JP2004038027A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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水嶋 克彦
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Abstract

【課題】本発明の目的は、帯電性、耐久性に優れ、流動性、耐オフセット性、ブロッキングの問題もなく、長期にわたり良質の画像を安定して得られるトナーを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリエステル樹脂、磁性粉および離型剤を含有し、周波数10−1〜10Hz、140℃〜200℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との関係で、140℃で貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きく、また200℃で貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃より大きく、また100℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの貯蔵弾性率(G’1Hz)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;重量%)との関係で、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求められる線形直線の傾きαとトナー粒子中の磁性粉の含有量比率Mとの関係がM/2<α≦Mを満足するトナー。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置等において、静電荷像の現像のために用いられる静電荷像現像用トナーに関する。より詳しくは静電荷像現像用トナー粒子及び外添剤を含む静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置等においては、所望の複写物或いは送信画像などの記録物を得るため、電子写真感光体や静電記録体などの静電荷像担持体上に種々の手段で静電荷像を形成し、この静電荷像担持体上に形成された静電荷像を現像した後、得られたトナー像を転写紙などの転写材に転写し、次いで転写されたトナー像を加熱、加圧或いは加熱・加圧して定着する方法が広く採用されている。そして、静電荷像の現像法としては、電気絶縁性液体に分散された微細トナーからなる液体現像剤を用いて現像する湿式現像法、及び結着樹脂中に着色剤などを分散、含有する粉体トナーとキャリア粒子を用いる二成分現像剤、或いは結着樹脂中に磁性粉体などを分散、含有する一成分磁性トナーを用いた乾式現像法が知られており、後者の乾式現像法が一般的に用いられている。
【0003】
乾式現像法は、米国特許第2297691号公報、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に記載されている様に、多数の方法が知られている。一般的には光導電性物質である感光体を利用し、種々の手段により感光体上に電気的に静電潜像を形成し、トナーを含有する現像剤を用いて該静電潜像を現像し、紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧により定着し、複写物を得るものである。そして感光体上に転写せず残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0004】
近年このような複写機は、原稿書類を複写する目的の他にも、コンピユータやファクシミリとしてのデジタルデータを出力するためのプリンター、あるいはクライアントからデータを受け取り必要に応じて必要部数出力するといった業務用オンデマンド印刷の分野、または高解像度を要求されるグラフィックアーツの複写や校正等、幅広い用途で使用されている。
【0005】
ところで、複写機やプリンターの印字物においてトナーに要求される性能のうちで考慮しなければならない項目の一つとして広い意味での定着性能がある。これは画像出力時の耐刷性、転写材への載り具合、あるいは印字された画像の機械的強度安定性を示すいわゆる狭義での定着性と、主に定着性が不十分のために発生して定着熱ロール等が汚れ、それに伴う出力画像が汚れるオフセット性の両面があり、このバランスを良好にすることは困難である。
【0006】
定着工程に関しては、種々の方法や装置が開発されているが、ハードとして現在最も一般的な方法は加熱ローラーによる加圧方式である。
加熱ローラによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した定着熱ローラーの表面に転写材上のトナー像面を加圧下で接触しながら通過させることにより定着を行う。この方法は定着熱ローラーの表面と転写材上のトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を転写材に融着させて定着する際に極めて良好かつ迅速に定着を行うことができ、高速電子写真複写機において非常に有効である。しかしながら上記方法では、定着熱ローラー表面とトナー像とが溶融状態で加圧接触するため、トナー像の一部が定着熱ローラー表面に付着、転移し、次の転写材にこれが再転移するオフセット現象(ホットオフセット)を生じ、転写材を汚すことがある。また逆に、定着熱ロールの温度でトナーが十分に溶融されず転写材上に未定着トナーが残存する場合には、定着熱ロール上にもトナーが転移して次の転写材に移ってしまうオフセット現象(コールドオフセット)が発生する。この場合の出力された画像は概して転写材への定着が不十分なため、耐久性に乏しく、少々の摩擦等で画像汚れや画像欠落が発生する。
【0007】
これら定着性能の向上のために、マシン側からのアプローチとしては、定着熱ローラー表面に対してトナーが付着しないようにすることが求められ、例えば特公昭58−21264に記載されたような表面エネルギーの小さいフッ素系樹脂を用いた加熱定着ロールが一般的である。
【0008】
またトナー側からの定着性に対するアプローチとしては、例えばトナーの結着樹脂の改良に関する技術として、特公昭51−23354号公報のように結着樹脂の架橋によるトナー定着性の向上を狙ったもの、特開昭58−86558号公報では低分子量/高分子量樹脂をブレンドした結着樹脂を用いることにより定着性の向上を狙ったもの、または特公昭55−6805号公報に記載されたようにトナーを構成する結着樹脂の分子量分布に幅を持たせる事により安定した定着性を計るといった提案がなされている。
【0009】
しかしこれらの方法だけでは不十分で、これらの方法を採ることにより定着性は向上したものの、まだハード側に大きく依存する部分が多く、例えばシリコーンオイルを大量に定着ロール上に塗布しなければならず、裏面印刷できないといったような問題があった。また近年の使用状況、特に高速化、高画質、高解像度、あるいはエコロジーに配慮した低エネルギー化による低温定着化を望むにはまだ不十分であった。
【0010】
更に、トナーに要求される物性的な特性に対して、特開昭63−217362号公報、特開昭63−217363号公報、特開昭63−217364号公報のように、低分子量/高分子量の分子量布を有し、低分子量側に存在する官能基と金属イオンを反応させるといった方法が提案されている。しかしこれらの方法だけでは物性の安定性に乏しく生産管理上困難である。
【0011】
また特開昭63−223662号公報ではTHF不溶分量と分子量分布を規定することで定着性及び耐オフセツト性を向上させることを提案しているが、低温定着性と耐オフセツト性との両立は難しいものである。
【0012】
上記で述べたように、定着性および耐オフセツト性の、いわば相反するトナー特性をバランスよく処方し、安定した画像特性を維持し、また安定して生産することが出来るよう望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状を踏まえ、本発明は、上述した問題を解決した静電荷像現像用トナー及び該トナーを用いた静電画像形成方法を提供することにある。
即ち本発明の目的は定着性、耐オフセット性が共に優れ、且つ画像再現性が良く、カブリのない静電荷像現像トナーを提供することにある。
さらに、本発明の目的は長時間の使用においても画像劣化を起こさない静電荷像現像トナーを提供することにある
さらに、本発明の目的は、耐ブロツキング性に優れる静電荷像現像トナーを提供することにある
