JP2003321788A - 塗装前処理装置 - Google Patents

塗装前処理装置

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JP2003321788A
JP2003321788A JP2002125102A JP2002125102A JP2003321788A JP 2003321788 A JP2003321788 A JP 2003321788A JP 2002125102 A JP2002125102 A JP 2002125102A JP 2002125102 A JP2002125102 A JP 2002125102A JP 2003321788 A JP2003321788 A JP 2003321788A
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JP
Japan
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chemical conversion
tank
water
degreasing
treatment liquid
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Application number
JP2002125102A
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English (en)
Inventor
Hideaki Yaegashi
英明 八重樫
Hiroyuki Kishi
博之 岸
Osamu Tanaka
修 田中
Masahiro Obika
正弘 小比賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】処理工程の短縮による省スペース化、設備費、
生産性、薬剤費、管理工数、排水処理負担の低減できる
塗装前処理装置を提供する。 【解決手段】脱脂兼化成処理液が満たされる処理槽1
と、処理槽内の脱脂兼化成処理液を循環させて処理槽に
戻す第1の循環系11と、循環系に設けられ脱脂兼化成
処理液に含まれる塵埃を除去する塵埃除去装置2と、循
環系に設けられ脱脂兼化成処理液に含まれる化成スラッ
ジを除去する化成スラッジ除去装置3と、循環系に設け
られ脱脂兼化成処理液に含まれる油分を除去する油分除
去装置4と、循環系に設けられ新規な脱脂兼化成処理液
を処理槽に補給する処理液補給槽と、循環系に設けられ
脱脂兼化成処理液内の水成分と極性有機溶剤とを分離し
て極性有機溶剤成分を循環系に戻す水−極性有機溶剤分
離装置5と、循環系に設けられ水−極性有機溶剤分離装
置により分離された水成分からイオン成分を除去し残余
の水を処理液補給槽6に戻すイオン除去装置7と、イオ
ン除去装置7により分離された水に磁場を付与する磁場
発生装置81とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防錆油、プレス
油、切削油等の油分が付着した金属表面に対し、脱脂処
理〜リン酸亜鉛化成処理までの塗装前処理を同一工程に
て実施する際に用いられる塗装前処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、鉄または亜鉛系めっきが施された
金属表面に対して、防錆性や塗装性を付与するためにリ
ン酸亜鉛化成処理が広く行われている。
【0003】この種のリン酸亜鉛処理の一般的な処理工
程は、脱脂→水洗→表面調整→化成処理(リン酸亜鉛処
理)→水洗→乾燥の順でそれぞれの処理が行われる。な
お、脱脂処理、脱脂水洗、表面調整は、必要に応じて多
段工程で行われる。
【0004】ところで、この化成処理工程で得られるリ
ン酸亜鉛化成処理皮膜が、塗装下地として優れた防錆性
及び塗装性を有するためには、皮膜重量が2〜5g/m
程度の均一かつ緻密な結晶皮膜であることが望まし
い。こうした結晶皮膜を実現するためには、特に皮膜析
出には、金属表面に付着している油分を除去する脱脂工
程が必須であり、皮膜結晶の緻密化には、チタンコロイ
ド系の処理液を用いた表面調整工程が必須であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなリン酸亜鉛処理を実施する場合、一般的に以下
の3つの問題点があった。
【0006】第1の問題として、全処理工程が非常に長
くなることが挙げられる。これにより処理設備が大がか
り且つ多数に及ぶようになること、また多くのスペース
が必要となるため費用がかかること、更に処理工程を全
て通過するのにかなりの時間を要するため生産性が低く
なる。
【0007】第2の問題として、管理項目が多いことが
挙げられる。例えば脱脂がアルカリ脱脂であれば、脱脂
のアルカリ度(全アルカリ、遊離アルカリ度)、チタン
コロイド系の表面調整を用いる場合には表面調整液の濃
度(全アルカリ度、チタン濃度)の管理というように、
管理すべき項目が多岐にわたり、操業上の大きな負担と
なる。しかも、個々の工程で薬剤が消費されていくた
め、コスト負担もかなり大きい。なお、脱脂液は被処理
物に付着して次工程(水洗工程)へ持ち出されることに
より消費されるとともに、定期的な廃棄更新時に消費さ
れる。また、表面調整液は、持ち出しや廃棄更新時によ
って消費され、更に、処理液の耐久性が低いために連続
的な部分更新(オートドレイン)を行う場合が多く、こ
れによっても消費される。
【0008】第3の問題として、洗浄水の排水量が多く
なる点が挙げられる。脱脂液が表面調整液やリン酸亜鉛
化成処理液に持ち込まれると不具合が生じることが多い
ため、脱脂工程の後には、必ず水洗工程が設置される。
また、リン酸亜鉛化成処理後についても、被処理物表面
に処理液が付着したままの状態では、塗装下地、防錆い
ずれの目的に用いた場合も不具合が発生するので、水洗
工程の設置は必須である。このように、脱脂後とリン酸
亜鉛化成処理後の2系統からの洗浄水が多量に排出され
