JP2004024189A - 耐熱性ケラタナーゼをコードするdna - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性ケラタナーゼをコードするDNA及びその用途を提供する。
【解決手段】以下の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA。(A)Bacillus circulans由来の特定のアミノ酸配列を含むポリペプチド。(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、以下の(イ)の性質を有するポリペプチド。(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。上記DNAを用いて耐熱性ケラタナーゼを製造することができる。また上記DNAまたはその一部は、耐熱性ケラタナーゼに対するハイブリダイゼーション用プローブとして使用できる。
【選択図】 なし
【解決手段】以下の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA。(A)Bacillus circulans由来の特定のアミノ酸配列を含むポリペプチド。(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、以下の(イ)の性質を有するポリペプチド。(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。上記DNAを用いて耐熱性ケラタナーゼを製造することができる。また上記DNAまたはその一部は、耐熱性ケラタナーゼに対するハイブリダイゼーション用プローブとして使用できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNA、このDNAを保持するベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、これを用いた耐熱性ケラタナーゼの製造方法、及び耐熱性ケラタナーゼに関するハイブリダイゼーション用プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
国際公開WO96/16166には、下記の理化学的性質を有するケラタン硫酸分解酵素(ケラタナーゼ)が開示されている。
(1)作用:ケラタン硫酸に作用し、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
(2)基質特異性:ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用して、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(3)至適反応温度:50〜60℃(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)
(4)熱安定性:少なくとも45℃以下で安定(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)
(5)至適反応pH:4.5〜6(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)
(6)pH安定性:6〜7(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)
この酵素は熱安定性が高く、バッチ分解法や固定化酵素分解法で硫酸化ケラタン硫酸二糖や四糖を製造する際に好ましく用いることができるが、この酵素の調製はもっぱらこの酵素を産生する微生物(バチルス・サーキュランス)を培養し、その培養物から採取することに頼っていた。
【0003】
この酵素をコードするDNAが得られれば、そのDNAをバチルス・サーキュランスよりもさらに取扱いが容易な宿主に導入することによって、この酵素をさらに容易、大量、かつ安価に生産・取得することができる。また、この酵素をコードするDNAが得られれば、これを遺伝子工学的に改変して更に酵素活性を向上させた酵素を作製したり、この酵素の生産性を更に向上させる等の応用の可能性が広がることとなる。しかしこの酵素のクローニングは未だ報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硫酸化ケラタン硫酸二糖や四糖を製造に極めて有用な耐熱性ケラタナーゼをコードするDNA、このDNAを保持するベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、これを用いた耐熱性ケラタナーゼの製造方法、及び耐熱性ケラタナーゼに関するハイブリダイゼーション用プローブを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねることにより、前記の耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAの取得に成功した。さらに、このDNAを保持させたベクターを作製し、このベクターを用いて形質転換体を作製し、この形質転換体を用いて耐熱性ケラタナーゼを製造し、これにより製造された酵素が真にケラタナーゼ活性を有していることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)下記の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA(以下、本発明DNAともいう)。
(A)配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチド。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
ここで、(B)のポリペプチドは、上記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましく、(イ)及び(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものがより好ましく、(イ)〜(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものがさらに好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
また本発明DNAは、下記(a)又は(b)のDNAであることがさらに好ましい。
(a)配列番号13に示すヌクレオチド配列を含むDNA。
(b)上記(a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNA。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
ここで、前記(b)のDNAによってコードされるポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましく、(イ)及び(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものがより好ましく、(イ)〜(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものがさらに好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
(2)本発明DNAを保持するベクター(以下、本発明ベクターともいう)。
本発明ベクターは、発現ベクターであることが好ましい。
(3)本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体(以下、本発明形質転換体ともいう)。
(4)本発明形質転換体を生育させ、その生育物からケラタナーゼを採取することを特徴とする、ケラタナーゼの製造方法(以下、本発明製造方法ともいう)。
(5)配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ(以下、本発明プローブともいう)。
ここで「配列番号13に示すヌクレオチド配列の一部」は、配列番号13におけるヌクレオチド番号1401〜4023で示されるヌクレオチド配列であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
<1>本発明DNA
本発明DNAは、下記の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNAである。
(A)配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチド。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
【0008】
ここで、配列番号14に示すアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列をコードするものとして、遺伝暗号の縮重による種々の異なった塩基配列を有するDNAが存在することは、当業者であれば容易に理解されるところである。このような遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有するDNAも、本発明DNAに包含される。
【0009】
(A)における「配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド」とは、「配列番号14に示すアミノ酸配列のみから構成されるポリペプチド」だけでなく、このポリペプチドと、マーカーペプチド、シグナルペプチドなどのペプチドや、他の機能を有するポリペプチドとが融合したポリペプチド(融合ポリペプチド)であってもよい。例えばマーカーペプチドとの融合ポリペプチドは、本発明DNAによってコードされるポリペプチドを精製等する場合には特に好ましい。このようなマーカーペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えばプロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となり、インスリンシグナル配列等と融合させれば酵素を細胞外(培地等)に分泌させることができる。また、他の機能を有するポリペプチドとの融合タンパク質とすることにより、本発明DNAによってコードされるポリペプチドが有するケラタナーゼとしての機能と、他のポリペプチドの機能とを併せ持ったポリペプチドとすることができる。
【0010】
(B)において「1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有する」とは、前記(イ)の性質を実質的に害さない限りにおいて1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を有していてもよいことを意味する。
【0011】
天然に存在するポリペプチドには、それをコードするDNAの多型や変異の他、生成後のポリペプチドの生体内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず、変異を有しないポリペプチドと実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。前記の(B)は、このように構造的に若干の差異があってもその機能については大きな違いが認められないポリペプチドを包含させる趣旨であり、このようなポリペプチドをコードするDNAも本発明DNAに包含される。
【0012】
また、ポリペプチドをコードするDNAに人為的に上記のような変異を導入した場合も同様であって、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することができる。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中の、あるシステイン残基をセリン残基に置換したポリペプチドが、IL−2活性を保持することが知られている(Science,224,1431(1984))。また、ある種のポリペプチドは、活性には必要ないペプチド領域を有していることが知られている。例えば細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、または活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するポリペプチドであり、このようなポリペプチドをコードするDNAも本発明DNAに包含される。
【0013】
なお、本明細書における「数個のアミノ酸」は、例えば800アミノ酸からなるポリペプチドの場合、2〜40程度、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10以下の数を示す。
【0014】
前記(イ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、N−アセチルグルコサミニド結合の加水分解活性の有無を指標として、前記(イ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0015】
前記(イ)の性質を実質的に害さない1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を引き起こすようなヌクレオチドの変異は、自然条件下でも起こりうる。また、前記(イ)の性質を実質的に害さないようなアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を引き起こすために、人工的にヌクレオチドを置換、欠失、挿入又は転位させることもできる。
【0016】
このような、DNA中のヌクレオチドの置換、欠失、挿入又は転位は、「導入すべき変異点を中心とする両側の配列を含み、かつ制限酵素切断末端を両端に有するDNA断片」を合成し、これを未変異のDNAにおける対応する部分と入れ換えることによってDNAに導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits,H.J.,Meth. in Enzymol., 154, 350(1987);Kunkel,T.A. et al., Meth. in Enzymol.,154,367(1987))などの方法によってもヌクレオチドの置換、欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0017】
