JP2001129474A - 膨らみパターンの形成方法および当該パターンを有する基体 - Google Patents

膨らみパターンの形成方法および当該パターンを有する基体

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JP2001129474A
JP2001129474A JP31208899A JP31208899A JP2001129474A JP 2001129474 A JP2001129474 A JP 2001129474A JP 31208899 A JP31208899 A JP 31208899A JP 31208899 A JP31208899 A JP 31208899A JP 2001129474 A JP2001129474 A JP 2001129474A
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Tsutomu Minami
努 南
Masahiro Tatsumisuna
昌弘 辰巳砂
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Atsunori Matsuda
厚範 松田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】エッチング工程や型によるエンボス工程を必要
としない全く新しい凹凸パターンの形成方法を提供。 【解決手段】撥水性部分と親水性部分からなるパターン
の水に対する接触角差を80度以上にして親水性物質の
堆積部分の選択性を向上させる。また、撥水性部分に微
細凹凸組織を有する下地層と撥水性を有する最上層を設
けて接触角の親水部分との差を80度以上にする。撥水
/親水パターンの解像度を向上させるため、光分解活性
を有する中間層を下地層と最上層の間に設け、フォトマ
スクを介した光照射による撥水性を有する表面層の選択
的分解、親水化を可能とする。親水性流体としてコロイ
ダルシリカと水を含む液体を用いて堆積の選択性を向上
させ、大きな膨らみ形状の形成を可能にする。特に熱可
塑性微粒子が分散した液体を用いて、さらに大きな膨ら
みパターンの形成を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明によって得られる膨ら
みパターンの形成方法は、エッチング工程や型によるエ
ンボス工程を必要としない全く新しい凹凸パターンの形
成方法であり、種々の基体上に、金属酸化物、有機高分
子、有機-無機複合体などのパターンを形成することが
できる。本発明の膨らみパターン付き基体は、印刷、光
通信、表示素子、半導体素子などの技術分野に応用でき
る。特に、透明材料を選択することにより、マイクロレ
ンズ、光導波路、透明電極などが作製可能になる。
【0002】
【従来技術】基体に表面凹凸パターンを形成する手法と
して、いくつかの方法が既に知られている。基板上にフ
ォトレジストを形成し、マスクを通して露光を行い、現
像後さらにエッチングを行うことにより基体に凹凸パタ
ーンを形成するフォトリソグラフィー法が知られてい
る。また、基体上に光硬化性樹脂を塗布した後、ニッケ
ル製スタンパを押合し、光硬化後離型することにより基
体に凹凸を形成するいわゆる2P法が知られている。さ
らに、基体に熱硬化性の塗布膜を形成し、型プレスを行
いながら熱硬化を行うエンボス法が知られている。
【0003】最近、自己組織化単分子層による固体表面
の濡れ性の差を利用したパターンの形成が報告されてい
る。本方法では、アルキル鎖の末端に親水性官能基を有
する界面活性剤をい用いて自己組織膜を形成し、この上
に、水溶性ポリマーを選択的に堆積させて表面凹凸パタ
ーンを形成している。
【0004】例えば、シリコン基板上にオクタデシルシ
ロキサンを用いて自己組織単分子膜を形成し、この上に
水溶性ポリマーであるポリメチルメタクリレートを選択
的に堆積させて、エッチングのマスクとして作用させ、
シリコン基板上にエッチングにより微細溝パターンが形
成できることが、報告されている(Y. Xia et
al., Journal of American
ChemicalSociety, 177, 95
76?9577 (1995).)。また、シリコン基
板上にオクタデシルシロキサンを用いて自己組織単分子
膜を形成し、この上にタンタルエトキシドのエタノール
溶液を塗布して硬化させ、付着力の差を利用して、研磨
によって選択的に酸化タンタル層をはく離させ、シリコ
ン基板上に酸化タンタルの微細パターンを形成した例が
報告されている(J. Aizenberg et a
l., Nature, 389, 495−498
(1999).)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のフォトリソ
グラフィー法では、基本的にエッチングによって基板も
しくは基板上の膜を選択的に溶解除去する方法であり、
形成できる形状に制限があり、例えば球面レンズやレン
チキュラーレンズなどの膨らみパターンを形成すること
は不可能であり、また特に印刷や光学素子に必要な、ミ
クロンオーダの形状を基板に付与することはできなかっ
た。
【0006】一方、2P法やエンボス法においては、一
般に光硬化性樹脂を用いているため、得られる素子の耐
熱性は、樹脂の耐熱性で決定され、高温安定性が悪いと
いう問題点があった。また、得られるパターンの表面平
滑性は、用いる型の表面平滑性によって決定されるため
高い表面平滑性を実現することが非常に難しい。
【0007】最近注目されている、固体の表面エネルギ
ー差を利用して選択的に親水部分に膜を形成し、凹凸パ
ターンを形成する方法に関しても、撥水性部分と親水性
部分の水に対する接触角差が、高々80度程度であるた
め、選択性が低く、親水部分のみならず疎水部分にも膜
の一部が形成されたり、親水部分に厚く堆積することが
できないために、大きな膨らみ形状は形成できない等の
非常に大きな問題点があった。従って、マイクロレンズ
