JP2003328263A - 布帛を用いた成形物の加工方法及び布帛を用いた成形物 - Google Patents
布帛を用いた成形物の加工方法及び布帛を用いた成形物Info
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Abstract
することができると共に、原反の歩留まりを向上させ
る。 【解決手段】 本発明の布帛を用いた成形物の加工方法
は、一方の布帛である立体編物11と他方の布帛である
トリム布とを一体化する前に、立体編物11に対し、他
方の布帛の結合位置をマーキングするマーキング処理工
程を備えている。従って、原反の裁断加工を容易化で
き、裁断加工費の低減を図ることができる。また、原反
を裁断した際の端物の発生をほとんどなくすことができ
るため、歩留まりが向上する。
Description
される成形物の加工方法及び布帛を用いた成形物に関す
る。
ン性を発揮できると共に、多数の空隙を有し、通気性に
優れた三次元構造の布帛(立体編物)を用いたクッショ
ン構造が知られている。この立体編物は、互いに離間し
て配置した一対のグランド編地間を多数の連結糸で結合
し、三次元構造としたもので、通気性、体圧分散特性、
反発弾性等に優れており、自動車用座席等の各種座席構
造のクッション材として用いられている。かかる立体編
物を用いて座席構造のクッション材とする場合には、図
7に示すような手段が採用されている。
0は、通常、編み上げられた後、図7(a)に示したよ
うに、ロール状に巻回されて提供される。従って、これ
を加工する場合には、原反を所定長さ引き出して、原反
の長さ方向(ロール方向)と略直交する方向に大きく裁
断する。次いで、これをシートバック用の布帛110と
シートクッション用の布帛120とに二分する。そし
て、シートバックの中央部用編物111、側部用編物1
12、ヘッドレスト用編物113等に、それぞれ所定の
輪郭ライン形状に沿って裁断し、区分けする。シートク
ッションにおいても、同様に中央部用編物121、側部
用編物122等に、所定の輪郭ライン形状に裁断し、区
分けする。
その両側に結合される側部用編物112,122とは、
結合代(縫い代)分を余らせた上で、それぞれ所定の輪
郭形状に裁断されている。従って、両者を縫い合わせる
際には、端縁同士を揃えた上で、裁断ラインとなった輪
郭ライン形状に沿って縫い合わせれば、これを反転する
ことにより、図7(b)〜(e)に示したように、所定
のシートフレーム形状に合致する立体的な成形物が形成
される。
た従来の方法の場合には、中央部用編物111,121
や側部用編物112,122等を一体化するに当たって
は、輪郭ライン形状に沿って両者を縫い合わせるため、
その前提として、縫い合わせの対象となる中央部用編物
111,121や側部用編物112,122等の裁断ラ
イン形状を所定の輪郭ライン形状に合わせて、該輪郭ラ
イン形状に平行に切り出す必要がある。このため、裁断
ライン形状が複雑であり、トムソン刃等を用いた裁断機
や自動裁断機等の高価な裁断機を用いる必要があると共
に、裁断加工処理時間も長くかかり、裁断加工費が高い
という問題がある。また、原反を略方形状等のように大
きく裁断した後に、所定の輪郭ライン形状に合わせて切
り出すため、端物が多く生じることから、原反の歩留ま
りの点でも改善の余地がある。
であり、裁断加工の容易化を図り、加工コストを低減す
ることができると共に、原反の歩留まりを向上させるこ
とができる布帛を用いた成形物の加工方法及び布帛を用
いた成形物を提供することを課題とする。
解決するため研究を重ねたところ、従来、加工対象とな
る布帛を所定の輪郭ライン形状に沿うように切り出して
いた理由が、結合時(縫製時)の便宜と共に、縫製の際
に最低限必要な結合代(縫い代)以外に余肉部が生じる
ことを回避するためであることに着目した。つまり、成
形物における結合代以外の余肉部を、クッション機能を
果たすクッション部として積極的な機能を持たせること
により、裁断ラインの形状を単純化でき、これにより、
