JP2003279695A - 放射線像変換パネル - Google Patents

放射線像変換パネル

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JP2003279695A
JP2003279695A JP2002085014A JP2002085014A JP2003279695A JP 2003279695 A JP2003279695 A JP 2003279695A JP 2002085014 A JP2002085014 A JP 2002085014A JP 2002085014 A JP2002085014 A JP 2002085014A JP 2003279695 A JP2003279695 A JP 2003279695A
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JP2002085014A
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Hiroshi Matsumoto
宏志 松本
Keiko Neriishi
恵子 錬石
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線像変換パネルを、放射線に対して高感
度であって鮮鋭度の高い画質を得ることができるものと
する。 【解決手段】 基板11上に金属層12を積層し、この
金属層12上に、より屈折率の低い低屈折率層13を設
ける。この低屈折率層13上に、より屈折率の高い高屈
折率層14を設け、この高屈折率層14上に輝尽性蛍光
体層16を設けて、高屈折率層14の輝尽性蛍光体層1
6側の表面における輝尽発光光反射率が90%以上とな
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体を利
用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、たとえば特開昭55−12145号に記載されてい
るような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知ら
れている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線
像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもの
で、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた
放射線をパネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに
輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起
光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中
に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光
光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電
気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体
あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するも
のである。読取りを終えたパネルは、残存する画像の消
去が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すな
わち、放射線像変換パネルは繰り返し使用される。
【0003】この放射線像変換方法によれば、従来の放
射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写
真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で
情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利
点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影
ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この
放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰返し使用
するので資源保護、経済効率の面からも有利である。こ
のように放射線像変換方法は非常に有利な画像形成方法
であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも
従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感
度であってかつ良好な画質(鮮鋭度、粒状性など)を与
えるものであることが望まれる。
【0004】放射線像変換パネルの感度を向上させる技
術としては、白色顔料を適当な結合剤中に分散含有した
塗布液を支持体に塗布することなどにより、支持体上に
光反射層を設け、その上に蛍光体層を設けることが知ら
