JP2004037410A - 変調伝達関数測定装置および変調伝達関数測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な調整によって、被検レンズの変調伝達関数を測定すること。被検レンズの点像に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を測定すること。常温環境下の明るい部屋であっても、変調伝達関数を測定できること。
【解決手段】被検レンズ1の結像を二次元撮像部材3で撮像してモニタ17に表示して調整し、その調整後の二次元の強度分布に基づいてMTF値を演算する。被検レンズ1の点像を2倍以上に拡大して二次元撮像部材3で撮像し、その二次元の強度分布に基づいてMTF値を演算する。ランプ5の光を含む二次元の強度分布から、ランプ5の光を含まない二次元の強度分布を減算した強度分布に基づいてMTF値を演算する。
【選択図】 図1
【解決手段】被検レンズ1の結像を二次元撮像部材3で撮像してモニタ17に表示して調整し、その調整後の二次元の強度分布に基づいてMTF値を演算する。被検レンズ1の点像を2倍以上に拡大して二次元撮像部材3で撮像し、その二次元の強度分布に基づいてMTF値を演算する。ランプ5の光を含む二次元の強度分布から、ランプ5の光を含まない二次元の強度分布を減算した強度分布に基づいてMTF値を演算する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結像レンズや結像ミラーなどの被検レンズあるいは被検ミラーの変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)を測定する変調伝達関数測定装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
変調伝達関数測定装置(以下、MTF測定装置と記載することもある。)には、可視光(白色光)を使用して可視光用のレンズのMTF値を測定するものや、赤外放射を使用して赤外用レンズのMTF値を測定するものなど、種々のものが存在している。図10は、従来の赤外用のMTF測定装置の構成図である。
【0003】
従来の赤外用のMTF測定装置は、赤外放射ランプ101から放射された赤外放射を光源遮蔽板102のスリット102aを通して反射板103に当てる。反射板103で反射した赤外放射をコリメータミラー104に照射し、コリメータミラー104によって平行光として被検レンズ105へ照射する。平行光は、被検レンズ105を通過した後、焦点面において線像として結像する。線像の光は、リレーレンズ106を介して赤外検知器107に受光される。なお、焦点面には、平行光以外の光が赤外検知器107に入射されないように、スリット108aが生成された検出部遮蔽板108が配置されている。リレーレンズ106は、このスリット108aを大きくして機械的な走査を楽にするために使用されている。また、リレーレンズ106と赤外検知器107との間には、赤外放射の特定の波長のみを透過するフィルタ109が配置されている。
【0004】
赤外検知器107は、受光光量に応じたレベル値を出力する。このレベル値は、ロックインアンプ110に入力される。ロックインアンプ110は、赤外放射ランプ101と光源遮蔽板102との間に設けられた光を遮断したり通過したりするチョッパー111からの同期信号が入力され、この同期信号であって光を通過したときの同期信号が入力されたときのレベル値をフィルタリングして、所定の波長帯域の信号成分のみを出力する。この信号成分は、対数増幅器112で増幅された後、AD変換器113でデジタル値に変換される。
【0005】
計算機114は、コントローラ115を介して、XYZ微動テーブル116を制御する。XYZ微動テーブル116には、リレーレンズ106、検出部遮蔽板108および赤外検知器107がマウントされている。計算機114は、XYZ微動テーブル116を少しずつ動かすことで検出部遮蔽板108を平行移動させ、線像の強度分布としての複数のデジタル値をAD変換器113から取得する。計算機114は、この線像の強度分布としての複数のデジタル値に基づいて、被検レンズ105のMTF値を演算し、必要に応じてこれを記録器117へ出力する。
【0006】
従来の赤外用のMTF測定装置は、以上のように構成されているので、測定者の操作の下でXYZ微動テーブル116を移動させることで、被検レンズ105の赤外放射によるMTF値を測定することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の赤外用のMTF測定装置では、以下の問題がある。
【0008】
第一に、赤外放射を使用しているので、被検レンズ105が結像する線像は、当然に、人が直接に目で確認することができない。したがって、被検レンズ105の設計上の焦点距離に基づいて、被検レンズ105、リレーレンズ106および赤外検知器107の相対位置を調整したとしても、設計値と実際の測定値とは異なることがおおいので、設計値に設定したとしても殆どの場合、赤外検知器107から像の強度分布のデータを得ることはできない。その結果、測定者は、線像の強度分布を測定する前に、殆ど必ず、検出部遮蔽板108を三次元的に微妙に移動させて、線像に対して正しくスリット108aが平行移動できる位置を発見する作業が必要となる。この位置の調整作業は、非常に微妙で難しいものであるため、熟練した人であっても数時間単位の作業時間がかかる。また、スリット108aの幅が狭ければ狭いほど、時間がかかる。そして、このように時間をかけて作業をしたとしても、その位置関係が被検レンズ105の最適な結像となっているかを正確に確認することもできない。
【0009】
また、線像の強度データを得るまでの作業を効率化するために、従来の赤外用のMTF測定装置では、ピンホールではなく、スリット102a,108aを用いている。そのため、被検レンズ105のアジマスを測定する場合には、たとえば、メリジオナル方向での線像の強度分布を測定した後に、スリット102aや赤外放射ランプ101などを90度回転させて新たな位置決めをして、サジッタル方向での線像の強度分布を測定しなければならず、非常に手間がかかる。
【0010】
第一に、赤外放射は、全ての物から放射されている。特に、20〜30度の室温では、8〜13ミクロンの10ミクロン帯の波長の赤外放射が大量に放射される。また、赤外放射は、太陽からも放射されている。これに対して、赤外放射のMTF値は、この10ミクロン帯や、3〜5ミクロン帯の赤外放射について測定する。したがって、この従来の赤外用のMTF測定装置は、低温に制御された暗室内に設置して、MTF値の測定をしなければならなかった。
【0011】
第二に、従来の赤外用のMTF測定装置では、リレーレンズ106および赤外検知器107を少しずつ動かしながら被検レンズ105の結像を赤外検知器107で受光する測定操作を繰り返すことで、線像の強度分布を得ている。したがって、1つの線像の強度分布を得るためには、複数の強度データを時間をかけて測定しなければならない。その結果、その測定期間の間にたとえば赤外放射ランプ101の温度が変動したりしてしまい、かならずしも再現性の良い線像の強度分布を得ることができない。
【0012】
特に、スリット102aを細くして空間周波数を上げれば上げるほど、リレーレンズ106を用いて線像の幅を拡大したとしても、赤外検知器107を微妙に移動させつつ、1点1点の強度データを測定しなければならくなる。その結果、測定に時間がかかってしまって、再現性が低下する。
【0013】
本発明は、簡単な調整によって、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0014】
本願の他の発明は、被検レンズの点像に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。特に、CCDなどの二次元撮像部材のナイキスト周波数あるいはそれ以上の周波数の空間周波数であったとしても、再現性の良い変調伝達関数を得ることができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0015】
本願の他の発明は、常温環境下の明るい部屋であっても、変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールあるいは長四角のスリットなどの光通し孔が形成される光源遮蔽版と、光通し孔を通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像を拡大するリレーレンズと、リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、結像を表示するモニタと、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整する調整手段と、調整手段による調整後の二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0017】
この構成を採用すれば、被検レンズの結像を拡大したものを二次元撮像部材で受光し、この二次元撮像部材が撮像した結像の二次元の光の強度分布をモニタに表示することができる。したがって、このモニタの表示で結像の状態を確認しつつ調整手段を用いて、簡単に二次元の光の強度分布を得ることができる。また、この二次元の光の強度分布に基づいて、簡単に、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。
【0018】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、モニタは、二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布から、光源の光が含まれない二次元の光の強度分布を減算したものを表示するものである。
【0019】
この構成を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定したとしても、結像をモニタに表示することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において結像をモニタに表示させて、変調伝達関数を測定することができる。
【0020】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、リレーレンズは、結像を2倍以上、8倍以下の倍率で拡大するものである。
【0021】
この構成を採用すれば、被検レンズの設計上の焦点距離に基づいてラフに位置調整をするだけで、リレーレンズにて拡大された結像をほぼ確実に二次元撮像部材の受光面で受光させることができる。つまり、ほぼ確実に結像をモニタに表示させることができる。その結果、モニタに結像が表示されなかった場合には、その結像を探し出すための余分な調整作業が必要となってしまうが、そのような作業が不要となり、モニタに結像を表示することによる、最良像点の探索のための作業効率の向上効果を損なってしまうことはない。
【0022】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、光源および二次元撮像部材は赤外用のものであり、リレーレンズはゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの赤外放射を透過する材料を用いて形成したものであり、さらに、コリメータミラーを使用するものである。
【0023】
この構成を採用すれば、被検レンズの赤外放射での変調伝達関数を得ることができる。特に、コリメータミラーを使用することで、赤外放射の波長が変わったとしても、同じ調整位置のままで結像の二次元の光の強度分布を撮像して波長毎の変調伝達関数を得ることができる。
【0024】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、調整手段は、結像が二次元撮像部材の撮像画面の中心部分にくるように、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整するものである。
【0025】
この構成を採用すれば、結像が二次元撮像部材の撮像画面の中心部分にきた状態、すなわち、二次元撮像部材の受光面に対して略垂直に光が入射した状態での良好な二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。つまり、変調伝達関数として良好な値を得ることができる。
【0026】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、光源遮蔽板には、円形のピンホールが形成され、演算手段は、二次元撮像部材が撮像した1つの点像の二次元の光の強度分布に基づいて、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を演算するものである。
【0027】
この構成を採用すれば、長四角のスリットを用いた場合には、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を、別々の強度分布に基づいて演算しなければならないが、1回の測定で効率よくアジマス測定が可能となる。
【0028】
本願の他の発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、円形のピンホールを通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像を2倍以上に拡大するリレーレンズと、リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0029】
この構成を採用すれば、被検レンズの結像は点像である。しかも、この点像を2倍以上に拡大したものを二次元撮像部材で受光する。つまり、2倍以上に拡大された点像強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。したがって、被検レンズの点像が一般的に二次元撮像部材の1つの受光素子よりも小さくなるにもかかわらず、確実に、その点像強度分布を複数の受光素子の受光レベル値として得ることができる。その結果、二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布に基づいて変調伝達関数を確実に得ることができる。
【0030】
しかも、このようにリレーレンズを用いて2倍以上に点像を拡大することで、二次元撮像部材のナイキスト周波数以上の空間周波数での変調伝達関数を得ることができ、しかも、変調伝達関数の再現性がよくなる。
【0031】
本願の他の発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、円形のピンホールを通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像をそのままあるいは拡大されたものを二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、光源の光を含む二次元の光の強度分布から光源の光を含まない二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0032】
この構成を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において、変調伝達関数を測定することができる。
【0033】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、結像を二次元撮像部材で撮像してモニタに表示するとともに、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整し、その調整後に二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0034】
この方法を採用すれば、二次元撮像部材が撮像した結像の二次元の光の強度分布をモニタに表示することができる。したがって、このモニタの表示で結像の状態を確認しつつ調整手段を用いて、簡単に二次元の光の強度分布を得ることができる。また、この二次元の光の強度分布に基づいて、簡単に、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。
【0035】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる点像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、点像を2倍以上に拡大したものを二次元撮像部材で撮像し、二次元撮像部材から出力される点像の二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0036】
この方法を採用すれば、点像の二次元の光の強度分布を、二次元撮像部材の複数の受光素子の受光レベル値として得て、確実に変調伝達関数を得ることができる。しかも、このように2倍以上に点像を拡大することで、二次元撮像部材のナイキスト周波数以上の空間周波数での変調伝達関数を得ることができ、しかも、変調伝達関数の再現性がよくなる。
【0037】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して、光源の光に基づく平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、結像を、二次元の光の強度分布として二次元撮像部材で撮像し、光源の光を含む二次元の光の強度分布から、光源の光を含まない二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0038】
この方法を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において、変調伝達関数を測定することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る変調伝達関数測定装置および方法を、図面に基づいて説明する。なお、変調伝達関数測定方法は、変調伝達関数測定装置の動作などとして説明する。
【0040】
実施の形態1.