上記課題を解決できると考え、本発明を完成するに至っ
た。また、加工対象となる布帛が、座席構造のようにフ
レーム部材に張設されて用いられる立体編物である場合
には、上記余肉部の端縁の人体への当たり感が、表面側
の立体編物のクッション機能によって防止されるばかり
か、立体編物を張設するフレーム部材の当たり感を、積
層される余肉部によってさらに軽減できるという作用が
生じることから、立体編物をクッション材として用いる
成形物に特に有用であることにも着目した。
方の布帛に対し、他方の布帛を所定の位置で結合して一
体化し、しかる後、結合代を覆い隠すため、一体化した
一方の布帛と他方の布帛とを反転させて形成される布帛
を用いた成形物の加工方法であって、前記一方の布帛と
他方の布帛とを一体化する前に、一方の布帛に対し、他
方の布帛の結合位置をマーキングするマーキング処理工
程を備えていることを特徴とする布帛を用いた成形物の
加工方法を提供する。請求項2記載の本発明では、原反
から切り出されて用いられる一方の布帛に対し、他方の
布帛を所定の位置で結合して一体化し、しかる後、結合
代を覆い隠すため、一体化した一方の布帛と他方の布帛
とを反転させて形成される布帛を用いた成形物の加工方
法であって、前記一方の布帛を原反から切り出す裁断工
程において、該一方の布帛を、他方の布帛との結合位置
よりも外側で、結合位置に沿った輪郭ライン形状よりも
単純なライン形状に沿って裁断する工程のみを有し、前
記裁断工程の実施前又は実施後に、他方の布帛の結合位
置をマーキングするマーキング処理工程を備えているこ
とを特徴とする布帛を用いた成形物の加工方法を提供す
る。請求項3記載の本発明では、所定の長さを有する原
反から切り出されて用いられる一方の布帛に対し、他方
の布帛を所定の位置で結合して一体化し、しかる後、結
合代を覆い隠すため、一体化した一方の布帛と他方の布
帛とを反転させて形成される布帛を用いた成形物の加工
方法であって、前記一方の布帛を原反から切り出す裁断
工程において、該一方の布帛を、他方の布帛との結合位
置よりも外側で、所定の大きさとなるように、原反の長
さ方向に対して略直交する方向に略直線状に裁断する工
程のみを有し、前記裁断工程の実施前又は実施後に、他
方の布帛の結合位置をマーキングするマーキング処理工
程を備えていることを特徴とする布帛を用いた成形物の
加工方法を提供する。請求項4記載の本発明では、前記
マーキング処理工程が、前記一方の布帛に対し、他方の
布帛との結合位置に沿って連続的に又は部分的に、印刷
手段、縫い手段、溶着手段、打ち抜き手段又はこれらの
うちの任意の2以上の手段の組み合わせによってマーキ
ングする工程を具備することを特徴とする請求項1〜3
のいずれか1に記載の布帛を用いた成形物の加工方法を
提供する。請求項5記載の本発明では、加工対象となる
前記一方の布帛と他方の布帛のうち、少なくとも一方の
布帛が、表裏二層のグランド編地同士が連結糸で結合さ
れて形成されてなる立体編物であることを特徴とする請
求項1〜4のいずれか1に記載の布帛を用いた成形物の
加工方法を提供する。請求項6記載の本発明では、請求
項1〜請求項5のいずれか1に記載の加工方法を用いて
形成されたことを特徴とする布帛を用いた成形物を提供
する。請求項7記載の本発明では、一方の布帛に対し、
他方の布帛が所定の位置で結合されて一体化され、結合
代を覆い隠すため、一体化された一方の布帛と他方の布
帛とが反転されて形成されている布帛を用いた成形物で
あって、少なくとも前記一方の布帛は、前記結合代の外
側に残存する余肉部を有しており、該余肉部が、クッシ
ョン部となっていることを特徴とする布帛を用いた成形
物を提供する。請求項8記載の本発明では、前記一方の
布帛と他方の布帛のうち、少なくとも一方の布帛が、表
裏二層のグランド編地同士が連結糸で結合されて形成さ
れてなる立体編物であることを特徴とする請求項7記載
の布帛を用いた成形物を提供する。請求項9記載の本発
明では、座席構造のクッション材として用いられること
