JP2003238410A - インスリン抵抗性解除剤 - Google Patents

インスリン抵抗性解除剤

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JP2003238410A
JP2003238410A JP2002044450A JP2002044450A JP2003238410A JP 2003238410 A JP2003238410 A JP 2003238410A JP 2002044450 A JP2002044450 A JP 2002044450A JP 2002044450 A JP2002044450 A JP 2002044450A JP 2003238410 A JP2003238410 A JP 2003238410A
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insulin resistance
tnfα
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insulin
adipocytes
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Jinichi Inokuchi
仁一 井ノ口
Seiichi Tagami
清一 田上
Yasuyuki Igarashi
靖之 五十嵐
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SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO
SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO KK
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SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO
SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インスリン抵抗性を解除するための新しい薬
剤を提供すると共に、インスリン抵抗性に起因する疾病
(例えば2型糖尿病、高血圧、高脂血症、冠動脈疾患)
の治療剤を提供する。 【解決手段】 次式 【化1】 (式中、R1は置換されていてもよいフェニル基、R2
アルキル基を意味する)で示される化合物を有効成分と
するインスリン抵抗性解除剤およびインスリン抵抗性に
起因する疾病の治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新しいインスリン
抵抗性解除剤およびインスリン抵抗性に起因する各種疾
病の治療剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、2−
アシルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール誘導
体、とくに1−フェニル−2−デカノイルアミノ−3−
モルホリノ−1−プロパノール(以下、PDMPと略す
る)およびその類縁体を有効成分とするインスリン抵抗
性解除剤およびインスリン抵抗性に起因する各種疾病、
例えば2型糖尿病、高血圧、高脂血症、冠動脈疾患の治
療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】インスリン抵抗性は、内臓肥満により誘
発され2型糖尿病、高血圧、高脂血症、冠動脈疾患の発
症に関与している(死の四重奏)。平成12年の時点
で、日本人の糖尿病患者数は690万人と言われ年々増
加し、さらに運動不足と過食時代のため肥満を伴う2型
糖尿病の発症の若年化が社会問題となっている。したが
ってインスリン抵抗性の成因の解明と診断/治療法の開
発は、人類の健康を維持し、強いては医療費の削減にも
つながる。肥満状態においては腫瘍壊死因子α(TNF
α)が脂肪組織特異的に過剰発現しており、これがイン
スリン抵抗性の発症に重要な役割を果たしていると考え
られている(Hotamisligil, G.S., Shargill, N.S., an
d Spiegelman, B.M.: Science 259, 87-91, 1993)。し
かしながら、TNFαにより誘導されるインスリン抵抗
性の発症機序は今だ明らかにされていない。一つの可能
性としては、TNFα刺激により発現が誘導されるイン
スリンシグナル伝達阻害物質が想定されているが、その
実体は不明であった。スピーゲルマンらは、TNFα刺
激により脂肪細胞のインスリン刺激によるインスリンレ
セプター(IR)およびアダプタータンパクであるイン
スリンレセプターサブストレート−1(Insulin Recept
or Substrate-1 (IRS-1))の自己リン酸化が抑制される
ことを証明し、TNFαによるインスリン抵抗性の発現
にはインスリンシグナルの初発段階の抑制が重要である
ことを報告している(Hotamisligil, G.S., Murray, D.
