JP2004009457A - 生タイヤ成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビードコア廻りでのタイヤ部材の巻き上げを均一としながらも、タイヤ部材の密着、粘着を長期に亘って防止できる。
【解決手段】成形ドラム2は、中央円筒部3の軸方向両外側に、複数のセグメント11を有する拡径可能なビード受け具12と、セグメント11の外周面を周回するビードシールリング13とからなるビードロック手段3、及び巻上げ具20を有する巻上げ手段5を具える。ビードシールリング13は、セグメント11の外周面に位置する基部25から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具20と重なる翼部27を有するとともに、タイヤ部材Aとの離型性に優れる良離型性材で形成される。
【選択図】 図3
【解決手段】成形ドラム2は、中央円筒部3の軸方向両外側に、複数のセグメント11を有する拡径可能なビード受け具12と、セグメント11の外周面を周回するビードシールリング13とからなるビードロック手段3、及び巻上げ具20を有する巻上げ手段5を具える。ビードシールリング13は、セグメント11の外周面に位置する基部25から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具20と重なる翼部27を有するとともに、タイヤ部材Aとの離型性に優れる良離型性材で形成される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形ドラム上でカーカスを含む円筒状のタイヤ部材を積層形成した後、さらにこの成形ドラム上で、前記タイヤ部材を、ビードコア間ではトロイド状に膨張させかつビードコアよりも軸方向外側では巻上げることによって生タイヤに成形するシングルステージ方式の生タイヤ成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
このようなシングルステージ方式の生タイヤ成形装置の成形ドラムaは、一般に、図7にその主要部を拡大して示すように、軸方向に伸縮する中央円筒部bと、その軸方向両側に配されかつ拡径可能な複数のセグメントc1を有するビードロック手段cと、このビードロック手段cの軸方向外側に配されるブラダ−d1である巻上げ具を有する巻上げ手段dとを具えて構成される。
【0003】
ここで、前記巻上げ手段dでは、タイヤ部材AをビードコアBの廻りで均一に巻き上げるため、前記ブラダ−d1は、前記セグメントc1の外周面を覆うように、即ち、ブラダ−d1の一端/他端がセグメントc1の軸方向外側/内側で夫々支持されて取り付けられる。
【0004】
しかしこのことは、生タイヤ成形時、ブラダ−d1とタイヤ部材Aとの密着、粘着を招くため、生タイヤが成形ドラムaから取外し難くなり、生産効率の低下原因となる他、取外しの際に生タイヤを傷付けて品質を損ねるといった問題が生じる。
【0005】
そのため従来においては、前記セグメントc1の外周面に、離型剤を塗布しているが、持続性に欠けるなど充分満足しうる改善効果を得るに至っていない。
【0006】
そこで本発明は、セグメントの外側に、その外周面に位置する基部と、該基部から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と重なる翼部とを有するビードシールリングを設け、かつこのビードシールリングを、タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成することを基本として、ビードコア廻りでのタイヤ部材の巻き上げを均一としながらも、タイヤ部材の密着、粘着を長期に亘って防止でき、生産効率を高めかつ生タイヤの品質を向上しうる生タイヤ成形装置の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、成形ドラム上に積層形成されたカーカスを含む円筒状のタイヤ部材を、該タイヤ部材の軸方向両側に配したビードコア間をトロイド状に膨張させた本体部とともに、ビードコアよりも軸方向外側部分を巻上げて前記本体部に沿う巻上げ部を形成することによって生タイヤに成形するシングルステージ生タイヤ成形装置であって、
前記成形ドラムは、軸方向に伸縮する中央円筒部、その軸方向両側に配されかつ拡径移動する複数のセグメントを有するビード受け具と、前記セグメントの外周面を周回し前記タイヤ部材を介して前記ビードコアを気密に保持するビードシールリングとからなるビードロック手段、及びこのビードロック手段の軸方向外側に配されかつタイヤ部材の前記軸方向外側部分を巻上げる巻上げ具を有する巻上げ手段を具えるとともに、
