JP2003313050A - 紫外線遮断ガラスの改質方法 - Google Patents

紫外線遮断ガラスの改質方法

Info

Publication number
JP2003313050A
JP2003313050A JP2002115066A JP2002115066A JP2003313050A JP 2003313050 A JP2003313050 A JP 2003313050A JP 2002115066 A JP2002115066 A JP 2002115066A JP 2002115066 A JP2002115066 A JP 2002115066A JP 2003313050 A JP2003313050 A JP 2003313050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
weight
phase
acid
copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002115066A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4626934B2 (ja
Inventor
Toshihiko Eizai
俊彦 栄西
Takashi Tarumi
孝至 垂水
Koji Hosokawa
孝治 細川
Tatsuya Suetsugu
竜也 末次
Kohei Sumino
広平 角野
Tetsuo Yazawa
哲夫 矢澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ISUZU SEIKO GLASS KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
ISUZU SEIKO GLASS KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ISUZU SEIKO GLASS KK, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical ISUZU SEIKO GLASS KK
Priority to JP2002115066A priority Critical patent/JP4626934B2/ja
Publication of JP2003313050A publication Critical patent/JP2003313050A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4626934B2 publication Critical patent/JP4626934B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/089Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron
    • C03C3/091Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron containing aluminium
    • C03C3/093Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron containing aluminium containing zinc or zirconium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C14/00Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix
    • C03C14/004Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix the non-glass component being in the form of particles or flakes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C23/00Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
    • C03C23/008Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments comprising a lixiviation step
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/097Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing phosphorus, niobium or tantalum
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C4/00Compositions for glass with special properties
    • C03C4/08Compositions for glass with special properties for glass selectively absorbing radiation of specified wave lengths
    • C03C4/085Compositions for glass with special properties for glass selectively absorbing radiation of specified wave lengths for ultraviolet absorbing glass

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外線遮断性能を有するガラスについて、特定
波長以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過
特性を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減
することができる新規な改質方法を提供する。 【解決手段】ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散
し且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスを酸溶液
に接触させて、該分相ガラス表面の少なくとも一部に高
ケイ酸層を形成することを特徴とする紫外線遮断ガラス
の改質方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線遮断ガラス
の改質方法および該方法により改質されたガラスの用途
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像表示装置などとして、液晶パ
ネルが広く利用されている。現在、画像表示装置には、
高画質であることと高照度であることが求められてお
り、そのため光源として高輝度ランプが使用されてい
る。
【0003】高輝度ランプなどの光源は、強い紫外線を
発するので、部品の劣化の原因となる。特に、液晶は、
紫外線に対する耐久性が低いので、液晶を紫外線から保
護する手段が必要となる。
【0004】現在、ハロゲン化銅微粒子をガラス中また
はガラス表層に拡散させた紫外線ガラスが、ある任意の
波長以下の紫外線を遮断し、それ以上の波長の光を透過
させる透過特性を有することが知られている。例えば、
特許公報2518749号公報には、ハロゲン化銅を含む着色
ガラスが開示されている。
【0005】しかしながら、上記ガラスを液晶と直接接
触する液晶保護用ガラスとして使用すると、ガラスに含
まれているアルカリ成分によって、液晶が劣化してしま
うという問題点が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な
目的は、紫外線遮断性能を有するガラスについて、特定
波長以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過
特性を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減
し、更に、その他各種の優れた機能性を付与することが
できる新規な改質方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、SiO2を含有する
相を含む分相ガラス中に紫外線吸収成分としてのハロゲ
ン化銅が分散した紫外線遮断ガラスについて、その表面
を酸溶液に接触させることによって紫外線遮断ガラスの
表面にアルカリ成分などをほとんど含まない高ケイ酸層
を形成でき、処理後のガラスは、良好な紫外線遮断性能
を維持した上で優れた機能性を有するものとなることを
見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、下記の紫外線遮断ガラス
の改質方法及び該方法により改質されたガラスの用途に
係るものである。 1.ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散し且つS
iO2を含有する相を含む分相ガラスを、酸溶液に接触
させて該分相ガラス表面の少なくとも一部に高ケイ酸層
を形成することを特徴とする紫外線遮断ガラスの改質方
法。 2.高ケイ酸層が、SiO2を80重量%以上含む層で
ある上記項1に記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。 3.酸溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸及び過
塩素酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を
含む水溶液である上記項1又は2に記載の紫外線遮断ガ
ラスの改質方法。 4.分相ガラスが、SiO2 20〜85重量%、B2O3 2〜75重
量%、Al2O3 15重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2Oおよ
びCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、
BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O
5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも
一種10重量%以下、及びハロゲン化銅0.01〜15重量%を
含むガラスである上記項1〜3のいずれかに記載の紫外
線遮断ガラスの改質方法。 5. 分相ガラスが、SiO2 20〜85重量%、B2O3 2〜75
重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O
およびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、Z
nO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、
Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なく
とも一種10重量%以下、及びCl、Br及びIから選ばれた
少なくとも一種のハロゲン成分0.01〜15重量%を含むガ
ラスに、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微結晶を含
む層を形成させたガラスである上記項1〜3のいずれか
に記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。 6. 上記項1〜5の何れかに記載の方法により改質さ
れた紫外線遮断ガラスからなる液晶保護用ガラス。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において処理対象とするガ
ラスは、ハロゲン化銅が全体又は一部に分散し、且つSi
O2を含有する相を含む分相ガラスである。このような分
相ガラスとしては、SiO2を含有する相を含むホウケイ酸
ガラスを例示できる。
【0010】該分相ガラスに含まれるハロゲン化銅とし
ては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等を例示で
き、これらの1種又は2種以上を混合して用いることが
できる。ハロゲン化銅は、微結晶として分相ガラス中に
分散されているのが好ましい。ハロゲン化銅結晶の大き
さは、直径0.1〜10nm程度であることが好まし
く、0.5〜5nm程度であることがより好ましい。
【0011】該分相ガラスにおけるハロゲン化銅の含有
量は、目的とする紫外線吸収能を有する範囲で適宜決め
ればよい。分相ガラス全体にハロゲン化銅が分散されて
いる場合には、分相ガラス全体に対するハロゲン化銅の
割合として、0.01〜15重量%程度であることが好
ましく、0.05〜5重量%程度であることがより好ま
しく、0.1〜2重量%程度であることが更に好まし
い。
【0012】また、分相ガラスの一部にハロゲン化銅を
分散させる場合には、例えばCl、Br、Iなどのハロゲン
成分を通常0.01〜15重量%程度、好ましくは0.
