JP2003252610A - 硫化リチウムの再生方法及びポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

硫化リチウムの再生方法及びポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP2003252610A
JP2003252610A JP2002205111A JP2002205111A JP2003252610A JP 2003252610 A JP2003252610 A JP 2003252610A JP 2002205111 A JP2002205111 A JP 2002205111A JP 2002205111 A JP2002205111 A JP 2002205111A JP 2003252610 A JP2003252610 A JP 2003252610A
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実 千賀
Junji Matsui
順司 松井
Hideaki Kakimoto
英明 柿本
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアリーレンスルフィド製造時に副生する
ハロゲン化リチウムからNa混入量の少ない硫化リチウ
ムを再生する方法及びその再生された硫化リチウムを用
いたポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供する。 【解決手段】 硫化リチウムと塩化芳香族化合物との反
応からポリアリーレンスルフィドを製造する際に副生す
る塩化リチウムから、混入Na量が硫黄1モル当たり
0.13モル以下である硫化リチウムを再生する。再生
硫化リチウムは、塩化リチウムと炭酸ナトリウムを反応
させて得られる炭酸リチウム、又は塩化リチウムを電気
分解して得られる水酸化リチウムを硫黄化合物と反応さ
せて得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィドを製造する際に副生するハロゲン化リチウムか
ら硫化リチウムを再生する方法、特に、混入Na量が少
ない硫化リチウムを再生する方法に関する。また、その
再生方法により再生した硫化リチウムを用いたポリアリ
ーレンスルフィドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫化リチウムを硫黄源としてポリアリー
レンスルフィドを製造する方法は、高分子量化が容
易、連続重合可能、洗浄工程が簡素である等の特徴
があり、工業的に価値ある技術として注目されている。
しかしながら、ポリアリーレンスルフィドの生成に伴い
塩化リチウムが副生し、この塩化リチウムは高価である
ため、Liを原料系に回収し、再利用する必要がある。
原料の硫化リチウムに多量のNaが含まれた場合、得ら
れるポリアリーレンスルフィド中にNaが混入し、これ
を電気・電子部品に用いると種々の支障をきたす。例え
ば、これらのNa混入量の多いポリアリーレンスルフィ
ドをIC封止剤、プリント基盤等に使用した場合、ワイ
ヤーの腐食、電気絶縁性の低下の原因となる。
【0003】塩化リチウムを回収し、原料として再利用
する方法としては、以下の方法が知られている。 特開平06−025123号公報、同07−1965
90号公報、同07−330312号公報、同10−1
30005号公報(出光石油化学株式会社) 上記公報には、塩化リチウムにNa化合物を反応させ
て、Liを原料系へ回収し、再利用する方法が記載され
ているが、これらの方法ではLi回収の際に少量の塩化
ナトリウムがLi化合物に混入し、これが最終的に製品
ポリアリーレンスルフィド中の残留金属量を増加させる
問題がある。また、Li回収プロセスには、ケミカルと
してのNa化合物が必要であるばかりでなく、塩化ナト
リウムを廃棄処理する工程が必要である。 米国特許第4451643号(フィリップス) 上記公報には、電気分解によりLiを回収再利用するこ
とが明細書に記載はあるものの、硫化リチウムまで再生
してなく、また、この方法で得られるポリアリーレンス
ルフィドは比較的低分子量のものとなり、高分子量ポリ
アリーレンスルフィドを得ることはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、ポ
リアリーレンスルフィド製造時に副生するハロゲン化リ
チウムからNa混入量の少ない硫化リチウムを再生する
方法及びその再生された硫化リチウムを用いたポリアリ
ーレンスルフィドの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第一の態
様によれば、硫化リチウムとハロゲン化芳香族化合物と
の反応からポリアリーレンスルフィドを製造する際に副
生するハロゲン化リチウムを、炭酸ナトリウムと反応さ
せて炭酸リチウムを生成し、炭酸リチウムを分離し、炭
酸リチウムを硫黄化合物と反応させて硫化リチウムを生
成する工程を含む、硫化リチウムの再生方法が提供され
る。
【0006】また、本発明の第二の態様によれば、硫化
リチウムとハロゲン化芳香族化合物との反応からポリア
リーレンスルフィドを製造する際に副生するハロゲン化
リチウムを、電気分解することにより、水酸化リチウム
を生成し、水酸化リチウムを硫黄化合物と反応させて硫