前記ビードシールリングは、前記セグメントの外周面に位置する基部と、この基部から前記巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と軸方向にかつその半径方向外側で重なる重なり部をなす翼部とを有し、しかもこの翼部は、前記巻上げ具による巻上げにともなって立上がりかつ前記軸方向外側部分の少なくとも一部と前記巻上げ具との間に介在するとともに、
前記ビードシールリングは、前記タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成したことを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明では、前記良離型性材が、ポリウレタン樹脂、又は短繊維配合ゴムであることを特徴としている。
【0009】
又請求項3の発明では、前記巻上げ具は、ブラダであることを特徴としている。
【0010】
又請求項4の発明では、前記重なり部は、巻上げ前の状態において、軸方向の重なり巾を20〜50mmとしたことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明の生タイヤ成形装置を示す断面図、図2は生タイヤの成形過程を概念的に示す略図である。
【0012】
図2において、生タイヤ成形装置1は、成形ドラム2を具え、この成形ドラム2上で形成された円筒状のタイヤ部材Aを、このタイヤ部材Aの軸方向両側に配したビードコアB、B間の部分Ai(以下ビードコア間部分Aiという)ではトロイド状に膨張させて本体部A1を形成するとともに、ビードコアBよりも軸方向外側部分Aoでは巻上げて前記本体部A1に沿う巻上げ部A2を形成し、これによって生タイヤTを成形する。
【0013】
ここで、前記タイヤ部材Aは、カーカスを少なくとも含み、通常、インナーライナゴム、クリンチゴム、サイドウォールゴム、カーカス等のシート状のタイヤコンポーネントを成形ドラム2上で円筒状に巻回してなる前記タイヤコンポーネントの積層体として形成される。
【0014】
又前記成形ドラム2は、図1に示す如く、軸方向に伸縮することにより前記ビードコアB、B間を互いに接近させうる中央円筒部3と、この中央円筒部3の軸方向両外側に順次配されるビードロック手段4、及び巻上げ手段5を具える。
【0015】
前記中央円筒部3は、従来と略同構成のものが使用でき、本例では、支軸6に沿って軸方向にスライド移動しうる左右両側の側筒部分3A,3Aと、その中央に配される拡径可能な内筒部分3Bとから構成される場合を例示してる。なお前記側筒部分3Aは、支軸6に遊挿されるスライド筒7に、側板8を介して支持されており、又前記スライド筒7は、シリンダ、ボールネジ機構などの適宜の駆動手段(図示しない)によって、互いに接近及び離間移動しうる。又前記内筒部分3Bは、周方向に分割される複数の分割片からなり、前記支軸6に、シリンダ9・・・等を介して拡径自在に支持される。
【0016】
従って、この中央円筒部3では、前記内筒部分3Bが側筒部分3A,3Aと同径かつ横並びする伸状態J1から、前記内筒部分3Bが拡径して側筒部分3A,3Aと半径方向内外で重複する縮状態J2まで軸方向に伸縮でき、前記伸状態J1において、タイヤ部材Aが円筒状に積層形成される。又縮状態J2への過程で、内部に充填媒体(本例では空気)を供給することにより、タイヤ部材Aにおけるビードコア間部分Aiをトロイド状に膨張させて本体部A1を形成することができる。
【0017】
次に、前記ビードロック手段4は、図3、4に拡大して示すように、拡径移動する複数のセグメント11を有するビード受け具12と、前記セグメント11の外周面を周回し前記タイヤ部材Aを介してビードコアBを気密に保持するビードシールリング13とから構成される。
【0018】
前記セグメント11は、リング体を周方向に複数に分割してなる分割片であって、各セグメント11は、前記スライド筒7から立上がる軸方向内外のガイド板14、15の間で、縮径状態Y1(図1,3)から拡径状態Y2(図4)まで半径方向内外に移動可能に案内される。なお外のガイド板15には、本例では、各セグメント11と係合してこのセグメント11を半径方向内外に案内する案内溝或いは案内リブからなる案内部15Aが形成される。
【0019】
又前記セグメント11は、前記スライド筒7に外挿される摺動リング16の軸方向内外への横移動によって半径方向内外に移動する。本例では、前記セグメント11の内周面、及び摺動リング16の外周面には、互いに係合する同傾斜のコーン面Sが形成されており、前記摺動リング16の横移動によってセグメント11を半径方向に上げ下げしうる。
【0020】
