JP2004002518A - ゴムスポンジの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的にショートすることのないEPDMゴムスポンジの提供を目的とする。
【解決手段】エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体と架橋剤と発泡剤とを含む混和物を加熱して発泡させるゴムスポンジの製造方法において、イ.前記架橋剤として過酸化物のみを使用すること、ロ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が100℃より高いこと、ハ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が互いに異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物とよりなり、前記第1の過酸化物の1分間半減期温度が第2の過酸化物の1分間半減期温度よりも高いことを要件とする。さらに好ましくは、ニ.前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差が18〜40℃であること、ホ.前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の混合比が、1:1〜20:1である。
【解決手段】エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体と架橋剤と発泡剤とを含む混和物を加熱して発泡させるゴムスポンジの製造方法において、イ.前記架橋剤として過酸化物のみを使用すること、ロ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が100℃より高いこと、ハ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が互いに異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物とよりなり、前記第1の過酸化物の1分間半減期温度が第2の過酸化物の1分間半減期温度よりも高いことを要件とする。さらに好ましくは、ニ.前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差が18〜40℃であること、ホ.前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の混合比が、1:1〜20:1である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(EPDM)からなるゴムスポンジの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(以下、単にEPDMとも記す。)からなるゴムスポンジは、耐オゾン性、熱老化性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性に優れ、しかも加工性が良好で、低価格なため、電気製品の各種ガスケット、パッキン材として使用されてきた。
【0003】
前記EPDMゴムスポンジの製造は、硫黄を添加して加硫架橋を行う方法が一般的であった。前記加硫架橋は、成形温度が低く、しかも短時間で架橋が完了するため、成形性に優れる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、電気製品が小型化する傾向にあり、ガスケットが装着されている筐体等のシール面と、電気の導通する基板等が接近するようになったため、ガスケットの部分でショートする障害が発生するようになった。前記ショートの原因は、基板の導線等に使用されている銀と、EPDMゴムスポンジに使用されている硫黄がガスケットの表面で反応し、硫化銀を形成することによると考えられる。また、前記EPDMゴムスポンジからなるガスケットは、LED表示板、特に小型のカーナビゲーションシステム等に使用されると、画像の乱れを生じる問題がある。この画像の乱れも、前記電気的なショートに起因すると考えられる。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みなされたもので、電気的にショートすることのないEPDMゴムスポンジの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体と架橋剤と発泡剤とを含む混和物を加熱して発泡させるゴムスポンジの製造方法において、イ.前記架橋剤として過酸化物のみを使用すること、ロ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が100℃より高いこと、ハ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が互いに異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物とよりなり、前記第1の過酸化物の1分間半減期温度が第2の過酸化物の1分間半減期温度よりも高いことの各要件を満たすことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差が18〜40℃、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の混合比(重量混合比)が1:1〜20:1であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、混和物を押出成形法により押出後、常圧下加熱して発泡させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2において、混和物を1次金型に充填し、加圧下加熱して発泡させる1次発泡と、前記1次発泡により得られた1次発泡体を2次金型に入れ、常圧下加熱して発泡させる2次発泡との2段階発泡により行うことを特徴とする。
