JP2003343330A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
内燃機関の燃料噴射制御装置Info
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Abstract
料噴射弁とを具備する燃料噴射制御装置において、パイ
ロット燃料噴射と主燃料噴射とを実施する場合に、特
に、燃料噴射弁の噴孔弁体の開弁速度等を変更しなくて
もパイロット燃料噴射の高燃料噴射率及び主燃料噴射の
低燃料噴射率の少なくとも一方を実現可能とする。 【解決手段】 パイロット燃料噴射時(時刻t2)にお
いて燃料噴射弁に正圧波が伝播するか又は主燃料噴射時
(時刻t6)において燃料噴射弁に負圧波が伝播するよ
うに、燃料を噴射することなく燃料噴射弁内の燃料を消
費して負圧波を発生させる(時刻t1)。
Description
制御装置に関する。
料を供給するために、複数気筒共通の蓄圧室を設け、こ
の蓄圧室内で加圧された燃料を各気筒に配置された燃料
噴射弁により噴射する燃料噴射制御装置が公知である。
が開放されると燃料噴射が開始され、弁体により噴孔が
閉鎖されると燃料噴射が停止される。こうして燃料噴射
が実施されると、燃料噴射弁内の燃料圧力が低下し、こ
の圧力低下は負圧波として蓄圧室へ伝播される。蓄圧室
へ伝播した負圧波は、蓄圧室を開放端として反射するた
めに、正圧波となって燃料噴射弁へ伝播される。燃料噴
射弁へ伝播された正圧波は、燃料噴射弁を閉鎖端として
反射するために、正圧波のまま蓄圧室へ伝播される。次
いで、蓄圧室へ伝播した正圧波は、蓄圧室を開放端とし
て反射し、負圧波となって燃料噴射弁へ伝播される。燃
料噴射弁へ伝播された負圧波は、燃料噴射弁を閉鎖端と
して反射し、負圧波のまま蓄圧室へ伝播される。このよ
うな圧力波の伝播は、圧力波が減衰によって消滅するま
で繰り返されることとなる。
のような蓄圧室への圧力波の伝播間隔に基づき燃料の圧
力伝播速度を算出し、次いで、この圧力伝播速度から現
在の燃料における正確な体積弾性率を算出することによ
り、この体積弾性率を使用して蓄圧室を所望燃料圧力に
維持するために高圧ポンプから蓄圧室へ供給すべき燃料
量の制御を実施することが開示されている。
において、主燃料噴射に先立ってパイロット燃料噴射を
実施することがある。パイロット燃料噴射は、燃焼室内
全体に広範囲に燃料を分散させて燃料を着火させるため
に、燃料噴射率を高くすることが望まれ、また、主燃料
噴射は、燃料噴射開始と同時に燃料が着火燃焼して大き
な騒音を発生しないように、燃料噴射率を低くすること
が望まれている。しかしながら、前述の従来技術のよう
に、蓄圧室を所望燃料圧力に維持しただけでは、このよ
うなパイロット燃料噴射及び主燃料噴射において望まし
い燃料噴射率を実現することはできない。
により蓄圧室へ接続された燃料噴射弁とを具備する燃料
噴射制御装置において、パイロット燃料噴射と主燃料噴
射とを実施する場合に、特に、燃料噴射弁の噴孔弁体の
開弁速度等を変更しなくてもパイロット燃料噴射の高燃
料噴射率及び主燃料噴射の低燃料噴射率の少なくとも一
方を実現可能とすることである。
記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、蓄圧室と、配管
により前記蓄圧室へ接続された燃料噴射弁とを具備し、
パイロット燃料噴射及び主燃料噴射を実施する場合に
は、前記パイロット燃料噴射時において前記燃料噴射弁
に正圧波が伝播するか又は前記主燃料噴射時において前
記燃料噴射弁に負圧波が伝播するように、燃料を噴射す
ることなく前記燃料噴射弁内の燃料を消費して負圧波を
発生させることを特徴とする。
機関の燃料噴射制御装置は、請求項1に記載の内燃機関
の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射弁内の燃料