さらに、本発明の目的は、細線再現性、階調性の優れた静電荷像現像トナーを提供することにある
さらに、本発明の目的は、環境依存性が少なく安定した画像濃度が維持できる静電荷像現像トナーを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の(1)〜(13)の事項について見い出し本発明を完成したものである。即ち,(1)少なくとも、1.帯電装置により静電潜像担持体に電荷を均一に与える工程、2.露光により該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、3.該露光工程がレーザービームを用いて静電潜像を形成する工程、4.該静電潜像をトナーによって該静電潜像担持体上に現像する工程、5.該静電潜像担持体上の現像を転写材に転写する工程、6.該画像転写された転写材が加熱定着部に搬送されて排出さる工程、7.転写工程後に該静電潜像担持体表面に残存するトナーをクリーニングする工程、を要する画像形成方法において、該トナーは少なくともポリエステル樹脂成分、磁性粉および離型剤を含有し、周波数10−1〜10Hz、温度140℃〜200℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率(G’;単位dyn/cm)と損失弾性率(G” ;単位dyn/cm)との関係において、140℃で貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きく、また200℃で貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃より大きく、また温度100℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの貯蔵弾性率(G’1Hz;単位dyn/cm)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;重量%)との関係において、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求められる線形直線の傾きαとトナー粒子中の磁性粉の含有重量比率Mとの関係が下記式(A)及び(B)を満足することを特徴とするトナー。
【数2】
Figure 2004038027
(2)トナー粒子中の磁性粉の含有量が30重量%から70重量%であることを特徴とする(1)に記載のトナー。
(3)BETにより測定される比表面積が2.5〜10m/gである磁性粉を含有したことを特徴とする(1)または(2)に記載のトナー。
(4)高架式フローテスターでの4mm針入度が140℃以上、210℃以下であることを特徴とする(1)から(3)いずれかに記載のトナー。
(5)少なくともトナー中に電荷調整剤が含有され、該電荷調整剤が芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)結着樹脂の酸価が1〜17mg/gである樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)少なくとも高分子化用ポリエステルと低分子化用ポリエステルとイソシアネート化合物を混合し反応せしめて成るウレタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)少なくとも高分子化用ポリエステルと低分子化用ポリエステルとイソシアネート化合物を混合し反応せしめる際に,離型剤を添加せしめて得られる離型剤含有のウレタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載のトナー。
(9)示差熱走査法(DSC)による測定において、少なくとも80〜170℃に吸熱ピークを持ち、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が20以下の離型剤が含有されたことを特徴とする(1)から(8)のいずれかに記載のトナー。
(10)外添剤として非金属セラミック化合物を添加、混合せしめたことを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載のトナー。
(11)体積平均粒径(D50)が8〜13μmであることを特徴とする(1)から(10)のいずれかに記載のトナー。
(12)機械式粉砕機により粉砕され、その後気流式分級機にて分級されて得られたトナー粒子と外添剤とを混合処理することにより得られることを特徴とする(1)から(11)のいずれかに記載のトナー。
(13)機械式粉砕機により粉砕され、その後気流式分級機にて分級されて得られたトナー粒子と外添剤とを混合処理することにより得られることを特徴とする(1)から(11)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明においては、少なくとも、1.帯電装置により静電潜像担持体に電荷を均一に与える工程、2.露光により該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、3.該露光工程がレーザービームを用いて静電潜像を形成する工程、4.該静電潜像をトナーによって該静電潜像担持体上に現像する工程、5.該静電潜像担持体上の現像を転写材に転写する工程、6.該画像転写された転写材が加熱定着部に搬送されて排出さる工程、7.転写工程後に該静電潜像担持体表面に残存するトナーをクリーニングする工程、を要する画像形成方法において、該トナーに少なくともポリエステル樹脂成分、磁性粉および離型剤を含有し、周波数10−1〜10Hz、温度140℃〜200℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率(G’;単位dyn/cm)と損失弾性率(G”;単位dyn/cm)との関係において、140℃で貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きく、また200℃で貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃より大きく、また温度100℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの動的粘弾性(G’1Hz;単位dyn/cm)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;重量%)との関係において、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求めた線形直線の傾きαがトナー粒子中の磁性粉の含有重量比率Mよりも小さく、且つM/2よりも大きいことを満足することにより良好なトナーが得られる。
【0016】
トナーの熱的物性は定着性能に大きく関与し、加圧熱ローラーを通過する際に十分に軟化、あるいは溶融し、十分に転写材に密着して定着することにより、定着性が向上し、且つコールドオフセットが防止される。またホットオフセットを発生しないためには、トナーが必要以上に軟化しないことが必要である。これらにみられるように、トナーの粘弾性が温度変化で大きく変化しすぎないことが定着性や耐オフセット性での必要項目である。
【0017】
また、定着機構を詳しく勘案した際、トナー粒子中の不均一系成分である磁性粉微粒子が定着時に収動作用を持ち、樹脂との不均一系界面で温度や圧力によりズリや歪みを生じ、定着ニップ部においてトナーが凝集破壊され、定着性やオフセット性に影響を与える。当然のことながら、磁性粉の含有量が多ければ磁性粉と結着樹脂との不均一系界面が多くなり定着性やオフセット性に不利に働く。また磁性粉の表面状態により樹脂との密着性が変化するため、これも定着性やオフセット性に影響を及ぼす。さらにトナーの粘弾性を考慮することにより結着樹脂と磁性粉との不均一系界面のズリや歪みの影響を観察されることも可能と考えられる。つまり収動作用がある磁性粉粒子を結着樹脂成分がいかに凝集破壊をもたらす不均一系界面でのズリや歪みを抑え込んでいるかを知ることができる。
【0018】
本発明のトナーにおいては、周波数10−1〜10Hz、温度140℃で測定した貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きいことを満たすことにより、特に実用上低温側である温度での定着性を良好に保つことができ、コールドオフセットを防ぐことができる。また温度200℃で測定した貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃よりも大きいことを満たすことにより、高温側の温度での定着性を良好に保つことができ、とりわけホットオフセットを防ぐことができる。
