JP2003312625A - 高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器 - Google Patents

高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器

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JP2003312625A
JP2003312625A JP2002121742A JP2002121742A JP2003312625A JP 2003312625 A JP2003312625 A JP 2003312625A JP 2002121742 A JP2002121742 A JP 2002121742A JP 2002121742 A JP2002121742 A JP 2002121742A JP 2003312625 A JP2003312625 A JP 2003312625A
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container
resin
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Hiroshi Takino
浩史 瀧野
Tatsuo Kobayashi
辰男 小林
Yasuhiro Kashiwagi
泰弘 柏木
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Japan Polychem Corp
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Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】密度が0.942〜0.968g/c
3、メルトマスフローレート(MFR)が0.1〜1
00g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)との比(Mw/Mn)が6以下である高密度
ポリエチレン系樹脂からなる成形体容器であって、該容
器を構成する樹脂材料が下記特性(1)〜(4)を満た
すことを特徴とする高密度ポリエチレン系樹脂製食品容
器。 (1)炭素数 6〜11の炭化水素化合物の総量が15
0ppm以下 (2)炭素数12〜30の炭化水素化合物の総量が20
0ppm以下 (3)アセトアルデヒドの含有量が30ppm以下 (4)酢酸の含有量が30ppm以下 【効果】本発明によれば、容器、又は容器用蓋から食品
に移行する香味に影響する成分を大幅に低減し、低臭
性、低味性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高密度ポリエチレン系樹
脂製食品容器に関する。詳しくは特定の構造特性を有
し、かつ臭気成分含有量を極めて低減させた高密度ポリ
エチレン系樹脂製食品容器に関する。
【0002】
【従来の技術】固形食品、流動食品、半流動食品、液体
飲料等(以下、これらを総称して単に食品ということが
ある。)の容器本体又は容器用蓋(以下は、これらを総
称して単に容器ということがある。)として、ポリエチ
レン樹脂製品は、機械物性、取り扱い性、食品衛生性等
に優れることから、種々の用途に使用されている。近年
では、消費者の本格的な味嗜好の高まり、或いはお茶や
ミネラルウォーター等の比較的味の薄い内容物向けのP
ETボトルの需要の高まりから、容器、又は容器用蓋に
対する低臭性、低味性の要求が厳しくなっている。しか
しながら、一般的に使用されている高密度ポリエチレン
樹脂製容器は、このような要求を満足しておらず、又、
要求を満足していない容器を使用せざるを得ないため
に、新たに香味成分を添加して容器から移行する臭いを
マスキングする場合もある。
【0003】特開2001−180704号公報には、
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
(Mw/Mn)が7以上である高密度ポリエチレン系樹
脂からなる樹脂キャップが記載され、揮発分量を少なく
する(500mV/sec以下)ことにより香味の阻害
が減少することが開示されている。しかし当該技術にお
いても、依然として、揮発分量は高いレベルであり、又
臭気には揮発成分の総量ではなく特定の揮発成分が微量
でも悪影響を与えるため、香味阻害の問題は、必ずしも
解決されない。且つ、味覚には、揮発しない比較的高分
子量のオリゴマー成分も内容物に抽出され、移行するこ
とにより味覚に悪影響を与えるためやはり解決されな
い。
【0004】又、特開2001−81253号公報に
は、密度が0.880〜0.940g/cm3のエチレ
ン系共重合体であって、特定の無機化合物粒子を含み、
ヘキサン可溶分を少なくすることにより臭い・味の内容
物への移行が少ない容器が開示されているが、当該技術
においても、依然として、揮発成分量及び揮発しない比
較的高分子量のオリゴマー成分の量は高いレベルであ
り、又香味には当該成分の総量ではなく特定の成分が微
量でも悪影響を与えるため、香味阻害の問題は、やはり
解決されない。また、材料として密度が0.880〜
0.940g/cm3のエチレン系共重合体が用いられ
ており、強度や剛性に問題があった。
【0005】一方、如何に高密度ポリエチレン樹脂の揮
発成分や内容物に抽出される比較的高分子量のオリゴマ
ー成分が少なくとも、適切な条件で容器が成形されない
場合には、過剰の熱履歴が加わっていれば、香味性に悪
影響を与える問題がある。特公平2−52645、特開
昭54−52162、特開平3−265606号などの
公報には、ポリオレフィン、又はエチレン重合体の熱水
処理、脱気処理による臭気低減方法が開示されている
が、当該技術における樹脂組成物は共通して実質的に低
密度ポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、高密
度ポリエチレンと比較して分子構造上、低分子量、低結
晶のオリゴマー成分、酸化成分、及び脱臭工程での熱水
処理や成形時の熱履歴等によって酸化劣化されやすい不
飽和結合と分岐を多く含んでおり、結果として成形品の
香味改良レベルは極めて不十分である。特に、特公平2
−52645号公報では、溶存酸素0.5mg/L以下
の60℃以上の熱水中に浸漬して臭気を低減させた後、
当該低密度ポリエチレンを232℃以下の温度にて賦形
することにより、臭いが改良された成形品を提供するこ
とが開示されているが、かかる方法によって得られた成
形品でも、その香味改良レベルは極めて不十分である。
更に、低密度ポリエチレンでは、食品容器、又は容器用
蓋としては剛性が低く適さない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
と同等の物性を持ちながら、容器、又は容器用蓋から移
行する香味に影響する成分を大幅に低減し、低臭性、低
味性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らが鋭
意検討の結果、特定構造をもつ高密度ポリエチレン樹脂
からなる容器において、特定の微量成分が特定量以下で
あるときに、人間の感じる範囲内で低臭性、低味性が大
幅に向上することを見出した。即ち、本発明は、密度が
0.942〜0.968g/cm3、メルトマスフロー
レート(MFR)が0.1〜100g/10分、重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw
/Mn)が6以下である高密度ポリエチレン系樹脂から
なる成形体容器であって、該容器を構成する樹脂材料が
下記特性(1)〜(4)を満たすことを特徴とする高密
度ポリエチレン系樹脂製食品容器に存する。 (1)炭素数 6〜11の炭化水素化合物の総量が15
0ppm以下 (2)炭素数12〜30の炭化水素化合物の総量が20
0ppm以下 (3)アセトアルデヒドの含有量が30ppm以下 (4)酢酸の含有量が30ppm以下
【0008】高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.9
42〜0.968g/cm3であり、好ましくは0.9
45〜0.967g/cm3であり、より好ましくは
0.950〜0.965g/cm3である。密度が0.