【0041】
図1は、本発明の実施の形態1に係る赤外用の変調伝達関数測定装置を示す構成図である。
【0042】
本実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、赤外放射を透過する結像レンズのMTF値を測定するものである。以下、この結像レンズを被検レンズ1と記載する。
【0043】
なお、MTF値は、レンズやミラーなどの光学部材の特性指標の一つであり、空間周波数に対するコントラストの減衰量の指標である。MTF値が小さいほどコントラストは減衰し、ぼやけた実像が結像することになる。
【0044】
また、赤外放射は、可視光、紫外放射、X線、ガンマ線などとともに、光の一種として考えられている。
【0045】
この赤外用のMTF測定装置は、測定光学系として、平行な赤外放射の光束を被検レンズ1へ出力する光源光学系2と、被検レンズ1を透過した光を受光する二次元撮像部材としての赤外用CCD(Charge Coupled Device)3と、被検レンズ1と赤外用CCD3との間の光の経路に配設されるリレーレンズ4と、を備える。
【0046】
光源光学系2は、赤外放射を放射する光源としての赤外放射ランプ5と、光通し孔としての円形のピンホール6が1つ形成される光源遮蔽板7と、焦点位置に配設された点光源(ピンホール6が相当)からの拡散光を平行な光へ変換するコリメータミラー8と、を備える。
【0047】
そして、光源遮蔽板7は、コリメータミラー8と赤外放射ランプ5との間であって且つコリメータミラー8の焦点位置に、円形のピンホール6が設定されるように、配設する。なお、コリメータミラー8の反射面は、平行光の光軸と拡散光の光軸とが一致しないように一方向に偏った、所謂軸外し放物曲面に形成されている。これにより、コリメータミラー8から出力される平行光は、光源遮蔽板7によって遮蔽されてしまうことはない。
【0048】
円形のピンホール6を介してコリメータミラー8に照射される赤外放射は、コリメータミラー8で反射されるとともに、平行光化される。この平行光は、被検レンズ1によって屈折されて、被検レンズ1の焦点面に点像として結像する。
【0049】
リレーレンズ4は、赤外放射を透過するゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの材料で形成されたレンズである。ガラスで形成されたレンズは、赤外放射を透過させないので、赤外放射を用いたMTF測定には使用できない。このリレーレンズ4は、被検レンズ1によって結像した点像や線像を限りなく無収差に近い状態に収差補正するとともにその点像や線像を拡大するものである。
【0050】
赤外用CCD3は、その受光面3aに、図示外の複数の受光素子がドットマトリックス状に配列されたものである。各受光素子は、受光した光量に応じた受光レベル値を出力する。これにより、赤外用CCD3は、受光面3aで受光する受光光の二次元の強度分布データを、複数の受光素子の受光レベル値の集合として、出力する。なお、各受光レベル値は、デジタルデータとして出力される。
【0051】
なお、この赤外用のMTF測定装置には、リレーレンズ4が設置され、リレーレンズ4と被検レンズ1との距離を調整するためのレンズ調整機構9と、赤外用CCD3が固定され、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整するCCD調整機構10と、を備える。なお、これらレンズ調整機構9およびCCD調整機構10は、調整手段となる。
【0052】
そして、このレンズ調整機構9とCCD調整機構10とを調整して、以下の条件1を満たすように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整する。
【0053】
条件1. リレーレンズ4は、被検レンズ1の焦点面に結像した点像を、2倍以上の倍率で拡大して、赤外用CCD3の受光面3aに結像させる。
【0054】
この条件1を満たすように被検レンズ1とリレーレンズ4との距離およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整することで、被検レンズ1の焦点面に結像した点像は、上記倍率にて拡大されて、赤外用CCD3の受光面3aにスポット光21として受光される。
【0055】
また、この赤外用CCD3から出力される、受光光の二次元の強度分布データは、コンピュータ装置11に入力される。
【0056】
コンピュータ装置11は、入出力ポート12と、記憶部材13と、中央処理装置(以下、CPUと記載する場合もある)14と、メモリ15と、これらを相互に接続するシステムバス16と、を備える。
【0057】
入出力ポート12には、赤外用CCD3から出力される受光光の二次元の強度分布データが入力されるとともに、モニタ17やプリンタなどの出力デバイスと、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイス18が接続されている。
【0058】
記憶部材13には、MTF測定プログラム19と、入出力ポート12から入力された受光光の二次元の強度分布データと、が記憶される。
【0059】
MTF測定プログラム19は、入力デバイス18による起動操作に基づいて中央処理装置14に実行され、調整手段および演算手段としてのMTF測定手段を実現する。
【0060】
このMTF測定手段は、入出力ポート12に入力される受光光の二次元の強度分布データを記憶部材13に記憶する。MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されている受光光の二次元の強度分布データを用いて赤外放射の二次元の強度分布データを生成する。MTF測定手段は、赤外放射の二次元の強度分布データをフーリエ変換してMTF値を求める。この赤外放射の二次元の強度分布データおよびMTF値は、記憶部材13に記憶される。
【0061】
なお、これら記憶部材13に記憶されている赤外放射の二次元の強度分布データおよびMTF値は、MTF測定手段によって、モニタ17に表示され、プリンタにおいて紙面に印刷される。
【0062】
次に、このような赤外用のMTF測定装置を用いて被検レンズ1のMTF値を測定する測定方法について説明する。
【0063】
まず、赤外放射を透過する被検レンズ1を、コリメータミラー8とリレーレンズ4との間の所定の位置に配置する。また、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいて、上記条件1を満たすように、リレーレンズ4と被検レンズ1との距離と、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離とを調整する。
【0064】
そして、赤外放射ランプ5を点灯させない状態で、MTF測定プログラム19を起動して最初の測定を行う。
【0065】
このような赤外放射ランプ5からの赤外放射をカットした状態において赤外用CCD3から出力される受光光の二次元の強度分布データは、入出力ポート12に入力される。MTF測定手段は、入出力ポート12に入力された赤外放射の二次元の強度分布データを記憶部材13に記憶する。
【0066】
以下、このように赤外放射ランプ5からの赤外放射をカットした状態における赤外放射の二次元の強度分布データは、背景雑音の二次元の強度分布データとして記載する。なお、赤外放射ランプ5を点灯した状態で、その赤外放射ランプ5の前にシャッタを配置し、赤外放射ランプ5の光が赤外用CCD3に検知されないように構成してもよい。
【0067】
図2に、図1に示す赤外用のMTF測定装置で撮像された、背景雑音の二次元の強度分布の一例を示す。この背景雑音の二次元の強度分布データは、常温環境下の明るい部屋で撮像されたものである。この赤外放射の二次元の強度分布データには、室温常温環境下において物体などから放射される、10ミクロン帯の赤外放射が多量に含まれている。
【0068】
次に、赤外放射ランプ5を点灯するか、先に示したシャッタをあける。この結果、円形のピンホール6から赤外放射ランプ5の赤外放射が出力される。この状態で、測定を行う。この場合、被検レンズ1で得られる点像をリレーレンズ4によって2倍以上に拡大して赤外用CCD3の受光面3aに結像させる。これにより、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データが、記憶部材13に記憶される。
【0069】
MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されている受光光の二次元の強度分布データから、背景雑音の二次元の強度分布データを減算する。これにより、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データが得られる。この赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データは、記憶部材13に記憶される。
【0070】
図3に、以上の処理によって生成された、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データの一例を示す。図3では、円形のピンホール6を介してコリメータミラー8から出力された平行光に基づいて被検レンズ1の焦点距離に結像する点像は、リレーレンズ4によって2倍に拡大されたスポット光21として、赤外用CCD3の画面22内に撮像されている。
【0071】
また、MTF測定手段は、背景雑音が取り除かれた赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データをフーリエ変換する。このフーリエ変換によって算出されるMTF値は、検査対象である被検レンズ1のMTF値と、赤外用のMTF測定装置(具体的にはリレーレンズ4と赤外用CCD3)のMTF値とが乗算されている、全体のMTF値である。
【0072】
したがって、MTF測定手段は、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データをフーリエ変換して得られたMTF値を、赤外用のMTF測定装置のMTF値で除算し、検査対象である被検レンズ1のMTF値を求める。この被検レンズ1のMTF値は、記憶部材13に記憶され、必要に応じてモニタ17やプリンタへ出力される。
【0073】
ところで、赤外用のMTF測定装置のMTF値は、予めMTF値がわかっている被検レンズ1を用いて上述する測定を行い、その測定で得られた全体でのMTF値を、予め解っている上記被検レンズ1のMTF値で除算することで、得ることができる。また、上記赤外用のMTF測定装置では、リレーレンズ4と赤外用CCD3とがMTF値を有する。したがって、このリレーレンズ4単体のMTF値と、赤外用CCD3単体のMTF値とを予め測定し、これらを乗算した値を、赤外用のMTF測定装置のMTF値として利用することもできる。なお、これらの赤外用のMTF測定装置のMTF値は、被検レンズ1の測定に先立って記憶部材13に記憶され、MTF測定手段は記憶部材13からこれを読み出して演算に利用する。
【0074】
また、この実施の形態1では、円形のピンホール6から出射されコリメータミラー8で平行化された平行光を用いるとともに、それに基づくスポット光21(点像)の全体が、二次元の強度分布データとして撮像される。つまり、点像強度分布のデータを得ることができる。
【0075】
その結果、1回の測定結果を利用して、MTF演算手段は、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を演算することができる(アジマス測定)。さらに、MTF演算手段は、この1回の測定結果を利用して、その他の任意の方向でのMTF値を演算することができる。メリジオナル方向とサジッタル方向とは互いに90度ずれた方向なので、従来の赤外用のMTF測定装置を用いてそれらの両方を測定する場合には、一方の方向の線像強度分布を測定した後に、長四角のスリットや赤外放射ランプ5などを90度回転させて新たに位置決めをして、他方の方向の線像強度分布を測定しなければならなかったが、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を用いれば、それらの回転作業が不要となる。
【0076】
また、従来の赤外用のMTF装置では、長四角のスリット102aや赤外放射ランプ101が正しく90度回転できなかった場合には、メリジオナル方向でのMTF値にサジッタル方向でのMTF値の成分が含まれてしまったり、サジッタル方向でのMTF値にメリジオナル方向でのMTF値の成分が含まれてしまったりして、良好なMTF値を得ることができない。しかし、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、赤外用CCD3内の、複数の受光素子がその製造工程において正確に正方マトリックス状(直交格子状)に配列されているので、メリジオナル方向でのMTF値と、サジッタル方向でのMTF値ととして、互いに独立した良好な値を得ることができる。
【0077】
以上の測定方法では、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4の位置と、赤外用CCD3の位置とを、ラフに調整している。そのため、図3に示すように、スポット光21が、赤外用CCD3の撮像画像の中央にくる可能性は非常に低い。また、スポット光21の径が最小である可能性も非常に低い。
【0078】
しかしながら、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、直接目視することはできない赤外放射のスポット光21がモニタ17に表示される。そのため、モニタ17を見ながら、リレーレンズ4の位置と、赤外用CCD3の位置とを微調整して、図4に示すように、赤外用CCD3の画像中央に、径が最小である最良のスポット光21を得ることができる。なお、図4での拡大率は2倍である。
【0079】
このように、赤外用CCD3の画像中央に、径が最小である最良のスポット光21を得られた状態では、スポット光21は、受光面3aに対して垂直な方向から入射していることになる。したがって、より良好な赤外放射の点像強度分布と、より良好なMTF値とを得ることができる。
【0080】
このように被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を調整した後に、モニタ17に表示された赤外放射のスポット光21を用いてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を微調整する場合、上記倍率としては1倍以上8倍以下、好ましくは2倍以上4倍以下の倍率を選択するとよい。図5は、倍率を8倍にした場合のスポット光21である。
【0081】
このように8倍以下、好ましくは4倍以下の倍率を選択することで、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置をラフに調整した状態で、一般的な赤外用CCD3の受光面3aのサイズにおいて、ほぼ確実に、その撮像画面22内にスポット光21を受光させることができる。8倍よりも大きな倍率を選択した場合には、赤外用CCD3の受光面3a外にスポット光21が当たってしまう可能性が高くなる。受光面3a外にスポット光21が当たってしまうと、画面22にスポット光21が表示されないので、スポット光21を探し出すための余分な調整作業が必要となってしまう。その結果、モニタ17にスポット光21を表示させることによる、最良像点の探索のための作業効率の向上効果が減殺されてしまうことになる。
【0082】
なお、上記倍率は、上記条件1に拘らず、1倍よりも大きな倍率、好ましくは上記条件1のように2倍以上、さらに好ましくは3倍以上を選択するとよい。また、2倍以下の倍率の場合、像の強度分布の広がりが不十分となり統計効果が十分活かされない。
【0083】
一般的に、レンズの焦点面において形成される点像の直径は、非常に小さい。被検レンズ1の焦点面に形成される点像を小さくすることで、より良好なMTF値が得られる。このため、被検レンズ1の点像は、赤外用CCD3の1つの受光素子よりも小さいくすることがありえる。そのため、少なくとも1倍よりも大きな倍率にて焦点面の点像を拡大したスポット光21を、赤外用CCD3の受光面3aに入射するとよい。これにより、スポット光21を複数の受光素子で受光することができる。その結果、スポット光21の強度分布情報を、複数の受光素子の受光レベル値として得ることができ、この複数の受光レベル値に基づいてMTF値を演算することができる。
