JP2003277398A - トランスフェリンを含む免疫複合体に対する抗体、抗体の製造方法、ハイブリドーマ及び免疫測定方法 - Google Patents

トランスフェリンを含む免疫複合体に対する抗体、抗体の製造方法、ハイブリドーマ及び免疫測定方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルコール中毒患者、肝疾患患者を同定する
ことができる抗体、該抗体の製造方法、該抗体を産生す
るハイブリドーマ、該抗体を用いた簡便な免疫測定方法
を提供する。 【解決手段】 提供する抗体は、免疫複合体に選択的に
反応する抗体であって、該免疫複合体はトランスフェリ
ンと免疫グロブリンから成る免疫複合体であり、該免疫
複合体の体液中の量は、アルコール中毒患者に多く、非
アルコール中毒患者に少ないことが有意な差異で測定さ
れることを特徴とする抗体である。トランスフェリンと
免疫グロブリンから成る免疫複合体に対する抗体用い
て、体液中の免疫複合体を測定するため、アルコール中
毒患者或いは肝疾患患者を簡単な手法で、精度よく同定
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコール中毒患
者及び/又は肝疾患患者を同定することができる抗体、
該抗体の製造方法、該抗体を産生するハイブリドーマ、
該抗体を用いた免疫測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコール中毒は、アルコール中毒患者
とかれらの関係者に多大の損害もたらすばかりか、アル
コール中毒に関連する生産性の損失及び莫大な年間健康
管理費用をもたらす。従って、アルコール中毒への早期
認識と治療とが個人及び社会にとって最善且つ費用効果
的である。このような状況下において、様々な集団にお
ける飲酒の併発症の危険にある個人を確認するために、
高感度で特異的、しかも迅速で費用のかからない方法が
必要である。重度の飲酒者を検出するために、多くの検
査法がこの30年間に開発されている。
【0003】例えば、γ−グルタミルトランスペプチダ
ーゼ(γ−GTP)、平均血球容積(mean corpuscular
volume) (MCV)、アスパラギン酸アミノトランスア
ミナーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスアミナ
ーゼ(ALT)、α−リポタンパク質及びフェリチンの
ような臨床検査項目が、アルコール乱用の生化学的マー
カーとして多年にわたって用いられてきたが、これらの
検査の診断的感度及び特異性は満足のいくものではなか
った。また、アルコール摂取のレベル評価が、治療中に
おけるその効果を知る上で非常に重要でありながら、ア
ルコール中毒患者自身からのアルコール消費量の報告
は、信頼性の低いものであった。このような状況を鑑み
て、長期間の過度のアルコール消費と相関性のある簡易
な臨床検査法が望まれていた。
【0004】Stibler らは、Acta Med Scan, 206, 275-
281,(1979)で、トランスフェリンの高い等電点を持つ
イソ型(isoform )が1週間以上にわたって毎日60g
以上のエタノールを摂取した者の81%で増加が認めら
れ、10日以上にわたって禁酒する場合に高い等電点を
持つイソ型が正常レベルに戻ることを報告している。
【0005】血清トランスフェリンは、79.5kDの
分子量を有し、二つのN−連結の多糖鎖を有する一本の
ポリペプチド鎖から成る糖タンパクである。これらの多
糖鎖は、分岐状であり、かつ末端シアル酸残基を有し、
シアル化の異なるレベルに応じて、6つのトランスフェ
リンイソ型が存在する。Wongおよび Regoeczi は、Int.
J.Peptide Res.9, 241-248, (1977)において、ヒトトラ
ンスフェリンは天然では不均一であり、シアル化の異な
るレベルに伴って種々のイソ型が存在すると述べてい
る。事実、6 種のこのようなイソ型、ペンタシアロ、テ
トラシアロ、トリシアロ、ジシアロ、モノシアロおよび
アシアロトランスフェリンが存在する。
【0006】正常な健康個体においては、テトラシアロ
が支配するのに対して、アルコール中毒患者の血液中に
は、アシアロ、モノシアロ、ジシアロ、およびある程度
まではトリシアロが上昇したレベルで存在することが見
出されている (van Eijk etal, Clin Chim Acta 132 ,
167-171, (1983)、Stibler, Clin Chim, 37, 2029-203
7,(1991)および Stibler et al, ”Carbohydrate-def
icient transferrin (CDT) in serum as a marker of h
igh alcohol consumption", Advances in theBioscienc
es, (Ed Nordmann et al), Pergamon, 1988,Vol.71, p
ages 353-357参照) 。
【0007】アシアロ、モノシアロ、ジシアロおよびト
リシアロイソ型は、糖鎖欠損トランスフェリン(略語:
CDT)と呼ばれている。CDTは、アルコール消費、
特に慢性アルコール消費を検出およびモニターするため
の有効なマーカーであることが見出されている。CDT
は、従来の試験(例えばγ−GTPまたはMCV)とは
異なり、肝臓病を伴う患者における高アルコール摂取の
スクリーニングのために使用できるので、CDTのため
