JP2003238461A - ペルフルオロオレフィン類の製造方法 - Google Patents

ペルフルオロオレフィン類の製造方法

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JP2003238461A
JP2003238461A JP2002035429A JP2002035429A JP2003238461A JP 2003238461 A JP2003238461 A JP 2003238461A JP 2002035429 A JP2002035429 A JP 2002035429A JP 2002035429 A JP2002035429 A JP 2002035429A JP 2003238461 A JP2003238461 A JP 2003238461A
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fluorine
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following
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JP2002035429A
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Eisuke Murotani
英介 室谷
Kunio Watanabe
邦夫 渡邉
Shuichi Okamoto
秀一 岡本
Yoichi Takagi
洋一 高木
Shin Tatematsu
伸 立松
Takashi Okazoe
隆 岡添
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フッ素樹脂原料モノマーとして有用なテトラフ
ルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの製造
方法の提供。 【解決手段】フッ素含量が30質量%以上である(R
CHCH(R)CH OCO)Qを液相中でフッ
素と反応させて(R1FCFCF(R2F)CF
CO)とし、つぎにエステル結合を分解してR
1FCFCF(R 2F)COFとし、該化合物を熱分
解することによるR1FCF=CFの製造方法。nは
1以上の整数。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子
またはメチル基を示し、少なくとも一方は水素原子。R
1F、R2Fは、フッ素原子またはトリフルオロメチル
基。QはQがペルフルオロ化された基であり、また
は、Qと同一の基。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素樹脂原料の
前駆体またはフッ素樹脂のモノマーとして有用なテトラ
フルオロエチレン(以下、TFEという。)およびヘキ
サフルオロプロピレン(以下、HFPという。)の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】TFEは、クロロジフルオロメタンを6
00〜900℃の高温で加熱してジフルオロカルベンと
し、該ジフルオロカルベンを二量化反応させる方法によ
って工業的に製造されている。また、HFPは、TFE
を減圧下で700〜900℃で不均化反応する方法によ
って工業的に製造されている。HFPの実験室的な製造
方法としては、電気化学的フッ素化方法(以下、ECF
法と記載する。)によって得たペルフルオロ酪酸の塩を
熱分解する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ジフルオロカルベンの
二量化反応は、反応温度が極めて高い欠点がある。ま
た、原料であるクロロジフルオロメタンがオゾン層破壊
物質であり、使用が制限される問題もある。
【0004】一方、HFPの製造方法においても、反応
温度がきわめて高いことが欠点であった。また、作業環
境上問題になるペルフルオロイソブテン(PFIB)が
10%程度副生する問題がある。
【0005】また、エーテル性酸素原子と水素原子とを
含有する化合物をECF法によりフッ素化すると、C−
O結合が切断するために、収率よく目的化合物が得られ
ず、多くの副生物が生成する問題がある。さらに、固体
であるペルフルオロ酪酸の塩を熱分解する方法はスケー
ルアップが困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、n価含フ
ッ素有機基(nは1以上の整数を示す。)と目的化合物
に対応する炭素骨格とを併有する化合物(3)をフッ素
化し、つぎにエステル結合を分解した後、熱分解する方
法によって、一度にn分子の該ペルフルオロオレフィン
類を製造できることを見いだした。
【0007】すなわち、本発明者らは該製造方法の原料
として、安価で工業的に汎用される炭化水素系アルコー
ル由来の原料を選択した。また化合物(3)のフッ素化
反応には、ECF法の問題点である副生物の生成が解決
できる液相フッ素化法を選択した。また、ペルフルオロ
オレフィン類の生成反応には、連続反応で実施でき、か
つ、スケールアップも容易な熱分解による方法を選択し
た。この熱分解反応は従来法に比べて低温反応で実施で
き、かつ、作業環境上問題となる副生物を生成させない
ことを見いだした。
【0008】さらに本発明者らは、生成した化合物をリ
サイクルする方法が工業的に有利な連続プロセスになる
ことを見いだした。
【0009】すなわち本発明は、フッ素含量が30質量
%以上である化合物(3)を液相中でフッ素と反応させ
ることによってペルフルロオロ化して下記化合物(4)
とし、つぎに該化合物(4)のエステル結合を分解して
下記化合物(5)とし、つぎに該化合物(5)を熱分解
することを特徴とする下記ペルフルオロオレフィン類
(7)の製造方法を提供する。
【0010】 (RCHCH(R)CHOCO)Q・・・(3) (R1FCFCF(R2F)CFOCO)・・・(4) R1FCFCF(R2F)COF・・・(5) R1FCF=CF・・・(7) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 n:Qに結合した基の数を示し、1以上の整数。 R、R:それぞれ独立に、水素原子またはメチル基
