JP2003235555A - 一本鎖核酸および/または二本鎖核酸の単離方法 - Google Patents

一本鎖核酸および/または二本鎖核酸の単離方法

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JP2003235555A JP2002033049A JP2002033049A JP2003235555A JP 2003235555 A JP2003235555 A JP 2003235555A JP 2002033049 A JP2002033049 A JP 2002033049A JP 2002033049 A JP2002033049 A JP 2002033049A JP 2003235555 A JP2003235555 A JP 2003235555A
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Mikio Hikata
幹雄 日方
Mitsuhiro Murata
充弘 村田
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聡 片寄
Kouei Satou
功栄 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一本鎖および/または二本鎖核酸を含有する試
料から、一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を単離す
ること。 【解決手段】本発明による方法は、一本鎖および/また
は二本鎖核酸を含有する試料にカオトロピック物質、ア
ルコールおよび多糖担体を添加し、該多糖担体に一本鎖
核酸および/または二本鎖核酸を結合させた後、 下記1〜3の工程のうちから選ばれる1つの工程を行う
ことを特徴としている。1.該多糖担体を1〜3Mの塩
を含有する洗浄液で洗浄後、希薄水溶液で一本鎖核酸を
溶出する工程 2.該多糖担体を0.1〜0.5Mの塩を含有する洗浄
液で洗浄後、希薄水溶液で二本鎖核酸を溶出する工程 3.該多糖担体を20容量%以上のアルコールを含有す
る洗浄液で洗浄後、希薄水溶液で溶出する工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、核酸含有試料、特に生物
学的材料(動植物組織、血液、血漿、血清、細胞破砕
液、尿、唾液等の各種体液、培養細胞破砕液など)か
ら、一本鎖および/または二本鎖核酸を単離する方法に
関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、核酸分析の用途は、科学研
究、医療、産業界など様々な分野に広がりつつあり、各
種起源からの試料を原料として効率的に、しかも高純度
に核酸を抽出し、精製できる方法が求められている。さ
らに、例えばmRNAからゲノムDNAを分離する際
に、あるいは二本鎖DNA鋳型からインビトロ転写物を
分離する際において、一本鎖核酸と二本鎖核酸とを簡便
に分別単離することを可能とする方法もまた必要とされ
ている。
【0003】従来から、核酸を含有する試料から核酸を
得る方法としてはフェノール・クロロホルム抽出法が古
くから利用されてきた。この方法はフェノール・クロロ
ホルムを用いてタンパク質、脂質などの水難溶性の検体
成分を変性、溶解または沈殿させる一方、核酸を水相に
溶解するという溶解度の違いを利用する。かかる有毒な
溶媒を使用しない代替方法として、核酸結合性担体とし
てシリカを中心とする固相担体(以下、「シリカ類担
体」という)ならびにカオトロピック物質を使用する核
酸の単離方法が知られている(Boom et al. J. Clin. M
icrobiol. 28:495-503 (1990)、特許第2680462号、特公
平7-13077号など)。これはカオトロピック溶液を利用
してタンパク質、脂質等の夾雑物を水相に可溶化し、核
酸をシリカビーズに吸着させて固相で回収後、核酸を再
び水相に溶解する方法である。
【0004】さらに一本鎖核酸と二本鎖核酸との選択分
離の要請に応ずるものとして、上記Boom法に依拠した一
本鎖核酸と二本鎖核酸の単離方法が、特表平9-508638
号、特表平2000-505295号などに開示されている。これ
らは、核酸含有試料にカオトロピック物質とシリカ類担
体とを添加し、固相担体に吸着した核酸を必要に応じて
洗浄後、水等を用いてその核酸を選択的に溶出して単離
する方法である。
【0005】しかし、このようなカオトロピック物質に
よるシリカ類担体への吸着を利用した核酸の単離方法で
は、一本鎖核酸および二本鎖核酸のシリカ類担体へのそ
れぞれの吸着特性が異なるため、一本鎖核酸および/ま
たは二本鎖核酸を同一条件下で収率良く単離することが
困難であった。したがって未知試料から高い収率で核酸
を単離するには、一本鎖および二本鎖それぞれの種類の
核酸に適する二通りの条件で、個別に単離作業を行う必
要がある。その結果、多大な時間と労力が必要となり、
特に限られた量の未知試料から核酸の単離する場合は困
難を伴うことが多かった。
【0006】同様の理由により、超遠心分離、電気泳動
法やクロマトグラフィーなどといった従来の分離技術を
用いる方法もまた多方面で気軽に利用される実用性から
は程遠い。最終的に精製した核酸標品の純度、性状に関
しても、その利用面からの制約が存在し、核酸の分画、
精製に一定の要件が課される。具体的には、増幅、核酸
分析などにおけるポリメラーゼ、DNA制限酵素、DN
Aリガーゼ、逆転写酵素などの基質として直接使用でき
るような高純度で妨害物質を含まない核酸を必要量確保
できることである。
【0007】このように、生物起源の様々な核酸含有試
料から、有毒溶媒を使用することなく、簡便かつ迅速に
一本鎖核酸と二本鎖核酸を分画化でき、しかも核酸を高
純度に抽出精製できる方法、理想的には自動化の途も開
けている方法が切望されている。このような事情に鑑
み、本発明者らは、上述したカオトロピック物質とシリ
カ類担体による核酸の単離方法の欠点を改善するために
