JP2004035771A - 光硬化型粘接着剤組成物及び粘接着シート - Google Patents

光硬化型粘接着剤組成物及び粘接着シート Download PDF

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Junichi Shimaoka
島岡 淳一
Koji Watabe
渡部 功治
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Abstract

【課題】常温で感圧接着性を示すと共に光照射により硬化して優れた耐湿熱性を発現し、さらにガス発生量の少ない光硬化型粘接着剤組成物及びそれを用いた粘接着シートを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常態では感圧接着性を有し、光を照射することにより硬化する光硬化型粘接着剤組成物及びそれを用いた粘接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
光を照射することにより硬化する光後硬化型粘接着剤組成物が、特開2001−192633号公報に提案されている。この光後硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂の構成成分としてポリテトラメチレングリコールを使用することにより、耐湿熱性の改善を図ろうとするものである。
ポリエステル樹脂は、一般に多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合物であり、耐湿熱性に不安があるため、使用するポリエステル樹脂中にエーテル結合を導入することにより、耐湿熱性を向上させている。
【0003】
また、上記光硬化型粘接着剤組成物を使用した粘接着シートは、常温で粘着性を有し、ラミネート等の方法で基材に貼り付けることができ、UV照射により室温でも硬化が進行し、硬化成分による架橋反応により強固な接着力を発現するものである。しかしながら、この光硬化型粘接着剤組成物はUVを照射した後で、高温(80℃以上)で養生する際に、ポリエステル樹脂の分解物に由来するガスを発生するため、悪臭や環境汚染の原因となることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、常温で感圧接着性を示すと共に光照射により硬化して優れた耐湿熱性を発現し、さらにポリエステル樹脂の分解物に由来するガス発生量の少ない光硬化型粘接着剤組成物及びそれを用いた粘接着シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願の請求項1に記載の光硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、全多価アルコール成分に対するポリテトラメチレングリコールの割合が14mol%以下であることを特徴とする。
【0006】
本出願の請求項2に記載の光硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、全多価アルコール成分に対するポリテトラメチレングリコール及びポリプロピレングリコール両者の合計割合が70mol%以下であることを特徴とする。
【0007】
本出願の請求項3に記載の光硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、多価アルコール成分中に、分子中に一般式(1)で表されるエーテル結合をもつ多価アルコール成分が含有されていないことを特徴とする。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる樹脂組成物が用いられる。
上記ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなるポリエステル樹脂が用いられる。
【0009】
上記多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸等の3価以上の芳香族多価カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の5員環もしくは6員環を含む脂環式多価カルボン酸などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0010】
上記多価カルボン酸成分として鎖状脂肪族カルボン酸が使用されると、得られるポリエステル樹脂の耐湿熱性が極端に低下するので、鎖状脂肪族カルボン酸の使用は好ましくない。鎖状脂肪族カルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸等が挙げられる。
【0011】
上記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;分子中に一般式(1)で表されるエーテル結合をもつ多価アルコール;ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール、ロジンオールなどが挙げられる。これらの多価アルコール成分は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0012】
【化2】
Figure 2004035771
式中、R1 、R2 はともに2価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、nは2以上の整数を示す。
