JP2003266451A - 所定表面形状を有する物品の製造方法 - Google Patents

所定表面形状を有する物品の製造方法

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JP2003266451A
JP2003266451A JP2002075952A JP2002075952A JP2003266451A JP 2003266451 A JP2003266451 A JP 2003266451A JP 2002075952 A JP2002075952 A JP 2002075952A JP 2002075952 A JP2002075952 A JP 2002075952A JP 2003266451 A JP2003266451 A JP 2003266451A
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film
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JP2002075952A
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English (en)
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Tsutomu Minami
努 南
Masahiro Tatsumisuna
昌弘 辰巳砂
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Atsunori Matsuda
厚範 松田
Teruyuki Sasaki
輝幸 佐々木
Koichiro Nakamura
浩一郎 中村
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板との密着性に優れ、高精度かつ組成領域
の広い光学素子その他所定形状を有する物品の製造方法
を提供する。 【解決手段】 濡れ性の大きな区域と濡れ性の小さな区
域とが規則的に配列されているパターン表面を成形表面
として有する基材の該成形表面に膜形成用液状組成物を
付着させ、次いで前記組成物を硬化して前記濡れ性の大
きな区域で硬化物が形成される所定表面形状を有する物
品の製造方法。前記基材の濡れ性の大きな区域は微細凹
凸表面を有しそして前記濡れ性の小さな区域は平滑表面
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学素子その他の所
定表面形状を有する物品の製造方法に関し、特に微小レ
ンズ列(マイクロレンズアレイ)、シリンドリカルレン
ズアレイまたはフレネルレンズのような光学素子その他
の所定表面形状を有する物品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微小レンズ列(マイクロレンズアレイ)
などの光学素子は微小光学分野で広く使われてきてい
る。最近の通信用光学部品の需要の増大によりその必要
性はますます高まってきている。
【0003】このようなマイクロレンズアレイの製造方
法として、基材表面上に濡れ性の大きな区域と小さな区
域とを規則的に配列したパターンを有する基材を用い
て、濡れ性の大きな区域に光学素子形成用組成物を付着
させ、凸部を形成する方法が知られている。(特開20
00−199805)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この手
法では基材表面の濡れ性の違いによる表面エネルギーの
違いにのみ依存した液滴の移動によりレンズを形成する
ため、得られるレンズの精度が低下しやすく、さらに高
い精度が要求されている。また光学素子形成用液状組成
物として光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のような樹脂が使
用されているので光学素子の組成の選択範囲が狭いなど
の問題がある。本発明は上記課題を解決して高精度でし
かも組成範囲の広い光学素子その他所定表面形状を有す
る物品の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、濡れ性の大き
な区域と濡れ性の小さな区域とが規則的に配列されてい
るパターン表面を成形表面として有する基材の該成形表
面に膜形成用液状組成物を付着させ、次いで前記組成物
を硬化して前記濡れ性の大きな区域で硬化物が形成され
る所定表面形状を有する物品の製造方法において、前記
基材の濡れ性の大きな区域は微細凹凸表面を有しそして
前記濡れ性の小さな区域は平滑表面を有することを特徴
とする所定表面形状を有する物品の製造方法である。
【0006】まず基材の成形表面に濡れ性の大きな区域
と濡れ性の小さな区域とを規則的に配列したパターンを
形成する方法について説明する。本発明における基材表
面の濡れ性の大きな区域および濡れ性の小さな区域と
は、基材表面に膜形成用液状組成物がそれぞれ相対的に
付着しやすい部分と相対的に付着しにくい部分を指す。
膜形成用液状組成物は前記形成表面に付着されてから濡
れ性の大きな区域で硬化物になるまでのいずれかの段階
で、濡れ性の大きな区域の表面に対して90度以下の接
触角Aを有しかつ濡れ性の小さな区域の表面に対して前
記接触角Aよりも5度以上大きい接触角Bを有すること
が好ましい。
【0007】本発明において、基材の成形表面の濡れ性
の大きな区域は微細凹凸表面を有する。微細凹凸表面と
しては10nm以上の面粗さRaおよび1.2以上の比
表面積SRを有することが好ましい。そして濡れ性の小
さな区域は平滑表面を有する。平滑表面としては、5n
m以下の面粗さRaおよび1.0の比表面積SRを有する
ことが好ましい。濡れ性の大きな区域はさらに好ましく
は10nm〜50nmの面粗さRaおよび1.2〜20
の比表面積SRを有する。そして濡れ性の小さな区域は
さらに好ましくは2nm以下の面粗さRaを有する。
【0008】ここで面粗さRaはJIS B 0601で定義され
ている算術平均粗さRaを表す。比表面積(SR)は、SR
S /S0 〔S0 :測定面が理想的にフラットであるときの
面積。 S:実際の測定面の表面積。〕で求められる。実
際の測定面の表面積(S)は測定面を多数の微小三角形
に分割し、各微小三角形の面積の総和として計算され
る。
【0009】このパターンは、好ましくは例えば次のよ
うにして得られる。加水分解および縮重合可能な金属化
合物を含む感光性溶液を、表面が5nm以下の面粗さR
aおよび1.0の比表面積SRを有する下地基体の表面に
塗布して膜を形成し、この塗膜にパターン状に、例えば
フォトマスクを介してまたは干渉露光法により、光照射
し、塗膜の非露光部分を溶媒で溶解、除去した後、塗膜
の露光部分を温水に接触させる。これにより、10nm
以上の面粗さRaおよび1.2以上の比表面積SRを有す
る金属酸化物膜が下地基体の露光部分表面に形成され、
下地基体の非露光部分表面は5nm以下の面粗さRaお
よび1.0の比表面積SRを有するのでパターンが形成
される。そして下地基体、感光性溶液および膜形成用液
状組成物の材料を選択することにより下地基体の露光部
分表面(金属酸化物膜)の濡れ性を大きくし、そして非
露光部分表面の濡れ性を小さくする。
【0010】加水分解および縮重合可能な金属化合物を
含む感光性溶液としては、アルミニウムアルコキシドの
キレート化合物、チタンアルコキシドのキレート化合物
およびジルコニウムのキレート化合物のような化合物を
含む溶液が好ましく使用される。
【0011】上記フォトマスクとしては光透過区域と光
遮蔽区域とを規則的に配列したパターンを有するものが
好ましく用いられる。光透過区域は直径が10〜500
μmの正方形、円、楕円、正六角形等の形状を有するこ
とができ、形成すべき所定表面形状を有する物品の底面
の形状と一致させることが好ましい。
【0012】前記表面微細凹凸のパターンは、さらに好
ましくは次のようにして形成される。表面平滑な下地基
体例えばソーダ石灰珪酸塩ガラス組成を有するガラス基
体の上にアルミニウムアルコキシドのキレート化合物
(以下「アルミニウムキレート化合物」という)を含む
溶液を塗布して基板上に塗膜を形成し、塗膜に対してフ
ォトマスクを通してまたは干渉露光法などによりパター
