JP2003527543A - 自動車トランスミッション用のシングルロッド・シフト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 自動車マニュアルトランスミッション、特に６段変速機のためのシングルロッド・シフト装置は中心シフト軸と、スライドスリーブに係合するシフト部材と、ロッキング装置とを有する。ロッキング装置はレバー（３、１１）を備えている。レバー（３、１１）の回転中心は軸方向移動可能に支承された中心シフト軸（１）の回転軸上にあり、レバーは半径方向駆動機構を介して中心シフト軸と連結されている。またシフト方向に不動にハウジングに配設されたロッキング部材（５）及びレバーの回転を中心シフト軸のシフト方向を横切るロッキング部材の直線運動に変換するリンク機構が設けられている。シフト部材及びロッキング部材の保持部材（１５、１５’）は、各保持部材がシフト方向に重なり合ったとき、シフト部材のシフトを阻止させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は中心シフト軸と、スライドスリーブに係合するシフトロッカアーム又
は二又スライダの形の二又形シフト部材と、シフト部材の１つを中立位置からシ
フト位置にシフトするときにシフトしないシフト部材を中立位置に係止するロッ
キング装置とを有する自動車マニュアルトランスミッション、特に６段変速機の
ためのシングルロッド・シフト装置に関する。

【０００２】 スライドスリーブに係合する二又形のシフトロッカアームを有し、シフトロッ
カアームが少なくとも１本のシフト軸によって平行な自在軸受の回りに中立位置
からシフト位置へ旋回され、変速機ハウジングに固設されたロッキング手段がシ
フトロッカアームに固定したロッキング用ロッカアームに形成されたロッキング
みぞと相互作用して、シフトロッカアームがシフト位置へ旋回するときにその他
のシフトロッカアームを中立位置に係止する自動車マニュアルトランスミッショ
ン用のシングルロッド・シフト装置が出願人のドイツ国特許第４０１７９５７号
明細書により知られている。この場合自在軸受と平行に変速機ハウジングに支承
された双腕揺りてこが各シフトロッカアームの間にそれぞれ配設され、末端側の
つめによりロッキングみぞに係合する。

【０００３】 この場合シフトロッカアームのロッキングは揺りてこ・連結部材系によって行
われる。系は選択した通路でギヤを入れたときに初めて、シフトしないシフトロ
ッカアームを係止する。その場合３個のシフトロッカアームを設けるならば、て
こ系は３個の部材からなる。純ロッカアーム式シフト操作の場合は変速機の段数
を増加すれば、輪軸構造に応じてシフトロッカアームの数も増加する。この場合
ロッキング方式がそのままだとして、シフトロッカアームを追加する度にてこ系
統に２個の追加部材が必要になる。このため系が複雑になり、組立が煩雑で、許
容差の影響を受け、作用が間接的であり、従って不確実になる。

【０００４】 シフト軸を有し、シフト軸の回転により変速段を逐次予選択することができ、
シフト軸の縦移動によりシフトすることができる自動車変速機のためのギヤシフ
トが欧州特許第５３０４６６号明細書で知られている。この場合はシフト軸によ
り縦方向に係止されたロッキング部材が設けられ、シフトしない段をこのロッキ
ング部材で係止することができる。ロッキング部材はシフト軸と平行に支承され
たロッキング軸であり、回転運動の伝達のためにシフト軸の駆動ピンがロッキン
グ軸のリンクガイドで縦に案内される。シフト軸はシフトスリーブを有し、シフ
トスリーブ上に二又スリーブが回転可能に支承され、変速段の同期クラッチに係
合するシフトフォークが二又スリーブに配設されている。ギヤシフトのために半
径方向に突出するシフトスリーブのつめが二又スリーブの端面に接し、操作され
ない二又スリーブの環状凹陥部に係合する。

【０００５】 本発明の課題は、すでにシフト通路の選択のときに、即ち選択したシフト通路
でシフトする段に挿入する前に、シフトしないシフト部材がロックされるように
ロッキング装置が設計されており、構造が簡単で少数の部材からなり、従って組
立が容易であり、機能がシフト部材の数に左右されない構造になっており、場所
をとらず、確実にロックし、しかも良好なダイアゴナルシフトが可能で、移動質
量が小さく摩擦損失が少ないから選択及びシフト操作力がほとんど影響されず、
ある段にすでに挿入したときは必ず別の段への挿入が阻止され、製造が割安であ
る自動車マニュアルトランスミッション、特に６段変速機のためのシングルロッ
ド・シフト装置を提供することである。

