JP2003520578A - 環境サンプルからの核酸の入手方法、得られた核酸、および新規化合物の合成における用途 - Google Patents

環境サンプルからの核酸の入手方法、得られた核酸、および新規化合物の合成における用途

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、環境サンプルからの核酸の製造方法、より詳しくは、サンプルからの核酸のライブラリーの入手方法に関する。本発明はまた、該方法により得られた核酸ライブラリーの核酸、及び新規化合物(特に、治療上関心のある新規化合物)の合成におけるそれらの用途に関する。本発明は更に、該核酸を入手するための方法で用いる新規手段(例、新規ベクター)、及び該核酸を含む該ベクターまたは組換え宿主細胞の新規製造方法に関する。最後に、本発明は、該方法により得られた核酸のライブラリーにおける関心のある核酸の検出方法、及び該方法により検出された核酸、及び該核酸にコードされるポリペプチドに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、環境サンプルからの核酸の製造方法、より詳しくは、サンプルから
の核酸の集団(コレクション)の入手方法に関する。本発明はまた、該方法によ
り得られた核酸または核酸の集団、および新規化合物(特に、治療上関心のある
新規化合物)の合成におけるそれらの用途に関する。
【0002】 本発明はまた、核酸を入手するための前記方法で用いる新規手段(例えば、新
規ベクター)、および本発明の核酸を含むそのようなベクターまたは組換え宿主
細胞の新規製造方法に関する。
【0003】 本発明はまた、前記方法により得られた核酸の集団における関心のある核酸の
検出方法、およびそのような方法により検出された核酸、およびそのような核酸
にコードされるポリペプチドに関する。
【0004】 本発明はまた、前記方法により得られた及び検出された核酸、特に、抗生物質
、例えばβ−ラクタム、アミノグリコシド、ヘテロ環ヌクレオチドまたはポリケ
チドの生合成経路に関与する酵素をコードする核酸、およびこれらの核酸にコー
ドされる酵素、これらの核酸の発現手段により製造されたポリケチド、そして最
後に、そのような核酸の発現手段により製造されたポリケチドの薬理学的に活性
な量を含む医薬組成物に関する。
【0005】 放線菌類によるストレプトマイシンの産生の発見以来、治療上関心のある新規
化合物、特に新規抗生物質の探索においては、土壌微生物により産生された代謝
産物のスクリーニング方法の利用が増えている。
【0006】 そのような方法は、主として、土壌微生物叢の生物を分離し、特別に適合化さ
れた栄養培地内でそれらを培養し、ついで、予め1以上の分離および/または精
製工程に適宜付された細胞ライセート内または培養上清内に存在する産物におけ
る薬理学的活性を検出することを含む。
【0007】 このように、地上(telluric、地球上)微生物叢を構成する生物のイ
ンビトロでの分離および培養のための方法は、現在までに、約40,000種の
分子の特徴づけを可能にしており、それらの約半数は生物活性を示している。
【0008】 主な産物、例えば、抗生物質(ペニシリン、エリスロマイシン、アクチノマイ
シン、テトラサイクリン、セファロスポリン)、抗癌剤、抗コレステロール血症
剤または農薬は、そのようなインビトロ培養方法により特徴づけられている。
【0009】 現在までに公知の微生物由来の治療上関心のある産物の大部分(約70%)は
、放線菌類、特に、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に由来
する。しかし、他の治療用化合物、例えば、テイコプラニン、ゲンタマイシンお
よびスピノシンは、培養がより困難な属の微生物、例えば、ミクロモノスポラ(
Micromonospora)、アクチノマデュラ(Actinomadur
a)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ノカルジア(Noca
rdia)、ストレプトスポランギウム(Streptosporongium
)、キタサトスポリア(Kitasatosporia)またはサッカロモノス
ポラ(Saccharomonospora)から分離されている。
【0010】 しかし、実際に示されているところによれば、土壌微生物叢の微生物により合
成される新規天然物の特徴づけは依然として限られたものに過ぎず、それは1つ
には、インビトロ培養工程が、通常は、既に公知の生物の選択を引き起こすから
である。
【0011】 このように、関心のある新規化合物を同定するための地上微生物のインビトロ
での分離および培養のための方法は、多数の制限を有する。
【0012】 例えば、放線菌類では、既に公知の抗生物質が再発見される割合が約99%で
ある。特に、蛍光顕微鏡検査技術は、土壌1g中の1010個を超える細菌細胞
の計数を可能にしているが、培地上での接種後に単離されうるのは、これらの細
菌の0.1%〜1%に過ぎない。
【0013】 DNA組換え動力学的(kinetics)技術の手助けにより、12,00
0〜18,000の細菌種が土壌1g中に含有されうることを示すことが可能と
なっているが、一方、非真核微生物は、現在のところ、すべての生息場所を考慮
しても、5000種が記載されているに過ぎない。
【0014】 分子生態学的研究により、環境DNAから多数の16S rDNA新規配列を
増幅しクローニングすることが可能となっている。
【0015】 これらの研究の結果、既に特徴づけされている細菌門の数は3倍になった。
【0016】 現時点では、細菌は40個の門に細分されており、それらのいくつかは、培養
不可能な細菌のみよりなる。これらの最近の結果は、現在までに未利用のままの
微生物の生物多様性の広さを証明している。
【0017】 最近の研究においては、特に、産業上関心のある(特に、治療上関心のある)
化合物の分離および特徴づけの前のインビトロ培養の工程を含む、土壌微生物叢
の生物多様性の利用に対する多数の障害を克服するための試みがなされている。
【0018】 例えば、適当な場合には、土壌サンプル中に含有される生物の分離の前に、地
上生物からDNAを抽出する工程を含む方法が開発されている。
【0019】 予めインビトロで培養することなく細菌細胞を細胞溶解した後、このようにし
て抽出されたDNAを、宿主生物のトランスフェクトに用いられるベクター内に
クローニングして、土壌細菌に由来するDNAのライブラリーを構築する。
【0020】 組換えクローンのこれらのライブラリーを使用して、治療上関心のある化合物
をコードする遺伝子の存在を検出したり、あるいはこれらの組換えクローンによ
る治療上関心のある化合物の産生を検出する。
【0021】 しかし、先行技術において記載されている、土壌微生物叢のDNAを直接利用
するための方法は、前記工程のそれぞれの実施中の欠点を示しており、これらの
欠点は、得られる及び利用可能な遺伝物質の量および質を相当に損なう性質のも
のである。
【0022】 土壌サンプルに由来するDNAのライブラリーを構築するための工程のそれぞ
れに関する先行技術を、本出願人により確認され本発明により克服された技術的
な欠点と共に、以下に詳しく説明する。
【0023】 1.土壌サンプルからDNAを抽出する工程 1.1 環境DNAの直接的抽出 これは、実質的には、環境サンプルに対して通常は該サンプル中の生物の予備
的in situ細胞溶解の後に直接行うDNA抽出技術を用いる方法である。
【0024】 そのような技術は、淡水および海水の両方からの水性媒体に由来するサンプル
に対して用いられている。それらは、一般には、種々の濾過装置上での大容積の
水の濾過、例えば、通常の膜濾過、接線(tangential)もしくは回転
濾過または限外濾過よりなる、自由な形態または粒子の形態で存在する細胞を予
備濃縮する第1工程を含む。
【0025】 該細孔径は0.22〜0.45mmであり、大容積の処理による目詰まりを避
けるために予備濾過を要することも多い。
【0026】 第2段階では、集めた細胞を、酵素的および/または化学的処理により、小容
積の溶液中、フィルター上で直接的に細胞溶解する。
【0027】 この技術は、例えば、Steinら,1996,Journal of Ba
cteriology,Vol.178(3):591−599の研究により例
示されており、該著者は、海洋プランクトンの古細菌(Archaebacte
ria)からの転写伸長因子(EF2)をコードする及びリボソームDNAをコ
ードする遺伝子のクローニングを記載している。
【0028】 土壌または堆積物のサンプルからのDNAの直接的抽出の技術も既に記載され
ており、それらは、in situで行う物理的、化学的または酵素的細胞溶解
に基づくものである。
【0029】 例えば、米国特許第5 824 485号(Chromaxome Corp
oration)は、グアニジウム イソチオシアナートに基づく熱細胞溶解バ
ッファーの添加によりサンプルに直接的に行う細菌の化学的細胞溶解を記載して
いる。
【0030】 国際特許出願WO 99/20799(Wisconsin Alumni
Research Foundation)は、プロテアーゼおよびSDSを含
有する抽出バッファーを使用する細菌のin situ細胞溶解の工程を記載し
ている。
【0031】 サンプルに対して数サイクルの凍結・融解を行い次いで該融解サンプルの高圧
プレスを行うような他の技術も用いられている。超音波処理、超音波での加熱お
よび熱ショックの一連の工程を用いる細菌細胞溶解の技術も用いられている(P
icardら.1992)。
【0032】 しかし、DNAの直接的抽出のための前記の先行技術は、量的および質的な点
で、有効性に非常にばらつきがある。
【0033】 例えば、該サンプルのin situ化学的または酵素的処理は、形態学的特
徴の不均質性による細胞溶解工程に固有の種々の微生物の選択的抵抗性のため、
ある範疇の微生物のみを細胞溶解するという欠点を有する。
【0034】 例えば、グラム陽性細菌は、熱SDS界面活性剤での処理に抵抗性であり、一
方、実質的に全てのグラム陰性細胞は細胞溶解される。
【0035】 また、前記の直接的抽出プロトコールのいくつかは、該サンプルの無機質粒子
上への抽出核酸の吸着を促進して、入手可能なDNAの量を有意に減少させる。
【0036】 さらに、先行技術のプロトコールのいくつかは、採取されたサンプル中の微生
物を細胞溶解するための機械的処理工程を開示しているが、そのような機械的細
胞溶解工程は、抽出バッファー中の液体媒体中で系統的に行われ、それは、サン
プル中に存在する微生物の多様性に対する最大の利用可能性を可能にする微粒子
形態の出発サンプルの良好な均質化を可能にしない。ガラスビーズを使用して、
粗土壌サンプル上で粉砕試験も行われているが、抽出されたDNAの量は少なか
った。
【0037】 液体媒体中のin situ機械的細胞溶解の第1工程は、抽出されうるDN
Aの量に対して負の影響を及ぼすことが、本発明において観察されている。
【0038】 また、組換えベクター内のクローニングに直接使用されうるDNAの量は、そ
の抽出の後の精製工程に左右される。
【0039】 先行技術においては、抽出されたDNAを次いで、例えば、ポリビニルポリピ
ロリドンを使用することにより、あるいは酢酸アンモニウムまたは酢酸カリウム
の存在下での沈殿により、あるいは塩化セシウム勾配上での遠心分離により、あ
るいは特にヒドロキシアパタイト担体、イオン交換カラムまたは分子ふるい上の
クロマトグラフィー技術により、あるいはアガロースゲル上での電気泳動技術に
より精製する。
【0040】 既に記載されているDNA精製技術は、特に、環境DNAを抽出するための前
記技術と組合せた場合には、除去が困難な初期サンプル由来の阻害性化合物と該
DNAとの共精製(co−purification)につながりやすい。
【0041】 阻害性化合物と該DNAとの共抽出は必然的に精製工程数の増加を招き、これ
は、最初に抽出されたDNAの相当な喪失につながり、同時に、該サンプル中に
最初に含まれていた遺伝物質の多様性およびその質を減少させる。
【0042】 本発明のもう1つの目的は、一方では、予備精製プロトコールの欠点を克服す
ること、および初期サンプル中のDNAの最適レベルの多様性の維持を可能にす
るDNA精製工程を開発すること、そして他方では、その製造を定量的に促進す
ることにあった。
【0043】 最も詳しくは、DNAの精製に対する定性的および定量的改良は、後記に説明
するとおり、それが本発明の直接的DNA抽出方法と後続の精製方法との組合せ
を用いた場合に最高となる。
【0044】 1.2.環境DNAの間接的抽出 そのような技術は、実際のDNA抽出工程の前に、地上微生物叢中の種々の生
物を出発サンプルのその他の構成成分から分離する第1工程を含む。
【0045】 最新技術においては、土壌サンプルからの微生物画分の予備分離は、通常、そ
れを液体媒体中で粉砕することによる(例えば、Waring Blender
または乳鉢のような装置を使用することによる)該サンプルの物理的分散を含む
【0046】 化学的分散、例えば、イオン交換樹脂上での分散または非特異的界面活性剤(
例えば、デオキシコール酸ナトリウムまたはポリエチレングリコール)を使用す
る分散も、既に記載されている。どのような分散方法であろうと、固体サンプル
を水、リン酸バッファーまたは食塩溶液に懸濁すべきである。
【0047】 該物理的または化学的分散工程の後、該サンプル中に含まれる細胞の及びこの
サンプル粒子の分離を可能にする密度勾配上での遠心分離を行うことが可能であ
り、ほとんどの土壌粒子より低い密度を細菌が有すると理解される。
【0048】 あるいは、該物理的分散工程の後、低速遠心分離の工程または細胞水ひの工程
を行うことができる。
【0049】 ついで、該DNAを、分離された細胞から、いずれかの利用可能な細胞溶解方
法により抽出することが可能であり、前記1.1節に記載の精製方法を含む多数
の方法により精製することが可能である。特に、該細胞溶解を制御するために、
低融点アガロース中に該細胞を加えることが可能である。
【0050】 しかし、本出願人に公知の先行技術に記載されている方法は、DNAの最終的
な質および量に有意な影響を及ぼす出発サンプルの望ましくない構成成分が抽出
DNA含有画分中に存在するため、満足しうるものではない。
【0051】 後記のとおり、本発明は、先行技術の方法において見出される技術的課題を解
決するために提示するものである。
【0052】 2.抽出されたDNAの分子特徴づけ 環境サンプル(特に、土壌サンプル)からのDNAライブラリーを構築したい
場合には、抽出および精製されたDNA源の質および多様性を、それを適当なベ
クター内に挿入する前に確認するのが好都合である。
【0053】 抽出および精製されたDNAのそのような分子特徴づけの目的は、該DNA抽
出物中に存在する種々の細菌分類群の比率を表すプロフィールを得ることにある
。抽出および精製されたDNAの分子特徴づけは、種々の抽出および精製工程の
実施中に人為産物が導入されたか否か、および適当な場合には、抽出および精製
されたDNAの元の多様性が、サンプル(特に、土壌サンプル)中に最初に存在
した微生物多様性を表すか否かを判定することを可能にする。
【0054】 本出願人が知る限りにおいては、先行技術は、該環境から抽出されたDNAに
直接適用される種々の細菌群に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用する
定量的ハイブリダイゼーションン方法を利用するものである。
【0055】 残念なことに、そのようなアプローチは、比較的に低感度であり、少量で存在
する分類群または属の検出を可能にしない。
【0056】 先行技術においては、MPN−PCRまたは競合的定量的PCRのような定量
的PCR法も記載されている。しかし、これらの技術は大きな欠点を有する。
【0057】 例えば、MPN−PCRは、希釈および反復の回数が多いため実施が面倒であ
り、そのため、多数のサンプルまたはプライマーペアには不適となる。
【0058】 さらに、競合的定量的PCRは、標的DNAに特異的であり更には該競合自体
に偏り又は人為産物を誘導しない競合体の構築が必要であるため、実施が困難で
ある。
【0059】 したがって、本発明では、予め抽出および精製されたDNAの質の試験および
この精製された出発DNAから調製されたクローンのライブラリーの構築の価値
の判定を可能にし迅速、簡便かつ高信頼性である、環境サンプルに由来するDN
Aのライブラリーを予備スクリーニングするための方法を提示する。
【0060】 3.環境サンプルから抽出および精製されたDNAをクローニングするための ベクター 先行技術においては、環境サンプルから予め抽出されたDNAをクローニング
するための多数のベクターが既に記載されている。
【0061】 例えば、国際特許出願WO 99/20799の記載によれば、ウイルスベク
ター、ファージ、プラスミド、ファジミド、コスミド、ホスミド、BAC(細菌
人工染色体)タイプまたはバクテリオファージP1のベクター、PACタイプ(
バクテリオファージP1に基づく人工染色体)のベクター、YAC(酵母人工染
色体)タイプのベクター、酵母プラスミド、または安定にゲノムDNAを維持し
発現しうる他の任意のベクターを使用することができる。
【0062】 PCT特許出願WO 99/20799の実施例1は、BACタイプのベクタ
ー内へのクローニングによるゲノムライブラリーの構築を記載している。
【0063】 本出願人が知る限りにおいては、環境サンプル由来のDNAライブラリーは、
接合型のベクターでは未だ有効に製造されておらず、そのような技術は、本発明
の教示により初めて、当業者に利用可能かつ再現性あるものとなった。
【0064】 4.宿主細胞 先行技術においては、環境サンプルから抽出および精製されたDNAに由来す
るDNAのインサートを含有するベクターを収容するために使用可能なものとし
て、多数の宿主細胞が記載されている。
【0065】 例えば、PCT特許出願WO 99/20799には、多数の適当な宿主細胞
、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、特に、株DH 10
Bまたは株294(ATCC 31446、株大腸菌(E.coli)B、大腸
菌(E.coli)X 1776(ATCC番号31.537)、大腸菌(E.
coli)DH5αおよび大腸菌(E.coli)W3110(ATCC番号2
7.325)が挙げられている。
【0066】 このPCT特許出願はまた、他の適当な宿主細胞、例えば、エンテロバクター
(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエ
ラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(S
almonella)、セラチア(Serratia)、シゲラ(Schige
lla)、またはバシラス型の株、例えば、バシラス・サチリス(B.subt
ilis)およびバシラス・リヘニフォルミス(B.licheniformi
s)、ならびにシュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセ
ス(Streptomyces)またはアクチノマイセス(Actinomyc
es)属の細菌を挙げている。
【0067】 米国特許第5 824 485号は特に、ストレプトマイセス・リビダンス(
Streptomyces lividans)TK66株または酵母細胞、例
えばサッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)を挙
げている。
【0068】 5.環境サンプル由来のDNAライブラリーにおける関心のある遺伝子の特徴 づけ PCT特許出願WO 99/20799は、それぞれ、溶血素を産生するクロ
ーン、エスクリンを加水分解するクローンまたはオレンジ色素を産生するクロー
ンである、バシラス・セレウス(B.cereus)のDNAライブラリーに属
する種々のクローンの表現型の同定を記載している。
【0069】 phoA酵素をコードするトランスポゾンの使用に基づく突然変異誘発技術は
、次いで突然変異誘発クローンを単離し、観察される表現型をもたらす配列を特
徴づけることを可能にした。
【0070】 Steinら(1996)の前記文献は、海洋プランクトンである古細菌のゲ
ノムDNAライブラリーの或るクローンにより保持されたベクター内に挿入され
たDNAを増幅するための、リボソームDNAに対する特異的プライマーの使用
、およびそのようにして増幅されたDNA内のいくつかのコード配列の同定を記
載している。
【0071】 Borschert S.ら(1992)の文献は、バシラス・サチリス(B
acillus subtilis)のゲノム内の1以上の対応遺伝子を同定す
るために、公知ペプチドシンテターゼの保存領域にハイブリダイズするプライマ
ーのペアを使用する、バシラス・サチリス(Bacillus subtili
s)のゲノムDNAライブラリーのスクリーニングを記載している。
【0072】 この技術は、サーファクチン(surfactin)生合成オペロンを保持す
る約26kbの染色体DNA断片を検出することを可能にした。
【0073】 Kah−Tong S.ら(1997)の文献は、II型ポリケチドの生合成
経路をもたらすオペロンの保存配列にハイブリダイズするプライマーを使用する
、土壌由来のDNAのライブラリーのスクリーニングを記載しており、PKS−
β遺伝子に属する配列の、このDNAライブラリーにおける同定を示している。
この文献はまた、ポリケチドの生合成をもたらすオペロン内に天然で見出される
PKS−βサブユニットの配列が、該DNAライブラリー内で見出される種々の
同様の配列で置換されたハイブリッド発現カセットの構築を記載している。
【0074】 同様に、Hong−Fuら(1995)の文献は、ポリケチドの生合成をもた
らすオペロンの種々のオープンリーディングフレームを含有する発現カセットの
構築を記載しており、そのような種々の発現カセットは、ストレプトマイセス・
ケリコロール(Streptomyces coelicolor)のゲノム内
に天然で一緒には見出されないオープンリーディングフレームを合体させること
により人工的に構築されている。この文献は、種々の細菌株由来のオープンリー
ディングフレームの、該人工発現カセットにおける組合せが、バシラス・サチリ
ス(Bacillus subtilis)およびバシラス・セレウス(Bac
illus cereus)に対する比較的大きな抗生物質活性ならびに種々の
構造的特徴を有するポリケチドの産生を可能にすることを示している。
【0075】 ポリケチドは、生物活性の大きな多様性を有する種々の構造の天然物の大きな
ファミリーの一部を形成する。ポリケチドとしては、例えば、テトラサクリンお
よびエリスロマイシン(抗生物質)、FK506(免疫抑制剤)、ドキソルビシ
ン(抗癌剤)、モネンシン(コクシジウム増殖阻止剤)およびアベルメクチン(
抗寄生虫剤)が挙げられる。
【0076】 これらの分子は、アシルチオエステル(一般には、アセチル、プロピオニル、
マロニルまたはメチルマロニルチオエステル)間の縮合の反復サイクルを触媒す
るポリケチドシンターゼとして公知の多機能酵素により合成される。各縮合サイ
クルは、成長中の炭素鎖上にβ−ケト基の形成をもたらし、それは次いで、適宜
、1以上の一連の還元工程を受けうる。
【0077】 ポリケチドに対する多大な臨床的関心、それらの共通の生合成メカニズム、お
よびポリケチドシンターゼをコードする遺伝子のグループ間で認められる高度な
保存性を考慮して、遺伝子工学による新規ポリケチドの開発に対する関心が増大
している。
【0078】 例えば、メデルホジン(mederrhodin)Aまたはジヒドログラナチ
ルホジン(dihydrogranatirhodin)のような新規人工ポリ
ケチドが遺伝子工学により製造されている。遺伝子工学により得られた新規ポリ
ケチド分子の大多数は、対応する天然ポリケチドとは構造上非常に異なる。
【0079】 関心のある新規ポリケチド(特に、公知ポリケチドより広い又は他方ではより
選択的である、それらの天然ホモログと比較して増加したレベルの抗生物質活性
または異なる抗生物質活性スペクトルを有する、特に、治療上関心のあるポリケ
チド)を得ることが必要とされていることが、先行技術から明らかである。
【0080】 後記のとおり、この要求は本発明により部分的に満たされる。
【0081】 (発明の記載) 本発明は、第1に、環境サンプルに由来するDNAのライブラリーを構築する
ための方法に関する。そのようなサンプルとしては恐らく、手当たり次第に列挙
すると、水性媒体(淡水または海水)、土壌のサンプル(土壌の表層、下層土ま
たは堆積物)、または付随微生物叢を含有する真核生物のサンプル、例えば、植
物、昆虫または海洋生物に由来し付随微生物叢を有するサンプルが挙げられるで
あろう。
【0082】 環境サンプル(特に、土壌サンプル)からのDNAのライブラリーを構築する
ための方法の開発は、関心のある核酸の含量が初めの設定目標を満たすDNAラ
イブラリーを得るために実施が必ず最適化されなければならない決定的に重要な
工程を含む。
【0083】 第1の決定的に重要な工程は、サンプル中に最初に含まれる核酸(すなわち、
主に、このサンプルの微生物叢が構成される種々の生物中に含まれる核酸)を抽
出し次いで精製することを含む。
【0084】 抽出されたDNAの精製の質は、得られる結果を決定する因子である。
【0085】 環境サンプル由来の核酸のライブラリーを構築するための第2の重要な工程は
、抽出および精製された核酸の遺伝的多様性の評価である。出発サンプル中に最
初に存在する生物の系統発生的多様性が少なくとも部分的に考慮されることを確
認するための、抽出および精製されたDNAの簡便かつ信頼しうる予備スクリー
ニングのための工程の開発は、核酸ライブラリー自体の構築のための抽出および
精製された初期DNA源の使用の価値などを判定すること、あるいは、それとは
逆に、該核酸の抽出および精製の時点で導入された過剰な人為産物のために核酸
ライブラリーの構築を継続しないと決定することを有効に可能にする。また、該
ライブラリーを構築するためにベクター内に導入されたインサートの質が決定因
子であることが、本発明において確認された。例えば、環境サンプルから抽出お
よび精製されたDNAを切断するための制限酵素の使用は、得られるインサート
の構造内に人為産物または「偏向(バイアス、bias)」を導入する性質のも
のであることが確認された。特に、培養不可能な生物に大多数の場合は由来する
土壌または他の環境から抽出されたDNAは、自明のこととしてGおよびC塩基
の含量が未知であり更にはこれらの生物の起源に応じて様々な分子から構成され
る。
【0086】 第3の決定的に重要な工程は、選択された長さの核酸を組込みうるベクター内
への、抽出および精製された核酸の挿入であり、それは、一方では、与えられた
宿主細胞のゲノム内へのそれらのトランスフェクションまたは組込みを可能にし
、他方では、適宜、そのような宿主細胞内でのそれらの発現を可能にする。
【0087】 達成される目的が、産業上関心のある化合物(特に、医薬上または農業上関心
のある化合物)の完全な生合成経路を導きうる完全なオペロンのクローニングお
よび同定にある場合には、大きな核酸(すなわち、100kbより大きなサイズ
のもの)を組込みうるベクターが、関心のあるベクターとなる。
【0088】 定義 本発明の目的においては、「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌ
クレオチド」なる語は、DNAおよびRNA配列だけではなく、一本鎖または二
本鎖の形態の2ヌクレオチドを超えるハイブリッドRNA/DNA配列をも意味
する。
【0089】 「ライブラリー」または「集団(コレクション)」なる語は、本明細書におい
ては、環境サンプルに由来する抽出された、そして適当な場合には精製された核
酸のセット(組)、組換えベクターのセット(該セットの組換えベクターのそれ
ぞれは、前記の抽出された、そして適当な場合には精製された核酸のセットに由
来する核酸を含む)、または前記の抽出された、そして適当な場合には精製され
た核酸のセットに由来する1以上の核酸を含む組換え宿主細胞のセット(該核酸
は、1以上の組換えベクターに保持されているか又は該組換え宿主細胞のゲノム
内に組込まれている)に関して用いられている。
【0090】 「環境サンプル」なる表現は、手当たり次第に列挙すると、水性起源、例えば
淡水または海水に由来するサンプル、または土壌の表層、堆積物もしくは土壌の
下層(下層土)に由来する地上サンプル、および付随微生物叢(この付随微生物
叢は、関心のある生物を構成する)を有し植物、海洋生物もしくは昆虫に由来す
る、多細胞性でありうる真核生物のサンプルを示す。
【0091】 本発明において、「オペロン」なる語は、転写および/または翻訳を調節する
ためのシグナルの特有のセット(組)により転写および/または翻訳が共調節さ
れるオープンリーディングフレームのセットを意味する。本発明において、オペ
ロンはまた、該転写および/または翻訳を調節するための前記シグナルを含みう
る。
【0092】 本発明の目的においては、「代謝経路」または「生合成経路」なる表現は、第
1の化学種から第2の化学種への変換をもたらす一連の同化または異化生化学的
反応を意味する。
【0093】 例えば、抗生物質の生合成経路は、主要代謝産物を該抗生物質の中間産物に、
そして次いで抗生物質に変換する一連の生化学反応よりなる。
【0094】 「発現が望まれるヌクレオチド配列に対して作動的に連結した調節配列」なる
語は、関心のある配列の発現が可能となるよう、発現が望まれる関心のあるヌク
レオチド配列に対して該転写調節配列が位置することを意味し、該発現の調節は
、該調節ヌクレオチド配列と相互作用する因子に左右される。
【0095】 もう1つの術語学によれば、発現が望まれる関心のあるヌクレオチド配列が、
該転写調節ヌクレオチド配列の「制御下」に配置されるということも可能である
【0096】 本発明の目的においては、「単離(分離)(された)」なる語は、生物学的物
質が、その元の環境(それが天然で位置する環境)から取り出されていることを
示す。
【0097】 例えば、生物(ウイルス、細菌、真菌、酵母、植物または動物)中に天然状態
で存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていない。その天然