【0084】
赤外用CCD3は、可視光用のCCDと同様に、受光面3aに複数の受光素子がドットマトリックス状に配列されている。したがって、赤外用CCD3によって得られる(検出できる)赤外用CCD3の受光素子の配列間隔から得られる赤外用CCD3のナイキスト周波数が限界であり、それ以上の空間分解能を得ることはできない。
【0085】
また、隣接する2つの受光素子の間には、互いが独立したドットとなるように物理的な間隔が必要である。各受光素子が受光レベル値を出力するために、隣接する2つの受光素子の間には、その受光レベル値を出力するための信号線などを配設する必要がある。つまり、受光素子と受光素子との間には必ず、光を受光しない部分が存在する。したがって、スポット光21の径が小さい場合には、受光面3a上のスポット光21の位置がほんの僅かずれるだけで、各受光素子の受光光量が大きく変動してしまう。その結果、画像の中央部分にスポット光21が位置するように位置を同じように調整したとしても、複数の受光素子にて量子化された受光レベル値から得られる点像強度分布の傾斜部分の角度や、点像強度分布の広がり具合が異なってきてしまう。つまり、点像強度分布の再現性が非常に悪い。そのため、ナイキスト周波数の半分の空間周波数であったとしても、実際には、再現性の良い満足できるMTF値を得ることができない。
【0086】
そのため、ナイキスト周波数までのMTF値を得ようとすれば、拡大率は、2倍以上にするとよい。これにより、複数の受光素子の受光レベル値として得られる、点像強度分布の傾斜部分の角度や広がり具合の再現性が改善され、ナイキスト周波数であったとしても、再現性の良い安定したMTF値を測定することができる。特に、4倍以上とすることで、MTF値としては、ナイキスト周波数であったとしても、十分な再現性を確保することができる。
【0087】
このように、点像をリレーレンズ4で拡大し、その点像を拡大したスポット光21を赤外用CCD3で受光することで、実質的に赤外用CCD3のナイキスト周波数よりも高い空間周波数のMTF値を測定することが可能である。
【0088】
さらに、赤外放射の二次元の強度分布データには、実際には、スポット光21以外にも、上記減算処理で除去しきれなかった雑音成分が残ってしまう。そして、MTF演算手段が、画像22内の極大値探索処理によって自動的にスポット光21が撮像されている画素の範囲を判定し、その判定範囲についてフーリエ変換処理を行う場合において、リレーレンズ4で点像を2倍以上に拡大しなかった場合には、雑音成分を誤って極大値として判断してしまうことがある。しかしながら、このように点像を2倍以上に拡大すると、MTF測定手段は、画像22内の極大値探索処理において雑音成分とスポット光21とを確実に区別することができ、極大値探索処理によって確実にスポット光21のMTF値を演算することができる。
【0089】
以上のように、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、室内のような常温環境下の明るい部屋において、赤外放射に対する被検レンズ1のMTF値を測定することができる。
【0090】
特に、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、赤外用CCD3でスポット光21(倍率が1倍である場合には点像そのもの)を受光し、測定された点像強度分布をモニタ17に表示しているので、このモニタ17を見ながら作業者は、スポット光21の最良像点を探索することができる。しかも、円形のピンホール6から出射された赤外放射を用いて点像強度分布を得るようにしているので、スリット108aを線像に対して完全に平行となるようにする調整作業が不要となる。しかも、一つの点像強度分布から、メリジオナル方向でのMTF値と、サジッタル方向でのMTF値とを得ることができる。これは、ソフトウェア的に各方向でのスキャンをするようにすれば、達成できる。これによって、被検レンズ1のアジマスを、非常に簡単な作業で測定することができる。
【0091】
これらの結果、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を使用することで、作業性が格段に効率化される。従来の赤外用のMTF測定装置では半日から一日かかっていた調整作業がわずかな時間で行え、測定作業も、従来の半分以下の時間で完了できるようになる。
【0092】
この実施の形態1は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0093】
たとえば、上記実施の形態1では、最初に背景雑音の二次元の強度分布データを測定し、次に赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、後者のデータから前者のデータを減算することで、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データを得ている。
【0094】
他にもたとえば、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定した後に、もう一度、背景雑音の二次元の強度分布データを測定し、この前者のデータから後者のデータを減算することでも、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データを測定することができる。また、二度の背景雑音の二次元の強度分布データを平均化し、その平均化した値を赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データから減算するようにしてもよい。
【0095】
最初の背景雑音の二次元の強度分布データの測定から、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定までの間には、リレーレンズ4や赤外用CCD3を微調整する調整作業工程が含まれる場合が多い。そのため、実施の形態1の場合には、これらの測定間隔が長くなってしまい、2つの測定の間に背景雑音の状態が大きく変化してしまうこともありえる。しかしながら、まず赤外放射ランプ5による二次元の強度分布データを得て、次に背景雑音のデータを得るこの変形例の場合には、2つの測定の間の時間を短く維持し、背景雑音の状態が大きく変化してしまうことは非常に少ない。したがって、この変形例では、実施の形態1の場合に比べて、より良好な赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データと、より良好なMTF値とを安定して得ることができる。
【0096】
上記実施の形態1では、光源遮蔽板7に円形のピンホール6を形成し、点像強度分布に基づいてMTF値を求めている。しかしながら、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向のMTF値の中の一方のみしか測定する必要が無い場合や、方向に関しての精度を要求されない場合には、光源遮蔽板7に従来のような長四角のスリットを形成してもよい。
【0097】
上記実施の形態1は、被検レンズ1のMTF値を測定するものであったが、被検ミラーなどを測定するものであってもよい。また、上記実施の形態1では、被検レンズ1に平行光を入射したときのMTF値を測定しているが、平行光以外の光を被検レンズ1に入射して測定してもよい。
【0098】
上記実施の形態1では、平行光を検査対象である被検レンズ1の主平面に対して垂直に入射して、被検レンズ1の光軸から赤外放射を入射した場合のMTF値を測定している。他にもたとえば、図6に示すように、平行光の光軸に対して被検レンズ1の光軸を斜めに設定し、その設定状態で被検レンズ1の焦点面に形成する点像の光をリレーレンズ4を介して赤外用CCD3で受光してもよい。これにより、被検レンズ1の軸外(すなわち被検レンズ1の中心のまわりの部分(周囲部分))のMTF値を測定することができる。なお、平行光の光軸と、被検レンズ1の光軸との角度θが小さいときには、sinθ=θとみなすことができるので、リレーレンズ4および赤外用CCD3の光軸と、平行光の光軸とが平行となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3を平行移動させるだけでも、軸外のMTF値を測定することができる。
【0099】
図7および図8は、実施の形態1を具体化したMTF測定装置であって図6に示す測定も可能としたMTF測定装置を示す図である。図7は、被検レンズ1の光軸部分および軸外のMTF値を測定することができる赤外用のMTF測定装置の平面図である。図8は、図7に示す赤外用のMTF測定装置の側面図である。
【0100】
なお、図7の平面図において、平行光の光軸に沿った方向をX軸方向とし、これと垂直な方向をY方向(図7で上下方向)とする。また、図8の側面図において、平行光の光軸と垂直な方向をZ軸(図7の紙面に垂直な方向)とする。
【0101】
この赤外用のMTF測定装置では、コリメータミラー8は、テーブル31の一端に固定されるコリメータユニット32にマウントされる。
【0102】
リレーレンズ4および赤外用CCD3は、撮像部材41として一体化する。撮像部材41は、カメラユニット33のカメラステージ42にマウントされる。カメラステージ42は、カメラ直動機構43を介して、副回転ステージ44にマウントされる。カメラ直動機構43は、副回転ステージ44上でカメラステージ42を、リレーレンズ4および赤外用CCD3の光軸と平行に移動する。
【0103】
副回転ステージ44は、副回転機構45を介して、平行移動ステージ46にマウントされる。副回転機構45は、平行移動ステージ46上で副回転ステージ44を回転移動する。平行移動ステージ46は、2つのステージ直動機構47,48を介して主回転ステージ49にマウントされる。2つのステージ直動機構47,48は、協働して、主回転ステージ49上で平行移動ステージ46を横方向および前後方向に移動する。
【0104】
主回転ステージ49は、主回転機構50を介して、カメラユニット33の固定台51にマウントされる。固定台51は、テーブル31の他端に固定される。主回転機構50は、固定台51上で、主点回点ステージ49を回転移動する。
【0105】
また、主回転ステージ49には、被検レンズ1をマウントするための被検レンズマウンタ61がマウントされている。この被検レンズマウンタ61は、被検レンズ1の高さを調整する高さ調整機構62と、被検レンズ1とカメラユニット33との距離を調整する距離調整機構63と、を備える。
【0106】
なお、以上のカメラステージ42から固定台51までと、高さ調整機構62および距離調整機構63は、調整手段となる。
【0107】
そして、図7および図8に示すように、被検レンズマウンタ61を最も撮像部材41に近づけた状態で、主回転機構50の回転中心は、少なくとも被検レンズマウンタ61と重なる。また、副回転機構45は、主回転機構50と同じ曲率で、副回転ステージ44を回転する。
【0108】
赤外放射ランプ5は、テーブル31に載置されるとともに、コリメータユニット32とカメラユニット33との間に配置されるランプユニット34にマウントされる。光源遮蔽板7は、円形のピンホールホルダ71によってランプユニット34にマウントされる。円形のピンホールホルダ71は、赤外放射ランプ5の所定の放射方向に対して垂直な面内で、光源遮蔽板7に形成された円形のピンホール6の位置を調整するものである。
【0109】
また、このランプユニット34には、Z軸に沿って互いに向き合って配設された2つの平面ミラー72,73がマウントされている。各平面ミラー72,73の高さおよび角度は、それぞれのミラー調整機構74,75で調整することができる。
【0110】
なお、ランプユニット34やカメラユニット33には、その両端あるいは四隅にハンドル81が設けられている。このハンドル81をもってユニット33,34を持ち上げることで、それぞれのユニット33,34を他のユニットと交換することができる。
【0111】
そして、この赤外用のMTF測定装置では、図7に示すように、コリメータミラー8からの平行光の中心となる光軸に、主回転機構50の回転中心と、副回転機構45の回転中心とが、位置するように、コリメータユニット32とカメラユニット33との相対位置を位置決めする。これにより、平行光の光軸と、撮像部材41の光軸とを一致させることができる。なお、この位置決めの際に、カメラ直動機構43、副回転機構45、2つのステージ直動機構47,48、主回転機構50を操作して微調整を行ってもよい。
【0112】
また、被検レンズ1の光軸が平行光の光軸と一致するように、高さ調整機構62を操作して、被検レンズマウンタ61の高さを決める。被検レンズ1の焦点距離に基づいて、距離調整機構63を操作して、被検レンズ1とカメラユニット33との距離を調整する。
【0113】
次に、この赤外用のMTF測定装置では、赤外放射ランプ5と円形のピンホール6とを結ぶ直線が、平行光の光軸を含むX−Z平面とほぼ垂直となるようにランプユニット34を位置決めする。Z軸方向において下側となる平面ミラー72は、円形のピンホール6から出力される赤外放射をZ軸の上方向に反射するように、X−Y平面に対して且つY軸に対して45度の角度に設定する。Z軸において上側となる平面ミラー73は、Z軸下側からの赤外放射をコリメータミラー8方向へ反射するように、X−Y平面に対して且つX軸に対して45度よりも少し大きな角度に設定する。
【0114】
以上の調整によって、赤外放射ランプ5から放射された赤外放射は、円形のピンホール6および2つの平面ミラー72,73を介してコリメータミラー8に入射する。コリメータミラー8は、この赤外放射に基づいて平行光を出力する。平行光は、被検レンズ1で点像に結像された後、撮像部材41中のリレーレンズ4にて拡大され、スポット光21として撮像部材41中の赤外用CCD3に受光される。これにより、被検レンズ1の光軸でのMTF値を測定することができる。
【0115】
また、主回転機構50を操作して、平行光の被検レンズ1への入射角度を設定するとともに、その入射角度での焦点面の位置と向きに基づいて、カメラ直動機構43、副回転機構45、2つのステージ直動機構47,48を操作して撮像部材41を設定することで、被検レンズ1の軸外のMTF値を測定することができる。なお、2つのステージ直動機構47,48にて、撮像部材41の位置を光軸に対して平行にずらす調整をすることができるので、カメラ直動機構43が無くても、被検レンズ1の軸外のMTF値を測定することができる。
【0116】
上記実施の形態1(以下、図1から図8に示すMTF装置を指す)では、平行光を被検レンズ1の全面に入射し、これにより被検レンズ1全体としてのMTF値を測定している。他にもたとえば、図7および図8に示す赤外用のMTF測定装置において、平行光の光路上に、被検レンズ1よりも小さなサイズの貫通孔が形成された遮蔽板を配設し、これにより被検レンズ1の一部にのみ平行光を入射させてもよい。これにより、被検レンズ1の部分的なMTF値を測定することができる。
【0117】
上記実施の形態1では、1つの赤外放射ランプ5が、所定の略単一の波長の赤外放射を放射する場合として説明をしている。しかしながら、実際の赤外放射ランプ5は、熱源であるため、殆ど全ての波長域の赤外放射を放射する。そのため、実際には、所定の波長のみを透過するフィルタを赤外用CCD3の前に配設する必要がある。また、互いに透過波長帯域が異なる複数のフィルタを入替えて配設することで、複数の波長の赤外放射に対する複数のMTF値を測定することができる。
【0118】
上記実施の形態1では、被検レンズ1の赤外放射帯域の波長におけるMTF値を測定しているが、実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、他の光のMTF値を測定することもできる。たとえば、赤外放射ランプ5および赤外用CCD3を、可視光ランプと可視光用CCDとに置き換えるだけで、被検レンズ1の可視光におけるMTF値を測定することができる。なお、可視光用CCDは、一般的には広帯域な特性を有するので、可視光用CCDを使用する場合にもその前に色フィルタを配設するとよい。また、ガラスは可視光を透過することができるので、可視光を測定する場合には、ガラスを用いたリレーレンズ4を使用することができる。
【0119】