1〜2重量%程度含むガラスに銅イオンを拡散させるこ
とによって、銅イオンが拡散した部分において、銅イオ
ンとハロゲン成分とが反応し、ハロゲン化銅が分散した
紫外線吸収層を形成することができる。
【0013】本発明方法では、上述した処理対象とする
分相ガラスを酸溶液に接触させることによって該分相ガ
ラスの改質を行う。これにより、分相ガラスの酸溶液と
の接触部分において、アルカリ成分などの可溶成分が溶
出して、該分相ガラスの表面に不溶成分であるSiO2を多
量に含有する高ケイ酸層が形成される。高ケイ酸層にお
けるSiO2量については、特に限定はなく、改質後のガラ
スの使用目的などに応じて適宜決めれば良いが、通常、
高ケイ酸層におけるSiO2量が80重量%程度以上である
ことが好ましく、85重量%程度以上であることがより
好ましい。
【0014】酸溶液を接触させる方法については、特に
限定的ではなく、処理対象の分相ガラスと酸溶液とが十
分に接触できる方法であればよいが、通常は、酸溶液に
分相ガラスの一部又は全体を浸漬させる方法が一般的で
ある。
【0015】酸溶液を接触させる条件についても特に限
定的ではなく、使用する分相ガラスの組成、形状などに
応じて、目的とするケイ酸含有量の高ケイ酸層が形成さ
れ、且つ分相ガラスの少なくとも一部にハロゲン化銅が
残存する条件とすればよい。
【0016】酸溶液として、例えば、硝酸、硫酸、塩
酸、リン酸、酢酸、過塩素酸等の酸を含有する水溶液を
用いることができる。これらの酸は一種単独又は二種以
上混合して用いることができる。
【0017】酸溶液の濃度は、酸の種類などに応じて適
宜設定することができるが、通常、0.1規定〜10規
定程度、好ましくは0.5規定〜5規定程度とすればよ
い。
【0018】酸溶液の温度については、室温でも良い
が、処理効率を向上させるためには、50〜100℃程
度、好ましくは70℃〜100℃程度に加熱して用いれ
ばよい。
【0019】分相ガラスを酸溶液に接触させる時間は、
通常3〜48時間程度、好ましくは6〜24時間程度、
より好ましくは12〜24時間程度とすればよい。酸溶
液に接触させた後は、水洗などにより、必要に応じて酸
溶液を除去すればよい。
【0020】酸溶液を接触させる部分については、分相
ガラスの種類、使用目的などに応じて適宜選択すればよ
く、例えば、(1)分相ガラス全体にハロゲン化銅を含有
する場合に、酸溶液を分相ガラスの両面の表層に接触さ
せて可溶成分を溶出させる方法、(2)分相ガラス全体に
ハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を分相ガラスの
片面の表層に接触させて可溶成分を溶出させる方法、
(3)分相ガラス両面の表層のみにハロゲン化銅を含有す
る場合に、酸溶液を分相ガラスの片面の表層に接触させ
て可溶成分を溶出させる方法、(4)分相ガラスが片面の
表層のみにハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を少
なくともハロゲン化銅を含有しない面の表層に接触させ
て可溶相を溶出させる方法、(5)分相ガラスが、ファイ
バー状であって、ガラス全体にハロゲン化銅を含有する
場合に、酸溶液をガラスの表層に接触させて可溶相を溶
出させる方法などを例示できる。また、酸処理後に分相
ガラスの一部にハロゲン化銅が所望量残存している限
り、ガラス全体を酸溶液に浸漬してもよい。
【0021】上記した方法の内で、例えば、(1)の方法
では、板状の分相ガラスの中心部に層状にハロゲン化銅
を残存させることができる。上記(2)及び(3)の方法で
は、例えば、分相ガラスの片面にハロゲン化銅を残存さ
せることができる。上記(4)の方法において、ハロゲン
化銅を含有しない面の表層のみに酸溶液を接触させる場
合には、酸溶液を接触させていない面において、ハロゲ
ン化銅を残存させることができる。上記(5)の方法で
は、例えば、ファイバーの中心部分にハロゲン化銅を残
存させることができる。
【0022】残存させるハロゲン化銅の量は、用途に応
じて適宜設定することができる。例えば、目的とする紫
外線吸収能を有する範囲で適宜設定することができる。
【0023】酸溶液を接触させたくない箇所について
は、酸溶液に溶解せず且つ酸溶液と反応しない公知の被
覆材料を用いて分相ガラスにシールをしてから、分相ガ
ラスを酸溶液に接触させてもよい。例えば、真空蒸着法
や塗布法によってSiO2膜を形成する方法、樹脂シー
ト、塗料などを用いて被覆する方法などを適用できる。
【0024】本発明方法によれば、酸溶液と接触させて
改質された分相ガラスは、その表面が多孔質となってお
り、可視光線の透過率が低下する場合がある。この様な
場合には、酸溶液と接触させた後、熱処理を行うことに
よって高ケイ酸層を高密度化して可視光線の透過率を向
上させることができる。また、熱処理を行うことによっ
て、高ケイ酸層の下層からのアルカリ成分の浸透を抑制
して、液晶に対する汚染性を低下させることができ、更
に、紫外線遮断ガラスの耐薬品性を向上させることもで
きる。熱処理条件については、特に限定的ではないが、
加熱温度は、400〜900℃程度とすれば良く、70
0〜900℃程度とすることが好ましい。熱処理時間に
