JP2004039169A - 情報記録担体 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板反りの少ない情報記録担体を提供する。
【解決手段】光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面10aを形成して、この信号面10a上に信号層20を成膜し、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に平坦面10bを形成した第1光透過性基板10と、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面30a,30bをそれぞれ形成した第2光透過性基板30と、第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(30b)とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層40とからなり、第2光透過性基板30側からレーザー光を入射して、このレーザー光を第2光透過性基板10,光透過性接着剤層40を介して第1光透過性基板10の信号層20に照射するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面10aを形成して、この信号面10a上に信号層20を成膜し、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に平坦面10bを形成した第1光透過性基板10と、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面30a,30bをそれぞれ形成した第2光透過性基板30と、第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(30b)とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層40とからなり、第2光透過性基板30側からレーザー光を入射して、このレーザー光を第2光透過性基板10,光透過性接着剤層40を介して第1光透過性基板10の信号層20に照射するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(Compact Disc)システムに適用される光ディスク装置に対して改変を加えることなく、情報の高密度化、大容量化を図り、且つ、基板反りの少ない情報記録担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、情報記録担体と記録再生手段とを相対運動させて各種の情報を記録及び/又は再生を行うシステムがあり、システムの記録及び/又は再生には光学的手段、磁気的手段、静電容量的手段などが用いられている。このうち光学的手段によって各種の情報を記録及び/又は再生を行うシステムは日常生活に深く浸透している。
【0003】
例えば半導体レーザーから出射させた波長λが略780nmである赤外線レーザー光を利用した再生専用の情報記録担体(=再生専用の光ディスク)としては、音楽情報を予め収録したCD(Compact Disc)とか、映像情報を予め収録したビデオCD(Video Compact Disc)とか、コンピュータデータを予め収録したCD−ROM(CD− Read Only Memory) などがある。これら再生専用のCDは1982年の発売から20年を経過し、その再生システムは世界中の家庭やオフィスに定着したものとなっている。またCDの累積世界枚数は100億枚程度にものぼっている。
【0004】
また、再生専用のCDの技術をベースにした記録再生可能な情報記録担体(=記録再生可能な光ディスク)としては、音楽情報,映像情報,コンピュータデータなど1回だけ記録できるCD−R(CD−Recordable) とか、各種の情報を複数回に亘って繰り返し書き換えできるCD−RW(CD−Rewrittable)などが普及してきている。
【0005】
更に、コンピュータ及びその周辺技術の進歩により、一般ユーザの扱う情報単位は日々増大しており、各種の情報を高密度,大容量に記録及び/又は再生できる光学式の情報記録担体が求められている。
【0006】
このような要求を満たす方法の一つとして、情報記録担体の記録及び/又は再生に用いる半導体レーザーから出射されるレーザー光の波長を短縮することが日々研究されている。例えば近年開発された窒化ガリウム系化合物による青紫レーザー光は、波長λ=405nm近傍の青紫色光で発光するために、記録密度を大幅に高める重要な発光素子になり得る。例えば外径を120mmのCDサイズに形成した場合に、青紫レーザー光を用いて各種の情報を記録及び/又は再生できる超高密度な情報記録担体では15GB〜30GBの記録容量が見積もれる。
【0007】
しかしながら、青紫レーザー光を出射する青紫半導体レーザーそのものがまだサンプル出荷段階であり、この青紫半導体レーザーを用いた光ディスク装置の開発期間中にCDの普及はさらに進んでいるような状況である。
【0008】
一方、ユーザが映像情報とか、コンピュータデータのような大容量のデータを扱う昨今であっても、統計的にユーザが扱うファイルの容量を調査してみると、最大で1.5GB程度であり、120mmサイズのCDの記録容量が0.7GB程度に対して精々2倍程度の容量であることが分った。
【0009】
即ち、短波長の青紫半導体レーザーを用いる超高密度な情報記録担体の開発は進んでいるものの、大多数のユーザはその想定容量の10分の1以下の容量を扱っている。言い換えれば大容量の情報記録担体の容量はもてあますことが予想される。
【0010】
従ってユーザの需要と、既に普及したCDシステムのインフラを考えると、短波長の青紫半導体レーザーを用いたシステムよりも、従来のCDシステムをそのまま用いながら、情報記録担体の容量を2倍程度に高密度化した方が、省資源、省エネルギの観点から相応しいと言える。
【0011】
更に、再生専用のCD,ビデオCDに適用されるCD再生装置とか、再生専用のCD−ROMに適用されるCD−ROMドライブとか、記録再生可能なCD−R,CD−RWなどに適用されるCD−Rドライブ,CD−RWドライブは世の中で既に多用されており、これら各種の光ディスク装置内には波長λ=略780nmの半導体レーザーを取り付けた光ピックアップのみが光ディスクの径方向に移動自在に設けられているので、この種の光ディスク装置をそのまま利用できる高密度の情報記録担体を開発した方がユーザーに取って好都合である。
【0012】
ここで、基板厚みが1.2mmで外径が80mm又は120mmに形成されたCD,ビデオCD,CD−ROM,CD−R,CD−RWなどのCDファミリに共通に用いられている情報記録担体の基本構成について図6(a),(b)を用いて説明する。
【0013】
図6はCDシステムに適用される従来の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【0014】
図6(a)に示した如く、CDシステムに適用される従来の情報記録担体100では、基板作製時に、例えば射出成形などにより光透過性を有する透明な樹脂材を用いて光透過性基板110が直径80mm又は120mm,中心孔の孔径15mm,基板厚み1.2mmに円盤状に形成されている。
【0015】
この際、光透過性基板110の一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面110aが形成され、且つ、この信号面110a上に信号層120が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に赤外線レーザー光照射用の平坦面110bが形成されている。
【0016】
更に、図6(b)に示した如く、従来の情報記録担体100では、上述したように光透過性基板110の信号面110a上に信号層120を成膜した後に、信号層120上に保護層130とレーベル層140とが順に成膜されて、完成品として出荷されている。
【0017】
この際、CD,ビデオCD,CD−ROMなど再生専用タイプの場合に、光透過性基板110の一方の面に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面110aには、凹凸状のピット列により螺旋状のトラックがトラックピッチ1.6μmで予め形成され、この凹凸状のピット列上に信号層120としてアルミ,金などの反射膜が成膜されている。そして、再生専用タイプの場合に、光透過性基板110の他方の面に形成した平坦面110b側から再生用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に絞り込んで信号層120に照射して、信号層120中の反射膜で反射された戻り光を不図示のフォトディテクタで検出して再生している。
【0018】
また、CD−R,CD−RWなど記録再生可能タイプの場合に、光透過性基板110の一方の面に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面110aには、凹状のグルーブ(溝)と凸状のランドとを対にして螺旋状のトラックがトラックピッチ1.6μmで予め形成され、これらのグルーブ上とランド上とに反射率変化又は屈折率変化もしくはその両方の変化を起こす信号層120として色素又は相変化材料による記録膜が成膜されている。そして、記録再生可能タイプの場合に、光透過性基板110の他方の面に形成した平坦面110b側から記録用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に絞り込んで信号層120に照射して各種の情報を信号層120中の記録膜に記録し、この後、記録済みの信号層120を上記と同じように再生用の赤外線レーザー光で再生している。
【0019】
上記した各種のCDは、赤外線レーザー光の波長λが略780nm、対物レンズの開口数NAが略0.45とした光ディスク装置を用いて記録及び/又は再生するものであり、直径120mmのサイズで0.7GBの記録容量を有している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これら各種のCDを、ユーザ需要にあわせて2倍程度の高密度化を図ろうとする場合、従来の技術では、レーザー光の波長λを小さくするか、対物レンズの開口数NAを大きくすることにより、レーザー光のスポットサイズを縮小することができる。
【0021】
しかしながら、先述したように既存のCDインフラをそのまま使用することが適切であるから、光ディスク装置内で部品の交換を伴うような設計変更は不適切である。従って、各種のCDの記録容量は0.7GB程度で留まっていた。
【0022】
本発明人は、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100が何故高密度化できないかを鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。即ち、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100において、光透過性基板110の一方に形成した信号面110a自身を高密度化することは技術的に可能であるものの、この情報記録担体100を光ディスク装置にて記録及び/又は再生する場合に、十分なマージンを見ておかねばならない事情があることが高密度化を妨げている原因であった。
【0023】
また、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100は、光透過性基板110が1枚基板であるために製造時に光透過性基板110が反ったり、出荷後の温度・湿度環境変化によって光透過性基板110が反り易く、CDシステムに適用される光ディスク装置に従来の情報記録担体100を装着した際に、不図示の対物レンズから照射される赤外線レーザー光が基板反りにより理想的な垂直入射とならないことが多かった。従って、光ピックアップによる傾き再生によりコマ収差が発生し、クロストークと符号間干渉が相対的に増加し、波形歪みが生じてエラーレートを増加させていた。言い換えれば、従来の光透過性基板110に形成した信号面110a及び信号層120を仮に高密度化した場合に、光透過性基板110の基板反りの問題が十分なマージンを必要とし、記録密度を制限していることが分かった。
【0024】
そこで、CDシステムに適用される光ディスク装置に対して改変を加えることなく、情報の高密度化、大容量化を図り、且つ、基板反りの少ない情報記録担体が望まれている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面を形成して、この信号面上に信号層を成膜し、且つ、前記一方の面側と対向する他方の面側に平坦面を形成した第1光透過性基板と、
光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面をそれぞれ形成した第2光透過性基板と、
前記第1光透過性基板の他方の面側に形成した前記平坦面と、前記第2光透過性基板のいずれかの面側に形成した前記平坦面とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層とを少なくとも備え、
前記第2光透過性基板側からレーザー光を入射して、該レーザー光を前記第2光透過性基板,前記光透過性接着剤層を介して前記第1光透過性基板の前記信号層に照射するように構成したことを特徴とする情報記録担体である。
【0026】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の情報記録担体において、
前記光透過性接着剤層は、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いたことを特徴とする情報記録担体である。
【0027】
また、第3の発明は、上記した第1又は第2の発明の情報記録担体の情報記録担体において、
前記第1光透過性基板の前記信号面及び前記信号層中のトラックピッチを1.0μmに設定し、且つ、前記信号層中の最短記録マークの長さ又は前記信号面中の最短ピットの長さを0.61μmに設定したことを特徴とする情報記録担体である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る情報記録担体の一実施形態を図1乃至図5を参照して、<第1実施形態の情報記録担体>,<第2実施形態の情報記録担体>の順に詳細に説明する。
【0029】
<第1実施形態の情報記録担体>
図1は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図、
図2は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、グルーブとランドとを対にした信号層が未記録状態を模式的に示した図、
図3は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、信号層中のグルーブに記録マークを記録した状態を模式的に示した図である。
【0030】
図1(a),(b)に示した本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aは、波長λが略780nmの赤外線レーザー光を用いるCDシステムに適用可能に構成されており、且つ、第1,第2光透過性基板10,30を貼り合わせて構成したときに、第1光透過性基板10に形成した信号面10a及びこの信号面10aに成膜した信号層20が記録再生可能に形成されている。
【0031】
即ち、図1(a)に示した如く、上記した第1実施形態の情報記録担体1Aでは、基板作製時に、例えば射出成形などにより光透過性を有する透明な樹脂材料を用いて第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30が共に同じ外形形状で例えば直径120mm,中心孔の孔径15mm,基板厚みはそれぞれ所定の厚みとして例えば0.6mmに円盤状に形成されている。
【0032】
この際、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面10aが形成され、且つ、この信号面10a上に信号層20が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に接着用の平坦面10bが形成されている。
【0033】
また、第2光透過性基板30の一方の面側に接着用の平坦面30aが形成され、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に赤外線レーザー光照射用の平坦面30bが形成されており、言い換えると、両面共に平坦面30a,30bになっている。この際、図示とは異なって、第2光透過性基板30の一方の面側に形成した平坦面30aを赤外線レーザー光照射用とし、他方の面側に形成した平坦面30bを接着用としても何等の支障も生じない。
【0034】
そして、第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30の一方の面側(又は他方の面側)に形成した平坦面30a(又は平坦面30b)とを互いに対向させ、且つ、両平坦面10b,30a(又は10b,30b)同士を光透過性接着剤により接着することで、平坦面10bと平坦面30a(又は30b)との間に光透過性接着剤層40が形成されて、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30とが強固に接着されている。
【0035】