鋭意研究を進めた結果、試料中の核酸を、多糖担体に吸
着させることにより上記問題点を解決することができる
ことを見出して、本発明を完成するに至った。本発明の
方法と組み合わせることにより、種々の核酸の増幅、配
列決定、分析は一層容易なものとなる。
【0008】
【発明の目的】本発明は一本鎖および/または二本鎖核
酸を同一条件で高収率に単離できる方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【発明の概要】本発明の核酸分離方法は、一本鎖および
/または二本鎖核酸を含有する試料から、一本鎖核酸お
よび/または二本鎖核酸を単離する方法であって、試料
にカオトロピック物質および多糖担体を添加し、多糖担
体に一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を結合させた
後、下記1〜3の工程のうちから選ばれる1つの工程を
行うことを特徴としている。 1.該多糖担体を1〜3Mの塩を含有する洗浄液で洗浄
後、希薄水溶液で一本鎖核酸を溶出する工程 2.該多糖担体を0.1〜0.5Mの塩を含有する洗浄
液で洗浄後、希薄水溶液で二本鎖核酸を溶出する工程 3.該多糖担体を20容量%以上のアルコールを含有す
る洗浄液で洗浄後、希薄水溶液で溶出する工程 上記多糖担体は、硫酸化多糖担体であることが好まし
い。
【0010】また、本発明において、一本鎖および/ま
たは二本鎖核酸を含有する試料を、タンパク質分解酵
素、界面活性剤、還元剤、キレート剤、カオトロピック
物質のいずれか一種以上を含む前処理液で処理すること
が好ましい。さらに、本発明に係る核酸分離用キット
は、上記方法を実施するためのものであり、一本鎖およ
び/または二本鎖核酸を含有する試料から核酸を単離す
る手段として、少なくとも (a) カオトロピック物質、(b) アルコール、(c) 多糖担
体、(d) 一本鎖および/または二本鎖核酸の選択的分離
を可能とする該担体を洗浄するための洗浄液、および
(e) 所望により、タンパク質分解酵素、界面活性剤、還
元剤、キレート剤、カオトロピック物質のいずれか一種
以上を含む前処理液および/または該担体に吸着された
核酸を回収するための溶離液、とからなることを特徴と
している。
【0011】
【発明の具体的説明】本発明による核酸単離方法は、一
本鎖および/または二本鎖核酸を含有する試料(以下、
核酸含有試料)から、一本鎖核酸および/または二本鎖
核酸を単離する方法であって、試料にカオトロピック物
質、アルコールおよび多糖担体を添加し、該多糖担体に
一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を結合させた後、
選択的に分離溶出を行う方法である。
【0012】本発明において、一本鎖核酸としては、R
NA、一本鎖DNA等が含まれる。二本鎖核酸として
は、DNA、一本鎖DNAとハイブリダイズしたRNA
等が含まれる。以下、本方法をその手順に従って、実施
するための手段とともに説明する。 ・試料 本発明の方法が適用される対象は、核酸を含有する試料
であれば特に限定されない。具体的に核酸含有試料に
は、細胞破砕液、動植物の組織、血液、血漿、血清、脳
脊髄液、***、尿、糞便、唾液等の各種体液、細胞培養
上清、微生物(具体的には、B型肝炎、C型肝炎、δ型
肝炎ウィルス、HIV、サイトメガロウィルスなどの細
菌、ウィルス、真菌)などが含まれる。さらに例えば、
インビトロ転写および/またはcDNA合成および/また
は逆転写のような酵素反応とその後のポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)後の核酸を含む混合物なども挙げること
ができる。このような検体は、そのまま使用してもよい
し、何らかの目的で希釈されていてもよい。
【0013】血液は、通常の末梢血、動脈血、静脈血ま
たはこれらに遠心処理等を施してから採取した有形成
分、バフィコート(白血球フラクション)であってもよ
い。全血、血液の有形成分を対象とする場合、溶血操作
を行うことが好ましい。本発明において採血管の種類に
は特にこだわるものではなく、ヘパリン採血管、EDT
A採血管、クエン酸採血管などのいずれを使用してもよ
い。さらに本発明において処理できる血液量に関しては
特に限定する要因はなく、数μL〜数十mLと極めて広
範囲の血液量に対応することができる。
【0014】なお細胞溶解、核酸吸着(および溶出)の
操作も含め、温度および時間の条件は、無用な副反応、
核酸の傷害を防止する観点から所定の条件に従うことが
望ましい。 ・前処理 一般的に、上記試料中に含まれる核酸は、細胞や細菌、
ウィルス等に内包された形で存在している場合が多い。
このような場合は、該試料をタンパク質分解酵素、界面
活性剤、還元剤、キレート剤、カオトロピック物質の少
なくとも一種を含む前処理液を作用させて、細胞や細
菌、ウィルス等を破壊する前処理を行うことが、最終的
な核酸の収率を高めるために好ましい。
【0015】タンパク質分解酵素としては、通常プロテ
ィナーゼ、ペプチドヒドロナーゼ、ペプチダーゼ、プロ
ナーゼなどがある。このようなタンパク質分解酵素を含
めることにより、核酸とタンパク質との分離度を上げる
ことができる。プロテアーゼの具体例として、トリプシ
ン、キモトリプシン、ペプシン、プロテアーゼK、プロ
ナーゼ、パパインおよびこれらの類似型、サブ系などが
挙げられる。これらの細胞分解酵素は生物体から抽出し
たものであってもよいし、遺伝子組み換え技術により調
製される酵素であってもよい。また、これらの多くの酵
素は、市場入手が可能である。これらは、単独であるい
は組み合わせて使用してもよい。これらのうち、プロテ
イナーゼK、プロナーゼ等が特に好適に用いられ、前処
理液中での濃度は0.01〜10mg/mlが好まし
く、0.1〜5mg/mlがさらに好ましい。
【0016】界面活性剤としては、陽イオン性界面活性
剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両