942g/cm3未満では、容器、又は容器蓋の強度、
剛性が低下する。更に、エチレンとの共重合コモノマー
が増えることにより短鎖分岐が増えるので、製品成形時
の熱履歴により酸化劣化しやすくなる。加えて、内容物
のフレバー成分が吸着しやすくなったり、酸素ガス透過
性が増加することで内容物が劣化しやすくなり、香味性
が経時変化する。密度が0.968g/cm3を超える
と、耐衝撃性が低下する。密度は、JIS K7112:1999によ
るD法(密度こうばい管)で測定する。密度は、主とし
てエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィ
ンの量比などで調整できる。又、低密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、密度
0.91g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共
重合体などとのブレンドによる調整も可能である。
【0009】高密度ポリエチレン樹脂のメルトマスフロ
ーレート(MFR)は、0.1〜100g/10分であ
り、好ましくは0.2〜80g/10分であり、より好
ましくは0.4〜60g/10分である。MFRが低い
材料から高い材料にかけて中空成形、キャップ圧縮成形
や真空成形加工を伴うシート成形を含む押出成形、射出
成形に適するが、0.1g/10分未満では成形性が悪
化する。MFRが100g/10分を越えるものは強度
が低下する。MFRは、JIS K6922-1:1997による条件D
(190℃、21.18N)で測定する。MFRは、主
としてエチレンの重合工程における水素の量、重合温
度、重合槽内での滞留時間、重合槽の数などで調整でき
る。また、MFRの異なるポリエチレン樹脂とのブレン
ドなどによる調整も可能である。
【0010】高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)
は、6以下であり、好ましくは2〜6、より好ましくは
2〜5である。Mw/Mnが6を越えると、当該高密度
ポリエチレン樹脂の分子量1000以下のオリゴマーの
量が増加し易く、その結果以下に述べる炭素数12〜3
0の炭化水素化合物が200ppmを越えやすい。Mw
とMnは、下記条件のゲル・パーミエイション・クロマ
トグラフィー(GPC)により測定される。 装置 : WATERS製150C カラム : 昭和電工社製AD80M/S 3本 測定温度: 140℃ 濃度 : 1mg/1mL 溶媒 : o−ジクロロベンゼン Mw/Mnは、主として触媒の種類、助触媒の種類、重
合温度、重合槽内での滞留時間、重合槽の数などで調整
できる。さらに、押出機の温度、押出機の圧力、押出機
の剪断速度などによる調整も可能である。また、MF
R、Mw/Mnの異なるポリエチレン樹脂とのブレンド
などによる調整も可能である。
【0011】以下、本発明の成形体(食品容器本体及び
蓋、飲料容器本体及び蓋)を構成する樹脂材料が有する
諸特性について説明する。(1)炭素数 6〜11の炭化水素化合物の総量が15
0ppm以下 容器を構成する樹脂材料が含有する炭素数6〜11の炭
化水素化合物は、150ppm以下、好ましくは0〜1
30ppm、より好ましくは0〜100ppmである。
炭素数6〜11の炭化水素化合物の総量が150ppm
を越えると、いわゆるポリ臭が増し、且つ内容物に移行
した当該化合物が味にも影響を与える。又、当該化合物
は、成形体成形時の熱履歴によって低分子量のアルコー
ル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸等の酸化成分に変
性しやすく、香味に特に影響を与える。
【0012】炭素数6〜11の炭化水素化合物は、以下
の方法で測定される。成形体を約5mm角の小片に切断
した5mgの試料を用い、窒素雰囲気下で200℃、2
0分間の加熱による発生する揮発成分の内、炭素数6〜
11の炭化水素化合物を下記条件のヘッドスペース法ガ
スクロマトグラフィーにより定量する。 装置 : HEWLETT PACKARD製6890 カラム: J&W SCIENTIFIC製DB−5(30m×0.3
2mm、膜厚1μm) 検出器: FID(Flame Ionization Detector:水素
炎イオン化検出器) 温度 : 50→280℃(昇温速度8℃/分) 注入量: 1mL 定量 : トルエンを標準溶液として定量。 成形体の炭素数6〜11の炭化水素化合物の総量は、後
述する当該高密度ポリエチレン系樹脂の重合プロセス、
重合時の脱ガス処理、ペレット化時の押出機での脱ガス
処理、ペレット化後の脱ガス処理、当該成形体成形時の
脱ガス処理などで調整できる。
【0013】(2)炭素数12〜30の炭化水素化合物
の総量が200ppm以下 容器を構成する樹脂材料が含有する炭素数12〜30の
炭化水素化合物は、200ppm以下、好ましくは1〜
180ppm、より好ましくは1〜170ppmであ
る。ここで炭素数12〜30の炭化水素化合物の総量
は、成形体のMFRに依存し、MFRが高くなるほど、
当該化合物の総量は多くなる傾向がある。従って、炭素
数12〜30の炭化水素化合物の総量(T)とMFRの
間に下記の関係が成り立つことが特に好ましい。 T≦100×MFR0.15 但し、T :炭素数12〜30の炭化水素化合物の総
量(ppm) MFR:成形体のメルトマスフローレート(g/10
分)
【0014】炭素数12〜30の炭化水素化合物の総量
が200ppmを越えると、内容物に移行した当該化合
物が香味に影響を与える。又、当該化合物は、成形時の
熱履歴によって低分子量のアルコール、ケトン、アルデ
ヒド、カルボン酸等の酸化成分に変性しやすく、香味に
特に影響を与える。
【0015】炭素数12〜30の炭化水素化合物は、以
下の方法で測定される。成形体から160℃で0.1m