【0013】
上記分子中に一般式(1)で表されるエーテル結合をもつ多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール(以下「PEG」という)、ポリプロピレングリコール(以下「PPG」という)、ポリテトラメチレングリコール(以下「PTMG」という)等;PEG/PPG共重合体、PEG/PTMG共重合体、PPG/PTMG共重合体、PEG/PPG/PTMG共重合体等;一般式(2)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0014】
【化3】
Figure 2004035771
式中、mは2以上の整数を示す。
【0015】
上記エーテル結合を分子中にもつ多価アルコールを構成成分とするポリエステル樹脂は、後述の光カチオン性重合開始剤から生じる酸によって、エーテル構造部分が加熱時に分解反応を起こし、分解に由来するガス発生量の増大が想定されるため、このような多価アルコールの使用量が制限される。
この分解反応は、光カチオン性重合開始剤による分子末端からの環化解重合が主反応になるものと推定され、分解生成物としては、多価アルコールがPEGの場合は1,4−ジオキサン、PPGの場合はメチル置換ジオキサン、PTMGの場合はテトラヒドロフランがそれぞれ発生するものと考えられる。
尚、PEGやPPGよりもPTMGからの分解生成物が多く発生する。これは、PTMGから発生した分解生成物がより安定であるためと考えられる。
【0016】
上記エーテル結合をもつ多価アルコール成分としてPTMGを使用する場合、その割合は全多価アルコール成分に対して14mol%以下に制限され、好ましくは12mol%以下、さらに好ましくは8mol%以下である。
PTMGの割合が14mol%を超えると、加熱時に発生するガスの量が多くなり過ぎる。
【0017】
上記エーテル結合をもつ多価アルコール成分としてPEG及びPPGを併用する場合、両者の合計割合は全多価アルコール成分に対して70mol%以下に制限され、好ましくは60mol%以下、さらに好ましくは40mol%以下である。両者の合計割合が70mol%を超えると、加熱時に発生するガスの量が多くなり過ぎる。
【0018】
また、エーテル結合をもつ多価アルコール成分が少量でも存在すると、加熱時にポリエステル樹脂の分解反応が起こり、ガスの発生をなくすることができないので、高温高耐久性の要求されるような用途には、上記エーテル結合をもつ多価アルコールを使用することはできない。
【0019】
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、こはく酸等の多塩基類と、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール類とを脱水縮合して得られる重合体;ひまし油、ひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等のヒドロキシカルボン酸と、多価アルコールとの縮合反応生成物などが挙げられる。
【0020】
上記ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、クラレ社製「PNOC−1000」、「PNOC−2000」、「クラレポリオールC−1900」、「クラレポリオールC−2090」等が挙げられる。
【0021】
上記ポリマーポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールに、アクリロニトリル、スチレン等のラジカル重合性ポリマーをグラフト重合させて得られるグラフトポリマー;ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールに、メチル(メタ)アクリレートをグラフト重合させて得られるアクリルポリオール、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0022】
上記ロジンポリオールとしては、例えば、ロジンと多価アルコールとを反応させて得られるロジンエステル;ロジンとエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ変性ロジン等の水酸基を有する変性ロジンなどが挙げられる。
【0023】
上記ロジンとしては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、レボピマル酸等のピマル酸型樹脂酸、これらを水素添加した水添ロジン、これらを不均化した不均化ロジンなどが挙げられる。
上記ロジンの市販品としては、例えば、荒川化学社製「KE−359」、「SR−200」、「SR−30PX」、「KE−601」、「KE−615−3」、「KE−624改」などが挙げられる。
【0024】
上記多価アルコール成分の炭素数があまり大きくなり過ぎると、ポリエステル樹脂自体の極性が低くなり過ぎるため、他の配合物との相溶性が悪くなる傾向にあり、接着力も低下傾向を示すので、炭素数は15以下であることが好ましい。
また、多価アルコール成分は、官能基数2のジオールに限定されず、製造時に溶融粘度の極端な上昇を引き起こさない限りにおいて、3価以上の多価アルコールとジオール成分とを併用することが可能である。
【0025】