上記実施の形態1では、光源光学系2として、コリメータミラー8を使用しているが、その替わりにコリメータレンズを使用しても良い。ただし、屈折系の光学素子であるレンズは、波長によって焦点距離が微妙に異なる。したがって、複数の波長でのMTF値を測定する場合には、コリメータレンズよりもコリメータミラー8を使用した方が作業性がよい。また、ガラスは赤外放射を透過しないので、赤外放射を使用する場合には、コリメータミラー8か、ゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの赤外放射を透過する材料で形成したコリメータレンズを使用することになる。
【0120】
さらに、上記実施の形態1では、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決めを、測定者が手作業にて行う場合を説明している。他にもたとえば、これらリレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決めを、MTF測定手段の制御として自動化してもよい。MTF測定手段が出力する位置決め制御信号は、入出力ポート12を介して、リレーレンズ4や赤外用CCD3のコントローラへ入力すればよい。
【0121】
図9は、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決め処理を自動化する場合のMTF測定処理を示すフローチャートである。
【0122】
MTF測定手段は、起動されると、検査対象である被検レンズ1の設計上の焦点距離を入力するための入力画面をモニタ17に表示させるとともに、この画面表示に応じてキーボードから入力された数値を記憶部材13に記憶する(ST1)。なお、このステップST1は、被検レンズ1が決定した段階で予め入力しておいてもよい。
【0123】
MTF測定手段は、次に、予め記憶部材13に記憶させてあるリレーレンズ4の焦点距離と、上記被検レンズ1の設計上の焦点距離とに基づいて、点像を二倍に拡大するように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離を計算し、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を計算する(ST2)。これらの計算結果は記憶部材13に記憶された後、入出力ポート12を介して位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、上記距離となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST3)。
【0124】
MTF測定手段は、平行光を被検レンズ1に入射させない状態で、背景雑音の二次元の強度分布を測定し、そのデータを記憶部材13に記憶する(ST4)。次に、MTF測定手段は、平行光を被検レンズ1に入射させた状態(ST5)で、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布を測定し、そのデータを記憶部材13に記憶する(ST6)。
【0125】
そして、MTF測定手段は、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布から、背景雑音の二次元の強度分布を減算した後、極大値探索処理によって、画像内のスポット光21を特定する(ST7)。このステップST7の前にステップST4と同じステップを実行し、減算処理をするようにしてもよい。また、MTF測定手段は、スポット光21の中心を特定し、そのスポット光21の中心が画像22の中心からどの位ずれているのかを判断する(ST8)。
【0126】
スポット光21の中心が画像22の中心から画像サイズの1/4以上ずれている場合には、MTF測定手段は、スポット光21が画像22の中心となる角度を計算し、その角度を位置決め制御信号としてコントローラへ出力する。コントローラは、上記角度となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST9)。
【0127】
MTF測定手段は、再度、背景雑音の二次元の強度分布および赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布を測定し(ST4〜ST6)、これに基づいてスポット光21の中心の画像22の中心からのずれを判定する(ST7、ST8)。この角度調整処理(ST9〜ST8)は、少なくとも、スポット光21の中心が、画像22の中心から、画像サイズの1/4以内の範囲に入るまで繰り返される。
【0128】
スポット光21の中心の画像22の中心からのずれが画像サイズの1/4以内になると、MTF測定手段は、スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分以下か否かを確認した上で(ST10)、共に半分以下であると(ST10でNo)倍率を4倍(=2倍×2)にあげる(ST11)。具体的には、ステップST2に戻り、MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されているリレーレンズ4の焦点距離と、被検レンズ1の設計上の焦点距離とに基づいて、点像を4倍に拡大するように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離を計算し、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を計算する(ST2)。これらの計算結果は、位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、上記距離となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST3)。
【0129】
MTF測定手段は、2倍の倍率のときと同様に、スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が画像サイズの1/4以内の範囲になるまで角度を調整する(ST4〜ST9)。
【0130】
スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が、画像サイズの1/4以内になると、MTF測定手段は、スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分以下であることを確認した上で、さらに倍率を8倍(4倍×2)に上げる。そして、MTF測定手段は、4倍の倍率のときと同様に、スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が画像サイズの1/4以内の範囲になるまで角度を調整する(ST4〜ST9)。
【0131】
これに対して、スポット光21の画像22内のサイズが画像サイズの半分よりも大きくなった場合には、MTF制御手段は、スポット光21の中心と画像22の中心とが重なる角度を計算する。この角度は、位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、この角度となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を制御する(ST12)。なお、スポット光21のサイズが画像サイズよりもはみ出る場合は、はみ出しが生じなくなるようになるまで、縦横の70%の縮小を繰り返す。
【0132】
スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分よりも大きく、画面22内に収まる大きさとなり、且つ、スポット光21の中心が画像22の中心と重なったら、MTF制御手段は、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、その測定結果に基づいてMTF値を演算する。なお、スポット光21の中心と、画像22の中心とは、厳密に一致していなくてもよい(ST13)。
【0133】
このようなフローチャートであれば、スポット光21が常に画像22内となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を調整することができる。また、最終的には、画像22内に納まると共に縦横のサイズが共に画像22の半分以上となるサイズのスポット光21に基づいてMTF値を演算することとなるので、点像強度分布の傾斜部分のデータ量が多くなる。その結果、精度の高いMTF値を演算することができる。
【0134】
なお、このフローチャートでは、最初の倍率を2倍としているが、最初の倍率は4倍であってもよい。また、最初の倍率として、1.5倍などを選択してもよい。最初の倍率が1.5倍である場合には、倍率は、1.5倍、3倍、6倍といったふうに変化させればよい。また、倍率が2倍のときに、スポット光21の中心のずれの判定を、画像サイズの1/8以内の範囲であるか否かで判断し、1/8以内のときに、次の倍率を8倍まで上げたとしても、画像22内にスポット光21を捉え、MTF値を演算することができる。
【0135】
このフローチャートでは、平行光を被検レンズ1に垂直に入射する場合を説明しているが、平行光を被検レンズ1に対して斜めに入射する場合であっても、同様な処理手順で、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決め処理を自動化することができる。ただし、MTF測定手段は、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいて最初の位置決めを計算するときに、距離だけでなく、被検レンズ1とリレーレンズ4との角度およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との角度をも演算する必要があり、且つ、コントローラはこの角度となるように制御する必要がある。
【0136】
さらに、このフローチャートでは、スポット光21が画像22内に納まり、その中心が画像22の中心と略一致し、且つ、スポット光21のサイズが画像22のサイズの半分以上となったときに、MTF制御手段は、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、それらの測定結果に基づいてMTF値を演算している。しかしながら、上記のフローチャートに従ってリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を制御したとしても、厳密にその位置が本当の点像の強度分布であるとはかぎらない。リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置が、微妙にずれている可能性が残る。
【0137】
そのため、たとえば、スポット光21が画像22に納まり、その中心が画像22の略中心となり、且つ、スポット光21の縦横のサイズが共に画像22のサイズの半分以上となった後に、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を微妙に前後させて、複数の位置で、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、その中でスポット光21の径が最小である画像22を用いて最終的なMTF値を演算するとよい。これにより、より良好なMTF値を得ることができる。なお、これらの画像22の選択処理は、モニタ17にこれらの画像22をマルチに表示させ、測定者に選択させるようにしてもよい。あるいは、それら全ての画像22についてMTF値を演算し、最もMTF値が大きいものを選択するようにしてもよい。
【0138】
また、上述の実施の形態1では、赤外用CCD3のナイキスト周波数より高い周波数までもMTF値を測定できることとなるが、赤外用CCD3自体のMTF値はナイキスト周波数が測定限界となる。しかしながら、ナイキスト周波数を超えた領域(ナイキスト周波数よりも高い空間周波数)の被検レンズ1のMTF値を得るためには、ナイキスト周波数よりも高い空間周波数での赤外用CCD3自体のMTF値が必要である。このようなナイキスト周波数よりも高い空間周波数での赤外用CCD3自体のMTF値は、ナイキスト周波数までの赤外用CCD3自体のMTF値のカーブから外挿して得ることができる。そして、この外挿して得たナイキスト周波数を超える領域の赤外用CCD3自体のMTF値と、リレーレンズ4を利用して得た測定値とから、赤外用CCD3のナイキスト周波数を超える領域での被検レンズ1のMTF値を得ている。
【0139】
具体的には、赤外用CCD3自体のMTF値を測定してMTFの周波数に対する特性曲線を得る。その特性曲線を延長することで、赤外用CCD3のナイキスト周波数を超える領域での特性曲線を推定する。この外挿は、MTF測定手段、具体的にはMTF測定プログラム19が実行している。
【0140】
【発明の効果】
本発明では、簡単な調整によって、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる。本願の他の発明では、被検レンズの点像に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる。特に、二次元撮像部材のナイキスト周波数あるいはそれ以上の周波数の空間周波数であったとしても、再現性の良い変調伝達関数を得ることができる。本願の他の発明は、常温環境下の明るい部屋であっても、変調伝達関数を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を示す構成図である。
【図2】図1に示す赤外用のMTF測定装置で撮像された、背景雑音の二次元の光の強度分布の一例である。
【図3】赤外放射ランプの赤外放射のみによる二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで2倍に拡大した状態を示す図である。
【図4】赤外用CCDの画像中央に、径が最小である最良のスポット光を得るようにした二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで2倍に拡大した状態を示す図である。
【図5】赤外放射ランプの赤外放射のみによる二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで8倍に拡大した状態を示す図である。
【図6】図1のMTF測定装置を使用して被検レンズの軸外のMTF値を測定する場合の部材の配置例を示す説明図である。
【図7】図1のMTF測定装置を具体化したもので、被検レンズの光軸および軸外のMTF値を測定することができる赤外用のMTF測定装置の平面図である。
【図8】図7に示す赤外用のMTF測定装置の側面図である。
【図9】リレーレンズや赤外用CCDの位置決め処理を自動化する場合のMTF測定処理を示すフローチャートである。
【図10】従来の赤外用のMTF測定装置の構成図である。
【符号の説明】
1 被検レンズ
2 光源光学系
3 赤外用CCD(二次元撮像部材)
4 リレーレンズ
5 赤外放射ランプ(光源)
6 円形のピンホール(光通し孔)
7 光源遮蔽版
8 コリメータミラー
9 レンズ調整機構(調整手段)
10 CCD調整機構(調整手段)
14 中央処理装置(調整手段、演算手段)
17 モニタ
19 MTF測定プログラム(調整手段、演算手段)
42 カメラステージ(調整手段)
43 カメラ直動機構(調整手段)
44 副回転ステージ(調整手段)
45 副回転機構(調整手段)
46 平行移動ステージ(調整手段)
47,48 ステージ直動機構(調整手段)
49 主回転ステージ(調整手段)
50 主回転機構(調整手段)
51 固定台(調整手段)
62 高さ調整機構(調整手段)
63 距離調整機構(調整手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、結像レンズや結像ミラーなどの被検レンズあるいは被検ミラーの変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)を測定する変調伝達関数測定装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
変調伝達関数測定装置(以下、MTF測定装置と記載することもある。)には、可視光(白色光)を使用して可視光用のレンズのMTF値を測定するものや、赤外放射を使用して赤外用レンズのMTF値を測定するものなど、種々のものが存在している。図10は、従来の赤外用のMTF測定装置の構成図である。