性界面活性剤が挙げられ、このうち好ましくは陰イオン
性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を使用する。
陽イオン性界面活性剤としては、ドデシルトリメチルア
ンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブ
ロミドなどを挙げることができる。陰イオン性界面活性
剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル酸ナト
リウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級
アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウ
ム、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、サルコシ
ン、コール酸、デオキシコール酸などを挙げることがで
きる。非イオン性界面活性剤としてはポリエチレンエー
テル系(Triton)界面活性剤、ポリオキシエチレン系
(Brij)界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン系
(Tween)界面活性剤、ポリグリコールエーテル系(Ter
gitol)界面活性剤などを挙げることができる。両性界
面活性剤としてはフォスファチジルエタノールアミンな
どを挙げることができる。これらの界面活性剤は単独
で、または2種以上併用することも可能である。これら
の界面活性剤の前処理液中での濃度は通常、0.005
〜10%(w/v)が好ましく、0.01〜5%(w/v)が
さらに好ましい。
【0017】還元剤は、試料中に含まれるタンパク質、
特にリボヌクレアーゼを失活させる目的で、チオール系
還元剤の利用が好ましく、例えば、2―メルカプトエタ
ノール、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、
チオグリコール酸、システイン、グルタチオンなどが挙
げられる。このうち、2―メルカプトエタノール、ジチ
オスレイトールなどが特に好ましい。還元剤の前処理液
中での濃度は、0.001〜10%(w/v)が好まし
く、0.01〜5%(w/v)が特に好ましい。
【0018】キレート剤は、二価金属イオンをキレート
する作用を有するものが好ましく、エチレンジアミン四
酢酸塩(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−
アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸塩
(EGTA)などが特に好ましい。キレート剤の前処理
液中での濃度は、0.1〜500mMが好ましく、0.
5〜200mMが特に好ましい。
【0019】カオトロピック物質としては、尿素、グア
ニジウム塩、(イソ)チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化
ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはそれらの組み合わせ
から選ぶことができる。これらのうち、前処理液には尿
素が特に好ましく用いることができる。カオトロピック
物質は水溶液(カオトロピック溶液)として用いること
が好ましく、その濃度は1〜10Mが好ましく、2〜9
Mがさらに好ましい。
【0020】核酸の安定性を保つため、前処理液のpH
は、公知の緩衝剤を含有させることにより、好ましくは
pH4〜10、さらに好ましくはpH6〜9に調製する
ことも可能である。このような緩衝剤としては、トリス
−塩酸、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウ
ム、四ホウ酸ナトリウム−塩酸、クエン酸等があげら
れ、その使用濃度は1〜500mMの範囲が好適であ
る。
【0021】前処理液で核酸含有試料を処理する条件と
しては、核酸含有試料100μlに対して前処理液を1
00〜1000μl加えて良く混合し、40〜98℃で
10分以上加温することが好ましい。特に、タンパク質
分解酵素を添加する場合は、該酵素活性の至適温度であ
る45〜75℃に調節することが好ましい。 ・多糖担体への吸着 本発明の方法では、必要に応じて上記の前処理を行った
後、核酸含有試料にカオトロピック物質、アルコールお
よび多糖担体を添加して、該試料中の核酸を多糖担体上
に吸着させる。なお、前処理において、カオトロピック
物質が既に添加されている場合は、新たにカオトロピッ
ク物質を添加する必要はない。
【0022】ここで用いるカオトロピック物質として
は、尿素、グアニジウム塩、(イソ)チオシアン酸ナト
リウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはそれ
らの組み合わせから選ぶことができる。特にグアニジウ
ム塩が好ましい。カオトロピック物質は水溶液(カオト
ロピック溶液)として用いることが好ましく、その濃度
は1〜10Mが好ましく、2〜9Mがさらに好ましい。
【0023】核酸の安定性を保つため、カオトロピック
物質が含まれる溶媒のpHは、公知の緩衝剤を含有させ
ることにより、好ましくはpH4〜10、さらに好まし
くはpH6〜9に調製することも可能である。このよう
な緩衝剤としては、トリス−塩酸、リン酸二水素カリウ
ム−リン酸水素二ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム−塩
酸等があげられ、その使用濃度は1〜500mMの範囲
が好適である。
【0024】試料へのカオトロピック物質の添加量は、
前処理の有無を問わず、(核酸含有試料+前処理液)と
カオトロピック物質の量比が、10:90〜90:10
が好ましく、20:80〜80:20がさらに好まし
い。カオトロピック物質の添加後、55℃前後で1分以
上加温するとカオトロピック物質の効果がさらに向上す
る。