を示し、少なくとも一方は水素原子。 R1F、R2F:R1FはRに、R2FはRに対応
し、RおよびRがそれぞれ水素原子である場合には
フッ素原子であり、RおよびRがそれぞれメチル基
である場合にはトリフルオロメチル基。 Q:n価含フッ素有機基。 Q:Qがフッ素化されうる基である場合のQはQが
ペルフルオロ化された基であり、Qがフッ素化されない
基である場合のQはQと同一の基。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の化合物(3)において、
Qはn価含フッ素有機基である。含フッ素有機基とは、
少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する有機基をい
う。nはQに結合した基の数を示し、1以上の整数であ
り、nの上限は5が好ましく、汎用性から1または2で
あることが特に好ましい。
【0012】nが1である場合のQとしては、含フッ素
アルキル基、または含フッ素(エーテル性酸素原子含有
アルキル)基が挙げられる。Qの炭素数は、炭素数1〜
20が好ましく、特にフッ素化反応時の液相への溶解性
の点から、炭素数は3〜20が好ましく、とりわけ3〜
10が好ましい。
【0013】含フッ素アルキル基としては、直鎖構造、
分岐構造、環構造、または部分的に環構造を有するアル
キル基の水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換された
基が挙げられる。直鎖構造のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ
る。分岐構造のアルキル基としては、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基
等が挙げられる。環構造のアルキル基(すなわち、シク
ロアルキル基)としては、シクロプロピル基、シクロブ
チル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または
これらの基の環を形成する炭素原子にアルキル基が置換
した基等が挙げられる。部分的に環構造を有するアルキ
ル基としては、シクロアルキル基が置換した直鎖構造の
アルキル基、または、シクロアルキル基が置換した分岐
構造のアルキル基等が挙げられる。これらの基の具体例
としては、以下の具体例中に示す基が挙げられる。
【0014】炭素数1〜20の含フッ素(エーテル性酸
素原子含有アルキル)基としては、上記で説明した炭素
数1〜20の含フッ素アルキル基(ただし、シクロアル
キル基は除く)の炭素−炭素単結合間に1個以上のエー
テル性酸素原子が挿入された基である。ここで、エーテ
ル性酸素原子含有アルキル基としては、アルコキシル
基、アルコキシアルキル基またはアルコキシアルコキシ
アルキル基が好ましい。含フッ素(エーテル性酸素原子
含有アルキル)基の具体例としては、以下の具体例中に
示す基が挙げられる。
【0015】nが2である場合のQとしては、含フッ素
アルキレン基または含フッ素(エーテル性酸素原子含有
アルキレン)基が挙げられる。該Qの炭素数は1〜20
が好ましく、特にフッ素化反応時の液相への溶解性の点
から炭素数は3〜20が好ましく、とりわけ炭素数は3
〜10が好ましい。
【0016】含フッ素アルキレン基または含フッ素(エ
ーテル性酸素原子含有アルキレン)基としては、上述し
た含フッ素アルキル基または含フッ素エーテル性酸素原
子含有アルキル基中に存在する水素原子あるいはフッ素
原子の1つが結合手になった基である。nが2であるQ
としては、原料が安価で入手しやすいことから−CF
CFCFCF−が好ましい。
【0017】本発明における化合物(3)は、フッ素含
量(化合物の分子量に対するフッ素原子の総量の割合)
が30質量%以上である化合物であり、フッ素含量が3
0質量%以上となるように、化合物(3)中Qの構造を
調節するのが好ましい。化合物(3)のフッ素含量は3
7質量%以上であるのが好ましく、37〜70質量%で
あるのが特に好ましい。
【0018】また、化合物(3)の分子量は200〜1
000であるのが、液相中でのフッ素化反応を円滑に行
いうる点で好ましく、該分子量になるようにQの分子量
を調節するのが好ましい。分子量が小さすぎると化合物
(3)が気化しやすくなるため、液相でのフッ素化反応
時に気相中で分解反応が起こるおそれがある。本発明に
おいては、化合物(3)にフッ素原子を特定量以上含ま
せることで、分子量を大きくして沸点を上げることがで
きるが、分子量が大きすぎる場合には、化合物(3)の
精製が困難になるおそれがある。
【0019】化合物(3)の具体例としては、以下の例
が挙げられる。化合物(3)は、後述する反応によりフ
ッ素樹脂原料に導かれうることから、フッ素樹脂原料の
中間体として有用な化合物である。
【0020】CHCHCHOCOCFCF
CHCHCHCHOCOCFCFCF
CH(CH)CHCHOCOCF(CF)CF
、CHCHCHOCOCF(CF)OCF
CFCF、CHCHCHCHOCOCF
(CF)OCFCFCF、CH(CH)C
HCHOCOCF(CF)OCFCFCF
CHCHCHOCOCF(CF)OCFCF
(CF)OCFCFCF、CHCHCH
CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)O
CFCFCF、CH(CH)CHCHOC
OCF(CF)OCFCF(CF)OCFCF
CF、CHCHCHOCO(CFOC
OCHCHCH、CHCHCHCHOC
O(CFOCOCHCHCHCH 、CH
(CH)CHCHOCO(CFOCOCH
CH(CH)CH
【0021】化合物(3)のうち、下記化合物(3a)
および化合物(3b)は新規化合物であり特に好まし
い。
【0022】 R10CHCH(R20)CHOCOR30・・・(3a) R10CHCH(R20)CHOCO(CFOCOCHCH(R 20 )CH10・・・(3b) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R10、R20:水素原子またはメチル基であり、いず
れか一方は、水素原子。 R30:炭素数3〜20の含フッ素アルキル基、または
炭素数3〜20の含フッ素(エーテル性酸素原子含有ア
ルキル)基。
【0023】化合物(3)の入手方法としては特に限定
