JP2003298139A - 磁気検出素子 - Google Patents

磁気検出素子

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JP2003298139A
JP2003298139A JP2002094031A JP2002094031A JP2003298139A JP 2003298139 A JP2003298139 A JP 2003298139A JP 2002094031 A JP2002094031 A JP 2002094031A JP 2002094031 A JP2002094031 A JP 2002094031A JP 2003298139 A JP2003298139 A JP 2003298139A
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Naoya Hasegawa
直也 長谷川
Fumito Koike
文人 小池
Eiji Umetsu
英治 梅津
Masahiko Ishizone
昌彦 石曽根
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭トラック化においても適切にフリー磁性層
の磁化制御を行うことができ、再生特性に優れた磁気検
出素子及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 フリー磁性層28の磁性材料層30に、
NiaFeb(ただし、a,bはat%で、a>80at
%、a+b=100at%の関係を満足するものであ
る)からなるNiFe層、NiFeX層(ただしXはM
n,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,
Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Ta
から選ばれる1種または2種以上の元素である)など、
交換スティフネス定数の小さい磁性材料からなる層を用
いることにより、フリー磁性層28の中央部における磁
化方向の変化を容易にし、磁界検出出力を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に、ハードディス
ク装置や磁気センサなどに用いられる磁気検出素子に係
り、特に狭トラック化を進めたときにも再生特性に優れ
た磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図35は、従来の磁気検出素子の構造を
記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0003】符号1は基板であり、基板1の上に第1反
強磁性層2、固定磁性層3、非磁性材料層4及びフリー
磁性層5からなる多層膜6が形成されている。フリー磁
性層5の両側上には強磁性層、7,7、第2反強磁性層
8,8が形成され、第2反強磁性層8,8の上には電極
層9,9が形成されている。
【0004】固定磁性層3の磁化は第1反強磁性層2と
の間で発生する交換結合磁界によって図示Y方向に固定
される。一方、第2反強磁性層8,8下に位置する強磁
性層7,7及びフリー磁性層5の両側端部C,Cは第2
反強磁性層8,8との間で発生する交換結合磁界によっ
て図示X方向に強固に固定され、トラック幅Tw領域の
フリー磁性層5の中央部Dは外部磁界に対し磁化変動で
きる程度に弱く単磁区化されている。
【0005】図35に示されるような一対の第2反強磁
性層8,8を用いてフリー磁性層5の磁化制御を行う方
式を、エクスチェンジバイアス方式といい、図35に示
すように一対の第2反強磁性層8,8のトラック幅方向
(図示X方向)の間隔寸法で光学的トラック幅Twが規
制されている。
【0006】このエクスチェンジバイアス方式を用いた
磁気検出素子は、第2反強磁性層8,8下に位置するフ
リー磁性層5の両側端部C,Cでフリー磁性層5の磁化
方向が強く固定され、中央部Dの全領域で外部磁界に対
し磁化変動しやすいものである。すなわち、図34に示
される磁気検出素子の光学的トラック幅Tw内には、外
部磁界によって磁化変動が生じない、いわゆる不感領域
がほとんど発生せず狭トラック化対応に優れた磁気検出
素子である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、磁気検出素子の
光学的トラック幅を0.15μm以下、さらには0.1
2〜0.10μm以下にすることが要求されている。し
かし、エクスチェンジバイアス方式を用いた磁気検出素
子でも、光学的トラック幅を0.15μm以下にする
と、磁気検出素子の磁界検出出力が著しく小さくなる。
【0008】図36は、図35に示されたエクスチェン
ジバイアス方式の磁気検出素子の光学的トラック幅と磁
界検出出力との関係を示すグラフである。磁界検出出力
は、磁気検出素子からの電圧変化として取り出してい
る。なお、素子高さMRhは光学的トラック幅の0.7
5倍の比率としてある。
【0009】なお、第1反強磁性層2及び第2反強磁性
層8,8はPtMn、固定磁性層はCoFe、非磁性材
料層4はCu、フリー磁性層5はNi80Fe20またはC
o、電極層9,9はCrによって形成している。
【0010】図36のグラフにおいて、(◇)を結んだ
曲線はフリー磁性層5をNi80Fe 20で形成したときの
結果を示し、(□)を結んだ曲線はフリー磁性層5をC
oで形成したときの結果を示している。
【0011】図36から、光学的トラック幅が小さくな
るにつれて磁界検出出力も小さくなることがわかる。特
に、光学的トラック幅が0.12μm以下、さらには
0.1μm以下になると、磁界検出出力が急激に低下し
ている。
【0012】また、フリー磁性層5をCo90Fe10によ
って形成した場合にも、同様の結果が得られた。
【0013】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、エクスチェンジバイアス方式の磁気検出素
子の狭トラック化を進めても、磁界検出出力を高くする
ことができる磁気検出素子を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1反強磁性
層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順に積
層された多層膜を有する磁気検出素子において、前記フ
リー磁性層のトラック幅方向の少なくとも両側端部に重
ねられて、トラック幅方向に間隔をあけて形成された一
対の第2反強磁性層が設けられ、前記フリー磁性層はN
aFeb(ただし、a,bはat%で、a>80at
%、a+b=100at%)の関係を満足するものであ
る。)からなるNiFe層、NiFeX層(ただしXは
Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金層、Co
FeX層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,C
r,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1
種または2種以上の元素である)、のうち少なくとも1
つを有することを特徴とするものである。
【0015】前述のように、従来は前記フリー磁性層を
形成する磁性材料としてNi80Fe 20、Co、Co90
10が用いられてきた。
【0016】これに対して、本発明は、前記フリー磁性
層を前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質C
o合金層、または前記CoFeX層を有するものとして
形成することによって、エクスチェンジバイアス方式の
磁気検出素子の狭トラック化を進めるときに、高い磁界
検出出力を維持できるものである。
【0017】ここで、前記NiFeX層とは、組成がN
iFeX(ただしXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,
Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,S
b,W,Mo,Os,Taから選ばれる1種または2種
以上の元素である)で表わされる磁性材料からなる薄膜
層であり、前記CoFeX層とは組成がCoFeX(た
だしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Z
n,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種
以上の元素である)で表わされる磁性材料からなる薄膜
層である。
【0018】前記フリー磁性層を前記NiFe層、前記
NiFeX層、前記非晶質Co合金層、または前記Co
FeX層を有するものとすることによって、高い磁界検
出出力を維持できることの理論的根拠については後述す
る。
【0019】本発明は、前記一対の第2反強磁性層のト
ラック幅方向の間隔で規定される光学的トラック幅O−
Twが0.15μm以下であるときに特に有効である。
【0020】また、前記光学的トラック幅O−Twが
0.12μm以下、さらには0.10μm以下であると
より有効である。
【0021】また、本発明では、前記フリー磁性層はN
aFeb(ただし、a,bはat%で、a>80at
%、a+b=100at%)の関係を満足するものであ
る。)からなるNiFe層、またはNiFeX層(ただ
しXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,C
r,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,O
s,Taから選ばれる1種または2種以上の元素であ
る)のいずれか一方または両方の上に、Coを含有する
磁性層が積層された構造を有することが好ましい。
【0022】前記NiFe層またはNiFeX層の上に
Coを含有する磁性層が積層され、このCoを含有する
磁性層上に前記第2反強磁性層が積層されることによっ
て、前記フリー磁性層と前記第2反強磁性層との間の交
換結合磁界が増大する。その結果、一対の前記第2反強
磁性層に重なる前記フリー磁性層の両側端部は磁化方向
が一方向に強固に固定されるので、光学的トラック幅の
外側で外部磁界(記録信号磁界)を検出してしまうサイ
ドリーディングの割合を減少させることができる。な
お、前記Coを含有する磁性層は、例えば、Co、Co
Fe、結晶質CoFeCr、非晶質Co系磁性材料、に
よって形成される。
【0023】または、前記フリー磁性層を、非晶質Co
系磁性材料からなる非晶質Co合金層、結晶質CoFe
X層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,
Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種ま
たは2種以上の元素である)、のうちいずれか一方を有
するかまたは両方が積層された構造を有するものとする
ことが好ましい。
【0024】前記フリー磁性層を前記非晶質Co合金層
を有するものとして形成するときには、前記非晶質Co
合金層の下層に前記非晶質Co合金層より比抵抗の小さ
い磁性材料層が積層されることが好ましい。または、前
記フリー磁性層を前記CoFeX層を有するものとする
ときには、前記CoFeX層の下層に、前記CoFeX
層より比抵抗の小さい磁性材料層が積層されることが好
ましい。
【0025】なお、前記比抵抗の小さい磁性材料層はN
iFeまたはNiFeX層(ただしXはMn,Cu,Z
n,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,
Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる
1種または2種以上の元素である)のいずれか一方また
は両方からなるものとすることが好ましい。
【0026】また、前記フリー磁性層と前記第2反強磁
性層との間の交換結合磁界を増大させるためには、前記
フリー磁性層の前記第2反強磁性層に最も近い最上層ま
たは最下層が、(CoxFeyeCrf層(ただし、x,
yはCoとFeのat%比でありx+y=1、e,fは
at%で、0at%<f<20at%、e+f=100
at%である)であることが好ましい。これにより、磁
気検出素子のサイドリーディングの割合を効果的に減少
させることができる。
【0027】なお、前記(CoxFeyeCrf層のCo
とFeのat%比x,yの関係はx>y、特に0≦y≦
0.3、x+y=1であることがより好ましい。このと
きもat%e,fは、0at%<f<20at%、e+
f=100at%であることが好ましい。
【0028】また、前記フリー磁性層の最上層または最
下層が、(CoxFeyeCrf層(ただし、x,yはC
oとFeのat%比でありx+y=1、e,fはat%
で、5at%≦f≦15at%、e+f=100at%
である)であることがより好ましい。
【0029】さらに、前記(CoxFeyeCrf層の膜
厚が2Å以上10Å以下、より好ましくは3Å以上6Å
以下であると、前記フリー磁性層と前記第2反強磁性層
との間の交換結合磁界を大きくできるので好ましい。
【0030】本発明において、前記フリー磁性層を前記
NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合金
層、または前記結晶質CoFeX層を有するものとする
ことによって、高い磁界検出出力を維持できるのは、前
記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合金
層、または前記結晶質CoFeX層の交換スティフネス
定数が小さいためであると考えられる。
【0031】磁性材料を構成する磁性原子のスピンが角
度をなしているとき、交換エネルギーが貯えられる。
【0032】交換スティフネス定数とは、スピンの分布
に対する交換エネルギーの大きさを規定する定数であ
る。
【0033】「近角聡信著 強磁性体の物理(下) 裳
華房 1984」の第166頁から第169頁の記載に
よると、立方型の結晶構造を有する磁性体の各格子点に
あるスピンの向きに平行な単位ベクトルをα、立方晶の
結晶軸の座標を(x,y,z)とし、さらに、立方晶の
格子定数(単位胞の辺の長さ)をa、単位胞に属する原
子の数をn、磁性体に含まれる原子のスピン量子数を
S、磁性体に含まれる原子のスピンの相互作用の強さを
表わす定数である交換積分をJとすると、磁性体の単位
体積当りの交換エネルギーEexは
【0034】
【数式1】 で表わされる。ここに、
【0035】
【数式2】 である。
【0036】すなわち、磁性体の単位体積当りの交換エ
ネルギーEexは、磁性体の各格子点にあるスピンの角
度変位の2次形式で与えられる。そして、定数Aが交換
スティフネス定数と呼ばれる。
【0037】つまり、交換スティフネス定数Aが小さい
磁性材料ほど、隣接するスピンの向きを急激に変化させ
ることが容易になるのである。
【0038】本発明では、前記フリー磁性層の材料に、
上述した前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶
質Co合金層、または前記CoFeX層のような交換ス
ティフネス定数Aが小さい磁性材料を用いることによっ
て、前記フリー磁性層のトラック幅領域全域における磁
化方向の変化を容易にし、磁気検出素子の狭トラック化
を進めたときにも高い磁界検出出力を維持できる。
【0039】また、交換スティフネス定数Aが小さい磁
性材料は、室温での飽和磁化Msが小さいので、交換ス
ティフネス定数Aが小さい磁性材料を用いて形成された
前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合
金層、または前記CoFeX層は単位面積当りの磁気モ
ーメントMs×tの値が小さくなる。すると、前記Ni
Fe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合金層、ま
たは前記CoFeX層を有する前記フリー磁性層は、感
度領域(トラック幅領域)の磁化方向が外部磁界(記録
媒体磁界)によって変化しやすくなり磁界検出感度が向
上する。
【0040】特に、本発明では、前記フリー磁性層に用
いられるNiaFeb(ただし、a,bはat%で、a>
80at%、a+b=100at%)の関係を満足する
ものである。)からなるNiFe層、NiFeX層(た
だしXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,
Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,
Os,Taから選ばれる1種または2種以上の元素であ
る)、非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金
層、CoFeX層(ただしXはTi,Al,Mn,S
i,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから
選ばれる1種または2種以上の元素である)、を構成す
る磁性材料の交換スティフネス定数は、従来の磁気検出
素子のフリー磁性層の材料として用いられてきた組成式
がNi80Fe 20で表わされる磁性材料の交換スティフネ
ス定数より小さいことが好ましい。
【0041】なお、Ni80Fe20の交換スティフネス定
数は、0.8×10-6〜1.0×10-6(erg/c
m)(0.8×10-11〜1.0×10-11(J/m))
である。ちなみにCo90Fe10も従来のフリー磁性層を
形成するために用いられてきたが、Co90Fe10の交換
スティフネス定数は、1.3×10-6〜1.8×10-6
(erg/cm)(1.3×10-11〜1.8×10-11
(J/m))である。
【0042】ただし、磁性材料の交換スティフネス定数
を小さくすると、その磁性材料のキュリー温度も低下す
る。フリー磁性層を形成する磁性材料のキュリー温度が
磁気検出素子の動作中の温度近傍であったり、下回る場
合、フリー磁性層の磁化の揺らぎが大きくなったり、フ
リー磁性層が磁性体でなくなったりして磁気検出素子と
して十分な働きができなくなる。
【0043】磁気検出素子の動作中の温度は約100℃
であることから、本発明においては、フリー磁性層を形
成する前記NiFe層、前記NiFeX層(ただしXは
Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層(ただしXは
Ti,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,S
b,Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の
元素である)、を構成する磁性材料の交換スティフネス
定数を4×10-7(erg/cm)(4×10-12(J
/m))以上にすることが好ましい。
【0044】本発明では、前記第2反強磁性層と前記フ
リー磁性層との間に第3反強磁性層が積層されているこ
とが好ましい。
【0045】前記第3反強磁性層は本発明の磁気検出素
子を形成するときの酸化防止層としても働くことができ
る。
【0046】前記第3反強磁性層の厚さは10Åより大
きく50Å以下であることが好ましい。また、前記第3
反強磁性層の厚さが、30Åより大きく40Å以下であ
るとより好ましい。
【0047】前記第3反強磁性層の膜厚を抑えることに
より、前記第3反強磁性層の中央部とフリー磁性層の中
央部間で大きな交換結合磁界が発生するのを防止でき
る。
【0048】前記第3反強磁性層の厚さが50Åより大
きくなると、後述する本発明の磁気検出素子を製造する
ときに、前記第1反強磁性層の磁化方向と前記第2の反
強磁性層の磁化方向を直交させることが困難になる。
【0049】また、前記第2反強磁性層と前記フリー磁
性層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強
磁性層の間に貴金属からなる非磁性層が形成されている
ことが好ましい。
【0050】前記非磁性層は、磁気検出素子の製造工程
において、前記フリー磁性層を大気暴露による酸化から
防止するためのものである。本発明では、前記非磁性層
が貴金属材料によって形成されている。これら貴金属
は、酸化されにくい材質である。
【0051】従来、前記第2反強磁性層と前記フリー磁
性層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強
磁性層の間に非磁性層を形成するときには、Ta膜を用
いていた。Ta膜は、貴金属材料に比べて酸化されやす
いので好ましくない。本発明ではTa膜に代えて貴金属
を使用することで、非磁性層の膜厚が薄くても十分な酸
化防止効果を発揮できる。
【0052】従って、前記非磁性層の上に前記第2反強
磁性層を積層する前に、前記非磁性層に形成された酸化
層を除去するためのイオンミリングに低エネルギーのイ
オンミリングを使用できる。
【0053】低エネルギーのイオンミリングとは、ビー
ム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを
用いたイオンミリングであると定義される。例えば、1
00V〜500Vのビーム電圧が用いられる。
【0054】低エネルギーのイオンミリングはミリング
レートが遅く、ミリング止め位置のマージンを狭くする
ことが可能になる。従って、フリー磁性層はイオンミリ
ングによって大きなダメージを受けなくなる。
【0055】なお、前記フリー磁性層の受けるダメージ
とは、例えば、イオンミリング時に使用されるArなど
の不活性ガスが露出した前記フリー磁性層の表面から内
部に入り込むことや、前記フリー磁性層の表面部分の結
晶構造が壊れ、格子欠陥が発生する(Mixing効
果)ことである。これらのダメージによって前記フリー
磁性層の表面部分の磁気特性が劣化しやすい。
【0056】また、前記非磁性層を形成する貴金属材料
は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、Re、Pt、Au
のうちいずれか1種または2種以上で形成されることが
好ましい。
【0057】また、前記非磁性層を形成するためにこれ
らの貴金属材料を用いると、前記非磁性層の材料と前記
第2反強磁性層の材料が混合したときに、この混合物が
反強磁性を示し、前記貴金属材料がアニールなどによっ
て前記第2反強磁性層の内部に拡散しても、前記第2反
強磁性層の反強磁性が劣化することがないので好まし
い。
【0058】あるいは、本発明では、前記第2反強磁性
層と前記フリー磁性層との間、または前記第2反強磁性
層と前記第3反強磁性層の間にCrまたはCuからなる
非磁性層が形成されてもよい。Cr、CuはTaに比べ
て酸化が進行しにくく、酸化防止効果を発揮できる。特
に、CrはCuよりも酸化が進行しにくいので好まし
い。
【0059】また、本発明では、前記第2反強磁性層と
前記フリー磁性層の間、または前記第2反強磁性層と前
記非磁性層の間に、強磁性層が形成されてもよい。
【0060】また、本発明の磁気検出素子は、前記第2
反強磁性層の表面に開口部を有し、トラック幅方向に所
定の幅寸法を有する凹部が形成されているものでもよ
い。
【0061】本発明では、磁気検出素子のトラック幅が
前記凹部の幅寸法によって規定される。すなわち、前記
凹部の底面に重なる領域でのみ、前記フリー磁性層など
の外部磁界によって磁化方向が変化する磁性層の磁化方
向を変化させることができる。しかも、前記凹部は、一
様の厚さで成膜された前記第2反強磁性層を、反応性イ
オンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて削
るだけで形成することができるので、正確な幅寸法で前
記凹部を形成することが可能になる。すなわち、磁気検
出素子のトラック幅を正確に規定できる。
【0062】なお、磁気検出素子のトラック幅を正確に
規定するためには、前記凹部の側面は前記第2反強磁性
層の表面に対する垂直面となっていることが好ましい。
【0063】なお、本発明では、例えば前記凹部の底面
が前記第2反強磁性層内に設けられる。
【0064】前記凹部の底面が前記第2反強磁性層内に
設けられるとき、前記凹部の底面に重なる領域の前記第
2反強磁性層の厚さ、または前記凹部の底面に重なる領
域の前記第2反強磁性層と前記第3反強磁性層の合計の
厚さが10Å以上50Å以下、より好ましくは30Å以
上40Åであると、磁気検出素子を形成するときに、前
記第1反強磁性層の磁化方向と前記第2反強磁性層の磁
化方向を直交させることが容易になるので好ましい。
【0065】あるいは、前記凹部の底面が前記第3反強
磁性層内に設けられてもよい。このときは、前記凹部の
底面に重なる領域の前記第3反強磁性層の厚さが10Å
より大きく50Å以下、より好ましくは30Å以上40
Åであると、磁気検出素子を形成するときに、前記第1
反強磁性層の磁化方向と前記第2反強磁性層の磁化方向
を直交させることが容易になるので好ましい。
【0066】ただし、前記凹部の底面が前記非磁性層内
に設けられてもよい。また、前記凹部の底面が、前記強
磁性層内に設けられてもよい。
【0067】また本発明では、前記非磁性層の膜厚は、
両側端部の膜厚の方が中央部の膜厚に比べて薄いことが
好ましい。かかる場合、前記非磁性層の中央部の膜厚
は、3Å以上で20Å以下で形成されることが好まし
い。より好ましくは10Å以下である。
【0068】この非磁性層の中央部の膜厚は、成膜段階
での膜厚である。本発明ではこのように成膜段階で非磁
性層の膜厚を薄く形成することで、前記非磁性層の両側
端部をイオンミリング等で削って、さらにその膜厚を薄
くするときに、低エネルギーのイオンミリングを使用で
き、従って本発明では、前記非磁性層の両側端部が一部
残るように、イオンミリングを制御しやすい。よって従
来のように非磁性層を全て削ってさらにフリー磁性層ま
で削ってしまうといった不具合は発生せず、フリー磁性
層の両側端部の磁気特性の劣化を適切に防止でき、前記
フリー磁性層の両側端部を効果的に強磁性層との間の強
磁性的な結合によって磁化固定することが可能になって
いる。
【0069】また、前記非磁性層は、中央部から両側端
部にかけて一定の膜厚で形成されてもよい。
【0070】なお、本発明は、前記フリー磁性層、前記
非磁性材料層、前記固定磁性層を有する多層膜のトラッ
ク幅方向の両側端部上に電極層が設けられ、センス電流
は前記多層膜の各層の膜面に対し平行な方向に流れる、
いわゆるCIP(current inthe plane)型の磁気検出
