JP2004039250A - 光学的情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 精度と生産性に優れた多層構造の光ディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】
放射線硬化樹脂22を挟んで基板4とスタンパ21とを重ね合わせた後、基板4とスタンパ21とを高速回転させる(同図(B))。すると、同図に示すように、中央部分に塗布した放射線硬化樹脂22が回転の遠心力により外周部へ広がり、更に、同図(C)に示すように余剰の放射線硬化樹脂22が基板4とスタンパ21の端面から外側へ振り切られて除去される。高速回転の遠心力による水平方向の均一な外向力により、均一な膜厚で気泡の混入がない透明樹脂層を短時間の製造工程で形成することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】
放射線硬化樹脂22を挟んで基板4とスタンパ21とを重ね合わせた後、基板4とスタンパ21とを高速回転させる(同図(B))。すると、同図に示すように、中央部分に塗布した放射線硬化樹脂22が回転の遠心力により外周部へ広がり、更に、同図(C)に示すように余剰の放射線硬化樹脂22が基板4とスタンパ21の端面から外側へ振り切られて除去される。高速回転の遠心力による水平方向の均一な外向力により、均一な膜厚で気泡の混入がない透明樹脂層を短時間の製造工程で形成することができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、光学的情報記録媒体及びその製造方法に係り、特に、光透過性材料から成る基板上に放射線硬化樹脂層を有し、この放射線硬化樹脂層に凹凸形状を形成して情報記録面とする光学的情報記録媒体の製造方法に関するものである。
従来より、光学的に読取り可能な情報が記録され、レーザ光スポットを用いて記録された情報を読み出させる光学的情報記録媒体があり、特に、近年においては、コンパクトディスク(以下、CDと記載する)や、CD−ROMをはじめとする光ディスクの普及がめざましいものとなっている。上記CD−ROMは、コンピュータ用のみならず、最近は多機能ゲーム用CD−ROMも登場し、コンピュータ、ゲーム共磁気ディスク(フロッピーディスク)やROMカートリッジからCDへの乗り換えが進んでいる。
また、CDよりも小さなピットをトラックピッチを詰めて記録することで情報を高密度に記録した高密度型光ディスクも提案されており、映画以外にマルチメディアへの利用もささやかれている。更に、上記CDが基板上のある一面にのみ信号が記録されている単層の情報記録面を有しているのに対し、基板上に放射線硬化樹脂より成る透明樹脂層を積層することで基板の厚さ方向に複数の情報記録面を有する多層構造の光ディスクが提案されている。
以下、図1を用いて上記多層構造の光ディスクについて説明する。図1は、多層構造の光ディスクの構造を示す図である。なお、同図は光ディスクのトラック方向の断面図の一部を示している。また、説明を簡単にするため、以下に説明する多層構造の光ディスクについては、情報記録面を2面有するものについて説明する。
同図に示すように、従来の多層構造の光ディスク(以下、単に光ディスクと記載する)1は、光透過性基板4上に、第1の反射層5、透明樹脂層6、第2の反射層7、保護膜8がこの順に積層されて構成されている。上記基板4上には情報に応じた凹凸ピット4Aが形成され、また上記透明樹脂層6上には情報に応じた凹凸ピット4Bが形成されている。即ち、上記光ディスク1は、基板4の厚さ方向に2面の情報記録層を有しており、上記光透過性基板4のピット4A形成面が第1の情報記録面2であり、上記透明樹脂層6のピット4B形成面が第2の情報記録面3である。
また、第1の情報記録面2と第2の情報記録面3との間に形成される第1の反射層5は、第2の情報記録面3への光の入射や反射が行えるようある程度の光透過率を有する材料で構成される。なお、以下、この第1の反射層5を半透明反射層5と記載し、第2の反射層7を反射層7と記載する。そして、3面以上の情報記録面を形成する場合には、上記透明樹脂層6上の反射層7上に第2の透明樹脂層を形成し、この第2の透明樹脂層上にピットを形成して第3の情報記録面とし、更に第4の情報記録面以降も同様に構成される。
