドウ中に用いることである。これらの酵母菌株は、低温において本質的に不活性であるが、高温になったときに、即ち活性化温度になったときに、それらの活性を保有する酵母菌株である。
【0011】
EP−0487878には、lti性質を有する酵母を構築する方法であって、サッカロマイセス セレヴィジエ(Saccharomyces cerevisiae)の菌株に突然変異誘発処理を受けさせて、lti性質を有する少なくとも1種類の突然変異体を選択して、逆接合型を有するサッカロマイセス セレヴィジエの野性型一倍体菌株によって少なくとも1回もどし交雑して、lti性質と逆接合型とを有する少なくとも2種類のもどし交雑分離体を選択して、少なくとも1回交雑し、このようにして得られた、増殖力と、lti性質と、ドウを膨張させる能力とを有する二倍体菌株を選択する前記方法が記載されている。
【0012】
さらに、異なるlti誘導体の構築が述べられている。このように、EP−0663441では、ドウ中に含有されるマルトースとより不活発に反応するlti菌株を構築する方法が記載されている。これらの菌株は、lti性質を有する一倍体サッカロマイセス セレヴィジエを、カタボライト抑制下にある活性マルターゼ遺伝子を有する一倍体サッカロマイセス セレヴィジエと交雑させ、その後に分離帯を交雑させ、lti性質、活性Mal表現型(Mal+)(マルターゼをコードする遺伝子を誘導的に(野性型)又は構成的に発現する)を示す二倍体菌株を選択することによって、得られることができ、増殖力を有する。
【0013】
しかし、業界の製造者の観点からは、ドウ組成物又はそれからの食用ベークト製品の製造に見られる主要な問題の1つは、妥当な経費でのドウの大規模生産を可能にする酵母菌株を用いなければならないことである。このためには、酵母菌株は高収率、高度なバイオマス産生及び/又は良好な乾燥性を有するべきである。産業的規模でドウ組成物のこのような生産を可能にする菌株はまだ限られた数でのみ入手可能であるにすぎず、それゆえ、その遺伝的理由、即ち、これらの性質を惹起する遺伝子はまだ不明である。このような菌株の例はLevure Boulangeere Bleue(Lesaffre et Cie、パリ、フランスから入手可能)、Fermipan(Fermipan Red、Gist−Brocades、デルフト、オランダから入手可能)、又はHS(Hefe Schweiz、シュテットフルト、スイスから入手可能)である。
【0014】
しかも、これらの産業用菌株は、たいていの上記技術的性質を示すとはいえ、例えば低温不活性又はグルコース脱抑制又はトレハラーゼ欠乏又は一つ若しくは幾つかの栄養要求性のような、新規の特別な性質をさらに開発することは今まではできていない。
【0015】
それ故、当業者がこのような性質を産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに導入することを可能にする必要性が当該技術分野に存在する。しかし、酵母菌株のこれらの性質は(a)劣性対立遺伝子(単数又は複数)に最もしばしば基づいているので、このような性質を産業用菌株の性質と組み合わせることは容易に達成できる仕事ではない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに既知菌株の性質を導入するための手段を提供して、劣性対立遺伝子によって与えられる性質と産業用パン酵母によって与えられる性質の両方を有する新規な酵母を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この課題は、下記工程:
(a)所望の性質を有する酵母を選択する工程と;
(b)(a)で選択した酵母を二倍体化して、ホモ接合型に関して選択する工程と;
(c)産業用パン酵母を二倍体化して、ホモ接合型に関して選択する工程と;
(d)それぞれ、逆接合型を有する、上記(b)と(c)において得られる菌株を接合させて、四倍体接合体を得る工程と;
(e)(d)で得られた接合体を胞子形成させる工程と;
(f)劣性の性質を示す菌株を選択する工程と;
(g)(f)で選択した、逆接合型を有する菌株を任意に接合させる工程と
を含む方法によって解決されている。
【0018】