L., Choy, L.N., and Spiegelman, B.M.: Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 91, 4854-4858, 1994)。
【0003】本発明者らは、TNFαによるインスリン
抵抗性の真のエフェクタ分子としてのガングリオシドG
M3の可能性を追求し、スフィンゴ糖脂質であるガング
リオシドGM3がTNFαによるインスリン抵抗性発症
の原因物質であることを発見した。本発明者らは、さら
に、PDMPおよびその類縁体がスフィンゴ糖脂質ガン
グリオシドGM3の生合成を阻害し、該GM3を減少さ
せるとの先の知見(M.Jimbo, et al. J. Biochem. 127,
485-491 (2000))と合せて、該PDMPおよびその類
縁体がインスリン抵抗性解除剤となり得ることを知っ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インスリン
抵抗性を解除し、インスリン抵抗性に起因する各種疾病
の新しい治療剤の開発を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うにガングリオシドGM3がインスリン抵抗性発症の原
因物質であるとの新知見に基づき、かかるガングリオシ
ドGM3を減少させることによりインスリン抵抗性を抑
制するとの観点から研究を重ねた結果、下記一般式
【化2】 (式中、R1は置換していてもよいフェニル基、R2はア
ルキル基を意味する)で示される1−フェニル−2−ア
シルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール誘導体
またはその薬学的に許容される塩が優れたガングリオシ
ドGM3減少効果を示し、それによりインスリン抵抗性
を解除し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、一般式
(1)で示される1−フェニル−2−アシルアミノ−3
−モルホリノ−1−プロパノール誘導体またはその薬学
的に許容される塩を有効成分とするインスリン抵抗性解
除剤を提供するものである。本発明はまた、かかるイン
スリン抵抗性解除剤からなるインスリン抵抗性に起因す
る各種疾病、例えば、2型糖尿病、高血圧、高脂血症お
よび冠動脈疾患の治療剤を提供するものである。
【0007】本発明の有効成分である一般式(1)の化
合物において、R1基の「置換されていてもよいフェニ
ル基」としては、炭素数1〜4個の直鎖または分枝鎖ア
ルキル基、炭素数1〜4個の直鎖または分枝鎖アルコキ
シ基、ヒドロキシ基およびニトロ基から選ばれる同一ま
たは異なった1〜3個の置換基で置換されていてもよい
フェニル基が挙げられる。
【0008】R2基の「アルキル基」としては、炭素数
1〜16個を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基が挙
げられ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−
ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n
−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシ
ル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデ
シル等が挙げられる。
【0009】一般式(1)の化合物のうち、とくに好ま
しい化合物は、1−フェニル−2−デカノイルアミノ−
3−モルホリノ−1−プロパノール(PDMP)であ
る。また、一般式(1)の化合物には隣接する2つの不
斉炭素原子が含まれ、立体異性が存在するが、本発明に
はこれら異性性はすべて含まれる。特に好ましい化合物
は、D−トレオ−PDMPである。該一般式(1)の化
合物は公知物質(Inokuchi, J., and Radin, N.S. (198
7), J. Lipid Res. vol. 38, 565-571)であるかまた該
文献に記載の公知の方法に準じて同様に製造することが
できる。
【0010】本発明のインスリン抵抗性解除剤は、上記
一般式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩
を通常の製剤化にしたがって製造される、経口的または
非経口的投与に適した製剤として用いられる。経口製剤
としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等の固形製
剤;シロップ剤、エリキシル剤、乳剤等の液状製剤を挙
げることができる。これらの製剤は、公知の製剤用添加
剤を用いて製造される。例えば、乳糖、デンプン、結晶
セルロース、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸等の賦
形剤、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニ
ルピロリドン、デンプン等の結合剤、カルボキシメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、
デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タル
ク等の滑沢剤が用いられる。また、錠剤の場合はヒドロ
キシプロピルセルロース、酸化チタン、ゼラチン、白糖
等を用いて糖衣錠とすることもできる。さらに、錠剤又
は顆粒剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、メタアクリル酸メチルコポリマー、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、酢
酸フタル酸セルロース等の腸溶性基剤、或いは、エチル
セルロース、カルナウバロウ、硬化油等で被覆し、これ
らを腸溶性或いは持続性製剤にすることができる。
【0011】また液状製剤では、たとえば、白糖、ソル
ビメール、グリセリン等の甘味剤と一般式(1)の化合
物またはその薬学的に許容される塩とを水に溶解してシ
ロップ剤とし、さらに、精油、エタノール等を加えてエ
リキシル剤とするか、或いはアラビアゴム、トラガカン
ト、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、レシチン、結晶セルロース・カルメロース
ナトリウム、マクロゴール、ポリエチレングリコール等
を加えて乳剤又は懸濁剤にすることもできる。またこれ
らの液状製剤には必要に応じ、矯味剤、着色剤、保存剤
等を加えることができる。
【0012】非経口製剤としては、注射剤、直腸投与
剤、ペッサリー、皮膚外用剤、吸入剤、エアゾール剤、
点眼剤等をあげることができる。注射剤は、該活性化合
物に、必要に応じ、塩酸、水酸化ナトリウム、乳酸、乳
酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸一水素ナ
トリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素カリ
ウム、リン酸二水素カリウム等のpH調整剤;塩化ナト
リウム、ブドウ糖等の等張化剤;及び注射用蒸留水を加
え、滅菌濾過または過熱滅菌して調整される。また、レ
シチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油、マクロゴール等の乳化剤、可溶化剤または溶
解補助剤を加えた後、水中で乳化させた注射用乳剤にす
ることもできる。
【0013】本発明のインスリン抵抗性解除剤の投与量
は、患者の年齢、体重、疾病の程度等に応じて変わる
が、通常、一般式(1)の化合物として、0.01〜2
00mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/k
g、さらに好ましくは0.5〜50mg/kgの範囲で
あり、1日1回または複数回に分けて投与される。
【0014】
【実施例】次に実施例により、D−トレオ−PDMPを
例にとって、本発明の化合物のインスリン抵抗性に対す
る解除作用について具体的に説明する。
【0015】A.インスリン抵抗性とGM3発現性の相
関関係 (1)TNFα刺激による3T3−L1脂肪細胞表面上
のGM3の発現量の増加マウス3T3−L1脂肪細胞を
0.1nM TNFαで96時間刺激するとインスリン
抵抗性を獲得することが知られている(Guo, D., and D
onner, D.B.: J. Biol. Chem. 271, 615-618, 1996)こ
とから、本発明者らはTNFαによって惹起されるイン
スリン抵抗性とGM3発現の相関性の有無を3T3−L
1脂肪細胞において経時的に検討した。3T3−L1脂
肪細胞を0.1nM TNFαで0〜96時間経時的に
処理し、ガングリオシドGM3を認識するモノクローナ
ル抗体(M2590)(製造販売:日本バイオテスト研
究所)を用いたフローサイトメトリーを行った(Tagam
i, S. et al, J. Biol. Chem. vol 279, 3085-3092, 20
02)。その結果を図1に示す。図1は、横軸に蛍光強
度、縦軸に細胞数を示し、点線はコントロール、実線は
GM3の発現を示す。図1に示すように、TNFαの刺
激によりGM3の発現が経時点に増加している。
【0016】この点をより明瞭に示すために、上記と同
様にTNFαで3T3−L1脂肪細胞を処理し、細胞を
回収し、総脂質を抽出し、ガングリオシド画分を精製し
た。3T3−L1脂肪細胞の主要なガングリオシドであ
るGM3をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて
展開し、レゾルシノール試薬で発色させ、GM3に相当
するバンドをデンシトメーターで定量した。その結果を
図2に示す。図2に示すようにTNFαの刺激によりG
M3含量が経時的に増加することが明らかである。
【0017】(2)TNFα刺激後の3T3−L1脂肪
細胞のGM3合成酵素活性の経時的増加 上記(1)と同様にTNFαで3T3−L1脂肪細胞を
処理し、GM3合成酵素活性をIshiiらの方法(J.Biol.
