JP2004036827A - シャフト用カップリング - Google Patents
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Abstract
【課題】クロススパイダを用いたシャフト用カップリングにおいて、吸振性及び防音性を有するものを、簡素な構造で実現する。
【解決手段】クロススパイダ13の各ピン131〜134の外周面に、ゴム状弾性材料からなる弾性層15が一体的に加硫接着され、ピン131〜134が、軸端のヨーク11,12に開設された連結孔111a,112a,121a,122aに挿入されている。ピン131〜134は、弾性層15を含むピン131〜134の先端部を収容保持可能な保持部141と、屈曲によりヨーク11,12に係止可能な係止部142とからなるホルダ14を介して、連結孔111a,112a,121a,122aに固定されている。
【選択図】 図3
【解決手段】クロススパイダ13の各ピン131〜134の外周面に、ゴム状弾性材料からなる弾性層15が一体的に加硫接着され、ピン131〜134が、軸端のヨーク11,12に開設された連結孔111a,112a,121a,122aに挿入されている。ピン131〜134は、弾性層15を含むピン131〜134の先端部を収容保持可能な保持部141と、屈曲によりヨーク11,12に係止可能な係止部142とからなるホルダ14を介して、連結孔111a,112a,121a,122aに固定されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のステアリングシャフトあるいはプロペラシャフト等のトルク伝達系における軸継手として用いられるカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵のためのステアリングシャフトは、互いに連結された複数のシャフトからなり、その連結手段として、例えばユニバーサルジョイントの一種であるフックジョイント形のカップリングが用いられる。図5は、従来の技術によるステアリングシャフト用カップリングを示す断面図、図6は、このステアリングシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【0003】
すなわち従来のフックジョイント形のカップリング100は、図5に示されるように、ステアリングシャフトを構成する一方のシャフト110の軸端に設けられた略コ字形のヨーク101と、他方のシャフト120の軸端に固定された略コ字形のヨーク102と、双方のヨーク101,102の間に介在するクロススパイダ103とを備える。クロススパイダ103は、互いに十字形をなして突出する四本のピン103a〜103dを有するものであって、このうち、同軸上にある一対のピン103a,103cは、一方のヨーク101における一対の突部101a,101aの連結孔101b,101bに連結され、前記ピン103a,103cと直角に交差する他の一対のピン103b,103dは、他方のヨーク102における一対の突部102a,102aの連結孔102b,102bに連結されている。また、各ピン103a〜103dと連結孔101b,102bとの間には、軸受104と、その作動部への異物の侵入を防止する軸受シール105が介装されている。
【0004】
そして、この種のカップリング100は、ステアリングホイールからの操舵トルクを、例えばシャフト110からシャフト120へ、ヨーク101、クロススパイダ103及びヨーク102を介して伝達すると共に、図5のように、双方のシャフト110,120の軸心が互いに角度θをなして交差した状態でのトルク伝達を許容するものである。
【0005】
しかし、上述した従来のカップリングによれば、車両走行中に路面側からステアリングギヤボックスを介して伝達される振動や、パワーステアリング装置から伝達される振動を低減することができないばかりか、部品数が多く、組付工程も複雑であるため、製品のコストダウンを図ることが困難であった。また、振動低減を図るために、クロススパイダ103の各ピン103a〜103dと、ヨーク101,102における連結孔101b,102bとの間に弾性材からなるダンパリングを介装したものも公知であるが(例えば特開平09−072348号公報参照)、この場合も部品数が多く、組付工程も複雑であるため、製品のコストダウンを図ることが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、クロススパイダを用いたシャフト用カップリングにおいて、吸振性及び防音性を有するものを、簡素な構造で実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るシャフト用カップリングは、クロススパイダの各ピンの外周面に、ゴム状弾性材料からなる弾性層が一体的に加硫接着され、前記ピンが、軸端のヨークに開設された連結孔に挿入されると共に、この連結孔に係止されたホルダを介して固定されたものである。
【0008】
