JP2003239142A - 気相法炭素繊維及びその製造方法 - Google Patents

気相法炭素繊維及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相法炭素繊維の製造に不可欠な遷移金属化
合物の選択肢を多くすることができ、また得られる炭素
繊維の収率を高めた製造方法を提供すること。 【解決手段】 気相法炭素繊維の製造方法において、遷
移金属化合物を溶媒に溶解し、その溶液から微細な液滴
を発生させ、次いで液滴中の溶媒を蒸発させて遷移金属
化合物の微粒子を生成させ、その微粒子を原料の有機化
合物と共に炭素繊維生成炉に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機化合物の気相熱
分解法による微細な炭素繊維の製造方法に関し、さらに
詳しくは炭素繊維の製造の際の触媒となる遷移金属化合
物の微粒子を特定の方法で炭素繊維生成炉内に供給する
ことにより炭素繊維を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機化合物の熱分解によって得られるい
わゆる気相法炭素繊維はFe、Ni等の遷移金属の微粒
子を触媒として成長するものである。その生成機構は微
粒子の周囲に有機化合物の熱分解により生成した炭素が
析出し、繊維状に伸長することからなっている。そのた
め微細な炭素繊維を得るためには微粒子はできるだけ細
かい方がよい。この細かい微粒子を用い成長時間を短く
することにより微細な繊維の製造が可能となる。
【0003】気相法炭素繊維は導電性や熱伝導性フィラ
ー材として合成樹脂や塗料の充填剤、リチウム電池等の
充填剤、燃料電池、二次電池、キャパシタ等の電極材、
電界放出ディスプレイ(FED)等の電子放出材料等に
用いられるが、これらの用途には炭素繊維はできるだけ
細かい径のものが好ましい。従来、遷移金属の微粒子を
炭素繊維生成炉(反応炉)内に存在させる方法として各
種のものが提案されている。一つは遷移金属化合物を熱
分解して該金属の微粒子を予め得、それを反応炉内に存
在させる方法である(特公昭58−22571号公
報)。またフェロセンのような有機遷移金属化合物で熱
分解温度より蒸発温度(気化温度)が低い化合物をガス
状にして反応炉に供給し、そこで熱分解して遷移金属の
微粒子を生成させる方法もある(特公昭62−4936
3号公報)。さらに遷移金属化合物を溶媒に溶解し、そ
の溶液を噴霧して反応炉内に供給し、反応炉内で該化合
物を分解し、遷移金属の微粒子を生成させる方法もある
(特許第2778434号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術におい
て、予め遷移金属の微粒子を得る方法では非常に細かい
微粒子とすることが難しい。粉砕では限度がある上、凝
集して二次粒子となり易く粗大化する。またフェロセン
のようなガスの熱分解でも、生成した金属の粒子が熱分
解の温度領域で凝集し大きくなる傾向がある。遷移金属
化合物をガス状にして反応炉に供給する方法はその化合
物が熱分解温度より低い温度で蒸発する必要があり、化
合物の種類がかなり限られる。フェロセンのような化合
物はこの条件を満たすが高価で経済性に問題がある。ま
た遷移金属化合物をガス状で供給した場合、微粒子の大
きさにバラツキが生じ易い。特に化合物が分子状態で供
給されるので熱分解が早く、反応炉の入口付近で大部分
が熱分解し、生成した金属粒子がガスの流れに沿って凝
集し、粗大化するものが多く、触媒として機能しない大
きさに成長してしまう。このため微細な炭素繊維の生成
効率(収率)が低い。遷移金属化合物を溶媒に溶解し、
その溶液を微細な液滴にして反応炉内に供給する方法は
溶媒を選択することにより該化合物が広範囲に種々のも
のが使用可能となる利点がある。しかし溶媒が反応炉内
で蒸発するため、その蒸発潜熱による温度の影響が現れ
反応炉内の温度を均一に保てないため、均一な径を持っ
た炭素繊維が得られないという問題点がある。本発明は
触媒となる遷移金属化合物が広範囲に種々のものに適用
可能にして、かつ効率よく微細な気相法炭素繊維を製造
する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するためになされたもので以下の各項からなる。 (1)遷移金属化合物を溶媒に溶解し、その溶液から微
細な液滴を発生させ、次いで液滴中の溶媒を蒸発させて
遷移金属化合物の微粒子とし、該微粒子を浮遊状態で有
機化合物のガスと共に炭素繊維生成炉に供給することを
特徴とする気相法炭素繊維の製造方法。 (2)遷移金属化合物を溶媒に溶解し、その溶液から微
細な液滴を発生させ、次いで液滴中の溶媒を蒸発させて
遷移金属化合物の微粒子とし、該微粒子を浮遊状態で有
機化合物のガス及び遷移金属化合物のガスと共に炭素繊
維生成炉に供給することを特徴とする気相法炭素繊維の
製造方法。 (3)液滴中に熱分解温度あるいは水素による還元温度
が異なる2種以上の遷移金属化合物を含む上記(1)ま