Chem.273, 31652-31655, 1988)により測定した。その
結果を図3に示す。さらに、同様にTNFαで3T3−
L1脂肪細胞を処理した場合の、GM3合成酵素mRN
Aの発現を、スティーブンス(Stevens)等の方法(Gen
ome Res.6, 986-994, 1996)に従って、定量的RT−P
CRによって測定した。その結果を図4に示す。図3お
よび図4に示すように、3T3−L1脂肪細胞のGM3
合成酵素活性もTNFα刺激後経時的に増加した。
【0018】B.インスリン抵抗性モデル動物の脂肪組
織におけるGM3含量の増加 次に、インスリン抵抗性モデル動物であるツッカーラッ
ト(Zucker rat)およびob/obマウスを用い、TN
Fα刺激による脂肪組織でのGM3の増加について検討
を行った。これらの動物の脂肪組織ではTNFαの発現
が特異的に亢進していることがしられている(Hotamisl
igil, G.S., Shargill, N.S., and Spiegelman, B.M.:
Science 259, 87-91, 1993)。すなわち、ツッカーラッ
ト(Zucker rat)およびob/obマウスの睾丸周囲脂
肪組織のGM3合成酵素rRNAをノーザンブロット法
により定量し、そのGM3合成酵素のrRNAの発現を
コントロール動物の組織(脂肪のない)と比較した。そ
の結果を図5に示す。また、Zucker ratおよびob/o
bマウスの睾丸周囲脂肪組織より、総脂質を抽出し、上
記A−(1)と同様にガングリオシドGM3を分析し
た。その結果を図6に示す。
【0019】図5に示されるように、Zucker ratおよび
ob/obマウスの睾丸周囲脂肪組織でGM3合成酵素
のrRNAの発現をコントロール動物(脂肪のない)の
睾丸周囲脂肪組織と比較したところ有意に増加してお
り、このことから、インスリン抵抗性を獲得した脂肪組
織においても、GM3が増加していることが強く示唆さ
れた。事実、図6に示されるように、ob/obマウス
の脂肪組織のGM3含量はGM3合成酵素のmRNAの
増加に比例して増加していた。この発見は、脂肪組織の
GM3合成酵素のrRNAの発現レベルおよびGM3含
量の増加が2型糖尿病におけるインスリン抵抗性指標と
成ることを示しており、それによって新たなインスリン
抵抗性の診断法の提供が可能となる。
【0020】C.TNFαにより誘導されたインスリン
抵抗性のスフィンゴ糖脂質生合成阻害剤(D−PDM
P)による解除効果 3T3−L1脂肪細胞のホモゲネートをIR(インスリ
ンレセプター)とIRS−1(インスリンレセプターサ
ブストレート−1)の抗体で免疫沈降し、それぞれのタ
ンパク質のリン酸化状態を抗チロシンリン酸化抗体を用
いてウエスタンブロット法を行った。その得られた結果
を図7に示す。図7はTNFαにより誘導されたインス
リン抵抗性のD−PDMPによる解除効果を示す電気泳
動パターンを示す。3T3−L1脂肪細胞の培養に際
し、レーン1、2、4では0.1nM TNFを添加せ
ず、またレーン3、5では添加して細胞培養したもので
ある。内在性のGM3の影響をなくすため、レーン4と
5では20μM D−PDMPが加えられている。イン
スリン刺激(100nM、3分)の前にTNFαおよび
PDMPのない状態または存在下で0.5%牛血清アル
ブミンを含む血清フリーの培地で8時間細胞を飢餓させ
て用いた。レーン1は無刺激のコントロールを示すが、
レーン2ではインスリンの刺激によりIR、IRS−1
ともにリン酸化をうけている。レーン3ではTNFαに
より、IR、IRS−1のリン酸化が抑制されている。
レーン4は、D−PDMPによりTNFαが無くてもI
RS−1のリン酸化が完全に行われることを示し(レー
ン5のコントロール)、レーン5では、D−PDMPに
よってIRS−1のリン酸化がほぼ完全に回復してお
り、D−PDMPによりTNFαによるインスリン抵抗
性が解除されている。
【0021】E.D−PDMPによるTNFα刺激3T
3−L1細胞のGM3含量増加の抑制 上記Dの実験と同様に処理した3T3−L1脂肪細胞の
ガングリオシド含量を、前記A−(1)と同様に分析し
た。その結果を図8に示す。図8におけるレーン1〜レ
ーン5は各々図7のものに対応する。図8から明らかな
ように、D−PDMPによってTNFα刺激後の3T3
−L1細胞のGM3含量増加が阻止されている。
【0022】F.ガングリオシドGM3投与によるイン
スリン抵抗性の誘導 TNFαにより増加したGM3そのものがインスリンシ
グナルを抑制するか否かを検討するために、GM3を培
地中に添加し細胞に取りこませた後、インスリン刺激を
行った。すなわち、3T3−L1脂肪細胞を100μM
