JP2004035652A - エンジン油 - Google Patents

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三浦 正年
Hideki Nakamura
中村 英記
Kenji Yamada
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Abstract

【課題】低灰分、優れた清浄性、酸化安定性、耐摩耗性を有するエンジン油を提供する。
【解決手段】基油に、〔1〕(A)全塩基価が30〜95mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートをCa濃度換算で300〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.4〜1.3質量%であるか、〔2〕(B)全塩基価が95mgKOH/gを超え300mgKOH/g以下の塩基性カルシウムサリシレートをCa濃度換算で1600〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低硫酸灰分量であるのみならず、優れた清浄性、酸化安定性、耐摩耗性をも有するエンジン油に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼル車両は、一段と厳しくなるディーゼル排気ガス規制に対応するため、燃焼性の改善はもとより、排気ガス後処理装置の開発が進められている。中でも、ディーゼル排出ガス中のパティキュレート(以下、PMと略す)の浄化に有効とされているディーゼルパティキュレートフィルター(以下、DPFと略す)は、実用化の段階にまで開発が進んできている。
【0003】
このような新規技術の導入は、ディーゼルエンジン油の要求性能に大きな影響を与えている。
例えば、ディーゼルエンジン油に由来する灰分がDPFに蓄積し、PMの浄化率低下やDPFの寿命低下を引き起こすことが知られており、ディーゼルエンジン油の硫酸灰分の低減すなわち低灰分化が必要とされている。
この低灰分化には、エンジン清浄性に寄与する金属型清浄剤や、耐摩耗性に寄与するジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)などの、金属分を含む添加剤配合量の低減が必須である。
しかし、従来油から単に金属分を低減すると、エンジン清浄性、耐摩耗性、酸化安定性といったエンジン油としての重要性能が低下する。
【0004】
低灰分化に伴う性能低下を防ぐエンジン油として、特開平8−253782号公報において、ホウ素含有無灰型分散剤のホウ素含有量と、金属型清浄剤の金属量を特定の比率にしたものが提案されており、この公報には、耐コーキング性と酸化安定性に優れた低灰分エンジン油となるとある。
また、特開平9−111275号公報に、ZnDTPを特定量、特定の全塩基価をもつ金属型清浄剤を特定量、特定分子量のホウ素含有無灰型分散剤を特定量で配合したものが提案されており、この公報では、JASO清浄性試験(JASO M 336−90)で優れた清浄性を発現する低リン低灰分のディーゼルエンジン油となるとある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のようなエンジン油の実情の下で、大型トラックなどのヘビーデューティ向けエンジン油と、小型トラックなどのライトデューティ向けエンジン油とに分け、それぞれのエンジン油において、使用する成分種を厳選し、かつ配合する成分種を極力減らし、さらなる低灰分化を図ると共に、清浄性、酸化安定性、耐摩耗性にも優れたエンジン油を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジン油は、上記目的を達成するために、鉱油系潤滑油の少なくとも1種を単独で、または合成系潤滑油の少なくとも1種を単独で、あるいは鉱油系潤滑油の少なくとも1種と合成系潤滑油の少なくとも1種を併用してなる基油に、
〔1〕(A)全塩基価が30〜95mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で300〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.4〜1.3質量%であることを特徴とするか、
〔2〕(B)全塩基価が95mgKOH/gを超え300mgKOH/g以下の塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で1600〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%であることを特徴とする。
また、本発明では、〔3〕上記〔2〕のエンジン油に、上記成分(A)を併用してもよく、この場合の成分(A)の配合割合は、成分(B)と成分(A)の総量中、カルシウム濃度換算比で20〜80質量%を占めるように含み、この場合の硫酸灰分量は〔2〕と同様の0.8〜1.3質量%であることを特徴とする。