ン状に光照射する。塗膜の露光部分は照射光によりアル
ミニウムキレート化合物のキレート結合を開裂、分解し
て、溶媒に不溶性のアルミナとなる。そして非露光部分
を溶媒で溶解除去して下地基体を露出させた後、露光部
分を温水に浸漬することにより、ガラス基体の上にフォ
トマスクの光透過区域に対応して多数の正方形その他の
形状のアルミナ膜が形成され、その膜の表面は10〜5
0nmの面粗さRaおよび1.2〜20の比表面積SRを
有するようになる。そしてこのアルミナ膜が基材の濡れ
性の大きな区域を形成し、膜形成用液状組成物例えば2
00℃のフェニルトリエトキシシランのゲル化物(縮重
合物)に対して90度以下の接触角A例えば5度を有す
る。そして溶媒で溶解除去して露出されたガラス基材部
分は5nm以下の面粗さRaおよび1.0の比表面積SR
を有し、そして濡れ性の小さな区域を形成し、上記膜形
成用液状組成物に対して前記接触角Aよりも5度以上大
きい接触角B例えば15度を有する。
【0013】使用する下地基体は露光膜部分と同一の組
成を有していてもよく異なっていてもよい。同一の組成
の例として、表面平滑なアルミナの基体の表面上に部分
的に、アルミナ被覆層をその表面が10〜50nmの面
粗さRaおよび1.2〜20の比表面積SRを有するよう
に設けた場合には、膜形成用液状組成物例えば200℃
のフェニルシルセスキオキサンのゾルはアルミナ被覆層
に対して90度以下の接触角Aを示し、アルミナ基体に
対してAよりも5度以上大きい接触角を示す。従ってフ
ェニルシルセスキオキサンのゾルについては、アルミナ
被覆層は濡れ性の大きな区域に該当し、アルミナ基体は
濡れ性の小さな区域に該当する。
【0014】またその他の方法として、サンドブラス
ト、微細研磨などの機械的手法、放電、プラズマ、電子
ビーム、イオン加工などの電気的手法、フォトエッチン
グなどの光化学的手法、レーザー加工など光学的手法あ
るいはフッ素化水素酸などによるエッチングによる化学
的手法などにより平滑表面の下地基体の表面に直接に凹
凸を形成させてもよい。この場合平滑表面の下地基体と
して、適用される膜形成用液状組成物に対する接触角が
90度以下となる材質が使用される。さらに気相法や液
相法によって表面微細凹凸を有する薄膜を下地基体表面
に形成する方法などでもよい。
【0015】以下に、加水分解および縮重合可能な金属
化合物であるアルミニウムアルコキシドを含む感光性溶
液を、表面平滑下地基体の表面に塗布して膜を形成し、
この塗膜にパターン状に光照射し、塗膜の非露光部分を
溶媒で溶解、除去した後、塗膜の露光部分を温水に接触
させて露光部分の表面に微細凹凸を有せしめる方法につ
いて述べる。
【0016】前記アルミニウムアルコキシドは、一般に
Al(OR)3(Rは炭素数4までのアルキル基)で表さ
れるアルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポ
キシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-
sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシ
ドが挙げられる。また、前記キレート化剤としてはアセ
チルアセトン、ベンゾイルアセトンなどのβ-ジケトン
化合物類やアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどの
β-ケトエステル化合物類、アルカノールアミン類等が
挙げられるが、アセチルアセトンを使用する場合、アル
ミニウムアルコキシドをアセチルアセトンによってアセ
チルアセトネート化しても構わないし、市販のアルミニ
ウムアセチルアセトネートを使用しても構わない。使用
するキレート化剤はアルミニウムアルコキシド1モルあ
たり、1〜3モルが好ましく、より好ましくは1.0〜
1.2モルである。
【0017】前記感光性溶液を安定に調製するために用
いる希釈溶媒は、溶液の安定性により選択することが好
ましく、より好ましくはアルコール類で、特にイソプロ
ピルアルコールが好ましい。
【0018】前記塗膜を形成する感光性溶液の塗布法と
して、ディップコート法、スピンコート法、グラビアコ
ート法、スプレー法、フレキソ印刷法、フローコート
法、刷毛塗り法、ロールコート法およびキャスト法など
が挙げられ、ディップコート法における引き上げ速度や
スピンコート法における基板回転速度と保持時間を変化
させることと塗布溶液の粘度を変えることにより膜厚を
乾燥後厚みで例えば50〜400nmに制御できる。
【0019】前記手法により表面平滑基材表面に形成し
た感光性塗膜を乾燥させ、溶媒を蒸発除去する。この乾
燥処理温度は10〜100℃で10分〜5時間行うが、
好ましくは40〜60℃で20分〜1時間乾燥させれば
よい。また、必要に応じてさらに高い温度で乾燥させる
ことも可能である。
【0020】次いで前記感光性塗膜上に、光透過区域と
光遮蔽区域とを規則的に配列したパターンのフォトマス
クを配置する。次いでこのフォトマスクを通して光を照
射する。この光照射により前記塗膜の光照射部分は、キ
レート錯体が開裂してアルミナ膜へと変化するため、光
照射部と光未照射部の溶媒に対する溶解度が異なる領域
が周期的に存在するパターン構造が形成されることにな
る。この光照射に用いる光線として、アルミニウムキレ
ート化合物の吸収極大波長の光が望ましい。この吸収極
大波長は、膜形成用塗布溶液の原料のアルミニウムアル
コキシドとキレート化合物の組み合わせによって異な
り、例えばアルミニウム-sec-ブトキシドとアセト酢
酸エチルでは270nm、アルミニウム-sec-ブトキ
シドとベンゾイルアセトンでは325nmの波長の光を照
射することが好ましい。
【0021】フォトマスクを通した光照射後のアルミニ
ウムキレート化合物塗膜を溶媒で洗浄することにより、
溶解度が変化していない光未照射部分は除去され基材が
露出するが、光照射によりアルミナ膜へと変化して溶媒
への溶解度が相対的に小さくなった部分は残存する。前
記洗浄用溶媒として、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、アセトン、酸およびアルカリなどが挙げら
れるが、上記溶解性の観点から少なくとも1種含有する
溶媒を選択することが好ましい。
【0022】このアルミナパターン塗膜を温水に浸漬処
理することによりアルミナ膜部分が微細凹凸組織(花弁
状アルミナ)へと変化した微細凹凸区域が規則的に配列
したパターンを基材に形成する。温水の温度は50℃〜
100℃とすることが好ましく、基材の耐熱性等を鑑み
て決定されるが、温度が低いほど微細凹凸組織を完全に
形成するためには長い時間を要するようになる。
【0023】該パターン塗膜を温水に浸漬することで、
アルミナ膜部分の表層表面が特異な微小な孔状の空隙を
持って特異な花弁状の形物がランダム集合化した表層表
面を有するものとなり、目的とする特異な空隙と形状の
微細凹凸表面を形成することができる。なお温水処理時
間は約5分〜約24時間程度であり、この花弁状アルミ
ナ膜の膜厚は、任意に設定できるが50nm〜400n
mが好ましい。
【0024】さらにこの微細凹凸組織パターン膜全体
に、撥水性を示す有機基を有する化合物を含有する層
(以下、撥水性化合物層という)をゾルゲル法、真空蒸
着、気相蒸着などの方法により形成してもよい。膜形成
用液状組成物に対する微細凹凸部分の接触角A(90度
以下)および平滑部分の接触角B(接触角Aよりも5度
以上大)は、この撥水性化合物層の被覆により増加して
それぞれ接触角A'およびB'となる。しかし接触角B'
が接触角A'よりも5度以上大きい状態は維持される。
この撥水性化合物層を被覆した場合、これを被覆しない
場合に比して、濡れ性の大きな区域上に集合した膜形成
用液状組成物の周辺部における接触角が増大し、その結
果、この区域上で硬化した凸部の立ち上がり部の傾斜を
急角度とすることができる。この層の厚みは1〜100
nm、好ましくは、1〜50nmである。
【0025】撥水性を示す有機基を有する化合物として
は撥水性基を有するシラン化合物が好ましく使用され
る。その例として、1個または2個以上の撥水性基、例
えばアルキル基、フルオロアルキル基などを分子内に有
するシラン化合物を挙げることができる。