の検査法がWO−96/26444および Heil et al
、Anaesthetist, 43, 447-453,(1994)等に記載されて
いる。彼らの手法では、希釈血清サンプルをアニオン性
イオン交換樹脂に通し、正常なトランスフェリンイソ型
を樹脂に保持させる一方、CDT分画の通過を可能にし
ている。この溶出液のCDT含量は、免疫比濁法 (immu
noturbidimetric assay)等によって測定される。その
他、高速液体クロマト法によりCDTを定量する方法
(WO95/04932)も知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の検査手法の全ては、臨床検査の現場で普通に用いら
れる多くの臨床検査用自動分析装置に直接適用できず、
また、その検査手法も、イオン交換樹脂或いは高速液体
クロマト法を適用する等比較的複雑な手順に基づくもの
であった。
【0009】一方、Makhloufらは、CDTのみを直接測
定するために、CDTに対するモノクローナル抗体の作
製を試みた。CDTを特異的に認識するモノクローナル
抗体を取得する目的で,糖鎖の結合している413番目
と611番目のアスパラギンを中心として前後6個のア
ミノ酸の合成ペプチドを免疫原として抗体を作製し、そ
の抗体をCDT測定のための免疫測定法に応用すること
を考えた(WO93/06133)。これに対して、E
R.Trimbleらは(Biochem Soc Trans, 26(1), S48(1998)
に、Makhloufらの手法による、合成ペプチドを免疫原
として作製したモノクローナル抗体はCDTには反応し
なかったことからそのエピトープはトランスフェリン分
子内に隠匿されており検出に応用できないと述べてい
る。
【0010】本発明者らは係る状況を鑑みて、まったく
新たなる発想の下に、アルコール中毒患者或いは肝疾患
患者を同定するための抗体、該抗体の製造方法、ハイブ
リドーマ及び該抗体を用いた簡便な免疫測定法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】アルコール性肝疾患患者
或いはアルコール中毒者に、トランスフェリンと免疫グ
ロブリンから成る免疫複合体が多いことを本発明者らは
初めて見いだした。このような報告は従来見当たらな
い。本発明者らはこの点に着目し、本発明を完成した。
本発明者らは、トランスフェリンと免疫グロブリンから
成る免疫複合体量を測定することでアルコール中毒患者
を同定できないかと考え、固相化抗トランスフェリン抗
体と、酵素標識化抗免疫グロブリンG(IgG)抗体に
よるサンドイッチイムノアッセイで免疫複合体量を測定
した。その結果は、正しく期待した通り、アルコール性
疾患患者から健康固体とは有意な差異を持って多くの量
のトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合
体が測定されたのみならず、肝炎ウイルス、例えば、B
型、C型などによる肝疾患患者にも、トランスフェリン
と免疫グロブリンから成る免疫複合体が健康固体とは有
意な差異を持って多くの量測定されることを本発明者ら
は確認した。
【0012】即ち、本発明の抗体は、(1)免疫複合体
に選択的に反応する抗体であって、(2)該免疫複合体
はトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合
体であり、(3)該免疫複合体の体液中の量は、アルコ
ール中毒患者に多く、非アルコール中毒患者に少ないこ
とが有意な差異で測定されることを特徴とする抗体であ
る。本明細書で、「有意な差異」とは、危険率(P)が
0.05(5%)以下、好ましくは、0.01(1%)
以下の確率で差異があることを示す。
【0013】トランスフェリンと免疫グロブリンから成
る免疫複合体は、前記アルコール中毒患者のみならず、
アルコール性肝疾患患者、肝炎ウイルス等による肝疾患
患者等の体液中に健康固体とは有意な差異を持って多く
産生される。本発明の抗体は、アルコール性肝疾患患
者、肝炎ウイルス等による肝疾患患者等の体液中に産生
されるトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫
複合体に対しても選択的に反応する抗体である。したが
って、本発明の抗体を用いて該免疫複合体を測定すれ
ば、アルコール性疾患患者、アルコール中毒者、肝炎ウ
ィルス等による肝疾患患者の同定が可能である。
【0014】本発明の抗体は、モノクローナル抗体であ
ってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。
【0015】本発明の抗体産生方法は、(1)トランス
フェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体であっ
て、該免疫複合体の体液中の量がアルコール中毒患者に
多く、非アルコール中毒患者に少ないことが有意な差異
で測定される免疫複合体を、動物に免疫することにより
動物の体内に該免疫複合体に対して選択的に反応する抗
体を産生させ、(2)該該動物から該抗体を採取するこ
とを特徴とする。
【0016】本発明のハイブリドーマは、前記した特徴
を有する抗体がモノクローナル抗体であって、該モノク
ローナル抗体を産生する能力を有するハイブリドーマで
ある。
【0017】本発明の1番目の免疫測定方法は、前記し
た本発明の抗体を、体液に接触させ、該抗体に選択的に
反応する免疫複合体を検出または、定量化することを特