アレイ、レンチキュラーレンズを作製することができな
かった。さらに従来の固体の表面エネルギー差を利用し
て選択的に親水部分に膜を形成し、凹凸パターンを形成
する方法では、自己組織単分子膜の形成にマイクロプリ
ンティング等の接触方式を採用しているため、親水性部
分と疎水性部分の精細性すなわち解像度に限界があり、
数ミクロンのピッチでパターンを形成することは、不可
能であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、膨らみパタ
ーンを形成するために、従来の物質の溶解や光硬化や熱
硬化の作用を利用するのではなく、固体表面のエネルギ
ー差を利用している。つまり、基体上に撥水性部分と親
水性部分からなるパターンを形成した後、親水的流体も
しくは疎水的流体を該撥水/親水パターン付き基体に塗
布して、固体の表面エネルギー差を利用して選択的に親
水部分もしくは疎水性部分に凝集させ、次いでその流体
を固化させることにより基体上に膨らみパターンを形成
する。
【0009】本発明では、撥水性部分と親水性部分から
なるパターンの撥水性部分と親水性部分の水に対する接
触角差を、80度以上にすることにより、親水性物質の
堆積部分の選択性を向上させている。また、撥水性部分
に、微細凹凸組織を有する下地層と撥水性を有する最上
層を設けることにより接触角の親水部分との差を80度
以上にしている。
【0010】撥水/親水パターンの解像度を向上させる
目的で、本発明では、光分解活性を有する中間層を下地
層と最上層の間に設け、フォトマスクを介した光照射に
よる撥水性を有する表面層の選択的分解、親水化を可能
にしている。
【0011】本研究における親水性流体として、コロイ
ダルシリカと水を少なくとも含む液体を用いることによ
り堆積の選択性を向上させ、大きな膨らみ形状の形成を
可能にしている。また、特に熱可塑性を有する微粒子が
分散した液体を用いることにより、さらに大きな膨らみ
パターンの形成を可能にしている。
【0012】
【発明の実施の形態】前記80度以上の水に対する接触
角差は、撥水性部分に、微細凹凸組織を有する下地層/
光触媒活性を有する中間層/撥水性を有する表面層と
し、親水性部分を該撥水性部分に光照射を選択的に行
い、中間層の光分解活性を利用して、撥水性を有する表
面層を分解させ、以て親水化することにより実現でき
る。
【0013】上記、微細凹凸組織を有する下地層は、基
体表面を直接荒らす手法あるいは、微細凹凸組織を有す
る膜を形成する手法で設けることができる。基体表面を
直接荒らす手法としては、研磨等で機械的に基体表面を
荒らす方法や、エッチング等で化学的に基体表面を荒ら
す方法が挙げられる。微細凹凸組織を有する膜を形成す
る手法としては、ゾル−ゲル法を用いてアルミナゲル膜
を形成し、さらにこれを温水処理することにより、花弁
状凹凸組織を形成する方法が挙げられる。本方法によれ
ば、非常に微細な凹凸パターンが形成できるので好まし
い。
【0014】ゾル−ゲル法による花弁状凹凸組織を有す
るアルミナ膜の作製における、出発原料としては、アル
ミニウムアルコキシド、アルミニウム錯体、硝酸アルミ
ニウム、硫酸アルミニウムが挙げられる。なかでもアル
ミニウムアルコキシドが好ましい。アルコキシドとして
は、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイ
ソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミ
ニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-ter-ブトキシド
などが挙げられる。必要に応じて安定化剤を添加するこ
とが好ましい。
【0015】また、前記安定化剤としては、例えば、ア
セチルアセトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロア
セチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベ
ンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ?ジケ
トン化合物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、
アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸−
iso−プロピル、アセト酢酸−tert−ブチル、ア
セト酢酸−iso−ブチル、アセト酢酸−2−メトキシ
エチル、3−ケト−n−バレリック酸メチルなどの、β
−ケトエステル化合物類;さらには、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど
の、アルカノールアミン類等を挙げることができる。
【0016】また、塗布溶液には必要に応じて希釈溶媒
を用いる。希釈溶媒としては、例えばメタノール、エタ
ノール、ブタノール、エチレングリコールもしくはエチ
レングリコール?モノ?n?プロピルエーテルなどのアル
コール類;n?ヘキサン、n?オクタン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂
肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシ
レン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;
ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n?ブチル、エチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
イソプロピルエーテルのような各種のエーテル類;クロ
ロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素。テトラク
ロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N?メ
チルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルア
セトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロト
ン性極性溶剤等が挙げられる。
【0017】本発明で使用される下地層を形成するため
の塗布溶液を調製するにあたり、溶液の安定性の点から
上述した各種の溶剤類のうちアルコール類を使用するこ
とが好ましい。また、アルミニウムアルコキシドと安定
化剤を塗布溶液を調製する際には、必要に応じて水を添
加して、金属に結合したアルコキシ基を部分的に加水分
解してもよい。水を添加する際の添加量は比較的自由に
設定できるが、アルミニウムアルコキシド1モルあたり
1から4程度にすることが好ましい。
【0018】アルミニウムアルコキシドと安定化剤を含
有する塗布溶液には、アルコキシ基の加水分解を促進し
たり、脱水縮合反応を促進するための触媒を添加するこ
とができる。触媒の代表的なものとしては、硝酸、塩
酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニアなどが挙げられる。
【0019】前記手法によって作製したアルミニウム化
合物のゲル膜は、室温で30分程度乾燥させればよい。ま
た、必要に応じてさらに高い温度で乾燥させることも可
能である。
【0020】次いで、前記アルミニウム化合物のゲル膜
を温水に浸漬処理することにより微細凹凸組織を有する
薄膜を基体に形成する。温水の温度は50℃から100
℃とすることが好ましい。温水の温度は、基体の耐熱性
等に鑑みて決定されるが、温度が低いほど微細凹凸組織
を完全に形成するためには長い時間を要するようにな
る。
【0021】温水に該アルミニウム化合物ゲル膜付き基
体を浸漬することで、該アルミニウム化合物ゲル膜の表
層表面が解膠作用等を受ける。これにより、特異な微小
な孔状の空隙を持って特異な花弁状形状がランダムに集
合体化した表層表面を有するものと成り、目的とする特
異な空隙と形状の微細凹凸を形成することができ、その
機能や性能をより発揮する膜とすることができる。な
お、熱水処理時間としては約5分間ないし24時間程度
である。
【0022】さらに、例えば約100℃以下で乾燥を行
う。または該乾燥後、基体の耐熱性に応じて焼成を行う
こともできる。高分解能透過型電子顕微鏡による観察結
果、温水処理によって形成される凹凸組織は、主にベー
マイト層の生成に起因していることがわかっている。な
お、該花弁状透明アルミナ膜の膜厚としては、任意に設
定できるが約50ナノメーター以上400ナノメーター
以下程度が好ましい。
【0023】前記光触媒活性を有する中間層は、チタン
化合物が高い触媒活性を有するのでチタン化合物あるい
はチタン化合物を含有する複合体とすることが好まし
い。チタン化合物としては、非晶質、アナターゼ型およ
びルチル型のチタニアに加えて、チタニウムアセチルア
セトナト等の錯体およびこれらの加水分解重縮合物が好
ましい。
【0024】ゾル−ゲル法によるチアニア膜の作製にお
ける、出発原料としては、チタニウムアルコキシド、チ
タニウム錯体、硫酸チタニウムが挙げられる。なかでも
チタニウムアルコキシドが好ましい。アルコキシドとし
ては、例えば、イソプロポキシド、チタニウム-n-ブト
キシド、チタニウム-sec-ブトキシド、チタニウム-ter-
ブトキシドなどが挙げられる。必要に応じて前記上述の
β?ジケトン化合物類、β?ケトエステル化合物類および
アルカノールアミン類などの安定化剤を添加することが
好ましい。
【0025】塗布溶液には必要に応じて希釈溶媒を用い
る。希釈溶媒としては、アルコール類、各種の脂肪族系
ないしは脂環族系の炭化水素類、各種のエステル類、各
種のケトン類、各種のエーテル類、各種の塩素化炭化水
素類および非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
【0026】本発明で使用される中間層を形成するため
の塗布溶液を調製するにあたり、溶液の安定性の点から
上述した各種の溶剤類のうちアルコール類を使用するこ
とが好ましい。また、チタニウムアルコキシドと安定化
剤を塗布溶液を調製する際には、必要に応じて水を添加
して、金属に結合したアルコキシ基を部分的に加水分解
してもよい。水を添加する際の添加量は比較的自由に設
定できるが、チタニウムアルコキシド1モルあたり1か
ら4程度にすることが好ましい。
【0027】チタニウムアルコキシドと安定化剤を含有
する塗布溶液には、アルコキシ基の加水分解を促進した
り、脱水縮合反応を促進するための触媒を添加すること
ができる。前記手法によって作製したアルミニウム化合
物のゲル膜は、室温で30分程度乾燥させればよい。ま
た、高い光触媒活性を実現するためには、300℃以上
で熱処理を行い、アナターゼ結晶を生成することが好ま
しい。
【0028】チタン化合物を含有する複合体系中間層と
しては、チタニア-シリカ、チタニア-アルミナ、チタニ
ア-ジルコニアなどの複合酸化物が挙げられる。
【0029】なお、該光分解活性を有する中間層の膜厚
としては、下地層の微細表面組織の形状を損なわない範
囲で任意に設定できるが数ナノメーターから数百ナノメ
ーターが好ましい。
【0030】前記撥水性を有する表面層は、オルガノシ
ラン化合物を出発原料の一つとすることがこのましい。
オルガノシラン化合物を出発原料に用いた撥水性を有す
る表面層は、ゾル−ゲル法、蒸着法などによって形成す
ることができる。
【0031】前記上述したオルガノシラン化合物として
は、珪素原子に結合した加水分解性基の少なくとも1個
と珪素原子に結合した有機基の少なくとも1個を併有す
るオルガノシラン化合物とか各種のシリケート化合物が
挙げられる。かかるオルガノシラン化合物において、珪
素原子に結合した加水分解性基とは、アルコキシ基、置
換アルコキシ基、アルケニルオキシ基、イミノオキシ