上記ポリエステル樹脂の基本的な性能として、上記構成成分以外に、分子量、酸価、ガラス転移温度(Tg)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の分子量は、必要とされる硬化後の物性や硬化速度等に対応して適宜設定されればよいが、一般的には、数平均分子量で1万以上であることが好ましい。数平均分子量が1万未満であると、粘接着剤層の凝集力が不十分となり十分な接着力を発現できなかったり、粘接着剤が流動し易くなり、コールドフロー等の問題を起こすことがある。
【0026】
上記ポリエステル樹脂の酸価は3mgKOH/g以下であることが好ましい。
酸価が3mgKOH/gを超えると、本発明の光硬化型粘接着剤組成物の貯蔵中に、ポリエステル樹脂末端のカルボン酸と後述するカチオン重合性化合物とが反応を起こして、貯蔵安定性が著しく悪くなることがある。
また、酸価が大きくなると、加水分解反応を起こして、耐湿熱性に悪影響を及ぼすことがある。
【0027】
上記Tgは光硬化型粘接着剤組成物が接着剤として、剥離力が余り要求されない用途に使用される場合は、特に限定されないが、剥離力が加わる接合体の接着剤に使用される場合は、応力緩和性が要求されるため、Tgは室温付近又はそれ以下であることが好ましい。
【0028】
上記ポリエステル樹脂のTgを室温付近又はそれ以下とするためには、通常、脂肪族の酸を用いてTgを下げることが多いが、耐湿熱性の観点から脂環族のカルボン酸であるシクロヘキサンジカルボン酸を使用することが好ましい。
しかし、シクロヘキサンジカルボン酸は、脂肪族の酸より耐湿熱性はよいが、芳香族の酸のみを使用する場合に比べて、耐湿熱性が低下するので、その使用量は全カルボン酸の50mol%以下とすることが好ましい。
【0029】
本発明における光カチオン重合性化合物は、後述する光カチオン重合開始剤によりカチオン重合し得る、分子内に少なくとも1個の光カチオン重合性官能基を有する化合物が用いられる。その構造は、脂肪族、脂環族、芳香族等のいずれであってもよく、その形態は、モノマー状、オリゴマー状、ポリマー状等のいずれであってもよい。
【0030】
上記光カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキタセン基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等が挙げられ、これらの官能基は、分子骨格の末端、側鎖又は分子骨格内のいずれの部位にあってもよい。
【0031】
また、上記光カチオン重合性化合物には、カチオン重合の進行を過度に抑制して、光硬化型粘接着剤組成物の硬化を不完全にするような構造(アミノ基等)を分子中にもたないものが好ましい。
【0032】
上記光カチオン重合性化合物中の光カチオン重合性官能基の数は、本発明の光硬化型粘接着剤組成物に要求される耐熱性を発現するために、1分子当たり1個以上であることが好ましく、より好ましくは2個以上である。
ここで1分子当たりの光カチオン重合性官能基の数は、光カチオン重合性化合物中の光カチオン重合性官能基の総数を、光カチオン重合性化合物中の分子の総数で除算して求められる。
【0033】
また、上記光カチオン重合性化合物の形状は、常温において、液状、半固形状、固形状等のいずれであってもよいが、沸点が200℃以上の、常温で液状又は半固形状であるものが好ましい。
光カチオン重合性化合物が常温で固形であると、得られる光硬化型粘接着剤組成物が、常温で感圧接着性を示さなくなることがある。また、上記沸点が200℃未満であると、得られる光硬化型粘接着剤組成物から光カチオン重合性化合物が揮発して、はんだ耐熱性が低下したり、雰囲気汚染を起こす恐れがある。
【0034】
上記光カチオン重合性化合物の中でも、エポキシ基含有化合物がより好適に用いられる。エポキシ基含有化合物とは、分子中にカチオン重合によって重合可能な少なくとも1個のオキシラン環を有する有機化合物をいう。
【0035】
上記エポキシ基含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
(i)ビスフェノール型エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等。
(ii)ノボラック型エポキシ樹脂
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等。
(iii)芳香族エポキシ樹脂
トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等、並びにこれらの水添化物や臭素化物など。
【0036】
(iv)脂環族エポキシ樹脂
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、商品名「EHPE−3150」(軟化温度71℃、ダイセル化学工業社製)等。
【0037】
(v)脂肪族エポキシ樹脂
1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテルなど。
【0038】
(vi)グリシジルエステル型エポキシ樹脂
フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等並びにこれらの水添化物など。
(vii)グリシジルアミン型エポキシ樹脂
トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体等、並びにこれらの水添化物。
【0039】