ついては、高ケイ酸層の厚さや熱処理温度に応じて、目
的とする高密度化が達成されるまでの時間とすれば良
く、通常、30分〜200時間程度とすればよい。熱処
理雰囲気については、通常、大気中などの含酸素雰囲気
とすればよい。
【0025】分相ガラス 以下、本発明方法の処理対象とする分相ガラスについ
て、より詳細に説明する。
【0026】(1)ハロゲン化銅微粒子が均一に分散し
た分相ガラス 処理対象とする分相ガラスでは、ハロゲン化銅以外の各
成分は、従来からガラスにおいて使用されている各種の
成分から選択して使用することができる。
【0027】この様な分相ガラスの内で、ハロゲン化銅
微粒子が均一に分散した分相ガラスとしては、例えば、
SiO2 20〜85重量%程度、B2O3 2〜75重量%程度、Al2O3
15重量%程度以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2O
の少なくとも一種30重量%程度以下、MgO、CaO、ZnO、Ba
O、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%程度以下、Nb
2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくと
も一種10重量%程度以下、及びハロゲン化銅0.01〜15重
量%程度を含むホウケイ酸ガラスを好適に用いることが
できる。
【0028】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるSiO2の含
有量は、通常20〜85重量%程度、好ましくは30〜70重量
%程度、より好ましくは50〜65重量%程度である。
【0029】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるB2O3の含
有量は、通常2〜75重量%程度、好ましくは10〜40重量
%程度、より好ましくは15〜35重量%程度である。
【0030】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるLi2O、Na
2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oからなる群から選択される少
なくとも一種の成分の含有量は、通常約30重量%以下、
好ましくは0.5〜20重量%程度、より好ましくは0.5〜1
0重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0031】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるMgO、Ca
O、ZnO、BaO、SrOおよびPbOからなる群から選択される
少なくとも一種の成分の含有量は、通常約10重量%以
下、好ましくは0.5〜10重量%程度、より好ましくは0.5
〜5重量%程度である。
【0032】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるAl2O3
含有量は、通常15重量%程度以下、好ましくは1〜10重
量%程度である。
【0033】上記ホウケイ酸ガラスに含まれるNb2O5、Zr
O2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O 3からなる群から選
択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常10重量
%程度以下、好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0034】上記ホウケイ酸ガラスにはAs2O3、Sb2O3
びSnOからなる群から選択される少なくとも1種の成分
が含まれていても良く、その含有量は、通常1重量%程
度以下とすればよい。これらの成分は清澄剤として有用
である。
【0035】上記ホウケイ酸ガラスは、Fe、Ni、Mn、C
o、V、Cr、Cu、Pd、Ce、希土類元素(Sc、Ti、Pr、Nd、
Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)等の酸化物を
含んでいてもよい。これら酸化物は、1種単独でもよ
く、又は2種以上を含んでいてもよい。これらの酸化物
の含有量は、特に制限されないが、通常約15重量%以
下、好ましくは5〜10重量%程度、より好ましくは
0.1〜5重量%程度とすればよい。これらの酸化物を
含むガラスでは、一定波長以下の紫外線をほぼ完全に遮
断すると共に、それ以上の波長については、含まれる酸
化物の種類に応じた特有の吸収特性を示すものとなる。
【0036】本発明において処理対象とする分相ガラス
は、公知の方法により製造することができる。例えば、
上述したホウケイ酸ガラスは、特許2518749号公報、特
許2645923号公報、特許2852462号公報などに開示されて
いる公知の方法により製造することができる。即ち、所
定の組成となるように原料を配合し、従来行われている
ガラス製造法に従って処理すればよい。より具体的に
は、所定の組成になるように原料を調合し、1200〜1500
℃程度の温度で溶融し、撹拌し、清澄し、型に流し込