素子とすることができる。
【0071】または、本発明は、前記フリー磁性層、前
記非磁性材料層、前記固定磁性層を有する多層膜の上下
に上部電極層及び下部電極層が設けられ、センス電流は
前記多層膜の各層の膜面に対し垂直方向に流れるいわゆ
るCPP(current perpendicular to the plane)型の
磁気検出素子とすることができる。
【0072】また本発明では、前記非磁性材料層を非磁
性導電材料で形成することが好ましい。前記非磁性材料
層が非磁性導電材料で形成された磁気検出素子を、スピ
ンバルブGMR型磁気抵抗効果素子(CPP−GMR)
と呼んでいる。
【0073】また本発明では、CPP型の磁気検出素子
である場合、前記非磁性材料層を絶縁材料で形成しても
よい。この磁気検出素子をスピンバルブトンネル型磁気
抵抗効果型素子(CPP−TMR)と呼んでいる。
【0074】また、前記第2反強磁性層の下に形成され
る前記強磁性層の膜厚を薄くすると第2反強磁性層と前
記強磁性層間で発生する交換結合磁界が強くなり、前記
フリー磁性層の両側端部を強固に磁化固定できるように
なる。すなわち、サイドリーディングを抑え、狭トラッ
ク化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造できる。
【0075】また前記強磁性層を薄くすると、前記強磁
性層の内側側面から前記フリー磁性層の中央部に余分な
静磁界が入り込むことも抑制でき、磁化反転可能なフリ
ー磁性層の中央部の外部磁界に対する感度の低下を防止
できる。
【0076】具体的には、第2反強磁性層の下に形成さ
れる強磁性層の膜厚は、2Å以上で50Å以下であるこ
とが好ましい。
【0077】
【発明の実施の形態】図1は本発明における磁気検出素
子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図で
ある。
【0078】符号20は基板である。基板20上には、
NiFe合金、NiFeCr合金あるいはCrなどで形
成されたシードレイヤ21が形成されている。シードレ
イヤ21は、例えば(Ni0.8Fe0.260at%Cr40at%
の膜厚60Åで形成される。
【0079】シードレイヤ21の上には第1反強磁性層
22が形成されている。第1反強磁性層22は、PtM
n合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,
Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2
種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―
X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,
Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのい
ずれか1または2種以上の元素である)合金で形成され
る。
【0080】第1反強磁性層22として、これらの合金
を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結
合磁界を発生する第1反強磁性層22及び固定磁性層2
3の交換結合膜を得ることができる。特に、PtMn合
金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを
越える交換結合磁界を有し、交換結合磁界を失うブロッ
キング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性
層22及び固定磁性層23の交換結合膜を得ることがで
きる。
【0081】これらの合金は、成膜直後の状態では、不
規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によ
ってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に
構造変態する。
【0082】第1反強磁性層22の膜厚は、トラック幅
方向の中心付近において80〜300Åである。
【0083】第1反強磁性層22の上には、固定磁性層
23が形成されている。固定磁性層23は人工フェリ構
造である。固定磁性層23は磁性層24、26とその間
に介在する非磁性中間層25の3層構造である。
【0084】磁性層24、26は、例えばNiFe合
金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi
合金などの磁性材料で形成される。磁性層24と磁性層
26は、同一の材料で形成されることが好ましい。
【0085】また、非磁性中間層25は、非磁性材料に
より形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、R
e、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形
成されている。特にRuによって形成されることが好ま
しい。
【0086】固定磁性層23の上には、非磁性材料層2
7が形成されている。非磁性材料層27は、固定磁性層
23とフリー磁性層28との磁気的な結合を防止し、ま
たセンス電流が主に流れる層であり、Cu,Cr,A
u,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成され
ることが好ましい。特にCuによって形成されることが
好ましい。
【0087】非磁性材料層27の上にはフリー磁性層2
8が形成されている。図1に示す実施形態ではフリー磁
性層28は2層構造である。符号29の層は、CoやC
oFeなどからなる拡散防止層である。この拡散防止層
29はフリー磁性層28と非磁性材料層27の相互拡散
を防止する。そして、この拡散防止層29の上に磁性材
料層30が形成されている。磁性材料層30は、本発明
の特徴をなすものであり、その材料及び機能については
後に詳述する。
【0088】フリー磁性層28の上には第3反強磁性層
31が形成される。第3反強磁性層31は、第1反強磁
性層22と同様に、PtMn合金、または、X―Mn
(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,
Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金
で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,
Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,A
r,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元
素である)合金で形成される。
【0089】図1に示す実施形態では、第3反強磁性層
31の上に、非磁性層32が形成される。さらに非磁性
層32の両側端部32a上には、第2反強磁性層33が
形成される。第2反強磁性層33は、第1反強磁性層2
2と同様に、PtMn合金、または、X―Mn(ただし
Xは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのい
ずれか1種または2種以上の元素である)合金で、ある
いはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,R
h,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,N
e,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素であ
る)合金で形成される。第2反強磁性層33は第3反強
磁性層31と同じ材質で形成されていることが好まし
い。
【0090】そして第2反強磁性層33上には電極層3
4が形成される。電極層34は、例えば、Au、W、C
r、Ru、Rh、Taなどで形成される。
【0091】図1に示す実施形態では、第2反強磁性層
33の内側端部33a及び電極層34の内側端部34a
は、下面から上面に向う(図示Z方向)にしたがって、
徐々に第2反強磁性層33間の間隔が広がる傾斜面ある
いは湾曲面で形成される。
【0092】図1に示す実施形態の磁気検出素子の特徴
的部分について以下に説明する。図1に示すように、フ
リー磁性層28上には第3反強磁性層31が形成され、
この第3反強磁性層31の両側端部C、C上には非磁性
層32を介して第2反強磁性層33が形成されている。
第3反強磁性層31と第2反強磁性層33との間に介在
する非磁性層32の両側端部32aの膜厚は薄く、本発
明では3Å以下で形成されることが好ましい。
【0093】非磁性層32が上記の程度に薄く形成され
ると、第3反強磁性層31と第2反強磁性層33間に非
磁性層32を介して反強磁性的な相互作用が働き、第3
反強磁性層31と第2反強磁性層33とが一体の反強磁
性層のように機能しやすくなる。
【0094】従って図1に示す実施形態は、フリー磁性
層28の両側端部C、C上に反強磁性の性質を有する膜
厚の厚い反強磁性層が形成されている形態と類似構成と
なっており、フリー磁性層28の両側端部Cの磁化は、
第3反強磁性層31の両側端部Cとの間で発生する交換
結合磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に適切
に固定される。
【0095】図1に示す実施形態では、フリー磁性層2
8の中央部D上にも第3反強磁性層31が形成されてい
る。しかし中央部D上には第2反強磁性層33は設けら
れていない。
【0096】本発明では、第3反強磁性層31の中央部
Dが、反強磁性の性質を失う(非反強磁性または非磁
性)ように、成膜段階で第3反強磁性層31の膜厚h1
を適切に調整している。
【0097】本発明では、第3反強磁性層31の膜厚h
1は10Å以上で50Å以下であることが好ましい。よ
り好ましくは30Å以上で40Å以下である。この程度
に薄い膜厚で形成されると、第3反強磁性層31の中央
部Dは、磁場中アニールによっても規則化変態しにく
く、第3反強磁性層31の中央部Dとフリー磁性層28
の中央部Dとの間で交換結合磁界が発生せずあるいは発
生してもその値は小さい。
【0098】また第3反強磁性層31の膜厚を10Å以
上、好ましくは30Å以上としたのは、第3反強磁性層
31が薄すぎると、第3反強磁性層31の両側端部Cと
フリー磁性層28の両側端部C間で発生する交換結合磁
界が弱まり、フリー磁性層28の両側端部Cを適切にト
ラック幅方向に磁化固定できないおそれがあるからであ
る。
【0099】上記したように、第3反強磁性層31の両
側端部Cは、その上に非磁性層32を介して形成された
第2反強磁性層33との間で反強磁性的な相互作用が働
き、第3反強磁性層31の両側端部Cと第2反強磁性層
33とが一体の反強磁性層のように機能する。しかし物
理的には完全に一体化するわけではないので、第3反強
磁性層31の膜厚が薄いとこの第3反強磁性層31の規
則化変態は弱く、第3反強磁性層31の両側端部Cとフ
リー磁性層28の両側端部C間で生じる交換結合磁界が
弱くなる。このため、第3反強磁性層31を10Å以
上、好ましくは30Å以上と設定した。
【0100】また第3反強磁性層31の膜厚を10Å以
上で50Å以下、より好ましくは30Å以上で40Å以
下に設定することで、中央部Dでのシャントロスを低減
でき再生出力を大きくできる。
【0101】なお第3反強磁性層31の両側端部Cの膜
厚と第2反強磁性層33の膜厚を合わせた総合膜厚は8
0Å以上で300Å以下であることが好ましい。これに
よって第3反強磁性層31の両側端部Cは適切に反強磁
性の性質を有し、磁場中アニールによって第3反強磁性
層31の両側端部Cは規則化変態し、第3反強磁性層3
1の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端部Cとの間
で交換結合磁界が発生し、フリー磁性層28の両側端部
Cをトラック幅方向に磁化固定することが可能になる。
【0102】次に非磁性層32について説明する。非磁
性層32は、後述する製造方法で説明するように、大気
暴露によって第3反強磁性層31が酸化されるのを防止
するために設けられた保護層的役割を有している。
【0103】しかし非磁性層32はTa膜に比べて大気
暴露によって酸化しにくい材質であることが好ましい。
次に非磁性層32を構成する元素が、成膜段階や、ある
いは固定磁性層23やフリー磁性層28の磁化方向を調
整するための磁場中アニールによって第3反強磁性層3
1や第2反強磁性層33に拡散しても、反強磁性層とし
ての性質が劣化しない材質であることが好ましい。
【0104】本発明では、非磁性層32は、Ru、R
e、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1
種または2種以上で形成されることが好ましい。この中
でも特にRuを選択することが好ましい。これら貴金属
で形成された非磁性層32は大気暴露によっても酸化さ
れにくい材質である。従ってTa膜のように大気暴露に
よる酸化によって膜厚が大きくなるといった現象も生じ
ない。
【0105】またこれら貴金属で形成された非磁性層3
2を構成する元素が、第3反強磁性層31や第2反強磁
性層33中に拡散しても、反強磁性層の性質は劣化しな
い。
【0106】非磁性層32を構成する元素が第3反強磁
性層31や第2反強磁性層33中に拡散しているか否か
は、例えばSIMS分析装置などによって測定できる。
拡散領域では、例えば成膜段階で第3反強磁性層31が
PtMn合金で形成され、非磁性層32がRuで形成さ
れていると、磁場中アニールなどでRu−Pt−Mnな
る合金の拡散層が形成される。Ru−Pt−Mn合金は
適切に反強磁性層として機能する。
【0107】次に非磁性層32の膜厚について以下に説
明する。非磁性層32の膜厚は成膜時、3Å以上で10
Å以下の薄い膜厚で形成される。上記したRuなどから
なる非磁性層32は、大気暴露によっても酸化されにく
い緻密な層であるため、薄い膜厚であっても適切に第3
反強磁性層31を大気暴露による酸化から防止すること
が可能である。
【0108】成膜時の膜厚は、非磁性層32の中央部3
2bにそのまま残される。中央部32bは後述する製造
方法で説明するようにイオンミリングの影響を受けない
からである。
【0109】一方、非磁性層32の両側端部32aはイ
オンミリングの影響で削られ、両側端部32aの膜厚
は、非磁性層32の中央部32bの膜厚よりも薄くなっ
ている。両側端部32aの膜厚を、中央部32bの膜厚
よりも薄くする理由は、第3反強磁性層31の両側端部
Cと、その上に非磁性層32を介して形成される第2反
強磁性層33間で適切に反強磁性的な相互作用を生じさ
せ、第2反強磁性層33と第3反強磁性層31の両側端
部Cとを一体の反強磁性層のように機能させるためであ
る。非磁性層32の膜厚が厚く形成されると、Ruなど
の非磁性物質の濃度が拡散によって適度に薄まることな
く、アニール後も厚い非磁性層32が残ってしまうの
で、第3反強磁性層31と第2反強磁性層33間に反強
磁性的な相互作用が生じなくなり、上記したように第3
反強磁性層31単独では、フリー磁性層28との間で交
換結合磁界が発生しないほど薄く形成されているから、
フリー磁性層28の両側端部Cを適切に磁化固定できな
くなるといった不具合が発生する。
【0110】非磁性層32の両側端部32aの膜厚は既
に説明したように3Å以下であることが好ましい。この
程度にまで非磁性層32を薄くすることで、第3反強磁
性層31の両側端部Cと第2反強磁性層33間に反強磁
性的な相互作用を生じさせ、第3反強磁性層31の両側
端部Cと第2反強磁性層33とを一体の反強磁性層のよ
うに機能させることが可能になる。
【0111】また非磁性層32の両側端部32aが一部
残されることで、第3反強磁性層31がイオンミリング
のダメージを受けることがなく、第3反強磁性層31の
磁気特性を劣化させるといった問題が生じない。
【0112】また図1のように非磁性層32の両側端部
32aを3Å以下の非常に薄い膜厚で残すことができる
のは、低エネルギーのイオンミリングを使用できるから
である。もともと、非磁性層32は成膜段階で3Å〜1
0Åと薄い膜厚で形成されている。このため低エネルギ
ーのイオンミリングであっても十分に非磁性層32の膜
厚調整をすることができ、低エネルギーであるからミリ
ングレートは、高エネルギーの場合に比べて遅く、非磁
性層32の途中まで削った段階でミリングを止めるよう
に制御することも比較的簡単に行える。
【0113】図1に示す実施形態では、フリー磁性層2
8上に第3反強磁性層31が形成され、イオンミリング
で削られる層は非磁性層32である。従って図1では、
従来のようにフリー磁性層28がイオンミリングなどで
削られるといったことがなく、フリー磁性層28がイオ
ンミリングによるダメージによって磁気特性が劣化する
といった問題は発生しない。
【0114】なお、低エネルギーのイオンミリングと
は、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオン
ビームを用いたイオンミリングであると定義される。例
えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。
【0115】本発明では、フリー磁性層28上に第3反
強磁性層31を形成し、第3反強磁性層31の両側端部
C上に非磁性層32を介して第2反強磁性層33を重ね
あわせる構成とすることで、狭トラック化においても適
切にフリー磁性層28の磁化制御を行うことができ、狭
トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造する
ことが可能になっている。
【0116】また、本発明の磁気検出素子は、フリー磁
性層28を構成する磁性材料層30の材料に特徴を有し
ている。
【0117】図1に示されるフリー磁性層の材料は、N
aFeb(ただし、a,bはat%で、a>80at
%、a+b=100at%)の関係を満足するものであ
る。)からなるNiFe層、NiFeX層(ただしXは
Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金層、Co
FeX層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,C
r,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1
種または2種以上の元素である)、のうちから選ばれた
ものである。
【0118】ここで、前記NiFeX層とは、組成がN
iFeX(ただしXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,
Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,S
b,W,Mo,Os,Taから選ばれる1種または2種
以上の元素である)で表わされる磁性材料からなる薄膜
層であり、前記CoFeX層とは組成がCoFeX(た
だしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Z
n,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種
以上の元素である)で表わされる磁性材料からなる薄膜
層である。
【0119】前述のように、従来は磁性材料層30にN
80Fe20、Co、Co90Fe10が用いられてきた。
【0120】これに対して、本発明は、磁性材料層30
を前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co
合金層、または前記CoFeX層を有するものとして形
成することによって、エクスチェンジバイアス方式の磁
気検出素子の狭トラック化を進めるときに、高い磁界検
出出力を維持できる。
【0121】なお、図1では、一対の第2反強磁性層3
3,33のトラック幅方向の間隔で規定される光学的ト
ラック幅O−Twは0.15μm以下、または0.12
μm以下である。 図2に、本発明におけるフリー磁性
層の第2の形態を示す。
【0122】図2のフリー磁性層42は磁性層の3層構
造であり、拡散防止層29と第1磁性材料層40の上
に、第2磁性材料層41が積層されたものである。
【0123】ここで、拡散防止層29は図1に示された
フリー磁性層28の拡散防止層29と同じ材料によって
形成される。また、第1磁性材料層40は、NiaFeb
(ただし、a,bはat%で、a>80at%、a+b
=100at%)の関係を満足するものである。)から
なるNiFe層、またはNiFeX層(ただしXはM
n,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,
Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Ta
から選ばれる1種または2種以上の元素である)のいず
れか一方または両方が積層されたものである。
【0124】第2磁性材料層41は、Coを含有する磁
性層であり、具体的にはCo、CoFe、非晶質Co系
磁性材料、CoFeCrによって形成される。
【0125】NiFe層またはNiFeX層の上にCo
を含有する磁性層が積層され、このCoを含有する磁性
層上に第3反強磁性層31と第2反強磁性層33,33
が積層されることによって、フリー磁性層42と第3反
強磁性層31との間の交換結合磁界が増大する。その結
果、第3反強磁性層31に重なるフリー磁性層42の両
側部C,Cは磁化方向が一方向に強固に固定されるの
で、光学的トラック幅O−Twの外側で外部磁界(記録
信号磁界)を検出してしまうサイドリーディングの割合
を減少させることができる。
【0126】なお、図1においてフリー磁性層28の磁
性材料層30を非晶質Co系磁性材料からなる非晶質C
o合金層を有するものとして形成するときには、前記非
晶質Co合金層の下層に前記非晶質Co合金層より比抵
抗の小さい磁性材料層が積層されることが好ましい。ま
たは、フリー磁性層28の磁性材料層30をCoFeX
層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,T
a,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種また
は2種以上の元素である)、を有するものとするときに
は、前記CoFeX層の下層に、前記CoFeX層より
比抵抗の小さい磁性材料層が積層されることが好まし
い。
【0127】なお、前記比抵抗の小さい磁性材料層はN
iFeまたはNiFeX層(ただしXはMn,Cu,Z
n,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,
Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる
1種または2種以上の元素である)のいずれか一方また
は両方からなるものとすることができる。
【0128】すなわち、図2に示されるフリー磁性層4
2の構造であると、非晶質Co合金層の下層に前記非晶
質Co合金層より比抵抗の小さい磁性材料層が積層され
るか、または、CoFeX層の下層に、前記CoFeX
層より比抵抗の小さい磁性材料層が積層された構造にな
る。
【0129】なお、図1に示される磁気検出素子におい
て、フリー磁性層28の磁性材料層30を、非晶質Co
系磁性材料からなる非晶質Co合金層、CoFeX層
(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,T
a,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種また
は2種以上の元素である)、のうちいずれか一方のみで
形成されたもの、または両方が積層された構造であるも
のとし、その上に第3反強磁性層31と第2反強磁性層
33,33が積層されることによっても、フリー磁性層
42と第3反強磁性層31との間の交換結合磁界が増大
する。その結果、光学的トラック幅O−Twの外側で外
部磁界(記録信号磁界)を検出してしまうサイドリーデ
ィングの割合を減少させることができる。
【0130】特に、フリー磁性層28の第2反強磁性層
に最も近い層(図1では磁性材料層30、図2では第2
磁性材料層41)がCoFeCr層であると、第2反強
磁性層33の下層で、第3反強磁性層31の両側端部
C,Cとフリー磁性層28の両側端部C,C間に働く交
換結合磁界がより大きくなり、サイドリーディングをよ
り効果的に抑えることができることがわかる。
【0131】なお、前記CoFeCr層(図1では磁性
材料層30、図2では第2磁性材料層41)を(Cox
FeyeCrf層(ただし、x,yはCoとFeのat
%比でありx+y=1、e,fはat%で、0at%<
f<20at%、e+f=100at%である)とする
ことが好ましい。より好ましくは、前記CoFeCr層
を(CoxFeyeCrf層(ただし、x,yはCoとF
eのat%比でありx+y=1、e,fはat%で、5
at%≦f≦15at%、e+f=100at%であ
る)とすることである。
【0132】なお、前記(CoxFeyeCrf層のCo
とFeのat%比x,yの関係はx>y、特に0≦y≦
0.3、x+y=1であることがより好ましい。このと
きもat%e,fは、0at%<f<20at%より好
ましくは5at%≦f≦15at%、e+f=100a
t%であることが好ましい。
【0133】なお、前記CoFeCr層(図1では磁性
材料層30、図2では第2磁性材料層41)と第3反強
磁性層間の交換結合磁界を大きくするためには、前記C
oFeCr層の膜厚は2Å以上10Å以下であることが
好ましい。また、前記CoFeCr層の膜厚は3Å以上
6Å以下であることがより好ましい。
【0134】ただし、前記CoFeCr層が(Cox
yeCrf層(ただし、x,yはCoとFeのat%
比でありx+y=1、e,fはat%で、10at%≦
f≦15at%、e+f=100at%である)である
ときには、その膜厚が2Å以上6Å以下、または2Å以
上4Å以下であっても十分な交換結合磁界を発生させる
ことができる。
【0135】フリー磁性層28に前記CoFeCr層を
形成すると第3反強磁性層31との間の交換結合磁界は
増大するが、フリー磁性層28全体の単位面積当りの磁
気モーメントMs×tが増加して感度が低下したり、磁
歪が増加して再生波形の安定性が悪化する。したがっ
て、フリー磁性層28の感度の維持、再生波形の安定性
