JP2004039076A - 情報記憶媒体、情報記録装置、及び情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ユーザデータを格納するためのユーザエリア(UA)と、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリア(DMA)と、前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリア(DMA)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、欠陥管理情報を格納する欠陥管理領域を備えた情報記録媒体に関する。また、この発明は、情報記録媒体に対して欠陥情報を記録する情報記録装置に関する。さらに、この発明は、情報記録媒体に対して欠陥情報を記録する情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクなどの情報記憶媒体は、ユーザデータを格納するためのユーザエリアを備えており、このユーザエリア中に発生する欠陥を補償するための仕組みを持っている。このような仕組みは、交替処理と呼ばれている。この交替処理に関する情報、即ち欠陥管理情報を管理するエリアは、DMA(Defect Management Area)と呼ばれている。
【0003】
情報記録媒体のうちDVD−RAMは、10万回以上のオーバーライトが可能である。このようなオーバーライトに対する耐久性が極めて高い媒体が有するDMAに対して数万回オーバーライトが実行されても、DMAの信頼性は揺るがない。
【0004】
特開平9−213011には、DMAを複数持つ光ディスクが開示されている。DMAを複数配置することにより、DMAの信頼性の向上が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、情報記録媒体のうちオーバーライト許容回数が比較的少ない(数十から数千)媒体の場合、このような媒体が有するDMAに対するオーバーライトが問題となる。つまり、オーバーライトに伴いこのような媒体が有するDMAはダメージを受け易い。
【0006】
この問題は、特開平9−213011に開示されている技術をもってしても解決できない。つまり、DMAが複数配置されていても、夫々のDMAは一括してオーバーライトを受けるため、一つのDMAがオーバーライトによりダメージを受ける場合、他のDMAも同様にダメージを受けてしまうことになる。
【0007】
DMAには上記したように欠陥管理情報が格納されており、DMAがダメージを受けると、DMAから欠陥管理情報が読み出せなくなってしまう。結果的に、媒体自体が使えなくなってしまう。このため、DMAのオーバーライトに対する耐久性を高める工夫が望まれている。
【0008】
この発明の目的は、上記したような事情に鑑み成されたものであって、オーバーライトに対する耐久性が比較的低い媒体であっても、信頼性の高い欠陥管理が可能な情報記憶媒体、情報記録装置、及び情報記録方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、この発明の情報記憶媒体、情報記録装置、情報記録方法は、以下のように構成されている。
【0010】
(1)この発明の情報記録媒体は、ユーザデータを格納するためのユーザエリアと、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリアと、前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアと、を備えている。
【0011】
(2)この発明は、ユーザデータを格納するためのユーザエリア、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリア、及び前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアを有する情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置であって、
前記ユーザデータ、前記欠陥情報、及び前記オーバーライト情報を記録する記録手段と、前記記録手段により前記欠陥情報を前記欠陥管理エリアに記録させるとともに、この記録動作に対応して前記オーバーライト情報を前記オーバーライト管理エリアに記録させる記録制御手段と、を備えている。
【0012】
(3)この発明は、ユーザデータを格納するためのユーザエリア、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリア、及び前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアを有する情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、