み、冷却中又は冷却後、450〜700℃程度の温度で0.1〜5
時間程度熱処理を行い、切断、研磨などの加工をするこ
となどにより、所望の形態のガラス製品を得ることがで
きる。
【0037】上記の製造過程において、ガラス中にハロ
ゲン化銅の微粒子を混入させるには、ハロゲン化銅を、
或いはその原料となる銅源としての酸化銅、ハロゲン化
銅などの銅化合物と該銅源とともにハロゲン化銅をつく
り得るハロゲン源としてのハロゲン化リチウム、ハロゲ
ン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化ルビ
ジウム、ハロゲン化セシウムなどのハロゲン化アルカリ
化合物とを、所定の組成となるように他の原料と配合す
ればよい。またハロゲン化銅以外の成分としては、結果
として所定の成分となり得る酸化物、炭酸塩、水酸化物
などの従来のガラス原料をそのまま使用することができ
る。
【0038】なお、上記の冷却過程は、ガラスに熱的歪
みが生じないように、10〜100℃/hr程度、好ましくは30
〜50℃hr程度、また加熱は、10〜300℃/hr程度、好まし
くは30〜100℃/hr程度のゆっくりとした速度で行うこ
とが望ましい。これらの加熱速度および加熱時間によっ
て、ハロゲン化銅の結晶の大きさが決定される。溶融工
程は、酸化雰囲気でも良いが、Cuイオンが、その間Cu-
となるように、中性又は還元雰囲気中で行うのが好まし
い。また、清澄工程において清澄剤としてAs2O 3、Sb
2O3、SnOなどを使用してもよい。
【0039】(2)ハロゲン化銅微粒子が一部に分散し
た分相ガラス 本発明方法の処理対象とする分相ガラスの内で、ハロゲ
ン化銅微粒子が一部に分散した分相ガラスとしては、ハ
ロゲンを含む母材ガラスに銅イオンを拡散させてハロゲ
ン化銅を生成させた分相ガラスを用いることができる。
このような方法において用いる母材ガラスとしては、Si
O2 20〜85重量%、B2O3 2〜75重量%、Al2O315重量%
以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも
一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbO
の少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2
O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、
及びCl、Br及びIから選ばれた少なくとも一種のハロゲ
ン成分0.01〜15重量%を含むガラスを例示できる。
【0040】上記母材ガラスに含まれるSiO2の含有量
は、通常20〜85重量%程度、好ましくは30〜85重量%程
度、より好ましくは40〜82重量%程度である。
【0041】上記母材ガラスに含まれるB2O3の含有量
は、通常2〜75重量%程度、好ましくは12〜50重量%程
度である。
【0042】上記母材ガラス含まれるLi2O、Na2O、K
2O、Rb2OおよびCs2Oからなる群から選択される少なくと
も一種の成分の含有量は、通常約30重量%以下、好まし
くは2〜20重量%程度、より好ましくは5〜20重量%、特
に好ましくは15重量%程度である。
【0043】上記母材ガラスに含まれるMgO、CaO、Zn
O、BaO、SrOおよびPbOからなる群から選択される少なく
とも一種の成分の含有量は、通常10重量%以下、好まし
くは0.5〜10重量%程度である。
【0044】上記母材ガラスに含まれるAl2O3の含有量
は、通常約15重量%程度以下、好ましくは1〜10重量%程
度である。
【0045】上記母材ガラスに含まれるNb2O5、ZrO2、La
2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3からなる群から選択され
る少なくとも一種の成分の含有量は、通常10重量%程度
以下、好ましくは0.5〜10重量%程度である。
【0046】上記母材ガラスに含まれるCl、Br及びIか
ら選ばれた少なくとも一種のハロゲン成分の含有量は、
通常、0.01〜15重量%程度、好ましくは0.1〜2重量%程
度である。
【0047】上記母材ガラスにはAs2O3、Sb2O3及びSnO
からなる群から選択される少なくとも1種の成分が含ま
れていても良く、その含有量は、通常1重量%程度以下
とすればよい。これらの成分は清澄剤として有用であ
る。
【0048】上記母材ガラスは、Fe、Ni、Mn、Co、V、C
r、Cu、Pd、Ce、希土類元素(Sc、Ti、Pr、Nd、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)等の酸化物を含ん
でいてもよい。これら酸化物は、1種単独でもよく、又
は2種以上を含んでいてもよい。これらの酸化物の含有
量は、特に制限されないが、通常約15重量%以下、好
ましくは5〜10重量%程度、より好ましくは0.1〜
5重量%程度とすればよい。これらの酸化物を含むガラ
スでは、一定波長以下の紫外線をほぼ完全に遮断すると
共に、それ以上の波長については、含まれる酸化物の種
類に応じた特有の吸収特性を示すものとなる。
