JP2003245067A - 膵内分泌細胞 - Google Patents

膵内分泌細胞

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JP2003245067A
JP2003245067A JP2002048443A JP2002048443A JP2003245067A JP 2003245067 A JP2003245067 A JP 2003245067A JP 2002048443 A JP2002048443 A JP 2002048443A JP 2002048443 A JP2002048443 A JP 2002048443A JP 2003245067 A JP2003245067 A JP 2003245067A
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pancreatic endocrine
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Kazutomo Inoue
一知 井上
Genshun Ko
元駿 顧
Hiroshi Hori
洋 堀
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 膵β細胞の純度が高くかつインスリン放出量
が多い膵内分泌細胞を提供する。また、このような膵内
分泌細胞の効率的大量分離法を提供する。 【解決手段】 膵臓の二段階酵素消化およびセルプロセ
ッサーによる遠心分離を組み合わせた方法により、膵β
細胞の純度が高くかつインスリン放出量が多い膵内分泌
細胞を調製した。また該膵内分泌細胞を浮遊性培養する
ことにより膵内分泌細胞の機能消失阻止および繊維芽細
胞等の付着性細胞の混入が低減され膵β細胞の純度をあ
げることができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、膵β細胞の純度が
高くかつインスリンの放出量が多い膵内分泌細胞、該膵
内分泌細胞を含有する医薬、該膵内分泌細胞の分離・培
養法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生活習慣病とも言われている糖尿病の罹
患患者数は近年著しい増加を示している。この疾患は高
血圧、心筋梗塞、脳卒中、腎機能障害、網膜症による失
明、壊疽、痛みを伴う神経症、感染症傾向などの深刻な
合併症を伴う場合が多く、また、罹患患者はもちろんの
こと、家族の負担や医療費の増大など多くの社会的問題
を包含している。現状では、糖尿病に対して食事療法や
体外からのインスリン補充療法などが行われているが、
このような対症療法だけでは合併症の発症やその進行を
阻止し得ない場合が多く、21世紀に向けて糖尿病に対
する根本的かつ普遍的な治療法の確立が緊急課題となっ
てきている。欧米においては、糖尿病に対する根本的治
療法として既に膵臓器移植や膵島細胞移植が行われてい
るが、他の臓器移植の場合と同様、深刻なドナー不足と
免疫の問題、特に免疫抑制剤の長期投与の問題がある。
【0003】一方、機能障害、機能欠損あるいは機能不
全に陥った生体組織・臓器に対し、自己の細胞、ヒトの
細胞、および、動物の細胞を積極的に利用することで組
織・臓器の再生、あるいは、その再構築を図る再生医療
に対しても注目が集まっている。
【0004】膵臓器移植や膵島細胞移植に付随する問題
点を同時に解決し得る最も有力な方法がバイオ人工膵に
よる膵島細胞再生医療である。バイオ人工膵は、移植後
の免疫抑制剤の長期使用に対する弊害の問題に対し、細
胞が生存するため必要とする酸素、栄養素、グルコース
など低分子物質、および、インスリンなど低分子蛋白質
を選択的に通過させ、免疫担当細胞や補体などを通過さ
せない「免疫隔離膜」と「膵島細胞」とを組み合わせた
ものである。すなわち、バイオ人工膵は、膵島細胞を免
疫系から隔離し、拒絶応答を回避した状態での移植、さ
らには移植細胞の定着を目指すものである。
【0005】膵島細胞は膵α細胞、膵β細胞など様々な
細胞を含んでいる。しかしながら、ドナー不足の問題と
あいまって膵島細胞の不足という問題が残されており、
コラーゲンなど結合組織成分により集合体を形成してい
る膵島細胞をシングル細胞にした膵内分泌細胞を移植す
る試みが行われている。
