JP2004031876A - 透光性電磁波シールド部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材とその製造法を提供すること。
【解決手段】透明基材の片面に感光性レジスト層を設ける工程と、フォトリソグラフ法により網目状のマスクを用いて露光・現像し導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層を除去して断面凹状のパターンを形成する工程と、該パターン全面に導電性インクを塗工して断面凹状に導電性インクを充填する工程と、残存する凸状感光性レジスト層を除去して網目状の導電性パターンを得る工程及び導電性パターンの焼成工程とからなる製造法。
網目状の導電性パターンが、線幅5〜30μm、平均膜厚0.5〜5.0μm、開口率72〜95%の範囲内にあり、10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の電磁波シールド効果を有する透光性電磁波シールド部材。
【選択図】 図1
【解決手段】透明基材の片面に感光性レジスト層を設ける工程と、フォトリソグラフ法により網目状のマスクを用いて露光・現像し導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層を除去して断面凹状のパターンを形成する工程と、該パターン全面に導電性インクを塗工して断面凹状に導電性インクを充填する工程と、残存する凸状感光性レジスト層を除去して網目状の導電性パターンを得る工程及び導電性パターンの焼成工程とからなる製造法。
網目状の導電性パターンが、線幅5〜30μm、平均膜厚0.5〜5.0μm、開口率72〜95%の範囲内にあり、10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の電磁波シールド効果を有する透光性電磁波シールド部材。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特にプラズマディスプレイパネル(以下PDPと称す)の前面に設置し、表示画面から照射される電磁波を効果的に遮蔽することができ、しかも上記表示画面における表示の透視性に優れた透光性電磁波シールド部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電現像を利用したPDPは、液晶ディスプレイ(LCI)やブラウン管(CRT)に比べて、▲1▼放電光利用であり自発光である、▲2▼0.1〜0.3mmの放電ギャップであるのでパネル型にできる、▲3▼螢光体を利用してカラー発光化できる、▲4▼大画面パネルが作り易い、など様々な利点を有することから、近年、テレビやパソコン、ワープロ等のOA機器、交通機器、看板、その他の表示板等の表示パネルとして研究開発及び実用化が進められている。
【0003】
PDPの基本的な表示機構は、2枚のガラス板間に隔成した多数の放電セル内の螢光体を選択的に放電発光させることで文字や図形を表示するものである。
PDPの前面からは、不要電磁波輻射量が大きく、電圧印加、放電、発光により、周波数:数kHz〜数GHz程度の電磁波が発生するため、これを遮蔽する必要がある。また、表示コントラスト向上のためには、前面における外部光の反射を防止する必要がある。
【0004】
このため、従来においては、PDPからの電磁波等を遮蔽するために、電磁波シールド層付透明板をPDPの前面に設置したものが知られていた。例えば(1)導電性の高い金属フィラメントを混入した繊維からなるメッシュ、(2)ステンレス、タングステン等の導電性材料の繊維を内部に埋め込んだ透明基板(特開平3−35284号公報、特開平5−269912号公報、特開平5−327274号公報)、(3)表面に金属または金属酸化物の蒸着膜を形成した透明基板(特開平1−278800号公報、特開平5−323101号公報)などが挙げられる。
【0005】
しかし、上記のうち(1)のメッシュを用いると表示画面が暗くなって、コントラストや解像度が低下するという問題がある。また(2)の透明部材は内部に繊維が埋め込まれていることから、製造方法が複雑になってコストが高くつく上、やはり表示画面が暗くなって、コントラストや解像度が低下するという問題がある。さらに(3)の場合には、充分な透光性を維持し得る程度にまで蒸着膜を薄くすると、当該膜の表面抵抗が低下して電磁波の減衰特性が低下することから、透光性とシールド効果とを両立できないという問題がある。
【0006】
CRT等の表示画面を覆って電磁波をシールドする部材としては、上記例示の他にも例えば、透明基板の表面に、導電性の高い金属粉末を混合したインキを、スクリーン印刷法によって格子状または縞状のパターンに印刷形成したもの(特開昭62−57297号公報、特開平9−283977号公報)や、導電性インキからなる網目状のパターンを、スクリーン印刷法によって印刷形成したのち真空中で焼き付けたもの(特開平2−52499号公報)、あるいは紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂に金属粉末を混合したインキを、印刷法は不明であるが透明基板の表面に格子状に印刷形成したのち紫外線を照射して硬化したもの(特公平2−48159号公報)などが知られているが、これらの部材を用いても、充分な電磁波のシールド効果と透光性とを両立することはできない。
【0007】
すなわち、優れた電磁波のシールド効果と透光性とを両立するには、パターンの線幅とパターンの間隙(ピッチ)とを最適化し、さらにパターンの電気抵抗を小さくする必要があるが、このような観点に対する考慮は、上記各公報のいずれに記載の技術においてもなされておらず、またパターンの作成方法に対する考慮も不充分であると考えられる。例えば充分な透光性を得るには、パターンの線幅を極めて細くし、かつその間隔を大きくするのが好ましいが、この場合には電磁波シールド効果が不充分になる。なお、電磁波シールド効果は、入射した電磁波に対するシールド材を透過したエネルギーの比の対数である減衰のデシベル(dB)で表され、減衰が大きいほどシールド効果は良いとされている。