劣性対立遺伝子に基づくことが知られた、産業用パン酵母の性質に組み合わせるための性質として、下記性質を例示的に挙げることができる:不活性なグルコースリプレッサーに又は不活性なトレハラーゼ(単数又は複数種類)に由来する性質;栄養要求性及びlti性質。好ましい実施態様によると、導入すべき対立遺伝子はlti対立遺伝子である。特定の例は例えば、マルトース利用遺伝子を脱抑制して、小麦粉中の主要な炭素源にスクロース増殖酵母(sucrose-grown yeast)を迅速に適応させることを可能にするカタボライトリプレッサー遺伝子(例えば:MIGI又はHXK2)、トレハロース分解(例えば、中性トレハラーゼ(NTHI)又は酸性トレハラーゼ(ATHI))に関与する遺伝子の非機能性対立遺伝子であって、迅速なトレハロース分解を回避して、酵母のトレハロース含量を間接的に高めて、ストレス条件(例えば、乾燥、凍結、有害なレベルのエタノールに対する耐性)に酵母をより耐性にする非機能性対立遺伝子、又はプラスミドの選択を可能にする栄養要求性対立遺伝子(例えば、ura3、leu2等)である。
【0019】
本発明はまた、本発明の方法によって得られる、新規な酵母菌株を提供する。これらの菌株は特に下記に挙げる、親“産業用菌株”によって示される“産業的可能性”を保有する:
・ 流加培養法(fed batch process)において糖1gから生成される0.1〜0.5gのバイオマス産生、
・ 流加培養法による酵母バイオマス産生中に実質的なエタノール産生のないこと、
・ 35gのモデルドウ中に160mgのドライイーストを用いた場合に2時間のインキュベーション期間中に30℃において少なくとも30mlの二酸化炭素発生を生じる、56.4重量%の小麦粉、42.3重量%の水、1.15重量%のNaCl、0.15重量%の(NH42SO4から成るドウ中での活性。
【0020】
このようにして得られた菌株は親の産業用菌株の性質と、例えば栄養要求性(単数又は複数種類)、グルコース脱抑制、トレハラーゼ不活性(単数又は複数種類)、好ましくはlti突然変異のような、産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに導入されるべき性質(単数又は複数種類)を示す菌株の劣性対立遺伝子(単数又は複数種類)に由来する性質(単数又は複数種類)との両方を有する。
【0021】
他の好ましい実施態様によると、酵母菌株は四倍体であり、サイズが大きく、このことはこれらの酵母菌株を生産中の濾過工程に特に適したものにする。
【0022】
他の好ましい実施態様によると、本発明のlti酵母は、約3℃〜12℃の範囲の冷蔵庫温度において、3ml未満の二酸化炭素、好ましくは1ml未満のCO2/時/gドウ(56.4重量%の小麦粉、42.3重量%の水、1.15重量%のNaCl、0.15重量%の(NH42SO4を含有するドウ35g中にドライイースト160mg)を発生する能力を有する。
【0023】
他の好ましい実施態様によると、酵母菌株はそれらが由来する菌株、即ち、親産業用菌株及び/又は親lti菌株の活性よりも高い、発酵温度における活性、さらに冷蔵庫温度(約3℃〜12℃)における、親lti菌株の活性に比べて高い活性を含むCO2発生プロフィルを示す。
【0024】
このようなCO2発生プロフィルを示す酵母菌株は、このような菌株が付加的な利益を与えることで、ドウ組成物の製造に重要であると判明している。これらの菌株によって、約30℃の温度(発酵温度)における酵母の増強した活性のために、まだドウの発酵時に同じ結果を得ながら、ドウ組成物中に最少量の酵母を含めることが可能になる。或いは、ドウ中に少ない酵母物質が存在して、このことが貯蔵中のドウが過度膨張する危険性をも減ずるので、ドウ組成物の貯蔵寿命を延長することができる。
【0025】
特に好ましい実施態様によると、この菌株はFCL313(NCIMB 41002)、CL14(NCIMB 41032)又はCL18(NCIMB 41033)であり、これらはブダペスト条約に従ってNational Collection of Industrial and Marine Bacteria Ltd.(アバーディーン、スコットランド、英国)に寄託されている。
【0026】