化リチウムを生成する工程を含む、硫化リチウムの再生
方法が提供される。好ましくは、再生された硫化リチウ
ムの混入Na量は、硫黄1モル当たり0.13モル以下
である。
【0007】また、本発明の第三の態様によれば、硫化
リチウムとハロゲン化芳香族化合物との反応からポリア
リーレンスルフィドを製造する方法において、上記の再
生方法により得られる再生硫化リチウムをハロゲン化芳
香族化合物と反応させる工程を含む、ポリアリーレンス
ルフィドの製造方法が提供される。
【0008】また、本発明の第四の態様によれば、硫化
リチウムとハロゲン化芳香族化合物との反応からポリア
リーレンスルフィドを製造する際に副生するハロゲン化
リチウムから再生した、混入Na量が硫黄1モル当たり
0.13モル以下である再生硫化リチウムが提供され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、硫化リチウム(Li2S)
の再生方法及びポリアリーレンスルフィド(PAS)の
製造方法について説明する。本発明において、ポリアリ
ーレンスルフィドは硫化リチウムとハロゲン化芳香族化
合物から製造する。ハロゲンのうち、特に塩素が好まし
い。以下、便宜上、塩化芳香族化合物から製造するもの
として説明するが、以下の説明は他のハロゲンにも適用
できる。本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法
は、以下の反応式で表される(1)〜(3)の工程を含
む。 (1)Li2S+Ar(Cl)2→PAS+LiCl (2)LiCl→再生Li2S (3)再生Li2S+Ar(Cl)2→PAS+LiCl (1)は、硫化リチウムと塩化芳香族化合物(Ar(C
l)2)との反応からポリアリーレンスルフィド(PA
S)を製造する工程であり、(2)は、(1)で副生し
た塩化リチウムから再生硫化リチウムを生成する工程で
あり、(3)は、(2)で生成した再生硫化リチウムと
塩化芳香族化合物との反応からポリアリーレンスルフィ
ド(PAS)を製造する工程である。本発明の製造方法
では、上記の(2)及び(3)の工程を繰り返し行うこ
とにより、ポリアリーレンスルフィドを製造することが
可能である。
【0010】(1)硫化リチウムと塩化芳香族化合物と
の反応からポリアリーレンスルフィドを製造する工程 硫化リチウムと塩化芳香族化合物との反応からポリアリ
ーレンスルフィドを製造する工程(以下、工程(1)と
いう)では、以下の(a)〜(c)の工程を含むことが
好ましい。 (a)非プロトン性有機溶媒と、水酸化リチウム(Li
OH)又はN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)
とが存在する系に、液状又は気体状の硫黄化合物を投入
する工程 (b)得られた反応物から脱水する工程 (c)硫黄分の調整後、塩化芳香族化合物を投入し、重
縮合させる工程 尚、工程(1)では、工程(a)〜(c)により硫化リ
チウムを生成させずに、硫化リチウムそのものを用いる
こともできる。その場合、上記工程(a)及び(b)並
びに工程(c)の硫黄分の調整は省略することができ
る。
【0011】(a)非プロトン性有機溶媒と、水酸化リ
チウム(LiOH)又はN−メチルアミノ酪酸リチウム
(LMAB)とが存在する系に、液状又は気体状の硫黄
化合物を投入する工程 (i)非プロトン性有機溶媒 本発明に用いられる非プロトン性有機溶媒としては、一
般に、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド
化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合
物、環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又
は、混合溶媒として、好適に使用することができる。
【0012】これらの非プロトン性極性有機化合物のう
ち、前記アミド化合物としては、例えば、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセ
トアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−
ジメチル安息香酸アミド等を挙げることができる。
【0013】また、前記ラクタム化合物としては、例え
ば、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−
エチルカプロラクタム、N−イソプロピルカプロラクタ
ム、N−イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプロ
ピルカプロラクタム、N−ノルマルブチルカプロラクタ
ム、N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキ
ルカプロラクタム類、N−メチル−2−ピロリドン(N
MP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプロピ
ル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリド
ン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノル
マルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2
−ピロリドン、N−メチル−3−メチル2−ピロリド
ン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メ
チル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドン等を挙げることができる。
【0014】また、前記尿素化合物としては、例えば、
テトラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素、
N,N’−ジメチルプロピレン尿素等を挙げることがで
きる。
【0015】また、前記有機硫黄化合物としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジ
フェニルスルホン、1−メチル−1−オキソスルホラ
ン、1−エチル−1−オキソスルホラン、1−フェニル
−1−オキソスルホラン等を、また、前記環式有機リン
化合物としては、例えば、1−メチル−1−オキソホス
ホラン、1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラ
ン、1−フェニル−1−オキソホスホラン等を挙げるこ
とができる。
【0016】これら各種の非プロトン性極性有機化合物
は、それぞれ一種単独で、又は二種以上を混合して、さ
らには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混合
して、前記非プロトン性有機溶媒として使用することが
できる。
【0017】前記各種の非プロトン性有機溶媒の中で
も、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−
アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチ
ル−2−ピロリドンである。
【0018】(ii)LiOH又はLMABの存在する系
の調製 非プロトン性有機溶媒と、水酸化リチウム(LiOH)
又はN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)とが存
在する系とは、塩化リチウム(LiCl)と、非プロト
ン性有機溶媒とが、又は塩化リチウムと、N−メチル−
2−ピロリドン(NMP)と、非プロトン性有機溶媒及
び水とが存在する場に、水酸化ナトリウム(NaOH)
等を投入することによって得られる系を意味する。以
下、これらの調製方法を具体的に示す。
【0019】LiOHの存在する系 反応液中にLiClとして存在しているLiイオンを回
収するため、系内にリチウム以外のアルカリ金属の水酸
化物やアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等を投入
する。中でも水酸化ナトリウムが好ましい。その投入量
は、リチウムイオン1モルに対し、水酸基が0.90〜
1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルになる
ようにする。1.1モルを超えると、この系に硫黄化合
物を投入したときに、非水酸化リチウム沈澱物中にリチ
ウム以外のアルカリ金属系硫黄化合物又はアルカリ土類
金属系硫黄化合物が多量に混入する。また0.90モル
未満の場合、リチウムのロスになる。この場合の反応温
度は、特に制限はないが、リチウム以外のアルカリ金属
水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を水溶液状で投
入する場合、通常、室温〜230℃、好ましくは65〜
150℃であり、固体状で投入する場合には、通常、6
0〜230℃、好ましくは90〜150℃である。反応
温度が低い場合、溶解度が低く、反応速度が著しく遅く
なる。反応温度が高い場合、NMPの沸点以上になり、
加圧下で行わなければならず、プロセス的に不利にな
る。また、反応時間は、特に制限はない。
【0020】LMABの存在する系 この場合は、塩化リチウムと、N−メチル−2−ピロリ
ドンと、リチウムを除く(非リチウム系の)アルカリ金
属水酸化物とを反応させる。非リチウム系のアルカリ金
属水酸化物は、水溶液として供給するので、この反応は
前記非プロトン性有機溶媒と水との混合溶媒系中で実施
する。
【0021】この非リチウム系のアルカリ金属水酸化物
としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
ルビジウム、水酸化セシウム又はこれらの一種又は二種
以上の混合物を挙げることができる。これらの中でも、
水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、特
に、水酸化ナトリウムが好ましい。尚、これら水酸化ナ
トリウム等の非リチウム系のアルカリ金属水酸化物は、
純粋なものに限らず、通常の工業用のものでも好適に使
用することができる。
【0022】尚、反応時の組成は、非プロトン性極性溶
媒としてNMP、非リチウム系のアルカリ金属の水酸化
物としてNaOHを用いた場合、NMP/NaOH=
1.05〜30(モル比)とし、好ましくは、1.20
〜6.0(モル比)である。また、LiCl/NaOH
=1.00〜5(モル比)とし、好ましくは、1.00
〜1.5(モル比)である。さらに、水/NMP=1.