【０００６】 冒頭で詳しく述べた種類のシングルロッド・シフト装置から出発して、請求項
１の特徴部分に挙げた特徴によってこの課題が解決される。有利な実施形態が従
属請求項に記載されている。

【０００７】 本発明によれば軸方向移動可能に支承された中心シフト軸の選択−回転運動が
半径方向駆動体によりレバーに伝達され、レバーの回転中心は中心シフト軸の回
転軸上にあり、リンク機構によりレバーの回転運動が中心シフト軸のシフト方向
を横切るロッキング部材の直線運動に変換され、ロッキング部材はシフト方向に
不動にハウジングに固設され、ギヤシフト時のロッキング部材に対する中心シフ
ト軸の相対運動は半径方向駆動体自体又はリンク機構内の適当な自由度によって
行われ、ロッキング部材及びシフトロッカアーム又はスライドフォークが保持部
材を有し、保持部材がシフト方向に重なり合うと、ギヤシフトのためのシフトロ
ッカアーム又はスライドフォークの運動が阻止されるように、保持部材が配列さ
れている。

【０００８】 こうして特に本発明に係るロッキング装置の設計に基づき、通路の選択の際に
すでにロッキング装置が作動され、即ち選択した通路でシフト予定の段に挿入す
る前に、シフトしないシフト要素がすでにロックされるという利点が得られる。

【０００９】 次に有利な実施例を示す図面に基づき本発明を詳述する。

【００１０】 この種のシフト装置は当業者によく知られているから、図には発明の理解のた
めに重要な部材だけを示し、個々の図で同じ部材には同じ参照符号を付した。

【００１１】 マニュアルトランスミッションのためのシングルロッド・シフト装置は変速機
ハウジング（図示せず）に回転可能かつ軸方向移動可能に支承された中心シフト
軸１を有する。ロッキング装置はロックプレート５、２本の案内ピン６、レバー
基部３、駆動ピン４（図３）及び止めピン２を有する。図示の実施例でロックプ
レートは４個の切欠き部８、８’・・・、２個の案内スリーブ及び剛性スラスト
部材９を有する。これらはそれぞれロックプレート５に対して垂直に配設されて
いる。ロックプレート自体は中心シフト軸１と平行に配設され、ハウジングに固
着された２本の案内ピン６の上に移動可能に支承される。

【００１２】 剛性スラスト部材９は一方の端部にロックプレート５と平行なピン１０を有す
る。

【００１３】 中心シフト軸１と同軸かつ移動可能にレバー基部３が設けられ、延長部１１と
ともにレバーを形成する。延長部１１の下側の自由端にスロット７が設けられ、
これにロックプレート５のピン１０が係合する。

【００１４】 レバー基部３は内側に１個又は２個の通り抜け可能なみぞ１２、１２’（図３
）を有する。中心シフト軸１を横切って配設された駆動ピン４がこのみぞ１２、
１２’に係合する。レバー基部３の外側には中心シフト軸１を横切って延びる円
弧状の切欠き部１３があり、ハウジングに固設された止めピン２が切欠き部１３
に係合する。

【００１５】 シフトロッカアーム又はスライドフォークとして形成されたシフト部材１４、
１４’・・・に保持部材１５、１５’・・・がロックプレート５を横切って配設
され、横方向に互い違いに配列された縦みぞ１６、１６’・・・を有する。

【００１６】 通路を選択するときに、即ち中心シフト軸を回転することによって、駆動ピン
４によりレバー基部１が回転させられる。レバー基部３とロックプレート５の剛
性スラスト部材９との間に配設されたすべりピン継手により回転運動が縦運動に
変換され、中心シフト軸１の回転位置に応じてロックプレート５が案内ピン６、
６’上で中心シフト軸１を横切って移動させられる。

