JP2004018635A - 水性ポリウレタンプライマーコート剤 - Google Patents

水性ポリウレタンプライマーコート剤 Download PDF

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Abstract

【課題】皮革、繊維、紙等の多孔性素材への浸透性、塗布作業性及び接着性に優れ、特に50〜70℃程度の低温乾燥(再活性)後、基材に直接塗布しても高い接着強度を示し、更に接着加工後の耐熱性にも優れる水性ポリウレタンプライマーコート剤を提供する。
【解決手段】自己乳化性の末端イソシアネート基含有親水性ウレタンプレポリマー(A)と数平均分子量が500〜20,000の範囲である疎水性樹脂(B)とから得られるポリウレタン樹脂水性分散体を用いてなり、該水性分散体の表面張力が40mN/m以下であり、(A)と(B)との固形分重量比が99/1〜40/60であり、(A)が親水性基としてアニオン性基、又はアニオン性基とノニオン性基を併有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に車両内装材、靴、鞄、衣類、手袋、家具等に使用される天然皮革、人口皮革、合成皮革等の皮革材料およびナイロン、ポリエステル等の繊維材料、更には紙、合成樹脂等の目止め剤、接着性改良剤等の処理剤として優れた性能を有する水性プライマーコート剤に関する。更に詳しくは、皮革、繊維、紙等に優れた浸透性を有し、これらの基材のみならず、合成樹脂、ゴム、金属、発泡体、ガラス等の基材に対しても優れた塗布性、接着性、耐熱性を持つ水性ポリウレタンプライマーコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水性分散体を使用した水性プライマーコート剤の開発が活発に行われている。この中でプラスチックフィルム(ナイロン、PET等)の表面改質を目的としてポリウレタン系、ポリエステル系等種々の水性プライマーコート剤が開発されている。しかしながら、これらのフィルム用プライマーコート剤は、ナイロン、PET等のフィルムの表面改質には適するが、一般にガラス転移点(Tg)が高く、しかも剛性が大きいために浸透性が要求される皮革、繊維、紙、および耐熱性の低い合成樹脂等に用いるプライマーコート剤としては、十分なものではなかった。とりわけ複雑な形状を有し、複数の素材が使用される靴や鞄、衣料等の接着加工においては、溶剤タイプのプライマーコート剤が主流である。これらの接着加工分野では、皮革、繊維等の多孔性材料に対して浸透性に優れ、これらの基材のみならず合成樹脂等の接着加工においても同様に塗布性、接着性、耐熱性等に優れる環境対応型の水性プライマーコート剤が強く要望されていた。また、基材に水性プライマーコート剤を塗布した後、溶剤である水を除去するため乾燥工程(通常、温度50〜70℃程度)を経るが、水性プライマーコート剤が基材および接着剤と高い接着強度を得るには、▲1▼乾燥工程で該プライマーコート剤が十分溶融することと、▲2▼基材に良く密着し凝集力を発現するための粘接着性と凝集性を併せ持つことが重要である。
【0003】
ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法については、例えば、米国特許第3036998号公報、米国特許第3756992号公報等に記載されており公知である。
【0004】
また、特開2001−335742号公報では、繊維、皮革、合成樹脂等の基材に風合いと機械物性を維持できる水性ポリウレタン樹脂塗工剤が示されているが、該公報では水性ポリウレタン樹脂の表面張力には触れておらず、更に機械物性の一定の条件範囲では繊維、皮革等の基材に良好な浸透性を有し、しかも基材および接着剤に対して優れた接着性、耐熱性をもつ水性プライマーコート剤としては不十分なものであった。
【0005】
また、特開平10−192004号公報では、ポリウレタン樹脂に架橋剤を添加して成形した靴用接着シートについて記載され、この中でポリウレタン系樹脂をベースプライマーとして使用しているが、何れも酢酸メチル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶かして使用される溶剤タイプのプライマーコート剤である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水性プライマーコート剤として各種基材、とりわけ皮革、繊維、紙等の多孔性素材への浸透性、塗布作業性及び接着性に優れ、特に50〜70℃程度の低温乾燥(再活性)後、基材に直接塗布しても高い接着強度を示し、更に接着加工後の耐熱性にも優れる水性ポリウレタンプライマーコート剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す特定のポリウレタン樹脂水性分散体をプライマーコート剤として使用することにより、各種基材への接着性、塗布作業性、及び接着加工後の耐熱性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、自己乳化性の末端イソシアネート基含有親水性ウレタンプレポリマー(A)と、数平均分子量が500〜20,000の範囲である疎水性樹脂(B)とから得られるポリウレタン樹脂水性分散体を用いてなり、該水性分散体の表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする水性ポリウレタンプライマーコート剤に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に述べる。
【0010】