【0010】
本発明における架橋剤としては、過酸化物のみが使用される。前記架橋剤としての過酸化物は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(EPDM)中において少なくともEPDMの流動開始温度(一般に100℃)以上の分解温度を有するものであって、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間に架橋結合を生じさせるラジカル発生剤である有機過酸化物等が用いられる。
【0011】
さらに本発明で使用される架橋剤は、1分間半減期温度が100℃よりも高いものである。その理由は、混和物を調製する際の練り加工時にエチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体が発熱して混和物が100℃になるため、前記1分間半減期温度が100℃よりも高い架橋剤を用いれば、前記混和物調製時に架橋反応が進行するのを抑えることができるからである。前記1分間半減期温度が100℃よりも高い架橋剤の例を、1分間半減期温度と共に次に示す。
【0012】
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度154℃)
α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(1分間半減期温度179℃)
クミルパーオキシオクテート(1分間半減期温度120℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度179℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分間半減期温度193℃)
1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬ヌーリー(株)製品;1分間半減期温度183℃)
キュメンハイドロパーオキサイド(日本油脂(株)製品;半減期温度255℃)
tert−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂(株)製品;半減期温度110℃)
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製品;半減期温度130℃)
tert−ブチルパーオクテート(日本油脂(株)製品;半減期温度135℃)
ジ−tert−ブチルパーオキシ−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製品;半減期温度152℃)
tert−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製品;半減期温度170℃)
【0013】
本発明では、前記過酸化物は、1分間半減期温度が異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物との2種類を組み合わせて使用される。その際、第1の過酸化物は、第2の過酸化物よりも1分間半減期温度が高いものとされる。前記1分間半減期温度が高い第1の過酸化物は架橋速度が遅く、それに対して1分間半減期温度が低い第2の過酸化物は架橋速度が速い。そのため、前記第1と第2の過酸化物の両者を用いることによって、架橋を良好に行うことができる。また、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差は18〜40℃とされる。この温度差とすることで、良好な架橋反応によるバランス良い発泡反応及び樹脂化反応を、より確実に実現できる。なお、前記温度差が小さすぎると、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物を混合しても混合使用による効果が低く、逆に温度差が大きすぎると反応のバランスが悪くなる。また、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の重量混合比は、1:1〜20:1の範囲とされる。この範囲とすることによって、より良好な反応を実現することができる。さらに、前記1分間半減期温度が低い第2の過酸化物の添加量は、前記混和物100重量部中0.5〜5重量部が好ましい。
【0014】
本発明における発泡剤は、前記EPDMの流動開始温度以上の分解温度を有するものである。例として、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げる。
【0015】
EPDMに用いられるジエン類には、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等がある。EPDMの具体例としては、住友化学(株)製のエスプレン501A、同505A、同514、同524、三井石油化学工業(株)製のEPT1045、同3045、同4010、同4021、日本合成ゴム(株)製のEP33、同35、同51等が挙げられる。
【0016】
なお、前記混和物には、助剤が適宜添加される。助剤としては、発泡剤の分解率調整剤や軟化剤等を挙げることができる。