【0003】
従来の赤外用のMTF測定装置は、赤外放射ランプ101から放射された赤外放射を光源遮蔽板102のスリット102aを通して反射板103に当てる。反射板103で反射した赤外放射をコリメータミラー104に照射し、コリメータミラー104によって平行光として被検レンズ105へ照射する。平行光は、被検レンズ105を通過した後、焦点面において線像として結像する。線像の光は、リレーレンズ106を介して赤外検知器107に受光される。なお、焦点面には、平行光以外の光が赤外検知器107に入射されないように、スリット108aが生成された検出部遮蔽板108が配置されている。リレーレンズ106は、このスリット108aを大きくして機械的な走査を楽にするために使用されている。また、リレーレンズ106と赤外検知器107との間には、赤外放射の特定の波長のみを透過するフィルタ109が配置されている。
【0004】
赤外検知器107は、受光光量に応じたレベル値を出力する。このレベル値は、ロックインアンプ110に入力される。ロックインアンプ110は、赤外放射ランプ101と光源遮蔽板102との間に設けられた光を遮断したり通過したりするチョッパー111からの同期信号が入力され、この同期信号であって光を通過したときの同期信号が入力されたときのレベル値をフィルタリングして、所定の波長帯域の信号成分のみを出力する。この信号成分は、対数増幅器112で増幅された後、AD変換器113でデジタル値に変換される。
【0005】
計算機114は、コントローラ115を介して、XYZ微動テーブル116を制御する。XYZ微動テーブル116には、リレーレンズ106、検出部遮蔽板108および赤外検知器107がマウントされている。計算機114は、XYZ微動テーブル116を少しずつ動かすことで検出部遮蔽板108を平行移動させ、線像の強度分布としての複数のデジタル値をAD変換器113から取得する。計算機114は、この線像の強度分布としての複数のデジタル値に基づいて、被検レンズ105のMTF値を演算し、必要に応じてこれを記録器117へ出力する。
【0006】
従来の赤外用のMTF測定装置は、以上のように構成されているので、測定者の操作の下でXYZ微動テーブル116を移動させることで、被検レンズ105の赤外放射によるMTF値を測定することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の赤外用のMTF測定装置では、以下の問題がある。
【0008】
第一に、赤外放射を使用しているので、被検レンズ105が結像する線像は、当然に、人が直接に目で確認することができない。したがって、被検レンズ105の設計上の焦点距離に基づいて、被検レンズ105、リレーレンズ106および赤外検知器107の相対位置を調整したとしても、設計値と実際の測定値とは異なることがおおいので、設計値に設定したとしても殆どの場合、赤外検知器107から像の強度分布のデータを得ることはできない。その結果、測定者は、線像の強度分布を測定する前に、殆ど必ず、検出部遮蔽板108を三次元的に微妙に移動させて、線像に対して正しくスリット108aが平行移動できる位置を発見する作業が必要となる。この位置の調整作業は、非常に微妙で難しいものであるため、熟練した人であっても数時間単位の作業時間がかかる。また、スリット108aの幅が狭ければ狭いほど、時間がかかる。そして、このように時間をかけて作業をしたとしても、その位置関係が被検レンズ105の最適な結像となっているかを正確に確認することもできない。
【0009】
また、線像の強度データを得るまでの作業を効率化するために、従来の赤外用のMTF測定装置では、ピンホールではなく、スリット102a,108aを用いている。そのため、被検レンズ105のアジマスを測定する場合には、たとえば、メリジオナル方向での線像の強度分布を測定した後に、スリット102aや赤外放射ランプ101などを90度回転させて新たな位置決めをして、サジッタル方向での線像の強度分布を測定しなければならず、非常に手間がかかる。
【0010】
第一に、赤外放射は、全ての物から放射されている。特に、20〜30度の室温では、8〜13ミクロンの10ミクロン帯の波長の赤外放射が大量に放射される。また、赤外放射は、太陽からも放射されている。これに対して、赤外放射のMTF値は、この10ミクロン帯や、3〜5ミクロン帯の赤外放射について測定する。したがって、この従来の赤外用のMTF測定装置は、低温に制御された暗室内に設置して、MTF値の測定をしなければならなかった。
【0011】
第二に、従来の赤外用のMTF測定装置では、リレーレンズ106および赤外検知器107を少しずつ動かしながら被検レンズ105の結像を赤外検知器107で受光する測定操作を繰り返すことで、線像の強度分布を得ている。したがって、1つの線像の強度分布を得るためには、複数の強度データを時間をかけて測定しなければならない。その結果、その測定期間の間にたとえば赤外放射ランプ101の温度が変動したりしてしまい、かならずしも再現性の良い線像の強度分布を得ることができない。
【0012】
特に、スリット102aを細くして空間周波数を上げれば上げるほど、リレーレンズ106を用いて線像の幅を拡大したとしても、赤外検知器107を微妙に移動させつつ、1点1点の強度データを測定しなければならくなる。その結果、測定に時間がかかってしまって、再現性が低下する。
【0013】
本発明は、簡単な調整によって、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0014】
本願の他の発明は、被検レンズの点像に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。特に、CCDなどの二次元撮像部材のナイキスト周波数あるいはそれ以上の周波数の空間周波数であったとしても、再現性の良い変調伝達関数を得ることができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0015】
本願の他の発明は、常温環境下の明るい部屋であっても、変調伝達関数を測定することができる変調伝達関数測定装置および方法を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールあるいは長四角のスリットなどの光通し孔が形成される光源遮蔽版と、光通し孔を通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像を拡大するリレーレンズと、リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、結像を表示するモニタと、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整する調整手段と、調整手段による調整後の二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0017】
この構成を採用すれば、被検レンズの結像を拡大したものを二次元撮像部材で受光し、この二次元撮像部材が撮像した結像の二次元の光の強度分布をモニタに表示することができる。したがって、このモニタの表示で結像の状態を確認しつつ調整手段を用いて、簡単に二次元の光の強度分布を得ることができる。また、この二次元の光の強度分布に基づいて、簡単に、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。
【0018】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、モニタは、二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布から、光源の光が含まれない二次元の光の強度分布を減算したものを表示するものである。
【0019】
この構成を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定したとしても、結像をモニタに表示することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において結像をモニタに表示させて、変調伝達関数を測定することができる。
【0020】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、リレーレンズは、結像を2倍以上、8倍以下の倍率で拡大するものである。
【0021】
この構成を採用すれば、被検レンズの設計上の焦点距離に基づいてラフに位置調整をするだけで、リレーレンズにて拡大された結像をほぼ確実に二次元撮像部材の受光面で受光させることができる。つまり、ほぼ確実に結像をモニタに表示させることができる。その結果、モニタに結像が表示されなかった場合には、その結像を探し出すための余分な調整作業が必要となってしまうが、そのような作業が不要となり、モニタに結像を表示することによる、最良像点の探索のための作業効率の向上効果を損なってしまうことはない。
【0022】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、光源および二次元撮像部材は赤外用のものであり、リレーレンズはゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの赤外放射を透過する材料を用いて形成したものであり、さらに、コリメータミラーを使用するものである。
【0023】
この構成を採用すれば、被検レンズの赤外放射での変調伝達関数を得ることができる。特に、コリメータミラーを使用することで、赤外放射の波長が変わったとしても、同じ調整位置のままで結像の二次元の光の強度分布を撮像して波長毎の変調伝達関数を得ることができる。
【0024】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、調整手段は、結像が二次元撮像部材の撮像画面の中心部分にくるように、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整するものである。
【0025】
この構成を採用すれば、結像が二次元撮像部材の撮像画面の中心部分にきた状態、すなわち、二次元撮像部材の受光面に対して略垂直に光が入射した状態での良好な二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。つまり、変調伝達関数として良好な値を得ることができる。
【0026】
本発明に係る変調伝達関数測定装置は、さらに、光源遮蔽板には、円形のピンホールが形成され、演算手段は、二次元撮像部材が撮像した1つの点像の二次元の光の強度分布に基づいて、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を演算するものである。
【0027】
この構成を採用すれば、長四角のスリットを用いた場合には、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を、別々の強度分布に基づいて演算しなければならないが、1回の測定で効率よくアジマス測定が可能となる。
【0028】
本願の他の発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、円形のピンホールを通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像を2倍以上に拡大するリレーレンズと、リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0029】
この構成を採用すれば、被検レンズの結像は点像である。しかも、この点像を2倍以上に拡大したものを二次元撮像部材で受光する。つまり、2倍以上に拡大された点像強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。したがって、被検レンズの点像が一般的に二次元撮像部材の1つの受光素子よりも小さくなるにもかかわらず、確実に、その点像強度分布を複数の受光素子の受光レベル値として得ることができる。その結果、二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布に基づいて変調伝達関数を確実に得ることができる。
【0030】
しかも、このようにリレーレンズを用いて2倍以上に点像を拡大することで、二次元撮像部材のナイキスト周波数以上の空間周波数での変調伝達関数を得ることができ、しかも、変調伝達関数の再現性がよくなる。
【0031】
本願の他の発明に係る変調伝達関数測定装置は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、光を放射する光源と、円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、円形のピンホールを通過した光を平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、結像をそのままあるいは拡大されたものを二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、光源の光を含む二次元の光の強度分布から光源の光を含まない二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えるものである。
【0032】
この構成を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において、変調伝達関数を測定することができる。
【0033】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、結像を二次元撮像部材で撮像してモニタに表示するとともに、被検レンズ、リレーレンズおよび二次元撮像部材の相対位置を調整し、その調整後に二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0034】
この方法を採用すれば、二次元撮像部材が撮像した結像の二次元の光の強度分布をモニタに表示することができる。したがって、このモニタの表示で結像の状態を確認しつつ調整手段を用いて、簡単に二次元の光の強度分布を得ることができる。また、この二次元の光の強度分布に基づいて、簡単に、被検レンズの変調伝達関数を得ることができる。
【0035】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる点像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、点像を2倍以上に拡大したものを二次元撮像部材で撮像し、二次元撮像部材から出力される点像の二次元の光の強度分布に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0036】
この方法を採用すれば、点像の二次元の光の強度分布を、二次元撮像部材の複数の受光素子の受光レベル値として得て、確実に変調伝達関数を得ることができる。しかも、このように2倍以上に点像を拡大することで、二次元撮像部材のナイキスト周波数以上の空間周波数での変調伝達関数を得ることができ、しかも、変調伝達関数の再現性がよくなる。
【0037】
本発明に係る変調伝達関数測定方法は、被検レンズあるいは被検ミラーに対して、光源の光に基づく平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、結像を、二次元の光の強度分布として二次元撮像部材で撮像し、光源の光を含む二次元の光の強度分布から、光源の光を含まない二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて被検レンズの変調伝達関数を演算するものである。
【0038】
この方法を採用すれば、常温環境下の明るい部屋において変調伝達関数を測定することができる。特に、従来では低温の暗室内でしか測定することができなかった赤外放射での変調伝達関数であったとしても、常温環境下の明るい部屋において、変調伝達関数を測定することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る変調伝達関数測定装置および方法を、図面に基づいて説明する。なお、変調伝達関数測定方法は、変調伝達関数測定装置の動作などとして説明する。
【0040】
実施の形態1.
