JP2003243001A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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JP2003243001A
JP2003243001A JP2002036347A JP2002036347A JP2003243001A JP 2003243001 A JP2003243001 A JP 2003243001A JP 2002036347 A JP2002036347 A JP 2002036347A JP 2002036347 A JP2002036347 A JP 2002036347A JP 2003243001 A JP2003243001 A JP 2003243001A
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JP
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layer
interconnector
nio
electrolyte
air electrode
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JP2002036347A
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Kenichi Hiwatari
研一 樋渡
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体電解質型燃料電池のインターコネクター
電子導電性を高めることと、該インターコネクターと集
電材間の接触抵抗の低減。 【解決手段】 電解質と、該電解質の片面に燃料極と、
前記電解質の反対面に設けた空気極と、からなる単電池
と、前記空気極または燃料極表面に接続され、電気的な
接続を有するインターコネクターと、からなる固体電解
質型燃料電池であって、前記インターコネクターが空気
極側から燃料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=Ca,Sr
のいずれか)で表されるCaまたはSrを固溶させたランタ
ンクロマイトからなる第一の層と、前記LaMCrO3とNiOが
均一に混合された層からなる第二の層と、からなる固体
電解質型燃料電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池に関する。特には、出力性能が高く、焼成コストが
安価な固体電解質型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平11−144752では固
体電解質型燃料電池のインターコネクターとして、Srを
固溶させたランタンクロマイトからなる層を提案してい
る。
【0003】特開平6−302326では固体電解質型
燃料電池のインターコネクターとして、Caを固溶させた
ランタンクロマイトからなる層を提案している。
【0004】また、特開平4−282566ではインタ
ーコネクター部での出力ロスを低減させるために空気極
側から燃料極側へ耐酸化性セラミックスからなる層と、
耐還元性金属からなる層と、からなるインターコネクタ
ーを提案している。耐酸化セラミックスからなる層の例
として、LaCrO3を、耐還元性金属からなる層の例として
金属Niが挙げられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】CaまたはSrを固溶させ
たランタンクロマイトの単層を固体電解質型燃料電池の
インターコネクターとして用いると燃料雰囲気下で電子
導電性が低下することによって、燃料極側の集電材との
接触抵抗が大きくなり、出力性能が低下するという問題
があった。
【0006】また、燃料極側の集電材との接触抵抗を低
減させるために燃料極側に金属ニッケル層を設ける場
合、金属ニッケルは大気雰囲気下で焼成すると酸化され
てしまうため、還元雰囲気下で焼成を行わなければなら
ず、焼成コストが高くなるという問題があった。
【0007】そこで、本発明はインターコネクターの電
子導電性が高く、集電材との接触抵抗が小さく、さらに
焼成コストが安価な固体電解質型燃料電池を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
第1の発明は、電解質と、該電解質の片面に燃料極と、
前記電解質の反対面に設けた空気極と、からなる単電池
と、前記空気極または燃料極表面に接続され、電気的な
接続の役割を有するインターコネクターと、からなる固
体電解質型燃料電池であって、前記インターコネクター
が空気極側から燃料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=
Ca,Srのいずれか)からなる第一の層と、前記LaMCrO3とN
iOが均一に混合された層(以下、NiO/LaMCrO3と示
す。)からなる第二の層と、からなるからなることを提
供する。
【0009】本発明によれば、インターコネクターの燃
料極側をNiO/LaMCrO3にしたので、焼成コストが安価
で、出力性能が高い固体電解質型燃料電池を提供するこ
とができる。
【0010】焼成コストが安価な理由は、大気雰囲気下
の焼成でガス透過性の無いインターコネクターを作製す
ることができるためである。
【0011】ここで示すガス透過性の無いインターコネ
クターとは、インターコネクターの片面とその反対側面
の間に圧力差を設け、その間を透過するガス透過量で評
価され、ガス透過量Q≦2.8×10-9ms-1Pa-1(より好ま
