本発明は、内燃機関の燃料供給装置に関し、さらに詳しくは内燃機関に燃料を供給する第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構に燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置に関するものである。
乗用車、トラックなどの車両に搭載されるガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関に燃料を供給する方法としては、内燃機関の気筒内に直接燃料を噴射する気筒内噴射と、内燃機関の気筒内に空気を供給する吸気通路に燃料を噴射する吸気通路内噴射と、上記の2つの方法を合わせる、つまり内燃機関の運転状態に応じて気筒内噴射と吸気通路内噴射を切り替える気筒内/吸気通路内噴射とがある。
上記の内燃機関の運転状態に応じて気筒内/吸気通路内噴射を行う内燃機関の燃料噴射装置としては、例えば特許文献1に示すものがある。この内燃機関の燃料噴射装置は、燃料供給装置と、吸気通路内噴射を行う吸気通路内用インジェクタ(機関吸気通路噴射用燃料噴射弁)を有する第1燃料噴射機構と、気筒内噴射を行う気筒内用インジェクタ(筒内噴射用燃料噴射弁)を有する第2燃料噴射機構とを備える。燃料供給装置は、燃料タンク内の燃料を低圧ポンプにより加圧し第1燃料噴射機構に供給する第1燃料供給系と、低圧ポンプで加圧された燃料を高圧ポンプによりさらに加圧し第2燃料噴射機構に供給する第2燃料供給系とを備える。この内燃機関の燃料噴射装置は、燃料供給量(燃料噴射量)およびアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)などに基づいて作成されたマップにより第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の噴射を制御する。具体的には、上記マップは、第1燃料噴射機構のみによる噴射領域、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方による噴射領域、第2燃料噴射機構のみによる噴射領域に区画されており、制御手段は内燃機関の運転状態により、第1燃料噴射機構および/または第2燃料噴射機構の噴射を制御する。
ところで、従来の内燃機関の燃料噴射装置は、上述のように第2燃料噴射機構に高圧の燃料を供給する高圧ポンプが備えられている。この高圧ポンプは、内燃機関のクランクシャフトの回転によりカムが駆動し、高圧ポンプのプランジャを往復運動させて低圧ポンプで加圧された燃料をさらに加圧するものである。この高圧ポンプは、制御手段が気筒内用インジェクタから燃料を噴射しないように制御、つまり第2燃料噴射機構を作動させていない状態でも、内燃機関のクランクシャフトの回転により駆動し続けている。従って、高圧ポンプが第2燃料供給系から燃料を吸引する際や、余剰燃料を戻す際に脈動が発生する。この脈動は、第2燃料供給系および第1燃料供給系の通路内における燃料の圧力、つまり燃圧を変動させる。この燃圧の変動が第1燃料噴射機構に伝播する。制御手段は、内燃機関の運転状態により、第1燃料噴射機構から内燃機関の吸気通路に噴射する燃料の噴射タイミングおよび噴射量を制御するが、この第1燃料噴射機構に脈動が伝播することで、内燃機関の運転状態に基づいて決定される噴射供給量を第1燃料噴射機構から噴射できないという虞があった。つまり、内燃機関に供給すべき燃料供給量を燃料噴射装置から供給できない虞があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高圧ポンプにおいて発生した脈動が
内燃機関に供給する燃料供給量に与える影響を低減できる内燃機関の燃料供給装置を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明では、燃料を低圧ポンプで加圧し、当該加圧された燃料を第1燃料噴射機構に供給する第1燃料供給系と、前記第1燃料供給系から分岐し、前記低圧ポンプで加圧された燃料を内燃機関の運転状態に応じて駆動する高圧ポンプでさらに加圧し、当該さらに加圧された燃料を第2燃料噴射機構に供給する第2燃料供給系と、を備える内燃機関の燃料供給装置において、前記高圧ポンプから前記第1燃料噴射機構までの通路長さは、当該高圧ポンプから第1燃料噴射機構に伝播する脈動が大きくなる内燃機関の回転数が当該内燃機関の常用域回転数からはずれる長さであることを特徴する。
また、この発明では、前記高圧ポンプから前記第1燃料噴射機構までの通路長さは、前記高圧ポンプから第1燃料噴射機構に伝播する脈動が大きくなる内燃機関の回転数が前記常用域回転数のアイドリング回転数より低くなる長さであることを特徴とする。
また、この発明では、燃料を低圧ポンプで加圧し、当該加圧された燃料を第1燃料噴射機構に供給する第1燃料供給系と、前記第1燃料供給系から分岐し、前記低圧ポンプで加圧された燃料を内燃機関の運転状態に応じて駆動する高圧ポンプでさらに加圧し、当該さらに加圧された燃料を第2燃料噴射機構に供給する第2燃料供給系と、を備える内燃機関の燃料供給装置において、前記高圧ポンプから第1燃料噴射機構に伝播する脈動が大きくなる内燃機関の回転数を変更する脈動発生回転数変更手段を備え、前記脈動発生回転数変更手段は、前記高圧ポンプから前記第1燃料噴射機構までの通路長さを変更することを特徴とする。
また、この発明では、前記高圧ポンプから第1燃料噴射機構までの通路長さの変更は、前記高圧ポンプから第1燃料噴射機構に伝播する脈動が大きくなる内燃機関の回転数が現在の内燃機関の回転数から外れるように変更することを特徴とする。
この発明にかかる内燃機関の燃料供給装置は、高圧ポンプにおいて発生した脈動が第1燃料噴射機構に伝播されることを抑制すること、または各気筒群の第1燃料噴射機構ごとの燃料の噴射量のばらつきを防止すること、または第1燃料噴射機構から噴射される噴射量を低減することで高圧ポンプから発生する脈動が内燃機関に供給する燃料供給量に与える影響を低減できるという効果を奏する。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。ここで、以下に説明する燃料供給装置あるいはこの燃料供給装置を含む燃料噴射装置は、乗用車、トラックなどの車両に搭載されるガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関であるエンジンに燃料を供給する装置である。なお、以下の実施例では、4つの気筒を直列に備える直列4気筒エンジンあるいは3つの気筒を1つの気筒群とするV型6気筒エンジンにおける燃料供給装置を有する燃料噴射装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、直列6気筒エンジン、4つの気筒を1つの気筒群とするV型8気筒エンジンなどに用いることもできる。
図1は、実施例1にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図2は、実施例1にかかる燃料噴射装置を備える内燃機関の気筒の構成例を示す図である。図1に示すように、この発明にかかる燃料噴射装置1−1は、燃料供給装置2−1と、第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3と、第2燃料噴射機構である気筒内用燃料噴射機構4と、制御手段である噴射制御装置5とにより構成されている。
燃料供給装置2−1は、燃料を貯留する燃料タンク6と、低圧ポンプ7と、第1燃料供給系8と、高圧ポンプ9と、第2燃料供給系10とにより構成されている。低圧ポンプ7は燃料タンク6内の燃料を所定圧力(低圧)まで加圧し、吸気通路内用燃料噴射機構3に供給する電動式の低圧ポンプである。第1燃料供給系8は、少なくとも低圧ポンプ7で加圧された燃料を吸気通路内用燃料噴射機構3に供給する低圧通路8aにより構成されている。高圧ポンプ9は、図示しないエンジンのクランクシャフトに連結されたカム9aが回転することで、高圧ポンプ9内の図示しないプランジャが往復運動し、このプランジャの往復運動により、低圧通路8a内、つまり第1燃料供給系8内の低圧ポンプ7により加圧された燃料を所定圧力(高圧)までさらに加圧し、気筒内用燃料噴射機構4に供給する。つまり、高圧ポンプ9は、内燃機関であるエンジンの運転状態に応じて駆動する。なお、この高圧ポンプ9には、後述する噴射制御装置5により弁開度が制御される図示しない調量弁が備えられている。第2燃料供給系10は、少なくとも第1燃料供給系8の低圧通路8aの分岐部分Aから低圧ポンプ7で加圧された燃料を高圧ポンプ9に供給する分岐通路10aと、高圧ポンプ9でさらに加圧された燃料を気筒内用燃料噴射機構4に供給する高圧通路10bと、気筒内用燃料噴射機構4に供給された燃料のうち余剰燃料を燃料タンク6に戻すリリース通路10cとにより構成されている。
第2燃料供給系10の分岐通路10a、つまり第2燃料供給系10の高圧ポンプ9の上流側には、後述する噴射制御装置により開閉が制御される脈動伝播抑制手段である遮断弁10dが設けられている。なお、7aは、第1燃料供給系8を構成する低圧通路8a内の燃料の圧力が所定圧力よりも高くなった際に、低圧ポンプ7から吐出された燃料の一部を燃料タンク6に戻し、低圧通路8a内、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3および高圧ポンプ9に供給する燃料の圧力を一定に保つレギュレータである。また、10eは、気筒内用燃料噴射機構4内に供給された燃料の圧力を一定に保つための逆止弁である。10fは、気筒内用燃料噴射機構4内に供給された燃料の圧力が所定圧力よりも高くなった際に、この気筒内用燃料噴射機構4内の燃料の一部を燃料タンク6に戻し、気筒内用燃料噴射機構4内の燃料の圧力を一定に保つリリーフ弁である。