上記のように第1実施形態の情報記録担体1Aを構成した際に、第2光透過性基板30のうちで接着をしていない平坦面30b(又は30a)側から記録用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に入射して、この赤外線レーザー光を第2光透過性基板30,光透過性接着剤層40を順に透過させて第1光透過性基板10の信号層20に照射することで各種の情報を記録し、再生時に再生用の赤外線レーザー光により信号層20に記録された各種の情報を読み取っている。
【0036】
従って、上記した情報記録担体1Aは、このように第1光透過性基板10側に信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1面のみ設けた情報記録担体でありながら、光透過性基板を2枚構成としたものであり、製造時及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りに対して大幅な低減を図ると共に、後述するように従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させるものである。
【0037】
即ち、製造時における基板反りはある程度避けられないものであるが、このように第1,第2光透過性基板10,30により基板構成を2枚にして貼り合わせる際に、2枚の第1,第2光透過性基板10,30の基板反りを互いに打ち消しあうように組み合わせて接着することが可能になり、製造時の基板反りを大幅に抑えることができる。
【0038】
また、出荷後の温度・湿度環境変化に際しては、2枚の第1,第2光透過性基板10,30が光透過性接着剤層40によって接着されているので、それぞれの基板反りを情報記録担体1Aの中央部で吸収する構造になっているため基板反りの変化が大幅に抑えられる。
【0039】
更に、図1(b)に示した如く、第1実施形態の情報記録担体1Aでは、上述したように、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30とを接着した後に、第1光透過性基板10の信号層20上に保護層50とレーベル層60とが順に成膜されて、完成品として出荷される。上記した保護層50は信号層20を保護するものであり、また、レーベル層60は文字やデザインなどを表示するものである。
【0040】
次に、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに使用するそれぞれの構成材料について順を追って説明する。
【0041】
まず、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、情報記録担体1Aとして剛性を持たせて2枚の光透過性基板10,30を保持する機能を有するとともに、赤外線レーザー光を入射させるために十分な光透過性を有する基板材料を用いている。
【0042】
このような光透過性を有する基板材料としては、合成樹脂又はセラミックのいずれかが用いられる。合成樹脂の代表例としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体,ポリビニルクロライド,脂環式ポリオレフィン,ポリメチルペンテン,三酢酸セルロース,二酢酸セルロースに代表される各種熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂、各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂の例を含む)を好適に用いることができる。また、セラミックの代表例としては、ソーダライムガラス,ソーダアルミノ珪酸ガラス,ホウ珪酸ガラス,石英ガラスなどを用いることができる。
【0043】
尚、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、十分な光透過率が必要であり、赤外線レーザー光の波長λ(ここではλ=略780nm)において、光透過率を80%以上、望ましくは、90%以上有した基板材料を用いることが必要である。また、光学的な異方性も赤外線レーザー光への劣化につながるから、抑制することが必要であり、具体的には波長λにおける複屈折が、90度(垂直)入射ダブルパスにて±100nm以下、望ましくは±50nm以下とすることが必要である。
【0044】
尚、第1,第2光透過性基板10,30を剛性を持たせて保持する必要性から第1,第2光透過性基板10,30の各厚みはそれぞれ0.2mm〜1.0mmの範囲が望ましく、且つ、従来のCDシステムとの互換性を図る意味から、第1,第2光透過性基板10,30の各厚みの合計が1.2mmとなるように設定されており、これに合わせて第1,第2光透過性基板10,30の各厚みを組み合わせれば良い。また、温度・湿度変化による影響を最小限にするために、第1,第2光透過性基板10,30の各厚みは同じとすることが望ましく、従って第1,第2光透過性基板10,30の各厚みは共に0.6mmとするのが最も望ましい。また、第1,第2光透過性基板10,30の各基板材料は、温度変化時の線膨張係数や湿度変化時の湿度膨張係数が互いにほぼ一致した物性であることが望ましく、従って共に同じ基板材料であることが最も望ましい。
【0045】
次に、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上に成膜した信号層20について説明する。
【0046】
第1の実施形態における信号層20は、各種の情報を記録再生するために信号面10a中のグルーブG上及びランドL上に成膜した記録膜からなる薄膜層である。
【0047】
ここで、信号層20中の記録膜の材料としては、相変化材料,色素材料,光磁気材料などが挙げられる。即ち、相変化材料や色素材料は、記録前後における反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を起こす材料である。また、光磁気材料は記録前後におけるカー回転角の変化を起こす材料である。
【0048】
相変化材料としては、インジウム,アンチモン,テルル,セレン,ゲルマニウム,ビスマス,バナジウム,ガリウム,白金,金,銀,銅,アルミニウム,シリコン,パラジウム,錫,砒素などの合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にGeSbTe系,AgInTeSb系,CuAlSbTe系,AgAlSbTe系などの合金が好適である。各元素の組成は、例えばGeSbTe系としてGe2Sb2Te5,Ge1Sb2Te4,Ge8Sb69Te23,Ge8Sb74Te18,Ge5Sb71Te24,Ge5Sb76Te19,Ge10Sb68Te22,Ge10Sb72Te18などが挙げられる。また、AgInSbTe系として、Ag4In4Sb66Te26,Ag4In4Sb64Te28,Ag2In6Sb64Te28,Ag3In5Sb64Te28,Ag2In6Sb66Te26などが挙げられる。これらの相変化材料は、赤外線レーザー光による熱記録によって、アモルファス−結晶間の相変化を起こし、後述するように記録マークM(図3)が形成される。その結果、反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0049】
尚、これらの記録材料に添加元素としてCu,Ba,Co,Cr,Ni,Pt,Si,Sr,Au,Cd,Li,Mo,Mn,Zn,Fe,Pb,Na,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,Ti,V,Ge,Se,S,As,Tl,In,Pd,Pt,Niの群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で0.01原子%以上10原子%未満含有することもできる。例えばGeSbTe系にSn,In等の金属を添加した系、AgInSbTe系にCu,Fe,Ge等の金属や半導体を添加した系などであっても良い。
【0050】
また、色素材料としては、シアニン色素,フタロシアニン色素,ナフタロシアニン色素,アゾ色素,ナフトキノン色素,フルギド色素,ポリメチン色素,アクリジン色素,ポルフィリン色素などを用いることができる。これらの色素材料は、赤外線レーザー光による熱記録によって、化学構造変化または物理形状変化を起こし、記録マークM(図3)が形成される。その結果、反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0051】
また、光磁気材料としては、テルビウム,コバルト,鉄,ガドリニウム,クロム,ネオジム,ジスプロシウム,ビスマス,パラジウム,サマリウム,ホルミウム,プロセオジム,マンガン,チタン,パラジウム,エルビウム,イッテルビウム,ルテチウム,錫などの合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)を用いることができ、特に、TbFeCo,GdFeCo,DyFeCoなどに代表されるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適である。尚、コバルトと白金の交互積層膜を用いて信号層20としても良い。これら光磁気材料は、磁気記録または熱を併用した磁気記録によって、スピンが変化し、記録マークM(図3)が形成される。その結果、カー回転角の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0052】
上記した各種の記録材料を適宜用いた信号層20は、その厚みを1nm〜500nm、望ましくは2nm〜300nmの厚みで成膜する。その成膜方法は、真空蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング,化学気層堆積法(CVD)等を用いることができる。尚、色素材料のうち、特に溶剤に可溶な材料については、液層被膜形成法、例えばディップコーティング,スピンコーティング,バーコーティング,ナイフコーティング,ロールコーティングなども用いることができる。尚、信号層20には、再生出力向上や記録書き換え回数向上、保存安定性向上等の目的で、補助膜、例えばシリコン,タンタル,亜鉛,マグネシウム,カルシウム,アルミニウム,クロム,ジルコニウムなどの合金(酸化物,窒化物,硫化物,フッ化物,炭化物の例を含む)や高反射膜(アルミニウム,金,銀などや、これらを含む合金)を併用して積層しても良い。
【0053】
次に、上記した光透過性接着剤層40について説明する。光透過性接着剤層40は第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(又は30b)とを光透過性接着剤を用いて接着した時に両平坦面10b,30a(又は10b,30b)間に形成されたものであり、更に、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)側から入射した赤外線レーザー光を第1光透過性基板10の信号層20に導くものである。具体的には、波長λ=略780nmの赤外線レーザー光を80%以上、望ましくは90%以上透過する熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などを用いることができる。この光透過性接着剤層40の厚みは、接着力が発揮する最低厚みとして0.001mm以上、接着材料の応力割れの発生防止のために0.1mm以下、望ましくは0.07mm以下とする。光透過性接着剤層40の成膜方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射、温湿度管理された気流の吹き付けなどから選ばれる硬化とを用いることができる。
【0054】
次に、上記した保護層50について説明する。保護層50としては、熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などを用いることができる。この保護層50の厚みは、キズ付防止を発揮する最低厚みとして0.001mm以上、保護層50存在による基板反りの防止のために0.02mm以下、望ましくは0.01mm以下とする。保護層50の成膜方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射、温湿度管理された気流の吹き付けなどから選ばれる硬化を用いることができる。
【0055】
次に、上記したレーベル層60について説明する。レーベル層60としては、熱硬化樹脂や各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む)に対して、各種色の顔料や染料を混合したものを用いることができる。このレーベル層60の厚みは、目視可能な最低厚みとして0.001mm以上、レーベル層60の存在による基板反りの防止のために0.02mm以下、望ましくは0.01mm以下とする。レーベル層60の成膜方法としては、スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射などから選ばれる硬化を用いることができる。
【0056】
ここで、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、例えば外径を120mmに形成した従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させるために、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10aと、この信号面10a上に成膜した信号層20の微細パターンについて図1〜図3を併用して説明する。
【0057】
まず、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面10aは、各種の情報を記録再生するためにグルーブGとランドLとを対にして螺旋状のトラックがトラックピッチ1.0μmで予め形成されており、言い換えれば、グルーブGの幅とランドLの幅とを合わせて1.0μmに設定されているものの、グルーブGの幅とランドLの幅は同じ寸法の場合と、互いに異なる寸法の場合のいずれでも良い。この信号面10aの微細パターンについては下記するが、信号面10aは射出成形法,圧縮成形法,プレス法,エッチング法などによって形成されている。
【0058】
より具体的には、図1(a)及び図2に示したように、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した凹凸状の微細パターンに信号面10aは、微視的にはグルーブ(溝)GとランドLとを対にして両者が略平行に且つ交互に形成されている。更に、グルーブG及びランドLそれぞれは連続体からなり、マクロ的に見ると、グルーブGとランドLとを対にして螺旋状のトラックとして形成されたものである。そして、グルーブGの中心線とグルーブGの中心線の距離は、一定間隔、即ちトラックピッチTPgとなるように設定されている。上記したトラックピッチTPgは、情報記録担体1Aの記録容量を決定するものであり、従来のCDがトラックピッチ1.6μmで且つ記録容量が0.7GB程度であるのに対して、この第1実施形態では、第1,第2光透過性基板10,30の外径を従来のCDと同じサイズで120mmに形成した場合、信号面10a及び信号層20中のトラックピッチTPgを1.0μmに設定し、且つ、後述するように信号層20中の記録マークM(図3)の最短記録マークの長さML(図3)を0.61μmに設定することで記録容量が1.5GB程度まで増し、従来のCDによりも記録容量を2倍程度増大させることができることになる。
【0059】
尚、ここでグルーブGとは、「これでわかる光ディスク」(特許庁編、社団法人発明協会2000年発行)に記載された表4.4−1の定義に従っている。即ち、グルーブGは、ディスクの「基板表面に記録トラックを形成するために、予め螺旋状または同心円状に設けられた凹状溝」である。またランドLも同様に同書の定義に従う。即ち、ランドLは、ディスクの「基板表面に記録トラックを形成するために、予め螺旋状または同心円状に設けられた凸状部」である。尚ここで、「基板」とは本発明における第1光透過性基板10に相当するものである。
【0060】
尚、マクロ的に見ればグルーブGとグルーブGは互いに平行であるが、グルーブGは第1光透過性基板10の半径方向に微小に蛇行させても良い。そして、グルーブGを第1光透過性基板10の半径方向に微小に蛇行させることによって、グルーブGに補助情報を埋め込むことができる。具体的には、グルーブGに埋め込む補助情報は、振幅変移変調,周波数変移変調,位相変移変調の少なくとも1つの変調波として形成される。また、この補助情報は、光ディスク装置によって記録再生を行なう際に、情報記録担体1A上で正確な位置出しを行なうためのアドレス情報や、信号層20の性質に対応した記録時の最適パルス波形情報を提供するものである。この補助情報は、既存のCD−RやCD−RWとの互換を考えると、正弦波を基本波とした周波数変移変調波であり、線速度一定(CLV…Constant Linear Velocity)の様式で形成される。
【0061】