請求項2の発明に係るシャフト用カップリングは、請求項1に記載された構成において、ホルダが、弾性層を含むピンの先端部を収容保持可能な保持部と、屈曲によりヨークに係止可能な係止部とからなるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず図1は、本発明に係るシャフト用カップリングの好ましい実施の形態を示す要部断面図、図2は、本形態において用いられるクロススパイダを図1におけるII‐II線で切断して示す断面図、図3は、本形態のシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【0010】
本形態によるシャフト用カップリング10は、例えば車両のステアリングシャフトにおける軸継手として好適に実施されるものであって、図1〜図3に示されるように、ステアリングシャフトを構成する一方のシャフト20の軸端に設けられた略コ字形のヨーク11と、他方のシャフト30の軸端に固定されたヨーク12と、双方のヨーク11,12の間に介在する十字形のクロススパイダ13と、このクロススパイダ13をヨーク11,12に固定するホルダ14とを備える。
【0011】
ヨーク11は、金属で製作されたものであって、シャフト20の軸心の延長線を対称軸として、略コ字形をなすように、互いに対称に延びる一対の連結突部111,112を有し、その先端近傍の互いに対応する位置に、それぞれ連結孔111a,112aが開設されている。ヨーク12も同様であって、すなわち金属で製作され、シャフト30の軸心の延長線を対称軸として、略コ字形をなすように、互いに対称に延びる一対の連結突部121,122を有し、その先端近傍の互いに対応する位置に、それぞれ連結孔121a,122aが開設されている。
【0012】
なお、図1及び図3では、ヨーク11,12がシャフト20,30にそれぞれ一体的に形成された状態に図示されているが、シャフト20,30の軸端にボルトなどで結合されるものや、スプライン嵌合されるものなど、種々のものが考えられる。
【0013】
クロススパイダ13は、金属で製作されたものであって、互いに十字形をなして突出する四本のピン131〜134を有し、その外周面には、NR(天然ゴム)などの、Hs80程度の硬度を有するゴム状弾性材料からなる弾性層15(151〜154)が、ほぼ均一な肉厚をもって一体的に加硫接着されている。この弾性層15は、所定の加硫成形金型内に、接着剤を塗布したクロススパイダ13をセットして、その表面と金型内面との間に未加硫ゴム材料を充填し、加熱・加圧することによって、膜状に成形されると同時にクロススパイダ13に一体化されたものである。
【0014】
なお、弾性層15の肉厚は、捩り剛性(トルク伝達力)や繰り返し応力に対する耐久性を考慮して、例えば2mm程度とすることが好ましい。
【0015】
クロススパイダ13の四本のピン131〜134のうち、同軸上にある一対のピン131,133は、一方のヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112aに、それぞれホルダ14を介して挿入され、前記ピン131,133と直角に交差する他の一対のピン132,134は、他方のヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aにそれぞれホルダ14を介して挿入されている。
【0016】
ホルダ14は、鋼板などの金属板の打ち抜きプレスによって製作されたものであって、クロススパイダ13におけるピン131〜134のいずれかの先端に外挿冠着可能であると共に、ヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112a及びヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aのうちいずれかに圧入可能な、有底円筒状の保持部141と、この保持部141の裾から延びてスリット142aにより円周方向へ分割された複数の係止部142とからなる。
【0017】
すなわち、ホルダ14の保持部141は、その内径が、クロススパイダ13におけるピン131〜134における弾性層151〜154の外周面に密接可能な大きさであると共に、外径が、ヨーク11,12における連結孔111a,112a,121a,122aに適当な締め代をもって圧入可能な大きさとなっている。また、係止部142は、スリット142aで分割されていることによって外周側へ屈曲可能となっており、この屈曲によってヨーク11,12における連結突部111,112,121,122のうちいずれかの内面に係止されたものである。
【0018】
したがって、図1に示されるように、クロススパイダ13における各ピン131〜134は、その先端部がヨーク11,12における連結孔111a,112a,121a,122aの外側へ突出するような偏心方向の変位が、ホルダ14における保持部141の底面部によって規制されると共に、この保持部141の内周に、弾性層15を介して弾性的に支持されている。
【0019】
図4は、上述の構成を備えるシャフト用カップリング10の組立過程を示す説明図である。すなわち、まず図4(A)に記されるように、例えば一方のヨーク11における連結突部111,112間に、クロススパイダ13を斜めにしながら入れて、その互いに同軸上にあるピン131,133を、連結孔111a,112aに遊挿する。
【0020】