上記各情報記録面に記録された情報を読み出すための再生用レーザ光は、上記基板4の下側から入射される。ここで、上記光ディスク1における各情報記録面の間隔は数十ミクロンと狭いが、再生装置の光ピックアップはその間隔を正しく認識して、所望の情報記録面に焦点を結ぶことで、各情報記録面の情報が読み出されるようになっている。以上のように光ディスクの構造を基板4の厚さ方向に2面以上の情報記録面を設けて多層構造とすることで、従来の単層構造の光ディスクよりも大量の情報を記録することが可能になるのである。
次に、以上のような構成の光ディスク1の従来の製造方法を図6を用いて説明する。
なお、説明の簡略化のために2層ディスクとして説明する。まず、同図(A)に示すように、第1の情報記録面のピット4Aの逆パターンを有するスタンパ(図示せず)により、例えば射出成形によってピット4Aを表面に有する光ディスク基板4を成形する。次に、同図(B)に示すように、基板4のピット4Aが形成された表面に半透明反射層5をスパッタリング、イオンプレーティング、CVD、真空蒸着法、スピンコートなどの成膜方法によって形成する。なお、この半透明反射層5は前述のようにある程度の光透過率を有する反射層である。
なお、説明の簡略化のために2層ディスクとして説明する。まず、同図(A)に示すように、第1の情報記録面のピット4Aの逆パターンを有するスタンパ(図示せず)により、例えば射出成形によってピット4Aを表面に有する光ディスク基板4を成形する。次に、同図(B)に示すように、基板4のピット4Aが形成された表面に半透明反射層5をスパッタリング、イオンプレーティング、CVD、真空蒸着法、スピンコートなどの成膜方法によって形成する。なお、この半透明反射層5は前述のようにある程度の光透過率を有する反射層である。
次に、上記半透明反射層5の上に上記第2の情報記録面3を形成する。第2の情報記録面3は従来より周知の2P工法により形成する。即ち、同図(C)に示すように、第2の情報記録面3のピット4Bの逆パターンの凹凸形状21Aを有するスタンパ21を用意し、上記基板4の半透明反射層5上に紫外線硬化樹脂22を滴下し、続いてスタンパ21の信号面を紫外線硬化樹脂22が滴下された基板4上に押圧して紫外線硬化樹脂22を均一な厚みに延ばす。このスタンパ21の押圧時、同図(D)に示すように、基板4の外周部からオーバーフローした樹脂はノズル23で吸い取る。そして、同図(E)に示すように、基板4側から紫外線(放射線)を照射して上記紫外線硬化樹脂22を硬化させてスタンパ21を剥離すると、同図(F)に示すように第2の情報記録面3となるピット4Bが形成された光ディスク基板が得られる。最後に第2の情報記録面3上に、アルミニウムや金等をスパッタリングや真空蒸着等の真空成膜で成膜することによって、反射層7を形成し、更にこの反射層7上に保護膜8を形成し、保護膜8上にレーベル(図示せず)を印刷することにより、同図(G)に示すような多層構造の光ディスクが完成する。
ところで、上述のような多層構造の光ディスクは再生原理上の制約により、各情報記録面の間隔を非常に厳密に管理する必要がある。例えば40μmの透明樹脂層の膜厚に対し、±3μmくらいの膜厚変動しか許容されない。しかし上述の2P工法では装置の精度を向上させても±5μmくらいにするのが限度である。更に、上記2P工法は、生産性が悪く、第2の情報記録面以降の情報記録面の成形に1面当たり2分くらい要してしまう。成形速度を上げることは押圧を大きくする、或いは樹脂滴下量を多くすることで可能であるが、膜厚の精度が下がったり、気泡を巻き込んで欠陥を生じたり、オーバーフローの吸い取りが不充分となる等の問題が生じる。即ち、従来より知られている製造方法を用いて上述のような多層構造の光ディスクを製造しようとすると、精度と生産性に二律背反の問題が生じてしまうのである。
また、上述のような製造方法の場合、半透明反射層5の材料としてシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸化膜系合金、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン窒化膜系合金等を用いるのが一般的であるが、これらの材料は紫外線硬化樹脂からなる透明樹脂層6との密着力が悪く、環境負荷テスト時にクラックが入ったり、甚だしき場合には剥離してしまったりするという問題もあった。樹脂に接着力を持たせるため特殊な官能基を導入することは容易であるが、半透明反射層5に接着力を持つように設計すると、スタンパ(材質ニッケル)に対しても接着力が発生し、剥離が困難になるという欠点が新たに発生してしまう。また、半透明反射層5には接着し、ニッケルには接着しないような理想的な樹脂は設計が非常に困難で、現実的には存在していない。