【0006】膵内分泌細胞の分泌する因子として、イン
スリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵ポリペプチド
ホルモンなどが知られており、また、抗肥満、抗インス
リン抵抗因子なども見いだされている。従って、このよ
うなホルモンや因子を分泌、制御する膵内分泌細胞、特
にインスリンの放出量の多い膵内分泌細胞を移植するこ
とが糖尿病の治療に適していると考えられる。
【0007】特開2001−231548には、単層培
養により膵内分泌細胞を培養する方法が開示されてい
る。しかしながら、単層培養においては膵内分泌細胞の
みを選択的に剥離処理する必要がある。また、膵内分泌
細胞の機能消失を防ぐためには、得られた膵内分泌細胞
を細胞外マトリックス中で分散培養する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、膵β細胞の純度が高くかつインスリン放出量が多い
膵内分泌細胞が求められている。また、このような膵内
分泌細胞の効率的大量分離法の確立が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、膵臓の二段階酵素消
化およびセルプロセッサーによる遠心分離を組み合わせ
た方法により、膵β細胞の純度が高くかつインスリン放
出量が多い膵内分泌細胞が得られることを見いだした。
また、本発明者らは、該膵内分泌細胞を浮遊性培養する
ことにより、膵内分泌細胞の機能消失阻止および繊維芽
細胞等付着性細胞の混入を低減でき、さらに膵β細胞の
純度を上げることができることを見いだした。本発明者
らは、これらの知見に基づいて、さらなる研究を重ねた
結果、本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、(1) ヒトの再生
医療に有効な純度とインスリン放出量を有する膵β細胞
を含有することを特徴とする膵臓から取得された膵内分
泌細胞、(2) 膵内分泌細胞に対する膵β細胞数が4
0%以上である請求項1に記載の膵内分泌細胞、(3)
膵内分泌細胞に対する膵β細胞数が50%以上である
請求項1に記載の膵内分泌細胞、(4) インスリン放
出量が150ng/ml/4hr/5×10膵内分泌
細胞以上であることを特徴とする前記(1)から(3)
のいずれかに記載の膵内分泌細胞、(5) 膵臓がヒト
または非ヒト哺乳動物由来である前記(1)から(4)
のいずれかに記載の膵内分泌細胞、(6) 膵臓がブタ
由来である前記(1)から(4)のいずれかに記載の膵
内分泌細胞、(7) 前記(1)から(6)のいずれか
に記載の膵内分泌細胞を含有してなる医薬、(8) 医
薬が糖尿病治療用である前記(7)に記載の医薬、
(9) 前記(1)から(6)のいずれかに記載の膵内
分泌細胞を用いることを特徴とする膵臓疾患の治療方
法、(10) 膵臓をコラゲナーゼと自己酵素とにより
酵素処理して膵臓細胞懸濁液を得て、これをセルプロセ
ッサーとヒストパックを用いて膵内分泌細胞を採取し、
次いで所望により浮遊培養することを特徴とする前記
(1)に記載の膵内分泌細胞の製造方法、(11) セ
ルプロセッサーを使用して膵内分泌細胞を遠心分離する
に際し、表層と比重1.077の間の層を膵内分泌細胞
層として採取することを特徴とする前記(10)に記載
の膵内分泌細胞の製造方法、(12) 浮遊性培養法に
よって線維芽細胞を分離・除去することを特徴とする前
記(10)に記載の膵内分泌細胞の製造方法、に関す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、酵素消化と自己の膵
臓内在性酵素群による自己消化とを組み合わせた二段階
消化法を用いて膵臓から細胞懸濁液を得る工程、セルプ
ロセッサー(COBE)とヒストパックとを用いて細胞
懸濁液から膵内分泌細胞を分離する工程、および、所望
により膵内分泌細胞を浮遊性培養する工程により、ヒト
の再生医療に有効な純度とインスリン放出量を有する膵
β細胞を含有する膵内分泌細胞を取得する。
【0012】まず動物膵臓から膵内分泌細胞を分離す
る。本発明で用いられる動物膵臓は、特に限定されるも
のではない。好ましくは、ヒトを含む哺乳動物の膵臓を
用いる。例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、
