JP2004006904A - ワイヤを有する電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤからはんだへのCu溶出を極力抑制し、ワイヤ細り、溶断を防止できる電子部品を得る。
【解決手段】コア10の両端部に設けた電極13を、下から、下地金属(Ag)層13a、Niメッキ層13b、Sn−Niメッキ層13cとしたチップコイル。ワイヤ15の端末16,16は熱圧着によってSn−Niメッキ層13cに埋め込まれる。このチップコイルをリフローはんだする際、Sn−Niメッキ層13c中のNiがワイヤ15のCuが溶融はんだおよびメッキ層のSnに溶出するのを抑制する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻線型チップコイル等のワイヤを有する電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実装時に安定性の良好なチップコイルとして、特開平10−312922号公報記載のものが知られている。このチップコイルにおいて、電極は下地金属層とNiメッキ層とSnメッキ層とで構成され、ワイヤの端末は熱圧着によってSnメッキ層に埋め込まれた状態になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のチップコイルでは、実装(リフローはんだ付け)時に、ワイヤのCuが溶融はんだ及びメッキ層中のSnに溶出してワイヤ細りが発生し、これが進行するとワイヤの溶断といった不具合が生じる。一般に、コイルを構成するワイヤは絶縁被膜を有するため、被膜の耐熱性が高ければCuの溶出は避けられる。しかし、ワイヤの端末処理部は被膜が剥離された状態で電極に接続されているため、その部分が溶融はんだ及びメッキ層中のSnに溶解するという問題が発生する。特に、近年では電子部品の小型化が要求されてワイヤの細線化が進んでおり、Cuの溶出によるワイヤの細り、溶断の防止対策が求められている。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ワイヤからSnへのCu溶出を極力防止するようにした電子部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
以上の目的を達成するため、本発明は、絶縁性基体に巻回されたCuからなるワイヤの端末を、該絶縁性基体に形成された電極に潰した状態でロウ付けした電子部品において、前記電極を複数の導体層にて構成し、最も外側の導体層が前記ワイヤの端末からCuが溶出するのを防止する層であって、Sn−Ni合金層であることを特徴とする。
【0006】
前記溶出防止層の作用は、ワイヤのCuとはんだ及びメッキ層中のSnとの溶解速度を遅くし、あるいは溶解そのものを停止させる点にある。溶出防止層として好適な物質はCuであり、NiもCu溶出防止作用のある物質として本発明者によって確認され、Sn−Ni合金層として形成することで十分なCu溶出防止効果を発揮する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子部品の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態、図1及び図2参照)
図1は本発明の第1実施形態であるチップコイルを示す。このチップコイルはアルミナ等からなるコア10の胴部11にCuからなるワイヤ15を巻回し、この端末16,16をコア10の両端突部12,12に設けた電極13,13上に熱圧着にて固着したものである。
【0009】
電極13は、図1(C)に示すように、コア10上に、下から、下地金属層13a、Niメッキ層13b、Sn−Cuメッキ層13cにて構成されている。下地金属層13aは、Ag、Ag−Pd等のペーストを塗布し、焼結して形成したもので、その厚さは15μmである。Niメッキ層13bは耐はんだ性向上のために形成され、その厚さは1μm以上、好ましくは3μmである。Sn−Cuメッキ層13cは親はんだ層として形成され、かつ、ワイヤ15のCu溶出防止層として機能するためにCuを含有しており、その厚さは本実施形態にあっては14μmである。Sn−Cuメッキ層13cにおけるCuの含有比率は0.5〜30wt%である。Cu含有比率は少なくともCuとSnの共晶濃度であることが好ましく、上限ははんだ付け性の劣化の程度による。
【0010】
ワイヤ15はCuからなる直径20〜60μmの導体上にポリエステルイミド等の絶縁被膜を形成したもので、端末16,16は前記電極13に熱圧着によって、絶縁被膜が飛散した状態でSn−Cuメッキ層13cに埋められる。即ち、ヒータ20によって端末16,16を10N以上の荷重で300℃以上に加熱すると、Sn−Cuメッキ層13cが溶融して端末16,16が埋め込まれ、かつ、絶縁被膜が剥離されてCu導体がSn−Cuメッキ層13cにロウ付けされる。
【0011】
以上の構成からなるチップコイルを基板のランド上にリフローはんだによって実装すると、Sn−Cuメッキ層13cのCuがランド上の溶融はんだに溶出する。Sn−Cuメッキ層13cのCuが溶融はんだに溶解する速度とワイヤ15のCuが溶融はんだに溶解する速度は、前者が圧倒的に速く、ワイヤ15のCuの溶出が開始する前にランド上の溶融はんだがCuリッチな状態になる。これにて、ワイヤ15からのCu溶出が抑制され、ワイヤ細りや溶断が防止される。