そこで、本発明は上記の点に着目してなされたものであり、精度と生産性、そして信頼性に優れた多層構造の光ディスクの製造方法を提供することを目的とするものである。
本願発明の第1の発明は、第1情報記録面と前記第2情報記録面との間に、厚さが35〜50μmであり、かつ前記厚さの変動が±3μm前後の透明樹脂層が挿入された光学的情報記録媒体の製造方法において、前記透明樹脂層は、基板表面に形成された前記第1情報記録面上に粘度80〜1100cpの放射線硬化樹脂を滴下した後、回転数750〜1500rpmで回転させて形成し、次に前記放射線硬化樹脂に放射線を照射して硬化させて形成したことを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法を提供しようとするものである。
第2の発明は、前記放射線硬化樹脂は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録媒体の製造方法を提供しようとするものである。
第2の発明は、前記放射線硬化樹脂は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録媒体の製造方法を提供しようとするものである。
以上説明したように本発明の光学的情報記録媒体の製造方法によれば、光透過性材料から成る基板上に放射線硬化樹脂層を積層して成り、放射線硬化樹脂層上に案内溝又はピットによる凹凸形状を形成して情報を記録するための情報記録面とした光学的情報記録媒体の製造方法において、放射線硬化樹脂を挟んで基板とスタンパとを対向して重ね合わせ後に、基板とスタンパとを重ね合わせた状態で高速回転させるので、均一な膜厚で気泡の混入がない放射線硬化樹脂層を短時間の製造工程で形成することができる。
また、光透過性材料から成る基板上に半透明反射層、放射線硬化樹脂層を順次積層して成り、前記放射線硬化樹脂層上に案内溝又はピットによる凹凸形状を形成して情報を記録するための情報記録面とした光学的情報記録媒体において、前記半透明反射層と放射線硬化樹脂層との間にプライマー膜を形成したので、放射線硬化樹脂層にクラックが入ったり、或いは放射線硬化樹脂層が剥離することを防止でき光学的情報記録媒体の信頼性を向上することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の一実施例を説明する。なお、以下の説明では、図1で示した2面の情報記録面を有する多層構造の光ディスク1を製造する場合について説明するものとする。図2は、本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の第1の実施例を説明するための図である。射出成形などの成形方法によって表面にピット4Aが刻まれたディスク基板4を用意し、この基板4のピット形成表面に半透明反射層5をスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、スピンコート法などによって成膜し(光透過性材料から成る基板)、基板4の半透明反射層5の表面または上記スタンパ21のいずれか、あるいは両表面に放射線硬化樹脂を塗布し、スタンパ21と半透明反射層5とを重ね合わせる工程(同図(A))までは、上記従来の多層構造の光ディスクの製造方法と同じであるが、本実施例では、以下の工程が異なる。
即ち、同図(B)に示すように、放射線硬化樹脂22を挟んで基板4とスタンパ21とを重ね合わせた後、基板4とスタンパ21とを同図中一点鎖線で示す中心線を中心に水平方向に高速回転させる。すると、同図に示すように、中央部分に塗布した放射線硬化樹脂22が回転の遠心力により外周部へ広がり、更に、同図(C)に示すように余剰の放射線硬化樹脂22が基板4とスタンパ21の端面から外側へ振り切られて除去される。即ち、従来は、スタンパ21の押圧力や押圧時間で透明樹脂層6の膜厚を制御し、また、押圧の際の余剰の放射線硬化樹脂22はノズルで吸い取っていたが、本実施例では、高速回転による遠心力により透明樹脂層6の膜厚が均一に制御されると共に余剰な放射線硬化樹脂22が除去されるのである。