吸気通路内用燃料噴射機構3および気筒内用燃料噴射機構4は、図2に示すように、直列4気筒エンジンの各気筒20a〜20dのそれぞれに対応する吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用インジェクタ4a〜4dを有する。この吸気通路内用インジェクタ3a〜3d、気筒内用インジェクタ4a〜4dは、電磁弁であり後述する噴射制御装置5により噴射タイミングやこの電磁弁に対する通電時間に基づく噴射量が制御される。吸気通路内用燃料噴射機構3は、第1燃料供給系8の低圧通路8aから供給された燃料を各吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに分配する燃料分配配管3eを備える。一方、気筒内用燃料噴射機構4は、第2燃料供給系10の高圧通路10bから供給された燃料を各気筒内用インジェクタ4a〜4dに分配する燃料分配配管4eを備える。ここで、吸気通路内用燃料噴射機構3および気筒内用燃料噴射機構4は、エンジンの各気筒20a〜20dのそれぞれに対応するように吸気通路内用インジェクタ3a〜3dと気筒内用インジェクタ4a〜4dを有するので、例えば6気筒エンジンの場合、吸気通路内用燃料噴射機構3および気筒内用燃料噴射機構4はそれぞれ6個の吸気通路内用インジェクタと気筒内用インジェクタを有することとなる。
ここで、エンジンの各気筒20a〜20dは、図2に示すように、シリンダブロック21と、ピストン22と、シリンダブロック21に固定されたシリンダヘッド23と、ピストン22とシリンダヘッド23との間に形成される燃料室24と、吸気弁25と、排気弁26と、吸気ポート27と、排気ポート28と、点火プラグ29とにより構成されている。吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dは、吸気ポート27と連通する吸気通路30内に燃料を噴射できるように備えられている。また、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dは、シリンダヘッド23に固定され、燃料室24内に燃料を直接噴射できるように備えられている。なお、22aは、気筒内用インジェクタ4a〜4dから噴射された燃料を点火プラグ29近傍に導くための凹部である。なお、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタは、吸気通路30の上流側に設けられる図示しないサージタンク内に燃料を噴射し、エンジンに燃料を供給するようにしてもよい。
噴射制御装置5は、エンジンの各所に取り付けられたセンサから例えばエンジン回転数やアクセル開度などの入力信号や、記憶部5cに記憶されている各種マップに基づいて、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dや気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dの噴射タイミングや噴射量、低圧ポンプ7の駆動/停止、高圧ポンプ9の調量弁の弁開度、遮断弁10dの開閉などを制御する出力信号を出力するものである。具体的には、上記入力信号や出力信号の入出力を行うインターフェース部5aと、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dや気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dの噴射タイミングや噴射量などを算出する処理部5bと、上記マップなどを記憶する記憶部5cとにより構成されている。なお、この燃料噴射装置5は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。また、処理部5bは、メモリおよびCPU(Central Processing Unit)により構成され、後述する燃料噴射方法に基づくプログラムをメモリにロードして実行することにより、燃料噴射方法を実現させるものであってもよい。また、エンジンを制御するECU(Engine Control Unit)にこの燃料噴射装置5を組み込んでもよい。さらに、記憶部5cは、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、ROM(Read Only Memory)のような読み出しのみが可能な揮発性のメモリあるいはRAM(Random Access Memory)のような読み書きが可能な揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
次に、燃料噴射装置1−1の燃料噴射方法について説明する。図3は、実施例1にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。図4は、燃料供給量とアクセル開度とのマップの構成例を示す図である。まず、図3に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。これは、記憶部5cに記憶されている図示しないエンジン回転数とアクセル開度とのマップと、エンジンから噴射制御装置5に入力されるエンジン回転数およびアクセル開度の入力信号に基づいて決定される。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から燃料の噴射領域が第2燃料噴射機構である気筒内用燃料噴射機構4のみによる噴射領域、つまり気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁しているか否かを判断する(ステップST3)。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁していると判断すると、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−1は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
具体的には、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dは、各気筒20a〜20dの圧縮工程末期において1回だけ燃料室24に燃料を噴射する。噴射された燃料は、図2に示すピストン22の凹部22aの表面に沿いつつ、点火プラグ29下方からシリンダヘッド23側に上昇し、吸気弁25が開かれたことにより予め燃料室24内に導入された空気と混合し、混合気を形成する。そして、この混合気が点火プラグ29により着火されることで、図示しないエンジンのクランクシャフトに回転力を与える。なお、処理部5bは、遮断弁10dが閉弁していると判断すると、遮断弁10dにこの遮断弁10dを開弁させる出力信号を出力し、遮断弁10dを開弁させる(ステップST5)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から燃料の噴射領域が第2燃料噴射機構である気筒内用燃料噴射機構4および第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3による噴射領域、つまり気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁しているか否かを判断する(ステップST7)。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁していると判断すると、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−1は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。
具体的には、まず、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dは、図2に示すように、各気筒20a〜20dの吸気工程初期において1回だけ吸気通路30内に燃料を噴射する。噴射された燃料は、吸気通路30内の空気と混合し混合気を形成し、吸気ポート27を介して燃料室24に導入される。次に、気筒内用燃料噴射機構
4の気筒内用インジェクタ4a〜4dは、各気筒20a〜20dの圧縮工程末期において1回だけ燃料室24に燃料を噴射する。噴射された燃料は、ピストン22の凹部22aの表面に沿いつつ、点火プラグ29下方からシリンダヘッド23側に上昇し、吸気弁25が開かれたことにより予め燃料室24内に導入された混合気とさらに混合し、点火プラグ29により着火可能な混合気を形成する。そして、この混合気が点火プラグ29により着火されることで、図示しないエンジンのクランクシャフトに回転力を与える。なお、処理部5bは、遮断弁10dが閉弁していると判断すると、遮断弁10dにこの遮断弁10dを開弁させる出力信号を出力し、遮断弁10dを開弁させる(ステップST9)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から燃料の噴射領域が第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3のみによる噴射領域、つまり吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁しているか否かを判断する(ステップST10)。次に、処理部5bは、遮断弁10dが開弁していると判断すると、遮断弁10dにこの遮断弁10dを閉弁させる出力信号を出力し、遮断弁10dを閉弁させる(ステップST11)。遮断弁10dを閉弁すると、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播されない。つまり、第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動が伝播されることを抑制する。次に、処理部5bは、遮断弁10dが閉弁していると判断すると、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−1は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。このとき、各吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動が伝播しないため燃料供給量Qと異なることはない。