前記欠陥情報を前記欠陥管理エリアに記録するとともに、この記録動作に対応して前記オーバーライト情報を前記オーバーライト管理エリアに記録する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(光ディスク)のデータ構造の概略を示す図である。図1に示すように、情報記憶媒体は、DMAの間にスペアエリアSA及びユーザエリアUAを備えたデータ構造を有する。なお、図1に示すデータ構造は、この発明の情報記憶媒体のデータ構造に一例に過ぎず、この発明の情報記憶媒体のデータ構造は、これに限定されるものではない。
【0015】
ユーザエリアUAは、ユーザデータを格納するためのエリアである。スペアエリアSAは、ユーザエリア上に存在する欠陥エリアに記録されるべきデータが交替記録されるエリアである。欠陥エリアは、ECC(Error Correction Code)ブロック単位のエリアである。つまり、ECCブロックの単位のデータが、スペアエリアSAに交替記録されることになる。後述するが、DMAは、DMA counter(オーバーライト管理エリア)を備えている。DMA counterのカウント値には、DMAに対するオーバーライト回数が反映される。
【0016】
図2は、交替処理を示すフローチャートである。図2に示すように、ユーザエリア中に発生した欠陥エリアに記録されるべきデータはスペアエリアSAに交替記録される(ST1)。その上、交替元(欠陥エリア)と交替先(スペアエリアSAの所定エリア)の先頭アドレスが、DMA内のSDL(Secondly Defect List)に登録される。DMAは、例えば図1に示すように、情報記録媒体の内周及び外周に配置されており、両DMAのSDLには同一のデータが登録される。SDLに対して情報が登録されると、SDLのアップデートカウンタがインクリメント(+1)される(ST2)。
【0017】
従来、DMAは媒体上の固定物理アドレスエリアに配置されている。さらに、DMAに対する耐障害性を高めるために、同一の内容が格納されたDMAが媒体上の複数箇所に配置されている。例えば、DVD−RAMの場合は、DMAは最内周に2カ所、最外周に2カ所、合計4カ所にDMAが配置されており、4つのDMAには同一の内容が記録されるようになっている。
【0018】
図3は、この発明の情報記憶媒体中に配置されるDMAのデータ構造の概略を示す図である。図3に示すように、情報記憶媒体は複数のDMAを持ち、各DMAはDDS/PDLブロックとSDLブロックにより構成されている。PDLは、Primarily Defect Listの略である。DDS/PDLブロックもSDLブロックも、1ECCブロック(=32KB)である。
【0019】
この発明の情報記憶媒体は、DMAの耐障害性を高めるために、使用中のDMAが弱くなった時点で、このDMAに格納された欠陥管理情報を、新たなDMAに推移するように定義されている。DMAが弱くなった場合とは、このDMAに対するオーバーライト回数がこのDMAを持つ媒体のオーバーライト許容回数に迫ってきた場合、又はこのDMA上で欠陥が増加してエラー訂正ができなくなる可能性が出てきた場合である。
【0020】
各DMAはドライブ内の真の記録単位であるECCブロックの整数倍のサイズで構成される。DVD−RAMでは1ECCブロックは16セクタで構成されており、1ECCブロックのサイズは32KBである。PDLは初期欠陥登録用のリストであり、SDLは2次欠陥登録用リストである。PDLには、媒体をフォーマットする時に実行されるサーティファイにおいて見つけられた欠陥、即ち初期欠陥に関する欠陥管理情報が登録される。これに対して、SDLには、通常の記録時(例えばユーザデータ記録時)において見つけられた欠陥、即ち2次欠陥に関する欠陥管理情報が登録される。欠陥管理情報には、交替元のアドレスと交替先のアドレスが含まれている。これらのリストのサイズが大きくなれば登録可能な欠陥数が増える。DMA0〜DMAnはシーケンシャルに配置されており、DMA0から順に使用される。
【0021】
図4は、DMAに含まれるDDS/PDLブロックの先頭セクタ内に記述されるコンテンツの一例を示す図である。DDS/PDLブロックの所定のエリアには、4バイトのDDS/PDL update counter、及び4バイトのDMA rec−counter 1などが配置されている。
【0022】
DDS/PDLブロックの内容が更新される度に、DDS/PDL update counterがインクリメント(+1)される。DMA rec−counter 1はDDS/PDLブロックが、書き換えられた時にカウントアップされるカウンタである。媒体の初期化(初回)の時点で、全てのDMA rec−counter 1にはゼロがセットされる。このcounterの使い方については後記する。
