JP2003320610A - ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体 - Google Patents

ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体

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JP2003320610A
JP2003320610A JP2003046782A JP2003046782A JP2003320610A JP 2003320610 A JP2003320610 A JP 2003320610A JP 2003046782 A JP2003046782 A JP 2003046782A JP 2003046782 A JP2003046782 A JP 2003046782A JP 2003320610 A JP2003320610 A JP 2003320610A
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film
gas barrier
treatment
metal compound
thin film
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JP2003046782A
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Shigenobu Yoshida
重信 吉田
Chiharu Okawara
千春 大川原
Kanako Yamagami
奏子 山上
Toru Hachisuga
亨 蜂須賀
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Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱水処理時ないし熱水処理後のガスバリア性低
下の少ないガスバリア性フィルムを提供する。 【解決手段】基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、窒
化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化合
物の薄膜を3〜20nmの厚さで設けて成り、酸素透過
度が3cc/m2/day/atm以下であるガスバリ
ア性フィルムであって、該ガスバリア性フィルムの金属
化合物薄膜上に50μmの未延伸ポリプロピレンフィル
ムを設けて積層体とした後に、120℃、30分の条件
で熱水処理を行った場合、該熱水処理前後の該積層体の
酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下であるガス
バリア性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性基材
に関し、詳しくは、熱水処理(レトルト処理、滅菌処
理)が施される様な食品、医薬品などの包装に好適なガ
スバリア性基材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、熱水処理による滅菌を行なう
包装材料としてアルミ箔とフィルムを貼り合わせたもの
や、フィルム表面にアルミニムを蒸着させたものが多く
使用されている。しかしながら、斯かる包装材料は、ア
ルミニウムを使用しているために不透明であり、従っ
て、内容物の充填後に金属異物検査や外観検査を行うこ
とが出来ないという問題がある。
【0003】そこで、近年、プラチックフィルム基材の
表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム等の金属酸化物薄膜を10〜100nmの厚さで形成
した透明性の高いガスバリア性フィルムが多く提案され
ている。このガスバリア性フィルムは、通常、その金属
酸化物薄膜の上に更に別のプラスチックフィルム層を設
けた積層体とし、食品、医薬品などの包装材料として使
用される。
【0004】上記の様なガスバリア性積層体はレトルト
用包装材料としての利用も期待されるが、斯かる用途に
おいては、熱水処理後におけるガスバリア性の維持が必
要となる。
【0005】しかしながら、上記の積層体の金属酸化物
薄膜は熱水処理により破壊が起こり易く、ガスバリア性
が著しく低下するという問題がある。金属酸化物薄膜の
厚さを例えば50nm程度以上に厚くすることによりガ
スバリア性維持を図ることも可能であるが、この場合、
生産性が低下してコスト高となること、また、積層体の
透明性が低下すること等の問題がある。
【0006】一方、金属酸化物薄膜を形成した蒸着フィ
ルムの後処理として、数秒から1分程度の短時間に蒸着
フィルムを加熱処理することにより、金属酸化物薄膜と
他のプラスチックフィルム層との接着性を高める方法
(特許文献1)、また、蒸着フィルムに長期間に亘って
可視光を強制照射することにより、透明度を向上させ、
且つ、ガスバリア性を安定化させる方法(特許文献2)
が提案されている。しかしながら、これらの方法では、
金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性フィルムの熱水
処理後のガスバリア性の改良効果は認められない。
【0007】一方、蒸着フィルムに水吸湿処理を行った
後に加熱処理を行うことにより、透明性を維持しつつ、
ガスバリア性を改良する方法が提案されている(特許文
献3)。また、金属酸化物薄膜を有する二軸延伸フィル
ムの金属酸化物薄膜上に接着樹脂層を介して他のフィル
ムを積層したラミネートフィルムにおいて、フィルムの
熱収縮を抑える様にしながら、二軸延伸フィルムの二次
転移点以上融点以下の温度、具体的には接着層樹脂が溶
融する程度の200℃前後の温度で短時間加熱処理する
ことより、ガスバリア性を改良する方法が提案されてい
る(特許文献4)。しかしながら、これらの方法による
場合は、フィルムのガスバリア性改良の効果は認められ
るものの、蒸着フィルムを使用した積層体では、レトル
ト用途での包装材料とした場合、熱水処理後のガスバリ
ア性が十分ではない。勿論、上記の文献には、熱水処理
後のガスバリア性維持については全く記載されていな
い。
【0008】更に、ポリエステル系アンカーコート層を
使用した蒸着ポリエステルフィルムでは、該蒸着ポリエ
ステルフィルムの製造工程においてガラス転移温度以上
の熱履歴が付与したものが、熱水処理を行っても基材ポ
リエステルフィルムと蒸着層の接着性が良好である旨、
