JP2003326941A - ダクトおよびその成形方法 - Google Patents

ダクトおよびその成形方法

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JP2003326941A
JP2003326941A JP2002135974A JP2002135974A JP2003326941A JP 2003326941 A JP2003326941 A JP 2003326941A JP 2002135974 A JP2002135974 A JP 2002135974A JP 2002135974 A JP2002135974 A JP 2002135974A JP 2003326941 A JP2003326941 A JP 2003326941A
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duct
urethane
urethane layer
article
molding
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JP2002135974A
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Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
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Inoac Corp
Original Assignee
Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結露防止や吸音等を図ると共に種々物品を好
適に固定保持可能としたダクトと、このダクトを低コス
トで好適に成形する方法を提供する。 【解決手段】 ダクトDは、ダクト壁部16および物品
保持部18を一体的に設けた第1ダクト部材10と、ダ
クト壁部16および物品保持部18を一体的に設けた第
2ダクト部材12と、第1ダクト部材10の内側でウレ
タン材料を硬化させることで形成された第1ウレタン層
20と、第2ダクト部材12の内側でウレタン材料を硬
化させることで形成された第2ウレタン層22とからな
る。第1ダクト部材10および第2ダクト部材12は、
前記ウレタン材料が硬化する際の接着力により長手方向
へ対応的に接合される。そして、側方へ対向的に延出し
た各物品保持部18,18により、ワイヤーハーネスW
H等を挟持的に固定し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ダクトおよびそ
の成形方法に関し、更に詳細には、車両搭載のエアコン
ユニットから送出される調温空気を、車両内装部材の所
要位置に設けた空気吹出口へ案内するようにしたダクト
と、このダクトを好適に成形する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】乗用車における乗員室内には、計器盤や
空調操作パネルおよびオーディオ等の各種車載機器等を
設置したインストルメントパネル、運転席および助手席
の間のフロアに設置されるフロアコンソール、乗員室天
井に取付けられるルーフパネル等の各種車両内装部材が
設置されている。図14および図15は、基材62、発
泡材64および表皮材66から構成され、乗員室前方に
取付けられる3層タイプのインストルメントパネル60
を例示した側断面図であるが、該インストルメントパネ
ル60の内側には、前記空調操作パネルでの所要操作に
基いて運転制御されるエアコンユニット70が搭載され
ている。このエアコンユニット70で所定温度に調節さ
れた調温空気は、前記インストルメントパネル60の所
要位置に設けた空気吹出口68等から乗員室内へ吹出
し、該乗員室の空調が実施されるようになっている。
【0003】従って、前記インストルメントパネル60
の裏側(内側)には、該インストルメントパネル60に設
けた前記空気吹出口68および前記エアコンユニット7
0の空気送出口72を連通接続して、エアコンユニット
70から送出される調温空気を空気吹出口68へ案内す
るようにしたダクトDが設けられている。ここで前記ダ
クトDは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(P
P)等の樹脂素材をブロー成形した異形断面形状の中空
体82から構成され、該中空体82をインストルメント
パネル60における基材62の裏面にビス84等で組付
けるタイプ(図14)、前記樹脂素材をインジェクショ
ン成形した樋状部材86を有し、この樋状部材86を前
記基材62の裏面に振動溶着等で組付けて両部材62,
86で空気流通路を画成するタイプ(図15)、等に大別
される。
【0004】また前記インストルメントパネル60の内
側には、前記エアコンユニット70等の種々の車載機器
や、該パネル60に配設された種々の車載電子機器(計
器ユニット、空調操作パネル、オーティオおよびスイッ
チ等)とこれ以外の車載電子機器との電気的な連結を図
るワイヤーハーネスWH等が、所狭しと配設されている
(但し図14および図15では、エアコンユニット70
以外の車載機器は図示省略してある)。図14および図
15の場合には、車幅方向へ延在する車体補強用のリィ
ンフォースバー74に対し、バンド状の取付部材94を
利用してワイヤーハーネスWHを取付けた配設例を例示
している。但しワイヤーハーネスWHは、これ以外の例
えばステアリングハンガービームやピラー(ピラーメン
バー)等に対しても適宜の取付部材を利用して取付けら
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した
タイプおよびタイプのダクトDでは、夫々に次のよう
な課題を内在していた。先ず、タイプのダクトDで
は、中空体82がPEやPP等を材質とすると共に比較
的薄肉に形成されるため、該中空体82の内部と外部と
の温度差が大きい場合に結露し易い欠点があった。ま
た、ダクトDの周囲に隣接して配設した図示しない車載
機器や前記ワイヤーハーネスWH等が車体振動時に中空
体82の外面に接触すると、衝突する音や擦れる音等の
不快な異音が発生する問題もあった。更には、エアコン
ユニット70の運転作動音が、中空体82内で反響して
乗員室内へ洩れてしまう課題もあった。このため、前記
中空体82の外面または内面に、断熱性能や防音性能に
優れたゴム、プラスチックまたはウレタン等の樹脂から
なる発泡体シート88を貼着して結露防止や異音発生防
止等を図る対応策が採られている。しかしながら、発泡
体シート88の材料費が別途加算されると共に該発泡体
シート88の貼着作業を要することから、成形コストが
一段と嵩んでしまう不都合が発生していた。しかも前記
中空体82の内面および外面は、曲面および凹凸面から
構成される複雑な3次元形状となっているため、前記発
泡体シート88を適切に貼着できないという新たな問題
も発生していた。
【0006】一方、タイプのダクトDでは、PP材等
から成形された前記基材62および樋状部材86から空
気流通路を形成されているため、タイプのダクトDと
同様の問題および課題を内在している。このため、前記