ブタ、ウシ、サルなどが挙げられる。より好ましくは、
ブタの膵臓を用いる。ブタは、ラットにおける劇症肝
炎、イヌにおける狂犬病、ウシにおけるクロイツフェル
ト・ヤコブ病、サルにおけるエイズや出血性エボラ熱等
の感染の危険があるのに対し、ブタ膵臓をヒトに適用し
た場合は、生命をおびやかすような感染はないといわれ
ていること、また、ブタの皮膚や心臓弁などいくつかの
組織は、既に、数年前からヒトに適用されており、ヒト
のものに比べて感染が少ないといわれていることであ
る。動物から膵臓を取得する際の温度は、動物種等によ
り異なるため一概にはいえないが、通常は約−5℃から
25℃、好ましくは0℃から15℃である。
【0013】本発明において、本発明者らが最良の実施
形態として考えている膵内分泌細胞の取得方法として
は、まず膵臓を原料として用い、酵素消化と自己の膵臓
内在性酵素群による自己消化とを組み合わせた二段階消
化法で細胞懸濁液を調製する。酵素消化における酵素と
しては、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼを用い
ることが好ましい。より具体的には、コラゲナーゼを含
む酵素溶液を膵臓湿重量の例えば、約2倍注入した後、
氷上、次いで、例えば、約37℃の2段階の温度で消化
する。続いて、酵素消化の終了した組織を細切し、氷上
で膵臓内在性酵素群の作用によりさらに消化させ、細胞
懸濁液を調製する。
【0014】続いて、細胞懸濁液を密度勾配遠心処理に
付して膵内分泌細胞を採取する。本発明においてはセル
プロセッサー(COBE)を用いて(COBE法)膵内
分泌細胞を高純度で取得するのが好ましい。セルプロッ
セッサーを用いることにより効率的分離が行われ、膵内
分泌細胞の大量処理化が可能となり、膵内分泌細胞の分
離処理量が増加する。密度勾配遠心においては通常用い
られているデキストランの代わりにヒストパック(Hist
opaque)を使用するのが好ましい。ヒストパックを使用
することにより、安定的に再現性よく膵内分泌細胞を取
得することができる。ヒストパックは密度により様々な
種類があり、密度の差を用いて膵内分泌細胞を分離する
ことができる。具体的には、Histopaque 1119に上記方
法によって得られた細胞を懸濁し、これをCOBEに充
填する。続いて、Histopaque 1083、Histopaque 1077、
ハンクス溶液の順に静かに重層し、約2000rpm、約
8分間遠心した後に、ハンクス溶液とHistopaque 1077
の界面に集積する細胞層を分離する。Histopaque1119は
密度約1.119、Histopaque 1083は密度約1.08
3、Histopaque 1077は密度約1.077である。
【0015】COBE法を用いることにより、Histopaq
ue 1077を50ml遠心管に加え、この上に細胞を懸濁
したハンクス溶液を静かに重層後、約1800rpm、
約4℃、約10分間遠心した後に、両液の界面に集積す
る細胞を回収するmanual法よりも膵内分泌細胞の
大量処理化が可能となり、本発明の膵β細胞の純度が高
く、かつインスリンの放出量が多い膵内分泌細胞が得ら
れる。具体的には、膵β細胞が上記の分離直後に膵内分
泌細胞当り約40%以上、また下記するように、これを
分離後1日浮遊性培養した後に膵内分泌細胞当り膵β細
胞が約50%以上含まれる膵内分泌細胞が得られる。ま
た、このようにして得られた膵内分泌細胞のインスリン
放出量は約150ng/ml/4hr/5×10膵内
分泌細胞以上であり、好ましくは約200ng/ml/
4hr/5×10膵内分泌細胞以上である。インスリ
ン放出量が150ng/ml/4hr/5×10膵内
分泌細胞以上とは、5×10膵内分泌細胞当り、4時
間培養時において培養液中のインスリン放出量が150
ng/ml以上をいう。膵内分泌細胞当りの膵β細胞数
(%)は、下記のように算出する。トリパンブルー染色
により膵内分泌細胞の生細胞を染色し、dithizone(D
TZ)染色により染色陽性細胞(膵β細胞)を染色し、
それぞれの細胞数を血球計測盤を用いて測定することに
より、膵内分泌細胞(生細胞)当りの膵β細胞数(%)
を算出する。また、インスリン放出量は、細胞懸濁液か
ら5×10 膵臓細胞を採取し、浮遊系細胞培養用5
0mlフラスコ(培養面積25cm)中で5mlの培