【0026】アルキル基を有するシラン化合物として
は、CH3(CH230SiCl3、CH3(CH220Si
Cl3、CH3(CH218SiCl3、CH3(CH216
SiCl3、CH3(CH214SiCl3、CH3(CH2
12SiCl3、CH3(CH210SiCl3、CH3(C
29SiCl3、CH3(CH28SiCl3、CH3(C
27SiCl3、CH3(CH26SiCl3、CH3(C
25SiCl3、CH3(CH24SiCl3、CH3(C
23SiCl3、CH3(CH22SiCl3、CH3CH
2SiCl3、(CH3CH22SiCl2、(CH3CH2
3SiCl、CH3SiCl3、(CH32SiCl2、(C
33SiClのようなアルキル基含有クロロシラン;
CH3(CH230Si(OCH33、CH3(CH220
Si(OCH33、CH3(CH218Si(OCH33
CH3(CH216Si(OCH33、CH3(CH214
Si(OCH33、CH3(CH212Si(OCH33
CH3(CH210Si(OCH33、CH3(CH29
i(OCH33、CH3(CH28Si(OCH33、C
3(CH27Si(OCH33、CH3(CH26Si
(OCH33、CH3(CH25Si(OCH33、CH
3(CH24Si(OCH33、CH3(CH23Si(O
CH33、CH3(CH22Si(OCH33、CH3
2Si(OCH33、(CH3CH22Si(OC
32、(CH3CH23SiOCH3、CH3Si(OC
33、(CH32Si(OCH32、(CH33SiO
CH3、CH3(CH230Si(OC253、CH3(C
220Si(OC253、CH3(CH218Si(OC
253、CH3(CH216Si(OC253、CH
3(CH214Si(OC253、CH3(CH212Si
(OC253、CH3(CH210Si(OC253
CH3(CH29Si(OC253、CH3(CH28
i(OC253、CH3(CH27Si(OC253
CH3(CH26Si(OC253、CH3(CH25
i(OC253、CH3(CH24Si(OC253
CH3(CH23Si(OC253、CH3(CH22
i(OC253、CH3CH2Si(OC253、(CH
3CH22Si(OC252、(CH3CH23SiOC2
5、CH3Si(OC253、(CH32Si(OC2
52、(CH33SiOC25のようなアルキル基含有
アルコキシシラン;CH3(CH230Si(OCOC
33、CH3(CH220Si(OCOCH33、CH3
(CH218Si(OCOCH33、CH3(CH216
i(OCOCH33、CH3(CH214Si(OCOCH
33、CH3(CH212Si(OCOCH33、CH
3(CH210Si(OCOCH33、CH3(CH29
i(OCOCH33、CH3(CH28Si(OCOC
33、CH3(CH27Si(OCOCH33、CH3
(CH26Si(OCOCH33、CH3(CH25Si
(OCOCH33、CH3(CH24Si(OCOC
33、CH3(CH23Si(OCOCH33、CH3
(CH22Si(OCOCH33、CH3CH2Si(OC
OCH33、(CH3CH22Si(OCOCH32
(CH3CH23SiOCOCH3、CH3Si(OCOC
33、(CH32Si(OCOCH32、(CH33
SiOCOCH3 のようなアルキル基含有アシロキシシ
ラン;CH3(CH230Si(NCO)3、CH3(C
220Si(NCO)3、CH3(CH218Si(NC
O)3、CH3(CH216Si(NCO)3、CH3(CH
214Si(NCO)3、CH3(CH212Si(NCO)
3、CH3(CH210Si(NCO)3、CH3(CH29
Si(NCO)3、CH3(CH28Si(NCO)3、C
3(CH27Si(NCO)3、CH3(CH26Si
(NCO)3、CH3(CH25Si(NCO)3、CH3
(CH24Si(NCO)3、CH3(CH23Si(NC
O)3、CH3(CH22Si(NCO)3、CH3CH2
i(NCO)3、(CH3CH22Si(NCO)2、(C
3CH23SiNCO、CH3Si(NCO)3、(C
32Si(NCO)2、(CH33SiNCO のような
アルキル基含有イソシアネートシランを例示することが
できる。
【0027】フロオロアルキル基を有するシラン化合物
としては、CF3(CF211(CH22SiCl3、CF
3(CF210(CH22Si(Cl)3、CF3(CF2
9(CH22SiCl3、CF3(CF28(CH22Si
Cl3、CF3(CF27(CH22SiCl3、CF
3(CF26(CH22SiCl3、CF3(CF25(C
22SiCl3、CF3(CF24(CH22SiC
3、CF3(CF23(CH22SiCl3、CF3(C
22(CH22SiCl3、CF3CF2(CH22Si
Cl3 、CF3(CH22SiCl3のようなフロオロア
ルキル基含有トリクロロシラン;CF3(CF211(C
22Si(OCH33、CF3(CF210(CH22
Si(OCH33、CF3(CF29(CH22Si(O
CH33、CF3(CF28(CH22Si(OC
33、CF3(CF27(CH22Si(OCH33
CF3(CF26(CH22Si(OCH33、CF
3(CF25(CH22Si(OCH33、CF3(C
24(CH22Si(OCH33、CF3(CF2
3(CH22Si(OCH33、CF3(CF22(C
22Si(OCH33、CF3CF2(CH22Si(O
CH33、CF3(CH22Si(OCH33、CF
3(CF211(CH22Si(OC253、CF3(C
210(CH22Si(OC253、CF3(CF29
(CH22Si(OC253、CF3(CF28(C
22Si(OC253、CF3(CF27(CH22
Si(OC253、CF3(CF26(CH22Si(O
253、CF3(CF25(CH22Si(OC
253、CF3(CF24(CH22Si(OC
253、CF3(CF23(CH22Si(OC
253、CF3(CF22(CH22Si(OC
253、CF3CF2(CH22Si(OC253、C
3(CH22Si(OC253 のようなフロオロアル
キル基含有トリアルコキシシラン;CF3(CF2
11(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF210
(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF29(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF28(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF27(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF26(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF25(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF24(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF23(C
22Si(OCOCH33、CF3(CF22(C
22Si(OCOCH33、CF3CF2(CH22Si
(OCOCH33、CF3(CH22Si(OCOC
33 のようなフロオロアルキル基含有トリアシロキ
シシラン;CF3(CF211(CH22Si(NC
O)3、CF3(CF210(CH22Si(NCO)3
CF3(CF29(CH22Si(NCO)3、CF3(C
28(CH22Si(NCO)3、CF3(CF2
7(CH22Si(NCO)3、CF3(CF26(C
22Si(NCO)3、CF3(CF25(CH22Si
(NCO)3、CF3(CF24(CH22Si(NC
O)3、CF3(CF23(CH22Si(NCO)3、C
3(CF22(CH22Si(NCO)3、CF3CF2
(CH22Si(NCO)3、CF3(CH22Si(NC
O)3のようなフロオロアルキル基含有トリイソシアネ
ートシランを例示することができる。これらの中でフロ
オロアルキル基含有トリアルコキシシラン、特にフッ素
原子の数が13〜22のフロオロアルキルトリメトキシ
シラン、フロオロアルキルトリエトキシシランが好まし