【0019】
また温度100℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの動的粘弾性(G’1Hz;dyn/cm)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;重量%)との関係において、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求めた線形直線の傾きαがトナー粒子中の磁性粉の含有重量比率Mよりも小さく、且つM/2よりも大きいことを満たすことにより、加圧熱定着ニップ部でのトナー粒子中の磁性粉粒子と結着樹脂との不均一系界面でのズリや歪みと、それを抑える因子であるトナーの粘弾性とのバランスをとることができ、安定した定着温度幅を得ることにより定着性や耐オフセット性に優れたトナーを供給する事ができる。
【0020】
本発明のトナーの動的粘弾性測定には、測定試料としてトナーを約1.5g計量し、錠剤成型器で200kg/cm、1分間加圧して厚さ約1.5〜2mmの円盤状にしてこれを用いる。 測定装置はダイナミックアナライザーRDS(レオメトリックス社製)を使用し、直径2.5cmのパラレルプレートを用いて測定する。測定試料をパラレルプレートに挟み、正弦波振動により昇温速度3℃/分、初期温度を100℃に設定し、測定試料の温度を安定化させ、安定したら測定を開始する。
【0021】
本発明のトナーはトナー粒子中に磁性粉を30〜70重量%、好ましくは35〜55重量%含有することが好ましい。これは上記のに述べた磁性粉粒子と結着樹脂との不均一系界面による凝集破壊による定着性の影響、およびこの範囲内での磁性粉量がトナー粒子中に比較的均一に分散され、また結着樹脂との馴染み、また磁性トナーの磁気拘束力による画像への影響からみて妥当でありバランスのとれた範囲である。磁性粉が30重量%より小さくなると定着性能は良好になるが、磁気拘束力が小さくなり、機内飛散や画像かぶりの発生が生じる。また磁性粉重量比が70重量%以上になるとトナー粒子の凝集破壊が起こりやすくなり定着不良やオフセットが発生するだけでなく、磁気拘束力が強すぎるため画像濃度が著しく低下する。
【0022】
本発明のトナー粒子の磁性粉としては、従来トナーの製造において用いられることが知られた磁性粉がいずれも使用可能であり、磁性粉としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、γ−酸化鉄、フェライト等の酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、または鉄、コバルト、ニッケルのような金属またはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等が使用でき、平均粒径0.05 〜2.0μm程度の大きさのものが好ましく、更に0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。本発明に関する磁性粉のBET比表面積は2.5〜10m/gであり、好ましくは3.5〜8.0m/gである。BET比表面積が2.5m/g以下になると磁性粉と結着樹脂との不均一系界面でのアンカー効果が減少するために馴染みが悪くなり、該結着樹脂中における分配性が低下し,定着性能に影響を及ぼす。また10m/g以上になると磁性粉表面の細孔が増え,混練工程に空気を抱き込み易くなり,磁性粉と結着樹脂との不均一系界面に空隙が残存し,定着性能に影響を与える以外にもトナーの流動性や帯電性にも影響を与える。
【0023】
磁性粉のBET比表面積はフローソーブII−2300(島津製作所製)を用いた。測定サンプルをセルに入れ60分、40℃で十分に脱気を行い、窒素吸着による1点BET法により求めた。液体窒素温度下で窒素吸着を行い、次いで室温に戻した時の測定値(脱着データ値)から以下の式を用いてBET比表面積値とした。
【0024】
【数3】
Figure 2004038027
【0025】
また必要に応じて磁性粉と着色剤を併用して用いることもできる。着色剤としては、例えばカーボンブラック、銅フタロシアニン、鉄黒などが用いられる。
【0026】
また本発明においては、トナーの高架式フローテスターでの4mm針入度(T4)が140℃以上、210℃以下、好ましくは150℃以上、205℃以下、より好ましくは155以上200℃以下が好ましい。高架式フローテスターでの針入度の測定は簡便で再現性が良く、静的な粘弾性を表すのに便利な評価方法である。また主に定着器周辺の汚れをみる指標として用いることができる。例えば定着工程で定着せずに加熱ロール上に残存したトナーが再度転写材に移って、画像を汚すような現象はT4の値に大きく依存する。高架式フローテスターによるトナーのT4が140℃以下になると定着加熱ロールに残ったトナーがロール上で軟化溶融し、転写材の裏汚れを発生し、また210℃以上では、特に低温環境において、定着不良が生じて、定着加熱ロールに未溶解のトナーが蓄積して排紙部を汚し、また印字物同士の擦れによる画像欠落や紙汚れが発生するため、好ましくない。
【0027】
本発明においてのトナーの4mm針入度は、高架式フローテスター(島津製作所製CFT−500D)を用いて求めた。測定試料としてはトナー約1gを直径1cmの錠剤成型器を用いて100kg/cmの荷重でトナーを円柱状に成型した。測定条件としてはプランジャ径1cm、ダイ穴径0.5mm、昇温速度6℃/分、荷重20kg/cmでオフセット法にて測定を行った。
【0028】
4mm針入時の温度の値(T4)が140℃以下の場合においては、定着時に定着ロール、定着クリーニングパットや定着ウェブクリーナ等の定着部材に付着して、出力画像を汚してしまう高温オフセットが発生し、また紙等の転写部材が定着ロール等に巻き付き、紙詰まりを生じる定着リフティングが発生する。他方T4が210℃以上になると転写部材上に載ったトナーが十分に転写部材上に定着されずに出力画像が汚れ、また転写部材に定着せずに定着部材上に残留したトナーが汚れを発生させる低温オフセットが発生する。トナーのT4が140℃以上210℃以下の範囲であれば、上記の高温あるいは低温でのオフセットが発生せず、良好な定着性能を示す。
【0029】
また、本発明において、トナー中の帯電量を安定に制御する目的で電荷調整剤を使用することもできる。電荷調整剤としては、従来静電荷像現像用トナーの電荷調整剤として知られたもののうち、何れのものも使用できる。電荷調整剤は、現像されるべき静電潜像担持体上の静電荷像の極性に応じて、正電荷調整剤または負電荷調整剤が選択されるが、正電荷調整剤としては、例えば、ニグロシン系染料、脂肪酸金属誘導体、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩化合物(例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルベンジルアンモニウムテトラフルオロボレート)、ジオルガノスズオキサイド(例えばジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド)、ジオルガノスズボレート(ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート)等が挙げられ、これらは単独であるいは二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩化合物及びトリフェニルメタン系染料が好ましい。一方、負電荷調整剤としては、カルボキシル基を有する化合物、例えばサリチル酸あるいはサリチル酸誘導体の金属塩化合物や金属キレート(錯体)、金属錯塩染料、脂肪酸石鹸、ナフテン酸金属塩化合物等が挙げられ、サリチル酸あるいはサリチル酸誘導体の金属塩化合物や金属キレート、金属錯塩染料が好ましく、更にはサリチル酸あるいはサリチル酸誘導体の金属塩化合物や金属キレートがより好ましく、この中でも芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物が特に好ましい。これら電荷調整剤の量としては、トナーを所望する電荷量とするに必要な量であればよく、通常結着樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜6重量部の割合で使用される。
【0030】