ところで、第1光透過性基板10信号面10a中のグルーブ(溝)Gの深さであるが、赤外線レーザー光の波長λと、第1,第2光透過性基板10,30及び光透過性接着剤層40からなる積層体の波長λにおける屈折率nとに対応して、グルーブ(溝)Gの深さはλ/20n〜λ/2nの間が選ばれる。望ましくは、グルーブ(溝)Gの深さがλ/18n〜λ/2.4nの間の範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び記録再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましい。この際、光透過性接着剤層40は、先述のように第1,第2光透過性基板10,30の各厚みに比べて十分薄く、更に第1,第2光透過性基板10,30はほぼ一致した物性であることが望ましいから、上記した屈折率nは、実質的には第1光透過性基板10(または第2光透過性基板30)に対する赤外線レーザー光の波長λにおける屈折率と等価の値となる。従って、赤外線レーザー光の波長λが略780nmであり、この波長λにおける屈折率nが略1.58である場合には、信号面10a中のグルーブ(溝)Gの望ましい深さは27nm〜206nmの範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び記録再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましいこととなる。
【0062】
次に、第1光透過性基板10の信号面10a上に成膜した信号層20中のグルーブGの深さは、信号層20中の記録膜が薄膜に成膜されているために、第1光透過性基板10の信号面10a中のグルーブGの深さと略同じである。従って、図3に示した如く、信号層20の表面20aの平面図は、図2に示した信号面10aの平面図と類似したものとなり、信号層20中のグルーブGとランドLとが略平行に交互に形成されている。この際、グルーブGの中心線とグルーブGの中心線の距離は、一定間隔、即ちトラックピッチTPgrとなるが、この値は図2に示したトラックピッチTPgと一致するものである(即ち、TPgr=TPg)。
【0063】
そして、ユーザは、各種の情報を信号層20中のグルーブGに記録を行なう。この結果、グルーブG中にのみ記録マークMが形成される。ここで、記録マークMは、それ以外の領域と比べて屈折率変化、反射率変化、スピン変化の少なくとも1つの変化を起こしている領域であり、記録信号のONまたはOFFに対応する。尚、記録は変調信号によって行なわれており、記録マークMは種々の長さのものがある。その数や出現頻度は変調信号のパターンに依存する。既存のCD−RやCD−RWとの互換を考えると、情報記録担体1Aに記録する変調信号にはEFM(Eight to Fourteen Modulation)を用いる。従って、記録マークMの長さはいわゆる3T〜11Tの9種類となり、このうち最短記録マークである3Tが最も出現頻度が高い。
【0064】
尚、記録マークMは種々ある長さのうち、最短記録マークの長さMLが情報記録担体1Aの線記録密度を決定するものとなる。先述したようにトラックピッチTPg(=TPgr)はトラック記録密度を決定するものであるから、トラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLとの各数値を適当に選ぶことによって、1.5GB以上の記録容量を選択することができる。具体的には、記録変調信号をEFMとし、第1光透過性基板10の半径25mm〜58.5mmを記録領域としてCD−R、CD−RWと互換性を持たせた場合には、情報記録担体1Aの記録容量(GB)は0.915/(TPg×ML)で計算される。尚ここで、トラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLの各単位は共にμmである。従って、情報記録担体1Aを1.5GB以上の記録容量とする場合には、(TPg×ML)=0.915/1.5=0.61の関係を満たすようにトラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLとを設定すれば良い。
【0065】
以上述べたように、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aでは、第1光透過性基板10に信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1面有しながら、第1,第2光透過性基板10,20により基板構成を2枚にすることで、製造時の基板反り及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りが大幅に低減されると共に、従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させることができる。
【0066】
次に、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに対して具体的な実施例1,2と、この実施例1,2に対する比較例1,2について以下説明する。
【0067】
(実施例1)
第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、第1光透過性基板10の信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を複数回の記録再生が可能なようにCD−RWタイプに成膜して、図1(a),(b)に示した情報記録担体1Aを製造した。
【0068】
即ち、0.6mm厚みのポリカーボネートからなる外径120mm、中心孔の孔径15mmの第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30を用意した。尚、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、赤外線レーザー光の波長λ=略780nmにおいて光透過率を90%有し、ダブルパスにて±100nmの垂直入射複屈折を有している。そして、第1光透過性基板10の一方の面側には凹凸状の微細パターンによる信号面10aが形成されていると共に、一方の面と対向する他方の面側には平坦面10bが形成されている。また、第2光透過性基板30は両面共に平坦面30a,30bが形成されている。また、第1光透過性基板10の信号面10aの凹凸状の微細パターンは、トラックピッチTPg=1.0μmとしたグルーブGとランドLを対にしたトラックからなっている。そしてグルーブGには、アドレス情報等の補助情報が、第1光透過性基板10の半径方向に蛇行するように形成されており、具体的には54μmの周期を有した正弦波(2π)を基本波とし、2π±(π/1.5)の周期を有した周波数変移変調波で形成されている。即ち、例えば2π+(π/1.5)を“0”とし、2π−(π/1.5)を“1”としたデジタル記録によって補助情報がグルーブGに記録されている。
【0069】
続いて、赤外線レーザー光の波長λ=略780nmにおいて光透過率を85%有した紫外線硬化樹脂からなる光透過性接着剤を用意し、第1光透過性基板10の平坦面10bと第2光透過性基板30の平坦面30a(又は30b)とを対向させて0.01mmの厚さで両光透過性基板10,30同士を接着した。
【0070】
続いて、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上にスパッタリング法を用い、ZnSSiO/AgInTeSb/ZnSSiO/AlTiからなる相変化信号層20を厚み0.1μmで成膜し、また、相変化信号層20上に紫外線硬化樹脂からなる保護層50を厚み0.005μmで成膜し、更に、保護層50上に紫外線硬化樹脂及び顔料からなるレーベル層60を厚み0.01μmで成膜して、図1(b)のように情報記録担体1Aを完成させた。この際、情報記録担体1Aの基板反りを測定したところ、情報記録担体1Aの半径方向の基板反りが0.1度であり、ほぼフラットであった。
【0071】
続いて、この情報記録担体1Aを室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体1Aの半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で0.1度であり、ほぼフラットに維持された。
【0072】
続いて、この情報記録担体1Aを市販のCD−RWドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。言い換えれば、トラックピッチTPg=1.0μmと、最短記録マークの長さML=0.61μmから計算される、外径120mmのCDサイズで1.5GB相当の記録を行った。
【0073】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体1Aに対して0.2度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、良好な変調度の信号が再生され、その再生エラーレートは、2.0×10−4程度であった。再生エラーレートが3×10−4を超えると、エラー訂正が不十分となるから、この情報記録担体1Aは良好なエラーレートを有していた。言い換えると、情報記録担体1Aの製造時の基板反りと、環境変化時の基板反りの合計に相当する基板反りとを意図的に与えた状況であっても、エラーレートは良好であった。
【0074】
(比較例1)
従来のCD−RWの製造法と同様の方法によって、図6に示した従来の情報記録担体100を製造した。即ち、実施例1に対して1.2mm厚みのポリカーボネートからなる光透過性基板110に置き換える他は、光透過性基板110の信号面110a及びこの信号面110a上に成膜した信号層120は実施例1と同様に作製した。この情報記録担体100の基板反りを測定したところ、情報記録担体100の半径方向の基板反りが0.4度あった。
【0075】
続いて、この情報記録担体100を室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体100の半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で1.1度もあった。
【0076】
続いて、この情報記録担体100を市販のCD−RWドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0077】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体100に対して1.1度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、歪んだ変調度の小さい信号が再生され、その再生エラーレートは、1.5×10−2と著しく大きかった。言い換えると、情報記録担体100の製造時の基板反りと環境変化時の基板反りのうち、大きい方に相当する基板反りを意図的に与えた状況では、エラー訂正が不十分であり、データ保存用の用件を全く満たしていなかった。
【0078】
(実施例2)
第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、第1光透過性基板10の信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1回だけ記録再生が可能なようにCD−Rタイプに成膜して、図1(a),(b)に示した情報記録担体1Aを製造した。
【0079】
ここで、実施例1と異なる点は、第1光透過性基板10の信号層20に色素材料を用いたことである。即ち、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上にスパッタリング法を用い、シアニン色素/Auからなる色素信号層20を厚み0.2μmで成膜し、また、色素信号層20上に紫外線硬化樹脂からなる保護層50を厚み0.005μmで成膜し、更に、保護層50上に紫外線硬化樹脂及び顔料からなるレーベル層60を厚み0.01μmで成膜して、図1(b)のように情報記録担体1Aを完成させた。この際、情報記録担体1Aの基板反りを測定したところ、情報記録担体1Aの半径方向の基板反りが0.1度であり、ほぼフラットであった。
【0080】
続いて、この情報記録担体1Aを室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体1Aの半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で0.08度であり、ほぼフラットに維持された。
【0081】
続いて、この情報記録担体1Aを市販のCD−Rドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0082】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体1Aに対して0.18度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、良好な変調度の信号が再生され、その再生エラーレートは、2.2×10−4程度であった。前述したように再生エラーレートが3×10−4を超えると、エラー訂正が不十分となるから、この情報記録担体1Aは良好なエラーレートを有していた。言い換えると、情報記録担体1Aの製造時の基板反りと、環境変化時の基板反りの合計に相当する基板反りを意図的に与えた状況であっても、エラーレートは良好であった。
【0083】
(比較例2)
従来のCD−Rの製造法と同様の方法によって、図6に示した従来の情報記録担体100を製造した。即ち、実施例2に対して1.2mm厚みのポリカーボネートからなると光透過性基板110に置き換える他は、光透過性基板110の信号面110a及びこの信号面110a上に成膜した信号層120は実施例2と同様に作製した。この情報記録担体100の基板反りを測定したところ、情報記録担体100の半径方向の基板反りが0.4度あった。
【0084】
続いて、この情報記録担体100を室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体100の半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で1.2度もあった。
【0085】
続いて、この情報記録担体100を市販のCD−R記録装置に装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0086】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体100に対して1.2度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、歪んだ変調度の小さい信号が再生され、その再生エラーレートは、2.1×10−2と著しく大きかった。言い換えると、情報記録担体100の製造時の基板反りと環境変化時の基板反りのうち、大きい方に相当する基板反りを意図的に与えた状況では、エラー訂正が不十分であり、データ保存用の用件を全く満たしていなかった。
【0087】
<第2実施形態の情報記録担体>
図4は本発明に係る第2実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図、
図5は本発明に係る第2実施形態の情報記録担体において、信号層が再生専用のピット列として形成された状態を模式的に示した図である。
【0088】
図4(a),(b)に示した本発明に係る第2実施形態の情報記録担体1Bは、先に図1(a),(b)を用いて説明した本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに対して第1,第2光透過性基板10,30を接着した時に形成される光透過性接着剤層40を利用して、再生動作に制限を加えたり、あるいは、レーベル層60に表示した第1のレーベルと異なる目視可能な第2のレーベルを表示することができるように構成にされており、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、第1実施形態に対して異なる構成部材に対して新たな符号を付して説明する。
【0089】
即ち、図4(a),(b)に示した如く、本発明に係る第2実施形態の情報記録担体1Bでも、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより信号面10aが形成され、且つ、この信号面10a上に信号層20が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に形成した平坦面10b上に、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(又は30b)を光透過性接着剤により接着して両平坦面10b,30a(又は10b,30b)間に光透過性接着剤層41を形成している。そして、第1光透過性基板10の信号層20上に保護層50とレーベル層60とが順に成膜されて、完成品として出荷される。
【0090】
この際、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いて光透過性接着剤層41を形成することで、光透過性接着剤層41を利用して、再生動作に制限を加えたり、あるいは、レーベル層60に表示した第1のレーベルと異なる目視可能な第2のレーベルを表示することが可能になっている。
【0091】
以下、説明を簡単にするために、再生専用の情報記録担体として説明する。ここで、第2実施形態の情報記録担体1Bにおいて、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより予め形成した信号面10aが再生専用のピット列からなり、この信号面10a上に成膜した信号層20が反射膜である。
【0092】