また、ある種のポリペプチドでは、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、または活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するポリペプチドである。このようなポリペプチドとして上記(B)のポリペプチドが挙げられる。
【0018】
(B)のポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
【0019】
ケラタン硫酸には、動物の角膜中に存在するケラタン硫酸Iと、軟骨などの組織に含まれるケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸とがあり、いずれも「ガラクトースとN−アセチルグルコサミンの二糖を構成単位とするコポリマーであるが、前者がN−アセチルグルコサミンの6位の炭素原子に結合したヒドロキシル基が多いのに対し、後者はN−アセチルグルコサミンの6位及びガラクトースの6位の両方の炭素原子に結合したヒドロキシル基が硫酸化された「二硫酸2糖」成分の占める割合が高い。
【0020】
前記(ロ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法や、後記実施例に示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−HPLC)を用いた方法等によって調べることができる。よって当業者であれば、ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用させた場合の生成物の組成を指標として、前記(ロ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0021】
(B)のポリペプチドは、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものが好ましい。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
【0022】
前記(ハ)及び(ニ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、このような至適反応温度や熱安定性を指標として、前記(ハ)及び(ロ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0023】
(B)のポリペプチドは、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加え、さらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものが好ましい。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
【0024】
前記(ホ)及び(ヘ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、このような至適反応pHやpH安定性を指標として、前記(ホ)及び(ヘ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
これらの中でも、(A)のポリペプチドをコードするDNAが好ましい。
【0025】
本発明DNAは、下記(a)又は(b)のDNAであることがさらに好ましい。
(a)配列番号13に示すヌクレオチド配列を含むDNA。
(b)上記(a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNA。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
【0026】
上記(b)のDNAは、(a)のDNAによってコードされるタンパク質と一次構造的には異なるが、同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAを包含せしめる趣旨である。(b)において「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等参照)。「ストリンジェントな条件」として具体的には、50%ホルムアミド、4×SSC、50mMHEPES(pH7.0)、10×Denhardt’s solution、100μg/mlサケ***DNAを含む溶液中、42℃でハイブリダイズさせ、次いで室温で2×SSC、0.1%SDS溶液、50℃下で0.1×SSC、0.1%SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
【0027】
そして、このようなストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAの中から(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNAを選択することによって、(b)のDNAを取得することができる。DNAにコードされているポリペプチドにおける(イ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0028】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ロ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0029】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものが好ましい。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
【0030】
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ハ)及び(ニ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0031】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものが好ましい。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
【0032】
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ホ)及び(ヘ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
これらの中でも、(a)のDNAが好ましい。
【0033】
本発明DNAには、本発明DNAに相補的なDNA又はRNAも包含される。さらに本発明DNAは、ポリペプチドをコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよく、この一本鎖およびこれと相補的な塩基配列を有するDNA鎖またはRNA鎖からなる二本鎖であってもよい。
また本発明DNAと、ある機能を有する又は他のポリペプチド等をコードするDNAとを連結させたDNAも、本発明DNAが保持されている限りにおいて、本発明DNAに包含される。
【0034】
本発明DNAは、もともとバチルス・サーキュランスから取得されたものであるが、遺伝子工学的手法や化学合成等により製造されたDNAも当然に本発明DNAに包含される。
本発明DNAの製造方法も特に限定されない。例えば、天然物(バチルス・サーキュランスなど)から単離することにより製造してもよく、遺伝子工学的手法や化学合成等によって製造してもよい。
【0035】
本発明DNAの中でも特に好ましい前記(A)及び(a)のDNAは、以下の遺伝子工学的手法によって初めて取得され、塩基配列決定されたものである。
【0036】
(1)精製された耐熱性ケラタナーゼ(国際公開WO96/16166参照)の内部アミノ酸配列を解析し、これに基づいてPCRプライマーを作製する。
【0037】
(2)(1)で取得したプライマーを用い、バチルス・サーキュランスKsT202株の染色体DNAを鋳型としてdegenerative PCRを行って、耐熱性ケラタナーゼをコードするcDNAの部分断片を取得する。
【0038】
(3)(2)で取得した部分断片の塩基配列に基づいて作製したプライマーを用い、染色体DNAの制限酵素処理物のセルフライゲートを鋳型としてInverse PCRを行い、このPCR産物の両端及び内部の塩基配列を決定する。決定された塩基配列に基づいて新たにプライマーを作製し、同様にInverse PCRと塩基配列決定を繰り返す。決定された塩基配列を繋ぎ合わせることによって、耐熱性ケラタナーゼの全DNA配列を決定する。
【0039】
天然物から本発明DNAを製造する場合の採取原は、耐熱性ケラタナーゼを保持するものである限りにおいて特に制限されないが、例えば、本出願人によって平成6年9月5日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に微生物受託番号FERMP−14516として寄託され、平成7年11月6日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された、バチルス・サーキュランスKsT202株(受託番号:FERM BP−5285)を用いることができる。
【0040】
<2>本発明ベクター
本発明ベクターは、本発明DNAを保持するベクターである。本発明ベクターによって保持される本発明DNAについては、前記「<1>本発明DNA」で説明した通りである。よって、本発明ベクターによって保持されることが最も好ましい本発明DNAは、前記(A)又は(a)のDNAである。
【0041】
また、本発明ベクターは後述する本発明製造方法に好ましく用いられることから、発現ベクターであることが好ましい。
本発明ベクターは、本発明DNAを公知のベクターに導入することによって製造することができる。
【0042】
本発明DNAを導入するベクターとしては、例えば、導入したDNAを発現させることが可能な適当な(好ましくは、プロモーター等の調節配列を含む)発現ベクター(ファージベクター或いはプラスミドベクター等)を使用することができ、本発明ベクターを組み込む宿主細胞で上記DNAを発現することが可能なベクターを適宜選択する。このような宿主−ベクター系としては、大腸菌(E. coli)と、pET(ストラタジーン社製)、pTrcHis(インビトロゲン社製)、pGEX(ファルマシア バイオテック社製)、pTrc99(ファルマシア バイオテック社製)、pKK233−3(ファルマシア バイオテック社製)、pEZZZ18(ファルマシア バイオテック社製)、pCH110(ファルマシア バイオテック社製)、pBAD(インビトロゲン社製)、pRSET(インビトロゲン社製)、及びpSE420(インビトロゲン社製)等の原核細胞用の発現ベクターとの組み合わせや、COS細胞、3LL−HK46細胞などの哺乳類細胞と、pGIR201(Kitagawa, H., and Paulson, J. C. (1994) J. Biol. Chem. 269, 1394−1401)、pEF−BOS(Mizushima, S., and Nagata, S. (1990) Nucleic Acid Res. 18, 5322)、pCXN2(Niwa, H., Yamanura, K. and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193−200)、pCMV−2(イーストマン コダック(Eastman Kodak)製)、pCEV18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1990))又はpSVL(ファルマシア バイオテック社製)等の哺乳類細胞用発現ベクターとの組み合わせの他、宿主細胞として昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示され、これらに対応する各種ベクターが例示される。上述の宿主−ベクター系の中でも特に大腸菌とpETとの組み合わせが好ましい。
【0043】
また、上記DNAを組み込むベクターは、組み込んだDNAがコードするタンパク質とマーカーペプチドやシグナルペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築されたものを用いることもでき、本発明ベクターを用いて発現されるケラタナーゼを精製等する場合には特に好ましい。上記ペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えば、プロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となる。
【0044】
いずれのベクターを用いる場合であっても常法に従って、上記DNAとベクターとを連結することが可能なように制限酵素などによって処理し、必要に応じて平滑化や粘着末端の連結を行った後、前記DNAとベクターとの連結をすることができる。
【0045】
<3>本発明形質転換体
本発明形質転換体は、本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体である。
ここでいう「宿主」は、本発明ベクターによる組換えが可能なものであればよいが、本発明ベクターの保持するDNA又はそのDNAを組み込んだ組換えベクターの機能を発揮できるものが好ましい。宿主としては、微生物細胞(菌体)、植物細胞、動物細胞等を用いることができ、大腸菌(E. coli)、酵母、枯草菌、昆虫細胞、哺乳類細胞(COS細胞、3LL−HK46細胞など)が例示される。宿主は、本発明ベクターにあわせて適宜選択することができるが、例えばpETをベースとする本発明ベクターを用いる場合には大腸菌を選択することが好ましい。
【0046】
宿主の本発明ベクターによる形質転換は、常法によって行うことができる。例えば、市販のトランスフェクション用試薬を用いる方法や、DEAE−デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子銃による方法等によって本発明ベクターを宿主に導入し、形質転換を行うことができる。
このようにして得られる本発明形質転換体は、後述する通り、ケラタナーゼの製造等に用いることができる。
【0047】
<4>本発明製造方法
本発明製造方法は、本発明形質転換体を生育させ、その生育物からケラタナーゼを採取することを特徴とする、ケラタナーゼの製造方法である。