されない。本発明における化合物(3)としては、容易
に得やすい理由から下記化合物(1)と下記化合物
(2)のエステル化反応により得るのが好ましい。 RCHCH(R)CHOH・・・(1) Q(COX)・・・(2) ただし、n、R、RおよびQは、上記と同じ意味を
示し、Xはハロゲン原子を示す。Xは、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、フッ素原
子、塩素原子または臭素原子が好ましく、後述する連続
プロセスを実施する場合には、特にフッ素原子であるの
が好ましい。
【0024】化合物(1)の具体例としては、下記化合
物が挙げられる。下記化合物(1)は、工業的に広く使
用されている炭化水素系アルコール類であり、安価で容
易に入手できる。CHCHCHOH、CHCH
CHCHOH、CH(CH)CHCH
H。
【0025】nが1である化合物(2)の具体例として
は、下記化合物が挙げられる。FCOCFCF、F
COCFCFCF、FCOCF(CF)C
、FCOCF(CF)OCFCFCF、F
COCF(CF)OCFCF(CF)OCF
CF
【0026】nが2である化合物(2)としては、下記
化合物が挙げられる。FCO(CFCOF、FC
O(CFCOF、FCO(CFCOF。
【0027】化合物(2)は、市販品を用いてもよく、
また、後述する本発明の方法で生成する化合物(5)ま
たは化合物(6)を用いてもよい。本発明における化合
物(2)としては、入手し易さ、工業的な実施のし易
さ、化合物の化学的安定性等の理由からnが1である化
合物(2)が好ましく、FCOCF(CF)OCF
CFCFまたはFCOCF(CF)OCFCF
(CF)OCFCF CFが特に好ましい。該化
合物は、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)の中
間体として容易に入手できる。
【0028】化合物(1)と化合物(2)とのエステル
化反応は、WO00/1765公報等に記載の公知の方
法にしたがって実施できる。化合物(1)と化合物
(2)との反応では、HXで表される酸が発生する。化
合物(2)のXがフッ素原子である場合にはHFが発生
するため、HF捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(N
aF、KFが好ましい)やトリアルキルアミン等を反応
系中に存在させてもよい。HFの捕捉剤は、化合物
(2)がエーテル性酸素原子を含む化合物である場合に
は、使用したほうがよい。また、HF捕捉剤を使用しな
い場合には、HFが気化しうる反応温度で反応を行い、
かつ、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出する
のが好ましい。HF捕捉剤は化合物(2)に対して1〜
10倍モルとするのが好ましい。
【0029】また、エステル化反応においては、化合物
(1)に対する化合物(2)の量を等倍モル以上とする
のが、未反応の化合物(1)量を減らすことができる点
で好ましい。化合物(1)に対する化合物(2)の量
は、1〜2.5倍モルが特に好ましい。反応温度は通常
の場合、−50℃〜+100℃が好ましい。また、反応
時間は適宜変更されうる。反応圧力(ゲージ圧、以下特
に記載しない限りゲージ圧で記す。)は0〜2MPaが
好ましい。
【0030】化合物(1)と化合物(2)とのエステル
化反応で生成した化合物(3)を含む粗生成物は、目的
に応じた精製を行っても、そのまま、つぎの反応等に用
いてもよい。本発明においては、フッ素化反応を安定に
行う観点から、粗生成物を精製して、特に粗生成物中の
化合物(1)を分離するのが好ましい。該粗生成物の精
製方法としては、公知の方法が採用できる。
【0031】本発明においては化合物(3)を液相中で
フッ素化して化合物(4)とする。フッ素化反応は、液
相フッ素化法により実施され、溶媒中の化合物(3)を
フッ素でフッ素化するのが好ましい。
【0032】フッ素化反応は、ECF法でも実施できる
との報告もあるが、実際にはC−O結合の切断反応が起
こり、収率がきわめて低くなるため、工業的な実施には
きわめて不利である。よって、本発明においては液相フ
ッ素化法によりフッ素化を行う。液相フッ素化は、化合
物の分解を防ぎ、かつ、高収率で化合物(4)を生成さ
せうる方法である。
【0033】液相中でのフッ素化も、WO00/176
5公報等に記載の公知の方法により実施でき、通常は化
合物(3)とフッ素とを溶媒中で反応させる方法によっ
て実施するのが好ましい。フッ素は、フッ素ガスをその
まま用いても、不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス
等)で希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。フッ素ガ
スを希釈する場合のフッ素ガス濃度は、10vol%以
上が効率の点で好ましく、20vol%以上が特に好ま
しい。
【0034】液相フッ素化法における溶媒は、ペルフル
オロ化された有機溶媒から選択するのが好ましい。特に
該溶媒としては、化合物(3)を1質量%以上溶解しう
る溶媒、特には5質量%以上溶解しうる溶媒を用いるの
が好ましい。溶媒の量は、化合物(3)に対して5倍質
量以上が好ましく、特に10〜100倍質量が好まし
い。溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン類、ペル
フルオロエーテル類、ペルフルオロポリエーテル類、ク
ロロフルオロカーボン類、クロロフルオロポリエーテル
類、ペルフルオロアルキルアミン、不活性流体等の液相
フッ素化反応に用いられる公知の溶媒、ペルフルオロエ
ステル類、およびペルフルオロ酸フルオリド化合物等が
挙げられる。このうち、ペルフルオロエステル類である
後述の化合物(4)や、ペルフルオロ酸フルオリド化合
物である後述の化合物(6)を用いた場合には、反応後
の後処理が容易になる利点があり、特に好ましい。
【0035】液相フッ素化法の反応形式は、バッチ方式
であっても連続方式であってもよい。また、フッ素量
は、化合物(3)中の水素原子に対するフッ素の量が常
に過剰当量となる条件に保つのが好ましく、化合物
(3)中の水素原子に対して1.1倍当量以上(すなわ
ち、1.1倍モル以上)にするのが特に好ましく、1.