【0049】ハロゲンを含む母材ガラスに銅イオンを拡
散させてハロゲン化銅微粒子が一部に分散した分相ガラ
スを製造する方法としては、例えば、特許3049379号公
報などに開示されている公知の方法を適用することがで
きる。銅イオンを拡散させる方法は、特に限定されるも
のではなく、母材の表面に銅金属又は銅化合物を含有す
る皮膜を形成した後熱処理をする方法、銅塩の溶融槽に
母材を浸漬する方法等を例示することができる。
【0050】母材の表面に銅金属又は銅化合物を含有す
る皮膜を形成する方法としては、例えば、銅化合物を含
有するペーストを塗布し乾燥する方法、銅アルコキシド
溶液を用いるゾルゲル法によって皮膜を形成する方法、
真空蒸着法、CVD法(化学気相堆積法)、イオン蒸着
法、スパッタリング法、溶射法等の方法で銅又は銅化合
物の皮膜を形成する方法等を挙げることができる。銅金
属又は銅化合物を含有する皮膜の厚さは、形成すべき紫
外線遮断ガラスの特性に応じて適宜決めればよいが、通
常0.1〜2mm程度の厚さとすればよい。皮膜を形成した後
の熱処理は、400〜900℃程度の温度で10分〜200時間程
度行えばよい。その後、水洗することによって、ハロゲ
ン化銅の微結晶層を形成した紫外線遮断機能を有する分
相ガラスを得ることができる。
【0051】これらの方法のなかで、銅化合物を含有す
るペーストを塗布し乾燥する方法について、より具体的
に説明する。銅化合物を含有するペーストとしては、特
に限定はなく、母材上に塗布し得る適度な粘度を有し、
熱処理により母材中に銅イオンを拡散させることのでき
る銅化合物を含有するペースト状物であればいずれも用
いることができる。この様な銅化合物としては、CuS
O4、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、Cu2O、CuO、Cu(NO3)・3
H2O、CuS等を挙げることができる。ペースト中における
銅化合物の含有量は、特に限定されないが、通常20〜70
重量%程度、好ましくは30〜60重量%程度とすればよい。
該ペーストには、通常、バインダー成分が含まれるが、
バインダー成分としては、熱処理工程において分解し
て、水洗により容易に除去される樹脂成分を用いること
が好ましい。この様なペーストとしては、通常、ガラス
の着色用ペーストとして市販されているものを用いるこ
とができ、その一例として、硫酸銅40〜60重量%、硫酸ソ
ーダ5〜15重量%程度、アルコールなどの溶剤15〜25重量%
程度、樹脂成分1〜5重量%程度からなるガラス着色用ペ
ースト等を挙げることができる。ペーストを塗布した後
の乾燥の条件は、特に限定はなく、溶剤成分が充分除去
される様に乾燥すればよく、通常150℃〜300℃程度で5
〜15分程度乾燥すれば、効率よく乾燥することができ
る。
【0052】また、銅塩の溶融槽に母材を浸漬する方法
では、300〜700℃程度の温度であって母材の屈伏点以下
の温度に加熱した銅塩の溶融槽中に、母材を10分〜20時
間程度浸漬した後、溶融槽から引き上げて水洗すればよ
く、この様な方法によって、母材に銅イオンが拡散して
該母材の表面にハロゲン化銅の微結晶層を形成すること
ができる。溶融槽に浸漬する方法で用いる銅塩として
は、特に限定はなく、母材中に銅イオンが拡散が可能な
銅化合物であればよく、例えば、CuSO4、CuCl、CuCl2
CuBr、CuBr2、Cu2O、CuO、Cu(NO3)・3H2O、CuS等を挙げ
ることができ、融点が上記した温度範囲を上回る化合物
の場合には、適宜組み合わせて融点を上記温度範囲とし
て用いればよい。また、銅塩以外の成分としてNaNO3、N
a2SO4、NaCl等を5〜50重量%程度含有する溶融塩を用い
ることによって、銅イオンの拡散を促進することも可能
である。
【0053】上記した方法などにより、母材ガラスに銅
イオンを拡散させることによって、母材ガラス中のハロ
ゲンと結合して、母材ガラスの表面付近にハロゲン化銅
の微結晶層からなる紫外線吸収層が形成される。
【0054】このような方法で分相ガラスを製造する際
には、更に、銅イオンの交換反応を行った後、ガラスの
転移点以上の温度であって、屈伏点以下の温度で、0.5
〜10時間程度の熱処理を行うことによって、所期の吸収
波長以下の波長域の紫外線について若干の透過がある場
合に、これをほぼ完全に吸収することが可能になる。
【0055】また、該分相ガラスを製造する場合には、
母材の片面にのみ銅金属又は銅化合物を含有する皮膜を
形成して熱処理する方法や、ガラスの片面を溶融塩によ
って侵されない公知の被覆材料でシールドして溶融塩槽
に浸漬する方法などにより、簡単に母材の片面にのみハ
ロゲン化銅の微結晶層を形成することができる。
【0056】改質ガラスの用途 本発明方法によって改質されたガラスは、優れた紫外線
遮断性能を有すると同時に、その表面の少なくとも一部
にアルカリ成分をほとんど含まない高ケイ酸層が形成さ
れている。このため、液晶と直接接触する液晶保護用ガ
ラスとして使用する場合に、ガラスに含まれているアル
カリ成分によって液晶が劣化することがなく、液晶保護
用ガラスとして好適に用いることができる。液晶保護用
ガラスとして使用する場合には、高ケイ酸層の厚みを0.