基材62の裏面および前記樋状部材86の外面または内
面に前述した樹脂製の発泡体シート88を貼着して結露
防止や異音発生防止等を図る必要が生じ、発泡体シート
88の材料費が別途加算されると共に該発泡体シート8
8の貼着作業を要することから、成形コストが一段と嵩
んでしまう不都合が発生する。しかも、前記基材62の
裏面および前記樋状部材86の内・外面は、何れも曲面
および凹凸面から構成される複雑な3次元形状となって
いるため、前記発泡体シート88を適切に貼着できない
という問題もある。なお、図15に例示した3層タイプ
のインストルメントパネル60では、前記発泡材64が
前記発泡体シート88と同等の特性を具有しているた
め、断熱効果だけを考慮する場合には、基材62の裏面
に対する該発泡体シート88の貼着は不要とされるもの
の(図中2点鎖線で示す)、樋状部材86に対する発泡体
シート88の貼着は必要とされるので、前述した問題は
依然として解決されないままである。但し、吸音効果を
も考慮する場合には、基材62の裏面に対する前記発泡
体シート88の貼着は必要である。
【0007】一方、前記ワイヤーハーネスWHは、多数
の電線をテープやベルト等の結束部材92を利用して適
宜に結束させた状態で、前述したバンド状の取付部材9
4を利用して前記リィンフォースバー74や車体に対し
て適宜間隔毎に固定されるため、その殆どが露出してい
る場合が多い。すなわちワイヤーハーネスWHは、走行
中の車体振動で部分的な引張りや弛みが生じ易いうえ
に、隣接する前記ダクトDやその他の車載機器等と直接
的に接触することがあるため、場合によっては擦れによ
る電線被覆材の摩耗で導線が露出して短絡や前記車載電
子機器の誤作動を引き起こすおそれがあった。また、ワ
イヤーハーネスWHの結束作業や配設作業は意外と面倒
で時間を要するものとなっているため、これら作業の合
理化および簡易化等の実現が希求されていた。更には、
ワイヤーハーネスWHを結束するための結束部材92の
材料費や、該ワイヤーハーネスWHを配設するための前
記取付部材94の材料費が嵩み、コストアップを招来す
る問題も内在していた。
【0008】
【発明の目的】本発明は、前述した課題を好適に解決す
るべく提案されたもので、剛性を確保しつつ結露防止や
異音発生防止および騒音吸収等を図ると共に、ワイヤー
ハーネス等の種々物品を好適に固定保持し得るようにし
たダクトと、このダクトを低コストで好適に成形する方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決して、所
期の目的を達成するため本発明は、車両搭載のエアコン
ユニットからの調温空気を、車両内装部材に設けた空気
吹出口へ案内するダクトにおいて、適宜の剛性を有する
素材を予備成形して、ダクト半体をなすダクト壁部およ
び該ダクト壁部の側縁から延出した物品保持部を一体的
に設けた第1ダクト部材と、適宜の剛性を有する素材を
予備成形して、ダクト半体をなすダクト壁部および該ダ
クト壁部の側縁から延出した物品保持部を一体的に設け
た第2ダクト部材と、前記第1ダクト部材の内側でウレ
タン材料を硬化させることで所要厚に形成された第1ウ
レタン層と、前記第2ダクト部材の内側でウレタン材料
を硬化させることで所要厚に形成された第2ウレタン層
とからなり、前記ウレタン材料が硬化する際の接着力に
より、前記第1ダクト部材および第2ダクト部材を長手
方向へ対応的に接合し、前記各々のダクト壁部により前
記ダクトを形成すると共に、このダクトの側方へ対向的
に延出した前記各々の物品保持部により適宜物品を挟持
的に固定可能としたことを特徴とする。
【0010】同じく前記課題を解決して、所期の目的を
達成するため別の発明は、車両搭載のエアコンユニット
からの調温空気を、車両内装部材に設けた空気吹出口へ
案内するダクトの成形方法において、適宜の剛性を有す
る素材を予備成形して、ダクト半体をなすダクト壁部お
よび該ダクト壁部の側縁から延出した物品保持部を一体
的に設けた第1ダクト部材を、第1成形型における成形
面の所要位置にセットすると共に、適宜の剛性を有する
素材を予備成形して、ダクト半体をなすダクト壁部およ
び該ダクト壁部の側縁から延出した物品保持部を一体的
に設けた第2ダクト部材を、前記第1成形型に型閉め可
能に設けた第2成形型における成形面の所要位置にセッ
トし、前記第1成形型の成形面および該成形面にセット
した前記第1ダクト部材の外面にウレタン材料を吹付
け、所要厚の第1ウレタン層を予備成形すると共に、前
記第2成形型の成形面および該成形面にセットした前記
第2ダクト部材の外面にウレタン材料を吹付け、所要厚
の第2ウレタン層を予備成形し、前記夫々の成形型に吹
付けたウレタン材料のうち、少なくとも一方のウレタン
材料が完全に硬化する前に両成形型を相互に型閉めし
て、前記第1ウレタン層および第2ウレタン層の一部を
対応的に密着させ、前記ウレタン材料が硬化する際の接
着力により、前記第1ダクト部材および第2ダクト部材
を長手方向へ対応的に接合させ、前記各々のダクト壁部
により前記ダクトを形成すると共に、このダクトの側方
へ対向的に延出した前記各々の物品保持部により適宜物
品を挟持的に固定可能とするようにしたことを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るダクトおよび
その成形方法につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を
参照しながら以下説明する。本願のダクトは、例えば図
14または図15に示したインストルメントパネル60
の内側等に配設され、該インストルメントパネル60に
設けた空気吹出口68および車両搭載の前記エアコンユ
ニット70の空気送出口72を連通接続して、該エアコ
ンユニット70から送出される調温空気を該空気吹出口
68へ案内するために供されると共に、後述する如く、
適宜物品90を挟持的に固定し得るようになっている。
【0012】図1は、本発明の好適実施例に係るダクト
を、簡略化した単純形状で示す概略斜視図であり、図2
は、図1に例示したダクトの各構成部材を分離させた状
態で示す概略斜視図である。本実施例のダクトDは、適
宜の剛性を有する素材を予備成形した第1ダクト部材1
0と、同じく適宜の剛性を有する素材を予備成形した第
2ダクト部材12と、前記第1ダクト部材10の内側で
ウレタン材料Uを硬化させることで所要厚に形成された
第1ウレタン層20と、前記第2ダクト部材12の内側
でウレタン材料Uを硬化させることで所要厚に形成され
た第2ウレタン層22とから構成されている。そして、
別々に成形された前記第1ダクト部材10および第2ダ
クト部材12を長手方向へ対応的に接合することで、空
気流通路14を画成して当該ダクトDを形成すると共
に、このダクトDの側方へ対向的に延出した各々の物品
保持部18,18により適宜の物品90を挟持的に固定
可能となっている。
【0013】前記第1ダクト部材10および第2ダクト
部材12は、前記ダクトDの外郭形状・サイズおよび被
固定物品とされる前記物品90の外形形状・サイズ等に
応じ、別工程で所要形状に予備成形される。例えば、イ
ンジェクション成形技術に基いて成形された合成樹脂製
のものや、プレス成形技術等に基いて成形された金属製
のもの等が好適に実施可能であり、平均的な厚みを0.