そして、余剰な放射線硬化樹脂22を取り除いた後、重ね合わせた基板4及びスタンパ21の回転を減じまたは停止し、同図(D)に示すように基板4側から放射線を照射して放射線硬化樹脂22を硬化させてから、スタンパ21を剥離すると表面にピット4Bが形成された透明樹脂層6を形成することができる(同図(E))。そして、最後に反射層7や保護膜8を順次成膜して、同図(F)に示すような二層ディスクを作製することができる。
以上のように、従来方法がスタンパ21を基板面に対して垂直に押しつけていたのに対し、本実施例では、基板4とスタンパ21をその中心に対して共に高速回転させる。ここで、透明樹脂層6の膜厚は、従来法がスタンパ21を押しつける圧力、押しつける時間、樹脂粘度に大きく依存していたのに対し、本実施例では高速回転の回転数、樹脂粘度に大きく依存する。即ち、本実施例ではスタンパ21と基板とを押しつける圧力や押しつける時間は共にほとんどゼロであるため、圧力むらや押しつけ時間の誤差による膜厚ばらつきの要因がないのである。また、本実施例による方法では、遠心力による水平方向の均一な外向力が、放射線硬化樹脂22の膜厚を均一に減じさせるので、均一な膜厚が得やすい。更に、基板4とスタンパ21とを重ね合わせるときに発生する気泡は、高速回転により、内周から外周へ、そしてディスクの外側へと排出されるので粘度が適正であれば気泡欠陥の問題も発生しない。更に、従来法に比べて処理時間が短く、1面あたり30秒から1分程度で作ることができる。
また、樹脂の余剰分はスピンアウトされるので、端面に溜まる樹脂量が上述の従来の製造方法に比べて大幅に軽減できる。つまり吸い取り等の端面処理はずっと簡単でよくなる。また、高速回転後の端面処理は、基板4と同じ外径のスタンパ21を用いた場合に必要であるが、各種径のスタンパ21を用いて実験を試みたところ、端面処理を一切不要にすることも可能であることが分かった。それはスタンパ21の外径を、基板4の外径と同じか、もしくは僅かに小さくした場合である。このようなスタンパ21を用いた場合には樹脂が端面で溜まることがないため、放射線硬化樹脂の硬化時にバリが発生せず、滑らかな端面を持つディスクを得ることができる。したがって、このようなスタンパを用いれば、光ディスクの生産性が著しく向上できる。更に、上述したような高速回転による放射線硬化樹脂の振り切りは、平坦な基板上に透明樹脂層を直接積層し、この透明樹脂層表面にピットや案内溝による凹凸形状を形成する場合でも使用可能である。即ち、平坦な基板上に透明樹脂層を積層して透明樹脂層表面を第1の情報記録面とした多層構造の光ディスクや単層構造の光ディスクの製造方法としても使用可能である。
ところで、本発明に使用する放射線硬化樹脂22は、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂など、放射線によって硬化するものであれば良いが、本発明の製造方法で効果を充分に発揮するためには樹脂粘度というものが重要になる。次に、この樹脂粘度について図3を用いて説明する。
図3は、本発明の光学的情報記録媒体の製造方法で使用する放射線硬化樹脂の樹脂粘度を説明するための図である。具体的には、上述した本発明の製造方法において種々の粘度の放射線硬化樹脂を用いた場合、形成される透明樹脂層6の膜厚が高速回転の回転数に応じてどのように変化するのかを示している。上述の多層構造の光ディスクは信号再生上、透明樹脂層6の厚みが35〜50μm程度が良いとされているが、同図によれば、放射線硬化樹脂の粘度と樹脂振り切りのための回転数が、比較的広い範囲から選ぶことができることを示している。一方、形成された放射線硬化樹脂22の膜厚分布に着目すると、樹脂粘度と回転数の範囲はある程度限定される。例えば、形成される透明樹脂層6の厚みが約40μmとなるような条件下での膜厚分布を調べると以下の表1のようになる。