の維持といった観点からは、前記CoFeCr層の膜厚
を2Å以上6Å以下、または2Å以上4Å以下にするこ
とが好ましい。
【0136】フリー磁性層28の磁性材料層30を形成
する前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質C
o合金層、または前記CoFeX層は交換スティフネス
定数が小さい。このため、本発明の磁気検出素子は高い
磁界検出出力を維持できる。
【0137】以下にフリー磁性層の交換スティフネス定
数と磁気検出素子の磁界検出出力との関係を説明する。
【0138】フリー磁性層28の磁性材料層30及びフ
リー磁性層42の第1磁性材料層40、第2磁性材料層
41を構成する磁性原子の膜面内に隣接するスピンが互
いに角度をなしているとき、交換エネルギーが貯えられ
る。
【0139】交換スティフネス定数とは、スピンの分布
に対する交換エネルギーの大きさを規定する定数であ
る。
【0140】「近角聡信著 強磁性体の物理(下) 裳
華房 1984」の第166頁から第169頁の記載に
よると、立方型の結晶構造を有する磁性体の各格子点に
あるスピンの向きに平行な単位ベクトルをα、立方晶の
結晶軸の座標を(x,y,z)とし、さらに、立方晶の
格子定数(単位胞の辺の長さ)をa、単位胞に属する原
子の数をn、磁性体に含まれる原子のスピン量子数を
S、磁性体に含まれる原子のスピンの相互作用の強さを
表わす定数である交換積分をJとすると、磁性体の単位
体積当りの交換エネルギーEexは
【0141】
【数式3】 で表わされる。ここに、
【0142】
【数式4】 である。
【0143】すなわち、磁性体の単位体積当りの交換エ
ネルギーEexは、磁性体の各格子点にあるスピンの角
度変位の2次形式で与えられる。そして、定数Aが交換
スティフネス定数と呼ばれる。
【0144】つまり、交換スティフネス定数Aの値が小
さい磁性体ほど磁化方向を変化させたときの交換エネル
ギーEexの蓄積が小さくなり、x方向の短い距離の間
で磁化方向を急激に変化させることが容易になるのであ
る。
【0145】図1に示す実施形態では、第2反強磁性層
33の下面間のトラック幅方向(図示X方向)における
間隔が光学的トラック幅O−Twとして設定される。
【0146】図1に示す実施形態では、フリー磁性層2
8の両側端部Cの磁化はトラック幅方向(図示X方向)
に適切に固定され、一方、フリー磁性層28の中央部D
の磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁
区化された状態になっており、外部磁界に対し磁化反転
可能な領域となっている。
【0147】本実施の形態では、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料によって磁性材料層30、第1磁性
材料層40、第2磁性材料層41が形成されることによ
り、フリー磁性層28及びフリー磁性層42の中央部D
の磁化方向を、両側端部Cに近い場所であっても、外部
磁界(記録信号磁界)によって急激に変化させることが
容易になっている。
【0148】従って、図1に示される磁気検出素子のフ
リー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における幅
(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは同
程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたとき
にも高い磁界検出出力を維持できる。
【0149】また、交換スティフネス定数Aが小さい磁
性材料は、室温での飽和磁化Msが小さいので、交換ス
ティフネス定数Aが小さい磁性材料を用いて形成された
前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合
金層、または前記CoFeX層は単位面積当りの磁気モ
ーメントMs×tの値が小さくなる。すると、前記Ni
Fe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合金層、ま
たは前記CoFeX層を有する前記フリー磁性層は、感
度領域(トラック幅領域)の磁化方向が外部磁界(記録
磁界)によって変化しやすくなり磁界検出感度が向上す
る。
【0150】なお、フリー磁性層28の磁性材料層30
並びにフリー磁性層42の第1磁性材料層40及び第2
磁性材料層41を形成するNiaFeb(ただし、a,b
はat%で、a>80at%、a+b=100at%の
関係を満足するものである。)からなるNiFe層、N
iFeX層(ただしXはMn,Cu,Zn,Ti,A
l,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,
Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる1種または2
種以上の元素である)、非晶質Co系磁性材料からなる
非晶質Co合金層、CoFeX層(ただしXはTi,A
l,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,
Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の元素であ
る)、を構成する磁性材料の交換スティフネス定数は、
従来の磁気検出素子のフリー磁性層の材料として用いら
れてきた組成式がNi80Fe20で表わされる磁性材料の
交換スティフネス定数より小さくなっている。
【0151】なお、Ni80Fe20の交換スティフネス定
数は、0.8×10-6(erg/cm)〜1.0×10
-6(erg/cm)(0.8×10-11(J/m)〜
1.0×10-11(J/m))である。
【0152】ただし、磁性材料の交換スティフネス定数
を小さくすると、その磁性材料のキュリー温度も低下す
る。フリー磁性層を形成する磁性材料のキュリー温度が
磁気検出素子の動作中の温度近傍であったり、下回る場
合、フリー磁性層の磁化の揺らぎが大きくなったり、フ
リー磁性層が磁性体でなくなったりして磁気検出素子と
して十分な働きができなくなる。
【0153】磁気検出素子の動作中の温度は約100℃
であることから、本発明においては、フリー磁性層を形
成する前記NiFe層、前記NiFeX層(ただしXは
Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層(ただしXは
Ti,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,S
b,Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の
元素である)、を構成する磁性材料の交換スティフネス
定数を4×10-7(erg/cm)(4×10-12(J
/m))以上にすることが好ましい。
【0154】図3は本発明における第2実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0155】図3に示す磁気検出素子は図1に示す磁気
検出素子の構造と異なって、非磁性層32が、第2反強
磁性層33間にのみ設けられており(すなわちトラック
幅Twの間隔内にのみ設けられており)、第2反強磁性
層33と第3反強磁性層31の両側端部C間には設けら
れていない。
【0156】図3に示す非磁性層32は、Ru、Re、
Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種ま
たは2種以上で形成されることが好ましく、これら貴金
属で形成された非磁性層32は大気暴露によっても酸化
されにくい材質である。Ruなどで形成された非磁性層
32は、薄い膜厚であっても適切に第3反強磁性層31
を大気暴露による酸化から防止でき、本発明では非磁性
層32は、成膜段階で3Å以上で10Å以下の薄い膜厚
で形成されることが好ましい。
【0157】後述する製造方法で説明するように、第3
反強磁性層31上全面に形成された非磁性層32の両側
端部はイオンミリングで削られ、露出した第3反強磁性
層31の両側端部C上に第2反強磁性層が積層される
が、非磁性層32は3Å〜10Å程度の薄い膜厚である
ため、低エネルギーのイオンミリングでも非磁性層32
を適切に除去でき、高エネルギーの場合に比べて第3反
強磁性層31が削られないようにミリング制御しやす
い。このため非磁性層32下の第3反強磁性層31にイ
オンミリングによるダメージを与えることが少ない。
【0158】このように図3に示す第3反強磁性層31
の両側端部C表面にはイオンミリングによるダメージが
少なく、第3反強磁性層31の磁気特性は良好に保たれ
ている。
【0159】図3に示す実施形態においても、図1に示
す磁気検出素子と同様に、第3反強磁性層31は、好ま
しくは10Å以上で50Å以下の薄い膜厚で形成されて
おり、第3反強磁性層31の中央部Dは非反強磁性の性
質を有し、第3反強磁性層31の中央部Dとフリー磁性
層28の中央部D間で交換結合磁界は発生せずあるいは
発生してもその値は小さく、したがってフリー磁性層2
8の中央部Dの磁化はトラック幅方向(図示X方向)に
適切に揃えられ、外部磁界に対し磁化反転できるように
なっている。
【0160】一方、フリー磁性層28の両側端部C上に
は第3反強磁性層31とこの第3反強磁性層31と直接
接して第2反強磁性層33が形成されており、第3反強
磁性層31と第2反強磁性層33間で生じる反強磁性的
な相互作用によって、第3反強磁性層31は反強磁性の
性質を帯びている。従って磁場中アニールを施すと、第
3反強磁性層31の両側端部Cは規則化変態し、第3反
強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端
部C間で交換結合磁界が発生し、フリー磁性層28の両
側端部Cはトラック幅方向(図示X方向)に強固に固定
された状態となっている。
【0161】図3に示す実施形態では、フリー磁性層2
8上に第3反強磁性層31が形成され、イオンミリング
で削られる層は非磁性層32である。従って図3では、
フリー磁性層28がイオンミリングなどで削られるとい
ったことがなく、フリー磁性層28がイオンミリングに
よるダメージによって磁気特性が劣化するといった問題
は発生しない。
【0162】図3に示す磁気検出素子の構造では、狭ト
ラック化においても適切にフリー磁性層28の磁化制御
を行うことができ、狭トラック化に適切に対応可能な磁
気検出素子を製造することが可能になっている。
【0163】なお図3に示すように第3反強磁性層31
の両側端部C表面が点線Eのように若干削られ、第3反
強磁性層31の両側端部Cの膜厚が第3反強磁性層31
の中央部Dの膜厚より薄くなっていても、第3反強磁性
層31の両側端部Cは低エネルギーのイオンミリングで
削られるため、高エネルギーの場合に比べて両側端部C
のダメージは小さく、第3反強磁性層31の両側端部C
は反強磁性の性質を帯び、フリー磁性層28の両側端部
Cとの間で、フリー磁性層28の両側端部Cの磁化を強
固に固定できる程度の交換結合磁界を発生させることが
できるものと考えられる。
【0164】図4は本発明における第3実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0165】図4は図1と異なって、第3反強磁性層3
1上には一定の膜厚を有する非磁性層32が形成されて
いる。すなわち非磁性層32の中央部32b及び両側端
部32aも同じ膜厚で形成されている。非磁性層32の
膜厚は1Å以上で3Å以下の薄い膜厚で形成されること
が好ましい。
【0166】非磁性層32の膜厚が1Åよりも小さい
と、第3反強磁性層31を大気暴露による酸化から守る
保護層としての役割が低減し好ましくない。
【0167】一方、非磁性層32の膜厚が3Åよりも厚
くなると、Ruなどの非磁性物質の濃度が拡散によって
適度に薄まることなく、アニール後も厚い非磁性層32
が残ってしまうので、第3反強磁性層31の両側端部C
と第2反強磁性層33間に反強磁性的な相互作用が働き
にくくなり、第3反強磁性層31と第2反強磁性層33
とが一体の反強磁性層のように機能しにくくなる。かか
る場合、第3反強磁性層31はフリー磁性層28との間
で交換結合磁界が発生しない程度の薄い膜厚で形成され
ているから、磁場中アニールによって第3反強磁性層3
1の両側端部Cは、適切に規則化変態せず、第3反強磁
性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端部C
間で交換結合磁界が発生せずあるいは発生してもその値
は小さく、フリー磁性層28の両側端部Cがトラック幅
方向(図示X方向)に強固に固定されない。
【0168】従って本発明では非磁性層32の膜厚を1
Å以上3Å以下の範囲内に設定している。
【0169】図4に示す実施形態においても、図1に示
す磁気検出素子と同様に、第3反強磁性層31は、好ま
しくは10Å以上で50Å以下の薄い膜厚で形成されて
おり、第3反強磁性層31の中央部Dは非反強磁性(あ
るいは非磁性)の性質を有し、第3反強磁性層31の中
央部Dとフリー磁性層28の中央部D間で交換結合磁界
は発生せずあるいは発生してもその値は小さく、したが
ってフリー磁性層28の中央部Dの磁化は外部磁界に対
し磁化反転できる程度にトラック幅方向(図示X方向)
に揃えられた状態になっている。
【0170】一方、フリー磁性層28の両側端部C上に
は第3反強磁性層31と、第3反強磁性層31上に非磁
性層32を介して第2反強磁性層33が形成されてお
り、第3反強磁性層31と第2反強磁性層33間には反
強磁性的な相互作用が働き、第3反強磁性層31の両側
端部Cは反強磁性の性質を帯びている。従って磁場中ア
ニールによって第3反強磁性層31の両側端部Cは規則
化変態し、第3反強磁性層31の両側端部Cとフリー磁
性層28の両側端部C間で交換結合磁界が発生し、フリ
ー磁性層28の両側端部Cはトラック幅方向(図示X方
向)に強固に固定された状態となっている。
【0171】図4に示す実施形態では、フリー磁性層2
8がイオンミリングなどで削られるといったことはな
く、フリー磁性層28がイオンミリングによるダメージ
によって磁気特性が劣化するといった問題は発生しな
い。
【0172】図4に示す磁気検出素子の構造では、狭ト
ラック化においても適切にフリー磁性層28の磁化制御
を行うことができ、狭トラック化に適切に対応可能な磁
気検出素子を製造することが可能になっている。
【0173】図5は本発明における第4実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0174】図5では、基板20上にシードレイヤ2
1、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料
層27、フリー磁性層28、第3反強磁性層31及び非
磁性層32が積層形成されている。各層の材質は図1で
説明したものと同じである。
【0175】図5に示す実施形態では、非磁性層32の
両側端部32a上に第2反強磁性層33が形成されてい
る。さらに第2反強磁性層33上にはTaなどで形成さ
れた中間層35を介して電極層34が形成されている。
【0176】図5に示す実施形態では第2反強磁性層3
3間の下面の間隔でトラック幅Twが規定される。トラ
ック幅Twは0.15μm以下で形成されることが好ま
しい。
【0177】図5に示す実施形態では、第3反強磁性層
31の全面に非磁性層32が形成されており、非磁性層
32の膜厚は薄く形成される。非磁性層32は大気暴露
によっても酸化されにくい材質であることが好ましく、
さらに非磁性層32を構成する元素が、第3反強磁性層
31や第2反強磁性層33に拡散しても反強磁性層とし
ての性質を劣化しない材質であることが好ましい。具体
的には非磁性層32は、Ru、Re、Pd、Os、I
r、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上の
貴金属で形成され、非磁性層32は0.2Å以上で3Å
以下で形成されることが好ましい。なお、ここでいう
「0.2Å」の膜厚は非磁性層32全体の平均値であ
る。0.2Åは、原子層の厚みよりも薄いことから、非
磁性層32の原子が存在している場所と、存在していな
い場所とが島状に分布する。このため0.2Åの膜厚は
非磁性層32全体の平均値である。
【0178】この程度に薄く形成された非磁性層32で
あれば、第3反強磁性層31の両側端部Cと第2反強磁
性層33間に非磁性層32が介在しても、第3反強磁性
層31と第2反強磁性層33間に反強磁性的な相互作用
が生じ、第3反強磁性層31の両側端部Cが反強磁性と
しての性質を帯びる。従って磁場中アニールによって第
3反強磁性層31の両側端部Cは規則化変態し、第3反
強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端
部Cとの間で交換結合磁界が発生し、フリー磁性層28
の両側端部C,Cはトラック幅方向(図示X方向)に強
く固定された状態になっている。
【0179】一方、フリー磁性層28の中央部D上には
第3反強磁性層31が形成されているものの、第3反強
磁性層31は単独では反強磁性の性質を帯びない程度に
薄く形成されており、本発明では第3反強磁性層31の
膜厚は、10Å以上で50Å以下であることが好まし
く、より好ましくは30Å以上で40Å以下である。
【0180】このため磁場中アニールによっても第3反
強磁性層31の中央部Dは規則化変態しにくく、フリー
磁性層28の中央部Dと第3反強磁性層31の中央部D
間には交換結合磁界が発生せず発生してもその値は小さ
く、フリー磁性層28の磁化は外部磁界に対し磁化反転
できる程度に弱く単磁区化された状態になっている。
【0181】また非磁性層32は上記したようにRuな
どの貴金属で形成されるが、非磁性層32を構成する材
質が、フリー磁性層28や固定磁性層23の磁化制御を
行うときの磁場中アニールなどによって第3反強磁性層
31や第2反強磁性層33に拡散することがある。すな
わち例えば第3反強磁性層31や第2反強磁性層33が
PtMn合金で形成され、非磁性層32がRuで形成さ
れているとき、熱拡散によって第3反強磁性層31の特
に表面近くや第2反強磁性層33の下面近くはRu−P
t−Mnからなる反強磁性層となる。
【0182】この貴金属を含んだRu−Pt−Mnから
なる材質は反強磁性として機能するため、非磁性層32
が第3反強磁性層31や第2反強磁性層33に拡散する
ことは、反強磁性の性質を劣化させるものではなく、非
磁性層32の反強磁性層31、33への熱拡散によって
も第3反強磁性層31や第2反強磁性層33は反強磁性
層として適切に機能するものである。
【0183】図5に示す実施形態は、第2反強磁性層3
3の表面33aに開口部を有し、光学的トラック幅に等
しい寸法の幅寸法を有する凹部75が形成されている。
凹部75の底面75aは非磁性層32内にある。また、
凹部75の側面75bは第2反強磁性層33の表面33
aに対する垂直面である。このような形状の違いは、後
述するように製造方法の違いに起因するものである。
【0184】なお図5においても図1、図3及び図4と
同様に、第2反強磁性層33の内側端部33aを、第2
反強磁性層33間の間隔が下面から上面に向うにしたが
って徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成すること
もできる。
【0185】図1、図3及び図4に示す磁気検出素子
は、同じ製造工程を用いて製造されたものであり、一
方、図5ないし図7に示す磁気検出素子は、図1、図3
及び図4とは異なる製造方法で形成された構造である。
図1、図3及び図4に示す磁気検出素子の構造で共通す
る部分は、必ず第2反強磁性層33間の間隔内に非磁性
層32の中央部32bが残ることである。一方、図5な
いし図7に示す磁気検出素子の構造で共通する部分は、
必ず、第3反強磁性層31の両側端部Cと第2反強磁性
層33間に非磁性層32が残ることである。
【0186】以下、図5と同じ製造方法を用いて形成さ
れた他の実施形態の磁気検出素子の構造について説明す
る。
【0187】図6は、本発明における第5実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0188】図6に示す磁気検出素子の構造は図5と異
なって、非磁性層32の中央部32b上にも一部、第2
反強磁性層33が形成されている。すなわち、第2反強
磁性層33の表面33aに開口部を有し、光学的トラッ
ク幅に等しい寸法の幅寸法を有する凹部75が形成さ
れ、凹部75の底面75aは第2反強磁性層33内にあ
る。また、凹部75の側面75bは第2反強磁性層33
の表面33aに対する垂直面である。
【0189】図6に示す実施形態では、第3反強磁性層
31の両側端部Cと第2反強磁性層33間が、0.2Å
(平均値)〜3Å程度の薄い膜厚の非磁性層32を介し
て反強磁性的な相互作用により一体の反強磁性層のよう
になり、第3反強磁性層31の両側端部Cが反強磁性の
性質を帯びている。従って磁場中アニールによって第3
反強磁性層31の両側端部Cは規則化変態し、第3反強
磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端部
C間で交換結合磁界が発生し、フリー磁性層28の両側
端部Cはトラック幅方向(図示X方向)に強固に固定さ
れた状態となっている。
【0190】この実施形態では、第3反強磁性層31の
中央部D上にも第2反強磁性層33が、その両側に比べ
て薄い膜厚であるが形成されている。
【0191】したがって第3反強磁性層31の中央部D
の膜厚h2とその上に形成された第2反強磁性層33の
膜厚h3とを足した総合膜厚が薄く形成されないと、第
3反強磁性層31は、第2反強磁性層33との間で反強
磁性的な相互作用によって反強磁性の性質を帯びてしま
い、第3反強磁性層31の中央部Dとフリー磁性層28
の中央部Dとの間で交換結合磁界が発生してしまい好ま
しくない。
【0192】本発明では総合膜厚は10Å以上で50Å
以下で形成されることが好ましく、より好ましくは30
Å以上で40Å以下である。ただし第3反強磁性層31
の膜厚は少なくとも10Å以上であることが好ましく、
より好ましくは30Åである。第3反強磁性層31の膜
厚が10Å以上ないと、第3反強磁性層31の両側端部
Cはその上に第2反強磁性層33が形成されても反強磁
性の性質が弱く、第3反強磁性層31の両側端部Cとフ
リー磁性層28の両側端部C間で大きな交換結合磁界が
発生せず、フリー磁性層28の両側端部Cをトラック幅
方向に強固に固定できないからである。
【0193】上記程度に第3反強磁性層31の中央部D
の膜厚h2とその上に形成された第2反強磁性層33の
膜厚h3との総合膜厚が薄く形成されると、磁場中アニ
ールによって第3反強磁性層31の中央部Dは規則化変
態しにくく、第3反強磁性層31と第2反強磁性層33
間には反強磁性的な相互作用は生じ難く、第3反強磁性
層31は反強磁性の性質を帯びにくい。このため第3反
強磁性層31の中央部Dとフリー磁性層28の中央部D
との間で交換結合磁界は発生せずあるいは発生してもそ
の値は小さく、フリー磁性層28の中央部Dの磁化が、
その両側の両側端部Cの磁化のように強固に固定される
といったことが無い。
【0194】図6に示す実施形態では、フリー磁性層2
8の中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程
度に弱く単磁区化された状態になっており、狭トラック
化においても再生感度に優れた磁気検出素子の構造とな
っている。
【0195】図7は本発明における第6実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0196】図7に示す磁気検出素子の構造は図5と異
なって、第2反強磁性層33間の間隔内に露出した非磁
性層32は除去され、さらに非磁性層32下の第3反強
磁性層31の表面の一部も除去されている。すなわち、
第2反強磁性層33の表面33aに開口部を有し、光学
的トラック幅に等しい寸法の幅寸法を有する凹部75が
形成され、凹部75の底面75aは第3反強磁性層31
内にある。また、凹部75の側面75bは第2反強磁性
層33の表面33aに対する垂直面である。
【0197】図7に示す実施形態では、第3反強磁性層
31の両側端部C上に、Ruなどで形成された0.2Å
〜3Å程度の薄い膜厚の非磁性層32を介して第2反強
磁性層33が形成され、第3反強磁性層31の両側端部
Cと第2反強磁性層33とを足した総合膜厚は80Å以
上で300Å以下の厚い膜厚となっていることが好まし
い。
【0198】したがって、第3反強磁性層31の両側端
部Cと第2反強磁性層33間には非磁性層32を介して
反強磁性的な相互作用が生じ、第3反強磁性層31の両
側端部Cと第2反強磁性層33とが一体の反強磁性層の
ように機能している。よって第3反強磁性層31の両側
端部Cは反強磁性的な性質を有し、磁場中アニールによ
って第3反強磁性層31の両側端部Cは規則化変態し、
第3反強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の
両側端部C間で交換結合磁界が発生し、フリー磁性層2
8の両側端部Cはトラック幅方向(図示X方向)に強固
に固定された状態になっている。
【0199】一方、フリー磁性層28の中央部D上にも
第3反強磁性層31が形成されているが、第3反強磁性
層31の中央部Dの膜厚は薄く5Å以上で50Å以下、
好ましくは10Å以上で40Å以下である。この程度の
薄い膜厚であれば、第3反強磁性層31の中央部Dは、
反強磁性の性質を帯びず、磁場中アニールによっても第
3反強磁性層31の中央部Dは規則化変態しにくく、第
3反強磁性層31の中央部Dとフリー磁性層28の中央
部D間に交換結合磁界が発生しないかあるいは発生して
もその値は小さい。従ってフリー磁性層28の中央部D
の磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁
区化された状態となっており、狭トラック化においても
再生感度に優れた磁気検出素子を製造することが可能に
なっている。
【0200】また図7の点線Fに示すように、第3反強
磁性層31の中央部Dを完全に除去して、フリー磁性層
28の中央部D表面を露出させてもよいが、かかる場
合、露出したフリー磁性層28の中央部D表面がイオン
ミリングやRIEのダメージを受けやすくなるので、フ
リー磁性層28の中央部D上には若干でも第3反強磁性
層31を残しておく方が好ましい。
【0201】また図7に示す実施形態では、第3反強磁