を消費して発生させた前記負圧波は、圧力波として前記
燃料噴射弁と前記蓄圧室との間を奇数回往復した時に正
圧波として前記燃料噴射弁に伝播されて前記パイロット
燃料噴射が実施され、前記パイロット燃料噴射により発
生した負圧波が、圧力波として前記燃料噴射弁と前記蓄
圧室との間を偶数回往復した時に負圧波として前記燃料
噴射弁に伝播されて前記主燃料噴射が実施されることを
特徴とする。
機関の燃料噴射制御装置は、請求項1に記載の内燃機関
の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射弁と前記蓄
圧室との間には、前記燃料噴射弁から前記蓄圧室へ向け
て伝播する圧力波を、正圧波及び負圧波のいずれとして
も反射させることを可能とすると共に通過させることを
可能とする可変オリフィスが設けられ、前記燃料噴射弁
内の燃料を消費して発生させた前記負圧波は、前記可変
オリフィスによって正圧波として反射されて前記燃料噴
射弁へ伝播して前記パイロット燃料噴射が実施され、前
記パイロット燃料噴射により発生した負圧波は、最終的
に前記可変オリフィス又は前記蓄圧室により負圧波とし
て反射されて前記燃料噴射弁へ伝播して前記主燃料噴射
が実施されることを特徴とする。
機関の燃料噴射制御装置は、請求項2に記載の内燃機関
の燃料噴射制御装置において、高い目標高燃料圧力を有
する第一蓄圧室と前記第一蓄圧室より低い目標高燃料圧
力を有する第二蓄圧室との二つの前記蓄圧室が設けら
れ、前記配管は、切換手段を有して前記燃料噴射弁を前
記第一蓄圧室と前記第二蓄圧室とのいずれかに接続させ
るものであり、前記配管を介しての前記燃料噴射弁と前
記第一蓄圧室との間の経路長は、前記配管を介しての前
記燃料噴射弁と前記第二蓄圧室との間の経路長より長く
され、前記切換手段によって前記燃料噴射弁が前記第一
蓄圧室に接続されて前記圧力波が前記燃料噴射弁と前記
第一蓄圧室との間を一往復する時間と、前記切換手段に
よって前記燃料噴射弁が前記第二蓄圧室に接続されて前
記圧力波が前記燃料噴射弁と前記第二蓄圧室との間を一
往復する時間とが等しくされ、前記第一蓄圧室及び前記
第二蓄圧室のいずれを使用して前記パイロット燃料噴射
及び前記主燃料噴射を実施しても前記パイロット燃料噴
射と前記主燃料噴射との時間間隔を等しくすることを特
徴とする。
装置を示す概略図である。1は気筒毎に配置された燃料
噴射弁であり、2は蓄圧室である。各燃料噴射弁1と蓄
圧室2とは配管3によって接続されている。各燃料噴射
弁1は、例えば、ディーゼルエンジン又は筒内噴射式火
花点火内燃機関の気筒内へ直接的に燃料を噴射するため
に、各気筒共通の蓄圧室2において加圧された高圧燃料
を噴射するものである。もちろん、燃料噴射弁1は気筒
内以外の例えば吸気ポートへ燃料を噴射するのにも使用
可能である。
圧力に維持するための高圧ポンプ(図示せず)が接続さ
れている。高圧ポンプは、一般的に、機関駆動式であ
り、例えば、二つの燃料噴射弁が燃料噴射を完了する毎
に、それにより消費された燃料量を蓄圧室2へ圧送する
ようになっている。また、蓄圧室2には、蓄圧室2内の
燃料圧力を検出するための圧力センサ4が配置されてい
る。5は蓄圧室2内の燃料温度を検出するための温度セ
ンサである。
可能な噴孔弁体11を具備し、噴孔弁体11の先端部が
噴孔12を開閉するようになっている。噴孔弁体11の
先端側には噴孔12に連通する先端側空間13内の燃料
圧力が作用し、噴孔弁体11の基端側には基端側空間1
4内の燃料圧力が作用するようになっている。また、燃
料噴射弁1内には高圧燃料通路15が形成され、この高
圧燃料通路15は、基端側空間14とオリフィス16を
介して連通しており、先端側空間13とはオリフィスを
介することなく連通している。前述した蓄圧室2へ通じ
る配管3は、基端側空間14の近傍において高圧燃料通
路15へ接続されている。
弁方向に付勢する閉弁スプリング17が配置されてい
る。また、基端側空間14の近傍には、制御弁体18が