図3は、本発明の光学的情報記録媒体の製造方法で使用する放射線硬化樹脂の樹脂粘度を説明するための図である。具体的には、上述した本発明の製造方法において種々の粘度の放射線硬化樹脂を用いた場合、形成される透明樹脂層6の膜厚が高速回転の回転数に応じてどのように変化するのかを示している。上述の多層構造の光ディスクは信号再生上、透明樹脂層6の厚みが35〜50μm程度が良いとされているが、同図によれば、放射線硬化樹脂の粘度と樹脂振り切りのための回転数が、比較的広い範囲から選ぶことができることを示している。一方、形成された放射線硬化樹脂22の膜厚分布に着目すると、樹脂粘度と回転数の範囲はある程度限定される。例えば、形成される透明樹脂層6の厚みが約40μmとなるような条件下での膜厚分布を調べると以下の表1のようになる。
上述のように透明樹脂層6の膜厚分布は再生信号の出力変動につながるので、±3μm以下に抑える必要がある。このような観点で適切な樹脂粘度と回転数を上記表1から判断すると、樹脂粘度80〜1100cP、回転数750〜1500rpmの範囲が適当であることが分かる。ここで、形成された透明樹脂層6の膜厚分布が樹脂粘度や回転数の条件によって変わる理由は明らかになっていないが、樹脂のレオロジーや高速回転時の基板の定常的振動が関係しているものと思われる。
一方、信頼性の問題であるが、これは基板4に表面処理を行うことで解決をはかるべく、鋭意検討を行ったところ、適切なプライマー処理を行うことで解決できることが判明した。以下、この光ディスクの信頼性向上に関する本発明の第2の実施例について説明する。図4は、本発明の光学的情報記録媒体の一実施例の構造を示す図である。同図に示すように、光ディスク10は、上記光ディスク1の半透明反射層5と透明樹脂層6との間にカップリング剤をダイレクトに、またはカップリング剤を含む樹脂を薄膜状に形成したプライマー膜9を有する構造になっている。
即ち、上記半透明反射層5は、一般的にはシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸化膜系合金、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン窒化膜系合金等で構成され、上記透明樹脂層6は紫外線硬化樹脂等の樹脂で構成されるというように、半透明反射層5と透明樹脂層6とが異なる材料で構成されるため密着性が悪く、環境負荷テスト時に透明樹脂層6にクラックが入ったり、透明樹脂層6が剥離してしまったりした。そこで、上記光ディスク10では、異なる材料間の密着性を高めるようなプライマー膜9を半透明反射層5と透明樹脂層6との間に形成して、透明樹脂層6の密着性を改善している。また、このようなプライマー膜9を設ければ、透明樹脂層6を構成する樹脂自体には接着力はそれほど必要とせず、接着力の低い樹脂を使用することも可能である。したがって、このように接着力の低い樹脂を用いて透明樹脂層6を形成すれば、形成の際にスタンパとの密着性が小さくなるので、スタンパの剥離が容易になるという利点もある。
また、上記プライマー膜9のカップリング剤は、具体的にはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤から選ばれ、硬化性樹脂は紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂などから選ばれる。プライマー膜9の膜厚は単分子(数オングストローム)〜数μmの範囲が適当である。プライマー膜9の塗布方法は、ベーパー塗布法やスピンコート法により行う。
上記ベーパー塗布法によりプライマー膜9を形成する方法としては、例えば図5に示すように、半透明反射層5を形成した基板4を、カップリング剤31がいれられた密閉容器32内に半透明反射層5が下側になるようにカップリング剤31から距離を隔てて水平に保持する。そして、所定時間放置するとカップリング剤31の蒸気が半透明反射層5表面に被着される。このようにしてプライマー膜9を形成する。一方、上記スピンコート法を用いる場合は、カップリング剤そのものまたはカップリング剤を含む樹脂を、回転させた半透明反射層付きの基板4上に滴下し、所定の厚さに塗布し、必要に応じて硬化させて形成する。
そして、このように半透明反射層5の上にプライマー膜9を形成した後に、例えば、上述の第1の実施例で説明した光ディスクの製造方法(図2参照)を用いて、プライマー膜9上にピットや案内溝による凹凸形状を有する上記透明樹脂層6を形成する。