ることにより、廃水処理への負担がかなり大きい。
【0009】本発明は、処理工程を短縮することによ
り、省スペース化、生産性向上、設備費・薬剤費・管理
工数・排水処理負担の大幅低減を達成できる塗装前処理
装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明の第1の観点によれば、脱脂兼化成処
理液が満たされる処理槽と、前記処理槽の後段に設けら
れ、洗浄液が満たされるリンス槽と、前記処理槽内の脱
脂兼化成処理液を吸引して前記リンス槽に供給する循環
系と、前記脱脂兼化成処理液に含まれる塵埃を除去する
塵埃除去手段と、前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化
成処理液に含まれる化成スラッジを除去する化成スラッ
ジ除去手段と、前記脱脂兼化成処理液に含まれる油分を
除去する油分除去手段と、前記循環系に設けられ、前記
脱脂兼化成処理液内の水成分と極性有機溶剤とを分離す
る水−極性有機溶剤分離手段と、前記循環系に設けら
れ、前記水−極性有機溶剤分離手段により分離された水
成分からイオン成分を除去するイオン除去手段と、前記
循環系の前記イオン除去手段の後段に設けられ、前記イ
オン除去手段によりイオン成分が除去された残余の水に
磁場を印加し、当該水を前記リンス槽に戻す磁場印加手
段と、を備えた塗装前処理装置が提供される(請求項1
参照)。
【0011】本発明では、塵埃、油分、極性有機溶剤、
イオンが除去された残余の水に、さらに磁場を印加して
リンス槽へ戻す。これにより、リンス槽内の洗浄水の洗
浄力が強まり、洗浄されるワークの洗浄効果を向上させ
ることができる。
【0012】さらに、処理槽内の脱脂兼化成処理液は、
循環系によって吸引され、水−極性有機溶剤分離手段に
よって水成分が抽出され、さらにこの水成分からイオン
除去手段によってイオン成分が除去されるので、純水を
リンス槽へ供給することができる。これにより、処理液
のクローズド化が達成でき、再生率が向上して、材料費
の低減によるコストダウンと廃水処理工程の負担軽減と
を図ることができる。
【0013】また、本発明の処理槽には脱脂兼化成処理
液が満たされているので、最小の一工程でワークの脱脂
処理と化成処理を行うことができる。これにより、装置
設置スペースを省スペース化することができると同時
に、設備費を低減することができる。また、工程通過時
間が短くなるので生産性が向上する。
【0014】さらに、脱脂兼化成処理液を用いることで
前処理条件の管理工数を削減することができる。また、
この脱脂兼化成処理液を用いることで水洗工程を大幅に
削減することができ、洗浄液の使用量が激減すると同時
に、廃水処理工程の負担も軽減される。
【0015】ちなみに、塵埃除去手段及び油分除去手段
は循環系に設けることができるほか、循環系以外、たと
えば処理槽内または処理槽外にも設けることができる。
塵埃除去手段及び油分除去手段を循環系に設けた場合に
は、処理槽内の処理液は、処理槽→塵埃除去手段→スラ
ッジ除去手段→油分除去手段→水−極性有機溶剤分離手
段→イオン除去手段→磁場印加手段→リンス槽と循環さ
れる。なお、上記発明において、塵埃除去手段、スラッ
ジ除去手段および油分除去手段の順序は特に限定され
ず、上述した順序以外の順序であっても良い。
【0016】(2)上記目的を達成するために、本発明
の第2の観点によれば、脱脂兼化成処理液が満たされる
処理槽と、前記処理槽の後段に設けられ、洗浄液が満た
されるリンス槽と、前記処理槽内の脱脂兼化成処理液を
吸引して前記リンス槽に供給する循環系と、前記循環系
に設けられ、前記脱脂兼化成処理液に含まれる塵埃を除
去する塵埃除去手段と、前記循環系に設けられ、前記脱
脂兼化成処理液に含まれる化成スラッジを除去する化成
スラッジ除去手段と、前記循環系に設けられ、前記脱脂
兼化成処理液に含まれる油分を除去する油分除去手段
と、前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液内の
水成分と極性有機溶剤とを分離する水−極性有機溶剤分
離手段と、前記循環系に設けられ、前記水−極性有機溶
剤分離手段により分離された水成分からイオン成分を除
去するイオン除去手段と、前記循環系の前記イオン除去
手段の後段に設けられ、前記イオン除去手段によりイオ
ン成分が除去された残余の水に磁場を印加し、当該水を
前記リンス槽に戻す磁場印加手段と、前記リンス槽内の
液を吸引して、前記塵埃除去手段、化成スラッジ除去手
段及び油分除去手段のうちの最上流の手段へ導く他の循
環系と、を備えた塗装前処理装置が提供される(請求項
4参照)。
【0017】本発明では、塵埃、油分、極性有機溶剤、
イオンが除去された残余の水に、さらに磁場を印加して
リンス槽へ戻す。これにより、リンス槽内の洗浄水の洗
浄力が強まり、洗浄されるワークの洗浄効果を向上させ
ることができる。
【0018】さらに、処理槽内の処理液は、処理槽→塵
埃除去手段→スラッジ除去手段→油分除去手段→水−極
性有機溶剤分離手段→イオン除去手段→磁場印加手段→
リンス槽と循環される一方で、リンス槽内の液は、リン
ス槽→塵埃除去手段→スラッジ除去手段→油分除去手段
→水−極性有機溶剤分離手段→イオン除去手段→磁場印
加手段→リンス槽と循環される。
【0019】本発明では、上述した第1の観点による発
明の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すな
わち本発明では、処理槽内の脱脂兼化成処理液は、循環
系によって吸引されリンス槽へ供給される一方で、リン
ス槽内の液は、他の循環系によって吸引され、塵埃除去
手段、化成スラッジ除去手段及び油分除去手段のうちの
最上流の手段へ導かれる。
【0020】これにより、リンス槽内の液から塵埃、ス
ラッジおよび油分を除去できるとともに、当該液に含ま
れる水に磁場を印加してリンス槽へ戻すことができる。
すなわち、処理液に加えてリンス槽内の液のクローズド
化も達成でき、材料費の低減によるコストダウンと廃水