報告されている(特許文献5)。しかしながら、ここで
具体的に示されている熱履歴は、蒸着フィルムを製造す
る場合の蒸着時やフィルムの延伸熱処理工程において一
般的に実施されている範疇のものにすぎない。
【0009】
【特許文献1】特開昭55−84332号公報
【特許文献2】特開平8−197674号公報
【特許文献3】特開平2−299826号公報
【特許文献4】特開平8-300549号公報
【特許文献5】特開平3−16728号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、熱水処理時ない
し熱水処理後のガスバリア性低下の少ないガスバリア性
フィルム及びそれらを含む積層体を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を解決するために鋭意検討を行った結果、金属の酸化
物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群から選択
される金属化合物の薄膜を設けて成るガスバリア性フィ
ルムを特定条件で加熱処理することにより、該ガスバリ
ア性フィルム含む積層体を熱水処理した際のガスバリア
性低下を抑制することが可能となることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は密接に関係する一群の
発明から成り、各発明の要旨は次の通りである。
【0013】本発明の第1の要旨は、基材フィルムに金
属の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群
から選択される金属化合物の薄膜を3〜20nmの厚さ
で設けて成り、酸素透過度が3cc/m2/day/a
tm以下であるガスバリア性フィルムであって、該ガス
バリア性フィルムの金属化合物薄膜上に50μmの未延
伸ポリプロピレンフィルムを設けて積層体とした後に、
120℃、30分の条件で熱水処理を行った場合、該熱
水処理前後の該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理
前)が5以下であることを特徴とするガスバリア性フィ
ルムに存する。
【0014】本発明の第2の要旨は、基材フィルムに金
属の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群
から選択される金属化合物の薄膜を設け、次いで、加熱
処理して成る、酸素透過度が3cc/m2/day/a
tm以下であるガスバリア性フィルムであって、該ガス
バリア性フィルムの金属化合物薄膜上に50μmの未延
伸ポリプロピレンフィルムを設けて積層体とした後に、
120℃、30分の条件で熱水処理を行った場合、該熱
水処理前後の該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理
前)が5以下であることを特徴とするガスバリア性フィ
ルムに存する。
【0015】本発明の第3の要旨は基材フィルムに金属
の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群か
ら選択される金属化合物の薄膜を3〜20nmの厚さで
設け、更に、該金属化合物薄膜層上にプラスチックフィ
ルムを設けて成る、酸素透過度が2cc/m2/day
/atm以下のガスバリア性積層体であって、120
℃、30分の条件で熱水処理を行った場合、該熱水処理
前後の該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理前)が
5以下であることを特徴とするガスバリア性積層体に存
する。
【0016】本発明の第4の要旨は、基材フィルムに金
属の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群
から選択される金属化合物の薄膜を設けた後に加熱処理
し、次いで、金属化合物薄膜上にプラスチックフィルム
を設けて成る、酸素透過度が2cc/m2/day/a
tm以下のガスバリア性積層体であって、120℃、3
0分の条件で熱水処理を行った場合、該熱水処理前後の
該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下
であることを特徴とするガスバリア性積層体に存する。
【0017】本発明の第5の要旨は、基材フィルムに金
属の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群
から選択される金属化合物の薄膜を設けた後に金属化合
物薄膜上にプラスチックフィルムを設け、次いで、加熱
処理して成る、酸素透過度が2cc/m2/day/a
tm以下のガスバリア性積層体であって、120℃、3
0分の条件で熱水処理を行った場合、該熱水処理前後の
該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下
であることを特徴とするガスバリア性積層体に存する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でのガスバリア性フィルムは、基材フィルムに属
の酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物の群か
ら選択される金属化合物の薄膜を設けたものを意味す
る。また、本発明でのガスバリア性積層体は、前記ガス
バリア性フィルムの金属化合物薄膜上にプラスチックフ
ィルムを設けたものを意味する。
【0019】基材フィルムとしては、通常の包装材料と
なり得るプラスチックフィルムであれば、特に制限はな
い。具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等
の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環
状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン
−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポ
リイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエ
ーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリビニルブチラール、ポリアリ
レート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂などを原料とし
たフィルムが挙げられる。これらの中では、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体部分加水分解物が好ましく、ポリエステル、
ポリアミドが特に好ましい。
【0020】以上の基材フィルムは、従来公知の一般的
な方法により製造することが出来、未延伸フィルムでも
よいし延伸フィルムでもよいが、好ましくは延伸フィル
ムである。また、複数の樹脂フィルムを積層して成るフ
ィルムであってもよい。フィルムの厚さは、本発明の積
層体の基材としての機械強度、可撓性、透明性など、用
途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜20
0μmの範囲に選択される。また、フィルムの幅や長さ
は、特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することが
出来る。
【0021】基材フィルムにおいては、金属化合物との
密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布しておくの
が好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性または
水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチ
レンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ
樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変
性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、ある
いは2種以上併せて使用することが出来る。
【0022】そして、基材フィルム/アンカーコート層
/金属化合物薄膜の層構成から成る上記のガスバリア性
フィルムにおいては、金属化合物薄膜の表面から行なっ
たナノスクラッチ測定における臨界荷重が2.0μN以
上であることが好ましい。
【0023】ナノスクスラッチ測定とは、スクラッチ
(引っ掻き)試験をナノスケールで行う物性評価手法で
ある。この方法は一般的には次の様に解説されている。
すなわち、基板上に成膜した薄膜に対して垂直方向に、
ダイヤモンド圧子に超微小な荷重をかけながら、水平方
向(面内方向)にスクラッチすると、薄膜および薄膜−
基板との界面に剪断応力が発生する。ベンジャミン等の
理論計算により、この剪断応力と圧子にかかる垂直荷重
との間に比例関係があることから、界面に達したときの
垂直荷重から薄膜の密着性を評価することが出来る。
【0024】本発明の場合、上記の剪断応力は、金属化
合物薄膜、該金属化合物薄膜とアンカーコート層との界
面、該アンカーコート層と基材フィルムとの界面の3つ
の要素に依存する。
【0025】また、ナノスクラッチ測定において、徐々
に荷重が増加すると共に垂直変位(Normal Di
splacement)と水平力(Lateral F
orce)が増大するが、ある荷重に達すると、垂直変
位の増大が鈍化する変曲点が現れ、この時点で界面剥離
や剪断破壊が起きていると考えられる。本発明において
は、上記の変曲点が現れる、即ち垂直変位の増大が鈍化
し始める時点での垂直方向荷重(Normal For
ce)を「臨界荷重」と定義し、密着性の強弱を表す尺
度として使用する。
【0026】臨界荷重が2.0μN以上であるガスバリ
ア性フィルムは、基材フィルム/アンカーコート層/金
属化合物薄膜の各層間全体としての密着性に優れるた
め、後述する加熱処理を行なわなくても高度なガスバリ
ア性を維持することが可能である。上記の臨界荷重は、
好ましくは4.0μN以上であり、その上限は通常30
0μN(実用的には100μN)である。
【0027】上記の様な臨界荷重を満足するガスバリア
性フィルムは、アンカーコート層の構成樹脂を選択する
ことによって達成することが出来る。特に、アクリル樹
脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の群から選択され
る少なくとも1種の樹脂とオキサゾリン基含有樹脂とを
含むアンカーコート剤(特開平11−179836号公
報参照)が推奨される。斯かるアンカーコート剤の使用
により、本発明における加熱処理を行なう場合にその効
果が発現し易くなる。また、アンカーコート層は、加熱
処理に軟化しないことが好ましい。斯かる条件は上記の
アンカーコート剤の使用により達成される。
【0028】上記のアンカーコート剤におけるオキサゾ
リン基含有樹脂の割合は、通常6〜80重量%、好まし
くは10〜60重量%である。アクリル樹脂のに割合は
通常10〜80重量%、ウレタン樹脂および/またはポ
リエステル樹脂の割合は通常10〜80重量%である。
【0029】アンカーコート剤は、公知の塗布方法によ
り基材フィルムに塗布される。その厚さは、通常0.0
05〜5μm、好ましくは0.01〜1μmである。5
μmを超える膜厚では、滑り性が悪くなったり、表面改
質層自体の内部応力により基材フィルム又はシートから
剥離し易くなったりする場合がある。0.005μmに
満たない膜厚では、均一な膜厚とならない可能性があ
り、表面改質層の役割を十分に果たせない場合が生じ
る。
【0030】アンカーコート層は、フィルム製膜後に設
けてもよいが、フィルムの製膜工程で設けるのが好まし
い。フィルムが二軸延伸フィルムの場合は、好ましくは
縦方向に一軸延伸したフィルム又はシートにアンカーコ
ート剤を塗布し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延
伸し、次いで、加熱処理を施す方法(インラインコーテ
ィング法)が好ましい。斯かる方法は、製膜、塗布およ
び乾燥を同時に行えることから、製造コスト面において
メリットが大きい。なお、フィルムへの塗布性、接着性
を改良するため、塗布前にフィルム又はシートの表面に
化学処理、放電処理などを施してもよい。
【0031】基材フィルムの上に形成する金属化合物薄
膜を構成する金属としては、珪素、アルミニウム、珪
素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン等が挙
げれる。これらは、酸化物、炭化物、窒化物またはそれ
らの混合物として使用される。これらの中では、好まし
くは、酸化珪素または酸化アルミニウムである。特に、
酸化珪素は、本発明における加熱処理の効果が顕著であ