養液とともに炭酸ガスインキュベーター(5%CO
37℃)で4時間培養後に培養上清を回収し、培養液中
に放出されたインスリン量を市販インスリン測定ELI
SAキット(レビスインスリンキット(シバヤギ))で
測定することにより、算出する。培養液は、例えば、1
0%FBS、10mM ニコチンアミド、0.1%グル
コース、および、100U/ml Antibiotic-Antimycot
ic(インビトロジェン)を含むRPMI−1640培養
液が好ましい。
【0016】上記のように分離した膵内分泌細胞は浮遊
性培養により培養し、膵内分泌細胞をさらに精製するの
が好ましい。浮遊性培養により、線維芽細胞等の付着性
細胞は1日培養することにより、培養基材に付着するた
め膵内分泌細胞と線維芽細胞等の付着性細胞とを効率的
に分離し線維芽細胞等の付着性細胞を除去することがで
きる。具体的には、密度勾配遠心で回収した膵内分泌細
胞画分は分離1日後まで、例えば、10%FBSを含む
培地で、それ以降は0.2%FBSを含む培地で浮遊性
細胞培養器材を用いて培養する。線維芽細胞等の付着性
細胞は培養基材に付着するため培養液中に浮遊している
膵内分泌細胞を公知手段に従って採取すればよい。
【0017】上記二段階酵素消化法とCOBE法を組み
合わせて得られた膵内分泌細胞は、膵β細胞の純度が高
く、かつ、インスリンの放出量も多いので医薬として効
果的に用いることができる。医薬としては、例えば、糖
尿病などの治療薬として用いることができる。また、機
能障害、機能欠損、機能不全に陥った膵臓および膵臓組
織の代替として用いることもできる。
【0018】投与形態としては、例えば、血液灌流型、
マイクロカプセル型、マクロカプセル型、拡散チャンバ
ー型などの人工膵型の投与形態をとることができるが、
これらに限定されるものではない。血液灌流型人工膵
は、例えば、中空糸の外側にゲルマトリックスとともに
膵島細胞を封入したモジュールとレシピエントの血液を
流して使用するものである。マイクロカプセル型または
マクロカプセル型人工膵は、膵島細胞を、例えば、アル
ギン酸−ポリ(L−リジン)−アルギン酸イオンコンプ
レックス、アルギン酸−バリウム架橋体、アガロース、
アガロース−ポリスチレンスルホン酸(PSSa)相溶
ブレンドなどからなるハイドロゲルに封入して作製した
ものである。拡散チャンバー型人工膵は、インスリン分
泌細胞と細胞の生存や機能を維持するためのゲルマトリ
ックス、これを囲む、または、挟む免疫隔離膜の三部か
ら構成されているものである。チューブ状、バック状、
シート状など様々な形態をしたものがあるが、本発明に
おいてはこれらに限定されない。免疫隔離膜としては、
例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などからなる
ハイドロゲルやポリアクリロニトリル−ポリ塩化ビニル
共重合体、ポリスルホン、セルロースエステルなどから
なる精密濾過膜、または、限外濾過膜などが挙げられ
る。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を説明するが、以下の開
示は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の技術的
範囲を何ら制限するものではない。 実施例1 6ヶ月齢ブタ膵臓からのブタ膵内分泌細胞の
分離・精製 ブタ膵内分泌細胞(pPEC)の単離は、Hori H et a
l. Cell Transplantation, 10, 459-464 (2001)で用い
た方法(manual法)に改良を加えた酵素消化法と
膵臓内在性酵素の作用による自己消化法を組み合わせた
2段階消化法で実施した。まず、摘出したブタ膵臓の膵
管より静脈カテーテル(4Fr、アトムメディカル)を
用いて酵素溶液[2%コラゲナーゼ(1%コラゲナーゼ
S1(新田ゼラチン)および1%コラゲナーゼP(Roch
e))、および、1%BSAを含むハンクス溶液]を摘出
膵臓の湿重量の2倍量注入する。酵素溶液で満たされた
膵臓をオーバーフローした酵素溶液と共に容器に入れ、
氷上で90分静置する。続いて、容器ごと37℃恒温水
槽中に移し30分間静置する。酵素溶液による消化が終
了した膵臓組織を細切した後、容器中の溶液と共に85
0μmの細孔(メッシュ)を有するふるいで区切られた