5〜1mm程度に設定してあることで、全体的に適度の
剛性を有している。第1ダクト部材10は、前記ダクト
Dの下側半体(ダクト半体)をなすダクト壁部16と、こ
のダクト壁部16における一方の側縁から延出した物品
保持部18とを一体的に形成したもので、ダクト壁部1
6はダクトDの外郭形状に基いて横断面形状が略コ字形
とされ、前記物品保持部18は横断面形状が略半円弧状
とされている。また第2ダクト部材12は、前記ダクト
Dの上側半体(ダクト半体)をなすダクト壁部16と、こ
のダクト壁部16における一方の側縁から延出した物品
保持部18とを一体的に形成したもので、ダクト壁部1
6はダクトDの外郭形状に基いて横断面形状が略コ字形
とされ、前記物品保持部18は横断面形状が略半円弧状
とされている。なお前記各々の物品保持部18,18
は、対応の前記ダクト壁部16,16との接合部位を基
端とした折曲的な弾性変形や、それ自体の撓曲的な弾性
変形が可能となっている。
【0014】前記第1ウレタン層20および第2ウレタ
ン層22は、後述すると共に図3〜図8に示すように、
ダクト成形型40を利用したウレタンスプレー成形技術
に基いてウレタン材料Uから成形されたものである。す
なわち前記第1ウレタン層20は、ダクト成形型40に
おける第1成形型42の成形面42aに前記第1ダクト
部材10をセットしたもとで、該成形面42aから該第
1ダクト部材10の外面に亘ってウレタン材料Uを吹付
けることで、前記ダクト壁部16から物品保持部18に
亘って所要厚に形成されている。このような第1ウレタ
ン層20は、第1ダクト部材10における前記ダクト壁
部16の内側に形成されて空気流通路14に臨むように
なるダクト面部24と、このダクト面部24の短手方向
の両側端縁に沿って該ダクト面部24に一体成形された
鍔部26,26と、前記物品保持部18の内側に形成さ
れた物品保持面部28とからなり、部分的な差異はある
ものの平均的な厚みが2〜5mm程度とされている。
【0015】また前記第2ウレタン層22は、ダクト成
形型40における第2成形型44の成形面44aに前記
第2ダクト部材12をセットしたもとで、該成形面44
aから該第2ダクト部材12の外面に亘ってウレタン材
料Uを吹付けることで、前記ダクト壁部16から物品保
持部18に亘って所要厚に形成されている。このような
第2ウレタン層22は、第2ダクト部材12における前
記ダクト壁部16の内側に形成されて空気流通路14に
臨むようになるダクト面部24と、このダクト面部24
の短手方向の両側端縁に沿って該ダクト面部24に一体
成形された鍔部26,26と、前記物品保持部18の内
側に形成された物品保持面部28とからなり、部分的な
差異はあるものの平均的な厚みが2〜5mm程度とされ
ている。
【0016】ここで、前記第1ウレタン層20および第
2ウレタン層22を成形するための前記ウレタン材料U
は、例えば発泡ソフトタイプのものが好適に使用され
る。従って第1ウレタン層20および第2ウレタン層2
2は、成形された発泡ウレタンの物性をそのまま具有す
るようになり、軽量でかつ適度の弾力性および柔軟性を
有し、更には高い断熱性能や吸音性能をも有している。
但し前記ウレタン材料Uは、発泡ソフトタイプに限るも
のではなく、例えば無発泡ソフトタイプ等も使用可能で
ある。
【0017】このような構成部材からなる実施例のダク
トDでは、前記第1ダクト部材10の内側に吹付けた前
記ウレタン材料Uまたは前記第2ダクト部材12の内側
に吹付けた前記ウレタン材料Uが硬化する際の接着力に
より、第1ウレタン層20および第2ウレタン層22に
おける各々の鍔部26,26が対応的に接着すること
で、該第1ダクト部材10および第2ダクト部材12が
長手方向へ対応的に接合される。そして、各々のダクト
壁部16,16により前記ダクトDを形成すると共に、
このダクトの側方へ対向的に延出した各々の物品保持部
18,18により種々の物品90を挟持可能となる。ま
た、第1ウレタン層20および第2ウレタン層22にお
ける各ダクト面部24,24がダクトDの内側で空気流
通路14に臨むようになり、各物品保持面部28,28
が物品保持部18,18の内側に臨むようになる。
【0018】一方、ダクトDの側方に設けられた前記各
々の物品保持部18,18では、前記ダクト壁部16の
端縁に沿って該ダクト壁部16の全長と同一または略同
一の長さに形成されている。そして、第1ダクト部材1
0および第2ダクト部材12を長手方向へ対応的に接合
することで、両者18,18の間に細長の物品収容空間
30が画成されている。これら物品保持部18,18
は、前述した如く、一体的に形成された前記ダクト壁部
16との接合部分を基端とした積極的な弾性変形および
撓曲的な弾性変形が許容され、該ダクト壁部16に接合
する側とは反対側の端縁部18a,18a同士が離間す
ることで、これら端縁部18a,18a間に所要幅の間
隙Sが画成され得るようになっている。従って、各々の
物品保持部18,18の両方または何れか一方を、両端
縁部18a,18aが相互に離間するように弾性変形さ
せた場合には間隙Sが拡幅されるので、この間隙Sを介
して前記物品収容空間30に対する物品90の着脱が可
能となる(図9)。
【0019】また、非変形時(常態時)における各々の物
品保持部18,18の間隔よりも断面サイズが適宜大き
い物品90を前記物品収容空間30内へ収容した際に
は、前記各々の物品保持部18,18は、適宜弾性変形
した状態で当該物品90を弾力的に挟持し得る。更に
は、これら物品保持部18,18の内側に形成された前
記物品保持面部28,28も圧縮的な弾性変形が可能で
あるから、該物品保持面部28,28の圧縮変形によっ
ても前記物品90を弾力的に保持し得る。なお実施例で
は、両物品保持部18,18の非変形状態において、両
端縁部18a,18a間に適度の間隙Sが画成された態
様を例示しているが、接合しないことを前提として、常
には両端縁部18a,18aが接触して間隙Sが画成さ
れた態様としてもよい。また、夫々の物品保持部18,
18の横断面形状は、実施例に例示した半円弧状のもの
に限定されず、前記物品90の形状、サイズに基いて様
々な断面形状のものが実施可能である。
