JP2003516303A - コンクリート硬化促進剤の調製 - Google Patents

コンクリート硬化促進剤の調製

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Abstract

(57)【要約】 アルカリ無添加の、スプレーコンクリート用硬化促進剤を、硫酸アルミニウムを水に溶かし、かつ任意選択でアミンを含む水に水酸化アルミニウムを溶かし、かつ任意選択で水酸化カルボン酸、リン酸、およびその非アルカリ塩から選択される少なくとも１つの安定剤と、少なくとも１つの消泡剤とを添加して調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、セメント状組成物、およびそれに用いる硬化促進剤、特にスプレー
コンクリート用の硬化促進剤に関する。 コンクリートをノズルからスプレーすることによって基板に塗布すること（一
般に「ショットクリーティング」と呼ばれる）は、確立された技術であり、トン
ネルのライニング加工などに広く用いられている。この場合に、スプレーされた
コンクリートが基板上で迅速に硬化することが重要であるが、これはノズル位置
でコンクリートに硬化促進剤を添加することによって達成される。これらの硬化
促進剤は、従来のコンクリートに用いられるものとはまったく異なるものであり
、アルカリ金属の水酸化物、アルミン酸塩、ケイ酸塩などの材料が従来から使わ
れてきた。
【０００２】 これらの材料は強いアルカリ性を有するために、取り扱いにおける問題があっ
た。また、トンネルのような閉鎖された空間でこのような材料を使用すると、作
業環境が非常に不快なものとなった。近年、このような材料の使用を回避するた
めに、アルミニウム化合物を使用する試みがされており、その典型的な例が欧州
特許第００７６９２７号、０７７５０９７号、および０７４２１７９号、オース
トラリア国特許第７０６９１７号、および欧州特許出願第０８１２８１２号およ
び第０９４６４５１号に開示されている。
【０００３】 硬化促進剤が特によく作用する、スプレーコンクリート用の硬化促進剤を、簡
単な工程で製造することが可能であることがわかっている。したがって本発明は
、スプレーコンクリート用の硬化促進剤を調製する方法であって、本質的に、 （１）硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムを、任意選択で少なくとも１種
のアミンを溶解して含有する水の中に溶かし、透明な溶液を得るステップと、 （２）任意選択で、少なくとも１種の安定剤と、少なくとも１種の消泡剤の内
の少なくとも１方を添加するステップとからなり、 組成成分割合を、最終製品が３重量％〜５重量％の硫酸アルミニウム（Al2O3
として測定）、最大３０重量％までのアモルファス水酸化アルミニウム、最大１
５重量％までのアミン、最大３重量％までの消泡剤、および最大０．０６モル／
ｋｇまでの安定化剤とを含有するようにし、安定化剤が、水酸化カルボン酸、リ
ン酸、リン酸の非アルカリ塩の内から選ばれる、方法を提供する。
【０００４】 本発明は、このような方法で製造されたスプレーコンクリートと併用する硬化
促進剤を、さらに提供する。 使用する硫酸アルミニウムは、市販されている任意の材料でよい。硫酸アルミ
ニウムには、その純度と成分が異なるものがあり、最も一般的なのが「１７％」
と呼ばれるものであり、これは１７％のAl2O3を含有するためである。実際的に
は、本発明による方法のおいて使用すべき１７％硫酸アルミニウムAl2(SO4)3・14
.3H2Oの重量％は、３０％〜６０％の範囲であり、好ましくは４０％〜４８％で
ある。
【０００５】 水酸化アルミニウムは、市販されている任意のアモルファス水酸化アルミニウ
ムでよい。そのような水酸化アルミニウムからはすべて、満足な結果が得られる
が、一般に製造日付が新しいほど、結果が良好であるというのも事実である。さ
らに、水酸化アルミニウムは、その特有の調製方法の結果として、少量のカルボ
ン酸アルミニウムを含んでおり（最大５％まで）、溶解しやすく、好ましい材料
である。このような挙動は、純粋な水酸化アルミニウムに、カルボン酸アルミニ
ウムを添加するだけでは、得られない。非常に少量の水酸化アルミニウムを使用
することもできるが（０．１％未満が可能）、顕著な改善が見られるのは、５％
またはそれ以上である。好ましい重量組成範囲は８〜２５％、好ましくは１５〜
２５％である。
【０００６】 硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、および水は、本発明の方法において
いっしょに使用すると、硬化促進剤に良好な特性を与えるが、その特性は、任意
選択であるが、好ましい３種の成分の、１つまたは複数を用いることによって大
幅に改善される。 これらの成分の第１はアミンである。アミンは、水溶性であることが必要であ
るが、それ以外にはその選択に制約はない。好ましいアミンとしては、ジグリコ
ールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどのアルカノ
ールアミン類があり、特にジエタノールアミンが好ましい。重量で最大１０％ま