[図1]の回収容器上に移し、細切組織を覆うまで1%B
SAを含むハンクス溶液を満たす。この後、回収容器を
氷冷しながら15分間細切組織を攪拌し、ふるいを通過
した細胞懸濁液を回収する。繰り返し懸濁液の回収と新
たなハンクス溶液の添加を2〜3回繰り返し細切組織片
を洗浄する。回収した細胞懸濁液を遠心後、上清を除去
して得られた細胞ペレットを1%BSAを含むハンクス
溶液で再懸濁する。これをさらに2回繰り返し、最終的
にブタ4〜10頭分の膵臓を材料として得られた細胞ペ
レット全量をHistopaque-1119(シグマ−アルドリッチ)
200mlに懸濁する。Histopaque-1119に懸濁した細
胞溶液をCOBE 2991 cell processorに充填し、
低速で装置を遠心しながら、Histopaque-1083(シグマ−
アルドリッチ)、Histopaque-1077 (シグマ−アルドリッ
チ)、次いで1%BSAを含むハンクス溶液の順に各々
200mlずつ充填する。充填が完了した後、2000
rpmで8分間装置を遠心する。その後、ハンクス液層
の半量(50ml)を除去し、続く約50mlの細胞集
積層をpPEC画分として回収する。得られたpPEC
画分を遠心後、上清除去して得られた細胞ペレットを1
0%FBS、10mM ニコチンアミド、0.1%グル
コース、および、100U/ml Antibiotic-Antimycot
ic(インビトロジェン)を含むRPMI−1640培養
液で再懸濁する。これをさらに2回繰り返し、細胞懸濁
液成分を培養液に完全に置換する。得られた細胞懸濁液
中から一部を採取し、トリパンブルー染色した後の生細
胞数、および、dithizone(DTZ)を用いて染色した
後の染色陽性細胞を血球計算盤を用いて測定する。ま
た、細胞懸濁液から5×10 膵臓細胞を採取し、浮
遊系細胞培養用50mlフラスコ(培養面積25c
)中で5mlの培養液と共に炭酸ガスインキュベー
ター(5%CO、37℃)で4時間培養する。4時間
後に培養上清を回収し、培養液中に放出されたインスリ
ン量を市販インスリン測定ELISAキット(レビスイ
ンスリンキット(シバヤギ))で測定する。測定した結
果を基にして、1〜4×10 cells /20ml培養液
(10%FBS、10mM ニコチンアミド、0.1%
グルコース、および、200U/mlAntibiotic-Antimy
coticを含むRPMI−1640培養液)を目安に、こ
の細胞濃度を超えないように浮遊系細胞培養用250m
lフラスコ(培養面積75cm)に播種する。播種
後、炭酸ガスインキュベーター(5%CO、37℃)
で細胞を培養する。培養開始6時間後に浮遊細胞を回収
し、細胞懸濁液を遠心後、上清を除去して得られた細胞
ペレットを培養液(10%FBS、10mM ニコチン
アミド、0.1%グルコース、および、200U/ml
Antibiotic-Antimycoticを含むRPMI−1640培
養液)で再懸濁する。これをさらに2回繰り返し、分離
・培養直後に崩壊する膵外分泌細胞由来の内在性酵素を
培養上清中から除去する。その後、再び浮遊系細胞培養
用250mlフラスコ(培養面積75cm)に播種
し、炭酸ガスインキュベーター(5%CO、37℃)
で培養を継続する。培養開始1日後浮遊細胞を回収し、
細胞懸濁液を遠心後、上清を除去して得られた細胞ペレ
ットを培養液で再懸濁する。これをさらに2回繰り返
し、最終的に0.2%FBS、10mM ニコチンアミ
ド、0.1%グルコース、および、100U/ml Ant
ibiotic-Antimycoticを含むRPMI−1640培養液
に懸濁する。この一部を採取し、トリパンブルー染色し
た後の生細胞数、および、dithizone(DTZ)を用い
て染色した後の染色陽性細胞を血球計算盤を用いて測定
する。また、細胞懸濁液から5×10膵臓細胞を採取
し、浮遊系細胞培養用50mlフラスコ(培養面積25
cm)中で5mlの培養液とともに炭酸ガスインキュ
ベーター(5%CO、37℃)で4時間培養する。4
時間後に培養上清を回収し、培養液中に放出されたイン
スリン量を市販インスリン測定ELISAキット(レビ
スインスリンキット(シバヤギ))で測定する。測定し
た細胞数を基にして、1×10 cells / 15 ml培
養液(0.2%FBS、10mM ニコチンアミド、