れている。たとえば、白色顔料からなる光反射層を設け
た放射線像変換パネルについては、特開昭56−126
00号に開示されており、白色顔料として、二酸化チタ
ン、鉛白、硫化亜鉛、酸化アルミニウムおよび酸化マグ
ネシウムが例示されている。
【0005】しかし、上記特開昭56−12600号に
例示されている白色顔料からなる光反射層を支持体と蛍
光体層との間に設けても、それら白色顔料は可視領域に
おいて高い反射率は示すものの、近紫外領域における反
射率は著しく低い。従って、輝尽発光輝度などの点から
非常に好ましい蛍光体として従来より知られている、二
価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン
化物系蛍光体の輝尽発光スペクトルのように、近紫外領
域から青色領域にわたる帯スペクトルであり、390n
m付近に発光ピークを有する場合、光反射層が示す光反
射特性は充分高いとはいえず、それらの白色顔料からな
る光反射層を設けたことによる放射線像変換パネルの感
度の向上は必ずしも満足できるレベルとは言えなかっ
た。
【0006】また、発光波長における反射率は光反射層
の層厚に依存し、従って光反射層の層厚を厚くすれば、
それに比例して反射率も向上するが、層厚を厚くして高
い反射率を得ても、画質的に向上する割合はあまり期待
できない。これは、光反射層の層厚が厚くなると、厚く
なった光反射層の中で励起光が拡散する割合が大きくな
ってしまい、光反射層の厚さがそのまま画質の向上につ
ながらなくなることに起因している。
【0007】一方、特許2514321号には、支持
体、光反射層、輝尽性蛍光体層の順に積層形成され、光
反射層の反射面が金属面である放射線像変換パネルが記
載されている。この技術によれば、輝尽励起光が光反射
層内を透過することがないので、従来の光反射白色顔料
層におけるような光反射層厚に起因する光の散乱がな
く、また、支持体にまで透過して支持体内で光が散乱す
ることがないため、読取画像の鮮鋭性を低下させること
がない。しかし、光反射層の金属面が直接蛍光体層に接
触する構成であるため、蛍光体層の形成工程、またはそ
の後の加熱処理工程(アニーリング工程)、さらには形
成後の経時過程において、支持体の表面の金属と蛍光体
層とが化学反応を起こして蛍光体層が劣化し、放射線感
度が低下したり、金属面における光の透過率および反射
率特性が変動する問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑み、特許
第3034587号には、上記特許2514321号に
記載の放射線像変換パネルにおいて、支持体の金属表面
上に、波長350〜800nmの光に対する光透過率が
70%以上である透明薄膜層を介在させることによっ
て、支持体の金属表面および蛍光体層の劣化を防止する
技術が記載されている。
【0009】しかし、透明薄膜層の光透過率が波長35
0〜800nmの光に対して70%以上であるため輝尽
励起光および輝尽発光光の透過性は確保されるものの、
金属表面に単純に透明薄膜層を介在させるだけでは、輝
尽発光光の反射性が担保されないため、輝尽発光光の発
光量が低下して充分に満足できるレベルの鮮鋭性が得ら
れないという問題がある。
【0010】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
って、放射線に対して高感度であって、鮮鋭度の高い画
質を得ることができる放射線像変換パネルを提供するこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線像変換パ
ネルは、基板上に金属層と透明薄膜層と輝尽性蛍光体層
をこの順に積層してなる放射線像変換パネルであって、
前記透明薄膜層が屈折率の異なる2層以上の多層膜から
なることを特徴とするものである。
【0012】前記透明薄膜層は、前記金属層に接する層
を低屈折率層、前記輝尽性蛍光体層に接する層を高屈折
率層とする多層膜からなることが好ましい。この場合、
前記透明薄膜層は、前記金属層に接する層が低屈折率
層、前記輝尽性蛍光体層に接する層が高屈折率層となっ
ていれば、低屈折率層と高屈折率層の2層からなってい
てもよいし、低屈折率層と高屈折率層がこの順で繰り返
し積層されていてもよい。ここで、低屈折率層とは、隣
接する他の透明薄膜層の屈折率を比較した場合に、相対
的に屈折率が低い層を意味し、高屈折率層とは隣接する
他の透明薄膜層の屈折率を比較した場合に、相対的に屈
折率が高い層を意味する。なお、ここに言う屈折率は、
空気に対する屈折率である。
【0013】前記輝尽性蛍光体層に接する前記透明薄膜
層の、前記輝尽性蛍光体層側の表面における輝尽発光光
のスペクトルが最大になる波長での反射率が90%以上
であることが好ましい。
【0014】前記金属層がアルミからなる層であって、
かつ前記透明薄膜層の低屈折率層がMgF2 、前記高屈
折率層がCeO2 であるか、または、前記金属層がアル
ミからなる層であって、かつ前記透明薄膜層の低屈折率
層がSiO2 、前記高屈折率層がTiO2 であることが
好ましい。
【0015】
【発明の効果】本発明の放射線像変換パネルは、基板上
に金属層と透明薄膜層と輝尽性蛍光体層をこの順に積層