これらの新規な酵母菌株はドウ組成物の製造に使用可能であり、結局はベークト製品の製造に使用可能である。したがって、本発明は、本発明による酵母菌株によって製造された製品をも包含する。
【0027】
好ましい実施態様によると、“産業用性質(industrial behavior)”を示す本発明による新規なlti菌株は、マルターゼ遺伝子を構成的にも非構成的にも発現する菌株である。他方では、例えば、ドウ中に存在するマルトースの消費に起因する酵母の過度活性を回避するために、存在する他の成分によって抑制されるように、親lti酵母を選択することができる。本発明のlti酵母菌株を含有するドウ組成物中に、異なる表現型/遺伝子型を有する他のlti酵母菌株を付加的に用いることができる。したがって、例えば、新規なlti菌株と、例えばMal-lti菌株(マルトースを代謝することができない酵母菌株)又はMal+lti菌株のような、通常のlti菌株との混合物を用いることができる。当業者は例えばマルトースの存在、温度、存在する任意の他の糖等のような、酵母活性に影響する要因に従って、入手可能なlti菌株から適当な混合物を選択して、ドウ組成物を望ましいCO2プロフィルに適応させることができる。
【0028】
ドウ組成物を製造する方法は水、小麦粉、及び少なくとも1種類の新規な酵母菌株を混合することを含む。用いる小麦粉は商業的に入手可能な任意の小麦粉であることができるが、存在する酵母菌株の糖源として役立ちうる、ある一定量の損傷澱粉を含有する小麦粉を用いることが場合によっては有利でありうる。水が一般に、小麦粉の水和容量と、この容量を増減しうる、ドウ中に含有される他の成分の可能な影響とに従って、加工可能なドウが形成されるまで加えられる。ドウは任意に塩、好ましくは塩化ナトリウムを100重量部である小麦粉量に基づいて0〜8重量部の量で含有することができる。さらに、エタノールがこの場合も100重量部である小麦粉量に基づいて0〜8重量部の量で含まれることができる。
【0029】
酵母は、ドウの調製に用いる水の全量中で又はその一部中で再水和したドライイーストとして加えることができる。約20〜40%の乾燥物質含量を有するプレスケーキの使用又は約10〜20%の乾燥物質含量を有するイースト−クリーム(yeast-cream)の使用も同様に、小麦粉に加える水を適当に調節しながら、考えることができる。
【0030】
新規な酵母菌株の製造方法は工程(a)〜(f)と任意に工程(g)を含む。
工程(a)では、劣性対立遺伝子に基づく、所望の性質を示す親酵母菌株を選択する。
【0031】
さらなる処理に関して、この菌株は接合型に関してホモ接合である二倍体形で存在しなければならない。したがって、以下の理論的オプションが生じる。
菌株は既に二倍体であり、ホモ接合型、即ち、a/a又はα/αのいずれかを示す。しかし、たいていの場合に、このことは該当しないので、その結果として、菌株を注文に合わせて作製しなければならない。
【0032】
接合型に関してホモ接合でない二倍体酵母菌株から出発する場合、又は四倍体菌株から出発する場合にさえも、これらの菌株を最初に一倍体形にしなければならない。これは、例えば、Sherman,F.G.R.等、[酵母遺伝学における実験室コース・マニュアル](1986)、Cold Spring Harbor Laboratory Press(コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)に記載されているような、当該技術分野において周知の方法に従って菌株に胞子形成させることによって、達成することができる。この方法は例えば、マイクロマニピュレータによる子嚢切開を含む。このために、胞子形成した培養物のループを無菌水中に移し、カタツムリ消化管液(snail juice)(Suc d’Helix pomatia,Biosepra、フランス)をこれに加える。胞子が子嚢から放出され始めるまで、数分間消化を行わせ、次に、子嚢を分離して、寒天プレート上で画線培養する。インキュベーションすると、胞子は一倍体酵母細胞から成るコロニーを生成する。
【0033】