ること、また、高いガスバリア性が安定に維持できる点
で最も好ましい。
【0032】金属化合物薄膜の形成方法としては、蒸着
法、コーテイング法など特に制限はないが、ガスバリア
性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ま
しい。この蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーテ
ィング、スパッタリング、CVD等の方法が含まれる。
なお、この金属化合物薄膜を形成する工程において、一
般的にある程度の加熱条件下に曝されることになるが、
ここでの加熱は、特別なものでない限り、後述する本発
明での加熱処理には該当しない。
【0033】以上の金属化合物薄膜の厚さは、一般に
0.1〜500nmであるが、本発明で特に対象とする
範囲は、通常0.5〜40nm、好ましくは1〜30n
m、特に好ましくは3〜20nmである。余りに薄いと
十分なガスバリア性が得られ難く、また、逆に厚すぎて
もコスト高になるうえ蒸着膜に亀裂や剥離が発生し易く
なる場合がある。
【0034】金属化合物薄膜の上には、これと積層する
プラスチックフィルムとの接着性を向上させるため、ト
ップコート層を形成してもよい。このトップコート剤と
しては、溶剤性または水溶性のポリエステル樹脂、イソ
シアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル
アルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニ
ル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、
変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、アルキルチタネ
ート等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上
併せて使用することが出来る。
【0035】本発明のガスバリア性フィルムは、通常、
金属化合物薄膜の上にプラスチックフィルムを設けたガ
スバリア性積層体として各種用途に使用される。プラス
チックフィルムの厚さは、本発明の積層体の基材として
の機械強度、可撓性、透明性など、用途に応じ、通常5
〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲から
選択される。また、フィルムの幅や長さは、特に制限は
なく、適宜用途に応じて選択することが出来る。
【0036】上記のプラスチックフィルムとしては、熱
水処理が出来、ヒートシールが可能なフィルム又はシー
トとしてポリオレフィン系フィルムが好ましい。また、
機械的強度の優れたフィルムとして、二軸延伸ポリエス
テルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムが特に好まし
い。
【0037】また、金属化合物薄膜は2層以上のプラス
チックフィルム基材の少なくとも1層以上の層間に位置
すればよく、金属化合物薄膜の層数が1層に制限される
ものではない。
【0038】プラスチックフィルムの積層方法には、公
知のドライラミネート法、押出ラミネート法が採用され
る。この場合には、ウレタン系、ポリエステル系、アク
リル系などの接着剤を使用してもよい。
【0039】ガスバリア性フィルムを包装材料として使
用する場合、該ガスバリア性フィルムとシーラントフィ
ルムの間に、ピンホール性などの機械特性を向上させる
ため、ナイロンフィルムを貼り合わせた積層体とする方
法は従来から知られている。
【0040】しかしながら、一般的に、ナイロンフィル
ムは、熱水処理の際の熱収縮が著しく、各層間の基材間
の収縮率差により金属化合物薄膜が破壊し、レトルト後
のガスバリア性が低下し易いという問題がある。本発明
のガスバリア性フィルムで積層体を構成する場合におい
ては、斯かる問題の影響が小さく、積層体の構成層とし
てナイロンフィルムを使用することが出来る。
【0041】ナイロンの種類としては、通常、ナイロン
6、ナイロン66、メタキシレンアジパミド等が挙げら
れる。また、ナイロンフィルムの厚さは、通常10〜3
0μm、好ましくは15〜25μmである。10μmよ
り薄いと強度に不足があり、また、30μmを超えると
腰が強く加工に適さない。ナイロンフィルムとしては、
縦横の各方向の延伸倍率が、通常2倍以上、好ましくは
2.5〜4倍程度の二軸延伸フィルムが好ましい。斯か
るナイロンフィルムは、ピンホール性が良好(23℃、
50%RH、3000回のゲルボフレックス試験におい
てピンホール数が通常50個/m2以下)であり、ま
た、突き刺し強度も良好である。そして、ある程度熱収
縮性を有するナイロンフィルムであっても、例えば、1
20℃、30分の熱水処理条件での最大収縮率が通常1
5%以下程度のものであれば適用することが出来る。具
体的には、汎用の二軸逐次延伸6−ナイロンフィルムが
最も好適に使用できる。
【0042】本発明のガスバリア性積層体の全体の厚さ
は、通常50〜5000μm、好ましくは60〜200
0μmである。ここで、遮光性や紫外線遮断性を付与す
るために印刷や紫外線吸収剤を含む層を積層体の表面お
よび層間に形成してもよい。また、内容物の酸素劣化を
更に防止するため、鉄粉などの酸素吸収剤を含む層を積
層体の表面および層間に形成してもよい。酸素吸収剤を
含む層は金属化合物薄膜と内容物の接する面の間に位置
することが好ましい。
【0043】本発明のガスバリア性フィルムの酸素透過
度、通常3cc/m2/day/atm以下、好ましく
は2cc/m2/day/atm以下である。その下限
は通常0.05cc/m2/day/atm以上であ
る。また、該ガスバリア性フィルムに更にプラスチック
フィルムを積層して成るガスバリア性積層体の酸素透過
度は、通常2cc/m2/day/atm以下、好まし
くは1cc/m2/day/atm以下、下限は通常
0.01cc/m2/day/atm以上である。
【0044】上記の範囲の酸素透過度を有するガスバリ
ア性フィルム及びガスバリア性積層体は、現在の高ガス
バリア性フィルムと言われる範疇のものであるが、本発
明のガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体は、
所謂レトルト処理と呼ばれる条件下で熱水処理を行って
も、ガスバリア性の低下が少ない性質を有することを特
徴とする。
【0045】具体的には、基材フィルムに金属化合物薄