【0023】
図5は、DMAに含まれるSDLブロックに記述されるコンテンツの一例を示す図である。SDLブロックの所定のエリアには、4バイトのSDL update counter、4バイトのDMA rec−counter 2、及び複数のSDLエントリなどが配置されている。
【0024】
SDLブロックもDDS/PDLブロックと同様に、SDLブロックの内容が更新される度に、SDL update counterがインクリメント(+1)される。DMA rec−counter 2はSDLブロックが、書き換えられた時にカウントアップされるカウンタである。SDLには2次欠陥に関する管理情報が記述される。媒体の初期化(初回)の時点で、全てのDMA rec−counter 2にはゼロがセットされる。このcounterの使い方については後記する。
【0025】
図6は、SDLに含まれる複数のSDLエントリのうちの一つのSDLエントリのデータ構造の一例を示す図である。一つのSDLエントリは、例えば8バイトで構成されている。一つのSDLエントリには、交替元のアドレスのアドレスを記述するための3バイトのフィールド、及び交替先のアドレスのアドレスを記述するための3バイトのフィールドが配置されている。交替は、例えばECCブロック単位で行われる。交替元のアドレスのフィールド及び交替先のアドレスのフィールドには、それぞれのECCブロックに含まれる先頭セクタのアドレスが登録される。図6に示すデータ構造の例では、アドレス指定用に3バイトのフィールドが割り当てられているが、媒体がより大容量になれば(アドレス空間が大きくなれば)、アドレス指定用のフィールドのサイズも大きくなる。
【0026】
図7は、DMA系列の使用方法を説明するための状態遷移図である。DMA系列は、DMA0〜nまでの(n+1)個のDMAを備えている。DMA0を現在使用中のDMAとすると、DMA1〜nまでのDMAは予備のDMAと言える。
【0027】
DMA系列に含まれる複数のDMAは、DMA0から順番に使用される。初期状態ではDMA0が使用され、DMA1以降は未使用状態である。DMA0に欠陥が増えたり、オーバーライト数が規定数を超えたりした場合には、DMA0は使用済みエリアとなり、DMA0に格納されていた欠陥管理情報はDMA1に交替記録される。以降同様にDMAを順番に使用することで、DMAにおいて欠陥やオーバーライトダメージが生じても、システムとして破綻させることなく媒体を使用し続けることができる。
【0028】
図8は、DMAに配置された各カウンタの状態とDMAの推移との関係その1を示す図である。ここで示すDDS/PDL update counter及びSDL updatecounterは、DMAが遷移しても(DMA0→DMA1に遷移しても)、累積してカウントする累積カウンタである。
【0029】
図8に示すように、DMAの所定エリアにはDMA counterが配置されている。このDMA counterは、DMAが書き換えられた場合にインクリメントされるカウンタである。即ち、DMAに含まれるDDS/PDLブロックのDMA rec−counter 1のカウント値、及びDMAに含まれるSDLブロックのDMA rec−counter 2のカウント値のうちの、大きい方の値が、DMA counterのカウント値である。
【0030】
つまり、このDMA counterのカウント値をチェックすることで、現在使用中のDMAに対して何回オーバーライトが実行されたかを知ることができる。言い換えると、このDMA counterのカウント値は、DMAに対するオーバーライトに伴いDMAが受けているダメージを示している値と言える。
【0031】
この媒体に対して情報を記録する情報記録再生装置は、媒体の特性に応じてあらかじめ決められたオーバーライト可能回数(Nov)を超えない範囲で、現行使用中のDMA(例えばDMA0)を予備のDMA(例えばDMA1)に移行させる。もちろん現在使用中のDMAを最大限有効に使用するために、DMAカウンタの最大値(Nov−1)まで使用することが望ましい。情報記録再生装置は、DMAカウンタが最大値に達していない場合でも、現在使用中のDMA上に欠陥が増えてきたことを検出すると、現行使用中のDMAを予備のDMAに移行させる。各DMAには使用開始されてはじめて値が入力される。即ち、未使用のDMAには値が入力されていない。情報記録再生装置に対して媒体が装填された時に、情報記録再生装置は、現在使用中のDMAの位置を知るために、DMA rec−counter 1,2のカウント値が共に0のDMAを探す。DMA rec−counter 1,2のカウント値が共に0のDMA(例えばDMA2)が見つかったら、見つけたDMAの一つ前のDMA(例えばDMA1)を現在使用中のDMAとして認識する。DMArec−counter 1,2のカウント値が共に0のDMA(例えばDMA2)が見つからなければ、最終DMA(例えばDMAn)を現在使用中のDMAとして認識する。