具体的には、まず、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dは、図2に示すように、各気筒20a〜20dの吸気工程初期において1回だけ吸気通路30内に燃料が噴射される。噴射された燃料は、吸気通路30内の空気と混合し混合気となり、吸気ポート27を介して燃料室24に導入される。そして、この混合気が点火プラグ29により着火されることで、図示しないエンジンのクランクシャフトに回転力を与える。以上により、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、図1に示す高圧ポンプ9が備える図示しない調量弁に遮断弁10dの代わりにこの遮断弁10dと同様の動作をさせてもよい。つまり、噴射制御装置5が吸気通路内噴射領域であると判断した際に、高圧ポンプ9の調量弁を閉弁することで、第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動が伝播されないようにしてもよい。この場合は、エンジンの燃料供給装置2−1あるいは燃料供給装置2−1を備える燃料噴射装置1−1を構成する部品の数を増やすことなく、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量に与える影響を低減できる。
図5は、実施例2にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図5に示す燃料噴射装置1−2が、図1に示す燃料噴射装置1−1と異なる点は、燃料供給装置2−2に遮断弁10dの代わりに、固定絞り8bを設けた点である。なお、図5に示す燃料噴射装置1−2の基本的構成は、図1に示す燃料噴射装置1−1の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。
第1燃料供給系8の低圧通路8aには、第2燃料供給系10が分岐する部分Aと第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3との間に脈動伝播抑制手段である固定絞り8bが設けられている。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播した際に、伝播した脈動を小さくする、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内に供給された燃料の圧力変動幅を小さくするように、固定絞り8bの絞り量を設定する。このとき、固定絞り8bの絞り量を大きくしすぎると、第1燃料供給系8に供給される燃料の流量が低流量である場合に、固定絞り8bを通過し、吸気通路内用燃料噴射機構3に供給された燃料が吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射できなくなるため、少なくとも吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから燃料を噴射できる絞り量とすることが好ましい。
次に、燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法について説明する。図6は、実施例2にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。なお、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法は、図3に示す燃料噴射装置1−1の燃料噴射方法と基本的なフローは同一なので簡略化して説明する。まず、図6に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−2は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−2は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第2燃料供給系10の分岐通路10aを介して第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播する。低圧通路8aに伝播された脈動は、この低圧通路8aの固定絞り8bにより脈動の大きさが小さくされる。すなわち、この固定絞り8bの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり燃料の圧力変動幅が固定絞り8bの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。従って、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方でのエンジンに燃料を供給する気筒内/吸気通路内噴射においても、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−2は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。ここでも、上記と同様に、高圧ポンプ9において発生した脈動が低圧通路8aに伝播されても、
この低圧通路8aの固定絞り8bにより脈動の大きさが小さくされる。すなわち、この固定絞り8bの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり燃料の圧力変動幅が固定絞り8bの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。従って、第1燃料噴射機構のみによりエンジンに燃料を供給する吸気通路内噴射において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。以上により、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
図7は、実施例3にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図7に示す燃料噴射装置1−3が、図5に示す燃料噴射装置1−2と異なる点は、固定絞り弁8bの代わりにエンジンの運転状態により絞り量が変化する可変絞り8cを設けた点である。なお、図7に示す燃料噴射装置1−3の基本的構成は、図5に示す燃料噴射装置1−2の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。
第1燃料供給系8の低圧通路8aには、第2燃料供給系10が分岐する部分Aと第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3との間に脈動伝播抑制手段である可変絞り8cが設けられている。この可変絞り8cは、その絞り量を噴射制御装置5からの出力信号により制御されるものである。
次に、燃料噴射装置1−3の燃料噴射方法について説明する。図8は、実施例3にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。ここでは、エンジンの運転状態として、第1燃料供給系8を構成する低圧通路8a内に供給される燃料の燃料流量の変化に基づく燃料噴射方法について説明する。なお、図8に示す燃料噴射装置1−3の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と基本的なフローは同一なので簡略化して説明する。まず、図8に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、可変絞り8cの絞り量を0、つまり絞らないように出力信号をこの可変絞り8cに出力する(ステップST13)。これは、エンジンへの燃料の供給が気筒内噴射により行われる場合に、可変絞り8cの絞り量を0とし、絞り量が変動することを防止することで、気筒内用燃焼噴射機構4の気筒内インジェクタ4a〜4dから噴射される燃料の噴射量とエンジンに供給する燃料の燃料供給量Qとが異ならないようにするためである。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、第1燃料供給系8を構成する低圧通路8a内に供給される燃料の燃料流量Q´が所定値Q1よりも大きいか否かを判断する(ステップST14)。ここで、燃料流量Q´は、低圧ポンプ7の駆動状態より算出されるものである。また、所定値Q1は、少なくとも吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dが燃料を噴射するために必要とする第1燃