m以下のプレスフィルム1gを短冊状に作成し、当該フ
ィルムを60℃クロロホルム10mL中で1.5時間超
音波・還流抽出した後、室温に放冷後アセトンを加え、
可溶分を濾過する。当該濾液をエバポレーターで溶媒除
去後、アセトン20mLを加えて5分間超音波にて溶解
させ、可溶分を更に濾過する。当該濾液をエバポレータ
ーで溶媒除去後、クロロホルムに再溶解させてエバポレ
ーターで溶媒除去後、乾燥した試料を秤量後下記溶媒に
溶かし、炭素数12〜30の炭化水素化合物を下記条件
のガスクロマトグラフィー分析法により定量する。 装置 : HEWLETT PACKARD製5890SERIES II カラム: J&W SCIENTIFIC製DB−1(15m×0.2
5mm、無極性、膜厚0.25μm) 検出器: FID(Flame Ionization Detector:水素
炎イオン化検出器) 温度 : 60℃→320℃(昇温速度10℃/分) 溶媒 : n-Heptadecanoic Acid Methyl Ester 0.1重量%クロロホルム溶液300μL 注入量: 1μL 定量 : 炭素数14、18、24、33及び36の直
鎖状炭化水素を内部標準物質として、該内部標準物質に
対するピーク比への炭素数の影響を考慮した内部標準法
を用いた。
【0016】成形体の炭素数12〜30の炭化水素化合
物の総量は、後述する当該高密度ポリエチレン系樹脂の
触媒の種類や重合プロセスによって調整できる。例え
ば、スラリー重合においては溶媒分離処理、重合後の低
分子量のオリゴマー成分の除去処理などで調整できる。
【0017】(3)アセトアルデヒドの含有量が30p
pm以下 本発明の容器を構成する樹脂材料が含有するアセトアル
デヒドは、30ppm以下、好ましくは0〜20pp
m、より好ましくは0〜15ppmである。アセトアル
デヒド含有量は、前述の炭素数6〜11の炭化水素化合
物と同様の方法で測定される。このような条件で測定さ
れたアセトアルデヒドの含有量が30ppmを越えると
香味性に影響を与える。
【0018】(4)酢酸の含有量が30ppm以下 本発明の容器を構成する樹脂材料が含有する酢酸は、3
0ppm以下、好ましくは0〜20ppm、より好まし
くは0〜15ppmである。酢酸含有量は、前述の炭素
数6〜11の炭化水素化合物と同様の方法で測定され
る。このような条件で測定されたアセトアルデヒドの含
有量が30ppmを越えると香味性に影響を与える。
【0019】成形体のアセトアルデヒド、及び酢酸の含
有量は、当該高密度ポリエチレン系樹脂に含まれる不飽
和結合、分岐、酸化成分、低分子量のオリゴマーなどの
量、残触媒の活性、当該成形体成形時の熱履歴の結果生
じる酸化成分の量などに依存する。当該酸化成分の内、
香味性には揮発性高い酸化成分、具体的には炭素数1〜
9の脂肪族アルデヒド、炭素数1〜9の脂肪族カルボン
酸、炭素数1〜10の脂肪族アルコール、炭素数1〜8
の脂肪族ケトンなどが影響を与えやすい。このうち、脂
肪族アルデヒド、及び脂肪族カルボン酸がより香味性に
影響を与えやすい。特に、低分子量化合物であるアセト
アルデヒド及び酢酸が定量しやすく、且つ香味性との相
関が強いので、本発明においては、アセトアルデヒド及
び酢酸の含有量で整理したものである。成形体のアセト
アルデヒド、及び酢酸の含有量は、当該高密度ポリエチ
レン系樹脂の触媒の種類、重合温度、重合槽内での滞留
時間、重合槽の数、押出機の温度、押出機の圧力、押出
機の剪断速度、添加剤の種類、量、当該成形体成形時の
温度、圧力、剪断速度、成形サイクル、不活性ガス雰囲
気など種々条件で調整できる。
【0020】(5)200℃での酸化誘導期間(OI
T)が1分以上 本発明の容器を構成する樹脂材料は、その200℃にお
ける酸化誘導期間(Oxidative-Induction Time:OI
T)は、1分以上が好ましく、より好ましくは2〜60
分、最も好ましくは3〜30分である。200℃におけ
るOITが1分未満では、成形時に熱履歴を過大に受け
上記酸化劣化がより進んでいることが示される為、アセ
トアルデヒド、及び酢酸が増加し香味に影響を与える恐
れがある。しかし、酸化防止剤を含有しない高密度ポリ
エチレン系樹脂を使用して低温側、例えば170〜19
0℃で成形した容器などは200℃におけるOITが3
0秒〜1分程度であっても、前記(1)〜(4)の特性
を満たすものであれば、本発明の容器として使用可能で
ある。
【0021】OITは、ASTM D3895:1995の方法により
下記条件で測定される。 試料の調整: 成形体を160℃、1分間以下で0.5
±0.1mmにプレス成形する。 装置 : 示差走査熱量計(セイコー電子工業社
製、SSC560S) 測定温度 : 200℃ OIT : 当該試験法に記載の方法により200℃
に保持した場合の熱量変化を測定し、酸素供給開始から
のベースラインの延長線と吸熱ピークの接線との接点
(Oxidative Onset)までの時間を求めた(単位:
分)。
【0022】成形体の200℃における酸化誘導期間
(OIT)もまた、当該高密度ポリエチレン系樹脂に含
まれる不飽和結合、分岐、酸化成分、低分子量のオリゴ
マーなどの量、残触媒の活性、当該成形体成形時の熱履
歴などに依存するので、当該高密度ポリエチレン系樹脂
の触媒の種類、重合温度、重合槽内での滞留時間、重合
槽の数、押出機の温度、押出機の圧力、押出機の剪断速
度、添加剤の種類、量、当該成形体成形時の温度、圧
力、剪断速度、成形サイクル、不活性ガス雰囲気など種
々条件で調整できる。
【0023】本発明で用いる高密度ポリエチレン系樹脂
は、好ましくは、チタンを主成分とするチーグラー・ナ
ッタ触媒や、シクロペンタジエニル骨格を有するメタロ
セン触媒を用いる重合方法により製造される。重合方法
としては、スラリー重合、気相重合、溶液重合等を例示
することが出来る。これら重合用触媒を用いて、エチレ