処理工程の負担軽減とを図ることができる。
【0021】なお、上記発明において、塵埃除去手段、
スラッジ除去手段および油分除去手段の順序は特に限定
されず、上述した順序以外の順序であっても良い。
【0022】(3)上記目的を達成するために、本発明
の第3の観点によれば、脱脂兼化成処理液が満たされる
処理槽と、前記処理槽の後段に設けられ、洗浄液が満た
されるリンス槽と、前記処理槽に脱脂兼化成処理液を補
給する処理液補給槽と、前記処理槽及び前記リンス槽の
液を減圧蒸留法を用いて極性有機溶剤、水及び残余の汚
泥に分離する減圧蒸留手段と、前記減圧蒸留手段と前記
リンス槽との間に設けられ、前記減圧蒸留手段により分
離された水に磁場を印加する磁場印加手段と、を備え、
前記減圧蒸留手段により分離された極性有機溶剤を前記
処理液補給槽へ供給し、前記磁場が印加された水を前記
リンス槽へ供給する塗装前処理装置が提供される(請求
項14参照)。
【0023】本発明では、有機溶剤、汚泥が分離された
水に、さらに磁場を印加してリンス槽へ戻す。これによ
り、リンス槽内の洗浄水の洗浄力が強まり、洗浄される
ワークの洗浄効果を向上させることができる。
【0024】さらに、処理槽内の脱脂兼化成処理液及び
リンス槽内の液は、減圧蒸留手段により、極性有機溶剤
と水と残余の汚泥とに分離され、極性有機溶剤は処理液
補給槽へ供給され、水はリンス槽へ供給されるので、処
理液のクローズド化が達成でき、材料費の低減によるコ
ストダウンを図ることができる。
【0025】特に上述した発明に比べて、減圧蒸留手段
のみによって、極性有機溶剤と水と残余の汚泥とに分離
できるので、システム構成が簡素化され、省スペース化
及びコストダウンがより期待できる。
【0026】ちなみに、上述した発明と同様、本発明の
処理槽には脱脂兼化成処理液が満たされているので、最
小の一工程で被処理物の脱脂処理と化成処理を行うこと
ができる。これにより、装置設置スペースを省スペース
化することができると同時に、設備費を低減することが
できる。また、工程通過時間が短くなるので生産性が向
上する。
【0027】また、脱脂兼化成処理液を用いることで前
処理条件の管理工数を削減することができる。また、こ
の脱脂兼化成処理液を用いることで水洗工程を大幅に削
減することができ、洗浄液の使用量が激減すると同時
に、廃水処理工程の負担も軽減される。
【0028】(4)上記発明において、特に限定されな
いが、脱脂兼化成処理液としては、アルコール、グリコ
ールエーテルまたはジエチレングリコールエーテル系の
極性有機溶剤と、水と、亜鉛イオンと、リン酸イオン
と、マンガンイオンと、ニッケルイオンと、ナトリウム
イオンとを少なくとも含むことが、より好ましい(請求
項16参照)。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、磁場が印加された水を
リンス槽に戻すため、リンス槽の洗浄液の洗浄力が強化
され、ワークの洗浄効果を向上させることができる。
【0030】また、前処理液のクローズド化が達成でき
るので、材料費の低減によるコストダウンと、廃水処理
工程の負担軽減とを図ることができる。
【0031】さらに、最小の一工程にて脱脂処理と化成
処理を行うことができ、装置設置スペースを省スペース
化することができると同時に、設備費を低減することが
できる。さらに、工程通過時間が短くなるので生産性が
向上する。
【0032】加えて、脱脂兼化成処理液を用いることで
前処理条件の管理工数を削減することができる。また、
この脱脂兼化成処理液を用いることで水洗工程を大幅に
削減することができ、洗浄液の使用量が減少することに
より廃水処理工程の負担が軽減される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。第1実施形態 図1は本発明の塗装前処理装置の実施形態を示す図、図
2は本発明に係る塵埃除去手段の実施形態を示す斜視図
および断面図、図3は本発明に係る塵埃除去手段の他の
実施形態を示す斜視図、図4は本発明に係る塵埃除去手
段のさらに他の実施形態を示す断面図、図5は本発明に
係る水−極性有機溶剤分離手段の実施形態を示す概念
図、図6は本発明に係るイオン除去手段の実施形態を示
す概念図、図7は本発明に係る磁場印加手段の実施形態
を示す概念図である。
【0034】図1は、たとえば自動車ボディなどの被塗
装物に対し、脱脂処理、表面調整及び化成処理を行う塗
装前処理工程を示している。同図に示すように、自動車
ボディ9は、ハンガに搭載された状態で塗装搬送ライン
10によって搬送される。本実施形態では、塗装搬送ラ
イン10に沿って2つのディッピング槽1,8が設けら
れ、図に矢印で示す搬送方向の上流側が脱脂処理及び化
成処理処理を行うための処理槽1(以下、脱脂化成処理
槽1ともいう。)であり、下流側が処理後のボディ9を
洗浄するためのリンス槽8である。処理槽1には脱脂兼
化成処理液が満たされ、リンス槽8には純水が満たされ
ている。
【0035】本例で用いられる脱脂兼化成処理液は、脱
脂処理、表面調整および化成処理といった3種類の処理
を同一工程で行うことができる処理液である。こうした
脱脂兼化成処理液としては、例えば、アルコール、グリ
コールエーテルまたはジエチレングリコールエーテル系
の極性有機溶剤と、水と、亜鉛イオンと、リン酸イオン
と、マンガンイオンと、ニッケルイオンと、ナトリウム
イオンとを少なくとも含む処理液を用いることができ
る。この処理液を用いることにより、脱脂工程、表面調
整工程及び化成工程がまとめて1つの工程で同時に行う
ことができ、大幅な処理工程の短縮、処理設備の簡略
化、省スペース化、生産性の向上、薬剤コストの低減、
薬剤管理の簡略化を図ることができる。
【0036】図1に示すように、脱脂化成処理槽1に
は、当該脱脂化成処理槽1内の処理液をポンプ14によ
り吸引して、再び脱脂化成処理槽1へ戻すように循環さ
せる循環系11が設けられ、この循環系11に、上流側
から順に、塵埃除去装置2、化成スラッジ除去装置3、