上記以外に、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体;エポキシ化ポリブタジエン等のような、共役ジエン化合物を主体とする重合体又はその部分水添物の重合体の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの;エポキシ化SBS等の「ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック」と「共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックまたはその部分水添物の重合体ブロック」とを同一分子内にもつブロック共重合体の、共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの;1分子当たり1個以上(好ましくは2個以上)のエポキシ基を有するポリエステル樹脂;上記各種エポキシ基含有化合物の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入したウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂;上記各種エポキシ基含有化合物にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等、従来公知の各種エポキシ基含有化合物が挙げられる。
【0040】
これらのエポキシ基含有化合物は、単独で用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。
【0041】
上記光カチオン重合性化合物の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。光カチオン重合性化合物の量が、100重量部を超えると被着体に対する接着性が低下する傾向になり、10重量部未満の場合は、カチオン重合による架橋成分の割合が少なくなり、硬化後の耐熱接着性が低下することがある。
【0042】
本発明で用いられる光カチオン重合開始剤は、イオン性光酸発生型又は非イオン性光酸発生型のいずれであってもよい。
イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類などが挙げられる。これらの中で好ましくは、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン塩である。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤〔以下、重合開始剤(I)という〕として有効な芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウニム塩及びメタロセン塩は、例えば、米国特許第4256828号公報、米国特許第5089536号公報、特開平6−306346号公報等に開示されている。
上記重合開始剤(I)を含有させることにより、光硬化型粘接着剤組成物は、波長200〜400nmの光照射により速やかに硬化が進行すると共に、貯蔵安定性にも優れたものとなる。
【0044】
上記重合開始剤(I)のうち、芳香族ヨードニウム塩及び芳香族スルホニウム塩は、紫外領域以外の光ではカチオンを生成しないが、芳香族アミンや着色芳香族多環式炭化水素等の公知の増感剤を併用することにより、近紫外領域や可視領域の光でもカチオンを生成することができる。
またメタロセン塩を用いる場合には、ターシャリーアルコールのオキサレートエステルのような反応促進剤を併用しても良い。
【0045】
上記重合開始剤(I)の具体例としては、例えば、商品名「オプトマーSP−150」「オプトマーSP−170」(以上、旭電化工業社製)、商品名「UVE−1014」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、商品名「CD−1012」(サートマー社製)等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
上記非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤[以下、重合開始剤(II)という]としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、スルホン酸誘導体、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤(II)の具体例としては、例えば、商品名「CGIー1397」(チバ・スペシアルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0047】
上記光カチオン重合開始剤の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。光カチオン重合開始剤の配合量が0.1重量部未満では、カチオン重合が十分に進行しなかったり、硬化が遅くなり過ぎることがある。逆に、配合量が10重量部を超えると、反応速度が速くなりすぎて、被着体を貼り合わせるのが困難となり、UV照射直後に多量のカチオンが発生するため、カチオンによるポリエステル樹脂の分解反応が起こる可能性がある。
【0048】
本発明において、上記光カチオン重合開始剤を活性化するために付与される活性化エネルギーとして光が用いられるが、他に電子線等も使用可能である。
上記光としては、例えば、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線等が挙げられる。これらの中でも、特に取り扱いが簡便であり、比較的高エネルギーを得ることのできる紫外線が好ましく、波長200〜400nmの紫外線がより好ましい。