これらの一倍体は分離して、a接合型又はα接合型のいずれかを示し、このことは例えばX2180−1A(a)又はX2180−1B(α)(Yeast Genetic Stock Center、分子細胞生物学科、遺伝学部、カリフォルニア大学、バークレー、カリフォルニア州、94720、アメリカ合衆国から入手)のような標準菌株との交雑で検査することができる。分離体の接合型は、分離体が逆接合型のテスター菌株と接合体を形成することができるが、同じ接合型のテスター菌株とは接合体を形成することができないことによって確認される。次に、所望の性質を示す菌株を選択することができる。
【0034】
その後、対応する一倍体菌株を再び二倍体化する、これは例えば自発二倍体化の現象を利用することによって行うことができる(Sherman、上記文献)。このために、各一倍体菌株を適当な液体培地中で数週間、周囲温度又はやや高い温度において撹拌下で、規則的に間隔をおいて継代培養しながら、増殖させることができる。時には、細胞をYPDプレート(以下参照)上で培養して、増殖するコロニーを特に大きな変種(varieties)に関してスクリーニングすることができる。大きなコロニーが検出されたときに、それらの倍数性を既知倍数性のテスター菌株ともどし交雑させることによって検査することができる。未知倍数性(一倍体又は二倍体)であるがまだ接合型(a若しくはa/a;α若しくはα/α)を示す菌株を既知倍数性(一倍体又は二倍体)のテスター菌株と交雑させる。得られる接合体は二倍体(一倍体x一倍体),三倍体(一倍体x二倍体)又は四倍体(二倍体x二倍体)のいずれかである。これらの接合体を胞子形成させ、典型的な数の胞子を上述したように子嚢切開によって単離させた。三倍体接合体はそれらの劇的に減少した胞子生存率(通常、0〜10%)によって容易に同定され、偶数倍数性の接合体(二倍体又は四倍体)は通常50%を超える胞子生存率を生じる。したがって、一倍体分離体は一倍体テスター菌株との交雑では高い胞子生存率を生じるが、二倍体テスターとは低い胞子生存率を生じ、これに反して、二倍体分離体は一倍体テスターとは低い胞子生存率を生じるが、二倍体テスターとは高い胞子生存率を生じる。
【0035】
他方では、一倍体菌株のみで出発した場合には、上記で詳述したように二倍体化を行わなければならない。
a/a又はα/α接合型を有し、パン酵母の遺伝的バックグラウンドに導入すべき望ましい特性に関してホモ接合性である、このようにして得られた二倍体菌株は次にさらなるプロセス工程に用いることができる。
【0036】
工程(c)の親産業用パン酵母に関しては、四倍体産業用パン酵母(例えば、LBB、HS、Fermipan等)を胞子形成させ、接合型を示し、a/a又はα/αのいずれかのホモ接合型である二倍体分離体が選択される。
【0037】
本発明の方法の工程(d)では、各々が特定の接合型を有する、特定の特性を有する二倍体化菌株と二倍体化産業用パン酵母とを組み合わせて、逆接合型を有する菌株、即ち、a/aとα/αとを既知方法(Sherman、上記文献)で組み合わせて、四倍体接合体aa/ααを生成する。二倍体親菌株のこのような交雑に由来する四倍体接合体を次に工程(e)において再び胞子形成させ、減数***した胞子を単離する。胞子形成によって得られた胞子をパン酵母の遺伝的バックグラウンドに与えるべき特定の特性に関して選択する(工程(f))。
【0038】
好ましい実施態様によると、プロセス工程(a)〜(f)に従って得られる二倍体菌株をさらに多倍数体化することができる。このために、(f)で得られた菌株をそれらの接合型に関してホモ接合であるか否かを検査して、逆接合型を有する菌株を交雑させる。多倍数体化菌株は、それらの拡大化したサイズのために、それらを容易に濾過することができるので、付加的な産業上利益を有する。
【0039】
産業用菌株として、例えば商業的に入手可能な菌株、Fermipan(Fermipan Standard(“Fermipan Red”Gist−Brocades、オランダから入手可能なインスタント活性なドライイースト)、又はLBB(“Levure Boulanger Bleue”、Le Saffre、フランスから入手可能)、又はHS(Hefe Schweiz、スイスから入手可能)のような、任意の適当な菌株が使用可能である。当業者は、彼自身の技術的熟練と経験に基づいて、またlti性質を導入すべきであるそれぞれの遺伝的バックグラウンドに依存して、適当な菌株を選択する。既知産業用菌株の一部は四倍体性であるので、それらを所望の特性を有する二倍体菌株と組み合わせる前に、二倍体化しなければならない。