く用いられる。
【0028】撥水性化合物層はパターン膜全体にではな
く、前記濡れ性の小さな平滑表面の区域のみに次のよう
に形成してもよい。例えば、このパターン膜全体に光触
媒活性の酸化物の層例えばチタニアアナターゼ層および
その上に光触媒作用で分解する撥水性基を有する化合物
層例えばフルオロアルキル基含有シラン化合物を形成
し、次いで上記パターン膜を形成するために使用したフ
ォトマスクと同じ寸法を有するフォトマスクを、そのマ
スクの光透過区域が微細凹凸区域に一致するように位置
合わせして配置し、このフォトマスクを通して光照射す
る。微細凹凸区域上のフルオロアルキル基含有シラン化
合物は光照射による下層のチタニア層の光触媒作用によ
り分解されて撥水性を失う。その結果微細凹凸組織のな
い平滑下地基体部分上にのみ撥水性層が形成され、微細
凹凸組織表面は水の接触角が4度以下の超親水状態を示
し、平滑下地基体部分は水の接触角が150度以上の超
撥水状態を示す。このようにて室温または加熱された状
態の膜形成用液状組成物に対する微細凹凸表面の接触角
Aと平滑表面の接触角Bの差をさらに大きくすることが
できる。
【0029】次いで膜形成用液状組成物として使用され
る加水分解、縮重合可能な加水分解性化合物を少なくと
も1種含有する液、光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂な
ど、付着後硬化することのできる溶液を微細凹凸パター
ン(例えば花弁状アルミナパターン)の基板表面あるい
はその上に撥水性基を含有する化合物層が形成された基
板表面に被覆する。特に光学素子を形成する場合には膜
形成用液状組成物は透明性の高いものが好ましい。
【0030】前記加水分解、縮重合可能な加水分解性化
合物としては、金属アルコキシドや金属キレートを挙げ
ることができる。この金属アルコキシドとして具体的に
は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウ
ム(Zr)、チタニウム(Ti)、スズ(Sn)および
アンチモン(Sb)等のメトキシド、エトキシド、プロ
ポキシド、ブトキシドなどが単体あるいは混合体として
好ましく用いられる。例えば珪素アルコキシドの例とし
て、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン
などを挙げることができる。金属キレートとしては、珪
素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、スズお
よびアンチモン等のアセチルアセトネート錯体、アセト
酢酸エチル錯体およびベンゾイルアセトネート錯体が好
ましく用いられる。
【0031】これらの中で、下記式(1)、 YnSiX4-n (1) (ここでYはアルキル基、ビニル基、アミノ基、エポキ
シ基、フェニル基またはベンジル基を示し、Xはそれぞ
れ独立にアルコキシル基またはハロゲンを示し、nは0
または1である。)で表されるケイ素化合物がより好ま
しく用いられる。上記式(1)中のYのアルキル基とし
てはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−
エチルブチル基、オクチル基などの直鎖状、あるいは分
岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基等のシクロアルキル基が好ましい。上記ケイ素化合物
の中で上記式(1)中のYがフェニル基またはベンジル
基であり、Xがメトキシル基またはエトキシル基であ
り、nが1である有機金属化合物、すなわちフェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベン
ジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン
が、(1)硬化物の最大厚み(例えばレンズの最大高
さ)を大きくすることができる、(2)基材の表面に付
着させた液状組成物が濡れ性の大きな区域に移動する速
度が大きい、および(3)硬化物の屈折率(例えばレン
ズの屈折率)を大きくすることができるという理由で、
更に好ましく用いられる。これらの中でフェニルトリエ
トキシシランが特に好ましい。
【0032】また、上記式(1)で表されるケイ素化合
物と、下記式(2)、 R2SiQ2 (2) (ここでRはそれぞれ独立にアルキル基、ビニル基、ア
ミノ基、エポキシ基、フェニル基またはベンジル基を示
し、Qはそれぞれ独立にハロゲンまたはアルコキシル基
を示す。)で表されるケイ素化合物(以下、「式(2)
のケイ素化合物」という)を組み合わせて使用すること
ができる。これらの中で前記式(2)におけるRがフェ
ニル基またはメチル基であり、Qがメトキシル基または
エトキシル基であるケイ素化合物が好ましく用いられ
る。これにより膜形成用液状組成物が液滴状になる際の
流動性を良好にする効果がある。
【0033】式(2)のケイ素化合物は加水分解、縮重
合可能な加水分解性化合物ではあるけれども、これ単独
では3次元ネットワーク構造を形成せず、光学素子その
他の所定表面形状を有する物品の機械的強度が低くな
る。従って式(1)のケイ素化合物と式(2)のケイ素
化合物のケイ素元素合計100モル%に対して、式
(2)のケイ素化合物はそのケイ素元素のモル分率で表
して80%以下で使用するのが好ましい。
【0034】また上記式(1)および(2)で表される
ケイ素化合物と、チタニウムアルコキシド、ジルコニウ
ムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドおよびこれ
らのキレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも
1種の化合物を組み合わせて使用することができる。例
えばチタニウムブトキシド、アルミニウムブトキシド、
ジルコニウムブトキシドなどのアルコキシド化合物や、
チタニウムのアセチルアセトナート錯体のような、酸化
物の屈折率が酸化ケイ素より高屈折率を有する金属化合
物を上記式(1)で表されるケイ素化合物と組み合わせ
て使用することにより、形成される光学素子その他の所
定表面形状を有する物品の屈折率を制御することができ
るだけでなく、硬度や収縮率など種々の特性を制御でき
る。これらの金属化合物は、式(1)、式(2)で表さ
れるケイ素化合物およびこの化合物のケイ素および金属
元素の合計に対して、金属元素のモル分率で表して30
%以下で使用するのが好ましく、3〜20%で使用する
のがより好ましい。
【0035】前述のように金属化合物を2種以上組み合
わせて使用することで、例えば、フェニルトリエトキシ
シランを単独で使用する場合に得られる光学素子の屈折
率は約1.53であるがフェニルトリエトキシシランと
メチルトリエトキシシランとを組み合わせることによ
り、屈折率が1.48〜1.53の光学素子が得られ、
フェニルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシラ
ンの混合比率を調整することにより光学素子その他の所
定表面形状の屈折率を精密に制御することができる。
【0036】膜形成用液状組成物は、加水分解、縮重合
可能な加水分解性化合物、水、酸触媒および溶媒を含有
する。このとき用いる触媒としては塩酸、硝酸、硫酸な
どの無機酸類、酢酸、しゅう酸、蟻酸、プロピオン酸、
p−トルエンスルホン酸などの有機酸類が用いられる。
使用する酸触媒の量は、モル比で表して、金属化合物1
モルに対して、3ミリモル〜200ミリモルが好まし
く、より好ましくは10ミリモル〜100ミリモルであ
る。
【0037】水は加水分解に必要な化学量論比以上加え
ることが好ましい。水の添加量が化学量論比より少ない
とゲル化のための乾燥時に未反応の金属化合物が揮発し
やすくなるので好ましくない。通常、水の添加量は、触
媒水溶液の水も含めて、必要な化学量論比の1.1〜3
0倍であり、モル比で表して、金属化合物に対して1.
5〜20倍が好ましく、より好ましくは2〜10倍であ
る。
【0038】膜形成用液状組成物中の溶媒は、コーティ
ング方法やコーティング液の特性に応じて異なり、複数
の溶媒を混合して使用しても構わない。使用する溶媒の
量は、モル比で表して、加水分解性化合物に対して0.