【0048】
ここで「生育」とは、本発明形質転換体である微生物や細胞自体の増殖、本発明形質転換体である細胞を組み込んだ動物、昆虫等の生育を含む概念である。また、ここでいう「生育物」とは、本発明形質転換体を生育させた後の培地(培養液の上清)及び培養された宿主細胞、分泌物、排出物等を包含する概念である。生育の条件(培地や培養条件等)は、用いる宿主に合わせて適宜選択される。
【0049】
例えば宿主細胞として大腸菌を用いる場合は、LB培地等を主成分として適宜調製した培地を用いることができる。また例えば、宿主細胞としてCOS−7細胞を用いる場合には、2%程度のウシ胎仔血清(FCS)を含有するDMEM培地を用い、37℃条件下で培養することができる。
本発明製造方法によれば、用いる形質転換体に応じて種々の形態のケラタナーゼを産生させることができる。
【0050】
例えば、マーカーペプチドやシグナルペプチド等の他のペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築された発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、上記他のペプチドと融合したケラタナーゼが産生される。
生育物からのケラタナーゼの採取は、産生されるケラタナーゼの形態に応じて、公知のタンパク質の抽出・精製方法によって行うことができる。
【0051】
例えばケラタナーゼが、培地(培養液の上清)中に分泌される可溶性の形態で産生される場合には、培地を採取し、これをそのままケラタナーゼとして用いてもよい。またケラタナーゼが細胞質中に分泌される可溶性の形態、又は不溶性(膜結合性)の形態で産生される場合には、窒素キャビテーション装置を用いる方法、ホモジナイズ、ガラスビーズミル法、音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出、またはこれらの組み合わせ等の処理操作によってケラタナーゼを抽出することができ、抽出物をそのままケラタナーゼとして用いてもよい。
【0052】
これらの培地や抽出物から、ケラタナーゼをさらに精製することもでき、かつ好ましい。精製は、不完全な精製(部分精製)であっても、完全な精製であってもよく、ケラタナーゼの使用目的等に応じて適宜選択することができる。
【0053】
精製方法として具体的には、例えば硫酸アンモニウム(硫安)や硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外ろ過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組み合わせ等の処理操作が挙げられる。
【0054】
例えば、ケラタナーゼをプロテインAとの融合タンパク質として産生させれば、IgGを結合させた固相を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、Hisとの融合タンパク質として産生させれば、磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、FLAGとの融合タンパク質として産生させれば抗FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる。
【0055】
製造されたポリペプチドを精製し、そのアミノ酸配列や前記(イ)〜(ヘ)の性質の有無等を分析することによって、所望のケラタナーゼが製造されたか否か確認することができる。
後述の実施例により、本発明形質転換体を適当な条件下で生育させることによって酵素活性を有するケラタナーゼが発現されることが確認された。よって本発明製造方法は、酵素活性を有するケラタナーゼの大量調製に利用することができる。
【0056】
<5>本発明プローブ
本発明プローブは、本発明配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーション用プローブである。
【0057】
ここで「配列番号13に示すヌクレオチド配列の一部」は、配列番号13におけるヌクレオチド番号1401〜4023で示されるヌクレオチド配列であることが好ましい。
【0058】
本発明プローブは、配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的な配列を有するポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドを作成し、これをハイブリダイゼーションに適した標識(例えば、放射性同位体)で標識することによって得ることができる。
ポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドの長さは、本発明プローブを用いるハイブリダイゼーションの条件によって適宜選定される。
【0059】
本発明プローブは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAやRNAの検出や定量に用いることができ、ケラタナーゼの生物学的機能を調べる有用な道具となることが期待される。
【0060】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 ケラタナーゼをコードするDNAのクローニング
(1)バチルス・サーキュランスKsT202株の産生するケラタナーゼの内部アミノ酸配列の解析
バチルス・サーキュランスKsT202株(FERM BP−5285)から、国際公開WO96/16166号に記載の方法でケラタナーゼを単離精製した。精製した溶液の酵素活性は1.4U/mlであった。
この溶液の150μlを4%アガロースゲルに付し、50μlをポリアクリルアミドゲルに付して、それぞれドデシル硫酸ナトリウム(SDS)電気泳動を行った。
泳動後、それぞれのゲルについてクマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)染色及び亜鉛染色を行い、分子量200Kda付近に出現したメインのバンドを切り出した。
【0061】
アガロースゲルから切り出したバンドを含むゲルを、蒸留水中で15分間振とう撹拌しながら洗浄した。この洗浄を3回繰り返した後、ゲルの終濃度が0.5%となるように抽出バッファー(50mMトリス塩酸(pH8.0)、0.1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5% SDS)を添加し、75℃でゲルを完全に溶解させた。溶解後、試料を氷上で30分間静置し、さらに−80℃で2時間凍結させた後、氷上で溶解させた。次いでこの試料を遠心分離(8,000rpm、20分間)して上清(1.5ml)を回収し、0.4μgのリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社)を用いて、37℃で一晩酵素消化した。
【0062】
ポリアクリルアミドゲルから切り出したバンドを含むゲルについては、当該ゲルに等量(0.2ml)の抽出バッファー(200mMトリス塩酸(pH8.5), 0.2% SDS)を添加し、撹拌することによってゲル内にバッファーを浸透させた。次いで1μgのリシルエンドペプチダーゼを用いて、37℃で16時間酵素消化した。
次いで、リシルエンドペプチダーゼ処理した溶液の全量を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液(A液)で平衡化したDEAE Toyopearl(東ソー株式会社:4.6×150mm)(ガードカラムODS80Ts(2×250mm;東ソー株式会社))にアプライした。カラム温度を40℃に保持し、0.08% TFA含有70%アセトニトリル溶液(B液)を用いて各ペプチド断片を分離溶出した。なお溶出は流速0.18ml/分で行い、かつ、275分後のB液濃度が100%となるように直線的に濃度勾配をかけた。215nmのUV吸収によってペプチドを検出し、そのピークを分取することによって分画した。
【0063】
得られた各フラクションを、減圧濃縮機を用いて乾固させた。乾固した試料を4μlの70%メタノールに溶解後、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(5×5mm;ミリポア社)に添加して減圧条件下で乾燥させた。乾燥後のPVDF膜に4μlのバイオブレン試薬 (0.02mg/μlバイオブレン(PEバイオシステムズ社)、0.01% TFA及び70%メタノールを含有する) を加えて、再度減圧条件下で乾燥させることによってペプチド断片を膜に固定した。その後、プロテインシークエンサー(モデル473A ;PEバイオシステムズ社)を用いてアミノ酸配列の解析を行った。この解析によって得られたバチルス・サーキュランスKsT202株由来のケラタナーゼに由来するペプチド断片のアミノ酸配列(当該酵素の内部アミノ酸配列)を以下に示す(配列番号1〜3)。
【0064】
ペプチド1:DQLANVQN(配列番号1)
ペプチド2:QPALIPTIVDA(配列番号2)
ペプチド3:QGPADPPVTEP(配列番号3)
【0065】
(2)バチルス・サーキュランスKsT202株の染色体DNAの調製
バチルス・サーキュランスKsT202菌株を、白金耳を用いて500mlの培地(1% ペプトン(極東製薬工業株式会社)、0.5% ビール酵母エキスD−3(日本製薬株式会社)、0.25% エルリッヒ肉エキス(極東製薬工業株式会社)、0.5% K2HPO4、0.02% MgSO4(7H2O)、0.1% NaCl(ナカライテスク株式会社)及び0.5% サメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸(生化学工業株式会社製)を含有する。pH7.5)に接種し37℃で一晩撹拌培養した。培養液を二分して、それぞれについて以下の通り処理を行った。
【0066】
培養液を遠心分離(4,000rpm、20分)して集菌し、9mlのTE(1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む10mM Tris−HCl(pH 8.0)緩衝液)に懸濁させた。この菌体懸濁液に20mg/mlリゾチーム(シグマ社)を0.5ml添加した後、室温で20分間静置して溶菌させた。次いで0.5mlの10% SDS及び100μlの10mg/ml Proteinase K (ベーリンガー・マンハイム社;Boehringer Mannheim)を添加して55℃で1.5時間処理した。その後10mlのTE飽和フェノールを添加して5分間緩やかに撹拌し、遠心分離(1,700rpm、5min)した。
【0067】
遠心分離によって生じた水層を回収してプールし、これと等量のTE飽和フェノールを添加した。緩やかに撹拌した後、遠心分離(4,000rpm、15分)することによって再度水層を回収した(12ml)。この水層に0.1mlの50mg/ml RNaseA (シグマ社)を添加して37℃で15分間処理した。処理後の溶液にこれと同量のPCI溶液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)を加えて5分間攪拌し、遠心分離(3800rpm、15分)することによって水層を回収した(9ml)。
【0068】
この水層に1mlの3M酢酸ナトリウムを添加した後、24mlのエタノールを添加して、緩やかに混和することによって染色体DNAを沈殿させた。遠心分離(8,000rpm、20min)によって沈殿を回収し、この沈殿を30mlの70%エタノールで洗浄した。次いで同様に遠心分離することによって沈殿を回収して風乾させた。風乾した沈殿を1mlのTEに懸濁させ、4℃で一晩静置して完全に溶解させて、染色体DNA溶液とした(DNA濃度0.5mg/ml)。
【0069】
(3)ケラタナーゼをコードするDNAのクローニング
前記(1)で示したペプチド断片のアミノ酸配列(内部アミノ酸配列)に基づいて、それぞれ以下の通りPCRプライマー(センスプライマー及びアンチセンスプライマー)を作製した。
【0070】
ペプチド1:
5’−GAYCARYTIGCIATYGTICARAT−3’(センス;プライマー1)(配列番号4)
5’−ATYTGIACRATIGCIARYTGRTC−3’(アンチセンス;プライマー2)(配列番号5)
【0071】
ペプチド2:
5’−YTIATICCIACIATIGTIGAYGC−3’(センス;プライマー3)(配列番号6)
5’−ATIGTIGGIATIARIGCIGGYT−3’ (アンチセンス;プライマー4)(配列番号7)
【0072】
ペプチド3:
5’−GCIGAYCCICCIGTIACIGARCC−3’(センス;プライマー5)(配列番号8)
5’−ACIGGIGGRTCIGCIGGICCYTG−3’(アンチセンス;プライマー6)(配列番号9)
【0073】
なお、プライマー1〜6における”R”はG又はAを、”Y”はT又はCを、”I”はイノシンを意味する。
次に、プライマー配列の基礎となったペプチド同士の全ての組み合わせ(6種類)でセンスプライマーとアンチセンスプライマーを組み合わせ、プライマーを各75 pmolと、Ex−Taq DNAポリメラーゼ(Takara)を用い、前記(2)で調製した染色体DNA 0.1μgを鋳型としてdegenerative PCRを行った。PCRの条件は「94℃,5分−(94℃,20秒−60℃,30秒−72℃,2分)を30サイクル−72℃,10分」とし、反応液の量は50μlとした。
【0074】
PCR後の溶液を電気泳動した結果、プライマー5及びプライマー4の組み合わせにおいて、メインバンドとして2.5kbpのPCR産物が得られ、またプライマー5及びプライマー2の組み合わせで0.5kbpのPCR産物が得られた。
これらのPCR産物をTOPO TA Cloningベクター(pCR4−TOPO)にサブクローニングし、PCR産物の両端の塩基配列をDNAシークエンサー(ABI PRISM 310(PEバイオシステムズ社))で決定した。また当該PCR産物の各種制限酵素処理断片をクローニングベクター(pBluescript IISK(−))にサブクローニングすることによって、同様に内部の塩基配列を決定した。2.5kbpの産物の塩基配列を配列番号10に示す。
【0075】
解析した結果、0.5kbpの産物の塩基配列は2.5kbpの産物の塩基配列中に全て含まれていた。すなわち、2.5kbpのPCR産物は「ペプチド1」をコードする配列を含んでいた。また、「ペプチド1」をコードするようなリーディングフレームにおいて終止コドンは存在しなかった。これらの結果から、2.5kbpのPCR産物はケラタナーゼをコードするDNAの一部であると推定された。