料供給系8を構成する低圧通路8a内の燃料流量である。次に、処理部5bは、燃料流量Q´が所定値Q1よりも大きい場合は、可変絞り8cにその絞り量が燃料流量Q´に定数をかけた量となるように出力信号を出力する(ステップST15)。つまり、噴射制御装置5は、燃料流量Q´が増加するとそれに比例して可変絞り8cの絞り量が大きくなるように可変絞り8cの絞り量を制御する。なお、処理部5bは、燃料流量Q´が所定値Q1以下である場合は、可変絞り8cの絞り量を0、つまり絞らないように出力信号をこの可変絞り8cに出力する(ステップST16)。これは、燃料流量Q´が所定値Q1以下である場合に可変絞り8cを絞ることで、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから燃料を噴射できなくことを防止するためである。
次に、処理部5bは、可変絞り8cの絞り量を制御した後、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第2燃料供給系10の分岐通路10aを介して第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播する。このとき、低圧通路8aの可変絞り8cは、その絞り量をエンジンの運転状態、つまり第1燃料供給系8を構成する低圧通路8aに供給される燃料流量Q´の増加に比例して大きくする。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動は小さくなる。すなわち、この可変絞り8cの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が可変絞り8cの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方でのエンジンに燃料を供給する気筒内/吸気通路内噴射においても、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第2燃料供給系10の分岐通路10aを介して第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播する。このとき、低圧通路8aの可変絞り8cは、その絞り量をエンジンの運転状態、つまり第1燃料供給系8を構成する低圧通路8aに供給される燃料流量Q´の増加に比例して大きくする。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動は小さくなる。すなわち、この可変絞り8cの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が可変絞り8cの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構のみによりエンジンに燃料を供給する吸気通路内噴射において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。以上により、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、ステップST16において、可変絞り8cが絞り量0となるように処理部5bがこの可変絞り8cに出力信号を出力した場合は、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する。(ステップST6)。そして、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、燃料噴射装置1−3が気筒内/吸気通路内噴射を行い(ステップST8)、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、燃料噴射装置1−3が吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。
次に、燃料噴射装置1−3の他の燃料噴射方法について説明する。図9は、燃料の圧力変動幅とエンジン回転数との関係を示す図である。図10は、実施例3にかかる燃料噴射装置の他の噴射制御フローを示す図である。図11は、可変絞りの絞り量とエンジン回転数とのマップである。ここでは、燃料供給装置1−3の運転状態として、エンジンのエンジン回転数Neに基づく燃料噴射方法について説明する。なお、図10に示す燃料噴射装置1−3の燃料噴射方法は、図8に示す燃料噴射装置1−3の燃料噴射方法と基本的なフローは同一なので簡略化して説明する。
図9に示すように、高圧ポンプ9において発生した脈動は、エンジン回転数Neが上昇するに伴い大きくなる。つまり、高圧ポンプ9内の燃料に圧力変動幅が大きくなる。これは、高圧ポンプ9を駆動、つまり高圧ポンプ9のプランジャを往復運動させるカム9aがエンジンのクランクシャフトの回転に伴い回転するためである。一方、高圧ポンプ9において発生した脈動が第2燃料供給系10の分岐通路10aおよび第1燃料供給系8の低圧通路8aを介して吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されると、この吸気通路内用燃料噴射機構3における脈動は、高圧ポンプ9における脈動の特性とは異なる特性となる。具体的には、エンジン回転数Neが所定のエンジン回転数となるまで脈動は大きく、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が大きくなる。また、所定のエンジン回転数Neにおいて脈動の大きさがピーク、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅がピークBとなる。エンジン回転数Neがこの所定のエンジン回転数を過ぎると、エンジン回転数Neの上昇に対応して脈動は小さく、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が小さくなる。従って、所定のエンジン回転数において、吸気通路内用燃料噴射機構3における脈動の大きさ、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅は最大となる。この吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大となる所定のエンジン回転数は、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さにより決定される。図10に示す燃料噴射装置の他の噴射制御フローは、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播した脈動により、この吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅がピークBとなる所定のエンジン回転数の時に可変絞り8cの絞り量が最大となるようにするものである。
まず、図10に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、可変絞り8cの絞り量を0、つまり絞らないように出力信号をこの可変絞り8cに出力する(ステップST13)。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、現在のエンジン回転数Neが記憶部5cに記憶されている図11に示すマップにおけるエンジン回転数N
e1からNe2の範囲内であるか否かを判断する(ステップST17)。同図に示すマップは、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動により吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が大きくなると可変絞り8cの絞り量を大きくし、この燃料の圧力変動幅が小さくなると可変絞り8cの絞り量を小さくするものである。また、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動により吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動が開始する際のエンジン回転数をNe1とし、圧力変動が終了する際のエンジン回転数をNe2とするものである。次に、処理部5bは、現在のエンジン回転数Neがエンジン回転数Ne1からNe2の範囲内である場合は、同図に示すマップに基づいて可変絞り8cの絞り量を算出し、可変絞り8cに絞り量の出力信号を出力する(ステップST18)。なお、処理部5bは、現在のエンジン回転数Neがエンジン回転数Ne1からNe2の範囲外である場合は、可変絞り8cの絞り量を0、つまり絞らないように出力信号をこの可変絞り8cに出力する(ステップST16)。