徴とする。即ち、前記した本発明の免疫測定方法に用い
られる抗体には次の1)−4)の態様が挙げられる。 1)免疫複合体に選択的に反応する抗体であって、該免
疫複合体はトランスフェリンと免疫グロブリンから成る
免疫複合体であり、該免疫複合体の体液中の量は、アル
コール中毒患者に多く、非アルコール中毒患者に少ない
ことが有意な差異で測定されることを特徴とする抗体。 2)前記1)の抗体がモノクローナル抗体である抗体; 3)前記1)の抗体がポリクローナル抗体である抗体; 4)トランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複
合体を免疫原として動物に免疫することにより得られた
抗体。
【0018】前記1番目の免疫測定方法において、免疫
複合体に対する抗体は、トランスフェリンと免疫グロブ
リンから成る免疫複合体のみに反応することから、該免
疫複合体を高精度に測定することができる。
【0019】本発明の2番目の免疫測定方法は、体液
に、抗トランスフェリン抗体と抗免疫グロブリン抗体を
接触させ、トランスフェリンと免疫グロブリンから成る
免疫複合体を検出、または定量化することを特徴とす
る。
【0020】また、前記2番目の免疫測定方法において
は、固相用担体を用いる免疫測定方法を使用し、且つ固
相化させる抗体としてトランスフェリン抗体を選択でき
るが、この場合には、トランスフェリンと免疫グロブリ
ンとの複合体だけではなく、トランスフェリンも固相化
抗体に捕捉されてしまうため、前記1番目の免疫測定方
法に比べ、測定感度が低下する場合がある。
【0021】本発明の免疫測定方法は、アルコール中毒
者及び/又はアルコール性肝疾患患者の同定を可能に
し、アルコール消費の監視を可能にする。本発明の免疫
測定方法は、アルコール中毒者及び/又はアルコール性
肝疾患患者の同定或いはアルコール消費の監視に関し
て、従来技術の測定法より迅速かつ操作が簡易な免疫測
定法である。また、本発明の免疫測定方法は、肝炎ウイ
ルス等による肝疾患患者等の体液中に産生されるトラン
スフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体に対し
ても測定が可能である。
【0022】本発明において、免疫複合体を構成するト
ランスフェリンには、肝疾患患者及び/又はアルコール
中毒者に産生される種々のトランスフェリンが含まれ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】免疫測定方法 本発明の1番目及び2番目の免疫測定方法に適用可能な
方法には、不均一系測定方法としては、放射性同位体元
素標識免疫測定法、酵素標識免疫測定法、蛍光標識免疫
測定法、免疫比濁法、ラテックススライド凝集法、ラテ
ックス免疫比濁法、サンドイッチ法等が挙げられる。均
一系としては蛍光消光法、蛍光増強法、エネルギートラ
ンスファー法、凝集法、比濁法等が挙げられる。本発明
の免疫測定方法は如何なる反応形式で行われてもよく、
均一系でも不均一系でも何れであってもよい。これらの
免疫測定法は用手法あるいは自動化されてもよい。
【0024】前記免疫比濁法、ラテックススライド凝集
法、ラテックス免疫比濁法に用いられる試薬において、
体液中のトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免
疫複合体の検出または定量化を可能にするために、抗原
抗体反応に依存して形成される凝集に基づく濁度を肉眼
あるいは、例えば免疫比濁法の場合340nm、ラテッ
クス免疫比濁法では540nm付近の波長を利用して分
光学的に測定されるものが望ましい。
【0025】標識物質 前記免疫測定方法において、放射性同位体元素標識免疫
測定法、酵素標識免疫測定法、蛍光標識免疫測定法に用
いられる試薬の一つは、体液中のトランスフェリンと免
疫グロブリンから成る免疫複合体の検出または定量化を
可能にするために、標識される必要があるが、それらの
標識物質については公知のものを使用してもよく、例え
ば、以下のものが挙げられる。
【0026】1)酵素:アルカリフォスファターゼ、ペ
ルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラク
トシダーゼ、グルコース−6−フォスフェートデヒドロ
ゲナーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等 2)蛍光体:フルオレセインイソシアネート、ローダミ
ン、テキサスレッド等3)放射性同位体元素:I125
131 等 4)生物発光体:ルシフェリン、エクオリン等 5)化学発光体:イソルミノール、アクリジニウムエス
テル、オキサレートエステル等 所望の試薬へのこれらの標識体の結合は、公知の技術を
用いて行うことができる。
【0027】固相用担体 抗体の固相化に用いる担体の材質及び形状は、測定用途
によって公知のものから選択できる。例えば、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルア
ミド、ガラス、アガロース、ニトロセルロース等が挙げ
られる。形状としては、マイクロタイタープレート、バ
イアル、ラテックスビーズ、ディップストリップ等が挙
げられる。
【0028】体液 本発明の免疫測定方法の対象となる体液は、血清、血
漿、唾液またはその他の体液であってもよいが、血清で
あることが好ましい。
【0029】1番目の免疫測定方法 1)免疫原及び抗体の取得 アルコール性肝疾患患者及び/又はアルコール中毒者の