【0076】
次に当該PCR産物の上流及び下流に存在する未知の塩基配列を決定するために、Inverse PCRを行った。まずBglII(New England Biolabs)によって染色体DNAを処理した後、各種条件でセルフライゲーションを行った。決定済みのdegenerative PCR産物の塩基配列に基づいて新たに以下のPCRプライマー(センスプライマー及びアンチセンスプライマー)を作製し、当該染色体DNA断片のセルフライゲートを鋳型としてPCRを行った。PCRの条件は「94℃,5分−(94℃,15秒−60℃,30秒−72℃,7分)を10サイクル−(94℃,15秒−60℃,30秒−72℃,7分+20秒)を25サイクル」とした。
【0077】
5’−GATCTAGGGCCCAGTGTCGGGGGCGCGATGAATC−3’(センス;プライマー7)(配列番号11)
5’−TCGTAAGGGCCCTGCAGCGTCTTGCTGTAGTTAG−3’(アンチセンス;プライマー8)(配列番号12)
【0078】
PCR後の電気泳動においてメインバンドとして得られた2.5KbpのInverse PCR産物をpCR4−TOPOにサブクローニングしてPCR産物の両端の塩基配列を決定した。また当該PCR産物の各種制限酵素処理断片をpBluescript IISK(−)にサブクローニングすることによって、同様に内部の塩基配列を決定した。決定された塩基配列に基づいて新たにPCRプライマーを作製し、前記と同様のInverse PCRを繰り返して、塩基配列を決定した。決定された塩基配列を繋ぎ合わせることによって、バチルス・サーキュランスKsT202株のケラタナーゼの全DNA配列(5,811bp)を決定した。決定された塩基配列を、これに対応するアミノ酸配列とともに配列番号13に示す。また、このアミノ酸配列のみを配列番号14に示す。
【0079】
(4)ケラタナーゼタンパク質のドメイン解析
配列番号14に示すアミノ酸配列について、NCBI BLAST Home Page(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)の”tblastn”及び”CD(conserved domain)−Search”を用いてタンパク質ホモロジー検索を行った。解析結果の模式図を図1に示す。その結果、ケラタナーゼタンパク質は、アミノ酸番号307〜457(対応する塩基:配列番号13の塩基番号919〜1371)にセルロース結合ドメインVIを有していた(図1中の▲2▼)。また、C末端領域にS−layerホモロジードメインが存在していた(図1中の▲3▼)。また遺伝子解析ソフト(製品名:GENETYX−MAC、ゼネティックス社製 )を用いたシグナルペプチド予測によって、配列番号14におけるアミノ酸番号1−34(対応する塩基:配列番号13におけるヌクレオチド番号1−102)(図1中の▲1▼)がシグナルペプチドであることが予想された。
【0080】
実施例2 ケラタナーゼタンパク質の発現と酵素活性測定
(1)大腸菌における組換えケラタナーゼタンパク質の発現
実施例1で明らかとなったケラタナーゼをコードするDNAのヌクレオチド配列に基づいて、シグナルペプチドと予想される配列を除いたDNAを増幅する以下のPCRプライマーを作製した。なお、プライマー9にはBamHI切断サイトが、プライマー10にはEcoRI切断サイトがそれぞれ付加されている。
【0081】
5’−ATGGATCCTTCCATTCGTCAAGATCCGAC−3’(センス;プライマー9)(配列番号15)
5’−GCGAATTCGCCTTCAACAGCATGTTAAA−3’(アンチセンス;プライマー10)(配列番号16)
【0082】
その結果メインバンドとして得られた目的のDNAを含む5.7KbpのDNAフラグメントをクローニングベクターにサブクローニングした後、BamHI(New EnglandBiolabs)およびEcoRI(New England Biolabs)で切り出し、同制限酵素で処理した大腸菌タンパク質発現ベクターpET−22b(+)(Novagen)に挿入して、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフォーメーションした。
【0083】
実施例1の(2)で調製したKsT202株染色体DNA 0.5μgを鋳型に、プライマー9及びプライマー10を各25pmol、およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて、94℃,3min−(94℃,15sec−60℃,30sec−72℃,7min)×25サイクル−72℃,10minのPCRを行った(全 50μl)。
【0084】
PCRの結果メインバンドとして得られた目的のDNAを含む5.7KbpのDNAフラグメントをクローニングベクター(製品名pBluescript IIKS(+))にサブクローニングした後、BamHI(New England Biolabs)及びEcoRI(New England Biolabs)で切り出し、同制限酵素で処理した大腸菌タンパク質発現ベクターpET−22b(+)(Novagen)に挿入して、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフォーメーションした。
【0085】
目的酵素タンパク質の発現は、上記で得られた形質転換株を50 μg/mlのアンピシリン含有LB培地で37℃にて培養液の濁度がOD600=0.6となるまで撹拌培養した後に、終濃度1mMとなるようにイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを添加し、さらに37℃で3時間撹拌培養することで行った。培養後、遠心分離(9,000rpm, 20min)により集めた菌体を、緩衝液(50mM NaH2PO4, 300mM NaCl(pH8.0))に懸濁後、氷冷下で超音波処理(10sec×5, interval 10sec)することによって完全に菌体を破砕した。この破砕物を遠心分離(9,000rpm, 20min)することによって得られた上清を可溶性タンパク質画分とした。
【0086】
(2)ケラタン硫酸分解活性(ケラタナーゼ活性)の測定
酵素の活性測定はPark−Johnson法(J. Biol. Chem. 181, p149 (1949))に従って行った。10mg/mlのサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸水溶液10μlに対し、実施例2の(1)で調製した可溶性タンパク質画分10μl、100mM酢酸緩衝液(pH6.0)180μlを加え、37℃で10分間反応させた。次に炭酸−シアン化物溶液を200μl加えて反応を停止し、フェリシアニド溶液200μlを加えた後、10分間沸騰水中で加熱した。続いて流水中で反応液を冷却し、第二鉄溶液1mlを加えて混合し、15分後の690nmの吸光度を測定した。また酵素量 1単位(1U)は、上記条件下で1分間に1μmolのガラクトースに相当する還元末端を生成する酵素量として定義した。ケラタン硫酸分解活性の測定結果を図2に示す。
【0087】
その結果、実施例2(1)で調製したDNAを導入した大腸菌から発現させたタンパク質の可溶性画分中に、ウシ血清アルブミン相当でタンパク質1mgあたり83mUのケラタナーゼ活性が認められた(図2の右側)。このことから、実施例1で得られたDNAがケラタナーゼをコードすることが示された。また当該DNAを挿入していない発現ベクターのみをトランスフォーメーションした大腸菌では、ケラタン硫酸分解活性は認められなかった(図2の左側)。
【0088】
実施例3 組換えタンパク質によるケラタン硫酸の分解
(1)大腸菌発現タンパク質によるサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の分解
実施例2で得られた組換えタンパク質のケラタナーゼ活性の有無と、その作用を調べるために、以下の実験を行った。
【0089】
実施例2の(1)で調製した大腸菌可溶性タンパク質画分(2mU/ml相当)、又はバチルス・サーキュランスKsT202株由来の精製ケラタン硫酸分解酵素(2mU/ml相当)と、終濃度2mg/mlのサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸を、100mM酢酸緩衝液(pH6.0)中、37℃で24時間反応させた(全 0.1ml)。
【0090】
(2)反応物のゲルろ過高速液体クロマトグラフィー
実施例3の(1)で調製した酵素反応後の溶液を、14,000rpmで10分間遠心分離し、遠心上清液10μlをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−HPLC)に付した。GPC−HPLCのカラムとしてTSK−GUARDCOLUMN PWXL(6.0 x 40mm)、TSK−GEL G4000PWXL(7.8 x300mm)、G3000PWXL(7.8 x 300mm)及びG2500PWXL(7.8 x 300mm)(いずれも東ソー株式会社製)をこの順番に連結させたものを用い、200mM NaClで溶出した。またカラム温度は35℃、流速は0.6ml/分とした。なお、これと同一の条件で標準物質(ケラタナーゼIIによるサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の分解物であるケラタン硫酸オリゴ糖)を付したところ、硫酸化ケラタン四糖および硫酸化ケラタン二糖の保持時間はそれぞれ40.6分及び43.0分であった。
【0091】
GPC−HPLCの結果を図3に示す。酵素の代わりに蒸留水を添加した場合(図3中の(A))には、サメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の低分子化は見られなかった。一方、国際公開WO96/16166に記載の方法で精製したバチルス・サーキュランス KsT202株由来のケラタン硫酸分解酵素を添加した場合(図3中の(B))、又は実施例2の(1)で調製した可溶性タンパク質画分を添加した場合(図3中の(C))には、分解産物である低分子化合物が見られた。保持時間からみて、図中のピークI及びIIはそれぞれ硫酸化ケラタン四糖および硫酸化ケラタン二糖であると考えられた。また図3中の(B)と(C)のクロマトグラムがほぼ一致していることから、大腸菌に導入したDNAが、バチルス・サーキュランス KsT202株のケラタナーゼをコードするDNAであることが確認された。
【0092】
【発明の効果】
本発明DNAは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAであり、本発明ベクターや本発明プローブの作製などに利用できることから極めて有用である。本発明ベクターは、本発明形質転換体の製造に利用することができることから極めて有用である。本発明形質転換体は、本発明製造方法に利用できることから極めて有用である。本発明製造方法は、耐熱性ケラタナーゼを効率よく大量に生産できることから極めて有用である。本発明プローブは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAやRNAの検出・定量用試薬等として利用しうることから、極めて有用である。
【0093】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】クローニングされたケラタナーゼの、タンパク質ホモロジー解析結果の模式図を示す。
【図2】本発明DNA(本発明ベクター)を用いて発現させたポリペプチドのケラタン硫酸分解活性を示す。
【図3】ケラタン硫酸を本発明DNA(本発明ベクター)を用いて発現させたポリペプチドと反応させた場合の分解産物のパターンを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNA、このDNAを保持するベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、これを用いた耐熱性ケラタナーゼの製造方法、及び耐熱性ケラタナーゼに関するハイブリダイゼーション用プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
国際公開WO96/16166には、下記の理化学的性質を有するケラタン硫酸分解酵素(ケラタナーゼ)が開示されている。
(1)作用:ケラタン硫酸に作用し、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
(2)基質特異性:ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用して、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(3)至適反応温度:50〜60℃(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)
(4)熱安定性:少なくとも45℃以下で安定(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)
(5)至適反応pH:4.5〜6(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)
(6)pH安定性:6〜7(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)
この酵素は熱安定性が高く、バッチ分解法や固定化酵素分解法で硫酸化ケラタン硫酸二糖や四糖を製造する際に好ましく用いることができるが、この酵素の調製はもっぱらこの酵素を産生する微生物(バチルス・サーキュランス)を培養し、その培養物から採取することに頼っていた。
【0003】