環境から分離された同じポリペプチド、または同じポリヌクレオチドのうち、該
生物のゲノム内にそれが天然で挿入されている隣接核酸から分離されたポリヌク
レオチドは、単離されている。
【0098】 そのようなポリヌクレオチドはベクター内に含有されることが可能であり、お
よび/または、そのようなポリヌクレオチドは組成物中に含有されることが可能
であり、そのような場合でも、単離された形態のままである。なぜなら、該ベク
ターまたは組成物は、その天然環境を構成しないからである。
【0099】 「精製(された)」なる語は、他の化合物が存在する場合を除き、該物質が絶
対的に純粋な形態で存在することを要求するものではない。むしろ、これは相対
的な定義である。
【0100】 ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、出発物質が少なくとも1桁、好まし
くは2または3、優先的には4または5桁精製された後は、精製された形態にあ
る。
【0101】 本発明の目的においては、ヌクレオチドまたはアミノ酸の2つの配列間の「同
一性の割合(%)」は、2つの最適に整列された配列を比較ウィンドウ越しに比
較することにより決定することができる。
【0102】 したがって、該比較ウィンドウ内の該ヌクレオチドまたはポリペプチド配列の
部分は、それらの2つの配列の最適なアライメントを得るために、参照配列と比
較して付加または欠失(例えば、「ギャップ」)を含みうる(該参照配列はこれ
らの付加または欠失を含まない)。
【0103】 該割合(%)は、それらの2つの比較配列に関して同一核酸塩基または同一ア
ミノ酸残基が観察される位置の数を求め、ついで、それらの2つの塩基またはア
ミノ酸残基間に同一性が存在する位置の数を該比較ウィンドウ内の位置の総数で
割り算し、ついでその商に100を掛け算して配列同一性の割合(%)を得るこ
とにより算出される。
【0104】 該比較のためのそれらの配列の最適アライメントは、Wisconsin G
enetics Software Package社,Genetics C
omputer Group(GCG),575 Science Docto
r,Madison,Wisconsinパッケージに含まれる公知アルゴリズ
ムを用いるコンピューターにより達成されうる。
【0105】 例えば、配列同一性の割合(%)は、専らデフォルトパラメーターを用いるB
LASTソフトウェア(1996年3月のBLASTバージョン1.4.9、1
998年2月のBLAST 2.0.4.および1998年9月のBLAST
2.0.6.)を使用して求めることができる(S.F.Altschulら,
J.Mol.Biol.1990 215:403−410,S.F.Alts
chulら,Nucleic Acids Res.1997 25:3389
−3402)(Altschulらの、参照「リクエスト(request)」
配列に類似/相同な配列に関するBlast検索)。使用するリクエスト配列お
よびデータベースは、ペプチドまたは核酸性のものであってもよく、任意の組合
せが可能である。
【0106】 環境サンプルに由来する核酸の抽出および精製 1.核酸の直接的抽出 土壌のサンプル中に含まれる生物に由来する核酸のライブラリーを得るために
は、一方では、該サンプル中の種々の生物が後続の核酸抽出工程に利用可能にな
る条件を作ることが重要であり、他方では、土壌サンプルの処理の初期工程が該
サンプル中の生物の最高の機械的細胞溶解を可能にして、これらの生物の核酸(
主にゲノムおよびプラスミドDNA)が、後続の抽出工程に使用するバッファー
に直接的に接近可能となるようにすることが重要であることが、本発明により示
されている。
【0107】 例えば、土壌サンプルからの微生物に由来する核酸の最高の利用可能性は、微
粒子を得るために、予備乾燥土壌サンプルを乾燥粉砕することにより達成された
ことが、本発明により示されている。このように、本出願人は、いずれかの後続
の処理の前の土壌サンプルの乾燥が、粗土壌サンプルの凝集の有意な減少をもた
らし、その結果、適当な粉砕処理を行った場合には微粒子形態でのその後続の砕
解を促進することを確認した。
【0108】 驚くべきことに、本出願人は、乾燥土壌サンプルの微粒子が、出発土壌サンプ
ル中に最初に存在する生物の遺伝的多様性を性質上表しうる最適な質の核酸の抽
出に好ましい物理的特性を併せ持つことを示した。特に、本発明の核酸の直接的
抽出の方法が、稀有微生物(例えば、ある稀有なストレプトマイセス(Stre
ptomyces)または芽胞形成微生物)に由来するDNAの抽出を可能にす
ることが示されている。
【0109】 本発明の目的においては、該土壌サンプルの「微粒子」なる語は、約50μm
の平均サイズ(すなわち、平均して45〜55μm)を有するサンプルに由来す
る粒子を意味する。
【0110】 本発明では、予備乾燥または予備脱水され、ついで、2μm〜50μmの平均
サイズを有する微粒子が得られるまで粉砕された土壌サンプルから、該微粒子を
得、得られた微粒子を液体緩衝媒体に再懸濁させる。
【0111】 そのような液体緩衝(バッファー)媒体は、核酸抽出バッファー、特に、当業
者によく知られた通常のDNA抽出バッファーよりなりうる。
【0112】 微粒子への該土壌サンプルの粉砕は、最初の土壌サンプル中に存在する生物の
ほとんどを機械的に細胞溶解させるという、ならびにこの機械的処理により細胞
溶解されない生物を最適な後続の化学的および/または酵素的細胞溶解工程に利
用可能にするという二重の機能を有する。
【0113】 したがって、本発明の第1の対象は、生物を含有する土壌サンプルからの核酸
の集団の製造方法であって、予備乾燥または予備脱水された土壌サンプルを粉砕
することにより微粒子を得、該微粒子を液体緩衝(バッファー)媒体に懸濁させ
る第1工程(I−a))を含む製造方法よりなる。
【0114】 十分に好ましい様態においては、該粉砕工程は、メノウまたはタングステンビ
ーズを備えた装置を使用して又はタングステンリングを備えた装置を使用して行
う。これらの装置が好ましいのは、メノウまたはタングステンのような物質の硬
度が、前記で特定されたサイズの微粒子の産生を有意に促進するからである。こ
のため、それよりはるかに低効率であることが判明しているガラスビーズを備え
た粉砕装置の使用は、好ましくは、選択されないか、または回避されるであろう
【0115】 該土壌サンプルの乾燥または分級は、当業者に公知のいずれかの方法により行
うことができる。例えば、該粗土壌サンプルを室温で24〜48時間にわたり乾
燥させることができる。
【0116】 既に示されているとおり、該液体緩衝媒体は、該微粒子中に存在するDNAを
抽出するための媒体よりなりうる。50mM Tris、20mM EDTA、
100mM NaClおよび1%(重量/容積)ポリビニルピロリドンをpH9
.0でそれぞれ含有するTENPとして公知の抽出バッファーが、最も好ましく
使用されるであろう。
【0117】 また、土壌サンプルからの核酸集団の製造方法は、予備乾燥または予備脱水さ
れた土壌サンプルを粉砕することにより微粒子を得る工程の後に、該微粒子中に
存在する核酸を抽出する工程I−(b)が続くことにより特徴づけられる。
【0118】 該核酸の抽出は、望ましくない土壌構成成分および/または化合物の共抽出を
伴い、したがって次いで、抽出された核酸の精製が必要となるというのが、一般
的な見解であり、そのような後続の精製工程は、望ましくない土壌構成成分およ
び/または化合物の除去を可能にするのに十分な程度に選択的である必要があり
、かつ、予備抽出されたDNAの量における少ない損失をもたらすのに十分な収
量を与える必要がある。
【0119】 前記の選択性および収量の基準を満たす土壌サンプルの微粒子から抽出された
DNAを精製する工程は、抽出されたDNAを、それぞれ、組合された2つの連
続的なクロマトグラフィー工程、分子ふるい上のクロマトグラフィーおよび陰イ
オン交換クロマトグラフィーで処理することを含むことが、本発明により示され
ている。
【0120】 前記方法のもう1つの特徴によれば、該核酸を抽出する工程I−(b)の後に
、抽出された核酸を以下の2つのクロマトグラフィー工程: ・該核酸を含有する溶液をモレキュラーシーブ上に通過させ、ついで、核酸に
富む溶出画分を回収する工程、 ・核酸に富む溶出画分を陰イオン交換クロマトグラフィー担体上に通過させ、
ついで、該核酸を含有する溶出画分を回収する工程により精製する工程I−(c
)が続く。
【0121】 前記クロマトグラフィー工程の性質および順序は、予備乾燥または予備脱水さ
れた土壌サンプルの微粒子から予備抽出されたDNAを精製する工程に関する良
好な選択性および優れた収量に必須のものである。
【0122】 非常に有利な様態においては、前記核酸精製工程における「モレキュラーシー
ブ」型のクロマトグラフィー担体は、Sephacryl(登録商標)S400
HR型のクロマトグラフィー担体または同等の特性のクロマトグラフィー担体
よりなる。
【0123】 十分に好ましい様態においては、抽出されたDNAを精製するために第2工程
で使用する陰イオン交換クロマトグラフィー担体は、Elutip(登録商標)
型の担体または同等の特性のクロマトグラフィー担体である。
【0124】 該乾燥土壌サンプルの微粒子を得る工程I−(a)、該微粒子中に存在する核
酸を抽出するI−(b)、および前記のクロマトグラフィー工程により精製する
I−(c)を組合せることにより、本発明では、該サンプル中に最初に含まれて
いた生物の細胞を予め精製することなく土壌からDNAを直接的に抽出し、それ
と同時に、先行技術の方法で認められる例えばフミン酸のような土壌混入物の共
抽出を回避することが可能である。
【0125】 フミン酸のような混入物は、精製が望まれる核酸の分析および後続の使用を著
しく妨げる。
【0126】 また、前記方法では、土壌サンプル中に最初に存在した核酸の遺伝的多様性の
実質的に完全な集団を得るために、該土壌サンプルの微粒子を得る工程I−(a
)中に機械的に細胞溶解されない生物内に含まれる核酸を得ることが可能である
。したがって、該土壌サンプルの微粒子は、化学的、酵素的または物理的細胞溶
解処理あるいは化学的、酵素的または物理的処理の組合せの後続工程に付されう
る。
【0127】 第1態様では、本発明の土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法はまた、工
程I−(a)の後に、 ・液体バッファー中の土壌懸濁液を超音波処理により処理する工程、 ・該核酸を抽出し回収する工程が続くことにより特徴づけられうる。
【0128】 好ましい様態においては、超音波による処理には、Bioblock社により
販売されている600W Vibracell Ultrasonicator
装置のようなチタン・マイクロポイント(micro−point)型の装置ま
たはCup Horn型のソニケーターを使用する。
【0129】 十分に好ましい様態においては、該超音波処理工程を7〜10分間にわたり1
5Wの出力で行い、それは超音波処理の連続的サイクルを含み、該超音波処理自
体は各サイクルの持続時間の50%にわたり行う。
【0130】 第2の態様では、前記方法は、工程I−(a)の後に、 ・液体緩衝媒体中の土壌懸濁液を超音波処理により処理する工程、 ・超音波処理後、リゾチームまたはアクロモペプチダーゼ(achromop
eptidase)の存在下で該懸濁液を37℃でインキュベートする工程、 ・SDSを添加し、ついで該核酸を遠心分離し沈殿させる工程、 ・沈殿した核酸を回収する工程が続くことにより特徴づけられうる。
【0131】 好ましくは、リゾチームのおよびアクロモペプチダーゼの存在下でのインキュ
ベーションの工程は、それらの酵素のそれぞれの最終濃度0.3mg/mlで、
好ましくは37℃で30分間にわたり行う。
【0132】 好ましくは、該SDSは、最終濃度1%で、60℃の温度で1時間のインキュ
ベーション時間にわたり使用し、ついで遠心分離および沈殿を行う。
【0133】 第3の態様では、前記土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法はまた、工程
I−(a)の後に、 ・激しい混合(ボルテックス)の工程およびそれに続く単純な攪拌の工程によ
り、該土壌懸濁液をホモジナイズ(均質化)する工程、 ・該均質懸濁液を凍結させ、ついで融解する工程、 ・融解後、該懸濁液を超音波処理で処理する工程、 ・超音波処理後、リゾチームおよびアクロモペプチダーゼの存在下、該懸濁液
を37℃でインキュベートする工程、 ・SDSを加え、ついで該核酸を遠心分離し沈殿させる工程、 ・該核酸を回収する工程が続くことにより特徴づけられる。
【0134】 好ましくは、土壌微粒子の懸濁液を該ボルテックス機上で混合し、ついで2時
間の持続時間にわたり円回転攪拌機上での穏やかな攪拌によりホモジナイズし、
ついでそれを−20℃で凍結させる。
【0135】 好ましくは、融解後かつ該超音波処理工程前に、該懸濁液を再び、ボルテック
ス機で10分間にわたり激しく攪拌する。
【0136】 言うまでもなく、好ましくは、核酸の直接的抽出のための前記方法の実施形態
により抽出された核酸を、モレキュラーシーブ上の第1通過、およびそれに続く
、モレキュラーシーブ上でのクロマトグラフィー後に得られた溶出画分の、陰イ
オン交換クロマトグラフィー担体上の後続の通過よりなる精製工程により精製す
る。
【0137】 2.核酸の間接的抽出 本発明の、環境サンプルからの核酸の集団の製造方法の第2実施形態では、こ
のサンプル中に含まれる生物を該サンプルのその他の巨大構成成分から分離する
ことを可能にする性質のものである第1処理に、該環境サンプルを付す。
【0138】 本発明の核酸の集団の製造方法のこの第2実施形態は、前記の本発明方法の第
1実施形態では得ることが実質的に不可能な大きな核酸の製造を促進し、該微粒
子を得るために行う機械的細胞溶解工程はまた、該土壌サンプル中の核酸または
該土壌サンプル中の生物中に含まれる核酸を物理的に分解するという効果を有す
る。
【0139】 産業上関心のある化合物の生合成を指令しうる同じオペロンに属するコード配
列のすべてを少なくとも部分的に含む核酸を単離し特徴づけることを目的として
、大きな核酸の製造が本出願人により研究されている。
【0140】 好ましくは、本発明の土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法の第2実施形
態を行うことにより、100kbより大きな、好ましくは、200、250また
は300kbより大きなサイズの核酸、そして最も好ましくは、400、500
または更には600kbより大きなサイズの核酸を得る。
【0141】 本発明の環境サンプルからの核酸の集団の製造方法のこの第2実施形態は、前
記の特徴を有する核酸を得ることを意図した4つの連続的な工程の組合せよりな
る。
【0142】 該環境サンプルが土壌サンプルである場合には、土壌サンプルを液体媒体内に
分散させることにより懸濁液を得るための第1工程は、該細胞の有意な機械的細
胞溶解を引き起こすことなく、サンプル中に含まれる生物の入手可能性を促進す
ることが、本発明により示されている。
【0143】 前記土壌サンプルの分散液を得る第1工程は、該サンプル中の生物を、外部媒
体に接近可能にし、また、該サンプル中の生物および該巨大構成成分の部分解離
を可能にする。したがって、それは、該サンプル中に最初に含まれる生物の後続
の、このサンプルのその他の構成成分からの分離を可能にする。
【0144】 該環境サンプルが、例えば、植物、海洋生物または昆虫に由来する場合には、
該付随微生物叢の生物を該方法の後続の工程に利用可能にするために、粉砕によ
る予備処理が必要である。
【0145】 本方法は、密度勾配上での遠心分離により、該生物を、前記で得られたその他
の無機および/または有機構成成分から分離する工程を含む。ついで、このよう
にして分離された生物を、細胞溶解の工程およびそれに続く該核酸の抽出の工程
に付す。
【0146】 驚くべきことに、密度勾配上での遠心分離の工程は、該サンプル懸濁液中に含
まれる土壌粒子中の生物の細胞を分離することを可能にする。実際、該細胞の一
部は該勾配相において該巨大粒子と共に運び去られると予想されたであろう。ま
た、密度勾配上での土壌サンプルの遠心分離が、出発サンプル中に存在する生物
の多様性を代表する生物の集団を水性相/勾配界面において見出すことを可能に
することは、これまで決して示されていなかった。なぜなら、これらの生物は体
積、密度および形状において非常に様々でありうるからである。それらは水性相
内、または水性相/密度勾配界面、または密度勾配自体の中に見出される、と理
論的には推測されうるであろう。
【0147】 したがって、使用する密度勾配の密度(1.2〜1.5g/ml、好ましくは
1.3g/mlの密度勾配の密度)より小さい又は大きい密度を有する生物は回
収され得ず、その結果、有効に分離された生物の代表例に偏向が生じ、そのため
、抽出された核酸の多様性にも偏向が生じたであろう、と当業者は予想しうるで
あろう。
【0148】 また、該方法の1つの特定の実施形態においては、(特に放線菌類の)芽胞の
発芽の工程を行う。その目的は、回収される放線菌DNAの量を有意に増加させ
ることにある。
【0149】 該最終工程は、塩化セシウム勾配上でこのようにして抽出された核酸を精製す
る工程よりなる。
【0150】 驚くべきことに、該塩化セシウム勾配上での核酸の精製は、該密度勾配を構成
する物質の相当な又は更には完全な除去を可能にする。この特徴は、精製された
核酸の後続の使用に関する決定因子である。なぜなら、該密度勾配は、ベクター
内への該抽出核酸の酵素の触媒活性を適宜阻害しうる強力な酵素阻害因子である
ことが公知であるからである。
【0151】 この第2実施形態では、本発明の生物を含有する環境サンプルからの核酸の集
団の製造方法は、 (i)該環境サンプルを液体媒体中に分散させることにより懸濁液を得、つい
で、得られた懸濁液を穏やかな攪拌によりホモジナイズ(均質化)する工程、 (ii)該生物を、工程(i)で得られた該均質懸濁液のその他の無機および
/または有機構成成分から、密度勾配上の遠心分離により分離する工程、 (iii)工程(ii)で分離された微生物を細胞溶解し、該核酸を抽出する
工程、 (iv)塩化セシウム勾配上で該核酸を精製する一連の工程を含む。
【0152】 好ましくは、該土壌サンプルの懸濁液は、Waring Blenderのよ
うな装置または同等の特徴の装置による粉砕によりこのサンプルを分散させるこ
とにより得る。十分に好ましい様態においては、Waring Blender
のような装置中でそれぞれ1分間継続させる3回の連続的な粉砕操作の後に、該
サンプル懸濁液を得る。好ましくは、該粉砕操作のそれぞれの合間に、粉砕され
たサンプルを氷中で冷却する。
【0153】 好ましくは、ついで、Nycomed Pharma AS.社(Oslo,
Norway)により販売されている「Nycodenz」型の密度クッション
上での遠心分離により、該生物を該土壌粒子から分離する。好ましい遠心分離条
件は、4℃、10,000×gで40分間であり、好ましくは、それを、Kon
tron社により販売されている「ローターTST 28.38」型の振動(s
wing−out)バケットを備えたローター中で行う。
【0154】 ついで、上部水相と下部Nycodenz相との相間部に遠心分離後に位置す
る生物の輪状体を取り出し、遠心分離により洗浄し、ついで細胞ペレットを適当
なバッファー中に取る。
【0155】 前記工程(ii)で分離された生物の細胞溶解の工程(iii)は、当業者に
公知のいずれかの方法で行うことができる。
【0156】 好ましくは、リゾチームおよびアクロモペプチダーゼの存在下、pH8.0の
10mM Tris−100mM EDTA溶液中、好ましくは37℃で1時間
、該細胞を細胞溶解する。
【0157】 該DNAの実際の抽出は、好ましくは、プロテイナーゼKの存在下でラウリル
サルコシル(該溶液の最終重量の1%)の溶液を加え該最終溶液を37℃で30
分間インキュベートすることにより行うことができる。
【0158】 ついで、工程(iii)で抽出された核酸を塩化セシウム勾配上で精製する。
好ましくは、塩化セシウム勾配上で該核酸を精製する工程は、例えばKontr
on65.13型のローター上、35,000rpmで36時間の遠心分離によ
り行う。
【0159】 本発明の、生物を含有する土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法の1つの
特定の態様では、該核酸は、専らとまではいかなくとも主としてDNA分子より
なる。
【0160】 もう1つの態様では、該核酸を、アガロースブロック中に含まれる生物、また
は密度勾配上で分離された生物をアガロースブロック内に加え細胞溶解(例えば
、化学的および/または酵素的細胞溶解)した後に回収することができる。
【0161】 本発明のもう1つの対象は、本発明の核酸の集団の製造方法の工程II−(i
v)で得られた又は工程(c)もしくは本発明の核酸の集団の製造方法の後続工
程で得られた核酸よりなる核酸の集団よりなる。
【0162】 本発明はまた、前記の核酸の集団に含まれることを特徴とする核酸に関する。
【0163】 第1態様では、本発明の集団を構成するそのような核酸は、少なくとも1つの
オペロンまたはオペロンの一部をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴
とする。
【0164】 最も好ましくは、そのようなオペロンは、代謝経路の全部または一部をコード
する。
【0165】 実施例9は、ストレプトマイセス・アルボニガー(Streptomyces
alboniger)株からのゲノムDNAライブラリーの構築、およびそれ
ぞれシャトルコスミドpOS700IおよびpOS700R内へのそのクローニ
ングを記載している。組込み型ベクターpOS700I内に調製されたDNAラ
イブラリーにおいては、新規クローンが、ピューロマイシンの生合成経路をもた
らすオペロンに属するヌクレオチド配列を含有することが、本発明により示され
ている。同様に、ピューロマイシンの生合成経路をもたらすオペロンのヌクレオ
チド配列を含有する12個のクローンが、複製型ベクターpOS700R内で調
製されたDNAライブラリー内で同定されている。
【0166】 特に、得られたライブラリーの或る組込み型および複製型コスミドは、制限エ
ンドヌクレアーゼClaIおよびEcoRVでの消化後、ピューロマイシンの生
合成経路をひきおこすオペロンの配列の全部を含有しうる12kbの断片を有す
る。
【0167】 したがって、もう1つの態様では、本発明の核酸は、ピューロマイシンの生合
成経路をもたらすオペロンのヌクレオチド配列を少なくとも部分的に含有する。
【0168】 後記実施例2は、リンデンに汚染された土壌から出発する、pBluescr
ipt SKベクターにおける本発明の方法のDNAライブラリーの構築を記
載している。
【0169】 該組換えベクターを、大腸菌(Escherichia coli)DH10
B細胞内にトランスフェクトし、ついで該形質転換細胞を、リンデンの存在下、
適当な培地内で培養した。該ライブラリーの形質転換細胞上のクローンのスクリ
ーニングは、スクリーニングされたクローン10,000個中35個がリンデン
分解性表現型を有することを示すことを可能にした。これらのクローン内のli
nA遺伝子の存在は、この遺伝子に特異的なプライマーによるPCT増幅により
確認した。
【0170】 したがって、もう1つの態様では、本発明はまた、リンデンの生物分解を引き
起こす代謝経路に関するヌクレオチド配列を含有する核酸に関する。
【0171】 したがって、前記のとおり、本発明の生物を含有する土壌サンプルからの核酸
の集団の製造方法、および前記核酸の集団の構成核酸を含有する組換えベクター
の集団の製造方法が、オペロン内に含まれるヌクレオチド配列の単離および特徴
づけに十分に適していることが、明らかに示されている。
【0172】 オペロンの形態で調節される生合成経路に関与するコードヌクレオチド配列を
本発明が同定しうることの追加的な証明については、後記においても説明する。
これは、治療上大きな関心(特に抗生物質に関する関心)が持たれている分子を
代表例として持つ分子のファミリーに属する、ポリケチドの生合成経路に関与す
るポリケチドシンターゼをコードする配列のクローニングおよび特徴づけに関す
るものである。
【0173】 したがって、本発明の対象はまた、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列のすべてを含むことを特徴とする、本発明の核酸の集団の構成核酸である。
【0174】 第1態様においては、本発明の核酸の集団の構成核酸は原核生物に由来する。
【0175】 第2態様においては、本発明の核酸の集団の構成核酸は、細菌またはウイルス
に由来する。
【0176】 第3態様においては、本発明の核酸の集団の構成核酸は真核生物に由来する。
【0177】 特に、そのような核酸は、真菌、酵母、植物または動物に由来することを特徴
とする。
【0178】 土壌から抽出された核酸の集団の分子特徴づけ 先行技術に関する説明の節に記載されている環境サンプルから抽出および精製
されたDNAのライブラリーを特徴づけるための種々の技術的欠点を克服するた
めに、本出願人は、前記方法から得られた核酸を定性的かつ半定量的に特徴づけ
るための簡便かつ信頼しうる方法を開発した。
【0179】 したがって、本発明の方法は、16S型のリボソームDNAの配列の内部に位
置する700bp断片を普遍的に増幅し、ついで種々の特異性のオリゴヌクレオ
チドプローブで該増幅DNAをハイブリダイズさせ、最後に、該サンプルのハイ
ブリダイゼーション強度を既知の配列または起源のDNAの外部検量範囲と比較
することよりなる。
【0180】 該オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションの前の増幅は、比
較的稀な微生物の属または種を定量することを可能にする。さらに、普遍的プラ
イマーでの増幅は、該ハイブリダイゼーション中に、一連の広範なオリゴヌクレ
オチドプローブを使用することを可能にする。
【0181】 したがって、本発明の対象はまた、核酸の集団、特に、環境サンプル、好まし
くは土壌サンプルに由来する核酸の集団に含まれる核酸の多様性を測定するため
の方法であって、 ・試験する核酸の集団の核酸を、細菌16SリボソームDNAのいずれかの配
列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーのペアと接触させる工程
、 ・少なくとも3つの増幅サイクルを行う工程、 ・1つのオリゴヌクレオチドプローブまたは複数のオリゴヌクレオチドプロー
ブ(各プローブは、細菌の界、目、亜綱または属に共通の16SリボソームDN
Aの配列に特異的にハイブリダイズする)を使用して、該増幅核酸を検出する工
程、 ・適当な場合には、前記検出工程からの結果を、検量範囲を構成する既知配列
の核酸に関する該プローブまたは前記の複数のプローブを使用した場合の検出結
果と比較する工程を含んでなる方法である。
【0182】 好ましくは、16SリボソームRNAの遺伝子の保存領域に普遍的にハイブリ
ダイズするプライマーの第1ペアは、それぞれ、プライマーFGPS 612(
配列番号12)およびFGPS 669(配列番号13)よりなる。
【0183】 本発明のプライマーの好ましいペアの第2の実施形態は、普遍的プライマー6
3f(配列番号22)および1387r(配列番号23)のペアよりなる。
【0184】 核酸集団の核酸の多様性の測定方法の1つの特定の実施形態では、特定の細菌
界、目、亜綱または属に特異的なオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイ
ゼーションの工程の前に、普遍的プライマーのペアを使用する増幅工程を、考慮
中の核酸集団からの核酸がそれぞれの中に挿入された組換えベクターの集団上で
行うことができる。
【0185】 集団内に含まれる核酸の多様性のそのような測定方法は、特に、本明細書の教
示に従い得られた核酸の集団に適用される。
【0186】 したがって、実施例3は、生物を含有する土壌サンプルからの核酸の集団の製
造方法であって、Nycodenz勾配上での該細胞の分離の前に土壌サンプル
を分散させ、該細胞を細胞溶解し、ついで塩化セシウム勾配上で該DNAを精製
することによるDNAの間接的抽出の工程を含む方法を詳細に示している。
【0187】 このようにして得られた核酸の集団を、得られたままで、またはコスミド型の
ベクター内のインサートの形態で、16S rDNAに対する前記普遍的プライ
マーを使用する増幅方法において使用し、ついで該増幅DNAを、表4に示す配
列番号14〜配列番号21の配列のオリゴヌクレオチドプローブを使用する検出
の工程に付した。
【0188】 該結果が示すところによると、本発明の生物を含有する土壌サンプルから出発
する核酸の集団の製造方法は、全地上微生物叢の14%を超えるDNA(すなわ
ち、土壌1g当たり2×10細胞)の入手を可能にし、一方、培養されうる全
微生物叢は該全微生物集団の僅か2%に相当するに過ぎない。
【0189】 本発明により製造された核酸の集団の系統発生的多様性を測定するために、該
16S rRNA遺伝子の47個の配列を単離し配列決定した。これらの配列は
、それぞれ、配列番号60〜配列番号106のヌクレオチド配列に対応する。
【0190】 配列番号60〜配列番号106の配列を含む核酸も本発明の一部を構成し、配
列番号60〜配列番号106の配列を含む核酸に対して少なくとも99%、好ま
しくは、99.5%または99.8%の核酸同一性を有する核酸も同様である。
そのような配列は、特に、DNAライブラリーのクローンをスクリーニングする
ためのプローブとして使用することが可能であり、また、それにより、該ライブ
ラリーのクローンから、関心のあるコード配列に接近している可能性がある配列
(例えば、抗生物質代謝産物、例えばポリケチドの生合成経路に関与する酵素を
コードする配列)を含有するクローンを同定するためのプローブとして使用する
ことが可能である。
【0191】 本発明により得られたDNAライブラリーからの16S rRNAの配列と、
RDPデータベース(Maidak B.L.,Cole J.R.,Park
er C.T.,Garrity G.M.,Larsen N.,Li B.
,Liburn T.G.,McCaughey,M.J.,Olsen G.