しくはQ≦2.8×10-10ms-1Pa-1)であるものを指す。
【0012】出力性能が高くなる理由は、第二の層にお
いてNiOが含まれ、該NiOが燃料電池の運転中に金属Niに
変化し、インターコネクターの電子導電性が高くなるた
めである。
【0013】上記目的を達成するため第2の発明は、電
解質と、該電解質の片面に燃料極と、前記電解質の反対
面に設けた空気極と、からなる単電池と、前記空気極ま
たは燃料極表面に接続され、電気的な接続の役割を有す
るインターコネクターと、からなる固体電解質型燃料電
池であって、前記インターコネクターが空気極側から燃
料極側へ向かって、LaMCrO3(但し、M=Ca,Srのいずれか)
からなる第一の層と、NiO/LaMCrO3からなる第二の層
と、NiOからなる第三の層と、からなるからなることを
提供する。
【0014】本発明によれば、さらにNiOからなる第三
の層を設けたので焼成コストが安価で、より出力性能が
高い固体電解質型燃料電池を提供することができる。
【0015】焼成コストが安価な理由は、大気雰囲気下
の焼成でガス透過性の無いインターコネクターを作製す
ることができるためである。
【0016】出力性能がより高くなる理由は、NiO/LaMC
rO3からなる第二の層より、NiOからなる第三の層の方
が、運転中において金属Ni成分が多くなるので、インタ
ーコネクターの電子導電性がさらに高くなるためであ
る。また、燃料極側がNiOからなる層であるとNiOが燃料
電池の運転においてNiに変わるので、集電剤との接触抵
抗が小さくなり、集電材との間にメタライズ処理が不要
となるためである。
【0017】また、LaMCrO3からなる第一の層と、NiOか
らなる第三の層との間にNiO/LaMCrO3からなる第二の層
を設けた方が好ましい理由は、該第二の層がないとLaMC
rO3とNiOの熱膨張差および焼成収縮差が大きいことによ
る各層の間で剥がれが生じるためである。
【0018】上記目的を達成するため第3の発明は、第
二の層におけるNiOの重量比率が、10〜95重量%である
ことを提供する。
【0019】本発明によれば、第二の層の重量比率に制
限を設けたので出力性能が高い固体電解質型燃料電池を
提供することができる。
【0020】NiOの重量比率が10重量%未満では、NiOの
重量比率が小さすぎて、インターコネクターの電子導電
性が高くならないためである。一方、NiOの重量比率が9
5%より大きいと空気極側に設けられたLaMCrO3からなる
第一の層と熱膨張および焼成収縮の差が大きく、第一の
層との間で剥がれを生じるためである。
【0021】上記目的を達成するため第4の発明は、第
二の層におけるNiOの重量比率が、50〜95重量%である
ことを提供する。
【0022】NiOの重量比率が50重量%より小さいもの
を燃料極側の最上層に設けると、集電材として使用され
る金属Niとの接触抵抗が大きくなり、出力性能が低下す
るためである。10〜50重量%を燃料側の最上層に設ける
場合は、集電材との間に金属層を設けることが好まし
い。
【0023】上記目的を達成するため第5の発明は、燃
料極が、NiOとイットリアを固溶させたジルコニアが均
一に混合された層(以下、NiO/YSZと示す。)またはNiO
とスカンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合され
た層(以下、NiO/SSZと示す。)のいずれかから構成され
ることを提供する。
【0024】本発明によれば燃料極としてNiO/YSZ、ま
たはNiO/SSZのいずれかから構成されたものなので出力
性能が高く、耐久性に優れる固体電解質型燃料電池を提
供することができる。
【0025】この理由は、電子導電性が高いNi 成分と
酸素イオン導電性が高いイットリアを固溶させたジルコ
ニアまたはスカンジアを固溶させたジルコニアからなる
ので電解質と燃料極で起こる(1)および(2)式に示す電極
反応が促進されるためである。 H2+2O2-→2H2O+4e- …(1) CO+O2-→CO2+2e- …(2)
【0026】また、イットリアを固溶させたジルコニア
またはスカンジアを固溶させたジルコニアが混合されて
いるので運転時に起こるNiの凝集を抑制することがで
き、耐久性を高めることができるためである。
【0027】上記目的を達成するため第6の発明は、空
気極は、SrまたはCaを固溶させたランタンマンガナイト
からなることを提供する。
【0028】本発明によれば空気極としてSrまたはCaを
固溶させたランタンマンガナイトとしたので出力性能が
高い固体電解質型燃料電池を提供することができる。
【0029】この理由は、SrまたはCaを固溶させたラン
タンマンガナイトは電子導電性が高く、酸素イオン導電
性が高いため、空気極と電解質で起こる(3)式の電極反
応が効率よく行われるためである。 O2+4e-→2O2- …(3)
【0030】上記目的を達成するため第7の発明は、電
解質が、イットリアを固溶させたジルコニア(以下、YSZ
と示す)またはスカンジアを固溶させたジルコニア(以
下、SSZと示す)からなることを提供する。
【0031】本発明によれば電解質としてYSZまたはSSZ
としたので出力性能が高い固体電解質型燃料電池を提供
することができる。
【0032】この理由は、SSZについては酸素イオン導
電性が高いためで、YSZについてはSSZより酸素イオン導
電性は低下するものの焼結性が高いため電解質の膜厚を
薄くしてもガス透過性の無い電解質を作製することがで
きるためである。
【0033】ここで示すガス透過性の無い電解質とは、
電解質の片面とその反対側面の間に圧力差を設け、その
間を透過するガス透過量で評価され、ガス透過量Q≦2.