位置する制御弁体室19が設けられ、制御弁体室19
は、低圧燃料通路20を介して燃料タンクへ通じてい
る。制御弁体室19と基端側空間14とは、オリフィス
21を有する連通路22を介して連通しており、制御弁
体18は、アクチュエータ(図示せず)によって、この
連通路22を開閉可能に制御される。
れれば、基端側空間14内は、高圧燃料通路15からオ
リフィス16を介して供給される高圧燃料によって、高
圧燃料通路15と同じ高燃料圧力となる。この時、開弁
方向の受圧面積(基端側空間14の対向面積)と閉弁方
向の受圧面積(先端側空間13の対向面積)とは、それ
ぞれA1(斜視として一点鎖線で示す)であり互いに等
しく、また、先端側空間13の燃料圧力は高圧燃料通路
15と同じ高燃料圧力であるために、基端側空間14の
燃料圧力によって噴孔弁体11に作用する閉弁方向の押
圧力と、先端側空間13の燃料圧力によって噴孔弁体1
1に作用する開弁方向の押圧力とは等しくなって互いに
相殺され、噴孔弁体11は閉弁スプリング17による閉
弁方向の押圧力によっては閉弁される。
噴孔弁体11のシート部より先端側には、先端側空間1
3の燃料圧力が作用せず、噴孔弁体11の先端側の受圧
面積、すなわち、開弁方向の受圧面積がA1からドーナ
ツ状のA2(斜視として一点鎖線で示す)へ減少する。
これに対して、噴孔弁体11の基端側における閉弁方向
の受圧面積は依然としてA1であり、先端側空間13及
び基端側空間14における燃料圧力Pは等しいが、噴孔
弁体11には(A1−A2)P=P1だけ大きな閉弁方
向の押圧力が作用し、さらに閉弁スプリング17による
閉弁方向の押圧力P2を加えて確実な閉弁が保証され
る。
れれば、基端側空間14内の高圧燃料は、オリフィス2
1を有する連通路22を介して制御弁体室19へ流出し
て消費され、制御弁体室19から低圧燃料通路20を介
して燃料タンクへ戻される。こうして、基端側空間14
内の燃料圧力が低下してP’=(A2・P−P2)/A
1となると、噴孔弁体11に作用する閉弁方向の押圧力
PC(A1・P’+P2)と開弁方向の押圧力PO(A
2・P)が等しくなり、さらに僅かに燃料圧力が低下す
れば、開弁方向の押圧力が閉弁方向の押圧力に勝って噴
孔弁体11は開弁され、噴孔12を介して先端側空間1
3内の高圧燃料が噴射される。
受圧面積は閉弁方向の受圧面積と等しくなり、制御弁体
18によって連通路22が閉鎖されて基端側空間14内
の燃料圧力が先端側空間13内の高燃料圧力と等しくな
ると、噴孔弁体11は閉弁されて燃料噴射が停止され
る。こうして、基端側空間14は、制御弁体18によっ
て開閉されて燃料流出が制御されることにより、燃料圧
力の低下に伴って噴孔弁体11を開弁させ、また、燃料
圧力の増加に伴って噴孔弁体11を閉弁させる制御室と
して機能する。
される燃料噴射制御における制御弁体18の開閉と燃料
噴射弁の先端側空間13内における燃料圧力の変化とを
示すタイムチャートである。燃料圧力Pは、蓄圧室2内
の高燃料圧力に相当する当初の先端側空間13内の燃料
圧力である。先ず、制御弁体18は、時刻t0’におい
て開弁指令によって開弁され、基端側空間14内の燃料
が制御弁体室18を介して低圧燃料通路20への流出を
開始する。次いで、時刻t1’において閉弁指令によっ
て閉弁され、基端側空間14からの燃料の流出は停止さ
れる。
4の燃料圧力は低下する。但し、この時の制御弁体18
の開弁はt0’からt1’の短時間とされ、基端側空間
14内の燃料圧力は、前述したP’=(A2・P−P
2)/A1より低下することはなく、噴孔弁体11が開
弁して燃料が噴射されることはないようにされている。
しかしながら、こうして基端側空間14内の燃料圧力を
低下させると、オリフィス16を介して基端側空間14
内へ高圧燃料が供給されるために、高圧燃料通路15及
び先端側空間13内の燃料圧力は、時刻t0から時刻t
1の間において低下することとなる。