6〜16(モル比)とし、好ましくは、2.8〜8.3
(モル比)である。
【0023】反応温度及び反応時間については、通常8
0℃〜200℃で、0.1〜10時間程度が好ましい。
【0024】(iii)液状又は気体状の硫黄化合物の投
入 本発明に用いられる液状又は気体状の硫黄化合物として
は、特に制限はないが、硫化水素を好適に用いることが
できる。硫化水素を用いる場合、その吹き込む際の圧力
は、常圧でも加圧してもよい。吹き込み時間としては、
特に制限はなく、通常は10〜180分程度とすること
が好ましい。吹き込み速度も特に制限はなく、通常は1
0〜1000cc/分程度とすることが好ましい。ま
た、硫化水素の吹き込み方法も特に制限はなく、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン中に水酸化リチウム及
び、アルカリ金属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物が
含有された混合物を攪拌、例えば、500mlガラス製
セパラブルフラスコ中で、攪拌翼としてディスクタービ
ン翼を用い、300〜700rpmで攪拌しながら、そ
の中へ気体状の硫化水素をバブリングする等の通常用い
られる方法を用いることができる。この場合、水が存在
していてもよい。
【0025】このように液状又は気体状の硫黄化合物を
投入することにより、系内に固体状で存在していた水酸
化リチウムは系内の液体部分に溶解し、非水酸化リチウ
ム固体状物のみが系内に固体状で残留する。
【0026】次に、固体状で残留した非水酸化リチウム
固体状物、例えば、アルカリ金属塩化物又はアルカリ土
類金属塩化物を分離してもよい。この場合、例えば、ガ
ラス製フィルターG4を用いた濾過や遠心分離等の公知
の方法を用いることができる。濾過等を行うにあたって
は、減圧下で行ってもよい。分離する際の温度として
は、特に制限はないが、通常は、20〜150℃の範囲
から選択するのが好ましい。
【0027】(b)得られた反応物から脱水する工程 吸収した硫化水素と等モルの水が発生するが、高分子量
のポリアリーレンスルフィドを製造するためには可能な
限り脱水することが好ましい。本発明に用いられる脱水
操作としては特に制限はないが、例えば、加熱操作を挙
げることができる。加熱温度は、NMP−水の気液平衡
関係により決定されるが、通常、130℃〜205℃が
好ましい。窒素(N2)を同時に吹き込むことにより1
30℃以下でも可能である。さらに減圧下で行なえばも
っと温度を下げることもできる。脱水の時期は塩化芳香
族化合物を投入する前ならいつでもよい。硫化水素の吹
込みと同時に行なうと、単位操作に要する機器を減少さ
せることができる等の点で好ましい。
【0028】(c)硫黄分の調整後、塩化芳香族化合物
を投入し、重縮合させる工程 この工程では、まず、上述の工程で得られた反応液から
脱硫黄操作、例えば脱硫化水素操作によって硫黄分を調
整する。すなわち、後述する塩化芳香族化合物の反応を
行わせるためには、系内に存在する硫黄/リチウム比を
1/2(S原子/Li原子モル比)以下にすることが好
ましく、1/2にコントロールすることがさらに好まし
い。1/2より大きい場合、反応が進行しにくいためポ
リアリーレンスルフィドの生成が困難となる。コントロ
ールする方法としては特に制限はないが、例えば、アル
カリ金属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物を分離する
ために吹き込んだ硫黄化合物、例えば、硫化水素を、ア
ルカリ金属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物の分離
後、系内の液体部分に窒素バブリング等を施して除去す
ることにより、系内に存在する硫黄の合計量を調節する
ことができる。この場合、加温してもよい。また、水酸
化リチウムやN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMA
B)等のリチウム塩を系内に加えることによりコントロ
ールしてもよい。
【0029】次に、系内に塩化芳香族化合物を投入し
て、反応させることによりポリアリーレンスルフィドを
製造する。
【0030】本発明に用いられる塩化芳香族化合物とし
ては、特に制限はないが、例えば、m−ジクロロベンゼ
ン、p−ジクロロベンゼン等のジクロロベンゼン類;
2,3−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエ
ン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトル
エン、2,5−ジクロロキシレン、1−エチル−2,5
−ジクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラメチル−