電荷調整剤として特に好ましく用いられる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物に用いる金属としてはリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、ランタン、タンタル、タングステン等が挙げられるが、好ましくはクロム、亜鉛、鉄、チタン、マンガン、ニッケル、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、更に好ましくはクロム、亜鉛、鉄、チタン、カルシウム、マグネシウムであり、より高い電子受容作用が生じ、安定した摩擦帯電特性を示し、故に安定した画像特性を示すものと考えられる。
【0031】
また、本発明において使用される電荷調整剤の芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物としては、下記一般式(a)〜(e)で表されるものを用いることができる。
【0032】
【化1】
Figure 2004038027
式中Rn(n=1〜32)は、水素原子、飽和または不飽和である1価の脂肪族の基、または芳香族炭化水素基の残基であるアリール基を表す。Rnとしては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、オクチル基、tert−オクチル基、ドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、またはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基が好ましいものとしてあげられる。
【0033】
その中で、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和である1価の脂肪族の基とアリール基がより好ましく、更にはtert−ブチル基、tert−オクチル基が特に好ましいものである。具体的には、サリチル酸、3、5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸が特に好ましい化合物としてあげられる。
【0034】
本発明のトナーの結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂を含有しているが、従来から静電荷像現像用トナーの結着樹脂として用いられるものいずれも用いることができる。このポリエステル樹脂を構成するアルコール成分および酸成分は、従来トナー用ポリエステル樹脂に使用されているものがいずれも使用できる。またポリエステル樹脂は、ホモポリエステル或いはコポリエステルの単独でも、或いはこれらの2種以上からなるブレンド物であってもよい。さらに、ポリエステル樹脂は、架橋したポリエステル樹脂であってもよい。その合成法も特に制限されるものではない。
【0035】
ポリエステル樹脂を構成する酸成分およびアルコール成分について具体的に説明すると、酸成分としては、例えば、二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;シクロヘキサンジカルボン酸;ナフタレンジカルボン酸;ジフェノキシエタン−2、6−ジカルボン酸等が挙げられ、三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0036】
一方、アルコール成分を例示すると、例えば、エチレングリコール、1、2−プロピレングリコール、1、3−プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2、3−ブタンジオール、1、4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1、4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(f)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の多価アルコール類が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0037】
【化2】
Figure 2004038027
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0038】
本発明においては、ポリエステル樹脂は、飽和共重合ポリエステル樹脂が特に好ましい。この好ましい飽和共重合ポリエステル樹脂を製造するために好ましく用いることができる酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類などが挙げられる。また、好ましいアルコール成分としては、前記一般式(I)で表されるビスフェノール誘導体、およびエチレングリコール、1、2−プロピレングリコールなどの脂肪族ジアルコールである。
【0039】
また、ポリエステル樹脂は、酸価が1〜17mgKOH/gであるものがトナーの帯電性の観点から好ましく、より好ましくは3〜12mgKOH/gである。ポリエステル樹脂の酸価が1mgKOH/gより低い場合には、トナーの帯電量が低く、カブリが生じる傾向が大きくなる。またポリエステル樹脂の酸価が17mgKOH/gを超える場合には、得られたトナーの帯電量が高くなりすぎ、画像濃度が低下するという問題が発生するとともに、酸価が高すぎると高温多湿下では吸湿により帯電量が不足し、結果的に画像の劣化が生じることがある。ポリエステル樹脂の酸価が1〜17mgKOH/gである場合には、連続多数枚複写、複写環境の変化によっても、これら特性の劣化はみられず、良好な現像を行うことができる。なお、本発明においては、ポリエステルの酸価は、JIS K0070に規定される方法に準じて測定されたものである。
【0040】
更に、ポリエステル樹脂は、耐オフセット性および低温定着性の点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量において、重量平均分子量(Mw)が5、000以上のものが好ましく、10、000〜60、000のものがより好ましい。また、数平均分子量(Mn)は1、000〜6、500、より好ましくは1、500〜4、000、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が4〜18、より好ましくは6〜17であるものが好ましい。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が小さくなると、トナーの耐オフセット性が低下する傾向にあり、また、重量平均分子量が大きくなると定着性が低下する傾向を示す。また、数平均分子量Mnが小さいとトナーのブロッキングを起こしやすく、大きすぎると定着性が低下する傾向がある。また、Mw/Mnが小さい場合には画像のゆがみが生じやすく、大きすぎる場合には定着性が低下する傾向がある。このためトナーの定着性の点から上記MwおよびMnの範囲が好ましい。さらに、用いられるポリエステル樹脂は、特定の低分子量の縮重合体成分と特定の高分子量の縮重合体成分とからなる二山の分子量分布曲線を有するタイプ、或いは一山の単分子量分布曲線を有するタイプのいずれのものであってもよい。また、ポリエステル樹脂は、下記一般式(g)〜(k)で示されるイソシアネート化合物などにより変性した変性ポリエステル樹脂であってもよい。また、トナーの凝集防止の点からは、ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移点温度が45℃以上であるものが好ましい。
【0041】
【化3】
Figure 2004038027
【0042】
これらポリエステル樹脂のうち、特に好ましいポリエステル樹脂を具体的に例示すると、70〜95モル%、より好ましくは70〜85モル%の芳香族ジカルボン酸成分(a)と30〜5モル%、より好ましくは30〜15モル%の3価以上の多価カルボン酸成分(b)とからなるカルボン酸成分1モルに対し、0.1〜1.2モルのプロポキシ化及び/またはエトキシ化したエーテル化ジフェノール成分(c)及び0.15モル以下、より好ましくは0.01〜0.15モルの脂肪族ジオール成分(d)を重縮合させることにより得られた、酸価が1〜17mgKOH/g、より好ましくは3〜12mgKOH/g、重量平均分子量Mwが10、000〜80、000、より好ましくは20、000〜60、000、数平均分子量Mnが2、000〜6、500、より好ましくは2、500〜4、000、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が3〜20、より好ましくは5〜16、メインピークが15、000以下にあり、ガラス転移温度(Tg)が50〜60℃、軟化点(Tm)が100〜120℃である飽和共重合ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0043】