【0008】
また、スクリーン印刷法の場合には細い線幅のパターンを形成するのは困難でパターンの線幅にばらつきが生じたり、パターンが途切れる箇所が多数発生したりするといった問題が生じ易い。特に数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成するのは困難である。上記した特公平2−48159号公報に記載のものについても、その実施例ではパターンの線幅が100μmとなっていることから、やはりスクリーン印刷法等の従来法にて印刷を行っているものと推測され、数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成するのは困難であって、上記のようにパターンの線幅にばらつきが生じたり、パターンが途切れる箇所が多数発生したりするといった問題がある。
【0009】
特開平3−35284号公報には、透明プラスチック基板の表面に、金属薄膜を蒸着等によって形成した後、ケミカルエッチングプロセスによってパターニングする旨の記載があり、また特開平10−41682号公報には、金属薄膜からなる幾何学模様を、これもケミカルエッチングプロセスによって透明基板の表面に設ける旨の記載がある。また同様に特開平10−163673号公報には、透明基板の表面にメッキ触媒を含む透明樹脂塗膜を形成し、その上に無電解めっきによって銅などの金属薄膜を形成したのち、やはりケミカルエッチングプロセスによってパターニングする旨の記載がある。
【0010】
【発明が解決すべき課題】
これらの方法によれば、非常に微細なパターンを高い精度でもって形成することができる上、特にPDP用途で要求される厳しい電磁波シ−ルド性能を達成することもできる。しかしながらこれらケミカルエッチングプロセスにおいては、微細なパターンを形成するためにフォトリソグラフ法を用いる必要もあり、工程のプロセス面で歩留まりや製造コストが極めて高くつくため、コスト面で不利である。かかる現状から本発明の課題は、製造コストを極力抑えて、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、フォトリソグラフ法を利用して導電性パターンの細線形成を達成する本発明を完成させた。
すなわち、本発明の請求項1に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、シート状または板状の透明基材の片面に感光性レジスト層を設ける工程と、フォトリソグラフ法により網目状のマスクを用いて露光・現像し導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層を除去して断面凹状のパターンを形成する工程と、該パターン全面に導電性インクを塗工することにより断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程と、残存する凸状感光性レジスト層をその上面に塗工された導電性インクとともに除去して網目状の導電性パターンを得る工程及び導電性パターンの焼成工程とからなることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項2に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、前記断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程の後に、100〜130℃の温度で熱処理することを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項3に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、請求項1または2に記載の製造方法で得られた導電性パターンを構成する導電性材料として銀を含むものであることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項4に記載の発明の透光性電磁波シールド部材は、導電性パターンが、線幅5〜30μm、平均膜厚0.5〜5.0μm、開口率72〜95%の範囲内にあり、10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の電磁波シールド効果を有するものであることを特徴としている。
【0015】
本発明の作用としては、特に網目状のマスクを使用するフォトリソグラフ法による断面凹状パターンの形成と断面凹状パターンへの導電性インクの塗布充填、更に充填インクの熱処理による収縮硬化等によって、始めに用意した網目状のマスクの線幅よりも小さい線幅でしかも金属粒子が高密度に充填された膜厚の導電性パターンが容易に形成される。従って導電性パターンにばらつきが生じたり、パターンが途切れる等の問題が解決されることから、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
図1は透明基材の片面に正方形の網目状に導電性パターンが形成された本発明の透光性電磁波シールド部材の部分平面図である。図2(a)〜(e)は透明基材の片面上に導電性パターンを形成させる本発明の製造工程を模式的に示す断面図である。ここで本発明で利用するフォトリソグラフ法は、基材面に塗布したレジスト(感光性高分子材料の皮膜)にマスクを用いて露光・現像することでフォトレジスト画像を形成させる写真の画像形成技術である。
【0017】
先ず図2(a)は、シート状または板状の透明基材1の片面に所定の厚みで感光性レジスト層2を設けた後で、網目状のマスクを密着させてフォトリソグラフ法で露光し現像(液処理)により、導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層が除去された断面凹状のパターン3が形成された状態を示す。
【0018】
ここで板状の透明基材1としては、可視光線に対する充分な透光性を有するソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラスなどのガラス製の基材が挙げられる。電磁波シールド部材の透光性を維持するという観点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、設定される。