してなる放射線像変換パネルにおいて、透明薄膜層が屈
折率の異なる2層以上の多層膜からなるものとしたの
で、輝尽性蛍光体層に接する層の輝尽性蛍光体層側の表
面における輝尽発光光反射率が増大し、発光量が高く、
放射線に対して高感度であって、鮮鋭度の高い画質を得
ることができる放射線像変換パネルとすることができ
る。
【0016】特に、透明薄膜層を、金属層に接する層を
低屈折率層、輝尽性蛍光体層に接する層を高屈折率層と
する多層膜とすることによって、輝尽性蛍光体層に接す
る透明薄膜層の輝尽性蛍光体層側の表面における、輝尽
発光光のスペクトルが最大になる波長での反射率をさら
に増大することができるので、発光量のより高い、好感
度、高画質の放射線像変換パネルを得ることが可能とな
る。
【0017】また、低屈折率層と高屈折率層との多層膜
からなる透明薄膜層による保護効果によって、輝尽性蛍
光体層からの発光量の経時安定性を確保することが可能
となる。
【0018】なお、蛍光体層を蒸着などのように熱を発
生する方法によって形成する場合には、蛍光体層と基板
との熱膨張率の差によって蛍光体層に数ミリ間隔の不規
則な亀裂(クラック)が発生しやすいが、本発明の放射
線像変換パネルは基板と蛍光体層との間に金属層と透明
薄膜層を有しており、金属の有する延性および透明薄膜
層の熱膨張緩和効果によって、亀裂の発生を効果的に抑
制することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明の第一の実施
の形態を示す放射線像変換パネルの概略断面図である。
本発明の放射線像変換パネル10は、基板11上に金属
層12と透明薄膜層15と輝尽性蛍光体層16をこの順
に積層してなり、透明薄膜層15は、金属層12に接す
る低屈折率層13と輝尽性蛍光体層16に接する高屈折
率層14とからなっており、輝尽性蛍光体層16に接す
る高屈折率層14の輝尽性蛍光体層16側の表面は、輝
尽発光光反射率が90%以上となっている。
【0020】低屈折率層13は、透明薄膜層15を構成
する高屈折率層14に比較して屈折率が低い層であり、
高屈折率層14は、透明薄膜層15を構成する低屈折率
層13に比較して屈折率が高い層である。
【0021】図1では、透明薄膜層15は低屈折率層1
3と高屈折率層14の2層からなる場合を示している
が、金属層に接する層が低屈折率層で、輝尽性蛍光体層
に接する層が高屈折率層であれば、低屈折率層−高屈折
率層−低屈折率層−高屈折率層と交互に繰り返し積層さ
れた多層膜層であってもよい。このような多層膜化によ
り、輝尽性蛍光体層に接する高屈折率層の輝尽性蛍光体
層側の表面における輝尽発光光反射率を90%以上に調
整することが容易となり、蛍光体層の不規則な亀裂の発
生をより抑制することができる。
【0022】透明薄膜層は、金属層および輝尽性蛍光体
層を劣化させないように化学的に安定であることが必要
であり、このような透明薄膜層の構成材料としては、酸
化物、窒化物、フッ化物、炭化物、あるいはポリマー、
ゼラチン等が好適である。具体的には、SiO2 、Al
23 、TiO2 、CeO2 、ZrO2 等の酸化物、M
gF2 、CaF2 等のフッ化物、SiC等の炭化物、S
iN等の窒化物、PET、ビニルアルコールフィルム等
のポリマー、ゼラチン等が好ましい。
【0023】なお、熱膨張緩和の効果の観点からは、M
gF2、CeO2(200℃における熱膨張率(以下同
じ):7.9×10-6/K)、SiO2 (約14×10
-6/K)、TiO2(約9×10-6/K)、ZrO2(1
4×10-6/K)等がより好ましい。透明薄膜層を構成
する低屈折率層、高屈折率層それぞれの層厚は、選択す
る構成材料によって異なるため、一概には言えないが、
0.005〜10μmが好ましく、0.01〜1μmで
あることがより好ましい。
【0024】透明薄膜層における低屈折率層と高屈折率
層の組み合わせの例としてはSiO 2 (屈折率:約1.
4)とTiO2(屈折率:約2.6)、MgF2 (屈折
率:約1.4)とCeO2 等(屈折率:約2.4)など
があげられる。これら層を繰り返して積層したり、各層
の厚さを適宜調整することによって、高屈折率層の表面
において90%以上の輝尽発光光反射率を有するように
することができる。なお、輝尽発光光反射率は、ここで
は輝尽発光光のスペクトルが最大になる波長での反射率
を意味し、積分球型分光光度計により測定することがで
きる。
【0025】透明薄膜層の形成手段としては、特に限定
されず、種々の薄膜形成法を利用することができる。具
体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法、塗布法等を挙げることができる。
【0026】金属層は、光反射層および遮光層としての
機能を果たすものであり、隣接する層との界面において
光学的密度、すなわち反射率が異なり、かつ金属面であ
ることが必要である。金属層を構成する金属としては、
アルミニウム、金、銀、銅、クロム、ニッケル、白金、
ロジウム、スズ等を挙げることができ、蛍光体層の亀裂
発生を抑制するためには延性の大きな金属であって、高
反射率であるものを選択することが好ましく、アルミニ
ウムがより好ましい。金属層の層厚は、選択する金属に
よって異なるが0.01〜100μmが好ましく、0.