J.,Overbeek R.,Pramanik S.,Schmidt T
.M.,Tiedje J.M.,Woese C.R.(1999)“A n
ew project of the RDP(Ribosomal Data
base Project)”Nucleic Acid Research
Vol.27:171−173)中の配列との比較は、本発明の核酸の集団内に
含まれる核酸が、α−プロテオバクテリア、β−プロテオバクテリア、δ−プロ
テオバクテリア、γ−プロテオバクテリア、放線菌類、およびアシドバクテリウ
ム(acidobacterium)に関連した属に由来するとの判定を可能に
した。表7および図7の系統樹に示すこれらの結果は、本発明の方法により得ら
れたDNAライブラリー内に含まれる核酸の大きな系統発生的多様性を説明する
ものである。
【0192】 クローニングおよび/または発現ベクター 本発明により得られた核酸の集団に含まれる核酸のそれぞれは、クローニング
および/または発現ベクター内に挿入することができる。
【0193】 この目的には、先行技術において公知のいずれかのタイプのベクター、例えば
、ウイルスベクター、ファージ、プラスミド、ファジミド、コスミド、ホスミド
、BACタイプのベクター、P1バクテリオファージ、BACタイプのベクター
、YACタイプのベクター、酵母プラスミドまたは先行技術において当業者に公
知の他のいずれかのベクターを使用することができる。
【0194】 本発明では、DNAライブラリーの核酸の安定な発現を可能にするベクターが
有利に使用されるであろう。この目的には、そのようなベクターは、好ましくは
、該ゲノムインサートに作動的に連結していて該DNAインサートの少なくとも
一部の発現の開始および/または調節を可能にする転写調節配列を含む。
【0195】 前記から分かるとおり、本発明は、工程II−(iv)もしくは工程I−(c
)または本発明の生物を含有する土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法の他
のいずれかの後続工程において得られた核酸をクローニングおよび/または発現
ベクター内に挿入することを特徴とする、組換えベクターの集団の製造方法に関
する。
【0196】 クローニングおよび/または発現ベクター内にそれらを挿入する前に、本発明
の核酸の集団の構成核酸を、例えば、制限エンドヌクレアーゼで適宜消化した後
のアガロースゲル上での電気泳動により、それらのサイズに応じて分離すること
ができる。
【0197】 もう1つの態様では、本発明の核酸の集団の構成核酸の平均サイズを、該クロ
ーニングおよび/または発現ベクター内へのそれらの挿入の前に物理的破壊の工
程を行うことにより、実質的に均一のサイズにすることが可能である。
【0198】 核酸の物理的または機械的破壊のそのような工程は、溶液内、直径約0.4m
mの金属チャネル(例えば、そのような直径を有するシリンジ針のチャネル)内
にこれらの核酸を連続的に通過させることよりなりうる。
【0199】 該核酸の平均サイズは、この場合には、30〜40kb長でありうる。
【0200】 本発明に好ましいベクターの構築は、図25(接合組込み型コスミド)および
図26(組込み型BAC)に図式的に示されている。
【0201】 本発明のDNAライブラリーまたは集団内に含まれる核酸を挿入するために有
利に使用されうるクローニングおよび/または発現ベクターは、特に、欧州特許
EP 0 350 341および米国特許第5 688 689号に記載のベク
ターであり、そのようなベクターは、放線菌株の形質転換に特に適している。そ
のようなベクターは、挿入DNA配列に加えて、付着配列att、および放線菌
株内で機能的なインテグラーゼをコードするDNA配列(int配列)を含有す
る。
【0202】 しかし、あるクローニングおよび/または発現ベクターは欠点を有し、それら
の理論的機能的容量は実際には達成されなかったことが、本発明で認められてい
る。
【0203】 したがって、先行技術のベクター内、特に、欧州特許EP 0 350 34
1に記載のベクター内に含有される組込み系は、該細菌染色体内への、該ライブ
ラリーからのDNAインサートの良好な組込みを実際には可能にしないことが判
明した。
【0204】 該細菌染色体内へのそのようなベクターの組込みの機能的欠損が、これらのベ
クター内に存在するインテグラーゼ遺伝子の発現の欠損によるものであったとい
う仮定から出発して、本出願人は、該開始転写プロモーターを、インテグラーゼ
転写産物の数を有意に増加させうる転写プロモーターで置換することにより該イ
ンテグラーゼ遺伝子の発現を増加させることを最初に試みた。
【0205】 その結果は期待はずれなものであり、該染色体内へのこれらのベクターの組込
みの機能は改善されなかった。
【0206】 驚くべきことに、このファミリーの組込みベクターに含有されるインテグラー
ゼ発現の問題点は転写産物の発現の量にあるのではなく、該転写産物の安定性に
あることが、本発明により示された。
【0207】 第2の仮定に従い、本出願人は、該インテグラーゼ転写産物の安定性の欠損が
、対応するメッセンジャーRNAの転写の終結の欠損により引き起こされること
を示すことができた。
【0208】 したがって、本出願人は、与えられたサイズのメッセンジャーRNAを得るた
めに、該ベクターのインテグラーゼをコードする配列の下流に位置する終結部位
を挿入した。該ベクターのインテグラーゼをコードするヌクレオチド配列の下流
の追加的な終結シグナルの挿入は、コスミドタイプおよびBACタイプの組込み
型ベクターのファミリーを得ることを可能にした。
【0209】 好ましくは、該終結部位は付着部位attの下流に配置する。
【0210】 また、本出願人は、本発明の方法により得られた核酸集団の構成核酸を挿入す
るために有利に使用されうる新規接合型ベクターおよびコスミドタイプの新規複
製型ベクターおよびBACタイプの新規接合型ベクターを開発した。
【0211】 平均サイズのDNA断片の挿入が望ましい場合には、約50kbの最大サイズ
を有するインサートを収容しうるコスミドタイプのベクターが好ましく使用され
る。
【0212】 そのようなコスミドベクターは、特に、初期土壌サンプル内に含まれる生物の
機械的細胞溶解による直接DNA抽出の第1工程を含む本発明の方法により得ら
れた核酸集団の構成核酸を挿入するのに適している。
【0213】 大きな核酸、特に、100kbのサイズより大きな又は更には200、300
、400、500または600kbより大きな核酸の挿入が望ましい場合には、
そのようなサイズのDNAインサートを収容しうるBACタイプのベクターが優
先的に使用される。
【0214】 BACタイプのそのようなベクターは、特に、第1工程が、初期土壌サンプル
中に含まれる生物の予備分離および該土壌サンプルからの巨大構成成分の除去に
よる該DNAの間接的抽出よりなる本発明の方法により得られた核酸集団の構成
核酸を挿入するのに適している。
【0215】 特に、BACタイプのベクターは、オペロンのヌクレオチド配列を少なくとも
部分的に含有する大きな核酸を挿入するのに有利に使用される。
【0216】 したがって、本発明の組換えクローニングおよび/または発現ベクターの集団
の製造方法はまた、該クローニングおよび/または発現ベクターがプラスミド型
のものであることにより特徴づけられる。
【0217】 もう1つの態様では、そのような方法は、該クローニングおよび/または発現
ベクターがコスミドタイプのものであることにより特徴づけられる。
【0218】 第1態様では、それは、大腸菌(E.coli)において複製型である及びス
トレプトマイセス(Streptomyces)において組込み型であるコスミ
ドでありうる。そのような定義に対応する十分に好ましいコスミドは、実施例3
に記載のpOS7001である。
【0219】 さらにもう1つの態様では、該コスミドベクターはストレプトマイセス(St
reptomyces)において接合型および組込み型である。
【0220】 一般に、「接合起点(conjugation origin)」として公知
の細胞酵素装置により認識される単位をヌクレオチド配列内に含むコスミドタイ
プまたはBACタイプの接合型ベクターは、自動化が困難な面倒な形質転換技術
に頼ることを避けたいどのような場合にも使用される。
【0221】 例えば、大腸菌(E.coli)細胞により最初に保持されていたベクターを
ストレプトマイセス(Streptomyces)細胞内にトランスフェクトす
る場合には、通常、ストレプトマイセス(Streptomyces)プロトプ
ラストを形質転換する工程の前に、大腸菌(Escherichia coli
)細胞内に含有される組換えベクターを回収し、それを精製する工程を要する。
各大腸菌(E.coli)クローンがその表現の機会を有するためには、ストレ
プトマイセス(Streptomyces)内への1000個の大腸菌(Esc
herichia coli)クローンの集合体のトランスフェクションに約8
000個のクローンの製造を要すると一般に考えられている。
【0222】 逆に、大腸菌(E.coli)により保持されたベクターをストレプトマイセ
ス(Streptomyces)細胞内に接合させることによるトランスフェク
ションの工程は、それらの微生物のそれぞれの同数のクローンを要し、該接合工
程は、「クローンからクローンに」生じ、更に、例えばポリエチレングリコール
の存在下のプロトプラストの形質転換により遺伝物質を導入する工程に関連した
技術的問題点を含まない。
【0223】 ストレプトマイセス(Streptomyces)におけるDNAライブラリ
ーの構築を最適化するために、該接合工程の最大有効性を可能にする性質のコス
ミドタイプおよびBACタイプの新規接合型ベクターを本発明で開発した。
【0224】 特に、本発明の新規接合型ベクターは、末端において該受容細菌内に導入され
るベクターのDNAの末端に選択マーカー遺伝子を配置することにより構築され
ている。先行技術の接合型ベクターに対するこの改良は、該ベクターDNAのす
べてを従って関心のある挿入DNAのすべてを受容した受容細菌だけの正の選択
を可能にする。
【0225】 ストレプトマイセス(Streptomyces)において接合型および組込
み型である本発明で好ましいコスミドは、実施例5に記載のコスミドpOSV3
03、pOSV306およびpOSV307である。
【0226】 もう1つの態様では、本発明の組換えベクターの集団の製造方法は、大腸菌(
E.coli)およびストレプトマイセス(Streptomyces)の両方
において複製型であるコスミドを使用して行う。そのようなコスミドは、好まし
くは、実施例6に記載のコスミドpOS700Rである。
【0227】 更にもう1つの態様では、前記方法は、大腸菌(E.coli)およびストレ
プトマイセス(Streptomyces)において複製型でありストレプトマ
イセス(Streptomyces)において接合型であるコスミドで行うこと
ができる。
【0228】 そのような複製型および接合型コスミドは、ベクターpOSV303の構築の
ために実施例5に記載のRK2のような適当な導入源を挿入することにより、本
発明の複製型コスミドから得ることができる。
【0229】 本発明の組換えベクターの集団の製造方法のもう1つの有利な実施形態では、
BACタイプのクローニングおよび/または発現ベクターを使用する。
【0230】 第1態様では、該BACタイプのベクターはストレプトマイセス(Strep
tomyces)において組込み型および接合型である
【0231】 十分に好ましい様態においては、ストレプトマイセス(Streptomyc
es)において組込み型および接合型であるそのようなBACベクターは、実施
例8に記載のベクターBAC pOSV403、そうでなければ実施例15に記
載のBAC pMBD−1、pMBD−2、pMBD−3、pMBD−4、pM
BD−5およびpMBD−6である。
【0232】 本発明の対象はまた、以下の組換えベクター: a)本発明の核酸集団の構成核酸を含むベクター、 b)既に記載されているとおりの、挿入されるDNA断片に対する制限エンド
ヌクレアーゼの作用の関与を回避する方法により得られたベクターから選ばれる
ことを特徴とする組換えベクターである。
【0233】 十分に好ましい様態においては、本発明はまた、以下のベクター: ・コスミドpOS700I、 ・コスミドpOSV303、 ・コスミドpOSV306、 ・コスミドpOSV307、 ・コスミドpOS700R、 ・ベクターBAC pOSV403、 ・ベクターBAC pMBD−1、 ・ベクターBAC pMBD−2、 ・ベクターBAC pMBD−3、 ・ベクターBAC pMBD−4、 ・ベクターBAC pMBD−5、 ・ベクターBAC pMBD−6から選ばれるベクターに関する。
【0234】 本発明はまた、本発明の方法のいずれか1つにより得られた組換えベクターの
集団に関する。
【0235】 本発明の組換えクローニングおよび/または発現ベクターの製造方法 組換えクローニングおよび/または発現ベクターを製造するためにベクター内
にDNAを挿入するための通常の技術は、通常、挿入するDNAおよび該レシピ
エントベクターの両方と共に制限エンドヌクレアーゼをインキュベートし、それ
により、挿入するDNAと該ベクターDNAとの間に適合性末端を作製して、該
組換えベクターの産生を可能にする最終連結工程の前にそれらの2つのDNAの
集合を可能にする第1工程を含む。
【0236】 しかし、そのような通常の技術は、特にクローニングおよび/または発現ベク
ター内に大きな核酸を挿入することを望む場合には、注目すべき欠点を有する。
【0237】 特に、ベクター内に挿入されることが意図されるDNA断片に対する制限酵素
の前作用は、このDNAのサイズを、該ベクター内へのその挿入の前にかなり減
少させる傾向にある。言うまでもなく、該ベクター内へのその挿入の前の該DN
Aのサイズの有意な減少は、該コード配列のすべてを、そして場合によっては、
発現されて産業上関心のある代謝産物(特に、治療上関心のある化合物)の完全
な生合成経路を構成するオペロンの調節配列をも含有する傾向にあるDNAの大
きな断片をクローニングしたい場合には特に不利な状況である。
【0238】 先行技術の欠点を克服するために、挿入されるDNA上で制限エンドヌクレア
ーゼを該ベクター内へのその導入の前に使用しない、組換えクローニングおよび
/または発現ベクターを製造するための2つの方法を本発明で開発した。したが
って、そのような方法は、該コード配列のすべてを、および適当な場合には、生
合成経路をもたらす完全なオペロンの調節配列をも少なくとも部分的に含有する
傾向にある長いDNA断片をクローニングするのに十分に適している。
【0239】 第1態様では、本発明のクローニングおよび/または発現ベクターを製造する
ための1つの方法は、該クローニングおよび/または発現ベクター内への核酸の
挿入が、 ・適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して、選択されたクローニング部位で
該クローニングおよび/または発現ベクターを開裂する工程、 ・その開いたベクターの遊離3’末端において第1ホモポリマー核酸を付加す
る工程、 ・該ベクター内に挿入される核酸の遊離3’末端において、該第1ホモポリマ
ー核酸に相補的な配列を有する第2ホモポリマー核酸を付加する工程、 ・互いに相補的な配列の第1および第2ホモポリマー核酸をハイブリダイズさ
せることにより、該ベクターの核酸と核酸とを集合させる工程、 ・連結により該ベクターを閉じる工程を含むことを特徴とする。
【0240】 そのような方法は後記実施例10および13に記載されている。
【0241】 好ましくは、前記方法は、以下の特徴を別々に又は組合せて含みうる: ・該第1ホモポリマー核酸はポリ(A)またはポリ(T)配列のものである; ・該第2ホモポリマー核酸はポリ(T)またはポリ(A)配列のものである。
【0242】 十分に好ましい様態においては、該ホモポリマー核酸は、25〜100ヌクレ
オチド塩基、好ましくは25〜70ヌクレオチド塩基の長さを有する。
【0243】 前記の組換えクローニングおよび/または発現ベクターの製造方法は、BAC
タイプのベクター内のDNAライブラリーの構築に特に適している。したがって
、前記の組換えベクターの製造方法の1つの有利な実施形態においては、該方法
はまた、挿入される核酸のサイズが少なくとも100kb、好ましくは、少なく
とも200、300、400、500または600kbであることを特徴とする
【0244】 したがって、そのような製造方法は、本発明の方法により得られた核酸集団に
含まれる核酸の挿入に特に適している。
【0245】 クローニングおよび/または発現ベクター内への大きなDNA断片の挿入を可
能にするために、該ベクター内への挿入が意図されるDNAに対する制限エンド
ヌクレアーゼの使用を省くことを可能にする第2の方法を本発明で開発した。
【0246】 本発明の組換えクローニングおよび/または発現ベクターのそのような製造方
法は、該クローニングおよび/または発現ベクター内に核酸を挿入する工程が、 ・突出3’配列を除去し突出5’配列をフィルインする(埋める)ことにより
、該集団の核酸の末端上に平滑末端を作製する工程、 ・適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して、選択されたクローニング部位に
おいて該クローニングおよび/または発現ベクターを開裂する工程、 ・相補的オリゴヌクレオチドアダプターを付加する工程、 ・突出3’配列を除去し突出5’配列をフィルインすることにより、該ベクタ
ー核酸の末端において平滑末端を作製し、ついで、該ベクターの再環化を妨げる
ために5’末端を脱リン酸化する工程、 ・該集団の核酸を該ベクター内に連結により挿入する工程を含むことを特徴と
する。
【0247】 好ましくは、該突出3’配列の除去は、クレノウ酵素のようなエキソヌクレア
ーゼを使用して行う。
【0248】 好ましくは、該突出5’配列のフィルインは、4種のヌクレオチド三リン酸の
存在下、ポリメラーゼ、最も好ましくはT4ポリメラーゼを使用して行う。
【0249】 前記のとおりの、該突出3’配列を除去し該突出5’配列をフィルインするこ
とによる組換えクローニングおよび/または発現ベクターの製造方法は、コスミ
ドタイプのベクターからのDNAライブラリーの構築に特に適している。
【0250】 組換えベクターを得るためのそのような方法は実施例12に記載されている。
【0251】 本発明の組換えベクターを製造するための1つの特定の方法においては、1以
上の稀有制限部位を含むオリゴヌクレオチドを、実施例10の教示に従い、挿入
されるDNAのクローニング部位において該ベクターに付加する。オリゴヌクレ
オチドのこの付加は、該インサートの後続の回収を促進し、この場合、その開裂
を伴わない。
【0252】 宿主細胞 本発明の核酸または組換えベクターでのトランスフェクションまたは形質転換
には任意の型の宿主細胞を使用することが可能であるが、特に、原核性または真
核性宿主細胞、生理的、生化学的および遺伝的特性が十分に特徴づけられている
宿主細胞であって、その代謝産物の製造のための培養条件がよく知られており大
規模で容易に培養されうる宿主細胞が好ましく使用される。
【0253】 好ましくは、本発明の核酸または組換えベクターを受容する宿主細胞は、該核
酸が由来する環境サンプル中に最初に含まれる供与生物に系統発生的に近い。
【0254】 最も好ましい様態においては、本発明の宿主細胞は、該環境サンプル、特に該
土壌サンプル中に最初に存在する供与生物における類似した又は少なくとも近い
コドン使用頻度を有するべきである。
【0255】 関心のある所望のヌクレオチド配列を保持しやすいDNA断片のサイズは様々
でありうる。したがって、1kbの平均サイズを有する遺伝子にコードされる酵
素は、小さなサイズのインサートを使用して発現させることが可能であり、一方
、二次代謝産物の発現は、それよりはるかに大きな断片(例えば、40kb〜1
00kb、200kb、300kb、400kbまたは600kb以上)の、該
宿主生物内での維持を要するであろう。
【0256】 したがって、大腸菌(Escherichia coli)の宿主細胞は、大
きなDNA断片のクローニングのための好ましい選択肢に相当する。
【0257】 最も好ましい様態においては、BACベクター内へのクローニングのためのプ
ロトコールが最適化されている、DH10Bとして公知でありShizuyaら
(1992)に記載されている大腸菌(Escherichia coli)株
が使用されるであろう。
【0258】 しかし、本発明のDNAライブラリーを構築するためには、大腸菌(Esch
erichia coli)の他の株、例えば、大腸菌(E.coli)Sur
e、大腸菌(E.coli)DH5αまたは大腸菌(E.coli)294(A
TCC番号31446)株を有利に使用することができる。
【0259】 さらに、本発明の組換えベクターで大腸菌(E.coli)細胞をトランスフ
ェクトすることによるDNAライブラリーの構築も可能であり、バシラス(Ba
cillus)、テルモトガ(Thermotoga)、コリネバクテリウム(
Corynebacterium)、ラクトバシラス(Lactobacill
us)またはクロストリジウム(Clostridium)のような種々の原核
細胞の遺伝子の発現がPCT特許出願WO 99/20799に記載されている
【0260】 一般には、大腸菌(E.coli)宿主細胞が、すべての場合において、本発
明の組換えベクターが有効に維持されうる一過性宿主を構成し、該遺伝物質が容
易に操作され安定に収容されうる。
【0261】 また、可能な限り広い分子多様性を発現させる目的には、バシラス(Baci
llus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセス
(Streptomyces)、ミクソコッカス(Myxococcus)、ア
スペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ま
たはニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)細胞の
ような他の宿主細胞も有利に使用されうる。
【0262】 また、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces liv
idans)細胞が成功裏のうちに使用され、大腸菌(Escherichia
coli)を補足する発現系を構成しうることが、本発明により示されている
【0263】 ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces livida
ns)は、ストレプトマイセス(Streptomyces)の遺伝学を研究す
るためのモデルを構成し、多数の二次代謝産物の異種発現のための宿主として使
用されている。ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces
lividans)は、ストレプトマイセス・ケリコロール(Streptom
yces coelicolor)、ストレプトマイセス・グリセウス(Str
eptomyces griseus)、ストレプトマイセス・フラジエ(St
reptomyces fradiae)およびストレプトマイセス・グリセオ
クロモゲネス(Streptomyces griseochromogene
s)のような他の放線菌類と同様に、複雑な生合成経路(例えば、ポリケチド生
合成経路または非常に多様な構造の分子のクラスを代表する非リボソームポリペ
プチドの生合成のための経路)の全部または一部の発現に要求される調節系およ
び前駆体分子を有する。
【0264】 ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces livida
ns)はまた、高い形質転換効率で外来DNAを受け入れるという利点を有する
【0265】 したがって、本発明はまた、本発明の方法により製造された核酸集団の構成成
分である本発明の核酸を含む組換え宿主細胞、または前記の組換えベクターを含
む組換え宿主細胞に関する。
【0266】 第1の態様では、それは、原核生物または真核生物に由来する組換え宿主細胞
でありうる。
【0267】 好ましくは、本発明の組換え宿主細胞は細菌であり、最も好ましくは、大腸菌
(E.coli)およびストレプトマイセス(Streptomyces)から
選ばれる細菌である。
【0268】 もう1つの態様では、本発明の組換え宿主細胞は、酵母または糸状菌であるこ
とを特徴とする。
【0269】 本発明はまた、組換え宿主細胞の集団であって、該集団の構成宿主細胞のそれ
ぞれは、前記のとおりの生物を含有する土壌サンプルからの核酸の集団の製造方
法により製造された核酸集団に由来する核酸を含むことを特徴とする集団に関す
る。
【0270】 本発明はまた、組換え宿主細胞の集団であって、該集団の構成宿主細胞のそれ
ぞれが、本発明の組換えベクターを含むことを特徴とする集団に関する。
【0271】 該インサートのサイズが大きいため、最大形質転換効率を得る必要がある。こ
の目的のためには、該ベクターの部位特異的組込みを促進するためにpSAM2
インテグラーゼを構成的に発現するストレプトマイセス・リビダンス(Stre
ptomyces lividans)の受容株が好ましい。この場合、強力な
プロモーターの制御下のint遺伝子が該染色体内に組込まれる。インテグラー
ゼの過剰産生は切除現象を何ら誘発しない(Raynalら,1998)。
【0272】 産生される抗生物質の耐性に関する遺伝子を該インサートが含有しない場合、
またはこの遺伝子が発現されない若しくは低い度合いでしか発現されない場合に
は、該インサートからの新規代謝産物の産生はストレプトマイセス(Strep
tomyces)に対して毒性となりうるであろう。ストレプトマイセス・アン
ボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)が産生
する抗生物質に対してそれが抵抗するのを可能にする種々の遺伝子の能力が研究
されている(Gourmelenら,1998;Pernodetら,1999
)。これらの遺伝子のいくつかは、広域スペクトルの耐性を付与する傾向にある
ABC型の輸送体をコードしている。これらの遺伝子は、ストレプトマイセス・
リビダンス(Streptomyces lividans)宿主株内に導入し
、該宿主株内で過剰発現させることができる。
【0273】 逆に、該ライブラリー内の耐性遺伝子の存在を検出するために、抗生物質に過
敏な株を使用することができる(Pernodetら,1996)。特に、抗生
物質産生微生物においては、これらの耐性遺伝子は、しばしば、該抗生物質の生
合成経路の遺伝子に関連している。耐性クローンの選択は、該クローンにより産
生された新規代謝産物の検出のための更に複雑な試験の前の第1の選別を容易に
行うことを可能にしうる。
【0274】 ポリケチドシンターゼをコードする新規ヌクレオチド配列の単離および特徴づ 本発明では、本発明の方法により製造された核酸集団に由来する核酸インサー
トをそれぞれが含有する組換えベクターの集団で宿主細胞をトランスフェクトし
た後に、組換え宿主細胞の集団を得た。
【0275】 より詳しくは、本発明の方法(この場合、土壌サンプルに含まれる生物からの
DNAの間接的抽出の工程を行う)により得られたDNA断片を、まず、組込み
型コスミドpOS700I内にクローニングした。
【0276】 組込み型コスミドpOS700I内にDNA断片を挿入する工程は、本発明の
方法に従い行った。この場合、ホモポリマーポリヌクレオチドテイル ポリ(A
)およびポリ(T)を、それぞれ、該ベクター核酸の及び挿入されるDNA断片
の3’末端に付加した。
【0277】 このようにして構築した組換えベクターをラムダファージヘッド内に包膜し、
得られたファージを使用して、当業者のよく知られた技術に従い大腸菌(E.c
oli)細胞に感染させた。
【0278】 約5000個の大腸菌(Escherichia coli)クローンのライ
ブラリーを得た。
【0279】 クローンのこのライブラリーを、ポリケチド生合成経路に関与する酵素である
β−ケトアシルシンターゼとしても公知のI型PKS酵素をコードするヌクレオ
チド配列に特異的なプライマーのペアでスクリーニングした。
【0280】 ここで、ポリケチドは、チロシン(tylosin)、モネンシン、ベルメク
チン、エリスロマイシン、ドキソルビシンまたはFK506のような医薬上関心
のある多数の分子を含む非常に構造的に多様な化学的範疇を構成することが思い
起こされる。
【0281】 ポリケチドは、ポリケチドシンターゼ(PKS)として公知の酵素の作用によ
るアセタート分子の縮合により合成される。2つの型のポリケチドシンターゼが
存在する。II型ポリケチドシンターゼは、一般には、多環式芳香族抗生物質の
合成に関与し、アセタート単位の反復縮合を触媒する。
【0282】 I型ポリケチドシンターゼは、大環状またはマクロライドポリケチドの合成に
関与し、モジュラー多機能酵素を構成する。
【0283】 それらの治療的関心を考慮すると、新規医薬化合物(特に、抗生物質活性を有
する新規医薬化合物)の製造に使用されうる新規ポリケチドシンターゼを単離し
特徴づけることが、最新技術において必要とされている。
【0284】 I型ポリケチドシンターゼをコードするヌクレオチド配列を選択的に増幅する
PCRプライマーを使用する前記の組換えクローンのライブラリーのスクリーニ
ングは、新規ポリケチドシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含むDNA
インサートを含有する組換えクローンを同定することを可能にした。これらの新
規ポリケチドシンターゼをコードするヌクレオチド配列は、配列配列番号33〜
配列番号44および配列番号115〜配列番号120として記載されている。
【0285】 本発明のもう1つの対象は、ヌクレオチド配列配列番号34〜配列番号44お
よび配列番号115〜配列番号120の1つを含むことを特徴とする、新規ポリ
ケチドシンターゼIをコードする核酸よりなる。
【0286】 好ましくは、そのような核酸は、単離および/または精製された形態である。
【0287】 本発明はまた、配列番号配列番号34〜配列番号44および配列番号115〜
配列番号120の1つを含むポリヌクレオチドを含む組換えベクターに関する。
【0288】 本発明はまた、ヌクレオチド配列配列番号34〜配列番号44および配列番号
115〜配列番号120の1つを含むポリヌクレオチドから選ばれる核酸を含む
組換え宿主細胞、ならびにヌクレオチド配列配列番号34〜配列番号44および
配列番号115〜配列番号120の1つを含むポリヌクレオチドが挿入された組
換えベクターを含む組換え宿主細胞に関する。
【0289】 好ましくは、本発明の新規I型ポリケチドシンターゼをコードするDNAイン
サートを含有する組換えベクターは、クローニングおよび発現ベクターである。
【0290】 好ましくは、前記の組換え宿主細胞は細菌、酵母または糸状菌である。
【0291】 土壌サンプルに含まれる生物に由来する新規ポリケチドシンターゼのアミノ酸
配列は、前記ヌクレオチド配列配列番号34〜配列番号44および配列番号11
5〜配列番号120から推定した。それらは、アミノ酸配列配列番号48〜配列
番号59および配列番号121〜配列番号126の1つを含むポリペプチドであ
る。
【0292】 本発明はまた、配列配列番号48〜配列番号59および配列番号121〜配列
番号126から選ばれるアミノ酸配列を含む新規ポリケチドシンターゼに関する
【0293】 配列配列番号121〜配列番号126のポリペプチドをそれぞれコードする6
個のオープンリーディングフレームを含むヌクレオチド配列配列番号114も、
本発明の一部を構成する。
【0294】 配列配列番号114に相補的な配列を含有するa26G1コスミドのヌクレオ
チド配列配列番号113も、本発明の一部を構成する。
【0295】 また、ストレプトマイセス・ケリコロール(Streptomyces co
elicolor)(ATCC番号101.478)、ストレプトマイセス・ア
ンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)(N
RRL番号2.420)、ストレプトマイセス・ラクタマンデュランス(Str
eptomyces lactamandurans)(ATCC番号27.3
82)、ストレプトマイセス・リモサス(Streptomyces rimo
sus)(ATCC番号109.610)、バシラス・サチリス(Bacill
us subtilis)(ATCC番号6633)またはバシラス・リヘニフ
ォルニス(Bacillus lichenifornis)およびサッカロポ
リスポラ・エリスラ(Saccharopolyspora erythrea
)のような純粋な細菌株に由来するゲノムDNAを、本発明に従い抽出し、増幅
した。
【0296】 前記の細菌株のそれぞれからのDNAのPCR増幅は、I型ポリケチドシンタ
ーゼの核酸配列に特異的なプライマーのペアを使用して行った。
【0297】 このようにして、新規細菌I型ポリケチドシンターゼ遺伝子を単離し特徴づけ
ることができた。これらは、核酸配列配列番号30〜配列番号32である。
【0298】 したがって、本発明の対象はまた、ヌクレオチド配列配列番号30〜配列番号
32の1つを含むポリヌクレオチドから選ばれる新規I型ポリケチドシンターゼ
をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0299】 前記の新規I型ポリケチドシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む組
換えベクターは、本発明の一部を構成する。
【0300】 本発明はまた、配列番号30〜配列番号32から選ばれるヌクレオチド配列を
含む新規I型ポリケチドシンターゼをコードする核酸を含有することを特徴とす
る組換え宿主細胞、および前記の組換えベクターを含む組換え宿主細胞に関する
【0301】 本発明の対象はまた、核酸配列番号30〜32を含む配列にコードされるポリ
ペプチド、より詳しくは、アミノ酸配列配列番号47〜配列番号50を含むポリ
ペプチドである。
【0302】 本発明の対象はまた、 ・配列配列番号33〜配列番号44および配列番号30〜配列番号32および
配列番号115〜配列番号120から選ばれるヌクレオチド配列を含むI型ポリ
ケチドシンターゼをコードする核酸を含む組換え宿主細胞を製造する工程、 ・適当な培地内で該組換え宿主細胞を培養する工程、 ・該培養上清または該細胞ライセートから該I型ポリケチドシンターゼを回収
し、適当な場合には精製する工程を含んでなる、本発明のI型ポリケチドシンタ
ーゼの製造方法である。
【0303】 前記の方法により得られた新規I型ポリケチドシンターゼは、これらのポリケ
チドシンターゼを認識する抗体が予め固定化されたイムノアフィニティークロマ
トグラフィーカラムへの結合により特徴づけられうる。
【0304】 本発明のI型ポリケチドシンターゼ、特に、前記の組換えポリケチドシンター
ゼはまた、例えば、当業者によく知られている逆相クロマトグラフィー技術また
は陰イオン交換もしくは陽イオン交換クロマトグラフィー技術のような高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)技術により精製することができる。
【0305】 本発明の組換えまたは非組換えポリケチドシンターゼは、抗体の製造に使用す
ることができる。
【0306】 もう1つの態様では、本発明の対象はまた、本発明のI型ポリケチドシンター
ゼまたはそのようなポリケチドシンターゼのペプチド断片を特異的に認識する抗
体である。
【0307】 本発明の抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありうる。該モノクロ
ーナル抗体は、KohlerおよびMilstein C.(1975),Na
ture,Vol.256:495に記載の技術に従うハイブリドーマ細胞から
製造することができる。
【0308】 該ポリクローナル抗体は、適当な場合には免疫アジュバント化合物(例えば、
完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニ
ウムまたはムラミルペプチドファミリーからの化合物)の存在下、哺乳動物、特
にマウス、ラットまたはウサギを本発明のI型ポリケチドシンターゼで免疫する
ことにより製造することができる。
【0309】 本発明の目的においては、抗体フラグメント、例えばFab、Fab’、F(
ab’)、またはMartineauら(1998)J.Mol.Biol.
,Vol.280(1):117−127もしくは米国特許第4 946 77
8号に記載の可変部分を含有する一本鎖抗体フラグメント(ScFv)、および
Reinmann KAら(1997),AIDS Res.Hum.Retr
oviruses,Vol.13(11):933−943もしくはLeger
O.Jら(1997),Hum.Antibodies,Vol.8(1):
3−16に記載のヒト化抗体も、「抗体」に含まれる。
【0310】 本発明の抗体調製物は、特に、本発明のI型ポリケチドシンターゼの存在を検
出すること又は例えばそのような酵素を産生しうる細菌株の細胞ライセートもし
くは培養上清中のこのポリケチドシンターゼの量を定量することを単に意図した
定性的または定量的免疫学的試験において有用である。
【0311】 本発明のもう1つの対象は、サンプル中の本発明のI型ポリケチドシンターゼ
またはこの酵素のペプチド断片を検出するための方法であって、 a)本発明の抗体を該被検サンプルと接触させる工程、 b)形成された可能性がある抗原/抗体複合体を検出する工程を含んでなる方
法よりなる。
【0312】 本発明はまた、 a)本発明の抗体、 b)適当な場合には、形成した可能性がある抗原/抗体複合体を検出するのに
必要な試薬を含む、サンプル中の本発明のI型ポリケチドシンターゼを検出する
ためのキットまたは装置に関する。
【0313】 本発明のI型ポリケチドシンターゼに対する抗体は、当業者によく知られた方
法に従い、検出可能な同位体または非同位体標識を使用して標識することができ
る。
【0314】 ピューロマイシン生合成経路の配列、リンデンの生分解に関与するlinA遺
伝子の配列またはI型ポリケチドシンターゼをコードする配列のような、存在す
るのが望ましい標的配列にハイブリダイズするプライマーのペアを使用する本発
明のDNAライブラリーのスクリーニングは、前記で詳しく説明されている。
【0315】 したがって、本発明の対象は、本発明の組換え宿主細胞の集団における、与え
られたヌクレオチド配列の核酸、または与えられたヌクレオチド配列に構造的に
類似したヌクレオチド配列の核酸を検出するための方法であって、 ・組換え宿主細胞の集団を、その与えられたヌクレオチド配列にハイブリダイ
ズプライマーのペア、または与えられたヌクレオチド配列に構造的に類似したヌ
クレオチド配列にハイブリダイズするプライマーのペアと接触させる工程、 ・少なくとも3つの増幅サイクルを行う工程、 ・増幅された核酸を検出する工程を含むことを特徴とする方法である。
【0316】 所望の標的配列の機能として適した増幅条件に関しては、当業者は後記の実施
例を有利に参照することが可能である。
【0317】 もう1つの態様では、本発明はまた、本発明の組換え宿主細胞の集団における
、与えられたヌクレオチド配列の核酸、または与えられたヌクレオチド配列に構
造的に類似したヌクレオチド配列の核酸を検出するための方法であって、 ・組換え宿主細胞の集団を、与えられたヌクレオチド配列にハイブリダイズす
るプローブ、またはその与えられたヌクレオチド配列に構造的に類似したヌクレ
オチド配列にハイブリダイズするプローブと接触させる工程、 ・該プローブと該集団のベクター内に含まれる核酸との間で形成されうるハイ
ブリッドを検出する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0318】 リンデンを分解しうるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在を検
出するために本発明のDNAライブラリーのスクリーニングを行うために、関心
のある組換えクローンを、リンデンを分解するそれらの能力に対応するそれらの
表現型に基づいて検出した。この目的には、単離されたクローンおよび/または
調製されたDNAライブラリーのクローンのセット(組)を、リンデンの存在下
で培地内で培養し、該リンデン分解を、該細胞の隣接(immediate)環
境中の濁ったハロの形成により観察した。
【0319】 本発明はまた、本発明の組換え宿主細胞の集団内の1以上の組換え宿主細胞に
よる関心のある化合物の産生を同定するための方法であって、 ・該集団の組換え宿主細胞を適当な培地内で培養する工程、 ・培養した1以上の組換え細胞の培養上清または細胞ライセート内の関心のあ
る化合物を検出する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0320】 本発明の対象はまた、本発明の組換え宿主細胞の集団において、関心のある化
合物を産生する組換え宿主細胞を選択するための方法であって、 ・該集団の組換え宿主細胞を適当な培地内で培養する工程、 ・培養した1以上の組換え宿主細胞の培養上清または細胞ライセート内の関心
のある化合物を検出する工程、 ・関心のある化合物を産生する組換え宿主細胞を選択する工程を含むことを特
徴とする方法である。
【0321】 本発明はまた、 ・前記方法により選択された組換え宿主細胞を培養する工程、 ・該組換え宿主細胞により産生された化合物を回収し、適当な場合には精製す
る工程を含むことを特徴とする、関心のある化合物の製造方法に関する。
【0322】 本発明はまた、前記方法により得られることを特徴とする関心のある化合物に
関する。
【0323】 本発明の関心のある化合物は、配列配列番号33〜配列番号44および配列番
号30〜配列番号32および配列番号115〜配列番号120から選ばれる配列
を含む少なくとも1つのヌクレオチド配列を発現させることにより製造されたポ
リケチドよりなりうる。
【0324】 本発明はまた、配列配列番号33〜配列番号44および配列番号30〜配列番
号32および配列番号115〜配列番号120から選ばれる配列を含む少なくと
も1つのヌクレオチド配列を発現させることにより製造されたポリケチドを含む
組成物に関する。
【0325】 前記の少なくとも1つのヌクレオチド配列を発現させることにより製造された
ポリケチドは、好ましくは、ポリケチドの合成に必要な種々の酵素が翻訳産物で
ある機能的オペロン内に含まれるいくつかのコード配列(前記配列の1つは、該
オペロン内に含まれ、該オペロンにおいて発現される)の活性の産物である。ポ
リケチドシンターゼをコードする本発明の核酸配列を含むそのようなオペロンは
、例えば、Borchertら(1992)の教示に従い構築することができる
【0326】 本発明はまた、薬理学的に活性な量の本発明のポリケチドと、適当な場合には
医薬上許容されるビヒクルとを含む医薬組成物に関する。
【0327】 そのような医薬組成物は、本発明によりI型ポリケチドシンターゼにより合成
された、1μg/kg/日〜10mg/kg/日、好ましくは、少なくとも0.