【0049】
上記紫外線を照射する光源としては、例えば、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光ランプ、アルゴングローランプ、ハロゲンランプ、白熱ランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、フラッシュUVランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、タングステンフィラメントランプ、太陽光等が挙げられる。
【0050】
上記光の照射量は、光硬化型粘接着剤組成物を構成する各成分の種類や量、塗工厚み、光の照射源等によって適宜決定されるが、光カチオン重合開始剤からカチオンを生成するのに有効な波長の照射量を0.01〜100J/cm2 の範囲とすることが望ましい。
【0051】
本発明の光硬化型粘接着剤組成物には、発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、脂肪族水酸基含有化合物、熱可塑性樹脂、密着性向上剤、充填材、補強材、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、揺変剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、脱水剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、防黴剤等が添加されていてもよい。
【0052】
上記脂肪族水酸基含有化合物としては、モノマー状、オリゴマー状、ポリマー状等のいずれの形態であってもよく、脂肪族水酸基は、分子骨格の末端、側鎖、分子骨格内のいずれの部位に存在してもよい。
また、脂肪族水酸基の数は、1分子当たり1個以上であることが好ましく、1分子当たり2個以上であることがより好ましい。ここで1分子当たりの脂肪族水酸基の数は、脂肪族水酸基含有化合物中の脂肪族水酸基の総数を、脂肪族水酸基含有化合物中の分子の総数で除算して求められる。
【0053】
上記脂肪族水酸基含有化合物としては、例えば、ポリヒドロキシアルカン、アルキレングリコール、炭素数2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオール、水酸基末端ポリアルカジエン、本発明のポリエステル樹脂に含まれない水酸基末端ポリエステル、水酸基末端ポリカプロラクトン、水酸基末端ポリカーボネート、アクリルポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の(部分)ケン化物、ポリビニルアルコール、ひまし油、ケトン樹脂、キシレン樹脂、並びに、これらの脂肪族水酸基含有化合物の共重合体や変成物などが挙げらる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記脂肪族水酸基含有化合物の形状は、常温において、液状、半固形状、固形状等のいずれの形状であってもよいが、沸点が200℃以上であり、常温において、液状、半固形状であることが好ましい。脂肪族水酸基含有化合物の沸点が200℃未満であると、得られる硬化型粘接着剤から光カチオン重合性化合物が揮発してしまい、性能低下、雰囲気汚染が起こる恐れがある。
また、脂肪族水酸基含有化合物が常温で固形であると、得られる光硬化型粘接着剤が常温で感圧接着性を示さなくなることがある。常温での硬化を促進したい場合には、脂肪族水酸基含有化合物のガラス転移温度は25℃以下であることが好ましい。
【0055】
上記脂肪族水酸基含有化合物の配合量は、光硬化型粘接着剤組成物の光カチオン重合性官能基の数に対する脂肪族水酸基の数の比が10以下となるような量が好ましい。上記光カチオン重合性官能基の数に対する脂肪族水酸基の数の比が10を超えると、得られる光硬化型粘接着剤の耐熱接着性が不十分となることがある。
【0056】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフィン系樹脂;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のようなブロック共重合体;アクリル系共重合体;ポリカプロラクトン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、石油系樹脂等の粘着付与樹脂;ワックス類など、一般的に用いられている各種熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0057】
上記密着性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等、従来公知の各種密着性向上剤が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、酸化チタン、アスベスト等のような無機充填材;レーヨン、アクリル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース等のような繊維;ガラスバルーン、シラスバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等のような中空状充填材;ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ等のような有機球状体;尿素メラミン樹脂粉末、アクリル樹脂粉末、フェノール樹脂粉末等のような合成樹脂粉末;木粉、果実殻粉等のような天然物粉末、並びにこれらの表面処理物など、従来公知の各種充填材が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