【0041】
図1は、本発明の実施の形態1に係る赤外用の変調伝達関数測定装置を示す構成図である。
【0042】
本実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、赤外放射を透過する結像レンズのMTF値を測定するものである。以下、この結像レンズを被検レンズ1と記載する。
【0043】
なお、MTF値は、レンズやミラーなどの光学部材の特性指標の一つであり、空間周波数に対するコントラストの減衰量の指標である。MTF値が小さいほどコントラストは減衰し、ぼやけた実像が結像することになる。
【0044】
また、赤外放射は、可視光、紫外放射、X線、ガンマ線などとともに、光の一種として考えられている。
【0045】
この赤外用のMTF測定装置は、測定光学系として、平行な赤外放射の光束を被検レンズ1へ出力する光源光学系2と、被検レンズ1を透過した光を受光する二次元撮像部材としての赤外用CCD(Charge Coupled Device)3と、被検レンズ1と赤外用CCD3との間の光の経路に配設されるリレーレンズ4と、を備える。
【0046】
光源光学系2は、赤外放射を放射する光源としての赤外放射ランプ5と、光通し孔としての円形のピンホール6が1つ形成される光源遮蔽板7と、焦点位置に配設された点光源(ピンホール6が相当)からの拡散光を平行な光へ変換するコリメータミラー8と、を備える。
【0047】
そして、光源遮蔽板7は、コリメータミラー8と赤外放射ランプ5との間であって且つコリメータミラー8の焦点位置に、円形のピンホール6が設定されるように、配設する。なお、コリメータミラー8の反射面は、平行光の光軸と拡散光の光軸とが一致しないように一方向に偏った、所謂軸外し放物曲面に形成されている。これにより、コリメータミラー8から出力される平行光は、光源遮蔽板7によって遮蔽されてしまうことはない。
【0048】
円形のピンホール6を介してコリメータミラー8に照射される赤外放射は、コリメータミラー8で反射されるとともに、平行光化される。この平行光は、被検レンズ1によって屈折されて、被検レンズ1の焦点面に点像として結像する。
【0049】
リレーレンズ4は、赤外放射を透過するゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの材料で形成されたレンズである。ガラスで形成されたレンズは、赤外放射を透過させないので、赤外放射を用いたMTF測定には使用できない。このリレーレンズ4は、被検レンズ1によって結像した点像や線像を限りなく無収差に近い状態に収差補正するとともにその点像や線像を拡大するものである。
【0050】
赤外用CCD3は、その受光面3aに、図示外の複数の受光素子がドットマトリックス状に配列されたものである。各受光素子は、受光した光量に応じた受光レベル値を出力する。これにより、赤外用CCD3は、受光面3aで受光する受光光の二次元の強度分布データを、複数の受光素子の受光レベル値の集合として、出力する。なお、各受光レベル値は、デジタルデータとして出力される。
【0051】
なお、この赤外用のMTF測定装置には、リレーレンズ4が設置され、リレーレンズ4と被検レンズ1との距離を調整するためのレンズ調整機構9と、赤外用CCD3が固定され、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整するCCD調整機構10と、を備える。なお、これらレンズ調整機構9およびCCD調整機構10は、調整手段となる。
【0052】
そして、このレンズ調整機構9とCCD調整機構10とを調整して、以下の条件1を満たすように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整する。
【0053】
条件1. リレーレンズ4は、被検レンズ1の焦点面に結像した点像を、2倍以上の倍率で拡大して、赤外用CCD3の受光面3aに結像させる。
【0054】
この条件1を満たすように被検レンズ1とリレーレンズ4との距離およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を調整することで、被検レンズ1の焦点面に結像した点像は、上記倍率にて拡大されて、赤外用CCD3の受光面3aにスポット光21として受光される。
【0055】
また、この赤外用CCD3から出力される、受光光の二次元の強度分布データは、コンピュータ装置11に入力される。
【0056】
コンピュータ装置11は、入出力ポート12と、記憶部材13と、中央処理装置(以下、CPUと記載する場合もある)14と、メモリ15と、これらを相互に接続するシステムバス16と、を備える。
【0057】
入出力ポート12には、赤外用CCD3から出力される受光光の二次元の強度分布データが入力されるとともに、モニタ17やプリンタなどの出力デバイスと、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイス18が接続されている。
【0058】
記憶部材13には、MTF測定プログラム19と、入出力ポート12から入力された受光光の二次元の強度分布データと、が記憶される。
【0059】
MTF測定プログラム19は、入力デバイス18による起動操作に基づいて中央処理装置14に実行され、調整手段および演算手段としてのMTF測定手段を実現する。
【0060】
このMTF測定手段は、入出力ポート12に入力される受光光の二次元の強度分布データを記憶部材13に記憶する。MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されている受光光の二次元の強度分布データを用いて赤外放射の二次元の強度分布データを生成する。MTF測定手段は、赤外放射の二次元の強度分布データをフーリエ変換してMTF値を求める。この赤外放射の二次元の強度分布データおよびMTF値は、記憶部材13に記憶される。
【0061】
なお、これら記憶部材13に記憶されている赤外放射の二次元の強度分布データおよびMTF値は、MTF測定手段によって、モニタ17に表示され、プリンタにおいて紙面に印刷される。
【0062】
次に、このような赤外用のMTF測定装置を用いて被検レンズ1のMTF値を測定する測定方法について説明する。
【0063】
まず、赤外放射を透過する被検レンズ1を、コリメータミラー8とリレーレンズ4との間の所定の位置に配置する。また、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいて、上記条件1を満たすように、リレーレンズ4と被検レンズ1との距離と、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離とを調整する。
【0064】
そして、赤外放射ランプ5を点灯させない状態で、MTF測定プログラム19を起動して最初の測定を行う。
【0065】
このような赤外放射ランプ5からの赤外放射をカットした状態において赤外用CCD3から出力される受光光の二次元の強度分布データは、入出力ポート12に入力される。MTF測定手段は、入出力ポート12に入力された赤外放射の二次元の強度分布データを記憶部材13に記憶する。
【0066】
以下、このように赤外放射ランプ5からの赤外放射をカットした状態における赤外放射の二次元の強度分布データは、背景雑音の二次元の強度分布データとして記載する。なお、赤外放射ランプ5を点灯した状態で、その赤外放射ランプ5の前にシャッタを配置し、赤外放射ランプ5の光が赤外用CCD3に検知されないように構成してもよい。
【0067】
図2に、図1に示す赤外用のMTF測定装置で撮像された、背景雑音の二次元の強度分布の一例を示す。この背景雑音の二次元の強度分布データは、常温環境下の明るい部屋で撮像されたものである。この赤外放射の二次元の強度分布データには、室温常温環境下において物体などから放射される、10ミクロン帯の赤外放射が多量に含まれている。
【0068】
次に、赤外放射ランプ5を点灯するか、先に示したシャッタをあける。この結果、円形のピンホール6から赤外放射ランプ5の赤外放射が出力される。この状態で、測定を行う。この場合、被検レンズ1で得られる点像をリレーレンズ4によって2倍以上に拡大して赤外用CCD3の受光面3aに結像させる。これにより、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データが、記憶部材13に記憶される。
【0069】
MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されている受光光の二次元の強度分布データから、背景雑音の二次元の強度分布データを減算する。これにより、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データが得られる。この赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データは、記憶部材13に記憶される。
【0070】
図3に、以上の処理によって生成された、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データの一例を示す。図3では、円形のピンホール6を介してコリメータミラー8から出力された平行光に基づいて被検レンズ1の焦点距離に結像する点像は、リレーレンズ4によって2倍に拡大されたスポット光21として、赤外用CCD3の画面22内に撮像されている。
【0071】
また、MTF測定手段は、背景雑音が取り除かれた赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データをフーリエ変換する。このフーリエ変換によって算出されるMTF値は、検査対象である被検レンズ1のMTF値と、赤外用のMTF測定装置(具体的にはリレーレンズ4と赤外用CCD3)のMTF値とが乗算されている、全体のMTF値である。
【0072】
したがって、MTF測定手段は、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データをフーリエ変換して得られたMTF値を、赤外用のMTF測定装置のMTF値で除算し、検査対象である被検レンズ1のMTF値を求める。この被検レンズ1のMTF値は、記憶部材13に記憶され、必要に応じてモニタ17やプリンタへ出力される。
【0073】
ところで、赤外用のMTF測定装置のMTF値は、予めMTF値がわかっている被検レンズ1を用いて上述する測定を行い、その測定で得られた全体でのMTF値を、予め解っている上記被検レンズ1のMTF値で除算することで、得ることができる。また、上記赤外用のMTF測定装置では、リレーレンズ4と赤外用CCD3とがMTF値を有する。したがって、このリレーレンズ4単体のMTF値と、赤外用CCD3単体のMTF値とを予め測定し、これらを乗算した値を、赤外用のMTF測定装置のMTF値として利用することもできる。なお、これらの赤外用のMTF測定装置のMTF値は、被検レンズ1の測定に先立って記憶部材13に記憶され、MTF測定手段は記憶部材13からこれを読み出して演算に利用する。
【0074】
また、この実施の形態1では、円形のピンホール6から出射されコリメータミラー8で平行化された平行光を用いるとともに、それに基づくスポット光21(点像)の全体が、二次元の強度分布データとして撮像される。つまり、点像強度分布のデータを得ることができる。
【0075】
その結果、1回の測定結果を利用して、MTF演算手段は、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を演算することができる(アジマス測定)。さらに、MTF演算手段は、この1回の測定結果を利用して、その他の任意の方向でのMTF値を演算することができる。メリジオナル方向とサジッタル方向とは互いに90度ずれた方向なので、従来の赤外用のMTF測定装置を用いてそれらの両方を測定する場合には、一方の方向の線像強度分布を測定した後に、長四角のスリットや赤外放射ランプ5などを90度回転させて新たに位置決めをして、他方の方向の線像強度分布を測定しなければならなかったが、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を用いれば、それらの回転作業が不要となる。
【0076】
また、従来の赤外用のMTF装置では、長四角のスリット102aや赤外放射ランプ101が正しく90度回転できなかった場合には、メリジオナル方向でのMTF値にサジッタル方向でのMTF値の成分が含まれてしまったり、サジッタル方向でのMTF値にメリジオナル方向でのMTF値の成分が含まれてしまったりして、良好なMTF値を得ることができない。しかし、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、赤外用CCD3内の、複数の受光素子がその製造工程において正確に正方マトリックス状(直交格子状)に配列されているので、メリジオナル方向でのMTF値と、サジッタル方向でのMTF値ととして、互いに独立した良好な値を得ることができる。
【0077】
以上の測定方法では、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4の位置と、赤外用CCD3の位置とを、ラフに調整している。そのため、図3に示すように、スポット光21が、赤外用CCD3の撮像画像の中央にくる可能性は非常に低い。また、スポット光21の径が最小である可能性も非常に低い。
【0078】
しかしながら、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、直接目視することはできない赤外放射のスポット光21がモニタ17に表示される。そのため、モニタ17を見ながら、リレーレンズ4の位置と、赤外用CCD3の位置とを微調整して、図4に示すように、赤外用CCD3の画像中央に、径が最小である最良のスポット光21を得ることができる。なお、図4での拡大率は2倍である。
【0079】
このように、赤外用CCD3の画像中央に、径が最小である最良のスポット光21を得られた状態では、スポット光21は、受光面3aに対して垂直な方向から入射していることになる。したがって、より良好な赤外放射の点像強度分布と、より良好なMTF値とを得ることができる。
【0080】
このように被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を調整した後に、モニタ17に表示された赤外放射のスポット光21を用いてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を微調整する場合、上記倍率としては1倍以上8倍以下、好ましくは2倍以上4倍以下の倍率を選択するとよい。図5は、倍率を8倍にした場合のスポット光21である。
【0081】
このように8倍以下、好ましくは4倍以下の倍率を選択することで、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいてリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置をラフに調整した状態で、一般的な赤外用CCD3の受光面3aのサイズにおいて、ほぼ確実に、その撮像画面22内にスポット光21を受光させることができる。8倍よりも大きな倍率を選択した場合には、赤外用CCD3の受光面3a外にスポット光21が当たってしまう可能性が高くなる。受光面3a外にスポット光21が当たってしまうと、画面22にスポット光21が表示されないので、スポット光21を探し出すための余分な調整作業が必要となってしまう。その結果、モニタ17にスポット光21を表示させることによる、最良像点の探索のための作業効率の向上効果が減殺されてしまうことになる。
【0082】
なお、上記倍率は、上記条件1に拘らず、1倍よりも大きな倍率、好ましくは上記条件1のように2倍以上、さらに好ましくは3倍以上を選択するとよい。また、2倍以下の倍率の場合、像の強度分布の広がりが不十分となり統計効果が十分活かされない。
【0083】
一般的に、レンズの焦点面において形成される点像の直径は、非常に小さい。被検レンズ1の焦点面に形成される点像を小さくすることで、より良好なMTF値が得られる。このため、被検レンズ1の点像は、赤外用CCD3の1つの受光素子よりも小さいくすることがありえる。そのため、少なくとも1倍よりも大きな倍率にて焦点面の点像を拡大したスポット光21を、赤外用CCD3の受光面3aに入射するとよい。これにより、スポット光21を複数の受光素子で受光することができる。その結果、スポット光21の強度分布情報を、複数の受光素子の受光レベル値として得ることができ、この複数の受光レベル値に基づいてMTF値を演算することができる。
【0084】
赤外用CCD3は、可視光用のCCDと同様に、受光面3aに複数の受光素子がドットマトリックス状に配列されている。したがって、赤外用CCD3によって得られる(検出できる)赤外用CCD3の受光素子の配列間隔から得られる赤外用CCD3のナイキスト周波数が限界であり、それ以上の空間分解能を得ることはできない。
【0085】
また、隣接する2つの受光素子の間には、互いが独立したドットとなるように物理的な間隔が必要である。各受光素子が受光レベル値を出力するために、隣接する2つの受光素子の間には、その受光レベル値を出力するための信号線などを配設する必要がある。つまり、受光素子と受光素子との間には必ず、光を受光しない部分が存在する。したがって、スポット光21の径が小さい場合には、受光面3a上のスポット光21の位置がほんの僅かずれるだけで、各受光素子の受光光量が大きく変動してしまう。その結果、画像の中央部分にスポット光21が位置するように位置を同じように調整したとしても、複数の受光素子にて量子化された受光レベル値から得られる点像強度分布の傾斜部分の角度や、点像強度分布の広がり具合が異なってきてしまう。つまり、点像強度分布の再現性が非常に悪い。そのため、ナイキスト周波数の半分の空間周波数であったとしても、実際には、再現性の良い満足できるMTF値を得ることができない。