0.1%グルコース、および、100U/mlAntibiot
ic-Antimycoticを含むRPMI−1640培養液)を目
安に、浮遊系細胞培養用250mlフラスコ(培養面積
75cm)に播種する。播種後、炭酸ガスインキュベ
ーター(5%CO、37℃)で細胞を継続して培養す
る。継続して長期培養する場合は、培養液を2〜3日毎
に交換する。
【0020】実施例2 COBE法によるブタ膵内分泌
細胞の調製法効率化の検討 dithizone(DTZ)を用いて染色した後の染色陽性細
胞を血球計算盤を用いて測定した結果を[図2]に示す。
同一個体群のブタ膵臓を用いた場合のmanual法と
比較してCOBE法においては、膵内分泌細胞の分離直
後、および、分離1日後のDTZ陽性細胞数、すなわ
ち、膵β細胞数は、COBE法を用いたほうが収量が多
いことが示された。これは、二段階酵素消化法により、
分離細胞の収量の増加が図られ、また、COBE法を用
いることによって分離処理量の増加が図られ、全膵内分
泌細胞における膵β細胞の純度が高くなることを示して
いる。
【0021】実施例3 COBE法によるブタ膵内分泌
細胞の調製法効率化の検討 培養液中に放出されたインスリン量を市販インスリン測
定ELISAキット(レビスインスリンキット(シバヤ
ギ))で測定した結果を[図3]に示す。同一個体群のブ
タ膵臓を用いた場合のmanual法と比較してCOB
E法においては、膵内分泌細胞の分離直後、および、分
離1日後の単位細胞当りのインスリン放出量が多いこと
が示された。これは、二段階酵素消化法により、分離細
胞の収量の増加が図られ、COBE法を用いることによ
って分離処理量の増加および膵内分泌細胞を再現性よ
く、すなわち、インスリン分泌能を失わずに膵内分泌細
胞を分離できることを示している。
【0022】実施例4 分離・精製ブタ膵内分泌細胞の
カプセル化 培養開始後1〜7日後の浮遊細胞を回収し、細胞懸濁液
を遠心後、上清を除去して得られた細胞ペレットをFB
Sを含まない培養液で再懸濁する。これをさらに2回繰
り返し最終的に細胞ペレットを得た。得られた細胞ペレ
ットに5%アガロース、5%ポリスチレンスルホン酸を
含むMEM培養液を加熱し溶解した後、40〜42℃に
維持した物を混合し(最終容積30〜50μl)、チュ
ーブ(径約950μm)に充填し氷冷下でゲル化(3〜
5分)させる。ゲル化した細胞混合ゲルを1%ポリブレ
ンを含むMEM培養液中に室温で浸漬し、ゲル表面を被
覆させる。次いで、ポリブレンコート細胞混合ゲルを1
%カルボキシメチルセルロースを含むMEM培養液中に
浸漬し、最外層を被覆させる。
【0023】実施例5 分離・精製ブタ膵内分泌細胞の
糖尿病モデル動物への異種移植 C57/BL6 マウスを馴化飼育後、8〜10週齢で膵β細胞
障害剤であるストレプトゾトシンを175mg/kg bo
dy weight で腹腔内投与し、糖尿病を誘導する。ストレ
プトゾトシン投与後、尾静脈より採血した血液を用いて
非絶食下血糖値を測定する。なお、糖尿病状態は非絶食
下血糖値が350mg/dl以上を維持することで確認
する。カプセル化膵島細胞を作製する前に測定したpP
ECの生細胞数や膵β細胞数(dithzone 陽性細胞から
算出)を基にして、2.5〜5.0×10 cells
(膵β細胞相当)をストレプトゾトシン投与後約1週間
後、糖尿病状態を確認したモデルマウス腹腔内に移植す
る。
【0024】実施例6 カプセル化pPECの異種移植
実験の検討 カプセル化膵島細胞移植後は経時的に尾静脈より採血
し、非絶食下血糖値を測定することにより糖尿病状態の
改善を観察した。結果を[図4]に示す。なお、実験群
(pPEC in Agarose / PSSa)の他に、対照群とし
て、遊離pPEC移植群(free pPEC)、アガロー
スのみを用いて作製したカプセル化膵島細胞移植群(p
PEC in Agarose)を設けた。pPEC in Agarose /
PSSa移植群は、50日経過まで非絶食下血糖値は正常
値を保っていたのに対し、対照群であるfree pPEC
移植群およびpPEC inAgarose移植群は高血糖値を示
した。これは、free pPEC移植群およびpPEC in
Agarose移植群では移植後短期間で移植細胞の機能が低
下するが、適当な免疫隔離を施したカプセル化膵島細胞
移植群では、pPECをバイオリアクターとして用いた