基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン
原子、水素原子の如き、加水分解により珪素原子に結合
した水酸基、即ち、シラノール基、を形成する基を指称
するものである。そして、珪素原子に結合した有機基の
代表的なものとしては、珪素?炭素結合を介して、アル
キル基、各種の置換基が結合した置換アルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル
基の如き各種の有機基が挙げられる。
【0032】上記した有機基のうちでアルキル基の代表
的なものとしては、メチル基、エチル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル
基など炭素数が1−30のアルキル基が挙げられる。置
換基アルキル基の代表的なものとしては、3−グリシド
キシプロピル基、3−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピル基などの3−置換プロピル基;3,3,3,−トリ
フルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル
基、CF3(CF2)2CH2CH2-、CF3(CF2)3CH2CH2-、
CF3(CF2)7CH2CH2-、CF3(CF2)9CH2CH2-、CF3
(CF2)11CH2CH2-、CF3(CF2)13CH2CH2-、CF3
(CF2)15CH2CH2-、CF3(CF2)17CH2CH2-、CF3
(CF2)21CH2CH2-、CF3(CF2)25CH2CH2-、CF3
(CF2)27CH2CH2-の如き各種のフッ素原子が置換し
たアルキル基等が挙げられる。
【0033】上記した如き加水分解性基の少なくとも1
個と有機基の少なくとも1個を含有するオルガノシラン
化合物のうちの加水分解性基としてアルコキシ基もしく
は置換アルコキシ基を含有するものの代表的なものとし
ては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシ
ルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロ
ピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラ
ン、n−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルト
リ−n−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシ
シラン、ビニルトリス(2?メトキシエトキシ)シラン
もしくはアリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシ
シリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリル
エチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピ
ルビニルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルビ
ニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、4,4,4−トリフルオロブ
チルトリメトキシシラン、CF3(CF2)2CH2CH2-Si(OC
H3)3、CF3(CF2)3CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF
2)7CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)9CH2CH2-Si
(OCH3)3、CF3(CF2)11CH2CH2-Si(OCH3)3、CF
3(CF2)13CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)15CH
2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)17CH2CH2-Si(OCH
3)3、CF3(CF2)21CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF
2)25CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)27CH2CH
2-Si(OCH3)など各種のオルガノトリアルコキシシラン
類が例として挙げられる。
【0034】塗布溶液には必要に応じて希釈溶媒を用い
る。希釈溶媒としては、アルコール類、各種の脂肪族系
ないしは脂環族系の炭化水素類、各種のエステル類、各
種のケトン類、各種のエーテル類、各種の塩素化炭化水
素類および非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
【0035】本発明で使用される表面層を形成するため
の塗布溶液を調製するにあたり、溶液の安定性の点から
上述した各種の溶剤類のうちアルコール類を使用するこ
とが好ましい。また、オルガノシランを含む塗布溶液を
調製する際には、必要に応じて水を添加して、金属に結
合した官能基を部分的に加水分解してもよい。水を添加
する際の添加量は比較的自由に設定できるが、オルガノ
シラン1モルあたり1から4程度にすることが好まし
い。
【0036】オルガノアルコキシシランを含有する塗布
溶液には、アルコキシ基の加水分解を促進したり、脱水
縮合反応を促進するための触媒を添加することができ
る。オルガノアルコキシシランを含有する塗布溶液から
得られた表面層は、室温で乾燥あるいは400℃以下で
熱処理行うが、熱処理の温度は基板の耐熱性等を考慮し
て設定することが好ましい。
【0037】オルガノアルコキシシランを含有する複合
体系表面層としては、オルガノアルコキシシランとテト
ラアルコキシシランなどの複合系も用いることができ
る。なお、撥水性を有する表面層の膜厚としては、下地