01mg/kg/日、最も好ましくは0.01〜1mg/kg/日の量のポリケ
チドの投与、例えば非経口投与に有利に適用されるであろう。
【0328】 本発明の医薬組成物は、経口的、直腸内、非経口的、静脈内、皮下または皮内
に投与することができる。
【0329】 本発明はまた、本発明によりI型ポリケチドシンターゼを発現させることによ
り得られたポリケチドの、医薬品、特に抗生物質活性を有する医薬品の製造のた
めの使用に関する。
【0330】 本発明はまた、後記の図面および実施例により例示されるが、これらは本発明
を何ら限定するものではない。
【0331】 図1は、実施例1に記載のプロトコール1、2、3n、4a、4b、5aおよ
び5bに従い行う種々の細胞溶解工程のスキームを示す。
【0332】 図2は、種々の細胞溶解処理(プロトコール1〜5、図1を参照されたい)の
後に300mgの土壌番号3(St Andre海岸)から抽出したDNAの0
.8%アガロースゲル上での電気泳動を示す。M:ラムダファージ分子量マーカ
ー。
【0333】 図3は、処理1〜5(図1を参照されたい)の後に培養した放線菌類の種々の
属の比率を示す。cfu(コロニー形成単位)値は、この群の細菌に選択的な培
地上で測定した。合計約400個のコロニーを分析した。
【0334】 図4は、粉砕の前(G)または後(G)に種々の濃度で土壌に加えたHin
dIIIで消化したラムダファージDNAの回収を示す。処理T(熱ショック)
およびS(超音波処理)は追加的な細胞溶解処理である。ドットブロットハイブ
リダイゼーション後のホスホイメージャーでの分析により、該定量を行った。各
土壌のサンプルを、加えたラムダファージの各濃度に使用した。該土壌の特徴を
表1に示す。加えた10〜15μg pf DNAに対応するサンプルは処理し
なかった。
【0335】 図5は、プロトコール1、2、3、5aおよび5bに従い土壌番号3から抽出
したDNAのPCR増幅を示す。常在ストレプトスポランギウム種(Strep
tosporangium spp.)を標的化するために、プライマーFGP
S 122およびFGPS 350(表2)を使用した。該抽出DNAは、未希
釈で又は10倍および100倍の希釈度で使用した。M:123bpの分子量マ
ーカー(Gibco BRL)、C:DNAを含まない増幅対照。
【0336】 図6は、ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)OS48
.3の芽胞または菌糸体を種々の濃度で該土壌に接種した後に抽出されたDNA
の量を示す。該土壌に加えた菌糸体の量は、発芽培地に接種した芽胞の数に対応
する。該芽胞の約50%が発芽し、該発芽芽胞菌糸に含まれる細胞またはゲノム
の数は測定しなかった。したがって、接種した芽胞および菌糸体の量は、直接的
には比較され得ない。該抽出プロトコールは、プロトコール6(材料および方法
の節を参照されたい)に従い行った。記号(’)は、該抽出バッファー内にRN
Aが含まれていたことを示す。該標的DNAはプライマーFGPS 516およ
びFGPS 517でのPCRにより増幅し、該定量は、プローブFGPS 5
18を使用するドットブロットハイブリダイゼーション後のホスホイメージャー
で行った。各土壌のサンプルを菌糸または芽胞の各濃度に使用した。該土壌の特
徴を表1に示す。
【0337】 図7は、該土壌DNAライブラリー内に含まれる16S rDNA配列を培養
参照細菌に対して配置するNeighbour Joiningアルゴリズムで
得られた系統樹を表す。グレーの表示:該ライブラリーのクローンのプールから
得られた配列。
【0338】 100回の繰返しの再サンプリングの後のブートストラップ値が、集合点に示
されている。目盛り線は、部位当たりの置換の数を示す。Genbankデータ
ベース内の配列のアクセス番号が括弧内に示されている。
【0339】 図8は、ベクターpOSint1のスキームを表す。
【0340】 図9は、ベクターpWED1のスキームを表す。
【0341】 図10は、ベクターpWE15(ATCC番号37503)のスキームを表す
【0342】 図11は、ベクターpOS700Iのスキームを表す。
【0343】 図12は、ベクターpOSV010のスキームを表す。
【0344】 図13は、ベクターpOSV303の構築中にプラスミドpOSV010内に
挿入された「cos」部位を含有する断片を表す。
【0345】 図14は、ベクターpOSV303のスキームを表す。
【0346】 図15は、ベクターpE116のスキームを表す。
【0347】 図16は、ベクターpOS700Rのスキームを表す。
【0348】 図17は、ベクターpOSV001のスキームを表す。
【0349】 図18は、ベクターpOSV002のスキームを表す。
【0350】 図19は、ベクターpOSV014のスキームを表す。
【0351】 図20は、ベクターpBAC11のスキームを表す。
【0352】 図21は、ベクターpOSV403のスキームを表す。
【0353】 図22は、PKS−1オリゴヌクレオチドでスクリーニングしたライブラリー
の陽性クローンを酵素BamHIおよびDraIで消化した後のライブラリーの
DNAの電気泳動ゲルを表す。
【0354】 図23は、エス・アルボニガー(S.alboniger)野生型株の産生と
比較した場合の、ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)組
換え体によるピューロマイシンの産生を示す。
【0355】 図24は、土壌PKSと他のPKSの保存された活性部位とのアライメントを
示す。各ペプチドに関する表示内容が示されている。該ベータ−ケトアシルシン
ターゼドメインは、GCG PILEUPプログラム(Wisconsin P
ackage Version 9.1,Genetics Computer
Group,Madison,Wisc)を使用して整列(アライン)させた
【0356】 図25は、組込み型接合型コスミドの構築を示す。
【0357】 図26は、組込み型接合型BACの構築を示す。
【0358】 図27は、ベクターpOSV308の構築に関するスキームを示す。
【0359】 図28は、ベクターpOSV306の構築に関するスキームを示す。
【0360】 図29は、ベクターpOSV307に関するスキームを示す。
【0361】 図30は、ベクターPMBD−1の構築に関するスキームを示す。
【0362】 図31は、プラスミドpMBD−2の詳細な地図およびベクターpMBD−3
の構築に関するスキームを示す。
【0363】 図32は、プラスミドpMBD−4の詳細な地図を示す。
【0364】 図33は、プラスミドのpMBD−1からのプラスミドpMBD−5の構築に
関するスキームを示す。
【0365】 図34は、ベクターpBTP−3の詳細な地図を示す。
【0366】 図35は、ベクターpMBD−1からのベクターpMBD−6の構築に関する
スキームを示す。
【0367】 図36は、コスミドa26G1(そのDNA挿入体は、いくつかのポリケチド
シンターゼをコードするオープンリーディングフレームを含有する)の地図を示
す。
【0368】 図37は、いくつかのポリケチドシンターゼをコードする種々のリーディング
フレームが配置されたコスミドa26G1のDNA挿入体(+鎖)を表すスキー
ムである。
【0369】 (実施例) 実施例1:土壌サンプルからのDNAの直接的抽出の工程を含む、生物を含有 する土壌サンプルからの核酸集団の製造方法 1.材料および方法 1.1 土壌:この研究に使用した6つの土壌の特徴を表1に示す。
【0370】 粘土含量および有機物質含量の範囲は、それぞれ、9〜47%および1.7〜
4.7%、pHの範囲は4.3〜5.8である。
【0371】 土壌サンプルを深さ5〜10cmの表層から集めた。肉眼で認められるすべて
の根を除去し、必要に応じて該土壌を4℃で数日間保存し、ついでそれらを室温
で24時間乾燥し、篩い(平均メッシュサイズ:2mm)にかけ、ついで4℃で
数ヶ月まで保存した。
【0372】 1.2 細菌株および培養条件 該土壌サンプルに接種するために使用する栄養細胞、芽胞または菌糸を供給す
る細菌株および細胞外DNAを、それらの存在が詳細にモニターされうるように
選択した。
【0373】 多量の細胞外DNAを得るために、ラムダファージCI857 Sam7を含
有する大腸菌(E.coli)1192 Hfr P4X(metB)の溶原株
を、Luria−Bertani(LB)培地上、30℃で2時間、ついで40
℃で30分間、ついで37℃で3時間培養した。該ラムダファージDNAを、S
ambrook J.ら(1989)Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,第2版,Cold Spring H
arbor Laboratory,Cold Spring Harbor
N.Y.に記載の技術に従い抽出した。
【0374】 炭疽菌(Bacillus anthracis)のアビルレント株(STE
RNE 7700)を細菌細胞接種物として使用した。炭疽菌(Bacillu
s anthracis)を「トリプチケース・ダイズブロス」(TBS)(B
iomerieux,Lyons,France)培地上で約6時間増殖させ、
OD600が0.6未満に維持されることを確認した。これらの条件は、芽胞の
形成を伴うことなく栄養細胞の成長を可能にする(Patraら,(1996)
,FEMS Immunol.Medical Microbiology,v
ol.15:223−231)。ストレプトマイセス・リビダンス(Strep
tomyces lividans)OS48.3(Clerc−Bardin
ら,未公開)の芽胞を、R2YE培地(Hopwoodら,(1985),Ge
netic Manipulation of Streptomyces−A
Laboratory Manual.The John Innes Fo
undation,Norwich,United Kingdom)上の生物
培養から機械的に取り出した。ストレプトマイセス・リビダンス(S.livi
dans)OS48.3の菌糸を予備発芽芽胞から得た。なぜなら、短い菌糸の
使用がDNAの破壊およびそれに続く喪失を最小限に抑えると予想されたからで
ある。該芽胞をTESバッファー(N−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−2
−アミノエタン−スルホン酸;Sigma−Aldrich Chimie,F
rance(0.05M;pH8)(Holben WEら,(1988),A
PPL.Environ,Microbiol.vol.54:703−711
)に懸濁させ、ついで熱ショック(50℃で10分間、ついで冷却流水下での冷
却、ついで等容積の予備発芽培地(1% 酵母エキス、1% カザミノ酸、0.
01M CaCl)の添加)に付した。
【0375】 該溶液を、攪拌機上、37℃でインキュベートした。Hopwoodら(19
85)の結果どおりに、発芽した芽胞の比率は約50%と推定された。遠心分離
後、該ペレットをTESバッファーに再懸濁させ、3% TSB培地に加え、0
.15のOD450が得られるまで37℃でインキュベートした(Hopwoo
dら,(1985))。ストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(Strep
tomyces hygroscopicus)SWN 736およびストレプ
トスポランギウム・フラジル(Streptosporangium frag
ile)AC1296(Institute Pushino,Moscow)
を、HickeyおよびTresner(1952)に記載の技術に従い培養し
た。
【0376】 ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)の芽胞および菌糸
のDNAは、後記の細胞溶解プロトコール6に従い(ただし、粉砕は行わなかっ
た)純粋培養から抽出し、一方、ストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(S
.hygroscopicus)およびストレプトスポランギウム・フラジル(
S.fragile)の芽胞は、化学的/酵素的細胞溶解(Hinterman
nら,1981)により抽出した。
【0377】 1.3 抽出バッファーの選択 Picard(1992)により開発されたTENPバッファー(50mM
Tris,20mM EDTA,100mM NaCl,1% wt/volの
ポリビニルポリピロリドン)を使用した。後に、同様のバッファーが他の著者(
Cleggら,1997;Kuskeら,1998;Zhouら,1996)に
より使用された。
【0378】 該TrisおよびEDTAはヌクレアーゼ活性からDNAを防御し、該NaC
lは分散効果をもたらし、該PVPPはフミン酸およびその他のフェノール性化
合物を吸収する(Holbenら,(1988);Picardら,(1992
))。
【0379】 この研究においては、このバッファーの抽出の有効性を、5.8〜8.3のp
H範囲および0.2〜6.3%の有機物質含量を有する20個の異なる土壌を使
用して種々のpH値(6.0〜10.0)で評価した。これらの20個の土壌(
その他の特徴は示されていない)は、この実験でのみ使用した。DNAの量は、
Richard(1974)に記載されている及び後記で詳しく説明する比色手
段により測定した。
【0380】 1.4 in situ細胞溶解およびDNA抽出のプロトコール in situで土壌微生物を細胞溶解するための種々の技術の有効性を評価
するために、次第に工程数を増加させる幾つかのプロトコールを試験した。これ
らの実験では、常在土壌微生物叢を6個の土壌において標的化した。該土壌に予
め加えられたラムダファージDNAに由来する回収されたDNAの量および質を
分析することにより、遊離したDNAに対する該細胞溶解処理の効果を研究する
ために、追加的な実験を行った。
【0381】 最適化されたプロトコール(プロトコール6と称される)を一旦開発したら、
このプロトコールを使用して、常在放線菌類に由来するDNAおよび選択土壌に
接種されたグラム陽性菌に由来するDNAを定量した。すべての場合において、
該土壌サンプルを乾燥させ、前記のとおりに篩いにかけた。
【0382】 粉砕後、0.5mlのTENPバッファーを200mgの乾燥重量の土壌に加
えた。ただし、プロトコール1においては、該バッファーを未粉砕土壌に加えた
【0383】 種々の細胞溶解処理(後記を参照されたい)のために、該土壌懸濁液を10分
間にわたりボルテックスし、遠心分離(4000×gで5分間)し、ついで該上
清のアリコート画分(25μl)をゲル電気泳動(0.8% アガロース)によ
り分析した。
【0384】 既知容積(一般には350μl)に相当する該上清のもう1つのアリコート画
分を、イソプロパノールで沈殿させた。
【0385】 5つのアリコート画分(1gの土壌に由来するDNAを代表するもの)を合わ
せ、100μlの無菌TEバッファー(10mM Tris,1mM EDTA
,pH8.0)に再懸濁させ、ついで精製(プロトコールD、後記を参照された
い)および定量を行った。これは、該全DNAのハイブリダイゼーション(ドッ
トブロット(Dot−Blot))により、あるいは該PCR増幅産物のハイブ
リダイゼーション(ドットブロット)により行った(後記を参照されたい)。
【0386】 該ハイブリダイゼーションシグナルは、りん光イメージング(「ホスホイメー
ジング」技術、後記を参照されたい)により定量した。
【0387】 1.5 in situ細胞溶解の方法の評価 次第に増加する細胞溶解処理工程(プロトコール2〜5b)の後に抽出された
DNAの質および量を、抽出バッファーでの該土壌の洗浄後に得られた細胞外D
NAの場合(プロトコール1;図1も参照されたい)と比較した。
【0388】 プロトコール1:細胞溶解処理無し TENPバッファーを未粉砕土壌に加え、DNA抽出工程を前記のとおりに行
った。
【0389】 プロトコール2:土壌の粉砕およびそれに続くDNA抽出 2つの異なるタイプの装置を使用して、該土壌を粉砕した。
【0390】 それらのそれぞれの有効性を比較するために、5gの乾燥土壌を、タングステ
ンリングを含有する粉砕機中で30秒間にわたり、あるいは、60分間まで変化
させて4回、乳鉢およびメノウビーズ(直径20mm)を含有する土壌粉砕機中
で粉砕した。
【0391】 ついで該TENPバッファーを加え、該DNAを前記のとおりに抽出した。
【0392】 該ゲル電気泳動の結果は、タングステンリングを使用する30分間の粉砕後に
得られるのと同等の抽出DNA量を得るためには、メノウビーズを使用する40
分間の粉砕が必要であることを示した。
【0393】 該DNA断片のサイズ分布は、いずれの方法を用いた場合にも同様である。
【0394】 したがって、これらの処理は同等であるとみなされ、したがって、後記のプロ
トコールで用いる処理は明示されていない。
【0395】 プロトコール3〜5においては、該土壌の粉砕後の幾つかの他の細胞溶解処理
の有効性を、独立して又は種々の組合せにおいて試験した。
【0396】 プロトコール3 このプロトコールはプロトコール2と同じである。ただし、それは、5分間の
最大速度の半分に設定されたUltra−turraxタイプのミキサー(Ja
nkerおよびKunkel,IKA Labortechnik,Germa
ny)を使用する均質化の工程を含む。
【0397】 プロトコール4aおよび4b これらのプロトコールは、追加的な超音波処理工程以外はプロトコール3と同
じである。
【0398】 2つのタイプのソニケーター装置、すなわち、チタンミクロポイントソニケー
ター(600W Vibracell Ultrasonicator,Bio
block,Illkirch,France)(プロトコール4a)およびC
up Hornタイプのソニケーター(プロトコール4b)を比較した。
【0399】 超音波を発生するVibracellミクロポイントは、該土壌溶液に直接接
触させる。
【0400】 Cup Hornタイプの装置に関しては、該土壌溶液は、超音波の通過を媒
介する水浴内に配置されたチューブ内に供給される。
【0401】 それらの2つのソニケーターの最適条件を決定するために、予備実験を行った
(結果は示されていない)。
【0402】 抽出されたDNAの量と断片のサイズに関する最良の歩み寄りは、50%活動
(active)周期で電力を15Wに調節しチタニウムミクロポイントおよび
Cup Hornタイプのソニケーターでのそれぞれ7分間および10分間の超
音波処理よりなる。
【0403】 プロトコール5aおよび5b チタンミクロポイントまたはCup Hornタイプの装置での超音波処理(
それぞれ、プロトコール4aおよび4b)の後、リゾチームおよびアクロモペプ
チダーゼを、該酵素のそれぞれが0.3mg/mlの最終濃度になるまで加えた
。 該土壌懸濁液を37℃で30分間インキュベートし、ついで最終濃度1%のラ
ウリルスルファートを加え、ついで該懸濁液を60℃で1時間インキュベートし
、ついで前記のとおりに遠心分離し沈殿させた。
【0404】 前記のプロトコールに加えて、該土壌に予め加えたHindIIIで消化され
たラムダファージDNAに対する超音波処理(Cup Horn、プロトコール
4bを参照されたい)および熱ショック(液体窒素中で30秒間、ついで沸騰水
中で3分間、それらの処理を3回繰返す)の効果を調べた(後記を参照されたい
)。
【0405】 先行技術においては、熱ショックは、in situ細胞溶解のための手段と
して示唆されている(Picardら(1992))。しかし、そのような処理
は該遊離DNAに有害な影響を及ぼすため(結果の節を参照されたい)、それは
前記のプロトコールには含めなかった。
【0406】 最適化されたプロトコール 種々の細胞溶解処理の評価の後、最適化されたプロトコールを決定した。それ
プロトコール6と称される。プロトコール6は、超音波処理前に該土壌懸濁液
をボルテックス処理に付し次いで2時間にわたり回転盤上での回転により攪拌し
次いで−20℃に凍結すること以外はプロトコール5bと同じである。
【0407】 融解後、該土壌懸濁液を超音波処理前に10分間ボルテックスした。該土壌に
細菌細胞を接種する実験において、および常在放線菌類を定量する実験において
、プロトコール6を用いた(後記を参照されたい)。
【0408】 1.6 顕微鏡による計数 細菌細胞を細胞溶解するための方法としての該土壌の粉砕の有効性を、顕微鏡
により調べた。
【0409】 5gの乾燥粗土壌を、Waring Blender装置中、1.5分間にわ
たり50mlの無菌超純水と混合し、同時に、1g(乾燥重量)の粉砕土壌(プ
ロトコール2)を10分間の攪拌により10mlに懸濁させた。該土壌懸濁液を
系列希釈し、アクリジンオレンジを最終濃度0.001%になるまで加えた。
【0410】 2分後、該懸濁液を0.2μmのブラックタイプのNucleoporeブラ
ンドの膜で濾過した。各フィルターを、細胞溶解された無菌水でリンスし、1m
lのイソプロパノールで1分間にわたり処理して該細菌を固定し、ついで再びリ
ンスした。
【0411】 該細菌細胞を、100倍の対物レンズを備えたZeiss Universa
lエピ蛍光顕微鏡を使用して計数した。各土壌タイプに関して、3つのフィルタ
ーを計数し、少なくとも200細胞をそれらの各フィルター上で計数した。
【0412】 1.7 培養可能な放線菌類の計数およびコロニー形成単位(CFU)の総数 該細胞溶解処理(プロトコール1〜5)の後に生存した放線菌類を、土壌番号
3(Saint Andre海岸、表1を参照されたい)で詳しく検査した。
【0413】 発芽を誘発するための(Hayakawaら(1988))SDS(0.05
%)および酵母エキス(6% 重量/容積)の溶液の10倍希釈の後、該土壌懸
濁液を無菌水中で系列希釈し、40℃で20分間インキュベートし、HV培地(
Hayakawaら(1987))上に接種した。
【0414】 該HV培地をアクチジオン(50mg/l)およびナイスタチン(50mg/
l)で補足した。
【0415】 28℃で15日間のインキュベーションの後、該放線菌コロニーを計数した。
【0416】 合計で約400個のコロニーを検査した。該同定は、肉眼的および顕微鏡的な
形態学的特徴に基づいて、および該単離物のジアミノピメリン酸含量の分析に基
づいて行った(Shirlingら,1966);Staneckら,1974
;Williamsら,1993)。
【0417】 また、培養可能な細菌の全量(全CFU)を、細胞溶解プロトコール1〜5の
それぞれに関して測定した。該土壌懸濁液を系列希釈し、ナイスタチンおよびア
クチジオン(それぞれ50mg/l)で補足されたBennett寒天培地(W
aksmanら,1961)上に三重に接種した。
【0418】 各ペトリ皿を硝酸セルロースフィルター(Millipore)で覆い、28
℃で3日間インキュベートした。該膜上のコロニーを計数した後、該フィルター
を除去し、該ペトリ皿を28℃で7日間にわたり再インキュベートし、ついで再
び計数した。
【0419】 1.8 土壌に加えたラムダファージDNAの回収 標準的なプロトコール(Sambrookら,1989)に従い、該ラムダフ
ァージDNAをHindIIIで消化し、フェノール−クロロホルム混合物で抽
出し、沈殿させ、ついで無菌超純水に再懸濁させた。
【0420】 土壌の乾燥重量1g当たりのDNA 0、2.5、5、7.5、10および1
5μg(μg DNA/g土壌乾燥重量)にそれぞれ対応する希釈物を、60μ
lの容積で調製した。これらのDNA希釈物を5gのバッチの乾燥土壌に加え、
ついで、粉砕前にそれを5分間にわたり激しくボルテックスした。
【0421】 また、粉砕前に、該ラムダファージDNAを、0、10および15μg DN
A/g土壌乾燥重量の濃度で土壌に加えた。
【0422】 粉砕後、該抽出バッファーを加え、プロトコール2(前記を参照されたい)に
従い該DNAを抽出した。
【0423】 1.9 RNAでの吸着部位の飽和 該土壌コロイドの核酸吸着部位の飽和が該DNAの回収レベルを増加させうる
か否かを判定するために、他の処理の前に、砂質配合土(土壌番号4)および粘
土質土壌(土壌番号5)をRNA溶液と共にインキュベートした。
【0424】 市販のサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cere
visiae)RNA(Boehringer Mannheim,Meyla
n,France)をリン酸バッファー(pH7.1)中で希釈し、篩いにかけ
られた乾燥土壌サンプル(2ml/g土壌)に20、50および100mg R
NA/g土壌乾燥重量の最終濃度で加えた。
【0425】 該土壌懸濁液を含有するチューブを室温で2時間の回転により攪拌した。遠心
分離後、該土壌ペレットをオーブン(50℃)内で一晩乾燥させた。ついで、細
胞溶解後に遊離されたDNAの運命を模擬するために、該土壌に該ラムダファー
ジDNA(0、20または50μg/g土壌乾燥重量)を加えた。
【0426】 該DNAをプロトコール2に従い抽出した。ついで、DNAの回収に対するR
NAの添加の同じ効果が、該抽出バッファーに該RNAを直接加えることにより
達成されうることが確認された。
【0427】 該微生物を該土壌に接種する実験において、この簡略化された方法を粘土質土
壌番号5に用いた。
【0428】 ついで該RNAを、50mg RNA/g土壌乾燥重量に対応する濃度で加え
た。
【0429】 1.10 抽出プロトコールの有効性の定性的および定量的測定 該DNA(分解の不存在下)の質を、0.8%アガロースゲル上でのDNA溶
液のアリコート画分の電気泳動後のDNA泳動バンドの相対位置またはDNA断
片のサイズに基づき評価した。
【0430】 該蛍光強度は、該抽出収量の半定量的推定を可能にした。
【0431】 もう1つのアリコート画分を、ハイブリダイゼーション(ドットブロット)お
よびホスホイメージャーでの分析によるDNA含量の定量的測定に使用した。該
ドットブロット(ドットブロット)ハイブリダイゼーションプロトコールはSi
monetら(1990)により記載されている。
【0432】 該ハイブリダイゼーション膜(GeneScreenプラス,Life Sc
ience Products,Boston,USA)を、6mlの20×S
SC、1mlのデンハルト液、1mlの10% SDSおよび5mgのサケ***
DNAを含有する20mlの溶液中、少なくとも2時間プレハイブリダイズさせ
た。
【0433】 該ハイブリダイゼーションを、標識プローブの存在下、同じ溶液中で一晩行い
、ついでSSC 2×バッファー中、室温で5分間の該膜の2回の洗浄を行い、
ついで、SSC 2×、0.1% SDSバッファー中での3回目の洗浄、およ
びSSC 1×、0.1% SDSバッファー中、該ハイブリダイゼーション温
度で30分間の4回目の洗浄を行った。
【0434】 該ハイブリダイゼーションシグナルをBiorad放射能分析イメージング系
(Molecular Analyst Software,BIORAD,I
vry−sur−Seine,France)で定量した。
【0435】 常在微生物叢に由来するDNAの全量を定量するために、プロトコール1〜5
に従い種々の土壌を抽出した。該未増幅DNAをドットブロットメンブレンに適
用し、普遍的(ユニバーサル)プローブFGPS431(表2)を使用してハイ
ブリダイズさせた。
【0436】 大腸菌(E.coli)16S rDNA遺伝子(Amannら(1995)
)の1392−1406位にハイブリダイズするこのプローブを、ポリヌクレオ
チドT4キナーゼ(Boehringer Mannheim,Melan,F
rance)を使用して32P ATPαでその末端で標識した。
【0437】 大腸菌(E.coli)DH5α DNAを使用して、検量線を作成した。該
土壌細菌への該計算の変換には、大腸菌(E.coli)に関してはコピーの平
均数(rrn)が7であるという仮定から出発する単純化が必要であった。
【0438】 HindIIIで消化されたラムダファージDNAを使用して、該細胞外DN
Aの回収を定量した。ラムダファージDNAが加えられた土壌からの未増幅抽出
物を、HindIIIで消化されクレノウフラグメント(Boehringer
Mannheim,Melan,France)の使用によりランダムに標識
されたラムダファージDNAにハイブリダイズさせた。
【0439】 該精製DNAで作成された検量線を使用する補間法により、DNAの量を求め
た。
【0440】 また、プロトコール2(粉砕)に従い土壌1、2、3、4および6から抽出さ
れたDNAの全量を、Richard(1974)に記載の技術に従う比色手段
により定量した。
【0441】 簡単に説明すると、該DNAを濃HClO(HClOの最終濃度は1.5
Nであった)と混合した。2.5容積のこの溶液を1.5容積のDPA(ジフェ
ニルアミン,Sigma−Aldrich,France)と混合し、該混合物
を室温で18時間インキュベートし、ついで600nmのODを測定した。該土
壌DNA抽出物を、標準的なプロトコール(Sambrookら,(1989)
)に従い大腸菌(E.coli)DH5αから抽出されたDNAで作成した標準
曲線に対して定量した。
【0442】 1.11 PCR増幅およびハイブリダイゼーションを用いるDNA定量技術 の開発 PCR増幅には、DNA Taqポリメラーゼ(Appligene Onc
or,France)を該製造業者の説明に従い使用した。
【0443】 該増幅のすべてに用いたPCRプログラムは以下のとおりである:95℃で3
分間の初期変性、ついで95℃で1分間、55℃で1分間および72℃で1分間
よりなる35サイクル、ついで72℃で3分間の最終的伸長。
【0444】 ストレプトスポランギウム・フラジル(Streptosporangium
fragile)から単離し精製したDNAを、100fg〜100ngの濃
度で対照として使用した。
【0445】 この細菌属のDNAを特異的に増幅するために、放線菌16S rDNAの配
列のアライメントの後、16S rDNAの一部に相補的なプライマーFGPS
122およびFGPS350(表2)を選択した。放線菌株(ストレプトマイセ
ス(Streptomyces)、ストレプトスポランギウム(Strepto
sporangium)および他の非常に類似した属)の集団上で、それらの特
異性を試験した。
【0446】 該PCR産物を、オリゴヌクレオチドプローブFGPS643(表2)にハイ
ブリダイズさせた。該土壌から抽出されたDNAで得られた純度のレベルを模擬
するために、ストレプトスポランギウム・フラジル(S.fragile)から
の純粋なDNAの対照を、細胞溶解プロトコール4bおよび5bに従う処理後に
得られ次いでプロトコールDに従い精製された土壌抽出物と混合した。
【0447】 使用前に、該土壌抽出物を室温で30分間にわたりDNアーゼ(1単位のDN
アーゼ/ml,Gibco BRL)で処理した。ついで該DNアーゼを65℃
で10分間の加熱により不活性化した。該不活性化の確認をPCRにより行った
。フミン酸濃度は、市販のフミン酸(Sigma)の標準曲線に対して、分光測
光(OD280 nm)により測定した。
【0448】 未希釈、10倍希釈および100倍希釈のDNアーゼで処理した土壌溶液を、
該PCR増幅前に、100fg〜100ngのストレプトスポランギウム・フラ
ジル(S.fragile)DNAと混合した。もう1つの一連の実験において
は、非標的DNAの存在および該PCR法に対するその影響を模擬するために、
次第に増加する濃度のストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(Strept
omyces hygroscopicus)DNA(100pg〜1μg)を
、該ストレプトスポランギウム・フラジル(S.fragile)DNAに加え
た。
【0449】 1.12 粗DNA抽出物の精製 4つのDNA精製方法を比較した。該DNAを、プロトコール4aに従い1g
(乾燥重量の土壌)から抽出し、100μlのバッファーTE8(50mM T
ris,20mM EDTA,pH8.0)に再懸濁させた。
【0450】 プロトコールA 2つの連続的なElutip d カラム(SchleicherおよびSc
huell,Dassel,Germany)(Picardら,(1992)
)を介した溶出。
【0451】 プロトコールB Sephacryl S200カラム(Pharmacia Biotech
,Uppsala,Sweden)を介した溶出およびそれに続くElutip
d カラム(Nesmeら(1995))を介した溶出。
【0452】 プロトコールC 17.9%(重量/重量)のPEG 8000(Merck,Darmsta
dt,Germany)および14.3%(重量/重量)の(NHSO (Zaslavskyら,(1995))による2相水性系を使用する分離。
【0453】 激しいボルテックス混合の後、それらの2相を室温で放置して分離させた。
【0454】 該相のそれぞれの1mlをもう1つのチューブ内に移し、100μlの該サン
プルと混合し、4℃で一晩放置して分離させた。
【0455】 過剰の塩を除去するために、該下相を、過剰のTE7.5バッファー(10m
M Tris,1mM EDTA(pH7.5)および1M MgCl)の存
在下、Millipore膜を介して1時間透析した。
【0456】 プロトコールD Microspin Sephacryl S400 HRカラム(Phar
macia Biotech,Uppsala,Sweden)を介した溶出お
よびそれに続くElutip d カラムを介した溶出。
【0457】 各プロトコールは、エタノールでの沈殿の工程により完了する。該DNAを1
0μlのTE 7.5バッファーい再懸濁させる。標準的なプロトコールを用い
て(後記を参照されたい)、該精製プロトコールの有効性を、該DNA溶液の未
希釈アリコート画分ならびに10倍および100倍希釈アリコート画分のPCR
増幅により確認した。
【0458】 1.13 接種微生物からのDNAの回収 該細胞、芽胞および菌糸を2回洗浄し、プレート上での計数により又は直接的
な顕微鏡的計数により計数した。5gのバッチの篩いにかけられた乾燥土壌(土
壌2、3および5)に、0、10、10、10および10芽胞/g土壌
乾燥重量に対応する濃度のストレプトマイセス・リビダンス(S.livida
ns)の芽胞および菌糸の懸濁液100μl、または0、10および10
胞/g土壌乾燥重量に対応する濃度の炭疽菌(B.anthracis)栄養細
胞を接種した。
【0459】 ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)菌糸の量を、それ
らが由来する芽胞の数に基づいて計算した。該細菌懸濁液の添加後、該土壌サン
プルを激しく5分間にわたりボルテックスし、ついで粉砕した。該DNAを、プ
ロトコール6(後記を参照されたい)に従い抽出した。
【0460】 該細胞および芽胞から回収された並びに該土壌に接種された細菌菌糸体から回
収されたDNAの量を定量するために、PCR増幅およびそれに続くドットブロ
ットハイブリダイゼーションおよびりん光イメージング(ホスホイメージング)
を用いた。
【0461】 該DNA抽出を、細胞溶解プロトコール6に従い行った。該PCR増幅および
該ハイブリダイゼーションを、前記のとおりに行った。該プライマーおよびプロ
ーブは、16S領域の外に位置する染色体領域上に標的化され、バックグラウン
ドシグナルを避けるためにそれぞれの生物に非常に特異的である。
【0462】 炭疽菌(B.anthracis)を接種した土壌には、プライマーR499
およびR500を使用し(Patraら(1996))、該増幅産物をオリゴヌ
クレオチドプローブC501(表2)にハイブリダイズさせた。
【0463】 ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)を接種した土壌に
関しては、プライマーFGPS516およびFGPS517を使用してPCR反
応を行い、該増幅産物をオリゴヌクレオチドプローブFGPS518(表2)に
ハイブリダイズさせた。
【0464】 該増幅領域は、株OS48.3(Clerc−Bardinら,未公開)を得
るために特別に構築されたカセットの一部である。
【0465】 該検量(校正)計数は、すべての場合において、該標的生物からの精製された
DNAを使用して得た。
【0466】 2.結果 2.1 抽出バッファーの選択 該DNA抽出バッファーの最適pHを決定するために、20個の異なる土壌を
使用した。すべての土壌に関して、該DNA収量は、該バッファーpHが増加す
るにつれて増加する。該土壌のそれぞれについての最高値の割合(%)として算
出された各pHに関する収量(±sd)は以下のとおりである:pH6.0:3
1±13;pH7.0:43±16;pH8.0:60±14;pH9.0:8
2±12;pH10.0:98±3。
【0467】 20個中16個の土壌においては、pH10.0で最高収量が得られたが、そ
の他の土壌においては、pH9.0で最高収量が得られた。しかし、pH10.