【0032】
図9は、DMAに配置された各カウンタの状態とDMAの推移との関係その2を示す図である。上記において図8を参照して、DMAが遷移しても、DDS/PDL update counter及びSDL update counterが累積してカウントするケースについて説明した。これに対して、図9では、DMAが遷移すると(DMA0→DMA1に遷移すると)、DDS/PDL update counter及びSDL update
counterのカウント値がリセットされるケースについて説明する。
【0033】
図9に示すように、DMAの所定エリアにはDMA counterが配置されている。このDMA counterは、DMAが書き換えられた場合にインクリメントされるカウンタである。即ち、DMAに含まれるDDS/PDLブロックのDDS/PDL update counter(DMA rec−counter 1)のカウント値、及びDMAに含まれるSDLブロックのSDL update counter(DMA rec−counter 2)のカウント値のうちの、大きい方の値が、DMA counterのカウント値である。
【0034】
図9に示すケースでは、DMAが移動されるたびに、DDS/PDL update counter及びSDL update counterがリセットされる。このため、このケースでは、DDS/PDL update counterはDMA rec−counter 1と同等の働きをなし、SDL update counterはDMA rec−counter 2と同等の働きをなす。従って、図9に示すケースでは、DMA counter 1, 2を省略することもできる。
【0035】
図10は、現在使用中のDAMを検索する手順を示すフローチャートである。現在使用中のDAMを検索する検索処理は、図15に示す情報記録再生装置の主制御部20により実行される。上記したように、この発明の情報記憶媒体はオーバーライト等に伴いDMAが推移するように定義されている。従って、情報記録再生装置に対してディスクが装填されたときに、現在使用中のDMAを検索する必要がある。媒体上の各DMA(DMA0〜DMAn)には、DMA rec−counter 1, 2が配置されている。媒体が初期化された時点では各DMAのDMA rec−counter 1, 2のカウント値はゼロにセットされている。媒体の使用が開始されると、DMA1のDMA rec−counter 1, 2のカウント値がカウントアップされ、さらに使用が続けられると、DMA2のDMA rec−counter 1, 2のカウント値がカウントアップされる。DMA0〜DMAnの使用順は予め定められている。DMA0→DMA1→DMA2→…→DMAnの順で使用される。よって、DMA0〜DMAnのDMA rec−counter 1, 2のカウント値を調べることで、現在使用中のDMAを見つけだすことが可能である。
【0036】
図10に示すように、情報記録再生装置に対して媒体が装填された時に、情報記録再生装置は、現在使用中のDMAの位置を知るために、DMA rec−counter1,2のカウント値が共に0のDMAを探す(ST21)。DMA rec−counter 1,2のカウント値が共に0のDMA(例えばDMA2)が見つかったら(ST22、YES)、見つけたDMAの一つ前のDMA(例えばDMA1)を現在使用中のDMAとして認識する(ST24)。DMA rec−counter 1,2のカウント値が共に0のDMA(例えばDMA2)が見つからなければ(ST22、NO)、最終DMA(例えばDMAn)を現在使用中のDMAとして認識する(ST23)。
【0037】
図11は、DMAの登録及び更新処理を説明するためのフローチャートである。DMAの登録及び更新処理は、図15に情報記録再生装置の主制御部20により実行される。主制御部20は、DMAのDMA counterのカウント値に基づき、現在使用中のDMAの書き換え回数が規定数を超えたかどうかを判断する(ST31)。規定数を超えていることが判明したら(ST31、YES)、現在使用中のDMAに格納された欠陥情報を移動可能かどうか(予備のDMAがあるか)確認する。移動可能であれば(ST34、YES)、次の移動先に定められているDMAに対して、現在使用中のDMAに格納された欠陥情報を移動する(ST35)。このとき、必要な値を引き継ぐ。例えば、図8示すケースでは、DDS/PDL update counter及びSDL update counterの値が引き継がれる。
【0038】