油分除去装置4が設けられている。
【0037】塵埃除去装置2は、脱脂化成処理槽1内の
処理液およびリンス槽8内の洗浄液に含まれた鉄粉等の
ゴミブツを除去するもので、除去されたゴミブツは廃棄
され、ゴミブツが除去された処理液は次の化成スラッジ
除去装置3に送られる。本例の塵埃除去装置2として用
いることのできる具体的装置として、セットリングタン
ク、遠心式セパレータ、マグネット式セパレータを挙げ
ることができる。以下、各々について説明する。
【0038】塵埃除去装置2の一例としてのセットリン
グタンク21は、図2に示すように、タンク211内に
流路212を蛇行させる仕切り板213が設けられたも
のであり、入口214から入った処理液は、仕切板21
3によりタンク内部を蛇行し、出口215に至ることに
なる。このとき、処理液の上昇流速を鉄粉等のゴミブツ
の沈降速度よりも抑えることで、タンク211の底面に
鉄粉等のゴミブツを堆積させ、処理液のクリーン化を図
ることができる。なお、セットリングタンク21は簡易
な装置として廉価であり、処理液中に浮遊する軽いゴミ
以外の比較的重いゴミに対して効果的である。
【0039】塵埃除去装置2の他例としての遠心式セパ
レータ22は、図3に示すように、入口221から入っ
た処理液と鉄粉等のゴミブツを、接線方向に設けられた
スリット状の特殊回転機構222を通過させることによ
り加速させ、液体より重い固形物(ゴミブツ)を遠心力
により内壁に沿って下部のコレクションチャンバー22
3に分離し、固形分出口224から排出する一方で、処
理液を内側管225から上昇せしめて処理液出口226
から排出する。これにより、処理液のクリーン化を図る
装置である。
【0040】塵埃除去装置2の他例としてのマグネット
式セパレータ23は、図4に示すように、磁石が内蔵さ
れたドラム231を図の矢印方向に回転させながら、入
口232から処理液を導入し、この処理液がドラム23
1に接する流路233を通過する際に、鉄分のような磁
性のあるゴミブツを除去する装置である。ドラム231
に磁力によって付着したゴミブツはスクレーパ234に
より掻き取られる一方で、ゴミブツが除去された処理液
は出口235から排出される。
【0041】なお、上述した塵埃除去装置21,22,
23は、単独でも複合でも用いることができ、特に、セ
ットリングタンク21とマグネット式セパレータ23の
組み合わせたものは、ゴミブツの除去率が高く、最も好
ましい。
【0042】ただし、本発明に係る塵埃除去手段は、上
述した3形態にのみ限定される趣旨ではなく、その他の
形態のものも含まれる。また、本例の塵埃除去装置2は
循環系11に設けたが、本発明に係る塵埃除去手段は循
環系11に設けるほか、脱脂化成処理槽1そのものの内
部又は外部に設けることも含む趣旨である。
【0043】図1に戻り、化成スラッジ除去装置3は、
上述した塵埃除去装置2を通過した処理液に含まれる化
成スラッジを除去するもので、除去された化成スラッジ
は廃棄され、化成スラッジが除去された処理液は、次の
油分除去装置4へ送られる。この化成スラッジ除去装置
3としては、図1に示す脱脂化成処理槽1中の処理液の
スラッジ濃度が、150ppm以内に抑制され、処理液
を汚染することのないようなフィルターであれば、特に
限定されず用いることができる。
【0044】油分除去装置4は、上述した化成スラッジ
除去装置3を通過した処理液に含まれる油分を除去する
もので、除去された油分は廃棄され、油分が除去された
処理液は、処理液補給槽6および水−極性有機溶剤分離
装置5へ送られる。
【0045】本発明にて用いることができる油分除去装
置4としては、加温式油分除去装置、コアレッサー式油
分除去装置、限外濾過式油分除去装置を挙げることがで
きる。このうちの加温式油分除去装置は、ノニオン系界
面活性剤が脱脂成分として含有されている水溶液に適用
して好ましいもので、これを特定温度以上に加熱する
と、それ自身が水に不溶化し、非イオン性界面活性剤か
らなる油相と水相との2相に油水分離するといった、ノ
ニオン系界面活性剤の特徴を利用した油分除去装置であ
る。
【0046】また、コアレッサー式油分除去装置は、水
溶液中に数μmの大きさで分散している油滴をフィルタ
ーを通過させることにより水−油のエマルションを破壊
することで、油滴を拡大成長させ、浮上回収することが
可能な油分除去装置である。
【0047】限外濾過式油分除去装置は、限外濾過、即
ち、0.01〜0.001μm程度のメッシュからなる
フィルターを用い、0.5〜5×10−5Pa程度の低
圧力にて加圧もしくは吸引濾過することで、コロイド粒
子を溶媒から分離する濾過方法を用いた油分除去装置で
ある。
【0048】これらの油分除去装置4は、要求される油
水分離度合いにより選択し、単独でも複合でも用いるこ
とができる。
【0049】図1に示すように、循環系11の油分除去
装置4の下流側には、処理液補給槽6、水−極性有機溶
剤分離装置5およびイオン除去装置7、磁場印加装置8
0が設けられている。
【0050】処理液補給槽6は、塵埃除去装置2、化成
スラッジ除去装置3および油分除去装置4を通過してゴ
ミブツ、化成スラッジおよび油分が除去された脱脂化成
処理液が一時的に貯留されるもので、これ以外にも、後
述する水−極性有機溶剤分離装置5によって水分が除去
された極性有機溶剤と、イオン除去装置7によってイオ
ン成分が除去された水が供給される。そして、新規な脱
脂兼化成処理液が収容された処理液タンク15からポン
プ16によって新規な脱脂兼化成処理液が補給及び調整
されて、脱脂化成処理槽1に戻される。
【0051】水−極性有機溶剤分離装置5は、油分除去
装置4を通過した処理液から水成分と極性有機溶剤成分
とを分離するもので、分離された水成分はイオン除去装
置7へ供給され、分離された極性有機溶剤成分は処理液
補給槽6へ供給される。
【0052】本例にて使用される脱脂兼化成処理液に含
まれる極性有機溶媒としては、上述したようにアルコー
ル、グリコールエーテル、ジエチレングリコールエーテ
ル系であり、本例の水−極性有機溶剤分離装置5として