ン、もしくは、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフ
ィンを所望の密度となる割合にして共重合することによ
り、好適に製造することができる。ここで、エチレンと
の共重合に用いられるα-オレフィンとしては、プロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1
-ヘキセン、1-オクテンなどを挙げることができ、エチ
レンと1種以上のα-オレフィンとの共重合体で、1種
又は2種以上のブレンド物を用いることも出来る。
【0024】成形体の炭素数6〜11の炭化水素化合物
の総量を150ppm以下にする具体的な方法は、高密
度ポリエチレン系樹脂の製造時に、炭素数が6〜10の
飽和炭化水素の重合溶媒、例えば、ノルマルヘキサン、
ノルマルヘプタン等を用いるスラリー重合において、遠
心分離機や高温度、負圧等による溶媒の分離工程を介し
たものが、当該化合物が揮発除去され易く好ましい。気
相重合においては、重合溶媒は使用されず、生成する重
合体中の揮発成分が少なく好ましい。更に、重合後の造
粒・ペレット化工程において、押出機ベント口より減圧
にて揮発成分を除去することが好ましい。また、ペレッ
ト化後に再び60℃以上、好ましくは80℃以上で温風
処理をすることが好ましい。更にまた、成形体成形時に
おいて、押出機ベント口より減圧にて揮発成分を除去す
ることが好ましい。
【0025】成形体の炭素数12〜30の炭化水素化合
物の総量を200ppm以下にする具体的な方法は、高
密度ポリエチレン系樹脂製造時に、高活性なチーグラー
・ナッタ触媒を用いることが、低分子量オリゴマー成分
の生成が少なく好ましい。また、低分子量成分の生成を
より抑制した、メタロセン系触媒を使用することが香味
的により好ましい。当該触媒を用い、炭素数が6〜10
の飽和炭化水素の重合溶媒、例えば、ノルマルヘキサ
ン、ノルマルヘプタン等を用いるスラリー重合におい
て、遠心分離機や高温度、負圧等による溶媒の分離工程
を介したものが、溶媒中に抽出された当該化合物と共に
除去され易く好ましい。また、重合パウダー生成後、或
いはペレット化後に60℃以上、好ましくは80℃以
上、より好ましくは90℃以上の水中で熱水による低分
子量のオリゴマー成分の除去処理をすることが好まし
い。また、当該ポリエチレンのMFRが大きくなり平均
分子量が下がるほど当該化合物が多くなるので、MFR
は100g/10分以下が好ましく、多段重合を行う場
合には、高分子量成分の量比にもよるが、低分子量成分
のMFRが200g/10分以下であることが好まし
い。
【0026】成形体のアセトアルデヒド、及び酢酸の含
有量をそれぞれ30ppm以下にする具体的な方法は、
高密度ポリエチレン系樹脂製造時に、高活性なチーグラ
ー・ナッタ触媒を用いることが、低分子量オリゴマー成
分の生成が少なく、結果として成形体を得るまでに受け
る熱履歴によるアセトアルデヒド、及び酢酸の発生が抑
制されるため、好ましい。また、低分子量成分の生成を
より抑制した、メタロセン系触媒を使用することがより
好ましい。クロム系触媒は分子構造中に不飽和結合、分
岐を含みやすく、重合時、ペレット化時或いは成形加工
時に受ける加熱による酸化劣化によりアセトアルデヒ
ド、及び酢酸が発生しやすいので好ましくない。
【0027】本発明の成形体のアルデヒド、及び酢酸
は、当該高密度ポリエチレン系樹脂製造工程での乾燥、
ペレット化、温風処理、熱水処理などの各工程における
加熱による酸化劣化により生成するので、各工程におい
て不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、二酸化炭素など
のシール或いはフローにより環境中の溶存酸素、又は空
気を低減することが好ましく、具体的には溶存酸素濃度
が100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、
より好ましくは10ppm以下であることが好ましい。
更に、成形体のアルデヒド、及び酢酸は、当該成形体の
成形時の加熱による酸化劣化により特に生成しやすいの
で、各工程において不活性ガス、例えば窒素、アルゴ
ン、二酸化炭素などのシール或いはフローにより環境中
の溶存酸素、又は空気を低減することが好ましい。ま
た、当該高密度ポリエチレン系樹脂に少量の酸化防止剤
を加えることも、高密度ポリエチレン系樹脂製造工程、
及び成形体の成形時の酸化劣化防止の観点で好ましい。
【0028】(6)フェノール系酸化防止剤の含有量が
1〜1500ppm、リン系酸化防止剤の含有量が10
00ppm以下、且つ、フェノール系酸化防止剤とリン
系酸化防止剤の含有量の合計が1〜2000ppm 本発明の容器を構成する樹脂材料は、酸化防止剤を含有
することができる。酸化防止剤の含有量は、フェノール
系酸化防止剤の含有量が、1500ppm以下、好まし
くは1〜1500ppm、より好ましくは5〜500p
pm、リン系酸化防止剤の含有量は、1000ppm以
下、好ましくは、500ppm以下、より好ましくは、
100ppm以下であり、且つ、フェノール系酸化防止
剤とリン系酸化防止剤の含有量の合計が2000ppm
以下、好ましくは1〜2000ppm、より好ましくは
5〜500ppmである。上記範囲を超えると、酸化防
止剤の臭気や分解物が香味に悪影響を及ぼしやすいの
で、好ましくない。酸化防止剤を加える場合、香味性に
影響を与えないことが極めて重要で、例えば硫黄系酸化
防止剤は好ましくなく、又一部の加水分解しやすいリン
系酸化防止剤、例えばテトラキス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジフォスフォ
ナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスフ
ァイト、トリス-(ミックスド-モノ-アンド-ジ-ノニルフ