この酵素をコードするDNAが得られれば、そのDNAをバチルス・サーキュランスよりもさらに取扱いが容易な宿主に導入することによって、この酵素をさらに容易、大量、かつ安価に生産・取得することができる。また、この酵素をコードするDNAが得られれば、これを遺伝子工学的に改変して更に酵素活性を向上させた酵素を作製したり、この酵素の生産性を更に向上させる等の応用の可能性が広がることとなる。しかしこの酵素のクローニングは未だ報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硫酸化ケラタン硫酸二糖や四糖を製造に極めて有用な耐熱性ケラタナーゼをコードするDNA、このDNAを保持するベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、これを用いた耐熱性ケラタナーゼの製造方法、及び耐熱性ケラタナーゼに関するハイブリダイゼーション用プローブを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねることにより、前記の耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAの取得に成功した。さらに、このDNAを保持させたベクターを作製し、このベクターを用いて形質転換体を作製し、この形質転換体を用いて耐熱性ケラタナーゼを製造し、これにより製造された酵素が真にケラタナーゼ活性を有していることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)下記の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA(以下、本発明DNAともいう)。
(A)配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチド。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
ここで、(B)のポリペプチドは、上記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましく、(イ)及び(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものがより好ましく、(イ)〜(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものがさらに好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
また本発明DNAは、下記(a)又は(b)のDNAであることがさらに好ましい。
(a)配列番号13に示すヌクレオチド配列を含むDNA。
(b)上記(a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNA。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
ここで、前記(b)のDNAによってコードされるポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましく、(イ)及び(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものがより好ましく、(イ)〜(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものがさらに好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
(2)本発明DNAを保持するベクター(以下、本発明ベクターともいう)。
本発明ベクターは、発現ベクターであることが好ましい。
(3)本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体(以下、本発明形質転換体ともいう)。
(4)本発明形質転換体を生育させ、その生育物からケラタナーゼを採取することを特徴とする、ケラタナーゼの製造方法(以下、本発明製造方法ともいう)。
(5)配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ(以下、本発明プローブともいう)。
ここで「配列番号13に示すヌクレオチド配列の一部」は、配列番号13におけるヌクレオチド番号1401〜4023で示されるヌクレオチド配列であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
<1>本発明DNA
本発明DNAは、下記の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNAである。
(A)配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチド。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
【0008】
ここで、配列番号14に示すアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列をコードするものとして、遺伝暗号の縮重による種々の異なった塩基配列を有するDNAが存在することは、当業者であれば容易に理解されるところである。このような遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有するDNAも、本発明DNAに包含される。
【0009】
(A)における「配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド」とは、「配列番号14に示すアミノ酸配列のみから構成されるポリペプチド」だけでなく、このポリペプチドと、マーカーペプチド、シグナルペプチドなどのペプチドや、他の機能を有するポリペプチドとが融合したポリペプチド(融合ポリペプチド)であってもよい。例えばマーカーペプチドとの融合ポリペプチドは、本発明DNAによってコードされるポリペプチドを精製等する場合には特に好ましい。このようなマーカーペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えばプロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となり、インスリンシグナル配列等と融合させれば酵素を細胞外(培地等)に分泌させることができる。また、他の機能を有するポリペプチドとの融合タンパク質とすることにより、本発明DNAによってコードされるポリペプチドが有するケラタナーゼとしての機能と、他のポリペプチドの機能とを併せ持ったポリペプチドとすることができる。
【0010】
(B)において「1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有する」とは、前記(イ)の性質を実質的に害さない限りにおいて1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を有していてもよいことを意味する。
【0011】
天然に存在するポリペプチドには、それをコードするDNAの多型や変異の他、生成後のポリペプチドの生体内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず、変異を有しないポリペプチドと実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。前記の(B)は、このように構造的に若干の差異があってもその機能については大きな違いが認められないポリペプチドを包含させる趣旨であり、このようなポリペプチドをコードするDNAも本発明DNAに包含される。
【0012】
また、ポリペプチドをコードするDNAに人為的に上記のような変異を導入した場合も同様であって、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することができる。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中の、あるシステイン残基をセリン残基に置換したポリペプチドが、IL−2活性を保持することが知られている(Science,224,1431(1984))。また、ある種のポリペプチドは、活性には必要ないペプチド領域を有していることが知られている。例えば細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、または活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するポリペプチドであり、このようなポリペプチドをコードするDNAも本発明DNAに包含される。
【0013】
なお、本明細書における「数個のアミノ酸」は、例えば800アミノ酸からなるポリペプチドの場合、2〜40程度、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10以下の数を示す。
【0014】
前記(イ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、N−アセチルグルコサミニド結合の加水分解活性の有無を指標として、前記(イ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0015】
前記(イ)の性質を実質的に害さない1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を引き起こすようなヌクレオチドの変異は、自然条件下でも起こりうる。また、前記(イ)の性質を実質的に害さないようなアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を引き起こすために、人工的にヌクレオチドを置換、欠失、挿入又は転位させることもできる。
【0016】
このような、DNA中のヌクレオチドの置換、欠失、挿入又は転位は、「導入すべき変異点を中心とする両側の配列を含み、かつ制限酵素切断末端を両端に有するDNA断片」を合成し、これを未変異のDNAにおける対応する部分と入れ換えることによってDNAに導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits,H.J.,Meth. in Enzymol., 154, 350(1987);Kunkel,T.A. et al., Meth. in Enzymol.,154,367(1987))などの方法によってもヌクレオチドの置換、欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0017】
また、ある種のポリペプチドでは、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、または活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するポリペプチドである。このようなポリペプチドとして上記(B)のポリペプチドが挙げられる。
【0018】
(B)のポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
【0019】
ケラタン硫酸には、動物の角膜中に存在するケラタン硫酸Iと、軟骨などの組織に含まれるケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸とがあり、いずれも「ガラクトースとN−アセチルグルコサミンの二糖を構成単位とするコポリマーであるが、前者がN−アセチルグルコサミンの6位の炭素原子に結合したヒドロキシル基が多いのに対し、後者はN−アセチルグルコサミンの6位及びガラクトースの6位の両方の炭素原子に結合したヒドロキシル基が硫酸化された「二硫酸2糖」成分の占める割合が高い。
【0020】
前記(ロ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法や、後記実施例に示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−HPLC)を用いた方法等によって調べることができる。よって当業者であれば、ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用させた場合の生成物の組成を指標として、前記(ロ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0021】
(B)のポリペプチドは、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものが好ましい。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
【0022】
前記(ハ)及び(ニ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、このような至適反応温度や熱安定性を指標として、前記(ハ)及び(ロ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
【0023】
(B)のポリペプチドは、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加え、さらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものが好ましい。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
【0024】
前記(ホ)及び(ヘ)の性質の有無は、例えば国際公開WO96/16166に記載された方法によって調べることができる。よって当業者であれば、このような至適反応pHやpH安定性を指標として、前記(ホ)及び(ヘ)の性質を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を容易に検出し、選択することができる。
これらの中でも、(A)のポリペプチドをコードするDNAが好ましい。
【0025】
本発明DNAは、下記(a)又は(b)のDNAであることがさらに好ましい。
(a)配列番号13に示すヌクレオチド配列を含むDNA。
(b)上記(a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNA。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。
【0026】
上記(b)のDNAは、(a)のDNAによってコードされるタンパク質と一次構造的には異なるが、同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAを包含せしめる趣旨である。(b)において「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等参照)。「ストリンジェントな条件」として具体的には、50%ホルムアミド、4×SSC、50mMHEPES(pH7.0)、10×Denhardt’s solution、100μg/mlサケ***DNAを含む溶液中、42℃でハイブリダイズさせ、次いで室温で2×SSC、0.1%SDS溶液、50℃下で0.1×SSC、0.1%SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