ここで、成分(A),(B)における塩基価は、過塩素酸法(JIS−K−2501−7)によって測定される塩基価を意味し、また硫酸灰分量は、JIS−K−2272(1998)の試験方法によって測定される灰分量を意味する。
【0007】
上記〔1〕のエンジン油は、成分(A)の配合割合が、カルシウム濃度換算で300〜3000質量ppm、好ましくは350〜1800質量ppm、さらに好ましくは400〜1600質量ppmである。
上記〔2〕のエンジン油は、成分(B)の配合割合が、カルシウム濃度換算で1600〜3000質量ppm、好ましくは1650〜2500質量ppm、さらに好ましくは1700〜2400質量ppmである。
〔1〕、〔2〕のエンジン油共、上記成分の配合割合が少な過ぎると清浄性や塩基価保持性が悪くなり、逆に多過ぎると硫酸灰分が却って増加する。
また、上記〔3〕のエンジン油は、成分(A)の配合割合が、成分(B)と成分(A)の総量中、カルシウム濃度換算比で20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%を占めるようにする。20質量%未満では成分(A)を併用する技術的意義が発現せず、80質量%を超えると相対的に成分(B)量が少なくなりすぎて、後述するヘビーデューティ用のエンジン油としての性能に欠ける。
【0008】
また、上記〔1〕のエンジン油における硫酸灰分量は、0.4〜1.3質量%、好ましくは0.4〜1.25質量%、より好ましくは0.45〜1.2質量%である。
〔2〕,〔3〕のエンジン油における硫酸灰分量は、0.8〜1.3質量%、好ましくは0.85〜1.25質量%、さらに好ましくは0.9〜1.2質量%である。
硫酸灰分量が少ない場合、清浄性や塩基価保持性が低下し好ましくない。逆に多すぎると本発明が企図する低灰分化が達成できない。
【0009】
上記〔1〕のエンジン油のうち、成分(A)をカルシウム濃度換算で300〜2000質量ppm、好ましくは350〜1800質量ppm、より好ましくは400〜1600質量ppm含み、硫酸灰分が0.4〜0.8質量%、好ましくは0.4〜0.7質量%、より好ましくは0.45〜0.60質量%の場合は、ライトデューティ向けとして好適であり、成分(A)をカルシウム濃度換算で1600〜3000質量ppm、好ましくは1650〜2500質量ppm、より好ましくは1700〜2400質量ppm含み、硫酸灰分が0.8質量%を超え1.3質量%以下、好ましくは0.85〜1.25質量%、より好ましくは0.9〜1.2質量%の場合は、ヘビーデューティ向けとして好適であり、上記〔2〕と〔3〕のエンジン油はヘビーデューティ向けとして好適である。
すなわち、大型トラックなどのヘビーデューティ向けエンジン油は、小型トラックなどのライトデューティ向けエンジン油よりも、過酷な条件下に置かれるため、オイル寿命や耐熱性等の実用性能を向上させる必要がある。そのため、ヘビーデューティ用では、ライトデューティ用よりも、カルシウムサリシレート等の清浄剤など灰分を多く含む添加剤の使用量が多くなり、結果として硫酸灰分量も多くなる。
また、ヘビーデューティ用の〔2〕と〔3〕のエンジン油のうち、成分(B)と成分(A)を併用する〔3〕のエンジン油が、清浄性などのエンジン性能の点から、成分(B)単独使用の〔2〕のエンジン油よりも好ましい。
【0010】
さらに、本発明のエンジン油では、〔4〕上記〔1〕〜〔3〕の何れかのエンジン油に、(C)炭素数3のセカンダリータイプのアルキル基を分子中に少なくとも1つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の少なくとも1種をリン濃度換算で300〜1200質量ppmを単独で、または(D)平均分子量800〜2600のポリブテニル基を有するビスタイプのホウ素含有コハク酸イミドの少なくとも1種を窒素濃度換算で200〜2500質量ppmを単独で、あるいは(C)成分と(D)成分とを上記割合で含むことを特徴とする。
そして、上記〔1〕〜〔4〕の本発明のエンジン油は、ディーゼルパティキュレートフィルターを装備したディーゼルエンジンに使用することを特徴とする。
【0011】
成分(A)の塩基性カルシウムサリシレートの塩基価は、30〜95mgKOH/g、好ましくは40〜80mgKOH/g、より好ましくは50〜70mgKOH/gである。
成分(A)は、塩基価が30mgKOH/g未満のものでは、〔1〕のエンジン油において十分な高温清浄性や酸化安定性を得るためには、成分(A)の添加量を多くする必要が生じてコスト高となり、95mgKOH/gを超えるものでは、高温清浄性や酸化安定性が却って低下する。
【0012】
成分(B)の塩基性カルシウムサリシレートの塩基価は、95mgKOH/gを超え300mgKOH/g以下、好ましくは100〜260mgKOH/g、より好ましくは150〜200mgKOH/gである。