本発明で使用する末端イソシアネート基含有親水性ウレタンプレポリマー(A)(以下、親水性ウレタンプレポリマー(A)と云う)とは、従来公知の方法により高分子量ポリオール、低分子量ポリオール、分子量300以下のポリアミンの少なくとも1種類以上から選ばれる活性水素を持つ物質とポリイソシアネートから得られる末端がイソシアネート基のウレタンプレポリマーであり、それ単独で水に分散できるものをいう。
【0011】
該親水性ウレタンプレポリマー(A)の製造において使用する高分子量ポリオールは、水酸基価が好ましくは10〜350mgKOH/g(以下単位省略)の範囲であり、より好ましくは水酸基価20〜300の範囲である。尚、ここで云う「水酸基価」とは、試料1gをアセチル化する際に、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
【0012】
本発明で使用する高分子量ポリオールの代表例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、これら高分子量ポリオールを単独あるいは混合物あるいは共重合物で使用しても構わない。特に、幅広い基材に対する接着性と価格からポリエステルポリオールが単独あるいは主体として使用される。
【0013】
上記ポリエステルポリオールとしては、公知慣用の種々のポリカルボン酸類と或いはそれらの諸反応性誘導体と公知慣用の種々の分子量300以下のポリオール化合物を公知慣用の種々の方法で反応させることにより調製される。
【0014】
該ポリカルボン酸類としては、例えば、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪(脂環)族ジカルボン酸、多官能成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸シクロヘキサントリカルボン酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物或いはエステル形成性誘導体、またテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びそれらの酸無水物もしくはエステル形成性誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらポリカルボン酸類は単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。また、環状エステルとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0015】
一方、親水性ウレタンプレポリマー(A)の製造で使用可能な分子量300以下のポリオール化合物として、特に代表的なものを例示すると、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオール、ビスフェノールA、ハイドロキノン、ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよびそれらのアルキレンオキシド付加体のポリオール、また多官能成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール等が挙げられる。これら分子量300以下のポリオールは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
また、上記ポリエーテルポリオールとして特に代表的なものを例示すると、活性水素原子(反応性水素原子)を有する化合物の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン又はエピクロルヒドリンなどのような種々の三員環もしくは四員環のエーテル化合物の単独或いは2種以上の混合物を開環重合して得られる重合体である。上記のようなポリエーテルポリオールの代表例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらポリエーテルポリオールは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。また、一部メタノール、ブタノール等のモノアルコールにてブロック化されたポリエーテルモノオールを高分子量化を阻害しない範囲で使用しても構わない。
【0017】
更に、上記ポリカーボネートポリオールとして特に代表的なものを例示すると、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール等のようなジオール類と、ジメチルカーボネート等によって代表されるようなジアルキルカーボネート或いはエチレンカーボネート等によって代表されるような環式カーボネートとの反応生成物等が挙げられる。これらポリカーボネートポリオールは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明において、ポリウレタン樹脂に水分散性(親水性)を持たせるための親水性基としては、カルボキシレート基及び/又はスルホネート基に代表されるアニオン性基が水に対する溶解性が強く親水性基として好ましい。
【0019】
該親水性基のポリウレタン樹脂固形分中の含有量は、ポリウレタン樹脂を水分散体にしたときの粒子径と強い相関性を有しており、カルボキシレート基及び/又はスルホネート基の親水性基量としてポリウレタン樹脂固形分に対して50〜1000mmol/kgとなるように調製することが好ましい。かかる範囲内であれば、耐水性を損なうことなく粒子安定性が好適な範囲となる。
【0020】