たは(2)に記載の気相法炭素繊維の製造方法。 (4)液滴が2種以上であり、それぞれの液滴に熱分解
温度あるいは水素による還元温度が異なる遷移金属化合
物を含む上記(1)または(2)に記載の気相法炭素繊
維の製造方法。 (5)液滴中の遷移金属化合物の濃度(2種以上の場合
はその合計量)が0.01〜40質量%である上記
(1)〜(4)のいずれか1項に記載の気相法炭素繊維
の製造方法。 (6)遷移金属化合物が、鉄、ニッケル、コバルト、モ
リブデン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、
チタン、バナジウムのそれぞれの酸化物、水酸化物、硫
化物、フッ化物、フルオロ錯体、塩化物、クロロ錯体、
臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸複塩、炭
酸塩、シアノ錯体、メタロセンから選ばれた1種である
上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の気相法炭素
繊維の製造方法。
【0006】(7)遷移金属化合物が、その熱分解温度
が該蒸発温度より低いものである上記(1)〜(6)の
いずれか1項に記載の気相法炭素繊維の製造方法。 (8)遷移金属化合物溶液の液滴を発生させる方法が、
圧力微粒化法、二流体式微粒化法、遠心式微粒化法、振
動法、超音波法、音響微粒化法、電気力微粒化法から選
ばれた少なくとも1種である上記(1)〜(7)のいず
れか1項に記載の気相法炭素繊維の製造方法。 (9)遷移金属化合物の溶媒が、水、有機溶媒、含水有
機溶媒である上記(1)〜(8)のいずれ1項に記載の
炭素繊維の製造方法。 (10)遷移金属化合物の溶媒が、水、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、アセトン、エーテル、ヘキサンから選ばれた少なく
とも1種である上記(1)〜(9)のいずれか1項に記
載の炭素繊維の製造方法。 (11)上記(1)〜(10)に記載の製造方法で製造
された気相法炭素繊維。 (12)繊維外径が1〜500nm、繊維長さが0.5
〜100μmである上記(11)に記載の気相法炭素繊
維。 (13)樹脂に上記(11)に記載の気相法炭素繊維を
含有する樹脂組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は気相法炭素繊維の製造方
法において、遷移金属化合物を含有する溶液から液滴を
発生させ、その液滴から溶媒を蒸発させて遷移金属化合
物の微粒子を生成させ、該微粒子を反応炉内に供給する
ことを特徴とする。遷移金属化合物としては無機あるい
は有機の遷移金属化合物のいずれも使用可能である。こ
れらの化合物としては鉄、ニッケル、コバルト、モリブ
デン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、チタ
ン、バナジウムのそれぞれの酸化物、水酸化物、硫化
物、フッ化物、フルオロ錯体、塩化物、クロロ錯体、臭
化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸複塩、炭酸
塩、シアノ錯体、メタロセンなど例えばFeF2、Fe
Cl2、FeCl3、FeSO4、FeNO3、Fe(C
O)5、Fe(C552、FeS、FeS2、NiC
2、K3[NiF6]、K3[CoF6]、MoCl2、R
hCl2、RuCl2、TiCl4などを挙げることがで
きる。また、これらは無水和物、水和物でもよい。これ
らの中で例えば鉄の塩化物、フェロセン等を除く多くの
化合物は蒸発させることが困難かあるいは熱分解温度が
蒸発温度より低いので、ガス化して反応炉に導くことは
出来ない。したがってこれらの遷移金属化合物は本発明
に特に有用である。
【0008】上記の遷移金属化合物は反応炉内で熱分解
するか、あるいは反応炉には通常キャリアガスとして用
いられる水素ガスが存在するので、その水素ガスにより
還元されて遷移金属の微粒子が生成する。本発明におい
て遷移金属化合物は2種以上併用することができ、特に
熱分解温度あるいは水素による還元温度の異なる化合物
を2種以上併用することが好ましい。この併用により遷
移金属の微粒子が反応炉内の狭い範囲帯域に集中して生
成するのを防ぎ、広範囲の帯域で生成させることがで
き、微粒子の利用効率が高まる。このような2種以上の
遷移金属化合物を用いる方法としては、一つは溶媒中に
2種以上の遷移金属化合物を溶解させ、それを液滴にし
て用いる方法である。この場合は一つの液滴中に熱分解
温度あるいは水素による還元温度(併せて熱分解温度等
という)が異なる2種以上の遷移金属化合物を含むこと
になる。他の方法は熱分解温度等が異なる2種以上の遷
移金属化合物から2種以上の別々の液滴を生成させ、そ
れらを反応炉に供給する方法である。本発明において、
液滴を生成させる溶媒中の遷移金属化合物の濃度は特に
限定されないが、低すぎると該化合物微粒子の生成量が
少なく、また高すぎると微粒子が大きくなるり易いの
で、0.01〜40質量%程度が適し、好ましくは0.