また透明基材の片面に設けられる感光性レジスト層2は、公知のネガ型又はポジ型のウェットレジスト、ドライレジスト、またリフトオフ用フォトレジスト等の中から選択して使用できる。
【0019】
ここで露光による光照射によって現像液に溶け難くなるのはネガ型、逆に溶け易くなるのはポジ型であり、その特性を利用し用途に応じて選択使用することができる。図2(a)でネガ型レジストを使用し網目を開口させたマスクを使用した場合、露光により光照射された網目のレジスト層部分は現像液に溶け難いため現像で凸状として残留するが、光照射されなかった網目枠部分のレジスト層は現像液で除去されて断面凹状溝3のパターンが形成される。なお感光性レジスト層2の膜厚は、後工程での断面凹状溝3のパターンへの導電性インク4が熱処理による溶剤蒸発によって収縮し導電性パターンの厚みが減少することを考えて、10〜30μm、特に15〜25μmであるのが好ましい。
【0020】
かかるフォトリソグラフ法により、感光性レジスト層2に断面凹状溝3のパターンを形成するマスクは、網目状であれば特に制限がなく任意である。断面凹状溝3のパターンで囲まれた残りの凸状レジスト層部分は網の目であり、透明基材1を通じて反対側を透視することができ、この部分で透明性が確保される。そして、網目状のパターンの形状は、円形模様、菱形模様、正六角形模様、あるいは網目が長方形で煉瓦積み配列などの幾何学模様が挙げられる。また、正方形の格子状及び網目状パターンにおいて表示画面のドットピッチとの関係で、画像にモアレ縞(干渉縞)が生じないようにするため、バイアスが15度のものなどが好適に採用される。
【0021】
図2(b)は、上記したフォトリソグラフ法により形成された断面凹状溝3のパターン及び凸状レジスト層部分2’を含めた全面に導電性インク4を塗工することにより、特に断面凹状溝3のパターンに導電性インク4を充填した状態を示している。ここで導電性インク4の塗工方法は、スキージによる接触塗工法、スクリーン、ロールコーター、バーコーターまたは、スピンコーター等を利用する印刷塗工法が好適に使用できる。インクの使用量、インクの充填を考慮するとスキージによる接触塗工法がより好ましい。
【0022】
導電性インク4の組成分としては、溶剤、分散安定剤(バインダー)及び導電性の大きい金属粒子からなる。導電性の大きい金属粒子としては、銀、金、銅やアルミニウム等が利用できる。特に本発明では導電性とコストを考慮すると平均粒子径5〜20nmの銀が好適に使用できる。電磁波シールドの導電性は金属自身の体積固有抵抗のみによって決まるものではなく、導電性金属パターンの内部に金属粒子が高密度に充填されている状態が、焼成後の電磁波シールド効果をより一層良好にするという観点から、その濃度が高いほど好ましい。
【0023】
図2(c)は、断面凹状溝3のパターンに導電性インク4を充填した後に、加熱処理して導電性インクの溶剤の蒸発によりインク厚みが減少している状態を示す。ここでは、断面凹状溝3のパターンに充填した導電性インク4は、100〜130℃で10〜30分間の熱処理により硬化させることにより、導電性インクの溶媒成分が蒸発して導電性インク厚みが減少し、金属粒子が高密度に充填されると共に、断面凹状溝3のパターンの側面に位置する凸状レジスト層2’が剥き出しになり、剥離液が浸透できるようにする。
【0024】
なお100〜130℃の熱処理のとき、導電性インク4の発泡による導電性金属パターンの断線を防ぐために、60℃から5〜15分かけて徐々に温度を上昇させることが好ましい。断面凹状溝3のパターンに充填された導電性インク4は、金属粒子の高密度化及びバインダーによる透明基材への定着により導電性パターンの機械的強度が上がり、剥離液の吹きかけによるパターンの剥離から生じる断線は抑えられる。
【0025】
図2(d)は、残存する凸状感光性レジスト層2’をその上面に塗工された導電性インク4とともに剥離液により除去して、金属粒子の高密度化された網目状の導電性パターン4’を得る状態を示す。ここでは、前記図2(c)で残存する凸状レジスト層2’は側面が剥き出しになっていることから、剥離液が浸透してその上面に塗工された導電性インク4とともに容易に除去されることによって、透明基材1が剥き出しにされこの部分での透明性が確保される。剥離液としてはアセトン、ケトン類、アルコール類などが好適に利用できる。
【0026】
凸状レジスト層2’を除去した後は、透明基材面に設けられた導電性パターン4’に導電性を持たせるために焼成処理する。この焼成処理は150〜270℃、好ましくは180〜250℃の温度範囲で10〜30分間焼成することによって、線幅10〜30μm、膜厚0.5〜5.0μm、開口率が80%以上の透光性電磁波シールド部材が得られる。このようにして得られる透光性電磁波シールド部材は、電磁波シールド性アドバンテスト法により、透光性電磁波シールド材を100×100mm角に切り出して、アルミ板によって作成したセルにアースが取れるように設置し、周波数10〜1000MHzの範囲の電磁波の減衰率(dB)を測定することで確認できる。
【0027】
図2(e)は、得られた透光性電磁波シールド部材の導電性金属パターン4’が形成されていない面に近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止フイルム5をロールにより貼り合わせ、もう一方の導電性金属パターンが形成されている面には、粘着剤つき反射防止フイルム6をロールにより貼り合わせることによりPDP用前面パネルを得る状態を示す。このようにして得られるPDP用前面パネルは、特に10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の遮蔽効果が得られる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0029】
実施例1