膜を設け、次いで、加熱処理して成るフィルムの金属化
合物薄膜上にプラスチックフィルムを設けて成るガスバ
リア性積層体であって、該ガスバリア性積層体を120
℃、30分の条件で熱水処理を行ない、該熱水処理前後
の該積層体の酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以
下、好ましくは4以下、特に好ましくは3以下、下限は
通常1以上のものである。
【0046】または、基材フィルムに無機薄膜層を設け
たフィルムの金属化合物薄膜上にプラスチックフィルム
を設け、次いで、加熱処理して成るガスバリア性積層体
であって、該ガスバリア性積層体を120℃、30分の
条件で熱水処理を行ない、該熱水処理前後の該積層体の
酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下、好ましく
は4以下、特に好ましくは3以下、下限は通常1以上の
ものである。
【0047】更には、基材フィルムに金属化合物薄膜を
設け、次いで、加熱処理して成るガスバリア性フィルム
であって、該ガスバリア性フィルムにつき、その金属化
合物薄膜上に50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム
を設けて成る積層体として120℃、30分の条件で熱
水処理を行ない、該熱水処理前後の該積層体の酸素透過
度変化(処理後/処理前)が5以下、好ましくは4以
下、下限は通常1以上のものである。更に、熱水処理後
の酸素透過度が、好ましくは7cc/m2/day/a
tm以下、更に好ましくは5cc/m2/day/at
m以下、最も好ましくは3cc/m2/day/atm
以下のものである。
【0048】以上の性質を発現させるためには、その方
法を限定するものではないが、主に、ガスバリア性フィ
ルムの状態で、あるいは、ガスバリア性積層体の状態
で、特定条件での加熱処理を行う方法が好適である。ガ
スバリア性積層体としてから加熱処理をする方法の場
合、該ガスバリア性積層体を袋、容器などへ二次加工し
てから加熱処理をする方法、該二次加工品に内容物を入
れてから加熱処理する方法の何れを使用しても構わな
い。
【0049】上記の加熱処理は、ガスガリア性フィルム
やガスバリア性積層体を構成する要素の種類や厚さ等に
より最適条件が異なり、必要な時間、必要な温度になる
様に保てる方法であれば特に限定されない。例えば、必
要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、
熱風を吹きつける方法、赤外線ヒーターで加熱する方
法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱板と接触
させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射す
る方法などが挙げられる。この際、取り扱いが容易な大
きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィル
ムのロールのままで加熱処理しても構わない。更に、必
要な時間と温度が得られる範囲内において、コーター、
スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を
組み込んでもよい。
【0050】本発明における加熱処理の処理温度は、通
常60℃以上かつ使用するプラスチックフィルム又はシ
ートの融点以下の温度であれば特に限定されないが、下
限は、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、上限
は、通常200℃以下、好ましくは160℃以下であ
る。60℃未満では加熱処理の効果が発現するまでの時
間が極端に長くなり現実的でない。
【0051】加熱処理の時間は、処理温度が高くなるほ
ど短くなる傾向にある。また、処理温度が高いとフィル
ムの構成要素が熱分解してガスバリア性が低下する恐れ
があるため、処理時間は余り長くすべきではない。そこ
で、加熱処理条件としては、例えば、60℃では3日か
ら6月、80℃は3時間から10日、120℃では1時
間から1日、150℃では3〜60分程度であるが、こ
れらに制限されるものではない。
【0052】以上の様な加熱処理の最適時間について、
実験結果に基づいて以下の様な相関式を導かれる。即
ち、加熱処理の最適処理時間t(s)は、加熱処理温度
T(K)により下記式に表される。
【0053】
【数1】3.6×10-10e(1000/T)<t<2.4×
10-10e(13500/T)
【0054】本発明のガスバリア性積層体では、120
℃、30分の条件下の熱水処理後における基材フィルム
と金属化合物薄膜との密着強度が通常100g/15m
m以上、好ましくは200g/15mm以上である。ま
た、ガスバリア性プラスチック積層体の熱水処理前後の
収縮率が通常3%以下、好ましくは2%以下である。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の例に限
定されるものではない。なお、以下の諸例におけるフィ
ルムの測定および評価の方法は以下の通りである。
【0056】(1)酸素透過度(cc/m2/day/
atm):ASTM−D3985に準処して、酸素透過
率測定装置(モダンコントロール社製「OX−TRAN
100」)を使用し、温度25℃、相対湿度80%の条
件下で測定した。
【0057】(2)ナノスクラッチ測定:Hysitr
on製「Triboscope system」を使用
し、圧子には先端曲率半径が約1μmのダイヤモンド製
60°コニカル(円錐形)を使用した。圧子の状態は、
標品としてアルバック・ファイ製SiO熱酸化膜25
nm/Siウエハを測定した場合、垂直変位(Norm
al Displacement)4nmのとき、垂直
方向荷重(Normal Force)57μNであっ
た。測定は、試料台(支持体)にガスバリア性フィルム
を吸着固定し、負荷速度約1μN/sec、スクラッチ
速度約133nm/secの連続加重試験条件で、n=
3以上測定を行った。そして、臨界荷重の平均値を算出
した。
【0058】(3)加熱処理時のアンカーコート層の軟
化判断:マイクロ熱分析装置として、T.A.Inst
ruments製「μ−TA装置」を使用した。この装
置のセンサーは、先端がV字型に折返されたワイヤから
成る検出部を備えている。測定は、基材フィルム上にア
ンカーコート層を設けた試料のアンカーコート層の表面
にセンサーのV字型検出部を接触させ、昇温速度10℃