でのアミンを使用してもよいが、好ましくは４〜７％である。
【０００７】 第２の好ましい添加成分は、安定剤であり、これは工程の最後に添加すること
ができる。安定剤とは、水酸化アルミニウム／硫酸アルミニウム溶液が、析出ま
たはゲル化するのを防止する材料である。安定剤なしでも、この溶液は硬化促進
剤としては作用するが、安定性、すなわち貯蔵寿命を欠くことが多く、このため
に製造後、短期間に使用しなくてはならず、通常は実用的ではない。複数の安定
剤を使用することも可能であり、かつ許容される。 本発明に使用する安定剤は、水酸化カルボン酸であり、リン酸、およびリン酸
の非アルカリ塩である。水酸化カルボン酸は、当業者に公知の同種の酸から任意
に選択することができる。好ましい酸は、クエン酸であるが、乳酸やアスコルビ
ン酸などの、その他の多くの酸も使用することができる。
【０００８】 「リン酸」は、オルトリン酸（H3PO4）、メタリン酸（（HPO3）x）、およびピ
ロリン酸（H4P2O7）の内の１つの酸を意味する。「非アルカリ塩」は、アルカリ
金属であるナトリウムおよびカリウムを含まない塩を意味する。したがって、例
えばリチウム、カルシウム、およびマグネシウムのリン酸塩を使用することがで
きる。 第３の好ましい添加成分である消泡剤は、当業者に公知のその種の任意の材料
でよい。これらのほとんどは、所有権登録された市販材料であり、その正確な組
成は開示されないが、当業者に公知のそのような材料はいずれも好適である。典
型的な例としては、AGITAN（登録商標）などのシリコーン型、LUMITENN（登録商
標）ELなどの脂肪酸ポリエーテル型がある。
【０００９】 消泡剤は、最大５％までの割合（全組成の固体成分重量）で使用してもよく、
好ましくは０．５％〜３％である。消泡剤の使用によって、新しい水酸化アルミ
ニウムの使用を少なくすることが容易となる。本発明の範囲を制限することなく
、消泡剤が存在すると、水酸化アルミニウムの表面に経時的に蓄積される二酸化
炭素の除去を助けると考えられている。驚くべきことには、消泡剤がシリコーン
を含まず、３％以上には存在しない場合には、消泡剤を含まない同一成分または
シリコーンタイプを含む同一成分と比較して、硬化時間においてかなりの改善が
得られる。
【００１０】 本発明の工程は、標準的な装置によって容易に実施可能であり、当業者であれ
ば、問題なく実施できるであろう。様々な段階の溶液を達成するのには、幾分の
加熱、通常は約５０〜６０℃までの加熱が必要であることが理解されるであろう
。 この工程において、透明な溶液は、任意の便利な方法によって製造することが
できる。硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムを、任意の順序で水に加えるこ
とができる。また、両者をいっしょに水に加えるか、または個々に２つの異なる
量の水に溶解または分散させて、次いで両者を合わせることも可能である。
【００１１】 好ましくは、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを、順番に水に加え
る。好ましくは、硫酸アルミニウムを最初に水に溶解させ、硫酸アルミニウムは
加熱しながら溶解させる。次いでこの溶液に、水酸化アルミニウムを加えて、透
明な溶液が得られる。 あまり好ましくはないが、最初に水酸化アルミニウムを水に加えることも可能
である。水酸化アルミニウムは、水には容易に溶解せず、微細懸濁液を生成する
。この懸濁液に硫酸アルミニウムが加えて、透明な溶液が得られる。
【００１２】 この工程による製品の詳細な性質は、知られていない。それは明らかに初期の
成分の単なる混合物ではなく（製品が透明、またはわずかに濁った溶液であり、
水酸化アルミニウムに典型的な半透明の懸濁液でないことがその証である）、本
発明を制限することなく、オリゴマーまたはポリマーの性質を有すると考えられ
る。 このように調製された硬化促進剤は、ショットクリート用硬化促進剤として使
用するときに、すぐれた結果が得られる。硬化促進剤は、長い貯蔵寿命を有し、
温度変化に抵抗力があり、完全に非アルカリであり、したがって良い作業環境が
得られる。
【００１３】 本発明をさらに、以下の限定されない例によって説明する。例１〜３ 本発明による硬化促進剤の調製 用いた重量比は以下のとおりである。 例１ 例２ 例３ 17%硫酸アルミニウム ４６％ ４８％ ４０％ アモルファス水酸化アルミニウム １８％ １８％ １８％ 水 ３０％ ２８％ ２８％ ジエタノールアミン（９０％溶液） ６％ ６％ ４％
【００１４】 ジエタノールアミンを水に溶かし、次いで硫酸アルミニウムをこの溶液に溶か
す。この工程を、溶液を５０℃〜６０℃に加熱し、撹拌しながら添加することに
よって達成し、撹拌は透明な溶液が得られるまで続ける。この加熱、撹拌した溶
液に、徐々に硫酸アルミニウムを添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌を続け
る。
【００１５】例４ 水分を２８．７％に減少させ、１．３％のクエン酸一水和物を加える以外は、
例１〜３の方法と材料を用いて、硬化促進剤を調製する。これを、水酸化アルミ