上記のように第2実施形態の情報記録担体1Bを構成した際に、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)側から再生用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に照射して、この赤外線レーザー光を第2光透過性基板30,光透過性接着剤層40を順に透過させて第1光透過性基板10の信号層20に収録された各種の情報を読み取っている。
【0093】
より具体的に説明すると、図5に示したように、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより予め形成した信号面10aは、ピットPが接線方向に配列されて、複数のピットPによるピット列でトラックが螺旋状に形成されており、このトラックは一定間隔のトラックピッチTPp毎に配列されている。この際、信号面10a中で複数のピットPによるピット列は、再生すべき情報を振幅変移変調,周波数変移変調,位相変移変調の少なくとも1つの変調方式を適用して記録している。
【0094】
上記したトラックピッチTPpは、情報記録担体1Bの記録容量を決定するものであり、従来のCDがトラックピッチ1.6μmで且つ記録容量が0.7GB程度であるのに対して、この第2実施形態でも第1,第2光透過性基板10,30の外径を従来のCDと同じサイズで120mmに形成した場合、信号面10a及び信号層20中のトラックピッチTPpを1.0μmに設定し、且つ、後述するように信号面10a中のピットPの最短ピットの長さPLを0.61μmに設定することで記録容量が1.5GB程度まで増し、従来のCDによりも記録容量を2倍程度増大させることができることになる。
【0095】
また、ピットPはそれ以外の領域と比べて深さの変化があり、凹凸が形成されている領域であり、記録信号のONまたはOFFに対応する。
【0096】
尚、ピットPの記録は変調信号によって行なわれており、ピットPは種々の長さのものがある。更に、ピットPは種々ある長さのうち、最短ピットの長さPLが情報記録担体1Bの線記録密度を決定するものとなる。従って、情報記録担体1Bを1.5GB程度の記録容量とする場合には、(TPp×PL)=0.61の関係を満たすようにトラックピッチTPpと最短ピットの長さPLとの各数値を適当に選ぶことによって、1.5GB以上の記録容量を選択することができる。
【0097】
ところで、ピットPの深さであるが、赤外線レーザー光の波長λと、第1,第2光透過性基板10,30及び光透過性接着剤層40からなる積層体の波長λにおける屈折率nとに対応して、ピットPの深さはλ/8n〜λ/4nの間が選ばれる。望ましくは、ピットPの深さがλ/6n〜λ/3.8nの間であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び再生信号特性が良好な範囲を選定することが最も望ましい。従って、赤外線レーザー光の波長λが略780nmであり、この波長λにおける屈折率nが1.58である場合には、望ましい深さは82nm〜130nmの範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましいこととなる。
【0098】
次に、第1光透過性基板10の信号面10a上に成膜した信号層20は、情報を読み出す機能を有した反射膜よりなる薄膜層であり、高反射材料を用いる。具体的には波長λの赤外線レーザー光への反射率が70%以上、望ましくは80%以上であるものが使用でき、アルミニウム,銀,シリコン,チタン,クロム,ニッケル,タンタル,モリブデン,鉄,金,銅などの金属又はその合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)などから選択して用いることができる。特にアルミニウムや銀の合金を好適に用いることができる。
【0099】
図5(a),(b)に戻り、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30との間に副次的な機能を持たせて形成した光透過性接着剤層41について説明する。上記した光透過性接着剤層41は、例えば、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を含む光透過性接着剤を用いており、その光透過率は特定波長の光を照射した時に変化しうるものである。
【0100】
ここで、光透過性接着剤層41の材料としては、熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などをベースとし、さらに光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含んでいる。この感光材料は、ベース樹脂に対して0.001%〜10%程度の混合比で混合される。尚、この光透過性接着剤層41の厚み及び成膜方法は、第1実施形態で先述した光透過性接着剤層40と同じである。
【0101】
具体的な一例としては、この感光材料を含む光透過性接着剤層41は、光照射によって直ちに可視光から赤外線までのスペクトルが変化し、光照射終了後、元のスペクトルに戻る性質を有する。この光照射は、赤外線レーザー光の波長λで再生する過程であっても良いし、赤外線レーザー光の波長λ及び別のレーザー光の波長の2波長で再生する過程であっても良い。いずれにしても再生過程では、照射したレーザー光を70%以上、望ましくは80%以上透過する特性を有する。
【0102】
最も単純な例としては、再生装置内に単一波長を出射する半導体レーザーを備えており、この再生装置内で情報記録担体1Bを再生する時に、再生光自身でスペクトルが変化する例が挙げられる。例えば、感光材料にサーモクロミック材料を選択すると、照射前の波長λにおける光透過率が極めて低く、一定露光量以上の照射後に光透過率が上昇し、照射終了後に元の光透過率に戻る性質を有する。このような性質を光透過性接着剤層41が有することにより、光透過性接着剤層41は再生光に対する光ゲートとして作用する。即ち、第1光透過性基板10の信号面10aを再生専用のピットパターンとした場合には、所定の再生パワー以上で再生レーザー光を発光させないと、再生できないことを意味する。この所定再生パワーは、感光材料の種類及び添加濃度によって決定される。従って、従来のCD再生装置では再生できないが、従来のCD再生装置以上の再生パワーを有する再生装置を用意することにより、再生が可能なシステムを構築することが可能になる。この結果、秘匿性の高い情報などを収録した情報記録担体1Bとすることができる。
【0103】
また、感光材料を含む光透過性接着剤層41の別の一例としては、光透過性接着剤層41は光照射によって直ちに可視光から赤外線までのスペクトルが変化するが、光照射を終了してもそのスペクトルが維持される性質を有する。ただし、スペクトル変化前、変化後ともに再生光波長λを照射した際に、再生光波長λにおいて70%以上、望ましくは80%以上透過する。光透過性接着剤層41をこのように設定すると、目視可能なパターンを光透過性接着剤層41に形成できることとなる。即ち、感光材料に例えばフォトクロミック材料を選択し、情報記録担体1Bに対して、微小スポットライトによるスキャニング照射またはマスキングプレートを介した全面照射を行なって、部分的な光照射(例えば紫外線照射)を行なう。これにより、照射部分のスペクトルのみが変化し、非照射部分とは異なる色を呈するようにできる。即ち、第1光透過性基板10の信号面10aに記録された各種の情報とは異なる秘匿性の高い情報や、文字、図柄などを収録することができる。言い換えれば、レーベル層60に表示した第1のレーベルとは異なる目視可能な第2のレーベルを表示することが可能になる。尚、スペクトル変化前、変化後ともに、再生光波長λを照射した際には、70%以上の光透過率を有するから情報記録担体1Bの再生は問題なく行うことができる。
【0104】
また、以上説明した本発明に係る第1,第2実施形態の情報記録担体1A,1Bでは、その基本的な部分のみについて説明したが、情報記録担体1A,1Bの各構成要素は、記録及び/又は再生特性を劣化させない範囲内で相互に入れ替えまたは組み合わせても良い。また、上記記載した内容以外に、本発明を阻害しない範囲での種々変形や追加が可能である。
【0105】
例えば、第1,第2実施形態の情報記録担体1A,1Bにおいて、従来のCDに対して記録容量を2倍程度に増大させて1.5GB程度の記録容量を得るように説明したが、信号面10a中のトラックピッチTPg,TPpと、信号層20中の最短記録マークの長さML,信号面10a中の最短ピットの長さPLを変更して、1.5GB以下の記録容量としても構わない。例えば、TPg=TPp=1.6μm、ML=PL=0.83μmとして、CD,ビデオCD,CD−ROM,CD−R,CD−RW等と同じ0.7GB記録容量としても良い。このように各値を設定することにより、従来のCDよりも基板反りの少ない情報記録担体1A,1Bとすることができるので、記録容量は向上しないものの、極めて高い信頼性を有した情報記録担体とすることができる。また、基板反りが低減されて生じるマージンを、従来のCDにはない、新たな機能を付与することにも転用できる。
【0106】
また、情報記録担体1A,1Bの外形形状は、円盤状(=ディスク状)に限らず、カード状であっても構わない。言い換えると、情報記録担体1A,1Bの外形形状は、円形であっても、四角形でも、楕円形でも構わないし、更に、中心孔が開けられてなくても良いものである。
【0107】
また、取り扱い時の傷つきによる再生光量減少を軽減させるために、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)の表面に、ハードコート層を成膜しても良い。特に、このハードコート層は、第2光透過性基板30の耐摩耗性を考慮して、JIS規格K5400の鉛筆ひっかき試験値がある一定値以上、特にH以上であることが望ましい。この試験値以下であるとハードコート層が削れることによる塵埃の発生が著しくなり、エラーレートが急激に悪くなるからである。
【0108】
ここで、ハードコート層の具体的な材料としては、波長λの赤外線レーザー光を80%以上透過する熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂を用いることができる。このハードコート層の厚みは、耐衝撃性を考慮して0.001mm以上が望ましく、また情報記録担体1A,1B全体の基板反りを考慮して0.01mm以下が望ましい。塗布方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などを用いることができる。
【0109】
また、ハードコート層の別の材料として、波長λの赤外線レーザー光を80%以上透過し、鉛筆ひっかき試験値H以上のカーボン,モリブデン,シリコンなどの単体やその合金(酸化物,窒化物,硫化物,フッ化物,炭化物の例を含む)を用いることもできる(膜厚1〜1000nm)。また、ハードコート層の成膜方法としては真空蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング,化学気層堆積法(CVD)などを用いることができる。
【0110】
また、埃付着による再生光量減少を軽減させるために、ハードコート層には静電気防止材料を微量混入しても良い。具体的には、イオン遊離性材料、または導電性材料であり、界面活性剤や、導電性微粒子(金属微粉末,酸化インジウム・スズ微粉末など)などを用いることができる。
【0111】
また、第1光透過性基板10の信号面10aは、マクロ的に見ると螺旋状であるとしたが、これに限らず、同心円状やライン状であっても良いものである。また、情報記録担体1A,1Bが円盤状(=ディスク状で)ある場合には、線速度一定(CLV…Constant Linear Velocity)の様式で記録されているとしたが、これに限らず、角速度一定(CAV…Constant Angular Velocity )の様式で記録されても良い。あるいは半径毎に異なるゾーンを形成し、各ゾーン毎で制御が異なるZCAV(Zone Constant Angular Velocity)やZCLV(Zone Constant Linear Velocity )を採用しても良い。また、図1(a),(b)において、グルーブGとランドLの形状は、それぞれ矩形に図示したが、V字形やΛ形状であっても良い。
【0112】
また、記録再生可能な情報記録担体1Aにおいて記録される記録マークMや、再生専用の情報記録担体1Bにおいて形成されるピットPは、EFMによる変調された信号であるとしたが、これに限るものではない。いわゆる(d、k)符合と呼ばれるすべての変調方式を用いることができる。即ち、最短記録マーク長(又は最短ピット長い)をd+1、最長記録マーク長(又は最長ピット長)をk+1とした変調信号である。この時、(d、k)変調信号は、固定長符号であっても可変長符号であっても用いることができる。具体的には最短記録マークを2Tとした(1,7)変調,17PP変調,DRL変調,(1,8)変調,(1,9)変調などを用いることができる。例えば、固定長符号の(1,7)変調の代表例としては、D1,7変調(特願2001−80205に記載)が挙げられる。これはまた、固定長符号であるD4,6変調(特開2000−332613に記載)を基本とした(1,7)変調や(1,9)変調にも置き換えても良い。また、最短記録マークを3Tとした可変長符号の(2,7)変調,(2,8)変調,固定長符号の(2,10)変調として、EFMプラス変調、D8−15変調(特開2000−286709号公報記載)なども用いることができる。同様に最短記録マークを4Tとした変調方式{例えば(3,17)変調}や、5Tとした変調方式{例えば(4,21)変調}なども用いることができる。
【0113】
また、情報記録担体1A,1Bは、光ディスク装置への装着性やハンドリング上の保護性を向上するために、情報記録担体1A,1B全体をカートリッジに入れた構成としても良い。
【0114】
また、情報記録担体1A,1Bが円盤状(=ディスク状)の場合、その大きさに制限はなく、例えば直径20〜400mmの範囲内ならば各種のサイズを取ることができる。
【0115】
また、再生又は記録再生に使用するレーザー光の波長は略780nmとしたが、CDシステムを適用せずに、本発明の基板構造による技術的思想を他のシステムの情報記録担体にも拡大させても良く、この場合にはレーザー光の波長は、例えば1300, 980, 830, 650, 635, 515, 460, 442, 430, 413, 405, 370nmなどやその付近などでも可能である。また、対物レンズの開口数NAは、0.45以外に、0.4,0.50, 0.55, 0.60, 0.65, 0.7, 0.75, 0.8, 0.85, 0.9などでも可能である。また、ソリッドイマージョンレンズに代表される1以上の開口数でも可能である。
【0116】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る情報記録担体において、請求項1記載よると、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面を形成して、この信号面上に信号層を成膜し、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に平坦面を形成した第1光透過性基板と、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面をそれぞれ形成した第2光透過性基板と、第1光透過性基板の他方の面側に形成した平坦面と、第2光透過性基板のいずれかの面側に形成した平坦面とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層とからなり、第2光透過性基板側からレーザー光を入射して、このレーザー光を第2光透過性基板,光透過性接着剤層を介して第1光透過性基板の信号層に照射するように構成したため、信号面及びこの信号面に成膜した信号層を1面設けた情報記録担体でありながら、第1,第2光透過性基板により基板構成を2枚にして両光透過性基板同士を貼り合わせることにより、製造時及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りの大幅な低減を図ることができ、これに伴って、信号面及びこの信号面に成膜した信号層への記録容量を増大させることができる。
【0117】
また、請求項2記載によると、請求項1記載の情報記録担体において、光透過性接着剤層は、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いたため、光透過性接着剤層を利用して再生動作に制限を加えたり、あるいは、目視可能なレーベルを表示することができるなど、この光透過性接着剤層に副次的な機能を付与することができる。
【0118】
更に、請求項3記載によると、請求項1又は請求項2記載の情報記録担体において、第1光透過性基板の信号面及び信号層中のトラックピッチを1.0μmに設定し、且つ、信号層中の最短記録マークの長さ又は信号面中の最短ピットの長さを0.61μmに設定したため、情報記録担体の外径を例えば従来のCDサイズと同様に120mmに形成した場合、従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、グルーブとランドとを対にした信号層が未記録状態を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、信号層中のグルーブに記録マークを記録した状態を模式的に示した図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の情報記録担体において、信号層が再生専用のピット列として形成された状態を模式的に示した図である。