次に、図4(B)に示されるように、連結孔111a,112aに、それぞれホルダ14を、その未屈曲の係止部142を先行させるようにして、連結突部111,112の外側から圧入すると共に、このホルダ14の保持部141を、各連結孔111a,112a内のピン131,133の外周(弾性層151,153の外周)に外挿し、未屈曲の係止部142を、連結突部111,112の内側へ突出させる。そして、この係止部142を外側へ開くように屈曲してカシメることによって、ピン131,133は、その長手方向への挙動が規制された状態に保持される。
【0021】
なお、ホルダ14における保持部142とその内周の弾性層15との間には、グリースなどの潤滑剤を介在させることも好ましい。
【0022】
他方のヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aに、クロススパイダ13のピン132,134を結合する作業も、上述と同様の手順で行うことができる。
【0023】
したがって、本形態のシャフト用カップリング10は、双方のヨーク11,12と、クロススパイダ13とを、そのピン131〜134と対応する四個のホルダ14のみで結合しており、しかも防振及び防音のための手段が、弾性層15としてクロススパイダ13に加硫接着した構造であるため、構成部品数が少なく、上述のように、組立も容易・迅速に行うことができる。
【0024】
また、本形態の構成において、図示されていないステアリングホイールの回転操作によって、このステアリングホイール側の例えば一方のシャフト20に操舵トルクが与えられると、この操舵トルクは、ヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112aの内面から、ホルダ14の保持部142の側面部及び弾性層151,153を介してクロススパイダ13のピン131,133に伝達され、このピン131,133と90度異なる位相上のピン132,134から、その外周の弾性層152,154、ホルダ14の保持部142の側面部、及び連結孔121a,122aの内面を介して、ヨーク12の連結突部121,122へ伝達され、このヨーク12から、図示されていないステアリングギヤボックス側の他方のシャフト30へ伝達され、操舵が行われることになる。
【0025】
また、ヨーク11は、クロススパイダ13のピン131,133の周りに相対的に角変位可能であり、ヨーク12は、クロススパイダ13のピン132,134の周りに相対的に角変位可能であるため、双方のシャフト20,30の軸心が互いに傾斜角をなして交差した状態にあっても、トルク伝達が行われる。
【0026】
車両走行中に路面側からステアリングギヤボックスを介して伝達される振動や騒音、あるいはパワーステアリング装置から伝達される振動や騒音は、クロススパイダ13のピン131〜134とホルダ14の保持部141との間で弾性層15(151〜154)が変形を受けることによって有効に吸収される。このため、運転者が操作するステアリングホイールに伝達される振動を低減することができる。
【0027】
なお、図示の形態では、ステアリングシャフト用に実施したものとして説明したが、本発明のシャフト用カップリングは、例えばプロペラシャフトの継手や、他の自在継手としても実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るシャフト用カップリングによれば、シャフトから伝達される振動や騒音を、クロススパイダに一体に設けられた弾性層によって、有効に吸収することができる。また、双方のヨークと、クロススパイダとを、そのピンと、ヨークの連結孔との間に介在させるホルダのみで結合し、弾性層がクロススパイダに一体に加硫接着された構造であるため、構成部品数が少なくなって組立工程も簡素化されるため、安価に提供することができる。
【0029】
請求項2の発明に係るシャフト用カップリングによれば、ホルダが、ヨークの連結孔に圧入して係止部を屈曲させるだけで、ヨークに係止されると共にクロススパイダを固定することができるため、カップリングの組立を容易・迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシャフト用カップリングの好ましい実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】本形態において用いられるクロススパイダを図1におけるII‐II線で切断して示す断面図である。
【図3】本形態のシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【図4】本形態のシャフト用カップリングの組立過程を示す説明図である。
【図5】従来の技術によるシャフト用カップリングを示す断面図である。
【図6】従来の技術によるシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
10 シャフト用カップリング
11,12 ヨーク
111,112,121,122 連結突部
111a,112a,121a,122a 連結孔
13 クロススパイダ
131〜134 ピン
14 ホルダ
141 保持部
142 係止部
142a スリット