場合でも長期間のカプセル化異種移植細胞移植が可能で
あることが示された。
【0025】
【発明の効果】本発明によって、膵内分泌細胞の純度が
高く、かつインスリン放出量が多い膵内分泌細胞が得ら
れる。コラゲナーゼと膵臓内在性酵素群を組み合わせた
二段階酵素消化法により、膵内分泌細胞の収量の増加が
図られ、また、COBE法を用いることによって膵内分
泌細胞の処理量が増加し、高純度でインスリン放出量が
多い膵β細胞が得られる。さらに、二段階酵素消化法、
COBE法および好ましくはさらに浮遊培養を組み合わ
せて得られた膵内分泌細胞は、膵β細胞の純度が高く、
かつ、インスリンの放出量も多いので医薬として効果的
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酵素処理における細胞回収容器の概略を示し
た図である。
【図2】 膵内分泌細胞(生細胞)におけるDTZ陽性
細胞、すなわち、膵内分泌細胞(生細胞)における膵β
細胞の割合を示した図である。
【図3】 インスリンの放出量を示した図である。
【図4】 カプセル化pPEC移植後における非絶食下
血糖値を測定した結果を示した図である。破線はマウス
の正常血糖値の上限を示す。
【符号の説明】
1 細切膵組織片 2 細胞懸濁液回収槽 3 冷却槽 4 ハンクス溶液 5 スターラー 6 850μmメッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 洋 京都府京都市左京区聖護院川原町53 京都 大学再生医科学研究所内 Fターム(参考) 4B065 AA90 AA93 AC14 AC15 BC01 BD45 CA44 4C087 BB51 BB63 CA16 ZA66 ZC35

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトの再生医療に有効な純度とインスリ
    ン放出量を有する膵β細胞を含有することを特徴とする
    膵臓から取得された膵内分泌細胞。
  2. 【請求項2】 膵内分泌細胞に対する膵β細胞数が40
    %以上である請求項1に記載の膵内分泌細胞。
  3. 【請求項3】 膵内分泌細胞に対する膵β細胞数が50
    %以上である請求項1に記載の膵内分泌細胞。
  4. 【請求項4】 インスリン放出量が150ng/ml/
    4hr/5×10膵内分泌細胞以上であることを特徴
    とする請求項1から3のいずれかに記載の膵内分泌細
    胞。
  5. 【請求項5】 膵臓がヒトまたは非ヒト哺乳動物由来で
    ある請求項1から4のいずれかに記載の膵内分泌細胞。
  6. 【請求項6】 膵臓がブタ由来である請求項1から4の
    いずれかに記載の膵内分泌細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の膵内
    分泌細胞を含有してなる医薬。
  8. 【請求項8】 医薬が糖尿病治療用である請求項7に記
    載の医薬。
  9. 【請求項9】 請求項1から6のいずれかに記載の膵内
    分泌細胞を用いることを特徴とする膵臓疾患の治療方
    法。
  10. 【請求項10】 膵臓をコラゲナーゼと自己酵素とによ
    り酵素処理して膵臓細胞懸濁液を得て、これをセルプロ
    セッサーとヒストパックを用いて膵内分泌細胞を採取
    し、次いで所望により浮遊培養することを特徴とする請
    求項1に記載の膵内分泌細胞の製造方法。
  11. 【請求項11】 セルプロセッサーを使用して膵内分泌
    細胞を遠心分離するに際し、表層と比重1.077の間
    の層を膵内分泌細胞層として採取することを特徴とする
    請求項10に記載の膵内分泌細胞の製造方法。
  12. 【請求項12】 浮遊性培養法によって線維芽細胞を分
    離・除去することを特徴とする請求項10に記載の膵内
    分泌細胞の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016002937A1 (ja) * 2014-07-03 2017-04-27 学校法人 埼玉医科大学 膵内分泌細胞及びその製造方法、並びに分化転換剤
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