3,6−ジクロロベンゼン、1−ノルマルヘキシル−
2,5−ジクロロベンゼン、1−シクロヘキシル−2,
5−ジクロロベンゼン等のアルキル置換ジクロロベンゼ
ン類又はシクロアルキル置換ジクロロベンゼン類;1−
フェニル−2,5−ジクロロベンゼン、1−ベンジル−
2,5−ジクロロベンゼン、1−p−トルイル−2,5
−ジクロロベンゼン等のアリール置換ジクロロベンゼン
類;4,4’−ジクロロビフェニル等のジクロロビフェ
ニル類:1,4−ジクロロナフタレン、1,6−ジクロ
ロナフタレン、2,6−ジクロロナフタレン等のジクロ
ロナフタレン類等を挙げることができる。これらの中で
も、好ましいのはジクロロベンゼン類であり、特に好ま
しいのはp−ジクロロベンゼンを50モル%以上含むも
のである。
【0031】反応容器としては、例えば、10リットル
のステンレス製オートクレーブを挙げることができる。
重合温度としては、220〜260℃が好ましく、重合
時間としては1〜6時間が好ましい。塩化芳香族化合物
の投入量としては、塩化芳香族化合物/系内に存在する
硫黄=0.9〜1.2(モル比)の範囲から選択するこ
とが好ましく、0.95〜1.15がさらに好ましい。
後処理としては、通常用いられる方法で行なえばよい。
例えば、冷却後沈澱物を遠心分離やろ過等により分離
し、得られたポリマーを加温または室温下、有機溶剤、
水等で洗浄を繰り返して精製することができる。かかる
洗浄はポリマーを固体状のまま行なってもよいし、ある
いは液体にしていわゆる溶融洗浄を行なってもよい。
【0032】(2)副生した塩化リチウムから再生硫化
リチウムを生成する工程 本工程は、上記工程(1)で副生した塩化リチウムから
再生硫化リチウムを生成する工程(以下、工程(2)と
いう)である。工程(2)の具体例としては、塩化リチ
ウムと炭酸ナトリウムとを反応させる方法及び塩化リチ
ウムを電気分解する方法が挙げられる。
【0033】(i)塩化リチウムと炭酸ナトリウムとを
反応させる方法 この方法では、副生した塩化リチウムと炭酸ナトリウム
とを反応させて得られる炭酸リチウムを用いて硫化リチ
ウムを再生する。この再生方法は、以下の反応式で表さ
れる(イ)〜(ハ)の工程を含む。 (イ)2LiCl+Na2CO3→Li2CO3+2NaC
l (ロ)Li2CO3+NaCl→Li2CO3 (ハ)Li2CO3+硫黄化合物→再生Li2S (イ)は、塩化リチウムと炭酸ナトリウムとを反応させ
て炭酸リチウムを生成する工程、(ロ)は、炭酸リチウ
ムと塩化ナトリウムの混合物から炭酸リチウムを分離す
る工程、(ハ)は、炭酸リチウムを硫黄化合物と反応さ
せて再生硫化リチウムを生成する工程である。以下、各
工程について説明する。
【0034】(イ)塩化リチウムと炭酸ナトリウムとを
反応させて炭酸リチウムを生成する工程 塩化リチウムと炭酸ナトリウムとを反応させて炭酸リチ
ウムを生成する工程(以下、工程(イ)という)の反応
条件は特に制限されないが、反応モル比は、塩化リチウ
ム/炭酸ナトリウム=1.5〜2.5が好ましく、1.
75〜2.25がより好ましい。反応時間は0.05〜
5時間が好ましく、0.1〜1時間がより好ましい。反
応温度は、0〜50℃が好ましく、5〜40℃がより好
ましい。
【0035】(ロ)炭酸リチウムと塩化ナトリウムの混
合物から炭酸リチウムを分離する工程炭酸リチウムと塩
化ナトリウムの混合物から炭酸リチウムを分離する工程
(以下、工程(ロ)という)で用いる分離手段として
は、特に制限されないが、例えば、水洗浄、ろ過、遠心
分離等が挙げられる。本工程で分離された炭酸リチウム
中の混入Na量は、炭酸リチウム1モル当たり、好まし
くは0.13モル以下であり、より好ましくは0.1モ
ル以下であり、特に好ましくは0.05モル以下であ
り、最も好ましくは全く混入しないことである。
【0036】(ハ)炭酸リチウムを硫黄化合物と反応さ
せて再生硫化リチウムを生成する工程炭酸リチウムを硫
黄化合物と反応させて再生硫化リチウムを生成する工程
(以下、工程(ハ)という)で用いる硫黄化合物は特に
制限されない。硫黄化合物としては、例えば、硫化水素
が挙げられる。硫黄化合物として硫化水素を用いた場
合、本工程は、以下の反応式(ニ)及び(ホ)で表され
る。 (ニ)Li2CO3+2H2S→2LiSH+H2O+CO
2 (ホ)2LiSH→Li2S+H2S この時、反応温度を20〜150℃とすることにより反
応(ニ)が進行し、その後、反応温度を130〜205
℃とすることにより反応(ホ)が進行する。(ニ)の工
程の反応モル比は、炭酸リチウム/硫黄化合物=0.4
〜0.6が好ましく、0.45〜0.55がより好まし
い。尚、上記工程(イ)〜(ハ)は、上述した非プロト
ン性有機溶媒中で行うことが好ましい。
【0037】(ii)塩化リチウムを電気分解する方法 この方法では、上記工程(1)で副生した塩化リチウム
を電気分解して得られるLiOHを用いてLi2Sを再