性層31の中央部Dをイオンミリングで削っているた
め、第3反強磁性層31の中央部Dはイオンミリングに
よるダメージを受けて磁気特性の劣化を招きやすくなる
が、第3反強磁性層31の中央部Dは反強磁性を帯びな
い程度に薄く形成され、実質的に磁気的作用がフリー磁
性層28等の各層に及ばない領域となっている。このた
め第3反強磁性層31の中央部Dがイオンミリングによ
るダメージを受けても再生特性にさほどの影響はないも
のと考えられる。
【0202】ところで図1ないし図7に示す磁気検出素
子は、基板20から第3反強磁性層31までの多層膜の
両側端部上に第2反強磁性層33を介して電極層34が
設けられ、多層膜内に流れる電流が、多層膜内を各層の
膜面に対して平行な方向に流れるCIP(current in
the plane)型の磁気検出素子と呼ばれる構造であ
る。
【0203】一方、図8に示す磁気検出素子は、多層膜
(シードレイヤ21から第3反強磁性層31まで)の上
下に電極層65、68が設けられ、電極層65、68か
ら多層膜内に流れる電流が、多層膜の各層の膜面に対し
垂直方向に流れるCPP(current perpendicular to
the plane)型と呼ばれる構造であり、本発明は、C
PP型の磁気検出素子にも適用可能である。
【0204】なお多層膜の積層構造は、図1と同じであ
るので説明を省略する。なお図8に示すシードレイヤ2
1は設けられていなくてもよい。
【0205】図8に示す実施形態では、シードレイヤ2
1の下には下部シールドを兼ねた下部電極層65が設け
られている。下部電極層65はパーマロイ(NiFe)
などの磁性材料でメッキ形成されたものである。
【0206】また図8に示すように多層膜のトラック幅
方向(図示X方向)の両側端部C上には非磁性層32を
介して第2反強磁性層33が形成され、さらに第2反強
磁性層33の上面33b及び内側端部33a上に絶縁層
67が形成されている。
【0207】図8に示すように絶縁層67上から非磁性
層32の中央部32b上にかけて上部シールドを兼ねた
上部電極層68が設けられている。
【0208】このように図8に示す磁気検出素子では多
層膜の上下に電極を兼ねた下部電極層65、上部電極層
68が設けられ、下部電極層65、上部電極層68間に
流れる電流は、多層膜内を膜面に対し垂直な方向に流れ
るようになっている。
【0209】図8に示す磁気検出素子では、第2反強磁
性層33の上面33b及び内側端部33aが絶縁層67
によって覆われているので、上部電極層68から多層膜
内に流れる電流が、第2反強磁性層33に分流せず、電
流は多層膜内を適切に流れる。よって図8に示す構造の
磁気検出素子であれば、電流経路がトラック幅Twから
広がるのを抑制でき再生出力の大きいCPP型の磁気検
出素子を製造することが可能になる。
【0210】絶縁層67の内側先端部67aは、図8に
示す一点鎖線で示すように、非磁性層32の中央部32
bの両端部上にまで延びて形成されていることが、より
電流の第2反強磁性層33への分流を抑制できて好まし
い。
【0211】また必要であれば、絶縁層67上から非磁
性層32の中央部32b上にかけて非磁性層69(点
線)が形成されていてもよい。非磁性層69は、Ta、
Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電
材料で形成されることが好ましい。非磁性層69は、上
部ギャップ層としての役割を有するものであるが、非磁
性層69は多層膜の中央部D上にも形成されるため、電
流経路の出入口となる多層膜の中央部D上を例えば絶縁
材料からなる非磁性層69で覆うことは電流が磁気検出
素子内に流れにくくなるため好ましくない。よって本発
明では非磁性層69を非磁性導電材料で形成することが
好ましい。
【0212】また図8に示す磁気検出素子では磁気検出
素子を構成する非磁性材料層27がCuなどの非磁性導
電材料で形成されてもよいし、あるいは非磁性材料層2
7がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成されても
よい。前者の磁気検出素子はスピンバルブGMR型磁気
抵抗効果素子(CPP−GMR)と呼ばれる構造であ
り、後者の磁気検出素子はスピンバルブトンネル型磁気
抵抗効果型素子(CPP−TMR)と呼ばれる構造であ
る。
【0213】トンネル型磁気抵抗効果型素子は、スピン
トンネル効果を利用して抵抗変化を生じさせるものであ
り、固定磁性層23とフリー磁性層28との磁化が反平
行のとき、最も非磁性材料層27を介してトンネル電流
が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、固定
磁性層23とフリー磁性層28との磁化が平行のとき、
最もトンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
【0214】この原理を利用し、外部磁界の影響を受け
てフリー磁性層28の磁化が変動することにより、変化
する電気抵抗を電圧変化(定電流動作時)あるいは電流
変化(定電圧動作時)としてとらえ、記録媒体からの洩
れ磁界が検出されるようになっている。
【0215】図9は、図5に示す磁気検出素子をCPP
型の磁気検出素子にした実施形態である。図9に示す磁
気検出素子は図8と異なり、第2反強磁性層33の上面
33bに第1絶縁層70が形成され、この第1絶縁層7
0と別体の第2絶縁層71が第2反強磁性層33の内側
端部33a上に形成されている。このような違いは後述
するように製造方法の違いによるものである。
【0216】第1絶縁層70及び第2絶縁層71の機能
は、図8に示した絶縁層67と同じで、上部電極層68
から多層膜に流れる電流が第2反強磁性層33に分流す
るのを適切に防止する役割を有している。
【0217】第1絶縁層70及び第2絶縁層71は、例
えばAl23、SiO2、AlN、Al−Si−O−
N、Al−Si−O、Ti23、Ti35などの絶縁材
料で形成される。
【0218】なお図9に示す実施形態では、第2反強磁
性層33の内側端部33aは、トラック幅方向(図示X
方向)に対して垂直面となっているが、フリー磁性層2
8から離れるに従って徐々に第2反強磁性層33間の間
隔が、トラック幅方向へ広がる傾斜面あるいは湾曲面で
形成されていてもよい。
【0219】このように内側端面33aを傾斜面や湾曲
面で形成すると、内側端面33a上に適切な膜厚を有す
る第2絶縁層71を形成しやすくなり、分流ロスの低減
を適切に図ることができて好ましい。
【0220】図9に示す磁気検出素子では、第2反強磁
性層33の上面33b、および内側端部33aが絶縁層
70、71によって覆われているので、上部電極層68
から多層膜内に流れる電流が、第2反強磁性層33に分
流せず、電流は第2絶縁層71間のトラック幅方向への
間隔で決定されるトラック幅Tw内を適切に流れる。よ
って図9に示す構造の磁気検出素子であれば、電流経路
がトラック幅Twから広がるのを抑制でき再生出力の大
きいCPP型の磁気検出素子を製造することが可能にな
る。
【0221】また図9に示すように第1絶縁層70上か
ら第2絶縁層71上、および多層膜の中央部D上にかけ
て点線で描かれた非磁性層69が設けられていてもよ
い。非磁性層69は、Ta、Ru、Rh、Ir、Cr、
Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成されることが好
ましい。非磁性層69は、上部ギャップ層としての役割
を有するものであるが、非磁性層69は多層膜の中央部
D上にも形成されるため、電流経路の出入口となる多層
膜の中央部D上を例えば絶縁材料からなる非磁性層69
で覆うことは電流が磁気検出素子内に流れにくくなるた
め好ましくない。よって本発明では非磁性層69を非磁
性導電材料で形成することが好ましい。
【0222】また図9に示す磁気検出素子では磁気検出
素子を構成する非磁性材料層27がCuなどの非磁性導
電材料で形成されてもよいし、あるいは非磁性材料層2
7がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成されても
よい。前者の磁気検出素子はスピンバルブGMR型磁気
抵抗効果素子(CPP−GMR)と呼ばれる構造であ
り、後者の磁気検出素子はスピンバルブトンネル型磁気
抵抗効果型素子(CPP−TMR)と呼ばれる構造であ
る。
【0223】図3から図9に示される実施の形態の磁気
検出素子も、交換スティフネス定数Aが小さい磁性材料
である、前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶
質Co合金層、前記CoFeX層によって磁性材料層3
0が形成されることにより、フリー磁性層28の中央部
Dの磁化方向を、両側端部Cに近い場所であっても外部
磁界(記録信号磁界)によって急激に変化させることが
容易になっている。
【0224】従って、磁気検出素子のフリー磁性層28
の中央部Dのトラック幅方向における幅(磁化反転容易
な幅)と光学的トラック幅O−Twは同程度になり、磁
気検出素子の狭トラック化を進めたときにも高い磁界検
出出力を維持できる。
【0225】図10は本発明における第9実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0226】図10に示される磁気検出素子の、第1反
強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、フ
リー磁性層28の材料、形状、膜厚は、図1に示される
磁気検出素子と同じである。
【0227】図10に示される磁気検出素子では、フリ
ー磁性層28の磁性材料層30上に非磁性層32が形成
される。さらに非磁性層32の両側端部32a上には、
強磁性層51,51が形成されている。さらに強磁性層
51,51上には、第2反強磁性層52,52が形成さ
れる。第2反強磁性層52,52は、第1反強磁性層2
2と同様に、PtMn合金、または、X―Mn(ただし
Xは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのい
ずれか1種または2種以上の元素である)合金で、ある
いはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,R
h,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,N
e,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素であ
る)合金で形成される。
【0228】そして第2反強磁性層52,52上には電
極層53,53が形成される。電極層53,53は、例
えば、Au、W、Cr、Ru、Taなどで形成される。
【0229】図10に示す実施形態では、第2反強磁性
層52,52の内側端部52a,52a及び電極層5
3,53の内側端部53a,53aは、下面から上面に
向う(図示Z方向)にしたがって、徐々に内側端部間の
間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成される。この
ような形状は図11も同じである。図10に示す実施形
態の磁気検出素子の特徴的部分について以下に説明す
る。
【0230】図10に示すように、フリー磁性層28上
には非磁性層32が形成され、非磁性層32の両側端部
32a,32a上に強磁性層51,51及び第2反強磁
性層52,52が形成されている。
【0231】非磁性層32の両側端部32aの膜厚t5
は、非磁性層32の中央部32bの膜厚t4よりも薄く
形成されている。
【0232】非磁性層32の両側端部32aの膜厚が例
えば5Å以下、好ましくは3Å以下で形成されると、強
磁性層51,51とフリー磁性層28の両側端部C,C
間に強磁性的な結合が働きやすくなる。
【0233】また、非磁性層32の両側端部32aの膜
厚が例えば5〜15Å、好ましくは7〜11Åで形成さ
れると、強磁性層51,51とフリー磁性層28の両側
端部C,C間に反強磁性的な結合が働きやすくなる。
強磁性層51,51はその上に形成された第2反強磁性
層52,52との間で発生する交換結合磁界によってト
ラック幅方向(図示X方向)に強固に単磁区化される。
これによって強磁性層51,51との間で強磁性的な結
合または反強磁性層な結合が作用するフリー磁性層28
の両側端部C,Cは、トラック幅方向(図示X方向)ま
たはトラック幅方向と反平行方向に強固に単磁区化され
る。
【0234】ここで「強磁性的な結合」とは、非磁性層
32を介したフリー磁性層28の両側端部C,Cと強磁
性層51,51間のRKKY的な強磁性結合、あるいは
非磁性層32に形成されたピンホール等の欠陥を介した
直接的な交換相互作用によってフリー磁性層28の両側
端部C,Cの磁化が強磁性層51,51の磁化方向と同
一方向に向くことを意味する。
【0235】また、「反強磁性的な結合」とは、非磁性
層32を介したフリー磁性層28の両側端部C,Cと強
磁性層51,51の両側端部51a,51a間のRKK
Y的な反強磁性結合によってフリー磁性層28の両側端
部C,Cの磁化が強磁性層51,51の磁化方向と反平
行方向に向くことを意味する。
【0236】一方、フリー磁性層28の中央部Dの磁化
は磁化反転できる程度に弱く単磁区化されている。
【0237】図10に示す実施形態では、強磁性層5
1,51の下面間のトラック幅方向(図示X方向)の間
隔で光学的トラック幅O−Twが規定される。
【0238】図10に示す実施形態では、フリー磁性層
28の両側端部Cの磁化はトラック幅方向(図示X方
向)またはトラック幅方向と反平行方向に適切に固定さ
れ、一方、フリー磁性層28の中央部Dの磁化は外部磁
界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態
になっている。
【0239】本実施の形態では、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30が形成されることにより、フリー
磁性層28の中央部Dの磁化方向を、両側端部Cに近い
場所であっても外部磁界(記録信号磁界)によって急激
に変化させることが容易になっている。
【0240】従って、図1に示される磁気検出素子のフ
リー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における幅
(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは同
程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたとき
にも高い磁界検出出力を維持できる。
【0241】次に非磁性層32について説明する。非磁
性層32は、後述する製造方法で説明するように、大気
暴露によってフリー磁性層28が酸化されるのを防止す
るために設けられた保護層的役割を有している。
【0242】しかし非磁性層32はTa膜に比べて大気
暴露によって酸化しにくい材質であることが好ましい。
また非磁性層32を構成する元素が、成膜段階や、ある
いは固定磁性層23やフリー磁性層28の磁化方向を調
整するための磁場中アニールによってフリー磁性層28
や強磁性層51,51に拡散しても、強磁性材料層とし
ての性質が劣化しない材質であることが好ましい。
【0243】本発明では、非磁性層32は、Ru、R
h、Re、Pd、Os、Ir、Cr、Cu、Pt、Au
のいずれか1種または2種以上で形成されることが好ま
しい。この中でも特にRuを選択することが好ましい。
これら貴金属で形成された非磁性層32は大気暴露によ
っても酸化されにくい材質である。従ってTa膜のよう
に大気暴露による酸化によって膜厚が大きくなるといっ
た現象も生じない。
【0244】またこれら貴金属で形成された非磁性層3
2を構成する元素が、フリー磁性層28や強磁性層5
1,51中に拡散しても、強磁性材料層としての性質は
劣化しない。
【0245】なお非磁性層32を構成する元素がフリー
磁性層28や強磁性層51,51中に拡散しているか否
かは、例えばSIMS分析装置(二次イオン質量分析装
置)などによって測定できる。
【0246】次に非磁性層32の膜厚について以下に説
明する。非磁性層32の膜厚は成膜時、3Å以上で20
Å以下の薄い膜厚で形成されることが好ましい。より好
ましくは3Å以上で10Å以下である。上記したRuな
どからなる非磁性層32は、大気暴露によっても酸化さ
れにくい緻密な層であるため、薄い膜厚であっても適切
にフリー磁性層28を大気暴露による酸化から防止する
ことが可能である。
【0247】成膜時の膜厚は、非磁性層32の中央部3
2bにそのまま残される。中央部32bは後述する製造
方法で説明するようにイオンミリングの影響を受けない
からである。従って図1に示す非磁性層32の中央部3
2bの膜厚t4は3Å以上で20Å以下であることが好
ましい。より好ましくは3Å以上で10Å以下である。
【0248】一方、非磁性層32の両側端部32a,3
2aはイオンミリングの影響で削られ、両側端部32
a,32aの膜厚t5は、非磁性層32の中央部32b
の膜厚t4よりも薄くなっている。両側端部32aの膜
厚t5を、中央部32bの膜厚t4よりも薄くする理由
は、フリー磁性層28の両側端部C,Cと、その上に非
磁性層32を介して形成される強磁性層51,51間で
適切に強磁性的な結合または反強磁性的な結合を生じさ
せ、フリー磁性層28の両側端部C,Cの磁化を効果的
にトラック幅方向(図示X方向)に強固に固定するため
である。
【0249】以上、詳述した図1に示すように、非磁性
層32の両側端部32a,32aを一部残しているか
ら、フリー磁性層28の両側端部C,Cがイオンミリン
グのダメージを受けることがなく、フリー磁性層28の
磁気特性を劣化させるといった問題が生じない。
【0250】また非磁性層32の両側端部32a,32
aの膜厚を非常に薄い膜厚で残すことができるのは、低
エネルギーのイオンミリングを使用できるからである。
元々、非磁性層32は成膜段階で薄い膜厚で、好ましく
は3Å〜20Å、より好ましくは3Å〜10Åで形成さ
れている。このため低エネルギーのイオンミリングであ
っても十分に非磁性層32の膜厚調整をすることがで
き、低エネルギーであるからミリングレートは、高エネ
ルギーの場合に比べて遅く、非磁性層32の途中まで削
った段階でミリングを止めるように制御することも比較
的簡単に行える。
【0251】低エネルギーのイオンミリングとは、ビー
ム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを
用いたイオンミリングであると定義される。例えば、1
00V〜500Vのビーム電圧が用いられる。
【0252】従って図10のように、フリー磁性層28
の両側端部C,C上に一部、非磁性層32を残すことが
でき、フリー磁性層28がイオンミリングなどで削られ
るといったことがなく、フリー磁性層28がイオンミリ
ングによるダメージによって磁気特性が劣化するといっ
た問題は発生しない。
【0253】次に本発明では、強磁性層51の膜厚t6
は2Å以上で50Å以下で形成されることが好ましい。
【0254】本発明ではこのように強磁性層51を薄く
形成しても、フリー磁性層28の両側端部C,Cとの間
で強磁性的な結合または反強磁性な結合を効果的に生じ
させることが可能である。それは、フリー磁性層28の
両側端部C,Cがイオンミリングの影響を受けずに、適
切な磁気特性を保っているからであり、強磁性層51が
上記した膜厚程度にまで薄く形成されることで、強磁性
層51と第2反強磁性層52,52間で大きな交換結合
磁界を生じさせることができるし、さらに強磁性層51
の内側端部からの余分な静磁界がフリー磁性層28の中
央部Dに影響を及ぼし、フリー磁性層28の感度を劣化
させるといった問題も適切に抑制できる。
【0255】図11は本発明における第10実施形態の
磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部
分断面図である。
【0256】図11に示す磁気検出素子は図10に示す
磁気検出素子の構造と異なって、非磁性層32の膜厚
は、フリー磁性層28の中央部D上でも両側端部C,C
上でも一定の膜厚t7である。
【0257】非磁性層32の膜厚t7が5Å以下、好ま
しくは3Å以下で形成されると、強磁性層51,51と
フリー磁性層28の両側端部C,C間に強磁性的な結合
が働きやすくなる。
【0258】また、非磁性層32の膜厚t7が例えば5
〜15Å、好ましくは7〜11Åで形成されると、強磁
性層51,51とフリー磁性層28の両側端部C,C間
に反強磁性層な結合が働きやすくなる。 なお非磁性層
32の膜厚t7の最小値を3Åとしたのは、この程度の
膜厚がないと、適切にフリー磁性層28を酸化から防止
できないからである。
【0259】なお図11に示す磁気検出素子は2通りの
方法で形成される。一つ目は、非磁性層32を全くイオ
ンミリングしない場合である。
【0260】二つ目は、図11に示す第1反強磁性層2
2から非磁性層32までを成膜した後、非磁性層32表
面を一律にイオンミリングする。かかる場合、成膜段階
での非磁性層32の膜厚は3Å以上で20Å以下、より
好ましくは3Å以上で10Å以下である。そしてイオン
ミリングによって、非磁性層32を上記膜厚t7になる
ように削る。
【0261】図11では、図10と非磁性層32の形態
が異なるのみで、他の層の材質や膜厚等は同じであるか
ら、他の層の詳細な説明に関しては図10を参照された
い。
【0262】図12は本発明における第4実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0263】図12では、基板20上にシードレイヤ2
1、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料
層27、フリー磁性層28及び非磁性層32が積層形成
されている。各層の材質は図1で説明したものと同じで
ある。
【0264】図12に示す実施形態では、非磁性層32
の両側端部32a,32a上に強磁性層56,56が形
成され、強磁性層56,56上に第2反強磁性層57,
57が形成されている。さらに第2反強磁性層57,5
7上にはTaなどで形成された保護層(中間層)58,
58を介して電極層59,59が形成されている。保護
層58,58は形成されていなくてもよい。
【0265】非磁性層32は大気暴露によっても酸化さ
れにくい材質であることが好ましく、さらに非磁性層3
2を構成する元素が、フリー磁性層28や強磁性層5
6,56に拡散しても強磁性層としての性質を劣化しな
い材質であることが好ましい。具体的には非磁性層32
は、Ru、Rh、Re、Pd、Os、Ir、Cr、C
u、Pt、Auのいずれか1種または2種以上の貴金属
で形成されることが好ましい。
【0266】非磁性層32の膜厚が5Å以下、好ましく
は3Å以下で形成されると、強磁性層56,56とフリ
ー磁性層28の両側端部C,C間に強磁性的な結合が働
きやすくなる。
【0267】また、非磁性層32の膜厚が例えば5〜1
5Å、好ましくは7〜11Åで形成されると、強磁性層
56,56とフリー磁性層28の両側端部C,C間に反
強磁性層な結合が働きやすくなる。
【0268】図12に示す実施形態では、第2反強磁性
層57の表面に開口部を有する凹部80が設けられてい
る。凹部80の底面80aは非磁性層32内にある。第
2反強磁性層57,57及び強磁性層56,56の内側
端部57a、56aは、基板20表面に対して垂直(図
示Z方向)に近い方向に延びて形成されている。このよ
うな形状の違いは、後述するように製造方法の違いに起
因するものである。
【0269】なお図12においても第2反強磁性層5
7,57及び強磁性層56,56の内側端部57a、5
6aを、内側端部間の間隔が下面から上面に向うにした
がって徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成するこ
ともできる。
【0270】図12に示す実施形態では、強磁性層5
6,56の下面間のトラック幅方向(図示X方向)にお
ける間隔が光学的トラック幅O−Twとして設定され
る。
【0271】図1に示す実施形態では、強磁性層56,
56は第2反強磁性層57,57との間で発生する交換
結合磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に磁化
固定され、フリー磁性層28の両側端部C,Cは、強磁
性層56,56との強磁性的な結合によってトラック幅
方向(図示X方向)に磁化固定される。一方、フリー磁
性層28の中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転で
きる程度に弱く単磁区化された状態になっており、外部
磁界に対し磁化反転可能な領域となっている。
【0272】本実施の形態では、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30、第1磁性材料層40、第2磁性
材料層41が形成されることにより、フリー磁性層28
及びフリー磁性層42の中央部Dの磁化方向を、両側端
部Cに近い場所であっても外部磁界(記録信号磁界)に
よって急激に変化させることが容易になっている。
【0273】従って、図12に示される磁気検出素子の
フリー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における
幅(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは
同程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたと
きにも高い磁界検出出力を維持できる。
【0274】また電極層59,59の両側端面59a,
59aは一点鎖線で示すように、フリー磁性層28の中
央部D上に形成された非磁性層32の中央部32b上に
まで延ばされて形成されていてもよい。かかる場合、電
極層59,59の下面間のトラック幅方向(図示X方
向)への間隔が光学的トラック幅O−Twとして規定さ
れる。また電極層59,59の内側端面59a,59a
は、点線で示すように、中間層58の途中から形成さ
れ、電極層59,59の内側端面59a,59a間の間
隔が、第2反強磁性層57,57及び強磁性層56,5
6の内側端面間の間隔より広がっていてもよい。
【0275】図12に示す実施形態では、フリー磁性層
28の全面に一定の膜厚を有した非磁性層32が形成さ
れている。なお非磁性層32の中央部32bの膜厚が両