を特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載の布帛を
用いた成形物を提供する。
づき本発明をさらに詳細に説明する。図1〜図3は、立
体編物を用いた実施形態にかかる加工方法を説明するた
めの図である。なお、本実施形態においては、立体編物
が本発明の一方の布帛を構成し、立体編物に結合される
トリム布が本発明の他方の布帛を構成する。また、図1
に示したように、立体編物の原反10は、所定の幅で所
定の長さを有し、長さ方向に沿ってロール状に巻回され
て提供されている。
編地同士が連結糸で結合され、三次元構造に形成された
ものである。立体編物としては、例えば、表層と裏層を
構成するグランド編地が、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチ
レンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリ
ロニトリル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維、
綿、麻、ウール等の天然繊維等の任意の繊維からなり、
連結糸が、同様の素材からなるものであって、好ましく
はモノフィラメントからなり、ダブルラッセル編機、ダ
ブル丸編機、Vベッドを有する横編機等により編成さら
たものなどが知られているが、本発明で適用可能な立体
編物の種類等は何ら制限されるものではない。
巻回された原反10を所定の長さ引き出す。次に、例え
ば、座席構造のクッション材として用いる場合には、シ
ートバックやシートクッションを形成するのに必要な長
さで裁断する。この裁断工程は、本実施形態の場合、原
反10の長さ方向に対して略直交する方向に(すなわ
ち、原反10の幅方向に沿って)略直線状に裁断する。
従って、本実施形態の裁断工程では、原反10を略直線
状に裁断可能な簡易な裁断機を使用すればよい。この結
果、加工処理対象となる一方の布帛を形成する立体編物
11は、略長方形に切り出される。また、裁断工程を溶
断により実施することにより、立体編物11の端縁部を
一部溶融させることができる。立体編物を使用する場合
には、立体編物を形成する糸や繊維のほつれを防止する
ため、端縁部については、折り返し処理や溶着処理を行
うが、溶断手段を用いることにより、立体編物の裁断と
端末部のほつれ防止のための溶着処理を同時に行うこと
ができる。
て、図2に示したように、他方の布帛となるトリム布2
1,22を結合するわけであるが、立体編物11は上記
したように略長方形に切り出されているだけであり、こ
れだけでは、立体編物11とトリム布21,22との結
合位置となる縫製ライン(輪郭ライン)が不明である。
従来、かかる結合位置は、予め縫製ラインに平行に裁断
ラインを形成しているため、裁断ラインに沿って縫製等
を行えばよかったが、本実施形態の場合には、上記のよ
うに裁断ライン11aは結合位置となる縫製ラインに関
係なく形成されている。
形成する必要がある。そこで、本実施形態においては、
上記のように略長方形に切り出した立体編物に対し、所
定の手段により、縫製ライン11b,11cを形成する
マーキングを施すマーキング処理を行っている。マーキ
ングを施す手段は任意であり、例えば、印刷手段、縫い
手段、溶着手段、打ち抜き手段等を用いることができ
る。印刷手段は、縫製ライン11b,11cに沿って任
意のインク、プリンタ等を用いて印刷する手段であり、
縫い手段は、例えば立体編物11を形成している糸や繊
維と異なる色の糸等を、ミシンにより縫製ライン11
b,11cに沿って縫い込む手段であり、溶着手段は、
縫製ライン11b,11cに沿って立体編物11を振動
溶着によって押しつぶす手段である。これらの手段によ
り形成されるマーキングは、縫製ライン11b,11c
に沿って連続的な線状に形成することもできるし、部分
的に(例えば、点線状に)形成することもできる。但
し、打ち抜き手段を施す場合には、縫製ライン11b,