15(151〜154) 弾性層
20,30 シャフト
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のステアリングシャフトあるいはプロペラシャフト等のトルク伝達系における軸継手として用いられるカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵のためのステアリングシャフトは、互いに連結された複数のシャフトからなり、その連結手段として、例えばユニバーサルジョイントの一種であるフックジョイント形のカップリングが用いられる。図5は、従来の技術によるステアリングシャフト用カップリングを示す断面図、図6は、このステアリングシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【0003】
すなわち従来のフックジョイント形のカップリング100は、図5に示されるように、ステアリングシャフトを構成する一方のシャフト110の軸端に設けられた略コ字形のヨーク101と、他方のシャフト120の軸端に固定された略コ字形のヨーク102と、双方のヨーク101,102の間に介在するクロススパイダ103とを備える。クロススパイダ103は、互いに十字形をなして突出する四本のピン103a〜103dを有するものであって、このうち、同軸上にある一対のピン103a,103cは、一方のヨーク101における一対の突部101a,101aの連結孔101b,101bに連結され、前記ピン103a,103cと直角に交差する他の一対のピン103b,103dは、他方のヨーク102における一対の突部102a,102aの連結孔102b,102bに連結されている。また、各ピン103a〜103dと連結孔101b,102bとの間には、軸受104と、その作動部への異物の侵入を防止する軸受シール105が介装されている。
【0004】
そして、この種のカップリング100は、ステアリングホイールからの操舵トルクを、例えばシャフト110からシャフト120へ、ヨーク101、クロススパイダ103及びヨーク102を介して伝達すると共に、図5のように、双方のシャフト110,120の軸心が互いに角度θをなして交差した状態でのトルク伝達を許容するものである。
【0005】
しかし、上述した従来のカップリングによれば、車両走行中に路面側からステアリングギヤボックスを介して伝達される振動や、パワーステアリング装置から伝達される振動を低減することができないばかりか、部品数が多く、組付工程も複雑であるため、製品のコストダウンを図ることが困難であった。また、振動低減を図るために、クロススパイダ103の各ピン103a〜103dと、ヨーク101,102における連結孔101b,102bとの間に弾性材からなるダンパリングを介装したものも公知であるが(例えば特開平09−072348号公報参照)、この場合も部品数が多く、組付工程も複雑であるため、製品のコストダウンを図ることが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、クロススパイダを用いたシャフト用カップリングにおいて、吸振性及び防音性を有するものを、簡素な構造で実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るシャフト用カップリングは、クロススパイダの各ピンの外周面に、ゴム状弾性材料からなる弾性層が一体的に加硫接着され、前記ピンが、軸端のヨークに開設された連結孔に挿入されると共に、この連結孔に係止されたホルダを介して固定されたものである。
【0008】
請求項2の発明に係るシャフト用カップリングは、請求項1に記載された構成において、ホルダが、弾性層を含むピンの先端部を収容保持可能な保持部と、屈曲によりヨークに係止可能な係止部とからなるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず図1は、本発明に係るシャフト用カップリングの好ましい実施の形態を示す要部断面図、図2は、本形態において用いられるクロススパイダを図1におけるII‐II線で切断して示す断面図、図3は、本形態のシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【0010】
本形態によるシャフト用カップリング10は、例えば車両のステアリングシャフトにおける軸継手として好適に実施されるものであって、図1〜図3に示されるように、ステアリングシャフトを構成する一方のシャフト20の軸端に設けられた略コ字形のヨーク11と、他方のシャフト30の軸端に固定されたヨーク12と、双方のヨーク11,12の間に介在する十字形のクロススパイダ13と、このクロススパイダ13をヨーク11,12に固定するホルダ14とを備える。
【0011】
ヨーク11は、金属で製作されたものであって、シャフト20の軸心の延長線を対称軸として、略コ字形をなすように、互いに対称に延びる一対の連結突部111,112を有し、その先端近傍の互いに対応する位置に、それぞれ連結孔111a,112aが開設されている。ヨーク12も同様であって、すなわち金属で製作され、シャフト30の軸心の延長線を対称軸として、略コ字形をなすように、互いに対称に延びる一対の連結突部121,122を有し、その先端近傍の互いに対応する位置に、それぞれ連結孔121a,122aが開設されている。