【0025】アルコールはメタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロピルアルコールまたはその組み合
わせから選ぶことができる。試料へのアルコール添加量
は、(核酸含有試料+前処理液+カオトロピック物質)
とアルコールの量比が、10:90〜90:10が好ま
しく、20:80〜80:20がさらに好ましい。この
際、−20℃〜10℃に冷却することにより、多糖担体
への核酸吸着を促進することができる。
【0026】また、核酸吸着をさらに促進するために、
アルコール沈澱の共沈剤として通常用いられるグリコー
ゲン、デキストラン、tRNA、アクリルアミド系高分
子物質などと、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナ
トリウムなどの塩を共存させることも可能である。共沈
剤の使用量は5〜400μg/検体、塩の添加量は50
〜500mM/検体が好ましい。
【0027】核酸の多糖担体への吸着に要する時間は、
核酸含有試料、カオトロピック物質、アルコールおよび
多糖担体を混合後、通常0.5〜20分、好ましくは5〜15
分である。吸着工程において反応液を攪拌する場合に
は、通常0.5〜20回転/分、好ましくは1〜5回転/分の速
度である。核酸を結合する担体としての多糖担体は、本
発明の非常に重要な要素である。該担体は、多糖のみで
構成された担体でも、多糖以外の水不溶性物質から構成
される担体に多糖を固定化した担体のどちらでもかまわ
ない。多糖のみで構成された担体は、少なくともその多
糖類の一部が水不溶性であることを要する。ここでいう
水不溶性とは、具体的に水、他のいかなる水可溶性組成
を含む水溶液に溶解しない固相を意味する。また、多糖
は硫酸化されたものが好ましく用いることができる。
【0028】本発明の担体に用いられる多糖としては、
硫酸化されていない多糖について、セルロース、ヘミセ
ルロース、アミロース、アミロペクチン、デンプン、グ
リコーゲン、デキストラン、リケナン、イソリケンナ
ン、ラミナラン、カラゲーナン、アガロース、キシラ
ン、マンナン、グルコマンナン、フルクタン、アルギン
酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンなどを;また硫酸化
多糖として、ヘパリン、デキストラン硫酸、セルロース
硫酸、ガードラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン
硫酸、デキストラン硫酸、キチン硫酸、キトサン硫酸、
デルマタン硫酸、アミロペクチン硫酸、ケタラン硫酸、
キシラン硫酸、カロニン硫酸、ペクチン硫酸、イヌリン
硫酸、アルギン酸硫酸、グリコーゲン硫酸、ポリラクト
ース硫酸、カラゲニン硫酸、デンプン硫酸、ポリグルコ
ース硫酸、ラミナリン硫酸、ガラクタン硫酸、レバン硫
酸、メペサルフェート、フコイダン、硫酸化グリチルリ
チンなどを挙げることができる。
【0029】多糖のみで構成された担体としては、上記
多糖の少なくとも1種類からなる架橋あるいは非架橋担
体を挙げることができる。多糖以外の物質から構成され
る担体に多糖を固定化した水不溶性の固相担体も本発明
において好ましく用いることができる。このような担体
の基材となる材料として、特に限定されるものではない
が、無機化合物、金属、金属酸化物、有機化合物または
これらを組み合わせた複合材料を含むものが挙げられ
る。具体的に固相担体として使用される材料は、ポリス
チレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリエチレン、ポリアミドなどのよ
うな合成有機高分子、石英、ヒドロキシル石灰、ガラ
ス、シリカ、二酸化珪素、窒化珪素、酸化ジルコニウ
ム、酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、二酸化
ジルコニウムなどの金属酸化物または混合金属酸化物な
どの無機物またはステンレス、ジルコニアなどの金属で
あってもよい。これらのなかで有機ポリマー材料あるい
はこれらの担体物質の誘導体、特にポリスチレンが好ま
しい。
【0030】さらに、有機材料の表面に、エポキシ基、
アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、水酸基、酸
クロライド基などの官能基を持つ担体に直接もしくはカ
ップリング剤やスペーサーを介して多糖を担持させた担
体を例示することができる。例えば担体表面にカルボキ
シル基を導入するには、アクリル酸、メタクリル酸、エ
タクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−不飽
和カルボン酸モノマーを含むモノマーを重合させた有機
ポリマーを担体に使用すればよい。これをさらにエチレ
ンジアミンおよびカルボジイミド試薬とともに反応させ
ると、アミノ基を導入することができる。あるいはグリ
シジルメタクリル酸をモノマーに含めて重合するとエポ
キシ基を導入することができる。公知の反応を利用する
ことにより、これらの官能基と多糖類を直接反応させる
か、またはスペーサーを経由して多糖を固相担体に担持
させればよい。
【0031】上記固相担体は、その表面も含めた担体全
体が同一の材料から構成されている場合のほかに、必要
に応じて複数の素材から構成されるハイブリット体であ
ってもよい。この場合でも本発明に使用される固相担体
の表面を構成する材料の組成は特に限定されるものでは
ないが、特に合成高分子、無機物質、ガラスよりなる群
から選択されるものからなることが好ましい。より具体
的には、多糖担体の内部に、また、上記の材料内部に、
磁性体を含有することもできる。担体内部に磁性体を含
有させた場合は、磁気による担体分離が可能であり、固
液分離の操作が容易となり望ましい。この磁性体は、該
材料の内部にのみ含有され、表面に露出していないこと
が好ましい。このような磁性体としては、例えば四三酸
化鉄(Fe34)、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe23