1〜30質量%、さらに好ましくは1〜15質量%であ
る。
【0009】液滴生成に用いられる溶媒は遷移金属化合
物を溶解するものであればよく、水、有機溶媒、含水有
機溶媒、好ましくは水、アルコール類、芳香族化合物、
ケトン類、エーテル類、鎖状炭化水素類例えば、水、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ベンゼン、ヘキ
セン、トルエン、キシレン、アセトン、エーテル、ヘキ
サンなどの中から選択使用される。溶媒は1種でも2種
以上を混合したものでもよい。一般的には無機遷移金属
化合物では水、有機遷移金属化合物では有機溶媒が用い
られる。 遷移金属化合物含有溶液から液滴を発生させ
る方法は公知である圧力微粒化法、二流体式微粒化法、
遠心式微粒化法、振動法、超音波法、音響微粒化法、電
気力微粒化法などを用いることが出来る。これらの方法
に属する装置としてはエアジェット噴霧装置、ラスキン
ノズル、スプレーノズル、超音波アトマイザーなどがあ
る。これらの装置を用いて出来るだけ微細な液滴を発生
させる必要がある。その条件を満たす好ましい装置はエ
アジェット噴霧装置である。液滴の発生は窒素、ヘリウ
ム、アルゴン又は水素ガスの雰囲気で行う。
【0010】一般に数ミクロン以下の液滴はブラウン運
動の影響を受けて、重力沈降が起こりづらくなるため凝
集は起こりづらくなる。本発明において遷移金属化合物
の望ましい径の微粒子を得るためには、遷移金属化合物
の溶液濃度と発生させる液滴径を制御する必要がある。
液滴径は液滴発生装置の種類を変えることにより制御す
ることが可能である。例えば上記の硫酸第一鉄微粒子を
発生させる場合を例にとると0.3〜0.8ミクロン径
の液滴を発生させる装置、例えば定出力アトマイザを使
用する場合では、10質量%硫酸第一鉄水溶液を用いる
ことにより、硫酸第一鉄の50〜140ナノメータ径程
度の微粒子を発生させることが出来る。この場合、5質
量%硫酸第一鉄水溶液を用いれば、40〜110ナノメ
ータ径程度の微粒子を発生させることが出来る。液滴か
ら遷移金属化合物の微粒子を得るには液滴中の溶媒を蒸
発させればよい。溶媒の蒸発は液滴を例えば加熱管内を
通すことによっても可能であるが、気相法炭素繊維の製
造では通常水素ガスを予熱してキャリアガスとして使用
するので、そのキャリアガスと液滴を混合し、キャリア
ガスの熱によって液滴中の溶媒を蒸発させるのが効率的
である。溶媒が蒸発すると遷移金属化合物の微粒子が生
成し、ガス中に浮遊する。この微粒子は非常に小さいの
で、沈降は起こらず、また溶媒の蒸発程度の温度では熱
分解、凝集することもない。そして液滴はかなり粒径が
揃った状態で得られるので、生成する微粒子も粒径が揃
っていて粒径分布が狭い。
【0011】次にこの微粒子を原料となる有機化合物と
共に反応炉に供給する。供給方法としては微粒子が浮遊
しているガス、キャリアガス、原料の有機化合物を例え
ばラインミキサーに送り、十分混合して反応炉に供給す
るのが好ましい。キャリアガスには通常水素ガスが用い
られ、これを200〜400℃程度に予熱する。有機化
合物は気相法炭素繊維の製造に一般に用いられるもの
で、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、フェ
ナントレン等の芳香族炭化水素、シクロプロパン、シク
ロペンテン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、メタ
ン、エタン、アセチレン、ブタジエン、エチレン等の鎖
状炭化水素、メタノール、エタノール等の含酸素化合物
など及びこれらの混合物を用いることができる。これら
の中で好ましいのはベンゼン、トルエン、シクロヘキサ
ン、アセチレン、ブタジエン、エチレン、特に好ましい
のはベンゼンである。反応に供給するガスの割合は一般
的には有機化合物1モルに対しキャリアガス30〜60
モル程度がよい。また遷移金属化合物の微粒子は有機化
合物に対し1〜10質量%程度用いられる。
【0012】反応炉は一般的には1000〜1500℃
に加熱される。この温度で有機化合物は熱分解され、遷
移金属化合物の微粒子は熱分解あるいは水素還元により
遷移金属の微粒子が生成する。有機化合物が分解すると
炭素原子及び炭素クラスターが発生する。そして前記微
粒子を核として炭素クラスターが繊維状に伸びて炭素繊
維になる。この際に、遷移金属化合物の熱分解温度が低
い場合では反応炉入口近傍で遷移金属化合物の分解及び
該金属微粒子の生成が起こってしまうが、そこでは炭素
繊維を生成する炭素クラスターの供給が不十分であるか
ら、得られる炭素繊維の生成本数は少ないものになり、
反応収率の低下を招く。ここで触媒とならなかった余剰
の遷移金属微粒子及びクラスターは、成長して巨大化す