8×10- 9ms-1Pa-1(より好ましくはQ≦2.8×10-10ms-1P
a-1)であるものを指す。
【0034】上記目的を達成するため第8の発明は、イ
ンターコネクターを空気極の表面に形成後、1350〜1500
℃で焼成させてなることを提供する。
【0035】本発明によれば、インターコネクターを空
気極の表面に形成後、1350〜1500℃で焼成させることに
よって、ガス透過性の無いインターコネクターを作製
し、かつ出力性能が高い固体電解質型燃料電池を提供す
ることができる。
【0036】この理由は、1350℃未満の焼成では焼成温
度が低すぎて、ガス透過性の無いインターコネクターを
作製することができないためで、一方1500℃より高い焼
成では空気極とインターコネクター間の反応性が高ま
り、出力性能を低下させるためである。
【0037】上記目的を達成するため第9の発明は、イ
ンターコネクターを燃料極の表面に形成後、1350〜1500
℃で焼成させてなることを提供する。
【0038】本発明によれば、インターコネクターを燃
料極の表面に形成後、1350〜1500℃で焼成させることに
よって、ガス透過性の無いインターコネクターを作製
し、かつ出力性能が高い固体電解質型燃料電池を提供す
ることができる。
【0039】この理由は、1350℃未満の焼成では焼成温
度が低すぎて、ガス透過性の無いインターコネクターを
作製することができないためで、一方1500℃より高い焼
成では燃料極とインターコネクター間の反応性が高ま
り、出力性能を低下させるためである。
【0040】
【発明の実施形態】本発明における固体電解質型燃料電
池について図1を用いて説明する。図1は、円筒タイプ
の固体電解質型燃料電池の断面を示す図である。円筒状
の空気極支持体1上に帯状のインターコネクター2、電
解質3、さらに電解質3の上にインターコネクター2と
接触しないように燃料極膜4が構成されている。空気極
支持体の内側にAirを流し、外側に燃料を流すとAir中の
酸素が空気極と電解質の界面で酸素イオンに変わり、こ
の酸素イオンが電解質を通って燃料極に達する。そし
て、燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭
素になる。これらの反応は前記(1)〜(3)式で示される。
燃料極4とインターコネクター2を接続することによっ
て外部へ電気を取り出すことができる。
【0041】図2は固体電解質型燃料電池の集電方法に
関する図である。インターコネクター2と集電板6、燃
料極4とインターコネクター2、および燃料極4と集電
板6の間に集電材であるニッケルフェルト5を介して電
気を取り出している。
【0042】図1、図2に示すようにインターコネクタ
ーは空気極と燃料極の両雰囲気にさらされる。また、燃
料極と比較して面積が小さく、ここに燃料電池の電極反
応で生成した電子すべてが通過する。それゆえ、インタ
ーコネクターには以下のことが要求される。 (1) ガス透過性が無いこと:空気と燃料が混ざると発
電に寄与する燃料が減少し、出力性能が低下する。ガス
透過性としては、ガス透過量Q≦2.8×10-9ms-1Pa
-1(より好ましくはQ≦2.8×10-10ms-1Pa-1)が好まし
い。 (2)電子導電性が高いこと:電子導電性が低いとインタ
ーコネクターの内部抵抗が大きくなり、出力性能が低下
する。電子導電率としては、10Scm-1以上が好ましい。 (3)集電材との接触抵抗が小さいこと:集電材との接触
抵抗が大きいとジュール熱損失によって、出力性能が低
下する。集電材とインターコネクターの界面における導
電率は、20Scm-2以上(より好ましくは50Scm-2以上)が好
ましい。 (4)酸素イオン導電性が無いこと (5)高温下で空気と燃料の両雰囲気に対して安定である (6)他の構成部材と反応しないこと (7)熱膨張係数が他材料と一致すること が挙げられる。
【0043】これらの要求特性から、インターコネクタ
ーとして適した材料はLaCrO3で表されるランタンクロマ
イトである。LaCrO3は難焼結性材料であるため1700℃以
上の高温でないとガス透過性の無いものを作製すること
ができない。それゆえ、Ca,Srのいずれかを固溶させ、L
aMCrO3で表されるものが好ましい。しかし、LaMCrO3
燃料雰囲気で電子導電性が低下し、集電材であるNiフェ
ルトとの接触抵抗が大きくなり、出力性能が低下する。
それゆえ、燃料雰囲気で電子導電性を向上させ、インタ
ーコネクターでの出力の低下を抑制するためには、燃料
極側にNiO/LaMCrO 3(NiOは、燃料雰囲気で金属Niに変わ
る)からなる層を設けることが好ましい。
【0044】また、集電材との接触抵抗が小さいほど出
力性能が低下を抑えられるので、燃料側にさらにNiOか
らなる層を設けることが好ましい。
【0045】本発明の第一の層におけるLaMCrO3は、第
二の層におけるNiOが酸化雰囲気にさらされると電子導
電性が低下するので第一の層のみでガス透過性がないも
のを形成させることが好ましい。それゆえ、ガス透過性
のない第一の層を作製するために、第一の層にはCo,Cu,
Alなどの焼結助剤成分が含まれていても良い。
【0046】本発明の第一の層におけるLaMCrO3のMと
しては、SrよりCaである方がより好ましい。この理由
は、Srのタイプより低温でガス透過性の無いインターコ
ネクターを作製することができるためである。また、Ca
の固溶量はLaMCrO3100モル%に対して、10〜40
モル%であることが好ましい。Caの固溶量が10モル%よ
り小さいと焼結助剤であるCamCrnO4で表されるカルシウ
ムクロメイト成分が少ないため、燃料電池の他材料と同
一温度でガス透過性のないインターコネクターを作製す
ることができないためである。一方、Caの固溶量が40モ
ル%より大きいと材料の耐久性が低下し、長時間運転に
おいて出力性能が低下するためである。
【0047】本発明のNiO/LaMCrO3からなる第二の層に
おけるNiOの重量比率は、第一の層との密着性と燃料側
の電子導電性向上の観点から、傾斜させた構造であって
も良い。例えば、空気側から燃料側へNiOの比率が20,5
0,80重量%となるような構造であっても良い。
【0048】本発明の第一の層におけるLaMCrO3におけ
る原料作製法については、ガス透過性が無く、空気極と
の密着性が良いものであれば良く特に限定はない。噴霧
熱分解法、粉末混合法、クエン酸塩法、共沈法などが挙
げられる。均一な組成でかつ焼結性の高い粉末が得られ
るという観点から噴霧熱分解法、クエン酸塩法が好まし
い。
【0049】本発明の第三の層におけるNiO粉末の作製
法については、第二の層と集電材との密着性が良ければ
良く、特に限定はない。水酸化ニッケルから作製する方
法や硫酸ニッケルから作製する方法を挙げることができ