生する。この再生方法では、NaClの処理工程が不要
となるため、反応プロセスをより簡素化することができ
る。この再生方法は、以下の反応式で表される(ヘ)及
び(ト)の工程を含む。 (へ)LiCl→LiOH (ト)LiOH+硫黄化合物→Li2S (へ)は、塩化リチウムを電気分解して水酸化リチウム
を生成する工程であり、(ト)は、(ヘ)で生成した水
酸化リチウムと硫黄化合物を反応させて再生硫化リチウ
ムを生成する工程である。以下、各工程について説明す
る。
【0038】(へ)塩化リチウムを電気分解して水酸化
リチウムを生成する工程 本工程において、電気分解の条件は特に制限されず、陽
極に塩素が、陰極にLiOHが生成する。
【0039】(ト)水酸化リチウムと硫黄化合物を反応
させて再生硫化リチウムを生成する工程 本工程の反応条件等は、上記工程(1)における工程
(a)〜(c)と同様の条件とすることができる。
【0040】このようにして再生された硫化リチウム
は、混入Na量が極めて少ない。従って、これを用いて
製造したポリアリーレンスルフィド製品中の混入Na量
を低減できるため、製品の品質を向上させることができ
る。好ましくは、再生硫化リチウム中の混入Na量は、
硫黄1モル当たり0.13モル以下である。より好まし
くは、混入Na量は、硫黄1モル当たり0.10モル以
下であり、特に好ましくは、0.05モル以下であり、
最も好ましくは、全く混入しないことである。混入Na
量はイオンクロマトグラフ等により測定できる。
【0041】(3)再生硫化リチウムと塩化芳香族化合
物との反応からポリアリーレンスルフィド(PAS)を
製造する工程 本工程は、上記工程(2)で得られた再生硫化リチウム
と塩化芳香族化合物を反応させてポリアリーレンスルフ
ィドを製造する工程である。本工程の製造条件等は、上
記工程(1)における工程(c)と同様の条件とするこ
とができる。尚、本工程で得られたポリアリーレンスル
フィドは分子量が高く、さらに、その中に含まれる残留
塩の含量は、好ましくはLiが100ppm以下、より
好ましくは10ppm以下であり、好ましくはNaが1
00ppm以下、より好ましくは10ppm以下であ
る。尚、これらの残留塩の含量は、ポリアリーレンスル
フィドを焼成灰化した後、イオンクロマトグラフ等によ
り測定できる。
【0042】
【実施例】[実施例1] <Li2Sの再生方法>Li2Sとパラジクロロベンゼン
(PDCB)からポリフェニレンスルフィド(PPS)
を製造した後の回収液からLiCl溶液[A](組成:L
iCl12重量%、NMP88重合%)を調製した。こ
のLiCl溶液[A]10kg(LiClで28.20
モル)を15Lのオートクレーブに仕込み、200to
rr減圧下で加熱して濃縮した。N−メチルピロリドン
(NMP)を主成分として8.5kgが留去された。オ
ートクレーブに残った残滓を取り出して、これに水4k
gを加えて50℃で攪拌溶解した。ろ過により固形分を
除去したろ液に、炭酸ナトリウム20wt%を7,50
0g(Na2CO3で14.15モル)を加えた。得られ
た白色沈殿物をろ過し、多量の水で洗浄ろ過を繰り返し
行った。100℃で真空乾燥し、1,020gの白色粉
末を得た。この粉末は、IRスペクトル及び金属分析に
よりLi2CO3であることが分かった。この中に含まれ
る、Na量は、10ppm以下であった。上記の方法で
得られたLi2CO31,000g(13.53モル)と
NMP4,000gを10Lオートクレーブに仕込み、
130℃で硫化水素を2L/minの速度で5時間30
分吹き込んだ、内容物を分析した結果、100%LiS
Hに変換されていた。これをそのまま、205℃まで加
熱し、205℃で4時間脱水・脱硫化反応させ、Li2
Sを主成分とするスラリー[B]を4,430g得た。
スラリー[B]中には、Li2Sが12.58モル、N
−メチルアミノ酪酸リチウムが1.90モル含まれてい
た。尚、このスラリー[B]中には、NaClは検出さ
れなかった。
【0043】<重合・洗浄>上記方法で製造したスラリ
ー[B]3,521g(Li2S換算で10モル相
当)、PDCB10モル(1,470g)、水6モル
(108.1g)、NMP1,300gを10Lオート
クレーブに仕込み、260℃で3時間反応させた。10
0℃に冷却し、液相を分離し、沈殿物としてポリマー<
II>を得た。得られたポリマー<II>とNMP4,00
0gと水1,000gとNH4Cl13.1g(0.2
モル)を再度10Lオートクレーブ反応器に仕込み26
0℃まで昇温し、30分間洗浄を行った。反応物を10
0℃まで冷却して液相を分離して沈殿物としてポリマー
<III>を得た。その後、ポリマー<III>に対して、N
4Clを加えずに、同様の洗浄操作を1回行い、ポリ
マー<IV>を得た。ポリマー<IV>を真空乾燥して97
0gのPPSを得た。PPSの分子量は、ηinhで0.