【0017】
前記EPDMゴムスポンジの製造は、前記EPDM、架橋剤及び発泡剤さらには必要に応じて添加される助剤との混和物を押出成形後、常圧下加熱して発泡させる常圧発泡あるいは、前記混和物を金型に充填し加熱して5〜15倍に発泡させるプレス発泡により行われるが、特に高発泡倍率のゴムスポンジの製造は2段階発泡により行うのが好ましい。
【0018】
前記常圧発泡の場合は、前記EPDM、架橋剤、発泡剤及び適宜の助剤からなる混和物を混和物を公知の押出成形法により所要断面形状で押出し、その後キュア炉に導いて、常圧下で加熱する。前記キュア炉内は、前記押出品の搬入口から出口までの間が2段階の温度調整域で構成されている。すなわち、前記押出品の搬入側が120〜150℃、出口側が140〜230℃にされる。これによって、前記押出品を2段階で発泡させることができ、一度に最終発泡倍率まで発泡させないため、高発泡倍率であっても急激な膨張による割れ等を生じ難い。
【0019】
前記金型を用いるプレス発泡の場合の2段階発泡は、ジエン系ポリマーからなる発泡体の製造方法として知られている方法である。本発明では、前記EPDM、架橋剤、発泡剤及び適宜の助剤からなる混和物を、1次金型に充填し、加圧下で加熱して1次発泡を行い、それにより得られた1次発泡体を、非密閉の2次金型に入れて常圧で加熱して2次発泡させることにより、所望の密度からなる最終発泡体を得る。この2段階発泡によれば、一度に最終発泡倍率まで発泡させず、2段階に分けて順次発泡膨張させるため、10倍〜15倍の高発泡倍率であっても、急激な膨張による割れ等を生じることなく、品質のよいゴムスポンジが得られる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。メルトインデックス1.0のエチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(三井化学(株)製;EPDM4021)100重量部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド5重量部、架橋剤として、表1に示す第1の過酸化物と第2の過酸化物を、表2の割合で合計13重量部、更に発泡剤の分解率調整剤として酸化亜鉛と尿素系助剤をそれぞれ3重量部、軟化剤としてパラフィン系鉱物油を30重量部配合した発泡性組成物を各種調整し、これらの組成物を、表面温度100℃のロール上で混練して、各種組成の混和物を得た。
【0021】
前記各混和物6kgを、密閉式の1次金型(内寸法;410mm×410mm×40mm)内にそれぞれ充填し、140℃で12分間加熱した(1次発泡条件)。この加熱時、1次金型は密閉されているため、内部の混和物は加圧状態となる。前記時間経過後、まだ高温状態にある間に1次金型の密閉を解除して除圧し、それによって所定の大きさに1次発泡させ、その発泡品を1次金型から取り出して1次発泡体を得た。
【0022】
次いで、前記1次発泡体を、非密閉式の2次金型(内寸法;1000mm×1000mm×100mm)に入れ、165℃で12分間加熱した(2次発泡条件)。その際、2次金型は非密閉式であるため、内部の1次発泡体は常圧で加熱されて2次発泡する。前記時間経過後、型内の熱媒流路に常温の水を通水して60分間で室温にまで温度を下げ、前記2次発泡体を2次金型から取り出して所望のゴムスポンジを得た。
【0023】
表2に示す比較例3及び4は、表1の実施例2と同一の過酸化物を使用して第1の過酸化物と第2の過酸化物との混合比を本発明の範囲外としたものである。さらに比較例3については、発泡倍率が本発明の範囲外である2倍である。
【0024】
前記のようにして得られた実施例及び比較例に対して、JIS K 6350の全イオウ測定法にしたがいイオウの含有量を測定した。その結果、いずれもイオウの含有量は1000ppm以下であった。また、前記実施例及び比較例に対して、以下の試験方法で各種物性を調べた。その結果は表2に示すとおりである。表2における発泡倍率は、各ゴムスポンジの嵩密度の逆数とした。平均気泡径(μm)は、各ゴムスポンジにつき100個の気泡の直径を光学顕微鏡で観察測定し、その平均値で示した。引張強度(MPa)及び伸び(%)は、JIS K6251:97に準拠して測定した。また25%圧縮応力(kPa)及び25%圧縮永久歪(%)は、ASTM D 1056に準拠して測定した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
本実施例1〜3のゴムスポンジは、比較例1,2,4のゴムスポンジと比べて25%圧縮永久歪の値が半分以下と低く、ガスケットやパッキン材として好適なことがわかる。なお、比較例3は25%圧縮永久歪は低いが25%圧縮応力が極めて高く、ガスケットやパッキン材として使用された際に、硬すぎて良好なシール性が得難い。
【0028】