は、これらの極性有機溶媒と水とを効率よく、且つ安価
で分離できる方法を用いることが望ましい。こうした分
離方法としては、パーベーパレーションと呼ばれる分離
方法を挙げることができる。これは、図5に示すように
選択透過性を有する分離膜51(非多孔膜:1nm以下
の孔を有する膜)の一方側(供給側)52に、分離すべ
き極性有機溶媒と水との混合液をそのまま供給し、分離
膜51の他方側(透過側)53を真空又は減圧状態にす
る。そして、供給側52と透過側53の圧力差を駆動力
として、高圧側(供給側)52から低圧側(透過側)5
3に混合液を移動させる際、物質種類毎に拡散速度が著
しく異なる選択透過性を有する分離膜51を介在させる
ことで、極性有機溶媒と水を分離させる。
【0053】上述した分離膜51としては、「支持膜上
にマイレン酸で架橋したPVA膜をのせた複合膜(特開
昭59−109204号公報)」、「K塩で処理した、
カルボキシメチルセルロース80%とポリアクリレート
20%の混合膜(J.Memb.Sci.,32,20
7(1987)」、「PNA支持膜上に架橋したPVA
膜上載せた複合膜(J.Memb.Sci.,36,4
63(1988)」、「キトサン誘導体の中空糸膜(日
化年会(1989))」、「アルギン酸コバルト膜(特
開昭61−404号公報)」、「キトサン硫酸塩膜(国
際膜学会(1987))」、「PNA基膜表面を加水分
解したポリアクリル酸とアイオネン型ポリカチオンとの
ポリイオンコンプレックス複合膜(特開平1−2240
03号公報)」などが挙げられる。
【0054】イオン除去装置7は、水−極性有機溶剤分
離装置5から供給された水成分からイオン成分を除去す
るもので、除去されたイオン成分は廃棄され、残りの水
は処理液補給槽6、磁場印加装置80へ供給される。本
例で用いられるイオン除去装置7は、特殊なものではな
く、図6に示すように、脱脂兼化成処理液中に含まれる
カチオン成分、例えば亜鉛イオン、ニッケルイオン、マ
ンガンイオンを除去できるキレート樹脂型陽イオン交換
樹脂を充填したイオン交換塔71と、脱脂兼化成処理液
中に含まれるアニオン成分、例えばリン酸根、硝酸根等
を除去できるスチレン系強塩基性陰イオン交換樹脂を充
填したイオン交換塔72を備え、更に水の純水度を高め
るために通常使用されている純水製造装置であるH型の
強酸性陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔73
と、脱炭酸塔74と、OH型のスチレン系強塩基性陰イ
オン交換樹脂を充填した陰イオン交換塔75とからなる
イオン除去装置を備えた純水製造装置である。
【0055】磁場印加装置80は、イオン除去装置7に
おいてイオンが除去された残余の水に磁場を印加し、磁
場が印加された水をリンス槽8に供給する。この磁場印
加装置80は、水に磁場を与えるものであれば良く、永
久磁石を用いたものであってもよいし、電磁誘導により
磁場を導く電磁石を用いたものであってもよい。本実施
形態の磁場印加装置80は電磁石を用いて水に磁場を印
加する。図7に示すように、この磁場印加装置80の電
磁石811と電磁石812とは、N極とS極とが対向す
るように配置されている。このため、形成される磁力線
は、イオン除去装置7から供給される水の経路、すなわ
ち水の流れに対して略直角に交わる。また、発生させる
磁場は、磁束密度が10T(テスラ)級の強磁場である
ことが好ましい。ちなみに、磁場印加装置80内に設け
られた水を案内する管は、少なくとも磁場が印加される
部分においてステンレスやセラミックス等の非磁性体で
あることが好ましい。磁場に影響を与えないようにする
ためである。
【0056】磁場印加装置80により磁場が印加される
と水のクラスター分解が起こり、水のクラスター(clus
ter:ブドウの房)分子は小さくなる。発明者らは、こ
のクラスター分解により水分子の表面積が増加すること
に着目し、リンス槽における洗浄力強化のため、リンス
槽の前段に磁場印加装置80を設けることとした。
【0057】実際に、洗浄効果の向上を確認するため
に、鋼板のぬれ性を比較した。
【0058】(1)試料の準備 (a)試験片は以下のものを準備した。 材料:冷間圧延鋼板 寸法:70mm×150mm、t(厚さ)=0.8mm (b)試験片の調整 試験片はアルカリ脱脂液を用いて脱脂処理を行う。その
後、アルコール、アセトン等の極性有機溶剤に浸漬し
た。浸漬後、極性有機溶剤から引き上げて表面をガーゼ
でふき取る。ガーゼに汚れが付着しなくなるまで浸漬と
ふき取りを繰り返し、試験片を清浄する。 (c)防錆油の塗布 防錆油は商品名ラクトクリーンK(コスモ石油(株)
製)を用いる。試験片が完全に浸る程度に容器に防錆油
を満たし、容器内の防錆油を良く攪拌する。標準状態
(温度20±5℃、相対湿度78%)で、(b)で調整
した試験片を防錆油に1分間浸した後、約100mm/
secの速さで容器から垂直に引き上げる。 (d)乾燥方法 防錆油の塗布された試験片を、標準状態(温度20±5
℃、相対湿度78%)が保たれた試験室に24時間放置
し、自然乾燥させる。
【0059】(2)評価方法 水はじき測定板により、水はじきを起こしている部分を
測定する。 水はじき測定板について: (a)材質:無色透明の材質の平板(塩ビ板等) (b)大きさ:70mm×150mm (c)測定基準:水はじき測定板を長辺(150mm)を
横にして置いたときに、長辺の左右端から15mm内側、
短辺の上端から5mm内側、短辺の下端から5mm内側の6
0mm×120mmの範囲を評価範囲とする。この評価範囲
に、幅0.1mmの刻み線で1辺が5mmの正方形の碁盤目
288個を刻む。 (d)測定方法:試験板に水はじき測定板を接近させ、
肉眼にて水はじきを起こしている碁盤目の数を数える。
区分線又は交差点から隣接する碁盤目に水はじき部がは
み出している場合は、はみ出している碁盤目の数も加算
して数える。
【0060】(3)試験方法 (a)リンス液として以下の2種類を用意した。 リンス液1(比較例):イオン交換水(1μS以下) リンス液2(実施例):イオン交換水(1μS以下)に