なお、上記プライマー膜9は、シリコン酸化膜、シリコン酸化膜系合金、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン窒化膜系合金等と放射線樹脂との間の密着性を高めるために設けているが、単層ディスクのように基板4と透明樹脂層6とを直接密着させる場合の密着性を高めるために設けても良い。
次に、具体的な実施例により本発明を更に詳述する。
<実施例1>最短ピット長0.451μm、トラックピッチ0.84μmで形成されたスタンパを2枚用意した。1枚めのスタンパ(射出成形用)は内径を35.6mm、外径を128mmとし、2枚めのスタンパ(2P成形用)は内径を30mm、外径を120mmに加工した。1枚めのスタンパを用いポリカーボネートの射出成形で1.2mm厚の基板4を製作した。続いてこれにシリコン酸化膜(SiOx)からなる半透明反射層5(膜厚500オングストローム)をスパッタリングで成膜した。
<実施例1>最短ピット長0.451μm、トラックピッチ0.84μmで形成されたスタンパを2枚用意した。1枚めのスタンパ(射出成形用)は内径を35.6mm、外径を128mmとし、2枚めのスタンパ(2P成形用)は内径を30mm、外径を120mmに加工した。1枚めのスタンパを用いポリカーボネートの射出成形で1.2mm厚の基板4を製作した。続いてこれにシリコン酸化膜(SiOx)からなる半透明反射層5(膜厚500オングストローム)をスパッタリングで成膜した。
次に、直径300mm、高さ50mmのフタ付き密閉容器を用意し、図5に示すようにシランカップリング剤OAP(東京応化工業(株)製)を約1cmの深さに満たしておく。なお、上記シランカップリング剤OAPの構造式を以下の構造式1に示す。
そして、シランカップリング剤OAPの液面から3cmの空間を隔てて半透明反射層5が下になるようにして基板4を放置し、OAPの蒸気に5分間暴露した。この処理によって半透明反射層5の表面にはプライマー膜9が単分子層被着した。
続いて外径120mmの平坦なターンテーブルを有するスピナーを用意し、2枚めのスタンパをこのターンテーブルに対しフラットになるよう取り付けた。一方、2官能アクリレートR684(日本化薬(株)製)を97部、光重合開始剤としてDarocur1173(メルクジャパン(株)製)3部から成る紫外線硬化樹脂組成物を用意した。この紫外線硬化樹脂組成物は23℃において、粘度が146cPであった。なお、上記アクリレートR684の構造式を以下の構造式2に、上記Darocur1173の構造式を以下の構造式3に示す。
次に、ターンテーブルを30rpmで回転させながら、この紫外線硬化樹脂組成物をスタンパ表面上に直径80mmの位置に5秒間かけて滴下し、樹脂をリング状に塗布した。次に、プライマー膜9を形成した基板4をプライマー膜9と回転しているリング状樹脂が対向するように落とし、ただちに回転数を1000rpmに上げて15秒間保持した。この高速回転によって余剰な紫外線硬化樹脂と、紫外線硬化樹脂中に混入した気泡とが併せてスピンアウトした。続いて、ターンテーブルの回転を100rpmに減じ、紫外線を大気中で10秒間照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させた。そして、スタンパから基板を剥離すると、透明樹脂層6を有する基板が得られた。この得られた基板には気泡がなく、また外周部のバリもなかった。また、形成した透明樹脂層6の膜厚を測定したところ、38μm±2μmと均一であった。一方、剥離後のスタンパの方も外周部のバリはなく、そのまま再使用ができる表面状態であった。
最後に透明樹脂層表面に第2の反射層7としてアルミニウムをスパッタリングで700オングストローム成膜した。そして保護膜8としてSD−1700(大日本インキ製)をスピンコートで10μm成膜し、図1に示す二層ディスク1を完成させた。
この光ディスクをレーザー波長635nm、対物レンズ開口数NA0.52を有するディスク評価機にて再生評価した。ピックアップのフォーカス位置を変えて、各情報記録面2,3の信号を別々に観察することができた。このとき両情報記録面2,3の相互干渉は見いだせず、両情報記録面2,3ともアイパターンはきれいに開いており、安定した再生が可能であった。イコライザー通過後の再生ジッターは第1の情報記録面2が7.5%、第2の情報記録面3が6.8%で、充分実用になるレベルであった。また、55℃、95%RH、200時間の環境負荷試験で、ジッターはそれぞれ0.6%と0.5%増加したが、透明樹脂層6のウキや膜剥がれなどの問題は発生せず、信頼性の確認ができた。