22で、残留塩として、Liが10ppm、Naは含ま
れていなかった。
【0044】[実施例2] <Li2Sの再生方法>実施例1において、炭酸ナトリ
ウム20wt%を7,500g(Na2CO3で14.1
5モル)を加えて、得られた白色沈殿物をろ過した後、
多量の水で洗浄ろ過を行わずに、これをそのまま原料と
して用いたこと以外は実施例1と同様にしてLi2Sを
主成分とするスラリー[C]を4,450g得た。スラ
リー[C]中には、Li2Sが12.86モル、N−メ
チルアミノ酪酸リチウムが2.57モル含まれていた。
このスラリー[C]中には、Li2S1モル当たりNa
が0.10モル含まれていた。
【0045】<重合・洗浄>実施例1において、上記方
法で製造したスラリー[C]を使用した以外は、実施例
1と同様にして重合・洗浄を行い、PPSを得た。PP
Sの分子量は、ηin hで0.22で、残留塩として、L
iは8ppm、Naは80ppmであった。
【0046】[比較例1] <Li2Sの再生方法>Li2SとPDCBからPPSを
製造した後の回収液からLiCl溶液[A](組成:Li
Cl12重量%、NMP88重量%)を調製した。この
LiCl溶液[A]422kg(Li1.19kモル)
に48重量%のNaOH水溶液99kg(Na1.19
kモル)を常温で加えた後、1時間保持し、LiOHと
NaClを固形分とするスラリーを得た。このスラリー
を遠心分離機(巴工業製P−660)により固液分離
し、LiOHとNaClを固形分として分離した。これ
にNMP100kgを加えて、スラリーとした後、H2
S23kgをガスとして吹き込みLiOHをLiSHに
変換した。このLiSHを含む混合物を100℃で遠心
分離して、LiSH分離液[D]180kgとNaCl
を主成分とする固体とに分離した。LiSH分離液
[D]に含まれるNaClを測定した結果、LiSH1
kg当たり0.20kgであった。このLiSH分離液
を205℃まで加熱し、205℃で4時間脱水・脱硫化
反応させLi2Sを主成分とするスラリー[E]を16
0kg得た。スラリー[E]中には、Li2Sが0.4
キロモル、N−メチルアミノ酪酸リチウムが0.06キ
ロモル、NaClが0.118キロモル含まれていた。
これより、このスラリー[E]には、Li2S1モル当
たりNaClが、0.15モル含まれていた。
【0047】<重合・洗浄>上記方法で製造したスラリ
ー[E]4,000g(Li2S換算で10モル相
当)、PDCB10モル(1,470g)、水6モル
(108.1g)、NMP800gを10Lオートクレ
ーブに仕込み、260℃で3時間反応させた。100℃
に冷却し、液相を分離し、沈殿物としてポリマー<V>
を得た。得られたポリマー<V>とNMP4,000g
と水1,000gととNH4Cl13.1g(0.2モ
ル)を再度10Lオートクレーブ反応器に仕込み260
℃まで昇温し、30分間洗浄を行った。反応物を100
℃まで冷却して液相を分離して沈殿物としてポリマー<
VI>を得た。その後、ポリマー<VI>に対して、NH4
Clを加えずに、同様の洗浄操作を1回行い、ポリマー
<VII>を得た。ポリマー<VII>を真空乾燥して970
gのPPSを得た。PPSの分子量は、ηinhで0.2
1で、残留塩として、Liが10ppm、Naが120
ppm含まれていた。
【0048】[実施例3] <Li2Sの再生法>実施例1と同様に、Li2SとPD
CBからPPSを製造した後の回収液からLiCl溶液
[A](組成:LiCl12重量%、NMP88重量%)
を調製した。このLiCl溶液[A]10kg(LiC
lで28.20モル)を15Lのオートクレーブに仕込
み、200torr減圧下で加熱して濃縮したところ、
NMPを主成分とした留出液8.5kgが留去された。
オートクレーブに残った残滓を取り出して、これに水2
7kgを加えて50℃にて攪拌溶解した。ろ過により固
形分を除去し、LiCl水溶液[F]を得た(組成:L
iCl4.2wt%,NMP1wt%、水94.8wt
%)。このLiCl水溶液[F]を用い、図1に示す液
量1リットルのアクリル槽の電気分解装置で電気分解を
実施した。電気分解では、白金電極(陰極)1及び白金
電極(陽極)2をプロトン分離膜7で仕切ったアクリル
槽8に、1リットルのLiCl水溶液[F]を仕込み、
白金電極1及び2に10Vの電位差、2Aの電流を流し
ながら、原料溶液供給口3よりLiCl水溶液[F]を
100ml/hrの速度で供給しつつ、供給口3からの
供給量と同量のLiOH水溶液[G]を生成溶液抜出口
4より抜出した。尚、この電気分解では、窒素ガス供給
口5から窒素ガスを導入しながら行った。また、電気分
解で発生した塩素ガスは、導入した窒素ガスと共に、排
ガス抜出口6から排出した。LiOH水溶液[G]は、