5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)にするの
がとりわけ好ましい。さらにフッ素量は3倍モル以下と
するのが好ましい。過剰量のフッ素を用いる方法は、反
応の選択率を高くできる方法である。また、該フッ素
は、反応の開始時点から反応の終了時点まで常に過剰量
であるのが好ましい。たとえば、反応器に溶媒を仕込む
場合には、この溶媒には、あらかじめフッ素を溶解させ
ておくのが好ましい。
【0036】液相フッ素化の反応温度は、通常は−60
℃〜(化合物(3)の沸点)が好ましく、反応収率、選
択率、および工業的実施のしやすさの点から−50℃〜
+100℃が特に好ましく、−20℃〜+50℃がとり
わけ好ましい。反応圧力は0〜2MPaが、反応収率、
選択率、工業的な実施のしやすさの観点から好ましい。
【0037】本発明における液相フッ素化反応は、化合
物(3)をペルフルオロ化させる反応である。化合物
(3)中に未反応の水素原子を残さないために、フッ素
化反応の後段で、紫外線照射を行う、または、反応系中
にベンゼンやトルエン等のC−H結合含有化合物を添加
する等の操作を行ってもよい。
【0038】液相フッ素化反応においては、副生するH
Fを除去する目的で、反応系中にNaF等のHF捕捉剤
を共存させるのが好ましい。または反応器ガス出口でH
F捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。
【0039】フッ素化反応で得た化合物(4)を含む粗
生成物は、そのままつぎの工程に用いてもよく、精製し
て高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生
成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙
げられる。
【0040】化合物(3)のフッ素化反応では、化合物
(3)がペルフルオロ化されて化合物(4)が生成す
る。すなわち、化合物(3)中のRおよびRがそれ
ぞれ水素原子である場合にはフッ素原子になり、R
よびRがそれぞれメチル基である場合にはトリフルオ
ロメチル基になる。また、Qがフッ素化されうる基であ
る場合のQはQがペルフルオロ化された基であり、Q
がフッ素化されない基(たとえば、Qがペルフルオロ化
された基)である場合のQはQと同一の基になる。
【0041】化合物(4)の具体例としては、つぎの化
合物が挙げられる。CFCFCFOCOCF
、CFCFCFCFOCOCFCF
、CF(CF)CFCFOCOCF(C
)CF、CFCFCFOCOCF(C
)OCFCFCF、CFCFCFCF
OCOCF(CF)OCFCFCF、CF
(CF)CFCFOCOCF(CF)OCF
CF、CFCFCFOCOCF(CF
OCFCF(CF)OCFCFCF、CF
CFCFCFOCOCF(CF)OCFCF
(CF)OCFCFCF、CF(CF)C
FCFOCOCF(CF)OCFCF(CF
OCFCFCF、CFCFCFOCO(C
OCOCFCFCF、CFCFCF
CFOCO(CFOCOCFCFCF
CF 、CF(CF)CFCFOCO(CF
OCOCFCF(CF)CF
【0042】化合物(4)のうち、下記化合物(4a)
および化合物(4b)は新規化合物であり、特に好まし
い。 R10FCFCF(R20F)CFOCOR30F・・・(4a) R10FCFCF(R20F)CFOCO(CFOCOCFCF (R20F)CF10F・・・(4b) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R10F、R20F:フッ素原子またはトリフルオロメ
チル基であり、いずれか一方は、フッ素原子。 R30F:炭素数3〜20のペルフルオロアルキル基、
または炭素数3〜20のペルフルオロ(エーテル性酸素
原子含有アルキル)基。
【0043】本発明においては、さらに化合物(4)の
エステル結合を分解して化合物(5)とする。エステル
結合の分解反応は、化合物(4)中のn個の−CF
CO−結合を分解して、2n個の−COFを形成させる
反応である。エステル結合の分解反応もWO00/17
65公報等に記載の公知の方法により実施できる。たと
えば、化合物(4)を気相で熱分解して、生成した化合
物(5)を含む出口ガスを凝縮して連続的に回収する方
法が挙げられる。該方法の反応温度は50〜350℃が
好ましく、50〜300℃が特に好ましく、とりわけ1
50〜250℃が好ましい。また、該反応では、窒素、
二酸化炭素等の不活性ガスを反応系中に共存させてもよ
い。不活性ガスの量は、化合物(4)に対して0.01
〜50vol%程度が好ましい。不活性ガスの添加量が
多いと、生成物回収量が低減するおそれがある。
【0044】また、化合物(4)を液状で加熱して分解
する反応(以下、液相熱分解反応と記す。)によって化
合物(5)を得てもよい。該反応の反応圧力は限定され
ない。液相熱分解反応は、蒸留塔を有する反応容器で反
応を行い、化合物(5)を蒸留により反応系中から連続
的に抜き出しながら反応を行う方法によるのが好まし
い。液相熱分解反応の反応温度は50〜300℃が好ま
しく、特に100〜250℃が好ましい。液相反応は、
無溶媒(この場合は、化合物(4)自身が溶媒としても
作用しうる。)で行っても、溶媒の存在下に行ってもよ
い。溶媒としては、化合物(4)と反応せず、かつ化合
物(4)と相溶性があるもので、生成する化合物(5)
と反応しないものであれば特に限定されないが、化合物
(5)の精製時に分離しやすいものを選定するのが好ま
しい。具体例としては、ペルフルオロトリアルキルアミ
ン、ペルフルオロナフタレンなどの不活性溶媒、クロロ
フルオロカーボン類等の中でも高沸点であるクロロトリ
フルオロエチレンオリゴマーなどが好ましい。溶媒を使
用する場合の量は化合物(4)に対して10〜1000
質量%が好ましい。
【0045】また、化合物(4)を液相中で求核剤また
は求電子剤と反応させることによってエステル結合を分
解して化合物(5)を得てもよい。求核剤としてはF
が好ましく、NaF、NaHF、KF、CsF等のア
ルカリ金属フッ化物由来のF が好ましく、特に経済性
の面からNaF由来のFが好ましい。F等の求核剤
の量は化合物(4)に対して1〜500モル%が好まし
く、10〜100モル%が特に好ましく、とりわけ5〜
50モル%が好ましい。また、該液相反応も無溶媒で行
っても溶媒の存在下に行ってもよい。反応温度は、−3