成分(B)は、塩基価が95mgKOH/g以下のものでは、〔2〕のエンジン油において十分な高温清浄性や酸化安定性を得るためには、成分(B)の添加量を多くする必要が生じてコスト高となり、300mgKOH/gを超えるものでは、高温清浄性や酸化安定性が却って低下する。
【0013】
成分(A),(B)の塩基性カルシウムサリシレートは、炭素数10〜24のα−オレフィンでフェノールをアルキル化し、次いでコルベ−シュミット反応でカルボキシル基を導入した後、複分解などによりカルシウム塩としたものが使用される(イギリス特許第734,598号公報、イギリス特許第734,622号公報など参照)。
さらに、成分(A),(B)のカルシウムサリシレートは、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明では、上記のように低塩基価の塩基性カルシウムサリシレートを用いることが特徴であり、同等の塩基価であっても塩基性カルシウムサリシレートの替わりに塩基性スルホネートや塩基性フェネートを用いた場合には、本発明のような清浄性・酸化安定性に優れたエンジン油を得ることができない。
【0015】
〔1〕〜〔3〕のエンジンに配合してもよい成分(C)である炭素数3のセカンダリータイプのアルキル基を分子中に少なくとも1つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛は、次の一般式(1)で表される。
【0016】
【化1】
Figure 2004035652
【0017】
式(1)中、R1〜R4のアルキル基のうち少なくとも1つは、セカンダリータイプの炭素数3のアルキル基を示す。R1〜R4は同一でも異なってもよい。
異なる場合の残りのアルキル基は炭素数4〜12のプライマリータイプであり、好ましくはプライマリータイプの炭素数4〜8のアルキル基、さらに好ましくはプライマリータイプの炭素数4〜6のアルキル基である。
【0018】
上記成分(C)の配合量は、リン濃度換算で300〜1200質量ppm、好ましくは400〜1100質量ppm、さらに好ましくは450〜1000質量ppmである。
添加量が少ないと優れた耐摩耗性効果が得られず、多すぎると添加量に見合った耐摩耗性効果が得られないばかりか、硫酸灰分が増加する。
なお、上記成分(C)に替えて他のジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いても、本発明のような高温清浄性、酸化安定性、特に耐摩耗性に優れたエンジン油を得ることができない(参考例参照)。
【0019】
上記の成分(C)と共に、あるいは成分(C)に代えて配合してもよい成分(D)は、下記の一般式(2)で表されるビスタイプのコハク酸イミドをホウ素化合物で処理したものなどを挙げることができる。
このホウ素化合物として用いられる化合物は、ホウ酸、ホウ酸無水物、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ酸アミド、酸化ホウ素などが挙げられる。
一般式(2)において、R1、R2は平均分子量800〜2600、好ましくは900〜2550、さらに好ましくは1200〜2500のポリブテニル基、R3は炭素数2〜5のアルキレン基、Xは1〜10の整数である。
一般式(2)におけるR1とR2は同一であってもよく異なってもよい。
また、上記成分(D)の配合割合の合計は、窒素濃度換算で200〜2500質量ppm、好ましくは250〜2300質量ppm、さらに好ましくは300〜2100質量ppmである。
配合割合が少な過ぎると清浄性や耐熱性が悪くなり、逆に多過ぎると硫酸灰分が増加する。
なお、上記成分(D)に替えて他のコハク酸イミドを用いても、本発明のような高温清浄性、耐熱性、耐摩耗性に優れたエンジン油を得ることができない(参考例参照)。
【0020】
【化2】
Figure 2004035652
【0021】
本発明では、上記の各成分を鉱油系潤滑油または合成系潤滑油あるいは両者の混合物からなる基油に配合する。
これらの基油の40℃での動粘度(JIS−K−2283−5)は、特に限定しないが、通常は、10〜250mm/sであればよく、好ましくは15〜150mm/sであり、特に好ましくは20〜100mm/sである。
また、これらの基油の粘度指数(JIS−K−2283−6)は、50〜200であればよく、好ましくは80〜160である。
【0022】
鉱油系潤滑油は、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製などの精製手法を適宜組み合わせて精製したものが用いられる。
合成系潤滑油は、例えば、炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、ジオクチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエステル類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエステルを始めとするポリオールエステル類、炭素数9〜40のアルキル基を有するアルキルベンゼン類などが用いられる。