05〜10μmであることがより好ましい。
【0027】この金属層は、蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、メッキ法により形成して
もよいし、金属箔をラミネートして形成してもよい。特
に、蒸着法等の気相堆積法によれば、金属層の形成が容
易である。
【0028】基板としては、公知のものを用いることが
でき、ガラス、セラミクス、あるいは各種高分子材料等
を用いることができる。具体的には、石英ガラス、化学
強化ガラス等のガラス、結晶化ガラス、アルミナあるい
はジルコニアの焼結板等のセラミクス、あるいはセルロ
ースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ
エチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィル
ム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポ
リカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムを挙
げることができる。
【0029】なお、ここでは、基板上に金属層を設ける
場合を記載したが、基板上に金属層を形成する代わり
に、金属製の支持体を設けてもよい。この場合には、ア
ルミニウム、アルミニウム−マグネシウム合金、鉄、ス
テンレス、銅、クロム、鉛等の金属シートを用いること
ができる。
【0030】基板または金属製の支持体の厚さは、その
材質等によって異なるが、一般的には100μm〜5m
mが好ましく、取扱いの便利性から、特に200μm〜
2mmが好ましい。なお、基板表面には微小の凹凸があ
ってもよい。
【0031】本発明の放射線像変換パネルに用いられる
輝尽性蛍光体としては、例えば、米国特許第3,859,527
号明細書に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、Th
O2:Er、およびLa2O2S:Eu,Sm、
【0032】特開昭55-12142号に記載されている ZnS:C
u,Pb、BaO・xAl2O3:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、およ
び、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,C
d、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,Bi
またはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、
【0033】特開昭55-12144号に記載されている LnOX:
xA(ただし、LnはLa,Y,Gd、およびLuのうちの少なく
とも一種、XはClおよびBrのうちの少なくとも一種、Aは
CeおよびTbのうちの少なくとも一種、そして、xは、0
<x<0.1である)、
【0034】特開昭55-12145号に記載されている(B
a1-X,M2+ X)FX:yA(ただし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およ
びCdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのう
ちの少なくとも一種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,H
o,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一種、そしてx
は0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)、
【0035】特開昭57-148285号に記載されている下記
いづれかの、一般式xM3(PO4)2・NX2:yAまたは一般式 M3
(PO4)2・yA (式中、M及びNはそれぞれMg,Ca,Sr,Ba,Z
n及びCdのうち少なくとも1種、XはF,Cl,Br及びIのう
ち少なくとも1種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,E
r,Sb,Tl,Mn及びSnのうち少なくとも1種を表わす。ま
た、x及びyは0<x≦6、0≦y≦1なる条件を満た
す数である。)で表わされる蛍光体、下記いづれかの一
般式nReX3・mAX′2:xEu、一般式nReX3・mAX′2:xEu,ySm
(式中、ReはLa,Gd,Y,Luのうち少なくとも1種、Aは
アルカリ土類金属、Ba,Sr,Caのうち少なくとも1種、X
及びX′はF、Cl,Brのうち少なくとも1種を表わす。
また、x及びyは、1×10-4<x<3×10-1、1×10-4
<y<1×10-1なる条件を満たす数であり、n/mは1×1
0-3<n/m<7×10-1なる条件を満たす。)で表わされる
蛍光体、及び一般式 MIX・aMIIX′2・bMIIIX″3:cA
(但し、MIはLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも
1種のアルカリ金属であり、MI IはBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,C
d,Cu及びNiから選ばれる少なくとも1種の二価金属であ
る。MIIIはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,E
r,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の
三価金属である。X,X′及びX″はF,Cl,Br及びIから選
ばれる少なくとも1種のハロゲンである。AはEu,Tb,C
e,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,Bi及
びMgから選ばれる少なくとも1種の金属である。またa
は、0≦a<0.5の範囲の数値であり、bは0≦b<0.5
の範囲の数値であり、cは0<c≦0.2の範囲の数値で
ある。)で表わされるアルカリハライド蛍光体、
【0036】特開昭56-116777号に記載されている(Ba
1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウ
ム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛
およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,
臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジルコ
ニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種であ
り、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.25、
0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2
である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0037】特開昭58-69281号に記載されている MIIIO
X:xCe(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,H
o,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なく
とも一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのい
ずれか一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1
である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0038】特開昭58-206678号に記載されているBa1-X
MX/2X/2FX:yEu2+(ただし、MはLi,Na,K,Rbおよ
びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ
金属を表わし;Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,Inおよ
びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属
を表わし;X は、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のハロゲンを表わし;そして、xは10
-2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表わ
される蛍光体、
【0039】特開昭59-75200号に記載されている MIIFX
・aMIX′・bM′IIX″2・cMIIIX3・xA:yEu2+(ただし、MII
はBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,Na,K,Rbお
よびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカ
リ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl,Ga,In
およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価
金属であり;Aは金属酸化物であり;XはCl,BrおよびI
からなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;X′,X″および Xは、F,Cl,BrおよびIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そし
て、aは0≦a≦2、bは0≦b≦10-2、cは0≦c≦
10-2、かつa+b+c≧10-6 であり;x は0<x≦0.5、y
は0<y≦0.2 である)の組成式で表わされる蛍光体、
などをあげることができる。
【0040】特にアルカリハライド蛍光体は、蒸着・ス
パッタリング等の方法で輝尽性蛍光体層を形成させやす
く好ましい。但し、本発明の放射線像変換パネルに用い
られる輝尽性蛍光体は、前述の蛍光体に限られるもので
はなく、放射線を照射した後、輝尽励起光を照射した場
合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなる蛍光体であ
ってもよい。なお、輝尽性蛍光体層は、上記の輝尽性蛍
光体を単独で用いても、また適宜組み合わせて用いても
よい。
【0041】輝尽性蛍光体の気相堆積法としては、蒸着
法、抵抗加熱法、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法な
どの公知の方法を用いることができる。ここでは、電子
蒸着法により形成する場合を例にとって説明する。
【0042】電子蒸着法は、抵抗加熱法などと比較し
て、蒸発源を局所的に加熱して瞬時に蒸発させるので、
蒸発速度を制御しやすく、また蒸発源として仕込んだ蛍
光体もしくはその原料の組成と形成された蛍光体層中の
蛍光体の組成との不一致を小さくすることができるとい
う利点がある。
【0043】多元蒸着(共蒸着)により蛍光体層を形成
する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の
母体(MIX)成分を含むものと付活剤(A)成分を含
むものとからなる少なくとも2個の蒸発源を用意する。
多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が
大きく異なる場合に、その蒸着速度を各々制御すること
ができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする輝尽性
蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤
成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物
成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は2
個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分な
どからなる蒸発源を加えて3個以上としてもよい。
【0044】蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合
物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化
合物となりうる2以上の原料の混合物であってもよい。
また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物
であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物が用いられ
る。
【0045】付活剤AがEuである場合には、付活剤成
分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%
以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはE
2+とEu3+ が混合して含まれているが、所望とする
輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付
活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合
物はEuBrxであることが好ましく、その場合に、x
は2.0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好ま
しい。xは2.0であることが望ましいが、2.0に近
づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実
際には、xは2.2付近でBrの比率が比較的高い状態
が安定している。
【0046】蒸発源は、突沸防止などの点からその含水
量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源の
脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300
℃の温度範囲で加熱処理したり、あるいは窒素雰囲気な
どの水分を含まない雰囲気中で、蛍光体成分の融点以上
の温度で数十分から数時間加熱することにより行うこと
ができる。
【0047】蒸発源の相対密度は、80%以上98%以
下であることが好ましく、90%以上96%以下である
ことがより好ましい。蒸発源が相対密度の低い粉体状態
であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が生
じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜の
膜厚が不均一となったりする。よって、安定した蒸着を
実現するためには蒸発源の密度がある程度高いことが望
ましい。上記相対密度とするには、一般に、粉体を20
MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上
の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にす
る。但し、蒸発源は必ずしもタブレット形状である必要
はない。
【0048】また、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む
蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外
のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、ア
ルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカ
リ土類金属)の含有量が1ppm以下であることが望ま
しい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土
類金属などの不純物の含有量の少ない原料を使用するこ
とによって調整することができる。これによって、不純
物の混入が少ない蒸着膜を形成することができるととも
に、そのような蒸着膜は発光量を増加させることができ
る。
【0049】上記の蒸発源および基板を蒸着装置内に設
置し、装置内を排気して、1×10 -5Pa〜1×10-2
Pa程度の真空度とする。このとき、真空度をこの程度
に保持しながら、Arガス、Neガスなどの不活性ガス
を導入してもよい。また、必要に応じてO2 、H2 等の
反応性ガスを導入してもよい。また、装置内の雰囲気中
の水分圧を、ディフュージョンポンプとコールドトラッ
プの組み合わせなどを用いることにより、7.0×10
-3Pa以下にすることが好ましい。
【0050】次に、2つの電子銃から電子線をそれぞれ
発生させて、各蒸発源に照射する。このとき、電子線の
加速電圧を1.5kV以上5.0kV以下に設定するこ
とが好ましい。電子線の照射により、蒸発源である輝尽
性蛍光体の母体成分や付活剤成分などは加熱されて蒸
発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとと
もに基板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電
圧などを調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制
御することができる。蛍光体の堆積する速度、すなわち
蒸着速度は、0.05μm/分〜300μm/分である
ことが好ましい。堆積速度が0.05μm/分未満の場
合には、本発明の放射線像変換パネルの生産性が低く好
ましくない。また堆積速度が300μm/分を越える場
合には堆積速度のコントロールがむずかしくなる。な
お、電子線の照射を複数回に分けて行って2つ以上の蒸
着膜を形成することもできる。さらに、蒸着の際に必要
に応じて被蒸着物(基板)を冷却または加熱してもよ
い。
【0051】蒸着終了後、得られた蒸着膜を加熱処理
(アニール処理)する。加熱処理は、例えば50℃〜6
00℃の範囲の温度、窒素雰囲気下(少量の酸素または
水素を含んでいてもよい)で数時間かけて行う。
【0052】一元蒸着(疑似一元蒸着)の場合には、蒸
発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母
体成分と付活剤成分とを分離して含む1個の蒸発源を用
意することが好ましい。そして蒸着に際しては、1つの
電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤成
分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制御
することにより、均一な組成の輝尽性蛍光体からなる蒸
着膜を形成することができる。
【0053】あるいは、蒸発源として輝尽性蛍光体自体
を用いる一元蒸着であってもよく、その場合にも、上述
のようにして含水量を0.5重量%以下と調整したもの
を用いる。また、蒸発源の蛍光体はアルカリ金属不純物
の含有量が10ppm以下であり、アルカリ土類金属不
純物の含有量が1ppm以下であることが好ましい。