層および中間層の微細表面組織の形状を損なわない範囲
で任意に設定できる。具体的には、数ナノメーターから
百ナノメーター程度が好ましい。
【0038】ゾル?ゲル法を用いて、下地層、中間層、
表面層を形成するための溶液塗布法としては、例えばデ
ィッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、
フローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の塗布
手段が適宜採用することができる。膜厚は、ディッピン
グ法における引き上げ速度やスピンコート法における基
板回転速度などを変化させることと塗布溶液の濃度を変
えることにより制御することができる。
【0039】前記撥水/親水パターン付き基体は、前記
中間層の光分解作用を利用して、選択的に最表面の撥水
性を有する有機官能基を分解し、親水化することによっ
て作製することができる。撥水部分と親水部分の水の接
触角差は、堆積させる物質の選択性および解像度を向上
する上で、80度以上にすることが好ましい。さらに1
00度以上にすることがさらに好ましい。
【0040】より具体的には、微細凹凸組織を有する下
地層としての花弁状微細組織を有するアルミナ層/光分
解活性を有する中間層としての酸化チタン層/撥水性を
有する表面層としてのフルオロアルキルアルコキシシラ
ンの加水分解-重縮合物層の3層構造を有する表面は、
下地層の形状効果と最表面の疎水性によって水に対する
接触角は、160度程度のいわゆる超撥水状態になる。
【0041】水に対する接触角が160度の超撥水状態
の表面にフォトマスクを介して、紫外線の照射を行い、
中間層のチタニアの光分解効果で最上層のフルオロアル
キル基を分解することによって、光照射部分の接触角
は、5度程度になり超親水化する。これにより超撥水部
分と超親水部分の接触角差は155度程度になり、非常
に大きな表面エネルギー差を固体表面に付与したことに
なる。
【0042】従来の、撥水/親水技術では撥水部分と親
水部分の水の接触角差は、高々80度程度であり、80
度以上を実現するためには、本発明のように下地層の微
細凹凸組織の形状効果が必須になる。
【0043】本発明で用いるフォトマスクには、目的に
応じて種々のものが使用可能である。たとえば、金、
銅、ステンレス、クロム、チタン、アルミ等の金属に開
口部を設けた金属メッシュマスクを使用することができ
る。さらに10ミクロンからサブミクロンオーダーの微
細パターン形成するためには、シリカガラス等の紫外線
を透過する材料にクロム膜を形成し、これにフォトリソ
−エッチング技術を用いて微細開口部を設けたフォトマ
スク基板を用いることができる。
【0044】本発明において、親水性部分に堆積させる
親水性流体としては、水溶液、ゾル、微粒子分散スラリ
ー、融液を用いることができる。
【0045】上記水溶液としては、塩、水溶性ポリマ
ー、色素などの水溶液が挙げられる。ゾルとしては、シ
リカゾル、チタニアゾル、アルミナゾル、アンチモンゾ
ル、ジルコニアゾル、酸化インジウムゾル、メチル基や
エチル基等の有機官能基で表面改質を行った、シリカゾ
ルをはじめとする上記各種ゾルが挙げられる。微粒子分
散スラリーとしては、金属酸化物、金属ハロゲン化物、
金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物、不溶性塩、鉱
物、顔料などの分散スラリーが挙げられる。具体的に
は、シリカ、チタニア、アルミナ、アンチモン、ジルコ
ニア、アパタイト、酸化インジウム、酸化インジウム
錫、超伝導微粒子、塩化銀、硫化カドミウム、フェニル
シルセスキオキサン微粒子、メチルシルセスキオキサン
微粒子、無機顔料および有機顔料のスラリーが幅広く使
用できる。融液としては、低融性ガラス、有機高分子、
フェニルシルセスキオキサン、ベンジルシルセスキオキ
サン等の有機無機複合体が挙げられる。
【0046】有機高分子や透明金属酸化物を含む親水性
流体を用いて本発明による、固体表面エネルギーの大き
な差を利用して大きな膨らみ形状パターンを形成すれ
ば、マイクロレンズ、導波路等の集光や分波、合波の機
能を有する微小光学素子が基板上に作製することができ
る。
【0047】有機?無機複合体、有機高分子、金属酸化
物、透明導電性物質、顔料等を含む親水性流体を用い
て、膨らみパターンを形成すれば、印刷分野で有用な、
凹版や凸版が作製できる。また、液晶分野における、透
明電極やカラーフィルターなどが作製できる。
【0048】前記親水性流体として特に、水系のコロイ
ダルシリカを用いれば、透明な膨らみパターンが得られ
るので、マイクロレンズアレイや光導波路を作製するこ
とができる。
【0049】本発明で用いるコロイダルシリカの粒径
は、5ナノメータから100ナノメータの範囲のものが
好ましい。特に、大きな膨らみ持つパターンを形成する
場合には、50ナノメータ程度にすることが好ましい。
コロイダルシリカは、溶媒の蒸発に伴って膨らみが小さ
くなるので、コロイダルシリカの溶液中の重量は、高め
に設定することが好ましい。具体的には、20重量パー
セント以上、さらにこのましくは、70重量パーセント
以上にすることが好ましい。
【0050】上記コロイダルシリカには、形成した膨ら
みパターンのクラックの防止や溶液の貯蔵安定性を向上
させる目的で、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、ポリエチレングリコールやエチレ
ングリコールなどを使用することができる。ポリエチレ
ングリコールやエチレングリコールの添加量は、コロイ
ダルシリカに対して重量比で0.1から5の範囲が好ま
しい。さらには、重量比で1程度が好ましい。また、形
成した膨らみパターンの透明性向上やクラックの防止の
目的で、テトラアルコキシシランを添加することが好ま
しい。テトラアルコキシシランの添加量は、コロイダル
シリカに対して重量比で0.3から3の範囲が好まし
い。さらには、重量比で1程度が好ましい。