次に、処理部5bは、可変絞り8cの絞り量を制御した後、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第2燃料供給系10の分岐通路10aを介して第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播する。このとき、低圧通路8aの可変絞り8cは、その絞り量をエンジンの運転状態、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が発生するエンジン回転数に基づいて大きくする。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動は小さくなる。すなわち、この可変絞り8cの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が可変絞り8cの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方でのエンジンに燃料を供給する気筒内/吸気通路内噴射においても、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−3は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、第2燃料供給系10の分岐通路10aを介して第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播する。このとき、低圧通路8aの可変絞り8cは、その絞り量をエンジンの運転状態、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が発生するエンジン回転数に基づいて大きくする。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動は小さくなる。すなわち、この可変絞り8cの下流側の低圧通路8aおよび第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が可変絞り8cの上流側の燃料の圧力変動幅よりも小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構のみによりエンジンに燃料を供給する吸気通路内噴射において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。以上により、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、ステップST16において、可変絞り8cが絞り量0となるように処理部5bがこの可変絞り8cに出力信号を出力した場合は、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する。(ステップST6)。そして、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、燃料噴射装置1−3が気筒内/吸気通路内噴射を行い(ステップST8)、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、燃料噴射装置1−3が吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。
図12は、実施例4にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図12に示す燃料噴射装置1−4が、図1に示す燃料噴射装置1−1と異なる点は、燃料供給装置2−4に遮断弁10dの代わりに、逆止弁8dを設けた点である。なお、図12に示す燃料噴射装置1−4の基本的構成は、図1に示す燃料噴射装置1−1の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。また、燃料噴射装置1−4の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と同様であるのでその説明も省略する。
第1燃料供給系8の低圧通路8aには、第2燃料供給系10が分岐する部分Aと第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3との間に脈動伝播抑制手段である逆止弁8dが設けられている。なお、8eは、吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の過昇圧を防ぐ安全弁である。
図13−1は、逆止弁上流側の低圧通路内の燃料の圧力変動幅を示す図である。図13−2は、逆止弁下流側の低圧通路内の燃料の圧力変動幅を示す図である。高圧ポンプ9から第1燃料供給系8の低圧通路8aに伝播された脈動による低圧通路8a内の燃料の圧力変動幅は、図13−1に示すように一定の周期で上限と下限が表れる曲線となる。ここで、逆止弁8dは、その下流側の燃料の圧力よりも上流側の燃料の圧力が高くなければ開弁されない。従って、逆止弁8d下流側の吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力は、この逆止弁8dにより逆止弁8d上流側の低圧通路8a内の燃料の圧力よりも一定の高い圧力で維持される。この一定の高い圧力とは、高圧ポンプ9から第1燃料供給系8を構成する低圧通路8aに伝播された脈動による逆止弁8d上流側の低圧通路8a内の燃料の圧力変動幅の上限近傍である。つまり、吸気通路内用燃料供給機構3内の燃料の圧力変動幅は、図13−2に示すように、逆止弁8d上流側の低圧通路8a内の燃料の圧力変動幅の上限近傍のみとなる。従って、燃料噴射装置1−4が気筒内/吸気通路内噴射あるいは吸気通路内噴射を行う際に、第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。これにより、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。また、上述のように、吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力は、一定の高い圧力で維持されるので、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の微粒化が図れ、エンジンの燃焼効率やエミッションを向上することができる。
なお、上記燃料噴射装置1−4において、低圧ポンプ7の駆動を停止してもよい。これ
は、上述のように逆止弁8dは、その下流側である吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力よりも上流側である第1燃料供給系8の低圧通路8a内の燃料の圧力が高くなければ開弁されない。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料が上記一定の高い圧力で維持されている場合は、低流量であれば高圧ポンプ9を駆動することで、第2燃料噴射機構である気筒内用燃料噴射機構4に燃料を供給することができる。つまり、低圧ポンプ7の駆動を停止しても、燃料噴射装置1−4が気筒内噴射を行う際には高圧ポンプ9により気筒内用燃料噴射機構4に燃料を供給することができる。これにより、低圧ポンプ7を駆動する際の消費電力を低減できる。
図14は、実施例5にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図14に示す燃料噴射装置1−5が、図1に示す燃料噴射装置1−1と異なる点は、燃料供給装置2−5に遮断弁10dを設けていない点である。なお、図14に示す燃料噴射装置1−5の基本的構成は、図1に示す燃料噴射装置1−1の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。また、燃料噴射装置1−5の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と同様であるのでその説明も省略する。
上述のように、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大となる所定のエンジン回転数は、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さにより決定される。特にこの通路長さを長くすると、吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大となる所定のエンジン回転数は低い回転数となる。
図14に示す燃料噴射装置1−5は、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHを高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大となる所定のエンジン回転数がエンジンの常用域回転数、例えば500rpm〜7000rpmから外れる長さとなるように設定する。つまり、燃料噴射装置1−5が気筒内/吸気通路内噴射あるいは吸気通路内噴射を行うエンジンの常用域回転数では、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくならない、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大とならない。従って、燃料噴射装置1−5が気筒内/吸気通路内噴射あるいは吸気通路内噴射を行う際に、第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。これにより、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。ここで、通路長さHとは、第2燃料供給系10の分岐通路10aと第2燃料供給系10が分岐する部分Aから吸気通路内用燃料噴射機構3までの第1燃料供給系8を構成する低圧通路8aとを合わせた通路長さである。
なお、通路長さHは、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が最大となる所定のエンジン回転数がエンジンの常用域回転数のアイドリング回転数より低くなるように設定することが好ましい。これは、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さを長く設定することは容易行えるからである。
図15は、実施例6にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図16は、燃料の圧力変動幅とエンジン回転数との関係を示す図である。図15に示す燃料噴射装置1−6が、図1に示す燃料噴射装置1−1と異なる点は、燃料供給装置2−6に遮断弁10dの代わりに、切替弁8fと延長通路8gを設けた点である。なお、図15に示す燃料噴射装置1−6の基本的構成は、図1に示す燃料噴射装置1−1の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。