イオンクロマトグラフにより、組成:LiOH:2.3
重量%、LiCl:0.2重量%であることが分かっ
た。上記方法により得られたLiOH水溶液[G]6k
gを120℃、真空下で水を蒸発させて得られた残さ7
50gに、100℃のNMP1kgを加え、攪拌、ろ過
し、得られた固形分をさらに100℃のNMP500g
で洗浄し、220gの固形分を得た。上記方法により得
られた固形分に1,000gのNMPを加えスラリー
[H]を調整した。スラリー[H]の組成は、イオンク
ロマトグラフにより、LiOH:11重量%、NMP:
89重量%、LiClは0.1重量%以下であることが
分かった。上記スラリー[H]に、130℃で硫化水素
を2L/minの速度で5時間30分吹き込み、LiS
Hに変換した。続いて、205℃まで加熱し、205℃
で4時間脱水・脱硫化反応させ、LiSを主成分とす
るスラリー[I]を850g得た。スラリー[I]中に
は、Li2Sが2.7モル、N−メチルアミノ酪酸リチ
ウムが0.14モル含まれていた。尚、このスラリー
[I]中には、Naイオンは検出されなかった。
【0049】<重合・洗浄>上記方法で製造したスラリ
ー[I]157.5g(Li2S換算で0.5モル相
当)、PDCB0.5モル(73.51g)、水0.3
モル(5.4g)、NMP80gを1Lオートクレーブ
に仕込み、260℃で3時間反応させた。100℃に冷
却し、液相を分離し、沈殿物としてポリマーを得た。得
られたポリマーとNMP200gと水50gとNH4
l0.655g(0.01モル)を再度1Lオートクレ
ーブに仕込み260℃まで昇温し、30分間洗浄を行っ
た。洗浄物を100℃に冷却し、液相を分離し、沈殿物
としてポリマーを得た。得られたポリマーを、NH4
lを加えずに、同様の洗浄操作を2回繰り返した。最終
的に得られたポリマーは、45gであり、ηinhで0.
28、Li含量が10ppm以下、Naは含まれていな
かった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアリーレンスルフ
ィド製造時に副生するハロゲン化リチウムからNa混入
量の少ない硫化リチウムを再生する方法及びその再生さ
れた硫化リチウムを用いたポリアリーレンスルフィドの
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気分解装置の模式図である。
【符号の説明】
1 白金電極(陰極) 2 白金電極(陽極) 3 原料溶液供給口 4 生成溶液抜出口 5 窒素ガス供給口 6 排ガス抜出口 7 プロトン分離膜 8 アクリル槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J030 BA03 BA49 BB22 BB28 BB31 BC02 BC08 BC17 BC18 BD22 BD23 BG10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化リチウムとハロゲン化芳香族化合物
    との反応からポリアリーレンスルフィドを製造する際に
    副生するハロゲン化リチウムを、炭酸ナトリウムと反応
    させて炭酸リチウムを生成し、 前記炭酸リチウムを分離し、 前記炭酸リチウムを硫黄化合物と反応させて硫化リチウ
    ムを生成する工程を含む、硫化リチウムの再生方法。
  2. 【請求項2】 硫化リチウムとハロゲン化芳香族化合物
    との反応からポリアリーレンスルフィドを製造する際に
    副生するハロゲン化リチウムを、電気分解することによ
    り、水酸化リチウムを生成し、 前記水酸化リチウムを硫黄化合物と反応させて硫化リチ
    ウムを生成する工程を含む、硫化リチウムの再生方法。
  3. 【請求項3】 前記再生された硫化リチウムの混入Na
    量が、硫黄1モル当たり0.13モル以下である請求項
    1又は2に記載の硫化リチウムの再生方法。
  4. 【請求項4】 硫化リチウムとハロゲン化芳香族化合物
    との反応からポリアリーレンスルフィドを製造する方法
    において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の再生方
    法により得られる再生硫化リチウムをハロゲン化芳香族
    化合物と反応させる工程を含む、ポリアリーレンスルフ
    ィドの製造方法。
  5. 【請求項5】 硫化リチウムとハロゲン化芳香族化合物
    との反応からポリアリーレンスルフィドを製造する際に
    副生するハロゲン化リチウムから再生した、混入Na量
    が硫黄1モル当たり0.13モル以下である再生硫化リ
    チウム。
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