また、本発明の光硬化型粘接着剤組成物に含有される上述の各種成分は、貯蔵時に光カチオン重合性官能基との反応し得るような、例えば、芳香族水酸基や(無水)カルボキシル基等のような官能基を、分子中に持たないものが好ましい。
さらに、上記各種成分は、カチオン重合の進行を過度に抑制して、光硬化型粘接着剤組成物の硬化を阻害するような、例えばアミノ基等のような官能基を分子中に持たないものが好ましい。
【0060】
本発明による光硬化型粘接着剤組成物の製造方法は、特別なものではなく、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール等の混合機を用いて、常温もしくは加温下で、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤の各所定量を混練する方法が挙げられる。
【0061】
尚、上記光硬化型粘接着剤の製造は、光を遮断した状態で行われることが望ましく、各成分の混練は無溶媒で行ってもよく、例えば、芳香族炭化水素、酢酸エステル、ケトン等のような不活性溶媒中で行ってもよい。
【0062】
上記製造の際に、各成分の水分含有量が多くなると、得られる光硬化型粘接着剤組成物に光を照射した後の硬化反応の進行が阻害されることがあるので、必要に応じて、各成分中の水分を予め除去しておくことが好ましい。
水分を除去する方法としては、例えば、モレキュラーシーブ等の混合による脱水、オーブンやヒーター等による加熱脱水、減圧脱水などの方法が挙げられる。また、各成分の混練は、通常、大気圧下で行えばよいが、水分の混入を特に避けたい場合には、減圧雰囲気下もしくは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0063】
上記で得られた光硬化型粘接着剤組成物はそのままの形態で被着体の片面もしくは両面に塗工し、光カチオン重合させて硬化せしめてもよいが、より良好な取り扱い作業性や簡便性を得るためには、予めシート状に加工した光硬化型粘接着シートの形態で使用することが好ましい。
【0064】
上記光硬化型粘接着剤組成物から粘接着シートを加工する方法は、特別なものではなく、例えば、離型処理を施したシート状の支持体上に、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート、フローコート、カレンダーコート、パートコート、スクリーン印刷等の各種塗工方法で、光硬化型粘接着剤組成物を塗工してシート化することにより粘接着シートを得ることができる。
【0065】
上記粘接着シート加工の際に、光硬化型粘接着剤組成物が、固形状もしくは半固形状であったり、液状でも高粘度であって塗工が困難な場合には、例えば、有機溶剤で希釈したり、加熱溶融させて、低粘度化を図ってもよい。
【0066】
上記粘接着シートは、塵埃や異物の付着を防止するために、支持体と反対側の面が剥離性支持体により保護されていてもよい。
この剥離性支持体は、粘接着シートの使用時までは積層されており、粘接着シートの使用時には剥離される。
【0067】
上記支持体や剥離性支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハン等の樹脂フィルム;紙、不織布、織布などの少なくとも片面が、シリコーン系離型剤や長鎖アルキル基ペンダント型ポリマー系離型剤等で、離型処理されたものが挙げられる。
【0068】
また、上記支持体や剥離性支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、6μm以上であることが好ましい。厚みが6μm未満であると強度が低いために、使用時に支持体や剥離性支持体が断裂することがある。
【0069】
こうして得られる粘接着シートの塗工厚みは、特に限定されるものではないが、それ自体の厚みが1〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは5〜1000μmである。粘接着シート自体の厚みが1μm未満であると、接合部材の表面凹凸によって粘接着シートの粘接着性が影響されることがあり、また、逆に粘接着シート自体の厚みが2000μmを超えると、硬化時間が過度に長くなることがある。
【0070】
上記光硬化型粘接着剤組成物を用いる接合方法において、該粘接着組成物に活性化エネルギーを付与する時期は、粘接着剤組成物が塗工されている接合部材との接合前もしくは接合後のいずれであってもよい。
例えば、少なくとも一方の接合部材が光透過性である場合は、光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートを少なくとも一方の接合部材に塗工もしくは貼り付けた後に、他方の接合部材と接合し、上記光透過性の接合部材面から光を照射することにより活性化エネルギーを付与して、光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートを光カチオン重合させ、硬化せしめればよい。
【0071】
この方法の場合、接合工程全体の時間短縮を図るために接合部材同士が接合された後、可及的速やかに活性化エネルギーを付与することが望ましい。
また、接合の際は密着性を向上させるために、加温して接合部材と接合させることも可能である。
【0072】