【0040】
好ましい実施態様では、所望の特性を示す菌株は、例えば菌株L500[NCIMB 40329](これの構築方法はEP−0487878に詳述されており、この資料は参照することにより本明細書に取り込まれる)又は菌株LCG22[NCIMB 40612](これの作製方法はEP−0663441に記載されており、この資料は参照することにより本明細書に取り込まれる)のような、lti菌株である。
以下では、本発明を好ましい実施態様及び図面を参照して説明する:
【0041】
【実施例】
実施例1
新規な菌株の構築
lti酵母に産業用特徴を導入するために、次の遺伝子型:
α lts500
を有するlts500 lti突然変異体[NCIMB40613]が用いられている。
この菌株をマルトース発酵菌株1403−7A:
a MAL4c ura3
(Yeast Genetic Stock Center、分子細胞生物学科、遺伝学部、カリフォルニア大学、バークレー、カリフォルニア州、94720、アメリカ合衆国から入手)と交雑させた。(大文字は主要な対立遺伝子を示し、小文字は劣性対立遺伝子を示す)。
【0042】
接合体に胞子形成させ(Sherman、上記文献)、減数***した胞子を次のように単離した。胞子形成した培養物のループをEppendorf管中に含有された0.2mlの無菌水中に懸濁させ、0.02〜0.04mlのカタツムリ消化管液)(Suc d’Helix pomatia,Biosepra、フランス)を加えた。懸濁液を室温において約4〜15分間インキュベートした。この時間は菌株毎に変化させたが、適当な時間は顕微鏡を用いて観察して、胞子が子嚢から放出され始めたときがほぼ適当であると見なされた。これは液体中の“爆発波”と胞子パッケージがより散漫に配置されることによって表示された。インキュベーション後に、1mlの無菌水を加えて、懸濁液を約5分間遠心分離した。上澄み液を吸引で取り出し、ペレットを約0.5mlの無菌水中に懸濁させ、遠心分離し、上澄み液を廃棄した。胞子を約0.5mlの無菌水中に懸濁させた後に、懸濁液を微細な白金ループで、適当なサイズに切断した切開寒天パッチ(2%グルコース、1%酵母エキス、0.5%ペプトン、2%寒天)の縁に画線培養した。胞子間に2.5mm及び各四分子間に3mmの間隔を保って、Leitzマイクロマニピュレータ(Leitz、ドイツ)を用いて、四分子を切開した。寒天パッチをYDP(YPD完全培地、2%Bacto寒天(Difco)、1%Bacto酵母エキス(Difco)、2%Bactoペプトン(Difco);2%グルコースによって凝固したもの)寒天プレート上で移し、30℃において胞子がコロニーを形成するまでインキュベートし、これらのコロニーを次に、さらなる分析のために、ようじ(tooth pick)で新たなYPD寒天プレート(上記)に移した。
【0043】
このようにして得られた一倍体分離体をそれらの接合型(a又はα)に関して、それぞれ、例えばX2180−1A(a)又はX2180−1B(α)(Yeast Genetic Stock Center、分子細胞生物学科、遺伝学部、カリフォルニア大学、バークレー、カリフォルニア州、94720、アメリカ合衆国から入手可能)のような標準菌株とそれらを交雑させることによって検査した。
【0044】
この検査は、次のように行った。菌株をYPD寒天プレ−ト(1%DifcoBacto酵母エキス、2%Difco Bactoペプトン、2%グルコース、2%寒天)上で一晩増殖させた。分離体の小アリコートにa−テスターの小アリコート及びα−テスターの小アリコートをYPDプレート上で無菌木製ようじを用いて混合した。30℃において5〜6時間インキュベートした後に、両方のミックスを接合体の形成に関して顕微鏡によって分析した。
【0045】
親菌株はlti突然変異に関してホモ接合であったので、全ての分離体は明白なlti表現型を示し、標準方法(Sherman,F.G.R.等、[酵母遺伝学における実験室コース・マニュアル](1986)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)によって判定して、マルトース発酵性(Mal+)又はマルトース非発酵性(Mal-)のいずれか、及びウラシル原栄養性(URA3)又は栄養要求性(ura3)のいずれかであった。