書き換え回数が規定数以下の場合でも(ST31、NO)、主制御部20によりDMAに欠陥が多発していることが検出された場合には(ST32、YES)、現在使用中のDMAに格納された欠陥情報を移動可能かどうか(予備のDMAがあるか)確認する。移動可能であれば(ST34、YES)、次の移動先に定められているDMAに対して、現在使用中のDMAに格納された欠陥情報を移動する(ST35)。移動不能であれば(ST34、NO)、この処理は異常終了する。
【0039】
現在使用中のDMAの書き換え回数が規定数以下であり(ST31、NO)、現在使用中のDMAに欠陥が多発することも無い場合には(ST32、NO)、現在使用中のDMAが必要に応じて更新される(ST33)。
【0040】
図12は、複数のDMA系列の使用方法を説明するための状態遷移図である。図7に示すように、これまでは、単数のDMA系列の使用について説明してきた。つまり、一つのDMA系列がDMA0〜DMAnを含むケースについて説明してきた。ここでは、図12に示すように、複数のDMA系列の使用について説明する。つまり、複数のDMA系列夫々がDMA0〜nを含むケースについて説明する。
【0041】
図12に示すように、例えば、4つのDMA系列を備えた情報記憶媒体について説明する。4つのDMA系列は、夫々、異なる位置に配置される。例えば、DMA系列1、2は媒体の最内周に配置され、DMA系列3、4は媒体の最外周に配置される。DMA系列1〜4の中で、例えばDMA系列3に欠陥が多発していることが検知されたとする(図12の初期状態)。図15に示す情報記録再生装置の主制御部が、欠陥の多発を検知する。この欠陥検知に伴い、全てのDMA系列における現在使用中のDMA(例えばDMA0)の欠陥管理情報は、次のDMA(例えばDMA1)に移行(交替記録)される(図12の第2状態)。図15に示す情報記録再生装置の主制御部が、欠陥管理情報を移行(交替記録)する。
【0042】
図13は、複数のDMA系列が配置されるリードインエリア及びリードアウトエリアを説明するための図である。図13に示すように、媒体(光ディスク)1は、最内周にリードインエリアA1を備え、最外周にリードアウトエリアA3を備える。また、媒体1は、リードインエリアA1とリードアウトエリアA3の
間にデータエリアA2を備える。データエリアA2は、ユーザエリアUAとスペアエリアSAを備える。
【0043】
最内周のリードインエリアA1は第1のDMA系列(DMA系列1、2)を備え、最外周のリードアウトエリアA3は第2のDMA系列(DMA系列3、4)を備える。このように、最内周と最外周にDMA系列を配置することで、物理的に複数のDMA系列が離れて配置されることになる。結果的に、DMAが障害に対してより強くなる。
【0044】
図14は、複数のDMA系列が配置された媒体の再生処理を示すフローチャートである。図15に示す情報記録再生装置に媒体が装填されると、装置は全てのDMA系列の中から現在使用中のDMAを探し出し、現在使用中のDMAから欠陥管理情報を読み出す(ST41)。つまり、図12に示すケースにあてはめると、DMA系列1の中から現在使用中のDMA(例えばDMA1)を探し出し、DMA系列2の中からも現在使用中のDMA(例えばDMA1)を探し出し、DMA系列3の中からも現在使用中のDMA(例えばDMA1)を探し出し、DMA系列4の中からも現在使用中のDMA(例えばDMA1)を探し出す。現在使用中のDMAを探し出す処理は、図10に示した通りである。
【0045】
障害などの影響で、どのDMAからも欠陥管理情報が読み出せない場合は(ST42、NO)、この処理は異常終了する。DMAから欠陥管理情報が読み出せた場合は、DMAのDDS/PDL update counter及びSDL update counterのカウント値をチェックする。複数のDMA系列の中の現在使用中の各DMAには、同一の情報が記録されているはずである。従って、各DMAのDDS/PDL update counter及びSDL update counterのカウント値は一致するはずである。しかし、複数のDMA系列の中の各DMAに対して順番に情報を記録している途中で何らかの障害が発生すると、いくつかのDMAが更新されていな状態が発生することがある。そこで、複数のDMA系列の中の現在使用中の各DMAのUpdate counterのカウント値が異なる場合は(ST43、NO)、最新のカウント値を持つDMAに他のDMAを一致させる(ST44)。これで記録再生の準備が完了する。
【0046】
図15は、この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置の概略構成を示す図である。この情報記録再生装置は、上記説明した媒体(光ディスク)1に対してユーザデータを記録したり、媒体1に記録されたユーザデータを再生したりする。また、この情報記録再生装置は、必要に応じて交替処理も実行する。
【0047】