る。低コストという観点からは、水酸化ニッケルから作
製する方法が好ましい。
【0050】本発明におけるNiO/LaMCrO3の作製法につ
いては、第一の層との密着性が良く、燃料雰囲気下で電
子導電性が高いものであれば良く特に限定はない。LaMC
rO3とNiO粉末を別々に作製したものを所定の混合比で混
ぜ、スプレードライ法で作製する粉末混合法やLa,M,Cr,
Niの各々の硝酸塩から噴霧熱分解法で作製する液相法な
どが挙げられる。
【0051】本発明におけるインターコネクターの作製
方法については特に限定はない。インターコネクター以
外の部分をマスキングして、第一の層、と第二の層と、
第三の層をスラリーコート法で成膜し、デマスクし、焼
成する方法や、第一の層と、第二の層と、第三の層をペ
ットフィルム上に印刷したものを直接空気極表面に貼り
つけて焼成する方法(以下、シート接着法と示す。)など
が挙げられる。マスキング、デマスク工程が無く、低コ
ストであるという観点からはシート接着法が好ましい。
【0052】本発明におけるインターコネクターを図1
に示す円筒タイプの固体電解質型燃料電池に採用した場
合、電池の反りを小さくすることができ、モジュール発
電に際して好ましい。反りを小さくできる理由は、イン
ターコネクターにNiOが含まれるので燃料極との熱膨張
および焼成収縮差が小さくなるためである。また、反り
が小さいとモジュールに際して好ましいのは、所定の面
積により多くの電池を収納することができ、高出力の発
電をすることができるためである。
【0053】本発明における燃料極は固体電解質型燃料
電池の発電温度の燃料雰囲気において電子導電性が高
い、燃料ガス透過性が高い、(1)および(2)の反応が効率
良く行われることが要求される。この観点からNiO/YSZ
または、NiO/SSZからなることが好ましい。なお、Ni
Oは固体電解質型燃料電池の運転雰囲気下で還元されて
Niとなり、該層はNi/YSZまたはNi/SSZからなる。
【0054】また、本発明における燃料極として、NiO
とCaを固溶させたジルコニアが均一に混合された層から
なるものであっても良い。この理由は、Caを固溶させた
ジルコニアは、YSZやSSZと比較してコストが安価であ
り、本材料を採用すれば固体電解質型燃料電池のコスト
を下げることができるためである。
【0055】電解質側の燃料極は、(1)と(2)の反応を効
率よく行うため酸素イオン導電性と電子導電性を有する
ものであることが好ましい。この観点からNiO/YSZまた
はNiO/SSZにおけるNiOの重量比率が10〜50重量部である
ことが好ましい。
【0056】燃料側の燃料極は、電子導電性が高く、燃
料ガス透過性が高く、集電材との接触抵抗が小さいもの
であることが好ましい。この観点からNiO/YSZまたは、N
iO/SSZにおけるNiOの重量比率は50重量%以上で、且つ
平均粒子径が0.5〜10μm粉末から構成させたもの
であることが好ましい。
【0057】燃料極原料の合成法についてはNiOとイッ
トリアを固溶させたジルコニアまたはNiOとスカンジア
を固溶させたジルコニアが均一に混合されていれば良く
特に限定はない。共沈法、スプレードライ法などが挙げ
られる。
【0058】本発明における空気極は固体電解質型燃料
電池の発電温度の空気雰囲気において電子導電性が高
い、酸素ガス透過性が高い、(3)式の反応が効率よく行
われることが要求される。この観点からはSrまたはCaを
固溶させたランタンマンガナイトが好ましい。
【0059】SrまたはCaを固溶させたランタンマンガナ
イトには、前記空気極の要求特性を向上させるために、
Ce,Sm,Gd,Pr,Ndなどをさらに固溶させたものであっても
良い。
【0060】ランタンマンガナイトの空気極原料の作製
法については特に限定はない。粉末混合法、共沈法、噴
霧熱分解法、ゾルゲル法などで作製する方法が挙げられ
る。
【0061】本発明の空気極において、インターコネク
ターが成膜される部分については、SrまたはCaを固溶さ
せたランタンマンガナイト組成で、ガス透過性の低い緻
密空気極を設けることが好ましい。この理由は、インタ
ーコネクターの第一の層であるLaMCrO3は、焼成におい
てCamCrnO4またはSrmCrnO4で表される液相成分が焼結助
剤として作用し、ガス透過性の無いインターコネクター
を作製するが、空気極が多孔質であるとこの液相成分が
空気極に拡散し、ガス透過性の無いインターコネクター
を作製できないためである。
【0062】ここで示すガス透過性の低い緻密空気極と
は、緻密空気極の片面とその反対側面の間に圧力差を設
け、その間を透過するガス透過量で評価され、ガス透過
量Q≦2.8×10-7ms-1Pa-1であるものを指す。
【0063】本発明における電解質は、固体電解質型燃
料電池の発電温度で空気雰囲気および燃料ガス雰囲気に
おいて、酸素イオン導電性が高いこと、ガス透過性が無
いこと、電子導電性が無いことが要求される。この観点
からYSZあるいはSSZが好ましい。
【0064】また、本発明における電解質として、CaO
を固溶させたジルコニアであっても良い。この理由は、
CaOを固溶させたジルコニアは、YSZあるいはSSZよりコ
ストが低く、本材料を採用すれば固体電解質型燃料電池
のコストを低下させることができるためである。
【0065】本発明における電解質において、YSZにお
けるイットリアの固溶量については、酸素イオン導電性
が高く、発電温度で結晶相が安定であるものであれば良
い。この観点からジルコニア100mol%に対して、3〜15m
ol%(より好ましくは8〜14mol%)が好ましい。
【0066】本発明における電解質において、SSZにお
けるスカンジアの固溶量については、酸素イオン導電性
が高く、発電温度で結晶相が安定であるものであれば良
い。この観点からジルコニア100mol%に対して、3〜15m
ol%(より好ましくは8〜14mol%)が好ましい。
【0067】本発明における電解質にはCeO2,Sm2O3,Gd2
O3などをジルコニア100 mol%に対して5mol%以下固溶
させたものであっても良い。特にSSZにおいてはこれら
の組成を微量含んでいた方が酸素イオン導電性が高くな
ることから含んでいる方が好ましい。また、ガス透過の
無いものを作製するために焼結助剤を微量添加させても
良い。焼結助剤としてはAl2O3、SiO2などを挙げること
ができる。
【0068】本発明における電解質の作製法については
特に限定はないが量産性に優れ、低コストであるという
観点からスラリーコート法、スクリーン印刷法、シート
接着法が好ましい。
【0069】本発明における電解質膜原料の作製法につ
いてはイットリアおよびスカンジアの固溶を均一にでき
る方法であれば良く特に限定はない。共沈法が一般的で