るため、炭素クラスターの供給が十分行われる反応炉の
下流域でも触媒となり得ない。従って、炭素繊維の生成
本数を増やして、反応収率を向上させるためには、反応
炉の全域に亘って遷移金属微粒子及びクラスターの放出
が起こるようにするのがよい。。その一つの方法として
熱分解温度等が異なる複数の遷移金属化合物を用いると
効果的である。また、本発明は、遷移金属化合物は微粒
子として反応炉に供給されるから、該化合物をガス(分
子)として供給する場合に比べて反応炉の入口付近で分
解する割合が少なく、反応炉の広い領域で望ましい遷移
金属の微粒子とすることができる。
【0013】本発明は、従来から行われている遷移金属
微粒子を発生する方法と併用して用いることが可能であ
る。例えば、フェロセンの昇華性を利用して、フェロセ
ンを予め原料(炭素原となる有機化合物)に溶解させた
後、蒸発させて反応炉に供給する方法に本発明による方
法を組み合わせて、昇華性を有さない遷移金属化合物を
同時に反応炉に供給することが可能である。従来の方法
に本発明の方法を併用することにより、反応炉内でのよ
り広範囲な領域での遷移金属微粒子の発生が可能となる
ため、反応収率が向上する。併用する場合のそれらの割
合は、遷移金属化合物の遷移金属元素換算で、液滴中の
遷移金属化合物1モルに対し、ガス状の遷移金属化合物
1モル以下が好ましい。この方法で得られる炭素繊維
は、代表的には直径1〜500nm、長さ0.5〜10
0μmである。
【0014】
【実施例】以下実施例により具体的に説明する。 (実施例1)図1のような装置を用いて炭素繊維を製造
した。図1において、1はキャリアガス加熱炉、2は有
機化合物加熱炉、3は反応炉(反応管)、32は反応管
に向けて径が大きくなる拡大管、31は多数の小孔を有
する整流板で、31,32はガスの反応管への均一供給
のためのものである。4は捕集器、5は液滴発生装置、
6は遷移金属化合物の溶液槽である。11,21,33
はそれぞれヒーターで炉内を所定の温度に加熱するもの
である。炭素繊維の原料となるベンゼンは送入口22よ
り送入した。キャリアガスの水素は水素ガス送入口12
より送入した。また遷移金属化合物としては硫酸第一鉄
及び塩化第二鉄を使用し、この水溶液を調製して、窒素
ガスを駆動源として、液滴発生装置により液滴を発生さ
せた。この液滴、加熱されたキャリアガス、原料ガスは
ラインミキサー7により瞬時に混合させた。反応管3に
て生成した炭素繊維42は捕集器4に入り、フィルター
41により捕集した。キャリアガスはガス排出口43よ
り排出した。運転条件及び結果は以下の通りである。 (1) キャリアガス加熱炉 温度 約300℃ 水素ガス送入量 150L/min.(標準状態:0℃、1気圧) (2)有機化合物加熱炉 有機化合物の種類 ベンゼン 温度 約300℃ 有機化合物送入量 10g/min. (3)液滴発生装置 定出力アトマイザ(日本カノマックス株式会社 MODEL3076) 液滴の種類 硫酸第一鉄と塩化第二鉄の混合水溶液 混合水溶液の濃度 硫酸第一鉄4質量%、塩化第二鉄4質量% 液滴供給量 0.6×10-3L/min. 液滴サイズ 約0.3μm(顕微鏡により測定。数平均粒径) 駆動用窒素供給量 3.5L/min.(2.5Kg/cm2G) (4)反応条件 反応温度 約1200℃(最高温度領域) 反応時間 1sec(反応管中の平均滞留時間) (5)結果 炭素繊維の収得量 0.92g/min.(収率*10%) 炭素繊維の形状 太さ0.03μm、長さ15μm(いずれも平均) (*収率はベンゼン中の炭素に対するもの)
【0015】(実施例2)実施例1において、ベンゼン
中にフェロセンを0.5質量%溶解させ、遷移金属化合
物の水溶液として硫酸第一鉄7質量%のもの1種を用い
た他は実施例1と同様にして炭素繊維を製造した。 結果 炭素繊維の収得量 0.74g/min.(収率8%) 炭素繊維の形状 太さ0.03μm、長さ15μm(いずれも平均)
【0016】
【発明の効果】本発明によれば遷移金属化合物の選択肢
が多くなり、安価な無機化合物の使用も可能となる。ま
た従来の方法と比較して、遷移金属化合物および原料の
有機化合物の収率も向上する。さらに従来より一層細く
径の揃った炭素繊維の製造も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法の実施に用いられる装置の一
例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 キャリアガス加熱炉 2 有機化合物加熱炉 3 反応炉(反応管) 4 捕集器 5 液滴発生装置 6 遷移金属化合物溶液槽 7 ラインミキサー 11,21,31 ヒーター 12 キャリアガス送入口 22 原料送入口 31 整流板 32 拡大管 41 フィルター 42 炭素繊維 43 ガス排出口