3〜5倍が好ましく、より好ましくは0.5〜3倍であ
る。
【0039】表面微細凹凸区域が規則的に配列したパタ
ーン構造が形成された基板表面上に膜形成用液状組成物
を被覆する方法としてスプレーコート法を用いる場合
は、膜形成用液状組成物は液滴状で基板に付着するた
め、微細凹凸区域への移動がしやすくなり好ましい。全
体的なスプレー付着量を変化させることにより、最終的
に得られる硬化物の厚さ(高さ)を調節することができ
る点で有利である。
【0040】またディップコート法も好ましく用いられ
る。上記パターニング膜付き基板を膜形成用液状組成物
の浴の中に浸漬し、所定の引き上げ速度で引き上げるこ
とにより、基板表面の微細凹凸区域のみに前記液状組成
物が液滴状態で付着する。しかし場合によっては、基板
表面全体にわたってほぼ均一な厚みで前記液状組成物が
被覆されることがあり、このときには、基板または被覆
液層の振動、超音波振動などを与えたり、または被覆液
層に空気の風を吹き付けたりすることにより前記液状組
成物を基板表面の微細凹凸区域に集合させることができ
る。ただし、ある種の液形成用液状組成物、例えばフェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキ
シシランのようなトリアルコキシシラン、酸触媒、水、
溶媒からなる液状組成物を用い、かつ特に溶媒および水
の量が相対的に少ない場合または基板表面において微細
凹凸区域の面積比率が大きな場合には、塗布直後には基
板表面の微細凹凸区域への集合は生じないことがある。
しかし塗布し、数時間乾燥させた後に、基板をその被覆
面が上向きにほぼ水平になるように維持した状態で10
0〜300℃で加熱すると、それまで固体状になってい
た塗布膜は粘性が低下して軟化してあたかも融液状態と
なり基板表面の微細凹凸区域への集合が生じる。更に加
熱を続けると完全に硬化して、基板上に強固に付着した
フェニルポリシロキサンまたはベンジルポリシロキサン
の凸部が前記表面微細凹凸区域に形成される。前記液状
組成物の塗布および必要に応じたその後の振動付与によ
り、基板表面の微細凹凸区域へ液状組成物が集合して液
滴状になった後は、加水分解性化合物を含有する膜形成
用液状組成物の場合には、10〜300℃で10分〜3
00分加熱することにより加水分解および縮重合反応が
進み、基板上の微細凹凸区域に透明微小固体凸部が強固
に付着する。
【0041】以上は膜形成用液状組成物として加水分解
と縮重合可能な加水分解性化合物、その加水分解物およ
びその縮重合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種
の化合物を含有するものを使用する場合について述べ
た。膜形成用液状組成物として、上記以外に光硬化性樹
脂や熱硬化性樹脂の原料も挙げられる。光硬化性樹脂、
熱硬化性樹脂のような樹脂はそれほど高い耐熱性が要求
されないときに使用することが好ましい。上記の加水分
解性化合物を使用する場合には優れた耐熱性が得られ
る。
【0042】光硬化性樹脂としては、少なくとも1個以
上の官能基を有し、硬化エネルギー線の照射によりイオ
ン重合、ラジカル重合を行い分子量の増加や架橋構造の
形成を行って硬化するモノマーやオリゴマーである。こ
の官能基とは、ビニル基、カルボキシル基、エポキシ
基、アクリレート基、水酸基など反応の原因となる原子
団または結合様式である。光硬化性樹脂の例として、フ
ッ素化エポキシ樹脂のようなエポキシ樹脂、アクリル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂等の透明な樹脂を挙げるこ
とができる。熱硬化性樹脂としては、熱エネルギーによ
って硬化することができる樹脂であれば特に限定はされ
ない。熱硬化性樹脂の例として、エポキシ樹脂、ポリイ
ミド等の透明な樹脂を挙げることができる。
【0043】光硬化性樹脂原料または熱硬化性樹脂原料
からなる前記液状組成物を用いる場合にも、粘性が高い
ために塗布直後には前記液状組成物の基板表面の微細凹
凸区域への集合は生じないことがある。しかし塗布した
後に50〜150℃で加熱すると、液状組成物が微細凹
凸区域へ集合する。その後に光照射または加熱を行うこ
とにより、樹脂は硬化して基板上の微細凹凸区域に透明
微小固体凸部が強固に付着する。光硬化性樹脂原料の場
合の光照射は例えば水銀灯から20〜200mW/cm
2の照度で5秒〜10分間紫外光を照射することによっ
て行われ、熱硬化性樹脂原料の場合の加熱は例えば80
〜130℃で1分〜1時間行われる。
【0044】このようにして、膜形成用液状組成物を付
着させた後に硬化して前記濡れ性の大きな区域で硬化物
が形成され基板上に微小レンズ、マイクロレンズアレ
イ、シリンドリカルレンズアレイまたはフレネルレンズ
などの光学素子やその他所定表面形状が得られる。
【0045】本発明では濡れ性の大きな表面微細凹凸区
域と濡れ性の小さな表面平滑区域が規則的に配列したパ
ターンでの表面エネルギーの違いと微細凹凸区域での毛
細管現象により凸部を形成させるので、表面エネルギー
差や微細凹凸の程度を制御することで得られる光学素子
その他の所定表面形状を制御することも可能になる。濡
れ性の差のみを利用する従来の方法ではチタンアルコキ
シドを含有する膜形成用液状組成物のような粘性が高く
て流動性が低いものの場合には、濡れ性の大きな区域へ
液状組成物が移動しにくくなるが、本発明では毛管現象
による吸引力が働くので粘性が高くて流動性が低い膜形
成用液状組成物も移動させることができるので、膜形成
用液状組成物として使用できる組成の範囲が拡大するこ
とになる。また本発明では毛管現象による吸引力が働く
ので従来に比して濡れ性の大きな区域に集合した膜形成
用液状組成物の形状の安定性が良好になり、その結果硬
化物例えばレンズの寸法精度が高くなる。
【0046】本発明に用いる下地基体としては、平板状
のものが好ましく用いられる。下地基体の材質は特に限
定されるものではないが、使用する膜形成用液状組成物
との濡れ性、膜形成用液状組成物の硬化物の膨張率やこ
の硬化物との密着性を考慮して、剥離や亀裂が生じない
ような基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
好ましい下地基体の材質の例として、珪酸塩系ガラス、
ホウ珪酸塩系ガラス等の酸化物ガラスその他の無機ガラ
ス、石英、透明セラミックス、光もしくは熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂、金属などを挙げることができる。光
学素子の用途にはこれらの中で無機ガラス、石英、透明
セラミックスのような耐熱性および透明性に優れた材料
が特に好ましく用いられる。
【0047】また本発明における下地基体として、所望
の波長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光
に対して透明な物体例えばガラス基板が用いられる場
合、本発明では、レンズ、導波路、回折格子、プリズム
などの透過型光学素子を更に複合させた機能を発揮する
ことができる。
【0048】本発明における光学素子その他の所定形状
を有する物品の製造方法においては前記膜形成用液状組
成物を表面微細凹凸区域が規則的に配列する基板表面に
塗布した後、100℃以上の温度で熱処理する、あるい
は熱処理後紫外光を照射することにより該パターン部の
表面微細凹凸区域に膜形成用液状組成物を誘導し所望の
物品を精度よく形成することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下に本発明を具体的に説明す
る。ただし、これらの実施例は本発明の理解を助けるも
のであって、特許請求の範囲を限定するものではない。 [実施例1] (1)アルミニウムキレート化合物溶液の調製と成膜 アルミニウム−sec−ブトキシド1.0モルをイソプ
ロパノール20モルで希釈したものにベンゾイルアセト
ン0.5モルを加えて約3時間撹拌することによりアル
ミニウムキレート化合物溶液とした。
【0050】厚み2.0mmで25mm×25mmのガ
ラス基板を上記溶液中に浸漬し1.11mm/秒の引き
上げ速度で引き上げることによりガラス基板の表面にデ
ィップコーティングし、塗布膜を形成した。次いで50
℃で30分間乾燥し、アモルファスアルミナキレート化
合物膜を被膜した。
【0051】(2)光照射および溶媒溶解 直径が150μmの円形開口部(光透過部分)が間隔
(円中心の間)175μmで碁盤目状に約20,000
個配置したフォトマスクを上記アルミニウムキレート化
合物膜を被覆したガラス基板の上に載せ、超高圧水銀灯
(「UIS−25102」 ウシオ電機製 250W、光
波長250nm〜450nm)から220〜310nm
の範囲の波長の光で23.0mW/cm2、310〜39
0nmの範囲の波長の光で73.0mW/cm2の照度で
20分間光照射した。このアルミニウムキレート化合物