なお本例では、前記摺動リング16は、前記内のガイド板14とスライド筒7との間のシリンダ室17に収容され、該シリンダ室17内への充填媒体(本例では空気)の充填によって軸方向外方に進出しうる。又各セグメント11は、その内側面に設ける周方向溝11A内に配されるリング状のバネ手段18によって連係し、そのバネ力によって前記セグメント11及び摺動リング16は、夫々縮径状態Y1に復帰される。
【0021】
次に、前記巻き上げ手段5は、タイヤ部材Aの前記軸方向外側部分Aoを巻上げる巻上げ具20を有する。この巻上げ具20は、本例では、充填媒体(本例では空気)の充填とともに膨出するブラダ21であって、前記外のガイド板15に隣り合いかつ前記スライド筒7に着脱自在に装着される固定板22に取り付けられる。前記固定板22は、その内側面、外側面に、前記ブラダ21の内端縁Ei,外端縁Eoを嵌入する凹部が設けられるとともに、該内端縁Ei,外端縁Eoは、前記内側面、外側面にボルト止めされる止めリング24との間で狭持されて取り付けられる。
【0022】
なお前記ブラダ21は、巻上げ前の状態、即ち膨出前の折り畳み状態においては、前記セグメント11の外周面より軸方向外方に控えて配されている。
【0023】
次に、前記ビードロック手段4のビードシールリング13は、図6に拡大して示すように前記セグメント11の外周面に位置する基部25と、この基部25から前記巻上げ具20側にのびてこの巻上げ具20と軸方向にかつその半径方向外側で重なる重なり部26をなす翼部27とを少なくとも有して形成される。
【0024】
本例では、ビードシールリング13には、前記基部25から軸方向内方にのびる延出部28が付設されるとともに、この延出部28の内方端28Eが、前記内のガイド板14の凹部内に嵌入されかつ止めリング29との間で狭持されることにより、ビードシールリング13は、内のガイド板14に取付けられる。
【0025】
又本例では、前記基部25は、その外周面を平坦面で形成する一方、その内周面には、前記セグメント11の外周面に設ける係止凹部30と係合することにより、軸方向への位置ズレを防ぐ係止凸部25Sを突設している。このとき、前記該係止凹部30は、本例では、その溝底30Aを軸方向内方に向かって深さが増す向きに傾斜させるとともに、軸方内側の溝壁30Bを外側の溝壁30Cよりも、半径方向線に対して緩傾斜で形成している。
【0026】
これは、拡径状態Y2(図4)において、ビードシールリング13は、その延出部28が内方端28E側に強く引っ張られるが、前記溝底30Aが前述の向きに傾斜することにより、位置ズレがし難くなるからである。又前記内側の溝壁30Bを緩傾斜とすることにより、前記延出部28の根元部分での破断を抑制できる。
【0027】
又前記ビードシールリング13は、前記タイヤ部材Aとの離型性に優れる良離型性材で形成される。
【0028】
ここで、前記「離型性に優れる」とは、少なくともブラダのタイヤ部材Aからの離型性よりも優れることを意味し、好ましくは、生タイヤTを成形ドラム2から取外す際、ビードシールリング13が生タイヤTから自然剥離しうる程度に離型性に優れることが望ましい。このような良離型性材として、例えばテフロン(デュポン社の商標)であるポリフルオルエチレン樹脂、ナイロン樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、及びゴム中に短繊維を配合させた短繊維配合ゴム等が挙げられる。しかし、ビードシールリング13には、20%以上の破断伸度を有することも好ましく、この観点から、前記ポリウレタン樹脂及び短繊維配合ゴムがより好ましく採用できる。
【0029】
このように、前記ビードシールリング13は、その翼部27が巻上げ具20(本例ではブラダ21)との重なり部26を形成しているため、図5に示すように、巻上げ具20による巻上げにともなって翼部27が立上げられる。このとき翼部27は、前記軸方向外側部分Aoと前記巻上げ具20との間に介在し、前記軸方向外側部分Aoを、その根元部分からビードコアBの廻りで均一に巻き上げることができる。
【0030】
そのためには、前記重なり部26の、巻上げ前の状態における軸方向の重なり巾W(図3に示す)を20〜50mmとすることが好ましい。重なり巾Wが20mm未満では、均一な巻き上げが難しく、又50mmを越えると、巻上げ時にしわになるという不具合が発生する。
【0031】
又前記ビードシールリング13は、良離型性材からなるため、生タイヤ成形時のタイヤ部材Aとの密着、粘着の発生がなく、従って、生産効率を高めうるとともに、粘着に起因する生タイヤTの傷付きを防止し、品質を向上できる。又ビードロック手段4と巻上げ手段5とが独立した構造をなすため、構造が簡易化でき、又メンテナンス性の向上にも貢献できる。
【0032】