図15に示すように、情報記録再生装置は、変調回路2、レーザ制御回路3、レーザ4、コリメートレンズ5、偏光ビームスプリッタ(以下PBS)6、4分の1波長板7、対物レンズ8、集光レンズ9、光検出器10、信号処理回路11、復調回路12、フォーカスエラー信号生成回路13、トラッキングエラー信号生成回路14、フォーカス制御回路16、トラッキング制御回路17、主制御部20を備えている。
【0048】
主制御部20は、ドライブ部を制御するものである。ドライブ部は、変調回路2、レーザ制御回路3、レーザ4、コリメートレンズ5、偏光ビームスプリッタ(以下PBS)6、4分の1波長板7、対物レンズ8、集光レンズ9、光検出器10、信号処理回路11、復調回路12、フォーカスエラー信号生成回路13、トラッキングエラー信号生成回路14、フォーカス制御回路16、及びトラッキング制御回路17を含むものである。
【0049】
まず、この情報記録再生装置によるデータの記録について説明する。データの記録は、主制御部20により制御される。記録データ(データシンボル)は、変調回路2により所定のチャネルビット系列に変調される。記録データに対応したチャネルビット系列は、レーザ制御回路3によりレーザ駆動波形に変換される。レーザ制御回路3は、レーザ4をパルス駆動し、所望のビット系列に対応したデータを媒体1上に記録する。レーザ4から放射された記録用の光ビームは、コリメートレンズ5で平行光となり、PBS6に入射し、透過する。PBS6を透過したビームは4分の1波長板7を透過し、対物レンズ8により媒体1の情報記録面に集光される。集光されたビームは、フォーカス制御回路16によるフォーカス制御及びトラッキング制御回路17によるトラッキング制御により、記録面上に最良の微小スポットが得られる状態で維持される。
【0050】
続いて、この情報記録再生装置によるデータの再生について説明する。データの再生は、主制御部20により制御される。主制御部20からのデータ再生指示に基づき、レーザ4は再生用の光ビームを放射する。レーザ4から放射された再生用の光ビームは、コリメートレンズ5で平行光となり、PBS6に入射し、透過する。PBS6を透過した光ビームは4分の1波長板7を透過し、対物レンズ8により媒体1の情報記録面に集光される。集光されたビームは、フォーカス制御回路16によるフォーカス制御及びトラッキング制御回路17によるトラッキング制御により、記録面上に最良の微小スポットが得られる状態で維持される。このとき、媒体1上に照射された再生用の光ビームは、情報記録面内の反射膜あるいは反射性記録膜により反射される。反射光は対物レンズ8を逆方向に透過し、再度平行光となる。反射光は4分の1波長板7を透過し、入射光に対して垂直な偏光を持ち、PBS6では反射される。PBS6で反射されたビームは集光レンズ9により収束光となり、光検出器10に入射される。光検出器10は、例えば、4分割のフォトディテクタから構成されている。光検出器10に入射した光束は光電変換されて電気信号となり増幅される。増幅された信号は信号処理回路11にて等化され2値化され、復調回路12に送られる。復調回路12では所定の変調方式に対応した復調動作を施されて、再生データが出力される。
【0051】
また、光検出器10から出力される電気信号の一部に基づき、フォーカスエラー信号生成回路13によりフォーカスエラー信号が生成される。同様に、光検出器10から出力される電気信号の一部に基づき、トラッキングエラー信号生成回路14によりトラッキングエラー信号が生成される。フォーカス制御回路16は、フォーカスエラー信号に基づきビームスポットのフォーカスを制御する。トラッキング制御回路17は、トラッキングエラー信号に基づきビームスポットのトラッキングを制御する。
【0052】
ここで、主制御部20による交替処理について説明する。媒体をフォーマットする時には、サーティファイが実行される。このとき、主制御部20は、媒体上の欠陥を検出する。このとき検出された欠陥、即ち初期欠陥に関する欠陥管理情報は、主制御部20により媒体のDMAの中のPDLに記録される。欠陥管理情報は、交替元のセクタのアドレスと交替先のセクタのアドレスとを含む。通常の記録時にも、主制御部20は、媒体上の欠陥を検出する。このとき検出された欠陥、即ち2次欠陥に関する欠陥管理情報は、主制御部20により媒体のDMAの中のSDLに記録される。欠陥管理情報は、交替元のECCブロックの先頭セクタのアドレスと交替先のECCブロックの先頭セクタのアドレスとを含む。PDL及びSDLに基づき、交替元に対するアクセスは、交替先に対するアクセスと見なされる。また、主制御部20は、図10に示した現在使用中のDAMの検索処理、図11に示したDMAの登録及び更新処理、図14に示した再生処理等を制御する。
【0053】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0054】
【発明の効果】