膜の露光部においては、アルミニウムアルコキシドに配
位しているベンゾイルアセトン錯体は、光を吸収するこ
とにより解裂し、アルミニウムキレート化合物膜はアモ
ルファスアルミナ膜へと変化した。
【0052】次いでこの光照射膜を溶媒である1.2体
積%の硝酸を含むアセトン溶液で1分間洗浄した。これ
によって未反応部分である光非露光部分だけが、溶媒に
溶解して除去され、直径が150μmの光露光部分のみ
が175μm間隔で残存したアモルファスアルミナパタ
ーンを形成することができた。
【0053】(3)温水処理 続いて上記アルミナパターニング基板を約100℃の温
水中に20分間浸漬する温水処理を行い、次いで室温で
乾燥した。得られたパターン膜付き基板は高い透明性を
示し、175μmの間隔で形成された直径150μmの
アルミナ膜部分について原子間力顕微鏡(AFM)観察を
行ったところ、平均粗さRa値が24nmで比表面積SR
値が1.8である微細凹凸組織(花弁状アルミナ組織)
を有しており、アルミナパターンは花弁状アルミナパタ
ーンへと変化していることがわかった。
【0054】(4)FASのゾルの調製と成膜 イソプロパノール2.0モルで希釈したヘプタデカフル
オロデシルトリメトキシシラン(FAS)0.01モル
に、硝酸を0.06重量%溶解した水0.02モルを加
え攪拌してFASゾルを得た。
【0055】上記の花弁状アルミナパターン膜付き基板
とフラスコに入れた上記FASゾルを密閉された電気炉
中に置き、240℃で20分間加熱して、花弁状アルミ
ナパターン膜上に数nmの膜厚のFAS膜を蒸着被覆し
た。
【0056】(5)フェニルシルセスキオキサンゾルの
調製と成膜およびレンズアレイの形成 フェニルトリエトキシシラン1モルをエタノール1.5
モルで希釈し、1.44重量%で塩酸を溶解した水4モ
ルを加え約2時間撹拌することによりフェニルトリエト
キシシランを加水分解・縮重合してフェニルシルセスキ
オキサン(PhSiO3/2)ゾルを得た。
【0057】前述の花弁状アルミナパターン膜付き(F
AS層なし)基板を上記フェニルシルセスキオキサンゾ
ルの浴中に浸漬し1.11mm/秒の引き上げ速度で引
き上げることによりガラス基板上の花弁状アルミナパタ
ーン膜表面にフェニルシルセスキオキサンゾルをディッ
プコーティングした。これを室温で約15時間乾燥して
ゲル膜とした。このゲル膜は花弁状アルミナパターン膜
付き基板表面にほぼ均一な厚みで広がり、その膜厚みは
約1μmであり、溶媒の蒸発によりこのゾルは流動性を
失ってゲル化して固体状になっていた。次にこのゲル化
膜を200℃に保ったところ約10分経過の時点でゲル
に流動性が生じて液状となり、非露光部で溶媒除去され
露出したガラス基板の上にあったゲルは移動して花弁状
アルミナ部(直径150μmの円形)の上に集合してレ
ンズ形状を形成した。この加熱を更に20分続けたとこ
ろ、花弁状アルミナ部の凸部は完全にゲル化して硬化し
た直径120μmのレンズを形成し、基板の表面に約2
0,000個のレンズが固着したマイクロレンズアレイ
が得られた。レンズのトップ部とボトムの間の厚みは約
3μmであった。形成されたレンズアレイを原子間力顕
微鏡(AFM)を用いて測定した3次元表面プロファイ
ルを図1に示す。またこのレンズアレイの1個のレンズ
の断面プロファイルを図3に示す。なお、上記の200
℃に保って流動性が生じたゲルは花弁状アルミナ部での
接触角は約3度であり、上記ガラス基板での接触角は約
10度であった。
【0058】前記成形したレンズ厚みのばらつきを5点
評価したところ3±0.1μmであり誤差は約±3.3
%であった。焦点距離を測定したところ761±20μ
mであり誤差は±2.6%であった。さらにこの材料の
波長400から2500nmの光の透過性を評価したと
ころ通信帯の波長域で問題となるような吸収はないこと
を確認した。また基板との密着性も良好であり、基板周
辺部の切断や洗浄時にも基板からのレンズの剥離はなか
った。
【0059】上記のマイクロレンズアレイについて、3
00℃で2時間保持する耐熱試験を行った後、室温に戻
して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱性
を評価した。その結果、レンズおよび基板に亀裂や剥離
は生じず、すべてのレンズの焦点距離は耐熱試験前と変
わらなかった。
【0060】[実施例2] チタンを含有するフェニルシルセスキオキサンゾルの調
製と成膜およびレンズアレイの形成 フェニルトリエトキシシラン0.95モルをエタノール
1モルで希釈し、1.44重量%で塩化水素を溶解した
水4モルを加え、約30分間攪拌した。これに0.05
モルのチタンのアセト酢酸エチル錯体を加え、さらに約
30分攪拌し、チタンを含有するフェニルシルセスキオ
キサンゾルを得た。
【0061】実施例1と同様の方法で、花弁状アルミナ
パターン膜付き(FAS層なし)基板上に上記チタンを
含有するフェニルシルセスキオキサンゾルをコーティン
グ、乾燥し、200℃処理によりレンズアレイを形成し
た。得られたレンズ部の屈折率は1.55であった。な
お実施例1で作製したレンズの屈折率は1.53であ
り、屈折率の制御が可能であることが示された。なお、
上記の200℃に保って流動性が生じたゲルは花弁状ア
ルミナ部での接触角は2度であり、上記ガラス基板での
接触角は9度であった。
【0062】[実施例3] チタン等を含有するフェニルシルセスキオキサンゾルの
調製と成膜およびレンズアレイの形成 フェニルトリエトキシシラン0.45モル、ジフェニル
ジエトキシシラン0.45モルをエタノール1モルで希
釈し、1.44重量%で塩化水素を溶解した水4モルを
加え、約30分間攪拌した。これに0.10モルのチタ
ンのアセト酢酸エチル錯体を加え、さらに約30分攪拌
し、チタン等を含有するフェニルシルセスキオキサンゾ
ルを得た。
【0063】実施例1と同様の方法で、花弁状アルミナ
パターン膜付き(FAS層なし)基板上に上記チタン等
を含有するフェニルシルセスキオキサンゾルをコーティ
ング、乾燥し、200℃処理によりレンズアレイを形成
した。この時できたレンズ部の屈折率は1.58であっ
た。なお実施例1で作製したレンズの屈折率は1.53
であり、屈折率の制御が可能であることが示された。な
お、上記の200℃に保って流動性が生じたゲルは花弁
状アルミナ部での接触角は4度であり、上記ガラス基板
での接触角は11度であった。
【0064】[実施例4] メチルシルセスキオキサンを含有するフェニルシルセス
キオキサンゾルの調製と成膜およびレンズアレイの形成 フェニルトリエトキシシラン0.60モル、メチルトリ
エトキシシラン0.40モルをエタノール1.5モルで
希釈し、1.44重量%で塩化水素を溶解した水4モル
を加え、約30分攪拌し、メチルシルセスキオキサンを
含有するフェニルシルセスキオキサンゾルを得た。
【0065】実施例1と同様の方法で、花弁状アルミナ
パターン膜付き(FAS層なし)基板上に上記メチルシ
ルセスキオキサンを含有するフェニルシルセスキオキサ
ンゾルをコーティング、乾燥し、200℃処理によりレ
ンズアレイを形成した。この時できたレンズ部の屈折率
は1.50であった。実施例1で作製したレンズの屈折
率は1.53であり、屈折率の制御が可能であることが
示された。なお、上記の200℃に保って流動性が生じ
たゲルは花弁状アルミナ部での接触角は2度であり、上
記ガラス基板での接触角は9度であった。
【0066】[実施例5]実施例1で得られたFAS層
が被覆された花弁状アルミナパターン膜付き基板に実施
例1に使用したフェニルシルセスキオキサンゾルを用い
て引き上げ速度3.03mm/秒でディップコーティン
グにより成膜し、その後室温で約15時間乾燥した。次
にこのゲル化膜を200℃で30分間加熱したところ、
実施例3と同じようにゲル膜が軟化してFASが被覆さ
れた花弁状アルミナ部(直径150μmの円形)の上に
集合して凸部を形成した後に、完全にゲル化して硬化し
た直径120μmの半球状のレンズを形成し、基板の表
面に約20,000個のレンズが固着したマイクロレン
ズアレイが得られた。レンズの頂点とボトムの間の厚み
は約8μmであった。形成されたレンズアレイを原子間
力顕微鏡(AFM)を用いて測定した3次元表面プロフ
ァイルを図2に示す。またこのレンズアレイの1個のレ
ンズの断面プロファイルを図4に示す。FAS層を被覆
した場合の図4はFAS層を被覆しない場合(実施例
1)の図3に比して凸部の立ち上がり部の傾斜が急角度
であり、花弁状アルミナの上に集合したフェニルシルセ
スキオキサンゾルの周辺部における接触角がFASの存
在により大きくなっていることがわかる。なお、上記の
200℃に保って流動性が生じたゲルはFAS付き花弁
状アルミナ部での接触角は約40度であり、上記FAS
付きガラス基板での接触角は約75度であった。
【0067】前記形成したレンズの厚みのばらつきを5
点評価したところ8±0.3μmであり誤差は約±3.