01mm以上程度とすることが好ましく、0.05mm以上程度
とするのがより好ましく、0.1mm〜0.6mm程度とするのが
最も好ましい。ハロゲン化銅が0.01〜15重量%程度
含まれる層の厚みは、光源から発せられる紫外線の強度
などに応じて適宜設定することができるが、約0.01
mm程度以上とすることが好ましく、0.1mm程度以
上とすることがより好ましい。液晶保護用ガラスとして
使用する場合には、少なくとも液晶と接触する面が、高
ケイ酸層となるよう設置すればよい。
【0057】更に、本発明の方法により改質されたガラ
スは、薬品類、アルコール類、各種飲料水などの容器用
ガラスとしても有用である。容器用ガラスとして使用す
る場合には、高ケイ酸層の厚みを0.01mm以上程度とす
ることが好ましく、0.05mm以上程度とするのがより好ま
しく、0.1mm〜0.6mm程度とするのが最も好ましい。ハロ
ゲン化銅が0.01〜15重量%程度含まれる層の厚み
は、内容物の紫外線に対する耐久性に応じて適宜設定す
ることができるが、0.01mm程度以上とすることが好
ましく、0.1mm程度以上とすることがより好ましい。
容器用ガラスとして用いる場合には、高ケイ酸層が、薬
品、アルコール、各種飲料などの内容物と接触するよう
に容器を製造することにより、内容物がアルカリ成分に
より変質することを防ぐことができる。
【0058】更に、本発明の方法により改質されたガラ
スは、屈折率の異なる二つの部分を有するので、光ファ
イバ−、光導波路などとしても好適に用いることができ
る。例えば、ファイバー状などの形状とした分相ガラス
について、表層に酸溶液を接触させることにより可溶成
分を溶出させ、ファイバーの中心部にハロゲン化銅を残
存させたガラスは、光ファイバーとして好適に用いるこ
とができる。
【0059】光ファイバーとして使用する場合には、高
ケイ酸層の厚みが、約0.001mm以上であることが
好ましく、0.002〜0.1mm程度であることがよ
り好ましい。光ファイバーとして使用する場合には、中
心部にあるハロゲン化銅を含有する部分の直径は、約
0.001mm以上であることが好ましく、0.002〜
1mm程度であることがより好ましい。
【0060】
【発明の効果】本発明の改質方法によれば、任意の波長
以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過特性
を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減し、
更に、その他各種の優れた機能性を有する紫外線遮断ガ
ラスを得ることができる。
【0061】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0062】実施例1 SiO2 55.3重量%、Na2B4O7 22.3重量%、H3BO3
10.2重量%、Al(OH)3 4.2重量%、K2CO3 1.
3重量%、ZnO 0.9重量%、NaBr 4.6重量%、Cu
2O 0.5重量%、SiZrO4 0.7重量%およびNb2O5
0.1重量%を混合することによって、ガラス原料を調
製した。ガラス原料を溶融し、成形および徐冷した後、
600℃において50分間熱処理することによって、ハ
ロゲン化銅微粒子がガラス全体に均一に分散したSiO2
含有する相を含む分相ガラスを得た。その後、ひずみが
なくなるまで徐冷し、研磨加工することによって、15
mm×15mm×1.1mmの分相ガラスを三枚得た。得られ
た分相ガラスの組成を表1に、No.1として示す。表中の
数値の単位は、重量%である。また、図1に、分相ガラ
スの透過率測定の結果を示す。図1から明らかなよう
に、分相ガラスは、紫外線のみを遮断している。
【0063】次に、三枚の分相ガラスを一枚ずつガラス
容器に入れ、それぞれの容器を1規定、2規定または3
規定に調整した硝酸水溶液(原液の濃度:60%、比
重:1.38)で満たした。それぞれの容器をオイルバ
スを用いて加熱し、98℃において12時間酸処理を行
うことによって、分相ガラス表面に高ケイ酸層を形成さ
せた。酸処理後、ガラスを水洗し、乾燥した。
【0064】得られた3枚のガラスについて透過率の測
定を行った。結果を図2に示す。ガラス表面が多孔質と
なったために生じる光散乱と吸着した水分のために、可
視広域において透過率の低下が見られたが、紫外線遮断
特性に変化は見られなかった。
【0065】次に、1規定の硝酸水溶液を用いて酸処理
した高ケイ酸層を有する分相ガラスを、500℃において5
時間熱処理し、透過率を測定した。結果を図3に示す。
多孔質であった高ケイ酸層が、加熱処理によって高密度
となり、光散乱が抑制されたために、可視領域における
透過率は、酸処理前と同程度となった。また、紫外線遮
断特性に変化は見られなかった。
【0066】さらに、得られたガラスについてエネルギ
ー分散型X線分光測定を行い、SiO2の濃度分布図を得
た。得られた結果を図4に示す。図4では、ガラス中の
SiO2が黒で示されている。図4から、酸処理によってSi
O2以外の成分が溶出し、ガラス表面に厚さ0.13mm程度の
高ケイ酸層が形成されていることが判る。
【0067】実施例2 SiO2 44.2重量%、Na2B4O7 17.4重量%、H3BO3
9.4重量%、Al(OH)3 11.9重量%、K2CO3 1.