ェニル)フォスファイトなどは好ましくない。好ましい
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキ
ス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]、オクタデシル−3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4
-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルプロピ
オニロキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,9,10-テトラオ
キサスピロ[5・5]ウンデカン、ビタミンE、トリス(2,4-
ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,6-ジ
-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジフォスファイト等が挙げられる。
【0029】本発明の食品容器は、前記の高密度ポリエ
チレン系樹脂から構成され、炭素数6〜11の炭化水素
化合物の総量が150ppm以下、炭素数12〜30の
炭化水素化合物の総量が200ppm以下であることに
より低臭性、低味性を達成する。更に、本発明の食品容
器は、前記の高密度ポリエチレン系樹脂をできる限り熱
劣化させない方法により製造し、代表的な酸化成分であ
り熱劣化の指標となるアセトアルデヒド及び酢酸の含有
量がそれぞれ30ppm以下である。更に好ましくは2
00℃におけるOITが1分以上であることによって低
臭性、低味性を達成する。具体的な当該容器の製造方法
として、好ましくは、該高密度ポリエチレン系樹脂のO
ITが3分となる温度以下、好ましくは5分となる温度
以下の低温で成形することによって達成する。また、成
形体の酸化を防ぐために不活性ガス、具体的にはアルゴ
ン、窒素、二酸化炭素等をホッパーから押出機にかけて
シール、又はフロー、パージさせて成形することが好ま
しい。この不活性ガスを用いる方法は、OITが3分と
なる温度以上の温度で成形する場合に特に有効である。
適切な成形条件で容器が成形されない場合に、成形材料
となる高密度ポリエチレン樹脂が熱劣化することによっ
て発生する特定の微量成分が内容物に移行して臭気、味
に悪影響を及ぼす。
【0030】OITが3分となる温度は、ASTM D3895:1
995の方法により下記条件で求められる。 試料の調整: 高密度ポリエチレン樹脂を160℃、1
分間以下で0.5±0.1mmにプレス成形して試料に
供する。 装置: 示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、SS
C560S) 測定温度: 190、200、210℃ OIT: 当該試験法に記載の方法により熱量変化を測
定し、酸素供給開始からのベースラインの延長線と吸熱
ピークの接線との接点(Oxidative Onset)までの時間
を求めた(単位:分)。 OITが3分となる温度: 上記各測定温度におけるO
ITを縦軸に、測定温度(絶対温度表示)の逆数を横軸
にアレニウスプロットし、OITが3分となる温度を、
最小二乗法により求める。
【0031】成形時の熱履歴を下げるために成形サイク
ルを上げる、酸化防止剤を香味性に影響を与えない範囲
で添加する、等の方法も効果的である。容器、又は容器
蓋としての基本性能を持たせるために、必要に応じて、
中和剤、スリップ剤、帯電防止剤、アンチブロッキング
剤、防曇剤、核剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、着色顔料、分散剤などの添加剤を添加し
ても良い。例えば、中和剤、具体的にはステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸リチウム、合成ハイドロタルサイトな
どを、3000ppm以下、好ましくは1000ppm
以下、より好ましくは500ppm以下の量で添加する
ことが、高密度ポリエチレン系樹脂の品質を安定させる
ために好ましい。しかしながら、これら添加剤は、当該
添加剤自体、当該添加剤に含まれる不純物、当該添加剤
の成形時の酸化劣化物、当該添加剤の組み合わせによる
副成分などにより、少なからずも香味性に悪影響を与え
る場合があるため、基本性能を達成し得る最低の量を添
加することが望ましい。
【0032】本発明の成形体は、射出成形、射出圧縮成
形、シート成形、押出成形、圧縮成形、中空成形、熱成
形、回転成形などにより成形することができる。特に射
出成形、キャップ圧縮成形や真空成形加工を伴うシート
成形を含む押出成形、中空成形により成形することが有
効である。又、当該成形体を容器本体として使用するだ
けでなく、内容物と接触する最内層のみに使用して香味
性を保持し、外層に他の樹脂を積層して高機能化した多
層成形体としても良い。具体的には、ポリプロピレンな
どの高剛性樹脂による高強度化、軽量化、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリエステル、ナイロン、フ
ッ素系樹脂、アルミ箔などのガスバリアー性材料による
ハイガスバリアー化、アルミ箔、着色顔料などの光透過
防止による難内容物劣化、リサイクル材の多層化、発泡
樹脂による断熱化、軽量化などが考えられる。本発明の
成形体は、容器及び又は蓋からなり、その使用例として
は、米飯、麺類、弁当、たまご豆腐や豆腐類、冷凍食品
などの食品容器、アイスクリーム、シャーベット、氷、
ゼリー、プリン、ババロアなどの冷菓容器、ヨーグルト
に代表される乳製品容器、茶、コーヒー、水、ジュー
ス、清涼飲料水などの飲料容器、乳酸飲料、乳清飲料、
牛乳、加工乳、ヨーグルトドリンクなどの乳飲料容器、
炭酸飲料、清涼飲料水、水、茶、コーヒー、ジュース、