GM3を含む培養液で96時間培養後、インスリン刺
激によるIRおよびIRS−1のチロシンリン酸化を検
討した。3T3−L1脂肪細胞のホモゲートをIRとI
RS−1の抗体で免疫沈降し、それぞれのタンパク質の
リン酸化状態を抗チロシンリン酸化抗体を用いてウエス
タンブロット法を行った。その結果を図9に示す。図9
はGM3投与によるインスリン抵抗性の誘導を示す電気
泳動パターンを示し、外因性GM3によるインシュリン
シグナルの抑制効果を現わす。レーン2と4を比較する
ことにより、GM3がインスリン刺激に依存したIRお
よびIRS−1の自己リン酸化を顕著に抑制することが
判明した。
【0023】
【発明の効果】本発明の有効成分である2−アシルアミ
ノ−3−モルホリノ−1−プロパノール誘導体(1)ま
たはその薬学的に許容し得る塩は、TNFαの刺激によ
る3T3−L1脂肪細胞のガングリオシドGM3含量増
加を抑制する作用があり、インスリン抵抗性解除効果を
有する。したがって、該化合物(1)はインスリン抵抗
性に起因する疾病、例えば2型糖尿病、高血圧、高脂血
症、冠動脈疾患の治療に有用であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、TNFαによる3T3−L1脂肪細
胞表面におけるGM3の発現の増加を示すグラフであ
る。
【図2】 図2は、TNFα刺激後の3T3−L1脂肪
細胞のGM3含量の経時的増加を示すグラフである。
【図3】 図3は、TNFα刺激後の3T3−L1脂肪
細胞のGM3合成酵素活性の経時的増加を示すグラフで
ある。
【図4】 図4は、TNFα刺激後の3T3−L1脂肪
細胞のGM3合成酵素mRNAの経時的増加を示すグラ
フである。
【図5】 図5は、インスリン抵抗性モデル動物の脂肪
組織におけるGM3合成酵素遺伝子(rRNA)の発現
をTNFα刺激した脂肪組織(脂肪質)とコントロール
動物の組織(脂肪のない)とを比較したものである。
【図6】 図6は、インスリン抵抗性モデル動物の脂肪
組織におけるGM3含量の増加についてTNFα刺激し
た脂肪組織(脂肪質)とコントロール動物の組織(脂肪
のない)とを比較したものである。
【図7】 図7は、TNFαにより誘導されたインスリ
ン抵抗性のD−PDMPによる解除効果を示す電気泳動
パターンである。
【図8】 図8は、D−PDMPによるTNFα刺激3
T3−L1脂肪細胞のGM3含量増加の抑制を示すグラ
フである。
【図9】 図9は、GM3投与によるインスリン抵抗性
の誘導を示す電気泳動パターンである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 C07D 295/12 C07D 295/12 Z (72)発明者 五十嵐 靖之 北海道札幌市西区福井9丁目2−1 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC73 MA01 MA04 MA13 MA17 MA22 MA23 MA28 MA31 MA35 MA37 MA41 MA43 MA52 MA58 MA59 MA60 MA63 MA66 NA14 ZA36 ZA42 ZA70 ZC33 ZC35 ZC41

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1は置換されていてもよいフェニル基、R2
    アルキル基を意味する)で示される2−アシルアミノ−
    3−モルホリノ−1−プロパノール誘導体またはその薬
    学的に許容される塩を有効成分とするインスリン抵抗性
    解除剤。
  2. 【請求項2】 該有効成分が1−フェニル−2−デカノ
    イルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールまたは
    その薬学的に許容される塩である請求項1に記載のイン
    スリン抵抗性解除剤。
  3. 【請求項3】 該有効成分がD−トレオ−1−フェニル
    −2−デカノイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパ
    ノールまたはその薬学的に許容される塩である請求項1
    に記載のインスリン抵抗性解除剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかのインスリン抵
    抗性解除剤からなるインスリン抵抗性に起因する疾病の
    治療剤。
  5. 【請求項5】 該疾病が2型糖尿病、高血圧、高脂血症
    または冠動脈疾患である請求項4に記載の治療剤。
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