7重量%、Li2CO3 2.9重量%、ZnO 2.4重量%、N
aBr 9.2重量%およびSiZrO4 0.6重量%を混合す
ることによって、ガラス原料を調製した。ガラス原料を
溶融、成形および徐冷したのち、15mm×15mm×3mm
に研磨加工することによって、Brを含む母材ガラスを
得た。母材ガラスの組成を表1中に、No.2として示す。
表中の数値の単位は、重量%である。
【0068】次に、CuSO4 55重量%、Na2SO4
10重量%、アクリル樹脂15重量%、セルロース樹脂
10重量%及び溶剤(ターピネオール)10重量%からな
るペーストを、研磨加工した母材ガラスの片面上に厚さ
1mmとなるように塗布し、200℃において30分乾
燥した。その後、510℃において48時間熱処理する
ことによって、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微結
晶を含む層を形成させた。その後、ひずみがなくなるま
で徐冷を行い、水洗し、乾燥した。得られた分相ガラス
の透過率を測定したところ、実施例1(図1)と同様の結
果が得られ、紫外線のみを遮断していることを確認し
た。
【0069】次に、分相ガラスをガラス容器に入れ、実
施例1と同様にして、1N、2Nまたは3Nに調整した
硝酸水溶液を用いて酸処理を行うことによって、分相ガ
ラス表面に高ケイ酸層を形成させ、水洗し、乾燥した。
【0070】得られた3種のガラスについて透過率の測
定を行ったところ、実施例1(図2)と同様の結果が得ら
れた。即ち、可視広域において透過率の低下が見られた
が、紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0071】次に、1規定の硝酸水溶液を用いて酸処理
した高ケイ酸層を有する分相ガラスを、500℃において5
時間熱処理し、得られたガラスの透過率を測定した。得
られた結果は、実施例1(図3)と同様であった。即ち、
可視領域における透過率は、酸処理前と同程度であり、
紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0072】また、得られたガラスについてエネルギー
分散型X線分光測定を行ったところ、図4と同様のSiO2
の濃度分布図が得られた。即ち、酸処理によってSiO2
外の成分が溶出し、ガラス表面に高ケイ酸層が形成され
ていることが判った。
【0073】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において用いたハロゲン化銅微粒子が
分散し、SiO2を含有する相を含む分相ガラスの透過率を
示す図である。
【図2】実施例1において、酸処理を施することにより
高ケイ酸層を形成させたガラスの透過率を示す図であ
る。
【図3】実施例1において、得られたガラスの透過率を
示す図である。用いたガラスは、1Nの硝酸水溶液を用
いて酸処理を施し、更に加熱処理を施すことによって得
られたガラスである。
【図4】実施例1において得られたガラス断面につい
て、SiO2濃度分布を示す図である。ガラスは、1Nの硝
酸水溶液を用いて酸処理を施し、更に加熱処理を施した
ガラスであり、測定は、エネルギー分散型X線分析装置
を用いて行った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C03C 3/074 C03C 3/074 3/11 3/11 G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 (72)発明者 垂水 孝至 大阪府大阪市西成区南津守6丁目3番地6 号 五鈴精工硝子株式会社内 (72)発明者 細川 孝治 大阪府大阪市西成区南津守6丁目3番地6 号 五鈴精工硝子株式会社内 (72)発明者 末次 竜也 大阪府大阪市西成区南津守6丁目3番地6 号 五鈴精工硝子株式会社内 (72)発明者 角野 広平 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所関西センター内 (72)発明者 矢澤 哲夫 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所関西センター内 Fターム(参考) 2H090 JB02 JB05 JC06 JD03 JD10 4G059 AA08 AA17 AC18 AC24 AC30 BB04 BB12 4G062 AA01 AA18 BB01 DA04 DA05 DA06 DA07 DB01 DB02 DB03 DB04 DC03 DC04 DC05 DC06 DC07 DD01 DE01 DE02 DE03 DF01 DF02 DF03 EA01 EA02 EA03 EA04 EA10 EB01 EB02 EB03 EB04 EC01 EC02 EC03 EC04 ED01 ED02 ED03 EE01 EE02 EE03 EF01 EF02 EF03 EG01 EG02 EG03 FA01 FB01 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FG02 FG03 FH01 FH02 FH03 FJ01 FJ02 FJ03 FK01 FK02 FK03 FL01 GA01 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH02 HH04 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ06 JJ07 JJ08 JJ10 KK01 KK03 KK04 KK05 KK07 KK10 MM12 MM27 NN13 QQ18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散
    し且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスを酸溶液
    に接触させて、該分相ガラス表面の少なくとも一部に高
    ケイ酸層を形成させることを特徴とする紫外線遮断ガラ
    スの改質方法。
  2. 【請求項2】高ケイ酸層が、SiO2を80重量%以上
    含む層である請求項1に記載の紫外線遮断ガラスの改質
    方法。
  3. 【請求項3】酸溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢
    酸及び過塩素酸からなる群から選択される少なくとも1
    種の酸を含む水溶液である請求項1又は2に記載の紫外
    線遮断ガラスの改質方法。
  4. 【請求項4】分相ガラスが、SiO2 20〜85重量%、B2O3
    2〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb
    2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、Ca
    O、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以
    下、Nb2O5、ZrO 2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少
    なくとも一種10重量%以下、及びハロゲン化銅0.01〜15
    重量%を含むガラスである請求項1〜3のいずれかに記
    載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
  5. 【請求項5】分相ガラスが、SiO2 20〜85重量%、B2O3
    2〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、
    Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、Ca
    O、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以
    下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少
    なくとも一種10重量%以下、及びCl、Br及びIから選ば
    れた少なくとも一種のハロゲン成分0.01〜15重量%を含
    む母材ガラスに、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微
    結晶を含む層を形成させたガラスである請求項1〜3の
    いずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の何れかに記載の方法により
    改質された紫外線遮断ガラスからなる液晶保護用ガラ
    ス。