【0012】
なお、図1及び図3では、ヨーク11,12がシャフト20,30にそれぞれ一体的に形成された状態に図示されているが、シャフト20,30の軸端にボルトなどで結合されるものや、スプライン嵌合されるものなど、種々のものが考えられる。
【0013】
クロススパイダ13は、金属で製作されたものであって、互いに十字形をなして突出する四本のピン131〜134を有し、その外周面には、NR(天然ゴム)などの、Hs80程度の硬度を有するゴム状弾性材料からなる弾性層15(151〜154)が、ほぼ均一な肉厚をもって一体的に加硫接着されている。この弾性層15は、所定の加硫成形金型内に、接着剤を塗布したクロススパイダ13をセットして、その表面と金型内面との間に未加硫ゴム材料を充填し、加熱・加圧することによって、膜状に成形されると同時にクロススパイダ13に一体化されたものである。
【0014】
なお、弾性層15の肉厚は、捩り剛性(トルク伝達力)や繰り返し応力に対する耐久性を考慮して、例えば2mm程度とすることが好ましい。
【0015】
クロススパイダ13の四本のピン131〜134のうち、同軸上にある一対のピン131,133は、一方のヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112aに、それぞれホルダ14を介して挿入され、前記ピン131,133と直角に交差する他の一対のピン132,134は、他方のヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aにそれぞれホルダ14を介して挿入されている。
【0016】
ホルダ14は、鋼板などの金属板の打ち抜きプレスによって製作されたものであって、クロススパイダ13におけるピン131〜134のいずれかの先端に外挿冠着可能であると共に、ヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112a及びヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aのうちいずれかに圧入可能な、有底円筒状の保持部141と、この保持部141の裾から延びてスリット142aにより円周方向へ分割された複数の係止部142とからなる。
【0017】
すなわち、ホルダ14の保持部141は、その内径が、クロススパイダ13におけるピン131〜134における弾性層151〜154の外周面に密接可能な大きさであると共に、外径が、ヨーク11,12における連結孔111a,112a,121a,122aに適当な締め代をもって圧入可能な大きさとなっている。また、係止部142は、スリット142aで分割されていることによって外周側へ屈曲可能となっており、この屈曲によってヨーク11,12における連結突部111,112,121,122のうちいずれかの内面に係止されたものである。
【0018】
したがって、図1に示されるように、クロススパイダ13における各ピン131〜134は、その先端部がヨーク11,12における連結孔111a,112a,121a,122aの外側へ突出するような偏心方向の変位が、ホルダ14における保持部141の底面部によって規制されると共に、この保持部141の内周に、弾性層15を介して弾性的に支持されている。
【0019】
図4は、上述の構成を備えるシャフト用カップリング10の組立過程を示す説明図である。すなわち、まず図4(A)に記されるように、例えば一方のヨーク11における連結突部111,112間に、クロススパイダ13を斜めにしながら入れて、その互いに同軸上にあるピン131,133を、連結孔111a,112aに遊挿する。
【0020】
次に、図4(B)に示されるように、連結孔111a,112aに、それぞれホルダ14を、その未屈曲の係止部142を先行させるようにして、連結突部111,112の外側から圧入すると共に、このホルダ14の保持部141を、各連結孔111a,112a内のピン131,133の外周(弾性層151,153の外周)に外挿し、未屈曲の係止部142を、連結突部111,112の内側へ突出させる。そして、この係止部142を外側へ開くように屈曲してカシメることによって、ピン131,133は、その長手方向への挙動が規制された状態に保持される。
【0021】
なお、ホルダ14における保持部142とその内周の弾性層15との間には、グリースなどの潤滑剤を介在させることも好ましい。
【0022】
他方のヨーク12における連結突部121,122の連結孔121a,122aに、クロススパイダ13のピン132,134を結合する作業も、上述と同様の手順で行うことができる。
【0023】
したがって、本形態のシャフト用カップリング10は、双方のヨーク11,12と、クロススパイダ13とを、そのピン131〜134と対応する四個のホルダ14のみで結合しており、しかも防振及び防音のための手段が、弾性層15としてクロススパイダ13に加硫接着した構造であるため、構成部品数が少なく、上述のように、組立も容易・迅速に行うことができる。
【0024】