【図6】CDシステムに適用される従来の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【符号の説明】
1A…第1実施形態の情報記録担体、
1B…第2実施形態の情報記録担体、
10…第1光透過性基板、10a…信号面、10b…平坦面、
20…信号層、20a…表面、
30…第2光透過性基板、20a…平坦面、20b…平坦面、
40,41…光透過性接着剤層、50…保護層、60…レーベル層、
G…グルーブ、L…ランド、
M…記録マーク、ML…最短記録マークの長さ、
P…ピット、PL…最短ピットの長さ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(Compact Disc)システムに適用される光ディスク装置に対して改変を加えることなく、情報の高密度化、大容量化を図り、且つ、基板反りの少ない情報記録担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、情報記録担体と記録再生手段とを相対運動させて各種の情報を記録及び/又は再生を行うシステムがあり、システムの記録及び/又は再生には光学的手段、磁気的手段、静電容量的手段などが用いられている。このうち光学的手段によって各種の情報を記録及び/又は再生を行うシステムは日常生活に深く浸透している。
【0003】
例えば半導体レーザーから出射させた波長λが略780nmである赤外線レーザー光を利用した再生専用の情報記録担体(=再生専用の光ディスク)としては、音楽情報を予め収録したCD(Compact Disc)とか、映像情報を予め収録したビデオCD(Video Compact Disc)とか、コンピュータデータを予め収録したCD−ROM(CD− Read Only Memory) などがある。これら再生専用のCDは1982年の発売から20年を経過し、その再生システムは世界中の家庭やオフィスに定着したものとなっている。またCDの累積世界枚数は100億枚程度にものぼっている。
【0004】
また、再生専用のCDの技術をベースにした記録再生可能な情報記録担体(=記録再生可能な光ディスク)としては、音楽情報,映像情報,コンピュータデータなど1回だけ記録できるCD−R(CD−Recordable) とか、各種の情報を複数回に亘って繰り返し書き換えできるCD−RW(CD−Rewrittable)などが普及してきている。
【0005】
更に、コンピュータ及びその周辺技術の進歩により、一般ユーザの扱う情報単位は日々増大しており、各種の情報を高密度,大容量に記録及び/又は再生できる光学式の情報記録担体が求められている。
【0006】
このような要求を満たす方法の一つとして、情報記録担体の記録及び/又は再生に用いる半導体レーザーから出射されるレーザー光の波長を短縮することが日々研究されている。例えば近年開発された窒化ガリウム系化合物による青紫レーザー光は、波長λ=405nm近傍の青紫色光で発光するために、記録密度を大幅に高める重要な発光素子になり得る。例えば外径を120mmのCDサイズに形成した場合に、青紫レーザー光を用いて各種の情報を記録及び/又は再生できる超高密度な情報記録担体では15GB〜30GBの記録容量が見積もれる。
【0007】
しかしながら、青紫レーザー光を出射する青紫半導体レーザーそのものがまだサンプル出荷段階であり、この青紫半導体レーザーを用いた光ディスク装置の開発期間中にCDの普及はさらに進んでいるような状況である。
【0008】
一方、ユーザが映像情報とか、コンピュータデータのような大容量のデータを扱う昨今であっても、統計的にユーザが扱うファイルの容量を調査してみると、最大で1.5GB程度であり、120mmサイズのCDの記録容量が0.7GB程度に対して精々2倍程度の容量であることが分った。
【0009】
即ち、短波長の青紫半導体レーザーを用いる超高密度な情報記録担体の開発は進んでいるものの、大多数のユーザはその想定容量の10分の1以下の容量を扱っている。言い換えれば大容量の情報記録担体の容量はもてあますことが予想される。
【0010】
従ってユーザの需要と、既に普及したCDシステムのインフラを考えると、短波長の青紫半導体レーザーを用いたシステムよりも、従来のCDシステムをそのまま用いながら、情報記録担体の容量を2倍程度に高密度化した方が、省資源、省エネルギの観点から相応しいと言える。
【0011】
更に、再生専用のCD,ビデオCDに適用されるCD再生装置とか、再生専用のCD−ROMに適用されるCD−ROMドライブとか、記録再生可能なCD−R,CD−RWなどに適用されるCD−Rドライブ,CD−RWドライブは世の中で既に多用されており、これら各種の光ディスク装置内には波長λ=略780nmの半導体レーザーを取り付けた光ピックアップのみが光ディスクの径方向に移動自在に設けられているので、この種の光ディスク装置をそのまま利用できる高密度の情報記録担体を開発した方がユーザーに取って好都合である。
【0012】
ここで、基板厚みが1.2mmで外径が80mm又は120mmに形成されたCD,ビデオCD,CD−ROM,CD−R,CD−RWなどのCDファミリに共通に用いられている情報記録担体の基本構成について図6(a),(b)を用いて説明する。
【0013】
図6はCDシステムに適用される従来の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【0014】
図6(a)に示した如く、CDシステムに適用される従来の情報記録担体100では、基板作製時に、例えば射出成形などにより光透過性を有する透明な樹脂材を用いて光透過性基板110が直径80mm又は120mm,中心孔の孔径15mm,基板厚み1.2mmに円盤状に形成されている。
【0015】
この際、光透過性基板110の一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面110aが形成され、且つ、この信号面110a上に信号層120が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に赤外線レーザー光照射用の平坦面110bが形成されている。
【0016】
更に、図6(b)に示した如く、従来の情報記録担体100では、上述したように光透過性基板110の信号面110a上に信号層120を成膜した後に、信号層120上に保護層130とレーベル層140とが順に成膜されて、完成品として出荷されている。
【0017】
この際、CD,ビデオCD,CD−ROMなど再生専用タイプの場合に、光透過性基板110の一方の面に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面110aには、凹凸状のピット列により螺旋状のトラックがトラックピッチ1.6μmで予め形成され、この凹凸状のピット列上に信号層120としてアルミ,金などの反射膜が成膜されている。そして、再生専用タイプの場合に、光透過性基板110の他方の面に形成した平坦面110b側から再生用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に絞り込んで信号層120に照射して、信号層120中の反射膜で反射された戻り光を不図示のフォトディテクタで検出して再生している。
【0018】
また、CD−R,CD−RWなど記録再生可能タイプの場合に、光透過性基板110の一方の面に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面110aには、凹状のグルーブ(溝)と凸状のランドとを対にして螺旋状のトラックがトラックピッチ1.6μmで予め形成され、これらのグルーブ上とランド上とに反射率変化又は屈折率変化もしくはその両方の変化を起こす信号層120として色素又は相変化材料による記録膜が成膜されている。そして、記録再生可能タイプの場合に、光透過性基板110の他方の面に形成した平坦面110b側から記録用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に絞り込んで信号層120に照射して各種の情報を信号層120中の記録膜に記録し、この後、記録済みの信号層120を上記と同じように再生用の赤外線レーザー光で再生している。
【0019】
上記した各種のCDは、赤外線レーザー光の波長λが略780nm、対物レンズの開口数NAが略0.45とした光ディスク装置を用いて記録及び/又は再生するものであり、直径120mmのサイズで0.7GBの記録容量を有している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これら各種のCDを、ユーザ需要にあわせて2倍程度の高密度化を図ろうとする場合、従来の技術では、レーザー光の波長λを小さくするか、対物レンズの開口数NAを大きくすることにより、レーザー光のスポットサイズを縮小することができる。
【0021】
しかしながら、先述したように既存のCDインフラをそのまま使用することが適切であるから、光ディスク装置内で部品の交換を伴うような設計変更は不適切である。従って、各種のCDの記録容量は0.7GB程度で留まっていた。
【0022】
本発明人は、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100が何故高密度化できないかを鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。即ち、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100において、光透過性基板110の一方に形成した信号面110a自身を高密度化することは技術的に可能であるものの、この情報記録担体100を光ディスク装置にて記録及び/又は再生する場合に、十分なマージンを見ておかねばならない事情があることが高密度化を妨げている原因であった。
【0023】
また、各種のCDに適用される従来の情報記録担体100は、光透過性基板110が1枚基板であるために製造時に光透過性基板110が反ったり、出荷後の温度・湿度環境変化によって光透過性基板110が反り易く、CDシステムに適用される光ディスク装置に従来の情報記録担体100を装着した際に、不図示の対物レンズから照射される赤外線レーザー光が基板反りにより理想的な垂直入射とならないことが多かった。従って、光ピックアップによる傾き再生によりコマ収差が発生し、クロストークと符号間干渉が相対的に増加し、波形歪みが生じてエラーレートを増加させていた。言い換えれば、従来の光透過性基板110に形成した信号面110a及び信号層120を仮に高密度化した場合に、光透過性基板110の基板反りの問題が十分なマージンを必要とし、記録密度を制限していることが分かった。
【0024】
そこで、CDシステムに適用される光ディスク装置に対して改変を加えることなく、情報の高密度化、大容量化を図り、且つ、基板反りの少ない情報記録担体が望まれている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面を形成して、この信号面上に信号層を成膜し、且つ、前記一方の面側と対向する他方の面側に平坦面を形成した第1光透過性基板と、
光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面をそれぞれ形成した第2光透過性基板と、
前記第1光透過性基板の他方の面側に形成した前記平坦面と、前記第2光透過性基板のいずれかの面側に形成した前記平坦面とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層とを少なくとも備え、
前記第2光透過性基板側からレーザー光を入射して、該レーザー光を前記第2光透過性基板,前記光透過性接着剤層を介して前記第1光透過性基板の前記信号層に照射するように構成したことを特徴とする情報記録担体である。
【0026】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の情報記録担体において、
前記光透過性接着剤層は、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いたことを特徴とする情報記録担体である。
【0027】
また、第3の発明は、上記した第1又は第2の発明の情報記録担体の情報記録担体において、
前記第1光透過性基板の前記信号面及び前記信号層中のトラックピッチを1.0μmに設定し、且つ、前記信号層中の最短記録マークの長さ又は前記信号面中の最短ピットの長さを0.61μmに設定したことを特徴とする情報記録担体である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る情報記録担体の一実施形態を図1乃至図5を参照して、<第1実施形態の情報記録担体>,<第2実施形態の情報記録担体>の順に詳細に説明する。
【0029】
<第1実施形態の情報記録担体>
図1は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図、
図2は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、グルーブとランドとを対にした信号層が未記録状態を模式的に示した図、
図3は本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、信号層中のグルーブに記録マークを記録した状態を模式的に示した図である。
【0030】
図1(a),(b)に示した本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aは、波長λが略780nmの赤外線レーザー光を用いるCDシステムに適用可能に構成されており、且つ、第1,第2光透過性基板10,30を貼り合わせて構成したときに、第1光透過性基板10に形成した信号面10a及びこの信号面10aに成膜した信号層20が記録再生可能に形成されている。
【0031】
即ち、図1(a)に示した如く、上記した第1実施形態の情報記録担体1Aでは、基板作製時に、例えば射出成形などにより光透過性を有する透明な樹脂材料を用いて第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30が共に同じ外形形状で例えば直径120mm,中心孔の孔径15mm,基板厚みはそれぞれ所定の厚みとして例えば0.6mmに円盤状に形成されている。
【0032】
この際、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面10aが形成され、且つ、この信号面10a上に信号層20が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に接着用の平坦面10bが形成されている。
【0033】
また、第2光透過性基板30の一方の面側に接着用の平坦面30aが形成され、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に赤外線レーザー光照射用の平坦面30bが形成されており、言い換えると、両面共に平坦面30a,30bになっている。この際、図示とは異なって、第2光透過性基板30の一方の面側に形成した平坦面30aを赤外線レーザー光照射用とし、他方の面側に形成した平坦面30bを接着用としても何等の支障も生じない。
【0034】
そして、第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30の一方の面側(又は他方の面側)に形成した平坦面30a(又は平坦面30b)とを互いに対向させ、且つ、両平坦面10b,30a(又は10b,30b)同士を光透過性接着剤により接着することで、平坦面10bと平坦面30a(又は30b)との間に光透過性接着剤層40が形成されて、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30とが強固に接着されている。
【0035】
上記のように第1実施形態の情報記録担体1Aを構成した際に、第2光透過性基板30のうちで接着をしていない平坦面30b(又は30a)側から記録用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に入射して、この赤外線レーザー光を第2光透過性基板30,光透過性接着剤層40を順に透過させて第1光透過性基板10の信号層20に照射することで各種の情報を記録し、再生時に再生用の赤外線レーザー光により信号層20に記録された各種の情報を読み取っている。
【0036】
従って、上記した情報記録担体1Aは、このように第1光透過性基板10側に信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1面のみ設けた情報記録担体でありながら、光透過性基板を2枚構成としたものであり、製造時及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りに対して大幅な低減を図ると共に、後述するように従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させるものである。
【0037】
即ち、製造時における基板反りはある程度避けられないものであるが、このように第1,第2光透過性基板10,30により基板構成を2枚にして貼り合わせる際に、2枚の第1,第2光透過性基板10,30の基板反りを互いに打ち消しあうように組み合わせて接着することが可能になり、製造時の基板反りを大幅に抑えることができる。
【0038】