垂直磁場(10T)を5分間印加したもの (b)脱脂兼化成処理液を用意し、上記(1)で得られ
た試験片を所定の脱脂兼化成処理液に3分又は5分浸漬
して脱脂を行った。その後試験片を取り出して水洗し
た。 (c)(b)処理後の試験片を鉛直線に対して約10°
の傾きを持たせた状態とする。この状態を保って試験片
の両面に、霧吹きによりリンス液1(磁場印加無し)又
はリンス液2(磁場印加有り)を十分に噴霧する。 (d)(c)処理後の試験片に水はじき測定板を接近さ
せ、肉眼で水はじきを起こしている碁盤目の数を数え
る。 (e)試験は、水温25℃、標準状態(温度20±5
℃、相対湿度78%)の下で行った。
【0061】(4)試験結果 以下に試験結果を示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1に示すように、処理時間が3分の脱脂
処理、及び処理時間が5分の脱脂処理を行った試験板の
いずれにおいても、リンス液2(磁場印加有り)を噴霧
した場合の水はじきを起こしている碁盤目の数は、リン
ス液1(磁場印加無し)を噴霧した場合の水はじきを起
こしている碁盤目の数よりも少なかった。言いかえる
と、リンス液2(磁場印加有り)はリンス液1(磁場印
加無し)よりも脱脂後の試験板へのぬれ性が高く、リン
ス液2(磁場印加有り)を洗浄液として用いた場合には
リンス液1よりも高い洗浄効果を得ることができる。
【0064】また、試験結果によれば、リンス液1(磁
場印加無し)は脱脂処理時間の長さ(3分又は5分)に
かかわらずぬれ性はほぼ一定である。これに対し、リン
ス液2(磁場印加有り)は、脱脂処理時間が3分から5
分と長くなった場合に、水はじきを起こす碁盤目の数が
減少し、ぬれ性がさらに向上する傾向にある。このよう
に、リンス液2(磁場印加有り)は脱脂処理の進行に伴
いぬれ性が向上し、さらに高い洗浄効果を発揮すること
ができる。
【0065】本例の塗装前処理装置は以上の構成を有
し、以下の5つの循環系を備えている。図1に示すよう
に、まず第1の循環系11は、脱脂化成処理槽1内の処
理液が、脱脂化成処理槽1→塵埃除去装置2→化成スラ
ッジ除去装置3→油分除去装置4→処理液補給槽6→脱
脂化成処理槽1と循環する循環系である。
【0066】第2の循環系12は、脱脂化成処理槽1内
の処理液が、脱脂化成処理槽1→塵埃除去装置2→化成
スラッジ除去装置3→油分除去装置4→水−極性有機溶
剤分離装置5→イオン除去装置7→磁場印加装置80→
リンス槽8と循環する循環系である。これが請求項1記
載の循環系に相当する。
【0067】第3の循環系13は、リンス槽8内の液を
配管17及びポンプ18によって塵埃除去装置2に導
き、以後、当該塵埃除去装置2→化成スラッジ除去装置
3→油分除去装置4と循環する循環系である。
【0068】また、これに加えて以下の循環系が構成さ
れている。第4の循環系111としては、上述した第1
の循環系11、すなわち脱脂化成処理槽1→塵埃除去装
置2→化成スラッジ除去装置3→油分除去装置4→処理
液補給槽6→脱脂化成処理槽1の閉回路に、水−極性有
機溶剤分離装置5を付加し、この水−極性有機溶剤分離
装置5によって分離された極性有機溶剤を処理液補給槽
6へ供給する循環系である。
【0069】第5の循環系121としては、上述した第
2の循環系12、すなわち脱脂化成処理槽1→塵埃除去
装置2→化成スラッジ除去装置3→油分除去装置4→水
−極性有機溶剤分離装置5→イオン除去装置7→磁場印
加装置80→リンス槽8の閉回路に、処理液補給槽6を
付加し、イオン除去装置7によってイオンが除去された
純水の一部を処理液補給槽6へ供給する循環系である。
請求項2記載の循環系に相当する。
【0070】第6の循環系131としては、上述した第
3の循環系13、すなわちリンス槽8及び脱脂化成処理
槽1→塵埃除去装置2→化成スラッジ除去装置3→油分
除去装置4→処理液補給槽6→脱脂化成処理槽1の閉回
路に、水−極性有機溶剤分離装置5を付加し、この水−
極性有機溶剤分離装置5によって分離された極性有機溶
剤を処理液補給槽6へ供給する循環系である。
【0071】第7の循環系132としては、上述した第
6の循環系131、すなわちリンス槽8及び脱脂化成処
理槽1→塵埃除去装置2→化成スラッジ除去装置3→油
分除去装置4→水−極性有機溶剤分離装置5→処理液補
給槽6→脱脂化成処理槽1の閉回路に、イオン除去装置
7を付加し、水−極性有機溶剤分離装置5によって分離
された水分からイオンを除去し、イオンが除去された水
をリンス槽8へ供給する循環系である。なお、このイオ
ン除去装置7とリンス槽8の間に、水に磁場を印加する
磁場印加装置80を設けてもよい。
【0072】また、第8の循環系133としては、上述
した第6の循環系131、すなわちリンス槽8及び脱脂
化成処理槽1→塵埃除去装置2→化成スラッジ除去装置
3→油分除去装置4→水−極性有機溶剤分離装置5→処
理液補給槽6→脱脂化成処理槽1の閉回路に、イオン除
去装置7を付加し、水−極性有機溶剤分離装置5によっ
て分離された水分からイオンを除去し、イオンが除去さ
れた水を処理液補給槽6へ供給する循環系である。な
お、このイオン除去装置7とリンス槽8の間に、水に磁
場を印加する磁場印加装置80を設けてもよい。
【0073】このように、本実施形態の前処理装置は、
大きく分類すると第1乃至第3の3つの循環系、さらに
細かく分類すると8つの循環系を有するので、脱脂化成
処理槽1の処理液組成を安定させ、連続処理においても
品質ばらつきがなく良好な化成処理皮膜の生成を可能に
する。
【0074】また、第3の循環系を有することで、リン
ス槽8の洗浄水の電気伝導度を20μS/cm以下の範
囲に保ち、油分、処理液、鉄等のゴミブツが処理物の表
面に付着することが防止でき、しかも次工程への持ち出
しを極力減らすことができる。
【0075】第2実施形態 図8は本発明の塗装前処理装置の他の実施形態を示す
図、図9は本実施形態に係る減圧蒸留装置を示す概念図