乳飲料などの飲料容器用蓋などが挙げられ、特に、液
体、ゲル状の食品、冷菓容器、乳製品容器、乳飲料容
器、清涼飲料水、水、茶、コーヒー、ジュースなどの飲
料容器用蓋などに使用することが有効である。乳製品容
器、乳飲料容器及び又は蓋に使用する場合には、法的規
制を受けるので、酸化防止剤は0ppmであることが必
要であり、その他添加剤についても規制を受ける。
【0033】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例
に制約されるものではない。
【0034】[実施例1] (A)固体触媒の調製 窒素雰囲気下、Mg(OEt)2の77.9kgとTi(O-B
u)3Clの103.1kgとn−BuOHの25.3kgとを150℃
で6時間混合して均一化し、冷却後n−ヘキサンを所定
量加えて均一溶液にした。次いで、所定温度にてエチル
アルミニウムセスキクロライドを51.5kg滴下し1時間撹
拌した。さらに、n−ヘキサンにて洗浄を繰り返してチ
ーグラー系固体触媒25kgを得た。 (B)高密度ポリエチレン樹脂の製造 n-ヘキサンを仕込んだ内容量600Lの撹拌機を備えた反応
器を用いた。n-ヘキサンを70kg/時、トリエチルアルミ
ニウムを1g/時、エチレンを30kg/時、上記固体触媒を0.
7g/時、及び水素、プロピレンを連続的に供給し、温度
を85℃、気相中の水素/エチレンモル比を1.8モル/モ
ル、プロピレン/エチレンモル比を0.027となるよう調製
し、連続重合を行った。遠心分離機で固液分離した後、
得られた重合体パウダーを乾燥した。当該重合体パウダ
ーは、窒素シールをした酸素濃度10ppm以下の85℃の
温水中で1時間撹拌処理をして炭素数30以下の炭化水
素化合物を低減した後、80℃ギアーオーブンで2時間
乾燥した。その後、中和剤としてステアリン酸カルシウ
ムを0.1重量%を添加し、90mmφ押出機を用いて温度
200℃以下、20L/分の窒素フローの条件で混練、
ペレット化し、MFR55g/10分、密度0.961g/cm3、Mw
/Mn4.3、OITが3分となる温度が214℃の高密度ポ
リエチレンを得た。
【0035】(C)容器の成形 上記高密度ポリエチレンを成形温度180℃で肉厚1m
m、内容積150mLの容器を射出成形した。
【0036】(D)臭気官能試験 当該容器を20×20mm程度の形状に切断し、80g
を300mL広口瓶に入れた後、栓をして80℃に加温
したギアオーブンに2時間入れ加熱した。加熱後当該広
口瓶を取り出し、10分以内に次の臭いの基準に従い、
パネラー5人による官能評価を行った。 0:無臭 1:やっと感じられる 2:感じられる 3:かなり臭う 4:強く臭う 5:激しく臭う
【0037】(E)味覚官能試験 当該容器に、95℃に加熱したミネラルウォーター10
0mLを入れ、ラップフィルムで蓋をした後、室温で2
4時間放冷した。ガラス容器に同様の処理をしたミネラ
ルウォーターを入れた物を対照にして、次の味の基準に
従い、パネラー5人による官能評価を行った。 ○:対照と優位差無し、又はやや異味を感じる。 △:対照より味が変化、又はかなり異味を感じる。 ×:対照より全く味が変化、又は異臭がある。 又、当該容器に、80℃に加温したミルクコーヒー10
0mLを入れ、ラップフィルムで蓋をした後室温で24
時間放冷し、ガラス容器に同様の処理をしたミルクコー
ヒーを入れた物を対照にして、同様に味の官能評価を行
った。結果を以下の実施例と共に表1に示した。
【0038】[実施例2]実施例1に於いて、気相中の
水素/エチレンモル比を0.7、プロピレン/エチレンモル
比を0.02として連続重合し、得られた重合体パウダーを
実施例1と同様の方法で炭素数30以下の炭化水素化合
物を低減した。その後、中和剤としてステアリン酸カル
シウムを0.1重量%、フェノール系酸化防止剤として
ペンタエリスリトール−テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.05
重量%添加した以外は実施例1と同様に混練、ペレット
化して、MFR8g/10分、密度0.963g/cm3、Mw/Mn
5.2、OITが3分となる温度が228℃の高密度ポリエチ
レンを得た。成形温度を225℃に変更する以外は実施例
1と同様に成形、評価した。
【0039】[実施例3]実施例2に於いて、気相中の
水素/エチレンモル比を1.0、プロピレン/エチレンモル
比を0.037とした以外は同様にしてMFR19g/10分、密
度0.958g/cm3、Mw/Mn4.6、OITが3分となる温
度が221℃の高密度ポリエチレンを得た。成形温度を210
℃に変更する以外は実施例1と同様に成形、評価した。
【0040】[実施例4]実施例1に於いて、容器の成
形温度を240℃、容器成形時にホッパーから20L/分で
窒素フローを実施する以外は同様に成形、評価した。
【0041】[実施例5] (A)固体触媒の調製 窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器に
n−ヘプタン4.0Lとビス(シクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド7.94mmol(2.32
g)を添加し、55℃で10分間攪拌した。引き続きW
ITCO社製MAO on SiO2 100g(850mmol−A
l)をn−ヘプタン1.0Lとともに添加して、更に1
0分間攪拌を続けた。次いで、60℃でエチレンガスを
4.0NL/分の速度で152分間導入して予備重合を
行った。エチレンの供給を停止し、反応器内容物を窒素
雰囲気下において全て15L槽型振動式減圧乾燥機に抜
き出した後ヘプタン5Lで洗浄し、70℃で減圧乾燥し
溶媒を除去した。この結果、予備重合触媒粉末785g
を得た。 (B)高密度ポリエチレン樹脂の製造 窒素雰囲気下、容量24Lの誘導攪拌装置付き反応器に