【0046】
得られた種々な一倍体菌株から二倍体単離体を得るために、自発二倍体化の現象を利用した。このために、特定の一倍体菌株を液体YPD培地(上記)中で、約3〜4日間の間隔を置いて規則的に継代培養しながら、撹拌下で約30℃において12週間増殖させた。時々、細胞をYPDプレート上で培養して、増殖するコロニーを特に大きな変種に関してスクリーニングした。大きなコロニーが検出されたときに、それらの倍数性を一倍体テスター菌株(X2180−1A(a)、X2180−1B(α)上記)又は二倍体テスター菌株(X2180−1A/1A(a/a)、X2180−1B/1B(α/α)、ETHZ菌株コレクション、Eidgenoessisch Technische Hochschule、チューリッヒ、スイス)とのもどし交雑によって検査した。
【0047】
結果として、次の性質を有する菌株を選択した:
(a)二倍体がlts500突然変異に関してホモ接合性であり、明白なlti表現型を示した;
(b)二倍体がURA3野性型対立遺伝子に関してホモ接合性であり、原栄養性表現型を示した;
(c)二倍体が少なくとも1つのMal4c対立遺伝子を保持して、マルトース発酵性(Mal+)表現型を生じた。
【0048】
上記性質を示した菌株の選択は、次のように行われた:
Mal及びUra表現型は、標準方法(Sherman,F.G.R.等、[酵母遺伝学における実験室コース・マニュアル](1986)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)によって判定した。
【0049】
YPD寒天プレート(1%Difco Bacto酵母エキス、2%Difco Bactoペプトン、2%グルコース、2%寒天)上で一晩増殖させた酵母細胞の小さい層を新鮮なYPD寒天プレート上で画線培養することによって、lti表現型を分析する。8℃における2〜3週間のインキュベーション後に増殖反応を検査する。
【0050】
lti表現型に、全体的に産業用の遺伝的バックグラウンドを組み合わせるために、次のlti遺伝子型を有する菌株を選択して、さらなる実験に用いた:
RD1483−2C−2:α/α lts500/lts500 MAL4c/MAL4c URA3/URA3.
【0051】
この菌株に下記商業的パン酵母菌株の二倍体分離体を組み合わせた:
(1)LBB(Levure Boulangerere Bleue、Le Saffre)
(2)Fermipan Standard(Gist−Brocades)
これらの二倍体分離体は、胞子形成させ、その後に二倍体子嚢胞子を単離することによって得た。二倍体lti菌株RD1483−2C−2に交雑するために、接合型(したがって、ホモ接合性a/aである)を示す二倍体分離体を選択した。
【0052】
上記lti菌株と上記遺伝的産業用菌株の種々な菌株との接合は次のように行った。逆接合型の菌株をYPD寒天プレート上で画線培養して、プレートを30℃において一晩インキュベートした。接合させるべき各菌株の少ないが、等しい量をYPD寒天プレート上で混合して、30℃において5〜6時間インキュベートした。接合体の形成を顕微鏡下で検査した。目視検査された接合体を次にLeitzマイクロマニピュレ−タ(Leitz、ドイツ)によって引き出した。
【0053】
これによって、下記四倍体分離体を単離することができた:
1)LBB(Levure Boulangere Bleue、Le Saffre)からの分離体
F−7 接合体として RD83−7
F−24 RD83−24
F−28 RD83−28
FZ15 FD1583
FZ24 FD2483
2)Fermipan Standard(Gist Brocades)からの分離体
FP5 接合体として PD583
FP6 PD683
FP10 PD1083
FP20 PD2083
【0054】
四倍体接合体を胞子形成させ、減数***した胞子を、二倍体lti酵母菌株L500の胞子形成に関して上述したように、単離した。1次分析でlti表現型を示した胞子をそれらの接合挙動と胞子形成挙動とに関して、それぞれ、さらに分析した。