上記鉱油系潤滑油、合成系潤滑油は、それぞれ1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
本発明のエンジン油では、本発明の目的が損なわれない範囲で、上記成分の他に、必要に応じて各種公知の添加剤、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなど他の無灰型分散剤、リン系、硫黄系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;モリブテンジチオホスフェート、モリブテンジチオカルバメート、長鎖脂肪族アミン、長鎖脂肪族酸、長鎖脂肪族酸エステル、長鎖脂肪族アルコールなどの摩擦調整剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などの極圧剤;ステアリン酸を始めとするカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステル、リン酸エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤;シリコーン油などの各種消泡剤などを1種単独で、または2種以上組み合わせて適宜配合することができる。
【0024】
本発明のエンジン油の調製方法は、基油、上記の成分(A)〜(D)、必要に応じて添加する上記の各種添加剤を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではなく、基油に成分(A)〜(D)を順次混合してもよく、成分(A)〜(D)を予め混合したものを基油に混合してもよい。
また、上記の各種添加剤も、基油に添加してもよいし、成分(A)〜(D)に添加してもよい。
【0025】
【実施例】
下記の基油、成分(A)〜(D)、各種添加剤を表1〜表9に示す割合で配合しエンジン油を調製した。なお、下記各成分名の末尾のカッコ内は、表1〜9で用いた各成分の略称を示している。
これらのエンジン油の粘度グレードは全てAPI 10W−30グレードである。
なお、表1〜9中の基油の割合「バランス」とは、当該エンジン油に配合されている全成分の合計量が100質量%になるように基油の量を設定したことを意味する。
【0026】
1.基油
40℃の動粘度が25〜35mm/s、100℃の動粘度が5.0〜7.0mm/s、粘度指数が100〜150の鉱油系潤滑油基油を使用した。
2.カルシウムサリシレート1(CaSa1)
塩基価60mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は2.2質量%であった。
3.カルシウムサリシレート2(CaSa2)
塩基価170mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は5.8質量%であった。
4.カルシウムサリシレート3(CaSa3)
比較のために、塩基価310mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は11.4質量%であった。
5.カルシウムスルホネート1(CaSu1)
比較のために、塩基価30mgKOH/gのカルシウムスルホネートを使用した。カルシウム含有量は2.9質量%であった。
6.カルシウムスルホネート2(CaSu2)
比較のために、塩基価300mgKOH/gのカルシウムスルホネートを使用した。カルシウム含有量は11.1質量%であった。
7.カルシウムフェネート1(CaPh1)
比較のために、塩基価260mgKOH/gのカルシウムフェネートを使用した。カルシウム含有量は8.7質量%であった。
8.ジアルキルジチオリン酸亜鉛1(ZnTP1)
分子中炭素数が3のセカンダリータイプのアルキル基と、分子中炭素数4と5のプライマリータイプのアルキル基とを有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
9.ジアルキルジチオリン酸亜鉛2(ZnTP2)
比較のために、分子中炭素数が3と6のセカンダリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
10.ジアルキルジチオリン酸亜鉛3(ZnTP3)
比較のために、分子中炭素数が8のプライマリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
11.ホウ素含有コハク酸イミド(a)(BSIa)
平均分子量2400のポリブテニル基を有するビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドをホウ素化合物で処理したものを使用した。窒素含有量は1.4質量%であった。
12.ホウ素含有コハク酸イミド(b)(BSIb)