透明基材として、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、ニチゴーモートンのレジスト(NIT215)をメーカー推奨条件にて、ドライフイルムラミネーターを用いてラミネートさせ、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方形の格子パターン網目を有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し,正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。
【0030】
次に200℃×30分間で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.6μm、開口率およそ85%の導電性金属パターンを有する透光性電磁波シールド部材を得た。該透光性電磁波シールド部材の導電性金属パターンが形成されていない面に、近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止フイルム5をロールにより貼り合わせ、もう一方の導電性金属パターンが形成されている面には、粘着剤つき反射防止フイルム4をロールにより貼り合わせることによりPDP用前面パネルを得た。このPDP用前面パネルは、周波放10〜200MHzの電磁波に対して50dB以上の電磁波シールド効果を有するとともに、波長400〜700nmの、可視光線の全波長純囲で平均透過率が70%以上であり、波長850〜1000nmにおける透過率が10%以下であった。
【0031】
実施例2
透明基材として、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、東京応化のウェットレジストをメーカー推奨条件にて、スピンコーターを用いてレジストの膜厚15μmになるように塗工し、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方形の格子パターンを有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し、正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。次に200℃×30分で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.6μm、開口率およそ85%の導電性金属パターンを得た。実施例1と同様にして形成したPDP用前面パネルは、周波放10〜200MHzの電磁波に対して50dB以上の電磁波シールド効果を有するとともに、波長400〜700nmの、可視光線の全波長純囲で平均透過率が70%以上であり、波長850〜1000nmにおける透過率が10%以下であった。
【0032】
比較例1
実施例2と同じ透明基材で、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、東京応化のウェットレジストをメーカー推奨条件にて、スピンコーターを用いてレジストの膜厚5μmになるように塗工し、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方格子パターンを有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し、正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。次に200℃×30分間で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.15μm以下、開口率およそ85%の導電性金属パターンを得た。実施例1と同様にして形成したPDP用前面パネルは、周波数10〜200MHzの電磁波に対し約20dBと、電磁波シールド効果が不十分であることがわかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の透光性電磁波シールド部材の製造方法によれば、ケミカルエッチングプロセスよりも工程数を簡略化でき、金属メッキした網を熱プレス融着で基材に貼る時のような網の歪みやクラックを生じない。
特にフォトリソグラフ法による断面凹状パターンの形成、断面凹状パターンへの導電性インクの塗布充填、更に充填インクの熱処理による収縮硬化等によって、始めに用意した網目状のマスクの線幅より細い線幅でしかも充分な高濃度膜厚の導電性パターンが容易に形成される。従って導電性パターンにばらつきが生じたり、パターンが途切れる等の問題が解決されることから、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材が得られる。
更に導電性インクに平均粒子径5〜20nmの銀を用いることで焼成範囲を250℃以下に抑え、金属メッキした網より、充分な電磁波シールド効果をもちかつ、数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成することができることから高い可視光透過率を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透光性電磁波シールド部材を示す部分平面図である。
【図2】本発明の電磁波シールド部材の製造工程を模式的に示す断面図である。
(a) フォトリソグラフ法で導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層が除去され断面凹状溝のパターンが形成された状態を示す。
(b) 断面凹状溝のパターンを含めた全面に導電性インクを塗工した状態を示す。
(c) 加熱処理して導電性インクの溶剤の蒸発によりインク厚みを減少させた状態を示す。
(d) 凸状感光性レジスト層を除去して、金属粒子の高密度化された網目状の導電性パターンが得られる状態を示す。
(e) 透光性電磁波シールド部材を使用したPDP用前面パネルを得る状態を示す。
【符号の説明】
1 透明基材
2 感光性レジスト層
2’凸状感光性レジスト層
3 断面凹状溝のパターン
4 導電性インキ