【0027】
そして、このようなストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAの中から(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNAを選択することによって、(b)のDNAを取得することができる。DNAにコードされているポリペプチドにおける(イ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0028】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものが好ましい。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ロ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0029】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものが好ましい。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。
【0030】
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ハ)及び(ニ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
【0031】
(b)のDNAにコードされているポリペプチドは、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加えてさらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有するものが好ましい。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。
【0032】
DNAにコードされているポリペプチドにおける(ホ)及び(ヘ)の性質の有無は、前記と同様の方法で調べることができる。
これらの中でも、(a)のDNAが好ましい。
【0033】
本発明DNAには、本発明DNAに相補的なDNA又はRNAも包含される。さらに本発明DNAは、ポリペプチドをコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよく、この一本鎖およびこれと相補的な塩基配列を有するDNA鎖またはRNA鎖からなる二本鎖であってもよい。
また本発明DNAと、ある機能を有する又は他のポリペプチド等をコードするDNAとを連結させたDNAも、本発明DNAが保持されている限りにおいて、本発明DNAに包含される。
【0034】
本発明DNAは、もともとバチルス・サーキュランスから取得されたものであるが、遺伝子工学的手法や化学合成等により製造されたDNAも当然に本発明DNAに包含される。
本発明DNAの製造方法も特に限定されない。例えば、天然物(バチルス・サーキュランスなど)から単離することにより製造してもよく、遺伝子工学的手法や化学合成等によって製造してもよい。
【0035】
本発明DNAの中でも特に好ましい前記(A)及び(a)のDNAは、以下の遺伝子工学的手法によって初めて取得され、塩基配列決定されたものである。
【0036】
(1)精製された耐熱性ケラタナーゼ(国際公開WO96/16166参照)の内部アミノ酸配列を解析し、これに基づいてPCRプライマーを作製する。
【0037】
(2)(1)で取得したプライマーを用い、バチルス・サーキュランスKsT202株の染色体DNAを鋳型としてdegenerative PCRを行って、耐熱性ケラタナーゼをコードするcDNAの部分断片を取得する。
【0038】
(3)(2)で取得した部分断片の塩基配列に基づいて作製したプライマーを用い、染色体DNAの制限酵素処理物のセルフライゲートを鋳型としてInverse PCRを行い、このPCR産物の両端及び内部の塩基配列を決定する。決定された塩基配列に基づいて新たにプライマーを作製し、同様にInverse PCRと塩基配列決定を繰り返す。決定された塩基配列を繋ぎ合わせることによって、耐熱性ケラタナーゼの全DNA配列を決定する。
【0039】
天然物から本発明DNAを製造する場合の採取原は、耐熱性ケラタナーゼを保持するものである限りにおいて特に制限されないが、例えば、本出願人によって平成6年9月5日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に微生物受託番号FERMP−14516として寄託され、平成7年11月6日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された、バチルス・サーキュランスKsT202株(受託番号:FERM BP−5285)を用いることができる。
【0040】
<2>本発明ベクター
本発明ベクターは、本発明DNAを保持するベクターである。本発明ベクターによって保持される本発明DNAについては、前記「<1>本発明DNA」で説明した通りである。よって、本発明ベクターによって保持されることが最も好ましい本発明DNAは、前記(A)又は(a)のDNAである。
【0041】
また、本発明ベクターは後述する本発明製造方法に好ましく用いられることから、発現ベクターであることが好ましい。
本発明ベクターは、本発明DNAを公知のベクターに導入することによって製造することができる。
【0042】
本発明DNAを導入するベクターとしては、例えば、導入したDNAを発現させることが可能な適当な(好ましくは、プロモーター等の調節配列を含む)発現ベクター(ファージベクター或いはプラスミドベクター等)を使用することができ、本発明ベクターを組み込む宿主細胞で上記DNAを発現することが可能なベクターを適宜選択する。このような宿主−ベクター系としては、大腸菌(E. coli)と、pET(ストラタジーン社製)、pTrcHis(インビトロゲン社製)、pGEX(ファルマシア バイオテック社製)、pTrc99(ファルマシア バイオテック社製)、pKK233−3(ファルマシア バイオテック社製)、pEZZZ18(ファルマシア バイオテック社製)、pCH110(ファルマシア バイオテック社製)、pBAD(インビトロゲン社製)、pRSET(インビトロゲン社製)、及びpSE420(インビトロゲン社製)等の原核細胞用の発現ベクターとの組み合わせや、COS細胞、3LL−HK46細胞などの哺乳類細胞と、pGIR201(Kitagawa, H., and Paulson, J. C. (1994) J. Biol. Chem. 269, 1394−1401)、pEF−BOS(Mizushima, S., and Nagata, S. (1990) Nucleic Acid Res. 18, 5322)、pCXN2(Niwa, H., Yamanura, K. and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193−200)、pCMV−2(イーストマン コダック(Eastman Kodak)製)、pCEV18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1990))又はpSVL(ファルマシア バイオテック社製)等の哺乳類細胞用発現ベクターとの組み合わせの他、宿主細胞として昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示され、これらに対応する各種ベクターが例示される。上述の宿主−ベクター系の中でも特に大腸菌とpETとの組み合わせが好ましい。
【0043】
また、上記DNAを組み込むベクターは、組み込んだDNAがコードするタンパク質とマーカーペプチドやシグナルペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築されたものを用いることもでき、本発明ベクターを用いて発現されるケラタナーゼを精製等する場合には特に好ましい。上記ペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えば、プロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となる。
【0044】
いずれのベクターを用いる場合であっても常法に従って、上記DNAとベクターとを連結することが可能なように制限酵素などによって処理し、必要に応じて平滑化や粘着末端の連結を行った後、前記DNAとベクターとの連結をすることができる。
【0045】
<3>本発明形質転換体
本発明形質転換体は、本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体である。
ここでいう「宿主」は、本発明ベクターによる組換えが可能なものであればよいが、本発明ベクターの保持するDNA又はそのDNAを組み込んだ組換えベクターの機能を発揮できるものが好ましい。宿主としては、微生物細胞(菌体)、植物細胞、動物細胞等を用いることができ、大腸菌(E. coli)、酵母、枯草菌、昆虫細胞、哺乳類細胞(COS細胞、3LL−HK46細胞など)が例示される。宿主は、本発明ベクターにあわせて適宜選択することができるが、例えばpETをベースとする本発明ベクターを用いる場合には大腸菌を選択することが好ましい。
【0046】
宿主の本発明ベクターによる形質転換は、常法によって行うことができる。例えば、市販のトランスフェクション用試薬を用いる方法や、DEAE−デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子銃による方法等によって本発明ベクターを宿主に導入し、形質転換を行うことができる。
このようにして得られる本発明形質転換体は、後述する通り、ケラタナーゼの製造等に用いることができる。
【0047】
<4>本発明製造方法
本発明製造方法は、本発明形質転換体を生育させ、その生育物からケラタナーゼを採取することを特徴とする、ケラタナーゼの製造方法である。
【0048】
ここで「生育」とは、本発明形質転換体である微生物や細胞自体の増殖、本発明形質転換体である細胞を組み込んだ動物、昆虫等の生育を含む概念である。また、ここでいう「生育物」とは、本発明形質転換体を生育させた後の培地(培養液の上清)及び培養された宿主細胞、分泌物、排出物等を包含する概念である。生育の条件(培地や培養条件等)は、用いる宿主に合わせて適宜選択される。
【0049】
例えば宿主細胞として大腸菌を用いる場合は、LB培地等を主成分として適宜調製した培地を用いることができる。また例えば、宿主細胞としてCOS−7細胞を用いる場合には、2%程度のウシ胎仔血清(FCS)を含有するDMEM培地を用い、37℃条件下で培養することができる。
本発明製造方法によれば、用いる形質転換体に応じて種々の形態のケラタナーゼを産生させることができる。
【0050】
例えば、マーカーペプチドやシグナルペプチド等の他のペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築された発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、上記他のペプチドと融合したケラタナーゼが産生される。
生育物からのケラタナーゼの採取は、産生されるケラタナーゼの形態に応じて、公知のタンパク質の抽出・精製方法によって行うことができる。
【0051】
例えばケラタナーゼが、培地(培養液の上清)中に分泌される可溶性の形態で産生される場合には、培地を採取し、これをそのままケラタナーゼとして用いてもよい。またケラタナーゼが細胞質中に分泌される可溶性の形態、又は不溶性(膜結合性)の形態で産生される場合には、窒素キャビテーション装置を用いる方法、ホモジナイズ、ガラスビーズミル法、音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出、またはこれらの組み合わせ等の処理操作によってケラタナーゼを抽出することができ、抽出物をそのままケラタナーゼとして用いてもよい。
【0052】
これらの培地や抽出物から、ケラタナーゼをさらに精製することもでき、かつ好ましい。精製は、不完全な精製(部分精製)であっても、完全な精製であってもよく、ケラタナーゼの使用目的等に応じて適宜選択することができる。
【0053】
精製方法として具体的には、例えば硫酸アンモニウム(硫安)や硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外ろ過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組み合わせ等の処理操作が挙げられる。
【0054】
例えば、ケラタナーゼをプロテインAとの融合タンパク質として産生させれば、IgGを結合させた固相を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、Hisとの融合タンパク質として産生させれば、磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、FLAGとの融合タンパク質として産生させれば抗FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる。
【0055】
製造されたポリペプチドを精製し、そのアミノ酸配列や前記(イ)〜(ヘ)の性質の有無等を分析することによって、所望のケラタナーゼが製造されたか否か確認することができる。
後述の実施例により、本発明形質転換体を適当な条件下で生育させることによって酵素活性を有するケラタナーゼが発現されることが確認された。よって本発明製造方法は、酵素活性を有するケラタナーゼの大量調製に利用することができる。
【0056】
<5>本発明プローブ
本発明プローブは、本発明配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーション用プローブである。
【0057】
ここで「配列番号13に示すヌクレオチド配列の一部」は、配列番号13におけるヌクレオチド番号1401〜4023で示されるヌクレオチド配列であることが好ましい。