【0051】前記親水性流体として、熱可塑性を有する
微粒子が分散した液体を用いた場合は、親水部分に堆積
した微粒子を粘性流動が生じる温度まで加熱して冷却す
ることにより、透明な膨らみパターンが作製できる。上
記加熱による粘性流動を起こす微粒子として、ポリスチ
レン系等の熱可塑性有機高分子以外に、オルガノシルセ
スキオキサンを使用することができる。
【0052】膨らみパターンを形成する基体としては、
各種のガラス材料、金属基材、無機質基材、プラスチッ
ク基材、紙、木質系基材など各種のものが挙げられる。
特に、光通信、表示素子などへ応用する場合には、ガラ
スやシリコンを基材に用いることが多い。また、印刷分
野へ凸版として応用する場合は、トタン、アルミ、真鍮
などの箔を用いることが多い。本発明の膨らみパターン
の形成が全プロセス低温で可能である特徴により耐熱性
の低いプラスチック基材、紙、木質系基材を選ぶことも
できる。
【0053】ガラス材料としては、シリカガラス、ボロ
シリケートガラス、アルミノシリケートガラスなどの無
アルカリガラス、アルカリボロシリケートガラス、アル
カリアルミノシリケートガラス、ソーダライムシリカガ
ラスなどが挙げられる。
【0054】金属基材の代表的なものとしては、鉄、ニ
ッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛、錫、銅など各種
の金属類;ステンレススチール、真鍮のような各種金属
の合金類が挙げられる。
【0055】プラスチック基材の代表的なものとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレ
ート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウ
レタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性
樹脂のフィルムや成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フ
ェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル
樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂など各種の熱硬化
性樹脂から得られる架橋フィルムや架橋した成形品等が
挙げられる。
【0056】実施例1 大きさ約25mm×25mm、厚さ約1mmの石英ガラス基板を洗
浄し、乾燥したあとコーティング用基板とした。
【0057】アルミニウム−sec−ブトキシド〔Al(O−
sec−Bu)3〕を2プロパノール〔IPA〕とアセト酢酸エチ
ル〔EAcAc〕に添加し、さらに0.01M希硝酸〔H2O〕
と〔IPA〕を加えた。ここで溶液のモル比は、 Al(O−s
ec−Bu)3:IPA:EAcAc:H2O=1:20:1:1の割合
とした。これを約1時間室温で撹拌し Al2O3ゾルである
塗布液1を調製した。
【0058】コーティング用石英ガラス基板を、該塗布
液中に浸漬した後、ディッピング法(約1mm/秒の引き
上げスピード)で、コーティング用基板の表面に塗布膜
を形成した。
【0059】続いて、500℃で30分熱処理して、透
明なアモルファスアルミナ膜を被膜した。次に、約10
0℃の温水中に所定時間浸漬する温水処理を行い、室温
で再び乾燥した。得られた薄膜は可視域で高い透過率を
示し、膜厚は約200ナノメータであった。得られた透
明アルミナ薄膜付き石英がラス基板の透明アルミナ下地
層について、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、原子間力顕
微鏡(AFM)観察を行った。該微細凹凸組織の中心線平
均粗さRa値は19(nm)であることがわかった。
【0060】次に、チタニウム−n−ブトキシド〔Ti(O
−n−Bu)3〕をエタノール〔EtOH〕とアセト酢酸エチル
〔EAcAc〕に添加し、さらに0.01M希硝酸〔H2O〕と
〔EtOH〕を加えた。ここで溶液のモル比は、 Ti(O−n
−Bu)3:EtOH:EAcAc:H2O=1:180:1:1の割合
とした。これを約1時間室温で撹拌し TiO2ゾルである塗
布液2を調製した。
【0061】前記微細凹凸組織を有するアルミナ膜付き
石英ガラス基板上に、前記塗布溶液2を用いて、中間層
としてTiO2ゲル膜をディッピング法により形成し、50
0℃で30分熱処理して、膜厚約5ナノメータの透明ア
ナターゼ型チタニア膜を形成した。チタニア中間層の中
心線平均粗さRa値は19(nm)で、表面粗さは、変
化していないことを確認した。
【0062】前記微細凹凸組織を有するアルミナ下地層
/透明アナターゼ型チタニア中間層付き石英ガラス基板
上に、表面層としてヘプタデカフルオロデシルトリメト
キシシラン(FAS)を蒸着により数ナノメートル形成
し、水の接触角測定と光透過率測定を行った。 接触角
160゜以上の超撥水状態と可視域で透過率90%以上
の高い透明性を示すことが分かった。
【0063】このようにして調製された3層膜構造を有
する基体に、ウシオ電機(株)製の250W超高圧水銀
灯「UIS?25102」(照射光の波長:250−4
50nm)を使用して5cmの距離から、種々のフォト
マスクを介して30分間の紫外線照射を行った。紫外線
照射前の、皮膜の水との接触角は160度であったが、
照射後のそれは5度以下であり、皮膜が高度に親水化し
たことが確認できた。
【0064】フォトマスクとして、銅製のメッシュを用
いた場合には、ピッチ100ミクロン、80ミクロン、
60ミクロン、40ミクロン、20ミクロン、10ミク
ロンの正方配列および千鳥配列で超撥水/超親水パター
ンが形成できることがわかった。超撥水部分と超親水部
分の水の接触角差は、155度程度あった。
【0065】フォトマスクとして、クロム膜付き石英ガ
ラス基板を用いた場合には、30から2ミクロンの任意
の幅のレンチキュラーレンズ用パターンや光導波路用ス
トライプパターンが形成できることがわかった。またピ