【0020】ここで前記物品90は、例えば前記インス
トルメントパネル60に搭載された種々の車載電子機器
同士を電気的に接続するためのワイヤーハーネス(信号
・電力伝達用電線)WHである。また物品90は、この
ワイヤーハーネスWHに限定されるものではなく、例え
ばオイル等の圧力伝達媒体を封入したチューブ態様のも
のや、種々の流体(オイル、水等)を流通させるパイプ態
様のもの等、長尺態様のものは全て含まれる。
【0021】このように実施例のダクトDでは、ウレタ
ン材料Uを発泡硬化させて形成することで発泡ウレタン
の物性(特性)を具有している第1ウレタン層20および
第2ウレタン層22を、第1ダクト部材10および第2
ダクト部材12の内側に設けてあるので、次のような有
益な効果を奏する。先ず、ダクトDの内側を全面的に覆
っている第1ウレタン層20および第2ウレタン層22
が断熱性能に優れているので、当該ダクトDの内部と外
部との温度差が大きい場合でも結露し難くなっている。
また、第1ウレタン層20および第2ウレタン層22は
吸音性能も優れているので、ダクトDの周囲に配設した
車載機器やワイヤーハーネス等(図示せず)の接触により
発生した異音を好適に吸収して伝播させない。更には、
前記エアコンユニット70の運転作動音をも吸収するの
で、この運転作動音が乗員室内へ洩れることをも防止し
得る。従ってダクトDの外面または内面に、断熱性能や
防音性能に優れたゴム、プラスチックまたはウレタン等
の樹脂からなる前記発泡体シート等を別途貼着する必要
がないから、結露防止や異音発生防止等を図る対応策を
講ずるためにコストが嵩むこともない。
【0022】また、ダクトDの外側を全面的に覆ってい
る第1ダクト部材10および第2ダクト部材12は、こ
れ自体が適度の剛性を有しているので、ダクトD自体が
適度の強度を具有して変形し難くなっている。従って、
ダクトDの内部(空気流通路14内)と外部とで圧力差が
生じたとしても、これを起因とした変形が好適に防止さ
れる。更に、物品保持部18,18も適度の剛性を有し
ているので、ワイヤーハーネスWH等の前記物品90を
好適に保持して固定し得る。しかも、物品保持部18,
18の内側に形成された第1ウレタン層20および第2
ウレタン層22の夫々の物品保持面部28,28が、挟
持した前記物品90の外面形状に適度に変形しつつ密着
するようになるため、これにより該物品90をより安定
的に保持可能となる。
【0023】次に、前述のように構成された実施例のダ
クトDを成形するための成形方法につき、図3〜図8を
もとに説明する。
【0024】実施例のダクトDを構成する第1ウレタン
層20および第2ウレタン層22は、前述した如く、図
3に示したダクト成形型40を使用してウレタンスプレ
ー成形技術に基いて成形される。ここでダクト成形型4
0は、前記第1ダクト部材10をセットすると共に前記
第1ウレタン層20の一部を成形するための凹状の成形
面42aを設けた第1成形型42と、前記第2ダクト部
材12をセットすると共に前記第2ウレタン層22の一
部を成形するための凹状の成形面44aを設けた第2成
形型44とからなる。そして前記第1成形型42と第2
成形型44とは、ヒンジ46により開閉自在にヒンジ接
合され、第1成形型42に対して第2成形型44が型閉
め可能となっている(図3、図6、図7)。また、両成形
型42,44における成形面42a,44aの裏側には、
例えば水またはオイル等の熱媒体が流通する加熱パイプ
48が蛇行状に敷設され、対応の成形面42a,44a
の表面温度を前記ウレタン材料Uの硬化に最適な温度
(例えば65℃程度)に加熱し得るようになっている。
【0025】なお第1成形型42および第2成形型44
は、合成樹脂、アルミニウム、鋼鉄等から公知技術に基
いて形成したものである。また前記第1成形型42の成
形面42aは、第1ダクト部材10をセットする凹凸面
部と、この凹凸面部の両側に位置する平面部とを合わせ
た部分とされ、前記第2成形型44の成形面44aは、
第2ダクト部材12をセットする凹凸面部と、この凹凸
面部の両側に位置する平面部とを合わせた部分とされ
る。但し、図示の第1成形型42および第2成形型44
では、夫々の成形面42a,44aにおける凹凸面部
が、セットされる第1ダクト部材10および第2ダクト
部材12の外面全面に密着的に接触する形状に形成され
ているが、この凹凸面部は第1ダクト部材10および第
2ダクト部材12に部分的に接触する形状としてもよい
(ウレタン材料Uは、第1ダクト部材10および第2ダ
クト部材12の外面に吹付けられるため)。
【0026】このようなダクト成形型40を使用したダ
クトの成形方法では、成形準備工程として、第1成形型
42と第2成形型44とを型開きしたもとで、前記加熱
パイプ48へ熱媒体を供給して第1成形型42および第
2成形型44の夫々の成形面42a,44aを所要温度
に加熱保持すると共に、該成形面42a,44aに適当
な離型剤を塗布する(図3)。
【0027】成形準備が完了したら、先ず図4に示すよ
うに、適宜の剛性を有する素材を予備成形して、ダクト
半体をなすダクト壁部16および該ダクト壁部16の側
縁から延出した物品保持部18を一体的に設けた前記第
1ダクト部材10を、第1成形型42における成形面4
2aの所要位置にセットする。また、適宜の剛性を有す
る素材を予備成形して、ダクト半体をなすダクト壁部1
6および該ダクト壁部16の側縁から延出した物品保持
部18を一体的に設けた第2ダクト部材12を、前記第
1成形型42に型閉め可能に設けた第2成形型44にお
ける成形面44aの所要位置にセットする。なお、前記
第1ダクト部材10および第2ダクト部材12の裏面
(第1ウレタン層20および第2ウレタン層22が接触
する面)は、該第1ダクト部材10および第2ダクト部
材12を成形型42,44にセットするに先立ち、必要
に応じて適宜のプライマー処理しておくことが望まし
い。また、第1ウレタン層20および第2ウレタン層2
2を成形するための前記ウレタン材料Uの材質によって
は、前記第1ダクト部材10および第2ダクト部材12
を、所定温度に予備加熱したもとで対応の第1成形型4
2および第2成形型44の各々の成形面42a,44a
へセットすることが望ましい。