第1燃料供給系8の低圧通路8aには、第2燃料供給系10が分岐する部分Aと第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3との間に脈動発生回転数変更手段である切替弁8fおよび延長通路8gが設けられている。この切替弁8fは、切替弁8f上流側の低圧通路8a内の燃料を第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に供給する際に、切替弁8f下流側の低圧通路8aによる直接供給あるいは延長通路8gを介しての供給のいずれかに切り替えるものである。なお、切替弁8fは、その切替を噴射制御装置5からの出力信号により制御されるものである。
ここで、切替弁8fにより切替弁8f下流側の低圧通路8aによる直接供給を行う際の高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHをH1とし、切替弁8fにより延長通路8gを介して供給を行う際の高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHをH2とすると、H2はH1よりも長くなる。通路長さHをH1とした場合において、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動による吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅の特性は、図16に示すDとなる。また、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくなる、つまり圧力変動幅のピークBとなる所定のエンジン回転数は、Ne3となる。一方、通路長さHをH2とした場合において、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動による吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅の特性は、同図に示すEとなる。また、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が大きくなる、つまり圧力変動幅のピークCとなる所定のエンジン回転数は、通路長さH2がH1よりも長いため、所定のエンジン回転数Ne3よりも低い回転数Ne4となる。すなわち、切替弁8fにより高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さを変更切り替えることで、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播する脈動が大きくなるエンジンの回転数を変更することができる。
次に、燃料噴射装置1−6の燃料噴射方法について説明する。図17は、実施例6にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。なお、図17に示す燃料噴射装置1−6の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と基本的なフローは同一なので簡略化して説明する。まず、図17に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−6は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、現在のエンジン回転数Ne´が所定値Ne5よりも小さいか否かを判断する(ステップST19)。ここで、現在のエンジン回転数Ne´は、噴射制御装置5に入力されるエンジン回転数である。また、所定値Ne5は、図16に示すように、通路長さHをH1とした場合における吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅の特性Dと、通路長さHをH2とした場合における吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅の特性Eとが交差する点Fにおけるエンジン回転数である。次に、処理部5bは、現在のエンジン回転数Ne´が所定値Ne5よりも小さい場合は、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHがH1となるように変更する(ステップST20)。つまり、処理部5bは、切替弁8fにこの切替弁8f上流側の低圧通路8a内の燃料を切替弁8f下流側の低圧通路8aから直接吸気通路内用燃料噴射機構3に供給できるように出力信号を出力する。一方、処理部5bは、現在のエンジン回転数Ne´が所定値Ne5以上の場合は、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHがH2となるように変更する(ステップST21)。つまり、処理部5bは、切替弁8fにこの切替弁8f上流側の低圧通路8a内の燃料を延長通路8gを介して直接吸気通路内用燃料噴射機構3に供給できるように出力信号を出力する。上記は、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播する脈動が大きくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅がピークとなるエンジンの回転数が現在の内燃機関の回転数から外れるように変更するものである。
次に、処理部5bは、切替弁8fにより、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHを切り替えた後、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−6は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播する。このとき、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHは、現在のエンジン回転数Ne´において、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が小さくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が小さくなるように、切替弁8fにより通路長さH1あるいはH2のいずれかに切り替えられている。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動は小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方でのエンジンに燃料を供給する気筒内/吸気通路内噴射においても、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−6は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。ここで、高圧ポンプ9において発生した脈動は、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播する。このとき、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3までの通路長さHは、現在のエンジン回転数Ne´において、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播された脈動が小さくなる、つまり吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が小さくなるように、切替弁8fにより通路長さH1あるいはH2のいずれかに切り替えられている。従って、吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動は小さくなる。これにより、第1燃料噴射機構のみによりエンジンに燃料を供給する吸気通路内噴射において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量は、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動の伝播を抑制できるため燃料供給量Qと略同一とすることができる。以上により、高圧ポンプ9において発生した脈動が吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播されることを抑制することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
図18は、実施例7にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図18に示す燃料噴射装置1−7は、3つの気筒を1つの気筒群とするV型6気筒エンジンにおける燃料供給装置を有する燃料噴射装置である。ここで、各気筒群はエンジンの左右のバンクに備えられている。なお、図18に示す燃料噴射装置1−7の基本的構成は、図1に示す燃料噴射装置1−1の基本的構成と同様であるため、その説明は簡略化する。また、燃料噴射装置1−7の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と同様であるのでその説明も省略する。
同図に示すように、この発明にかかる燃料噴射装置1−7は、燃料供給装置2−7と、第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32と、第2燃料噴射機構である右側気筒内用燃料噴射機構41および左側気筒内用燃料噴射機構42と、制御手段である噴射制御装置5とにより構成されている。