0では、pH9.0の場合より多量の腐植質物質が遊離された(結果は示してい
ない)。したがって、後記の実験のすべてにおいてpH9.0を選択した。
【0468】 2.2 DNA抽出プロトコールの有効性 いくつかのin situ細胞溶解プロトコールの有効性を評価するために、
常在土壌微生物からの全DNAを抽出し、定量した。土壌サンプル1〜6(表1
)を、材料および方法の節に記載のプロトコール1〜5に従い処理した(図1)
【0469】 該DNA抽出後、該土壌懸濁液をイソプロパノールで沈殿させ、該再懸濁ペレ
ットのアリコート画分を第1工程においてゲル電気泳動により分析して、遊離さ
れたDNAの質および量を評価した。
【0470】 しかし、細胞溶解工程の数が増加するにつれて、フミン酸のような化合物と該
DNAとの共抽出のため、該DNA抽出物の色は、より濃くなった。
【0471】 これらの濃色粗抽出物のいくつかは、該アガロースゲル内で、予想された様態
では移動しない。
【0472】 したがって、定量前に、該粗DNA溶液を精製した(プロトコールB)。種々
の細胞溶解処理の後に得られた精製された溶液のゲル電気泳動は、土壌3に関す
る実例として示されている(図2)。
【0473】 該着色DNAの強度の紫外線照射による視覚的比較は、該処理の有効性の半定
量的評価を可能にした。さらに、複数のサイズのDNA断片(不連続なバンド)
の移動(泳動)プロフィールの存在および長い断片の消失は、該DNAの分解が
生じていることを示している。
【0474】 粘土質土壌番号5からは、DNAを抽出することができなかった。
【0475】 プロトコール1〜5に従い抽出されたそれらの全土壌からのDNAの、より厳
密な定量を、該16S rDNA領域の高度に保存された配列に相補的なオリゴ
ヌクレオチドプローブ(プローブFGPS431、表2)を使用して及び予めP
CR増幅を行うことなくドットブロットハイブリダイゼーションにより行った。
【0476】 該DNAは、それらの種々の細胞溶解工程のそれぞれの後の、粘土質土壌番号
5以外の全ての土壌の抽出物において検出された。
【0477】 該結果は、ゲル電気泳動後になされた評価と一致している。
【0478】 また、独立した定量方法と比較するために、プロトコール2に従い抽出された
DNA(土壌番号5以外の全ての土壌からのもの)を、比色DNA検出法(Ri
chard,1974)を用いて定量した。
【0479】 この比色技術を用いて定量されたDNAと、ドットブロットハイブリダイゼー
ション/ラジオイメージングにより得られた結果との間で、良好な相関性が見出
された(r=0.88)。このことは、該土壌細菌のコピーの平均数(rrn)
が7であるという仮定を裏付けるものである。
【0480】 該ハイブリダイゼーション(ドットブロット)は、細胞溶解処理(プロトコー
ル1)無しの抽出により測定された細胞外DNAの量が酸性土壌(番号6)に関
する4μg/gから土壌番号3に関する36μg/gまでの範囲であることを示
した(表3)。
【0481】 該土壌の粉砕(プロトコール2)は、すべての土壌から抽出されるDNAの量
を増加させた(例えば、土壌番号6に関する26μg/g土壌、および土壌番号
3に関する59μg/g土壌)(表3;図2)。
【0482】 2つの粉砕処理(材料および方法の節を参照されたい)に関しては、該不連続
DNA移動が該アガロースゲル上で検出され、このことは、該DNA分子が部分
的に分解されたことを示している(図2)。
【0483】 該DNA断片のサイズは20〜0.2kbである。最小断片のバンド強度は非
常に低く、このことは、該断片のほとんどが1kbよりはるかに大きいことを示
している。
【0484】 プロトコール3は、該抽出バッファーを該土壌サンプルに加えた後の、Ult
ra−turrax混合装置中での均質化の工程を含む。この工程は、それらの
土壌の2つ(砂質土壌番号3および酸性土壌番号6)に関するドットブロットハ
イブリダイゼーションにより測定した場合の抽出DNAの量の増加をもたらし、
一方、有機物質に富む2つの土壌(土壌番号1および番号2)は、より少量のD
NAの産生をもたらした。
【0485】 プロトコール4aおよび4bは、予備粉砕および予備均質化土壌からのDNA
の収量に対する2つのタイプの超音波処理の効果を評価することを可能にした。
【0486】 該超音波処理は、プロトコール3と比較して、土壌番号6を除き、該DNA収
量に対して正の効果を及ぼさなかった。しかし、それらの2つのタイプのソニケ
ーターに関する細胞溶解の有効性は異なる。土壌2、3および4に関しては、チ
タンミクロポイントを使用した場合に、最大量の抽出DNAが得られ(表3;図
2)、一方、土壌番号1および6に関しては、Cup Horn装置を使用した
場合に、該DNA収量はより高かった。
【0487】 また、該超音波処理工程の後に酵素的/化学的細胞溶解の工程を加えた場合(
プロトコール5aおよび5b)、矛盾する結果が得られた。ある場合には、抽出
されたDNA量は、プロトコール4aおよび4bに従い回収されたDNA量より
多かったが、他の場合には、該収量はより低かった(表3)。
【0488】 2.3 微生物の直接的計数 アクリジンオレンジでの染色後の細菌細胞の総数の顕微鏡による計数を、粉砕
の前および後に、すべての土壌に関して行った。
【0489】 粉砕前では、土壌の乾燥重量1g当たりの細菌の数は、熱帯土壌番号5におけ
る1.4×10(±0.4)から、Saint−Andre海岸から得られた
土壌(土壌番号3)における10×10(±0.7)までの範囲であった(表
1)。
【0490】 粉砕後では、細胞数は、土壌番号1〜6に関する初期値のそれぞれ45、74
、75、54、34および75%であった。
【0491】 2.4 種々の属に属する培養可能な放線菌の計数 土壌番号における放線菌類の集団における修飾が、種々の細胞溶解処理後に認
められた(図3)。
【0492】 例えば、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)のコロ
ニーは、細胞溶解処理を適用しなかった場合には(プロトコール1)、生存可能
な放線菌叢を支配し、同定されたコロニーの総数の65%に相当した。粉砕後、
ストレプトマイセス(Streptomyces)コロニーの割合は51%に低
下し、一方、ミクロモノスポラ(Micromonospora)属に属するコ
ロニーの割合は14%増加して41%となった。
【0493】 該化学的/酵素的細胞溶解(プロトコール5aおよび5b)は、ストレプトマ
イセテス(Streptomycetes)の細胞溶解に特に有効であるらしか
った。化学的/酵素的細胞溶解(プロトコール5aおよび5b)を含む全ての細
胞溶解処理を適用した場合には、10 cfu/g土壌以上を尚も含む放線菌
微生物叢は、ミクロモノスポラ(Micromonospora)属に属する種
により支配され、一方、ストレプトマイセス(Streptomyces)コロ
ニーはほとんど又は全く回収されなかった。
【0494】 ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、アクチ
ノマデュラ(Actinomadura)、ミクロビスポラ(Microbis
pora)、ダクチロスポランギウム(Dactilosporangium)
およびアクチノプラネス(Actinoplanes)のような属に属する生物
は、粉砕、Ultra−turrax装置での均質化および超音波処理後、該プ
レート上で少数見出されたが(同定されたコロニーの総数の2〜8%)、これら
の処理を化学的/酵素的細胞溶解と組合せた場合には、概ね存在しなかった。
【0495】 また、各細胞溶解処理(プロトコール2〜5)の後に残存した培養可能な細菌
の総数を、土壌番号4に関して調べた。該結果は、培養可能な細菌の数が、該細
胞溶解処理の強度と共には減少しないことを示している(すべての場合において
、そして、プロトコール1に従う場合のように処理を適用しない場合においても
、約2×10 cfu/g土壌)。
【0496】 これらの低いcfu値が得られたのは、おそらく、乾燥土壌を使用したから、
および最も耐性な細菌だけが該プレート上で増殖したからであろう。コロニーを
形成する放線菌類の数は、一般には、全cfu(全細菌)の場合より大きい。な
ぜなら、該放線菌検出プロトコールに含まれる芽胞発芽工程が、該全細菌のコン
トロール(control)中に欠けていたからである。
【0497】 2.5 加えたラムダファージDNAの回収 これらの実験の目的は、連続的な細胞溶解処理が裸のDNAの回収に影響を及
ぼしうる様態を、およびこれらの連続的な細胞溶解処理がその分解に寄与したか
否かを評価することにあった。
【0498】 該DNAは、土壌内に何ヶ月も残存しうる既に死んだ生物から遊離した細胞外
DNAの画分(Wardら,1990)、または該処理の第1工程中に即座に細
胞溶解された生物から遊離したDNAであり得た。この状況を模擬するために、
HindIIIで消化されたラムダファージDNAを種々の濃度で、粉砕の前お
よび後の土壌に加えた。粉砕に加えて、その他の細胞溶解処理(超音波処理(C
up Horn装置、プロトコール4bを参照されたい)および熱ショック(材
料および方法の節を参照されたい))の組合せを試験した。
【0499】 抽出後、25〜150ngのラムダファージDNAを含有することが理論的に
必要なアリコート画分をゲル電気泳動により分析した。土壌のタイプおよび量と
は無関係に、粉砕前に該DNAを該土壌サンプル内に接種した場合には、該ラム
ダファージに特異的なDNA断片を観察することができた。
【0500】 該DNAを粉砕後に加え、追加的な細胞溶解処理工程無しで抽出した場合には
、試験した5個中4個の土壌の抽出物において該特異的ラムダファージDNAプ
ロフィールが検出された。
【0501】 これらのすべての場合において、加えたDNAの量と該アガロースゲル上のシ
グナルの強度との間に直接的な原因−結果の関係が得られた。しかし、該シグナ
ル強度は、分子量標準の場合との比較で予想されたシグナル強度より低かった
【0502】 さらに、いくつかの場合には、23kbのバンドが存在しなかった。このこと
は、長い断片が土壌粒子上に優先的に吸着されたか又は分解に対して短い断片よ
り感受性であったことを示している。
【0503】 非常に高い粘土含量により特徴づけられる熱帯土壌番号5のサンプルにおいて
は(表1)、バンドは全く検出されなかった。
【0504】 より厳密な定量のために、ドットブロットハイブリダイゼーション後、りん光
イメージング装置(ホスホイメージャー)上でDNAの回収量を測定した。この
技術により、粉砕前に接種されたものを含む(ただし、DNAが全く検出されな
かった土壌番号5は除く)すべてのサンプルにおいて該DNAが検出された。
【0505】 その他のすべての土壌においては、抽出されたDNAの量は、該接種物のサイ
ズが増加するにつれて増加する(図4a〜d)。
【0506】 しかし、ラムダファージDNAの回収量は低かった。粉砕が、適用した唯一の
細胞溶解処理であった場合には、該回収率は、このDNAを粉砕前に加えた場合
には、加えたDNAの0.6〜5.9%、このDNAを粉砕後に加えた場合には
、加えたDNAの3.6〜24%であった。最高レベルの回収は、土壌番号2か
ら得られた。
【0507】 熱ショックおよび超音波処理により処理したサンプルのアリコート画分のゲル
電気泳動では、該DNAを粉砕後に加えた試験を含むいずれのサンプルにおいて
も、いずれのDNAバンドも観察され得なかった。該ドットブロットハイブリダ
イゼーション実験はこれらの結果を立証した。
【0508】 熱ショックおよび超音波処理で処理した土壌懸濁液から得られたハイブリダイ
ゼーションシグナルは、いくらよく見ても低かった。
【0509】 最大量のDNA(15μg DNA/g土壌乾燥重量)を示すサンプルは、得
られたシグナルがバックグラウンドレベルと実質的に異なる唯一のものであった
【0510】 熱ショックで処理したサンプルと、熱ショックおよび超音波処理で処理したサ
ンプルとの間では、相違は全く観察されなかった(または小さな相違が観察され
たに過ぎなかった)。このことは、熱ショックが該DNAに有害な影響を及ぼす
ことを示している。最良の回収は、最高有機物質含量を有する土壌番号2(表1
)で観察され、一方、粘土質土壌番号5からはDNAは回収されなかった。
【0511】 土壌1g当たり20および50μgのラムダファージDNAを接種した土壌番
号4および番号5の未粉砕サンプルで、追加的な実験を行った。
【0512】 該サンプルを、28℃で1時間のインキュベーションの後または直ちに抽出し
、ついで該DNA抽出物を精製し、分析した(ゲル電気泳動により行った)。
【0513】 該接種後1時間の土壌番号4のインキュベーションは、インキュベーション無
しで得られたものとは又は粉砕後に該DNAを加えた場合に既に観察されている
ものとは定性的または定量的に異なるプロフィールを与えなかった。
【0514】 これらの結果は、土壌ヌクレアーゼによる酵素的分解が低レベルのDNA回収
には関与していないと考えられることを示している。さらに、粉砕工程の不存在
は、土壌番号5からのDNAの回収の増加を可能にせず、このことは、該粉砕に
よる該土壌の構造に対する変化が該コロイド上への該核酸の吸着を有意に増加さ
せないことを示している。
【0515】 2.6 RNAによる吸着部位の飽和 該アガロースゲル上で得られたプロフィールのほとんどは、RNA処理が行わ
れなかったこれまでのプロフィールとは有意に異ならない。
【0516】 例えば、使用したラムダファージDNA濃度およびRNA濃度には無関係に、
粘土に富む土壌番号5からは、バンドは全く検出されなかった。
【0517】 さらに、RNAで処理された砂質配合土(土壌番号4)においては、粉砕前に
該RNAを加えた場合には、HindIIで消化されたラムダファージDNAの
特異的バンドは検出不可能なままであった。
【0518】 粉砕後にDNAを接種したサンプルから得られたバンドの強度は、該RNA濃
度が増加するにつれて増加するが、このことは、該処理が正の効果を及ぼしうる
ことを示している。
【0519】 しかし、ハイブリダイゼーションおよびりん光イメージングによる分析の後の
結果は、その電気泳動の結果を立証しなかった。例えば、該粘土質配合土からの
DNAの回収に対する該RNA処理の正の効果は、粉砕後にDNAを加えた場合
には、明らかには現れなかった。
【0520】 一方、粘土に富む土壌(番号5)では、粉砕後に該DNAを加えた場合に、該
RNAの正の効果が見出された。
【0521】 該対照サンプルに関するハイブリダイゼーションシグナルはバックグラウンド
ノイズレベルと異ならないが、RNAで処理されたサンプルから、有意な量のD
NAが遊離され、加えたDNAの量が増加するにつれて及び該RNA濃度が増加
するにつれて、該シグナルは増加した。
【0522】 しかし、最高RNA濃度(100mg/g土壌乾燥重量)の場合でさえも、該
回収レベルは3%を決して超えなかった。
【0523】 2.7 粗DNA抽出物の精製 試験した4つのプロトコールのうち、該未希釈DNA抽出物(50μlのPC
R混合物中、1μlの抽出物)の最良の増幅は、該PCR産物のゲル電気泳動に
より示されるとおり、Mcrospin S400カラムを介した溶出およびそ
れに続くElutip d カラムを介した溶出の後に観察された。
【0524】 該2相水性系(プロトコールC)により精製されたDNAは、未希釈DNA抽
出物から出発する増幅後に、より少量のPCR産物を与えた。
【0525】 プロトコールAまたはBの使用後の増幅後の未希釈抽出物からは、増幅産物は
全く得ることができなかった。したがって、該PCR増幅および/または該ドッ
トブロットハイブリダイゼーションを行うすべての実験には、プロトコールB(
材料および方法の節を参照されたい)を用いた。
【0526】 2.8 PCRおよびハイブリダイゼーションによる定量 第1工程は、反応チューブ内に最初に存在した標的DNA分子の数にPCR産
物の量が比例するか否かを判定することであった。ストレプトスポランギウム・
フラジル(Streptosporangium fragile)からのDN
Aを標的として使用した(材料および方法の節を参照されたい)。
【0527】 使用したプライマーは、プライマーFGPS122およびFGPS350(表
2)であった。該PCR産物のゲル電気泳動は、該バンド強度が、該標的の濃度
が増加するにつれて増加することを示した。該PCR産物をオリゴヌクレオチド
プローブFGPS643(表2)にハイブリダイズさせ、該シグナルを、りん光
イメージング(ホスホイメージング)により定量した。
【0528】 log[標的の数]とlog[ハイブリダイゼーションシグナルの強度]との
間に良好な相関性(r=0.98)が見出された。
【0529】 ついで、該PCR増幅の有効性がフミン酸および非標的DNAにより損なわれ
るか否かを調べるために、研究を行った。ゲル電気泳動により分析した場合には
、種々の量の標的DNAに対応する、該PCR産物の増加したバンド強度は、該
PCR混合物50μl中に8ngまでの範囲の濃度でフミン酸を含有しDNアー
ゼ処理土壌抽出物が加えられたDNA溶液で該増幅を行った場合に維持された。
【0530】 該PCR混合物中の20ngのフミン酸では、低レベルの標的DNAに対応す
するバンドは消失し、80ngのフミン酸濃度およびより高い濃度では、バンド
は全く可視化されなかった。
【0531】 増幅前にストレプトスポランギウム・フラジル(S.fragile)DNA
をストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hy
groscopicus)DNAと混合し、100pg〜1μgの範囲でPCR
混合物50μlに加えて、該土壌微生物叢から遊離される非標的DNAを模擬し
た場合、ストレプトスポランギウム・フラジル(S.fragile)からの種
々の量の標的DNAは、予想される量のPCR産物を供給することを可能にした
【0532】 2.9 種々の細胞溶解処理後の常在土壌放線菌の定量 精製プロトコールDを適用し、ついで前記のとおりのPCR増幅を行って、プ
ロトコール1、2、3、5aおよび5bに従う抽出後の土壌番号3中のストレプ
トスポランギウム(Streptosporangium)属に属する放線菌を
定量した(図5)。
【0533】 粉砕後(プロトコール2)、ハイブリダイゼーション(ドットブロット)およ
びラジオイメージングにより、この放線菌に由来する標的DNAの量を2.5±
1.3ng/g乾燥土壌重量と推定した。
【0534】 ストレプトマイセス(Streptomyces)に関して該DNA含量が1
0fg/細胞であると仮定すると(Gladekら,1984)、この値は約2
.5×10ゲノムに相当する。その他の細胞溶解処理の後に、同様の値が得ら
れた(それぞれプロトコール3および4bを用いた場合に、それぞれ2.6±1
.1および1.8±1.3ng DNA/g乾燥土壌)。
【0535】 2.10 細菌が予備接種された土壌からのDNAの回収の有効性 3つの土壌(番号2、3および5)に、種々の濃度のストレプトマイセス・リ
ビダンス(Streptomyces lividans)の芽胞または菌糸を
接種した(材料および方法の節を参照されたい)。該土壌に加えた菌糸体の量(
図6b)は、該発芽培地に接種した芽胞の数に対応する。これらの芽胞の約50
%が発芽した。該発芽芽胞の菌糸における細胞の厳密な数は測定しなかった。し
たがって、該土壌に接種した芽胞および菌糸体の量は直接的には比較することが
できない。
【0536】 各土壌サンプルに関して、抽出プロトコール6、精製方法DおよびPCR増幅
とドットブロットハイブリダイゼーションおよびりん光イメージング(ホスホイ
メージング)との組合せを用いて、遊離された特異的標的DNAを計数した。加
えた芽胞の数が土壌番号3および番号5に関しては10を及び土壌番号2に関
しては10を超える場合には、抽出されたDNAはバックグラウンドノイズか
ら明らかに区別されうる(図6a)。
【0537】 該菌糸体を加えた場合には、抽出されたDNAは、土壌番号2および番号3に
関しては10 芽胞/g土壌に対応する量以上で、ならびに土壌番号5に関し
ては10 芽胞/g土壌に対応する量以上で検出されうる(図b)。
【0538】 該検出レベルを超えると、該ハイブリダイゼーションシグナルは、接種細胞の
量が増加するにつれて増加する。
【0539】 該芽胞接種物に関しては、接種された細胞の数における100倍の増加は、D
NA収量における100倍近い増加につながる。この増加は、該菌糸体を特に土
壌番号2および番号3に接種した場合より明らかに低い(図6)。
【0540】 これに対して、ラムダファージDNAを接種物として使用した場合に得られた
結果においては、該細菌細胞を接種物として使用した場合には、該DNAはまた
、その粘土に富む土壌(番号5)から回収された。しかし、後者の接種物に関し
てはまた、RNAでの処理は、芽胞および菌糸体の両方に関するこの土壌からの
ストレプトマイセス(Streptomyces)DNAの回収を増加させた(
図6)。
【0541】 該土壌への栄養炭疽菌(Bacillus anthracis)細胞の接種
は、ストレプトマイセス(Streptomyces)に関して得られたものと
同様の回収レベルを与えた。
【0542】 さらに、土壌番号5からのDNA回収のレベルはまた、この接種物に関するR
NAでの処理の後に増加した。
【0543】 実施例2:リンデンで汚染された土壌を使用する低分子量DNA(<10kb )のライブラリーの構築、ならびにlinA遺伝子のクローニングおよび発現
本実施例は、大腸菌(E.coli)のDNAライブラリーの構築を記載する
。それは、培養不可能な微生物叢から得られた小さな遺伝子のクローニングおよ
び発現を示す。
【0544】 リンデンは、分解に抵抗性であり環境中に残留する有機塩素系農薬である。好
気性条件下では、linA遺伝子によりコードされるデヒドロクロリナーゼによ
り生分解が触媒され、リンデンは1,2,4−トリクロロベンゼンに変換される
。linA遺伝子は、土壌から分離された2つの株、すなわち、日本で分離され
たスフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphinogomonas pauc
imobilis)(SeenoおよびWada 1989;Imaiら,19
91;Nagataら,1993)およびフランスで分離されたロダノバクター
・リンダニクラスチクス(Rhodanobacter lindanicla
sticus)(Thomasら,1996,Nalinら,1999)から同
定されているに過ぎない。
【0545】 しかし、遊離した塩化物イオンのアッセイおよびリンデンと接触した土壌から
のlinA遺伝子のPCR増幅などにより示されたリンデンの分解潜在性は、環
境中で、より広範囲に及ぶらしい(Biesiekierska−Galgue
n,1997)。
【0546】 1.土壌DNAの直接的抽出 乾燥土壌を、6個のタングステンビーズを備えたRestch遠心力グライン
ダー中で10分間粉砕する。10グラムの粉砕土壌を50mlのpH9のTEN
Pバッファー(50mM Tris,20mM EDTA,100mM NaC
l,1% w/v ポリビニルポリピロリドン)に懸濁させ、10分間のボルテ
ックスによりホモジナイズする。
【0547】 4000×g、4℃で5分間の遠心分離の後、該上清を酢酸ナトリウム(3M
,pH5.2)で及びイソプロパノールで沈殿させ、ついで無菌TEバッファー
(10mM Tris,1mM EDTA,pH8.0)中に取る。ついで、抽
出されたDNAをS400モレキュラーシーブカラム(Pharmacia)上
およびElutip d イオン交換カラム(Schleicher and
Schuell)上で、該製造業者の説明に従い精製し、ついでTE中で保存す
る。
【0548】 2.ベクターpBluescript SK−における、該土壌から抽出され たDNAのライブラリーの構築 ベクターpBluescript SK−および該土壌から抽出されたDNA
のそれぞれを、DNA 1μg当たり10単位の割合の酵素HindIIIおよ
びBamHI(Roche)で消化する(37℃で2時間のインキュベーション
)。ついで該DNAを、DNA 300ng当たり1酵素単位の割合のT4 D
NAリガーゼ(Roche)の作用により、15℃で一晩にわたり連結する(約
200ngのDNAインサートおよび100ngの消化されたベクター)。エレ
クトロコンピテント(electrocompetent)大腸菌(Esche
richia coli)細胞ElctroMAX DH10B(商標)(Gi
bco BRL)を該連結混合物(2μl)でエレクトロポレーション(25μ
F,200および500Ω,2.5kV)(Biorad Gene Puls
er)により形質転換する。
【0549】 LB培地内で1時間のインキュベーションの後、約100コロニー/ディッシ
ュが得られるように該形質転換細胞を希釈し、ついで、アンピシリン(100m
g/l)、γ−HCH(500mg/l)、X−gal(5−ブロモ−4−クロ
ロ−3−インドリル−α−D−ガラクトシド,60mg/l)およびIPTG(
イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド,40mg/l)で補足されたLB培
地(10g/l トリプトン,5g/l 酵母エキス,5g/l NaCl)上
でプレーティングし、37℃で一晩インキュベートする。γ−ヘキサクロロシク
ロヘキサン(Merck−Schuchardt)は水に不溶性であるため、D
MSO(ジメチルスルホキシド)(Sigma)中で50g/lの溶液を調製す
る。
【0550】 このようにして、10,000個のクローンのライブラリーを得た。
【0551】 3.linA遺伝子のクローニングおよび発現 該ライブラリーのスクリーニングを、該コロニーの周囲のリンデン分解ハロの
可視化により行った(該培地内に沈殿するリンデン)。スクリーニングした10
,000個のクローンのうち、35個が、このように、リンデン分解活性を示し
た。これらのクローン内のlinA遺伝子の存在は、Thomasら(1996
)に記載の特異的プライマーを使用するPCRにより確認した。該インサート上
および該増幅産物上で行った消化は、スクリーニングした全てのクローンおよび
参照対照ロダノバクター・リンダニクラスチクス(R.lindaniclas
ticus)の間で同一のプロフィールを示した。linA遺伝子を保持するク
ローンはまた、同じサイズ(約4kb)のインサートを有していた。
【0552】 このように、該土壌DNAは、異種宿主である大腸菌(E.coli)におい
てクローニングされ発現されうること、および培養が困難な微生物叢に由来する
遺伝子が発現されうることが示された。したがって、Sau3AIのような制限
酵素での、土壌から抽出されたDNAの部分消化により調製されたライブラリー
も予想されうる。
【0553】 実施例3 直接的DNA抽出の工程を含む、土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法 1.材料および方法 1.1 土壌の細菌画分の抽出 5gの土壌を、Waring Blender中の3×1分間の粉砕(各粉砕
の合間に氷中で冷却しながら行う)により、50mlの無菌0.8% NaCl
に分散させる。ついで該細菌細胞を、Nycodenzの密度クッション(Nu
comed Pharma AS,Oslo,Norway)上の遠心分離によ
り該土壌粒子から分離する。遠心分離チューブ中、1.3g.ml−1の密度を
有する11.6mlのNycodenz溶液(10mlの無菌水に懸濁させた8
gのNycodenz)を、既に得られた25mlの土壌懸濁液の下に配置する
。振動(swing−out)バケットを備えたローター(TST 28.38
ローター,Kontron)中の10,000×g、4℃で40分間の遠心分離
の後、該水相と該Nycodenz相との間の相間部に位置する細胞環状体を取
り、25mlの無菌水で洗浄し、10,000×gで20分間にわたり遠心分離
する。ついで該細胞ペレットを10mM Tris;100mMn EDTA(
pH8.0)溶液中に取る。
【0554】 Waring Blender中での該土壌の分散の前に、特に該土壌細菌芽
胞の発芽を可能にするために酵母エキスの溶液中での該土壌の富化の工程を含め
ることができる。例えば、5gの土壌を、0.8% NaCL−6%酵母エキス
の無菌溶液50ml中、40℃で30分間インキュベートする。該粉砕中の泡の
形成を避けるために、5000rpmで10分間の遠心分離により該酵母エキス
を除去する。
【0555】 1.2 土壌細菌細胞の細胞溶解 ・液体培地内での該細胞の細胞溶解および塩化セシウム勾配上での精製 該細胞を、5mg.ml−1のリゾチームと0.5mg.ml−1のアクロモ
ペプチダーゼとを含有する10mM Tris、100mM EDTA(pH8
.0)溶液中、37℃で1時間にわたり細胞溶解する。ついでラウリルサルコシ
ル(最終1%)およびプロテイナーゼK(2mg.ml−1)を加え、37℃で
30分間インキュベートする。ついで該DNA溶液を、Kontron 65.