また、本形態の構成において、図示されていないステアリングホイールの回転操作によって、このステアリングホイール側の例えば一方のシャフト20に操舵トルクが与えられると、この操舵トルクは、ヨーク11における連結突部111,112の連結孔111a,112aの内面から、ホルダ14の保持部142の側面部及び弾性層151,153を介してクロススパイダ13のピン131,133に伝達され、このピン131,133と90度異なる位相上のピン132,134から、その外周の弾性層152,154、ホルダ14の保持部142の側面部、及び連結孔121a,122aの内面を介して、ヨーク12の連結突部121,122へ伝達され、このヨーク12から、図示されていないステアリングギヤボックス側の他方のシャフト30へ伝達され、操舵が行われることになる。
【0025】
また、ヨーク11は、クロススパイダ13のピン131,133の周りに相対的に角変位可能であり、ヨーク12は、クロススパイダ13のピン132,134の周りに相対的に角変位可能であるため、双方のシャフト20,30の軸心が互いに傾斜角をなして交差した状態にあっても、トルク伝達が行われる。
【0026】
車両走行中に路面側からステアリングギヤボックスを介して伝達される振動や騒音、あるいはパワーステアリング装置から伝達される振動や騒音は、クロススパイダ13のピン131〜134とホルダ14の保持部141との間で弾性層15(151〜154)が変形を受けることによって有効に吸収される。このため、運転者が操作するステアリングホイールに伝達される振動を低減することができる。
【0027】
なお、図示の形態では、ステアリングシャフト用に実施したものとして説明したが、本発明のシャフト用カップリングは、例えばプロペラシャフトの継手や、他の自在継手としても実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るシャフト用カップリングによれば、シャフトから伝達される振動や騒音を、クロススパイダに一体に設けられた弾性層によって、有効に吸収することができる。また、双方のヨークと、クロススパイダとを、そのピンと、ヨークの連結孔との間に介在させるホルダのみで結合し、弾性層がクロススパイダに一体に加硫接着された構造であるため、構成部品数が少なくなって組立工程も簡素化されるため、安価に提供することができる。
【0029】
請求項2の発明に係るシャフト用カップリングによれば、ホルダが、ヨークの連結孔に圧入して係止部を屈曲させるだけで、ヨークに係止されると共にクロススパイダを固定することができるため、カップリングの組立を容易・迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシャフト用カップリングの好ましい実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】本形態において用いられるクロススパイダを図1におけるII‐II線で切断して示す断面図である。
【図3】本形態のシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【図4】本形態のシャフト用カップリングの組立過程を示す説明図である。
【図5】従来の技術によるシャフト用カップリングを示す断面図である。
【図6】従来の技術によるシャフト用カップリングを分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
10 シャフト用カップリング
11,12 ヨーク
111,112,121,122 連結突部
111a,112a,121a,122a 連結孔
13 クロススパイダ
131〜134 ピン
14 ホルダ
141 保持部
142 係止部
142a スリット
15(151〜154) 弾性層
20,30 シャフト
Claims (2)
- クロススパイダ(13)の各ピン(131〜134)の外周面に、ゴム状弾性材料からなる弾性層(15)が一体的に加硫接着され、前記ピン(131〜134)が、軸端のヨーク(11,12)に開設された連結孔(111a,112a,121a,122a)に挿入されると共に、この連結孔(111a,112a,121a,122a)に係止されたホルダ(14)を介して固定されたことを特徴とするシャフト用カップリング。
- ホルダ(14)が、弾性層(15)を含むピン(131〜134)の先端部を収容保持可能な保持部(141)と、屈曲によりヨーク(11,12)に係止可能な係止部(142)とからなることを特徴とする請求項1に記載のシャフト用カップリング。
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-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197242A patent/JP2004036827A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5850181B2 (ja) * | 2013-08-30 | 2016-02-03 | 日本精工株式会社 | 十字軸式自在継手の製造方法 |
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