【0054】また、上記輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を
形成するに先立って、蛍光体の母体のみからなる蒸着膜
を形成してもよい。これによって、よりいっそう柱状構
造の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍光体か
らなる蒸着膜中の付活剤などの添加物は、特に蒸着時の
加熱および/または蒸着後の加熱処理によって、蛍光体
母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境界は
必ずしも明確ではない。
【0055】このようにして、所望のアルカリ金属ハロ
ゲン化物系輝尽性蛍光体の柱状構造が厚み方向に成長し
た蛍光体層が得られる。
【0056】蛍光体層は、結合剤を含有せず、上記アル
カリ金属ハロゲン化物係輝尽性蛍光体のみからなり、輝
尽性蛍光体の柱状構造と柱状構造の間には空隙が存在す
る。
【0057】輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射
線像変換パネルの特性、気相堆積層の実施手段や条件な
どによって異なるが、10〜1000μmの範囲である
ことが好ましく、20〜800μmの範囲であることが
より好ましい。輝尽性蛍光体層の層厚を10μm未満に
した場合には放射線吸収率が極端に低下して放射線感度
が悪くなり、画像の粒状性が劣化するばかりか、輝尽性
蛍光体層が透明となり易く、輝尽励起光の輝尽性蛍光体
層中での横方向への広がりが著しく増大し、画像の鮮鋭
性が劣化する傾向にあるので好ましくない。
【0058】本発明の放射線像変換パネルにおいては、
輝尽性蛍光体層の反射層が設けられる面とは反対側の面
に、輝尽性蛍光体層を物理的にあるいは化学的に保護す
るための保護層が設けられてもよい。この保護層は、保
護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成し
てもよいし、あるいはあらかじめ別途形成した保護層を
輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。保護層の材料とし
ては酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメ
タクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホル
マール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン、塩化ビニリデン、ナ
イロン等の通常の保護層用材料が用いられる。また、こ
の保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、S
iO2 、SiN、Al2O3 、などの無機物質を積層して形成し
てもよい。
【0059】また、保護層中には、酸化マグネシウム、
酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナなどの光散乱性微粒
子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂
粉末などの滑り剤、およびポリイソシアネートなどの架
橋剤といった各種の添加剤が分散含有されていてもよ
い。
【0060】これらの保護層の層厚は一般に、高分子物
質からなる場合には0.1μm〜20μm程度が、ガラ
スなどの無機化合物の場合には100〜1000μmの
範囲が好ましい。
【0061】保護層の表面には、さらに、保護層の耐汚
染性を高めるためのフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。
フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(ま
たは分散)させて調整したフッ素樹脂溶液を保護層の表
面に塗布し、乾燥することにより形成することができ
る。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ
素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用す
る。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるい
はパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用する
こともできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減
させ、さらに放射線画像の画質を向上させるために、微
粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布
層の層厚は通常は0.5μm〜20μmの範囲が好まし
い。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜
剤、黄変防止剤などのような添加成分を適宜用いること
ができる。特に、架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の
耐久性の向上に有利である。
【0062】上述のようにして、本発明の放射線像変換
パネルを得ることができるが、パネルの構成は、公知の
バリエーションを含むものであってもよい。例えば、得
られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上
記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収して輝尽
発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよ
い。以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0063】
【実施例】(実施例1) (CsBr蒸発源の作製)CsBr粉末75gをジルコ
ニア製粉末成形用ダイス(内径:35mm)に入れ、粉
末金型プレス成形機(テーブルプレスTB−5型、エヌ
ピーエーシステム(株)製)にて50MPaの圧力で加
圧し、タブレット(直径:35mm、厚み:20mm)
に成形した。このとき、CsBr粉末にかかった圧力は
約40MPaであった。次に、このタブレットに真空乾
燥機にて温度200℃で2時間の真空乾燥処理を施し
た。得られたタブレットの密度は3.9g/cm3、含