【００１７】 ロックプレートの切欠き部８、８’がシフトロッカアーム１４、１４’の保持
部材１５、１５’の上にまたがる。個々のシフト通路の間の区域では切欠き部の
保持面がすべてのシフトロッカアームの保持部材の保持面と重なり合う。シフト
通路に到達するための回転行程を経過したとき、ロックプレートは予選択したシ
フト通路の単数又は複数の変速段をシフトするシフトロッカアームの保持部材の
当該の縦みぞと同列に並ぶ。こうしてシフトロッカアーム又はシフトフォークは
縦方向に自由であり、シフトすることができる。保持部材の縦みぞは選択−回転
行程に従って互い違いに配列されているから、他のすべてのシフトロッカアーム
又はシフトフォークではロックプレートの保持面がロッカアームの保持部材の保
持面と重なり合う。これらのシフトロッカアーム又はシフトフォークはこうして
係止される。

【００１８】 ギヤシフトのために中心シフト軸１はハウジングに対して、それとともにロッ
クプレート５に対して縦方向に移動させられる。ロッキング構造は縦方向に不動
のレバー基部３が必要である。この目的のためにレバー基部３はハウジングに固
定された止めピン２により縦方向に固定される。これに対して中心シフト軸１の
回転とともにレバー基部３の外側の円弧状のみぞ１３が止めピン２に沿って案内
される。中心シフト軸の縦移動とともに駆動ピン４がレバー基部３の内側の縦み
ぞ１２、１２’に沿って摺動する。

【００１９】 図５に示す実施例ではレバー３、１１とロックプレート５の剛性スラスト部材
９との間のすべりピン継手がピン１０の代わりに、すべり軸受又はニードル軸受
に支えたローラ１７を備えている。それによってすべりピン継手の摩擦損失を減
少することができる。

【００２０】 図６に示す実施例ではスラスト部材がロックプレート５に剛固定されないで、
２個のリンクの間の連結部材１８として構成されているから、レバー３、１１の
スロットに沿った相対運動がなくなり、すべりピン継手自体が回り継手になる。
この場合は摩擦損失の一層の減少が得られる。

【００２１】 図７に示す実施例でロックプレートは掛けはずしスロット１９を押抜いた横置
きのプレート５’として形成され、シフトロッカアーム又はシフトフォークの保
持部材は垂直のピン２０、２０’として形成されている。これらのピンは縦方向
に一線に又は互い違いに配列することができる。

【００２２】 図１ないし４に示す基本型と図５及び７に示す変型の組合わせも考えられる。

【００２３】 図８はレバー基部３を中心シフト軸１にピン止めした本発明シングルロッド・
シフト装置の実施例を示す。ロックプレート５に対する中心シフト軸１の軸方向
相対運動はすべりピン継手の自由度を追加することによって可能になる。この場
合は図１ないし４のレバー基部３のみぞ及び止めピン２が省略される。なお、す
べりピン継手に設けたヒンジピン２１はシフト行程のおよそ２倍に相当する。

【００２４】 本発明に係るシフト装置は多数のシフトロッカアーム又はスライドフォークを
先行技術で可能であったよりも確実に、かつ機能を妨げることなくロックするこ
とができる。必要な部材の数が少なく、個々の部材の構造が簡単であり、従って
製造コストが有利である。中心シフト軸に密接した平行な配置により、必要な取
り付け場所が限られている。

【００２５】 保持部材の対偶配列はダイアゴナルシフトがたやすくできるための十分な前提
を与え、要求される選択及びシフト快適性に完全に適合する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るシングルロッド・シフト装置の主要な部材の斜視図である。

【図２】 シフト装置の側面図である。

【図３】 図２、Ａ−Ａ線に沿った断面図である。

【図４】 図１のシフト装置の９０°ねじった平面図である。

【図５】 別の実施例のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図６】 別の実施例の同じ断面図である。

【図７】 本発明に係るシングルロッド・シフト装置の別の実施例の斜視図である。

【図８】 本発明の別の実施例の斜視図である。

【符号の説明】

１ 中心シフト軸 ２ 止めピン ３ レバー基部 ４ 駆動ピン ５ ロックプレート ６ 案内ピン ７ スロット ８ みぞ ９ スラスト部材 １０ ピン １１ 延長部 １２ みぞ １３ 切欠き部 １４ シフト部材 １５ 保持部材 １６ 縦みぞ １７ 軸受 １８ 連結部材 １９ 固定・遊動輪郭 ２０ ピン ２１ ヒンジピン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3J067 AC07 BA13 DA02 DA04 EA32 FB63 FB81 GA01