13には負圧波が発生し、この負圧波は蓄圧室2へ向け
て伝播する。蓄圧室2へ到達した負圧波は、開放端とな
る蓄圧室2により正圧波として反射されて燃料噴射弁へ
向けて伝播し、減衰によって多少小さくなるものの時刻
t2において点線で示すように燃料噴射弁内の先端側空
間13の燃料圧力を高めることとなる。
めに、この時刻t2において噴孔弁体11が開弁して燃
料噴射が開始され、時刻t3において噴孔弁体11が閉
弁して燃料噴射が終了し、それにより所望量の燃料が噴
射されるように、時刻t2’において制御弁体18を開
弁し、時刻t3’において制御弁体18を閉弁するよう
にしている。こうして実施されるパイロット燃料噴射
は、燃料噴射に実際に影響する先端側空間13内の燃料
圧力が正圧波によって高められているために、高い燃料
噴射率が実現され、燃焼室全体に広範囲に燃料を分散さ
せることができ、後の主燃料噴射によって燃焼を開始さ
せる時に、燃焼室全体で燃料を着火させることができ
る。
間13内の燃料圧力は実際には実線で示すように低下
し、時刻t3において噴孔弁体11が閉弁してパイロッ
ト燃料噴射が終了すると、先端側空間13内に負圧波が
発生して、この負圧波は蓄圧室2へ向けて伝播する。蓄
圧室2へ到達した負圧波は、開放端となる蓄圧室2によ
り正圧波として反射されて燃料噴射弁へ向けて伝播し、
減衰によって多少小さくなるものの時刻t4から時刻t
5の間において実線で示すように燃料噴射弁内の先端側
空間13の燃料圧力を高める。
なるために、時刻t5において正圧波のまま蓄圧室2へ
向けて伝播する。蓄圧室2へ到達した正圧波は、開放端
となる蓄圧室2により負圧波として反射されて燃料噴射
弁へ向けて伝播し、減衰によって多少小さくなるものの
時刻t6において点線で示すように燃料噴射弁内の先端
側空間13内の燃料圧力を低下させる。
の時刻t6噴孔弁体11が開弁して燃料噴射が開始さ
れ、時刻t7において噴孔弁体11が閉弁して燃料噴射
が終了し、それにより所望量の燃料が噴射されるよう
に、時刻t6’において制御弁体18を開弁し、時刻t
7’において制御弁体18を閉弁するようにしている。
こうして実施される主燃料噴射は、燃料噴射に実際に影
響する先端側空間13内の燃料圧力が負圧波によって低
くされているために、燃料噴射率を低くすることがで
き、燃料噴射開始と同時に多量の燃料が着火燃焼して大
きな騒音を発生することを防止することができる。
は、燃料噴射弁の先端側空間13内の燃料圧力が到来す
る正圧波によって高められる時刻t2及び先端側空間1
3内の燃料圧力が到来する負圧波によって低くされる時
刻t6を把握しなければならない。実際的には、主燃料
噴射の開始時期である時刻t6がピストン位置等により
規制されるために、時刻t6から時刻t2及び時刻t0
等を逆算することとなる。
3から時刻t4までの時間、及び時刻t5から時刻t6
までの時間は、いずれも、圧力波が燃料噴射弁内の先端
側空間13と蓄圧室2との間を往復する時間Tである。
この時間Tは、燃料中を圧力が伝播する速度、すなわ
ち、圧力伝播速度Vに基づき算出可能である。すなわ
ち、燃料噴射弁1の先端側空間13から蓄圧室2までの
距離は、図1に示すように、L1+L2であるために、
この時間Tは、2(L1+L2)/Vによって算出する
ことができる。圧力伝播速度は、燃料の温度、圧力、及
び、燃料の性状によって変化するために、これらに基づ
いて決定することが好ましい。
は、噴孔弁体11を開弁させるパイロット燃料噴射期間
であり、このパイロット燃料噴射により発生した負圧波
によってもたらされる正圧波が先端側空間13内に到達
して反射されるまでの時刻t4から時刻t5までの時間
は、パイロット燃料噴射期間と等しい。こうして、主燃
料噴射を開始する時刻t6から逆算して、パイロット燃
料噴射を開始する時刻t2を決定することができる。
側空間13内の燃料圧力を高めるための正圧波をもたら
すために、先端側空間13において負圧波を発生させる