JP2002115066A 2002-04-17 2002-04-17 液晶保護用ガラス Expired - Lifetime JP4626934B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002115066A JP4626934B2 (ja) 2002-04-17 2002-04-17 液晶保護用ガラス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002115066A JP4626934B2 (ja) 2002-04-17 2002-04-17 液晶保護用ガラス

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007287549A Division JP4740924B2 (ja) 2007-11-05 2007-11-05 紫外線遮断ガラスの改質方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003313050A true JP2003313050A (ja) 2003-11-06
JP4626934B2 JP4626934B2 (ja) 2011-02-09

Family

ID=29533646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002115066A Expired - Lifetime JP4626934B2 (ja) 2002-04-17 2002-04-17 液晶保護用ガラス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4626934B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004083145A1 (ja) * 2003-03-20 2004-09-30 Japan Science And Technology Agency 高ケイ酸ガラスの製造方法および高ケイ酸ガラス
JP2009054451A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 光フィルタ及びそれを用いた照明器具
JP2011116633A (ja) * 2009-10-27 2011-06-16 Tokyo Univ Of Science 発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法
US8168693B2 (en) 2010-02-12 2012-05-01 Schott Ag X-ray opaque barium-free glasses and uses thereof
US20180310568A1 (en) * 2015-10-21 2018-11-01 Corninig Incorporated Antimicrobial phase-separable glass/polymer composite articles and methods for making the same

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4740924B2 (ja) * 2007-11-05 2011-08-03 五鈴精工硝子株式会社 紫外線遮断ガラスの改質方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004083145A1 (ja) * 2003-03-20 2004-09-30 Japan Science And Technology Agency 高ケイ酸ガラスの製造方法および高ケイ酸ガラス
JPWO2004083145A1 (ja) * 2003-03-20 2006-06-22 独立行政法人科学技術振興機構 高ケイ酸ガラスの製造方法および高ケイ酸ガラス
JP4521831B2 (ja) * 2003-03-20 2010-08-11 独立行政法人科学技術振興機構 高ケイ酸ガラスの製造方法および高ケイ酸ガラス
US7975508B2 (en) 2003-03-20 2011-07-12 Japan Science And Technology Agency Method for producing high silicate glass and high silicate glass
JP2009054451A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 光フィルタ及びそれを用いた照明器具
JP2011116633A (ja) * 2009-10-27 2011-06-16 Tokyo Univ Of Science 発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法
US8168693B2 (en) 2010-02-12 2012-05-01 Schott Ag X-ray opaque barium-free glasses and uses thereof
US20180310568A1 (en) * 2015-10-21 2018-11-01 Corninig Incorporated Antimicrobial phase-separable glass/polymer composite articles and methods for making the same
US10959434B2 (en) * 2015-10-21 2021-03-30 Corning Incorporated Antimicrobial phase-separable glass/polymer composite articles and methods for making the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4626934B2 (ja) 2011-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7084880B2 (ja) 透明な近赤外線遮蔽ガラスセラミック
CN101190827B (zh) 玻璃制品及其制造方法
JP5689075B2 (ja) ディスプレイカバーガラス用ガラス基板及びその製造方法
KR100847618B1 (ko) 고 투과 글래스판 및 고 투과 글래스판의 제조방법
TWI589539B (zh) 光學玻璃
JP5142139B2 (ja) 青紫光遮断ガラス
CA3173575A1 (en) Microcrystalline glass, and microcrystalline glass product and manufacturing method therefor
JP6222097B2 (ja) 分相ガラスの製造方法および分相ガラス
GB2075002A (en) Production of polarizing glasses
CN109748496B (zh) 一种硼硅酸盐玻璃、防光晕输入窗玻璃及其制备方法和用途
KR20110122137A (ko) 유리 시트
CN1042923C (zh) 光致变色玻璃
JP2628014B2 (ja) 偏光ガラス
WO2007106274A2 (en) Method of making glass including use of boron oxide for reducing glass refiting time
JP4298980B2 (ja) 高透過ガラス板および高透過ガラス板の製造方法
JP2003313050A (ja) 紫外線遮断ガラスの改質方法
JP3049379B2 (ja) 紫外線遮断ガラス用母材ガラス、及び紫外線遮断ガラスの製造方法
JP2001278636A (ja) 紫外線蛍光ガラス、紫外線蛍光ガラス製品、および紫外線蛍光ガラスの製造方法
US4108621A (en) Process of producing soft aperture filter
JP4740924B2 (ja) 紫外線遮断ガラスの改質方法
JP3379548B2 (ja) 前炉着色剤
CN116282932A (zh) 类磨砂微晶玻璃及其制备方法
JP3778457B2 (ja) 硬質赤外線カットガラスの製造方法
JP2852462B2 (ja) 着色ガラス
CN115500360A (zh) 一种无机硅酸盐抗菌剂及其制备方法和应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070117

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100521

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100709

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101102

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4626934

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term