0℃〜+250℃が好ましく、−20℃〜+250℃が
特に好ましい。この方法も、蒸留塔を有する反応器を用
いて実施するのが好ましい。
【0046】エステル結合の分解反応で生成する化合物
(5)とは、下記化合物が挙げられる。CFCF
OF、CFCF(CF)COF、CFCFCF
COF。
【0047】エステル結合の分解反応では、化合物
(5)とともに下記化合物(6)が生成する。ただし、
およびnは、上記と同じ意味を示す。 Q(COF)・・・(6) 化合物(6)の具体例としては、化合物(2)と同様の
例が挙げられる。
【0048】本発明においては、さらに化合物(5)を
熱分解することにより化合物(7)を高収率で得ること
ができる。ただし、R1Fは上記と同じ意味を示す。 CF=CF・・・(7) 化合物(7)とは、CF=CF(TFE)またはC
CF=CF(HFP)である。TFEやHFPは
優れた重合性を有する化合物であり、これらを重合させ
た重合体は、フッ素樹脂として有用である。
【0049】化合物(5)を熱分解して化合物(7)と
する反応は、公知の反応条件で実施できる。熱分解反応
は、液相反応または気相反応で実施するのが好ましく、
気相反応で実施するのが効率的であり好ましい。
【0050】気相反応による熱分解反応は、連続式反応
で行うのが好ましい。連続式反応は、加熱した反応管中
に気化させた化合物(5)を通し、生成した化合物
(7)を出口ガスとして得て、これを凝縮し、連続的に
回収する方法により実施するのが好ましい。該反応に用
いる反応装置は、管型反応器を用いるのが好ましい。管
型反応器を用いる場合の滞留時間は、空塔基準で0.1
秒〜10分程度が好ましい。気相反応による熱分解反応
の反応温度は、150℃以上が好ましく、200℃〜5
00℃が特に好ましく、とりわけ250℃超〜450℃
が好ましい。
【0051】ここで、R1F、R2Fがフッ素原子であ
る化合物(5)の熱分解反応においては、生成するTF
Eの重合性が極めて高いため、回収時に爆発的に重合す
るおそれがある。TFEの重合を防止し、より安定に回
収および保存する目的で、TFEモノマー中の酸素含有
量を0.002%以下に抑え、またα−ピネンのような
重合禁止剤等を、回収容器中に添加しておくことが好ま
しい。
【0052】管型反応器を用いて気相反応を行う場合に
は、ガラス、アルカリ金属の塩、またはアルカリ土類金
属の塩を反応管中に充填するのが反応を促進させため、
好ましい。アルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の
塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。ガラス
としては、一般的なソーダガラスが挙げられ、特にビー
ズ状にして流動性を上げたガラスビーズが好ましい。ア
ルカリ金属の塩としては、炭酸ナトリウム、フッ化ナト
リウム、炭酸カリウム、または炭酸リチウムが挙げられ
る。アルカリ土類金属の塩としては、炭酸カルシウム、
フッ化カルシウムまたは炭酸マグネシウム等が挙げられ
る。さらに、反応管中にガラス、アルカリ金属の塩、ま
たはアルカリ土類金属の塩を充填させる場合に、ガラス
ビーズや、炭酸ナトリウムの軽灰等であって、粒径が1
00〜250μm程度であるものを用いると、流動層型
の反応形式を採用できることから特に好ましい。
【0053】気相反応においては、化合物(5)の気化
を促進する目的で、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アル
ゴン等の不活性ガスの存在下で反応を行うのが好まし
い。不活性ガス量は化合物(5)に対して0.01〜5
0vol%程度が好ましい。不活性ガス量が多すぎる
と、生成物の回収量が低くなるおそれがあり好ましくな
い。
【0054】本発明の方法においては、化合物中の基を
選択することによって化合物(5)を効率的に製造で
き、目的とする化合物(7)を有利に製造できる。具体
的には、以下の方法により化合物(5)を製造するのが
好ましい。ただし、以下において定義を記さない基は、
上記と同じ意味を示す。 (方法A);nが1である場合において、QおよびQ
がR1FCFCF(R2F)−である方法。該方法A
においては、エステル結合の分解反応で生成する化合物
(5)と化合物(6)とは同一化合物になる。よって、
化合物(5)と化合物(6)を分離せずに、つぎの工程
に用いることができる利点がある。
【0055】(方法B)エステル結合の分解反応で生成
した化合物(6)を、化合物(1)と反応させる化合物
(2)として用いる方法。すなわち、化合物(3)が、
化合物(4)のエステル結合の分解反応生成物から下記
化合物(6)を得て、該化合物(6)を化合物(1)と
反応させることのよって得た化合物(3)である方法で
ある。該方法Bを繰り返す方法は、化合物(1)を反応
系に添加するだけで、化合物(5)を何度でも製造でき
る方法である。
【0056】(方法C)方法Aと方法Bの組み合わせた
方法であり、nが1である場合においてQおよびQ
1FCFCF(R2F)−である場合において、エ
ステル結合の分解反応で生成した化合物(5)の一部ま
たは全部を化合物(1)と反応させる化合物(2)とし
て用いる方法。
【0057】本発明の方法で製造されるTFEおよびH
FPは、これを重合させる、またはこれと共重合しうる
重合性単量体(以下、コモノマーという。)を共重合さ
せて、有用な重合体を製造できる。
【0058】コモノマーとしては、公知の重合性単量体
の中から選択されうる。重合反応の手法も、公知の反応
の手法をそのまま適用できる。コモノマーの例として
は、CF=CFCl、CF=CH等のフルオロエ
チレン類、CF=CHCF等のフルオロプロピレン
類、CFCFCFCFCH=CHやCF
CFCFCF=CH等のペルフルオロアルキ
ル基の炭素数が4〜12の(ペルフルオロアルキル)エ
チレン類、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)等
のペルフルオロビニルエーテル類、CHOC(=O)
CFCFCF OCF=CFやFSOCF
OCF(CF)CFOCF=CF 等のカルボ
ン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するビニルエ
ーテル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオ
レフィン等が挙げられる。
【0059】重合反応により得た重合体は、フッ素樹脂
として有用である。フッ素樹脂は、耐熱性と耐薬品性に
優れた性質を有することから、広い分野で使用される。
【0060】また、本発明の方法により製造されるTF
E、HFPは、これを公知の反応によって酸化すること
により、種々の機能性材料の原料として有用な、テトラ
フルオロエチレンオキシドおよびヘキサフルオロプロピ
レンオキシドに導くことができる。
【0061】本発明の製造方法によれば、安価に入手が
可能な原料である化合物(1)および化合物(2)を用
いて、短い工程かつ低い温度でペルフルオロオレフィン
類が製造できる。また、R、RおよびQの構造を選
択することにより、本発明の方法は効率よく実施でき、
また、連続プロセスとして実施できる。さらに、本発明
によれば、フッ素樹脂原料および機能性材料の原料とし
て有用である新規化合物が提供される。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、これらによって本発明は限定されない。なお、
以下においてガスクロマトグラフィをGCと、ガスクロ
マトグラフィ質量分析をGC−MSと記す。また、GC
のピーク面積比より求まる純度をGC純度、収率をGC
収率と記す、NMRスペクトルのピーク面積比より求ま
る収率をNMR収率と記す。また、テトラメチルシラン
をTMS、CClFCClFをR−113と記す。
また、NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト
範囲として示した。13C−NMRにおける基準物質C
DClの基準値は76.9ppmとした。19F−N
MRによる定量ではCを内部標準に用いた。圧力
は特に記載しない限りゲージ圧である。
【0063】[例1]CHCHCHOCOCF
CFの製造例 CHCHCHOH(268.6g)をフラスコに
入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。CF
CFCOF(743g)を、内温を20〜25度に
保ちながら3.75時間かけてフィードした。フィード
終了後、室温で1.25時間撹拌し、飽和炭酸水素ナト
リウム水2Lを内温20度以下で加えた。分液し、有機
層を水1Lで洗浄し、粗液(775g)を得た。ついで
減圧蒸留して、留分(556g)を得た。 沸点:50℃/18.6kPa(絶対圧)。 留分のNMRスペクトル H−NMR(399.8MHz、溶媒CDCl、基
準:TMS)δ(ppm):0.98(q,J=7.3
Hz,3H),1.76(m,2H),4.34(t,
J=6.7Hz,2H)。19 F−NMR(376.2MHz、溶媒CDCl
基準:CFCl)δ(ppm):−84.0(3
F),−122.6(2F)。
【0064】[例2]フッ素化反応によるCFCF
CFOCOCFCFの製造例 500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113
(312g)を加えて撹拌して、−10℃に冷却した。
オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却
器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した
冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷
却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液
体返送ラインを設置した。オートクレーブに窒素ガスを
1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈した
フッ素ガス(希釈フッ素ガス)を、流速5.66L/h
で1時間吹き込んだ。つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流
速で吹き込みながら、例1で得た留分(12g)をR−
113(250g)に溶解した溶液を14.75時間か
けて注入した。
【0065】つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き
込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLのR−1
13溶液を注入し、オートクレーブの出口バルブを閉
め、圧力が0.12MPaになったところでオートクレ
ーブの入口バルブを閉めて1.0時間撹拌を続ける操作
を行った。さらに、該操作を−10℃から室温まで昇温
する間に3回、その後室温で6回繰り返した。この間
に、ベンゼンを合計0.323g、R−113を合計5
0g注入した。その後、窒素ガスを2.0時間吹き込ん
だ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標記化
合物のNMR収率は77%であった。
【0066】19F−NMR(376.2MHz、溶媒
CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−8
2.5(3F),−83.9(3F),−88.6(2
F),−122.8(2F),−130.9(2F)。
【0067】[例3]液相熱分解によるCFCF
OFの製造例 例2で得たCFCFCFOCOCFCF(2
0g)とクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(12
0g)を、還流器付きの200mLニッケル製オートク
レーブに仕込み、200℃に加温した。還流器は循環冷
却水により冷却し、圧力が0.1MPa以上になった時
点でその圧力を保持しながらガスをパージし、ガス状サ
ンプル(15g)を回収した。GC−MSにより、CF
CFCOFが主生成物であることを確認した。GC
収率は90%であった。
【0068】[例4]気相熱分解反応によるCF=C
の製造例 SUS製カラム(内径20mm、長さ1m)と、K
(平均粒径160μm、280g)を充填したSU
S製流動層反応器(内径45mm、高さ400mm)を
直列に接続し、塩浴で300℃に加熱した。この反応器
に、例3で得たCFCFCOFとNの混合ガス
(N/CFCFCOF=5/1(モル比))を1
600mL/minで流通させ、1時間後の反応器出口
ガスをGCで分析した。CFCFCOFの転化率は