また、ポリウレタン樹脂に含まれるカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を中和するのに、例えば、アンモニア、トリエチルアミン等の有機アミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、ピリジン、モルホリン、Na、K、Li、Ca等の金属塩基から選ばれる少なくとも1種の中和剤を使用することができる。
【0021】
本発明で使用可能なカルボキシレート基を含有するポリオール化合物として代表的なものを例示すると、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等が挙げられ、これらをポリエステルを合成する際のポリオール成分として用いて得られるカルボキシレート基含有ポリエステルポリオールであっても構わない。
【0022】
また、スルホネート基を含むポリエステルポリオールをポリオール成分として使用しても構わない。代表的なものを例示すると、スルホネート基中にカチオンとしてプロトン、Na、K、Li、Ca等の金属イオン、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミンを含む5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸の如きジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体を含む芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオール、更に特公昭49−36693号に記載されているもの、ジアミノスルホネート等を使用することができる。
【0023】
エチレンオキサイドの繰り返し単位を少なくとも30重量%以上含有し、更に少なくとも1個以上の活性水素基を含有する数平均分子量300〜10,000のポリエチレン・ポリアルキレン共重合体等のノニオン性基含有化合物を併用することができる。ノニオン性基含有量としてポリウレタン樹脂固形分に対し0〜20重量%となるように調製することが好ましい。かかる範囲内であれば、耐水性を損なうことなく粒子安定性が好適な範囲となる。即ち、本発明の水性ポリウレタンプライマーコート剤は、親水性ウレタンプレポリマー(A)が、親水性基としてアニオン性基を有してもよく、又は、アニオン性基とノニオン性基を併有してもよい。
【0024】
本発明で使用する低分子量ポリオールは、ポリエステルポリオールの調整において前述した数平均分子量300以下のポリオールの具体例として記載したものと同様のポリオールが使用できる。
【0025】
更に、樹脂の凝集力を阻害しない範囲で、モノアルコールを使用しても構わない。代表的なものを例示すると、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、n−ヘキサノール等、分子量300以下のモノアルコールが挙げられる。
【0026】
本発明において使用可能な親水性ウレタンプレポリマー(A)の製造で使用可能な分子量300以下のポリアミンとして、特に代表的なものを例示すると、1,2−ジアミノエタン、1,2−ないしは1,3−ジアミノプロパン、1,2−ないしは1,3−ないしは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−ないしは1,4−ジアミノシクロヘキサン又は1,3−ジアミノプロパン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、更にはヒドラジン、又はアジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン誘導体、カナダ国特許第928,323号、特公昭49−36693号に記載されているもの、ジアミノスルホネート等を使用することができる。
【0027】
更に、分子内にアミノ基とアルコール性の水酸基を含有するアミノアルコールも使用することができ、例えば、エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエチレンアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
【0028】
一般的にポリアミン、及びアミノアルコールの使用は、プレポリマーの残イソシアネート基を鎖伸長することで高分子量化、耐久性(耐熱性等)の付与の目的で使用されるが、これらポリアミン、及びアミノアルコールをプレポリマー製造段階で使用しても構わない。本発明で使用するポリアミンとしては、耐久性を阻害しないためにも、官能基数が2以上のポリアミンを単独使用でもよく、2種類以上を併用し平均官能基数を2以上にして使用してもよい。分子量300以下のポリアミンとしては、残イソシアネート基に対して、好ましくは1.9当量比以下で使用でき、より好ましくは0.6〜1.0当量比の範囲で使用し鎖伸長することが、好ましい。かかる範囲であれば高分子量化する好適な範囲となり、耐久性及び耐光性に優れた性能が発現できる。
【0029】
本発明において、ポリウレタン樹脂水性分散体を調製する際に使用するポリイソシアネートとは、下記一般式[1]で示される化合物である。
R(NCO)n  一般式[1]
(但し、式中のRは任意の二価の有機基、n≧2である。)
で示されるような化合物である。