/秒、押し込み強さ20nAの条件下にて行なった。セ
ンサーの位置が下方へ動くことにより軟化と判断した。
【0059】実施例1 厚さ170μmの未延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に、オキサゾリン基含有ポリマー(日本触媒社
製「エポクロスWS−500」)60重量%、水性アク
リル樹脂(以下に示す樹脂A)20重量%、水性ウレタ
ン樹脂(以下に示す樹脂B)20重量%の混合樹脂(表
中には組成Aと記す)をインラインコーティング法によ
りコートし、該混合樹脂層より成る0.1μmの表面改
質層を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(延伸倍率:縦3.5倍×横4.0
倍)を得た。次に、該表面改質層上に真空蒸着装置を使
用して珪素酸化物(SiO)を高周波加熱方式で蒸着さ
せ、蒸着層SiOの厚さが約15nmである蒸着プラ
スチックフィルムを得た。この蒸着プラスチックフィル
ムの酸素透過度は1.8(cc/m2 ・24h・at
m)であった。
【0060】<樹脂A(水性アクリル樹脂)の製造条件
>アクリル酸エチル40重量部、メタクリル酸メチル3
0重量部、メタクリル酸20重量部、グリシジルメタク
リレート10重量部の混合物をエチルアルコール中で溶
液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコール
を除去した。アンモニア水でpH7.5に調節し、水性
アクリル系樹脂水性塗料を得た。
【0061】<樹脂B(水性ポリウレタン樹脂)の製造
条件>先ず、テレフタル酸664重量部、イソフタル酸
631重量部、1,4−ブタンジオール472重量部、
ネオペンチルグリコール447重量部から成るポリエス
テルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステル
ポリオールに、アジピン酸321重量部、ジメチロール
プロピオン酸268重量部を加え、ペンダントカルボキ
シル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、該
ポリエステルポリオールA1880重量部にヘキサメチ
レンジイソシアネート160重量部を加えて水性ポリウ
レタン系樹脂水性塗料を得た。
【0062】該蒸着プラスチックフィルムを、取り扱い
が容易な大きさに切り出して固定用板に取り付けた後、
60℃のオーブンに入れ、3ヶ月間の加熱処理をした。
加熱処理後の該蒸着プラスチックフィルムのSiO
膜面にウレタン系接着剤(東洋モートン社製接着剤「A
D−900」と「CAT−RT85」を10:1.5の
割合で配合)を塗布後に乾燥し、厚さ4μmの接着樹脂
層を形成した。この接着樹脂層と厚さ50μmの未延伸
ポリプロピレンフィルム(東レ合成フィルム社製「トレ
ファンNO ZK−93K」)を積層し、2層構成の透
明プラスチックフィルムを得た。得られた積層フィルム
を40℃で3日間エージングして評価サンプルとし、オ
ートクレーブにて120℃、30分の条件で熱水処理を
行って、熱水処理前後の酸素透過度を測定した。結果を
表1に示す。
【0063】実施例2〜7 蒸着プラスチックフィルムの加熱温度、加熱時間を表1
の様に変更した以外は実施例1と同様にした。結果を表
1に示す。また、実施例3及び7については、ナノスク
ラッチ測定および加熱処理時のアンカーコート層の軟化
評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0064】実施例8 アンカーコート質層を形成する混合樹脂の組成を、水性
アクリル樹脂(以下に示す樹脂A)35重量%、水性ウ
レタン樹脂(以下に示す樹脂B)65重量%の混合樹脂
(表中では組成Bと記す)とし、蒸着プラスチックフィ
ルムの加熱温度および加熱時間を表1の様に変更した他
は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0065】実施例9 アンカーコート層を形成する混合樹脂の組成を、イソシ
アネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネート
L」)50重量%、飽和ポリエステル(東洋紡社製「バ
イロン300」)50重量%の混合樹脂(表中では組成
Cと記す)とし、蒸着プラスチックフィルムの加熱温度
および加熱時間を表1の様に変更した他は、実施例1と
同様にした。結果を表1に示す。また、ナノスクラッチ
測定および加熱処理時のアンカーコート層の軟化評価の
結果を表3に示す。
【0066】実施例10 実施例1に使用した蒸着プラスチックフィルムを芯に巻
き取ってフィルムロールを作製し、該蒸着プラスチック
フィルムロールを80℃のオーブンに入れて3日間の加
熱処理をした。次に、加熱処理後の該蒸着プラスチック
フィルムを使用し、実施例1と同様の方法で評価サンプ
ルを作製し、オートクレーブにて120℃、30分の条
件で熱水処理を行って、熱水処理前後の酸素透過度を測
定した。結果を表1示す
【0067】実施例11 実施例10に使用した加熱処理後の蒸着プラスチックフ
ィルムを使用し、該蒸着プラスチックフィルムのSiO
薄膜面にウレタン系接着剤(東洋モートン社製接着剤
「AD−900」と「AT−RT85」を10:1.5
の割合で配合)を塗布後に乾燥し、厚さ4μmの接着樹
脂層を形成した。この接着樹脂層と厚さ15μmの二軸
延伸ナイロンフィルム(三菱化学興人パックス製 「ボ
ニールSNR」)を積層し、二層構成積層フィルムを得
た。
【0068】更に、上記の二層構成積層フィルムの二軸
延伸ナイロンフィルム側にウレタン系接着剤(東洋モー
トン社製接着剤「AD−900」と「CAT−RT8
5」を10:1.5の割合で配合)を塗布後に乾燥し、
厚さ4μmの接着樹脂層を形成した。この接着樹脂層と
厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合
成フィルム社製「トレファンNO ZK−93K」)を
積層し3層構成の透明プラスチックフィルムを得た。該
三層構成積層フィルムを40℃で3日間エージングして
評価サンプルとし、オートクレーブにて120℃、30
分の条件で熱水処理を行って、熱水処理前後の酸素透過
度を測定した。結果を表1に示す。
【0069】実施例12 実施例10に使用した加熱処理後の蒸着プラスチックフ
ィルムを使用し、該蒸着プラスチックフィルムのSiO
薄膜面にウレタン系接着剤(東洋モートン社製接着剤
「AD−817」と「CAT−RT86」を15:1.