11cに沿って部分的に形成する。なお、印刷手段、縫
い手段、溶着手段、打ち抜き手段のうちの2以上の手段
を任意に組み合わせてマーキング処理することも可能で
ある。
手段、縫い手段、溶着手段等を施す機械の制御部に、縫
製ライン11b,11cを形成する位置の座標等を記憶
させておき、自動的にマーキング処理する構成とするこ
とが好ましい。これにより、より迅速に加工処理を行う
ことが可能となる。また、本実施形態においては、一方
の布帛となる立体編物11を原反10から略長方形に切
り出した後、上記マーキング処理を行っているが、略長
方形に切り出す裁断工程の前の原反10に予めマーキン
グ処理を施すことも可能である。また、この場合、一旦
編み上げた原反10に対して、印刷手段等によってマー
キング処理を施すことも可能であるが、原反10を編成
する際に、縫製ライン11b,11cに相当する部分の
み異なる色の糸や繊維を用いて編成し、原反10の編み
上げと共に、マーキング処理が行われる構成とすること
もできる。
のようにして一方の布帛である立体編物11に結合位置
となる縫製ライン11b,11cを形成したならば、他
方の布帛であるトリム布21,22の端部の縫い代21
aを外側に折り返し、縫製等により両者を結合する。立
体編物11とトリム布21,22は、このようにして一
体化された後、結合代(縫い代21a)を覆い隠すた
め、該縫い代21aが使用時の裏側に位置するように、
反転される(ひっくり返される)。そして、このように
して形成された本実施形態の成形物は、図3に示したよ
うに、例えば、座席を形成するフレーム部材に被せて使
用される。
ム布21,22との縫合(結合)による一体化が、上記
したマーキング処理によって形成された結合位置(縫製
ライン11b,11c)に沿ってなされ、従来のよう
に、裁断ラインを目安にしてなされるものではない。従
って、従来の場合には、加工誤差として、立体編物11
とトリム布21,22とを一体化する際の縫合誤差(結
合誤差)の他に、裁断時の裁断誤差が含まれるが、本実
施形態の場合には、裁断工程が上記のように、縫製ライ
ン11b,11cとは関係なく行われるため、裁断誤差
を考慮する必要がなくなる。中でも、本実施形態のよう
に、所定の厚みを有する立体編物11を裁断する場合に
は、該立体編物11の弾性によって裁断加工時のずれが
比較的大きいため、立体編物を用いた成形物を形成する
際に、本発明は特に有効である。
は、略長方形に切り出されたに過ぎないため、縫製ライ
ンに沿って裁断する従来の手段と異なり、従来の結合代
(縫い代)に相当する部分の外側に余肉部11dを有し
ている(図2(b)参照)。このため、上記のように結
合代(縫い代21a)を覆い隠すために反転された場合
には、該余肉部11dは、表面側の立体編物と重なり、
当該部分は二重になっている。
維のほつれを防止するために、布帛の種類に拘わらず、
端縁部を折り返したりするなどのほつれ防止手段が施さ
れる。例えば、立体編物の場合には、端縁部を溶着する
ことにより、立体編物を形成している糸や繊維のほつれ
を防止しているため、端縁部における剛性が高くなって
いる。従って、本実施形態のように、余肉部11dを表
面側の布帛の裏側に重ね合わせて使用した場合には、該
布帛が薄いと、剛性の高い端縁部が人体への当たり感と
して作用する。しかしながら、本実施形態のように、一
方の布帛として立体編物を用いている場合には、表面側
に位置する立体編物の厚み(クッション機能)によっ
て、剛性の高い端縁部が当たり感として作用することは
ほとんどない。立体編物を座席構造のクッション材に適
用する場合には、該立体編物は、フレーム部材にハンモ
ック状に張設されるため、フレーム部材の当たり感を軽
減すべく、フレーム部材上に位置する部位にウレタン材
料を挿入配設したりするなどの対策が採られているが、
本実施形態によれば、上記した余肉部11dをフレーム
部材上に位置させることによって、ウレタン材料等を用
いなくても、当たり感を軽減させるクッション部として
作用させることができる。