体液から精製あるいは部分的に精製された少なくとも一
種のイソ型トランスフェリンと免疫グロブリンから成る
免疫複合体を免疫原として用い、動物に免疫して、該動
物からトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫
複合体に選択的に反応する抗体を取得することができ
る。
【0030】例えば、免疫原はすべてのトランスフェリ
ンイソ型と反応する抗トランスフェリン抗体を使用する
アフィニティークロマトグラフィーにより、アルコール
性肝疾患患者及び/又はアルコール中毒者の血清から精
製又は部分的に精製されたものでもよく、更に好ましく
は、ゲルクロマトグラフィーにより、トランスフェリン
単独分画より分子量の大きい分画、即ちトランスフェリ
ンと免疫グロブリンから成る免疫複合体分画を免疫原と
してもよい。
【0031】2)ポリクローナル抗体、ハイブリドー
マ、及びモノクローナル抗体 ポリクローナル抗体は上記免疫原を動物に免疫し、該動
物から採取される。動物を免疫する方法は公知の手法が
適用でき、それに必要な免疫プロトコールは当業者にと
って容易に決定し得る。例えば、本発明の抗体は、アジ
ュバントと混合した免疫原を適当な宿主動物(ウサギ、
ヤギ、ウマまたはその他の哺乳類)に注射することによ
り、作製し得る。免疫原の注射は、適当な力価の抗血清
が得られるまで続けられる。抗血清は回収後、必要に応
じてアフィニティークロマトやイオン交換クロマト法等
の既知技術を用いて更に精製されることが好ましい。
【0032】また、本発明の抗体は、免疫された動物
(例えば、ラット、ハムスター、マウスまたはその他の
哺乳類)から得た細胞と不死化細胞とを融合することに
よって得られる融合細胞(ハイブリドーマ)から得るこ
とができる。例えばマウスを使用することが可能であ
る。この場合、免疫原を既知技術により免疫した後、免
疫したマウスから回収した脾臓細胞とマウスミエローマ
細胞を用いてケーラーとミルシュタインの方法(ネイチ
ャー256巻495頁1975年)により目的のハイブ
リドーマを得ることが可能である。目的とする抗体を産
生するハイブリドーマの選択は、免疫原として用いたト
ランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体、
トランスフェリン、免疫グロブリンをそれぞれ固相化し
た酵素免疫測定法でなされ,トランスフェリンと免疫グ
ロブリンには反応せず、免疫複合体のみに強く反応する
ものを選択する。最終的には限界希釈法にてクローンニ
ングを施し、目的とするハイブリドーマを得る。モノク
ローナル抗体は、得られたハイブリドーマから既知技術
である培養系またはマウス腹腔内で作製し、前記ポリク
ローナル抗体の場合と同様に、アフィニティークロマト
やイオン交換クロマト法等の既知技術により精製するこ
とができる。
【0033】本発明の免疫測定法に用いるのに適した抗
体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体で
あってもよく、抗血清またはその精製分画、あるいは既
知のイソタイプまたはサブクラスでもよい。更には、必
要に応じて抗原と結合できる抗体フラグメントであって
もよい。即ち、抗体に関する唯一の条件は、それが少な
くともアルコール中毒患者に多く、非アルコール中毒患
者に少ないことが有意な差異で測定される免疫複合体、
即ち、トランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫
複合体に対して選択的に反応し得ることである。
【0034】3)免疫複合体の検出方法 好ましい検出方法としては、サンドイッチ法が推奨され
る。この測定法において、例えば、トランスフェリンと
免疫グロブリンから成る免疫複合体と選択的に反応する
抗体が固相化される。体液を該固相化抗体と反応せしめ
ることにより、体液中に含まれる免疫複合体が固相化抗
体に結合する。次いで未反応物を洗浄後、標識抗体が添
加され、これが固定化抗体に既に結合した免疫複合体に
結合する。この標識抗体は、抗トランスフェリン抗体の
ように全ての免疫複合体と反応する抗体であることが好
ましい。結合した標識成分の量は体液中のトランスフェ
リンと免疫グロブリンから成る免疫複合体量に比例す
る。
【0035】本発明の免疫測定方法において、トランス
フェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体に選択的
に反応するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を
捕捉抗体、即ち、固相に固定化するための固相化抗体と
して用いことが望ましい。
【0036】2番目の免疫測定方法 具体的には、固相化抗トランスフェリン抗体と、酵素標
識化抗免疫グロブリンG(IgG)抗体、A(IgA)
抗体またはM(IgM)抗体の組み合わせによるサンド
イッチイムノアッセイ;或いは、固相化抗免疫グロブリ
ンG(IgG)抗体、A(IgA)抗体又はM(Ig
M)抗体と、酵素標識化抗トランスフェリン抗体の組み
合わせによるサンドイッチイムノアッセイにより、体液
中に含まれるトランスフェリンと免疫グロブリンから成
る免疫複合体を検出、または定量化することが可能であ
る。
【0037】本発明の2番目の免疫測定方法は、トラン
スフェリン或いは免疫グロブリンも固相化抗体に捕捉さ
れてしまうために前記1番目の免疫測定方法に比べて、
測定精度はやや落ちる。