【0058】
本発明プローブは、配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的な配列を有するポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドを作成し、これをハイブリダイゼーションに適した標識(例えば、放射性同位体)で標識することによって得ることができる。
ポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドの長さは、本発明プローブを用いるハイブリダイゼーションの条件によって適宜選定される。
【0059】
本発明プローブは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAやRNAの検出や定量に用いることができ、ケラタナーゼの生物学的機能を調べる有用な道具となることが期待される。
【0060】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 ケラタナーゼをコードするDNAのクローニング
(1)バチルス・サーキュランスKsT202株の産生するケラタナーゼの内部アミノ酸配列の解析
バチルス・サーキュランスKsT202株(FERM BP−5285)から、国際公開WO96/16166号に記載の方法でケラタナーゼを単離精製した。精製した溶液の酵素活性は1.4U/mlであった。
この溶液の150μlを4%アガロースゲルに付し、50μlをポリアクリルアミドゲルに付して、それぞれドデシル硫酸ナトリウム(SDS)電気泳動を行った。
泳動後、それぞれのゲルについてクマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)染色及び亜鉛染色を行い、分子量200Kda付近に出現したメインのバンドを切り出した。
【0061】
アガロースゲルから切り出したバンドを含むゲルを、蒸留水中で15分間振とう撹拌しながら洗浄した。この洗浄を3回繰り返した後、ゲルの終濃度が0.5%となるように抽出バッファー(50mMトリス塩酸(pH8.0)、0.1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5% SDS)を添加し、75℃でゲルを完全に溶解させた。溶解後、試料を氷上で30分間静置し、さらに−80℃で2時間凍結させた後、氷上で溶解させた。次いでこの試料を遠心分離(8,000rpm、20分間)して上清(1.5ml)を回収し、0.4μgのリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社)を用いて、37℃で一晩酵素消化した。
【0062】
ポリアクリルアミドゲルから切り出したバンドを含むゲルについては、当該ゲルに等量(0.2ml)の抽出バッファー(200mMトリス塩酸(pH8.5), 0.2% SDS)を添加し、撹拌することによってゲル内にバッファーを浸透させた。次いで1μgのリシルエンドペプチダーゼを用いて、37℃で16時間酵素消化した。
次いで、リシルエンドペプチダーゼ処理した溶液の全量を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液(A液)で平衡化したDEAE Toyopearl(東ソー株式会社:4.6×150mm)(ガードカラムODS80Ts(2×250mm;東ソー株式会社))にアプライした。カラム温度を40℃に保持し、0.08% TFA含有70%アセトニトリル溶液(B液)を用いて各ペプチド断片を分離溶出した。なお溶出は流速0.18ml/分で行い、かつ、275分後のB液濃度が100%となるように直線的に濃度勾配をかけた。215nmのUV吸収によってペプチドを検出し、そのピークを分取することによって分画した。
【0063】
得られた各フラクションを、減圧濃縮機を用いて乾固させた。乾固した試料を4μlの70%メタノールに溶解後、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(5×5mm;ミリポア社)に添加して減圧条件下で乾燥させた。乾燥後のPVDF膜に4μlのバイオブレン試薬 (0.02mg/μlバイオブレン(PEバイオシステムズ社)、0.01% TFA及び70%メタノールを含有する) を加えて、再度減圧条件下で乾燥させることによってペプチド断片を膜に固定した。その後、プロテインシークエンサー(モデル473A ;PEバイオシステムズ社)を用いてアミノ酸配列の解析を行った。この解析によって得られたバチルス・サーキュランスKsT202株由来のケラタナーゼに由来するペプチド断片のアミノ酸配列(当該酵素の内部アミノ酸配列)を以下に示す(配列番号1〜3)。
【0064】
ペプチド1:DQLANVQN(配列番号1)
ペプチド2:QPALIPTIVDA(配列番号2)
ペプチド3:QGPADPPVTEP(配列番号3)
【0065】
(2)バチルス・サーキュランスKsT202株の染色体DNAの調製
バチルス・サーキュランスKsT202菌株を、白金耳を用いて500mlの培地(1% ペプトン(極東製薬工業株式会社)、0.5% ビール酵母エキスD−3(日本製薬株式会社)、0.25% エルリッヒ肉エキス(極東製薬工業株式会社)、0.5% K2HPO4、0.02% MgSO4(7H2O)、0.1% NaCl(ナカライテスク株式会社)及び0.5% サメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸(生化学工業株式会社製)を含有する。pH7.5)に接種し37℃で一晩撹拌培養した。培養液を二分して、それぞれについて以下の通り処理を行った。
【0066】
培養液を遠心分離(4,000rpm、20分)して集菌し、9mlのTE(1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む10mM Tris−HCl(pH 8.0)緩衝液)に懸濁させた。この菌体懸濁液に20mg/mlリゾチーム(シグマ社)を0.5ml添加した後、室温で20分間静置して溶菌させた。次いで0.5mlの10% SDS及び100μlの10mg/ml Proteinase K (ベーリンガー・マンハイム社;Boehringer Mannheim)を添加して55℃で1.5時間処理した。その後10mlのTE飽和フェノールを添加して5分間緩やかに撹拌し、遠心分離(1,700rpm、5min)した。
【0067】
遠心分離によって生じた水層を回収してプールし、これと等量のTE飽和フェノールを添加した。緩やかに撹拌した後、遠心分離(4,000rpm、15分)することによって再度水層を回収した(12ml)。この水層に0.1mlの50mg/ml RNaseA (シグマ社)を添加して37℃で15分間処理した。処理後の溶液にこれと同量のPCI溶液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)を加えて5分間攪拌し、遠心分離(3800rpm、15分)することによって水層を回収した(9ml)。
【0068】
この水層に1mlの3M酢酸ナトリウムを添加した後、24mlのエタノールを添加して、緩やかに混和することによって染色体DNAを沈殿させた。遠心分離(8,000rpm、20min)によって沈殿を回収し、この沈殿を30mlの70%エタノールで洗浄した。次いで同様に遠心分離することによって沈殿を回収して風乾させた。風乾した沈殿を1mlのTEに懸濁させ、4℃で一晩静置して完全に溶解させて、染色体DNA溶液とした(DNA濃度0.5mg/ml)。
【0069】
(3)ケラタナーゼをコードするDNAのクローニング
前記(1)で示したペプチド断片のアミノ酸配列(内部アミノ酸配列)に基づいて、それぞれ以下の通りPCRプライマー(センスプライマー及びアンチセンスプライマー)を作製した。
【0070】
ペプチド1:
5’−GAYCARYTIGCIATYGTICARAT−3’(センス;プライマー1)(配列番号4)
5’−ATYTGIACRATIGCIARYTGRTC−3’(アンチセンス;プライマー2)(配列番号5)
【0071】
ペプチド2:
5’−YTIATICCIACIATIGTIGAYGC−3’(センス;プライマー3)(配列番号6)
5’−ATIGTIGGIATIARIGCIGGYT−3’ (アンチセンス;プライマー4)(配列番号7)
【0072】
ペプチド3:
5’−GCIGAYCCICCIGTIACIGARCC−3’(センス;プライマー5)(配列番号8)
5’−ACIGGIGGRTCIGCIGGICCYTG−3’(アンチセンス;プライマー6)(配列番号9)
【0073】
なお、プライマー1〜6における”R”はG又はAを、”Y”はT又はCを、”I”はイノシンを意味する。
次に、プライマー配列の基礎となったペプチド同士の全ての組み合わせ(6種類)でセンスプライマーとアンチセンスプライマーを組み合わせ、プライマーを各75 pmolと、Ex−Taq DNAポリメラーゼ(Takara)を用い、前記(2)で調製した染色体DNA 0.1μgを鋳型としてdegenerative PCRを行った。PCRの条件は「94℃,5分−(94℃,20秒−60℃,30秒−72℃,2分)を30サイクル−72℃,10分」とし、反応液の量は50μlとした。
【0074】
PCR後の溶液を電気泳動した結果、プライマー5及びプライマー4の組み合わせにおいて、メインバンドとして2.5kbpのPCR産物が得られ、またプライマー5及びプライマー2の組み合わせで0.5kbpのPCR産物が得られた。
これらのPCR産物をTOPO TA Cloningベクター(pCR4−TOPO)にサブクローニングし、PCR産物の両端の塩基配列をDNAシークエンサー(ABI PRISM 310(PEバイオシステムズ社))で決定した。また当該PCR産物の各種制限酵素処理断片をクローニングベクター(pBluescript IISK(−))にサブクローニングすることによって、同様に内部の塩基配列を決定した。2.5kbpの産物の塩基配列を配列番号10に示す。
【0075】
解析した結果、0.5kbpの産物の塩基配列は2.5kbpの産物の塩基配列中に全て含まれていた。すなわち、2.5kbpのPCR産物は「ペプチド1」をコードする配列を含んでいた。また、「ペプチド1」をコードするようなリーディングフレームにおいて終止コドンは存在しなかった。これらの結果から、2.5kbpのPCR産物はケラタナーゼをコードするDNAの一部であると推定された。
【0076】
次に当該PCR産物の上流及び下流に存在する未知の塩基配列を決定するために、Inverse PCRを行った。まずBglII(New England Biolabs)によって染色体DNAを処理した後、各種条件でセルフライゲーションを行った。決定済みのdegenerative PCR産物の塩基配列に基づいて新たに以下のPCRプライマー(センスプライマー及びアンチセンスプライマー)を作製し、当該染色体DNA断片のセルフライゲートを鋳型としてPCRを行った。PCRの条件は「94℃,5分−(94℃,15秒−60℃,30秒−72℃,7分)を10サイクル−(94℃,15秒−60℃,30秒−72℃,7分+20秒)を25サイクル」とした。
【0077】
5’−GATCTAGGGCCCAGTGTCGGGGGCGCGATGAATC−3’(センス;プライマー7)(配列番号11)
5’−TCGTAAGGGCCCTGCAGCGTCTTGCTGTAGTTAG−3’(アンチセンス;プライマー8)(配列番号12)
【0078】
PCR後の電気泳動においてメインバンドとして得られた2.5KbpのInverse PCR産物をpCR4−TOPOにサブクローニングしてPCR産物の両端の塩基配列を決定した。また当該PCR産物の各種制限酵素処理断片をpBluescript IISK(−)にサブクローニングすることによって、同様に内部の塩基配列を決定した。決定された塩基配列に基づいて新たにPCRプライマーを作製し、前記と同様のInverse PCRを繰り返して、塩基配列を決定した。決定された塩基配列を繋ぎ合わせることによって、バチルス・サーキュランスKsT202株のケラタナーゼの全DNA配列(5,811bp)を決定した。決定された塩基配列を、これに対応するアミノ酸配列とともに配列番号13に示す。また、このアミノ酸配列のみを配列番号14に示す。
【0079】
(4)ケラタナーゼタンパク質のドメイン解析
配列番号14に示すアミノ酸配列について、NCBI BLAST Home Page(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)の”tblastn”及び”CD(conserved domain)−Search”を用いてタンパク質ホモロジー検索を行った。解析結果の模式図を図1に示す。その結果、ケラタナーゼタンパク質は、アミノ酸番号307〜457(対応する塩基:配列番号13の塩基番号919〜1371)にセルロース結合ドメインVIを有していた(図1中の▲2▼)。また、C末端領域にS−layerホモロジードメインが存在していた(図1中の▲3▼)。また遺伝子解析ソフト(製品名:GENETYX−MAC、ゼネティックス社製 )を用いたシグナルペプチド予測によって、配列番号14におけるアミノ酸番号1−34(対応する塩基:配列番号13におけるヌクレオチド番号1−102)(図1中の▲1▼)がシグナルペプチドであることが予想された。
【0080】
実施例2 ケラタナーゼタンパク質の発現と酵素活性測定
(1)大腸菌における組換えケラタナーゼタンパク質の発現
実施例1で明らかとなったケラタナーゼをコードするDNAのヌクレオチド配列に基づいて、シグナルペプチドと予想される配列を除いたDNAを増幅する以下のPCRプライマーを作製した。なお、プライマー9にはBamHI切断サイトが、プライマー10にはEcoRI切断サイトがそれぞれ付加されている。
【0081】
5’−ATGGATCCTTCCATTCGTCAAGATCCGAC−3’(センス;プライマー9)(配列番号15)
5’−GCGAATTCGCCTTCAACAGCATGTTAAA−3’(アンチセンス;プライマー10)(配列番号16)
【0082】
その結果メインバンドとして得られた目的のDNAを含む5.7KbpのDNAフラグメントをクローニングベクターにサブクローニングした後、BamHI(New EnglandBiolabs)およびEcoRI(New England Biolabs)で切り出し、同制限酵素で処理した大腸菌タンパク質発現ベクターpET−22b(+)(Novagen)に挿入して、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフォーメーションした。