燃料供給装置2−7の第1燃料供給系8は、低圧通路8aと、この低圧通路8a内の燃料を分岐部分Dから右側吸気通路内用燃料噴射機構31に供給する右側分岐通路8hと、分岐部分Dから左側吸気通路内用燃料噴射機構32に供給する左側分岐通路8iとにより構成されている。ここで、右側分岐通路8hと左側分岐通路8iとの通路長さは異なっている。つまり、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31までの通路長さと、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である左側吸気通路内用燃料噴射機構31までの通路長さとが異なっている。第2燃料供給系10は、分岐通路10aと、高圧ポンプ9でさらに加圧された燃料を気筒内用燃料噴射機構4の右側気筒内用燃料噴射機構41および左側気筒内用燃料噴射機構42に供給する高圧通路10bと、右側気筒内用燃料噴射機構41と左側気筒内用燃料噴射機構42とを連通する連通路10gと、リリース通路10cとにより構成されている。
右側吸気通路内用燃料噴射機構31および右側気筒内用燃料噴射機構41は、図示しない右側バンクに備えられた3つの気筒の各気筒に対応する右側吸気通路内用インジェクタ31a〜31cおよび右側気筒内用インジェクタ41a〜41cを有する。一方、左側吸気通路内用燃料噴射機構32および左側気筒内用燃料噴射機構42は、図示しない左側バンクに備えられた3つの気筒の各気筒に対応する左側吸気通路内用インジェクタ32a〜32cおよび左側気筒内用インジェクタ42a〜42cを有する。右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32は、それぞれ右側分岐通路8hおよび左側分岐通路8iから供給された燃料を右側吸気通路内用インジェクタ31a〜31cに分配する燃料分配配管31dおよび左側吸気通路内用インジェクタ32a〜32cに分配する燃料分配配管32dを備える。一方、右側気筒内用燃料噴射機構41および左側気筒内用燃料噴射機構42は、それぞれ第2燃料供給系10の高圧通路10bあるいは連通路10gから供給された燃料を右側気筒内用インジェクタ41a〜41cに分配する燃料分配配管41dおよび左側気筒内用インジェクタ42a〜42cに分配する燃料分配配管42dを備える。
ここで、右側分岐通路8hおよび左側分岐通路8iの通路長さが同じ場合の問題点を説明する。図19−1は、通路長さが同じ場合の燃料の圧力変動幅を示す図である。図19−2は、通路長さが異なる場合の燃料の圧力変動幅を示す図である。図19−1に示すように、右側分岐通路8hおよび左側分岐通路8iの通路長さが同じであると、高圧ポンプ9から右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32に伝播される脈動による右側吸気通路内用燃料噴射機構31内および左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力変動幅の周期の位相は同じになる。燃料噴射装置1−7が気筒
内/吸気通路内噴射あるいは吸気通路内噴射を行いエンジンに燃料を供給する場合は、右側吸気通路内用燃料噴射機構31の右側吸気通路内用インジェクタ31a〜31cと左側吸気通路内用燃料噴射機構32の左側吸気通路内用インジェクタ32a〜32cとから交互に燃料を噴射する。つまり、同図に示すように、右側吸気通路内用インジェクタ31a、左側吸気通路内用インジェクタ32a、右側吸気通路内用インジェクタ31b、左側吸気通路内用インジェクタ32b、右側吸気通路内用インジェクタ31c、左側吸気通路内用インジェクタ32cとなる順番で各インジェクタから燃料を噴射する。このとき、各インジェクタ31a〜32cの噴射タイミングが、上記燃料の圧力変動幅の半周期であると、右側吸気通路内用インジェクタ31a〜31cは右側吸気通路内用燃料噴射機構31内の燃料の圧力変動幅の上限の時に燃料を噴射し、左側吸気通路内用インジェクタ32a〜32cは左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力変動幅の下限の時に燃料を噴射することなる。噴射制御装置5により各インジェクタ31a〜32cの弁開度時間、すなわち通電時間が同一であると、右側吸気通路内用燃料噴射機構31から噴射される燃料の噴射量と左側吸気通路内用燃料噴射機構32から噴射される燃料の噴射量とにばらつきが生じてしまう。
そこで、この発明にかかる燃料供給装置2−7を有する燃料噴射装置1−7は、右側分岐通路8hと左側分岐通路8iとの通路長さを異ならせ、高圧ポンプ9から右側吸気通路内用燃料噴射機構31に伝播される脈動の位相に対して、高圧ポンプ9から左側吸気通路内用燃料噴射機構32に伝播される脈動の位相を反転させる。これにより、図19−2示すように、右側吸気通路内用燃料噴射機構31内の燃料の圧力変動の周期の位相に対して、左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力変動幅の周期の位相が反転する。従って、右側吸気通路内用燃料噴射機構31から噴射される燃料の噴射量と左側吸気通路内用燃料噴射機構32から噴射される燃料の噴射量とのばらつきを防止することができる。以上により、各気筒群の第1燃料噴射機構ごとの燃料の噴射量のばらつきを防止することで、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32の各インジェクタ31a〜32cから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、上記燃料噴射装置1−7において、噴射制御装置5は、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32に伝播する脈動の所定位相に基づいて、右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32からの燃料の噴射を制御する。つまり、噴射制御装置5は、脈動の所定位相において、右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32から燃料を噴射させる。ここで、脈動の所定位相とは、脈動の上限あるいは下限、つまり、第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31内および左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力変動の上限あるいは下限である。従って、第1燃料噴射機構である右側吸気通路内用燃料噴射機構31内および左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力変動が上限の際に、右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32から燃料を噴射させる場合は、噴射された燃料の微粒化が図れ、エンジンの燃焼効率やエミッションを向上することができる。また、上記燃料の圧力変動が下限の際に、右側吸気通路内用燃料噴射機構31および左側吸気通路内用燃料噴射機構32から燃料を噴射させる場合は、低圧ポンプ7により右側吸気通路内用燃料噴射機構31内および左側吸気通路内用燃料噴射機構32内に供給され燃料の圧力よりも、右側吸気通路内用燃料噴射機構31内および左側吸気通路内用燃料噴射機構32内の燃料の圧力が低くなる、これにより、各インジェクタ31a〜31cの他ダイナミックレンジを改善、つまり各インジェクタ31a〜31cからより少ない燃料を噴射することができる。
図20は、実施例8にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。図20に示す燃料噴射装置1−8が図14に示す燃料噴射装置1−5と異なる点は、燃圧センサ3fが設けられている点である。なお、図20に示す燃料噴射装置1−8の基本的構成は、図14に示す燃料噴射装置1−5の基本的構成と同様であるため、その説明は省略する。
第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に燃圧センサ3fが設けられている。この燃圧センサ3fは、吸気通路内用燃料噴射機構3内、つまり燃料分配配管3e内の燃料の圧力を検出するものである。燃料センサ3fにおいて検出した燃料分配配管3e内の燃料の圧力の出力信号は、噴射制御装置5に入力される。
次に、この実施例8にかかる燃料噴射装置の燃料噴射方法について説明する。図21は、実施例8にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。なお、図21に示す燃料噴射装置の燃料噴射方法は、図6に示す燃料噴射装置1−2の燃料噴射方法と基本的なフローは同一なので簡略化して説明する。まず、図21に示すように、噴射制御装置5の処理部5bは、エンジンに供給する燃料供給量Qを算出する(ステップST1)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1よりも小さいか否かを判断する(ステップST2)。アクセル開度Lが所定値L1よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、内燃機関であるエンジンの運転状態から気筒内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−8は気筒内噴射を行う(ステップST4)。