<実施例2>半透明反射層5(膜厚500オングストローム)をスパッタリングで成膜するところまでは実施例1と同様に作製した。次に、シランカップリング剤A−174(日本ユニカー(株)製)5部、2官能アクリレートHDDA(日本化薬(株)製)92部、光重合開始剤Darocur1173(メルクジャパン(株)製)3部から成るプライマー液を用意した。なお、上記A−174の構造式を以下の構造式4に、上記HDDAの構造式を以下の構造式5に示す。
スピナーを用いて上記プライマー溶液を半透明反射層5に滴下し、2000rpmの高速回転で振り切りを行った。続いて回転を100rpmに減じ、紫外線を大気中で10秒間照射、硬化させプライマー膜9を形成した(膜厚約1μm)。引き続きスピナーの回転を30rpmに下げ、2官能アクリレートR551(日本化薬(株)製)97部、光重合開始剤Darocur1173(メルクジャパン(株)製)3部から成る紫外線硬化樹脂組成物(23℃における樹脂粘度が1100cP)を5秒間かけて直径70mmの位置にリング状に塗布し、スピナーを停止させた。なお、上記R551の構造式を以下の構造式6に示す。
続いて、内径を25mm、外径を119mmに加工した2枚めのスタンパを平坦に取り付けた外径119mmのターンテーブルを有するスピナーを用意した。そして2枚目のスタンパ表面と上記基板上に塗布したリング状の樹脂面とが対向するように重ね合わせ、直ちに1500rpmの高速回転を30秒行った。これによって余剰な紫外線硬化樹脂と混入した気泡が併せてスピンアウトした。そして最後に5000rpmの超高速回転を1秒間行い、回転を停止させた。続いてこの一組を窒素雰囲気に置き、紫外線を5秒間照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させた。そして、スタンパから基板を剥離すると、ピット4Bが形成された透明樹脂層6を有する基板4が得られた。
そして、この形成された透明樹脂層6を観察したところ、気泡がなく、また外周部のバリもなかった。更に、透明樹脂層6の膜厚を測定したところ、40μm±3μmと均一であった。一方、剥離後のスタンパの方も外周部のバリはなく、そのまま再使用ができる表面状態であった。最後に実施例1と同様に、反射層7、保護膜8を成膜し、光ディスク1を完成させた。
そして、この形成された透明樹脂層6を観察したところ、気泡がなく、また外周部のバリもなかった。更に、透明樹脂層6の膜厚を測定したところ、40μm±3μmと均一であった。一方、剥離後のスタンパの方も外周部のバリはなく、そのまま再使用ができる表面状態であった。最後に実施例1と同様に、反射層7、保護膜8を成膜し、光ディスク1を完成させた。
なお、1500rpmの高速回転の後に5000rpmの超高速回転を加えた理由としては、粘度の高い樹脂は外周端部に樹脂が表面張力で盛り上がりやすくなるためである。この表面張力による外周端部の盛り上がりは、放射線硬化樹脂の硬化後にバリになる程の量ではないが、スタンパの剥離時に離型力が余分に必要となってしまう。そこで、4000〜10000rpmの超高速回転をごく短時間加えて、端部盛り上がり樹脂の振り切りを完全に行ったのである。また紫外線硬化を窒素雰囲気で行った理由は、空気中の酸素を遮断して、硬化速度を速めるためであるが、窒素に限らず、アルゴン、二酸化炭素等でも同様の効果がえられる。
以上のように作製した光ディスクを、実施例1と同様にレーザー波長635nm、対物レンズ開口数NA0.52を有するディスク評価機にて再生評価したところ、実施例1と同様に安定して再生できた。また、イコライザー通過後の再生ジッターは第1の情報記録面2が7.7%、第2の情報記録面3が7.1%で、充分実用になるレベルであった。また55℃、95%RH、200時間の環境負荷試験で、ジッターはそれぞれ0.8%、0.7%増加したが、透明樹脂層6のウキや膜剥がれなどの問題は発生せず、信頼性の確認ができた。