本発明のトナー粒子には、示差熱走査熱量計(DSC)による測定において、少なくとも80〜170℃に吸熱ピークを持ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が20以下の離型剤を含有することが出来る。このような離型剤としては、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体、パラフィンワックスおよびペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその誘導体、フェッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、カルナウバ、ライスおよびモンタンワックスなどの天然ワックス、部分けん化脂肪酸エステルワックス、脂肪酸金属塩等が挙げられる。この中でもポリオレフィンワックス及びその誘導体、パラフィンワックス、フェッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体が好ましい。
【0044】
Mw/Mnが20以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下が好ましい。離型剤はトナーの定着性に大きく寄与する。DSCによる離型剤の吸熱ピークトップが80℃以下であるとトナーの生産工程の一つである混練工程において、離型剤がトナーの結着樹脂中に分散せずに表面に浮き出てしまう。また逆に吸熱ピークトップが170℃以上では定着時において耐オフセット効果を十分に発揮できないために好ましくない。
【0045】
またMw/Mnが20より大きくなると軟化温度に分布幅がでるために、定着工程において、定着加熱ロールの温度変化や温度環境の変化等により、耐オフセット効果を得られなくなるために好ましくない。
【0046】
該離型剤はポリエステル結着樹脂の合成時、あるいはイソシアネートやロジン等による樹脂の変性時に添加して用いてもよい。これは該離型剤を結着樹脂合成時あるいは変性時に添加することにより該離型剤が結着樹脂中に均一に分散され、定着特性がより良好になるばかりでなく,トナー粒子製造工程における分級工程でのトナー粒子中への離型剤の良好な分配性にも寄与する。また基本的に結着樹脂と離型剤とは不均一で存在するため結着樹脂中に離型剤が海島構造的に存在し,磁性粉同様不均一系界面を生じるため,結着樹脂中に小粒径で均一に存在することが望ましいが,離型剤を結着樹脂合成時に添加することにより,離型剤をトナー粒子中に均一に分散せしめることが可能となる。
【0047】
本発明における示差熱走査熱量の測定は、DSC−60(島津製作所製)を用いて行った。測定セルであるアルミパンにトナー約10mgを精秤して封印することにより測定試料とする。測定条件としては常温より220℃まで6℃/分の昇温速度で行う。得られた測定データを解析ソフト(島津製作所製、TA−60WS)にてベースライン補正を行い、吸熱ピークを求めた。
【0048】
又、本発明において、ワックスの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で測定した。測定装置としてはGPC−150C(ウォーターズ製)、カラムにGMH−HT30cm2連(東ソー製)を用い、温度135℃、溶媒にo−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)を流速1.0ml/分、また試料濃度0.15%の測定試料を0.4ml注入して測定を行った。試料の分子量算出にあたっては、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用し、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出した。
【0049】
さらに、本発明において、外添剤として、50〜300m2 /gの比表面積を有する、従来流動化剤として用いられている疎水化処理された無機微粒子が好ましいものとして用いられる。流動化剤の比表面積が50m2 /gより小さい場合には、帯電量が低くなり、かぶり、機内飛散の原因となってしまう。また流動化剤の比表面積が300m2 /gを超える場合には、過度に帯電量が上昇してしまい画像濃度低下の原因となるので好ましくない。流動化剤に用いられる疎水化処理された無機微粒子としては、疎水化処理された無機酸化物微粒子、特に疎水化処理された酸化チタン微粒子、疎水化処理されたシリカ微粒子、疎水化処理された珪素アルミニウム共酸化物微粒子、疎水化処理された珪素チタン共酸化物微粒子などが好ましいものとして挙げられる。これらの中では疎水化処理された酸化チタン、疎水化処理されたシリカ微粒子がより好ましいものである。これら微粒子の疎水化処理には、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンワニス、テトラメチルジシラザン、オルガノアルコキシシラン類、オルガノクロロシラン類などのシランカップリング剤、その他の有機珪素化合物、有機チタン化合物による処理等があげられる。本発明において、流動化剤の比表面積の測定は、磁性粉のBET比表面積で記述した同様の方法で行った。また、流動化剤に用いる疎水化処理された無機微粒子の平均粒径としては、例えば、0.005〜0.05μmのものを好ましく用いることができる。これら疎水化処理された無機微粒子は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0050】
さらに、疎水化処理された無機微粒子の疎水化度は、アルコール法により測定した値で、40%以上であるものが好ましい。このアルコール法による疎水化度は、25mlの試験管に2.5重量%のメタノール溶液を10ml採取し、少量(約10mg)の試料を投入し、沈降しない試料の重量%を疎水化度としたものである。疎水化処理されたシリカなど疎水化無機微粒子の使用量は、トナー重量当たり、0.01〜20%、好ましくは0.02〜10%、より好ましくは0.03〜5%である。疎水化度が40%より低い場合には、帯電安定性が悪く耐刷試験を行っていくうちに画像濃度が低下する問題がある。逆に疎水化度が40%より高い場合には帯電安定性が高く、また高温多湿環境においても画像安定性がある。
【0051】
さらに、本発明においては、外添剤として、従来研磨剤として用いられている無機微粒子を用いることができる。研磨剤無機微粒子を添加することにより、感光体の研磨効果により、感光体上に付着したトナー残による画像欠陥や感光体のクリーニング性向上等の効果がある。研磨剤無機微粒子のBET比表面積の測定は、磁性粉のBET比表面積で記述した同様の方法で行った。研磨剤無機微粒子のBET比表面積は0.2〜50m2 /gが好ましく更に好ましくは0.5〜40m2 /gである。研磨剤無機微粒子の比表面積が0.2m2 /gより小さい場合には、本来の目的である感光体の研磨効果が見られず、また50m2 /gを越えるとカブリや機内飛散の原因となってしまう。研磨剤無機微粒子としては、酸化チタン、シリカ、珪素−アルミニウム共酸化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム等の無機酸化物や、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等のチタン酸化合物、また炭酸カルシウムや炭酸ストロンチウム、硫酸バリウム等の塩化合物等が挙げられる。また更には、炭化珪素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化タンタル等の無機炭化物、あるいは窒化珪素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化クロム、窒化タングステン等の無機窒化物、更には珪化チタン、珪化ジルコニウム、珪化ニオブ、珪化クロム、珪化タングステン等の無機珪化物等、従来の冶金用として用いられる無機粉末が挙げられ、好ましくはシリカ、炭化珪素、窒化珪素等の非金属系セラミックスである。またこれら無機微粒子は必要に応じて疎水化処理しても良い。また、これら無機微粒子は単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0052】
また本発明のトナーには、必要であれば、滑剤、導電性調製剤、画像剥離防止剤等トナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することもできる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛等が、導電性付与剤としては酸化スズ、カーボンブラック等があげられる。