側端部32a,32aの膜厚より薄くなっていてもよ
い。
【0276】以下、図12と同じ製造方法を用いて形成
された他の実施形態の磁気検出素子の構造について説明
する。
【0277】図13は、本発明における第12実施形態
の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0278】図13に示す磁気検出素子の構造は図12
と異なって、第2反強磁性層57の表面に開口部を有す
る凹部80の底面80aは、強磁性層56内にある。す
なわち、非磁性層32の中央部32b上にも強磁性層5
6が形成されている。
【0279】ただし非磁性層32の中央部32b上に形
成された強磁性層56の上には第2反強磁性層57,5
7は形成されていないので、中央部Dに形成された強磁
性層56は強固に磁化固定されておらず、従って中央部
Dの強磁性層56の磁化は外部磁界に対し磁化反転でき
る程度に弱く単磁区化された状態になっている。
【0280】図13に示す実施形態では、第2反強磁性
層57,57の下面間のトラック幅方向(図示X方向)
における間隔が光学的トラック幅O−Twとして設定さ
れる。
【0281】この図13における実施形態でも図12と
同様に、強磁性層56,56の両側端部C,Cとフリー
磁性層28の両側端部C,C間が非磁性層32の両側端
部32a,32aを介して強磁性的または反強磁性的に
結合し、フリー磁性層28の両側端部C,Cの磁化は、
強磁性層56,56の両側端部C,Cの磁化方向と同一
方向または反平行方向に強固に固定された状態になって
いる。
【0282】一方、フリー磁性層28の中央部Dの磁化
は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化さ
れた状態になっており、外部磁界に対し磁化反転可能な
領域となっている。
【0283】本実施の形態でも、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30が形成されることにより、フリー
磁性層28の中央部Dの磁化方向を、両側端部Cに近い
場所であっても外部磁界(記録信号磁界)によって急激
に変化させることが容易になっている。
【0284】従って、図13に示される磁気検出素子の
フリー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における
幅(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは
同程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたと
きにも高い磁界検出出力を維持できる。
【0285】一方、フリー磁性層28の中央部Dの磁化
は、強磁性層56,56の中央部Dの磁化方向と同じ方
向に外部磁界に対し感度良く反転できる程度に弱く単磁
区化されており、図示Y方向からの外部磁界の侵入によ
って、フリー磁性層28と強磁性層56,56の中央部
Dとが共に磁化反転して記録信号が再生されるようにな
っている。
【0286】なお中央部Dに形成された強磁性層56,
56の膜厚は、両側端部C,Cに形成された強磁性層5
6,56の膜厚と同じであってもよいし、あるいは薄く
形成されていてもよい。
【0287】なお非磁性層32の材質、および膜厚等に
関しては図12と同じであるのでそちらを参照された
い。
【0288】図14は本発明における第13実施形態の
磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部
分断面図である。
【0289】図14では、第2反強磁性層57の表面に
開口部を有する凹部80の底面80aは、第2反強磁性
層57内にある。従って、非磁性層32上の全面に一定
膜厚の強磁性層56が形成され、さらに非磁性層32の
中央部32b上にも強磁性層56を介して薄い膜厚の第
2反強磁性層57が形成されている。
【0290】中央部Dに形成された第2反強磁性層57
の膜厚t2は、そのトラック幅方向の両側端部C,Cに
形成された第2反強磁性層57,57の膜厚に比べて薄
い膜厚であるが形成されている。
【0291】中央部Dに形成された第2反強磁性層57
の膜厚t2が薄く形成されていることで、第2反強磁性
層57の中央部Dと強磁性層56,56の中央部D間で
は交換結合磁界が発生せず、あるいは発生してもその値
は小さく、強磁性層56の中央部Dの磁化がトラック幅
方向(図示X方向)に強固に固定されることはない。
【0292】第2反強磁性層57の中央部Dに残された
膜厚t2は、50Å以下、好ましくは30Å以下で形成
されることが好ましい。これ以上、膜厚が厚く形成され
ると、第2反強磁性層57の中央部Dと強磁性層56の
中央部D間で大きな交換結合磁界が発生する結果、強磁
性層56の中央部Dの磁化がトラック幅方向(図示X方
向)に強固に固定され、強磁性層56,56の中央部D
とフリー磁性層28の中央部D間の強磁性的な結合また
は反強磁性的な結合によってフリー磁性層28の中央部
Dの磁化がトラック幅方向(図示X方向)またはトラッ
ク幅方向と反平行方向に強固に固定されやすく、再生感
度が低下するからである。
【0293】なお図14における実施形態でも図12及
び図13と同様に、強磁性層56,56の両側端部C,
Cとフリー磁性層28の両側端部C,C間が非磁性層3
2を介して強磁性的または反強磁性的に結合し、フリー
磁性層28の両側端部C,Cの磁化は、強磁性層56,
56の両側端部C,Cの磁化方向と同一方向または反平
行方向に強固に固定された状態になっている。
【0294】図14に示す実施形態では、第2反強磁性
層57,57の両側端部C,C間のトラック幅方向(図
示X方向)における間隔が光学的トラック幅O−Twと
して設定される。
【0295】また、フリー磁性層28の中央部Dの磁化
は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化さ
れた状態になっており、外部磁界に対し磁化反転可能な
領域となっている。
【0296】本実施の形態でも、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30が形成されることにより、フリー
磁性層28の中央部Dの磁化方向を、両側端部Cに近い
場所であっても外部磁界(記録信号磁界)によって急激
に変化させることが容易になっている。
【0297】従って、図14に示される磁気検出素子の
フリー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における
幅(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは
同程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたと
きにも高い磁界検出出力を維持できる。
【0298】また非磁性層32の材質、および膜厚等に
関しては図12と同じであるのでそちらを参照された
い。
【0299】図12ないし図14に示す実施形態の磁気
検出素子は、後述する製造方法で説明するように、磁気
検出素子の中央部Dをイオンミリングや反応性イオンエ
ッチング(RIE)などで削って形成されている。磁気
検出素子の中央部Dをどこまで削るかによって形態が図
12ないし図14のように変わる。
【0300】図12ないし図14では、フリー磁性層2
8の両側端部C,C上に非磁性層32が形成され、この
上に強磁性層56,56が形成されており、フリー磁性
層28の両側端部C,Cがイオンミリングによるダメー
ジを受けることはない。本発明では、Ruなどで形成さ
れた非磁性層32は成膜段階から非常に薄い膜厚(3Å
以上で20Å以下であることが好ましい。より好ましく
は3Å以上で10Å以下である。)で形成されており、
非磁性層32の膜厚をイオンミリングによって調整する
段階において、低エネルギーのイオンミリングを用いる
ことができ、よって非磁性層32が一部残るように、ミ
リング制御をしやすく、図12ないし図14のように、
フリー磁性層28の両側端部C,C上に非磁性層32を
一部残すことが容易に且つ適切に行うことができる。な
お非磁性層32に対してイオンミリングを行わない場合
もある。
【0301】次に本発明におけるフリー磁性層28の形
態について説明する。これまで説明したフリー磁性層2
8は、非磁性材料層27と接する側の層が、CoFeや
Coなどの拡散防止層29となっており、磁性材料層3
0がNiaFeb(ただし、a,bはat%で、a>80
at%、a+b=100at%の関係を満足するもので
ある)からなるNiFe層、NiFeX層(ただしXは
Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金層、Co
FeX層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,C
r,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1
種または2種以上の元素である)のうち少なくとも1つ
からなるものである。
【0302】ただし、フリー磁性層28は磁性材料層3
0のみからなる単層構造であってもよい。
【0303】図15は、フリー磁性層28の別の実施形
態を示す部分拡大断面図である。図15に示すフリー磁
性層28は積層フェリ構造と呼ばれる構造である。これ
によりフリー磁性層28の物理的な厚みを極端に薄くす
ることなしに磁気的な実効的フリー磁性層28の膜厚を
薄くでき、外部磁界に対する感度を向上させることがで
きる。
【0304】符号90、92の層は磁性層であり、符号
91の層は非磁性中間層である。磁性層90および磁性
層92は、NiaFeb(ただし、a,bはat%で、a
>80at%、a+b=100at%の関係を満足する
ものである)からなるNiFe層、NiFeX層(ただ
しXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,C
r,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,O
s,Taから選ばれる1種または2種以上の元素であ
る)、非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金
層、またはCoFeX層(ただしXはTi,Al,M
n,Si,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,
Wから選ばれる1種または2種以上の元素である)であ
る。
【0305】また非磁性中間層91は、Ru、Rh、I
r、Cr、Re、Cuのうち1種または2種以上で形成
されることが好ましい。
【0306】磁性層90の膜厚は例えば35Å程度で、
非磁性中間層91は例えば9Å程度で、磁性層92の膜
厚は例えば15Å程度で形成される。
【0307】また磁性層90と非磁性材料層27との間
には、CoFe合金やCoで形成された拡散防止層が設
けられていてもよい。さらには、磁性層92と非磁性層
32あるいは第3反強磁性層31の間にCoFe合金で
形成された磁性層が介在していてもよい。
【0308】図16は本発明におけるフリー磁性層28
の別の形態を示す部分拡大断面図である。図16に示す
フリー磁性層28には、磁性材料層93、95間にスペ
キュラー膜94が形成されている。スペキュラー膜94
には、図16に示すように欠陥部(ピンホール)Gが形
成されていてもよい。また図16に示す実施形態ではス
ペキュラー膜(鏡面反射層)94を挟んだ磁性材料層9
3及び磁性材料層95は同じ方向(矢印方向)に磁化さ
れている。
【0309】磁性層93および磁性層95は、Nia
b(ただし、a,bはat%で、a>80at%、a
+b=100at%の関係を満足するものである)から
なるNiFe層、NiFeX層(ただしXはMn,C
u,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,
Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選
ばれる1種または2種以上の元素である)、非晶質Co
系磁性材料からなる非晶質Co合金層、またはCoFe
X層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,
Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種ま
たは2種以上の元素である)を含んでいる。
【0310】図16のようにスペキュラー膜94がフリ
ー磁性層28内に形成されているとスペキュラー膜94
に達した伝導電子(例えばアップスピンを持つ伝導電
子)は、そこでスピン状態(エネルギー、量子状態な
ど)を保持したまま鏡面反射する。そして鏡面反射した
アップスピンを持つ伝導電子は、移動の向きを変えてフ
リー磁性層内を通り抜けることが可能になる。
【0311】このため本発明では、スペキュラー膜94
を設けることで、アップスピンを持つ伝導電子の平均自
由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よ
ってアップスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ
+と、ダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行程λ-
の差を大きくすることができ、従って抵抗変化率(ΔR
/R)の向上とともに、再生出力の向上を図ることが可
能になる。
【0312】スペキュラー膜94の形成は、例えば磁性
材料層93までを成膜し、磁性材料層93表面を酸化す
る。この酸化層をスペキュラー膜94として機能させる
ことができる。そしてスペキュラー膜94上に磁性材料
層95を成膜する。
【0313】スペキュラー膜94の材質としては、Fe
−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−F
e−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQは
B、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
iから選択される1種以上)、R−O(ここでRはC
u、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、
Wから選択される1種以上)の酸化物、Al−N、Al
−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、
Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R
−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、
Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物、半
金属ホイッスラー合金などを提示できる。
【0314】図17は本発明におけるフリー磁性層28
の別の形態を示す部分拡大断面図である。
【0315】図17に示すフリー磁性層28は、磁性層
96上にバックド層97が形成されている。バックド層
97は例えばCuやAg、Au、Ruなどで形成され
る。
【0316】磁性層96は、NiaFeb(ただし、a,
bはat%で、a>80at%、a+b=100at%
の関係を満足するものである)からなるNiFe層、N
iFeX層(ただしXはMn,Cu,Zn,Ti,A
l,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,
Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる1種または2
種以上の元素である)、非晶質Co系磁性材料からなる
非晶質Co合金層、またはCoFeX層(ただしXはT
i,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,Sb,
Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の元素
である)を含んでいる。
【0317】バックド層97が形成されることによっ
て、磁気抵抗効果に寄与するアップスピンの伝導電子
(上向きスピン:up spin)における平均自由工
程(mean free path)を延ばし、いわゆ
るスピンフィルター効果(spin filter e
ffect)によりスピンバルブ型磁気素子において、
大きな抵抗変化率が得られ、高記録密度化に対応できる
ものとなる。
【0318】図1に示された磁気検出素子の製造方法を
説明する。図18ないし図20は図1に示す磁気検出素
子の製造方法を示す一工程図である。図18ないし図2
0に示す各工程は記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0319】図18に示す工程では、基板20上に、シ
ードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層2
3、非磁性材料層27、フリー磁性層28、第3反強磁
性層31、および非磁性層32を連続成膜する。成膜に
はスパッタや蒸着法が使用される。図18に示す固定磁
性層23は、例えばCoFe合金などで形成された磁性
層24と磁性層26と、両磁性層24、26間に介在す
るRuなどの非磁性中間層25との積層フェリ構造であ
る。フリー磁性層28は、CoFe合金などの拡散防止
層29とNiFe合金などの磁性材料層30との積層構
造である。
【0320】本発明では第1反強磁性層22及び第3反
強磁性層31を、PtMn合金、または、X―Mn(た
だしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Fe
のいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、
あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,I
r,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,A
r,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元
素である)合金で形成することが好ましい。
【0321】またPtMn合金及びX−Mnの式で示さ
れる合金において、PtあるいはXが37〜63at%
の範囲であることが好ましい。また、PtMn合金及び
X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはX
が47〜57at%の範囲であることがより好ましい。
特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は
以下、以上を意味する。
【0322】また、Pt−Mn−X’の式で示される合
金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であ
ることが好ましい。また、Pt−Mn−X’の式で示さ
れる合金において、X’+Ptが47〜57at%の範
囲であることがより好ましい。さらに、Pt−Mn−
X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10
at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がP
d,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1
種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2
〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0323】また本発明では第1反強磁性層22の膜厚
を80Å以上で300Å以下で形成することが好まし
い。この程度の厚い膜厚で第1反強磁性層22を形成す
ることにより磁場中アニールで、第1反強磁性層22と
固定磁性層23間に大きな交換結合磁界を発生させるこ
とができる。具体的には、48kA/m以上、例えば6
4kA/mを越える交換結合磁界を発生させることがで
きる。
【0324】また本発明では第3反強磁性層31の膜厚
を10Å以上で50Å以下で形成することが好ましく、
より好ましくは30Å以上で40Å以下で形成する。
【0325】上記のように第3反強磁性層31を50Å
以下の薄い膜厚で形成することにより、第3反強磁性層
31は非反強磁性の性質を帯びる。このため下記の第1
の磁場中アニールを施しても、第3反強磁性層31は規
則化変態しにくく、第3反強磁性層31とフリー磁性層
28間に交換結合磁界が発生せずあるいは発生してもそ
の値は小さく、フリー磁性層28の磁化が、固定磁性層
23と同じように強固に固定されることがない。
【0326】また第3反強磁性層31が10Å以上、好
ましくは30Å以上で形成されるとしたのは、この程度
の膜厚がないと、後工程で第3反強磁性層31の両側端
部C上に第2反強磁性層33を形成しても、第3反強磁
性層31の両側端部Cが反強磁性の性質を帯び難く、第
3反強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両
側端部C間に適切な大きさの交換結合磁界が発生しない
からである。
【0327】また図18工程のように第3反強磁性層3
1上に非磁性層32を形成することで、図18に示す積
層体が大気暴露されても第3反強磁性層31が酸化され
るのを適切に防止できる。
【0328】ここで非磁性層32は大気暴露によって酸
化されにくい緻密な層である必要がある。また熱拡散な
どにより非磁性層32を構成する元素が第3反強磁性層
31内部に侵入しても反強磁性層としての性質を劣化さ
せない材質である必要がある。
【0329】本発明では非磁性層32をRu、Re、P
d、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種また
は2種以上からなる貴金属で形成することが好ましい。
【0330】Ruなどの貴金属からなる非磁性層32は
大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である。した
がって非磁性層32の膜厚を薄くしても第3反強磁性層
31が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止でき
る。
【0331】本発明では非磁性層32を3Å以上で10
Å以下で形成することが好ましい。この程度の薄い膜厚
の非磁性層32によっても適切に第3反強磁性層31が
大気暴露によって酸化されるのを適切に防止することが
可能である。
【0332】このように薄い膜厚で非磁性層32を形成
したことによって図19工程でのイオンミリングを低エ
ネルギーで行うことができミリング制御を従来に比べて
向上させることができる。この点については図19工程
で詳しく説明する。
【0333】図18に示すように基板20上に非磁性層
32までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを
施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向で
ある第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱
処理温度で熱処理し、第1反強磁性層22と固定磁性層
23を構成する磁性層24との間に交換結合磁界を発生
させて、磁性層24の磁化を図示Y方向に固定する。も
う一方の磁性層26の磁化は、磁性層24との間で働く
RKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向と
は逆方向に固定される。なお例えば第1の熱処理温度を
270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とす
る。
【0334】また上記したように、この第1の磁場中ア
ニールによって第3反強磁性層31とフリー磁性層28
を構成する磁性材料層30との間には交換結合磁界は発
生しないかあるいは発生してもその値は小さい。第3反
強磁性層31は50Å以下の薄い膜厚で形成されてお
り、反強磁性としての性質を有していないからである。
【0335】また上記した第1の磁場中アニールによっ
て、非磁性層32を構成するRuなどの貴金属元素が、
第3反強磁性層31内部に拡散するものと考えられる。
従って熱処理後における第3反強磁性層31の表面近く
の構成元素は、反強磁性層を構成する元素と貴金属元素
とから構成される。また第3反強磁性層31内部に拡散
した貴金属元素は、第3反強磁性層31の下面側よりも
第3反強磁性層31の表面側の方が多く、拡散した貴金
属元素の組成比は、第3反強磁性層31の表面から下面
に向うに従って徐々に減るものと考えられる。このよう
な組成変調は、SIMS分析装置などで確認することが
可能である。
【0336】次に図19に示す工程では非磁性層32の
上面にレジスト層を形成し、このレジスト層を露光現像
することによって図19に示す形状のレジスト層Rを非
磁性層32上に残す。レジスト層Rは例えばリフトオフ
用のレジスト層である。
【0337】次にレジスト層Rに覆われていない非磁性
層32の両側端部32aを、図19に示す矢印H方向か
らのイオンミリングで一部削る(図19に示す点線部分
の非磁性層32が除去される)。
【0338】ここで非磁性層32の両側端部32aを一
部削る理由は、できる限り両側端部32aの膜厚を薄く
しておかないと、次工程で両側端部32a上に形成され
る第2反強磁性層33と第3反強磁性層31の両側端部
Cとの間で反強磁性的な相互作用を生じさせることがで
きず、第3反強磁性層31の両側端部Cに反強磁性の性
質を与えることができず、フリー磁性層28の両側端部
Cの磁化を強固に固定できないからである。
【0339】本発明では、このイオンミリング工程で、
非磁性層32の両側端部32aの膜厚を3Å以下にする
ことが好ましい。この程度にまで非磁性層32の両側端
部32aの膜厚を薄くすることで、次工程で、第3反強
磁性層31の両側端部C上に第2反強磁性層33を形成
したとき、第3反強磁性層31の両側端部Cと第2反強
磁性層33間に反強磁性的な相互作用を生じさせ、第3
反強磁性層31の両側端部と第2反強磁性層33とを一
体の反強磁性層のように機能させることができ、第3反