前記金型を用いる実施例の他に、押出成形を用いる常圧発泡による製造例を次に示す。前記実施例1と同じ発泡組成物からなる混和物を、押出成形機によって、外径15mm、内径10mmのチューブ状に押出し、その押出品をキュア炉に導いて常圧で加熱し、発泡させた。キュア炉は、押出品の搬入口から4mが140℃、続く4mが220℃に温度調整されたものである。前記キュア炉内の押出品搬送速度は2m/分である。キュア炉通過によって得られたゴムスポンジは、良好な発泡状態であった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゴムスポンジの製造方法によれば、架橋剤として硫黄を用いなくても、ガスケットやパッキン材として好適な物性のゴムスポンジが得られる。また、本発明の実施によって得られるゴムスポンジは、架橋剤として硫黄を用いていないため、小型電気製品のガスケットやパッキン材に使用された際に、基板等と接触しても電気的にショートするのを抑えることができる。さらに、小型のカーナビゲーションに使用された際には、硫黄に起因すると考えられる画像の乱れを生じ難くできる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(EPDM)からなるゴムスポンジの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(以下、単にEPDMとも記す。)からなるゴムスポンジは、耐オゾン性、熱老化性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性に優れ、しかも加工性が良好で、低価格なため、電気製品の各種ガスケット、パッキン材として使用されてきた。
【0003】
前記EPDMゴムスポンジの製造は、硫黄を添加して加硫架橋を行う方法が一般的であった。前記加硫架橋は、成形温度が低く、しかも短時間で架橋が完了するため、成形性に優れる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、電気製品が小型化する傾向にあり、ガスケットが装着されている筐体等のシール面と、電気の導通する基板等が接近するようになったため、ガスケットの部分でショートする障害が発生するようになった。前記ショートの原因は、基板の導線等に使用されている銀と、EPDMゴムスポンジに使用されている硫黄がガスケットの表面で反応し、硫化銀を形成することによると考えられる。また、前記EPDMゴムスポンジからなるガスケットは、LED表示板、特に小型のカーナビゲーションシステム等に使用されると、画像の乱れを生じる問題がある。この画像の乱れも、前記電気的なショートに起因すると考えられる。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みなされたもので、電気的にショートすることのないEPDMゴムスポンジの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体と架橋剤と発泡剤とを含む混和物を加熱して発泡させるゴムスポンジの製造方法において、イ.前記架橋剤として過酸化物のみを使用すること、ロ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が100℃より高いこと、ハ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が互いに異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物とよりなり、前記第1の過酸化物の1分間半減期温度が第2の過酸化物の1分間半減期温度よりも高いことの各要件を満たすことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差が18〜40℃、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の混合比(重量混合比)が1:1〜20:1であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、混和物を押出成形法により押出後、常圧下加熱して発泡させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2において、混和物を1次金型に充填し、加圧下加熱して発泡させる1次発泡と、前記1次発泡により得られた1次発泡体を2次金型に入れ、常圧下加熱して発泡させる2次発泡との2段階発泡により行うことを特徴とする。
【0010】
本発明における架橋剤としては、過酸化物のみが使用される。前記架橋剤としての過酸化物は、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(EPDM)中において少なくともEPDMの流動開始温度(一般に100℃)以上の分解温度を有するものであって、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間に架橋結合を生じさせるラジカル発生剤である有機過酸化物等が用いられる。
【0011】
さらに本発明で使用される架橋剤は、1分間半減期温度が100℃よりも高いものである。その理由は、混和物を調製する際の練り加工時にエチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体が発熱して混和物が100℃になるため、前記1分間半減期温度が100℃よりも高い架橋剤を用いれば、前記混和物調製時に架橋反応が進行するのを抑えることができるからである。前記1分間半減期温度が100℃よりも高い架橋剤の例を、1分間半減期温度と共に次に示す。
【0012】
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度154℃)
α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(1分間半減期温度179℃)
クミルパーオキシオクテート(1分間半減期温度120℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度179℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分間半減期温度193℃)