次に、処理部5bは、アクセル開度Lが所定値L1以上である場合は、アクセル開度Lが所定値L2よりも小さいか否かを判断する(ステップST6)。アクセル開度Lが所定値L2よりも小さい場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、気筒内/吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きいか否かを判断する(ステップST22)。高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きくなると、吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力変動幅が大きくなる。従って、噴射制御装置5は、燃圧センサ3fから出力された吸気通路内用燃料噴射機構3内の圧力の出力信号を入力することで、高圧ポンプ9から吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きいか否かを判断することができる。
次に、処理部5bは、脈動が大きいと判断した場合は、この脈動の大きさに比例して気筒内噴射の増加量を算出する(ステップST23)。気筒内/吸気通路内噴射において、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの噴射量および気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dから噴射される燃料の噴射量は、図4に示すようにマップにより決定されている。ここでは、エンジンに供給すべき燃料供給量Qは変化させずに、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量を減少させて、気筒内用インジェクタ4a〜4dから噴射される燃料の噴射量を増加させる。つまり、吸気通路内噴射によりエンジンに供給される燃料供給量と、気筒内噴射によりエンジンに供給される燃料供給量との割合を変更する。次に、処理部5bは、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、ステップST23で算出された気筒内噴射の増加量に基づいて、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−8は気筒内/吸気通路内噴射を行う
(ステップST8)。これにより、第1燃料噴射機構および第2燃料噴射機構の両方でのエンジンに燃料を供給する気筒内/吸気通路内噴射領域において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量を減少させるので、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動が伝播しても、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、処理部5bは、脈動が大きくないと判断した場合は、図4に示すマップに基づいて、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−8は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST8)。
アクセル開度Lが所定値L2以上である場合は、制御手段である噴射制御装置5は、図4に示すように、吸気通路内噴射領域であると判断する。次に、処理部5bは、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きいか否かを判断する(ステップST24)。次に、処理部5bは、脈動が大きいと判断した場合は、エンジンに燃料供給量Qを満たす燃料を供給するため、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dおよび気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−8は気筒内/吸気通路内噴射を行う(ステップST25)。吸気通路内噴射において、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの噴射量は、図4に示すようにマップにより決定されている。ここでは、エンジンに供給すべき燃料供給量Qは変化させずに、気筒内用インジェクタ4a〜4dから燃料を噴射することで、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量を減少させる。これにより、第1燃料噴射機構のみによりエンジンに燃料を供給する吸気通路内噴射領域において、吸気通路内用インジェクタ3a〜3dの燃料の噴射量を減少させるので、吸気通路内用燃料噴射機構3に高圧ポンプ9において発生した脈動が伝播しても、高圧ポンプ9において発生した脈動がエンジンに供給する燃料供給量、特に第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dから噴射される燃料の噴射量に与える影響を低減できる。
なお、処理部5bは、脈動が大きくないと判断した場合は、図4に示すマップに基づいて、吸気通路内用燃料噴射機構3の吸気通路内用インジェクタ3a〜3dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し、燃料噴射装置1−8は吸気通路内噴射を行う(ステップST12)。
なお、上記実施例8では、噴射制御装置5は、高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きいか否かを燃圧センサ3fから出力される吸気通路内用燃料噴射機構3内の燃料の圧力に基づいて判断するがこの発明はこれに限定されるものではない。例えば、噴射制御装置5の記憶部5cに、予めエンジン回転数Neおよびとエンジンに供給する燃料供給量Qに基づいてエンジン回転数Neと脈動の大きさとのマップを記憶させ、エンジン回転数Neから脈動の大きさを判断してもよい。
また、上記処理部5は、燃料の噴射領域が気筒内/吸気通路内噴射領域あるいは吸気通路内噴射領域と判断し、且つ高圧ポンプ9から第1燃料噴射機構である吸気通路内用燃料噴射機構3に伝播される脈動が大きいとか否かを判断した場合は、気筒内用燃料噴射機構4の気筒内用インジェクタ4a〜4dに噴射タイミングおよび噴射量の出力信号を出力し
、燃料噴射装置1−8に吸気通路内噴射のみを行わせても良い。
以上のように、この発明にかかる内燃機関の燃料供給装置は、高圧ポンプが内燃機関の運転状態に応じて駆動する高圧ポンプを備える内燃機関の燃料供給装置に有用であり、特に、高圧ポンプから発生する脈動が内燃機関に供給する燃料供給量に与える影響を低減するのに適している。
実施例1にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
実施例1にかかる燃料噴射装置を備える内燃機関の気筒の構成例を示す図である。
実施例1にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。
燃料供給量とアクセル開度とのマップの構成例を示す図である。
実施例2にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
実施例2にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。
実施例3にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
実施例3にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。
燃料の圧力変動幅とエンジン回転数との関係を示す図である。
実施例3にかかる燃料噴射装置の他の噴射制御フローを示す図である。
可変絞りの絞り量とエンジン回転数とのマップである。
実施例4にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
逆止弁上流側の低圧通路内の燃料の圧力変動幅を示す図である。
逆止弁下流側の低圧通路内の燃料の圧力変動幅を示す図である。
実施例5にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
実施例6にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
燃料の圧力変動幅とエンジン回転数との関係を示す図である。
実施例6にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。
実施例7にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
通路長さが同じ場合の燃料の圧力変動幅を示す図である。
通路長さが異なる場合の燃料の圧力変動幅を示す図である。
実施例8にかかる燃料供給装置を有する燃料噴射装置の構成例を示す図である。
実施例8にかかる燃料噴射装置の噴射制御フローを示す図である。
符号の説明
1−1〜7 燃料噴射装置
2−1〜7 燃料供給装置
3 吸気通路内用燃料噴射機構(第1燃料噴射機構)
3a〜d 吸気通路内用インジェクタ
4 気筒内用燃料噴射機構(第2燃料噴射機構)
4a〜d 気筒内用インジェクタ
5 噴射制御装置(制御手段)
6 燃料タンク
7 低圧ポンプ
8 第1燃料供給系
9 高圧ポンプ
10 第2燃料供給系
31 右側吸気通路内用燃料噴射機構(第1燃料噴射機構)
31a〜c 右側吸気通路内用インジェクタ
32 左側吸気通路内用燃料噴射機構(第1燃料噴射機構)
32a〜c 左側吸気通路内用インジェクタ
41 右側気筒内用燃料噴射機構(第2燃料噴射機構)
41a〜c 右側気筒内用インジェクタ
42 左側気筒内用燃料噴射機構(第2燃料噴射機構)
42a〜c 左側気筒内用インジェクタ