ある。
【0070】本発明における固体電解質型燃料電池の形
状については特に限定はなく、平板型、円筒型いずれで
あっても良い。
【0071】
【実施例】(実施例1)図1に示す円筒型固体電解質型
燃料電池に用いた。すなわち、円筒状の空気極支持体1
上に帯状のインターコネクター2、電解質3、さらに電
解質の上にインターコネクターと接触しないように燃料
極4から構成されたものを用いた。
【0072】(1)空気極支持体の作製 空気極組成としては、La0.75Sr0.25MnO3で表されるSrを
固溶させたランタンマンガナイトで、共沈法で作製後熱
処理して空気極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μm
であった。該粉末を押し出し成形法によって円筒状成形
体を作製した。さらに、1500℃で焼成を行い、空気
極支持体とした。
【0073】(2)緻密空気極の作製 緻密空気極の組成としては空気極と同様のLa0.75Sr0.25
MnO3組成で、共沈法で作製後、熱処理して原料粉末を得
た。平均粒子径は2μmであった。該粉末は、該粉末4
0重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー
(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエ
タレンアルキルソン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソル
ビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分
攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は70
mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体(外径1
5mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)表面のイ
ンターコネクターが成膜される部分にスラリーコート法
で成膜した後に1400℃で焼結させた。得られた緻密
空気極の厚みは50μmであった。なお、後工程で電解質
を成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布
されないようにしておいた。
【0074】(3)電解質の作製:電解質としては、YSZ
を用い、該組成は、90 mol%ZrO2-10mol%Y2O3で、共沈
法で作製後、熱処理して電解質用粉末を得た。平均粒子
径を0.5μmとした。該粉末40重量部を溶媒(エタノー
ル)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2
重量部、分散剤(ポリオキシエタレンアルキルソン酸エ
ステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)
1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整
した。このスラリー粘度は140mPasであった。該スラ
リーを用いて電解質を成膜し、1400℃で焼成した。
得られた電解質の厚さは、50μmであった。なお、後
工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマ
スキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
【0075】(4)燃料極の作製 燃料極としては、NiO/YSZを用いた。YSZの組成は、90 m
ol%ZrO2-10mol%Y2O3とし、NiO/YSZの重量比率(粉末の
平均粒子径)は、電解質側から燃料方向へNiO/YSZ(平均
粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μ
m)、70/30(2μm)とした。各々の粉末は、共沈法で作製
後熱処理をして得た。これらの粉末100重量部と有機
溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチル
セルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエタレン
アルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタン
セスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部
を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。この
スラリーの粘度は70mPasであった。燃料極の面積が1
50cmになるように電解質表面にマスキングをし、
NiO/YSZ=20/80,50/50,70/30の順にスラリーコート法に
より成膜しデマスク後、1420℃で焼成した。膜厚
(焼成後)は100μmであった。
【0076】(5)インターコネクターの原料作製:第
一の層は、La0.8Ca0.2CrO3組成であり、噴霧熱分解法で
合成後、熱処理をして作製した。平均粒子径1μmとし
た。第二の層の組成およびその重量比率は、NiO/ La0.8
Ca0.2CrO3=50/50であり、水酸化ニッケルから作製したN
iO粉末と噴霧熱分解法で作製したLa0.8Ca0.2CrO3粉末を
水で分散させた後、スプレードライ法で粉末混合し、さ
らに熱処理をして得た。得られた粉末の平均粒子径は1
μmであった。
【0077】(6)インターコネクタースラリーの作製 粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バイ
ンダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオ
キシエタレンアルキルソン酸エステル)1重量部、消泡
剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した
後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘
度は100mPasであった。
【0078】(7)インターコネクターの作製 緻密空気極上に成膜できるようにマスキングを行った
後、緻密空気極表面にLa0. 8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=50/50の順にスラリーコート法で成膜しデマス
ク後、さらに1400℃で焼成した。焼成後の厚みは50μ
m(第一の層:40μm、第二の層:10μm)であっ
た。
【0079】(8)発電試験 得られた固体電解質型燃料電池(燃料極有効面積:15