【0038】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び添付した図を参
照して詳述する。
【0039】〔実施例1〕 健常者とアルコール性肝疾患患者の血清中におけるトラ
ンスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体量の
比較 健常者96検体及びアルコール性肝疾患患者92検体の
パネル血清中に存在する免疫複合体量を2種類の抗体を
用いたサンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA)によ
り測定した。すなわち、96ウェルのマイクロプレート
に10mMリン酸緩衝液pH7.2(略語:PBS)で
10μg/mlに調製した抗ヒトトランスフェリンポリ
クローナル抗体を1ウェル当たりそれぞれ100μl 加
え,4℃で一昼夜反応させた。その後PBSで1回洗浄
し、0.5 %牛血清アルブミン(BSA)を含むPBS
(B−PBS)でブロッキングを行い、スクリーニング
用のプレートとした。各血清をPBSで50倍に希釈し
た溶液100μl をウェルに加え、室温で1時間反応さ
せた。PBSで洗浄した後、アルカリフォスファターゼ
標識抗ヒトIgG抗体(シグマ社製)溶液100μl を
加えて室温で1時間反応させた。洗浄後、アルカリフォ
スファターゼ活性をKind−King法にて発色さ
せ、マイクロプレートリーダーで490nmの吸光度
(OD)を測定することにより、免疫複合体を検出し
た。
【0040】その結果を図1のグラフに示す。図1に示
すように、アルコール性肝疾患患者においてトランスフ
ェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体の量が有意
に多いことが明かとなった。
【0041】〔実施例2〕 免疫原の調製 アルコール依存症患者由来のプール血清20mlを、抗
トランスフェリンポリクローナル抗体を結合させた10
mlのSepharose4B(ファルマシア社製)カ
ラムに通し、トランスフェリンと免疫グロブリンから成
る免疫複合体を含むと推定される血清中の全トランスフ
ェリン分画を捕獲した。カラム体積の10倍量のPBS
でカラムを洗浄後、酸(0.1Mグリシン−塩酸緩衝液
pH2.3)で溶出した。PBSで一晩透析し、酸で解
離した免疫複合体を再構築させ、さらに分子量の差を利
用したゲルろ過カラム(ULTROGEL AcA34 :商品名、BIOS
EPRA社製)クロマトグラフィーにより、トランスフェリ
ンと免疫グロブリンから成る免疫複合体の分画と、トラ
ンスフェリンの分画を分離精製した。回収したトランス
フェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体の分画は
限外ろ過により濃縮して免疫原とした。
【0042】図2に、血清中の全トランスフェリン分画
をゲルろ過カラムにかけたときの溶出プロファイル(実
線OD280nm)、及びトランスフェリンと免疫グロ
ブリンから成る免疫複合体の溶出分画(破線OD490
nm)を示す。免疫複合体の検出は、固相化抗体に抗ヒ
トトランスフェリンポリクローナル抗体、標識抗体に抗
ヒト免疫グロブリンG抗体を用いたサンドイッチELI
SAで行っているため、該免疫複合体の溶出分画は確か
にトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合
体である。図2は、免疫複合体の分画が主要なトランス
フェリンのピークよりも高分子領域に検出されることを
示す。この結果は、該分画がトランスフェリンと免疫グ
ロブリンから成る免疫複合体であることを示す。
【0043】図2における矢印で示す範囲は以下の実施
例において使用した精製された抗原(トランスフェリン
と免疫グロブリンから成る免疫複合体)の分画範囲を示
す。
【0044】〔実施例3〕 ハイブリドーマの調製 前記実施例2で得られた精製された抗原を用いて、抗原
溶液(0.5mg/ml)を調製した。該抗原溶液50
0μlにフロインドの完全アジュバンド500μlを混
和して乳化させ、5週令のBALB/cマウスの皮下に
免疫した。追加免疫としてフロインドの完全アジュバン
ドをフロインドの不完全アジュバンドに変えたもので同
様に調製したものを2週おきに3回繰り返した。その間
免疫時に採血をして抗原に対する血中の抗体活性を測定
した。最終免疫から14日後に500μlの抗原溶液を
腹腔内に投与し、3日後、脾臓を摘出した。脾細胞はマ
ウスミエローマ細胞(P3−NS1−Ag4−1(NS
−1)とポリエチレングリコール4000(メルク社
製)の存在下で2分間反応させることにより融合させ
た。融合後選択培地に縣濁して96ウェルの培養プレー
トに分注し,37℃のCO2 インキュウベーターで培養
した。その後1週間に1度培養液の半量を交換すること
により、ハイブリドーマを調製した。
【0045】〔実施例4〕 免疫原に対する抗体産生ハイブリドーマの選抜(1次ス
クリーニング) 抗体産生ハイブリドーマの確認は、免疫原に用いた免疫
複合体を固相化したELISAにより行った。すなわち
96ウェルのマイクロプレートにPBSで10μg/m
lに調製した抗原を1ウェル当たりそれぞれ100μl
加え,4℃で一昼夜反応させた。その後PBSで1回洗
浄し、B−PBSでブロッキングを行いスクリーニング
用のプレートとした。増殖の認められたウェルの培養上
清をPBSで10倍に希釈した溶液100μlをウェル
に加え,室温で1時間反応させた。引き続きPBSで洗
浄後、アルカリフォスファターゼ標識抗マウス免疫グロ