【0028】前記第1成形型42および第2成形型44
に対する前記第1ダクト部材10および第2ダクト部材
12のセットが完了したら、次いで前記第1ウレタン層
20および第2ウレタン層22の成形を行なう。すなわ
ち図5に示すように、第1成形型42の成形面42aの
上方へスプレーガン50を到来させ、この成形面42a
および該成形面42aにセットした前記第1ダクト部材
10の外面(成形されるダクトDにおいては内面)にウレ
タン材料Uを吹付けることで、ダクト壁部16から物品
保持部18に亘って所要厚の第1ウレタン層20を予備
成形する。すなわち、ダクト壁部16の外面から物品保
持部18の外面に亘ってウレタン材料Uを全面的に吹付
けることにより、予備成形された第1ウレタン層20
は、該ダクト壁部16の内側に形成されたダクト面部2
4と、このダクト面部24の両側側縁に沿って形成され
た鍔部26,26と、物品保持部18の内側に形成され
た物品保持面部28とに構成される。
【0029】一方、第2成形型44の成形面44aの上
方へスプレーガン50を到来させ、この成形面44aお
よび該成形面44aにセットした前記第2ダクト部材1
2の外面(成形されるダクトDにおいては内面)にウレタ
ン材料Uを吹付けることで、ダクト壁部16から物品保
持部18に亘って所要厚の第2ウレタン層22を予備成
形する。すなわち、ダクト壁部16の外面から物品保持
部18の外面に亘ってウレタン材料Uを全面的に吹付け
ることにより、予備成形された第2ウレタン層22は、
該ダクト壁部16の内側に形成されたダクト面部24
と、このダクト面部24の両側側縁に沿って形成された
鍔部26,26と、物品保持部18の内側に形成された
物品保持面部28とに構成される。
【0030】なお、2基のスプレーガン50を準備し
て、第1成形型42の成形面42aおよび第2成形型4
4の成形面44aの夫々へウレタン材料Uを同時に吹付
けるようにすれば、成形サイクルタイムの短縮化が期待
できる。
【0031】そして、前記第1成形型42および第2成
形型44に対して夫々のウレタン材料Uの吹付けが完了
したら、図6に示すように、夫々のウレタン材料U,U
のうち少なくとも一方のウレタン材料Uが完全に硬化す
る前に、第1成形型42に対して第2成形型44を閉成
して両成形型42,44を相互に型閉めする。これによ
り、第1成形型42に予備成形した第1ウレタン層20
の各鍔部26,26に対して、第2成形型44に予備成
形した第2ウレタン層22の各鍔部26,26が対応的
に密着するようになる。ここで前記ウレタン材料Uは、
周知の如く完全に硬化する前では接着性を有しているか
ら、両成形型42,44に吹付けた夫々のウレタン材料
U,Uのうち少なくとも一方のウレタン材料Uが硬化す
る前に、第1ウレタン層20の鍔部26,26と第2ウ
レタン層22の鍔部26,26とを密着させることによ
り夫々の鍔部26,26/26,26が相互に接着され、
ウレタン材料Uが硬化する際の接着力を利用して第1ウ
レタン層20および第2ウレタン層22を長手方向へ対
応的に接合させ得る。
【0032】前記ダクト成形型40の型閉め状態におい
て、ウレタン材料Uが完全に発泡・硬化するまで待機す
る。そして、第1ダクト部材10の内側に形成された第
1ウレタン層20および第2ダクト部材12の内側に形
成された第2ウレタン層22の成形が完了したら、図7
に示すように、第1成形型42から第2成形型44を開
放させて型開きしたもとで、成形されたダクトDを脱型
する。
【0033】更に、脱型後に、前記鍔部26,26にお
ける不要な部分やその他の不要な部分は、必要に応じて
カッター等で切除する(図8)。ここで、第1ウレタン層
20および第2ウレタン層22の外側に被着された第1
ダクト部材10および第2ダクト部材12の端縁が鍔部
26,26に臨んでいるので、鍔部26,26の不要な部
分は指先でむしり取ることも可能である。
【0034】このようにして成形された実施例のダクト
Dでは、図9に示す如く成形完了後に、前記物品保持部
18,18を弾性変形させて間隙Sを拡開させたもと
で、物品収容空間30に対して前記ワイヤーハーネスW
H等の物品90を収容すれば、各々の物品保持部18,
18が弾力的に当該物品90を挟持するようになるか
ら、該物品90を安定的に保持することができる。
【0035】このように実施例に係るダクトDを成形す
るための成形方法では、第1成形型42の成形面42a
にセットした予備成形後の第1ダクト部材10の外面に
ウレタン材料Uを全面的に吹付けて第1ウレタン層20
を予備成形すると共に、第2成形型44の成形面42a
にセットした予備成形後の第2ダクト部材12の外面に
ウレタン材料Uを全面的に吹付けて第2ウレタン層22
を予備成形した後、夫々のウレタン材料U,Uのうちの
少なくとも一方が完全に硬化する前に両成形型42,4
4を相互に型閉めすることで、該ウレタン材料Uが硬化
する際の接着力を利用して第1ウレタン層20と第2ウ
レタン層22とを接着させて、第1ダクト部材10およ
び第2ダクト部材12を長手方向へ対応的に接合し得
る。
【0036】従って、第1ダクト部材10の内側におけ
る第1ウレタン層20の成形作業および第2ダクト部材
12の内側における第2ウレタン層22の成形作業、第
1ウレタン層20と第1ダクト部材10との接着および
第2ウレタン層22と第2ダクト部材12との接着作
業、形成された第1ウレタン層20と第2ウレタン層2
2との接着による第1ダクト部材10と第2ダクト部材
12との接合作業を、夫々連続した一連の工程として行
なうことができるので、ダクトDの成形作業の簡素化お
よび合理化が図られて成形コスト低減を図り得る。ま
た、第1ウレタン層20と第2ウレタン層22の接合に
際して別途の接着剤等を一切使用しないから、これによ
り一層の成形コスト低減が可能となる。
【0037】一方、前記ダクト成形型40によるダクト
Dの成形作業と同時に、ワイヤーハーネスWH等の物品
90を固定保持可能な物品保持部18,18を設けるこ
とが可能であるから、成形作業の更なる簡素化および合
理化が図られる。
【0038】前記実施例に例示したダクトDでは、第1
ダクト部材10に設けた物品保持部18および第2ダク