座席のクッション材として用いられる場合には、ロール
状に巻回された原反10の幅は、例えばその略半分で、
シートバック用、シートクッション用のそれぞれに必要
な大きさのクッション材を切り出すことが可能な長さに
編み上げられている。従って、図1及び図2に示したよ
うに、略長方形に切り出した立体編物11の略半分がシ
ートバック用として、残りの略半分がシートクッション
用として用いられるが、シートバック用の立体編物11
eとシートクッション用の立体編物11fを切り離すか
否かは任意である。
に切り込み11gを入れてあるものの、略中央部ではシ
ートバック用の立体編物11eとシートクッション用の
立体編物11fとは切り離されておらず、それぞれに上
記した方法によりトリム布21,22を取り付けて一体
化した後、ひっくり返し、シートバック用の立体編物1
1eとシートクッション用の立体編物11fの境界付近
に形成した両者の結合位置を示すライン11hに沿っ
て、両者を縫製や振動溶着により結合している。これに
より、当該境界付近が袋状に形成され、かかる部分を任
意にフレーム部材等に係合させて後方に引き込むように
することができる。
とシートクッション用の立体編物11fとを分断する例
を示し、図5及び図6は、図1と同様に両者を分断しな
い場合の他の例を示すものである。
体編物11eとシートクッション用の立体編物11fと
を分断した場合には、両者間は、縫製等により連結され
る(図4(b),(c)参照)。図5に示したように、
シートバック用の立体編物11eとシートクッション用
の立体編物11fとの間に切り込みも入れずに形成した
場合には、両者の境界付近において両側部付近のみを袋
状に形成し(図5(b),(c)参照)、該部分を後方
に引き込むためのフレーム部材に係合したりすることが
できる。図6に示したように、シートバック用の立体編
物11eとシートクッション用の立体編物11fとの境
界付近において、略中央部のみに切り込み11jを入れ
た構成とすることもできる。この場合には、図6
(b),(c)に示したように、略中央部に別途引き込
み用の布帛12を縫製や振動溶着などにより設けて後方
に突出させ、この布帛12を任意のフレーム部材に連結
して後方に引き込む構成とすることができる。
ートバック用の立体編物とシートクッション用の立体編
物とを分断するか否かに拘わらず、従来、端物として破
棄していた原反10の幅方向端縁の耳部10aさえも、
そのまま切り取らずに使用できるため、歩留まりの向上
に資する。図7に示した従来の手法では、原反の歩留ま
り率として70〜85%程度が上限であったが、本実施
形態によれば、歩留まり率が90%以上となる。また、
本実施形態のように、座席構造のクッション材として使
用する立体編物においては、シートバック用の立体編物
11eとシートクッション用の立体編物11fを含む略
長方形状の立体編物11という1部品だけをを切り出す
だけでよく、あるいは、シートバック用の立体編物11
eとシートクッション用の立体編物11fという2部品
だけを切り出すだけでよく、図7に示した従来の手法と
比較して裁断工程が極めて簡略化できる。また、図1、
図5及び図6に示したように、シートバック用の立体編
物11eとシートクッション用の立体編物11fとを分
断せずに一体で用いた場合には、結合箇所が少なくなる
ため、裁断加工費の更なる低減が図られると共に、これ
を自動車用座席等として用いた場合には、衝撃入力時の
ウイークポイント、つまり立体編物を構成している糸の
連続性の途切れがなくなる。この結果、強度の不連続性
が生じることを防止でき、ウイークポイントからの破断
が避けられる。また、衝撃力(衝突)のエネルギー吸収
性を糸が伸びることによっても向上させることができ
る。また、両者を分断した後に接合する場合よりも、縫
製による寸法ばらつきが小さく、着座感や乗り心地が安
定する。また、シートバック用の立体編物11eとシー
トクッション用の立体編物11fとの境界付近の組織が
連続することになるため、剛体となるところがなくな