ブリン(BIOSOURCE INTERNATIONAL )溶液100μlを
加え、室温で1時間反応させた。再び洗浄後、アルカリ
フォスファターゼ活性をKind−King法にて発色
させ、マイクロプレートリーダーで490nmのODを
測定し、該免疫複合体に対する抗体活性を持つモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを選抜した。
【0046】〔実施例5〕 トランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体
に選択的に反応する抗体の選抜(2次スクリーニング) 免疫原に対する抗体活性を持つモノクローナル抗体産生
ハイブリドーマは、モノクローナル抗体の大量産生のた
めマウス腹腔内にて増殖させた。こうして得られたマウ
ス腹水中のモノクローナル抗体は、プロテインAアガロ
ース(Bio−Rad社製)を用いたカラムクロマトグ
ラフィーにより精製した。トランスフェリン及び免疫グ
ロブリンに反応せず、トランスフェリンと免疫グロブリ
ンから成る免疫複合体に選択的に反応する抗体の選抜
は、ELISAにより行った。即ち96ウェルのマイク
ロプレートにPBSで10μg/mlに調製したトラン
スフェリン、免疫グロブリン、またはトランスフェリン
と免疫グロブリンから成る免疫複合体溶液を1ウェル当
たりそれぞれ100μl加え、4℃で一昼夜反応させ
た。その後、PBSで1回洗浄し、B−PBSでブロッ
キングを施したものをスクリーニング用プレートとし
た。これらのウェルに10μg/mlに調製したモノク
ローナル抗体溶液を100μl加え、室温で1時間反応
させた。PBSで洗浄した後、アルカリフォスファター
ゼ標識抗マウス免疫グロブリン抗体溶液100μlを加
え、室温で1時間反応させた。引き続き洗浄後、アルカ
リホスファターゼ活性をKind−King法にて発色
させ、マイクロプレートリーダーで490nmのODを
測定した。その結果を縦軸にODを採ったグラフとして
図3に示す。
【0047】トランスフェリンと免疫グロブリンから成
る免疫複合体に対して高い反応を示したモノクローナル
抗体産生株(CT861)をトランスフェリンと免疫グ
ロブリンから成る免疫複合体に対する特異抗体(CT8
61抗体)産生ハイブリドーマとして選抜した。該モノ
クローナル抗体産生株(CT861)は、独立行政法人
産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM
P−18762として寄託されている。
【0048】〔実施例6〕 CT861抗体が血清中のトランスフェリンと免疫グロ
ブリンから成る免疫複合体を認識していることの確認 前記実施例5で選抜したモノクローナル抗体産生株(C
T861)の産生するCT861抗体が血中のトランス
フェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合体を認識し
ていることを確かめるため、アルコール性肝疾患患者由
来のプール血清をゲルろ過カラム(ULTROGEL AcA34 :商
品名:BIOSEPRA社製) クロマトグラフィーにより分画
し、CT861抗体を固相化したサンドイッチELIS
Aで測定を行った。すなわち96ウェルのマイクロプレ
ートにPBSで10μg/mlに調製したCT861抗
体を1ウェル当たりそれぞれ100μl加え、4℃で一
昼夜反応させた。その後PBSで1回洗浄し、B−PB
Sでブロッキングを行い測定用のプレートとした。これ
らのウェルに各分画を100μl加え、室温で1時間反
応させた。PBSで洗浄した後、アルカリフォスファタ
ーゼ標識抗ヒトトランスフェリン抗体溶液100μlを
加え、室温で1時間反応させた。引き続き洗浄した後、
アルカリフォスファターゼ活性をKind−King法
にて発色させ、マイクロプレートリーダーで490nm
のODを測定した。その結果を縦軸にODを採ったグラ
フとして図4に示す。
【0049】図4は、血清をゲルろ過カラムにかけたと
きの溶出プロファイル(実線OD280nm)及びCT
861の反応する分画(破線OD490nm)を示した
図である。白抜き矢印はトランスフェリンの分子量域
を、黒色矢印は免疫グロブリンの分子量域を、灰色矢印
はトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫複合
体の分子量域を示している。図4に示すようにCT86
1抗体はトランスフェリン及び免疫グロブリンの分子量
域には反応せず、トランスフェリンと免疫グロブリンか
ら成る免疫複合体の分子量域にのみ反応することが示さ
れた。CT861抗体は免疫複合体にのみ反応し、トラ
ンスフェリン及び免疫グロブリンには反応しないことが
確認できる。
【0050】〔実施例7〕 CT861抗体を用いた肝疾患患者の同定のための臨床
試験 肝疾患患者の同定の根拠となる免疫複合体を検出するた
めに、各種の肝疾患患者(アルコール性肝疾患患者50
検体、B型肝炎ウィルス患者20検体、及びC型肝炎ウ
ィルス患者20検体)の各パネル血清92検体及び健常
者血清96検体を用いてCT861抗体を固相化したサ
ンドイッチELISAで次のように測定を行った。
【0051】すなわち96ウェルのマイクロプレートに
PBSで10μg/mlに調製したCT861抗体を1
ウェル当たりそれぞれ100μl加え,4℃で一昼夜反
応させた。その後PBSで1回洗浄し、B−PBSでブ
ロッキングを行い測定用のプレートとした。これらのウ