ト部材12に設けた物品保持部18の両方が、対応のダ
クト壁部16,16との接合部位を基端とした折曲的な
弾性変形や、それ自体の撓曲的な弾性変形が可能となっ
ていた。しかし、前記間隙Sを介した前記物品収容空間
30に対する前記物品90の着脱、および該物品収容空
間30に収容した該物品90の弾力的な挟持、等を可能
とすることを前提とした場合、両方の物品保持部18,
18が何れも弾性変形する必要はなく、少なくとも何れ
か一方の物品保持部18が弾性変形可能となっていれば
よい。
【0039】更に、前記実施例に例示した物品保持部1
8,18は、ダクト壁部16,16の端縁に沿って該ダク
ト壁部16の長さと同一または略同一に形成した場合を
例示した。しかし、ワイヤーハーネス等の長尺態様の物
品90を固定保持するには、図10または図11に示す
如く、物品保持部18,18の長さを短く設定(例えば5
0〜100mm程度)したもとで、これをダクト壁部1
6の端縁に沿って所要間隔毎に複数個形成するようにし
てもよい。
【0040】ここで図10は、第1ダクト部材10に設
けた各物品保持部18および第2ダクト部材12に設け
た各物品保持部18を、各々が対向した位置に対応的に
形成した態様を例示したものである。また図11は、前
記第1ダクト部材10に設けた各物品保持部18および
前記第2ダクト部材12に設けた各物品保持部18を、
各々が互い違いとなるように形成した態様を例示したも
のである。なお、図10および図11に示した夫々の物
品保持部18,18の態様では、長尺態様をなす物品9
0のみならず、比較的全長が短い物品90の挟持も可能
である。
【0041】また図12は、変更例に係るダクトDの構
成を例示した概略断面図である。このダクトDでは、前
記第1ダクト部材10および第2ダクト部材12の内側
に形成した第1ウレタン層20および第2ウレタン層2
2を、前記ダクト壁部16の内側に形成されたダクト面
部24と、このダクト面部24の側縁に沿って形成され
た鍔部26,26とから構成したものである。そして、
前記各々の鍔部26,26同士を対向的に接着すること
で、前記第1ダクト部材10および第2ダクト部材12
の接合を図るようになっている。このような変更例のダ
クトDは、前記物品保持部18,18の内側に物品保持
面部28,28を必要としない場合に好適であり、ダク
トDに要求される断熱性能や吸音性能は前述した実施例
のものと同等となっている。
【0042】このような変更例のダクトDを成形するに
は、第1成形型42にセットした第1ダクト部材10の
内側に第1ウレタン層20を成形するに際し(図5)、該
第1ダクト部材10における前記ダクト壁部16の外面
(内側)およびその周辺部位に前記ウレタン材料Uを吹付
けることで、ダクト面部24および鍔部26,26だけ
を成形し得る。同様に、第2成形型44にセットした第
2ダクト部材12の内側に第2ウレタン層22を成形す
るに際し、該第2ダクト部材12における前記ダクト壁
部16の外面(内側)およびその周辺部位に前記ウレタン
材料Uを吹付けることで、ダクト面部24および鍔部2
6,26だけを成形し得る。
【0043】また、前記実施例および変更例の各々のダ
クトDでは、図13に例示する如く、前記第1ダクト部
材10および/または第2ダクト部材12における他方
の端縁部に、前記インストルメントパネル60の裏側所
要位置に当該ダクトDを取付ける際に供される取付ブラ
ケット32を一体的に設けることも可能である(図13
では、第2ダクト部材12の端縁部に取付ブラケット3
2を設けた場合を例示している)。このような態様は、
前記第1ダクト部材10および/または第2ダクト部材
12を、その端縁部を延長させた形状で予備成形するこ
とで容易に実施可能である。
【0044】ここで、多数の機器や部品等を搭載した前
記インストルメントパネル60の裏側の狭い空間に配設
される実際のダクトは、図1に示した単純形状を呈する
ことは少なく、実際には曲面や凹凸面を有する複雑な外
面形状となる場合が多い。しかしながら前述したウレタ
ンスプレー成形技術では、曲面形状や凹凸形状に成形さ
れた前記第1ダクト部材10および第2ダクト部材12
の外面(内側)に対し、前記スプレーガン50によりウレ
タン材料Uを適切に吹付けることが可能であるから、曲
面や凹凸面を有する複雑な外面形状を有する第1ウレタ
ン層20および第2ウレタン層22を好適に成形し得
る。従って、第1ウレタン層20と第1ダクト部材10
とを全面的に密着した状態で成形し得ると共に、第2ウ
レタン層22と第2ダクト部材12とを全面的に密着し
た状態で成形し得る。すなわち、断熱性能や防音性能に
優れたゴム、プラスチックまたはウレタン等の樹脂から
なる発泡体シートを貼着する必要がないので、図14お
よび図15に示した従来のダクトDに内在していた不都
合が好適に解決される。
【0045】なお本願のダクトDは、前記インストルメ
ントパネル60の裏側に配設されるものに限定されるも
のではなく、これ以外にフロアコンソール、ルーフパネ
ル等の各種車両内装部材の裏側に配設されるものも対象
とされる。
【0046】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るダクト
によれば、該ダクトの内側を全面的に覆っているウレタ
ン層が断熱性能に優れているので、当該ダクトの内部と
外部との温度差が大きい場合でも結露し難くなってい
る。また前記ウレタン層は吸音性能も優れているので、
ダクトの周囲に配設した車載機器や物品等の接触により
発生した異音を好適に吸収して伝播させない。更には、
エアコンユニットの運転作動音をも吸収するので、この
運転作動音が乗員室内へ洩れることをも防止し得る。従
ってダクトの外面または内面に、断熱性能や防音性能に
優れた発泡体シート等を別途貼着する必要がなく、結露
防止や吸音効果等を高める対応策を講ずるためにコスト
が嵩むこともない。また、ダクトの外側を全面的に覆っ
ているダクト部材は、これ自体が適度の剛性を有してい
るので、ダクト自体が適度の強度を具有して変形し難く
なっている。更に、ダクト部材に一体的に設けた物品保
持部により、ワイヤーハーネス等の物品を好適に保持し
得る利点もある。
【0047】また、別の発明に係るダクトの成形方法に