強磁性層31の両側端部Cに反強磁性の性質を帯びさせ
ることが可能になる。
【0340】図19に示すイオンミリング工程では、低
エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由
は、非磁性層32が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚
で形成されているからである。
【0341】これに対し、例えば図35に示す従来例の
ようにTa膜10を使用すると、このTa膜10自体、
大気暴露によって酸化されるので、30Å〜50Å程度
の厚い膜厚で形成しないと、十分にその下の層を酸化か
ら保護できず、しかもTa膜10は酸化によって体積が
大きくなり、Ta膜10の膜厚は約50Å以上にまで膨
れ上がる。
【0342】このような厚い膜厚のTa膜10をイオン
ミリングで除くには、高エネルギーのイオンミリングで
Ta膜10を除去する必要があり、高エネルギーのイオ
ンミリングを使用すると、Ta膜10のみが除去される
ようにミリング制御することは非常に難しく、その下に
形成されているフリー磁性層5表面も一部削られ、フリ
ー磁性層5表面がイオンミリングによるダメージを受け
てしまうのである。
【0343】本発明では、Ruなどで形成された非磁性
層32は3Å〜10Å程度の薄い膜厚であっても、第3
反強磁性層31が酸化されるのを十分に防止でき、低エ
ネルギーのイオンミリングによって非磁性層32の途中
でミリングを止めるようにミリング制御しやすい。
【0344】このように本発明では低エネルギーのイオ
ンミリングを使用でき、従来に比べてミリング制御を向
上させることができるのである。
【0345】なお、低エネルギーのイオンミリングと
は、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオン
ビームを用いたイオンミリングであると定義される。例
えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。
【0346】また後述する実験結果によれば、ミリング
時間は20秒から40秒程度、ミリング角度は、基板2
0表面の垂直方向に対し30°から70°、好ましくは
40°から60°傾いた角度で行うことが好ましい。こ
れにより第3反強磁性層31の両側端部Cとその上に形
成される第2反強磁性層33間で発生する反強磁性的な
相互作用を強め、第3反強磁性層31の両側端部Cとフ
リー磁性層28の両側端部C間で発生する交換結合磁界
を強めることができることが確認されている。
【0347】次に図20工程を施す。図20工程では、
非磁性層32の両側端部32a上に第2反強磁性層3
3、電極層34を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸
着法を使用できる。成膜された第2反強磁性層33の内
側端部33a及び電極層34の内側端部34aは、下面
から上面に向うにしたがって(図示Z方向)、徐々に第
2反強磁性層33間の間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲
面で形成される。
【0348】またこの実施形態では第2反強磁性層33
の下面間の間隔でトラック幅Twが規定される。
【0349】第2反強磁性層33に使用される材質は、
第3反強磁性層31に使用される反強磁性材料と同じも
のであることが好ましい。
【0350】また図20に示す工程では、第2反強磁性
層33と、その下に形成されている第3反強磁性層31
の両側端部とを足した総合膜厚が80Å以上で300Å
以下の厚い膜厚となるように、第2反強磁性層33の膜
厚を調整することが好ましい。
【0351】第3反強磁性層31の膜厚と第2反強磁性
層33の膜厚とを足した総合膜厚が80Å以上で300
Å以下程度の厚い膜厚で形成されると、単独では反強磁
性の性質を有さなかった第3反強磁性層31の両側端部
Cが反強磁性の性質を帯びやすくなるからである。
【0352】図20に示すように電極層34まで積層形
成した後、第2反強磁性層33を構成する元素からなる
反強磁性材料の膜33c及び電極層34を構成する元素
からなる電極材料の膜34bが付着したレジスト層Rを
リフトオフで除去する。
【0353】次に第2の磁場中アニールを施す。このと
きの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)であ
る。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界
を、第1反強磁性層22の交換異方性磁界よりも小さ
く、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層22のブロッ
キング温度よりも低くする。なお第2の磁界の大きさを
フリー磁性層28の飽和磁界及びフリー磁性層28の反
磁界より大きくすることがより好ましい。これによって
第1反強磁性層22の交換異方性磁界の方向をハイト方
向(図示Y方向)に向けたまま、第3反強磁性層31の
交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向け
ることができる。なお第2の熱処理温度は例えば250
℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0354】上記のように第3反強磁性層31の両側端
部C上に非磁性層32を介して第2反強磁性層33が形
成されることで、第3反強磁性層31の両側端部Cと第
2反強磁性層33間の反強磁性的な相互作用が強まり、
単独では反強磁性の性質を有さなかった第3反強磁性層
31の両側端部Cが反強磁性の性質を帯びる。
【0355】このため上記の第2の磁場中アニールによ
って、第3反強磁性層31の両側端部Cは適切に規則化
変態し、第3反強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性
層28の両側端部Cとの間に適切な大きさの交換結合磁
界が発生する。これによってフリー磁性層28の両側端
部Cの磁化は、トラック幅方向(図示X方向)に固定さ
れる。
【0356】一方、上記の第2の磁場中アニールによっ
ても、フリー磁性層28の中央部D上に形成された第3
反強磁性層31とフリー磁性層28の中央部D間には交
換結合磁界が発生せずあるいはその値は小さく、フリー
磁性層28の中央部Dが両側端部Cと同様にトラック幅
方向に強固に固定されるといったことがない。
【0357】フリー磁性層28の中央部Dの磁化は外部
磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状
態である。
【0358】本実施の形態では、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30が形成されることにより、フリー
磁性層28の中央部Dの磁化方向を、両側端部Cに近い
場所であっても外部磁界(記録信号磁界)によって急激
に変化させることが容易になっている。
【0359】従って、図1に示される磁気検出素子のフ
リー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における幅
(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは同
程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたとき
にも高い磁界検出出力を維持できる。
【0360】また上記の第2の磁場中アニールで、非磁
性層32を構成するRuなどの貴金属元素が、第3反強
磁性層31及び第2反強磁性層33内部に拡散するもの
と考えられる。従って熱処理後における第3反強磁性層
31及び第2反強磁性層33の構成元素は、反強磁性層
を構成する元素と貴金属元素とから構成される。また第
3反強磁性層31及び第2反強磁性層33内部に拡散し
た貴金属元素は、第3反強磁性層31の下面側よりも第
3反強磁性層31の表面側の方が多く、第2反強磁性層
33の表面側よりも下面側の方が多い。拡散した貴金属
元素の組成比は、第3反強磁性層31の表面から下面に
向うに従って、及び第2反強磁性層33の下面から表面
に向うにしたがって徐々に減るものと考えられる。この
ような組成変調は、SIMS分析装置などで確認するこ
とが可能である。
【0361】上記のように本発明の製造方法によれば従
来に比べて適切にフリー磁性層28の磁化制御を行うこ
とができ、狭トラック化においても再生感度に優れた磁
気検出素子を製造することができる。
【0362】以上の製造工程によって図1に示す磁気検
出素子を製造することが可能である。
【0363】図3に示す磁気検出素子の製造方法は、図
18ないし図20に示す工程で行なわれるが、図19の
イオンミリング工程時に、Ruなどで形成された非磁性
層32の両側端部32aを完全に除去する。上記したよ
うに本発明では、成膜段階における非磁性層32の膜厚
が非常に薄いので低エネルギーのイオンミリング工程を
使用して非磁性層32の研削作業を行える。この低エネ
ルギーによるイオンミリングでは、高エネルギーの場合
に比べてミリングレートが遅くなるため、ちょうど非磁
性層32の両側端部32aが除去された時点でミリング
を止めやすい。すなわちミリング制御が従来に比べて容
易となり、非磁性層32を除去したことで露出する第3
反強磁性層31の表面が受けるミリングの影響を十分に
小さくできる。
【0364】よって図19工程で、非磁性層32の両側
端部32aのみをイオンミリングで削り、その下の第3
反強磁性層31が削られないようにミリング制御を行い
やすい。第3反強磁性層31がミリングされなければ、
第3反強磁性層31表面にはミリングによるダメージが
発生せず、第3反強磁性層31の磁気特性を良好に保つ
ことができる。
【0365】また図3の点線Eで示すように若干、第3
反強磁性層31の表面が削られても低エネルギーのイオ
ンミリングであるため、第3反強磁性層31表面はさほ
どイオンミリングによるダメージを受けないものと考え
られる。従って図20工程で第3反強磁性層31の両側
端部C上に第2反強磁性層33を形成することで、第3
反強磁性層31の両側端部Cと第2反強磁性層33とを
一体の反強磁性層のように機能させることができ、第3
反強磁性層31の両側端部Cに適切に反強磁性の性質を
帯びさせることができる。よって上記の第2の磁場中ア
ニールにより、第3反強磁性層31の両側端部Cを規則
化変態でき、第3反強磁性層31の両側端部Cとフリー
磁性層28間に交換結合磁界を生じさせることができ、
フリー磁性層28の両側端部Cを適切にトラック幅方向
(図示X方向)に固定できる。
【0366】また図4に示す磁気検出素子は、図18に
示す工程を施した後、図19に示す工程でレジスト層R
を形成し、次に図20工程を施すことで製造できる。つ
まり図19工程でイオンミリング工程を施さない。
【0367】図4に示す磁気検出素子の製造方法では、
図18工程で予め非磁性層32の膜厚を3Å以下程度に
薄くして形成しており、あるいは図18に示す工程で、
3Å〜10Å程度の非磁性層32を形成した後、非磁性
層32の上面全体をイオンミリングによって膜厚が3Å
以下となるようにする。
【0368】非磁性層32の膜厚が3Å以下の薄い膜厚
であれば、第3反強磁性層31の両側端部Cと、その上
に非磁性層32を介して形成される第2反強磁性層33
との間に反強磁性的な相互作用を生じさせることがで
き、したがって図19に示す工程で、あらためてイオン
ミリングを施して、非磁性層32の両側端部32aの膜
厚を薄くする、あるいは両側端部32aを完全に除去す
る必要性がない。
【0369】上記した製造方法により、図3のように第
3反強磁性層31上に中央部32b及び両側端部32a
ともに同じ膜厚を有する非磁性層32を残すことができ
る。
【0370】以上、図1、図3、図4のCIP型の磁気
検出素子の製造方法について説明したが、次に図8に示
すCPP型の磁気検出素子の製造方法を、特に図1の磁
気検出素子の製造方法と異なる工程について詳述する。
【0371】図8に示す磁気検出素子の製造方法におい
て、まず上記した図18ないし図19に示す工程を施
す。次に図21に示す工程で、非磁性層32の両側端部
32a上に矢印N方向からのスパッタ角度θ1(図示Z
方向に対する傾き)で、第2反強磁性層33をスパッタ
成膜する。次に第2反強磁性層33の上面33b及び内
側端部33a上にかけて矢印K方向からのスパッタ角度
θ2(図示Z方向に対する傾き)で絶縁層67をスパッ
タ成膜する。
【0372】なおスパッタ角度θ1及びθ2は同じ角度
でもよいが、好ましくは、スパッタ角度θ2をスパッタ
角度θ1よりも大きくする(すなわちより寝かせる)。
これにより非磁性層32の中央部32bの両端部上にま
で絶縁層67の内側先端部67aを形成しやすくなる。
なおスパッタ角度θ1及びθ2は、図示Z方向に対しあ
る程度の傾きを持っていることが好ましい。
【0373】図22ないし図24に示す製造工程は図5
に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。
各図は記録媒体との対向面側から見た部分断面図であ
る。
【0374】まず図22工程では、基板20上に、シー
ドレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、
非磁性材料層27、フリー磁性層28、第3反強磁性層
31、および非磁性層32を連続成膜する。成膜にはス
パッタや蒸着法が使用される。なお、シードレイヤ2
1、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料
層27、フリー磁性層28、第3反強磁性層31、およ
び非磁性層32の材料及び膜厚は図18工程と同じであ
る。
【0375】また本発明では第3反強磁性層31の膜厚
を10Å以上で50Å以下で形成することが好ましく、
より好ましくは30Å以上で40Å以下で形成する。
【0376】上記のように第3反強磁性層31を50Å
以下の薄い膜厚で形成することにより、第3反強磁性層
31は反強磁性の性質を有さなくなり、磁場中アニール
を施しても、第3反強磁性層31が規則化変態しにくく
第3反強磁性層31とフリー磁性層28間に交換結合磁
界が発生せずあるいは発生してもその値は小さく、フリ
ー磁性層28の磁化が、固定磁性層23と同じように強
固に固定されることがない。
【0377】また第3反強磁性層31が10Å以上、好
ましくは30Å以上で形成されるとしたのは、この程度
の膜厚がないと、後工程で第3反強磁性層31の両側端
部C上に第2反強磁性層33を形成しても、第3反強磁
性層31の両側端部Cが反強磁性の性質を帯び難く、第
3反強磁性層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両
側端部C間に適切な大きさの交換結合磁界が発生しない
からである。
【0378】また図22工程のように第3反強磁性層3
1上に非磁性層32を形成することで、図22に示す多
層膜が大気暴露されても第3反強磁性層31が酸化され
るのを適切に防止できる。
【0379】ここで非磁性層32は大気暴露によって酸
化されにくい緻密な層である必要がある。また熱拡散な
どにより非磁性層32が第3反強磁性層31内部に侵入
しても反強磁性層としての性質を劣化させない材質であ
る必要がある。
【0380】本発明では非磁性層32をRu、Re、P
d、Os、Irのいずれか1種または2種以上からなる
貴金属で形成することが好ましい。
【0381】Ruなどの貴金属からなる非磁性層32は
大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である。した
がって非磁性層32の膜厚を薄くしても第3反強磁性層
31が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止でき
る。
【0382】本発明では非磁性層32を3Å以上で10
Å以下で形成することが好ましい。この程度の薄い膜厚
の非磁性層32によっても適切に第3反強磁性層31が
大気暴露によって酸化されるのを適切に防止することが
可能である。
【0383】このように薄い膜厚で非磁性層32を形成
したことによって次工程のイオンミリング制御を適切に
且つ容易に行うことができるのである。
【0384】図22に示すように基板20上に非磁性層
32までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを
施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向で
ある第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱
処理温度で熱処理し、第1反強磁性層22と固定磁性層
23を構成する磁性層24との間に交換結合磁界を発生
させて、磁性層24の磁化を図示Y方向に固定する。も
う一方の磁性層26の磁化は、磁性層24との間で働く
RKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向と
は逆方向に固定される。なお例えば第1の熱処理温度を
270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とす
る。
【0385】また上記したように、この第1の磁場中ア
ニールによって第3反強磁性層31は膜厚が薄いため規
則化変態しにくく、第3反強磁性層31とフリー磁性層
28を構成する磁性材料層30との間には交換結合磁界
は発生しない。第3反強磁性層31は50Å以下の薄い
膜厚で形成されており、反強磁性としての性質を有して
いないからである。
【0386】また上記した第1の磁場中アニールによっ
て、非磁性層32を構成するRuなどの貴金属元素が、
第3反強磁性層31内部に拡散するものと考えられる。
従って熱処理後における第3反強磁性層31の構成元素
は、反強磁性層を構成する元素と貴金属元素とから構成
される。また第3反強磁性層31内部に拡散した貴金属
元素は、第3反強磁性層31の下面側よりも第3反強磁
性層31の表面側の方が多く、拡散した貴金属元素の組
成比は、第3反強磁性層31の表面から下面に向うに従
って徐々に減るものと考えられる。このような組成変調
は、SIMS分析装置などで確認することが可能であ
る。
【0387】次に図22工程で非磁性層32の表面全体
をイオンミリングし、非磁性層32を点線Jの位置まで
削る。
【0388】ここで非磁性層32を一部削る理由は、で
きる限り非磁性層32の膜厚を薄くしておかないと非磁
性層32の両側端部32a上に形成される第2反強磁性
層33と第3反強磁性層31の両側端部Cとの間で反強
磁性的な相互作用を生じさせることができず、フリー磁
性層28の磁化制御を適切に行うことができなくなるか
らである。
【0389】本発明では、このイオンミリング工程で、
非磁性層32の膜厚を0.2Å(平均値)以上で3Å以
下にすることが好ましい。この程度にまで非磁性層32
の両側端部32aの膜厚を薄くすることで、第3反強磁
性層31の両側端部Cと第2反強磁性層33間に反強磁
性的な相互作用を生じさせ、第3反強磁性層31の両側
端部Cと第2反強磁性層33とを一体の反強磁性層のよ
うに機能させることができ、第3反強磁性層31の両側
端部Cに反強磁性の性質を帯びさせることが可能にな
る。
【0390】図22に示すイオンミリング工程では、低
エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由
は、成膜段階で非磁性層32が3Å〜10Å程度の非常
に薄い膜厚で形成されているからである。このため本発
明では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性
層32の途中でミリングを止めやすく、従来に比べてミ
リング制御を向上させることができるのである。
【0391】なお、低エネルギーのイオンミリングと
は、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオン
ビームを用いたイオンミリングであると定義される。例
えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。
【0392】次に図23に示す工程では、非磁性層32
上に第2反強磁性層33を成膜し、さらに連続して第2
反強磁性層33の上にTaなどで形成された中間層(保
護層)35を成膜する。中間層35は、第2反強磁性層
33を大気暴露によって酸化されないように保護するた
めのものである。
【0393】第2反強磁性層33を第3反強磁性層31
と同じ材質で形成することが好ましい。
【0394】また図23に示す工程では、第2反強磁性
層33と、その下に非磁性層32を介して形成されてい
る第3反強磁性層31とを足した総合膜厚が80Å以上
で300Å以下の厚い膜厚となるように、第2反強磁性
層33の膜厚を調整することが好ましい。
【0395】第3反強磁性層31の膜厚と第2反強磁性
層33の膜厚とを足した総合膜厚が80Å以上で300
Å以下程度の厚い膜厚で形成されると、単独では反強磁
性の性質を有さなかった第3反強磁性層31が反強磁性
の性質を帯びるからである。
【0396】次に図24に示す工程では、中間層35上
にトラック幅方向(図示X方向)に所定の間隔50aを
開けて例えば無機材料で形成されたマスク層50を形成
する。無機材料としては、Ta、Ti、Si、Zr、N
b、Mo、Hf、W、Al−O、Al−Si−O、Si
−Oなどを選択できる。このうち金属材料でマスク層5
0を形成する場合には、マスク層50を製造工程後にお
いてもそのまま残して電極層として機能させることもで
きる。
【0397】マスク層50の形成は、例えば中間層35
の中央部上にレジスト層(図示しない)を立てておき、
その両側をマスク層50で埋めた後、レジスト層を除去
してマスク層50に所定幅の間隔50aを形成する。あ
るいは中間層35上全体にマスク層50を形成した後、
レジスト層(図示しない)をマスク層50上に重ねて形
成し、レジスト層の中央部に露光現像によって穴部を形
成した後、この穴部から露出するマスク層50をRIE
などで削って、マスク層50に所定幅の間隔50aを形
成する。
【0398】あるいは本発明ではマスク層50をレジス
トで形成してもよい。図24に示す工程では、マスク層
50の間隔50a内から露出する中間層35をRIEや
イオンミリングによって削り、さらに中間層35下の第
2反強磁性層33を点線Kの位置まで削り込む。このと
き点線K下の第2反強磁性層33の膜厚と第3反強磁性
層31の膜厚を足した総合膜厚が50Å以下になるまで
第2反強磁性層33を削り込むことが好ましい。より好
ましくは40Å以下である。そうしないと、第3反強磁
性層31の中央部Dが反強磁性の性質を残してしまい、
次工程の第2磁場中アニールで、第3反強磁性層31の
中央部Dとフリー磁性層28の中央部D間で交換結合磁
界が発生し、フリー磁性層28の中央部Dの磁化が強固
に固定されてしまうからである。
【0399】図24の点線Kのように第2反強磁性層3
3の途中まで削り込み、フリー磁性層28の中央部D上
に第2反強磁性層33を一部残す場合、図6に示す磁気
検出素子を製造することができる。
【0400】またマスク層50の間隔50a内から露出
する第2反強磁性層33をすべて除去し、非磁性層32
を間隔50a内から露出させてもよい。このとき、非磁
性層32が途中まで削られてもよい。非磁性層32を間
隔50a内から露出させた段階でミリングを止めると図
5に示す磁気検出素子が完成する。
【0401】さらに非磁性層32もすべて削り、その下
に形成されている第3反強磁性層31を一点鎖線Lまで
除去してミリングを止めると、図7に示す磁気検出素子
が完成する。
【0402】図24に示すように、第2反強磁性層33
は、基板20表面に対し垂直方向に削り込まれるので、
第2反強磁性層33の内側端部33aは基板20表面に
対し垂直方向(図示Z方向)に形成される。なお当然
に、第2反強磁性層33の下側に形成された層まで削り
込むときには、削り込まれた各層の内側端面は基板20
表面に対し垂直方向に形成された状態になっている。
【0403】すなわち、第2反強磁性層33の表面33
aに開口部を有し、光学的トラック幅に等しい寸法の幅
寸法を有する凹部75が形成される。
【0404】なお例えば図24の点線Mのように、マス
ク層50の内側端部50bが、下面から上面に向け徐々
に間隔50aが広がる傾斜面や湾曲面で形成されている
場合、またはイオンミリングや反応性イオンエッチング
の入射角度が基板表面に対して斜め方向であるときに
は、第2反強磁性層33等の内側端部33aも傾斜面あ
るいは湾曲面として形成される。
【0405】第2反強磁性層33の内側端部33aが傾
斜面あるいは湾曲面として形成されていると、削り込ま
れる間隔50a内のトラック幅方向(図示X方向)への
幅寸法は下面に向うほど狭くなっていく。このためトラ
ック幅Twを、マスク層50の間隔50aの幅よりもさ
らに小さくでき、より狭トラック化に対応可能な磁気検
出素子を製造することができる。
【0406】またどこまで削り込むかは任意であるが、
少なくともフリー磁性層28の中央部D上に反強磁性を
帯びる程度の厚い膜厚の反強磁性層を残さないこと、お
よびフリー磁性層28がRIEやイオンミリング工程で
削り込まれないようにすることが重要である。フリー磁
性層28がイオンミリング等で削り込まれると、従来と
同じように、フリー磁性層28がミリングによるダメー
ジを受けて磁気特性の劣化を招きやすくなり好ましくな
い。
【0407】上記したRIEやイオンミリング工程が終
了した後、第2の磁場中アニールを施す。このときの磁
場方向は、トラック幅方向(図示X方向)である。なお
この第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1
反強磁性層22の交換異方性磁界よりも小さく、しかも
熱処理温度を、第1反強磁性層22のブロッキング温度
よりも低くする。なお第2の磁界の大きさをフリー磁性
層28の飽和磁界及びフリー磁性層28の反磁界より大
きくすることがより好ましい。これによって第1反強磁
性層22の交換異方性磁界の方向をハイト方向(図示Y
方向)に向けたまま、第3反強磁性層31の両側端部C
の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向
けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば25
0℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0408】第3反強磁性層31の両側端部Cは、その
上に形成された第2反強磁性層33との間で発生する反
強磁性的な相互作用によって反強磁性の性質を帯びてい
るから、この第2の磁場中アニールによって、第3反強
磁性層31の両側端部Cは規則化変態し、第3反強磁性
層31の両側端部Cとフリー磁性層28の両側端部Cと
の間に大きな交換結合磁界が発生する。これによってフ
リー磁性層28の両側端部Cの磁化は、トラック幅方向
(図示X方向)に固定される。
【0409】一方、フリー磁性層28の中央部D上には
反強磁性の性質を帯びない程度の薄い膜厚の反強磁性層
しか形成されていないから、上記の第2の磁場中アニー
ルによっても、フリー磁性層28の中央部D上に形成さ
れた第3反強磁性層31の中央部Dは規則化変態せず、
第3反強磁性層31の中央部Dとフリー磁性層28の中
央部D間には交換結合磁界が発生せずあるいは発生して
もその値は小さく、フリー磁性層28の中央部Dが両側
端部Cと同様にトラック幅方向に強固に固定されるとい
ったことがない。
【0410】フリー磁性層28の中央部Dの磁化は外部
磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状
態である。
【0411】本実施の形態では、交換スティフネス定数
Aが小さい磁性材料である、前記NiFe層、前記Ni
FeX層、前記非晶質Co合金層、前記CoFeX層に
よって磁性材料層30が形成されることにより、フリー
磁性層28の中央部Dの磁化方向を、磁化がX方向に固
定された両側端部Cに近い場所であっても外部磁界(記
録信号磁界)によって急激に変化させることが容易にな
っている。
【0412】従って、図5に示される磁気検出素子のフ
リー磁性層28の中央部Dのトラック幅方向における幅
(磁化反転容易な幅)と光学的トラック幅O−Twは同
程度になり、磁気検出素子の狭トラック化を進めたとき
にも高い磁界検出出力を維持できる。
【0413】このように本発明では、従来に比べてフリ
ー磁性層28の磁化制御を適切に行うことができ、狭ト
ラック化においても再生感度に優れた磁気検出素子を製
造することができる。
【0414】また上記の第2の磁場中アニールで、非磁
性層32を構成するRuなどの貴金属元素が、第3反強
磁性層31及び第2反強磁性層33内部に拡散するもの
と考えられる。従って熱処理後における第3反強磁性層
31及び第2反強磁性層33の構成元素は、反強磁性層
を構成する元素と貴金属元素とから構成される。また第
3反強磁性層31及び第2反強磁性層33内部に拡散し
た貴金属元素は、第3反強磁性層31の下面側よりも第
3反強磁性層31の表面側の方が多く、第2反強磁性層
33の表面側よりも下面側の方が多い。拡散した貴金属
元素の組成比は、第3反強磁性層31の表面から下面に
向うに従って、及び第2反強磁性層33の下面から表面
に向うにしたがって従って徐々に減るものと考えられ
る。このような組成変調は、SIMS分析装置などで確
認することが可能である。
【0415】またこの第2の磁場中アニールを図20工
程の後、すなわち非磁性層32上に第2反強磁性層33
及び中間層35を成膜した後、施してもよい。かかる場
合、第3反強磁性層31は第2反強磁性層33が重ねて
形成されたことで、反強磁性の性質を帯びており、第2
の磁場中アニールで第3反強磁性層31は規則化変態
し、第3反強磁性層31とフリー磁性層28との間で大
きな交換結合磁界が生じ、一旦、フリー磁性層28全体
の磁化がトラック幅方向に固定されやすくなるが、図2
4工程で、第2反強磁性層33の中央部Dや第3反強磁
性層31の中央部Dを削り込むことで、フリー磁性層2
8の中央部D上に形成された反強磁性層との間で発生す
る交換結合磁界は弱まり、フリー磁性層28の中央部D
を磁化反転しやすい程度に弱い磁化固定状態に変えるこ
とができるものと考えられる。
【0416】図24に示すマスク層50がレジストな
ど、残しておいても電極層とはなり得ない材質の場合、
マスク層50を除去した後、電極層34を第2反強磁性
層33上に形成する。
【0417】以上図5ないし図7に示すCIP型の磁気
検出素子の製造方法について説明したが、次に図9に示
すCPP型の磁気検出素子の製造方法を、特に図5ない
し図7に示す磁気検出素子の製造方法と異なる部分につ
いて詳述する。
【0418】図22工程後、図23工程で、第2反強磁
性層33の上に第1絶縁層70を連続スパッタ成膜す
る。
【0419】次に第1絶縁層70の上に露光現像によっ
てトラック幅方向(図示X方向)の中央部に穴部が設け
られたレジスト層を形成する。
【0420】次にイオンミリングによって前記レジスト
層に覆われていない第1絶縁層70及び第2反強磁性層
33を削り込む。
【0421】なお、第2反強磁性層33の両側端部C上
に第1絶縁層70を形成し、第1絶縁層70をマスクと
して、第1絶縁層70に覆われていない第2反強磁性層
33の中央部Dを削ってもよい。
【0422】図25に示す工程では、第1絶縁層70上
から第2反強磁性層33及び第1絶縁層70の内側端
部、および磁気検出素子の中央部DにかけてAl23
SiO 2、AlN、Al−Si−O−N、Al−Si−
O、Ti23、Ti35などの絶縁材料からなる第2絶
縁層71をスパッタ成膜する。スパッタ法には、イオン
ビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメー
ションスパッタ法などを使用できる。
【0423】ここで注意すべき点は、第2絶縁層71を
形成する際のスパッタ角度θ3(図示Z方向からの傾
き)にある。図25に示すようにスパッタ方向Pは、多
層膜の各層の膜面の垂直方向に対しθ3のスパッタ角度
を有しているが本発明ではスパッタ角度θ3をできる限
り大きくして(すなわちより寝かせて)、第2反強磁性
層33の内側端部33a上に第2絶縁層71が成膜され
やすいようにすることが好ましい。例えばスパッタ角度
θ3は50〜70°である。
【0424】このようにスパッタ角度θ3を大きくする
ことで、第2反強磁性層33の内側端部33a上に形成
される第2絶縁層71のトラック幅方向(図示X方向)
への膜厚T3を、磁気検出素子の上面や第1絶縁層70
に形成される第2絶縁層71の膜厚T4よりも厚く形成
できる。このように第2絶縁層71の膜厚を調整しない
と次工程でのイオンミリングで、第2反強磁性層33の
内側端部33a上に形成された第2絶縁層71がすべて
除去されてしまい、あるいは第2絶縁層71が残っても
その膜厚は非常に薄くなり、適切に分流ロスを低減させ
るための絶縁層として機能させることができない。
【0425】次に多層膜の各層の膜面と垂直方向(図示
Z方向と平行な方向)あるいは垂直方向に近い角度(多
層膜の各層表面の垂直方向に対し0°〜20°程度)か
らイオンミリングQを施す。このとき磁気検出素子の中
央部D上に形成された第2絶縁層71を適切に除去する
までイオンミリングを施す。このイオンミリングによっ
て第1絶縁層70の上面70aに形成された第2絶縁層
71も除去される。一方、第2反強磁性層33の内側端
部33a上に形成された第2絶縁層71も若干削れるも
のの、磁気検出素子の中央部D上に形成された第2絶縁
層71よりも厚い膜厚T3を有し、しかもイオンミリン
グのミリング方向Qは、第2反強磁性層33の内側端部
33a上に形成された第2絶縁層71から見ると斜め方
向になるため、第2反強磁性層33の内側端部33a上
に形成された第2絶縁層71は、磁気検出素子の中央部
D上に形成された第2絶縁層71に比べて削られ難く、
よって第2反強磁性層33の内側端部33a上には適度
な膜厚の第2絶縁層71が残される。
【0426】第2反強磁性層33の内側端部33a上に
残される第2絶縁層71のトラック幅方向における膜厚
T3は5〜10nm程度であることが好ましい。
【0427】図26に示すように第2反強磁性層33の
上面33bは第1絶縁層70によって覆われ、また第2
反強磁性層33の内側端部33aは第2絶縁層71によ
って覆われた状態になっている。そして必要ならば、絶
縁層70、71から磁気検出素子の中央部Dにかけて図
9に示す非磁性層69を形成した後、上部シールドを兼
ね備えた上部電極層68をメッキ形成する。
【0428】以上のようにして形成された磁気検出素子
では、第2反強磁性層33の上面33b、および内側端
部33a上を適切に絶縁層70、71によって覆うこと
ができ、シールド層から流れる電流の分流ロスを適切に
抑制できるCPP型の磁気検出素子を製造することが可
能になる。
【0429】図10及び図11に示された磁気検出素子
を形成するときには、図18工程において第3反強磁性
層を成膜せずにフリー磁性層28の上に非磁性層32を
成膜し、図19工程の後、レジスト層Rを付けたまま、
強磁性層51,51、第2反強磁性層52,52、電極
層53,53を成膜すればよい。その他、強磁性層5
1,51と第2反強磁性層52,52の間に交換結合磁
界を発生させるための第2の磁場中アニールの条件など
は、図1に示された磁気検出素子の製造方法と同様であ
る。
【0430】また、図12ないし図14に示された磁気
検出素子を形成するときには、フリー磁性層28上に直
接非磁性層32を積層した状態で第1の磁場中アニール
を行なう。次に、低エネルギーのイオンミリングを行な
って、非磁性層32表面の酸化膜を除去した後、強磁性
層56、第2反強磁性層57、中間層58をベタ膜状態
で積層する。さらに、第2の磁場中アニールと凹部80
を形成する工程を行なう。第1の磁場中アニール、低エ
ネルギーのイオンミリング、第2の磁場中アニールと凹
部80を形成する工程は、図5に示された磁気検出素子
の製造方法と同様である。
【0431】また図15に示す積層フェリ構造でフリー
磁性層28を形成した場合、フリー磁性層28を構成す
る磁性層92までをイオンミリングで削ってもよい。こ
れにより中央部Dでは非磁性中間層91が露出し、中央
部Dでは1層の磁性層90がフリー磁性層として機能す
る。両側端部C,Cでは、フリー磁性層28は積層フェ
リ構造を保ち、一方向***換バイアス磁界が増強され、
より確実にフリー磁性層28の両側端部C,Cをトラッ
ク幅方向に固定でき、サイドリーディングの発生を抑制
できる磁気検出素子を製造できる。
【0432】また図17に示すバックド層97を有する
形態でフリー磁性層28を形成する場合、中央部Dでバ
ックド層97を露出させてもよい。
【0433】また図8、図9に示す磁気検出素子では非
磁性材料層27がCuなどの非磁性導電材料で形成され
てもよいし、あるいは非磁性材料層27がAl23やS
iO 2などの絶縁材料で形成されてもよい。前者の磁気
検出素子はスピンバルブ型GMR磁気抵抗効果素子と呼
ばれる構造であり、後者の磁気検出素子はトンネル型磁
気抵抗効果型素子と呼ばれる構造である。
【0434】トンネル型磁気抵抗効果型素子は、トンネ
ル効果を利用して抵抗変化を生じさせるものであり、磁
性層26とフリー磁性層28との磁化が反平行のとき、
最も非磁性材料層27を介してトンネル電流が流れにく
くなって、抵抗値は最大になり、一方、磁性層26とフ
リー磁性層28との磁化が平行のとき、最もトンネル電
流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
【0435】この原理を利用し、外部磁界の影響を受け
てフリー磁性層28の磁化が変動することにより、変化
する電気抵抗を電圧変化または電流変化としてとらえ、
記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになってい
る。
【0436】なお、図8、図9に示すCPP型の磁気検
出素子ではいずれも下部電極層65及び上部電極層68
を多層膜の上下に接して形成し、シールド層の機能を持
たせているが、このような構成によって電極層とシール
ド層とを別々に形成する必要性が無くなり、CPP型の
磁気検出素子の製造を容易化することが可能になる。
【0437】しかも電極機能とシールド機能とを兼用さ
せれば、シールド層間の間隔で決定されるギャップ長G
1を非常に短くすることができ(図25を参照、なお非
磁性層69が設けられる場合は、非磁性層69の膜厚も
含めてギャップ長Glが決定される)、今後の高記録密
度化により適切に対応可能な磁気検出素子を製造するこ
とが可能になる。
【0438】ただし多層膜の上面及び/または下面に、
例えばAu、W、Cr、Taなどからなる電極層を設
け、多層膜と反対側の電極層の面にギャップ層を介して
磁性材料製のシールド層を設ける構成であってもかまわ
ない。
【0439】また、図10から図14に示される磁気検
出素子に下部電極層及び上部電極層を形成してCPP型
の磁気検出素子を構成することもできる。
【0440】なお上述したCIP型の磁気検出素子を用
いて磁気ヘッドを構成するときには、磁気検出素子の下
に絶縁性材料からなる下部ギャップ層、及びこの下部ギ
ャップ層下に積層される磁性合金からなる下部シールド
層が形成され、磁気検出素子上に、絶縁性材料からなる
上部ギャップ層、及びこの上部ギャップ層上に積層され
る磁性合金からなる上部シールド層が形成される。な
お、CPP型の磁気検出素子の場合には、既に下部シー
ルドを兼用する下部電極層、及び上部シールドを兼用す
る上部電極層が形成されている。また、前記上部シール
ド層または上部電極層上に書き込み用のインダクティブ
素子が積層されてもよい。
【0441】また本発明における磁気検出素子はハード
ディスク装置に内蔵される磁気ヘッドに装備されるほか
磁気センサなどにも使用可能である。
【0442】なお、本発明は、固定磁性層の下層にフリ
ー磁性層が形成され、フリー磁性層28の下層に第2反
強磁性層がトラック幅方向に間隔をあけて形成される、
いわゆるトップスピンバルブ型磁気検出素子にも適用で
きる。
【0443】
【実施例】図27は、エクスチェンジバイアス方式の磁
気検出素子の光学的トラック幅O−Twと磁界検出出力
との関係を示すグラフである。
【0444】図1に示される膜構成のエクスチェンジバ
イアス方式の磁気検出素子であって、フリー磁性層28
の磁性材料層30の材料が異なる3種類の磁気検出素子
の光学的トラック幅O−Twを変化させて磁界検出出力
を測定した。
【0445】なお、素子高さMRhは光学的トラック幅
O−Twの0.75倍となる寸法とし、フリー磁性層の
単位面積当りの磁気モーメントMstが0.46mem
u/cm2(5.8T・nm)で一定になるように磁性
材料層30の材料に応じて膜厚を調整した。
【0446】図27のグラフにおいて、(◇)を結んだ
点線はフリー磁性層28の磁性材料層30を従来用いら
れてきたNi80Fe20で形成したときの結果を示し、
(□)を結んだ曲線はフリー磁性層28の磁性材料層3
0を従来用いられてきたCoで形成したときの結果を示
している。
【0447】また、(○)を結んだ実線はフリー磁性層
28の磁性材料層30をNiFeNb合金で形成したと
きの結果であり、本発明の実施例を示している。
【0448】Ni80Fe20の交換スティフネス定数Aの
値は、1×10-6(erg/cm)、Coの交換スティ
フネス定数Aの値は、おおよそ2×10-6(erg/c
m)、NiFeNb合金の交換スティフネス定数Aの値
は、おおよそ5×10-7(erg/cm)である。
【0449】図27から、フリー磁性層28をいずれの
磁性材料を用いて形成しても光学的トラック幅寸法が小
さくなるにつれて磁界検出出力も小さくなることがわか
る。特に、光学的トラック幅が0.12μm以下、さら
には0.1μm以下になると、磁界検出出力が急激に低
下している。
【0450】しかし、同じ光学的トラック幅寸法であれ
ば、交換スティフネス定数AがNi 80Fe20やCoより
小さいNiFeNb合金(上記具体的な組成)を用いて
磁性材料層30が形成された磁気検出素子は、Ni80
20やCoで磁性材料層30が形成された磁気検出素子
よりも、磁界検出出力が常に大きくなっていることがわ
かる。
【0451】例えば、光学的トラック幅が0.15μm
のとき、磁性材料層30をNi80Fe20で形成した磁気
検出素子の磁界検出出力は1.3(mV)、磁性材料層
30をCoで形成した磁気検出素子の磁界検出出力は
1.1(mV)であるのに対し、NiFeNb合金を用
いて磁性材料層30が形成された磁気検出素子の磁界検
出出力は1.5(mV)である。
【0452】同様に、光学的トラック幅が0.12μm
のとき、磁性材料層30を形成する材料を、Ni80Fe
20、Co、NiFeNb合金とした磁気検出素子の磁界
検出出力はそれぞれ、1.2(mV)、1.0(m
V)、1.4(mV)である。
【0453】さらに、光学的トラック幅が0.1μmの
とき、磁性材料層30を形成する材料を、Ni80
20、Co、NiFeNb合金とした磁気検出素子の磁
界検出出力はそれぞれ、1.1(mV)、0.9(m
V)、1.3(mV)である。
【0454】従って、フリー磁性層28の材料に、従来
のNi80Fe20やCoより交換スティフネス定数Aが小
さい磁性材料を用いることで、光学的トラック幅を小さ
くしたときにも磁界検出出力を高く維持できる磁気検出
素子を提供できることがわかる。
【0455】図28は、図1に示された膜構成を有する
磁気検出素子の、フリー磁性層28を構成する磁性材料
層30を形成するための磁性材料の交換スティフネス定
数を変化させたときの磁界検出出力の変化を示すグラフ
である。
【0456】なお、本実施例では、光学的トラック幅が
0.05μm(○)、0.10μm(△)、0.15μ
m(□)、0.20μm(◇)の4つの場合について調
べている。また、交換スティフネス定数A=1.0×1
-6(erg/cm)(1.0×10-11(J/m))
のときの磁界検出出力を1として規格化している。
【0457】図28のグラフをみると、いずれの光学的
トラック幅においても、交換スティフネス定数Aが小さ
くなると磁界検出出力は大きくなっている。
【0458】特に、交換スティフネス定数Aが、従来フ
リー磁性層28の磁性材料層30を形成するために用い
られてきたNi80Fe20の交換スティフネス定数の値で
あるA=1.0×10-6(erg/cm)よりも小さく
なると、磁界検出出力は指数関数的に増大し、磁性材料
層30の交換スティフネス定数Aを低減させることの効
果が大きいことがわかる。
【0459】次に、フリー磁性層28の磁性材料層30
の交換スティフネス定数Aを小さくするための組成につ
いて検討した。磁性材料の交換スティフネス定数Aはス
ピン波共鳴などの手法により測定できる。
【0460】図29は、NiFe(パーマロイ)中のN
i濃度と交換スティフネス定数Aの関係を示すグラフで
ある。
【0461】図29からNiFeの交換スティフネス定
数Aを、従来フリー磁性層28の磁性材料層30を形成
するために用いられてきたNi80Fe20の交換スティフ
ネス定数の値であるA=1.0×10-6(erg/c
m)(=1.0×10-11(J/m))よりも小さくす
るためには、NiFeのNi濃度を80at%以上にす
ればよいことがわかる。なお、本発明においては、Ni
濃度が100at%の磁性材料を用いてフリー磁性層2
8の磁性材料層30を形成してもよい。
【0462】これから、本発明では、フリー磁性層をN
aFeb(ただし、a,bはat%で、a>80at
%、a+b=100at%の関係を満足するものであ
る)からなるNiFe層を有するものとした。
【0463】図30及び図31は、組成がNiFeX
(ただしXはMn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,S
i,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,M
o,Os,Taから選ばれる1種または2種以上の元
素)である磁性材料中の元素X濃度と交換スティフネス
定数Aの関係を示すグラフである。
【0464】図30及び図31から、Ni80Fe20に添
加元素Xを添加した磁性材料(Ni 0.8Fe0.2c
d(ただし、XはMn,Cu,Zn,Ti,Al,G
e,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,
W,Mo,Os,Taから選ばれる元素であり、c,d
はat%で、d>0at%、c+d=100at%であ
る)は、添加元素が含有されていない磁性材料Ni80
20よりも交換スティフネス定数Aが小さくなることが
わかる。これらの結果からNi80Fe20にMn,Cu,
Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,I
r,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taのうちか
ら選ばれる2種以上の元素を添加しても交換スティフネ
ス定数Aが添加前に比べて小さくなることが推測され
る。
【0465】なお、図31に示されるように、Ni80
20にAuまたはPdを添加しても、交換スティフネス
定数Aはほとんど低下しない。
【0466】なお、組成がNiFeX(ただし、XはC
u,Cr,V,Nb,W,Mo,Taから選ばれる1種
または2種以上から選ばれる元素)である磁性材料は、
元素Xが添加されないNiFeと比べて保磁力及び磁歪
があまり増加しないので、フリー磁性層の一部となる本
発明のNiFeX層を形成する磁性材料としてより好ま
しい。
【0467】図32及び図33は、組成がCoFeX
(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,T
a,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種また
は2種以上の元素)である磁性材料中の元素X濃度と交
換スティフネス定数Aの関係を示すグラフである。
【0468】図32及び図33から、Co90Fe10に添
加元素Xを添加した磁性材料(Co 0.9Fe0.1ef
(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,T
a,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる元素であ
り、e,fはat%で、f>0at%、e+f=100
at%である)は、添加元素が含有されていない磁性材
料Co90Fe10よりも交換スティフネス定数Aが小さく
なることがわかる。特に、添加元素XとしてV,Cr,
Mo,Wを用いると交換スティフネス定数Aの低下率が
大きくなる。
【0469】なお、これらの結果から、Co90Fe10
Ti,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,S
b,Ge,Mo,Wから2種以上の元素を添加しても交
換スティフネス定数Aが添加前に比べて小さくなること
が推測される。
【0470】また、図32及び図33に示されるよう
に、Co90Fe10にCu、PtまたはPdを添加して
も、交換スティフネス定数Aの低下は小さく本発明にお
ける添加元素Xとして用いるにはふさわしくないことが
わかる。
【0471】表1は、種々の非晶質Co合金の交換ステ
ィフネス定数Aを、従来フリー磁性層を形成するために
用いられてきた磁性材料Ni80Fe20及びCo90Fe10
の交換スティフネス定数Aと比較したものである。
【0472】
【表1】
【0473】(表1)から非晶質Co合金である、Co
FeSiB合金、CoFeSiBM合金(ただし、Mは
NiまたはMoから選ばれる元素)、CoFePBAl
合金、CoMnB合金、CoMoZr合金の交換スティ
フネス定数Aは、いずれもNi80Fe20及びCo90Fe
10の交換スティフネス定数Aより小さいことがわかる。
【0474】従って、本発明では、従来のNi80Fe20
やCoより交換スティフネス定数Aが小さい上記磁性材
料によって形成されたNiaFeb(ただし、a,bはa
t%で、a>80at%、a+b=100at%の関係
を満足するものである)、NiFeX(ただしXはM
n,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,
Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Ta
から選ばれる1種または2種以上の元素である)、非晶
質Co合金層、CoFeX層(ただしXはTi,Al,
Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,M
o,Wから選ばれる1種または2種以上の元素であ
る)、を用いてフリー磁性層を形成することで、光学的
トラック幅を小さくしたときにも磁界検出出力を高く維
持できる磁気検出素子を提供できることが実証された。
【0475】なお、図30から図33以外の磁性材料の
交換スティフネス定数Aは、その磁性材料のキュリー温
度から推定することができる。
【0476】「近角聡信著 強磁性体の物理(上) 裳
華房 1984」の第132頁から第135頁の記載を
参照すると、ある磁性材料に含まれる原子のスピンの相
互作用の強さを表わす定数である交換積分をJとし、ボ
ルツマン定数をk、磁性材料のキュリー温度をΘfとす
ると、J∝kΘfの関係があることがわかる。
【0477】従って
【数式5】 となり、キュリー温度Θfから交換スティフネス定数A
を求めることができる。なお、Cは磁性体の結晶構造に
依存する定数である。例えば、種々の統計理論により予
測されるCの値は、体心立方格子でC=2〜4、面心立
方格子でC=3〜6である。
【0478】なお、前記フリー磁性層の第2反強磁性層
に最も近い最上層または最下層が(Co0.9Fe0.1e
Crf層(ただし、e,fはat%で、0at%<f<
20at%、e+f=100at%)であると、第2反
強磁性層とフリー磁性層間に働く交換結合磁界が大きく
なり、第2反強磁性層と重なるフリー磁性層の両側端部
の磁化方向が強固に固定されるので、磁気検出素子の光
学的トラック幅O−Tw以外の領域でフリー磁性層の磁
化方向が変化することによるサイドリーディングが抑え
られる。
【0479】図34は、比較例としてCoFe層の膜厚
と、PtMnからなる反強磁性層とCoFe層間の交換
結合磁界との関係、及び実施例としてCoFeCr層の
膜厚とPtMnからなる反強磁性層とCoFeCr層間
の交換結合磁界との関係を示すグラフである。
【0480】実験には、以下に示す膜構成の薄膜積層体
を用いた。シリコン基板/アルミナ(1000Å)/
(Ni0.8Fe0.260Cr40(60Å)/Pt50Mn50