又前記巻上げ具20としては、ブラダ21に限定されることがなく、例えば、特開平11−268150号公報等に開示される如く先端にターンアップローラを具えたメカニカルターンアップ機構であっても良い。
【0033】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0034】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、セグメントの外側に、その外周面に位置する基部から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と重なる翼部を有するビードシールリングを設け、かつこのビードシールリングを、タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成しているため、ビードコア廻りでのタイヤ部材の巻き上げを均一としながらも、タイヤ部材の密着、粘着を長期に亘って防止でき、生産効率を高めかつ生タイヤの品質を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生タイヤ成形装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】生タイヤの成形過程を概念的に示す略図である。
【図3】縮径状態のビードロック手段を巻上げ手段とともに拡大して示す断面図である。
【図4】拡径状態のビードロック手段を巻上げ手段とともに拡大して示す断面図である。
【図5】巻上げ手段による軸方向外側部分の巻き上げを示す断面図である。
【図6】ビードシールリングを拡大して示す断面図である。
【図7】従来技術を説明する成形ドラムの断面図である。
【符号の説明】
2 成形ドラム
3 中央円筒部
4 ビードロック手段
5 巻上げ手段
11 セグメント
12 ビード受け具
13 ビードシールリング
20 巻上げ具
21 ブラダ
25 基部
26 重なり部
27 翼部
A タイヤ部材
A1 本体部
A2 巻上げ部
Ao 軸方向外側部分
B ビードコア
T 生タイヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形ドラム上でカーカスを含む円筒状のタイヤ部材を積層形成した後、さらにこの成形ドラム上で、前記タイヤ部材を、ビードコア間ではトロイド状に膨張させかつビードコアよりも軸方向外側では巻上げることによって生タイヤに成形するシングルステージ方式の生タイヤ成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
このようなシングルステージ方式の生タイヤ成形装置の成形ドラムaは、一般に、図7にその主要部を拡大して示すように、軸方向に伸縮する中央円筒部bと、その軸方向両側に配されかつ拡径可能な複数のセグメントc1を有するビードロック手段cと、このビードロック手段cの軸方向外側に配されるブラダ−d1である巻上げ具を有する巻上げ手段dとを具えて構成される。
【0003】
ここで、前記巻上げ手段dでは、タイヤ部材AをビードコアBの廻りで均一に巻き上げるため、前記ブラダ−d1は、前記セグメントc1の外周面を覆うように、即ち、ブラダ−d1の一端/他端がセグメントc1の軸方向外側/内側で夫々支持されて取り付けられる。
【0004】
しかしこのことは、生タイヤ成形時、ブラダ−d1とタイヤ部材Aとの密着、粘着を招くため、生タイヤが成形ドラムaから取外し難くなり、生産効率の低下原因となる他、取外しの際に生タイヤを傷付けて品質を損ねるといった問題が生じる。
【0005】
そのため従来においては、前記セグメントc1の外周面に、離型剤を塗布しているが、持続性に欠けるなど充分満足しうる改善効果を得るに至っていない。
【0006】
そこで本発明は、セグメントの外側に、その外周面に位置する基部と、該基部から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と重なる翼部とを有するビードシールリングを設け、かつこのビードシールリングを、タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成することを基本として、ビードコア廻りでのタイヤ部材の巻き上げを均一としながらも、タイヤ部材の密着、粘着を長期に亘って防止でき、生産効率を高めかつ生タイヤの品質を向上しうる生タイヤ成形装置の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、成形ドラム上に積層形成されたカーカスを含む円筒状のタイヤ部材を、該タイヤ部材の軸方向両側に配したビードコア間をトロイド状に膨張させた本体部とともに、ビードコアよりも軸方向外側部分を巻上げて前記本体部に沿う巻上げ部を形成することによって生タイヤに成形するシングルステージ生タイヤ成形装置であって、