4’網目状の導電性パターン
5 近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止(AR)フイルム
6 粘着剤(NIR)つき反射防止フイルム
【発明の属する技術分野】
本発明は特にプラズマディスプレイパネル(以下PDPと称す)の前面に設置し、表示画面から照射される電磁波を効果的に遮蔽することができ、しかも上記表示画面における表示の透視性に優れた透光性電磁波シールド部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電現像を利用したPDPは、液晶ディスプレイ(LCI)やブラウン管(CRT)に比べて、▲1▼放電光利用であり自発光である、▲2▼0.1〜0.3mmの放電ギャップであるのでパネル型にできる、▲3▼螢光体を利用してカラー発光化できる、▲4▼大画面パネルが作り易い、など様々な利点を有することから、近年、テレビやパソコン、ワープロ等のOA機器、交通機器、看板、その他の表示板等の表示パネルとして研究開発及び実用化が進められている。
【0003】
PDPの基本的な表示機構は、2枚のガラス板間に隔成した多数の放電セル内の螢光体を選択的に放電発光させることで文字や図形を表示するものである。
PDPの前面からは、不要電磁波輻射量が大きく、電圧印加、放電、発光により、周波数:数kHz〜数GHz程度の電磁波が発生するため、これを遮蔽する必要がある。また、表示コントラスト向上のためには、前面における外部光の反射を防止する必要がある。
【0004】
このため、従来においては、PDPからの電磁波等を遮蔽するために、電磁波シールド層付透明板をPDPの前面に設置したものが知られていた。例えば(1)導電性の高い金属フィラメントを混入した繊維からなるメッシュ、(2)ステンレス、タングステン等の導電性材料の繊維を内部に埋め込んだ透明基板(特開平3−35284号公報、特開平5−269912号公報、特開平5−327274号公報)、(3)表面に金属または金属酸化物の蒸着膜を形成した透明基板(特開平1−278800号公報、特開平5−323101号公報)などが挙げられる。
【0005】
しかし、上記のうち(1)のメッシュを用いると表示画面が暗くなって、コントラストや解像度が低下するという問題がある。また(2)の透明部材は内部に繊維が埋め込まれていることから、製造方法が複雑になってコストが高くつく上、やはり表示画面が暗くなって、コントラストや解像度が低下するという問題がある。さらに(3)の場合には、充分な透光性を維持し得る程度にまで蒸着膜を薄くすると、当該膜の表面抵抗が低下して電磁波の減衰特性が低下することから、透光性とシールド効果とを両立できないという問題がある。
【0006】
CRT等の表示画面を覆って電磁波をシールドする部材としては、上記例示の他にも例えば、透明基板の表面に、導電性の高い金属粉末を混合したインキを、スクリーン印刷法によって格子状または縞状のパターンに印刷形成したもの(特開昭62−57297号公報、特開平9−283977号公報)や、導電性インキからなる網目状のパターンを、スクリーン印刷法によって印刷形成したのち真空中で焼き付けたもの(特開平2−52499号公報)、あるいは紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂に金属粉末を混合したインキを、印刷法は不明であるが透明基板の表面に格子状に印刷形成したのち紫外線を照射して硬化したもの(特公平2−48159号公報)などが知られているが、これらの部材を用いても、充分な電磁波のシールド効果と透光性とを両立することはできない。
【0007】
すなわち、優れた電磁波のシールド効果と透光性とを両立するには、パターンの線幅とパターンの間隙(ピッチ)とを最適化し、さらにパターンの電気抵抗を小さくする必要があるが、このような観点に対する考慮は、上記各公報のいずれに記載の技術においてもなされておらず、またパターンの作成方法に対する考慮も不充分であると考えられる。例えば充分な透光性を得るには、パターンの線幅を極めて細くし、かつその間隔を大きくするのが好ましいが、この場合には電磁波シールド効果が不充分になる。なお、電磁波シールド効果は、入射した電磁波に対するシールド材を透過したエネルギーの比の対数である減衰のデシベル(dB)で表され、減衰が大きいほどシールド効果は良いとされている。
【0008】
また、スクリーン印刷法の場合には細い線幅のパターンを形成するのは困難でパターンの線幅にばらつきが生じたり、パターンが途切れる箇所が多数発生したりするといった問題が生じ易い。特に数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成するのは困難である。上記した特公平2−48159号公報に記載のものについても、その実施例ではパターンの線幅が100μmとなっていることから、やはりスクリーン印刷法等の従来法にて印刷を行っているものと推測され、数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成するのは困難であって、上記のようにパターンの線幅にばらつきが生じたり、パターンが途切れる箇所が多数発生したりするといった問題がある。
【0009】
特開平3−35284号公報には、透明プラスチック基板の表面に、金属薄膜を蒸着等によって形成した後、ケミカルエッチングプロセスによってパターニングする旨の記載があり、また特開平10−41682号公報には、金属薄膜からなる幾何学模様を、これもケミカルエッチングプロセスによって透明基板の表面に設ける旨の記載がある。また同様に特開平10−163673号公報には、透明基板の表面にメッキ触媒を含む透明樹脂塗膜を形成し、その上に無電解めっきによって銅などの金属薄膜を形成したのち、やはりケミカルエッチングプロセスによってパターニングする旨の記載がある。
【0010】
【発明が解決すべき課題】