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心シフト軸と、スライドスリーブに係合するシフトロッカアーム又はスライ
   ドフォークの形の二又形シフト部材と、シフト要素の１つを中立位置からシフト
   位置へシフトするときにシフトしないシフト部材を中立位置に係止するロッキン
   グ装置とを有する自動車マニュアルトランスミッション、特に６段変速機のため
   のシングルロッド・シフト装置において、ロッキング装置が軸方向移動可能に支
   承された中心シフト軸（１）の回転軸上に回転中心があって半径方向駆動機構を
   介して中心シフト軸（１）と連結されたレバー（３、１１）と、シフト方向に不
   動にハウジングに固設されたロッキング部材（５）と、レバー（３、１１）の回
   転を中心シフト軸（１）のシフト方向を横切るロッキング部材（５）の直線運動
   に変換するリンク機構とを有し、かつシフト部材（１４、１４’・・・）とロッ
   キング部材（５）に保持部材があって、これらの保持部材がシフト方向に重なり
   合ったとき、シフト部材（１４、１４’・・・）のシフト運動が阻止されるよう
   に形成されていることを特徴とするシングルロッド・シフト装置。
2. 【請求項２】 レバーがレバー基部（３）と延長部（１１）からなり、半径方向駆動機構がピ
   ン（４）を有することを特徴とする請求項１に記載のシングルロッド・シフト装
   置。
3. 【請求項３】 ロッキング部材がロックプレート（５）であり、ロックプレート（５）が中心
   シフト軸（１）に対して横方向に移動し得るように複数個の案内ピン（６）に支
   持され、多数の切欠き部（１６、１６’・・・）を備えていることを特徴とする
   請求項１または請求項２に記載のシングルロッド・シフト装置。
4. 【請求項４】 シフト部材（１４、１４’・・・）の上に配設された保持部材（１５、１５’
   ・・・）が縦みぞ（８、８’・・・）を備え、縦みぞ（８、８’・・・）がロッ
   クプレート（５）の切欠き部（１６、１６’）と相互作用することを特徴とする
   請求項１〜３のいずれか１つに記載のシングルロッド・シフト装置。
5. 【請求項５】 ロックプレート（５）と中心シフト軸（１）の間のリンク機構が剛性スラスト
   部材（９）であって、ロックプレート（５）の反対側の端部に、ロックプレート
   （５）と平行に延びるピン（１０）を有することを特徴とする請求項１〜４のい
   ずれか１つに記載のシングルロッド・シフト装置。
6. 【請求項６】 レバー基部（３）の延長部（１１）が下端にスロット（７）を有し、ここにロ
   ックプレート（５）の剛性スラスト部材のピン（１０）が係合することを特徴と
   する請求項１〜５のいずれか１つに記載のシングルロッド・シフト装置。
7. 【請求項７】 レバー基部（３）が内側に少なくとも１個の通り抜け可能なみぞ（１２、１２
   ’）を有し、中心シフト軸（１）を横切って配設された駆動ピン（４）がみぞ（
   １２、１２’）に係合することを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載
   のシングルロッド・シフト装置。
8. 【請求項８】 ロックプレート（５）と中心シフト軸（１）の間のリンク機構が、すべり軸受
   又はニードル軸受に支えたローラ（１７）を有するすべりピン継手を備えている
   ことを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載のシングルロッド・シフト
   装置。
9. 【請求項９】 ロックプレート（５）と中心シフト軸（１）の間のリンク機構が２個のリンク
   を介してロックプレート又は中心シフト軸と連結された回り継手（１８）として
   構成されていることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１つに記載のシングル
   ロッド・シフト装置。
10. 【請求項１０】 ロックプレート（５’）がおおむね水平方向に配列され、押抜いた掛けはずし
    スロット（１９）を備えており、シフト部材（１４、１４’・・・）に固定され
    た垂直のピンの形の保持部材（２０、２０’・・・）が縦方向に一線に並んで又
    は互い違いに掛けはずしスロット（１９）に係合することを特徴とする請求項１
    〜９のいずれか１つに記載のシングルロッド・シフト装置。
11. 【請求項１１】 レバー基部（３）が中心シフト軸（１）にピン止めされており、すべりピン継
    手として構成されたリンク機構の自由度がすべりピン継手に設けたおおむねシフ
    ト行程の２倍に相当する長さのヒンジピン（２１）により増加することによって
    、ロックプレート（５）に対する中心シフト軸（１）の軸方向相対運動が可能に
    なることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１つに記載のシングルロッド・
    シフト装置。