等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、クロム
などの金属またはこれらの金属の合金を用いることがで
きる。例えば、自動化機器に対応することができるため
に、コア部分は酸化鉄、または酸化クロムのような磁気
応答性材料で作られ、その表面を有機合成ポリマーで被
覆された複合ボール形状のものが挙げられる。このよう
な磁気応答性ボールの球状担体は、ロボットを使用して
操作するときに特に有利である。上記担体の具体的な例
とその製造方法が、以下の実施例に記載される。
【0032】本発明に用いる上記担体の形状は、任意の
形態で存在し得て、その形状は特に限定されるものでは
ない。例えば粒子状、繊維状、シート状、チューブ状、
板状などが挙げられる。フィルターなどの他の適当な構
造をとることもできる。特別の場合には核酸混合物を収
容する容器またはその一部であってもよい。好ましい形
態は、結合物質と遊離物質とを容易に分離し得るもので
あり、上記の中で、粒子状のものが特に好ましい。粒子
の形状としては、例えば球形、楕円体形、錐体、立方
形、直方体形などが考えられる。このうち球形粒子の担
体は製造がしやすく、使用時に、固相担体の回転攪拌が
しやすいことからも好ましい。粒子の粒径は、0.1μ
m〜4mm、好ましくは0.5μm〜3mmである。
【0033】多糖担体の添加量は、核酸含有試料100
μlに対して、0.1〜50mgが好ましく、0.5〜
20mgがさらに好ましい。ビーズ状の多糖担体である
場合はその大きさおよび表面粗さによって異なるが、例
えば試料5mlにつき1〜20個程度使用すればよい。
以上の操作により、核酸含有試料中の一本鎖および/ま
たは二本鎖核酸は、効率よく多糖担体に結合する。核酸
が結合した多糖担体は、核酸分離の目的に応じて必要な
操作を次の段階において施すこととなる。すなわち、以
降の操作は、多様な形態が想定され、目的によって所望
の態様を選ぶことができる。具体的には、後述するよう
に夾雑物、変性物などの不要物質とともに必要としない
核酸を洗浄操作により除去して必要な核酸のみを多糖担
体に残し、次いで該多糖担体をそのまま後続の核酸分析
に使用してもよく、あるいは該多糖担体から遠心分離ま
たは磁気分離などの分離操作を行った後、上清をデカン
テーションまたは吸引などにより取り除いて目的の核酸
を溶出回収してもよい。別の態様として、上記の核酸結
合多糖担体を、遠心分離または磁気分離などの分離操作
を行った後に、一本鎖および/または二本鎖核酸を選択
的に分別溶出して回収してもよい。 ・選択的分離および回収 得られた多糖担体から一本鎖および/または二本鎖核酸
を分別溶出して回収する方法を以下に説明する。 1.一本鎖核酸を回収したい場合は、まず、多糖担体を
1〜3Mの塩を含有する洗浄液で洗浄する。必要に応じ
て20容量%以上のアルコールを含有する洗浄液(アル
コール濃度:20〜100容量%)でさらに洗浄後、希
薄水溶液で一本鎖核酸を溶出する。ここで希薄水溶液と
しては、0.1M未満の塩溶液や緩衝液の希薄水溶液を
用いることができる。この際、二本鎖核酸も別途回収し
たい場合は、二本鎖核酸が含まれる上記洗浄液を回収
し、必要に応じて限外濾過や透析等の公知の方法で濃縮
精製することが可能である。 2.二本鎖核酸を得たい場合は、多糖担体を0.1〜
0.5Mの塩を含有する洗浄液で洗浄する。必要に応じ
て20容量%以上のアルコールを含有する洗浄液(アル
コール濃度:20〜100容量%)でさらに洗浄後、希
薄水溶液で二本鎖核酸を溶出する。ここで希薄水溶液と
しては、0.1M未満の塩溶液や緩衝液の希薄水溶液を
用いることができる。この際、一本鎖核酸も別途回収し
たい場合は、一本鎖核酸が含まれる上記洗浄液を回収
し、必要に応じて限外濾過や透析等の公知の方法で濃縮
精製することが可能である。 3.一本鎖および二本鎖核酸を相互に分別することなく
得たい場合は、多糖担体を20容量%以上のアルコール
を含有する洗浄液(アルコール濃度:20〜100容量
%)で洗浄後、希薄水溶液で溶出する。ここで希薄水溶
液としては、0.1M未満の塩溶液や緩衝液の希薄水溶
液を用いることができる。
【0034】上記の核酸分別溶出に使用される塩とし
て、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩
化マグネシウム、酢酸ナトリウムなどが例示される。そ
のうち、塩化ナトリウムが特に好ましい。使用される緩
衝液として、トリス塩酸、リン酸、クエン酸などの緩衝
液などが例示される。そのうち、トリス塩酸が特に好ま
しい。またアルコールとして、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イ
ソブタノールなどが例示される。そのうち、エタノール
が扱いやすさと蒸発除去が容易であることから特に好ま
しい。
【0035】固相担体に吸着した核酸は前記洗浄後、乾
燥して次のステップに用いてもよい。乾燥方法は限定さ
れず、減圧乾燥、加熱乾燥、通風乾燥などが用いられ
る。特に乾燥としては風乾が望ましい。乾燥温度は通常
室温ないし60℃が好ましく、乾燥時間は5〜20分間であ
ることが好ましい。こうして得られる核酸が吸着された
多糖担体は使用目的により、そのまま次の操作、例えば
PCR法による増幅や制限酵素処理など各種の核酸分析に
供することができる。あるいは乾燥した多糖担体に滅菌
蒸留水、トリス塩酸/EDTA緩衝液(TE)を加えて攪拌
することにより多糖担体に吸着した核酸を液層に溶出し
てもよい。
【0036】多糖担体から核酸を溶出するには、低イオ
ン強度の溶媒、緩衝液を多糖担体に作用させ、必要なら
加温する。核酸溶出のための温度は、好ましくは50〜
90℃、より好ましくは70〜80℃である。このよう
な溶離液としては、水、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝
液などが例示される。溶出された核酸は、遠心分離、ろ
過、デカンテーション、磁気分離などの操作により担体