よれば、第1ダクト部材の内側における第1ウレタン層
の成形作業および第2ダクト部材の内側における第2ウ
レタン層の成形作業、第1ダクト部材と第1ウレタン層
とのおよび第2ダクト部材と第2ウレタン層との接着作
業、第1ダクト部材と第2ダクト部材との接合作業を、
夫々連続した一連の工程として行なうことができるの
で、ダクトの成形作業の簡素化および合理化が図られて
成形コスト低減を図り得る利点がある。また、第1ダク
ト部材と第2ダクト部材の接合に際して別途の接着剤等
を一切使用しないから、これにより一層の成形コスト低
減が可能となる。一方、ダクトの成形作業と同時に、ワ
イヤーハーネス等の物品を固定保持可能な物品保持部を
設けることが可能であるから、成形作業の更なる簡素化
および合理化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施例に係るダクトを、簡略化し
た単純形状で示す概略斜視図である。
【図2】図1に示したダクトを、各々の構成部材を分離
した状態で示す概略斜視図である。
【図3】図1に示したダクトを成形するためのダクト成
形型を、第1成形型と第2成形型とを型開きした状態で
示す説明断面図である。
【図4】予備成形した第1ダクト部材を第1成形型の成
形面にセットすると共に、予備成形した第2ダクト部材
を第2成形型の成形面にセットする状態を示す説明断面
図である。
【図5】第1成形型にセットした第1ダクト部材の外面
(内側)にウレタン材料を吹付けて第1ウレタン層を予備
成形すると共に、第2成形型にセットした第2ダクト部
材の外面(内側)にウレタン材料を吹付けて第2ウレタン
層を予備成形している状態を示す説明断面図である。
【図6】両成形型に吹付けたウレタン材料のうち、少な
くとも一方のウレタン材料が硬化する前に、第2成形型
を第1成形型に型閉めして第1ウレタン層および第2ウ
レタン層の鍔部同士を密着させ、該ウレタン材料が硬化
する際の接着力により第1ダクト部材と第2ダクト部材
とを対応的に接合する状態を示す説明断面図である。
【図7】第1ウレタン層および第2ウレタン層の成形完
了後に第1成形型から第2成形型を型開きし、成形され
たダクトを脱型する状態を示す説明断面図である。
【図8】脱型後に相互接着した鍔部の不要部分を適宜に
切除することで、ダクトの成形が完了した状態を示す説
明断面図である。
【図9】ダクトの側方に一体的に設けた物品保持部によ
り、ワイヤーハーネス等の物品を挟持的に固定する状態
を示す説明断面図である。
【図10】長さを短く設定した物品保持部をダクト壁部
の端縁に沿って所要間隔毎に複数個形成することを前提
として、第1ダクト部材に設けた各物品保持部および第
2ダクト部材に設けた各物品保持部を、夫々が対向した
位置に対応的に形成した態様を例示した概略斜視図であ
る。
【図11】長さを短く設定した物品保持部をダクト壁部
の端縁に沿って所要間隔毎に複数個形成することを前提
として、第1ダクト部材に設けた各物品保持部および第
2ダクト部材に設けた各物品保持部を、各々が互い違い
となるように形成した態様を例示した概略斜視図であ
る。
【図12】第1ダクト部材の内側に形成した第1ウレタ
ン層および第2ダクト部材の内側に形成した第2ウレタ
ン層を、ダクト壁部およびその周辺部位だけに設けるよ
うにした変更例のダクトを示す説明断面図である。
【図13】第2ダクト部材の端縁部に、車両内装部材へ
取付ける際に供される取付ブラケットを一体的に設けた
ダクトを示す説明断面図である。
【図14】ブロー成形製の中空体からなるダクトを、車
両内装部材であるインストルメントパネルの内側に組付
けた状態を示す断面図である。
【図15】インストルメントパネルの基材および該基材
に接合した樋状部材により形成されるダクトを、車両内
装部材であるインストルメントパネルの内側に設けた状
態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 第1ダクト部材,12 第2ダクト部材,16
ダクト壁部,18 物品保持部,18a 端縁部,20
第1ウレタン層,22 第2ウレタン層,24 ダク
ト面部,26 鍔部,28 物品保持面部,42 第1
成形型,42a 成形面,44 第2成形型,44a
成形面,60 インストルメントパネル(車両内装部
材),68 空気吹出口,70 エアコンユニット,9
0 物品,S 間隙,U ウレタン材料,WH ワイヤ
ーハーネス

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両搭載のエアコンユニット(70)からの
    調温空気を、車両内装部材(60)に設けた空気吹出口(68)
    へ案内するダクトにおいて、 適宜の剛性を有する素材を予備成形して、ダクト半体を
    なすダクト壁部(16)および該ダクト壁部(16)の側縁から
    延出した物品保持部(18)を一体的に設けた第1ダクト部
    材(10)と、 適宜の剛性を有する素材を予備成形して、ダクト半体を
    なすダクト壁部(16)および該ダクト壁部(16)の側縁から
    延出した物品保持部(18)を一体的に設けた第2ダクト部
    材(12)と、 前記第1ダクト部材(10)の内側でウレタン材料(U)を硬
    化させることで所要厚に形成された第1ウレタン層(20)
    と、 前記第2ダクト部材(12)の内側でウレタン材料(U)を硬
    化させることで所要厚に形成された第2ウレタン層(22)
    とからなり、 前記ウレタン材料(U)が硬化する際の接着力により、前
    記第1ダクト部材(10)および第2ダクト部材(12)を長手
    方向へ対応的に接合し、前記各々のダクト壁部(16/16)
    により前記ダクトを形成すると共に、このダクトの側方
    へ対向的に延出した前記各々の物品保持部(18/18)によ
    り適宜物品(90)を挟持的に固定可能としたことを特徴と
    するダクト。
  2. 【請求項2】 前記第1ウレタン層(20)および第2ウレ
    タン層(22)は、前記ダクト壁部(16/16)の内側に形成さ
    れたダクト面部(24)と、このダクト面部(24)の側縁に沿