5の割合で配合)を塗布後に乾燥し、厚さ4μmの接着
樹脂層を形成した。この接着樹脂層と厚さ50μmの未
延伸ポリプロピレンフィルム(東レ合成フィルム社製
「トレファンNO ZK−93K」)を積層し二層構成
積層フィルムを得た。
【0070】更に、上記の二層構成積層フィルムの二軸
延伸ポリエステルフィルム側にウレタン系接着剤(東洋
モートン社製接着剤「AD−900」と「CAT−RT
85」を10:1.5の割合で配合)を塗布後に乾燥
し、厚さ4μmの接着樹脂層を形成した。この接着樹脂
層と厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(三菱化
学興人パックス製 「ボニールSNR」)を積層し、3
層構成の透明プラスチックフィルムを得た。該三層構成
積層フィルムを40℃で3日間エージングして評価サン
プルとし、オートクレーブにて120℃、30分の条件
で熱水処理を行って、熱水処理前後の酸素透過度を測定
した。結果を表1に示す。
【0071】実施例13 実施例1で使用した蒸着プラスチックフィルム(加熱処
理せずに使用)のSiO薄膜面にウレタン系接着剤
(東洋モートン社製接着剤「AD−900」と「CAT
−RT85」を10:1.5の割合で配合)を塗布後に
乾燥し、厚さ4μmの接着樹脂層を形成した。この接着
樹脂層と厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム
(東レ合成フィルム社製「トレファンNO ZK−93
K」)を積層し2層構成の透明プラスチックフィルムを
得た。得られた積層フィルムを80℃で3日間エージン
グして評価サンプルとし、オートクレーブにて120
℃、30分の条件熱水処理を行なって、熱水処理前後の
酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
【0072】比較例1 実施例1に使用した蒸着プラスチックフィルム(加熱処
理せずに使用)のSiO薄膜面にウレタン系接着剤
(東洋モートン社製接着剤「AD−900」と「CAT
−RT85」を10:1.5の割合で配合)を塗布後に
乾燥し、厚さ4μmの接着樹脂層を形成した。この接着
樹脂層と厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム
(東レ合成フィルム社製「トレファンNO ZK−93
K」)を積層し2層構成の透明プラスチックフィルムを
得た。得られた積層フィルムを40℃で3日間エージン
グして評価サンプルとし、オートクレーブにて120
℃、30分の条件で熱水処理を行なって、熱水処理前後
の酸素透過率を測定した。結果を表2に示す。また、ナ
ノスクラッチ測定および加熱処理時のアンカーコート層
の軟化評価の結果を表3に示す。
【0073】比較例2 積層フィルムを作製する際に、加熱処理を行なっていな
い蒸着プラスチックフィルムを使用する他は、実施例1
2と同様にして評価サンプルを作製し、オートクレーブ
にて120℃、30分の条件で熱水処理を行って、熱水
処理前後の酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
【0074】比較例3〜6 蒸着プラスチックフィルムの加熱温度、加熱時間を40
℃−3日、60℃−3時間、120℃−30分、150
℃−1分とした他は、実施例1と同様にした。結果を表
2に示す。また、比較例3については、ナノスクラッチ
測定および加熱処理時のアンカーコート層の軟化評価を
行った。これらの結果を表3に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】本発明で提供されるガスバリア性積層体
は、熱水処理を受けても優れたガスバリア性を維持し、
保存性に優れている。また、アルミ箔を使用せず、通
常、透明性の高いものが得られるので、内容物の金属異
物検査や外観検査を行うことが可能である。よって、本
発明は、食品、医療分野において熱水処理(レトルト処
理、滅菌処理)を伴う内容物の包装用基材としてその価
値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山上 奏子 茨城県牛久市東猯穴町1000番地 三菱化学 株式会社内 (72)発明者 蜂須賀 亨 茨城県牛久市東猯穴町1000番地 三菱化学 株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA12B AA15B AA17B AA20 AK07C AK25G AK41A AK41G AK42 AK46A AK51G AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C BA25B CB00G JA20C JM02B YY00B

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、
    窒化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化
    合物の薄膜を3〜20nmの厚さで設けて成り、酸素透
    過度が3cc/m2/day/atm以下であるガスバ
    リア性フィルムであって、該ガスバリア性フィルムの金
    属化合物薄膜上に50μmの未延伸ポリプロピレンフィ
    ルムを設けて積層体とした後に、120℃、30分の条
    件で熱水処理を行った場合、該熱水処理前後の該積層体
    の酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下であるこ
    とを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 【請求項2】 基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、
    窒化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化
    合物の薄膜を設け、次いで、加熱処理して成る、酸素透
    過度が3cc/m2/day/atm以下であるガスバ
    リア性フィルムであって、該ガスバリア性フィルムの金
    属化合物薄膜上に50μmの未延伸ポリプロピレンフィ
    ルムを設けて積層体とした後に、120℃、30分の条
    件で熱水処理を行った場合、該熱水処理前後の該積層体
    の酸素透過度変化(処理後/処理前)が5以下であるこ
    とを特徴とするガスバリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 金属化合物薄膜の厚さが3〜20nmで
    ある請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 【請求項4】 加熱処理の温度が60℃以上かつ基材フ
    ィルムの融点以下である請求項2又は3に記載のガスバ
    リア性フィルム。
  5. 【請求項5】 基材フィルムがポリエステル又はポリア
    ミドから成る請求項1〜4の何れかに記載のガスバリア
    性フィルム。
  6. 【請求項6】 金属化合物薄膜が酸化珪素の蒸着膜であ
    る請求項1〜5の何れかに記載のガスバリア性フィル
    ム。
  7. 【請求項7】 基材フィルムと金属化合物薄膜の間にア
    ンカーコート層を設けて成る請求項1〜6の何れかに記
    載のガスバリア性フィルム。
  8. 【請求項8】 基材フィルム/アンカーコート層/金属
    化合物薄膜の層構成から成り、金属化合物薄膜の表面か
    ら行なったナノスクラッチ測定における臨界荷重が2.