【0053】
本発明のトナーは、下記条件を満足するトナーであることが現像性のからみて好ましい。
すなわちトナーの体積平均粒径が8〜13μm、好ましくは8〜12μmであり、さらに5μm以下の粒径を有する磁性トナー粒子が17〜60個数%含有され、6.35〜10.08μmの粒径を有する磁性トナー粒子が5〜50個数%含有され、12.7μm以上の粒径を有する磁性トナー粒子が2.0体積%以下で含有されることが好ましい。トナー体積平均粒径が4.5μm未満では転写材上のトナー付着量が少なく画像濃度が低くなり易い。また体積平均粒径13μmを越える場合では、例えば100μm以下の微小スポットから形成される静電潜像の解像度が良好でない。
【0054】
また5μm以下の粒径の磁性トナー粒子が17個数%未満であると、高画質に有効な磁性トナー粒子が少なく、特に、プリントアウトをつづけることによってトナーが使われるに従い、有効な磁性トナー粒子成分が減少して、本発明で示すところの磁性トナーの粒度分布のバラツキが悪化し、画質がしだいに低下しやすくなる。60個数%を越える場合は、磁性トナー粒子相互の凝集状態が生じやすく、本来の粒径以上トナー塊となるため、荒れた画質となり、解像性を低下させ、静電潜像のエツジ部と内部との濃度差が大きくなり、中ぬけ気味の画像となりやすい。
【0055】
6.35〜10.08μmの範囲のトナー粒子は5〜50個数%以下であることが良く、好ましくは8〜40個数%が良い。50個数%より多いと、画質が悪化すると共に、細線再現性が低下し、トナー消費量の増大を招く。一方、5個数%未満であると、高画像濃度が得られにくくなる。
【0056】
12.7μm以上の粒径の磁性トナー粒子は2.0体積%以下であることが良く、好ましくは1.0体積%以下であり、さらに好ましくは0.5体積%以下である。2.0体積%より多いと、細線再現における妨げになる。
【0057】
トナーの粒度分布の測定装置としてはマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力して評価した。電解液としてはアイソトン(ベックマンコールター社製)を用い、測定法としては該電解液30〜50ml中に分散剤として界面活性剤を0.1〜1ml加え、さらに測定試料を5〜10mg加える。試料を添加した電解液を超音波分散器で約1分間分散し、前記マルチサイザーII型により、アパチャー径として100μmのものを用い、個数カウンタ個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、本発明に係るところの値とした。
【0058】
本発明のトナー粒子は、特に制限はなく,従来から公知のトナーの製造方法を用いて製造することができる。一般的には、上述したようなトナー粒子構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により十分混合したのち、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機を用いて機械的に粗粉し微粉砕する。微粉砕工程に用いる粉砕機としては、ジェットミル等のジェット気流を用いて衝突板に衝突させて粉砕する気流型粉砕機や、ターボミル、KTM、MVM、ACM等の機械式衝撃粉砕機が知られているが、本発明においては機械式粉砕機を用いることが好ましい。機械式粉砕機の一例(概略断面図)を図1〜2に示す。
【0059】
図1において、機械式粉砕機の回転部は回転軸(1)、ディストリビュータ(3)、硬質金属からなるブレード(4)が多数ついたロータ(2)、および仕切円盤(5)より構成され、他方固定部はケーシング(6)からなり、その内側には多数の溝がついたライナー(7)が取り付けられている。
【0060】
混練工程を終了し、粗粉砕したトナー粗砕物を圧縮空気と一緒に原料フィード口(11)より定量フィーダ等を用いて投入し、高速に回転する上記回転部により、入口渦巻室(9)で投入物の旋回を開始させ、(3)により加速されて粉砕室(8)に送り込まれる。(8)では上記回転部が高速に回転しているため、上記(2)に取り付けられた(4)と、(6)に取り付けられた(7)の狭い間隙を通過するに伴い、粉砕され、出口渦巻室(10)を通過して粉砕物排出口(12)より排出される。このときトナー粒子の粒径および円形度を決める要因としては、A.ブレード(4)とライナー(7)とからなる粉砕室(8)の間隙、B.ブレード(4)およびライナー(7)の形状、C.粉砕機の回転数、および、D.供給速度(フィード量)等が挙げられる。一般的に、粉砕室(8)の間隙が広くなるほど排出粒径は大きくなり、逆に狭くなれば小さくなることが知られている。本発明においては0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmである。またブレード(4)およびライナー(7)の形状としては主に図2に示した2つの形状があり(13)は凸型、(14)は波形のブレードである。これらは磁性、非磁性、あるいはトナーを構成する樹脂の硬さ等により、粉砕性、効率(使用電力量、供給速度、粉砕収率)等を考慮して選定される。本発明では(14)の波形がより好ましい。また、上記図1中の回転部の回転数により粒径や形状を制御し、一般的に回転数が大きいほど粉砕粒径が小さくなり、円形度は大きくなる。本発明では粉砕機の回転数を調整することにより、トナーの円形度および粒径を調整する手段の一つとした。通常回転数は3000〜8000rpmで用いることが一般的である。また、トナー粗砕物の供給速度は粉砕機の容積、長さ、上記ブレードやライナーの形状および要求する粒径により調整をする。一般的に供給量が少なくなれば粉砕室内の見かけ上の容量が増加して、対流や回転するための運動エネルギーを受けやすくなり、更にトナー粒子同士の衝突に起因する凝集の確率が減少するため粒径は小さくなり、円形度は大きくなる傾向である。本発明においては、これら粉砕室の間隙、ブレードおよびライナーの形状、粉砕機回転数、および粗砕物の供給量を適宜選択或いは調節して、トナー粒子径を制御しのフロー式粒子像測定装置(シスメックス社製FPIA2100)にて得られた円相当径で3μm以上の平均円形度が0.88〜0.95になるのが好ましい。
【0061】
微粉砕工程において円形度が調整されたトナー粒子を分級して、粒度分布の調節されたトナー粒子を得るため、各種分級機を用いることができる。粉砕粒子の凝集をほぐすことを考慮すればDS分級機(ディスパージョン・セパレータ)、DSX分級機を用いることが好ましい。
【0062】
分級されたトナーは所望量の分級したトナー微粒子に各種外添剤を添加した後ミキサー等で十分に混合することにより、外添剤をトナー表面に均一に分散付着させ、目的のトナーを得ることが出来る。
【0063】
本発明のトナーは、従来公知の電子写真、静電記録或いは静電印刷法などにより形成された静電荷像を乾式現像するための複写方法および複写装置の現像剤として用いることができる。現像方法としては、現像部位での電位差を利用したジャンピングプロセスが好ましく、また定着法としては、加熱体を内包する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラからなる定着器でトナーを加熱定着する方式、或いは加熱体が定着ベルトを介して加圧ローラと対向圧接している定着器でトナーを加熱定着する方式などが、好ましい方法として挙げられる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中などにおける「部」は特に指定がない場合は重量部である。
【0065】
高分子化ポリエステル樹脂Hの製造例
15リットルの四つ口フラスコに、還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、ポリオール(ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物)40.6モル%、トリメチロールプロパン10.2モル%、ステアリン酸4.8モル%、イソフタル酸44.4モル%の量仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら、180〜240℃で脱水縮合を行った。反応生成物の酸価及び水酸基価が所定の値に達したところで反応生成物をフラスコより抜き出し、冷却、粉砕して、高分子化ポリエステル樹脂Hを得た。ポリエステル樹脂Hの酸価は、13mgKOH/gであり、Mwは9、100、Tgは41℃であった。
【0066】
低分子化ポリエステル樹脂Lの製造例