また、出荷後の温度・湿度環境変化に際しては、2枚の第1,第2光透過性基板10,30が光透過性接着剤層40によって接着されているので、それぞれの基板反りを情報記録担体1Aの中央部で吸収する構造になっているため基板反りの変化が大幅に抑えられる。
【0039】
更に、図1(b)に示した如く、第1実施形態の情報記録担体1Aでは、上述したように、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30とを接着した後に、第1光透過性基板10の信号層20上に保護層50とレーベル層60とが順に成膜されて、完成品として出荷される。上記した保護層50は信号層20を保護するものであり、また、レーベル層60は文字やデザインなどを表示するものである。
【0040】
次に、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに使用するそれぞれの構成材料について順を追って説明する。
【0041】
まず、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、情報記録担体1Aとして剛性を持たせて2枚の光透過性基板10,30を保持する機能を有するとともに、赤外線レーザー光を入射させるために十分な光透過性を有する基板材料を用いている。
【0042】
このような光透過性を有する基板材料としては、合成樹脂又はセラミックのいずれかが用いられる。合成樹脂の代表例としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体,ポリビニルクロライド,脂環式ポリオレフィン,ポリメチルペンテン,三酢酸セルロース,二酢酸セルロースに代表される各種熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂、各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂の例を含む)を好適に用いることができる。また、セラミックの代表例としては、ソーダライムガラス,ソーダアルミノ珪酸ガラス,ホウ珪酸ガラス,石英ガラスなどを用いることができる。
【0043】
尚、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、十分な光透過率が必要であり、赤外線レーザー光の波長λ(ここではλ=略780nm)において、光透過率を80%以上、望ましくは、90%以上有した基板材料を用いることが必要である。また、光学的な異方性も赤外線レーザー光への劣化につながるから、抑制することが必要であり、具体的には波長λにおける複屈折が、90度(垂直)入射ダブルパスにて±100nm以下、望ましくは±50nm以下とすることが必要である。
【0044】
尚、第1,第2光透過性基板10,30を剛性を持たせて保持する必要性から第1,第2光透過性基板10,30の各厚みはそれぞれ0.2mm〜1.0mmの範囲が望ましく、且つ、従来のCDシステムとの互換性を図る意味から、第1,第2光透過性基板10,30の各厚みの合計が1.2mmとなるように設定されており、これに合わせて第1,第2光透過性基板10,30の各厚みを組み合わせれば良い。また、温度・湿度変化による影響を最小限にするために、第1,第2光透過性基板10,30の各厚みは同じとすることが望ましく、従って第1,第2光透過性基板10,30の各厚みは共に0.6mmとするのが最も望ましい。また、第1,第2光透過性基板10,30の各基板材料は、温度変化時の線膨張係数や湿度変化時の湿度膨張係数が互いにほぼ一致した物性であることが望ましく、従って共に同じ基板材料であることが最も望ましい。
【0045】
次に、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上に成膜した信号層20について説明する。
【0046】
第1の実施形態における信号層20は、各種の情報を記録再生するために信号面10a中のグルーブG上及びランドL上に成膜した記録膜からなる薄膜層である。
【0047】
ここで、信号層20中の記録膜の材料としては、相変化材料,色素材料,光磁気材料などが挙げられる。即ち、相変化材料や色素材料は、記録前後における反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を起こす材料である。また、光磁気材料は記録前後におけるカー回転角の変化を起こす材料である。
【0048】
相変化材料としては、インジウム,アンチモン,テルル,セレン,ゲルマニウム,ビスマス,バナジウム,ガリウム,白金,金,銀,銅,アルミニウム,シリコン,パラジウム,錫,砒素などの合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にGeSbTe系,AgInTeSb系,CuAlSbTe系,AgAlSbTe系などの合金が好適である。各元素の組成は、例えばGeSbTe系としてGe2Sb2Te5,Ge1Sb2Te4,Ge8Sb69Te23,Ge8Sb74Te18,Ge5Sb71Te24,Ge5Sb76Te19,Ge10Sb68Te22,Ge10Sb72Te18などが挙げられる。また、AgInSbTe系として、Ag4In4Sb66Te26,Ag4In4Sb64Te28,Ag2In6Sb64Te28,Ag3In5Sb64Te28,Ag2In6Sb66Te26などが挙げられる。これらの相変化材料は、赤外線レーザー光による熱記録によって、アモルファス−結晶間の相変化を起こし、後述するように記録マークM(図3)が形成される。その結果、反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0049】
尚、これらの記録材料に添加元素としてCu,Ba,Co,Cr,Ni,Pt,Si,Sr,Au,Cd,Li,Mo,Mn,Zn,Fe,Pb,Na,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,Ti,V,Ge,Se,S,As,Tl,In,Pd,Pt,Niの群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で0.01原子%以上10原子%未満含有することもできる。例えばGeSbTe系にSn,In等の金属を添加した系、AgInSbTe系にCu,Fe,Ge等の金属や半導体を添加した系などであっても良い。
【0050】
また、色素材料としては、シアニン色素,フタロシアニン色素,ナフタロシアニン色素,アゾ色素,ナフトキノン色素,フルギド色素,ポリメチン色素,アクリジン色素,ポルフィリン色素などを用いることができる。これらの色素材料は、赤外線レーザー光による熱記録によって、化学構造変化または物理形状変化を起こし、記録マークM(図3)が形成される。その結果、反射率変化あるいは屈折率変化あるいはその両方の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0051】
また、光磁気材料としては、テルビウム,コバルト,鉄,ガドリニウム,クロム,ネオジム,ジスプロシウム,ビスマス,パラジウム,サマリウム,ホルミウム,プロセオジム,マンガン,チタン,パラジウム,エルビウム,イッテルビウム,ルテチウム,錫などの合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)を用いることができ、特に、TbFeCo,GdFeCo,DyFeCoなどに代表されるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適である。尚、コバルトと白金の交互積層膜を用いて信号層20としても良い。これら光磁気材料は、磁気記録または熱を併用した磁気記録によって、スピンが変化し、記録マークM(図3)が形成される。その結果、カー回転角の変化を生じるので、記録再生が行われるものである。
【0052】
上記した各種の記録材料を適宜用いた信号層20は、その厚みを1nm〜500nm、望ましくは2nm〜300nmの厚みで成膜する。その成膜方法は、真空蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング,化学気層堆積法(CVD)等を用いることができる。尚、色素材料のうち、特に溶剤に可溶な材料については、液層被膜形成法、例えばディップコーティング,スピンコーティング,バーコーティング,ナイフコーティング,ロールコーティングなども用いることができる。尚、信号層20には、再生出力向上や記録書き換え回数向上、保存安定性向上等の目的で、補助膜、例えばシリコン,タンタル,亜鉛,マグネシウム,カルシウム,アルミニウム,クロム,ジルコニウムなどの合金(酸化物,窒化物,硫化物,フッ化物,炭化物の例を含む)や高反射膜(アルミニウム,金,銀などや、これらを含む合金)を併用して積層しても良い。
【0053】
次に、上記した光透過性接着剤層40について説明する。光透過性接着剤層40は第1光透過性基板10の他方の面側に形成した平坦面10bと、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(又は30b)とを光透過性接着剤を用いて接着した時に両平坦面10b,30a(又は10b,30b)間に形成されたものであり、更に、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)側から入射した赤外線レーザー光を第1光透過性基板10の信号層20に導くものである。具体的には、波長λ=略780nmの赤外線レーザー光を80%以上、望ましくは90%以上透過する熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などを用いることができる。この光透過性接着剤層40の厚みは、接着力が発揮する最低厚みとして0.001mm以上、接着材料の応力割れの発生防止のために0.1mm以下、望ましくは0.07mm以下とする。光透過性接着剤層40の成膜方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射、温湿度管理された気流の吹き付けなどから選ばれる硬化とを用いることができる。
【0054】
次に、上記した保護層50について説明する。保護層50としては、熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などを用いることができる。この保護層50の厚みは、キズ付防止を発揮する最低厚みとして0.001mm以上、保護層50存在による基板反りの防止のために0.02mm以下、望ましくは0.01mm以下とする。保護層50の成膜方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射、温湿度管理された気流の吹き付けなどから選ばれる硬化を用いることができる。
【0055】
次に、上記したレーベル層60について説明する。レーベル層60としては、熱硬化樹脂や各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む)に対して、各種色の顔料や染料を混合したものを用いることができる。このレーベル層60の厚みは、目視可能な最低厚みとして0.001mm以上、レーベル層60の存在による基板反りの防止のために0.02mm以下、望ましくは0.01mm以下とする。レーベル層60の成膜方法としては、スクリーン印刷法,オフセット印刷法などから選ばれる塗布と、熱照射、エネルギ線照射などから選ばれる硬化を用いることができる。
【0056】
ここで、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、例えば外径を120mmに形成した従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させるために、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10aと、この信号面10a上に成膜した信号層20の微細パターンについて図1〜図3を併用して説明する。
【0057】
まず、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した凹凸状の微細パターンによる信号面10aは、各種の情報を記録再生するためにグルーブGとランドLとを対にして螺旋状のトラックがトラックピッチ1.0μmで予め形成されており、言い換えれば、グルーブGの幅とランドLの幅とを合わせて1.0μmに設定されているものの、グルーブGの幅とランドLの幅は同じ寸法の場合と、互いに異なる寸法の場合のいずれでも良い。この信号面10aの微細パターンについては下記するが、信号面10aは射出成形法,圧縮成形法,プレス法,エッチング法などによって形成されている。
【0058】
より具体的には、図1(a)及び図2に示したように、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した凹凸状の微細パターンに信号面10aは、微視的にはグルーブ(溝)GとランドLとを対にして両者が略平行に且つ交互に形成されている。更に、グルーブG及びランドLそれぞれは連続体からなり、マクロ的に見ると、グルーブGとランドLとを対にして螺旋状のトラックとして形成されたものである。そして、グルーブGの中心線とグルーブGの中心線の距離は、一定間隔、即ちトラックピッチTPgとなるように設定されている。上記したトラックピッチTPgは、情報記録担体1Aの記録容量を決定するものであり、従来のCDがトラックピッチ1.6μmで且つ記録容量が0.7GB程度であるのに対して、この第1実施形態では、第1,第2光透過性基板10,30の外径を従来のCDと同じサイズで120mmに形成した場合、信号面10a及び信号層20中のトラックピッチTPgを1.0μmに設定し、且つ、後述するように信号層20中の記録マークM(図3)の最短記録マークの長さML(図3)を0.61μmに設定することで記録容量が1.5GB程度まで増し、従来のCDによりも記録容量を2倍程度増大させることができることになる。
【0059】
尚、ここでグルーブGとは、「これでわかる光ディスク」(特許庁編、社団法人発明協会2000年発行)に記載された表4.4−1の定義に従っている。即ち、グルーブGは、ディスクの「基板表面に記録トラックを形成するために、予め螺旋状または同心円状に設けられた凹状溝」である。またランドLも同様に同書の定義に従う。即ち、ランドLは、ディスクの「基板表面に記録トラックを形成するために、予め螺旋状または同心円状に設けられた凸状部」である。尚ここで、「基板」とは本発明における第1光透過性基板10に相当するものである。
【0060】
尚、マクロ的に見ればグルーブGとグルーブGは互いに平行であるが、グルーブGは第1光透過性基板10の半径方向に微小に蛇行させても良い。そして、グルーブGを第1光透過性基板10の半径方向に微小に蛇行させることによって、グルーブGに補助情報を埋め込むことができる。具体的には、グルーブGに埋め込む補助情報は、振幅変移変調,周波数変移変調,位相変移変調の少なくとも1つの変調波として形成される。また、この補助情報は、光ディスク装置によって記録再生を行なう際に、情報記録担体1A上で正確な位置出しを行なうためのアドレス情報や、信号層20の性質に対応した記録時の最適パルス波形情報を提供するものである。この補助情報は、既存のCD−RやCD−RWとの互換を考えると、正弦波を基本波とした周波数変移変調波であり、線速度一定(CLV…Constant Linear Velocity)の様式で形成される。
【0061】
ところで、第1光透過性基板10信号面10a中のグルーブ(溝)Gの深さであるが、赤外線レーザー光の波長λと、第1,第2光透過性基板10,30及び光透過性接着剤層40からなる積層体の波長λにおける屈折率nとに対応して、グルーブ(溝)Gの深さはλ/20n〜λ/2nの間が選ばれる。望ましくは、グルーブ(溝)Gの深さがλ/18n〜λ/2.4nの間の範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び記録再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましい。この際、光透過性接着剤層40は、先述のように第1,第2光透過性基板10,30の各厚みに比べて十分薄く、更に第1,第2光透過性基板10,30はほぼ一致した物性であることが望ましいから、上記した屈折率nは、実質的には第1光透過性基板10(または第2光透過性基板30)に対する赤外線レーザー光の波長λにおける屈折率と等価の値となる。従って、赤外線レーザー光の波長λが略780nmであり、この波長λにおける屈折率nが略1.58である場合には、信号面10a中のグルーブ(溝)Gの望ましい深さは27nm〜206nmの範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び記録再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましいこととなる。
【0062】
次に、第1光透過性基板10の信号面10a上に成膜した信号層20中のグルーブGの深さは、信号層20中の記録膜が薄膜に成膜されているために、第1光透過性基板10の信号面10a中のグルーブGの深さと略同じである。従って、図3に示した如く、信号層20の表面20aの平面図は、図2に示した信号面10aの平面図と類似したものとなり、信号層20中のグルーブGとランドLとが略平行に交互に形成されている。この際、グルーブGの中心線とグルーブGの中心線の距離は、一定間隔、即ちトラックピッチTPgrとなるが、この値は図2に示したトラックピッチTPgと一致するものである(即ち、TPgr=TPg)。