13ローター上での35,000rpmで36時間の遠心分離により塩化セシウ
ムの密度勾配上で精製する。用いる塩化セシウム勾配は、1.3860の屈折率
を有する1g/mlのCsClでの勾配である(Sambrookら,1989
)。
【0556】 ・アガロースブロック内に加えた後の該細胞の細胞溶解 該細胞を、低融点の1.5%(重量/容積)Seaplaque(Agaro
se Seaplaque FMC Products.TEBU,Le Pe
rray en Yvelines,France)を含有する等容積のアガロ
ースと混合し、100μl ブロック内に注ぐ。ついで該ブロックを、細胞溶解
溶液:250mM EDTA、10.3% スクロース、5mg.ml−1
ゾチームおよび0.5mg.ml−1 アクロモペプチダーゼ中、37℃で3時
間インキュベートする。ついで該ブロックを10mM Tris−500mM
EDTA溶液中で洗浄し、1mg.ml−1のプロテイナーゼKと1% ラウリ
ルサルコシルとを含有する500mM EDTA中、37℃で一晩インキュベー
トする。Tris−EDTA中での数回の洗浄の後、該ブロックを500mM
EDTA中で保存する。
【0557】 このようにして抽出されたDNAの量をパルスフィールド電気泳動により確認
する。
【0558】 抽出されたDNAの量を、仔ウシ胸腺DNAの検量範囲に対して電気泳動ゲル
上で評価した。
【0559】 1.3 土壌から抽出されたDNAの分子特徴づけ 該土壌から抽出されたDNAを、PCRハイブリダイゼーションにより特徴づ
ける。該方法は、第1段階において、16S rRNA遺伝子の普遍的に保存さ
れた領域上に位置するプライマーを使用して該DNAを増幅し、ついで該増幅D
NAを既知の特異性の種々のオリゴヌクレオチドプローブ(表4)にハイブリダ
イズさせて、ゲノムDNAの外部検量範囲に対して該ハイブリダイゼーションシ
グナルの強度を定量することを含む。
【0560】 該土壌から抽出されたDNAおよび純粋培養から抽出されたゲノムDNAを、
標準的なPCR増幅条件下、プライマーFGPS 612−669(表1)で増
幅する。ついで該増幅産物を等容積の1N NaOHで変性させ、Nylon膜
(GeneScreen Plus,Life Science Produc
ts)上で析出させ、T4ポリヌクレオチドキナーゼの作用によりg32Pで末
端において標識されたオリゴヌクレオチドプローブでハイブリダイズさせる。6
mlのSSC 20×、1mlのデンハルト液、1mlの10% SDSおよび
5mgの異種サケ***DNAを含有する20mlの溶液中の該膜のプレハイブリ
ダイゼーションの後、該ハイブリダイゼーションを、該プローブにより定められ
る温度で一晩行う。該膜をSSC 2×中、室温で5分間にわたり2回、ついで
SSC 2× 0.1% SDS中で1回洗浄し、そしてもう一度、SSC 1
×、0.1% SDS中、該ハイブリダイゼーション温度で30分間にわたり洗
浄する。該ハイブリダイゼーションシグナルを、Molecular Anal
ystソフトウェア(Biorad,Ivry sur Seine,Fran
ce)を使用して定量し、DNAの量を、該ゲノムDNAから得た検量線の補間
法により評価する。
【0561】 2.結果および考察 2.1 土壌の細菌画分の抽出および細胞溶解 DNAの抽出の前の、土壌粒子からの微生物細胞の分離は、該土壌中のDNA
の直接的抽出の方法より優れた多数の利点を有する代替手段である。特に、微生
物画分の抽出は、土壌中に遊離して存在する外部DNAで又は真核生物由来のD
NAでDNA抽出物が汚染されるのを抑制する。とりわけ、該土壌の微生物画分
から抽出されたDNAは、直接的細胞溶解により抽出されたDNAより長いサイ
ズの断片およびより良好な完全性を有する(JacobsonおよびRasmu
ssen(1992))。さらに、該土壌粒子の分離は、腐植質およびフェノー
ル性化合物が該DNA抽出物を汚染し次いでこれらの化合物がクローニング効率
を著しく損ないうるのを避けることを可能にする。
【0562】 該土壌からの細胞の抽出の決定因子である工程の1つは、土壌粒子の凝集体の
表面または内部に付着する細胞を解離させるための該土壌サンプルの分散である
。それぞれ1分間の3つの連続的な粉砕サイクルは、1分30秒の単一の粉砕サ
イクルより良好な細胞抽出効率およびより多量の回収DNAを得ることを可能に
する。
【0563】 表5は、Nycodenz勾配上の遠心分離後、生存可能な全微生物叢(アク
リジンオレンジでの染色後の顕微鏡検査による計数)、培養可能な全微生物叢(
固体10% Trypticase−Soja培地上での計数)、およびHV寒
天培地上での培養可能な放線菌微生物叢(該芽胞の発芽を引き起こさせるための
、6% 酵母エキス−0.05% SDSの溶液中、40℃でのインキュベーシ
ョン後)上での抽出効率を示す。さらに、該抽出DNAを、液体培地内での該細
胞の細胞溶解(塩化セシウム勾配上での精製は伴わない)後、または(該アガロ
ースをβ−アガラーゼで消化した後の)アガロースブロック内に含まれる該細胞
の細胞溶解後に定量した。
【0564】 該結果は、全地上微生物叢の14%以上がこの方法により回収されること(す
なわち、土壌1g当たり2×10細胞)、および培養可能な全微生物叢が全微
生物集団の2%に相当するに過ぎないを示している。
【0565】 さらに、該細胞から抽出されたDNAの量は、乾燥土壌1g当たり330ng
である。土壌微生物細胞1個当たりのDNA含量を1.6〜2.4fgと推定し
、抽出された細胞の量(土壌1g当たり2×10細胞)を考慮すると、該細胞
の実質的にすべてが細胞溶解されること、およびこの細胞溶解がこのアプローチ
に大きな偏向をもたらさないことが推定されうる。
【0566】 該パルスフィールド電気泳動は、NycodenzおよびCsCl勾配後に抽
出された土壌からのDNAが150kbのサイズまででありうること、および該
アガロースゲルブロック細胞溶解が、600kbを超える断片の抽出を可能にし
たことを示している。
【0567】 これらの結果は、直接DNA抽出の方法の代替手段としての、環境DNAライ
ブラリーの構築のための培養から独立したこのアプローチの利点を証明している
【0568】 2.2 土壌から抽出されたDNAの分子特徴づけ 土壌から抽出されたDNAの分子特徴づけの目的は、該DNA抽出物中に存在
する種々の細菌分類群の比率を表すプロフィールを得ることにある。また、それ
は、該土壌中に存在する微生物多様性の直接的可視化を伴わない直接的抽出方法
と比較して、該土壌の細胞反応の予備分離により誘発される抽出の偏向を見出す
ことを含む。特に、それらの形態学的構造(細胞直径、繊維状または芽胞形成形
態)と相関した、Nycodenz勾配上での細胞の抽出に関する情報はほとん
ど集められていない。
【0569】 これまでの適当な方法は、以下のものに基づく。 ・環境から抽出されたDNAに直接適用される、種々の細菌群に特異的なオリ
ゴヌクレオチドプローブを使用する定量的ハイブリダイゼーション。残念ながら
、このアプローチは、それほど高感度ではなく、少量で存在する分類群または属
の検出を可能にしない(Amann(1995))。 ・MPN−PCR(Most Probable Number)(Syke
sら(1992))または競合的定量的PCR(Diviaccoら(1993
))のような定量的PCR。これらの各アプローチのそれぞれの欠点は、(i)
多数の希釈および反復による労力を要するため、該技術は多数のサンプルまたは
プライマーペアには適さないこと、および(ii)標的DNAに特異的である及
び該競合において偏向を誘発しない競合体の構築を要することである。
【0570】 本発明により導入された方法は、16S rDNA配列の内部の700bpの
断片を普遍的に増幅すること、種々の特異性(界、目、亜綱または属に関するも
の)のオリゴヌクレオチドプローブでこの増幅産物をハイブリダイズさせること
、および該サンプルのハイブリダイゼーション強度を外部検量範囲と比較するこ
とを含む。ハイブリダイゼーション前の増幅は、相対的に少ない微生物の属また
は種を定量することを可能にする。さらに、普遍的(ユニバーサル)プライマー
での増幅は、該ハイブリダイゼーション中、一連の広範なオリゴヌクレオチドプ
ローブを使用することを可能にする。それは、十分に定義づけされた分類群に関
する種々の様態の細胞溶解(直接的または間接的抽出)の比較を可能にする。
【0571】 該結果は表6において比較される。
【0572】 それらは、それらの2つの抽出方法(直接的および間接的)の間で同様のプロ
フィールを示す。したがって、地上微生物叢画分の予備抽出は、試験した分類群
の間の真正の偏向を導入しないらしい。それらの2つの抽出アプローチの間の唯
一の有意な相違は、間接的抽出方法による抽出物における、γ−プロテオバクテ
リアに属するrDNA配列の、より大きな存在量にあるであろう。
【0573】 さらに、酵母エキスの溶液中の該土壌サンプルのインキュベーションの有意な
効果が、芽胞形成土壌集団上で観察される(グラム、低い割合のGCおよび放
線菌類)。この工程は、該芽胞の発芽を引き起こし、第1に、このタイプの細胞
の、より良好な回収を決定的に可能にし、第2に、発芽細胞における、より大き
な細胞溶解有効性を可能にする。
【0574】 このアプローチは、通常は土壌中に見出される培養される微生物を使用して定
められる主要分類群に標的化される半定量分析を可能にする。分子的手段だけが
、種々の分類群の大きさを評価することを可能にする。なぜなら、培養方法は余
りにも限定的なものであり、使用する培地の特異性に左右されるからである。
【0575】 該結果は、大きな割合の該微生物集団が、記載されている系統発生群に表され
ていないことを示しており、したがって、このことは、これまでに培養されてい
ない又は培養可能ではない微生物から構成される新規群の存在を示している。
【0576】 したがって、DNA抽出物の組成のより厳密な具体像を得るために、土壌から
抽出されたDNAから出発する与えられた配列を使用して、新規プローブを定め
ることができる(未培養微生物から構成される新規系統,Ludwigら(19
97))。
【0577】 実施例4:コスミドPOS700Iの構築 POS700Iの特徴 大腸菌(E.coli)内で複製される。 ストレプトマイセス(Streptomyces)内で組込まれる。 大腸菌(E.coli)AmpR、HygroRおよびストレプトマイセス(
Streptomyces)HygroRにおいて選択されうる。
【0578】 該コスミドの特性は、30〜40kbの大きなDNA断片の挿入を可能にする
。それは、以下のものを含む。 1.ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces livid
ans)の誘導プロモーターtipA。 2.要素pSAM2に特異的な組込み系。 3.ハイグロマイシン耐性遺伝子。 4.pWED15に由来するコスミドpWED1。
【0579】 1)ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)のtipA遺 伝子の誘導プロモーター tipA遺伝子は、抗生物質チオストレプトンまたはノシヘプチドにより転写
が誘導される19KDのタンパク質をコードしている。tipAは良く調節され
る:指数期および定常期における誘導(200×)(Murakami T,H
olt TG,Thompson CJ.,J.Bacteriol 1989
;171:1459−66)。
【0580】 2)ハイグロマイシン耐性遺伝子 ・ハイグロマイシン:ストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(S.hyg
roscopicus)により産生される抗生物質。 ・該耐性遺伝子はホスホトランスフェラーゼ(hph)をコードしている。 ・使用する遺伝子は、hyg遺伝子がそれ自体のプロモーターおよびIPTG
誘導placプロモーターの制御下にあるBlondeletらにより構築され
たカセット(Blondelet−Rouaultら;Gene 1997;1
90:315−7)に由来する。
【0581】 3)部位特異的組込み系 要素pSAM2は、部位特異的組込み機構により染色体内に組込まれる。組込
みは、プラスミド(attP)上および染色体(attB)上に存在する2つの
同一の58bpの配列の間で生じる。
【0582】 attP部位の近くに位置するint遺伝子は、pSAM2の部位特異的組込
みに関与し、その産物は、腸内細菌のテンペレートバクテリオファージのインテ
グラーゼとの類似性を有する。attP付着部位とint遺伝子とだけを含有す
るpSAM2断片は、全要素と同じ様態で組込まれうることが示されている(1
8/05/1988のフランス国特許第88 06638およびRaynal
Aら,Mol.Microbiol.1998 28:333−42)。
【0583】 4)コスミドpOS700Iの構築 工程1 プロモーターTipAを、700塩基対のHindIII−BamHI断片上
のプラスミドpPM927(Smokvinaら,Gene 1990;94:
53−9)から単離し、HindIII/BamHIで消化されたベクターpU
C18(Yannish−Perronら,1985)内にクローニングした。
【0584】 工程2 ついで、このHindIII−BamHI断片をpUC18からpUC19(
Yannish−Perronら,1985)に移した。
【0585】 工程3 pSAM2のattP部位とint遺伝子とを保持する1500塩基対のBa
mHI−BamHIインサートを、図8に表されているpOSint1(Ray
nal Aら Mol Microbiol 1998 28:333−42)
から単離し、int遺伝子がプロモーターTipAの制御下に配置されるのを可
能にする配向で前ベクター(pUC19/TipA)のBamHI部位内にクロ
ーニングした。
【0586】 工程4 int遺伝子の5’側に位置するBamHI部位を、BamHIでの部分消化
およびそれに続くクレノウ酵素での処理により欠失させた。このようにして、T
ipA−int−attPを保持するHindIII−BamHI断片をpUC
9から単離し、pBR322 HindIII/BamHI内に導入した。
【0587】 工程5 pHP45Ωhyg(Blondelet−Rouaultら,1997)か
らHindIII−HindIII断片で単離されたハイグロマイシンカセット
を、プロモーターTipAの上流に位置するHindIII部位内にクローニン
グした。
【0588】 工程6 ΩHygカセットとプロモーターTipAとの間に位置するHindIII部
位を、部分HindIII消化の後のクレノウ処理により欠失させた。
【0589】 工程7 前工程の後で得られたプラスミドは、クレノウ処理後にコスミドpWED1の
EcoRV部位内にクローニングされたすべてのΩHyg/TipA/int
attP要素を保持する単一のHindIII−BamHI断片を単離すること
を可能にする。図9に示すコスミドpWED1は、図10に示すコスミドpWE
15(Wahl GMら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1
987 84:2160−4)から、ネオマイシン遺伝子とSV40起点とを保
持するHpaI−HpaI断片の欠失により誘導される。
【0590】 ベクターpOS7001の地図を図11に示す。
【0591】 実施例5:ストレプトマイセスにおいて接合型および組込み型であるコスミド 、ベクターpOSV303、pOSV306およびpOSV307の構築 5.1 ベクターpOSV303の構築 パッケージングが、30kbより大きなクローンを選択すると仮定すると、イ
ンサートを全く含有しないのは該クローンの僅か10〜15%であり、したがっ
て、組換え体を選択するための系を有することは実際には必要ではなく、したが
って、より小さなベクターの構築が可能となる。
【0592】 構築 工程1:ベクターpOSV001 PstIで開裂されたプラスミドpUC19内への、レプリコンRK2(Gu
ineyら,1983)の導入起点OriTを保持する800塩基対のPstI
−PstI断片のクローニング。このクローニング工程は、大腸菌(E.col
i)からストレプトマイセス(Streptomyces)へ接合により移入可
能なベクターを得ることを可能にする。
【0593】 ベクターpOSV001の地図を図17に示す。
【0594】 工程2:ベクターpOSV002 ハイグロマイシン耐性遺伝子が最後に導入されるよう、ストレプトマイセス(
Streptomyces)において選択されうるハイグロマイシンマーカー(
Ωhygカセット)を挿入して、該土壌DNAインサートを有するBACの完全
な導入が保証されうるようにする。
【0595】 ハイグロマイシン耐性遺伝子を保持するHindIII−HindIII断片
としての、pHP45Ωhygから単離されたハイグロマイシンカセットのクロ
ーニング。この断片は、ベクターpOSV001のPstI部位(201位)内
にクローニングされる。Hygroマーカーが該接合中に最後に導入されるよう
、該導入の方向を考慮して、このPstI部位が選択された。PstIおよびH
indIII末端は、「平滑末端」が生成しうるようDNAポリメラーゼのクレ
ノウフラグメントで処理した後に適合性となる。該Ωhyg断片の配向は、構築
の終了時に決定される。
【0596】 ベクターpOSV002の地図を図18に示す。
【0597】 工程3:ベクターpOSV010 プラスミドpOSV002から単離されハイグロマイシン耐性マーカーおよび
導入起点を含有するXbaI−HindIII断片を、XbaIおよびHind
IIIで消化されたプラスミドpOSint1内にクローニングする。該部位の
配向は、該ハイグロマイシンマーカーが常に最後に導入されるような配向である
【0598】 図8に示されるプラスミドpOSint1は、Raynalらの文献(Ray
nal Aら,Mol.Microbiol.1998 28:333−42)
に記載されている。
【0599】 この構築物は、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(Stre
ptomyces)におけるインテグラーゼの発現を可能にする。
【0600】 工程4:「cos」部位の挿入 原理は、プラスミドpOSV010内に「cos」部位を挿入して、図12に
示すプラスミドpOSV010内へのパッケージングを可能にすることである。
【0601】 「cos」断片の製造を図13に示す。
【0602】 この断片はPCRにより得る。λ(バクテリオファージラムダまたはコスミド
pHC79)の付着末端(cos)を保持する断片から出発して、該cos部位
に対して−50/+130の配列に対応するオリゴヌクレオチドを使用してPC
R増幅を行う。これらのオリゴヌクレオチドはまた、NsiIクローニング部位
、PstI(適合性)、XhoI部位、SalI(適合性)およびEcoRV(
「平滑末端」得るための部位)を含有する。
【0603】 稀有SwaIおよびPacI部位の付加は、クローニングされたインサートの
単離および/またはマッピングを可能にする。
【0604】 該PCR断片は、5’末端ではPstI部位により、3’末端ではHincI
I部位により境界が定められており、laclqリプレッサーの欠失が生じるよ
う酵素NsiIおよびEcoRVで予備消化されたベクターpOSV010(図
12)内にクローニングされうる。
【0605】 ベクターpOSV303の地図を図14に示す。ベクターpOSV303は、
NsiI部位、PstI(適合性)、XhoI部位、SalI(適合性)または
EcoRV部位(「平滑末端」を得るための部位)のようなクローニング部位を
含有する。
【0606】 5.2 ベクターpOSV306の構築 工程1:ベクターpOSV308の構築 ベクターpOSV308を、図27に記載の方法に従い構築した。配列配列番
号107および配列番号108のプライマーのペアを使用して、Hohm Bお
よびCollins(1980)に記載のコスミドベクターpHc79から、c
os領域を含有する643bpの断片を増幅した。
【0607】 この増幅されたヌクレオチド断片を、図27に示すとおりに、Promega
社により販売されているpGEMT−easyベクター内に直接的にクローニン
グして、ベクターpOSV308を得た。
【0608】 工程2:ベクターpOSV306の構築 本実施例の5.1節に記載のベクターpOSV303の構築の工程3に記載の
とおりに、ベクターpOSV010を構築した。
【0609】 ベクターpOSV10を酵素EcoRVおよびNsiIで消化して7874b
pの断片を切り出し、ついでそれを精製した(図28に記載のとおり)。
【0610】 つぎに、前記工程1)で得たベクターpOSV308を酵素EcoRVおよび
PstIで消化して617bp断片を切り出し、ついでそれを精製した。
【0611】 つぎに、ベクターpOSV308から得た617bpのcos断片を、ベクタ
ーpOSV10内に連結により組込んで、ベクターpOSV306を得た(図2
8に記載のとおり)。
【0612】 5.3 ベクターpOSV307の構築 コスミドpOSV307は、ストレプトマイセス(Streptomyces
)、例えばストレプトマイセス(Streptomyces)のS17−1株に
おける該コスミドの安定性を改善するようLaclq遺伝子を尚も含有する。
【0613】 ベクターpOSV307を構築するために、ベクターpOSV010を酵素P
vuIIでの消化に付して8761bpの断片を得、それを精製し、ついで脱リ
ン酸化した。
【0614】 つぎに、前記5.2節の工程1)に記載のとおりに得たベクターpOSV30
8を酵素EcoRIで消化して663bpの断片を得、ついでそれを精製し、ク
レノウ酵素で処理した。
【0615】 このようにして処理したヌクレオチド断片を、連結後にベクターpOSV01
0内に組込んで、ベクターpOSV307を得た(図29に示すとおり)。
【0616】 実施例6:大腸菌−ストレプトマイセス複製型シャトルコスミドpOS700 Rの構築 図15に示すプラスミドpEI16(Volffら,1996)の断片を単離
し、クレノウ処理した。これらの断片は、プラスミドSCP2に由来する複製お
よび安定性に必要な配列を含有する。
【0617】 これらの2つの断片を、コスミドpWED1のEcoRV部位内に別々に挿入
して、2つの異なるクローンを得る。
【0618】 HindIII−HindIII断片としてpHP45Ωhygから単離した
ハイグロマイシンカセットを、PstI−EcoRIまたはXbaIの形態でS
cP2インサートを含有するpWED1コスミドのHindIII部位内にクロ
ーニングした。それは、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(S
treptomyces)の両方において選択されうるハイグロマイシン耐性を
付与する。
【0619】 ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)の形質転換および
形質転換効率の測定 XbaIインサートを含有するコスミドは、PstI EcoRI断片を含有
するコスミドより不安定であることが判明した。したがって、後者のコスミド(
pOS700Rと称される)を選択した。
【0620】 ベクターpOS700Rの地図を図16に示す。
【0621】 実施例7:組込み型(pOS700I)および複製型ベクターの形質転換効率 可能性 チオスレプトン耐性マーカーを保持するプラスミドpTO1を組込むことによ
り、ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)をチオスレプト
ンに対して耐性にする。
【0622】 チオストレプトンの存在下で培養したストレプトマイセス・リビダンス(S.
lividans)からのプロトプラストの調製。
【0623】 ベクターpOS700Iでは、形質転換効率は、DNA 1μg当たり形質転
換体約3000個である。
【0624】 ベクターpOS700Rでは、形質転換効率は、DNA 1μg当たり形質転
換体約30,000個である。
【0625】 実施例8:ストレプトマイセスにおいて組込まれる接合型であるBACベクタ ーの構築 特徴: 大腸菌(E.coli)において複製される。 ストレプトマイセス(Streptomyces)との大腸菌(E.coli)
の接合により導入されうる。 ストレプトマイセス(Streptomyces)において組込まれる。 大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(Streptomyces
)において選択されうる。 大きなDNA断片の挿入が可能である。小さな断片に汚染されていない100〜
300kbのサイズの土壌DNAが利用可能である必要があることを指摘すべき
である。この理由は、そのような小さな断片は非常に組込まれやすいことにある
。 インサートを保持するプラスミドを選択するためのスクリーニングを受けうる。
このスクリーニングは、自己閉環している及び消化されないベクターを除去する
ことにより、該ベクターと該挿入DNAとの、より高い比の達成を可能にして、
ライブラリーの作製のための、より良好なクローニング効率を与えうる。
【0626】 構築: 工程1:ベクターpOSV001 PstIで開裂されたプラスミドpUC19内への、レプリコンRK2(Gu
ineyら,1983)の導入起点OriTを保持する800塩基対のPstI
−PstI断片のクローニング。このクローニング工程は、大腸菌(E.col
i)からストレプトマイセス(Streptomyces)へ接合により移入可
能なベクターを得ることを可能にする。
【0627】 ベクターpOSV001の地図を図17に示す。
【0628】 工程2:ベクターpOSV002 ハイグロマイシン耐性遺伝子が最後に導入されるよう、ストレプトマイセス(
Streptomyces)において選択されうるハイグロマイシンマーカー(
Ωhygカセット)を挿入して、該土壌DNAインサートを有するBACの完全
な導入が保証されうるようにする。
【0629】 ハイグロマイシン耐性遺伝子を保持するHindIII−HindIII断片
としての、pHP45Ωhygから単離されたハイグロマイシンカセットのクロ
ーニング。この断片は、ベクターpOSV001のPstI部位(201位)内
にクローニングされる。Hygroマーカーが該接合中に最後に導入されるよう
、該導入の方向を考慮して、このPstI部位が選択された。PstIおよびH
indIII末端は、「平滑末端」が生成しうるようDNAポリメラーゼのクレ
ノウフラグメントで処理した後に適合性となる。該Ωhyg断片の配向は、構築
の終了時に決定される。
【0630】 ベクターpOSV002の地図を図18に示す。
【0631】 工程3:ベクターpOSV010 プラスミドpOSV002から単離されハイグロマイシン耐性マーカーおよび
導入起点を含有するXbaI−HindIII断片を、XbaIおよびHind
IIIで消化されたプラスミドpOSint1内にクローニングする。該部位の
配向は、該ハイグロマイシンマーカーが常に最後に導入されるような配向である
【0632】 図8に示されるプラスミドpOSint1は、Raynalらの文献(Ray
nal Aら,Mol.Microbiol.1998 28:333−42)
に記載されている。
【0633】 この構築物は、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(Stre
ptomyces)におけるインテグラーゼの発現を可能にする。
【0634】 工程4:ベクターpOSV014 挿入された外来DNAを有するプラスミドを最終構築物において選択すること
を最後に可能にする「カセット」の付加。
【0635】 この「カセット」は、λファージClリプレッサーをコードする遺伝子および
テトラサイクリン耐性遺伝子を保持する。この遺伝子は、該リプレッサーの標的
配列を、その非コード5’領域内に保持した。Clのコード領域内に位置するH
indIII部位内へのDNAの挿入は、リプレッサーの無生成およびそれによ
るテトラサイクリン耐性の発現を招く。
【0636】 それは、Nilssonらの文献(Nucleic Acids Res.1
983,11:801−30)に記載のプラスミドpUN99により保持されて
いる。
【0637】 pOSV010から単離され配列Int、attP、Hygroおよびori
Tを含有するPvuII−HindIII断片をpUN99のMscI部位内に
クローニングする。
【0638】 ベクターpOSV014の地図を図19に示す。
【0639】 工程5:ベクターpOSV403ならびに組込み型および接合型BACベクタ pBAC11(図20に示される)内へのクローニングのこの最終工程は、最
終プラスミドBAC(細菌人工染色体)の特性、特に、非常に大きなDNAイン
サートの受容能力を与える。
【0640】 既に記載されている要素および機能のセットを保持するベクターpOSV01
4のPstI−PstI断片を、NotIで消化されたプラスミドpBAC11
(pBeloBAC11)内にクローニングする。それらの末端を、クレノウ酵
素での処理により適合性にする。
【0641】 ベクターpOSV403の地図を図21に示す。図21のスキームは、選択さ
れた配向を示す。
【0642】 工程6: ベクターpOSV403はHindIIIおよびNsiI部位を含有する。該
NsiI部位は、ストレプトマイセス(Streptomyces)においては
非常に稀有であり、PstIに対して適合性であるという利点を有する。一方、
該PstI部位はストレプトマイセス(Streptomyces)においては
一般的であり、部分消化を行うために利用されうる。
【0643】 Clリプレッサー内にクローニングされてこのリプレッサーを不活性化するイ
ンサートを保持する組換えクローンは、テトラサイクリン耐性となる。該BAC
が僅か1コピー/細胞の割合で存在すると仮定すると、20μg/mlの通常の
量より低いテトラサイクリン量(例えば、5μg/mlの量)で組換えクローン
を選択する必要がある。これらの条件下、バックグラウンドノイズは存在しない
【0644】 また、InVitrogen社により開発され販売された系を使用することが
可能であり、その場合、該ベクター内へのDNAの挿入は、発現されると大腸菌
(E.coli)に対して毒性となるジャイレースインヒビターを不活性化する
。該断片は、ベクターpZErO−2(http://www.invitro
gen.com/)から優先的に単離される。
【0645】 実施例9:組込み型コスミド(pOS700I)および複製型コスミド(pO S700R)におけるストレプトマイセス・アルボニガーライブラリーの構築 1)ライブラリーの構築 該クローニング系の有効性を評価するために、ストレプトマイセス・アルボニ
ガー(Streptomyces alboniger)のピューロマイシン生
合成経路を2つのシャトルコスミドpOS700IおよびpOS700R内にク
ローニングした。ピューロマイシン生合成経路の遺伝子は、約15kbのBam
HI DNA断片により保持される。
【0646】 ストレプトマイセス・アルボニガー(Streptomyces albon
iger)のゲノムDNAを単離した。このDNAの90%は、パルスフィール
ド電気泳動による測定で20〜150kbの分子量を有する。
【0647】 それらの2つのコスミドを酵素BamHI(単一のクローニング部位)で消化
した。
【0648】 ゲノムDNAの部分BamHI消化の条件を決定した(50μgのDNAおよ
び12単位の酵素、5分間の消化)。アガロースゲル電気泳動により該サイズを
確認した後、部分的に消化されたDNAを該ベクター内に導入した。該連結にお
いて、15μgのゲノムDNA+2μgの該組込み型ベクターまたは5μgの該
複製型ベクターを使用した。
【0649】 バクテリオファージラムダの頭部内への該DNAのインビトロ包膜のために、
各連結混合物を使用した。該包膜混合物(0.5ml)を力価測定した(組込み
型ベクターpOS700I=7.5×10コスミド/ml、複製型ベクター=
5×10コスミド/ml)。
【0650】 該コスミドを使用して大腸菌(E.coli)をトランスフェクトし、それに
より約25,000個のアンピシリン耐性クローンのライブラリーを作製した。
これらのクローンのすべてからのDNAを単離し、定量した。
【0651】 該ライブラリーを試験するために、いくつかのクローンを選択し、該DNAを
精製し、BamHIで消化して、該インサートの存在およびサイズを確認した。
試験したクローンは、20〜35Kbのストレプトマイセス・アルボニガー(S
.alboniger)インサートを含有する。
【0652】 2)ピューロマイシン生合成経路を含有するクローンの同定 完全なピューロマイシン生合成経路を含有する傾向にあるクローンを、ピュー
ロマイシン耐性遺伝子である1.1kbのpac遺伝子(Lacalleら,G
ene 1989;79,375−80)に対応するプローブでのハイブリダイ
ゼーションにより同定した。
【0653】 組込み型ベクターpOS700Iにおいて作製したライブラリー 分析した2000個のクローンのうち、9個のクローンが該プローブにハイブ
リダイズし、それらは約40kbのインサートを含有する。
【0654】 複製型ベクターpOS700Rにおいて作製したライブラリー 分析した2000個のクローンのうち、12個のクローンが該プローブにハイ
ブリダイズし、それらは約40kbのインサートを含有する。
【0655】 Terceroら(J.Biol.Chem.1996;271,1579−
90)により公開されたデータを用いて、該全生合成経路を含有するクローンを
、適当なプローブでのハイブリダイゼーションの後に同定した。ある組込み型お
よび複製型コスミドは、ClaI−EcoRV消化の後に12,360塩基対の
断片を含有し、これは、該全ピューロマイシン生合成経路を含有するインサート
の仮定につながる。
【0656】 4)耐性クローンによるピューロマイシンの産生の確認(Rhone−Pou lenc) a)材料および方法 株および培養条件: ピューロマイシンの産生を確認するために、3個の耐性クローンを選択した。
それらは、組込み型ベクターpOS700I(G20)内のインサートまたは複
製型ベクター(G21およびG22)内のインサートを含有するストレプトマイ
セス・リビダンス(S.lividans)組換え体に対応する。
【0657】 使用した培地がこの産生を可能にすることを保証するために、参照株を使用し
た。それらは、ピューロマイシンを産生するストレプトマイセス・アルボニガー
(S.alboniger)野生型株ATCC 12461、およびプラスミド
pRCP−11(Lacalleら,1992,the EMBO journ
al,11,785−792)内にクローニングされた完全なピューロマイシン
クラスターを含有するストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans
)組換え体株(G23)である。
【0658】 該株を、以下の組成を有する培地内に接種した。
【0659】 Organotechnie細菌学的ペプトン 5g/L最終培地 Springer酵母エキス 5 Liebig肉エキス 5 Prolaboグルコース 15 Prolabo CaCO(1) 3 Prolabo NaCl 5 Difco寒天(2) 1。 (1)3gのカルボナートを200mlの蒸留水と混合し、ついで別々に滅菌す
る。該添加は滅菌後に行う。 (2)該寒天を100mlの蒸留中で予め溶融し、ついでそれを該培地のその他
の成分に加える。 滅菌前にpHを7.2に調節する。 121℃で25分間の滅菌。
【0660】 50μg/lのハイグロマイシンおよび5μg/lのチオスレプトンを、滅菌
後の培地に加えて、該ベクター上に存在するマーカー遺伝子によるインサートを
含有するクローニングに関する選択圧を維持する(該チオスレプトン耐性遺伝子
はプラスミドpRCP11により保持される)。
【0661】 250ml 円錐フラスコ内に分注された50mlの液体培地に、該株のそれ
ぞれの芽胞および菌糸体の水性懸濁液2mlを接種する。該培養を、220rp
mで攪拌しながら28℃で4日間インキュベートする。ついで、250ml 円
錐フラスコ内に分注された50mlの生産培地に、これらの予備培養物2mlを
接種する。使用した生産培地は、プリスチナマイシン(pristinamyc
in)の生産用に最適化された工業用培地(培地RPR201)である。該培養
を、220rpmで攪拌しながら28℃でインキュベートする。種々のインキュ
ベーション時間の後、各培養の円錐フラスコをpH11にし、ついで1容積のジ
クロロメタンで2回抽出する。該有機相を減圧下で濃縮乾固し、ついで該抽出物
を10μlのメタノール中に取る。ピューロマイシンの検出のために、C18カ
ラム上の水−アセトニトリル 0.05% TFA V/V勾配系中の、ダイオ
ードバー検出器を備えたHPLCにより、100μlの該メタノール溶液を分析
する。
【0662】 b)結果 種々の株の培養からの比較HPLC分析は、野生型株の培養においては、24
時間以上のインキュベーションの時点でのピューロマイシンの産生を示している
。コスミドpOS700Iを含有するクローンG20の培養においては、48時
間以上の時点で、より低度ではあるが産生が明らかに検出されている(図23)
。プラスミドpRCP11において該化合物をコードする完全なオペロンを含有
するクローンG23においても、ピューロマイシンが微量で検出された。しかし
、コスミドpOS700Rを含有するクローンG21およびG22の培養におい
ては、産生は全く認められなかった。該結果を図23に示す。
【0663】 c)結論 得られた結果は、コスミドpOS700Iにおいて開発されたクローニング系
の、完全な生合成経路をストレプトマイセス・リビダンス(S.lividan
s)のような異種宿主においてそれ自身の調節配列の制御下で発現させるための
有効性を示しうる。さらに、これらのデータはまた、ピューロマイシンに対する
該クローンの耐性に基づいて得たライブラリーのスクリーニングの有効性を証明
している。なぜなら、それは、少数のクローンのなかから、該耐性遺伝子に関連
した生合成経路を発現しうる組換え体を同定することにつながるからである。そ
の他のクローンにおけるピューロマイシン産生の不存在は、おそらく、該耐性遺
伝子を含有するものの該化合物の合成に必要な何らかの調節、形質導入または転
写配列を欠くオペロンの一部だけがクローニングされたことにより説明されうる
であろう。
【0664】 実施例10:ベクター内への土壌DNAのクローニング 1)クローニングすべき土壌DNAの調製 種々のDNA断片を、それらの用途に応じて精製する必要がある。
【0665】 コスミド 該分子のサイズは30〜40kbであるべきである。現段階では、該土壌から
抽出されたDNAはサイズにおいて不均一であり、200または300kbまで
の分子を含む。該サイズを均一化するために、該溶液を直径0.4mmの針に通