1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分間半減期温度148℃)
ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬ヌーリー(株)製品;1分間半減期温度183℃)
キュメンハイドロパーオキサイド(日本油脂(株)製品;半減期温度255℃)
tert−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂(株)製品;半減期温度110℃)
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製品;半減期温度130℃)
tert−ブチルパーオクテート(日本油脂(株)製品;半減期温度135℃)
ジ−tert−ブチルパーオキシ−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製品;半減期温度152℃)
tert−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製品;半減期温度170℃)
【0013】
本発明では、前記過酸化物は、1分間半減期温度が異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物との2種類を組み合わせて使用される。その際、第1の過酸化物は、第2の過酸化物よりも1分間半減期温度が高いものとされる。前記1分間半減期温度が高い第1の過酸化物は架橋速度が遅く、それに対して1分間半減期温度が低い第2の過酸化物は架橋速度が速い。そのため、前記第1と第2の過酸化物の両者を用いることによって、架橋を良好に行うことができる。また、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差は18〜40℃とされる。この温度差とすることで、良好な架橋反応によるバランス良い発泡反応及び樹脂化反応を、より確実に実現できる。なお、前記温度差が小さすぎると、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物を混合しても混合使用による効果が低く、逆に温度差が大きすぎると反応のバランスが悪くなる。また、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の重量混合比は、1:1〜20:1の範囲とされる。この範囲とすることによって、より良好な反応を実現することができる。さらに、前記1分間半減期温度が低い第2の過酸化物の添加量は、前記混和物100重量部中0.5〜5重量部が好ましい。
【0014】
本発明における発泡剤は、前記EPDMの流動開始温度以上の分解温度を有するものである。例として、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げる。
【0015】
EPDMに用いられるジエン類には、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等がある。EPDMの具体例としては、住友化学(株)製のエスプレン501A、同505A、同514、同524、三井石油化学工業(株)製のEPT1045、同3045、同4010、同4021、日本合成ゴム(株)製のEP33、同35、同51等が挙げられる。
【0016】
なお、前記混和物には、助剤が適宜添加される。助剤としては、発泡剤の分解率調整剤や軟化剤等を挙げることができる。
【0017】
前記EPDMゴムスポンジの製造は、前記EPDM、架橋剤及び発泡剤さらには必要に応じて添加される助剤との混和物を押出成形後、常圧下加熱して発泡させる常圧発泡あるいは、前記混和物を金型に充填し加熱して5〜15倍に発泡させるプレス発泡により行われるが、特に高発泡倍率のゴムスポンジの製造は2段階発泡により行うのが好ましい。
【0018】
前記常圧発泡の場合は、前記EPDM、架橋剤、発泡剤及び適宜の助剤からなる混和物を混和物を公知の押出成形法により所要断面形状で押出し、その後キュア炉に導いて、常圧下で加熱する。前記キュア炉内は、前記押出品の搬入口から出口までの間が2段階の温度調整域で構成されている。すなわち、前記押出品の搬入側が120〜150℃、出口側が140〜230℃にされる。これによって、前記押出品を2段階で発泡させることができ、一度に最終発泡倍率まで発泡させないため、高発泡倍率であっても急激な膨張による割れ等を生じ難い。
【0019】
前記金型を用いるプレス発泡の場合の2段階発泡は、ジエン系ポリマーからなる発泡体の製造方法として知られている方法である。本発明では、前記EPDM、架橋剤、発泡剤及び適宜の助剤からなる混和物を、1次金型に充填し、加圧下で加熱して1次発泡を行い、それにより得られた1次発泡体を、非密閉の2次金型に入れて常圧で加熱して2次発泡させることにより、所望の密度からなる最終発泡体を得る。この2段階発泡によれば、一度に最終発泡倍率まで発泡させず、2段階に分けて順次発泡膨張させるため、10倍〜15倍の高発泡倍率であっても、急激な膨張による割れ等を生じることなく、品質のよいゴムスポンジが得られる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。メルトインデックス1.0のエチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体(三井化学(株)製;EPDM4021)100重量部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド5重量部、架橋剤として、表1に示す第1の過酸化物と第2の過酸化物を、表2の割合で合計13重量部、更に発泡剤の分解率調整剤として酸化亜鉛と尿素系助剤をそれぞれ3重量部、軟化剤としてパラフィン系鉱物油を30重量部配合した発泡性組成物を各種調整し、これらの組成物を、表面温度100℃のロール上で混練して、各種組成の混和物を得た。