99%、CF=CFの選択率は90%であった。
【0069】[例5]CHCH(CH)CHOC
OCF(CF)OCFCF(CF)OCFCF
CFの合成例 25℃に冷却した還流器を備えた2Lのハステロイ製オ
ートクレーブに、150gの(CHCHCH
Hを仕込み、反応器を30℃に加熱した。CF CF
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COF
(1040g)を、連続的に反応器内に導入した。導入
中は反応熱によって温度が上昇したが、反応器内温を4
0℃以下に保った。すべてのCFCFCFOCF
(CF)CFOCF(CF)COFを添加して室
温で2時間の撹拌を行った後、反応液に窒素ガスをバブ
リングさせることで副生HFをパージ除去し、粗液11
20gを得た。GCによる分析の結果、CFCF
OCF(CF)CF OCF(CF)COOC
CH(CHがGC収率99%で得られている
ことを確認した。
【0070】[例6]フッ素化反応によるCFCF
(CF)CFOCOCF(CF)OCFCF
(CF)OCFCFCFの製造例 例2と同じ反応装置を同様の条件に準備した後、希釈フ
ッ素ガスを、流速6.50L/hで吹き込みながら、例
5で得た化合物(5.0g)をR−113(100g)
に溶解した溶液を2.7時間かけて注入した。
【0071】つぎに、フッ素ガスを同じ流速で吹き込
み、反応器圧力を0.15MPaに保ちながら、ベンゼ
ン濃度が0.01g/mLのR−113溶液を25℃か
ら40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレ
ーブのベンゼン注入口を閉め、0.3時間撹拌を続け
た。つぎに反応器圧力を0.15MPaに、反応器内温
度を40℃に保ちながら、前記ベンゼン溶液を6mL注
入し、0.3時間撹拌を続けた。さらに、反応器内温度
を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を6mL注
入し、0.3時間撹拌を続けた。同様のベンゼン注入操
作をさらに3回くり返し、さらに1.0時間撹拌した。
ベンゼンの注入総量は0.34g、R−113の注入総
量は33mLであった。さらに、窒素ガスを1.0時間
吹き込んだ。目的物を19F−NMRで定量したとこ
ろ、標記化合物のNMR収率は79%であった。
【0072】19F−NMR(282.7MHz、溶媒
CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−7
3.9(6F),−79.0〜−81.5(6F),−
82.1(8F),−84.3〜−85.5(1F),
−130.1(2F),−131.9(1F),−14
5.5(1F),−187.9(1F)。
【0073】[例7]液相熱分解によるCFCF(C
)COFの製造例 例6で得たCFCF(CF)CFOCOCF(C
)OCFCF(CF)OCFCFCF
(5g)をKF粉末(0.08g)と共に還流器付き
の200mLニッケル製オートクレーブに仕込み、激し
く撹拌しながら100℃に加温した。還流器は循環冷却
水により冷却し、圧力が0.06MPa以上になった時
点でガスをパージし、ガス状サンプル(1.2g)を回
収した。GC−MSにより、CFCF(CF)CO
Fが主生成物であることを確認した。
【0074】[例8]CHCH(CH)CHOC
O(CFOCOCH(CH )CHCHの合
成例 例5における(CHCHCHOHの量を300
gに変更し、CFCF CFOCF(CF)CF
OCF(CF)COFをFCO(CFCOF
(625g)に変更し、同様に反応を行い、粗液(82
0g)を得た。GCによる分析の結果、GC収率99%
で(CHCHCHOCO(CFCOOC
CH(CHの生成を確認した。
【0075】[例9]フッ素化反応によるCFCF
(CF)CFOCO(CFOCOCF(C
)CFCFの製造例 例6と同じ反応装置を同様の条件に準備した後、希釈フ
ッ素ガスを、流速9.47L/hで吹き込みながら、例
8で得た化合物(5.0g)をR−113(100g)
に溶解した溶液を5.4時間かけて注入した。
【0076】つぎに、例6と同様にベンゼンの注入操作
を7回くり返し、さらに1.0時間撹拌した。ベンゼン
の注入総量は0.60g、R−113の注入総量は58
mLであった。さらに、窒素ガスを1.0時間吹き込ん
だ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標記化
合物のNMR収率は55%であった。
【0077】19F−NMR(376.0MHz、溶媒
CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−7
3.9〜−74.4(8F),−118.9(4F),
−122.8(4F),−187.9(2F)。
【0078】[例10]気相熱分解法によるCFCF
=CFの合成例 SUS製カラム(内径20mm、長さ1m)とNa
(平均粒径160μm、280g)を充填したSU
S製流動層反応器(内径45mm、高さ400mm)を
直列に接続し、塩浴にて250℃に加熱した。この反応
器に、例7で得た(CFCFCOFとNの混合
ガス(N/(CFCFCOF=5/1(モル
比))を1600mL/minで流通させた。1時間後
の反応器出口ガスをGCで分析したところ、(CF
CFCOFの転化率は100%であり、CFCF=
CFの選択率は95%であった。
【0079】[例11(参考例)]CFCF=CF
(HFP)の酸化反応によるヘキサフルオロプロピレン
オキシド(HFPO)の製造例 ハステロイC製耐圧反応器(内容積500mL)に、C
ClFCFCHClF(700g)を仕込み150
℃に昇温した。ここにCClFCFCHClFを4
05g/hで連続供給して、反応器内からオーバーフロ
ーして留出する流量を、抜き出し口に取り付けた圧力調
整弁で調整し、反応器内圧を3MPaにした。内圧が安
定したところで、例10で得たHFPを45g/hで、
同時に酸素を1.68NL/hで、連続供給して6時間
反応を行った。反応後、抜き出し口から流出する反応粗
液を、GCおよびNMRで分析した。その結果、HFP
の転化率は83%、HFPOの選択率は60%であっ
た。また、反応粗液中にはCFCOFとトリフルオロ
メチル酢酸がGC面積%で合計35%含まれていた。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素樹脂原料モノマ