n−ヘプタン12.0L、トリ(イソブチル)アルミニ
ウム2.0mmol、上記予備重合触媒粉末7.85g
を順に添加した。次いで、85℃で微量の水素とエチレ
ンとの混合ガス(混合比0.05mol%)を導入し、
全圧9kg/cm2-Gとした。その後、混合ガスを補給し3時
間重合を行った。得られた重合体パウダーを、実施例1
と同様にして85℃の温水中での撹拌処理と80℃ギア
ーオーブン中での乾燥処理を行い、次いで実施例2と同
様にして混練、ペレット化を行い、MFR10g/10分、密
度0.962g/cm3、Mw/Mn2.8、OITが3分となる温
度が230℃の高密度ポリエチレンを得た。成形温度を225
℃に変更する以外は実施例1と同様に成形、評価した。
【0042】[比較例1]実施例1に於いて、成形温度
を240℃に変更する以外は同様に成形、評価した。結果
を以下の比較例と共に表2に示した。
【0043】[比較例2]実施例1に於いて、気相中の
水素/エチレンモル比を1.6、プロピレン/エチレンモル
比を0.025として連続重合し、得られた重合体パウダー
を40℃の温水中で1時間撹拌処理をする以外は同様に
してMFR41g/10分、密度0.959g/cm3、Mw/Mn4.
1、OITが3分となる温度が210℃の高密度ポリエチレ
ンを得た。以下、実施例1と同様に成形、評価した。
【0044】[比較例3]実施例1に於いて、乾燥して
得られた重合体パウダーを、85℃の温水中での撹拌処
理と80℃ギアーオーブンでの乾燥をしない以外は同様
にして、MFR52g/10分、密度0.963g/cm3、Mw/Mn4.6、
OITが3分となる温度が207℃の高密度ポリエチレン
を得た。以下、実施例1と同様に成形、評価した。
【0045】[比較例4]実施例1に於いて、気相中の
水素/エチレンモル比を1.0、プロピレン/エチレンモル
比を0.037として連続重合し、得られた重合体パウダー
を85℃の温水中での撹拌処理をせず、中和剤としてス
テアリン酸カルシウムを0.1重量%、フェノール系酸
化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス[3-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]を0.05重量%を添加した以外は実施例1と同様
に混練、ペレット化し、MFR22g/10分、密度0.959g/c
m3、Mw/Mn4.7、OITが3分となる温度が225℃の
高密度ポリエチレンを得た。該高密度ポリエチレンをギ
アーオーブンにて80℃、10時間脱臭処理をした。該
高密度ポリエチレンを成形温度を210℃に変更する以外
は、実施例1と同様に成形、評価した。
【0046】[比較例5]実施例1に於いて、気相中の
水素/エチレンモル比を0.7、プロピレン/エチレンモル
比を0.02として連続重合し、得られた重合体パウダーを
85℃の温水中での撹拌処理と80℃ギアーオーブンで
の乾燥をせず、中和剤としてステアリン酸カルシウムを
0.1重量%、フェノール系酸化防止剤としてペンタエ
リスリトール−テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]を0.05重量%を添
加した以外は実施例1同様に混練、ペレット化し、MF
R7g/10分、密度0.964g/cm3、Mw/Mn5.4、OITが
3分となる温度が227℃の高密度ポリエチレンを得た。
該高密度ポリエチレンをギアーオーブンにて80℃、1
0時間脱臭処理をした。該高密度ポリエチレンを成形温
度を260℃に変更する以外は、実施例1と同様に成形、
評価した。
【0047】[比較例6]実施例1に於いて使用した高
密度ポリエチレンの代わりに、チーグラー系触媒を用い
た二段重合による分子量分布の広い市販の高密度ポリエ
チレン(日本ポリケム社製ノバテックHJ340、MF
R1.5g/10分、密度0.951g/cm3、Mw/Mn12.5、OI
Tが3分となる温度が223℃)を使用し、容器の成形温
度を260℃、容器成形時にホッパーから20L/分で窒素
フローを実施する以外は実施例1と同様に成形、評価し
た。
【0048】<実施例の解説>実施例1〜3は、高密度
ポリエチレン系樹脂の製造時に、高温の温水洗浄を行い
低分子量のオリゴマーを低減し、当該樹脂のOITが3
分となる温度以下の成形温度で成形したため、炭素数6
〜11の炭化水素化合物、炭素数12〜30の炭化水素
化合物、アセトアルデヒド、及び酢酸の量が充分少な
く、請求項1を満たし、臭味に優れた成形体が得られ
る。実施例4は、実施例1と同様の高密度ポリエチレン
系樹脂を用いて、当該樹脂のOITが3分となる温度を
越えた成形温度で成形したものの、窒素フローにより酸
化劣化が抑えられ、アセトアルデヒド、及び酢酸の量が
請求項1を満たし、臭味に優れた成形体が得られる。ま
た、高温で成形したため、炭素数6〜11の炭化水素化
合物が揮散により低減し、臭気により優れている。実施
例5は、メタロセン触媒を用いて製造された高密度ポリ
エチレン系樹脂を用い、尚かつ高温の温水洗浄を行い低
分子量のオリゴマーを低減し、当該樹脂のOITが3分
となる温度以下の成形温度で成形したため、炭素数6〜
11の炭化水素化合物、炭素数12〜30の炭化水素化
合物、アセトアルデヒド、及び酢酸の量が充分少なく、
請求項1を満たし、臭味に優れた成形体が得られる。
【0049】<比較例の解説>比較例1は、実施例1と
同様の高密度ポリエチレン系樹脂を用いても、当該樹脂
のOITが3分となる温度を越えた成形温度で成形した
ため、アセトアルデヒドと酢酸の量が請求項1を逸脱
し、香味に劣る成形体が得られる。比較例2は、高密度
ポリエチレン系樹脂を製造時に低温の温水にて処理した
ため、炭素数6〜11の炭化水素化合物は低減したもの
の、炭素数12〜30の炭化水素化合物の低減が未達
で、その結果、当該樹脂のOITが3分となる温度以下