【0063】
そして、ユーザは、各種の情報を信号層20中のグルーブGに記録を行なう。この結果、グルーブG中にのみ記録マークMが形成される。ここで、記録マークMは、それ以外の領域と比べて屈折率変化、反射率変化、スピン変化の少なくとも1つの変化を起こしている領域であり、記録信号のONまたはOFFに対応する。尚、記録は変調信号によって行なわれており、記録マークMは種々の長さのものがある。その数や出現頻度は変調信号のパターンに依存する。既存のCD−RやCD−RWとの互換を考えると、情報記録担体1Aに記録する変調信号にはEFM(Eight to Fourteen Modulation)を用いる。従って、記録マークMの長さはいわゆる3T〜11Tの9種類となり、このうち最短記録マークである3Tが最も出現頻度が高い。
【0064】
尚、記録マークMは種々ある長さのうち、最短記録マークの長さMLが情報記録担体1Aの線記録密度を決定するものとなる。先述したようにトラックピッチTPg(=TPgr)はトラック記録密度を決定するものであるから、トラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLとの各数値を適当に選ぶことによって、1.5GB以上の記録容量を選択することができる。具体的には、記録変調信号をEFMとし、第1光透過性基板10の半径25mm〜58.5mmを記録領域としてCD−R、CD−RWと互換性を持たせた場合には、情報記録担体1Aの記録容量(GB)は0.915/(TPg×ML)で計算される。尚ここで、トラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLの各単位は共にμmである。従って、情報記録担体1Aを1.5GB以上の記録容量とする場合には、(TPg×ML)=0.915/1.5=0.61の関係を満たすようにトラックピッチTPgと最短記録マークの長さMLとを設定すれば良い。
【0065】
以上述べたように、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aでは、第1光透過性基板10に信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1面有しながら、第1,第2光透過性基板10,20により基板構成を2枚にすることで、製造時の基板反り及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りが大幅に低減されると共に、従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させることができる。
【0066】
次に、本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに対して具体的な実施例1,2と、この実施例1,2に対する比較例1,2について以下説明する。
【0067】
(実施例1)
第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、第1光透過性基板10の信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を複数回の記録再生が可能なようにCD−RWタイプに成膜して、図1(a),(b)に示した情報記録担体1Aを製造した。
【0068】
即ち、0.6mm厚みのポリカーボネートからなる外径120mm、中心孔の孔径15mmの第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30を用意した。尚、第1光透過性基板10及び第2光透過性基板30は、赤外線レーザー光の波長λ=略780nmにおいて光透過率を90%有し、ダブルパスにて±100nmの垂直入射複屈折を有している。そして、第1光透過性基板10の一方の面側には凹凸状の微細パターンによる信号面10aが形成されていると共に、一方の面と対向する他方の面側には平坦面10bが形成されている。また、第2光透過性基板30は両面共に平坦面30a,30bが形成されている。また、第1光透過性基板10の信号面10aの凹凸状の微細パターンは、トラックピッチTPg=1.0μmとしたグルーブGとランドLを対にしたトラックからなっている。そしてグルーブGには、アドレス情報等の補助情報が、第1光透過性基板10の半径方向に蛇行するように形成されており、具体的には54μmの周期を有した正弦波(2π)を基本波とし、2π±(π/1.5)の周期を有した周波数変移変調波で形成されている。即ち、例えば2π+(π/1.5)を“0”とし、2π−(π/1.5)を“1”としたデジタル記録によって補助情報がグルーブGに記録されている。
【0069】
続いて、赤外線レーザー光の波長λ=略780nmにおいて光透過率を85%有した紫外線硬化樹脂からなる光透過性接着剤を用意し、第1光透過性基板10の平坦面10bと第2光透過性基板30の平坦面30a(又は30b)とを対向させて0.01mmの厚さで両光透過性基板10,30同士を接着した。
【0070】
続いて、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上にスパッタリング法を用い、ZnSSiO/AgInTeSb/ZnSSiO/AlTiからなる相変化信号層20を厚み0.1μmで成膜し、また、相変化信号層20上に紫外線硬化樹脂からなる保護層50を厚み0.005μmで成膜し、更に、保護層50上に紫外線硬化樹脂及び顔料からなるレーベル層60を厚み0.01μmで成膜して、図1(b)のように情報記録担体1Aを完成させた。この際、情報記録担体1Aの基板反りを測定したところ、情報記録担体1Aの半径方向の基板反りが0.1度であり、ほぼフラットであった。
【0071】
続いて、この情報記録担体1Aを室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体1Aの半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で0.1度であり、ほぼフラットに維持された。
【0072】
続いて、この情報記録担体1Aを市販のCD−RWドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。言い換えれば、トラックピッチTPg=1.0μmと、最短記録マークの長さML=0.61μmから計算される、外径120mmのCDサイズで1.5GB相当の記録を行った。
【0073】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体1Aに対して0.2度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、良好な変調度の信号が再生され、その再生エラーレートは、2.0×10−4程度であった。再生エラーレートが3×10−4を超えると、エラー訂正が不十分となるから、この情報記録担体1Aは良好なエラーレートを有していた。言い換えると、情報記録担体1Aの製造時の基板反りと、環境変化時の基板反りの合計に相当する基板反りとを意図的に与えた状況であっても、エラーレートは良好であった。
【0074】
(比較例1)
従来のCD−RWの製造法と同様の方法によって、図6に示した従来の情報記録担体100を製造した。即ち、実施例1に対して1.2mm厚みのポリカーボネートからなる光透過性基板110に置き換える他は、光透過性基板110の信号面110a及びこの信号面110a上に成膜した信号層120は実施例1と同様に作製した。この情報記録担体100の基板反りを測定したところ、情報記録担体100の半径方向の基板反りが0.4度あった。
【0075】
続いて、この情報記録担体100を室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体100の半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で1.1度もあった。
【0076】
続いて、この情報記録担体100を市販のCD−RWドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0077】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体100に対して1.1度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、歪んだ変調度の小さい信号が再生され、その再生エラーレートは、1.5×10−2と著しく大きかった。言い換えると、情報記録担体100の製造時の基板反りと環境変化時の基板反りのうち、大きい方に相当する基板反りを意図的に与えた状況では、エラー訂正が不十分であり、データ保存用の用件を全く満たしていなかった。
【0078】
(実施例2)
第1実施形態の情報記録担体1Aにおいて、第1光透過性基板10の信号面10a及びこの信号面10a上に成膜した信号層20を1回だけ記録再生が可能なようにCD−Rタイプに成膜して、図1(a),(b)に示した情報記録担体1Aを製造した。
【0079】
ここで、実施例1と異なる点は、第1光透過性基板10の信号層20に色素材料を用いたことである。即ち、第1光透過性基板10の一方の面側に形成した信号面10a上にスパッタリング法を用い、シアニン色素/Auからなる色素信号層20を厚み0.2μmで成膜し、また、色素信号層20上に紫外線硬化樹脂からなる保護層50を厚み0.005μmで成膜し、更に、保護層50上に紫外線硬化樹脂及び顔料からなるレーベル層60を厚み0.01μmで成膜して、図1(b)のように情報記録担体1Aを完成させた。この際、情報記録担体1Aの基板反りを測定したところ、情報記録担体1Aの半径方向の基板反りが0.1度であり、ほぼフラットであった。
【0080】
続いて、この情報記録担体1Aを室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体1Aの半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で0.08度であり、ほぼフラットに維持された。
【0081】
続いて、この情報記録担体1Aを市販のCD−Rドライブに装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0082】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体1Aに対して0.18度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、良好な変調度の信号が再生され、その再生エラーレートは、2.2×10−4程度であった。前述したように再生エラーレートが3×10−4を超えると、エラー訂正が不十分となるから、この情報記録担体1Aは良好なエラーレートを有していた。言い換えると、情報記録担体1Aの製造時の基板反りと、環境変化時の基板反りの合計に相当する基板反りを意図的に与えた状況であっても、エラーレートは良好であった。
【0083】
(比較例2)
従来のCD−Rの製造法と同様の方法によって、図6に示した従来の情報記録担体100を製造した。即ち、実施例2に対して1.2mm厚みのポリカーボネートからなると光透過性基板110に置き換える他は、光透過性基板110の信号面110a及びこの信号面110a上に成膜した信号層120は実施例2と同様に作製した。この情報記録担体100の基板反りを測定したところ、情報記録担体100の半径方向の基板反りが0.4度あった。
【0084】
続いて、この情報記録担体100を室温の環境から高温・高湿の環境(気温55度、湿度85%)に移し、更に12時間後に高温・低湿の環境(気温55度、湿度20%)に移行させて12時間放置した。そして合計24時間後に情報記録担体100の半径方向の基板反りの変化を観察したところ、この過程での基板反り変化は最大で1.2度もあった。
【0085】
続いて、この情報記録担体100を市販のCD−R記録装置に装着し、最短記録マークの長さML=0.61μmとなるようにEFM信号の記録を行なった。
【0086】
続いて市販のCD再生装置に装着し、光ピックアップを情報記録担体100に対して1.2度の角度をなすように装着して、記録した箇所の再生を試みたところ、歪んだ変調度の小さい信号が再生され、その再生エラーレートは、2.1×10−2と著しく大きかった。言い換えると、情報記録担体100の製造時の基板反りと環境変化時の基板反りのうち、大きい方に相当する基板反りを意図的に与えた状況では、エラー訂正が不十分であり、データ保存用の用件を全く満たしていなかった。
【0087】
<第2実施形態の情報記録担体>
図4は本発明に係る第2実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図、
図5は本発明に係る第2実施形態の情報記録担体において、信号層が再生専用のピット列として形成された状態を模式的に示した図である。
【0088】
図4(a),(b)に示した本発明に係る第2実施形態の情報記録担体1Bは、先に図1(a),(b)を用いて説明した本発明に係る第1実施形態の情報記録担体1Aに対して第1,第2光透過性基板10,30を接着した時に形成される光透過性接着剤層40を利用して、再生動作に制限を加えたり、あるいは、レーベル層60に表示した第1のレーベルと異なる目視可能な第2のレーベルを表示することができるように構成にされており、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、第1実施形態に対して異なる構成部材に対して新たな符号を付して説明する。
【0089】
即ち、図4(a),(b)に示した如く、本発明に係る第2実施形態の情報記録担体1Bでも、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより信号面10aが形成され、且つ、この信号面10a上に信号層20が成膜されていると共に、一方の面側と対向する他方の面側に形成した平坦面10b上に、第2光透過性基板30のいずれかの面側に形成した平坦面30a(又は30b)を光透過性接着剤により接着して両平坦面10b,30a(又は10b,30b)間に光透過性接着剤層41を形成している。そして、第1光透過性基板10の信号層20上に保護層50とレーベル層60とが順に成膜されて、完成品として出荷される。
【0090】
この際、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いて光透過性接着剤層41を形成することで、光透過性接着剤層41を利用して、再生動作に制限を加えたり、あるいは、レーベル層60に表示した第1のレーベルと異なる目視可能な第2のレーベルを表示することが可能になっている。
【0091】
以下、説明を簡単にするために、再生専用の情報記録担体として説明する。ここで、第2実施形態の情報記録担体1Bにおいて、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより予め形成した信号面10aが再生専用のピット列からなり、この信号面10a上に成膜した信号層20が反射膜である。
【0092】
上記のように第2実施形態の情報記録担体1Bを構成した際に、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)側から再生用の赤外線レーザー光を不図示の対物レンズによりスポット状に照射して、この赤外線レーザー光を第2光透過性基板30,光透過性接着剤層40を順に透過させて第1光透過性基板10の信号層20に収録された各種の情報を読み取っている。
【0093】
より具体的に説明すると、図5に示したように、第1光透過性基板10の一方の面側に凹凸状の微細パターンにより予め形成した信号面10aは、ピットPが接線方向に配列されて、複数のピットPによるピット列でトラックが螺旋状に形成されており、このトラックは一定間隔のトラックピッチTPp毎に配列されている。この際、信号面10a中で複数のピットPによるピット列は、再生すべき情報を振幅変移変調,周波数変移変調,位相変移変調の少なくとも1つの変調方式を適用して記録している。
【0094】
上記したトラックピッチTPpは、情報記録担体1Bの記録容量を決定するものであり、従来のCDがトラックピッチ1.6μmで且つ記録容量が0.7GB程度であるのに対して、この第2実施形態でも第1,第2光透過性基板10,30の外径を従来のCDと同じサイズで120mmに形成した場合、信号面10a及び信号層20中のトラックピッチTPpを1.0μmに設定し、且つ、後述するように信号面10a中のピットPの最短ピットの長さPLを0.61μmに設定することで記録容量が1.5GB程度まで増し、従来のCDによりも記録容量を2倍程度増大させることができることになる。
【0095】
また、ピットPはそれ以外の領域と比べて深さの変化があり、凹凸が形成されている領域であり、記録信号のONまたはOFFに対応する。
【0096】
尚、ピットPの記録は変調信号によって行なわれており、ピットPは種々の長さのものがある。更に、ピットPは種々ある長さのうち、最短ピットの長さPLが情報記録担体1Bの線記録密度を決定するものとなる。従って、情報記録担体1Bを1.5GB程度の記録容量とする場合には、(TPp×PL)=0.61の関係を満たすようにトラックピッチTPpと最短ピットの長さPLとの各数値を適当に選ぶことによって、1.5GB以上の記録容量を選択することができる。
【0097】