ッチ10ミクロンから1ミクロンの正方配列および千鳥
配列で超撥水/超親水パターンが形成できることがわか
った。
【0066】上記ピッチ約50ミクロン、開口部直径約
20ミクロンの正方配列の超撥水/超親水パターン付き
基板とピッチ約100ミクロン、開口部直径約5ミクロ
ンのストライプの超撥水/超親水パターン付き基板を用
いて、マイクロレンズアレイと光導波路の試作を行っ
た。図1に試作したマイクロレンズの断面の概念図を示
す。
【0067】シリカ含有量約20重量パーセント、粒径
約50ナノメートルのコロイダルシリカに平均分子量6
00のポリエチレングリコールを重量比で0.3添加
し、室温で30分間撹拌した。次にテトラメトキシシラ
ンの加水分解物を含む希硝酸を、コロイダルシリカに対
して重量比で1/8添加し、室温でさらに30分間撹拌
することにより、膨らみパターン形成用コロイダルシリ
カ系溶液4を調製した。
【0068】上記溶液4を、前記約50ミクロン、開口
部直径約20ミクロンの正方配列の超撥水/超親水パタ
ーン付き基板とピッチ約100ミクロン、開口部幅約5
ミクロンのストライプの超撥水/超親水パターン付き基
板に所定量滴下した。溶液4は、選択的に親水パターン
部分に凝集し、表面張力によって液滴状の球面を形成し
た。その後、該液滴状球面は、溶媒の蒸発に伴ってその
曲率は小さくなるが、溶液の固化によって膨らみパター
ンが形成されることがわかった。
【0069】乾燥後、膨らみパターンの形状評価をおこ
なったところ、直径約20ミクロンの正方配列の親水部
分には、高さ約4ミクロンの半球膨らみパターンが、幅
約5ミクロンのストライプの親水部分には、トップ高さ
約2ミクロンの円筒膨らみパターンが形成されているこ
とがわかった。また、コロイダルシリカは、全く超撥水
性部分には堆積されず、固体表面の大きなエネルー差に
よって、極めて優れた選択性膨らみ形状パターニングが
実現できることがわかった。
【0070】前記高さ約4ミクロンの半球膨らみパター
ンと、トップ高さ約2ミクロンの円筒膨らみパターン
は、いずれも高い透明性優れた集光性を示し、それぞれ
60ミクロン、20ミクロンの焦点距離(空気中)を有
していることがわかった。
【0071】実施例2実施例1と同じ、ピッチ約50ミ
クロン、開口部直径約20ミクロンの正方配列の超撥水
/超親水パターン付き基板とピッチ約100ミクロン、
開口部幅約5ミクロンのストライプの超撥水/超親水パ
ターン付き基板に対して、熱可塑性を有する有機-無機
複合体による膨らみパターンの形成をおこなった。
【0072】ベンジルトリエトキシシランを出発原料用
いて、希塩酸条件下で加水分解を行った後、アンモニア
条件下でベンジルシルセスキオキサン粒子を調製した。
この微粒子分散水溶液5を上記基板に滴下した。溶液5
は、選択的に親水パターン部分に凝集し、表面張力によ
って液滴状の球面を形成した。その後、該液滴状球面
は、溶媒の蒸発に伴ってその曲率は小さくなるが、溶液
の固化によってベンジルシルセスキオキサン粒子が親水
性部分に堆積していることがわかった。
【0073】これを、100℃で加熱すると、ベンジル
シルセスキオキサン粒子は融解し、融液の表面張力によ
って球面、曲面を形成し、冷却すると直径約20ミクロ
ンの正方配列の親水部分には、高さ約6ミクロンの半球
膨らみパターンが、幅約5ミクロンのストライプの親水
部分には、トップ高さ約3ミクロンの円筒膨らみパター
ンが形成されていることがわかった。また、ベンジルシ
ルセスキオキサンは、全く超撥水性部分には堆積され
ず、固体表面の大きなエネルー差によって、極めて優れ
た選択性が実現し、さらに融液の表面張力によって大き
な膨らみ形状パターニングができることがわかった。
【0074】実施例3 実施例1および2と全く同じ膨らみマイクロパターン成
型を、シリコン基板上に実施した。その結果、微細凹凸
組織を有するアルミナ下地層/透明アナターゼ型チタニ
ア中間層/ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラ
ン(FAS)表面層の三層を設けることで、基板の種類
を問わず膨らみパターンを形成できることがわかった。
【0075】実施例4 実施例1および2と全く同じ膨らみマイクロパターン成
型を、樹脂基板の一例としてポリカーボネート基板を用
いて実施した。ポリカーボネートは、石英ガラスやシリ
コンに比較して、耐熱性が低いので高温での熱処理を行
うことはできない。そこで微細凹凸組織を有するアルミ
ナ下地層は、アルミナゲル膜を高温熱処理せず直接沸騰
水で処理することにより作製した。また、透明アナター
ゼ型チタニア中間層は、アナターゼゾルを希釈したもの
を用いて形成した。その結果、三層を設けることで、樹
脂基板上にも膨らみパターンを形成できることがわかっ
た。
【0076】実施例5 実施例1と同じ、ピッチ約50ミクロン、開口部直径約
20ミクロンの正方配列の超撥水/超親水パターン付き
基板に対して、酸化鉄微粒子を赤色顔料として含むポリ
メチルメタクリレートの水溶液を用いて、赤色フィルタ
ーの試作を行った。その結果、本手法により着色フィル
ターのパターンを選択性よく形成できることがわかっ
た。
【0077】比較例1 実施例1における、微細凹凸組織を有するアルミナ下地
層を設けずに、他の条件は同じにして、膨らみパターン
の実験を行った。その結果、撥水性部分および親水性部
分の水の接触角は、それぞれ95度と20度になった。
これにより、撥水性部分と親水性部分の接触角差は、お
よぞ75度であった。膨らみパターン形成用コロイダル
シリカ系溶液4を滴下すると、一部分撥水部分にも展開
し、選択的な液の凝集は達成できなかった。その傾向
は、膨らみを大きくするために滴下量を増やすと顕著に
なった。
【0078】比較例2 比較例1で用いた、コロイダルシリカ系溶液4の代わり
に、ベンジルシルセスキオキサン粒子分散水溶液5を用
いて、膨らみパターンの形成を行ったが、撥水部分にも
液が残存し、高精細のパターンは得られなかった。
【0079】比較例3 実施例1における、コロイダルシリカの代わりにテトラ