【0086】
そのため、ナイキスト周波数までのMTF値を得ようとすれば、拡大率は、2倍以上にするとよい。これにより、複数の受光素子の受光レベル値として得られる、点像強度分布の傾斜部分の角度や広がり具合の再現性が改善され、ナイキスト周波数であったとしても、再現性の良い安定したMTF値を測定することができる。特に、4倍以上とすることで、MTF値としては、ナイキスト周波数であったとしても、十分な再現性を確保することができる。
【0087】
このように、点像をリレーレンズ4で拡大し、その点像を拡大したスポット光21を赤外用CCD3で受光することで、実質的に赤外用CCD3のナイキスト周波数よりも高い空間周波数のMTF値を測定することが可能である。
【0088】
さらに、赤外放射の二次元の強度分布データには、実際には、スポット光21以外にも、上記減算処理で除去しきれなかった雑音成分が残ってしまう。そして、MTF演算手段が、画像22内の極大値探索処理によって自動的にスポット光21が撮像されている画素の範囲を判定し、その判定範囲についてフーリエ変換処理を行う場合において、リレーレンズ4で点像を2倍以上に拡大しなかった場合には、雑音成分を誤って極大値として判断してしまうことがある。しかしながら、このように点像を2倍以上に拡大すると、MTF測定手段は、画像22内の極大値探索処理において雑音成分とスポット光21とを確実に区別することができ、極大値探索処理によって確実にスポット光21のMTF値を演算することができる。
【0089】
以上のように、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、室内のような常温環境下の明るい部屋において、赤外放射に対する被検レンズ1のMTF値を測定することができる。
【0090】
特に、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置では、赤外用CCD3でスポット光21(倍率が1倍である場合には点像そのもの)を受光し、測定された点像強度分布をモニタ17に表示しているので、このモニタ17を見ながら作業者は、スポット光21の最良像点を探索することができる。しかも、円形のピンホール6から出射された赤外放射を用いて点像強度分布を得るようにしているので、スリット108aを線像に対して完全に平行となるようにする調整作業が不要となる。しかも、一つの点像強度分布から、メリジオナル方向でのMTF値と、サジッタル方向でのMTF値とを得ることができる。これは、ソフトウェア的に各方向でのスキャンをするようにすれば、達成できる。これによって、被検レンズ1のアジマスを、非常に簡単な作業で測定することができる。
【0091】
これらの結果、この実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を使用することで、作業性が格段に効率化される。従来の赤外用のMTF測定装置では半日から一日かかっていた調整作業がわずかな時間で行え、測定作業も、従来の半分以下の時間で完了できるようになる。
【0092】
この実施の形態1は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0093】
たとえば、上記実施の形態1では、最初に背景雑音の二次元の強度分布データを測定し、次に赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、後者のデータから前者のデータを減算することで、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データを得ている。
【0094】
他にもたとえば、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定した後に、もう一度、背景雑音の二次元の強度分布データを測定し、この前者のデータから後者のデータを減算することでも、赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データを測定することができる。また、二度の背景雑音の二次元の強度分布データを平均化し、その平均化した値を赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データから減算するようにしてもよい。
【0095】
最初の背景雑音の二次元の強度分布データの測定から、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定までの間には、リレーレンズ4や赤外用CCD3を微調整する調整作業工程が含まれる場合が多い。そのため、実施の形態1の場合には、これらの測定間隔が長くなってしまい、2つの測定の間に背景雑音の状態が大きく変化してしまうこともありえる。しかしながら、まず赤外放射ランプ5による二次元の強度分布データを得て、次に背景雑音のデータを得るこの変形例の場合には、2つの測定の間の時間を短く維持し、背景雑音の状態が大きく変化してしまうことは非常に少ない。したがって、この変形例では、実施の形態1の場合に比べて、より良好な赤外放射ランプ5の赤外放射のみによる二次元の強度分布データと、より良好なMTF値とを安定して得ることができる。
【0096】
上記実施の形態1では、光源遮蔽板7に円形のピンホール6を形成し、点像強度分布に基づいてMTF値を求めている。しかしながら、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向のMTF値の中の一方のみしか測定する必要が無い場合や、方向に関しての精度を要求されない場合には、光源遮蔽板7に従来のような長四角のスリットを形成してもよい。
【0097】
上記実施の形態1は、被検レンズ1のMTF値を測定するものであったが、被検ミラーなどを測定するものであってもよい。また、上記実施の形態1では、被検レンズ1に平行光を入射したときのMTF値を測定しているが、平行光以外の光を被検レンズ1に入射して測定してもよい。
【0098】
上記実施の形態1では、平行光を検査対象である被検レンズ1の主平面に対して垂直に入射して、被検レンズ1の光軸から赤外放射を入射した場合のMTF値を測定している。他にもたとえば、図6に示すように、平行光の光軸に対して被検レンズ1の光軸を斜めに設定し、その設定状態で被検レンズ1の焦点面に形成する点像の光をリレーレンズ4を介して赤外用CCD3で受光してもよい。これにより、被検レンズ1の軸外(すなわち被検レンズ1の中心のまわりの部分(周囲部分))のMTF値を測定することができる。なお、平行光の光軸と、被検レンズ1の光軸との角度θが小さいときには、sinθ=θとみなすことができるので、リレーレンズ4および赤外用CCD3の光軸と、平行光の光軸とが平行となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3を平行移動させるだけでも、軸外のMTF値を測定することができる。
【0099】
図7および図8は、実施の形態1を具体化したMTF測定装置であって図6に示す測定も可能としたMTF測定装置を示す図である。図7は、被検レンズ1の光軸部分および軸外のMTF値を測定することができる赤外用のMTF測定装置の平面図である。図8は、図7に示す赤外用のMTF測定装置の側面図である。
【0100】
なお、図7の平面図において、平行光の光軸に沿った方向をX軸方向とし、これと垂直な方向をY方向(図7で上下方向)とする。また、図8の側面図において、平行光の光軸と垂直な方向をZ軸(図7の紙面に垂直な方向)とする。
【0101】
この赤外用のMTF測定装置では、コリメータミラー8は、テーブル31の一端に固定されるコリメータユニット32にマウントされる。
【0102】
リレーレンズ4および赤外用CCD3は、撮像部材41として一体化する。撮像部材41は、カメラユニット33のカメラステージ42にマウントされる。カメラステージ42は、カメラ直動機構43を介して、副回転ステージ44にマウントされる。カメラ直動機構43は、副回転ステージ44上でカメラステージ42を、リレーレンズ4および赤外用CCD3の光軸と平行に移動する。
【0103】
副回転ステージ44は、副回転機構45を介して、平行移動ステージ46にマウントされる。副回転機構45は、平行移動ステージ46上で副回転ステージ44を回転移動する。平行移動ステージ46は、2つのステージ直動機構47,48を介して主回転ステージ49にマウントされる。2つのステージ直動機構47,48は、協働して、主回転ステージ49上で平行移動ステージ46を横方向および前後方向に移動する。
【0104】
主回転ステージ49は、主回転機構50を介して、カメラユニット33の固定台51にマウントされる。固定台51は、テーブル31の他端に固定される。主回転機構50は、固定台51上で、主点回点ステージ49を回転移動する。
【0105】
また、主回転ステージ49には、被検レンズ1をマウントするための被検レンズマウンタ61がマウントされている。この被検レンズマウンタ61は、被検レンズ1の高さを調整する高さ調整機構62と、被検レンズ1とカメラユニット33との距離を調整する距離調整機構63と、を備える。
【0106】
なお、以上のカメラステージ42から固定台51までと、高さ調整機構62および距離調整機構63は、調整手段となる。
【0107】
そして、図7および図8に示すように、被検レンズマウンタ61を最も撮像部材41に近づけた状態で、主回転機構50の回転中心は、少なくとも被検レンズマウンタ61と重なる。また、副回転機構45は、主回転機構50と同じ曲率で、副回転ステージ44を回転する。
【0108】
赤外放射ランプ5は、テーブル31に載置されるとともに、コリメータユニット32とカメラユニット33との間に配置されるランプユニット34にマウントされる。光源遮蔽板7は、円形のピンホールホルダ71によってランプユニット34にマウントされる。円形のピンホールホルダ71は、赤外放射ランプ5の所定の放射方向に対して垂直な面内で、光源遮蔽板7に形成された円形のピンホール6の位置を調整するものである。
【0109】
また、このランプユニット34には、Z軸に沿って互いに向き合って配設された2つの平面ミラー72,73がマウントされている。各平面ミラー72,73の高さおよび角度は、それぞれのミラー調整機構74,75で調整することができる。
【0110】
なお、ランプユニット34やカメラユニット33には、その両端あるいは四隅にハンドル81が設けられている。このハンドル81をもってユニット33,34を持ち上げることで、それぞれのユニット33,34を他のユニットと交換することができる。
【0111】
そして、この赤外用のMTF測定装置では、図7に示すように、コリメータミラー8からの平行光の中心となる光軸に、主回転機構50の回転中心と、副回転機構45の回転中心とが、位置するように、コリメータユニット32とカメラユニット33との相対位置を位置決めする。これにより、平行光の光軸と、撮像部材41の光軸とを一致させることができる。なお、この位置決めの際に、カメラ直動機構43、副回転機構45、2つのステージ直動機構47,48、主回転機構50を操作して微調整を行ってもよい。
【0112】
また、被検レンズ1の光軸が平行光の光軸と一致するように、高さ調整機構62を操作して、被検レンズマウンタ61の高さを決める。被検レンズ1の焦点距離に基づいて、距離調整機構63を操作して、被検レンズ1とカメラユニット33との距離を調整する。
【0113】
次に、この赤外用のMTF測定装置では、赤外放射ランプ5と円形のピンホール6とを結ぶ直線が、平行光の光軸を含むX−Z平面とほぼ垂直となるようにランプユニット34を位置決めする。Z軸方向において下側となる平面ミラー72は、円形のピンホール6から出力される赤外放射をZ軸の上方向に反射するように、X−Y平面に対して且つY軸に対して45度の角度に設定する。Z軸において上側となる平面ミラー73は、Z軸下側からの赤外放射をコリメータミラー8方向へ反射するように、X−Y平面に対して且つX軸に対して45度よりも少し大きな角度に設定する。
【0114】
以上の調整によって、赤外放射ランプ5から放射された赤外放射は、円形のピンホール6および2つの平面ミラー72,73を介してコリメータミラー8に入射する。コリメータミラー8は、この赤外放射に基づいて平行光を出力する。平行光は、被検レンズ1で点像に結像された後、撮像部材41中のリレーレンズ4にて拡大され、スポット光21として撮像部材41中の赤外用CCD3に受光される。これにより、被検レンズ1の光軸でのMTF値を測定することができる。
【0115】
また、主回転機構50を操作して、平行光の被検レンズ1への入射角度を設定するとともに、その入射角度での焦点面の位置と向きに基づいて、カメラ直動機構43、副回転機構45、2つのステージ直動機構47,48を操作して撮像部材41を設定することで、被検レンズ1の軸外のMTF値を測定することができる。なお、2つのステージ直動機構47,48にて、撮像部材41の位置を光軸に対して平行にずらす調整をすることができるので、カメラ直動機構43が無くても、被検レンズ1の軸外のMTF値を測定することができる。
【0116】
上記実施の形態1(以下、図1から図8に示すMTF装置を指す)では、平行光を被検レンズ1の全面に入射し、これにより被検レンズ1全体としてのMTF値を測定している。他にもたとえば、図7および図8に示す赤外用のMTF測定装置において、平行光の光路上に、被検レンズ1よりも小さなサイズの貫通孔が形成された遮蔽板を配設し、これにより被検レンズ1の一部にのみ平行光を入射させてもよい。これにより、被検レンズ1の部分的なMTF値を測定することができる。
【0117】
上記実施の形態1では、1つの赤外放射ランプ5が、所定の略単一の波長の赤外放射を放射する場合として説明をしている。しかしながら、実際の赤外放射ランプ5は、熱源であるため、殆ど全ての波長域の赤外放射を放射する。そのため、実際には、所定の波長のみを透過するフィルタを赤外用CCD3の前に配設する必要がある。また、互いに透過波長帯域が異なる複数のフィルタを入替えて配設することで、複数の波長の赤外放射に対する複数のMTF値を測定することができる。
【0118】
上記実施の形態1では、被検レンズ1の赤外放射帯域の波長におけるMTF値を測定しているが、実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置は、他の光のMTF値を測定することもできる。たとえば、赤外放射ランプ5および赤外用CCD3を、可視光ランプと可視光用CCDとに置き換えるだけで、被検レンズ1の可視光におけるMTF値を測定することができる。なお、可視光用CCDは、一般的には広帯域な特性を有するので、可視光用CCDを使用する場合にもその前に色フィルタを配設するとよい。また、ガラスは可視光を透過することができるので、可視光を測定する場合には、ガラスを用いたリレーレンズ4を使用することができる。
【0119】
上記実施の形態1では、光源光学系2として、コリメータミラー8を使用しているが、その替わりにコリメータレンズを使用しても良い。ただし、屈折系の光学素子であるレンズは、波長によって焦点距離が微妙に異なる。したがって、複数の波長でのMTF値を測定する場合には、コリメータレンズよりもコリメータミラー8を使用した方が作業性がよい。また、ガラスは赤外放射を透過しないので、赤外放射を使用する場合には、コリメータミラー8か、ゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの赤外放射を透過する材料で形成したコリメータレンズを使用することになる。
【0120】
さらに、上記実施の形態1では、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決めを、測定者が手作業にて行う場合を説明している。他にもたとえば、これらリレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決めを、MTF測定手段の制御として自動化してもよい。MTF測定手段が出力する位置決め制御信号は、入出力ポート12を介して、リレーレンズ4や赤外用CCD3のコントローラへ入力すればよい。
【0121】
図9は、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決め処理を自動化する場合のMTF測定処理を示すフローチャートである。
【0122】
MTF測定手段は、起動されると、検査対象である被検レンズ1の設計上の焦点距離を入力するための入力画面をモニタ17に表示させるとともに、この画面表示に応じてキーボードから入力された数値を記憶部材13に記憶する(ST1)。なお、このステップST1は、被検レンズ1が決定した段階で予め入力しておいてもよい。
【0123】
MTF測定手段は、次に、予め記憶部材13に記憶させてあるリレーレンズ4の焦点距離と、上記被検レンズ1の設計上の焦点距離とに基づいて、点像を二倍に拡大するように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離を計算し、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を計算する(ST2)。これらの計算結果は記憶部材13に記憶された後、入出力ポート12を介して位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、上記距離となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST3)。
【0124】