以上、2つの実施例について説明したが、本発明はこれら2例に限定されるものではない。例えば上記実施例1,2では透明樹脂層6を形成する放射線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を用いたが、その組成物は感応性不飽和樹脂と光重合開始剤に限定されるものではなく、重合促進剤、離形剤、黄変防止剤等の少量の添加物を加えてもよい。また先述したように、電子線硬化樹脂などでもよい。またプライマー膜9として塗布する樹脂も紫外線硬化樹脂に限定されるものではなく、電子線硬化樹脂や熱硬化性樹脂などが使用でき、必要に応じて溶剤等で希釈して使用することもできる。またカップリング材はシランカップリング剤以外に、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤なども用いることができる。更にプライマー膜9の塗布後、必要ならばベーキングを行って密着力を高めてもよい。
1,10 光ディスク(光学的情報記録媒体)
2 第1の情報記録面
3 第2の情報記録面
4 光透過性基板
5 半透明反射層
6 透明樹脂層(放射線硬化樹脂層)
7 反射層
9 プライマー膜
21 スタンパ
22 放射線硬化樹脂
31 プライマー溶液
2 第1の情報記録面
3 第2の情報記録面
4 光透過性基板
5 半透明反射層
6 透明樹脂層(放射線硬化樹脂層)
7 反射層
9 プライマー膜
21 スタンパ
22 放射線硬化樹脂
31 プライマー溶液
Claims (2)
- 第1情報記録面と前記第2情報記録面との間に、厚さが35〜50μmであり、かつ前記厚さの変動が±3μm前後の透明樹脂層が挿入された光学的情報記録媒体の製造方法において、
前記透明樹脂層は、基板表面に形成された前記第1情報記録面上に粘度80〜1100cpの放射線硬化樹脂を滴下した後、回転数750〜1500rpmで回転させて形成し、次に前記放射線硬化樹脂に放射線を照射して硬化させて形成したことを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。 - 前記放射線硬化樹脂は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003316449A JP2004039250A (ja) | 2003-09-09 | 2003-09-09 | 光学的情報記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003316449A JP2004039250A (ja) | 2003-09-09 | 2003-09-09 | 光学的情報記録媒体の製造方法 |
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JP7292013A Division JPH09115191A (ja) | 1995-10-13 | 1995-10-13 | 光学的情報記録媒体及びその製造方法 |
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JP2004039250A true JP2004039250A (ja) | 2004-02-05 |
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ID=31712694
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JP2003316449A Pending JP2004039250A (ja) | 2003-09-09 | 2003-09-09 | 光学的情報記録媒体の製造方法 |
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JP (1) | JP2004039250A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014011420A (ja) * | 2012-07-03 | 2014-01-20 | Tokyo Electron Ltd | 塗布膜形成方法、塗布膜形成装置、基板処理装置及び記憶媒体 |
-
2003
- 2003-09-09 JP JP2003316449A patent/JP2004039250A/ja active Pending
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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