【0055】
実施例2
産業用性質に関する菌株の選択
産業用流加培養法における菌株の性能を判定するために、炭素源としてのエタノールと阻害性物質としてのアセテートを含む好気性振とうフラスコ培養における増殖速度を測定する試験を適用した。エタノール濃度は0.7%の弱毒性(sub-toxic)レベルに選択し、アセテート濃度(培地のpHを4.0に緩衝化することによって遊離酸として存在)は、充分に機能する基準菌株(Levure Boulangeere Bleue(LBB)、Le Saffreから)と充分に機能しない基準菌株(X2180、Yeast Genetic Stock Center、UC Berkeley)との増殖速度の差異が最大になるように、最適化した。各試験シリーズに、両方の基準菌株を含めて、試験した菌株の性能を充分に機能する産業用菌株LBBの増殖速度の%で表現する。
【0056】
試験すべき菌株の細胞を試験管内の5mlのYPD(1重量%Difco Bacto酵母エキス、2重量%Difco Bactoペプトン、2重量%グルコース)中で190rpmの回転シェーカー上、30℃において一晩前培養する。この培養物の1mlを用いて、100ml量のNE培地(0.67%w/vのDIFCO酵母窒素塩基w/oアミノ酸、1%w/vのNa2−コハク酸塩、1.12%v/vのHCl 5M、0.7%w/vエタノール(オートクレーブ処理後に添加))を含む振とうフラスコ(底部に4バッフルを備えた500mlエーレンマイヤーフラスコ)前培養物に接種して、インキュベーションを190rpmの回転シェーカー上、30℃において24時間続けた。最終的試験培養(底部に4バッフルを備えた500mlエーレンマイヤーフラスコ)を100mlのNEA培地(0.67%w/vのDIFCO酵母窒素塩基w/oアミノ酸、1%w/vのNa2−コハク酸塩、1.12%v/vのHCl 5M、0.7%w/vエタノール、0.3%w/v氷酢酸(エタノールと酢酸はオートクレーブ処理後に添加))の接種によって、OD600が約0.1であるように開始した。30℃における、190rpmの回転シェーカー上でのインキュベーションを10時間にわたって続け、OD600を2時間間隔で測定した。培養物の指数増殖期中に増殖速度を確認した。LBB(100%)に比較して、寄託菌株の増殖速度は下記の値である:
(LBB 100%)
FCL313 137%
CL14 165%
CL18 85%
(X2180 約30〜40%)
【0057】
実施例3
lti性質に関する菌株の選択
細胞を振とうフラスコ培養の2ステージで増殖させた。1工程は前培養を含むものであり、この工程では、各菌株の−80℃グリセロール凍結細胞懸濁液0.1mlを4曝気バッフル付き500mlエーレンマイヤーフラスコ中の200mlのYD培地(0.5%(w/v)Difco酵母エキス、2%グルコース)に接種して、30℃で回転シェーカー上、180rpmにおいて72時間インキュベートした。この懸濁液を次に、Sorvall遠心分離機上、4℃において500rpmで5分間遠心分離し、培地を廃棄した。細胞ペレットを200mlの最少培地(0.67%(w/v)のDifco酵母窒素塩基w/oアミノ酸、1.00%(Na2−コハク酸塩)、0.2%サッカロース)中に再懸濁させ、培養を4曝気バッフル付き500mlエーレンマイヤーフラスコ中で30℃において6時間続けた。その後、さらに0.4%(w/v)サッカロース(4mlの無菌20%サッカロース溶液4ml)を加え、回転シェーカー上、180rpm,30℃において振とうを一晩続けた。細胞を氷冷蒸留水で3回洗浄し、各回に5000rpmにおいて5分間遠心分離した。
【0058】
モデルドウとして、通常のピザ−レシピを比較的強力粉と共に選択した:
成分は次の通りであった:
【表1】
Figure 0004849721
【0059】