過させることにより、該DNAを機械的に破壊する。30kbの範囲のサイズの
断片は、針内のこれらの反復通過による影響を受けず、したがって、特にサイズ
に基づく分離を行う必要はない。なぜなら、該粒子におけるパッケージングは、
それらの短いインサートを自動的に排除するからである。
【0666】 BAC DNAの調製 100〜300kbの断片が約5mmのバンド内に濃縮される条件下、パルス
フィールド電気泳動(CHEF型)により、該土壌DNAを分離する。これは、
0.7%の通常のアガロースまたは1%の低融点のアガロースを含有するゲル内
で、100秒のパルスタイム、10℃の温度で20時間にわたり泳動を行うこと
により得られる。
【0667】 DNAの回収 2つの方法を用いる。それらの選択は、分離したい分子のサイズに基づき、1
50kbまでであるか、それより高いかによって決まる。
【0668】 150kbまで 0.7% アガロースゲルの多孔度は、臭化エチジウムが全く存在しない場合
には、電気溶出による該DNAの流出を可能にする。ついで、このDNAは、該
分子の機械的断片化を避けるために、疎水性の拡大オリフィスピペッティング装
置を使用して取り扱われる。
【0669】 100〜300kb 100〜300kbのサイズの断片を含有するバンドを切り出す。該泳動には
、1%の低融点アガロースを含有するゲルを使用する。この特性は、該DNAが
許容しうる65℃の温度で該ゲルを溶融させること、およびついでそれをアガラ
ーゼ(Boehringer社により販売されているAgarase)で該供給
業者の指示に従い45℃の温度で消化することを可能にする。
【0670】 2)組込み型コスミドpOS700Iおよび複製型コスミドpOS700Rの 使用 ポリAポリTテイルでの構築 原理 いずれかのクローニング部位で開裂されたコスミドベクターを、単種(mon
otonous)ポリヌクレオチドを付加することにより、3’末端で修飾する
。さらに、クローニングするDNAを、前記ポリヌクレオチドと対形成しうる単
種ポリヌクレオチドを付加することにより、3’末端で修飾する。
【0671】 クローニングするベクター−断片の組合せをこれらのポリヌクレオチドで作製
する。該ベクターのcos配列は、ラムダファージカプシド内への該DNAのイ
ンビトロパッケージングを可能にする。
【0672】 ベクターの調製 使用するベクターは、大腸菌(E.coli)内では自己複製しストレプトマ
イセス(Streptomyces)内では組込まれるベクターである。
【0673】 大腸菌(E.coli)ではアンピシリン耐性に関して、ストレプトマイセス
(Streptomyces)ではハイグロマイシン耐性に関して、選択を行う
。該コスミドを2つの可能な部位(BamHIまたはHindIII)の1つに
おいて開裂し、該3’末端をターミナルトランスフェラーゼで、該酵素供給業者
が50〜100ヌクレオチドの付加を予想する条件下、ポリAで伸長させる。
【0674】 挿入するDNAの調製 該DNAの3’末端を、該ベクターの場合に匹敵する伸長をもたらす条件下、
ターミナルトランスフェラーゼでポリTで伸長させる。該製造業者により記載さ
れている実験的条件下、該ポリAポリTテイルは30〜70塩基長である。
【0675】 分子の集合およびインビトロ包膜 該分子の集合のために、挿入するDNA分子1個当たりベクター分子1個を混
合する。質量に基づく該DNAの濃度は500μg.ml−1である。
【0676】 該混合物を包膜する。該トランスフェクション効率は、レシピエントとして使
用する株および挿入するDNAに左右され、該試験DNAおよび株DH5αでは
ゼロであり、該効率は、SUREおよびDH10B株と比較しうるものであるが
、抽出すると、該DNA収量は、該株DH10Bの方が高い。
【0677】 脱リン酸化による構築 該土壌DNAを、突出3’配列を除去し突出5’配列をフィルインすることに
より、平滑末端化する。この操作は、クレノウ酵素、T4ポリメラーゼ、4種の
ヌクレオチド三リン酸で行う。該コスミドベクターをBamHIで消化し、つい
でクレノウ酵素で消化して該末端を平滑化し、ついで脱リン酸化してその自己閉
環を防ぐ。連結後、該混合物を包膜し、トランスフェクトする(既に記載されて
いるとおりに行う)。
【0678】 3)pBACの使用 原理 接合型であり組込み型であるプラスミドpBACは、HindIIIおよびN
siI部位をクローニング部位として含有する。これらの部位内へのDNA配列
の挿入は、テトラサイクリン耐性遺伝子の発現を抑制するラムダファージCIリ
プレッサーを不活性化する。したがって、該リプレッサーの不活性化は該細胞を
この抗生物質(5μg.ml−1)に対して耐性にする。これらの部位における
クローニングは、該ベクターを修飾し被クローン化DNAを調製することにより
促進される。
【0679】 ベクターの調製:HindIIIの実例 該ベクターが自己閉環しないようにするために、該HindIII部位を修飾
する。第1塩基(A)を再挿入して、対応相手と対形成し得ない突出5’配列を
形成させる。該操作は、dATPの存在下、クレノウ酵素で行う。
【0680】 該クレノウ酵素での処理の前および後に該ベクターの自己連結を行うことによ
り、該操作の成功を確認する。等量の試験DNAでは、処理前には3000クロ
ーンが得られ、処理後には60クローンが得られる。
【0681】 DNA(100〜300kbのサイズ)の調製 DNAに平滑末端を付与する 突出3’配列を除去し、突出5’配列をフィルインすることにより、該DNA
に平滑末端を付与する。この操作は、クレノウ酵素、T4ポリメラーゼ、4種の
ヌクレオチド三リン酸で行う。
【0682】 該末端の調製:HindIIIの実例 該ベクターへのDNAの付加は、該ベクターのHindIII修飾配列を認識
するオリゴヌクレオチドにより行う。それらは、後続のクローニングを可能にす
る稀有制限部位(SwaI;NotI)を含有する。この技術は、Elledg
e SJ,Mulligan JT,Ramer SW,Spottswood
M,Davis RW.Proc.Natl Acad.Sci.USA 1
991 Mar 1;88(5):1731−5から導かれたものである。2つ
の相補的オリゴヌクレオチドを使用する。 オリゴ1:5’−GCTTATTTAAATATTAATGCGGCCGCCC
GGG−3’(配列番号25)。 オリゴ2:5’−CCCGGGCGGCCGCATTAATATTTAAATA
−3’(配列番号26)。
【0683】 ハイブリダイゼーション後、それらを、ATPの存在下、T4ポリヌクレオチ
ドキナーゼで5’末端にてリン酸化する。このリン酸化工程は、既にリン酸化さ
れたオリゴヌクレオチドを使用することにより省略することができる。ベクター
内に挿入するDNAとこの二本鎖アダプターとの連結は、非常の大過剰のアダプ
ター(挿入するDNA分子1個当たり100個のアダプター分子)の存在下、T
4リガーゼで14℃で15時間にわたり行う。その過剰のアダプターはアガロー
スゲル電気泳動により除去し、関心のある分子は、それをアガラーゼで加水分解
することにより又は電気溶出により、該ゲルから回収する。
【0684】 ベクター−DNA連結 該連結は、インサート分子1個当たり10分子のベクターで、14℃で15時
間にわたり行う。
【0685】 形質転換 該受容株は株DH10Bである。該形質転換はエレクトロポレーションにより
行う。テトラサイクリン耐性を発現させるために、該形質転換体を、抗生物質を
含有しない培地内で37℃で1時間インキュベートする。5μg.ml−1のテ
トラサイクリンで補足されたゲル化LB培地上で一晩培養することにより、該ク
ローンを選択する。
【0686】 実施例11:大腸菌とストレプトマイセスとの間のクローンからクローンの接 pPM803を含有する大腸菌(E.coli)株S17.1とストレプトマ
イセス・リビダンス(Streptomyces lividans)TK21
との間の接合 導入 大腸菌(E.coli)とストレプトマイセス(Streptomyces)
との間の接合を行うことが可能である(Mazodierら,1989)。いわ
ゆるドロップ(drop)技術(この技術においては、組換えベクターを含有す
る10μlの大腸菌(E.coli)培養物を1滴の受容ストレプトマイセス・
リビダンス(S.lividans)と混合する)を進展させることによるこの
方法の応用は、クローンからクローンの形質転換を行うことを含み、一方、該操
作の終了時に、大腸菌(E.coli)内で構築したライブラリーのすべてがス
トレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)内に確実に導入される
ようにする。大腸菌(E.coli)内のライブラリーがストレプトマイセス・
リビダンス(S.lividans)において完全に表現されることを実際に確
実に行うためには、大量の形質転換は必然的にストレプトマイセス(Strep
tomyces)形質転換クローンの増殖を招くであろう。さらに、この方法は
自動化が容易である。
【0687】 予備試験 ベクターpOSV303を含有する大腸菌(E.coli)株S17.1とス
トレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)TK21との間の接合
【0688】 これらの条件下、6×10個の大腸菌(E.coli)細胞を2×10
の予め発芽したストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)芽胞
と20μlの最終容積中で混合する。
【0689】 該方法の開発 ある放線菌から抽出されたDNAは修飾され、その結果、制限処理されなけれ
ば或る大腸菌(E.coli)内には導入され得ないことが公知である。これら
のDNAを受容する大腸菌(E.coli)株DH10Bは、oriTだけを含
有するプラスミドをストレプトマイセス(Streptomyces)に移入し
得ず、したがって、そのようなプラスミドの構築が必要である。RP4の誘導体
は、染色体内への組込みによりそれに導入されるはずであり、該誘導体は、導入
起点oriTを含有する組換えクローンの導入を保証するのに必要なすべての機
能をトランスで付与しうる。
【0690】 実施例12:大腸菌およびストレプトマイセス・リビダンスにおけるコスミド ライブラリーの構築:土壌DNAのクローニング 該目的は、標準的な実験条件下での培養方法が公知でない細菌(または他のい
ずれかの生物)の代謝遺伝子を入手するために、該微生物を培養する予備工程を
行うことなく大きなサイズの環境DNAのライブラリーを構築することにある。
【0691】 記載されている方法を用いて、大腸菌(Escherichia coli)
におけるDNAライブラリーを作製した。これは、大腸菌(E.coli)−ス
トレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)シャトルコスミドpO
S700Iと土壌の細菌画分から抽出され精製されたDNAとを使用して行った
。この最後の方法は、40kbの平均サイズを有する高純度のDNAを得ること
を可能にする。また、該クローニングにおける該抽出DNAの部分消化を避ける
ために、該DNAの及び該ベクターの3’末端にポリヌクレオチドテイルを付加
するためのターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用に基づく、もう1つの方法
を採用した。
【0692】 5μgのDNAを、実施例3に記載のプロトコールに従い60mgの「Sai
nt−Andre海岸」土壌から抽出し、ターミナルトランスフェラーゼ(Ph
armacia)で処理して該3’末端を単種ポリヌクレオチド(ポリT)で伸
長させた(実施例10)。
【0693】 組込み型コスミドpOS700Iは、プロトコールB1,Orsayに従い製
造する。フェノール/クロロホルムの存在下の標準的精製工程の後、1分子のベ
クターと1分子の挿入DNAとを混合することにより、該DNAと該ベクターと
を集合させる。ついで該混合物を、大腸菌(E.coli)DH10Bをトラン
スフェクトするのに有用なラムダバクテリオファージ(Amershamキット
)の頭部内に包膜する。ついで該トランスフェクト化細胞を、アンピシリン(こ
の抗生物質に対して耐性の組換え体を選択するためのもの)の存在下のLB寒天
培地上に接種する。
【0694】 約5000個のアンピシリン耐性大腸菌(E.coli)クローンのライブラ
リーを得た。各クローンをマイクロプレートウェル(96ウェル)内のLBまた
はTB培地+アンピシリン内に接種し、−80℃で保存する。
【0695】 該ライブラリーの構築中に作製されたベクターpOS700I内への該土壌断
片の挿入の部位の配列を分析した。このために、該ライブラリーのコスミド17
個を精製し、該ベクター内に存在するHindIIIクローニング部位とBam
HI部位との間にハイブリダイズするプライマー配列5’CCGCGAATTC
TCATGTTTGACCG 3’で配列決定する。
【0696】 得られた配列は、該結合部位におけるホモポリマーテイルの長さが13〜60
ポリ−dA/dTと非常に様々であると推定することを可能にした。該テイル以
外では、このように作製された土壌断片の配列は53〜70%のG+Cの比率を
有する。そのような比率は予想外であったが、土壌DNAの粗調製物に関して同
様の結果が既に報告されている(Chatzinotas Aら,1998)。
【0697】 48または96個のクローンを「プール」する方法を用いて、微生物的および
代謝的な富化度(richness)を分析した。ついでクローンのこれらの「
プール」から抽出したコスミドDNAを使用して、PCRまたはハイブリダイゼ
ーション実験を行った。
【0698】 実施例13:クローン化DNAにおける16SリボソームDNAの多様性 a)材料および方法 該ライブラリーのコスミドを、アルカリ細胞溶解によりプールから抽出し、つ
いで塩化セシウム勾配上で精製して、スーパーコイル形態のコスミドDNAのバ
ンドを取り、該研究を妨げうる大腸菌(Escherichia coli)染
色体DNAを除去する。
【0699】 S1ヌクレアーゼ(50単位、37℃で30分間)の作用による該コスミドの
線状化の後、該クローンプール内に含有される16S rDNA配列を、Mar
chesiら(1998)により定められた普遍的プライマー63f(5’−C
AGGCCTAACACATGCAAGTC−3’)および1387r(5’−
GGGCGGWGTGTACAAGGC−3’)を使用して標準的増幅条件下で
増幅する。約1.5キロベースの増幅産物を、Qiaquikゲル精製キット(
Qiagen)を使用して精製し、ついで大腸菌(Escherichia c
oli)内のベクターpCRII(Invitrogen)内に、該製造業者の
説明に従い直接的にクローニングする。ついで該インサートを、ベクターpCR
IIのクローニング部位に特異的なプライマーM13フォワードおよびM13リ
バースを使用して増幅する。予想されるサイズ(約1.7kb)の増幅産物を、
酵素CfoI、MspIおよびBstUI(0.1単位)を使用するRFLP(
Restriction Fragment Length Polymorp
hism)により分析して、配列決定すべきクローンを選択する。得られた制限
プロフィールを、0.4mg/mlの臭化エチジウムを含有する2.5% Me
taphoreアガロースゲル(FMC Products)上で分離する。
【0700】 ついで、「Qiaquickゲル抽出」キットで精製されたPCR産物を、N
ormand(1995)により定められた配列決定用プライマーと共に使用し
て、該16S rDNA配列を直接的に決定する。Ribosomal Dat
abase Project(RDP)データベース,バージョン7.0(Ma
idakら(1999))において照合された原核性16S rDNA配列と該
配列とをSIMILARITY MATCHプログラム(これは、該データベー
ス配列に対する類似性の値を得ることを可能にする)により比較することにより
、系統発生的分析が得られる。
【0701】 b)結果 該ライブラリーにおいて表現される系統発生的多様性を測定するために、該1
6S rRNA遺伝子の47個の配列を288個のクローンのプールから単離し
、ほぼ完全に配列決定した。該結果を表7に示す。
【0702】 該データベースの問合せによる該配列の分析は、該配列のほとんど(>61%
)が、同定された細菌種に対して95%以下の類似性の割合(%)を有すること
を示している(表7)。分析した47個の配列のうちの28個の配列が、未培養
細菌を最も近い類縁体として有し、それらの配列は、該環境から抽出されたDN
Aから直接得られた。さらに、これらの配列の大多数は、非常に低い類似性度(
88〜95%)を有し、したがって28個中17個の配列は、それらの最も近い
類縁体に対して5%以上異なっている。
【0703】 系統発生群に分類されうる配列のうち、大多数の配列はプロテオバクテリア亜
綱aに属する(89〜99%の類似性度を有する18個の配列)。第2の群の配
列は、84〜99%の類似性度を有する9個の配列を含むプロテオバクテリア亜
綱gで表される。b−プロテオバクテリアおよびd−プロテオバクテリアの群は
、それぞれ、低いG+C%および高いG+C%を有するファーミキューテス門で
あり、それぞれ、1、4、3および5個の配列を含む。1つの配列(配列a22
.1(19))だけが、定義されている主要細菌分類群のなかに分類することが
できなかった。その最も近い類縁体であるエロサーモバクター・マリアナス(A
erothermobacter marianas)(89%の類似性を有す
る)自体が、現時点では分類されていない海洋環境から単離された株である。最
後に、6個の配列はアシドバクテリウム(Acidobacterim)/ホロ
ファガ(Holophaga)の群に分類されうる。この群は、2つの培養細菌
アシドバクテリウム・カプスラツム(Acidobacterium caps
ulatum)およびホロファガ・フェチダ(Holophaga foeti
da)だけにより代表されるという特有の特徴を有し、この全群は、環境サンプ
ル(主に、土壌からのもの)から抽出されたDNAを使用する増幅およびクロー
ニングにより16S rRNA遺伝子だけが検出されている細菌から構成される
(Ludwigら,(1997))。この群を構成する種々の配列間の低い類似
性値は、この群内の大きな異質性および多様性を予想することを可能にする。
【0704】 一連の結果を表7に示す。
【0705】 これらの結果は、該コスミドライブラリーに含有される配列が、系統発生的に
多様な微生物に由来するばかりではなく、とりわけ、これまでに分離されたこと
がない微生物にも由来すると考えられることを示している。
【0706】 増幅されたDNAの配列決定の結果は、特徴づけられた配列が新規である土壌
サンプル中に存在する生物の系統樹の確立を可能にした。
【0707】 図7に示す系統樹は、MASEソフトウェア(FaulnerおよびJura
k,1988)による該配列のアライメントから作製され、Kimura2−パ
ラメーター法(1980)およびNeighbour Joiningアルゴリ
ズム(SaitouおよびNei,1987)により修正されたものである。該
系統発生的分析は、該土壌DNAライブラリーにおいてクローニングされた16
S rDNA配列と、BLAST 2.0ソフトウェア(Atschulら,1
997)によりRibosomal Database Project(RD
P)データベース(バージョン7.0,SIMILARITY−MATCHプロ
グラム,Maidakら,1999)およびGenBankベースにおいて照合
された原核性16S rDNAの配列との比較を可能にした。
【0708】 実施例14:代謝的富化度を評価するための該ライブラリーの遺伝的予備選択 得られたライブラリーを代謝的多様性に関して特徴づけるために、および生合
成経路に関与しうる遺伝子を保持するインサートを含有するクローンを同定する
ために、I型PKS遺伝子が検出され同定されるようにPCR法に基づく遺伝的
スクリーニング技術を本発明で開発した。
【0709】 1 細菌株、プラスミドおよび培養条件 ストレプトマイセス・ケリコロール(S.coelicolor)ATCC1
01478、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(S.ambofaci
ens)NRRL2420、ストレプトマイセス・ラクタマンデュランス(S.
lactamandurans)ATCC27382、ストレプトマイセス・リ
モサス(S.rimosus)ATCC109610、バシラス・サチリス(B
.Subtilis)ATCC6633またはバシラス・リヘニフォルニス(B
.licheniformis)THE1856(コレクションRPR)を、該
PCR実験のためのDNA源として使用した。ストレプトマイセス・リビダンス
(S.lividans)TK24は、シャトルコスミドPOSI700に使用
する宿主株である。
【0710】 ゲノムDNA、プロトプラストおよび芽胞の懸濁液の製造、ならびにストレプ
トマイセス・リビダンス(S.lividans)の形質転換のためには、Ho
pwoodら(1986)に記載の標準的なプロトコールに従った。
【0711】 該PCR産物のクローニングのための宿主としては、大腸菌(Escheri
chia coli)Top10(INVITROGEN)を使用し、シャトル
コスミドpOS700Iのための宿主としては、大腸菌(E.coli)Sur
e(STRATAGENE)を使用した。大腸菌(E.coli)の培養条件、
プラスミドの製造、該DNAの消化およびアガロースゲル電気泳動は、標準的な
プロトコール(Sambrookら,1996)に従い行った。
【0712】 2.PCRプライマー プライマーペアa1−a2およびb1−b2がN.Bamas−Jacque
sのチームにより定められ、それらの使用が、PKSIをコードする遺伝子の研
究のための土壌ライブラリーの及び純粋な株からのDNAのスクリーニングのた
めに最適化された。
【0713】
【表1】
【0714】 増幅条件: 純粋な株のDNAからのPKS Iの研究の場合には、該増幅混合物は、最終
容積50μl中に、50〜150ngのゲノムDNA、200μMのdNTP、
5mMのMgCl(最終)、7% DMSO、1×Appligeneバッフ
ァー、それぞれ0.4μMの各プライマーおよび2.5UのAppligene
Taqポリメラーゼを含有していた。用いた増幅条件は以下のとおりである:
95℃で2分間の変性、65℃で1分間のハイブリダイゼーション、72℃で1
分間の伸長(第1サイクル)、ついで該温度を58℃に減少させて30サイクル
(K.Seowら,1997に記載のとおり)。最後の伸長工程は72℃で10
分間行う。
【0715】 該ライブラリーのDNAからのPKS Iの研究の場合には、該PCR条件は
、48個のクローンのプールから抽出された100〜500ngのコスミドを使
用するa1−a2ペアに関して前記したのと同じ条件である。
【0716】 b1−b2プライマーペアの場合には、96個のクローンのプールに由来する
500ngのコスミドを使用した。該増幅混合物は、200μMのdNTP、2
.5mMのMgCl(最終)、7% DMSO、1×Quiagenバッファ
ー、0.4μMの各プライマーおよび2.5Uのホットスタート(hot−st
art)Taqポリメラーゼ(Qiagen)を含有していた。用いた増幅条件
は以下のとおりである:95℃で2分間の変性、ついで30サイクル:95℃で
1分間の変性+65℃(第1サイクル)および62℃(残りのサイクル)で1分
間のハイブリダイゼーション、72℃で1分間の伸長、72℃で10分間の最終
伸長工程。
【0717】 48または96個のクローンのプールからの陽性クローンの同定は、固形培地
上の対応親マイクロプレートのレプリカを使用して又は他の標準的な複製方法を
用いて行う。
【0718】 3 サブクローニングおよび配列決定 同定されたクローンのPCR産物を、以下のプロトコールに従い配列決定する
。該断片をアガロースゲル(ゲル抽出キット(Qiagen))上で精製し、T
OPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用して大腸菌(
E.coli)TOP 10(Invitrogen)内にクローニングする。
サブクローンのプラスミドDNAをBiorobot(Qiagen)上でのア
ルカリ細胞溶解により抽出し、0.025μm VS膜(Millipore)
上で2時間透析する。該サンプルを、ABI 377 96シークエンサー(P
erkin Elmer)上で「普遍的(ユニバーサル)」および「リバース」
M13プライマーで配列決定する。
【0719】 4)結果 該PCRプライマーの明確化および実証 酵素活性部位を含む放線菌I型PKSの高度に保存された2つの領域を、縮重
プライマーでの相同遺伝子の増幅のために標的化した。これらの2つの領域は、
それぞれ、配列PQQR(L)(L)LEおよびVE(A)HGTGTに対応す
る。
【0720】 マクロライドを産生する又は産生しない株、すなわち、ストレプトマイセス・
ケリコロール(Streptomyces coelicolor)、ストレプ
トマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofac
iens)(スピラマイシンを生産)およびサッカロポリスポラ・エリスラ(S
accharopolyspora erythraea)(エリスロマイシン
を生産)のDNAで、プライマー(表8)を試験した。使用したプライマーとは
無関係に、約700bpの断片に相当する及び予想される断片の長さに対応する
バンドが、それらのすべての株で得られた。
【0721】 これらの結果は、ストレプトマイセス・ケリコロール(S.coelicol
or)におけるサイレント遺伝子の又は生産株のPKS I遺伝子に対するプラ
イマーaおよびbの特異性を示している。
【0722】 a1−a2プライマーペアで得られたPCR産物の配列決定は、スピラマイシ
ンのマクロライド前駆体であるプランテノリドの生合成経路に属すると既に記載
されている(欧州特許出願番号EP 0 791 656)KS遺伝子の配列を
、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(S.ambofaciens)株
から同定することを可能にした(2つの配列は記載されていない;Stramb
9およびStramb12(配列表を参照されたい))。
【0723】 サッカロポリスポラ・エリスラ(S.erythraea)に関しては、該ス
クリーニング方法は、6−デオキシエリスロノリドBのシンテターゼ1(DEB
S1)をコードするGenebank(アクセッション番号M63677)にお
いて既に公開されているモジュール1のKSの配列と同一であるKSの配列(s
acery17)の同定を可能にした。該エリスロマイシン生合成経路と相関し
ないもう1つの配列を同定した。それを配列番号32に示す。
【0724】 結論 種々の微生物からのI型PKSをコードする遺伝子の存在をPCRにより分析
するための方法を開発した。I型ケト−シンテターゼドメインの高度に保存され
た構造は、コドンの選択に関するGCに偏向(バイアス)した縮重プライマーの
使用に基づくPCR法を生み出すことを可能にした。
【0725】 このアプローチは、I型ポリケチドの生合成経路に関与する遺伝子またはクラ
スターを同定する可能性を示している。これらの遺伝子のクローニングは、ポリ
ケチドハイブリッドを構築するために後に使用されうる集団の作製を可能にする
。同じ原理を他のクラスの抗生物質に適用することができる。
【0726】 ここで得られた結果はまた、サイレントクラスターに属しうる遺伝子の存在を
示している(配列番号30〜32)。
【0727】 サイレントクラスターの存在はストレプトマイセス・リビダンス(S.liv
idans)において既に立証されており、それらの発現は特異的または多形質
発現性調節体により誘発される(Horinouchiら;Umeyamaら
1996)。これらの結果は、いわゆるサイレント経路に属する遺伝子の検出が
実際に、該二次代謝産物の合成に必要な酵素的段階を該経路のその他の特異的酵
素と共に指令しうる活性な酵素をコードしていることを示唆している。
【0728】 ライブラリーのスクリーニング 生産株から有効性が確認されたプライマーペアを使用して、材料および方法の
節に記載の条件下で、スクリーニングを行った。
【0729】 a1−a2プライマーペアの存在下、48または96個のクローンのプールか
ら抽出されたコスミドDNAから得られたPCR産物のサイズは約700bpで
あった。したがって、これは、予想された結果と一致している。
【0730】 得られたバンドの強度は様々であったが、標的DNAの各プールに関しては、
ただ1つの増幅バンドが存在した。
【0731】 これらの条件下、脱複製(dereplication)後の9個の陽性クロ
ーンに対応する8群の標的DNAを検出した。
【0732】 第2プライマーペアb1−b2で行ったスクリーニングは、それほど特異的で
ない増幅結果を与えた。なぜなら、その700bpのバンドと共に多数の付随(
サテライト)バンドが観察されたからである。それにもかかわらず、これらの陽
性クローンから出発する脱複製(dereplication)の後に、14個
の陽性クローンに対応する9群の標的DNAが検出された。配列決定およびスト
レプトマイセス・リビダンス(S.lividans)の形質転換の工程のため
に、該DNAを抽出した。
【0733】 該コスミドの分析 ATに富む部位を認識する酵素DraIでの、PCRにより同定されたコスミ
ドの消化は、23kbより大きな断片を遊離する(図22)。これは、該PCR
法が、高い割合のG+Cを含有する土壌DNAを優先的に標的とすることを示唆
している。この結果は、該コドンの選択に使用したプライマー(これはGCに偏
向(バイアス)している)の縮重によるものである。該インサートは、コスミド
の場合に予想されたとおり、1つの場合(クローンa9B12)を除き23kb
より大きなサイズであり、これは、該コスミドの或るレベルの不安定性を反映し
ているであろう。さらに、選択したすべてのクローンのうち、それらの2つ(G
S.F1およびGS.G11)だけが、同じ制限プロフィールを示し、このこと
は、該ライブラリーにおける低レベルの重複性を示している。
【0734】 選択したコスミドを、PEG 1000の存在下のプロトプラストの形質転換
によりストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces livi
dans)内に導入した。該形質転換効率は、使用したコスミドDNA 1μg
当たり30〜1000形質転換体の範囲である。
【0735】 土壌PKS I遺伝子の配列決定および系統発生的分析 純粋な株に関して開発されたPCR法を、該ライブラリーのコスミドに関して
記載されているとおりに用い、そのようにして24個のクローンを同定した。
【0736】 2つのプール(48個のクローン)および8個の唯一(ユニーク)のクローン
のDNAからの約700bpのPCR産物を、アガロースゲル上での精製の後に
クローニングし、配列決定した。これは11個の配列の同定を可能にした。
【0737】 土壌PKS Iの推定タンパク質配列の、種々の微生物の他のPKS Iに対
するアライメント(図24)は、β−ケトアシルシンテターゼの活性部位のコン
センサス領域に対応する高度に保存された領域の存在を示している。
【0738】 「コドン優先(codon preference)」法(Gribskov
ら,1984;Bibbら,1984)で得られた配列の分析は、単一のリーデ
ィングフレーム内のG+Cに富むコドンの使用における強い偏向(バイアス)の
存在を示した。このリーディングフレームに従い推定されるタンパク質は、公知
I型KSに対して強い類似性を示している(Blastプログラム)。特に、該
土壌からのKSの配列と該エリスロマイシンクラスターのKSの配列との類似性
は約53%である。
【0739】 プールの脱複製(dereplication)および唯一のクローンの同定
の後、このクローンから得られたPCR産物の配列は、該プールのものと同一で
あり、このことは、用いた方法の信頼性を証明している。
【0740】 クローンのPCR産物の配列の分析は、3つの異なるKSI遺伝子の、信頼さ
れうる同定を可能にした。これらの配列の1つ(配列番号34)は、もう1つの
プールの配列に対して98.7%の類似性を有し、このことは、それらが同一酵
素をコードしていることを示している。残りの2つの配列は異なるが、強い相同
性を示す。
【0741】 I型IKSをコードする遺伝子を含有する二次代謝産物の生合成経路の土壌D
NAライブラリーにおけるクローニングおよび同定は、本発明において初めて記
載されるものである。
【0742】 該土壌配列におけるG+Cの高い割合は、それらが、放線菌の場合に類似した
コドン使用頻度を有するゲノムに由来しうることを示唆している。
【0743】 文献から入手されるデータは限られたものであるが、I型PKSをコードする
遺伝子は、該ゲノム内のそれらの物理的体制、サイズおよび各遺伝子内に含有さ
れるモジュール数の点で非常に多様化されていることが公知である。
【0744】 単一のクローンに由来する幾つかのドメインの存在は、それらが不斉(非対称
)ポリケチドクラスターに属することを証明するものである。1つの場合には、
2つのクローンはコンティグーム(contiguum)を形成しているらしい
。なぜなら、それらは、KSドメインの同一配列を共有しているからである。
【0745】 PKSIの合成に関与する遺伝的領域のサイズは、ペニシリンの数kbからパ
ラマイシンの約120kbまでの範囲である。したがって、該コスミドインサー
トのサイズは、ほとんどの複合クラスターの発現には十分でないかもしれない。
【0746】 PKS IIと同様に反復して作用しうる及び芳香族ポリケチドの合成を制御
しうるPKS Iをコードする遺伝子が既に記載されている(Jae−Hyuk
ら,1995)。土壌PKS Iクラスターの研究は、この分野における更なる
新規性を提供しうる。
【0747】 5.ポリケチドシンテターゼをコードする6個の遺伝子の同定 本実施例に記載のプロトコールに従い該コスミドライブラリーのスクリーニン
グを継続したところ、本発明者らは、ポリケチドシンターゼ型のポリペプチドを
コードする幾つかのオープンリーディングフレームを含有する34071bpの
挿入物を含有するコスミドクローンを同定した。
【0748】 より詳しくは、該ライブラリーをスクリーニングすることによりこのようにし
て同定されたコスミドは、ポリケチドシンターゼポリペプチドまたは非常に密接
に関連したポリペプチド、非リボソームシンターゼペプチドをコードする6個の
オープンリーディングフレームを含有する。
【0749】 該コスミドの完全なヌクレオチド配列は、配列表の配列配列番号113を構成
する。配列配列番号113に含有されるDNA挿入物は、種々のポリケチドシン
ターゼをコードするヌクレオチド配列の相補的ヌクレオチド配列(−鎖)を構成
する。
【0750】 ポリケチドシンターゼポリペプチドをコードするオープンリーディングフレー
ム(+鎖)を含む図36のコスミドに含有されるDNA挿入物のヌクレオチド配
列を、図37に図示する。該配列は、配列表の配列配列番号114を構成する。
【0751】 さらに、このコスミドのDNA挿入物に含有される種々のオープンリーディン
グフレームの詳細な地図を図37に示す。
【0752】 このコスミドのDNA挿入物に含有されるオープンリーディングフレームを含
むヌクレオチド配列の特性を、以下に詳しく説明する。
【0753】 ORF1配列 orf1配列は、4615ヌクレオチド長の部分オープンリーディングフレー
ムを含む。この配列は、配列配列番号114のヌクレオチド1位から始まりヌク
レオチド4615位で終わる配列配列番号115を構成する。
【0754】 配列配列番号115は1537アミノ酸のORF1ポリペプチドをコードし、
このポリペプチドは配列配列番号121を構成する。
【0755】 配列配列番号121のポリペプチドは、非リボソームシンターゼペプチドに関
連している。このポリペプチドは、Genbankデータベースにおいてアクセ
ッション番号「emb CACO1604.1」で照会されるアナベナ(Ana
baena)sp.90のシンターゼペプチドに対して37%のアミノ酸同一性
度を有する。
【0756】 ORF2配列 orf2ヌクレオチド配列は8301ヌクレオチド長であり、配列配列番号1
14のヌクレオチド4633位から始まりヌクレオチド12933位で終わる配
列配列番号116を構成する。
【0757】 ORF2配列は2766アミノ酸のORF2ペプチドをコードし、このポリペ
プチドは配列配列番号122を構成する。
【0758】 配列配列番号122のポリペプチドは、Genbankデータベースからアク
セス番号「gb AAF 19812.1」で照合されるスチグマテラ・オーラ
ンチアカ(Stigmatella aurantiaca)のMtaD配列に
対して41%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0759】 ORF2ポリペプチドはポリケチドシンターゼを構成する。
【0760】 ORF3配列 orf3ヌクレオチド配列は5292ヌクレオチド長であり、配列配列番号1
17を構成する。配列配列番号117は、配列配列番号114のヌクレオチド1
2936位から始まりヌクレオチド18227位で終わる配列に対応する。
【0761】 ヌクレオチド配列配列番号117は1763アミノ酸のORF3ポリケチドシ
ンターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは本発明の配列配列番号1
23を構成する。
【0762】 配列配列番号123のORF3ポリペプチドは、Genbankデータベース
からアクセス番号「gb AAF 19810.1」で照合されるスチグマテラ
・オーランチアカ(Stigmatella aurantiaca)のMta
B配列に対して42%のアミノ酸同一性を有する。
【0763】 ORF4配列 orf4ヌクレオチド配列は6462ヌクレオチド長であり、本発明の配列配
列番号118を構成する。
【0764】 ヌクレオチド配列配列番号118は、ヌクレオチド配列配列番号114のヌク
レオチド18224位から始まりヌクレオチド24685位で終わる配列に対応
する。
【0765】 ヌクレオチド配列配列番号118は2153アミノ酸のORF4ポリケチドシ
ンターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは本発明の配列配列番号1
24を構成する。
【0766】 配列配列番号124のORF4ポリペプチドは、Genbankデータベース
からアクセス番号「gb AAF62883.1」で照合されるソランギウム・
セルロスム(Sorangium cellulosum)のepoD配列に対