前記成形ドラムは、軸方向に伸縮する中央円筒部、その軸方向両側に配されかつ拡径移動する複数のセグメントを有するビード受け具と、前記セグメントの外周面を周回し前記タイヤ部材を介して前記ビードコアを気密に保持するビードシールリングとからなるビードロック手段、及びこのビードロック手段の軸方向外側に配されかつタイヤ部材の前記軸方向外側部分を巻上げる巻上げ具を有する巻上げ手段を具えるとともに、
前記ビードシールリングは、前記セグメントの外周面に位置する基部と、この基部から前記巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と軸方向にかつその半径方向外側で重なる重なり部をなす翼部とを有し、しかもこの翼部は、前記巻上げ具による巻上げにともなって立上がりかつ前記軸方向外側部分の少なくとも一部と前記巻上げ具との間に介在するとともに、
前記ビードシールリングは、前記タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成したことを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明では、前記良離型性材が、ポリウレタン樹脂、又は短繊維配合ゴムであることを特徴としている。
【0009】
又請求項3の発明では、前記巻上げ具は、ブラダであることを特徴としている。
【0010】
又請求項4の発明では、前記重なり部は、巻上げ前の状態において、軸方向の重なり巾を20〜50mmとしたことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明の生タイヤ成形装置を示す断面図、図2は生タイヤの成形過程を概念的に示す略図である。
【0012】
図2において、生タイヤ成形装置1は、成形ドラム2を具え、この成形ドラム2上で形成された円筒状のタイヤ部材Aを、このタイヤ部材Aの軸方向両側に配したビードコアB、B間の部分Ai(以下ビードコア間部分Aiという)ではトロイド状に膨張させて本体部A1を形成するとともに、ビードコアBよりも軸方向外側部分Aoでは巻上げて前記本体部A1に沿う巻上げ部A2を形成し、これによって生タイヤTを成形する。
【0013】
ここで、前記タイヤ部材Aは、カーカスを少なくとも含み、通常、インナーライナゴム、クリンチゴム、サイドウォールゴム、カーカス等のシート状のタイヤコンポーネントを成形ドラム2上で円筒状に巻回してなる前記タイヤコンポーネントの積層体として形成される。
【0014】
又前記成形ドラム2は、図1に示す如く、軸方向に伸縮することにより前記ビードコアB、B間を互いに接近させうる中央円筒部3と、この中央円筒部3の軸方向両外側に順次配されるビードロック手段4、及び巻上げ手段5を具える。
【0015】
前記中央円筒部3は、従来と略同構成のものが使用でき、本例では、支軸6に沿って軸方向にスライド移動しうる左右両側の側筒部分3A,3Aと、その中央に配される拡径可能な内筒部分3Bとから構成される場合を例示してる。なお前記側筒部分3Aは、支軸6に遊挿されるスライド筒7に、側板8を介して支持されており、又前記スライド筒7は、シリンダ、ボールネジ機構などの適宜の駆動手段(図示しない)によって、互いに接近及び離間移動しうる。又前記内筒部分3Bは、周方向に分割される複数の分割片からなり、前記支軸6に、シリンダ9・・・等を介して拡径自在に支持される。
【0016】
従って、この中央円筒部3では、前記内筒部分3Bが側筒部分3A,3Aと同径かつ横並びする伸状態J1から、前記内筒部分3Bが拡径して側筒部分3A,3Aと半径方向内外で重複する縮状態J2まで軸方向に伸縮でき、前記伸状態J1において、タイヤ部材Aが円筒状に積層形成される。又縮状態J2への過程で、内部に充填媒体(本例では空気)を供給することにより、タイヤ部材Aにおけるビードコア間部分Aiをトロイド状に膨張させて本体部A1を形成することができる。
【0017】
次に、前記ビードロック手段4は、図3、4に拡大して示すように、拡径移動する複数のセグメント11を有するビード受け具12と、前記セグメント11の外周面を周回し前記タイヤ部材Aを介してビードコアBを気密に保持するビードシールリング13とから構成される。
【0018】
前記セグメント11は、リング体を周方向に複数に分割してなる分割片であって、各セグメント11は、前記スライド筒7から立上がる軸方向内外のガイド板14、15の間で、縮径状態Y1(図1,3)から拡径状態Y2(図4)まで半径方向内外に移動可能に案内される。なお外のガイド板15には、本例では、各セグメント11と係合してこのセグメント11を半径方向内外に案内する案内溝或いは案内リブからなる案内部15Aが形成される。