これらの方法によれば、非常に微細なパターンを高い精度でもって形成することができる上、特にPDP用途で要求される厳しい電磁波シ−ルド性能を達成することもできる。しかしながらこれらケミカルエッチングプロセスにおいては、微細なパターンを形成するためにフォトリソグラフ法を用いる必要もあり、工程のプロセス面で歩留まりや製造コストが極めて高くつくため、コスト面で不利である。かかる現状から本発明の課題は、製造コストを極力抑えて、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、フォトリソグラフ法を利用して導電性パターンの細線形成を達成する本発明を完成させた。
すなわち、本発明の請求項1に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、シート状または板状の透明基材の片面に感光性レジスト層を設ける工程と、フォトリソグラフ法により網目状のマスクを用いて露光・現像し導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層を除去して断面凹状のパターンを形成する工程と、該パターン全面に導電性インクを塗工することにより断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程と、残存する凸状感光性レジスト層をその上面に塗工された導電性インクとともに除去して網目状の導電性パターンを得る工程及び導電性パターンの焼成工程とからなることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項2に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、前記断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程の後に、100〜130℃の温度で熱処理することを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項3に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法は、請求項1または2に記載の製造方法で得られた導電性パターンを構成する導電性材料として銀を含むものであることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項4に記載の発明の透光性電磁波シールド部材は、導電性パターンが、線幅5〜30μm、平均膜厚0.5〜5.0μm、開口率72〜95%の範囲内にあり、10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の電磁波シールド効果を有するものであることを特徴としている。
【0015】
本発明の作用としては、特に網目状のマスクを使用するフォトリソグラフ法による断面凹状パターンの形成と断面凹状パターンへの導電性インクの塗布充填、更に充填インクの熱処理による収縮硬化等によって、始めに用意した網目状のマスクの線幅よりも小さい線幅でしかも金属粒子が高密度に充填された膜厚の導電性パターンが容易に形成される。従って導電性パターンにばらつきが生じたり、パターンが途切れる等の問題が解決されることから、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
図1は透明基材の片面に正方形の網目状に導電性パターンが形成された本発明の透光性電磁波シールド部材の部分平面図である。図2(a)〜(e)は透明基材の片面上に導電性パターンを形成させる本発明の製造工程を模式的に示す断面図である。ここで本発明で利用するフォトリソグラフ法は、基材面に塗布したレジスト(感光性高分子材料の皮膜)にマスクを用いて露光・現像することでフォトレジスト画像を形成させる写真の画像形成技術である。
【0017】
先ず図2(a)は、シート状または板状の透明基材1の片面に所定の厚みで感光性レジスト層2を設けた後で、網目状のマスクを密着させてフォトリソグラフ法で露光し現像(液処理)により、導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層が除去された断面凹状のパターン3が形成された状態を示す。
【0018】
ここで板状の透明基材1としては、可視光線に対する充分な透光性を有するソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラスなどのガラス製の基材が挙げられる。電磁波シールド部材の透光性を維持するという観点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、設定される。
また透明基材の片面に設けられる感光性レジスト層2は、公知のネガ型又はポジ型のウェットレジスト、ドライレジスト、またリフトオフ用フォトレジスト等の中から選択して使用できる。
【0019】
ここで露光による光照射によって現像液に溶け難くなるのはネガ型、逆に溶け易くなるのはポジ型であり、その特性を利用し用途に応じて選択使用することができる。図2(a)でネガ型レジストを使用し網目を開口させたマスクを使用した場合、露光により光照射された網目のレジスト層部分は現像液に溶け難いため現像で凸状として残留するが、光照射されなかった網目枠部分のレジスト層は現像液で除去されて断面凹状溝3のパターンが形成される。なお感光性レジスト層2の膜厚は、後工程での断面凹状溝3のパターンへの導電性インク4が熱処理による溶剤蒸発によって収縮し導電性パターンの厚みが減少することを考えて、10〜30μm、特に15〜25μmであるのが好ましい。
【0020】
かかるフォトリソグラフ法により、感光性レジスト層2に断面凹状溝3のパターンを形成するマスクは、網目状であれば特に制限がなく任意である。断面凹状溝3のパターンで囲まれた残りの凸状レジスト層部分は網の目であり、透明基材1を通じて反対側を透視することができ、この部分で透明性が確保される。そして、網目状のパターンの形状は、円形模様、菱形模様、正六角形模様、あるいは網目が長方形で煉瓦積み配列などの幾何学模様が挙げられる。また、正方形の格子状及び網目状パターンにおいて表示画面のドットピッチとの関係で、画像にモアレ縞(干渉縞)が生じないようにするため、バイアスが15度のものなどが好適に採用される。