【0083】
実施例1の(2)で調製したKsT202株染色体DNA 0.5μgを鋳型に、プライマー9及びプライマー10を各25pmol、およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて、94℃,3min−(94℃,15sec−60℃,30sec−72℃,7min)×25サイクル−72℃,10minのPCRを行った(全 50μl)。
【0084】
PCRの結果メインバンドとして得られた目的のDNAを含む5.7KbpのDNAフラグメントをクローニングベクター(製品名pBluescript IIKS(+))にサブクローニングした後、BamHI(New England Biolabs)及びEcoRI(New England Biolabs)で切り出し、同制限酵素で処理した大腸菌タンパク質発現ベクターpET−22b(+)(Novagen)に挿入して、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフォーメーションした。
【0085】
目的酵素タンパク質の発現は、上記で得られた形質転換株を50 μg/mlのアンピシリン含有LB培地で37℃にて培養液の濁度がOD600=0.6となるまで撹拌培養した後に、終濃度1mMとなるようにイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを添加し、さらに37℃で3時間撹拌培養することで行った。培養後、遠心分離(9,000rpm, 20min)により集めた菌体を、緩衝液(50mM NaH2PO4, 300mM NaCl(pH8.0))に懸濁後、氷冷下で超音波処理(10sec×5, interval 10sec)することによって完全に菌体を破砕した。この破砕物を遠心分離(9,000rpm, 20min)することによって得られた上清を可溶性タンパク質画分とした。
【0086】
(2)ケラタン硫酸分解活性(ケラタナーゼ活性)の測定
酵素の活性測定はPark−Johnson法(J. Biol. Chem. 181, p149 (1949))に従って行った。10mg/mlのサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸水溶液10μlに対し、実施例2の(1)で調製した可溶性タンパク質画分10μl、100mM酢酸緩衝液(pH6.0)180μlを加え、37℃で10分間反応させた。次に炭酸−シアン化物溶液を200μl加えて反応を停止し、フェリシアニド溶液200μlを加えた後、10分間沸騰水中で加熱した。続いて流水中で反応液を冷却し、第二鉄溶液1mlを加えて混合し、15分後の690nmの吸光度を測定した。また酵素量 1単位(1U)は、上記条件下で1分間に1μmolのガラクトースに相当する還元末端を生成する酵素量として定義した。ケラタン硫酸分解活性の測定結果を図2に示す。
【0087】
その結果、実施例2(1)で調製したDNAを導入した大腸菌から発現させたタンパク質の可溶性画分中に、ウシ血清アルブミン相当でタンパク質1mgあたり83mUのケラタナーゼ活性が認められた(図2の右側)。このことから、実施例1で得られたDNAがケラタナーゼをコードすることが示された。また当該DNAを挿入していない発現ベクターのみをトランスフォーメーションした大腸菌では、ケラタン硫酸分解活性は認められなかった(図2の左側)。
【0088】
実施例3 組換えタンパク質によるケラタン硫酸の分解
(1)大腸菌発現タンパク質によるサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の分解
実施例2で得られた組換えタンパク質のケラタナーゼ活性の有無と、その作用を調べるために、以下の実験を行った。
【0089】
実施例2の(1)で調製した大腸菌可溶性タンパク質画分(2mU/ml相当)、又はバチルス・サーキュランスKsT202株由来の精製ケラタン硫酸分解酵素(2mU/ml相当)と、終濃度2mg/mlのサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸を、100mM酢酸緩衝液(pH6.0)中、37℃で24時間反応させた(全 0.1ml)。
【0090】
(2)反応物のゲルろ過高速液体クロマトグラフィー
実施例3の(1)で調製した酵素反応後の溶液を、14,000rpmで10分間遠心分離し、遠心上清液10μlをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−HPLC)に付した。GPC−HPLCのカラムとしてTSK−GUARDCOLUMN PWXL(6.0 x 40mm)、TSK−GEL G4000PWXL(7.8 x300mm)、G3000PWXL(7.8 x 300mm)及びG2500PWXL(7.8 x 300mm)(いずれも東ソー株式会社製)をこの順番に連結させたものを用い、200mM NaClで溶出した。またカラム温度は35℃、流速は0.6ml/分とした。なお、これと同一の条件で標準物質(ケラタナーゼIIによるサメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の分解物であるケラタン硫酸オリゴ糖)を付したところ、硫酸化ケラタン四糖および硫酸化ケラタン二糖の保持時間はそれぞれ40.6分及び43.0分であった。
【0091】
GPC−HPLCの結果を図3に示す。酵素の代わりに蒸留水を添加した場合(図3中の(A))には、サメ軟骨由来のケラタンポリ硫酸の低分子化は見られなかった。一方、国際公開WO96/16166に記載の方法で精製したバチルス・サーキュランス KsT202株由来のケラタン硫酸分解酵素を添加した場合(図3中の(B))、又は実施例2の(1)で調製した可溶性タンパク質画分を添加した場合(図3中の(C))には、分解産物である低分子化合物が見られた。保持時間からみて、図中のピークI及びIIはそれぞれ硫酸化ケラタン四糖および硫酸化ケラタン二糖であると考えられた。また図3中の(B)と(C)のクロマトグラムがほぼ一致していることから、大腸菌に導入したDNAが、バチルス・サーキュランス KsT202株のケラタナーゼをコードするDNAであることが確認された。
【0092】
【発明の効果】
本発明DNAは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAであり、本発明ベクターや本発明プローブの作製などに利用できることから極めて有用である。本発明ベクターは、本発明形質転換体の製造に利用することができることから極めて有用である。本発明形質転換体は、本発明製造方法に利用できることから極めて有用である。本発明製造方法は、耐熱性ケラタナーゼを効率よく大量に生産できることから極めて有用である。本発明プローブは、耐熱性ケラタナーゼをコードするDNAやRNAの検出・定量用試薬等として利用しうることから、極めて有用である。
【0093】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】クローニングされたケラタナーゼの、タンパク質ホモロジー解析結果の模式図を示す。
【図2】本発明DNA(本発明ベクター)を用いて発現させたポリペプチドのケラタン硫酸分解活性を示す。
【図3】ケラタン硫酸を本発明DNA(本発明ベクター)を用いて発現させたポリペプチドと反応させた場合の分解産物のパターンを示す図である。
Claims (14)
- 下記の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA。
(A)配列番号14に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチド。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。 - 前記(B)のポリペプチドが、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものである、請求項1に記載のDNA。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。 - 前記(B)のポリペプチドが、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものである、請求項2に記載のDNA。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。 - 前記(B)のポリペプチドが、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加え、さらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有することを特徴とする、請求項3に記載のDNA。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。 - 下記(a)又は(b)のDNAである、請求項1〜4いずれか1項に記載のDNA。
(a)配列番号13に示すヌクレオチド配列を含むDNA。
(b)上記(a)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列の全部又は一部を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、下記(イ)の性質を有するポリペプチドをコードするDNA。
(イ)ケラタン硫酸に作用して、そのN−アセチルグルコサミニド結合を加水分解する。 - 前記(b)のDNAによってコードされるポリペプチドが、前記(イ)の性質に加えてさらに下記(ロ)の性質を有するものである、請求項5に記載のDNA。
(ロ)ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸II及びケラタンポリ硫酸に作用し、主に硫酸化ケラタン硫酸二糖及び硫酸化ケラタン硫酸四糖を生成する。 - 前記(b)のDNAによってコードされるポリペプチドが、前記(ロ)の性質に加えてさらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するものである、請求項6に記載のDNA。
(ハ)至適反応温度が50〜60℃である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で10分間反応)。
(ニ)少なくとも45℃以下で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液(pH 6.0)中で1時間放置)。 - 前記(b)のDNAによってコードされるポリペプチドが、前記(ハ)及び(ニ)の性質に加え、さらに下記(ホ)及び(ヘ)の性質を有することを特徴とする、請求項7に記載のDNA。
(ホ)至適反応pHが4.5〜6である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃)。
(ヘ)pH6〜7で安定である(測定条件:0.1M 酢酸緩衝液及び10mM トリス−酢酸緩衝液中、37℃で1時間放置)。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAを保持するベクター。
- 発現ベクターである、請求項9に記載のベクター。
- 請求項9又は10に記載のベクターによって宿主が形質転換された形質転換体。
- 請求項11に記載の形質転換体を生育させ、その生育物からケラタナーゼを採取することを特徴とする、ケラタナーゼの製造方法。
- 配列番号13に示すヌクレオチド配列の全部又は一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ。
- 配列番号13に示すヌクレオチド配列の一部が、配列番号13におけるヌクレオチド番号1401〜4023で示されるヌクレオチド配列である、請求項13に記載のハイブリダイゼーション用プローブ。
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JP2002189080A Pending JP2004024189A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 耐熱性ケラタナーゼをコードするdna |
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JP (1) | JP2004024189A (ja) |
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WO2009005033A1 (ja) | 2007-06-29 | 2009-01-08 | National University Corporation Nagoya University | 神経障害に基づく機能不全の改善剤およびRhoキナーゼ活性化抑制剤 |
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2002
- 2002-06-28 JP JP2002189080A patent/JP2004024189A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009005033A1 (ja) | 2007-06-29 | 2009-01-08 | National University Corporation Nagoya University | 神経障害に基づく機能不全の改善剤およびRhoキナーゼ活性化抑制剤 |
JP5341756B2 (ja) * | 2007-06-29 | 2013-11-13 | 国立大学法人名古屋大学 | 神経障害に基づく機能不全の改善剤およびRhoキナーゼ活性化抑制剤 |
US8754036B2 (en) | 2007-06-29 | 2014-06-17 | National University Corporation Nagoya University | Method for treating neuropathic pain |
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