    0μN以上である請求項1〜7の何れかに記載のガスバ
    リア性フィルム。
  9. 【請求項9】 アンカーコート層が、アクリル系樹脂、
    ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の群から選択され
    る1種以上の樹脂とオキサゾリン基含有樹脂との混合物
    の硬化膜である請求項1〜8の何れかに記載のガスバリ
    ア性フィルム。
  10. 【請求項10】酸素透過度変化(処理後/処理前)が4
    以下である請求項1〜9の何れかに記載のガスバリア性
    フィルム。
  11. 【請求項11】基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、
    窒化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化
    合物の薄膜を3〜20nmの厚さで設け、更に、該金属
    化合物薄膜上にプラスチックフィルムを設けて成る、酸
    素透過度が2cc/m2/day/atm以下のガスバ
    リア性積層体であって、120℃、30分の条件で熱水
    処理を行った場合、該熱水処理前後の該積層体の酸素透
    過度変化(処理後/処理前)が5以下であることを特徴
    とするガスバリア性積層体。
  12. 【請求項12】基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、
    窒化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化
    合物の薄膜を設けた後に加熱処理し、次いで、金属化合
    物薄膜上にプラスチックフィルムを設けて成る、酸素透
    過度が2cc/m2/day/atm以下のガスバリア
    性積層体であって、120℃、30分の条件で熱水処理
    を行った場合、該熱水処理前後の該積層体の酸素透過度
    変化(処理後/処理前)が5以下であることを特徴とす
    るガスバリア性積層体。
  13. 【請求項13】基材フィルムに金属の酸化物、炭化物、
    窒化物またはそれらの混合物の群から選択される金属化
    合物の薄膜を設けた後に金属化合物薄膜上にプラスチッ
    クフィルムを設け、次いで、加熱処理して成る、酸素透
    過度が2cc/m2/day/atm以下のガスバリア
    性積層体であって、120℃、30分の条件で熱水処理
    を行った場合、該熱水処理前後の該積層体の酸素透過度
    変化(処理後/処理前)が5以下であることを特徴とす
    るガスバリア性積層体。
  14. 【請求項14】金属化合物薄膜の厚さが3〜20nmで
    ある請求項12又は13に記載のガスバリア性積層体。
  15. 【請求項15】加熱処理の温度が60℃以上かつ基材フ
    ィルムの融点以下である請求項12〜14の何れかに記
    載のガスバリア性積層体。
  16. 【請求項16】基材フィルムがポリエステル又はポリア
    ミドから成る請求項11〜15の何れかに記載のガスバ
    リア性積層体。
  17. 【請求項17】金属化合物薄膜が酸化珪素の蒸着膜であ
    る請求項11〜16の何れかに記載のガスバリア性積層
    体。
  18. 【請求項18】基材フィルムと金属化合物薄膜の間にア
    ンカーコート層を設けて成る請求項11〜17の何れか
    に記載のガスバリア性積層体。
  19. 【請求項19】基材フィルム/アンカーコート層/金属
    化合物薄膜の層構成から成り、金属化合物薄膜の表面か
    ら行なったナノスクラッチ測定における臨界荷重が2.
    0μN以上である請求項11〜18の何れかに記載のガ
    スバリア性フィルム。
  20. 【請求項20】アンカーコート層が、アクリル系樹脂、
    ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選択される1
    種以上の樹脂とオキサゾリン基含有樹脂との混合物の硬
    化膜である請求項11〜19の何れかに記載のガスバリ
    ア性積層体。
  21. 【請求項21】酸素透過度が1cc/m2/day/a
    tm以下である請求項11〜20の何れかに記載のガス
    バリア性積層体。
  22. 【請求項22】酸素透過度変化(処理後/処理前)が4
    以下である請求項11〜21の何れかに記載のガスバリ
    ア性積層体。
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