【0021】
図2(b)は、上記したフォトリソグラフ法により形成された断面凹状溝3のパターン及び凸状レジスト層部分2’を含めた全面に導電性インク4を塗工することにより、特に断面凹状溝3のパターンに導電性インク4を充填した状態を示している。ここで導電性インク4の塗工方法は、スキージによる接触塗工法、スクリーン、ロールコーター、バーコーターまたは、スピンコーター等を利用する印刷塗工法が好適に使用できる。インクの使用量、インクの充填を考慮するとスキージによる接触塗工法がより好ましい。
【0022】
導電性インク4の組成分としては、溶剤、分散安定剤(バインダー)及び導電性の大きい金属粒子からなる。導電性の大きい金属粒子としては、銀、金、銅やアルミニウム等が利用できる。特に本発明では導電性とコストを考慮すると平均粒子径5〜20nmの銀が好適に使用できる。電磁波シールドの導電性は金属自身の体積固有抵抗のみによって決まるものではなく、導電性金属パターンの内部に金属粒子が高密度に充填されている状態が、焼成後の電磁波シールド効果をより一層良好にするという観点から、その濃度が高いほど好ましい。
【0023】
図2(c)は、断面凹状溝3のパターンに導電性インク4を充填した後に、加熱処理して導電性インクの溶剤の蒸発によりインク厚みが減少している状態を示す。ここでは、断面凹状溝3のパターンに充填した導電性インク4は、100〜130℃で10〜30分間の熱処理により硬化させることにより、導電性インクの溶媒成分が蒸発して導電性インク厚みが減少し、金属粒子が高密度に充填されると共に、断面凹状溝3のパターンの側面に位置する凸状レジスト層2’が剥き出しになり、剥離液が浸透できるようにする。
【0024】
なお100〜130℃の熱処理のとき、導電性インク4の発泡による導電性金属パターンの断線を防ぐために、60℃から5〜15分かけて徐々に温度を上昇させることが好ましい。断面凹状溝3のパターンに充填された導電性インク4は、金属粒子の高密度化及びバインダーによる透明基材への定着により導電性パターンの機械的強度が上がり、剥離液の吹きかけによるパターンの剥離から生じる断線は抑えられる。
【0025】
図2(d)は、残存する凸状感光性レジスト層2’をその上面に塗工された導電性インク4とともに剥離液により除去して、金属粒子の高密度化された網目状の導電性パターン4’を得る状態を示す。ここでは、前記図2(c)で残存する凸状レジスト層2’は側面が剥き出しになっていることから、剥離液が浸透してその上面に塗工された導電性インク4とともに容易に除去されることによって、透明基材1が剥き出しにされこの部分での透明性が確保される。剥離液としてはアセトン、ケトン類、アルコール類などが好適に利用できる。
【0026】
凸状レジスト層2’を除去した後は、透明基材面に設けられた導電性パターン4’に導電性を持たせるために焼成処理する。この焼成処理は150〜270℃、好ましくは180〜250℃の温度範囲で10〜30分間焼成することによって、線幅10〜30μm、膜厚0.5〜5.0μm、開口率が80%以上の透光性電磁波シールド部材が得られる。このようにして得られる透光性電磁波シールド部材は、電磁波シールド性アドバンテスト法により、透光性電磁波シールド材を100×100mm角に切り出して、アルミ板によって作成したセルにアースが取れるように設置し、周波数10〜1000MHzの範囲の電磁波の減衰率(dB)を測定することで確認できる。
【0027】
図2(e)は、得られた透光性電磁波シールド部材の導電性金属パターン4’が形成されていない面に近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止フイルム5をロールにより貼り合わせ、もう一方の導電性金属パターンが形成されている面には、粘着剤つき反射防止フイルム6をロールにより貼り合わせることによりPDP用前面パネルを得る状態を示す。このようにして得られるPDP用前面パネルは、特に10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の遮蔽効果が得られる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0029】
実施例1
透明基材として、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、ニチゴーモートンのレジスト(NIT215)をメーカー推奨条件にて、ドライフイルムラミネーターを用いてラミネートさせ、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方形の格子パターン網目を有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し,正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。
【0030】
次に200℃×30分間で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.6μm、開口率およそ85%の導電性金属パターンを有する透光性電磁波シールド部材を得た。該透光性電磁波シールド部材の導電性金属パターンが形成されていない面に、近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止フイルム5をロールにより貼り合わせ、もう一方の導電性金属パターンが形成されている面には、粘着剤つき反射防止フイルム4をロールにより貼り合わせることによりPDP用前面パネルを得た。このPDP用前面パネルは、周波放10〜200MHzの電磁波に対して50dB以上の電磁波シールド効果を有するとともに、波長400〜700nmの、可視光線の全波長純囲で平均透過率が70%以上であり、波長850〜1000nmにおける透過率が10%以下であった。
【0031】
実施例2