り、弾性体で構成されることになる。そのため、振動モ
ードの節に当たる部分が腰部下端に存在せず、弾性体に
よる微小振動の吸収が可能となって腰部回りの振動吸収
性の向上に資する。なお、図5(b)に示したように、
シートバック用の立体編物11eとシートクッション用
の立体編物11fとの境界付近を縫製や振動溶着により
結合して袋状部分11kを形成した場合、縫製位置や溶
着位置を施す間隔などを種々調整することによって破断
しやすさを調整し、該袋状部分11kにエアバックを装
填することもできる。
れるものでないことはもちろんである。上記実施形態に
おいては、一方の布帛として立体編物を用い、他方の布
帛として二次元状の布材であるトリム布を用いている
が、両者とも立体編物とすることもできるし、両者とも
二次元状の布材(織物、編物、不織布、布状ゴム等)と
することもできる。但し、本発明は、立体編物に適用す
ることが好ましいことは上記したとおりである。また、
2以上の布帛を用いて立体的な成形物を形成する場合、
立体的に加工する際の角部や折り曲げ部等にしわが生じ
たりするため、二次元状の布材の場合には、このような
加工じわ等が生じないようにするため、余剰布部をカッ
トしたりする必要があるが、立体編物によれば、グラン
ド編地の編み目の変形や連結糸の倒れ等によって加工じ
わを吸収でき、余剰布部をカットする必要がないことか
らも、本発明は立体編物を使用して成形物を形成する場
合に好ましい。
提供される原反を用い、その幅方向に沿って略直線状に
裁断しているが、布帛同士の結合位置に沿った輪郭ライ
ン形状よりも外側において、該輪郭ライン形状よりも単
純なライン形状に沿って裁断することにより、従来より
も裁断加工工程を簡略化できる。従って、例えば、輪郭
ラインよりも大きく略曲線状に裁断するようにすること
もできる。
に、他の部材、例えば、フレーム部材等へ係合するため
に取り付けられたり、飾り等として取り付けられる樹脂
部材や金物等を縫製や振動溶着等により設ける場合に
も、それらの取り付け位置にマーキング処理を施すこと
で、容易に取り付けることができる。
のクッション材に限らず、寝具等として用いられるクッ
ション材にも適用することができる。
は、一方の布帛と他方の布帛とを一体化する前に、一方
の布帛に対し、他方の布帛の結合位置をマーキングする
マーキング処理工程を備えている。従って、原反の裁断
加工を容易化でき、裁断加工費の低減を図ることができ
る。また、原反を裁断した際の端物の発生をほとんどな
くすことができるため、歩留まりが向上する。また、本
発明の布帛を用いた成形物は、互いに結合される布帛の
うち、少なくとも一方の布帛は、両者の結合代の外側に
残存する余肉部を有しており、該余肉部をクッション部
として利用している。従って、本発明の成形物を形成す
る際に、成形後の輪郭ラインに沿って裁断する必要がな
くなり、裁断加工工程を容易化でき、安価な成形物を提
供できる。
法の裁断工程を説明するための図である。
を一体化する工程を説明するための図である。
自動車用座席のフレーム部材に装着した状態を示す外観
斜視図である。
説明するための図であり、(a)は裁断工程を示し、
(b),(c)はシートバック用の立体編物とシートク
ッション用の立体編物とを組み付けた状態であって、そ
のうち(b)は(a)のB−B線に沿った図であり、
(c)は(a)のB’−B’線に沿った図である。
方法を説明するための図であり、(a)は裁断工程を示
し、(b),(c)はシートバック用の立体編物とシー
トクッション用の立体編物とを組み付けた状態であっ
て、そのうち(b)は(a)のC−C線に沿った図であ
り、(c)は(a)のC’−C’線に沿った図である。
方法を説明するための図であり、(a)は裁断工程を示
し、(b),(c)はシートバック用の立体編物とシー
トクッション用の立体編物とを組み付けた状態であっ
て、そのうち(b)は(a)のD−D線に沿った図であ
り、(c)は(a)のD’−D’線に沿った図である。
あり、(a)は裁断工程を、(b)はシートバックの組