【0012】
なお、前記Sn−Cuメッキ層13cに代えてSn−Niメッキ層を設けても、ワイヤ15からのCu溶出を抑制することができる。
【0013】
(第2実施形態、図3参照)
図3は本発明の第2実施形態であるチップコイルの電極部分のみを示す。この電極13は、コア10上に、下から、下地金属層13a、Niメッキ層13b、Cuメッキ層13d、Snメッキ層13eにて構成されている。下地金属層13a及びNiメッキ層13bは前記第1実施形態で説明したとおりである。Cuメッキ層13dはワイヤ15のCu溶出防止層として機能し、その厚さは、例えば2μm以上に形成される。このCuメッキ層13dは端末の熱圧着終了時に少なくとも1μm以上の厚みで残ることが好ましい。1μmより薄くなると、Cuの絶対量が少なくなり十分なCu溶出防止層として機能を果さなくなる。Snメッキ層13eは親はんだ層として形成され、その厚さは14μmである。
【0014】
ワイヤ15の端末16,16は、前記第1実施形態と同様に、電極13上にヒータ20で熱圧着され、Snメッキ層13eに埋め込まれ、絶縁被膜が剥離されてSnメッキ層13eにロウ付けされると共に、Cuメッキ層13dにも圧着される。
【0015】
基板のランド上にリフローはんだによって実装する際、本第2実施形態にあっては、Snメッキ層13eがランド上の溶融はんだに溶けた後にCuメッキ層13dが溶融はんだと接触する。すると、リフローの熱でランド上の溶融はんだにCuメッキ層13dが溶解し始め、溶融はんだは徐々にCuリッチな状態になる。このとき、剥き出しになったワイヤ端末16,16の表面積はCuメッキ層13dの表面積に比べて非常に小さいので、ワイヤ15のCuが溶融はんだ中のSnに溶解する量よりも、Cuメッキ層13dのCuが溶融はんだ中のSnに溶解する量の方が圧倒的に多い。即ち、ランド上の溶融はんだはワイヤ15の溶解が進行する前にCuメッキ層13dから溶出するCuでCuリッチな状態になってしまう。これにて、ワイヤ15からのCu溶出が抑制され、ワイヤ細りや溶断が防止される。
【0016】
なお、本第2実施形態の様に、電極13にワイヤ端末16,16を熱圧着する場合には、熱圧着時の熱でSnメッキ層13eとCuメッキ層13dが部分的に溶解し、熱圧着完了時にはSn−Cu合金層になる。もっとも、このような状態を得る場合、Cu層をやや厚く、例えば4μm〜5μm程度に形成しておいた後、ワイヤ端末を熱圧着することが好ましい。この場合、前記第1実施形態で説明した作用も奏することになる。
【0017】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る電子部品は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0018】
特に、本発明はチップコイル以外の巻線型インダクタに適用すること、あるいは巻線型インダクタとコンデンサ等の他の電気機能素子を複合した複合型電子部品にも幅広く適用可能である。また、絶縁性基体としては前記磁性コア10のみならず、セラミック基体であればよい。さらに、前記第1及び第2実施形態で示した電極13の積層構成、厚み寸法、材料はあくまで例示であり、要求されるスペックを満足するように適宜変更することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、電極を構成する少なくとも一つの導体層がワイヤからCuが溶出するのを防止する層としたため、電子部品の実装時にワイヤのCuがリフローはんだ中のSnに溶出することを極力抑制することができ、ワイヤ細りや溶断といった不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるチップコイルを示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は(B)のC−C断面図である。
【図2】前記チップコイルの電極へのワイヤ端末の熱圧着工程を示す断面図で、(A)は熱圧着直前、(B)は熱圧着時を示す。
【図3】本発明の第2実施形態であるチップコイルの電極へのワイヤ端末の熱圧着工程を示す断面図で、(A)は熱圧着直前、(B)は熱圧着時を示す。
【符号の説明】
10…コア
13…電極
13a…下地金属層
13b…Niメッキ層
13c…Sn−Cuメッキ層
13d…Cuメッキ層
13e…Snメッキ層
15…ワイヤ
16…端末

Claims (2)

  1. 絶縁性基体に巻回されたCuからなるワイヤの端末を、該絶縁性基体に形成された電極に潰した状態でロウ付けした電子部品において、前記電極は複数の導体層からなり、最も外側の導体層が前記ワイヤの端末からCuが溶出するのを防止する層であって、Sn−Ni合金層であることを特徴とする電子部品。
  2. 前記電極は、下から、下地金属層、Niメッキ層、Sn−Niメッキ層にて構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
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