透明基材として、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、東京応化のウェットレジストをメーカー推奨条件にて、スピンコーターを用いてレジストの膜厚15μmになるように塗工し、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方形の格子パターンを有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し、正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。次に200℃×30分で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.6μm、開口率およそ85%の導電性金属パターンを得た。実施例1と同様にして形成したPDP用前面パネルは、周波放10〜200MHzの電磁波に対して50dB以上の電磁波シールド効果を有するとともに、波長400〜700nmの、可視光線の全波長純囲で平均透過率が70%以上であり、波長850〜1000nmにおける透過率が10%以下であった。
【0032】
比較例1
実施例2と同じ透明基材で、表面洗浄を行った42インチ(980mm×580mm×2.5mm)サイズのソーダライムガラスに、東京応化のウェットレジストをメーカー推奨条件にて、スピンコーターを用いてレジストの膜厚5μmになるように塗工し、バイアス15度かかった線幅18〜20μm、ピッチ200μmの正方格子パターンを有するマスクを真空密着させて、フレネルレンズ型高圧水銀灯露光装置にて露光し、現像して格子状レジストパターンを形成した。その上に導電性インク(平均粒子径5〜20nmの水系銀ナノ分散液、固形分量34wt%)をスキージにより接触塗工し、正方格子パターンの溝に導電性インクを充填し、120℃×30分間加熱処理した。続いてアセトン中で、残存するレジスト及びレジスト上に塗工された導電性インクを除去した。次に200℃×30分間で焼成処理し、線幅15〜19μm、平均膜厚0.15μm以下、開口率およそ85%の導電性金属パターンを得た。実施例1と同様にして形成したPDP用前面パネルは、周波数10〜200MHzの電磁波に対し約20dBと、電磁波シールド効果が不十分であることがわかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の透光性電磁波シールド部材の製造方法によれば、ケミカルエッチングプロセスよりも工程数を簡略化でき、金属メッキした網を熱プレス融着で基材に貼る時のような網の歪みやクラックを生じない。
特にフォトリソグラフ法による断面凹状パターンの形成、断面凹状パターンへの導電性インクの塗布充填、更に充填インクの熱処理による収縮硬化等によって、始めに用意した網目状のマスクの線幅より細い線幅でしかも充分な高濃度膜厚の導電性パターンが容易に形成される。従って導電性パターンにばらつきが生じたり、パターンが途切れる等の問題が解決されることから、優れた電磁波シールド効果と透光性とを両立させた透光性電磁波シールド部材が得られる。
更に導電性インクに平均粒子径5〜20nmの銀を用いることで焼成範囲を250℃以下に抑え、金属メッキした網より、充分な電磁波シールド効果をもちかつ、数10μm以下といった極めて細い線幅のパターンを形成することができることから高い可視光透過率を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透光性電磁波シールド部材を示す部分平面図である。
【図2】本発明の電磁波シールド部材の製造工程を模式的に示す断面図である。
(a) フォトリソグラフ法で導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層が除去され断面凹状溝のパターンが形成された状態を示す。
(b) 断面凹状溝のパターンを含めた全面に導電性インクを塗工した状態を示す。
(c) 加熱処理して導電性インクの溶剤の蒸発によりインク厚みを減少させた状態を示す。
(d) 凸状感光性レジスト層を除去して、金属粒子の高密度化された網目状の導電性パターンが得られる状態を示す。
(e) 透光性電磁波シールド部材を使用したPDP用前面パネルを得る状態を示す。
【符号の説明】
1 透明基材
2 感光性レジスト層
2’凸状感光性レジスト層
3 断面凹状溝のパターン
4 導電性インキ
4’網目状の導電性パターン
5 近赤外線遮断部材を塗工した粘着剤つき反射防止(AR)フイルム
6 粘着剤(NIR)つき反射防止フイルム
Claims (4)
- シート状または板状の透明基材の片面に感光性レジスト層を設ける工程と、フォトリソグラフ法により網目状のマスクを用いて露光・現像し導電性パターンを形成すべき部分の感光性レジスト層を除去して断面凹状のパターンを形成する工程と、該パターン全面に導電性インクを塗工することにより断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程と、残存する凸状感光性レジスト層をその上面に塗工された導電性インクとともに除去して網目状の導電性パターンを得る工程及び導電性パターンの焼成工程とからなることを特徴とする透光性電磁波シールド部材の製造方法。
- 断面凹状のパターンに導電性インクを充填する工程の後に、100〜130℃の温度で熱処理することを特徴とする請求項l記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法。
- 網目状の導電性パターンを構成する導電性材料が銀を含むものであることを特徴とする請求項lまたは2に記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法。
- 網目状の導電性パターンが、線幅5〜30μm、平均膜厚0.5〜5.0μm、開口率72〜95%の範囲内にあり、10〜200MHzの電磁波に対して40dB以上の電磁波シールド効果を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項で得られた透光性電磁波シールド部材。
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