この発明によれば、オーバーライトに対する耐久性が比較的低い媒体であっても、信頼性の高い欠陥管理が可能な情報記憶媒体、情報記録装置、及び情報記録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(光ディスク)のデータ構造の概略を示す図である。
【図2】交替処理を示すフローチャートである。
【図3】情報記憶媒体中に配置されるDMAのデータ構造の概略を示す図である。
【図4】DMAに含まれるDDS/PDLブロックの先頭セクタ内に記述されるコンテンツの一例を示す図である。
【図5】DMAに含まれるSDLブロックに記述されるコンテンツの一例を示す図である。
【図6】SDLに含まれる複数のSDLエントリのうちの一つのSDLエントリのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】DMA系列の使用方法を説明するための状態遷移図である。
【図8】DMAに配置された各カウンタの状態とDMAの推移との関係その1を示す図である。
【図9】DMAに配置された各カウンタの状態とDMAの推移との関係その2を示す図である。
【図10】現在使用中のDAMを検索する手順を示すフローチャートである。
【図11】DMAの登録及び更新処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】複数のDMA系列の使用方法を説明するための状態遷移図である。
【図13】複数のDMA系列が配置されるリードインエリア及びリードアウトエリアを説明するための図である。
【図14】複数のDMA系列が配置された媒体の再生処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1…情報記憶媒体(光ディスク)
2…変調回路
3…レーザ制御回路
4…レーザ
5…コリメートレンズ
6…偏光ビームスプリッタ(PBS)
7…4分の1波長板
8…対物レンズ
9…集光レンズ
10…光検出器
11…信号処理回路
12…復調回路
13…フォーカスエラー信号生成回路
14…トラッキングエラー信号生成回路
16…フォーカス制御回路
17…トラッキング制御回路
20…主制御部
SA…スペアエリア
UA…ユーザエリア
A1…リードインエリア
A2…データエリア
A3…リードアウトエリア
Claims (18)
- ユーザデータを格納するためのユーザエリアと、
前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリアと、
前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアと、
を備えたことを特徴とする情報記憶媒体。 - 前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて前記欠陥情報が交替記録されるとき、前記欠陥情報の交替記録先となる予備の欠陥管理エリアを備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶媒体。
- 前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて前記欠陥情報が交替記録されるとき、前記欠陥情報の交替記録先となる予備の欠陥管理エリアを備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶媒体。
- 前記欠陥管理エリアが、前記オーバーライト管理エリアを含むことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の情報記憶媒体。
- 前記欠陥管理エリアは、前記欠陥情報を重複して複数格納するための複数エリアを含み、
前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて前記複数エリアに格納された複数の欠陥情報が一括して交替記録されるときのために、前記複数の欠陥情報の交替記録先となる予備の複数エリアを備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶媒体。 - 前記欠陥管理エリアは、前記欠陥情報を重複して複数格納するための複数エリアを含み、
前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて前記複数エリアに格納された複数の欠陥情報が一括して交替記録されるときのために、前記複数の欠陥情報の交替記録先となる予備の複数エリアを備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶媒体。 - ユーザデータを格納するためのユーザエリア、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリア、及び前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアを有する情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置であって、