エトキシシランを加水分解したエタノールゾルを用いて
膨らみパターンの実験を行ったが、蒸発による収縮が大
きく膨らみが形成できない、クラックが発生する、選択
性が上がらない等の重大な問題点を生じた。
【0080】
【発明の効果】以上のように本発明は、膨らみパターン
を形成するために、従来の物質の溶解や光硬化や熱硬化
の作用を利用するのではなく、固体表面のエネルギー差
を利用している。つまり、基体上に撥水性部分と親水性
部分からなるパターンを形成した後、親水的流体もしく
は疎水的流体を該撥水/親水パターン付き基体に塗布し
て、特に大きな固体の表面エネルギー差を利用して選択
的に親水部分もしくは疎水性部分に凝集させ、次いでそ
の流体を固化させることにより基体上に膨らみパターン
を形成している。
【0081】具体的には、撥水性部分と親水性部分から
なるパターンの撥水性部分と親水性部分の水に対する接
触角差を、80度以上にすることにより、親水性物質の
堆積部分の選択性を向上させている。また、撥水性部分
に、微細凹凸組織を有する下地層と撥水性を有する最上
層を設けることにより接触角の親水部分との差を80度
以上にしている。
【0082】撥水/親水パターンの解像度を向上させる
目的で、本発明では、光分解活性を有する中間層を下地
層と最上層の間に設け、フォトマスクを介した光照射に
よる撥水性を有する表面層の選択的分解、親水化による
高精細化を可能にしている。
【0083】本研究では、超撥水/超親水パターン基板
として、花弁状微細組織を有するアルミナ層/チタン化
合物層/オルガノシランの加水分解-重縮合物層を有する
基板を用い、親水性流体として、コロイダルシリカと水
を少なくとも含む液体を用いることにより堆積の選択性
を向上させ、大きな膨らみ形状の形成を可能にしてい
る。また、特に熱可塑性を有する微粒子が分散した液体
を用いることにより、さらに大きな膨らみパターンの形
成を可能にしている。
【0084】本発明によって得られる膨らみパターンの
形成方法は、エッチング工程や型によるエンボス工程を
必要としない全く新しい凹凸パターンの形成方法であ
り、種々の基体上に、金属酸化物、有機高分子、有機-
無機複合体などのパターンを形成することができる。本
発明の膨らみパターン付き基体は、印刷、光通信、表示
素子、半導体素子などの技術分野に応用できる。特に、
透明材料を選択することにより、マイクロレンズ、光導
波路、透明電極などが作製可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した膨らみパターンの断面の概
略図。 1a:コロイダルシリカが凝集、固化した膨らみマイク
ロレンズ 1b:ガラス基板 1c:微細凹凸組織を有するアルミナ下地層 1d:透明アナターゼ型チタニア中間層 1e:ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン表
面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 599072703 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ケ丘中町12−5 (72)発明者 南 努 大阪府大阪狭山市大野台2−7−1 (72)発明者 辰巳砂 昌弘 大阪府堺市大美野128−16 (72)発明者 忠永 清治 大阪府堺市中百舌鳥町6丁998−3 中百 舌鳥公園団地1棟130号 (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ヶ丘中町12−5

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に撥水性部分と親水性部分からなる
    パターンを形成した後、親水的流体を該撥水/親水パタ
    ーン付き基体に塗布して、固体の表面エネルギー差を利
    用して選択的に親水部分に凝集させ、次いでその流体を
    固化させることにより基体上に膨らみパターンを形成す
    る方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の撥水性部分と親水性部分か
    らなるパターンの撥水性部分と親水性部分の水に対する
    接触角差が、80度以上であることを特徴とする膨らみ
    パターンを形成する方法
  3. 【請求項3】前記撥水性部分が、基体/微細凹凸組織を
    有する下地層/光触媒活性を有する中間層/撥水性を有す
    る表面層からなる請求項1ないし2記載の膨らみパター
    ンの形成法
  4. 【請求項4】前記親水性部分が、基体/微細凹凸組織を
    有する下地層/光分解活性を有する中間層/撥水性を有
    する表面層からなる撥水性部分に光照射を選択的に行
    い、中間層の光分解活性を利用して、撥水性を有する表
    面層を分解させ、以て親水化したものであることを特徴
    とする請求項3記載の膨らみパターンの形成方法
  5. 【請求項5】前記微細凹凸組織を有する下地層/光分解
    活性を有する中間層/撥水性を有する表面層の3層が、
    花弁状微細組織を有するアルミナ層/チタン化合物層/オ
    ルガノシランの加水分解-重縮合物層である請求項4記
    載の膨らみパターンの形成方法
  6. 【請求項6】前記親水性流体が、コロイダルシリカと水
    を少なくとも含む液体であることを特徴とする請求項1
    ないし5記載の膨らみパターンの形成方法
  7. 【請求項7】前記親水性流体が、熱可塑性を有する微粒
    子が分散した液体であることを特徴とする請求項1ない
    し5記載の膨らみパターンの形成方法
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項に記載の
    方法により形成した凹凸パターンを表面に有する基体
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