8%、曲率半径は253±8μmであり誤差は約±3.
2%であった。焦点距離を測定したところ333±22
μmであり誤差は±6.5%であった。さらにこの材料
の波長400から2500nmの光の透過性を評価した
ところ通信帯の波長域で問題となるような吸収はないこ
とを確認した。また基板との密着性もよく切断や洗浄時
にも基板からのレンズの剥離はなかった。
【0068】上記のマイクロレンズアレイについて、3
00℃で2時間保持する耐熱試験を行った後、室温に戻
して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱性
を評価した。その結果、レンズおよび基板に亀裂や剥離
は生じず、すべてのレンズの焦点距離は耐熱試験前と変
わらなかった。
【0069】[実施例6]実施例1で得られたFAS層
が被覆された花弁状アルミナパターン膜付き基板に実施
例2で使用したチタンを含有するフェニルシルセスキオ
キサンゾルをレンズ形成材料としてコーティング、乾燥
し、200℃で処理してレンズアレイを形成した。
【0070】[実施例7]実施例1で得られたFAS層
が被覆された花弁状アルミナパターン膜付き基板に実施
例3で使用したチタンを含有するフェニルシルセスキオ
キサンゾルをレンズ形成材料としてコーティング、乾燥
し、200℃で処理してレンズを形成した。
【0071】[実施例8]実施例1で得られたFAS層
が被覆された花弁状アルミナパターン膜付き基板に実施
例4で使用したメチルシルセスキオキサンを含有するフ
ェニルシルセスキオキサンゾルをレンズ形成材料として
コーティング、乾燥し、200℃で処理してレンズアレ
イを形成した。
【0072】[実施例9] シリカゾルの調製と成膜およびレンズアレイの形成 水に分散した20重量%のコロイダルシリカにポリエチ
レングリコール(平均分子量200)を20重量%とな
るよう加え、約1時間攪拌し、シリカゾルを得た。
【0073】実施例1で得られたFAS層が被覆された
花弁状アルミナパターン膜付き基板上に上記シリカゾル
を基板回転速度3000rpm、保持時間5秒でスピン
コーティングしたところ、花弁状アルミナ部分にのみ付
着した。これを150℃で30分間乾燥してマイクロレ
ンズアレイを得た。
【0074】[実施例10]実施例1で得られたFAS
層が被覆された花弁状アルミナパターン膜付き基板表面
に、UV硬化樹脂(フッ素化エポキシ系樹脂:ダイキン
工業製UV―3200)0.01gを液体精密定量吐出
装置(武蔵エンジニアリング社製ディスペンサー)にて
吐出した後、ドライエアーを吹き付けることで花弁状ア
ルミナパターン膜付き基板表面にほぼ均一な厚みに広げ
た。次にこれを100℃に保ったところ約10分経過の
時点で、非露光部で溶媒除去され露出したガラス基板の
上にあった樹脂は移動して花弁状アルミナ部(直径15
0μmの円形)の上に集合した。この後高圧水銀灯(ウ
シオ電機製 240W)から365nmの範囲の波長の
光で88.9mW/cm2の照度で2.5分間光照射する
ことにより、直径120μmの花弁状アルミナ部に集合
した樹脂は硬化しレンズが得られた。レンズの頂点とボ
トムの厚みは約4μmであった。
【0075】前記形成したレンズ材料の波長400nm
から2500nmの光の透過性を評価したところ通信帯
の波長域で問題となるような吸収はなくレンズ部の屈折
率は1.48であった。
【0076】[実施例11]大きさ約25mm×25m
m、厚さ約1mmのポリカーボネート基板を中性洗剤、
水すすぎ、アルコールで順次洗浄し、乾燥したあとコー
ティング用基板とした。アルミニウム−sec−ブトキ
シド(Al(O-sec-Bu)3)1.0モルをイソプロパノール
20モルで希釈したものにベンゾイルアセトン0.5モ
ルを添加した。これを約3時間室温で撹拌し、アルミニ
ウムキレート化合物溶液を得た。
【0077】次いで、前記ポリカーボネート基板を、該
塗布液中に浸漬した後、ディッピング法(約1mm/秒
の引き上げ速度)で、基板の表面に塗布膜を形成した。
続いて、室温で30分乾燥して、透明なアモルファスア
ルミナ膜を被膜した。
【0078】実施例1で用いたのと同じフォトマスクお
よび光源を用いて、同じ条件で光照射し、溶媒で溶解し
た。それにより、ポリカーボネート基板の表面に直径1
50μmで175μm間隔のアモルファスアルミナがパ
ターンを形成していた。次に、約60℃の温水中に所定
時間浸漬する温水処理を行い、室温で再び乾燥した。得
られたアルミナ薄膜は可視域で高い透過率を示し、膜厚
は約200nmであった。この透明アルミナ薄膜(直径
150μmで175μm間隔で被覆)が被覆されたポリ
カーボネート基板は、そのアルミナ薄膜部部分では19
nmの面粗さRaおよび1.7の比表面積SRを有する微
細凹凸表面(花弁状アルミナ構造)を有していた。そし
て露出されたポリカーボネート部分は1nmの面粗さR
aおよび1.0の比表面積SRを有する平滑表面を有し
ていた。
【0079】上記花弁状アルミナパターン膜付きポリカ
ーボネート基板上に実施例1と同様の方法で、上記チタ
ンを含有するフェニルシルセスキオキサンゾルをコーテ
ィング、乾燥し、200℃処理によりレンズを形成し
た。得られたレンズ部の屈折率は1.55であった。
【0080】このように本実施例においてはアルミニウ
ムキレート化合物塗膜に光照射し溶媒で洗浄すること
で、アルミナパターンを形成した後、アルミナ部分を温
水に浸漬することで表面微細凹凸を有する花弁状アルミ
ナパターンへと変化させ、その表面微細凹凸パターンで
の表面エネルギー差と微細凹凸組織の毛細管現象により
膜形成用液状組成物を微細凹凸区域に凸部を形成するも
のである。このとき特定の膜形成用液状組成物を用いた
場合には、被覆段階で花弁状アルミナパターン全面に均
一膜厚で成膜し、乾燥および加熱することにより一旦固
体状であった膜形成用液状組成物が液滴状態になり表面
エネルギー差と毛細管現象により微細凹凸区域に凸部が
形成される。膜形成用液状組成物は微細凹凸表面に入り
込んで硬化するので優れた密着性が得られる。
【0081】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
微細凹凸区域が規則的に配列したパターンを用いて表面
エネルギー差と毛細管現象を利用することにより簡単な
工程で基板との密着性に優れ、高精度を有し、かつ広い
組成範囲を有する光学素子その他の所定表面形状を有す
る物品の製造を可能にしている。また膜形成用液状組成
物として前記加水分解性化合物を使用する場合には耐熱
性に優れた所定表面形状を有する物品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1により得られたマイクロレ
ンズアレイの3次元表面プロファイルを示す斜視図。
【図2】 本発明の実施例5により得られたマイクロレ
ンズアレイの3次元表面プロファイルを示す斜視図。
【図3】 本発明の実施例1により得られたマイクロレ
ンズアレイの1個のレンズの断面プロファイルを示すグ
ラフ。
【図4】 本発明の実施例5により得られたマイクロレ
ンズアレイの1個のレンズの断面プロファイルを示すグ
ラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 忠永 清治 大阪府堺市長曾根町256−1 フローネ中 央401 (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ヶ丘中町12−5 (72)発明者 佐々木 輝幸 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 (72)発明者 中村 浩一郎 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 (72)発明者 山本 博章 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 Fターム(参考) 4F204 AA36 AA44 AA49 AD03 AD04 AD05 AF01 AH74 AH75

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 濡れ性の大きな区域と濡れ性の小さな区
    域とが規則的に配列されているパターン表面を成形表面
    として有する基材の該成形表面に膜形成用液状組成物を
    付着させ、次いで前記組成物を硬化して前記濡れ性の大
    きな区域で硬化物が形成される所定表面形状を有する物
    品の製造方法において、前記基材の濡れ性の大きな区域
    は微細凹凸表面を有しそして前記濡れ性の小さな区域は
    平滑表面を有することを特徴とする所定表面形状を有す
    る物品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基材の濡れ性の大きな区域は10n
    m以上の面粗さRaおよび1.2以上の比表面積SRを有
    する微細凹凸表面を有しそして前記濡れ性の小さな区域
    は5nm以下の面粗さRaおよび1.0の比表面積SRを
    有する平滑表面を有する請求項1に記載の所定表面形状