ェルにPBSで20倍希釈した血清を100μl加え、
室温で1時間反応させた。PBSで洗浄した後、アルカ
リフォスファターゼ標識抗ヒトトランスフェリン抗体溶
液100μlを加え、室温で1時間反応させた。引き続
き洗浄した後、アルカリホスファターゼ活性をKind
−King法にて発色させ、マイクロプレートリーダー
で490nmのODを測定した。
【0052】これらの測定値を用いて解析を行った結果
を図5に示す。図5−1はアルコール性肝疾患患者と健
常者の比較、図5−2はB型肝炎ウィルス患者と健常者
との比較、図5−3はC型肝炎ウィルス患者と健常者と
の比較である。図5に示すようにCT861抗体は健常
者に比べ肝疾患患者血清に対して有意に高い反応性を示
すことが示され、本測定系が肝疾患患者と健常者を明確
に区別することが可能な測定系であることが分かる。
【0053】〔実施例8〕 抗ヒトトランスフェリン抗体と抗ヒト免疫グロブリン抗
体を用いた肝疾患患者の同定のための臨床試験 肝疾患患者の同定の根拠となる免疫複合体を検出するた
めに、各種の肝疾患患者(アルコール性肝疾患患者50
検体、B型肝炎ウィルス患者20検体、C型肝炎ウィル
ス患者20検体)の各パネル血清及び健常者血清96検
体を用いて免疫複合体を検出するサンドイッチELIS
Aで次のように測定を行った。
【0054】すなわち、96ウェルのマイクロプレート
に10mMリン酸緩衝液pH7.2(PBS)で10μ
g/mlに調製した抗ヒトトランスフェリンポリクロー
ナル抗体溶液を1ウェル当たりそれぞれ100μl加
え,4℃で一昼夜反応させた。その後PBSで1回洗浄
し、0.5%牛血清アルブミン(BSA)を含むPBS
(B−PBS)でブロッキングを行い、スクリーニング
用のプレートとした。各血清をPBSで50倍に希釈し
た溶液100μlをウェルに加え,室温で1時間反応さ
せた。PBSで洗浄した後、アルカリフォスファターゼ
標識抗ヒトIgG抗体(シグマ社製)溶液100μlを
加えて室温で1時間反応させた。洗浄後、アルカリフォ
スファターゼ活性をKind−King法にて発色さ
せ、マイクロプレートリーダーで490nmの吸光度
(OD)を測定することにより、免疫複合体を検出し
た。これらの測定値を用いて解析を行った結果を図6に
示す。図6−1はアルコール性肝疾患患者と健常者の比
較、図6−2はB型肝炎ウィルス患者と健常者との比
較、図6−3はC型肝炎ウィルス患者と健常者との比較
である。図6によれば、本測定系が肝疾患患者と健常者
を明確に区別することが可能な測定系であることが分か
る。
【0055】〔実施例9〕 CT861抗体のアルコール中毒マーカーとしての有用
性 公知のアルコール中毒のマーカーとしてのγ−GTP及
び糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)の測定値と、C
T861抗体を用いたサンドイッチELISAの測定値
を、アルコール中毒患者血清55検体及び健常者血清1
4検体を用いて次のようにして比較した。
【0056】γ−GTPの測定は、γ−GTP測定用試
薬(GTP HAテストワコ−, 和光純薬社製)により
プロトコールに準じて血清中のγ−GTP活性を測定す
ることで行った。CDTの測定は、CDT測定試薬(%C
DT TIA Standard Version :商品名、Bio−Rad社
製)によりプロトコールに準じて血清中の全トランスフ
ェリンに占めるCDTの割合 (%CDT) を測定することで
行った。表1に、CT861抗体を用いたサンドイッチ
ELISAの測定値と、γ−GTPの測定値を陽性及び
陰性の一致率で示した。表1に示すように、γ−GTP
が陽性の34検体についてはCT861抗体を用いたサ
ンドイッチELISAは必ず陽性を示すことが分かる。
【0057】
【表1】
【0058】表1の中で、γ−GTPが陰性で且つCT
861抗体を用いたサンドイッチELISAが陽性を示
す21検体について%CDTを測定した結果を、表2に
陽性及び陰性の一致率で示す。表2に示すように、前記
表1におけるγ−GTP陰性で且つCT861抗体陽性
の21検体については、全て%CDT陽性を示すアルコ
ール中毒患者検体であった。
【0059】
【表2】
【0060】CT861抗体を用いたサンドイッチEL
ISAの測定値と、%CDTの測定値を、表3に陽性及
び陰性の一致率で示す。表3に示すように、%CDTが
陽性の37検体についてはCT861抗体を用いたサン
ドイッチELISAは必ず陽性を示すことが分かる。
【0061】
【表3】
【0062】表3の中で、%CDTの測定値をが陰性で
且つCT861抗体を用いたサンドイッチELISAが
陽性を示す18検体についてγ−GTPを測定した結果
を、表4に陽性及び陰性の一致率で示す。表4に示すよ
うに、CT861抗体陽性の18検体についても全て、
γ−GTP陽性のアルコール中毒患者検体であることが
分かる。
【0063】
【表4】
【0064】このように、γ−GTPと%CDTの両方
或いはどちらか一方が陽性の場合、CT861抗体を用
いたサンドイッチELISAは陽性を示し、γ−GTP
と%CDTの両方が陰性の場合、CT861抗体を用い
たサンドイッチELISAは陰性を示す結果が得られた
ことから、CT861抗体がアルコール中毒患者の診断
に有用であることが示された。
【0065】上記69検体を用いて各測定系についてR
OC曲線を描いた。図7−1は、γ−GTP測定系のR
OC曲線を示す。図7−2は、%CDTの測定系のRO
C曲線を示す。図7−3は、CT861抗体を用いたサ