である。
【0076】本実施形態の前処理装置では、上述した第
1実施形態の塵埃除去装置2,化成スラッジ除去装置
3,油分除去装置4,水−極性有機溶剤分離装置5及び
イオン除去装置7に代えて、減圧蒸留装置20が設けら
れている。さらに、減圧蒸留装置20の後段であって、
減圧蒸留装置20とリンス槽8との間には、磁場印加装
置80が設けられている。
【0077】脱脂化成処理槽1内の処理液及びリンス槽
8内の液は、ポンプ14及びポンプ18によりそれぞれ
吸引されて、減圧蒸留装置20に供給され、ここで極性
有機溶剤と水とその他の物質とが分離される。減圧蒸留
装置20で分離された極性有機溶剤は、処理液補給槽6
へ供給されるとともに、同じく減圧蒸留装置20で分離
された水の一部は処理液補給槽6へ供給され、残りの水
は磁場印加装置80へ供給され、磁場印加装置80によ
り磁化された水はリンス槽8へ供給される。
【0078】減圧蒸留装置20で分離された極性有機溶
剤及び水以外の物質とは、鉄粉などのゴミブツ、化成ス
ラッジ及び油分であり、これらの汚泥は減圧蒸留装置2
0から廃棄される。
【0079】図9に減圧蒸留装置20の概念図を示す。
減圧蒸留とは、たとえば数十〜10 −2Torr程度の
低圧にし、沸点を下げて蒸留する方法である。本例で
は、処理液から極性有機溶剤及び水を別々に分離したい
ので、同図に示すように2機の減圧蒸留装置201,2
02を設けている。何れも同じ構造であり、処理液が供
給される装置本体203を有し、この装置本体203内
は真空ポンプ204によって減圧される。また、装置本
体203内を所定の温度まで昇温するための加熱器20
5が設けられており、これにより装置本体203内に導
入された処理液が減圧状態下で加熱され、その加熱温度
を目的とする物質の沸点に設定することで、その目的物
質のみが蒸発して蒸発管206に導かれ、冷却器207
によって液化する。
【0080】上述したように、本例では、処理液から極
性有機溶剤及び水を別々に分離したいので、同図に示す
初段の減圧蒸留装置201にて極性有機溶剤のみを分離
し、これを図8に示す処理液補給槽6へ供給する。ま
た、次段の減圧蒸留装置202では、前段の減圧蒸留装
置201で残った処理液から水分のみを分離し、これを
図7に示す処理液補給槽6とリンス槽8に供給する。そ
して、減圧蒸留装置202に残ったゴミブツ、化成スラ
ッジ及び油分などの汚泥はここで廃棄する。
【0081】なお、減圧状態では沸点が低くなるので加
熱器205に供給する熱エネルギーは常圧蒸留に比べて
少なくなる。特に、加熱器205のエネルギーとして、
塗装乾燥炉からの廃熱を用いることが望ましい。
【0082】本実施形態の前処理装置によれば、減圧蒸
留装置20のみによって、処理槽1とリンス槽8の液を
回収再生することができ、第1実施形態に比べてシステ
ム全体を簡素化、低コスト化することができる。
【0083】なお、以上説明した実施形態は、本発明の
理解を容易にするために記載されたものであって、本発
明を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技
術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗装前処理装置の第1実施形態を示す
図である。
【図2】図1の塵埃除去装置の実施形態を示す斜視図お
よび断面図である。
【図3】図1の塵埃除去装置の他の実施形態を示す斜視
図である。
【図4】図1の塵埃除去装置のさらに他の実施形態を示
す断面図である。
【図5】図1の水−極性有機溶剤分離装置の実施形態を
示す概念図である。
【図6】図1のイオン除去装置の実施形態を示す概念図
である。
【図7】図1の磁場発生装置の実施形態を示す概念図で
ある。
【図8】本発明の塗装前処理装置の第2実施形態を示す
図である。
【図9】図8の減圧蒸留装置の実施形態を示す概念図で
ある。
【符号の説明】
1…脱脂化成処理槽(処理槽) 2…塵埃除去装置(塵埃除去手段) 3…化成スラッジ除去装置(化成スラッジ除去手段) 4…油分除去装置(油分除去手段) 5…水−極性有機溶剤分離装置(水−極性有機溶剤分離
手段) 6…処理液補給槽(処理液補給手段) 7…イオン除去装置(イオン除去手段) 8…リンス槽 80…磁場発生装置(磁場印加手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 修 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 小比賀 正弘 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F040 AA13 AB13 AB14 BA48 CC08 CC10 CC16 DB04 DB10 4F042 AA09 CB20 CB21 CB25 CC09 CC22 CC30 DA01 DA02 DF15 ED05 4K053 PA02 PA12 QA03 QA04 RA07 SA06 TA13 TA17 TA18 YA18

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱脂兼化成処理液が満たされる処理槽と、 前記処理槽の後段に設けられ、洗浄液が満たされるリン
    ス槽と、 前記処理槽内の脱脂兼化成処理液を吸引して前記リンス
    槽に供給する循環系と、 前記脱脂兼化成処理液に含まれる塵埃を除去する塵埃除
    去手段と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液に含まれ
    る化成スラッジを除去する化成スラッジ除去手段と、 前記脱脂兼化成処理液に含まれる油分を除去する油分除
    去手段と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液内の水成
    分と極性有機溶剤とを分離する水−極性有機溶剤分離手
    段と、 前記循環系に設けられ、前記水−極性有機溶剤分離手段