    って形成された鍔部(26)とからなり、第1ウレタン層(2
    0)の鍔部(26)および第2ウレタン層(22)の鍔部(26)が対
    向的に接着することで、前記第1ダクト部材(10)および
    第2ダクト部材(12)の接合が図られる請求項1記載のダ
    クト。
  3. 【請求項3】 前記第1ウレタン層(20)および第2ウレ
    タン層(22)は、前記ダクト壁部(16/16)の内側に形成さ
    れたダクト面部(24)と、このダクト面部(24)の側縁に沿
    って形成された鍔部(26)と、前記物品保持部(18)の内側
    に形成された物品保持面部(28)とからなり、第1ウレタ
    ン層(20)の鍔部(26)および第2ウレタン層(22)の鍔部(2
    6)が対向的に接着することで、前記第1ダクト部材(10)
    および第2ダクト部材(12)の接合が図られる請求項1記
    載のダクト。
  4. 【請求項4】 前記物品保持部(18/18)は、少なくとも
    何れか一方が対応の前記ダクト壁部(16/16)との接合部
    位を基端とした弾性変形が許容され、弾性変形した両物
    品保持部(18/18)の端縁部(18a/18a)間に画成される間隙
    (S)を介して前記物品(90)の着脱が図られる請求項1〜
    3の何れかに記載のダクト。
  5. 【請求項5】 前記物品保持部(18/18)は、前記物品(9
    0)を弾力的に挟持し得るようになっている請求項4記載
    のダクト。
  6. 【請求項6】 前記物品保持部(18/18)は、前記ダクト
    壁部(16/16)の端縁に沿って該ダクト壁部(16/16)の全長
    と同一または略同一の長さ形成されている請求項1〜5
    の何れかに記載のダクト。
  7. 【請求項7】 前記物品保持部(18/18)は、前記ダクト
    壁部(16/16)の端縁に沿って所要間隔毎に複数個形成さ
    れている請求項1〜5の何れかに記載のダクト。
  8. 【請求項8】 前記物品(90)は、種々の車載電子機器を
    電気的に接続するワイヤーハーネス(WH)等である請求項
    1〜7の何れかに記載のダクト。
  9. 【請求項9】 前記ウレタン材料(U)は発泡ソフトタイ
    プである請求項1〜5の何れかに記載のダクト。
  10. 【請求項10】 車両搭載のエアコンユニット(70)から
    の調温空気を、車両内装部材(60)に設けた空気吹出口(6
    8)へ案内するダクトの成形方法において、 適宜の剛性を有する素材を予備成形して、ダクト半体を
    なすダクト壁部(16)および該ダクト壁部(16)の側縁から
    延出した物品保持部(18)を一体的に設けた第1ダクト部
    材(10)を、第1成形型(42)における成形面(42a)の所要
    位置にセットすると共に、 適宜の剛性を有する素材を予備成形して、ダクト半体を
    なすダクト壁部(16)および該ダクト壁部(16)の側縁から
    延出した物品保持部(18)を一体的に設けた第2ダクト部
    材(12)を、前記第1成形型(42)に型閉め可能に設けた第
    2成形型(44)における成形面(44a)の所要位置にセット
    し、 前記第1成形型(42)の成形面(42a)および該成形面(42a)
    にセットした前記第1ダクト部材(10)の外面にウレタン
    材料(U)を吹付け、所要厚の第1ウレタン層(20)を予備
    成形すると共に、 前記第2成形型(44)の成形面(44a)および該成形面(44a)
    にセットした前記第2ダクト部材(12)の外面にウレタン
    材料(U)を吹付け、所要厚の第2ウレタン層(22)を予備
    成形し、 前記夫々の成形型(42,44)に吹付けたウレタン材料(U,U)
    のうち、少なくとも一方のウレタン材料(U)が完全に硬
    化する前に両成形型(42,44)を相互に型閉めして、前記
    第1ウレタン層(20)および第2ウレタン層(22)の一部を
    対応的に密着させ、 前記ウレタン材料(U)が硬化する際の接着力により、前
    記第1ダクト部材(10)および第2ダクト部材(12)を長手
    方向へ対応的に接合させ、前記各々のダクト壁部(16/1
    6)により前記ダクトを形成すると共に、このダクトの側
    方へ対向的に延出した前記各々の物品保持部(18/18)に
    より適宜物品(90)を挟持的に固定可能とするようにした
    ことを特徴とするダクトの成形方法。
  11. 【請求項11】 前記ダクト壁部(16/16)の内側および
    その周辺部位に前記ウレタン材料(U)を吹付けること
    で、前記第1ウレタン層(20)および第2ウレタン層(22)
    を、前記ダクト壁部(16)の内側に形成されたダクト面部
    (24)と、このダクト面部(24)の側縁に沿って形成された
    鍔部(26)とに構成するようにした請求項10記載のダク
    トの成形方法。
  12. 【請求項12】 前記ダクト壁部(16/16)の内側から前
    記物品保持部(18/18)の内側に亘って前記ウレタン材料
    (U)を全面的に吹付けることで、前記第1ウレタン層(2
    0)および第2ウレタン層(22)を、前記ダクト壁部(16)の
    内側に形成されたダクト面部(24)と、このダクト面部(2
    4)の側縁に沿って形成された鍔部(26)と、前記物品保持
    部(18)の内側に形成された物品保持面部(28)とに構成す
    るようにした請求項10記載のダクトの成形方法。
  13. 【請求項13】 前記第1成形型(42)および第2成形型
    (44)を相互に型閉めした際に、前記第1ウレタン層(20)
    の鍔部(26)および第2ウレタン層(22)の鍔部(26)が対向
    的に接着することで、前記第1ダクト部材(10)および第
    2ダクト部材(12)の接合が図られる請求項11または1
    2記載のダクトの成形方法。
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