して46%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0767】 ORF5配列 orf5ヌクレオチド配列は5088ヌクレオチド長であり、本発明の配列配
列番号119を構成する。
【0768】 配列配列番号119は、ヌクレオチド配列配列番号114のヌクレオチド24
682位から始まりヌクレオチド29769位で終わる配列に対応する。
【0769】 ヌクレオチド配列配列番号119は1695アミノ酸のORF5ポリケチドシ
ンターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは本発明の配列配列番号1
25を構成する。
【0770】 配列配列番号125のORF5ポリケチドシンターゼポリペプチドは、Gen
bankデータベースからアクセス番号「gb AAF62883.1」で照合
されるソランギウム・セルロシウム(Sorangium cellulosi
um)のepod配列に対して43%のアミノ酸同一性を有する。
【0771】 ORF6配列 orf6ヌクレオチド配列は4306ヌクレオチド長であり、本発明の配列配
列番号120を構成する。ヌクレオチド配列配列番号120は、配列配列番号1
14のヌクレオチド29766位から始まりヌクレオチド34071位で終わる
配列に対応する。
【0772】 配列配列番号120は、ポリケチドシンターゼ型の1434アミノ酸のORF
6ポリペプチドをコードする部分オープンリーディングフレームを含有し、この
ポリペプチドは本発明の配列配列番号126を構成する。
【0773】 配列配列番号126のポリペプチドは、Genbankデータベースからアク
セス番号「gb AAF62883.1」で照合されるソランギウム・セルロス
ム(Sorangium cellulosum)のepoD配列に対して43
%のアミノ酸同一性を有する。
【0774】 実施例15:ストレプトマイセスにおける組込み型BACタイプのシャトルベ クターの構築 ストレプトマイセスにおける組込み型および接合型BACタイプのシャトルベ クターの構築 15.1 ベクターpMBD−1の構築 以下の工程に従い、ベクターBAC pMBD−1を得た。
【0775】 工程1: ベクターpOSVO10を酵素PsTIおよびBstZ171での消化に付し
て、6.3kbのヌクレオチド断片を得た。
【0776】 工程2: ベクターpDNR−1を酵素PstIおよびPvuIIで消化して、4 41
5kbのヌクレオチド断片を得た。
【0777】 工程3: ベクターpOSV017に由来する6.3kbのヌクレオチド断片を、連結に
より、ベクターpDNR−1に由来する4.15kbの断片と融合させて、ベク
ターpMBD−1を得た(図30に示すとおり)。
【0778】 15.2 ベクターpMBD−2の構築 ベクターpMBD−2は、「φc31 int−Ωhyg」組込みボックスを
含有するBACタイプのベクターである。
【0779】 φc31は、十分に位置決定された付着部位(attP)を有する広い宿主ス
ペクトルのテンペレートファージである。φc31 int断片は、ストレプト
マイセス・リビダンス(Streptomyces Lividans)の染色
体内への該プラスミドの組込みを誘導しうるアクチノファージφc31の最小断
片である。
【0780】 Ωhygは、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス・リビダンス
(S.Lividans)におけるハイグロマイシン耐性を付与しうるΩインタ
ーポゾン(interposon)の誘導体である。
【0781】 φc31組込み系を含有するBACベクターは、Sosioら(2000)お
よび1999年12月29日付け公開のPCT特許出願第99/6734号に記
載されている。
【0782】 以下の工程に従い、ベクターBAC pmBD−2を構築した。
【0783】 工程1:大腸菌(E.coli)マルチコピープラスミドにおけるφc31i
nt Ωhyg組込みボックスの構築 まず、φc31int断片を、以下のプライマーのペアを使用してプラスミド
pOJ436から増幅する。
【0784】 ・プライマーEVφc31I(配列番号109)(これは、該φc31配列の
5’末端内へのEcoRV部位の導入を可能にする)およびプライマーBIIφ
c31F(配列番号110)(これは、該φc31配列の3’末端内へのBgL
II部位の導入を可能にする)。
【0785】 Blondelet−Rouault(1997)に記載のプラスミドpHP
45 Ωhygの、BamHI酵素を使用する消化により、該Ωhyg断片を得
た。
【0786】 次に、φc31 int−Ωhyg組込みボックスを、酵素BglIIおよび
EcoRVで消化されたベクターpMCS5内にクローニングした。
【0787】 工程2:ベクターpMBD−2の構築 Frengenら(1999)に記載の細菌人工染色体pBAce3.6を酵
素NheIで消化し、ついで酵素Ecoポリメラーゼで処理した。
【0788】 次に、ベクターpMCS5 φc31 int−Ωhygを酵素SnaBIお
よびEcoRVで消化して、該組込みボックスを回収した。
【0789】 ベクターpMBD2の詳細な地図を図31に示す。
【0790】 15.3 ベクターpMBD−3の構築 ベクターpMBD−3は、選択マーカーΩhygを含む、BACタイプの組込
み型(φc31 int)および接合型(OriT)ベクターである。
【0791】 ベクターpMBD−3の地図およびその構築方法を、図31に示す。
【0792】 pacI制限部位を含有する配列配列番号111および配列番号112のプラ
イマーのペアを使用して、プラスミドpOJ436から出発してOriT遺伝子
を増幅することにより、ベクターpMBD−3を得た。
【0793】 プライマー配列番号111および配列番号112を使用して増幅されたヌクレ
オチド断片を、PacI酵素で予め消化されたベクターpMBD2内にクローニ
ングした。ベクターpMBD−3の構築に関するスキームを図31に示す。
【0794】 15.4 ベクターpMBD−4の構築 ベクターpMBD−4の詳細な地図を図32に示す。
【0795】 ベクターpMBD−4は、ベクターpCYTAC2内にφc31 int−Ω
hyg組込みボックスをクローニングすることにより得た。
【0796】 15.5 ベクターpMBD−5の構築 ベクターpMBD−5の構築に関するスキームを図33に示す。
【0797】 ベクターpMBD−5は、図33に示すベクターpMBD−1の2つのlox
P部位間に含まれるヌクレオチド断片を、pBTP3と称されるBACベクター
内に含有されるloxP部位で組換えることにより構築した。プラスミドpBT
P3の詳細な地図を図34に示す。
【0798】 15.6 ベクターpMBD−6の構築 ベクターpMBD−1の2つのloxP部位内に含まれるヌクレオチド断片を
BAC pBeloBac11ベクターのloxP部位内に組換えることにより
、ベクターpMBD−6を構築した(図35に記載のとおり)。
【0799】
【表2】
【0800】
【表3】
【0801】
【表4】
【0802】
【表5】
【0803】
【表6】
【0804】
【表7】
【0805】
【表8】
【0806】
【表9】
【0807】 (参考文献)
【0808】
【表10】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1に記載のプロトコール1、2、3n、4a、4b、5aおよ
び5bに従い行う種々の細胞溶解工程のスキームを示す。
【図2】 図2は、種々の細胞溶解処理(プロトコール1〜5、図1を参照されたい)の
後に300mgの土壌番号3(St Andre海岸)から抽出したDNAの0
.8%アガロースゲル上での電気泳動を示す。M:ラムダファージ分子量マーカ
ー。
【図3】 図3は、処理1〜5(図1を参照されたい)の後に培養した放線菌類の種々の
属の比率を示す。cfu(コロニー形成単位)値は、この群の細菌に選択的な培
地上で測定した。合計約400個のコロニーを分析した。
【図4】 図4は、粉砕の前(G)または後(G)に種々の濃度で土壌に加えたHin
dIIIで消化したラムダファージDNAの回収を示す。処理T(熱ショック)
およびS(超音波処理)は追加的な細胞溶解処理である。ドットブロットハイブ
リダイゼーション後のホスホイメージャーでの分析により、該定量を行った。各
土壌のサンプルを、加えたラムダファージの各濃度に使用した。該土壌の特徴を
表1に示す。加えた10〜15μg pf DNAに対応するサンプルは処理し
なかった。
【図5】 図5は、プロトコール1、2、3、5aおよび5bに従い土壌番号3から抽出
したDNAのPCR増幅を示す。常在ストレプトスポランギウム種(Strep
tosporangium spp.)を標的化するために、プライマーFGP
S 122およびFGPS 350(表2)を使用した。該抽出DNAは、未希
釈で又は10倍および100倍の希釈度で使用した。M:123bpの分子量マ
ーカー(Gibco BRL)、C:DNAを含まない増幅対照。
【図6】 図6は、ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)OS48
.3の芽胞または菌糸体を種々の濃度で該土壌に接種した後に抽出されたDNA
の量を示す。該土壌に加えた菌糸体の量は、発芽培地に接種した芽胞の数に対応
する。該芽胞の約50%が発芽し、該発芽芽胞菌糸に含まれる細胞またはゲノム
の数は測定しなかった。したがって、接種した芽胞および菌糸体の量は、直接的
には比較され得ない。該抽出プロトコールは、プロトコール6(材料および方法
の節を参照されたい)に従い行った。記号(’)は、該抽出バッファー内にRN
Aが含まれていたことを示す。該標的DNAはプライマーFGPS 516およ
びFGPS 517でのPCRにより増幅し、該定量は、プローブFGPS 5
18を使用するドットブロットハイブリダイゼーション後のホスホイメージャー
で行った。各土壌のサンプルを菌糸または芽胞の各濃度に使用した。該土壌の特
徴を表1に示す。
【図7−a)】 図7は、該土壌DNAライブラリー内に含まれる16S rDNA配列を培養
参照細菌に対して配置するNeighbour Joiningアルゴリズムで
得られた系統樹を表す。グレーの表示:該ライブラリーのクローンのプールから
得られた配列。 100回の繰返しの再サンプリングの後のブートストラップ値が、集合点に示
されている。目盛り線は、部位当たりの置換の数を示す。Genbankデータ
ベース内の配列のアクセス番号が括弧内に示されている。
【図7−b)】 図7は、該土壌DNAライブラリー内に含まれる16S rDNA配列を培養
参照細菌に対して配置するNeighbour Joiningアルゴリズムで
得られた系統樹を表す。グレーの表示:該ライブラリーのクローンのプールから
得られた配列。 100回の繰返しの再サンプリングの後のブートストラップ値が、集合点に示
されている。目盛り線は、部位当たりの置換の数を示す。Genbankデータ
ベース内の配列のアクセス番号が括弧内に示されている。
【図8】 図8は、ベクターpOSint1のスキームを表す。
【図9】 図9は、ベクターpWED1のスキームを表す。
【図10】 図10は、ベクターpWE15(ATCC番号37503)のスキームを表す
【図11】 図11は、ベクターpOS700Iのスキームを表す。
【図12】 図12は、ベクターpOSV010のスキームを表す。
【図13】 図13は、ベクターpOSV303の構築中にプラスミドpOSV010内に
挿入された「cos」部位を含有する断片を表す。
【図14】 図14は、ベクターpOSV303のスキームを表す。
【図15】 図15は、ベクターpE116のスキームを表す。
【図16】 図16は、ベクターpOS700Rのスキームを表す。
【図17】 図17は、ベクターpOSV001のスキームを表す。
【図18】 図18は、ベクターpOSV002のスキームを表す。
【図19】 図19は、ベクターpOSV014のスキームを表す。
【図20】 図20は、ベクターpBAC11のスキームを表す。
【図21】 図21は、ベクターpOSV403のスキームを表す。
【図22】 図22は、PKS−1オリゴヌクレオチドでスクリーニングしたライブラリー
の陽性クローンを酵素BamHIおよびDraIで消化した後のライブラリーの
DNAの電気泳動ゲルを表す。
【図23】 図23は、エス・アルボニガー(S.alboniger)野生型株の産生と
比較した場合の、ストレプトマイセス・リビダンス(S.lividans)組
換え体によるピューロマイシンの産生を示す。
【図24】 図24は、土壌PKSと他のPKSの保存された活性部位とのアライメントを
示す。各ペプチドに関する表示内容が示されている。該ベータ−ケトアシルシン
ターゼドメインは、GCG PILEUPプログラム(Wisconsin P
ackage Version 9.1,Genetics Computer
Group,Madison,Wisc)を使用して整列(アライン)させた
【図25】 図25は、組込み型接合型コスミドの構築を示す。
【図26】 図26は、組込み型接合型BACの構築を示す。
【図27】 図27は、ベクターpOSV308の構築に関するスキームを示す。
【図28】 図28は、ベクターpOSV306の構築に関するスキームを示す。
【図29】 図29は、ベクターpOSV307に関するスキームを示す。
【図30】 図30は、ベクターPMBD−1の構築に関するスキームを示す。
【図31】 図31は、プラスミドpMBD−2の詳細な地図およびベクターpMBD−3
の構築に関するスキームを示す。
【図32】 図32は、プラスミドpMBD−4の詳細な地図を示す。
【図33】 図33は、プラスミドのpMBD−1からのプラスミドpMBD−5の構築に
関するスキームを示す。
【図34】 図34は、ベクターpBTP−3の詳細な地図を示す。
【図35】 図35は、ベクターpMBD−1からのベクターpMBD−6の構築に関する
スキームを示す。
【図36】 図36は、コスミドa26G1(そのDNA挿入体は、いくつかのポリケチド
シンターゼをコードするオープンリーディングフレームを含有する)の地図を示
す。
【図37】 図37は、いくつかのポリケチドシンターゼをコードする種々のリーディング
フレームが配置されたコスミドa26G1のDNA挿入体(+鎖)を表すスキー
ムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 33/02 A61P 35/00 4C086 35/00 37/06 4C087 37/06 C07K 16/40 4H045 C07K 16/40 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 9/10 9/10 C12P 1/00 Z C12P 1/00 C12Q 1/02 C12Q 1/02 1/68 A 1/68 G01N 33/53 M G01N 33/53 33/566 33/566 33/573 A 33/573 C12R 1:465 //(C12N 1/21 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:465) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シモネ,パスカル フランス国、エフ−69100・ビーユルバン ヌ、リユ・ピエール・ボワイアン、55 (72)発明者 クルトワ,ソフイー フランス国、エフ−94220・シヤラント ン・ル・ポン、リユ・ドウ・パリ、165 (72)発明者 カペラノ,カルムラ フランス国、エフ−94120・フオントネ ー・スー・ボア、リユ・ドウ・ヌイイー、 16 (72)発明者 フランク,フランソワ フランス国、エフ−91120・パレゾー、ブ ルバール・ドウ・ロゼール、76 (72)発明者 レナル,アラン フランス国、エフ−91440・ビユル・シユ ール・イベツト、アべニユー・デ・テイイ ユル、52 (72)発明者 バル,マリア ベネズエラ国、メリダ、メリダ・エスタ ド、アパルタメント・42、ピソ・4、エデ フイシオ・10、レスケマル・カルデナル・ キンテロ、アベニユー・カルデナル・キイ ンテラ (72)発明者 スゾノ,グナデイ フランス国、エフ−75002・パリ、リユ・ サン・ソブール、16 (72)発明者 テユフイル,カリーヌ フランス国、エフ−91400・オルセー、ブ ルバール・ドユブルイーユ、39/41 (72)発明者 フロステガード,アサ ノルウエー国、エヌ−1450・ネソドタンゲ ン、フレテバイ・スコーゴスビイ・7 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA10 BA67 CA03 CA09 CA20 DA06 DA08 DA11 DA12 EA06 FA15 GA16 HA03 HA12 4B050 CC01 CC03 DD01 EE10 LL01 4B063 QA01 QA12 QA18 QQ06 QQ07 QQ13 QQ15 QQ19 QQ20 QQ98 QR56 QR62 QR75 QR76 QR80 QS24 QS25 4B064 AE41 AF54 CA05 CA06 CA19 CC24 DA01 DA02 4B065 AA26X AA50X AA50Y AA58X AA72X AB01 AC14 BA02 CA29 CA34 CA44 4C086 AA01 AA04 FA02 MA02 MA05 NA14 ZB32 ZB35 ZB37 4C087 AA01 AA03 BC01 BC15 BC30 CA11 CA12 CA13 CA22 MA01 NA14 ZB32 ZB35 ZB37 4H045 AA11 AA30 CA11 DA75 EA50 FA71

Claims (81)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物を含有する土壌サンプルからの核酸の集団の製造方法で
    あって、以下の順序の工程、すなわち、 I(a)予備乾燥または予備脱水された土壌サンプルを粉砕することにより微
    粒子を得、ついで該微粒子を液体緩衝媒体に懸濁させる工程、 (b)該微粒子中に存在する核酸を抽出する工程、 (c)該核酸を含有する溶液をモレキュラーシーブ上に通過させ、ついで、
    核酸に富む溶出画分を回収し、核酸に富む溶出画分を陰イオン交換クロマトグラ
    フィー担体上に通過させ、ついで、その精製された核酸を含有する溶出画分を回
    収する工程を含んでなる製造方法。
  2. 【請求項2】 生物を含有する環境サンプルからの核酸の集団の製造方法で
    あって、以下の順序の工程、すなわち、 II(i)該環境サンプルを液体媒体中に分散させることにより懸濁液を得、つ
    いで該懸濁液を穏やかな攪拌によりホモジナイズ(均質化)する工程、 (ii)該生物と、工程(i)で得られた均質懸濁液のその他の無機および/
    または有機構成成分とを、密度勾配上の遠心分離により分離する工程、 (iii)工程(ii)で分離された生物を細胞溶解し、該核酸を抽出する工
    程、 (iv)塩化セシウム勾配上で該核酸を精製する工程を含んでなる製造方法。
  3. 【請求項3】 工程I−(a)の後に、液体バッファーに懸濁させた微粒子
    を超音波処理により処理する追加的工程が続く、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程I−(a)の後に、以下の追加的工程、すなわち、 ・液体バッファーに懸濁させた微粒子を超音波処理により処理する工程、 ・超音波処理後、リゾチームおよびアクロモペプチダーゼの存在下、該懸濁液
    を37℃でインキュベートする工程、 ・SDSを加える工程、 ・該核酸を回収する工程が続く、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 工程I−(a)の後に、以下の追加的工程、すなわち、 ・激しい混合(ボルテックス)の工程およびそれに続く単純な攪拌の工程によ
    り、該微粒子をホモジナイズ(均質化)する工程、 ・該均質懸濁液を凍結させ、ついで融解する工程、 ・融解後、該懸濁液を超音波処理により処理する工程、 ・超音波処理後、リゾチームおよびアクロモペプチダーゼの存在下、該懸濁液
    を37℃でインキュベートする工程、 ・SDSを加える工程が続く、請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該核酸がDNA分子である、請求項1〜5のいずれか1項記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法により得られた
    核酸をクローニングおよび/または発現ベクター内に挿入することを特徴とする
    、組換えベクターの集団の製造方法。
  8. 【請求項8】 クローニングおよび/または発現ベクター内に該核酸を挿入
    する前に、該核酸をそれらのサイズに応じて分離する、請求項7記載の製造方法
  9. 【請求項9】 該クローニングおよび/または発現ベクター内への該核酸の
    挿入の前に、物理的な破壊により該核酸の平均サイズを実質的に均一にする、請
    求項7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 該クローニングおよび/または発現ベクターがファスミド
    型のものである、請求項7記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 該クローニングおよび/または発現ベクターがコスミド型
    のものである、請求項7記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 それが、大腸菌(E.coli)においては複製型であり
    ストレプトマイセス(Streptomyces)においては組込み型であるコ
    スミドである、請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 それがコスミドpOS700Iである、請求項12記載の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 それが、ストレプトマイセス(Streptomyces
    )において接合型および組込み型であるコスミドである、請求項1記載の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 該コスミドが、コスミドpOSV303、pOSV306
    およびpOSV307から選ばれる、請求項14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 それが、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセ
    ス(Streptomyces)の両方において複製型のコスミドである、請求
    項11記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 それがコスミドpOS700Rである、請求項16記載の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 それが、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセ
    ス(Streptomyces)において複製型でありストレプトマイセス(S
    treptomyces)において接合型であるコスミドである、請求項11記
    載の製造方法。
  19. 【請求項19】 該クローニングおよび/または発現ベクターがBACタイ
    プのものである、請求項7記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 それが、ストレプトマイセス(Streptomyces
    )において組込み型および接合型であるBACベクターである、請求項19記載
    の製造方法。
  21. 【請求項21】 該ベクターが、BACベクターpOSV403、pMBD
    −1、pMBD−2、pMBD−3、pMBD−4、pMBD−5およびpMB
    D−6から選ばれる、請求項20記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 組換えクローニングおよび/または発現ベクターの製造方
    法であって、該クローニングおよび/または発現ベクター内に核酸を挿入する工
    程が、 ・適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して、選択されたクローニング部位で
    該クローニングおよび/または発現ベクターを開裂する工程、 ・その開いたベクターの遊離3’末端において第1ホモポリマー核酸を付加す
    る工程、 ・該ベクター内に挿入される集団からの核酸の遊離3’末端において、該第1
    ホモポリマー核酸に相補的な配列を有する第2ホモポリマー核酸を付加する工程
    、 ・互いに相補的な配列の第1および第2ホモポリマー核酸をハイブリダイズさ
    せることにより、該ベクターの核酸と該集団の核酸とを集合させる工程、 ・連結により該ベクターを閉じる工程を含むことを特徴とする製造方法。
  23. 【請求項23】 ・該第1ホモポリマー核酸がポリ(A)またはポリ(T)
    配列のものであり、 ・該第2ホモポリマー核酸がポリ(T)またはポリ(A)配列のものである、
    請求項22記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 挿入される核酸のサイズが少なくとも100キロベース、
    好ましくは、少なくとも200キロベースである、請求項22または23記載の
    組換えベクターの製造方法。
  25. 【請求項25】 挿入される核酸が、請求項1〜6のいずれか1項記載の製
    造方法により得られた核酸の集団に含まれる、請求項22〜24のいずれか1項
    記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 組換えクローニングおよび/または発現ベクターの製造方
    法であって、該クローニングおよび/または発現ベクター内に核酸を挿入する工
    程が、 ・突出3’配列を除去し突出5’配列をフィルインする(埋める)ことにより
    、該集団の核酸の末端上に平滑末端を作製する工程、 ・適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して、選択されたクローニング部位に
    おいて該クローニングおよび/または発現ベクターを開裂する工程、 ・突出3’配列を除去し突出5’配列をフィルインすることにより、該ベクタ
    ー核酸の末端において平滑末端を作製し、ついで5’末端を脱リン酸化する工程
    、 ・相補的オリゴヌクレオチドアダプターを付加する工程、 ・該集団の核酸を該ベクター内に連結により挿入する工程を含むことを特徴と
    する製造方法。
  27. 【請求項27】 挿入される核酸のサイズが少なくとも100キロベース、
    好ましくは、少なくとも200キロベースである、請求項26記載の組換えベク
    ターの製造方法。
  28. 【請求項28】 挿入される核酸が、請求項1〜6のいずれか1項記載の製
    造方法により得られた核酸の集団に含まれる、請求項26または27記載の製造
    方法。
  29. 【請求項29】 該核酸を該クローニングおよび/または発現ベクター内に
    挿入する前に1以上の制限エンドヌクレアーゼで処理することなく、該核酸を、
    得られたままの状態で挿入する、請求項22〜28のいずれか1項記載の製造方
    法。
  30. 【請求項30】 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法により得られ
    た核酸よりなる核酸の集団。
  31. 【請求項31】 請求項30記載の核酸の集団に含まれる核酸。
  32. 【請求項32】 少なくとも1つのオペロンまたはオペロンの一部をコード
    するヌクレオチド配列を含む、請求項31記載の核酸。
  33. 【請求項33】 該オペロンが代謝経路の全部または一部をコードする、請
    求項32記載の核酸。
  34. 【請求項34】 該代謝経路がポリケチド合成経路である、請求項33記載
    の核酸。
  35. 【請求項35】 配列配列番号30〜44および配列番号115〜120を
    含むポリヌクレオチドから選ばれる、請求項34記載の核酸。
  36. 【請求項36】 ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の全部を含む
    、請求項31記載の核酸。
  37. 【請求項37】 原核生物に由来する、請求項31〜36のいずれか1項記
    載の核酸。
  38. 【請求項38】 細菌またはウイルスに由来する、請求項37記載の核酸。
  39. 【請求項39】 真核生物に由来する、請求項31〜33および36のいず
    れか1項記載の核酸。
  40. 【請求項40】 真菌、酵母、植物または動物に由来する、請求項39記載
    の核酸。
  41. 【請求項41】 以下の組換えベクター: a)請求項35〜40のいずれか1項記載の核酸を含むベクター、 b)請求項22〜25および29のいずれか1項記載の製造方法により得られ
    たベクター、 c)請求項26〜29のいずれか1項記載の製造方法により得られたベクター
    から選ばれることを特徴とする組換えベクター。
  42. 【請求項42】 コスミドpOS700Iであることを特徴とするベクター
  43. 【請求項43】 コスミドpOSV303であることを特徴とするベクター
  44. 【請求項44】 コスミドpOSV306であることを特徴とするベクター
  45. 【請求項45】 コスミドpOSV307であることを特徴とするベクター
  46. 【請求項46】 コスミドpOS700Rであることを特徴とするベクター
  47. 【請求項47】 BACベクターpOSV403であることを特徴とするベ
    クター。
  48. 【請求項48】 ベクターpMBD−1であることを特徴とするベクター。
  49. 【請求項49】 ベクターpMBD−2であることを特徴とするベクター。
  50. 【請求項50】 ベクターpMBD−3であることを特徴とするベクター。
  51. 【請求項51】 ベクターpMBD−4であることを特徴とするベクター。
  52. 【請求項52】 ベクターpMBD−5であることを特徴とするベクター。
  53. 【請求項53】 ベクターpMBD−6であることを特徴とするベクター。
  54. 【請求項54】 請求項7〜21、25および28のいずれか1項記載の製
    造方法により得られた組換えベクターの集団。
  55. 【請求項55】 請求項54記載の組換えベクターの集団に含まれることを
    特徴とする組換えクローニングおよび/または発現ベクター。
  56. 【請求項56】 請求項31〜40のいずれか1項記載の核酸または請求項
    55記載の組換えベクターを含んでなる組換え宿主細胞。
  57. 【請求項57】 原核性または真核性細胞である、請求項56記載の組換え
    宿主細胞。
  58. 【請求項58】 細菌である、請求項57記載の組換え宿主細胞。
  59. 【請求項59】 大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(St
    reptomyces)から選ばれる細菌である、請求項58記載の組換え宿主
    細胞。
  60. 【請求項60】 酵母または糸状菌である、請求項58記載の組換え宿主細
    胞。
  61. 【請求項61】 組換え宿主細胞の集団であって、該集団の構成宿主細胞の
    それぞれが、請求項30記載の核酸の集団からの核酸を含むことを特徴とする組
    換え宿主細胞の集団。
  62. 【請求項62】 組換え宿主細胞の集団であって、該集団の構成宿主細胞の
    それぞれが、請求項41または55記載の組換えベクターを含むことを特徴とす
    る組換え宿主細胞の集団。
  63. 【請求項63】 請求項61または62記載の組換え宿主細胞の集団におけ
    る、与えられたヌクレオチド配列の核酸、または与えられたヌクレオチド配列に
    構造的に類似したヌクレオチド配列の核酸を検出するための方法であって、 ・組換え宿主細胞の集団を、その与えられたヌクレオチド配列にハイブリダイ
    ズするプライマーのペア、または与えられたヌクレオチド配列に構造的に類似し
    たヌクレオチド配列にハイブリダイズするプライマーのペアと接触させる工程、 ・少なくとも3つの増幅サイクルを行う工程、 ・増幅された核酸を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
  64. 【請求項64】 請求項61または62記載の組換え宿主細胞の集団におけ
    る、与えられたヌクレオチド配列の核酸、または与えられたヌクレオチド配列に
    構造的に類似したヌクレオチド配列の核酸を検出するための方法であって、 ・組換え宿主細胞の集団を、その与えられたヌクレオチド配列にハイブリダイ
    ズするプローブ、またはその与えられたヌクレオチド配列に構造的に類似したヌ
    クレオチド配列にハイブリダイズするプローブと接触させる工程、 ・該プローブと該集団のベクター内に含まれる核酸との間で形成されうるハイ
    ブリッドを検出する工程を含むことを特徴とする方法。
  65. 【請求項65】 請求項61または62記載の組換え宿主細胞の集団内の1
    以上の組換え宿主細胞による関心のある化合物の産生を同定するための方法であ
    って、 ・該集団の組換え宿主細胞を適当な培地内で培養する工程、 ・培養した1以上の組換え細胞の培養上清または細胞ライセート内の関心のあ
    る化合物を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
  66. 【請求項66】 請求項61または62記載の組換え宿主細胞の集団におい
    て、関心のある化合物を産生する組換え宿主細胞を選択するための方法であって
    、 ・該集団の組換え宿主細胞を適当な培地内で培養する工程、 ・培養した1以上の組換え宿主細胞の培養上清または細胞ライセート内の関心
    のある化合物を検出する工程、 ・関心のある化合物を産生する組換え宿主細胞を選択する工程を含むことを特
    徴とする方法。
  67. 【請求項67】 ・請求項66記載の方法により選択された組換え宿主細胞
    を培養する工程、 ・該組換え宿主細胞により産生された化合物を回収し、適当な場合には精製す
    る工程を含むことを特徴とする、関心のある化合物の製造方法。
  68. 【請求項68】 請求項67記載の製造方法により得られた関心のある化合
    物。
  69. 【請求項69】 ポリケチドである、請求項68記載の化合物。
  70. 【請求項70】 配列配列番号30〜44および配列番号115〜120か
    ら選ばれる配列を含む少なくとも1つのヌクレオチド配列を発現させることによ
    り製造されることを特徴とするポリケチド。
  71. 【請求項71】 請求項69または70記載のポリケチドを含んでなる組成
    物。
  72. 【請求項72】 薬理学的に活性な量の請求項69または70記載のポリケ
    チドと、医薬上許容されるビヒクルとを含んでなる医薬組成物。
  73. 【請求項73】 核酸の集団、特に、環境サンプル、好ましくは土壌サンプ
    ルに由来する核酸の集団に含まれる核酸の多様性を測定するための方法であって
    、 ・試験する核酸の集団の核酸を、細菌16SリボソームDNAのいずれかの配
    列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーのペアと接触させる工程
    、 ・少なくとも3つの増幅サイクルを行う工程、 ・1つのオリゴヌクレオチドプローブまたは複数のオリゴヌクレオチドプロー
    ブ(各プローブは、細菌の界、目、亜綱または属に共通の16SリボソームDN
    Aの配列に特異的にハイブリダイズする)を使用して、該増幅核酸を検出する工
    程、 ・適当な場合には、前記検出工程からの結果を、検量範囲を構成する既知配列
    の核酸に関する該プローブまたは前記の複数のプローブを使用した場合の検出結
    果と比較する工程を含んでなる方法。
  74. 【請求項74】 細菌16SリボソームDNAのいずれかの配列にハイブリ
    ダイズするプライマーのペアがプライマーFGPS 612(配列番号12)お
    よびプライマーFGPS 669(配列番号13)よりなる、請求項73記載の
    方法。
  75. 【請求項75】 細菌16SリボソームDNAのいずれかの配列にハイブリ
    ダイズするプライマーのペアがプライマー63f(配列番号22)およびプライ
    マー1387r(配列番号23)よりなる、請求項73記載の方法。
  76. 【請求項76】 配列配列番号60〜配列番号106に対して少なくとも9
    9%のヌクレオチド同一性を有する配列から選ばれる16S rDNAヌクレオ
    チド配列を含んでなる核酸。
  77. 【請求項77】 ・配列配列番号33〜配列番号44および配列番号30〜
    配列番号32および配列番号115〜配列番号120から選ばれるヌクレオチド
    配列を含むI型ポリケチドシンターゼをコードする核酸を含む組換え宿主細胞を
    製造する工程、 ・適当な培地内で該組換え宿主細胞を培養する工程、 ・該培養上清または該細胞ライセートから該I型ポリケチドシンターゼを回収
    し、適当な場合には精製する工程を含んでなる、I型ポリケチドシンターゼの製
    造方法。
  78. 【請求項78】 配列配列番号45〜59および配列番号121〜配列番号
    126から選ばれるアミノ酸配列を含んでなるポリケチドシンターゼ。
  79. 【請求項79】 請求項78記載のポリケチドシンターゼに対する抗体。
  80. 【請求項80】 サンプル中のI型ポリケチドシンターゼまたはこの酵素の
    ペプチド断片を検出するための方法であって、 a)請求項79記載の抗体を該被検サンプルと接触させる工程、 b)形成された可能性がある抗原/抗体複合体を検出する工程を含んでなる方
    法。
  81. 【請求項81】 a)請求項79記載の抗体、 b)適当な場合には、形成した可能性がある抗原/抗体複合体を検出するのに
    必要な試薬を含んでなる、サンプル中のI型ポリケチドシンターゼを検出するた
    めのキット。
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