    により分離された水成分からイオン成分を除去するイオ
    ン除去手段と、 前記循環系の前記イオン除去手段の後段に設けられ、前
    記イオン除去手段によりイオン成分が除去された残余の
    水に磁場を印加し、当該水を前記リンス槽に戻す磁場印
    加手段と、を備えた塗装前処理装置。
  2. 【請求項2】前記処理槽に脱脂兼化成処理液を補給する
    処理液補給槽をさらに備え、 前記イオン除去手段により得られた水の少なくとも一部
    を前記処理液補給槽に供給する請求項1記載の塗装前処
    理装置。
  3. 【請求項3】前記塵埃除去手段及び前記油分除去手段
    が、前記循環系に設けられている請求項1又は2記載の
    塗装前処理装置。
  4. 【請求項4】脱脂兼化成処理液が満たされる処理槽と、 前記処理槽の後段に設けられ、洗浄液が満たされるリン
    ス槽と、 前記処理槽内の脱脂兼化成処理液を吸引して前記リンス
    槽に供給する循環系と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液に含まれ
    る塵埃を除去する塵埃除去手段と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液に含まれ
    る化成スラッジを除去する化成スラッジ除去手段と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液に含まれ
    る油分を除去する油分除去手段と、 前記循環系に設けられ、前記脱脂兼化成処理液内の水成
    分と極性有機溶剤とを分離する水−極性有機溶剤分離手
    段と、 前記循環系に設けられ、前記水−極性有機溶剤分離手段
    により分離された水成分からイオン成分を除去するイオ
    ン除去手段と、 前記循環系の前記イオン除去手段の後段に設けられ、前
    記イオン除去手段によりイオン成分が除去された残余の
    水に磁場を印加し、当該水を前記リンス槽に戻す磁場印
    加手段と、 前記リンス槽内の液を吸引して、前記塵埃除去手段、化
    成スラッジ除去手段及び油分除去手段のうちの最上流の
    手段へ導く他の循環系と、を備えた塗装前処理装置。
  5. 【請求項5】前記塵埃除去手段、化成スラッジ除去手段
    及び油分除去手段を通過した液を調整して、前記処理槽
    に補給する処理液補給槽をさらに備えた請求項4記載の
    塗装前処理装置。
  6. 【請求項6】前記水−極性有機溶剤分離手段により分離
    された極性有機溶剤を前記処理液補給槽へ供給する請求
    項5記載の塗装前処理装置。
  7. 【請求項7】前記イオン除去手段により得られた水の少
    なくとも一部を前記処理液補給槽に供給する請求項5又
    は6記載の塗装前処理装置。
  8. 【請求項8】前記塵埃除去手段は、セットリングタン
    ク、遠心式セパレータおよびマグネットセパレータを単
    独または複合してなる請求項1〜7の何れかに記載の塗
    装前処理装置。
  9. 【請求項9】前記化成スラッジ除去手段は、前記処理槽
    内の脱脂兼化成処理液のスラッジ濃度を150ppm以
    下に抑制可能な全量濾過フィルタを有する請求項1〜8
    の何れかに記載の塗装前処理装置。
  10. 【請求項10】前記油分除去手段は、加温式油分除去装
    置、コアレッサー式油分除去装置および限外濾過式油分
    除去装置を単独または複合してなる請求項1〜9の何れ
    かに記載の塗装前処理装置。
  11. 【請求項11】前記水−極性有機溶剤分離手段は、パー
    ベーパーレーション法により水成分と極性有機溶剤とを
    分離する請求項1〜10の何れかに記載の塗装前処理装
    置。
  12. 【請求項12】前記イオン除去手段は、陽イオン交換樹
    脂aが充填された陽イオン交換塔と、陰イオン交換樹脂
    bが充填された陰イオン交換塔と、陽イオン交換樹脂c
    が充填されたイオン交換塔と、脱炭酸塔とを有する請求
    項1〜11の何れかに記載の塗装前処理装置。
  13. 【請求項13】前記陽イオン交換樹脂aがキレート型陽
    イオン交換樹脂であり、前記陰イオン交換樹脂bがスチ
    レン系強塩基性陰イオン交換樹脂であり、前記陽イオン
    交換樹脂cがスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂である
    請求項12記載の塗装前処理装置。
  14. 【請求項14】脱脂兼化成処理液が満たされる処理槽
    と、 前記処理槽の後段に設けられ、洗浄液が満たされるリン
    ス槽と、 前記処理槽に脱脂兼化成処理液を補給する処理液補給槽
    と、 前記処理槽及び前記リンス槽の液を減圧蒸留法を用いて
    極性有機溶剤、水及び残余の汚泥に分離する減圧蒸留手
    段と、 前記減圧蒸留手段と前記リンス槽との間に設けられ、前
    記減圧蒸留手段により分離された水に磁場を印加する磁
    場印加手段と、を備え、 前記極性有機溶剤を前記処理液補給槽へ供給し、前記磁
    場が印加された水を前記リンス槽へ供給する塗装前処理
    装置。
  15. 【請求項15】前記減圧蒸留手段の熱源として塗装乾燥
    炉の廃熱を用いる請求項14記載の塗装前処理装置。
  16. 【請求項16】前記脱脂兼化成処理液は、アルコール、
    グリコールエーテルまたはジエチレングリコールエーテ
    ル系の極性有機溶剤と、水と、亜鉛イオンと、リン酸イ
    オンと、マンガンイオンと、ニッケルイオンと、ナトリ
    ウムイオンとを少なくとも含む請求項1〜15の何れか
    に記載の塗装前処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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