を除去して回収することができる。
【0037】得られた核酸を核酸増幅反応に供する場合
は、上記の核酸回収の工程でアルコールを含有する洗浄
液で洗浄後、アルコールを充分に蒸発させることが好ま
しい。その際アルコールの蒸発方法としては、加熱乾燥
(40〜95℃)、減圧乾燥、風乾などの方法が利用可
能である。本発明は、本発明の方法により抽出された一
本鎖および/または二本鎖核酸の利用方法まで限定する
ものではないが、例えば核酸増幅反応に好適に適用する
ことが可能である。
【0038】核酸増幅法としては、特に限定されない
が、例えば、ロシュ社のPCR(Polymerase chain rea
ction)法、ジェン・プローブ社のTMA(Transcripti
on mediated amplification-hybridization protection
assay)法、アボット社のLCR(Ligase chain react
ion)法、栄研化学社のLAMP(Loop-mediated isoth
ermal amplification of DNA)法、宝酒造社のIC
AN(Isothermal and chimeric primer-initiated amp
lification of nucleic acid)法等を利用することがで
きる。 ・核酸分離方法の実施態様 本発明による方法の実施については、特に限定されるも
のはなく、試料および目的に応じた多様な実施の形態を
とることができる。
【0039】本発明の実施において核酸量が少ない場合
にはバッチ法の実施が好ましいが、核酸量が多い場合、
核酸抽出率を上げるためにカラム方式が好ましい。使用
する固相担体の粒径は実施形態により選ぶことができ
る。本発明の方法により、DNAおよびRNAのいずれ
も分離でき、しかも得られる核酸はさらに精製する必要
はなく、そのままPCR法、各種の核酸分析、遺伝子検
査などに供することができる。
【0040】本発明の核酸分離方法は、全手順を単一の
反応容器中で実施することも可能であり、これは以下の
利点をもたらす。一つは、当該方法の一段階で、核酸含
有試料から遊離した核酸が後続の精製過程において少な
くとも担体の大部分に結合するため、汚染の危険を極め
て低くすることができる。病原菌への汚染は、ウィルス
または細菌などの病原菌に感染している可能性のある検
体の処理に伴う人体への危険は、サンプルを反応容器に
入れる分離段階の第1段階にほぼ限定される。初期の処
理においてウィルスまたは細菌は有効に不活性化され
る。もう一つの汚染として、多数の検体を同時的に処理
する場合の相互汚染の問題である。これも単一の反応容
器で行うようにすれば、単純な工程と操作とあいまって
このリスクを回避できる。
【0041】もう一つは、処理の自動化を実現するのに
好都合であることである。核酸の抽出および調製の自動
化は、操作の熟練、高度の知識を必要とせずに、迅速に
大量の検体を処理することも可能とする。したがって、
一本鎖および/または二本鎖核酸の調製の自動化は、遺
伝子工学、遺伝学的診断をはじめとして核酸分析を必要
とする各分野において広範な利用、用途を有するため、
極めて重要な意義をもつ。本発明の方法は、上述したそ
の特質から、多数のサンプルより機械的に一本鎖および
/または二本鎖核酸を迅速に分離する目的、すなわち自
動処理化にも極めて好適である。 ・核酸分離キット 本発明は、核酸含有試料から核酸を単離するための方法
のみならず、そのための手段の組み合わせにも係る。そ
の組み合わせの具体的な態様であるキットとして、少な
くとも核酸含有試料から核酸を分離する手段として、少
なくとも (a) カオトロピック物質、(b) アルコール、(c) 多糖担
体、(d) 一本鎖および/または二本鎖核酸の選択的分離
を可能とする該担体を洗浄するための洗浄液、および
(e)所望により、タンパク質分解酵素、界面活性剤、
還元剤、キレート剤、カオトロピック物質よりなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の物質を含む前処理液および
/または該担体に吸着された核酸を回収するための溶離
液、とからなることを特徴とする核酸分離用キット。と
からなることを特徴としている。
【0042】「多糖担体」は、上述のように種々の形態
をとり得るが、独立したビーズ、通過流路に適した中空
体に配置された担体とすることもできる。あるいは核酸
混合物を収容する容器またはその一部であってもよい。
「カオトロピック物質」、「アルコール」については上
記に説明したものがいずれも好適に用いられる。
【0043】「一本鎖および/または二本鎖核酸の選択
的分離を可能とする該担体を洗浄するための洗浄液」、
「溶離液」については、吸着工程で使用した溶媒と同じ
溶媒、またはその他の水溶性溶媒、リン酸緩衝液、トリ
ス塩酸緩衝液などを例示することができる。両者は同一
系の緩衝液であってもよく、緩衝液の液性を変更する、
具体的にはイオン強度、pH、含有する塩類の種類を変
化させることにより、洗浄用および溶離の作用を実現さ
せることができる。
【0044】これらのキットを構成する各成分は、別個
に用意してもよく、あるいは、支障がない限り共存させ
ていてもよい。キットは溶液を含んでもよく、あるいは
そのような溶液を配合するための成分が濃縮形態であっ
てもよい。さらに必要に応じて、本キットは補助剤、専
用容器、その他の必要なアクセサリーなどを含んでもよ
い。
【0045】
【実施例】以下、実施例を挙げて具体的に本発明を説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されるもので
はない。なお、本実施例において、特に断わらない限り
部または%は重量換算である。
【0046】
【製造例1】・ヘパリン固定化磁性粒子の調製 (1)油性磁性流体「フェリコロイドHC50TM」[タイホ
ー工業(株)製]にアセトンを加えて粒子を析出沈殿さ
せた後、これを乾燥することにより、親油化処理された
表面を有するフェライト系の超常磁性体(粒子径:0.