斯かるポリイソシアネートは従来より公知のものが何れも使用できるが、その中で特に代表的なものを例示すると、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ないしは1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名イソホロンジイソシアネート;IPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名水添MDI)、2−ないしは4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−ないしは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ないしは1,4−α,α,α’α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ないしは2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−、2,4’−ないしは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−ないしはm−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも、とりわけ機械的強度などの点からは、芳香族ジイソシアネート化合物の使用が望ましく、また、とりわけ耐久性、耐光性などの点からは、脂肪族ないしは脂環族ジイソシアネート化合物の使用が望ましい。
【0030】
最終水性ポリウレタン樹脂固形分に対するイソシアネート含有率は、8〜30%の範囲が好ましい。イソシアネート含有率がかかる範囲であれば、ウレタン分子の凝集力が好適となり、高い接着強度の発現が可能となり、好ましい。
【0031】
次いで、本発明で使用する疎水性樹脂(B)としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテル樹脂(ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)の中から選ばれる1種類以上の化合物、及び/又は少なくとも2種類以上からなる共重合体が挙げられる。これらの中でも、とりわけ幅広い接着性などの点からポリウレタン樹脂の使用が望ましく、また、価格の点からはポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテル樹脂が望ましい。
【0032】
疎水性樹脂(B)としては、親水性ウレタンプレポリマーとの反応性を考慮した場合、1級及び/又は2級アミノ基を含まないことが好ましい。
【0033】
また、疎水性樹脂(B)としてポリウレタン樹脂を使用する場合、基本的にはイソシアネート基が残存しないポリウレタン樹脂を使用するが、製造時点で残存する若干のイソシアネート基を含むポリウレタン樹脂を使用しても構わない。
【0034】
本発明で使用する疎水性樹脂(B)の数平均分子量は、好ましくは500〜20,000の範囲であり、より好ましくは800〜20,000の範囲であり、乾燥工程(通常、50〜70℃程度)で十分溶融するため、60℃以下の軟化温度を有することが好ましい。かかる範囲内であれば樹脂の凝集力を適度に緩和でき、長いタックタイムと接着強度及び耐熱性との良好なバランスを得ることが可能となる。尚、本発明で云う数平均分子量とは、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、GPC(測定機種:東ソー高速GPC HLC−8220)にて測定し、標準ポリスチレンを使用して作成した検量線から求めた数値である。
【0035】
本発明で使用する親水性ウレタンプレポリマー(A)と疎水性樹脂(B)の割合は、固形分重量比で、好ましくは(A)/(B)=99/1〜40/60の範囲であり、より好ましくは95/5〜50/50の範囲である。(A)と(B)との固形分重量比がかかる範囲内であれば、水分散性を損なうことなく安定な粒子形成が可能となり、更に樹脂の凝集力が好適な範囲となり、低温で加工を行ったときの初期接着性が向上し、好ましい。
【0036】
本発明で使用するポリウレタン樹脂水性分散体を調製する際、乳化時の微粒子形成、及び脱溶剤後のポリウレタン樹脂水性分散体中に含まれる残留溶剤を無くすことを考慮すると、沸点150℃以下の有機溶剤を使用することが望ましい。本発明で使用し得る沸点が150℃以下の有機溶媒として特に代表的なものを例示すると、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、テトラクロルエチレン等が挙げられ、これらは単独使用でもよく混合して使用してもよい。この中でポリウレタン樹脂に対する溶解性の高い溶媒として、特にアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンを単独あるいは混合溶剤として用いることは好適である。また、造膜助剤としてN−メチル−2−ピロリドン、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル等の溶剤を樹脂固形分に対して50重量%以下の含有量で使用しても構わない。
【0037】
本発明において、ポリウレタン樹脂水分散体を調製する際に公知公用の界面活性剤を併用することもできる。本発明で使用可能な界面活性剤とは、一般的には洗浄剤、乳化剤、分散剤、浸透剤、可溶化剤、起泡剤等として用いられ、希薄溶液の状態でその溶媒の表面張力や界面張力を著しく低下させるものをいう。通常、界面活性剤は極性の部分の種類により極性部分としてカルボン酸基、硫酸エステル基、アリルスルホン酸基等に代表されるように水中で分子が陰イオン化するアニオン型界面活性剤、極性部がアミン塩もしくは第四級アンモニウム塩等からなる分子が陽イオン化するカチオン型界面活性剤、極性部分が水酸基、エーテル基、エステル基等に代表されるように分子全体が非イオン性の非イオン型界面活性剤、一つの分子中にアニオンとカチオンの両方の極性基を含有している両性型界面活性剤がある。これらの界面活性剤の代表的なものを例示すると、以下のようなものが挙げられる。