前記ユーザデータ、前記欠陥情報、及び前記オーバーライト情報を記録する記録手段と、
前記記録手段により前記欠陥情報を前記欠陥管理エリアに記録させるとともに、この記録動作に対応して前記オーバーライト情報を前記オーバーライト管理エリアに記録させる記録制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録装置。 - 前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて、前記欠陥情報を予備の欠陥管理エリアに交替記録する交替記録手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の情報記録装置。
- 前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて、前記欠陥情報を予備の欠陥管理エリアに交替記録する交替記録手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の情報記録装置。
- 前記記録制御手段により制御された前記記録手段は、前記欠陥管理エリアに含まれた前記オーバーライト管理エリアに対して前記オーバーライト情報を記録することを特徴とする請求項7、8、又は9に記載の情報記録装置。
- 前記記録制御手段により制御された前記記録手段は、前記欠陥管理エリアに含まれた複数エリアに対して前記欠陥情報を重複して複数記録し、
前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて、前記複数エリアに記録された複数の欠陥情報を予備の複数エリアに交替記録する交替記録手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の情報記録装置。 - 前記記録制御手段により制御された前記記録手段は、前記欠陥管理エリアに含まれた複数エリアに対して前記欠陥情報を重複して複数記録し、
前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて、前記複数エリアに記録された複数の欠陥情報を予備の複数エリアに交替記録する交替記録手段とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の情報記録装置。 - ユーザデータを格納するためのユーザエリア、前記ユーザエリア上の欠陥に関する欠陥情報を格納するための欠陥管理エリア、及び前記欠陥管理エリアに対するオーバーライト回数に関するオーバーライト情報を格納するためのオーバーライト管理エリアを有する情報記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、
前記欠陥情報を前記欠陥管理エリアに記録するとともに、この記録動作に対応して前記オーバーライト情報を前記オーバーライト管理エリアに記録する、
ことを特徴とする情報記録方法。 - 前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて、前記欠陥情報を予備の欠陥管理エリアに交替記録する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報記録方法。 - 前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて、前記欠陥情報を予備の欠陥管理エリアに交替記録する交替記録手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載の情報記録方法。
- 前記欠陥管理エリアに含まれた前記オーバーライト管理エリアに対して前記オーバーライト情報を記録することを特徴とする請求項13、14、又は15に記載の情報記録方法。
- 前記欠陥管理エリアに含まれた複数エリアに対して前記欠陥情報を重複して複数記録し、
前記オーバーライト情報が示すオーバーライト回数に応じて、前記複数エリアに記録された複数の欠陥情報を予備の複数エリアに交替記録する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報記録方法。 - 前記欠陥管理エリアに含まれた複数エリアに対して前記欠陥情報を重複して複数記録し、
前記欠陥管理エリアにおける欠陥発生状況に応じて、前記複数エリアに記録された複数の欠陥情報を予備の複数エリアに交替記録する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報記録方法。
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