(120Å)/Co90Fe10(14Å)/Ru(8.7
Å)/Co90Fe10(20Å)/Cu(21Å)/Co
90Fe10(10Å)/Ni80Fe20(30Å)/(Co
0.9Fe0.1)CrまたはCo90Fe10/Pt50Mn
50(300Å)/Ta(50Å)。なお、各層はベタ膜
状に形成している。
【0481】この実施例及び比較例では、フリー磁性層
が/Co90Fe10(10Å)/Ni 80Fe20(30Å)
/(Co0.9Fe0.1)CrまたはCo90Fe10/からな
る3層構造であり、フリー磁性層の最上層にある(Co
0.9Fe0.1)Cr層またはCo90Fe10層と第2反強磁
性層であるPt50Mn50層(300Å)とが直接接して
交換結合磁界が発生している。
【0482】図34から、第2反強磁性層(Pt50Mn
50層)に接しているフリー磁性層の最上層がCo90Fe
10層であるとき、このCo90Fe10層の膜厚が1Åのと
き、Pt50Mn50層とCo90Fe10層間の交換結合磁界
の大きさは、52(kA/m)である。Co90Fe10
の膜厚が1Åから3Åの範囲であるとき、Pt50Mn 50
層とCo90Fe10層間の交換結合磁界の大きさは、ほぼ
52(kA/m)と一定の値である。Co90Fe10層の
膜厚が3Åを越えるとPt50Mn50層とCo90Fe10
間の交換結合磁界の大きさは再び上昇しはじめ、膜厚が
4Åを越えると一定の値58(kA/m)となる。
【0483】第2反強磁性層(Pt50Mn50層)に接し
ているフリー磁性層の最上層が(Co0.9Fe0.195
5層であるとき、この(Co0.9Fe0.195Cr5層の
膜厚が6Åを越えると、Pt50Mn50層と(Co0.9
0.195Cr5層間の交換結合磁界の大きさは、ほぼ一
定の値86(kA/m)となる。
【0484】ここで、(Co0.9Fe0.1)Cr層のCr
濃度を増やすと、(Co0.9Fe0.1)Cr層の膜厚を薄
くしても、大きな交換結合磁界が得られる。
【0485】例えば、第2反強磁性層(Pt50Mn
50層)に接しているフリー磁性層の最上層が(Co0.9
Fe0.190Cr10層であると、この(Co0.9
0.190Cr10層の膜厚が2Åのとき、Pt50Mn50
層と(Co0.9Fe0.190Cr10層間の交換結合磁界の
大きさは、78(kA/m)となる。(Co0.9
0.190Cr10層の膜厚を2Åより大きくすると交換
結合磁界の増加率は減少するものの交換結合磁界の大き
さそのものは増加し、(Co0.9Fe0.190Cr10層の
膜厚が4Åを越えると、交換結合磁界の大きさはほぼ一
定の値86(kA/m)となる。
【0486】また、第2反強磁性層(Pt50Mn50層)
に接しているフリー磁性層の最上層が(Co0.9
0.185Cr15層であると、この(Co0.9Fe0.1
85Cr15層の膜厚が2Åのとき、Pt50Mn50層と(C
0.9Fe0.185Cr15層間の交換結合磁界の大きさは
72(kA/m)となり、(Co0.9Fe0.185Cr15
層の膜厚が3Åのとき交換結合磁界の大きさは77(k
A/m)である。(Co0.9Fe0.185Cr15層の膜厚
が4Åから6Åの間のとき、交換結合磁界の大きさはほ
ぼ一定の値82(kA/m)である。(Co0.9
0.185Cr15層の膜厚が6Åのときの交換結合磁界
の大きさは82(kA/m)である。
【0487】ただし、Crの濃度を大きくしすぎると、
CoFeCrそのものやその下層のNiFeXの飽和磁
化やキュリー温度が下がりすぎ、極端な場合は磁性を失
うので好ましくない。また、CoFeCr層の膜厚を大
きくしすぎるとフリー磁性層の磁歪が増大する。
【0488】なお、フリー磁性層の最上層に(Co0.9
Fe0.1)CrまたはCo90Fe10を形成しない場合、
すなわち、フリー磁性層が/Co90Fe10(10Å)/
Ni80Fe20(30Å)の2層構造で形成され、Ni80
Fe20層と第2反強磁性層(Pt50Mn50層)が直接接
しているとき、Ni80Fe20層と第2反強磁性層(Pt
50Mn50層)間に発生する交換結合磁界の大きさは38
(kA/m)〜42(kA/m)である。
【0489】これらの結果から、前記フリー磁性層の第
2反強磁性層に最も近い最上層または最下層がCoFe
Cr層であると、第2反強磁性層とフリー磁性層間に働
く交換結合磁界が従来より大きくなり、磁気検出素子の
光学的トラック幅O−Tw以外の領域でフリー磁性層の
磁化方向が変化することによるサイドリーディングを抑
えることができることがわかる。
【0490】図34に示される結果から、本発明では、
前記CoFeCr層を(CoxFeyeCrf層(ただ
し、x,yはCoとFeのat%比でありx+y=1、
e,fはat%で、0at%<f<20at%、e+f
=100at%である)とすることが好ましいとした。
【0491】より好ましくは、前記CoFeCr層を
(CoxFeyeCrf層(ただし、x,yはCoとFe
のat%比でありx+y=1、e,fはat%で、5a
t%≦f≦15at%、e+f=100at%である)
とすることである。
【0492】なお、前記CoFeCr層と第2反強磁性
層間の交換結合磁界を大きくするためには、前記CoF
eCr層の膜厚は2Å以上10Å以下であることが好ま
しい。また、前記CoFeCr層の膜厚は3Å以上6Å
以下であることがより好ましい。
【0493】ただし、前記CoFeCr層が(Co0.9
Fe0.1eCrf層(ただし、はe,fはat%で、1
0at%≦f≦15at%、e+f=100at%)で
あるときには、その膜厚が2Å以上6Å以下、または2
Å以上4Å以下であっても十分な交換結合磁界を発生さ
せることができる。
【0494】フリー磁性層の最上層または最下層に前記
CoFeCr層を形成すると第2反強磁性層との間の交
換結合磁界は増大するが、フリー磁性層全体の単位面積
当りの磁気モーメントMs×tが増加して感度が低下し
たり、磁歪が増加して再生波形の安定性が悪化する。し
たがって、フリー磁性層の感度の維持、再生波形の安定
性の維持といった観点からは、前記CoFeCr層の膜
厚を2Å以上6Å以下、または2Å以上4Å以下にする
ことが好ましい。
【0495】なお、交換スティフネス定数Aは、4×1
-12(J/m)以上であることが好ましい。交換ステ
ィフネス定数Aが4×10-12(J/m)以上であると
磁性材料のキュリー温度が100℃より大きくなり、発
熱に対して安定な特性を有する磁気検出素子の形成に使
用することができる。
【0496】
【発明の効果】本発明では、前記フリー磁性層のトラッ
ク幅方向の少なくとも両側端部に重ねられて、トラック
幅方向に間隔をあけて形成された一対の第2反強磁性層
が設けられ、前記フリー磁性層はNiaFeb(ただし、
a,bはat%で、a>80at%、a+b=100a
t%)の関係を満足するものである)からなるNiFe
層、NiFeX層(ただしXはMn,Cu,Zn,T
i,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,Ru,
Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる1種ま
たは2種以上の元素である)、非晶質Co系磁性材料か
らなる非晶質Co合金層、CoFeX層のうち少なくと
も1つを有することを特徴とするものである。
【0497】本発明では、前記フリー磁性層を、交換ス
ティフネス定数が小さい前記NiFe層、前記NiFe
X層、前記非晶質Co合金層、または前記CoFeX層
を有するものとして形成することによって、エクスチェ
ンジバイアス方式の磁気検出素子の狭トラック化を進め
るときに、高い磁界検出出力を維持できる。
【0498】本発明では、前記フリー磁性層の材料に、
上述した前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶
質Co合金層、または前記CoFeX層のような交換ス
ティフネス定数Aが小さい磁性材料を用いることによっ
て、前記フリー磁性層のトラック幅領域全域における磁
化方向の変化を容易にし、磁気検出素子の狭トラック化
を進めたときにも高い磁界検出出力を維持できる。
【0499】また、交換スティフネス定数Aが小さい磁
性材料は、室温での飽和磁化Msが小さいので、交換ス
ティフネス定数Aが小さい磁性材料を用いて形成された
前記NiFe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合
金層、または前記CoFeX層は単位面積当りの磁気モ
ーメントMs×tの値が小さくなる。すると、前記Ni
Fe層、前記NiFeX層、前記非晶質Co合金層、ま
たは前記CoFeX層を有する前記フリー磁性層は、感
度領域(トラック幅領域)の磁化方向が外部磁界(記録
磁界)によって変化しやすくなり磁界検出感度が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明におけるフリー磁性層の他の形態を記録
媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明の第2の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明の第3の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明の第4の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明の第5の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明の第6の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】本発明の第7の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明の第8の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図10】本発明の第9の実施の形態である磁気検出素
子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図11】本発明の第10の実施の形態である磁気検出
素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図、
【図12】本発明の第11の実施の形態である磁気検出
素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図、
【図13】本発明の第12の実施の形態である磁気検出
素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図、
【図14】本発明の第13の実施の形態である磁気検出
素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図、
【図15】本発明におけるフリー磁性層の形態を記録媒
体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図16】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記
録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図17】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記
録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図18】図1の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図
【図19】図18の次に行なわれる一工程図、
【図20】図19の次に行なわれる一工程図、
【図21】図8の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図
【図22】図5の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図
【図23】図22の次に行なわれる一工程図、
【図24】図23の次に行なわれる一工程図、
【図25】図9の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図
【図26】図25の次に行なわれる一工程図、
【図27】本発明の磁気検出素子の光学的トラック幅と
磁界検出出力の関係を示すグラフ、
【図28】フリー磁性層の交換スティフネス定数と磁気
検出素子の磁界検出出力との関係を示すグラフ、
【図29】NiFeのNi濃度と交換スティフネス定数
との関係を示すグラフ、
【図30】NiFeXの添加元素X濃度と交換スティフ
ネス定数との関係を示すグラフ、
【図31】NiFeXの添加元素X濃度と交換スティフ
ネス定数との関係を示すグラフ、
【図32】CoFeXの添加元素X濃度と交換スティフ
ネス定数との関係を示すグラフ、
【図33】CoFeXの添加元素X濃度と交換スティフ
ネス定数との関係を示すグラフ、
【図34】第2反強磁性層に重ねて形成されたCoFe
Cr層の膜厚と、第2反強磁性層とCoFeCr層間に
発生する交換結合磁界との関係とを示すグラフ、
【図35】従来における磁気検出素子を示す断面図、
【図36】従来の磁気検出素子の光学的トラック幅と磁
界検出出力の関係を示すグラフ、
【符号の説明】
20 基板 21 シードレイヤ 22 第1反強磁性層 23 固定磁性層 27 非磁性材料層 28 フリー磁性層 29 拡散防止層 30 磁性材料層 31 第3反強磁性層 32 非磁性層 33、52 第2反強磁性層 34、53 電極層 51 強磁性層 D 中央部 C 両側端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/16 H01F 10/16 (72)発明者 梅津 英治 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 石曽根 昌彦 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA02 BA03 BA04 BA05 BA11 CA04 CA08 5E049 AA04 AA07 AC01 BA16

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材
    料層、フリー磁性層の順に積層された多層膜を有する磁
    気検出素子において、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の少なくとも両側端
    部に重ねられて、トラック幅方向に間隔をあけて形成さ
    れた一対の第2反強磁性層が設けられ、前記フリー磁性
    層はNiaFeb(ただし、a,bはat%で、a>80
    at%、a+b=100at%)の関係を満足するもの
    である。)からなるNiFe層、NiFeX層(ただし
    XはMn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,C
    r,V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,O
    s,Taから選ばれる1種または2種以上の元素であ
    る)、非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金
    層、CoFeX層(ただしXはTi,Al,Mn,S
    i,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから
    選ばれる1種または2種以上の元素である)のうち少な
    くとも1つを有することを特徴とする磁気検出素子。
  2. 【請求項2】 前記一対の第2反強磁性層のトラック幅
    方向の間隔で規定される光学的トラック幅O−Twが
    0.15μm以下である請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 【請求項3】 前記光学的トラック幅O−Twが0.1
    2μm以下である請求項2記載の磁気検出素子。
  4. 【請求項4】 前記光学的トラック幅O−Twが0.1
    0μm以下である請求項3記載の磁気検出素子。
  5. 【請求項5】 前記フリー磁性層はNiaFeb(ただ
    し、a,bはat%で、a>80at%、a+b=10
    0at%)の関係を満足するものである。)からなるN
    iFe層、またはNiFeX層(ただしXはMn,C
    u,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,
    Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選
    ばれる1種または2種以上の元素である)のいずれか一
    方または両方の上に、Coを含有する磁性層が積層され
    た構造を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の磁
    気検出素子。
  6. 【請求項6】 前記フリー磁性層は、非晶質Co系磁性
    材料からなる非晶質Co合金層、CoFeX層(ただし
    XはTi,Al,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,
    Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1種または2種以上
    の元素である)のうちいずれか一方を有するかまたは両
    方が積層された構造を有する請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の磁気検出素子。
  7. 【請求項7】 前記非晶質Co合金層の下層に、前記非
    晶質Co合金層より比抵抗の小さい磁性材料層が積層さ
    れるかまたは、前記CoFeX層(ただしXはTi,A
    l,Mn,Si,V,Cr,Ta,Zn,Sb,Ge,
    Mo,Wから選ばれる1種または2種以上の元素であ
    る)の下層に、前記CoFeX層より比抵抗の小さい磁
    性材料層が積層される請求項6記載の磁気検出素子。
  8. 【請求項8】 前記比抵抗の小さい磁性材料層はNiF
    eまたはNiFeX層(ただしXはMn,Cu,Zn,
    Ti,Al,Ge,Si,Cr,V,Sn,Ir,R
    u,Nb,Sb,W,Mo,Os,Taから選ばれる1
    種または2種以上の元素である)のいずれか一方または
    両方からなる請求項7記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記フリー磁性層は前記第2反強磁性層
    に最も近い最上層または最下層が、(CoxFeye
    f層(ただし、x,yはCoとFeのat%比であり
    x+y=1、e,fはat%で、0at%<f<20a
    t%、e+f=100at%である)である請求項1な
    いし8のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 前記フリー磁性層は最上層または最下
    層が、(CoxFeyeCrf層(ただし、x,yはCo
    とFeのat%比であり、x+y=1、e,fはat%
    で、5at%≦f≦15at%、e+f=100at%
    である)である請求項9に記載の磁気検出素子。
  11. 【請求項11】 前記(CoxFeyeCrf層の膜厚が
    2Å以上10Å以下である請求項9または10に記載の
    磁気検出素子。
  12. 【請求項12】 前記(CoxFeyeCrf層の膜厚が
    3Å以上6Å以下である請求項11に記載の磁気検出素
    子。
  13. 【請求項13】 前記フリー磁性層に用いられるNia
    Feb(ただし、a,bはat%で、a>80at%、
    a+b=100at%)の関係を満足するものであ
    る。)からなるNiFe層、NiFeX層(ただしXは
    Mn,Cu,Zn,Ti,Al,Ge,Si,Cr,
    V,Sn,Ir,Ru,Nb,Sb,W,Mo,Os,
    Taから選ばれる1種または2種以上の元素である)、
    非晶質Co系磁性材料からなる非晶質Co合金層、Co
    FeX層(ただしXはTi,Al,Mn,Si,V,C
    r,Ta,Zn,Sb,Ge,Mo,Wから選ばれる1
    種または2種以上の元素である)を構成する磁性材料の
    交換スティフネス定数は、組成式がNi80Fe20で表わ
    される磁性材料の交換スティフネス定数より小さい請求
    項1ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子。
  14. 【請求項14】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間に第3反強磁性層が積層されている請求項1な
    いし13のいずれかに記載の磁気検出素子。
  15. 【請求項15】 前記第3反強磁性層の膜厚は、10Å
    以上50Å以下である請求項14記載の磁気検出素子。
  16. 【請求項16】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強磁
    性層の間に貴金属からなる非磁性層が形成されている請
    求項1ないし15のいずれかに記載の磁気検出素子。
  17. 【請求項17】 前記非磁性層は、Ru、Rh、Pd、
    Ir、Os、Re、Pt、Auのうちいずれか1種また
    は2種以上で形成される請求項16記載の磁気検出素
    子。
  18. 【請求項18】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強磁
    性層の間にCrまたはCuからなる非磁性層が形成され
    ている請求項1ないし15のいずれかに記載の磁気検出
    素子。
  19. 【請求項19】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層の間、または前記第2反強磁性層と前記非磁性層の間
    に、強磁性層が形成されている請求項1ないし18のい
    ずれかに記載の磁気検出素子。
  20. 【請求項20】 前記第2反強磁性層の表面に開口部を
    有し、トラック幅方向に所定の幅寸法を有する凹部が形
    成されている請求項1ないし19に記載の磁気検出素
    子。
  21. 【請求項21】 前記凹部の側面は前記第2反強磁性層
    の表面に対する垂直面となっている請求項20に記載の
    磁気検出素子。
  22. 【請求項22】 前記凹部の底面が前記第2反強磁性層
    内に設けられている請求項20または21に記載の磁気
    検出素子。
  23. 【請求項23】 前記凹部の底面に重なる領域の前記第
    2反強磁性層の厚さ、または前記凹部の底面に重なる領
    域の前記第2反強磁性層と前記第3反強磁性層の合計の
    厚さが10Å以上50Å以下である請求項22記載の磁
    気検出素子。
  24. 【請求項24】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間に第3反強磁性層が積層されており、前記凹部
    の底面が前記第3反強磁性層内に設けられている請求項
    20または21に記載の磁気検出素子。
  25. 【請求項25】 前記凹部の底面に重なる領域の前記第
    3反強磁性層の厚さが10Å以上50Å以下である請求
    項24に記載の磁気検出素子。
  26. 【請求項26】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強磁
    性層の間に貴金属からなる非磁性層が形成されており、
    前記凹部の底面が前記非磁性層内に設けられている請求
    項20または21に記載の磁気検出素子。
  27. 【請求項27】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層との間、または前記第2反強磁性層と前記第3反強磁
    性層の間にCrまたはCuからなる非磁性層が形成され
    ており、前記凹部の底面が前記非磁性層内に設けられて
    いる請求項20または21に記載の磁気検出素子。
  28. 【請求項28】 前記第2反強磁性層と前記フリー磁性
    層の間、または前記第2反強磁性層と前記非磁性層の間
    に、強磁性層が形成されており、前記凹部の底面が前記
    強磁性層内に設けられている請求項20または21に記
    載の磁気検出素子。
  29. 【請求項29】 前記非磁性層の膜厚は、両側端部の膜
    厚の方が中央部の膜厚に比べて薄い請求項16ないし1
    9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  30. 【請求項30】 前記非磁性層の中央部の膜厚は、3Å
    以上で20Å以下で形成される請求項29記載の磁気検
    出素子。
  31. 【請求項31】 前記非磁性層は、中央部から両側端部
    にかけて一定の膜厚で形成される請求項16ないし28
    のいずれかに記載の磁気検出素子。
  32. 【請求項32】 前記フリー磁性層、前記非磁性材料
    層、前記固定磁性層を有する多層膜のトラック幅方向の
    両側端部上に電極層が設けられ、センス電流は前記多層
    膜の各層の膜面に対し平行な方向に流れる請求項1ない
    し31のいずれかに記載の磁気検出素子。
  33. 【請求項33】 前記フリー磁性層、前記非磁性材料
    層、前記固定磁性層を有する多層膜の上下に上部電極層
    及び下部電極層が設けられ、電流は前記多層膜の各層の
    膜面に対し垂直方向に流れる磁気検出素子である請求項
    1ないし31のいずれかに記載の磁気検出素子。
  34. 【請求項34】 前記非磁性材料層は非磁性導電材料で
    形成される請求項32または33に記載の磁気検出素
    子。
  35. 【請求項35】 前記非磁性材料層は絶縁材料で形成さ
    れる請求項33に記載の磁気検出素子。
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