アニオン型界面活性剤としては、例えば、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸の如き脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムの如きアルキル硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムの如きアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの如きアルキルジアリルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸ジエタノールアミンの如きアルキルリン酸塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステルアンモニウムおよびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムの如きポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩の如きフッ素系活性剤、カルボン酸型の高分子活性剤などが挙げられる。また、カチオン型界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミンアセテートの如きアルキルアミン塩、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドの如き第四級アンモニウム塩などが挙げられる。また、非イオン型界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如きポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの如きポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルアミンの如きポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。また、両性型界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタインの如きアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドの如きアミンオキサイドなどが挙げられる。
【0038】
ポリウレタン樹脂水性分散体をプライマーコート剤として使用する上で、本発明の目的である浸透性、展延性等の塗布作業性に優れる性能を実現するためには、特にアニオン型界面活性剤及び/又は非イオン型界面活性剤を含有し、且つ該界面活性剤を含有したポリウレタン樹脂水性分散体の表面張力が40mN/m以下になるように調製することが好ましい。
【0039】
本発明において、界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂固形分に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましい範囲は0.05〜0.5重量%である。
【0040】
これら界面活性剤を使用する場合、例えば、乳化分散工程前のポリウレタン溶液、あるいはイソシアネート基が残存するプレポリマーに添加した後、乳化分散してもよく、或いは乳化分散工程終了後に添加しても構わない。界面活性剤の添加時期、添加方法については特に限定はしない。
【0041】
該ポリウレタン樹脂水性分散体を調製する際に、ウレタン化触媒を使用することができる。本発明で使用可能なウレタン化触媒として代表的なものを例示すると、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、又はN−メチルモルホリン等の種々の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、又はオクチル酸錫等の種々の金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の種々の有機金属化合物などが挙げられる。
【0042】
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を含む水性ポリウレタンプライマーコート剤は、該ポリウレタン樹脂単独でも構わないが、SBRラテックス樹脂やアクリルエマルジョンに代表されるポリウレタン樹脂以外の水性分散体を〔ポリウレタン樹脂固形分重量/全固形分重量×100〕で表される比率で、好ましくは1〜100重量%の範囲、より好ましくは10〜100重量%の範囲で併用しても構わない。
【0043】
更に、本発明の水性ポリウレタンプライマーコート剤の凝集性を阻害しない範囲で、通常の樹脂に使用される副資材及び添加剤、例えば、可塑剤、粘着付与剤(ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂石油樹脂、クマロン樹脂等)、充填剤、顔料、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防腐剤等を使用することも可能である。
【0044】
該水性ポリウレタンプライマーコート剤はこのもの単独でも使用できるが、更に耐久性を向上させる目的で、例えば、アミノ樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物のような2官能以上の化合物を架橋剤として使用することもできる。これらの中でもポリイソシアネート化合物が好ましく、ポリウレタン樹脂固形分に対して0〜50%の範囲で使用できる。
【0045】