ンドイッチELISAのROC曲線を示す。γ−GTP
では図7−1の曲線下の面積が0.791、%CDTで
は図7−2の曲線下の面積が0.901であるのに対
し、CT861抗体を用いたサンドイッチELISAで
は図7−3の曲線下の面積が0.998となり、CT8
61抗体を用いたサンドイッチELISAはアルコール
中毒患者の診断に優れた測定系であることが分かる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、トランスフェリンと免
疫グロブリンから成る免疫複合体に対する抗体を提供で
きるので、アルコール中毒患者或いは肝疾患患者を簡単
な手法で、精度よく同定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で示したサンドイッチELISA法に
より、血清中に存在するトランスフェリンと免疫グロブ
リンから成る免疫複合体の量を、健常者とアルコール性
肝疾患患者の間で比較した結果を示す図である。
【図2】血清中の全トランスフェリン分画をゲルろ過カ
ラムにかけたときの溶出プロファイル(実線OD280
nm)、及びトランスフェリンと免疫グロブリンから成
る免疫複合体の溶出分画(破線OD490nm)を示
す。
【図3】実施例5で示したELISA法により、CT8
61がトランスフェリンと免疫グロブリンから成る免疫
複合体に特異性が高いことを示す図である。
【図4】実施例6で示した血清をゲルろ過カラムにかけ
たときの溶出プロファイル(実線OD280nm)及び
CT861の反応する分画(破線OD490nm)を示
した図である。
【図5】実施例7で示すCT861を用いたサンドイッ
チELISA法が健常者と肝疾患患者を明確に区別する
測定系であることを示した図である。
【図6】実施例8で示す抗ヒトトランスフェリン抗体を
固相化し標識抗体として抗ヒト免疫グロブリンG抗体を
用いたサンドイッチELISAが健常者と肝疾患患者を
明確に区別できる測定系であることを示した図である。
【図7】図7は、γ−GTP測定系(図7−1)、%C
DTの測定系(図7−2)、CT861抗体を用いたサ
ンドイッチELISA(図7−3)の各ROC曲線を示
す図であり、CT861を用いたサンドイッチELIS
Aがアルコール中毒患者の診断に優れた測定系であるこ
とを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/577 C12R 1:91 //(C12N 5/10 C12N 5/00 B C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B064 AG26 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13 4B065 AA92X AB05 AC14 BA08 CA25 CA46 4H045 AA11 CA42 CA43 DA75 DA76 EA50 FA72

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)免疫複合体に選択的に反応する抗
    体であって、 (2)該免疫複合体はトランスフェリンと免疫グロブリ
    ンから成る免疫複合体であり、 (3)該免疫複合体の体液中の量は、アルコール中毒患
    者に多く、非アルコール中毒患者に少ないことが有意な
    差異で測定されることを特徴とする抗体。
  2. 【請求項2】 前記抗体がモノクローナル抗体である請
    求項1記載の抗体。
  3. 【請求項3】 前記抗体がポリクローナル抗体である請
    求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】 前記免疫複合体を免疫原として動物に免
    疫することにより得られた請求項1乃至3の何れか1項
    記載の抗体。
  5. 【請求項5】 (1)トランスフェリンと免疫グロブリ
    ンから成る免疫複合体であって、該免疫複合体の体液中
    の量がアルコール中毒患者に多く、非アルコール中毒患
    者に少ないことが有意な差異で測定される免疫複合体
    を、動物に免疫することにより動物の体内に該免疫複合
    体に対して選択的に反応する抗体を産生させ、 (2)該該動物から該抗体を採取することを特徴とする
    抗体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記抗体がモノクローナル抗体である請
    求項5記載の抗体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記抗体がポリクローナル抗体である請
    求項5記載の抗体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2記載のモノクローナル抗体を産
    生する能力を有するハイブリドーマ。
  9. 【請求項9】 体液に、請求項1乃至4の何れか1項記
    載の抗体を接触させ、該抗体に選択的に反応する免疫複
    合体を検出、又は定量化することを特徴とする免疫測定
    方法。
  10. 【請求項10】 体液に、トランスフェリン抗体と抗免
    疫グロブリン抗体を接触させ、トランスフェリンと免疫
    グロブリンから成る免疫複合体を検出、または定量化す
    ることを特徴とする免疫測定方法。
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