時刻t1は、パイロット燃料噴射を開始する時刻t2よ
り圧力波が往復する時間Tだけ前の時刻となる。このよ
うな先端側空間内の燃料圧力を実現するためには、実際
的には、制御弁体18の開閉を制御することとなる。制
御弁体11を開弁させた時刻t0’から実際に先端側空
間13内の燃料圧力が低下を開始する時刻t0までの時
間、制御弁体11を閉弁させた時刻t1’から実際に先
端側空間13内に負圧波が発生する時刻t1までの時
間、制御弁体11を開弁させた時刻t2’から実際にパ
イロット燃料噴射が開始する時刻t2までの時間、制御
弁体11を閉弁させた時刻t3’から実際にパイロット
燃料噴射が終了する時刻t3までの時間、制御弁体11
を開弁させた時刻t6’から実際に主燃料噴射が開始す
る時刻t6までの時間、及び、制御弁体11を閉弁させ
た時刻t7’から実際に主燃料噴射が終了する時刻t7
までの時間のような各応答遅れ時間は、先端側空間13
内の燃料圧力及び蓄圧室2内の燃料圧力等を考慮して、
それぞれに設定されることとなる。
ることなく先端側空間13内で負圧波を発生させる圧力
低下期間(t0からt1)、パイロット燃料噴射期間
(t2からt3)、及び、パイロット燃料噴射で発生し
た負圧波の反射波による先端側空間13内の圧力上昇期
間(t4からt5)は、圧力波が燃料噴射弁と蓄圧室と
を往復する時間Tに比較して非常に短いために、制御を
簡単にするために、これらを無視するようにしても良
い。すなわち、最初の圧力低下開始t0から時間T後に
は正圧波が燃料噴射弁に到達するとしてパイロット燃料
噴射を開始し、パイロット燃料噴射開始から時間Tの二
倍の時間後には負圧波が燃料噴射弁に到達しているとし
て主燃料噴射を開始するように制御しても良い。
することなく先端側空間13内の燃料圧力を低下させて
発生させた負圧波が正圧波として燃料噴射弁に伝播する
時にパイロット燃料噴射を実施して、発生させた負圧波
をパイロット燃料噴射に利用するようにしたが、例え
ば、主燃料噴射のために、燃料を噴射することなく先端
側空間13内の燃料圧力を低下させて発生させた負圧波
が負圧波として燃料噴射弁に伝播する時に主燃料噴射を
実施して、発生させた負圧波を主燃料噴射に利用するよ
うにしても良い。
気筒内へ噴射することが必要となる時には、一回のパイ
ロット燃料噴射では十分に主燃料噴射量を減少させるこ
とができず、主燃料噴射開始時に多量の燃料が噴射され
ることとなって、それが一度に着火燃焼するために、十
分に騒音を低減することができないことがある。それに
より、パイロット燃料噴射を複数回実施して、主燃料噴
射量を十分に減少させることが提案されている。
実施する場合において、いずれのパイロット燃料噴射
も、燃料を燃焼室内に広く分散させるために高燃料噴射
率とすることが好ましい。それにより、図2において、
一回目のパイロット燃料噴射を実施した後に、それによ
り発生した負圧波が正圧波として反射して燃料噴射弁の
先端側空間13内の燃料圧力を高めた時、すなわち、時
刻t4において二回目のパイロット燃料噴射を実施すれ
ば良い。こうして、二回目のパイロット燃料噴射を実施
すると、先端側空間13内には負圧波が発生し、この負
圧波が、燃料噴射弁と蓄圧室との間を二往復すると、前
述同様に先端側空間13には負圧波が伝播することとな
り、この時に主燃料噴射を開始すれば良い。
料噴射弁と蓄圧室との間を往復するために、主燃料噴射
の開始時期を基準として、パイロット燃料噴射の開始時
期が、圧力波の往復時間、すなわち、配管長に応じて必
然的に定められている。もちろん、燃料を噴射すること
なく負圧波を発生させた時(t1)からパイロット燃料
噴射を開始する時(t2)までには、圧力波を一往復さ
せることに限定されず奇数回往復させても良く、それに
より、負圧波を発生させる時又はパイロット燃料噴射を
開始する時を変化させることはできるが、往復させる回
数が増えるほど圧力波は減衰することとなり、パイロッ