ニウムの添加後に加えて、溶液を添加の前に室温まで冷却するる。この結果、透
明な溶液が得られる。
【００１６】例５ モルタル中での硬化促進剤の試験 試験に用いるモルタルは、以下の組成である。 Normo４ポルトランドセメント ４５０部 SIA215-1標準砂 １３５０部 ホスホン酸ベースセメント 水化安定剤（１） ０．３％（セメント重量） ポリカルボキシレートスーパ可塑剤（２） ０．６％（セメント重量） （注） １．DELVO（登録商標）安定剤 ex MBT ２．GLENIUM（登録商標）５１ ex MBT 十分な水を加え、水／セメント比（ｗ／ｃ）を０．４７とする。
【００１７】 モルタルのサンプルに、例１、２および４の硬化促進剤のそれぞれを、セメン
ト重量の７％の割合で添加し、初期および最終硬化時間を、EN196-3のVicat試験
方法によって測定する。さらに、市販のアルカリ無添加の硬化促進剤MEYCO（登
録商標）SA160も試験した。結果は以下のとおりである。 例１ 例２ 例４ 市販硬化促進剤 初期（分） ４ １ ３．５ ３ 最終（分） ８ ５．５ ８．５ ６
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） // Ｃ０４Ｂ 103:14 Ｃ０４Ｂ 103:14 103:50 103:50 (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ， ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｂ Ｚ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ， ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，Ｊ Ｐ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ， ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，Ｒ Ｏ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ， ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 スプレーコンクリート用の硬化促進剤の調製方法であって、
    本質的に、 （ｉ）硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムを、任意選択で少なくとも１種
    のアミンを溶解して含有する水に溶かして、透明な溶液を得るステップと、 （ii）任意選択で、少なくとも１種の安定剤と、少なくとも１種の消泡剤の内
    の少なくとも一方を添加するステップとからなり、 組成成分割合を、最終製品が３重量％〜５重量％の硫酸アルミニウム（Al2O3
    として測定）、最大３０重量％までのアモルファス水酸化アルミニウム、最大１
    ５重量％までのアミン、最大３重量％までの消泡剤、および最大０．０６モル／
    ｋｇまでの安定化剤とを含有するようにし、前記安定化剤が、水酸化カルボン酸
    、リン酸、リン酸の非アルカリ塩の内から選ばれる、前記調製方法。
  2. 【請求項２】 水の中にさらに少なくとも１種の水溶性アミンを含む、請求
    項１に記載の方法。
  3. 【請求項３】 少なくとも１種の安定剤と少なくとも１種の消泡剤の内の、
    少なくとも一方が添加される、請求項１または２に記載の方法。
  4. 【請求項４】 少なくとも１種の安定剤が添加される、請求項３に記載の方
    法。
  5. 【請求項５】 少なくとも１種の消泡剤が添加される、請求項３に記載の方
    法。
  6. 【請求項６】 消泡剤がシリコーンを含まず、該消泡剤が最大３％まで含ま
    れる、請求項５に記載の方法。
  7. 【請求項７】 安定剤が少なくとも１種の水酸化カルボン酸である、請求項
    １〜６のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項８】 透明な溶液が、 （ｉ）硫酸アルミニウムを、任意選択で少なくとも１種のアミンを溶解して含
    有する水の中に溶かすステップと、 （ｉｉ）アモルファス水酸化アルミニウムを、（ｉ）の溶液に、透明な溶液が
    得られるまで溶解するステップとによって調製される、請求項１に記載の方法。
  9. 【請求項９】 透明な溶液に、（ａ）少なくとも１種の消泡剤と、（ｂ）水
    酸化カルボン酸、リン酸、およびリン酸の非アルカリ塩から、好ましくは水酸化
    カルボン酸から選択される、少なくとも１種の安定剤の内の、少なくとも一方が
    添加される、請求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】 請求項１〜９のいずれかに記載の方法によって調製される
    、スプレーコンクリートと併用される硬化促進剤。
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