上記ポリイソシアネート化合物の代表的なものを例示すると、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の3量体からなるポリイソシアネート化合物、又は該ポリイソシアネート化合物とエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、長鎖高級アルコール等の低分子活性水素化合物等からなるイソシアネート基末端の化合物等が挙げられる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、一層、具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」は特に断わりのない限り、全て重量基準であるものとする。尚、本発明における各種評価方法については以下の通りである。
【0047】
[表面張力の測定方法]
内径50mmのガラスシャーレに20℃に保持したポリウレタン樹脂水性分散体を20ミリリットル注ぎ入れ、自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−IV型(協和科学株式会社製)を用いて、ウイルヘルミー法にて測定した。尚、測定には白金板を使用した。
【0048】
[綿ブロードへの浸透性・展延性の評価方法]
綿ブロード基材にバーコーターにて塗布された水性ポリウレタンプライマーコート剤について、以下の基準により液面の均一塗布性の良否を目視で評価した。
◎:プライマーコート剤の液面が平滑で浸透性が良い。
○:プライマーコート剤の液面がほぼ平滑で浸透性が良い。
△:プライマーコート剤の液面が平滑でなく、一部ハジキがある。
【0049】
[初期接着強度の評価方法]
調製したプライマーコート剤を綿ブロードにバーコーター(#60)にて塗布した後、60℃で3分間乾燥(再活性)することによりプライマー処理された綿ブロードを得る。一方、PVC(塩化ビニル)シートには調製した接着剤をバーコーターにて同様に塗布し(塗布量=100g/m)、60℃で3分間乾燥(再活性)する。各々乾燥終了の15秒後に綿ブロードのプライマーコート剤処理面とPVCシートの接着剤面を貼り合わせて、ゴムローラーにて圧着する。得られた貼り合わせ試験片(20mm巾)について、貼り合わせてから2分後の180度剥離強度をデジタルフォースゲージ((株)イマダ製)にて測定した。
【0050】
[経時剥離強度の評価方法]
初期接着強度の評価の場合と同様にして作製した貼り合わせ試験片(20mm巾)について、貼り合わせ2時間後、デジタルフォースゲージにて180度剥離強度を測定した。
【0051】
[耐熱クリープ性の評価方法]
初期接着強度の評価の場合と同様にして作製した貼り合わせ試験片について、室温にて2時間養生硬化させた。該20mm巾の試験片に500gの錘を吊して80℃の熱風循環乾燥機に入れ、180度方向の耐熱クリープ試験を行った。100mmの標線間を剥離した時間を測定した。
【0052】
《参考例1》芳香族スルホン酸金属塩基含有ポリエステルポリオール(1)の調製温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチル(DMS)1480部と1,6−ヘキサンジオール1240部、及びジブチル錫オキサイド0.5部を仕込み、塔頂温度が60〜70℃になるように反応容器内温度を180〜190℃で反応物の酸価が1mgKOH/g以下(以下単位省略)になるまでエステル交換反応を行い、次に210℃で2時間反応させる。次いで、100℃まで冷却した後、ε−カプロラクトン2280部を仕込み、180℃で3時間開環重合反応することにより、表1に示すように水酸基価120mgKOH/g(以下単位省略)で、酸価0.3のポリエステルポリオール(1)を得た。
【0053】
【表1】
Figure 2004018635
【0054】
《参考例2》疎水性樹脂(U)の調整
1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステル(水酸基価=37.4)100部と、ネオペンチルグリコール3部と、メチルエチルケトン55部を加え充分撹拌し溶解させ、ヘキサメチレンジイソシアネート12部を加えて80℃で3時間反応を行った。次いで、メチルエチルケトン28部を投入し60℃まで冷却後、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステル(水酸基価=190)10部を加え、イソシアネート値が0.1%未満になるまで80℃にて反応を行い、不揮発分60%の数平均分子量15,000のウレタン系疎水性樹脂(U)を得た。このウレタン系疎水性樹脂(U)の高化式フローテスターを用いて測定した軟化温度は40℃であった。
【0055】
1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステル(水酸基価=37.4)100部と、ネオペンチルグリコール3部と、メチルエチルケトン79部を加え充分撹拌し溶解させ、ヘキサメチレンジイソシアネート15部を加えて80℃で3時間反応を行った。次いで、イソシアネート値が1.15%以下になるまで80℃にて反応を行い、不揮発分60%の数平均分子量4,000の疎水性ウレタンプレポリマー(U−P)を得た。
【0056】
《接着剤の調製》
参考例1で得たポリエステルポリオール(1)を50部と、メチルエチルケトン90部とを充分撹拌し溶解させ、イソホロンジイソシアネート(略称IPDI)55部を加えて80℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン(略称MEK)150部を加え60℃まで冷却後、ネオペンチルグリコール1部と、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステル(水酸基価=56.1)255部を加えて80℃にて反応を行い、イソシアネート値が0.79%以下になったら50℃まで冷却し、次いで水420部を加え乳化分散した後、10%ピペラジン水溶液43.8部(残イソシアネート基に対してアミン基として90当量%)を加えて乳化分散した。得られた乳化液を脱溶剤して不揮発分50%の水性分散体を得た。該水分散体100部にSN−シックナー A−812(サンノプコ(株)社製)を1部添加して増粘を行い、接着剤を調製した。