また、双方の接合部材が光透過性でない場合は、光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートを、少なくとも一方の接合部材に塗工しもしくは貼り付け、次いで、上記粘接着剤組成物もしくは粘接着シート面に光を照射することにより活性化エネルギーを付与した後に、他方の接合部材と接合し、光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートを光カチオン重合させ、硬化せしめればよい。
この方法の場合、一方の接合部材と他方の接合部材との接合を円滑に行うために、活性化エネルギーが付与された後、可及的速やかに好ましくは10分以内に双方の接合部材の接合を行うことが望ましい。
【0073】
上記いずれの方法においても、常温で光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートの光カチオン重合反応による硬化が短時間で進行し、硬化物は優れた接着強度、耐溶剤性、耐熱性、耐水性を発現する。
また、光硬化型粘接着剤組成物もしくは粘接着シートの硬化反応をより促進し、硬化時間をさらに短縮するために、上記光照射による活性化エネルギーの付与と共に加熱等による他の硬化手段が併用されてもよい。
【0074】
(作用)
本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含有しており、常温で感圧性を示すので容易に貼付が可能であり、光を照射することにより光カチオン重合性化合物の硬化反応が進行して架橋構造が形成され、そこにポリエステル樹脂が組み込まれるために、高い接着強度を発現する。
また、光カチオン重合開始剤によって発生した酸は、光カチオン重合性化合物を重合・架橋させる。しかし、余剰の酸はポリエステル樹脂を攻撃する可能性があり、特に光硬化型粘接着剤組成物が高温に曝されたときに、ポリエステル樹脂の分解反応が起こりやすくなる。
【0075】
ポリエステル樹脂の分解は多価アルコールが分子中にエーテル結合を有するものの場合、主にカチオンが触媒作用となってポリエーテルの末端から環化して行き、環状の低沸点化合物(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)を生成する。
しかしながら、本発明で使用するポリエステル樹脂は、反応生成物における全多価アルコール成分中のPTMGの使用比率を14mol%以下とすることにより、ガス発生を抑制することができる。また、ポリエステル樹脂は、反応生成物における全多価アルコール成分中のPEG及びPPG両者の合計割合を70mol%以下とすることにより、ポリエステル樹脂の分解物に由来するガス発生を抑制することができる。
さらに、上記ポリエステル樹脂が、その多価アルコール成分として、上記分子中にエーテル結合を有するものを使用しないことにより、ガス発生を大幅に抑制することができる。
【0076】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
・ポリエステル樹脂の調製
多価カルボン酸成分であるテレフタル酸25mol%及びイソフタル酸25mol%と、多価アルコール成分であるエチレングリコール30mol%、1,6−ヘキサンジオール15mol%及びポリカーボネートポリオール5mol%とを共重合させて、ポリエステル樹脂(数平均分子量:3万)を調製した。
【0078】
上記ポリエステル樹脂80重量部、エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、油化シェルエポキシ社製)20重量部、光カチオン重合開始剤(商品名「オプトマーSP170」、旭電化工業社製)2重量部及びメチルエチルケトン(溶剤)150重量部をホモディスパー型撹拌機に供給し、撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合して、光硬化型粘接着剤組成物を調製した。
【0079】
上記光硬化型粘接着剤組成物を、シリコーン系離型剤で片面に離型処理が施された厚み75μmのポリエステルフィルム(支持体)の離型処理面に、バーコーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように塗工し、乾燥して粘接着シートを形成した後、この粘接着シートの表面に、シリコーン系離型剤で片面に離型処理が施されたポリエステルフィルム(剥離性支持体)の離型処理面を積層して、両面がポリエステルフィルムで保護された粘接着シートを作製した。
【0080】
(実施例2〜5、比較例1,2)
ポリエステル樹脂として、表1に示した成分量の多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分とを共重合させて得られたポリエステル樹脂を使用したこと以外は、実施例1と同様にして粘接着シートを作製した。
【0081】
(比較例3)
ポリエステル樹脂として、東洋紡績社製「バイロン550」(酸成分:セバシン酸、アジピン酸、数平均分子量:5.2万)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして粘接着シートを作製した。
【0082】
【表1】
Figure 2004035771
【0083】
上記実施例及び比較例で得られた粘接着シートについて、下記項目の評価を行い、その結果を表2及び表3に示した。
(1)ガス発生量