水量は0.3重量%であった。
【0064】(EuBrx 蒸発源の作製)EuBr
x(x=2.2)粉末25gをジルコニア製粉末成形用
ダイス(内径:25mm)に入れ、粉末金型プレス成形
機にて50MPaの圧力で加圧し、タブレット(直径:
25mm、厚み:10mm)に成形した。このとき、E
uBr x 粉末にかかった圧力は約80MPaであった。
次に、このタブレットに真空乾燥機にて温度200℃で
2時間の真空乾燥処理を施した。得られたタブレットの
密度は5.1g/cm3、含水量は0.5重量%であっ
た。
【0065】(放射線像変換パネルの作製)ガラス基板
(厚さ0.7mm)の表面にEB蒸着によって100n
m厚でAl層を設け、Al層上に、EB蒸着によって低
屈折率層としてMgF2 (屈折率:約1.4)層を10
0nmの層厚で形成し、さらにその上に高屈折率層とし
てCeO2 (屈折率:約2.4)層を100nmの層厚
で同様に形成した。
【0066】次に、この金属層と透明薄膜層を設けたガ
ラス基板を蒸着器中に設置し、蒸着器内の所定の位置に
EuBrx タブレットおよびCsBrタブレットを配置
し、蒸着器を排気して1×10-3Paの真空度とした。
続いて、基板の蒸着面の反対側に位置したシーズヒータ
からなる加熱源で、基板を200℃に加熱した。蒸着源
のそれぞれに電子銃により電子線を照射して、CsB
r:Eu輝尽性蛍光体(層厚400μm、面積10cm
×10cm)を堆積させた。この際、各々の電子銃のエ
ミッション電流を調整することによって、輝尽性蛍光体
におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となる
ように調整した。
【0067】次に、この基板をガス導入可能な真空加熱
装置に入れ、ロータリーポンプを用いて約1Paまで真
空に引いて蒸着膜に吸着している水分等を除去した後、
窒素ガス雰囲気中、200℃の温度で2時間蒸着膜を熱
処理した。真空下で基板を冷却し、充分に温度が下がっ
た状態で装置から基板を取り出した。このようにして、
基板上に、CsBr:Eu輝尽性蛍光体の柱状構造が密
に林立した構造の蛍光体層が形成された放射線像変換パ
ネルを作製した。
【0068】(実施例2)低屈折率層、高屈折率層を交
互に4層積層し、それぞれの層の厚さを表1に記載した
とおりとし、金属層、低屈折率層、高屈折率層をスパッ
タにより設けた以外は、実施例1と同様にして放射線像
変換パネルを作製した。
【0069】(比較例1)基板上に、金属層、低屈折率
層、高屈折率層を形成しなかった以外は実施例1と同様
にして放射線像変換パネルを作製した。
【0070】(比較例2)透明薄膜層をCeO2 層のみ
とした以外は、実施例1と同様にして放射線像変換パネ
ルを作製した。
【0071】(比較例3)透明薄膜層をTiO2 層のみ
とした以外は、実施例1と同様にして放射線像変換パネ
ルを作製した。
【0072】上記の放射線像変換パネルについて、輝尽
発光光反射率を積分球型分光光度計により測定した。な
お、輝尽発光光反射率は輝尽発光光のスペクトルが最大
になる波長での反射率であり、実施例及び比較例では、
輝尽発光光のスペクトルのピーク(最大)波長は440
nmであったので、その波長での反射率を測定した。ま
た、目視観察により蛍光体層の亀裂の程度を、粘着テー
プにより密着性の程度を評価した。感度については、管
電圧80kVpのX線を100mR照射したのち、波長
660nmの半導体レーザを励起光量20J/m2 とな
る強度、時間照射し、その際の発光をハンドパスフィル
タ(B−410)を通して光電子増倍管で電気信号に変
換し、その強度を比較した。実施例1〜2、比較例1〜
3の放射線像変換パネルの構成、および上記観点からの
評価の結果を表1に示す。
【0073】
【表1】 本発明の放射線像変換パネルは、基板上に金属層と透明
薄膜層として低反射率層と高反射率層を設けたので、基
板上に金属層と一層の透明薄膜層を設けただけの比較例
1および比較例2に比べて輝尽発光光反射率が高く、充
分な感度が得られ、また、輝尽性蛍光体層は亀裂もな
く、密着性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す放射線像変換
パネルの概略断面図
【符号の説明】
10 放射線像変換パネル 11 基板 12 金属層 13 低屈折率層 14 高屈折率層 15 輝尽性蛍光体層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に金属層と透明薄膜層と輝尽性蛍
    光体層をこの順に積層してなる放射線像変換パネルであ
    って、前記透明薄膜層が屈折率の異なる2層以上の多層
    膜からなることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 【請求項2】 前記透明薄膜層が前記金属層に接する層
    を低屈折率層、前記輝尽性蛍光体層に接する層を高屈折
    率層とする多層膜からなることを特徴とする請求項1記
    載の放射線像変換パネル。
  3. 【請求項3】 前記輝尽性蛍光体層に接する前記透明薄
    膜層の、前記輝尽性蛍光体層側の表面における輝尽発光
    光のスペクトルが最大になる波長での反射率が90%以
    上であることを特徴とする請求項1または2記載の放射
    線像変換パネル。
  4. 【請求項4】 前記金属層がアルミからなる層で、かつ
    前記透明薄膜層の低屈折率層がMgF2 、前記高屈折率
    層がCeO2 であることを特徴とする請求項2または3
    記載の放射線像変換パネル。
  5. 【請求項5】 前記金属層がアルミからなる層で、かつ
    前記透明薄膜層の低屈折率層がSiO2 、前記高屈折率
    層がTiO2 であることを特徴とする請求項2または3
    記載の放射線像変換パネル。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007099787A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Fujifilm Corp 放射線像変換パネルおよびその製造方法
JP2008309771A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Hamamatsu Photonics Kk 放射線像変換パネル及び放射線イメージセンサ
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