【0019】
又前記セグメント11は、前記スライド筒7に外挿される摺動リング16の軸方向内外への横移動によって半径方向内外に移動する。本例では、前記セグメント11の内周面、及び摺動リング16の外周面には、互いに係合する同傾斜のコーン面Sが形成されており、前記摺動リング16の横移動によってセグメント11を半径方向に上げ下げしうる。
【0020】
なお本例では、前記摺動リング16は、前記内のガイド板14とスライド筒7との間のシリンダ室17に収容され、該シリンダ室17内への充填媒体(本例では空気)の充填によって軸方向外方に進出しうる。又各セグメント11は、その内側面に設ける周方向溝11A内に配されるリング状のバネ手段18によって連係し、そのバネ力によって前記セグメント11及び摺動リング16は、夫々縮径状態Y1に復帰される。
【0021】
次に、前記巻き上げ手段5は、タイヤ部材Aの前記軸方向外側部分Aoを巻上げる巻上げ具20を有する。この巻上げ具20は、本例では、充填媒体(本例では空気)の充填とともに膨出するブラダ21であって、前記外のガイド板15に隣り合いかつ前記スライド筒7に着脱自在に装着される固定板22に取り付けられる。前記固定板22は、その内側面、外側面に、前記ブラダ21の内端縁Ei,外端縁Eoを嵌入する凹部が設けられるとともに、該内端縁Ei,外端縁Eoは、前記内側面、外側面にボルト止めされる止めリング24との間で狭持されて取り付けられる。
【0022】
なお前記ブラダ21は、巻上げ前の状態、即ち膨出前の折り畳み状態においては、前記セグメント11の外周面より軸方向外方に控えて配されている。
【0023】
次に、前記ビードロック手段4のビードシールリング13は、図6に拡大して示すように前記セグメント11の外周面に位置する基部25と、この基部25から前記巻上げ具20側にのびてこの巻上げ具20と軸方向にかつその半径方向外側で重なる重なり部26をなす翼部27とを少なくとも有して形成される。
【0024】
本例では、ビードシールリング13には、前記基部25から軸方向内方にのびる延出部28が付設されるとともに、この延出部28の内方端28Eが、前記内のガイド板14の凹部内に嵌入されかつ止めリング29との間で狭持されることにより、ビードシールリング13は、内のガイド板14に取付けられる。
【0025】
又本例では、前記基部25は、その外周面を平坦面で形成する一方、その内周面には、前記セグメント11の外周面に設ける係止凹部30と係合することにより、軸方向への位置ズレを防ぐ係止凸部25Sを突設している。このとき、前記該係止凹部30は、本例では、その溝底30Aを軸方向内方に向かって深さが増す向きに傾斜させるとともに、軸方内側の溝壁30Bを外側の溝壁30Cよりも、半径方向線に対して緩傾斜で形成している。
【0026】
これは、拡径状態Y2(図4)において、ビードシールリング13は、その延出部28が内方端28E側に強く引っ張られるが、前記溝底30Aが前述の向きに傾斜することにより、位置ズレがし難くなるからである。又前記内側の溝壁30Bを緩傾斜とすることにより、前記延出部28の根元部分での破断を抑制できる。
【0027】
又前記ビードシールリング13は、前記タイヤ部材Aとの離型性に優れる良離型性材で形成される。
【0028】
ここで、前記「離型性に優れる」とは、少なくともブラダのタイヤ部材Aからの離型性よりも優れることを意味し、好ましくは、生タイヤTを成形ドラム2から取外す際、ビードシールリング13が生タイヤTから自然剥離しうる程度に離型性に優れることが望ましい。このような良離型性材として、例えばテフロン(デュポン社の商標)であるポリフルオルエチレン樹脂、ナイロン樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、及びゴム中に短繊維を配合させた短繊維配合ゴム等が挙げられる。しかし、ビードシールリング13には、20%以上の破断伸度を有することも好ましく、この観点から、前記ポリウレタン樹脂及び短繊維配合ゴムがより好ましく採用できる。
【0029】
このように、前記ビードシールリング13は、その翼部27が巻上げ具20(本例ではブラダ21)との重なり部26を形成しているため、図5に示すように、巻上げ具20による巻上げにともなって翼部27が立上げられる。このとき翼部27は、前記軸方向外側部分Aoと前記巻上げ具20との間に介在し、前記軸方向外側部分Aoを、その根元部分からビードコアBの廻りで均一に巻き上げることができる。
【0030】
そのためには、前記重なり部26の、巻上げ前の状態における軸方向の重なり巾W(図3に示す)を20〜50mmとすることが好ましい。重なり巾Wが20mm未満では、均一な巻き上げが難しく、又50mmを越えると、巻上げ時にしわになるという不具合が発生する。