み付け工程を、(c)はシートクッションの組み付け工
程を、(d)は(b)のA−A線に沿った断面模式図
を、(e)は(c)のB−B線に沿った断面模式図をそ
れぞれ示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 一方の布帛に対し、他方の布帛を所定の
位置で結合して一体化し、しかる後、結合代を覆い隠す
ため、一体化した一方の布帛と他方の布帛とを反転させ
て形成される布帛を用いた成形物の加工方法であって、 前記一方の布帛と他方の布帛とを一体化する前に、一方
の布帛に対し、他方の布帛の結合位置をマーキングする
マーキング処理工程を備えていることを特徴とする布帛
を用いた成形物の加工方法。 - 【請求項2】 原反から切り出されて用いられる一方の
布帛に対し、他方の布帛を所定の位置で結合して一体化
し、しかる後、結合代を覆い隠すため、一体化した一方
の布帛と他方の布帛とを反転させて形成される布帛を用
いた成形物の加工方法であって、 前記一方の布帛を原反から切り出す裁断工程において、
該一方の布帛を、他方の布帛との結合位置よりも外側
で、結合位置に沿った輪郭ライン形状よりも単純なライ
ン形状に沿って裁断する工程のみを有し、 前記裁断工程の実施前又は実施後に、他方の布帛の結合
位置をマーキングするマーキング処理工程を備えている
ことを特徴とする布帛を用いた成形物の加工方法。 - 【請求項3】 所定の長さを有する原反から切り出され
て用いられる一方の布帛に対し、他方の布帛を所定の位
置で結合して一体化し、しかる後、結合代を覆い隠すた
め、一体化した一方の布帛と他方の布帛とを反転させて
形成される布帛を用いた成形物の加工方法であって、 前記一方の布帛を原反から切り出す裁断工程において、
該一方の布帛を、他方の布帛との結合位置よりも外側
で、所定の大きさとなるように、原反の長さ方向に対し
て略直交する方向に略直線状に裁断する工程のみを有
し、 前記裁断工程の実施前又は実施後に、他方の布帛の結合
位置をマーキングするマーキング処理工程を備えている
ことを特徴とする布帛を用いた成形物の加工方法。 - 【請求項4】 前記マーキング処理工程が、前記一方の
布帛に対し、他方の布帛との結合位置に沿って連続的に
又は部分的に、印刷手段、縫い手段、溶着手段、打ち抜
き手段又はこれらのうちの任意の2以上の手段の組み合
わせによってマーキングする工程を具備することを特徴
とする請求項1〜3のいずれか1に記載の布帛を用いた
成形物の加工方法。 - 【請求項5】 加工対象となる前記一方の布帛と他方の
布帛のうち、少なくとも一方の布帛が、表裏二層のグラ
ンド編地同士が連結糸で結合されて形成されてなる立体
編物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
に記載の布帛を用いた成形物の加工方法。 - 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれか1に記載
の加工方法を用いて形成されたことを特徴とする布帛を
用いた成形物。 - 【請求項7】 一方の布帛に対し、他方の布帛が所定の
位置で結合されて一体化され、結合代を覆い隠すため、
一体化された一方の布帛と他方の布帛とが反転されて形
成されている布帛を用いた成形物であって、 少なくとも前記一方の布帛は、前記結合代の外側に残存
する余肉部を有しており、該余肉部が、クッション部と
なっていることを特徴とする布帛を用いた成形物。 - 【請求項8】 前記一方の布帛と他方の布帛のうち、少
なくとも一方の布帛が、表裏二層のグランド編地同士が
連結糸で結合されて形成されてなる立体編物であること
を特徴とする請求項7記載の布帛を用いた成形物。 - 【請求項9】 座席構造のクッション材として用いられ
ることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載の
布帛を用いた成形物。
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