0cm2)に対して、図2に示すようにインターコネクタ
ー2と燃料極4と集電板6の間にNiフェルト5を挟ん
で、発電試験を行った。このときの運転条件は以下であ
った。 燃料:(H2+11%H2O):N2 = 1:2 酸化剤:Air 発電温度:1000℃ 電流密度:0.3Acm-2
【0080】(9)ガス漏れ試験 発電試験前に空気極支持体内部に窒素ガスを流し、空気
極内部から0.1MPaの圧力を加え。インターコネク
ターを透過するガス透過量を測定した。これによりイン
ターコネクターがガス透過性の無いものであるかを評価
した。
【0081】(実施例2)インターコネクターにおい
て、水酸化ニッケルから作製したNiO粉末(平均粒子径
1.5μm)から第三の層を作製した。緻密空気極表面にLa
0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca0.2CrO3=50/50、NiOの順に
スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼成すし、焼成後
の厚みが55μm(第一の層:40μm、第二の層:10
μm、第三の層:5μm)であること以外は実施例1と同
様とした。
【0082】(実施例3)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.7Sr0.3CrO3、NiO/ La0.7Sr
0.3CrO3=50/50、NiOの順にスラリーコート法で成膜し、
1400℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の層:
40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)であ
ること以外は実施例1と同様とした。
【0083】(比較例1)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3をスラリーコート
法で成膜し、1400℃で焼成し、焼成後の厚みが40μm
であること以外は実施例1と同様とした。
【0084】(比較例2)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.7Sr0.3CrO3をスラリーコート
法で成膜し、1400℃で焼成し、焼成後の厚みが40μm
であること以外は実施例1と同様とした。
【0085】
【表1】
【0086】表1に発電試験結果を示す。実用電池とし
ての目標出力は出力密度0.18Wcm-2以上なので本試験で
は27W以上である。出力の結果から、実施例1〜3は実用
電池としての出力性能以上であるが、比較例1,2では
実用電池としての出力性能を大きく下回った。また、イ
ンターコネクターのガス透過量Qは、Q≦2.8×10-9ms-1
Pa-1が目標値であるが、いずれの条件においても目標値
以上のガス透過性を有していることが確認された。これ
らの結果から、インターコネクターを実施例1〜3の構
造にすることで、燃料雰囲気での導電率の向上とNiフェ
ルトとの接触抵抗が抑えられることによって出力性能が
向上することが確認された。
【0087】第二の層におけるNiO比率について (実施例4)インターコネクターにおいて、緻密空気極
表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca 0.2CrO3=10/90の
順にスラリーコート法で成膜し、1400℃で焼成し、焼成
後の厚みが50μm(第一の層:40μm、第二の層:1
0μm)であること以外は実施例1と同様とした。
【0088】(実施例5)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=10/90 、NiOの順にスラリーコート法で成膜
し、1400℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の
層:40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)
であること以外は実施例1と同様とした。
【0089】(実施例6)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=30/70の順にスラリーコート法で成膜し、1400
℃で焼成し、焼成後の厚みが50μm(第一の層:40
μm、第二の層:10μm)であること以外は実施例1と
同様とした。
【0090】(実施例7)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=30/70 、NiOの順にスラリーコート法で成膜
し、1400℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の
層:40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)
であること以外は実施例1と同様とした。
【0091】(実施例8)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=70/30の順にスラリーコート法で成膜し、1400
℃で焼成し、焼成後の厚みが50μm(第一の層:40
μm、第二の層:10μm)であること以外は実施例1と
同様とした。
【0092】(実施例9)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=70/30、NiOの順にスラリーコート法で成膜し、
1400℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の層:
40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)であ
ること以外は実施例1と同様とした。
【0093】(実施例10)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=95/5の順にスラリーコート法で成膜し、1400℃
で焼成し、焼成後の厚みが50μm(第一の層:40μ
m、第二の層:10μm)であること以外は実施例1と同
様とした。
【0094】(実施例11)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=95/5、NiOの順にスラリーコート法で成膜し、1
400℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の層:4
0μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)である
こと以外は実施例1と同様とした。