MTF測定手段は、平行光を被検レンズ1に入射させない状態で、背景雑音の二次元の強度分布を測定し、そのデータを記憶部材13に記憶する(ST4)。次に、MTF測定手段は、平行光を被検レンズ1に入射させた状態(ST5)で、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布を測定し、そのデータを記憶部材13に記憶する(ST6)。
【0125】
そして、MTF測定手段は、赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布から、背景雑音の二次元の強度分布を減算した後、極大値探索処理によって、画像内のスポット光21を特定する(ST7)。このステップST7の前にステップST4と同じステップを実行し、減算処理をするようにしてもよい。また、MTF測定手段は、スポット光21の中心を特定し、そのスポット光21の中心が画像22の中心からどの位ずれているのかを判断する(ST8)。
【0126】
スポット光21の中心が画像22の中心から画像サイズの1/4以上ずれている場合には、MTF測定手段は、スポット光21が画像22の中心となる角度を計算し、その角度を位置決め制御信号としてコントローラへ出力する。コントローラは、上記角度となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST9)。
【0127】
MTF測定手段は、再度、背景雑音の二次元の強度分布および赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布を測定し(ST4〜ST6)、これに基づいてスポット光21の中心の画像22の中心からのずれを判定する(ST7、ST8)。この角度調整処理(ST9〜ST8)は、少なくとも、スポット光21の中心が、画像22の中心から、画像サイズの1/4以内の範囲に入るまで繰り返される。
【0128】
スポット光21の中心の画像22の中心からのずれが画像サイズの1/4以内になると、MTF測定手段は、スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分以下か否かを確認した上で(ST10)、共に半分以下であると(ST10でNo)倍率を4倍(=2倍×2)にあげる(ST11)。具体的には、ステップST2に戻り、MTF測定手段は、記憶部材13に記憶されているリレーレンズ4の焦点距離と、被検レンズ1の設計上の焦点距離とに基づいて、点像を4倍に拡大するように、被検レンズ1とリレーレンズ4との距離を計算し、リレーレンズ4と赤外用CCD3との距離を計算する(ST2)。これらの計算結果は、位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、上記距離となるように、リレーレンズ4の位置と赤外用CCD3の位置とを制御する(ST3)。
【0129】
MTF測定手段は、2倍の倍率のときと同様に、スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が画像サイズの1/4以内の範囲になるまで角度を調整する(ST4〜ST9)。
【0130】
スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が、画像サイズの1/4以内になると、MTF測定手段は、スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分以下であることを確認した上で、さらに倍率を8倍(4倍×2)に上げる。そして、MTF測定手段は、4倍の倍率のときと同様に、スポット光21の中心が画像22の中心からずれている量が画像サイズの1/4以内の範囲になるまで角度を調整する(ST4〜ST9)。
【0131】
これに対して、スポット光21の画像22内のサイズが画像サイズの半分よりも大きくなった場合には、MTF制御手段は、スポット光21の中心と画像22の中心とが重なる角度を計算する。この角度は、位置決め制御信号としてコントローラへ出力される。コントローラは、この角度となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を制御する(ST12)。なお、スポット光21のサイズが画像サイズよりもはみ出る場合は、はみ出しが生じなくなるようになるまで、縦横の70%の縮小を繰り返す。
【0132】
スポット光21の画像22内の縦横のサイズが共に画像サイズの半分よりも大きく、画面22内に収まる大きさとなり、且つ、スポット光21の中心が画像22の中心と重なったら、MTF制御手段は、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、その測定結果に基づいてMTF値を演算する。なお、スポット光21の中心と、画像22の中心とは、厳密に一致していなくてもよい(ST13)。
【0133】
このようなフローチャートであれば、スポット光21が常に画像22内となるように、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を調整することができる。また、最終的には、画像22内に納まると共に縦横のサイズが共に画像22の半分以上となるサイズのスポット光21に基づいてMTF値を演算することとなるので、点像強度分布の傾斜部分のデータ量が多くなる。その結果、精度の高いMTF値を演算することができる。
【0134】
なお、このフローチャートでは、最初の倍率を2倍としているが、最初の倍率は4倍であってもよい。また、最初の倍率として、1.5倍などを選択してもよい。最初の倍率が1.5倍である場合には、倍率は、1.5倍、3倍、6倍といったふうに変化させればよい。また、倍率が2倍のときに、スポット光21の中心のずれの判定を、画像サイズの1/8以内の範囲であるか否かで判断し、1/8以内のときに、次の倍率を8倍まで上げたとしても、画像22内にスポット光21を捉え、MTF値を演算することができる。
【0135】
このフローチャートでは、平行光を被検レンズ1に垂直に入射する場合を説明しているが、平行光を被検レンズ1に対して斜めに入射する場合であっても、同様な処理手順で、リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置決め処理を自動化することができる。ただし、MTF測定手段は、被検レンズ1の設計上の焦点距離に基づいて最初の位置決めを計算するときに、距離だけでなく、被検レンズ1とリレーレンズ4との角度およびリレーレンズ4と赤外用CCD3との角度をも演算する必要があり、且つ、コントローラはこの角度となるように制御する必要がある。
【0136】
さらに、このフローチャートでは、スポット光21が画像22内に納まり、その中心が画像22の中心と略一致し、且つ、スポット光21のサイズが画像22のサイズの半分以上となったときに、MTF制御手段は、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、それらの測定結果に基づいてMTF値を演算している。しかしながら、上記のフローチャートに従ってリレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を制御したとしても、厳密にその位置が本当の点像の強度分布であるとはかぎらない。リレーレンズ4や赤外用CCD3の位置が、微妙にずれている可能性が残る。
【0137】
そのため、たとえば、スポット光21が画像22に納まり、その中心が画像22の略中心となり、且つ、スポット光21の縦横のサイズが共に画像22のサイズの半分以上となった後に、リレーレンズ4および赤外用CCD3の位置を微妙に前後させて、複数の位置で、背景雑音の二次元の強度分布データおよび赤外放射ランプ5の赤外放射を含んだ受光光の二次元の強度分布データを測定し、その中でスポット光21の径が最小である画像22を用いて最終的なMTF値を演算するとよい。これにより、より良好なMTF値を得ることができる。なお、これらの画像22の選択処理は、モニタ17にこれらの画像22をマルチに表示させ、測定者に選択させるようにしてもよい。あるいは、それら全ての画像22についてMTF値を演算し、最もMTF値が大きいものを選択するようにしてもよい。
【0138】
また、上述の実施の形態1では、赤外用CCD3のナイキスト周波数より高い周波数までもMTF値を測定できることとなるが、赤外用CCD3自体のMTF値はナイキスト周波数が測定限界となる。しかしながら、ナイキスト周波数を超えた領域(ナイキスト周波数よりも高い空間周波数)の被検レンズ1のMTF値を得るためには、ナイキスト周波数よりも高い空間周波数での赤外用CCD3自体のMTF値が必要である。このようなナイキスト周波数よりも高い空間周波数での赤外用CCD3自体のMTF値は、ナイキスト周波数までの赤外用CCD3自体のMTF値のカーブから外挿して得ることができる。そして、この外挿して得たナイキスト周波数を超える領域の赤外用CCD3自体のMTF値と、リレーレンズ4を利用して得た測定値とから、赤外用CCD3のナイキスト周波数を超える領域での被検レンズ1のMTF値を得ている。
【0139】
具体的には、赤外用CCD3自体のMTF値を測定してMTFの周波数に対する特性曲線を得る。その特性曲線を延長することで、赤外用CCD3のナイキスト周波数を超える領域での特性曲線を推定する。この外挿は、MTF測定手段、具体的にはMTF測定プログラム19が実行している。
【0140】
【発明の効果】
本発明では、簡単な調整によって、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる。本願の他の発明では、被検レンズの点像に基づいて、被検レンズの変調伝達関数を測定することができる。特に、二次元撮像部材のナイキスト周波数あるいはそれ以上の周波数の空間周波数であったとしても、再現性の良い変調伝達関数を得ることができる。本願の他の発明は、常温環境下の明るい部屋であっても、変調伝達関数を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る赤外用のMTF測定装置を示す構成図である。
【図2】図1に示す赤外用のMTF測定装置で撮像された、背景雑音の二次元の光の強度分布の一例である。
【図3】赤外放射ランプの赤外放射のみによる二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで2倍に拡大した状態を示す図である。
【図4】赤外用CCDの画像中央に、径が最小である最良のスポット光を得るようにした二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで2倍に拡大した状態を示す図である。
【図5】赤外放射ランプの赤外放射のみによる二次元の光の強度分布データの一例で、リレーレンズで8倍に拡大した状態を示す図である。
【図6】図1のMTF測定装置を使用して被検レンズの軸外のMTF値を測定する場合の部材の配置例を示す説明図である。
【図7】図1のMTF測定装置を具体化したもので、被検レンズの光軸および軸外のMTF値を測定することができる赤外用のMTF測定装置の平面図である。
【図8】図7に示す赤外用のMTF測定装置の側面図である。
【図9】リレーレンズや赤外用CCDの位置決め処理を自動化する場合のMTF測定処理を示すフローチャートである。
【図10】従来の赤外用のMTF測定装置の構成図である。
【符号の説明】
1 被検レンズ
2 光源光学系
3 赤外用CCD(二次元撮像部材)
4 リレーレンズ
5 赤外放射ランプ(光源)
6 円形のピンホール(光通し孔)
7 光源遮蔽版
8 コリメータミラー
9 レンズ調整機構(調整手段)
10 CCD調整機構(調整手段)
14 中央処理装置(調整手段、演算手段)
17 モニタ
19 MTF測定プログラム(調整手段、演算手段)
42 カメラステージ(調整手段)
43 カメラ直動機構(調整手段)
44 副回転ステージ(調整手段)
45 副回転機構(調整手段)
46 平行移動ステージ(調整手段)
47,48 ステージ直動機構(調整手段)
49 主回転ステージ(調整手段)
50 主回転機構(調整手段)
51 固定台(調整手段)
62 高さ調整機構(調整手段)
63 距離調整機構(調整手段)
Claims (11)
- 被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、
光を放射する光源と、
円形のピンホールあるいは長四角のスリットなどの光通し孔が形成される光源遮蔽版と、
上記光通し孔を通過した光を上記平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、
上記結像を拡大するリレーレンズと、
上記リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、
上記結像を表示するモニタと、
上記被検レンズ、上記リレーレンズおよび上記二次元撮像部材の相対位置を調整する調整手段と、
上記調整手段による調整後の上記二次元の光の強度分布に基づいて、上記被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする変調伝達関数測定装置。 - 前記モニタは、前記二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布から、前記光源の光が含まれない二次元の光の強度分布を減算したものを表示することを特徴とする請求項1記載の変調伝達関数測定装置。
- 前記リレーレンズは、前記結像を2倍以上、8倍以下の倍率で拡大することを特徴とする請求項1記載の変調伝達関数測定装置。
- 前記光源および前記二次元撮像部材は赤外用のものであり、前記リレーレンズはゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンなどの赤外放射を透過する材料を用いて形成したものであり、さらに、前記コリメータミラーを使用することを特徴とする請求項1記載の変調伝達関数測定装置。
- 前記調整手段は、前記結像が前記二次元撮像部材の撮像画面の中心部分にくるように、前記被検レンズ、前記リレーレンズおよび前記二次元撮像部材の相対位置を調整することを特徴とする請求項1記載の変調伝達関数測定装置。
- 前記光源遮蔽板には、前記円形のピンホールが形成され、前記演算手段は、前記二次元撮像部材が撮像した1つの点像の二次元の光の強度分布に基づいて、メリジオナル方向でのMTF値およびサジッタル方向でのMTF値を演算することを特徴とする請求項1記載の変調伝達関数測定装置。
- 被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、
光を放射する光源と、
円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、
上記円形のピンホールを通過した光を上記平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、
上記結像を2倍以上に拡大するリレーレンズと、
上記リレーレンズによって拡大された結像を二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、
上記二次元の光の強度分布に基づいて、上記被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする変調伝達関数測定装置。 - 被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定装置であって、
光を放射する光源と、
円形のピンホールが形成される光源遮蔽版と、
上記円形のピンホールを通過した光を上記平行光にするコリメータミラーあるいはコリメータレンズと、
上記結像をそのままあるいは拡大されたものを二次元の光の強度分布として撮像する二次元撮像部材と、
上記光源の光を含む上記二次元の光の強度分布から上記光源の光を含まない上記二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて上記被検レンズの変調伝達関数を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする変調伝達関数測定装置。 - 被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーの結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、
上記結像を二次元撮像部材で撮像してモニタに表示するとともに、上記被検レンズ、上記リレーレンズおよび上記二次元撮像部材の相対位置を調整し、
その調整後に上記二次元撮像部材から出力される二次元の光の強度分布に基づいて、上記被検レンズの変調伝達関数を演算することを特徴とする変調伝達関数測定方法。 - 被検レンズあるいは被検ミラーに対して平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる点像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、
上記点像を2倍以上に拡大したものを二次元撮像部材で撮像し、
上記二次元撮像部材から出力される点像の二次元の光の強度分布に基づいて、上記被検レンズの変調伝達関数を演算することを特徴とする変調伝達関数測定方法。 - 被検レンズあるいは被検ミラーに対して、光源の光に基づく平行光を入射し、その被検レンズあるいは被検ミラーによって得られる結像に基づいて変調伝達関数を演算する変調伝達関数測定方法であって、
上記結像を、二次元の光の強度分布として二次元撮像部材で撮像し、
上記光源の光を含む上記二次元の光の強度分布から、上記光源の光を含まない上記二次元の光の強度分布を減算し、さらに、この減算結果の二次元の光の強度分布に基づいて上記被検レンズの変調伝達関数を演算することを特徴とする変調伝達関数測定方法。
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