ところで、ピットPの深さであるが、赤外線レーザー光の波長λと、第1,第2光透過性基板10,30及び光透過性接着剤層40からなる積層体の波長λにおける屈折率nとに対応して、ピットPの深さはλ/8n〜λ/4nの間が選ばれる。望ましくは、ピットPの深さがλ/6n〜λ/3.8nの間であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び再生信号特性が良好な範囲を選定することが最も望ましい。従って、赤外線レーザー光の波長λが略780nmであり、この波長λにおける屈折率nが1.58である場合には、望ましい深さは82nm〜130nmの範囲であり、この範囲のうち、更にトラッキング性能及び再生信号特性が良好な範囲を選定するのが最も望ましいこととなる。
【0098】
次に、第1光透過性基板10の信号面10a上に成膜した信号層20は、情報を読み出す機能を有した反射膜よりなる薄膜層であり、高反射材料を用いる。具体的には波長λの赤外線レーザー光への反射率が70%以上、望ましくは80%以上であるものが使用でき、アルミニウム,銀,シリコン,チタン,クロム,ニッケル,タンタル,モリブデン,鉄,金,銅などの金属又はその合金(合金とは酸化物,窒化物,炭化物,硫化物,フッ化物の例を含む)などから選択して用いることができる。特にアルミニウムや銀の合金を好適に用いることができる。
【0099】
図5(a),(b)に戻り、第1光透過性基板10と第2光透過性基板30との間に副次的な機能を持たせて形成した光透過性接着剤層41について説明する。上記した光透過性接着剤層41は、例えば、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を含む光透過性接着剤を用いており、その光透過率は特定波長の光を照射した時に変化しうるものである。
【0100】
ここで、光透過性接着剤層41の材料としては、熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂などをベースとし、さらに光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含んでいる。この感光材料は、ベース樹脂に対して0.001%〜10%程度の混合比で混合される。尚、この光透過性接着剤層41の厚み及び成膜方法は、第1実施形態で先述した光透過性接着剤層40と同じである。
【0101】
具体的な一例としては、この感光材料を含む光透過性接着剤層41は、光照射によって直ちに可視光から赤外線までのスペクトルが変化し、光照射終了後、元のスペクトルに戻る性質を有する。この光照射は、赤外線レーザー光の波長λで再生する過程であっても良いし、赤外線レーザー光の波長λ及び別のレーザー光の波長の2波長で再生する過程であっても良い。いずれにしても再生過程では、照射したレーザー光を70%以上、望ましくは80%以上透過する特性を有する。
【0102】
最も単純な例としては、再生装置内に単一波長を出射する半導体レーザーを備えており、この再生装置内で情報記録担体1Bを再生する時に、再生光自身でスペクトルが変化する例が挙げられる。例えば、感光材料にサーモクロミック材料を選択すると、照射前の波長λにおける光透過率が極めて低く、一定露光量以上の照射後に光透過率が上昇し、照射終了後に元の光透過率に戻る性質を有する。このような性質を光透過性接着剤層41が有することにより、光透過性接着剤層41は再生光に対する光ゲートとして作用する。即ち、第1光透過性基板10の信号面10aを再生専用のピットパターンとした場合には、所定の再生パワー以上で再生レーザー光を発光させないと、再生できないことを意味する。この所定再生パワーは、感光材料の種類及び添加濃度によって決定される。従って、従来のCD再生装置では再生できないが、従来のCD再生装置以上の再生パワーを有する再生装置を用意することにより、再生が可能なシステムを構築することが可能になる。この結果、秘匿性の高い情報などを収録した情報記録担体1Bとすることができる。
【0103】
また、感光材料を含む光透過性接着剤層41の別の一例としては、光透過性接着剤層41は光照射によって直ちに可視光から赤外線までのスペクトルが変化するが、光照射を終了してもそのスペクトルが維持される性質を有する。ただし、スペクトル変化前、変化後ともに再生光波長λを照射した際に、再生光波長λにおいて70%以上、望ましくは80%以上透過する。光透過性接着剤層41をこのように設定すると、目視可能なパターンを光透過性接着剤層41に形成できることとなる。即ち、感光材料に例えばフォトクロミック材料を選択し、情報記録担体1Bに対して、微小スポットライトによるスキャニング照射またはマスキングプレートを介した全面照射を行なって、部分的な光照射(例えば紫外線照射)を行なう。これにより、照射部分のスペクトルのみが変化し、非照射部分とは異なる色を呈するようにできる。即ち、第1光透過性基板10の信号面10aに記録された各種の情報とは異なる秘匿性の高い情報や、文字、図柄などを収録することができる。言い換えれば、レーベル層60に表示した第1のレーベルとは異なる目視可能な第2のレーベルを表示することが可能になる。尚、スペクトル変化前、変化後ともに、再生光波長λを照射した際には、70%以上の光透過率を有するから情報記録担体1Bの再生は問題なく行うことができる。
【0104】
また、以上説明した本発明に係る第1,第2実施形態の情報記録担体1A,1Bでは、その基本的な部分のみについて説明したが、情報記録担体1A,1Bの各構成要素は、記録及び/又は再生特性を劣化させない範囲内で相互に入れ替えまたは組み合わせても良い。また、上記記載した内容以外に、本発明を阻害しない範囲での種々変形や追加が可能である。
【0105】
例えば、第1,第2実施形態の情報記録担体1A,1Bにおいて、従来のCDに対して記録容量を2倍程度に増大させて1.5GB程度の記録容量を得るように説明したが、信号面10a中のトラックピッチTPg,TPpと、信号層20中の最短記録マークの長さML,信号面10a中の最短ピットの長さPLを変更して、1.5GB以下の記録容量としても構わない。例えば、TPg=TPp=1.6μm、ML=PL=0.83μmとして、CD,ビデオCD,CD−ROM,CD−R,CD−RW等と同じ0.7GB記録容量としても良い。このように各値を設定することにより、従来のCDよりも基板反りの少ない情報記録担体1A,1Bとすることができるので、記録容量は向上しないものの、極めて高い信頼性を有した情報記録担体とすることができる。また、基板反りが低減されて生じるマージンを、従来のCDにはない、新たな機能を付与することにも転用できる。
【0106】
また、情報記録担体1A,1Bの外形形状は、円盤状(=ディスク状)に限らず、カード状であっても構わない。言い換えると、情報記録担体1A,1Bの外形形状は、円形であっても、四角形でも、楕円形でも構わないし、更に、中心孔が開けられてなくても良いものである。
【0107】
また、取り扱い時の傷つきによる再生光量減少を軽減させるために、第2光透過性基板30のうちで接着していない平坦面30b(又は30a)の表面に、ハードコート層を成膜しても良い。特に、このハードコート層は、第2光透過性基板30の耐摩耗性を考慮して、JIS規格K5400の鉛筆ひっかき試験値がある一定値以上、特にH以上であることが望ましい。この試験値以下であるとハードコート層が削れることによる塵埃の発生が著しくなり、エラーレートが急激に悪くなるからである。
【0108】
ここで、ハードコート層の具体的な材料としては、波長λの赤外線レーザー光を80%以上透過する熱硬化樹脂,各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂,可視光硬化樹脂,電子線硬化樹脂を含む),湿気硬化樹脂,複数液混合硬化樹脂,溶剤含有熱可塑性樹脂を用いることができる。このハードコート層の厚みは、耐衝撃性を考慮して0.001mm以上が望ましく、また情報記録担体1A,1B全体の基板反りを考慮して0.01mm以下が望ましい。塗布方法としては、スピンコート法,スプレー法,ディップ法,ブレードコート法,ロールコート法,ナイフコーティング法,スクリーン印刷法,オフセット印刷法などを用いることができる。
【0109】
また、ハードコート層の別の材料として、波長λの赤外線レーザー光を80%以上透過し、鉛筆ひっかき試験値H以上のカーボン,モリブデン,シリコンなどの単体やその合金(酸化物,窒化物,硫化物,フッ化物,炭化物の例を含む)を用いることもできる(膜厚1〜1000nm)。また、ハードコート層の成膜方法としては真空蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング,化学気層堆積法(CVD)などを用いることができる。
【0110】
また、埃付着による再生光量減少を軽減させるために、ハードコート層には静電気防止材料を微量混入しても良い。具体的には、イオン遊離性材料、または導電性材料であり、界面活性剤や、導電性微粒子(金属微粉末,酸化インジウム・スズ微粉末など)などを用いることができる。
【0111】
また、第1光透過性基板10の信号面10aは、マクロ的に見ると螺旋状であるとしたが、これに限らず、同心円状やライン状であっても良いものである。また、情報記録担体1A,1Bが円盤状(=ディスク状で)ある場合には、線速度一定(CLV…Constant Linear Velocity)の様式で記録されているとしたが、これに限らず、角速度一定(CAV…Constant Angular Velocity )の様式で記録されても良い。あるいは半径毎に異なるゾーンを形成し、各ゾーン毎で制御が異なるZCAV(Zone Constant Angular Velocity)やZCLV(Zone Constant Linear Velocity )を採用しても良い。また、図1(a),(b)において、グルーブGとランドLの形状は、それぞれ矩形に図示したが、V字形やΛ形状であっても良い。
【0112】
また、記録再生可能な情報記録担体1Aにおいて記録される記録マークMや、再生専用の情報記録担体1Bにおいて形成されるピットPは、EFMによる変調された信号であるとしたが、これに限るものではない。いわゆる(d、k)符合と呼ばれるすべての変調方式を用いることができる。即ち、最短記録マーク長(又は最短ピット長い)をd+1、最長記録マーク長(又は最長ピット長)をk+1とした変調信号である。この時、(d、k)変調信号は、固定長符号であっても可変長符号であっても用いることができる。具体的には最短記録マークを2Tとした(1,7)変調,17PP変調,DRL変調,(1,8)変調,(1,9)変調などを用いることができる。例えば、固定長符号の(1,7)変調の代表例としては、D1,7変調(特願2001−80205に記載)が挙げられる。これはまた、固定長符号であるD4,6変調(特開2000−332613に記載)を基本とした(1,7)変調や(1,9)変調にも置き換えても良い。また、最短記録マークを3Tとした可変長符号の(2,7)変調,(2,8)変調,固定長符号の(2,10)変調として、EFMプラス変調、D8−15変調(特開2000−286709号公報記載)なども用いることができる。同様に最短記録マークを4Tとした変調方式{例えば(3,17)変調}や、5Tとした変調方式{例えば(4,21)変調}なども用いることができる。
【0113】
また、情報記録担体1A,1Bは、光ディスク装置への装着性やハンドリング上の保護性を向上するために、情報記録担体1A,1B全体をカートリッジに入れた構成としても良い。
【0114】
また、情報記録担体1A,1Bが円盤状(=ディスク状)の場合、その大きさに制限はなく、例えば直径20〜400mmの範囲内ならば各種のサイズを取ることができる。
【0115】
また、再生又は記録再生に使用するレーザー光の波長は略780nmとしたが、CDシステムを適用せずに、本発明の基板構造による技術的思想を他のシステムの情報記録担体にも拡大させても良く、この場合にはレーザー光の波長は、例えば1300, 980, 830, 650, 635, 515, 460, 442, 430, 413, 405, 370nmなどやその付近などでも可能である。また、対物レンズの開口数NAは、0.45以外に、0.4,0.50, 0.55, 0.60, 0.65, 0.7, 0.75, 0.8, 0.85, 0.9などでも可能である。また、ソリッドイマージョンレンズに代表される1以上の開口数でも可能である。
【0116】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る情報記録担体において、請求項1記載よると、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面を形成して、この信号面上に信号層を成膜し、且つ、一方の面側と対向する他方の面側に平坦面を形成した第1光透過性基板と、光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面をそれぞれ形成した第2光透過性基板と、第1光透過性基板の他方の面側に形成した平坦面と、第2光透過性基板のいずれかの面側に形成した平坦面とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層とからなり、第2光透過性基板側からレーザー光を入射して、このレーザー光を第2光透過性基板,光透過性接着剤層を介して第1光透過性基板の信号層に照射するように構成したため、信号面及びこの信号面に成膜した信号層を1面設けた情報記録担体でありながら、第1,第2光透過性基板により基板構成を2枚にして両光透過性基板同士を貼り合わせることにより、製造時及び出荷後の温度・湿度環境変化時の基板反りの大幅な低減を図ることができ、これに伴って、信号面及びこの信号面に成膜した信号層への記録容量を増大させることができる。
【0117】
また、請求項2記載によると、請求項1記載の情報記録担体において、光透過性接着剤層は、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いたため、光透過性接着剤層を利用して再生動作に制限を加えたり、あるいは、目視可能なレーベルを表示することができるなど、この光透過性接着剤層に副次的な機能を付与することができる。
【0118】
更に、請求項3記載によると、請求項1又は請求項2記載の情報記録担体において、第1光透過性基板の信号面及び信号層中のトラックピッチを1.0μmに設定し、且つ、信号層中の最短記録マークの長さ又は信号面中の最短ピットの長さを0.61μmに設定したため、情報記録担体の外径を例えば従来のCDサイズと同様に120mmに形成した場合、従来のCDに対して記録容量を2倍程度増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、グルーブとランドとを対にした信号層が未記録状態を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態の情報記録担体において、信号層中のグルーブに記録マークを記録した状態を模式的に示した図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の情報記録担体において、信号層が再生専用のピット列として形成された状態を模式的に示した図である。
【図6】CDシステムに適用される従来の情報記録担体を示す断面図であり、(a)は基板作製状態を示し、(b)は完成品状態を示した図である。
【符号の説明】
1A…第1実施形態の情報記録担体、
1B…第2実施形態の情報記録担体、
10…第1光透過性基板、10a…信号面、10b…平坦面、
20…信号層、20a…表面、
30…第2光透過性基板、20a…平坦面、20b…平坦面、
40,41…光透過性接着剤層、50…保護層、60…レーベル層、
G…グルーブ、L…ランド、
M…記録マーク、ML…最短記録マークの長さ、
P…ピット、PL…最短ピットの長さ。
Claims (3)
- 光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側に凹凸状の微細パターンによる信号面を形成して、この信号面上に信号層を成膜し、且つ、前記一方の面側と対向する他方の面側に平坦面を形成した第1光透過性基板と、
光透過性を有する基板材料を用いて一方の面側及び他方の面側に平坦面をそれぞれ形成した第2光透過性基板と、
前記第1光透過性基板の他方の面側に形成した前記平坦面と、前記第2光透過性基板のいずれかの面側に形成した前記平坦面とを光透過性接着剤により接着することで、両平坦面間に形成した光透過性接着剤層とを少なくとも備え、
前記第2光透過性基板側からレーザー光を入射して、該レーザー光を前記第2光透過性基板,前記光透過性接着剤層を介して前記第1光透過性基板の前記信号層に照射するように構成したことを特徴とする情報記録担体。 - 請求項1記載の情報記録担体において、
前記光透過性接着剤層は、光照射によって可視光から赤外線までのスペクトルが変化する感光材料を少なくとも含む光透過性接着剤を用いたことを特徴とする情報記録担体。 - 請求項1又は請求項2記載の情報記録担体において、
前記第1光透過性基板の前記信号面及び前記信号層中のトラックピッチを1.0μmに設定し、且つ、前記信号層中の最短記録マークの長さ又は前記信号面中の最短ピットの長さを0.61μmに設定したことを特徴とする情報記録担体。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080624 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081021 |