01μm)を得た。 ついで、超常磁性体40部にシク
ロヘキシルメタクリレート95部、メタクリル酸5部お
よびベンゾイルペルオキシド(重合開始剤)3部を添加
し、この系を混合攪拌することにより超常磁性体を均一
に分散させてモノマー組成物を調製した。
【0047】一方、ポリビニルアルコール10部、ラウ
リル酸ナトリルム0.05部およびポリエチレンオキシ
ドノニルフェニルエーテル0.1部を水1000部に溶
解して水性媒体を調製した。得られた水性媒体中に上記
のモノマー組成物を添加し、ホモジナイザーで予備攪拌
した後に超音波分散機で分散処理することにより、平均
粒子径が1μmの油滴(油相)が水性媒体(水相)に分
散されてなる懸濁液(油滴分散体)を調製した。
【0048】次に、前記懸濁液を容量2リットルの攪拌
機付き三つ口フラスコに仕込み、この系を75℃に昇温
し、窒素雰囲気下において攪拌しながら5時間にわたり
油滴中のモノマーを重合(懸濁重合)させて磁性ポリマ
ー粒子を製造した。 (2)得られたカルボキシ変性磁性ポリマー粒子1g
(乾燥重量)を20mlの10mM MES(2−(N
−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝溶液(pH6)
に分散し、0.1gのエチレンジアミンおよびカルボジ
イミド試薬であるEDC・塩酸塩(1−エチル−3(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロ
ライド)0.1gを添加し、20℃で2時間反応させた
後、洗浄して、アミノ基含有磁性粒子を得た。 (3)得られたアミノ基含有磁性粒子1gにヘパリン
(SIGMA社製、製品No.H3393)0.1gおよび
EDC・塩酸塩0.1gを添加し、室温で30分反応さ
せた後、洗浄してヘパリン固定化磁性粒子を得た。
【0049】
【製造例2】・デキストラン硫酸固定化粒子の調製 (1)製造例1の(1)のメタクリル酸をグリシジルメ
タクリレートに、重合開始剤のベンゾイルペルオキシド
をV50に変更した以外は、製造例1の(1)と同様に
して磁性ポリマー粒子を製造した。 (2)得られたエポキシ変性磁性粒子1g(乾燥重量)
を20mlの0.2MNaHCO3溶液に分散し、デキ
ストラン硫酸0.1g(分子量5000;和光純薬工業
(株)製)を添加して、20℃で1時間反応させた後、
洗浄して、デキストラン硫酸固定化粒子を得た。
【0050】
【実施例1】・二本鎖核酸(DNA)と一本鎖核酸(R
NA)の回収 予めヒトB型肝炎ウィルス(HBV)濃度が既知のヒト
血清、ならびに予めC型肝炎ウィルス(HCV)濃度が既
知のヒト血清を、HBV、 HCVについて陰性であるこ
とが確認されている血清を用いて段階的に希釈、混合
し、HBV濃度:1×102コピー/mlかつHCV濃度:1×1
02コピー/ml 、 HBV濃度:1×103コピー/mlかつHC
V濃度:1×103コピー/ml 、HBV濃度:1×104コピー
/mlかつHCV濃度:1×104コピー/mlの試料を調製し
た。これらの試料、100mlずつをチューブ(試験管)に
取り分け、それぞれに、0.075%プロテイナーゼK、2% 2-
メルカプトエタノール、1% N-ラウロイルサルコシン酸
ナトリウム、10mM EDTAを含む10mMトリス-塩酸緩衝溶
液 (pH7.5)を400ml添加し、55℃で1時間反応させた。こ
のそれぞれに、製造例1または製造例2で作製した粒子の
1%水分散体を50ml添加し、続いて8Mグアニジン塩酸塩
水溶液を250ml、エタノールを600ml添加し、該チューブ
を室温で10分間、振盪撹拌した。続いて該チューブを磁
性粒子分離用磁気スタンドに立てて粒子と上清を分離
し、上清をピペット操作で除去した。ここへ70容量%エ
タノール500mlを添加し、粒子を分散させて洗浄した
後、再び該チューブを磁気スタンドに立て、粒子と上清
を分離し、上清はピペット操作で除去した。最後に、蒸
留水を45ml添加し、粒子を再分散させた後、再び該チュ
ーブを磁気スタンドに立て粒子と上清を分離し、この上
清から20 mlをHBV核酸(二本鎖DNA)検出用に、2
0 mlをHCV核酸(一本鎖RNA)検出用に用い、Ne
sted−PCR法による試験に供した。 HBV核酸
検出用のPCRプライマー配列は、 H.Okamoto, 医学の
歩み, (1992), 162 (9), 544-549. に従った。 HCV核
酸検出用のPCRプライマー配列は、H.Okamoto, et a
l., J. Virol.Methods, (1996), 57, 31-35を参考にし
た。得られたPCR増幅産物は、3%アガロースを用い
る電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色によりD
NAを検出し、得られた目的DNAの量をバンドの蛍光
が検出されたものを○、検出されなかったものを×とし
て判定した。評価結果は表1にまとめた。表1に示され
るように、本法により、PCR試験に用いることが可能な
高純度の二本鎖DNAおよび一本鎖RNAを同時に高効