【0057】
《実施例1》
参考例1で得たポリエステルポリオール(1)を50部と、メチルエチルケトン90部とを充分撹拌し溶解させ、イソホロンジイソシアネート(略称IPDI)55部を加えて80℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン(略称MEK)150部を加え60℃まで冷却後、ネオペンチルグリコール1部と、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステル(水酸基価=56.1)255部を加えて80℃にて反応を行い、イソシアネート値が0.79%以下になったら、50℃まで冷却し親水性ウレタンプレポリマーを得た。それに参考例2で得た疎水性樹脂(U)150部を加えて均一に混合する。
次いで、水525部を加え乳化分散した後、10%ピペラジン水溶液43.8部(残イソシアネート基に対してアミン基として90当量%)を加えて乳化分散した。得られた乳化液を脱溶剤した後にネオコール YSK(ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム塩 有効成分70%:第一工業製薬(株))を0.2部添加することによって樹脂の流動開始温度150℃、不揮発分50%、表面張力35mN/mの水性分散体を得た。得られた該水性分散体100部にSN−シックナー A−812(サンノプコ(株)社製)を1部添加して増粘を行い水性プライマーコート剤を調製した。配合組成について、表2にまとめた。次に、調製したプライマーコート剤を綿ブロードにバーコーター(#60)にて塗布した後、60℃で3分間乾燥することによりプライマー処理された綿ブロードを得た。一方、PVCシートには上記で調製した接着剤をバーコーターにて同様に塗布し(塗布量=100g/m)、60℃で3分間乾燥した。各々乾燥終了の15秒後に綿ブロードのプライマーコート剤処理面とPVCシートの接着剤面を貼り合わせて、ゴムローラーにて圧着した。得られた貼り合わせ品について接着性能の評価を行った結果、表3に示した如く綿ブロードへの浸透性、展延性が良好であり、接着強度及び耐熱性に優れるものであった。
【0058】
《比較例1》
表2に示した如く、実施例1の疎水性樹脂(U)を使用しない以外は実施例1と同様の操作を行い、不揮発分50%、表面張力38mN/mの水性分散体を得た。得られた該水性分散体を実施例1と同様にしてプライマーコート剤を調製した後、綿ブロードのプライマーコート剤処理面とPVCシートの接着剤面を貼り合わせた。得られた貼り合わせ品について接着性能の評価を実施したところ、表3に示した如く、接着強度および耐熱性共に充分なものではなかった。
【0059】
《比較例2》
表2に示した如く、実施例1の疎水性樹脂(U)の使用量を1116部に変更する以外は実施例1と同様の操作を行ったが、乳化後の粒子安定性が悪く、結果的に水性分散体が凝集し、浸透性、接着性、耐熱性等の評価は不可能であった。
【0060】
《比較例3》
表2に示した如く、実施例1の親水性ウレタンプレポリマーに、疎水性樹脂(U)の代わりに疎水性ウレタンプレポリマー(U−P)を150部を加えて均一に混合する。次いで、水525部を加え乳化分散した後、10%ピペラジン水溶液59.7部(残イソシアネート基に対してアミン基として90当量%)を加えて乳化分散した。得られた乳化液を脱溶剤することによって不揮発分50%の水性分散体を得た。このものの表面張力は43mN/mであった。該水性分散体を実施例1と同様にしてプライマーコート剤を調製した後、綿ブロードのプライマーコート剤処理面とPVCシートの接着剤面を貼り合わせた。得られた貼り合わせ品について接着性能の評価を実施したところ、表3に示した如く、綿ブロードへの浸透性、展延性に劣り、接着強度および耐熱性も充分なものではなかった。
【0061】
【表2】
Figure 2004018635
【0062】
【表3】
Figure 2004018635
【0063】
【発明の効果】
本発明は、従来の水性ポリウレタンプライマーコート剤の問題点であった皮革、繊維等の多孔性基材に対する浸透性を改良し、接着性、耐熱性等に優れた水性プライマーコート剤を提供可能であり、皮革、繊維、紙、合成樹脂、ゴム、発泡体、金属等の各種基材の目止め剤、接着性改良剤等の処理剤として有用である。

Claims (3)

  1. 自己乳化性の末端イソシアネート基含有親水性ウレタンプレポリマー(A)と、数平均分子量が500〜20,000の範囲である疎水性樹脂(B)とから得られるポリウレタン樹脂水性分散体を用いてなり、該水性分散体の表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする水性ポリウレタンプライマーコート剤。
  2. 親水性ウレタンプレポリマー(A)と疎水性樹脂(B)との割合が、固形分重量比で(A)/(B)=99/1〜40/60である請求項1記載の水性ポリウレタンプライマーコート剤。
  3. 親水性ウレタンプレポリマー(A)が、親水性基としてアニオン性基、又はアニオン性基とノニオン性基を併有する請求項1又は2記載の水性ポリウレタンプライマーコート剤。
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