の成形温度で成形したものの、味覚に劣る成形体が得ら
れる。比較例3は、更に、高密度ポリエチレン系樹脂の
製造時に温水処理をしなかったため、炭素数6〜11、
及び12〜30の炭化水素化合物が低減されず、その結
果、当該樹脂のOITが3分となる温度以下の成形温度
で成形したものの、アセトアルデヒドと酢酸量も請求項
1を外れ、臭気、味覚に劣る成形体が得られる。比較例
4は、高密度ポリエチレン系樹脂の製造時に温水処理を
せず、ギアーオーブンによる脱ガス処理を行った。この
結果、炭素数6〜11の炭化水素化合物は低減したもの
の、炭素数12〜30の炭化水素化合物の低減が未達
で、その結果、当該樹脂のOITが3分となる温度以下
の成形温度で成形したものの、味覚に劣る成形体が得ら
れる。比較例5は、高密度ポリエチレン系樹脂の製造時
に温水処理をせず、ギアーオーブンによる脱ガス処理を
行った。更に、当該樹脂のOITが3分となる温度を越
えた成形温度で成形したため、炭素数6〜11の炭化水
素化合物は低減したものの、炭素数12〜30の炭化水
素化合物、アセトアルデヒド、酢酸の量が請求項1を逸
脱し、香味に劣る成形体が得られる。比較例6は、既存
の高密度ポリエチレン系樹脂であるが、Mw/Mnが請
求項1を逸脱するため、炭素数12〜30の炭化水素化
合物の量が逸脱し、味覚に劣る成形体が得られる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、容器、又は容器用蓋か
ら食品に移行する香味に影響する成分を大幅に低減し、
低臭性、低味性を向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/06 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA01 AA08 BA15 FA02 FA03 FA04 3E035 AA03 BA04 BD04 CA01 4F071 AA16 AA81 AA82 AA88 AC11 AC15 AE05 AF52 AG33 AH05 BA01 BB03 BB05 BB06 BB13 BC04 4J002 BB031 BB041 BB051 EJ066 EL126 EW066 EW086 EW126 FD076 GG01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が0.942〜0.968g/c
    3、メルトマスフローレート(MFR)が0.1〜1
    00g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子
    量(Mn)との比(Mw/Mn)が6以下である高密度
    ポリエチレン系樹脂からなる成形体容器であって、該容
    器を構成する樹脂材料が下記特性(1)〜(4)を満た
    すことを特徴とする高密度ポリエチレン系樹脂製食品容
    器。 (1)炭素数 6〜11の炭化水素化合物の総量が15
    0ppm以下 (2)炭素数12〜30の炭化水素化合物の総量が20
    0ppm以下 (3)アセトアルデヒドの含有量が30ppm以下 (4)酢酸の含有量が30ppm以下
  2. 【請求項2】容器を構成する樹脂材料が下記特性(5)
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の高密度ポリ
    エチレン系樹脂製食品容器。 (5)200℃での酸化誘導期間(OIT)が1分以
    上。
  3. 【請求項3】容器を構成する樹脂材料が下記特性(6)
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の高密
    度ポリエチレン系樹脂製食品容器。 (6)フェノール系酸化防止剤の含有量が1〜1500
    ppm、リン系酸化防止剤の含有量が1000ppm以
    下、且つ、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤
    の含有量の合計が1〜2000ppm
  4. 【請求項4】高密度ポリエチレン系樹脂が、チーグラー
    系触媒又はメタロセン系触媒を用いて製造されたもので
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器。
  5. 【請求項5】高密度ポリエチレン系樹脂が、チーグラー
    系触媒又はメタロセン系触媒を用いて製造された後、水
    洗浄されたものであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の高密度ポリエチレン系樹脂製食品
    容器。
  6. 【請求項6】高密度ポリエチレン系樹脂を当該樹脂の酸
    化誘導期間(OIT)が3分となる温度以下で成形して
    なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器。
  7. 【請求項7】高密度ポリエチレン系樹脂を当該樹脂の酸
    化誘導期間(OIT)が3分となる温度以下で、かつ不
    活性ガスのシール又はフロー雰囲気下によって成形して
    なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器。
  8. 【請求項8】容器が容器本体及び/又は容器用蓋である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    高密度ポリエチレン系樹脂製食品容器。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項から選ばれる
    容器本体と容器用蓋からなる食品用蓋付き容器。
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