平均分子量1300のポリブテニル基を有するビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドをホウ素化合物で処理したものを使用した。窒素含有量は1.8質量%であった。
13.コハク酸イミド(SI)
比較のために、平均分子量1300のポリブテニル基を有するビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドを使用した。窒素含有量は1.8質量%であった。
14.他の各種添加剤(添加剤)
公知の酸化防止剤、粘度指数向上剤、分散剤、極圧剤などを適宜配合したものでを使用した。表1〜9には、その合計配合量で示した。
【0027】
硫酸灰分量
実施例、比較例のディーゼルエンジン油を測定した値である。
【0028】
評価試験
(1)ホットチューブ試験(HT試験)
JPI−5S−55−99に規定されるホットチューブ試験方法に準拠して評価を行った。なお、試験温度は290℃とし、ガラス管内に付着したラッカーを色見本と比較して、無色透明の場合を10点、黒色を0点として評点を付けた。評点が高いほど高温清浄性に優れることを示す。
(2)酸化安定性試験
JIS K−2514に規定される内燃機関用潤滑油酸化安定度試験方法に準拠して評価した。試験条件は165.5℃、96時間とした。この条件での試験後油の残存塩基価を塩酸法(JIS−K−2501−6)で測定した。試験後油の残存塩基価が大きいほど、酸化安定性に優れることを示す。
(3)耐摩耗性試験
ASTM D417−82に規定されるシェル高速四球摩耗試験方法に準拠して評価した。試験条件は、室温、1800rpm、1minとし、初期焼き付き荷重によって評価した。初期焼き付き荷重が高いほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(4)実機による清浄性試験
JASO M336−98に規定されるJASO清浄性エンジン試験方法に準拠して評価した。使用燃料はJIS 2号軽油(硫黄分460質量ppm)であった。なお、本試験はディーゼルエンジン油のJASO規格であるDH−1の規格試験であり、清浄性を表すTGF(%)が60(%)以下が規格値である。値が小さいほど清浄性能に優れることを示す。
(5)実機による耐摩耗性試験
JASO M354−99に規定されるJASO動弁摩耗エンジン試験方法に準拠して評価した。使用燃料はJIS 2号軽油(硫黄分460質量ppm)であった。なお、本試験もディーゼルエンジン油のJASO規格であるDH−1の規格試験であり、耐摩耗性を表すカム軸の軸径変化(μm)が95(μm)以下が規格値である。値が小さいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
【0029】
実施例1〜5、比較例1〜13
表1〜3に、実施例1〜5、比較例1〜13のホットチューブ試験結果と酸化安定性試験結果を示す。
なお、表1は硫酸灰分量0.48質量%に調整した実施例と比較例を示し、表2、表3はそれぞれ硫酸灰分量0.78質量%、1.00質量%に調整した実施例と比較例を示した。
表1〜3から明らかなように、実施例1〜5のエンジン油は、同一硫酸灰分量における比較例のエンジン油に比べ良好であることが分かる。言い換えれば、本発明のエンジン油は、高温清浄性と酸化安定性ともに優れており、これらの効果は、特定の全塩基価をもつカルシウムサリシレートを特定の割合で配合することにより、初めて実現できるものである。
【0030】
【表1】
(Ca換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0031】
【表2】
(Ca換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0032】
【表3】
(Ca換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0033】
実施例6〜12、比較例14〜15、参考例1〜6
表4〜6に、実施例6〜12、比較例14〜18、参考例1〜6のホットチューブ試験結果、酸化安定性試験結果、耐摩耗性試験結果を示す。
なお、表4は硫酸灰分量0.48質量%に調整した実施例と比較例と参考例を示し、表5、表6はそれぞれ、硫酸灰分量0.78質量%、1.00質量%に調整した実施例と比較例と参考例を示した。
表4〜6から明らかなように、本発明のエンジン油は、同一硫酸灰分量における成分(C)含まない比較例や成分(C)以外のジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む参考例と比べ良好であり、特に耐摩耗性試験結果において優れていることが分かる。言い換えれば、本発明のエンジン油は、高温清浄性、酸化安定性、特に耐摩耗性に優れており、これらの効果は、特定の全塩基価をもつカルシウムサリシレートを特定の割合と、特定のアルキル基をもつジアルキルジチオリン酸亜鉛を特定量配合することにより、初めて実現できるものである。
【0034】
【表4】