【0095】(比較例3)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=5/95の順にスラリーコート法で成膜し、1400℃
で焼成し、焼成後の厚みが50μm(第一の層:40μ
m、第二の層:10μm)であること以外は実施例1と同
様とした。
【0096】(比較例4)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.8Ca0.2CrO3、NiO/ La0.8Ca
0.2CrO3=97/3、NiOの順にスラリーコート法で成膜し、1
400℃で焼成し、焼成後の厚みが50μm(第一の層:4
0μm、第二の層:10μm)であること以外は実施例1
と同様とした。
【0097】
【表2】
【0098】表2に発電試験結果およびインターコネク
ターのガス透過量を示す。ガス透過量についてはすべて
の条件において目標値より優れているが、出力において
は実施例4〜11では27W以上であるのに対し、比較例
3、4では27Wを下回る結果となった。比較例3につい
ては、第二の層におけるNi量が少ないため燃料側の導電
率が低いこととNiフェルトとの接触抵抗が大きいことと
が原因で出力性能が低下したためである。一方、比較例
4では第一の層と第二の層との密着性が低いことによっ
てインターコネクターの内部抵抗が大きくなったことが
出力性能が低下した原因である。以上の結果から、第二
の層におけるNiOの重量比率は、10〜95重量%の範囲で
あることが好ましいことが確認された。さらに、実施例
4〜11(表1の実施例1,2も含む)においては、第二
の層までのものと第三の層まで設けたもので出力性能を
比較している。第二の層におけるNiOの割合が10,30で
ある実施例4,6では、第三の層を設けた場合の実施例
5,7と比較して性能差が見られるのに対して、NiOの
多いものではほとんど差が認められないのがわかる。こ
の結果から、第二の層におけるNiOの重量比率は、50〜9
5重量%の範囲であることがより好ましいことが確認さ
れた。
【0099】インターコネクター焼成温度の効果につい
て (実施例12)インターコネクターにおいて、緻密空気
極表面にLa0.80Ca0.20CrO3、NiO/ La0.8 0Ca0.20CrO3=50
/50、NiOの順にスラリーコート法で成膜し、1350℃で焼
成し、焼成後の厚みが55μm(第一の層:40μm、第
二の層:10μm、第三の層:5μm)であること以外は
実施例1と同様とした。
【0100】(実施例13)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.80Ca0.20CrO3、NiO/ La0.8 0C
a0.20CrO3=50/50、NiOの順にスラリーコート法で成膜
し、1500℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の
層:40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)
であること以外は実施例1と同様とした。
【0101】(比較例5)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.80Ca0.20CrO3、NiO/ La0.8 0C
a0.20CrO3=50/50、NiOの順にスラリーコート法で成膜
し、1300℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の
層:40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)
であること以外は実施例1と同様とした。
【0102】(比較例6)インターコネクターにおい
て、緻密空気極表面にLa0.80Ca0.20CrO3、NiO/ La0.8 0C
a0.20CrO3=50/50、NiOの順にスラリーコート法で成膜
し、1550℃で焼成し、焼成後の厚みが55μm(第一の
層:40μm、第二の層:10μm、第三の層:5μm)
であること以外は実施例1と同様とした。
【0103】
【表3】
【0104】表3にインターコネクターの焼成温度に対
する出力とインターコネクターガス透過量の結果を示
す。焼成温度が1350〜1500℃では27W以上でガス透過量
も要求される数値を上回っているのに対して、1350℃よ
り温度の低い比較例5では出力、ガス透過量ともに未達
であり、1500℃より温度の高い比較例6では出力が未達
であった。以上の結果からインターコネクターの焼成温
度は1350〜1500℃が好ましいことが確認された。
【0105】燃料極について (実施例14)燃料極において、NiO/SSZを用いた。SSZ
の組成は、90 mol%ZrO2-10mol%Sc2O3とし、NiO/SSZの
重量比率(粉末の平均粒子径)は、電解質側から燃料方向
へNiO/SSZ (平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/5
0(0.5μm)、70/30(2μm)とした。各々の粉末は、
共沈法で作製後熱処理をして得た。これらの粉末100
重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バイン
ダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオ
キシエタレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡
剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(D
BP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを
調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。燃
料極の面積が150cmになるように電解質表面にマ
スキングをし、NiO/SSZ=20/80,50/50,70/30の順にスラ
リーコート法により成膜しデマスク後、1420℃で焼
成し、膜厚(焼成後)が100μmであった以外は実施例
1と同様とした。
【0106】
【表4】
【0107】表4に燃料極の構成層に対する出力とイン
ターコネクターガス透過量の結果を示す。表4に示すよ
うに燃料極をNiO/SSZにした場合、インターコネクター
のガス透過量は変わらず、出力性能はむしろ高くなるこ
とがわかった。以上の結果から燃料極としてはNiO/YSZ
あるいはNiO/SSZのいずれであっても良いことが確認さ
れた。
【0108】空気極について (実施例15)空気極および緻密空気極をCaを固溶させ