ーとして有用なTFEおよびHFPを入手容易な化合物
(3)から経済的に有利な方法で短工程かつ高収率で製
造できる。また、これまでの製造方法に比べ、低い温度
での反応が可能であり、副生成物を抑制しながら製造で
きる。化合物(3)は一般に入手しやすく、合成も容易
でありかつ安価である。また、化合物(3)中に特定量
以上のフッ素原子を存在させることにより、フッ素化反
応時の液相中に溶解しやすくなり、高収率で反応を実施
できる。
【0081】また、化合物(3)中のR、Rおよび
Qの構造を選択することにより、化合物(4)のエステ
ル結合の分解反応で化合物(5)のみを生成させること
もできる。さらに、生成した化合物(5)を、化合物
(2)として再び化合物(1)との反応にリサイクルす
ることにより、連続プロセスで化合物(5)を製造でき
る。さらに、本発明によれば、フッ素樹脂原料として有
用な新規な化合物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 洋一 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 立松 伸 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 岡添 隆 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC26 AC30 AC47 AC48 BB12 BB15 BC10 BC11 BC31 BE53 BM10 BM71 BP10 BS10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素含量が30質量%以上である化合物
    (3)を液相中でフッ素と反応させることによってペル
    フルロオロ化して下記化合物(4)とし、つぎに該化合
    物(4)のエステル結合を分解して下記化合物(5)と
    し、つぎに該化合物(5)を熱分解することを特徴とす
    る下記ペルフルオロオレフィン類(7)の製造方法。 (RCHCH(R)CHOCO)Q・・・(3) (R1FCFCF(R2F)CFOCO)・・・(4) R1FCFCF(R2F)COF・・・(5) R1FCF=CF・・・(7) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 n:Qに結合した基の数を示し、1以上の整数。 R、R:それぞれ独立に、水素原子またはメチル基
    を示し、少なくとも一方は水素原子。 R1F、R2F:R1FはRに、R2FはRに対応
    し、RおよびRがそれぞれ水素原子である場合には
    フッ素原子であり、RおよびRがそれぞれメチル基
    である場合にはトリフルオロメチル基。 Q:n価含フッ素有機基。 Q:Qがフッ素化されうる基である場合のQはQが
    ペルフルオロ化された基であり、Qがフッ素化されない
    基である場合のQはQと同一の基。
  2. 【請求項2】化合物(3)が、下記化合物(1)と下記
    化合物(2)との反応で生成する化合物である請求項1
    に記載の製造方法。 RCHCH(R)CHOH ・・・(1) Q(COX)・・・(2) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 X:ハロゲン原子。 R、R、Qおよびn:それぞれ上記と同じ意味を示
    す。
  3. 【請求項3】化合物(4)のエステル結合の分解反応生
    成物から、化合物(5)とともに下記化合物(6)を得
    る請求項1または2に記載の製造方法。 Q(COF) ・・・(6) ただし、式中のQおよびnは、それぞれ上記と同じ意
    味を示す。
  4. 【請求項4】化合物(3)が、化合物(4)のエステル
    結合の分解反応生成物から下記化合物(6)を得て、該
    化合物(6)を化合物(1)と反応させることのよって
    得た化合物(3)である請求項1に記載の製造方法。 Q(COF) ・・・(6) ただし、式中のQおよびnは、それぞれ上記と同じ意
    味を示す。
  5. 【請求項5】nが1または2である請求項1〜4のいず
    れかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】nが1であって、R1FCFCF(R
    2F)−とペルフルオロ化された1価有機基であるQ
    とが同一の基である請求項1〜5のいずれかに記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】液相中でフッ素と反応させるときの液相
    が、化合物(5)または下記化合物(6)である請求項
    1〜6のいずれかに記載の製造方法。 Q(COF) ・・・(6) ただし、Qおよびnは、それぞれ上記と同じ意味を示
    す。
  8. 【請求項8】エステル結合の分解反応が、熱による分解
    反応、または、液相中で求核剤もしくは求電子剤と反応
    させることによる分解反応である請求項1〜7のいずれ
    かに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】下式で表される化合物のいずれか。 R10CHCH(R20)CHOCOR30・・・(3a) R10FCFCF(R20F)CFOCOR30F・・・(4a) R10CHCH(R20)CHOCO(CFOCOCHCH(R 20 )CH10・・・(3b) R10FCFCF(R20F)CFOCO(CFOCOCFCF (R20F)CF10F・・・(4b) ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R10、R20:水素原子またはメチル基であり、いず
    れか一方は、水素原子。 R10F、R20F:フッ素原子またはトリフルオロメ
    チル基であり、いずれか一方は、フッ素原子。 R30:炭素数3〜20の含フッ素アルキル基、または
    炭素数3〜20の含フッ素(エーテル性酸素原子含有ア
    ルキル)基。 R30F:炭素数3〜20のペルフルオロアルキル基、
    または炭素数3〜20のペルフルオロ(エーテル性酸素
    原子含有アルキル)基。
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