【0021】
前記各混和物6kgを、密閉式の1次金型(内寸法;410mm×410mm×40mm)内にそれぞれ充填し、140℃で12分間加熱した(1次発泡条件)。この加熱時、1次金型は密閉されているため、内部の混和物は加圧状態となる。前記時間経過後、まだ高温状態にある間に1次金型の密閉を解除して除圧し、それによって所定の大きさに1次発泡させ、その発泡品を1次金型から取り出して1次発泡体を得た。
【0022】
次いで、前記1次発泡体を、非密閉式の2次金型(内寸法;1000mm×1000mm×100mm)に入れ、165℃で12分間加熱した(2次発泡条件)。その際、2次金型は非密閉式であるため、内部の1次発泡体は常圧で加熱されて2次発泡する。前記時間経過後、型内の熱媒流路に常温の水を通水して60分間で室温にまで温度を下げ、前記2次発泡体を2次金型から取り出して所望のゴムスポンジを得た。
【0023】
表2に示す比較例3及び4は、表1の実施例2と同一の過酸化物を使用して第1の過酸化物と第2の過酸化物との混合比を本発明の範囲外としたものである。さらに比較例3については、発泡倍率が本発明の範囲外である2倍である。
【0024】
前記のようにして得られた実施例及び比較例に対して、JIS K 6350の全イオウ測定法にしたがいイオウの含有量を測定した。その結果、いずれもイオウの含有量は1000ppm以下であった。また、前記実施例及び比較例に対して、以下の試験方法で各種物性を調べた。その結果は表2に示すとおりである。表2における発泡倍率は、各ゴムスポンジの嵩密度の逆数とした。平均気泡径(μm)は、各ゴムスポンジにつき100個の気泡の直径を光学顕微鏡で観察測定し、その平均値で示した。引張強度(MPa)及び伸び(%)は、JIS K6251:97に準拠して測定した。また25%圧縮応力(kPa)及び25%圧縮永久歪(%)は、ASTM D 1056に準拠して測定した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
本実施例1〜3のゴムスポンジは、比較例1,2,4のゴムスポンジと比べて25%圧縮永久歪の値が半分以下と低く、ガスケットやパッキン材として好適なことがわかる。なお、比較例3は25%圧縮永久歪は低いが25%圧縮応力が極めて高く、ガスケットやパッキン材として使用された際に、硬すぎて良好なシール性が得難い。
【0028】
前記金型を用いる実施例の他に、押出成形を用いる常圧発泡による製造例を次に示す。前記実施例1と同じ発泡組成物からなる混和物を、押出成形機によって、外径15mm、内径10mmのチューブ状に押出し、その押出品をキュア炉に導いて常圧で加熱し、発泡させた。キュア炉は、押出品の搬入口から4mが140℃、続く4mが220℃に温度調整されたものである。前記キュア炉内の押出品搬送速度は2m/分である。キュア炉通過によって得られたゴムスポンジは、良好な発泡状態であった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゴムスポンジの製造方法によれば、架橋剤として硫黄を用いなくても、ガスケットやパッキン材として好適な物性のゴムスポンジが得られる。また、本発明の実施によって得られるゴムスポンジは、架橋剤として硫黄を用いていないため、小型電気製品のガスケットやパッキン材に使用された際に、基板等と接触しても電気的にショートするのを抑えることができる。さらに、小型のカーナビゲーションに使用された際には、硫黄に起因すると考えられる画像の乱れを生じ難くできる。
Claims (4)
- エチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合体と架橋剤と発泡剤とを含む混和物を加熱して発泡させるゴムスポンジの製造方法において、以下のイ〜ハの要件を満たすことを特徴とするゴムスポンジの製造方法。
イ.前記架橋剤として過酸化物のみを使用する。
ロ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が100℃より高い。
ハ.前記過酸化物は、1分間半減期温度が互いに異なる第1の過酸化物と第2の過酸化物とよりなり、前記第1の過酸化物の1分間半減期温度が第2の過酸化物の1分間半減期温度よりも高い。 - 第1の過酸化物と第2の過酸化物の1分間半減期温度の差が18〜40℃、前記第1の過酸化物と第2の過酸化物の混合比が1:1〜20:1であることを特徴とする請求項1に記載されたゴムスポンジの製造方法。
- 混和物を押出成形法により押出後、常圧下加熱して発泡させることを特徴とする請求項1又は2に記載されたゴムスポンジの製造方法。
- 混和物を1次金型に充填し、加圧下加熱して発泡させる1次発泡と、前記1次発泡により得られた1次発泡体を2次金型に入れ、常圧下加熱して発泡させる2次発泡との2段階発泡により、発泡倍率5〜15倍のゴムスポンジにすることを特徴とする請求項1又は2に記載されたゴムスポンジの製造方法。
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