(Ca,P換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0035】
【表5】
(Ca,P換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0036】
【表6】
(Ca,P換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0037】
実施例13〜20、比較例16〜22、参考例7〜8
表7〜9に、実施例13〜20、比較例19〜25、参考例7〜8の実機による清浄性試験結果、耐摩耗性試験結果を示す。
なお、表7は硫酸灰分量0.45〜0.48質量%に調整した実施例と比較例と参考例を示し、表8、表9はそれぞれ硫酸灰分量0.75〜0.78質量%、1.00質量%に調整した実施例と比較例と参考例を示した。
表8,9から明らかなように、本発明のエンジン油は、同一硫酸灰分量における成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)のいずれか1種以上を含まない比較例、成分(C)以外のジアルキルジチオリン酸亜鉛や成分(D)以外の他のコハク酸イミドを含む参考例と比べて、実機エンジン試験において、優れた清浄性と耐摩耗性を兼ね備えており、ディーゼルエンジン油のJASO規格であるDH−1の規格基準を合格していることが分かる。言い換えれば、本発明のエンジン油は、清浄性、耐摩耗性に優れており、これらの効果は、特定の全塩基価をもつカルシウムサリシレート、特定のアルキル基をもつジアルキルジチオリン酸亜鉛、特定のホウ素含有コハク酸イミド系分散剤を特定量配合することにより、初めて実現できるものである。
【0038】
【表7】
(Ca,P,N換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0039】
【表8】
(Ca,P,N換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0040】
【表9】
(Ca,P,N換算質量ppm)
Figure 2004035652
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、低灰分であって、優れた清浄性、酸化安定性、耐摩耗性を有するエンジン油を提供することができる。
このように、実用上極めて有効な本発明のエンジン油は、特にディーゼルパティキュレートフィルターを装備したディーゼルエンジンに好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 鉱油系潤滑油、合成系潤滑油の何れか1種以上からなる基油に、(A)全塩基価が30〜95mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で300〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.4〜1.3質量%であることを特徴とするエンジン油。
  2. さらに、(C)炭素数3のセカンダリータイプのアルキル基を分子中に少なくとも1つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン濃度換算で300〜1200質量ppm、(D)平均分子量800〜2600のポリブテニル基を有するビスタイプのホウ素含有コハク酸イミドを窒素濃度換算で200〜2500質量ppmの何れか1種以上を含んでなる請求項1記載のエンジン油。
  3. 鉱油系潤滑油、合成系潤滑油の何れか1種以上からなる基油に、(B)全塩基価が95mgKOH/gを超え300mgKOH/g以下の塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で1600〜3000質量ppm含み、硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%以下であることを特徴とするエンジン油。
  4. さらに、(A)全塩基価が30〜95mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算比で20〜80質量%、(C)炭素数3のセカンダリータイプのアルキル基を分子中に少なくとも1つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン濃度換算で300〜1200質量ppm、(D)平均分子量800〜2600のポリブテニル基を有するビスタイプのホウ素含有コハク酸イミドを窒素濃度換算で200〜2500質量ppmの何れか1種以上を含んでなる請求項3に記載のエンジン油。
  5. ディーゼルパティキュレートフィルターを装備したディーゼルエンジンに使用することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のエンジン油。
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