上記製造装置に、ポリオール(ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物)44.9モル%、安息香酸20.5モル%、テレフタル酸34.6モル%を上記樹脂Hの製造法に従い、低分子ポリエステル樹脂Lを製造した。得られた低分子ポリエステル樹脂Bの酸価は、5mgKOH/gであり、Mwは4、700、Tgは46℃であった。
【0067】
結着ポリエステル樹脂Aの製造例
上記高分子化ポリエステル樹脂H及び低分子化ポリエステル樹脂Lを、H/L=40/60重量%の割合で用いた。先ず低分子ポリエステル樹脂Lをまず6kg/hrの流量で二軸混練機に供給し、これに高分子化用ポリエステル樹脂Hを4kg/hrの流量で供給して溶融混練搬送し、この混練搬送中の樹脂混合物に、更にトリレンジイソシアネートを320g/hr、の流量で供給して、混練を続けて反応を行い、押出後冷却することによりウレタン変性ポリエステル樹脂Aを得た。このウレタン変性ポリエステル樹脂Aの酸価は、9mgKOH/gで、Mwは18、000、Mnは2、800、またTgは55℃であった。
【0068】
結着ポリエステル樹脂A1の製造例
上記トリレンジイソシアネート添加時に同時にポリプロピレンワックス(Mw/Mn=3.5、DSC吸熱ピーク152℃)を流量200g/hで供給すること以外同様にしてポリエステル樹脂A1を得た。この離型剤内添ウレタン変性ポリエステル樹脂A1の酸価は、8mgKOH/gで、Mwは19、000、Mnは2、700、またTgは56℃であった。
【0069】
結着ポリエステル樹脂A2およびA3の製造例
上記ポリエステル樹脂A1のポリプロピレンワックスをポリエチレン(Mw/Mn=2.0、DSC吸熱ピーク126℃)に、またフィッシャートロプシュ法で得られた炭化水素系ワックス(Mw/Mn=1.5、DSC吸熱ピーク102℃)に替えること以外ポリエステル樹脂A1と同様にしてそれぞれポリエステル樹脂A2およびポリエステル樹脂A3を得た。
【0070】
結着ポリエステル樹脂BおよびB3の製造例
上記高分子化ポリエステル樹脂H及び低分子化ポリエステル樹脂Lを、H/L=30/70重量%の割合で用い、またトリレンジイソシアネートを200g/hrとすること以外、ポリエステルAの合成例と同様にしてポリエステル樹脂Bを得た。またポリエステルA3と同様にフィッシャートロプシュ法で得られた炭化水素系ワックスを添加してポリエステル樹脂B3を得た。
【0071】
結着ポリエステル樹脂Cの製造例
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン770g,ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン720g,テレフタル酸690g,1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル120gを通常のエステル化触媒と共に4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌装置、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で窒素気流下、初め210℃常圧で、そして後に210℃減圧にて撹拌しつつ反応を行い,ポリエステル樹脂Cを得た。得られた樹脂は、酸価3mgKOH/g、Mwは7、000、Tgは46℃であった。以下に合成した樹脂の物性を表1に示した。
【0072】
電荷制御剤(1)の製造例
▲1▼ 500ccのビーカーに水450gおよびNaOH7.2gを入れ、加温 、攪拌してNaOHを完全に溶解させた。このNaOH水溶液を65℃にまで 加熱した後、攪拌下に3、5−ジ−tert−ブチルサリチル酸(以下DTB SA)45gを加え、65℃の温度を保持した状態で更に攪拌を行い、DTB SAを溶解させた。溶解溶液のpHが6.8となったとき加熱、攪拌を中止し 、溶液を濾過することにより、不溶のDTBSAを除去して、茶褐色の濾液を 得た
▲2▼ 40%CrCl3 溶液37.2gと水120gを500ccのビーカーに入れ、pH2.1の塩化第二クロム溶液を作成し、この塩化第二クロム溶液に1%NaOH水溶液120gを時間をかけゆっくりと加えることにより、pH3.95の溶液を得た。次いでこの液を2Lのビーカーに移し、水を加えて希釈し、全量を350gとしたこの塩化第二クロム溶液を60℃に加温し攪拌を続けた。
上記▲2▼溶液に60℃に保持された上記▲1▼のDTBSAの水溶液を1.5から2時間かけて滴下した。滴下終了後更に60〜65℃の温度で1時間攪拌を行ったのち、吸引濾過し、水洗して反応生成物170gを得た。濾液のpHは、4.00であった。濾取された反応生成物を50℃で約14時間乾燥させ、乾燥後粉砕することにより、約70gの電荷制御剤(1)を得た。
【0073】
実施例1
・ポリエステル樹脂 A1                54.0重量部
・磁性粉(マグネタイト)               45.0重量部
(BET:比表面積3.2m/g)
・電荷調整剤(1)                    1.0重量部をヘンシェルミキサーにより予備混合した後、二軸押出機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いで機械式粉砕機を用い、粉砕回転数7000rpm、供給速度20kg/hの条件で微粉砕した後、風力分級機(日本ニューマチック製、DS−3)で分級し、体積平均粒径11μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部に対し流動化剤としてBET比表面積250m/gの疎水化したシリカ微粒子(疎水化度43%)を0.3部、研磨剤として平均粒径1.09μmの窒化珪素微粒子(BET比表面積2.09m/g)を1.0部添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナーを調製した。このトナーの4mm針入度は190℃であった。
【0074】
上記で調製したトナーの動的粘弾性測定データはパーソナルコンピュータ(NEC社製、PC−MA90H)にて表計算ソフト(マイクロソフト社製、マイクロソフトエクセル)を用いて、周波数1Hz、140〜200℃での温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率(G’1Hz)の自然対数値との最小自乗法により線形直線の傾きαを求めた。実施例1のトナーの傾きαは35.2であった。
【0075】
さらに該トナー5部と平均粒径50μmのフェライトキャリア95部とを50ccのポリ瓶に入れ,ボールミルにて30分混合して摩擦帯電させた現像剤を得た。この現像剤の摩擦帯電量をブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル社製)で測定したところ帯電量は−20μC/gであった。
【0076】
上記で得られたトナーを用いて、市販の複写機(キャノン社製;デジタル複写機iR6000改造機)にて23℃、50RH%の環境下で画像試験を行い、画像特性の評価を行ったところ、濃度の安定した、かぶりの少ない画像が得られた。さらに該トナーを補給しながら、23℃、50RH%環境下で1万枚の耐刷試験を行ったところ、初期画像同様に良好な画像が得られた。
【0077】
また、10℃、20RH%にて定着試験を行った。試験方法としては、用紙として一般的にヨーロッパで使用されている上質紙(75g/A4・100枚)を用い、グレースケール(イーストマンコダック社製)を1000枚連続複写し、その際、各100枚毎をサンプリングし、その画像部をクロックメータ(アメリカ アトラス社製、CM−5)のアーム先端に消しゴム(トンボ社製、モノPE−07A)を取り付けて10回往復で擦り、擦り前後の画像濃度計(マクベスRD−918)での測定値の比から以下の(C)式に従い求める。
【0078】
【数4】
Figure 2004038027
【0079】
各グレースケール部の定着率から平均値を求め、これをトナーの定着率とした。この定着試験を行ったところ、定着性が良好で、オフセットによる印字物の汚れのない画像が得られた。また耐オフセット性に関しては出力画像および定着器周辺の汚れ具合を目視で判断した。また上記定着試験のグレースケール1000枚出力後,黒べた(原稿濃度1.5)を100枚連続で出力し定着ロールへの巻き付き(リフティング)を確認した。これら画像および定着性に関する評価結果を表4に示した。
【0080】
実施例2〜7
上記実施例1と同様にして,表2に示した処方条件で各種トナーを調製した。調製したトナーの物性を表3に示し,画像および定着性に関しては表4に示した。