ト燃料噴射の噴射率を高めるには不利となる。また、パ
イロット燃料噴射から主燃料噴射を実施するまでには、
圧力波を二往復させることに限定されず偶数回往復させ
ても良く、それにより、パイロット燃料噴射を開始する
時又は主燃料噴射を開始する時を変化させることはでき
るが、往復させる回数が増えるほど圧力波は減衰するこ
ととなり、主燃料噴射の噴射率を低くするには不利とな
る。
施形態を示している。前述した実施形態と本実施形態と
の違いは、各燃料噴射弁1と蓄圧室2とを連通する各配
管3には、可変オリフィス30が配置されていることで
ある。
の内径を配管3の内径よりかなり小さく又はかなり大き
くすることを可能とするものである。燃料流路の内径を
配管3の内径よりかなり小さくすれば、燃料噴射弁1か
ら蓄圧室2へ向かい伝播する圧力波は、可変オリフィス
30が閉鎖端となるために、可変オリフィス30により
同じ圧力波として燃料噴射弁1へ反射する。また、燃料
流路の内径を配管30の内径よりかなり大きくすれば、
燃料噴射弁1から蓄圧室2へ向かい伝播する圧力波は、
可変オリフィス30が開放端となるために、可変オリフ
ィス30により反対の圧力波として燃料噴射弁1へ反射
する。すなわち、負圧波は正圧波として、正圧波は負圧
波として反射させることができる。また、可変オリフィ
ス30は、燃料流路の内径を配管3の内径と等しくする
ことも可能であり、それにより、燃料噴射弁1から蓄圧
室2へ向かい伝播する圧力波は、可変オリフィス30を
単に通過する。
オリフィス30によって圧力波を同じ圧力波として又は
反対の圧力波として反射させて燃料噴射弁へ伝播させる
ことができ、また、通過させて蓄圧室により反対の圧力
波として反射させて燃料噴射弁へ伝播させることもでき
る。それにより、燃料を噴射することなく最初に負圧波
を発生させてからパイロット燃料噴射を実施するまでの
間隔、パイロット燃料噴射と主燃料噴射との間の間隔、
及び、二つのパイロット燃料噴射を実施する間の間隔等
を機関運転状態に応じて変化させることができる。
射までの時間間隔を短くしたければ、可変オリフィス3
0を開放端として圧力波を反射させれば、圧力波が燃料
噴射弁へ往復する距離が短くなるために、圧力波が負圧
波として燃料噴射弁へ伝播される時間を短くすることが
できる。また、この間隔をさらに短くしたければ、可変
オリフィス30を閉鎖端として、パイロット燃料噴射に
より発生した負圧波を同じ負圧波として燃料噴射弁へ反
射させて主燃料噴射を実施するようにしても良い。二回
のパイロット燃料噴射が実施される場合には、これらの
間の時間間隔も同様な考え方に基づき短くすることがで
きる。
つの実施形態を示している。本実施形態において、各燃
料噴射弁1には、高い目標高燃料圧力を有する第一蓄圧
室2と第一蓄圧室より低い目標高燃料圧力を有する第二
蓄圧室2’とが接続されて、二種類の圧力の燃料が噴射
可能とされている。第一蓄圧室2は第一配管3を介して
燃料噴射弁1へ接続され、第二蓄圧室2’は第二配管
3’を介して燃料噴射弁1へ接続されている。40は、
燃料噴射弁1へいずれかの蓄圧室2又は2’を接続させ
るための切換弁である。
先端側空間内で負圧波を発生させてからパイロット燃料
噴射を実施するまでの時間間隔、パイロット燃料噴射か
ら主燃料噴射までの時間間隔、及び、二回のパイロット
燃料噴射を実施する場合においてこれらの間の時間間隔
等は、いずれの圧力の燃料を噴射する際にも変化させな
いようにしている。圧力波の圧力伝播速度は、燃料の圧
力が高いほど速くなるために、切換弁40を介しての第
一蓄圧室2から燃料噴射弁1までの配管長さL3を長く
し、切換弁40を介しての第二蓄圧室2’から燃料噴射
弁1までの配管長さL4を短くし、いずれの圧力の燃料
が噴射される際にも、圧力が燃料噴射弁と対応する蓄圧
室とを往復する時間を同じにしている。
料噴射制御装置によれば、パイロット燃料噴射及び主燃
料噴射を実施する場合には、パイロット燃料噴射時にお