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属化合物を溶媒に溶解し、その溶
    液から微細な液滴を発生させ、次いで液滴中の溶媒を蒸
    発させて遷移金属化合物の微粒子とし、該微粒子を浮遊
    状態で有機化合物のガスと共に炭素繊維生成炉に供給す
    ることを特徴とする気相法炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 遷移金属化合物を溶媒に溶解し、その溶
    液から微細な液滴を発生させ、次いで液滴中の溶媒を蒸
    発させて遷移金属化合物の微粒子とし、該微粒子を浮遊
    状態で有機化合物のガス及び遷移金属化合物のガスと共
    に炭素繊維生成炉に供給することを特徴とする気相法炭
    素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 液滴中に熱分解温度あるいは水素による
    還元温度が異なる2種以上の遷移金属化合物を含む請求
    項1または2に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 液滴が2種以上であり、それぞれの液滴
    に熱分解温度あるいは水素による還元温度が異なる遷移
    金属化合物を含む請求項1または2に記載の気相法炭素
    繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 液滴中の遷移金属化合物の濃度(2種以
    上の場合はその合計量)が0.01〜40質量%である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の気相法炭素繊維の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 遷移金属化合物が、鉄、ニッケル、コバ
    ルト、モリブデン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテ
    ニウム、チタン、バナジウムのそれぞれの酸化物、水酸
    化物、硫化物、フッ化物、フルオロ錯体、塩化物、クロ
    ロ錯体、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸
    複塩、炭酸塩、シアノ錯体、メタロセンから選ばれた少
    なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の気相法炭素繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 遷移金属化合物が、その熱分解温度が蒸
    発温度より低いものである請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 遷移金属化合物溶液の液滴を発生させる
    方法が、圧力微粒化法、二流体式微粒化法、遠心式微粒
    化法、振動法、超音波法、音響微粒化法、電気力微粒化
    法から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】 遷移金属化合物の溶媒が、水、有機溶
    媒、含水有機溶媒である請求項1〜8のいずれ1項に記
    載の炭素繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 遷移金属化合物の溶媒が、水、メタノ
    ール、エタノール、プロパノール、ベンゼン、トルエ
    ン、キシレン、アセトン、エーテル、ヘキサンから選ば
    れた少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項
    に記載の炭素繊維の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10に記載の製造方法で製
    造された気相法炭素繊維。
  12. 【請求項12】 繊維外径が1〜500nm、繊維長さ
    が0.5〜100μmである請求項11に記載の気相法
    炭素繊維。
  13. 【請求項13】 樹脂に請求項11に記載の気相法炭素
    繊維を含有する樹脂組成物。
JP2002034883A 2001-06-28 2002-02-13 気相法炭素繊維及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3868824B2 (ja)

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