上記粘接着シートを約10cm×10cmにカットして一方のポリエステルフィルムを剥離し、剥離した側の粘接着シート面に超高圧水銀灯を用いて、波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2 となるように照射した後、もう一方のポリエステルフィルムを剥離した。これをアルミの容器に入れて150℃で1時間加熱した後、加熱前後の重量変化から重量減少率(%)を算出し、ガス発生量とした。
【0084】
(2)ゲル分率
上記粘接着シートを約5cm×5cmにカットして一方のポリエステルフィルムを剥離し、剥離した側の粘接着シートに超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2 となるように照射した後、オーブン中で110℃で30分間養生した。次いで、もう一方の離型フィルムを剥離して粘接着シートの重量を測定し、酢酸エチルに浸漬して12時間振盪した後、200メッシュ金網を用いて濾過し、金網上に残存した酢酸エチル不溶解物の重量から、下式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=(不溶解物重量/粘接着シート重量)×100
【0085】
(3)耐湿熱性
上記粘接着シートを約2.5cm×5cmにカットし、一方のポリエステルフィルムを剥離しながら、剥離した側に圧延銅板を常温にてラミネートした。
次いで、もう一方の離型フィルムを剥離し、剥離した側の粘接着シート面に、超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2 となるように照射した後すぐに、この粘接着シート面にポリイミドフィルムを常温にてラミネートし積層体を得た。
この積層体をオーブン中に入れ110℃で30分間養生した後、110℃、0.2MPaの飽和水蒸気圧中に暴露し、7日間経過後の積層体を目視観察により、下記の基準で評価した。
○:異常なし、△:若干の剥がれ変形あり、×:粘接着シートが流動した
【0086】
(4)はんだ耐熱性
上記粘接着シートを約2.5cm×5cmにカットし、一方の離型フィルムを剥離しながら、剥離した側に圧延銅板を常温にてラミネートした。
次いで、もう一方の離型フィルムを剥離し、剥離した側の粘接着シート面に、超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2 となるように照射した後すぐに、この粘接着シート面にステンレス箔を常温にてラミネートし積層体を得た。
この積層体をオーブン中に入れ110℃で30分間養生し、23℃、65%RHの雰囲気で1日間放置した後、220℃に温度設定したはんだ浴に銅板が下側になるよう置き、発泡するまでの時間を測定し、下記の基準で評価した。
○:10秒以上、△:3秒以上〜10秒未満、×:3秒未満
【0087】
(5)ポリエステル樹脂のNMR分析
ポリエステル樹脂を重クロロホルム溶液に溶解させ、 1H−NMR及び13C−NMRスペクトルの強度比により、多価カルボン酸成分と多価アルコーる成分とを同定し、全多価アルコーる成分中に占めるPTMGのmol%と、PPG及びPEGの合計のmol%を求めた。
【0088】
【表2】
Figure 2004035771
【0089】
【表3】
Figure 2004035771
【0090】
比較例1は、ポリエステル樹脂の構成単位であるPTMGの含有量が多いため、PTMGの分解によりガス発生量が多く、はんだ耐熱性も非常に悪い。
比較例2では、PPGの含有量が多いため、ガス発生量が多く、はんだ耐熱性も悪い。また、比較例3では、鎖状脂肪族カルボン酸を使っているので、耐湿熱性が悪く、ゲル分率が低いためはんだ耐熱性が悪い。
【0091】
【発明の効果】
本発明の光硬化型粘接着剤組成物及び粘接着シートは、上述の構成であり、耐湿熱性及びはんだ耐熱性に優れ、ガス発生量も少ないので、電子材料を固定するための粘接着シートとして好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、全多価アルコール成分に対するポリテトラメチレングリコールの割合が14mol%以下であることを特徴とする光硬化型粘接着剤組成物。
  2. ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、全多価アルコール成分に対するポリテトラメチレングリコール及びポリプロピレングリコール両者の合計割合が70mol%以下であることを特徴とする光硬化型粘接着剤組成物。
  3. ポリエステル樹脂、光カチオン重合性化合物及び光カチオン性重合開始剤からなる光硬化型粘接着剤組成物であって、該ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなり、多価アルコール成分として、分子中に一般式(1)で表されるエーテル結合をもつ多価アルコール成分が使用されていないことを特徴とする光硬化型粘接着剤組成物。
    Figure 2004035771
    (式中、R1 、R2 はともに2価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、nは2以上の整数を示す)
  4. 多価カルボン酸成分が、少なくとも芳香族カルボン酸成分又は脂環族カルボン酸成分を含み、鎖状脂肪族カルボン酸成分を含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化型粘接着剤組成物からなることを特徴とする粘接着シート。
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