【0081】
これらのトナーの評価を行った結果,画像特性(画像濃度,かぶり),定着性,および耐オフセット性は良好であった。
【0082】
比較例1
磁性粉をBET比表面積1.1m/gのものに変更し,電荷調整剤の配合量を2.0重量部とすること以外,上記実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの動的粘弾性から求められた傾きαは52.7で磁性粉含有量よりも大きい値であった。このトナーを上記実施例1と同様に耐刷試験および定着試験を行ったが,出力物にトナーによる汚れが見られた。機内の定着器を観察すると定着ロールおよび定着クリーニングウェブにトナーの溶融塊が観察された。
【0083】
比較例2
上記実施例1の磁性粉量を75重量部として、実施例1と同様にしてトナーを得た。同様に画像試験、耐刷試験および定着試験を行ったところ、定着が不十分で,出力時の紙の摩擦等で画像欠落が発生したため途中で実験を中止した。また実験終了後機内を観察すると,コールドオフセットと思われる定着器周辺の汚れがみられた。
【0084】
比較例3
表2の処方に従って上記実施例1同様にしてトナーを得て,同様に画像試験、耐刷試験および定着試験を行ったところ、定着ロールに巻き付き,ジャムが頻繁に発生したために定着試験を中断した。
【0085】
比較例4
結着樹脂にポリエステル樹脂Cを用い,表2の処方に基づき,実施例1と同様にトナー調製した。該トナーを用いて耐刷試験を行ったところ約500枚で著しい画像汚れが発生したため実験を中断した。機内を確認すると定着ロールおよびクリーニングウェブにホットオフセットによるトナーの軟溶融物が付着していた。
【0086】
以上の比較例の画像および定着性評価の結果についても、表4に併記した。
【0087】
【表1】
Figure 2004038027
【0088】
【表2】
Figure 2004038027
【0089】
【表3】
Figure 2004038027
【0090】
【表4】
Figure 2004038027
【0091】
【発明の効果】
トナーに少なくともポリエステル樹脂成分、磁性粉および離型剤を含有し、周波数10−1〜10Hz、温度140℃〜200℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との関係において、140℃で貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きく、また200℃で貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃より大きく、温度140℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの動的粘弾性(G’1Hz)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;%)との関係において、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求めた線形直線の傾きαがトナー粒子中の磁性粉の含有重量比率Mよりも小さく、且つ、M/2であることを満たすトナーを用いることにより画像特性および定着性に優れたトナーを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】機械式粉砕機の粉砕部の一例の概略断面図である。
【図2】機械式粉砕機の粉砕部ローターに取り付けられるブレードの一例の概略図である。
【図3】実施例1〜4の貯蔵弾性率と温度に関する線形直線の一例の概略図である。
【図4】実施例5〜7の貯蔵弾性率と温度に関する線形直線の一例の概略図である。
【図5】比較例1〜3の貯蔵弾性率と温度に関する線形直線の一例の概略図である。
【符号の説明】
(1)回転軸
(2)ロータ
(3)ディストリビュータ
(4)ブレード
(5)仕切円盤
(6)  ケーシング
(7)  ライナー
(8)  粉砕室
(9)  入口渦巻室
(10) 出口渦巻室
(11) 原料フィード口
(12) 粉砕物排出口
(13) 凸型ブレード
(14) 波形ブレード
(15) 圧縮空気の噴出口
(16) 衝突板
(17) ホッパー

Claims (13)

  1. 少なくとも、1.帯電装置により静電潜像担持体に電荷を均一に与える工程、2.露光により該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、3.該露光工程がレーザービームを用いて静電潜像を形成する工程、4.該静電潜像をトナーによって該静電潜像担持体上に現像する工程、5.該静電潜像担持体上の現像を転写材に転写する工程、6.該画像転写された転写材が加熱定着部に搬送されて排出さる工程、7.転写工程後に該静電潜像担持体表面に残存するトナーをクリーニングする工程、を要する画像形成方法において、該トナーは少なくともポリエステル樹脂成分、磁性粉および離型剤を含有し、周波数10−1〜10Hz、温度140℃〜200℃における動的粘弾性の貯蔵弾性率(G’;単位dyn/cm)と損失弾性率(G”;単位dyn/cm)との関係において、140℃で貯蔵弾性率G’140℃が損失弾性率G”140℃よりも大きく、また200℃で貯蔵弾性率G’200℃が損失弾性率G”200℃より大きく、また温度100℃〜200℃、1Hzにおけるトナーの貯蔵弾性率(G’1Hz;単位dyn/cm)とトナー粒子中の該磁性粉の重量比率(M;重量%)との関係において、温度tの逆数の10倍値(1/t×10)と貯蔵弾性率G’1Hzの自然対数値との最小自乗法により求められる線形直線の傾きαとトナー粒子中の磁性粉の含有重量比率Mとの関係が下記式(A)及び(B)を満足することを特徴とするトナー。
    Figure 2004038027
  2. トナー粒子中の磁性粉の含有量が30重量%から70重量%であることを特徴とする請求項1記載のトナー
  3. BET法により測定される比表面積が2.5〜10m/gである磁性粉を含有したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のトナー。
  4. トナーの高架式フローテスターでの4mm針入度が140℃以上、210℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 少なくともトナー中に電荷調整剤が含有され、該電荷調整剤が芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 少なくとも酸価が1〜17mg/gであるポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 少なくとも高分子化用ポリエステルと低分子化用ポリエステルとイソシアネート化合物とを混合し反応せしめてなるウレタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 少なくとも高分子化用ポリエステルと低分子化用ポリエステルとイソシアネート化合物とを混合し反応せしめる際に,離型剤を添加せしめて得られる離型剤含有ウレタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 示差熱走査熱量計(DSC)による測定において、少なくとも80〜170℃に吸熱ピークを持ち、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が20以下の離型剤が含有されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 外添剤として非金属セラミック化合物を添加、混合せしめたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. トナーの体積平均粒径(D50)が8〜13μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のトナー。
  12. 機械式粉砕機により粉砕され、その後気流式分級機にて分級されて得られるトナー粒子と外添剤とを混合処理することにより得られることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のトナー。
  13. 機械式粉砕機により粉砕され、その後気流式分級機にて分級されて得られたトナー粒子と外添剤とを混合処理することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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