ドウを次のように調製した。全ての成分を4℃に維持し、低温室(4℃)においてドウ調製を行った。落花生油を30分間室温に放置することによって液化させた。数グラムの酵母ケーキ(約30%乾燥物質)を50ml Falconポリプロピレン管に計り入れることによって、酵母スラリーを調製した。等量の冷水道水を加えて、約15%乾燥物質のスラリーを得て、このスラリーを激しく混合した。小麦粉と塩とを混合して、落花生油と水とを加え、この時点で上記で調製した4mlの酵母スラリーを加えた。フラット・ビーター・アタッチメントによってドウを4分間こねて、滑らかなドウを得た。100g片を切断して、これをRISOGRAPHのガラス計量ジャーに移した。計量ジャーを密封した後ただちに、測定を開始した。
【0060】
ガス発生を120時間にわたって1時間間隔で8℃において測定した。温度を12℃に上げて、ガス発生を100〜120時間にわたって1時間間隔で測定した。温度を30℃に上げて、ガス発生を6〜17時間にわたって10分間間隔で測定した。ガス発生は各温度におけるガス曲線の最初の勾配として算出した。
30℃と8℃における測定結果を図1に示す。
【0061】
実施例4
リストした量で成分を用いて、モデルドウを調製した:
【表2】
Figure 0004849721
【0062】
ドウを100gのアリコートに分割して、“Niesler”の容器(Biospectra AG、シュリーレン、スイスから入手可能)に導入し、この容器においてドウ組成物を4週間の期間にわたって約8℃の温度に維持した。前記期間中に、CO2発生が測定された。これらの測定結果は図1に示す。このように調製したドウを1、2、3、4又は5週間後にベーキングしたときに、製品は優れたテキスチャーとフレーバーを示し、これらは新たに混合したドウ組成物から製造された製品のテキスチャーとフレーバーに匹敵するものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】30℃と8℃において、それぞれ、得られた菌株のCO2発生を示す。
【図2】種々の温度における種々の菌株のCO2発生を絶対速度で例示するグラフを示す。
【図3】種々の温度における種々の菌株のCO2発生を相対速度で例示するグラフを示す。

Claims (10)

  1. 産業用パン酵母の遺伝的バックグラウンドに、劣性対立遺伝子に基づく、酵母菌株の性質を導入する方法であって、
    (a)劣性対立遺伝子に基づく所望の性質を有する一倍体酵母を選択する工程と;
    (b)(a)で選択した一倍体酵母を二倍体化して、ホモ接合型に関して選択する工程と;
    (c)一倍体産業用パン酵母を二倍体化して、ホモ接合型に関して選択する工程と;
    (d)逆接合型を有する、上記(b)と(c)において得られる菌株を接合させて、四倍体接合体を得る工程と;
    (e)(d)で得られた接合体を胞子形成させる工程と;
    (f)所望の性質を示す菌株を選択する工程と;
    を含む前記方法。
  2. (g)逆接合型を有する、(f)で選択した菌株を接合させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記劣性対立遺伝子(単数又は複数)が、バイオマス産生及び/若しくは細胞分離及び/若しくは乾燥中に、及び/又は酵母ドウ製造及び/若しくは貯蔵及び/若しくはベーキング中に改良された性能を生じるものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 遺伝子がカタボライト・リプレッサー遺伝子、中性若しくは酸性トレハラーゼをコードする遺伝子、生合成酵素をコードする遺伝子、又は対立遺伝子形(単数又は複数)においてlti性質を生じる遺伝子である、請求項3記載の方法。
  5. 所望の性質がlti性質である、請求項1又は2に記載の方法。
  6. FCL313(NCIMB41002)又はCL14(NCIMB41032)又はCL18(NCIMB41033)である、パン酵母。
  7. 3〜12℃の冷蔵温度において3ml未満/gドウ/時間のCO2産生を有する、請求項6記載のパン酵母。
  8. 3〜12℃の冷蔵温度において1ml未満/gドウ/時間のCO 2 産生を有する、請求項7記載のパン酵母。
  9. 請求項6〜のいずれか1項に記載の酵母を含有するドウ組成物。
  10. ベークトドウ製品の製造のための請求項記載のドウ組成物の使用。
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