たランタンマンガナイトとし、組成をLa 0.80Ca0.20MnO3
組成とした以外は実施例1と同様とした。
【0109】
【表5】
【0110】表5に空気極組成に対する出力とインター
コネクターガス透過量の結果を示す。この結果からいず
れを用いても差が無く、空気極としてはSrまたはCaを固
溶させたランタンマンガナイトが好ましいことが確認さ
れた。
【0111】電解質について (実施例16)電解質をSSZとし、該組成を90 mol%ZrO
2-10mol%Sc2O3であるものを用いた以外は実施例1と同
様とした。
【0112】
【表6】
【0113】表6に電解質組成に対する出力とインター
コネクターガス透過量の結果を示す。電解質にSSZを用
いるとインターコネクターのガス透過量は変わらない
が、出力性能がYSZの場合と比較してむしろ良くなる結
果が得られた。以上の結果から電解質としてはYSZまた
はSSZであることが好ましいことが確認された。
【0114】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、固体電
解質型燃料電池のインターコネクターが空気極側から燃
料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=Ca,Srのいずれか)
で表されるCaまたはSrを固溶させたランタンクロマイト
からなる第一の層と、前記LaMCrO 3とNiOが均一に混合さ
れた層からなる第二の層と、からなるのでインターコネ
クターの電子導電性が高く、出力性能が高い固体電解質
型燃料電池を提供できる。以上の説明から明らかなよう
に、固体電解質型燃料電池のインターコネクターが空気
極側から燃料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=Ca,Sr
のいずれか)で表されるCaまたはSrを固溶させたランタ
ンクロマイトからなる第一の層と、前記LaMCrO 3とNiOが
均一に混合された層からなる第二の層と、NiOからなる
第三の層と、からなるのでインターコネクターの電子導
電性が高く、集電材との接触抵抗が小さいので、出力性
能が高い固体電解質型燃料電池を提供できる。また、固
体電解質型燃料電池を大気雰囲気下にて焼成できるの
で、焼成コストが安価な固体電解質型燃料電池を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒タイプの固体電解質型燃料電池の断面を示
す図である。
【図2】図1に示す固体電解質型燃料電池の空気極、電
解質および燃料極構成について詳細に示した断面図であ
る。
【符号の説明】
1:空気極支持体 2:インターコネクター 3:電解質 4:燃料極 5:集電材 6:集電板

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質と、該電解質の片面に燃料極と、
    前記電解質の反対面に設けた空気極と、からなる単電池
    と、前記空気極または燃料極表面に接続され、電気的な
    接続の役割を有するインターコネクターと、からなる固
    体電解質型燃料電池であって、前記インターコネクター
    が空気極側から燃料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=
    Ca,Srのいずれか)で表されるCaまたはSrを固溶させたラ
    ンタンクロマイトからなる第一の層と、前記LaMCrO3とN
    iOが均一に混合された層からなる第二の層と、からなる
    ことを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 電解質と、該電解質の片面に燃料極と、
    前記電解質の反対面に設けた空気極と、からなる単電池
    と、前記空気極または燃料極表面に接続され、電気的な
    接続の役割を有するインターコネクターと、からなる固
    体電解質型燃料電池であって、前記インターコネクター
    が空気極側から燃料極側に向かって、LaMCrO3(但し、M=
    Ca,Srのいずれか)で表されるCaまたはSrを固溶させたラ
    ンタンクロマイトからなる第一の層と、前記LaMCrO3とN
    iOが均一に混合された層からなる第二の層と、NiOから
    なる第三の層と、からなることを特徴とする固体電解質
    型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記第二の層におけるNiOの重量比率
    が、10〜95重量%であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記重量比率が、50〜95重量%であ
    ることを特徴とする請求項3に記載の固体電解質型燃料
    電池。
  5. 【請求項5】 前記燃料極は、NiOとイットリアを固溶
    させたジルコニアが均一に混合された層またはNiOとス
    カンジアを固溶させたジルコニアが均一に混合された層
    のいずれかから構成されることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか一項に記載の固体電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】 前記空気極は、SrまたはCaを固溶させた
    ランタンマンガナイトからなることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一項に記載の固体電解質型燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記電解質は、イットリアを固溶させた
    ジルコニアまたはスカンジアを固溶させたジルコニアか
    らなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に
    記載の固体電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】 前記インターコネクターを空気極の表面
    に形成後、1350〜1500℃で焼成させてなること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体
    電解質型燃料電池。
  9. 【請求項9】 前記インターコネクターを燃料極の表面
    に形成後、1350〜1500℃で焼成させてなること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体
    電解質型燃料電池。
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