【0031】
又前記ビードシールリング13は、良離型性材からなるため、生タイヤ成形時のタイヤ部材Aとの密着、粘着の発生がなく、従って、生産効率を高めうるとともに、粘着に起因する生タイヤTの傷付きを防止し、品質を向上できる。又ビードロック手段4と巻上げ手段5とが独立した構造をなすため、構造が簡易化でき、又メンテナンス性の向上にも貢献できる。
【0032】
又前記巻上げ具20としては、ブラダ21に限定されることがなく、例えば、特開平11−268150号公報等に開示される如く先端にターンアップローラを具えたメカニカルターンアップ機構であっても良い。
【0033】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0034】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、セグメントの外側に、その外周面に位置する基部から巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と重なる翼部を有するビードシールリングを設け、かつこのビードシールリングを、タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成しているため、ビードコア廻りでのタイヤ部材の巻き上げを均一としながらも、タイヤ部材の密着、粘着を長期に亘って防止でき、生産効率を高めかつ生タイヤの品質を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生タイヤ成形装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】生タイヤの成形過程を概念的に示す略図である。
【図3】縮径状態のビードロック手段を巻上げ手段とともに拡大して示す断面図である。
【図4】拡径状態のビードロック手段を巻上げ手段とともに拡大して示す断面図である。
【図5】巻上げ手段による軸方向外側部分の巻き上げを示す断面図である。
【図6】ビードシールリングを拡大して示す断面図である。
【図7】従来技術を説明する成形ドラムの断面図である。
【符号の説明】
2 成形ドラム
3 中央円筒部
4 ビードロック手段
5 巻上げ手段
11 セグメント
12 ビード受け具
13 ビードシールリング
20 巻上げ具
21 ブラダ
25 基部
26 重なり部
27 翼部
A タイヤ部材
A1 本体部
A2 巻上げ部
Ao 軸方向外側部分
B ビードコア
T 生タイヤ
Claims (4)
- 成形ドラム上に積層形成されたカーカスを含む円筒状のタイヤ部材を、該タイヤ部材の軸方向両側に配したビードコア間をトロイド状に膨張させた本体部とともに、ビードコアよりも軸方向外側部分を巻上げて前記本体部に沿う巻上げ部を形成することによって生タイヤに成形するシングルステージ生タイヤ成形装置であって、
前記成形ドラムは、軸方向に伸縮する中央円筒部、その軸方向両側に配されかつ拡径移動する複数のセグメントを有するビード受け具と、前記セグメントの外周面を周回し前記タイヤ部材を介して前記ビードコアを気密に保持するビードシールリングとからなるビードロック手段、及びこのビードロック手段の軸方向外側に配されかつタイヤ部材の前記軸方向外側部分を巻上げる巻上げ具を有する巻上げ手段を具えるとともに、
前記ビードシールリングは、前記セグメントの外周面に位置する基部と、この基部から前記巻上げ具側にのびてこの巻上げ具と軸方向にかつその半径方向外側で重なる重なり部をなす翼部とを有し、しかもこの翼部は、前記巻上げ具による巻上げにともなって立上がり前記軸方向外側部分の少なくとも一部と前記巻上げ具との間に介在するとともに、
前記ビードシールリングは、前記タイヤ部材との離型性に優れる良離型性材で形成したことを特徴とする生タイヤ成形装置。 - 前記良離型性材が、ポリウレタン樹脂、又は短繊維配合ゴムであることを特徴とする請求項1記載の生タイヤ成形装置。
- 前記巻上げ具は、ブラダであることを特徴とする請求項1又は2記載の生タイヤ成形装置。
- 前記重なり部は、巻上げ前の状態において、軸方向の重なり巾を20〜50mmとしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の生タイヤ成形装置。
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-06-05 JP JP2002164790A patent/JP2004009457A/ja active Pending
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