    を有する物品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基材の濡れ性の大きな区域は50n
    m以下の面粗さRaおよび20以下の比表面積SRを有す
    る微細凹凸表面を有しそして前記濡れ性の小さな区域は
    2nm以下の面粗さRaを有する平滑表面を有する請求
    項2に記載の所定表面形状を有する物品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記液状組成物は前記形成表面に付着さ
    れてから硬化物になるまでのいずれかの段階で、濡れ性
    の大きな区域の表面に対して90度以下の接触角Aを有
    しかつ濡れ性の小さな区域の表面に対して前記接触角A
    よりも5度以上大きい接触角Bを有する請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の所定表面形状を有する物品の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記液状組成物は加水分解と縮重合可能
    な加水分解性化合物、その加水分解物およびその縮重合
    物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含
    有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の所定表面形
    状を有する物品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記液状組成物は加熱された縮重合物の
    状態で濡れ性の大きな区域の表面に対して90度以下の
    接触角Aを有しかつ濡れ性の小さな区域の表面に対して
    前記接触角Aよりも5度以上大きい接触角Bを有するも
    のであり、前記液状組成物を前記成形表面の全面に付着
    させ、前記液状組成物を前記縮重合物の状態に加熱して
    前記縮重合物を濡れ性の大きな区域に集合させる請求項
    5に記載の所定表面形状を有する物品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記液状組成物は光もしくは熱硬化性樹
    脂の原料を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の所定表面形状を有する物品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液状組成物は加熱された状態で濡れ
    性の大きな区域の表面に対して90度以下の接触角Aを
    有しかつ濡れ性の小さな区域の表面に対して前記接触角
    Aよりも5度以上大きい接触角Bを有するものであり、
    前記成形表面の全面に前記液状組成物を付着させ、前記
    液状組成物を加熱してその加熱物を濡れ性の大きな区域
    に集合させる請求項7に記載の所定表面形状を有する物
    品の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記パターン表面を成形表面として有す
    る基材は、加水分解および縮重合可能な金属化合物を含
    む感光性溶液を、表面が5nm以下の面粗さRaおよび
    1.0の比表面積SRを有する下地基体の表面に塗布し
    て膜を形成し、この塗膜にパターン状に光照射し、塗膜
    の非露光部分を溶媒で溶解、除去した後、塗膜の露光部
    分を温水に接触させることにより10nm以上の面粗さ
    Raおよび1.2以上の比表面積SRを有する金属酸化物
    膜を下地基体の露光部分表面に形成させることによって
    得られる請求項1〜8のいずれか1項に記載の所定表面
    形状を有する物品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記感光性溶液中の金属化合物はアル
    ミニウムアルコキシドのキレート化合物である請求項8
    に記載の所定表面形状を有する物品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記下地基体は無機ガラス、光もしく
    は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂または金属からなる請求
    項9または10に記載の所定表面形状を有する物品の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記成形表面は、そのパターン表面の
    全体の上に撥水性基を有する化合物の薄層を設けてある
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の所定表面形状を
    有する物品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記撥水性基を有する化合物はアルキ
    ル基含有シラン化合物またはフルオロアルキル基含有シ
    ラン化合物である請求項12に記載の所定表面形状を有
    する物品の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記液状組成物中の加水分解性化合物
    はケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、スズ
    およびアンチモンよりなる群から選ばれた少なくとも1
    種の元素のアルコキシドまたはキレート化合物である請
    求項5または6に記載の所定表面形状を有する物品の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記液状組成物中の加水分解性化合物
    は、下記式(1)、 YnSiX4-n ・・(1) ここでYはアルキル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ
    基、フェニル基またはベンジル基を示し、Xはそれぞれ
    独立にアルコキシル基またはハロゲンを示し、nは0ま
    たは1である、で表されるケイ素化合物である請求項5
    または6に記載の所定表面形状を有する物品の製造
  16. 【請求項16】 前記式(1)におけるYがアルキル基
    またはフェニル基であり、Xがメトキシル基またはエト
    キシル基であり、nが1である請求項15に記載の所定
    表面形状を有する物品の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記液状組成物は、前記ケイ素化合物
    の他にさらに、下記式(2)、 R2SiQ2 ・・(2) ここでRはそれぞれ独立にアルキル基、ビニル基、アミ
    ノ基、エポキシ基、フェニル基またはベンジル基を示
    し、Qはそれぞれ独立にアルコキシル基またはハロゲン
    を示す、で表されるケイ素化合物を含有する請求項15
    または16に記載の所定表面形状を有する物品の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記液状組成物は、前記ケイ素化合物
    の他にさらに、前記加水分解性化合物として、チタンア
    ルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウム
    アルコキシドおよびこれらのキレート化合物よりなる群
    から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、その加水分
    解物またはその縮重合物を含有する請求項14〜17の
    いずれか1項に記載の所定表面形状を有する物品の製造
    方法。
  19. 【請求項19】 前記縮重合物の前記加熱温度は100
    ℃〜300℃である請求項6に記載の所定表面形状を有
    する物品の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記所定表面形状を有する物品が、微
    小レンズアレイ、シリンドリカルレンズアレイまたはフ
    レネルレンズである請求項1〜19のいずれか1項に記
    載の所定表面形状を有する物品の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009017305A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Hoya Corp 防塵性光透過性部材の製造方法、その部材の用途、及びその部材を具備する撮像装置
JP2010532492A (ja) * 2007-07-03 2010-10-07 オプトメカ コーポレイション リミテッド 異なる素材からなるレンズユニット及びこれを備えるカメラモジュール、並びにその製造方法
KR101410794B1 (ko) 2012-11-15 2014-06-24 노명재 엘이디 조명용 광 조정 광학계 및 이를 포함하는 엘이디 조명

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