率で回収することができた。
【0051】
【実施例2】・二本鎖核酸(DNA)の選択的回収 実施例1において、蒸留水を45ml添加する前の操作まで
は実施例1と同様に実施した。以降の操作は以下のよう
に行った。チューブ(試験管)を磁気スタンドから外
し、0.3M NaCl水溶液を400ml添加して粒子を再分散さ
せ、1分間チューブを穏やかに振盪して洗浄した。その
後、再びチューブを磁気スタンドに立て、粒子と上清を
分離し、上清はピペット操作で除去した。得られた粒子
に蒸留水を45ml添加し、粒子を再分散させた後、再びチ
ューブを磁気スタンドに立てて粒子と上清を分離し、こ
の上清を実施例1と同様にPCR試験に供し、 HBVとHC
V核酸の検出を行った。結果は表2にまとめた。表2に示
されるように、0.3M NaCl水溶液による洗浄操作を経る
ことによって、少なくとも10倍以上の効率で二本鎖DN
Aを選択的に回収することができた。またその際、実施
例1と比較しても二本鎖DNAの回収効率に遜色はなか
った。
【0052】
【実施例3】・一本鎖核酸(RNA)の選択的回収 実施例2における0.3M NaClの代わりに3M NaClを用い
た以外は、実施例2と同様に評価した。結果は表3にまと
めた。表3に示されるように、3M NaCl水溶液による洗
浄操作を経ることによって、少なくとも10倍以上の効率
で一本鎖RNAを選択的に回収することができた。また
その際、実施例1と比較しても一本鎖RNAの回収効率
に遜色はなかった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明の方法によると、一本鎖および/
または二本鎖核酸を含有する試料から、試料にカオトロ
ピック物質、アルコールおよび多糖担体を添加し、多糖
担体に一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を結合させ
た後、洗浄液の種類を変えるだけで、高純度、高感度に
一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を単離することが
可能になる。本発明の核酸抽出方法及びその試薬類を用
いることにより、試料から短時間、簡便、低コストで一
本鎖および/または二本鎖核酸を高純度、大量に精製す
ることができる。さらに、本発明の方法は、有毒溶媒、
腐食性溶媒を使用せず、作業環境、作業者にとっても優
しい方法の確立により、遺伝子工学、遺伝子診断、遺伝
子治療、ゲノム化学、ゲノム創薬等の分野に広く応用が
できる。また処理の自動化も可能な方法である。
フロントページの続き (72)発明者 片寄 聡 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 佐藤 功栄 茨城県猿島郡総和町大字下大野字高谷2965 −37

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一本鎖および/または二本鎖核酸を含有す
    る試料から、一本鎖核酸および/または二本鎖核酸を単
    離する方法であって、試料にカオトロピック物質、アル
    コールおよび多糖担体を添加し、該多糖担体に一本鎖核
    酸および/または二本鎖核酸を結合させた後、下記1〜
    3の工程のうちから選ばれる1つの工程を行うことを特
    徴とする核酸単離方法; 1.該多糖担体を1〜3Mの塩を含有する洗浄液で洗浄
    後、希薄水溶液で一本鎖核酸を溶出する工程 2.該多糖担体を0.1〜0.5Mの塩を含有する洗浄
    液で洗浄後、希薄水溶液で二本鎖核酸を溶出する工程 3.該多糖担体を20容量%以上のアルコールを含有す
    る洗浄液で洗浄後、希薄水溶液で溶出する工程。
  2. 【請求項2】上記多糖担体が、硫酸化多糖担体であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の核酸単離方法。
  3. 【請求項3】一本鎖および/または二本鎖核酸を含有す
    る試料を、タンパク質分解酵素、界面活性剤、還元剤、
    キレート剤、カオトロピック物質のいずれか一種以上を
    含む前処理液で処理することを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の核酸単離方法。
  4. 【請求項4】一本鎖および/または二本鎖核酸を含有す
    る試料から核酸を単離する手段として、少なくとも (a) カオトロピック物質、 (b) アルコール、 (c) 多糖担体、 (d) 一本鎖および/または二本鎖核酸の選択的分離を可
    能とする該担体を洗浄するための洗浄液、および (e) 所望により、タンパク質分解酵素、界面活性剤、還
    元剤、キレート剤、カオトロピック物質のいずれか一種
    以上を含む前処理液および/または該担体に吸着された
    核酸を回収するための溶離液、とからなることを特徴と
    する核酸分離用キット。
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