いて燃料噴射弁に正圧波が伝播するか又は主燃料噴射時
において燃料噴射弁に負圧波が伝播するように、燃料を
噴射することなく前記燃料噴射弁内の燃料を消費して負
圧波を発生させるようになっている。それにより、特
に、燃料噴射弁の噴孔弁体の開弁速度等を変更しなくて
も、伝播した正圧波によって燃料噴射弁内の燃料圧力が
高められパイロット燃料噴射時には高燃料噴射率を実現
することができ、又は、伝播した負圧波によって燃料噴
射弁内の燃料圧力が低くされ主燃料噴射時には低燃料噴
射率を実現することができる。
る。
おける燃料圧力の変化とを示すタイムチャートである。
す概略図である。
置を示す概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 蓄圧室と、配管により前記蓄圧室へ接続
された燃料噴射弁とを具備し、パイロット燃料噴射及び
主燃料噴射を実施する場合には、前記パイロット燃料噴
射時において前記燃料噴射弁に正圧波が伝播するか又は
前記主燃料噴射時において前記燃料噴射弁に負圧波が伝
播するように、燃料を噴射することなく前記燃料噴射弁
内の燃料を消費して負圧波を発生させることを特徴とす
る内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 【請求項2】 前記燃料噴射弁内の燃料を消費して発生
させた前記負圧波は、圧力波として前記燃料噴射弁と前
記蓄圧室との間を奇数回往復した時に正圧波として前記
燃料噴射弁に伝播されて前記パイロット燃料噴射が実施
され、前記パイロット燃料噴射により発生した負圧波
が、圧力波として前記燃料噴射弁と前記蓄圧室との間を
偶数回往復した時に負圧波として前記燃料噴射弁に伝播
されて前記主燃料噴射が実施されることを特徴とする請
求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 【請求項3】 前記燃料噴射弁と前記蓄圧室との間に
は、前記燃料噴射弁から前記蓄圧室へ向けて伝播する圧
力波を、正圧波及び負圧波のいずれとしても反射させる
ことを可能とすると共に通過させることを可能とする可
変オリフィスが設けられ、前記燃料噴射弁内の燃料を消
費して発生させた前記負圧波は、前記可変オリフィスに
よって正圧波として反射されて前記燃料噴射弁へ伝播し
て前記パイロット燃料噴射が実施され、前記パイロット
燃料噴射により発生した負圧波は、最終的に前記可変オ
リフィス又は前記蓄圧室により負圧波として反射されて
前記燃料噴射弁へ伝播して前記主燃料噴射が実施される
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射
制御装置。 - 【請求項4】 高い目標高燃料圧力を有する第一蓄圧室
と前記第一蓄圧室より低い目標高燃料圧力を有する第二
蓄圧室との二つの前記蓄圧室が設けられ、前記配管は、
切換手段を有して前記燃料噴射弁を前記第一蓄圧室と前
記第二蓄圧室とのいずれかに接続させるものであり、前
記配管を介しての前記燃料噴射弁と前記第一蓄圧室との
間の経路長は、前記配管を介しての前記燃料噴射弁と前
記第二蓄圧室との間の経路長より長くされ、前記切換手
段によって前記燃料噴射弁が前記第一蓄圧室に接続され
て前記圧力波が前記燃料噴射弁と前記第一蓄圧室との間
を一往復する時間と、前記切換手段によって前記燃料噴
射弁が前記第二蓄圧室に接続されて前記圧力波が前記燃
料噴射弁と前記第二蓄圧室との間を一往復する時間とが
等しくされ、前記第一蓄圧室及び前記第二蓄圧室のいず
れを使用して前記パイロット燃料噴射及び前記主燃料噴
射を実施しても前記パイロット燃料噴射と前記主燃料噴
射との時間間隔を等しくすることを特徴とする請求項2
に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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