JP2006087394A - 核酸抽出方法および核酸抽出キット - Google Patents

核酸抽出方法および核酸抽出キット Download PDF

Info

Publication number
JP2006087394A
JP2006087394A JP2004279718A JP2004279718A JP2006087394A JP 2006087394 A JP2006087394 A JP 2006087394A JP 2004279718 A JP2004279718 A JP 2004279718A JP 2004279718 A JP2004279718 A JP 2004279718A JP 2006087394 A JP2006087394 A JP 2006087394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
agent
nucleic acid
reagent
surfactant
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004279718A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Hirayasu
一成 平安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wako Pure Chemical Industries Ltd filed Critical Wako Pure Chemical Industries Ltd
Priority to JP2004279718A priority Critical patent/JP2006087394A/ja
Publication of JP2006087394A publication Critical patent/JP2006087394A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】
血液成分から核酸、特に血中遊離DNAを高収率且つ簡便に抽出する方法及びそれに用いられる、核酸回収率が安定して高く且つ保存安定性に優れた試薬並びにキットを提供すること。
【解決手段】
(1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及び塩の存在下で反応させ、(2)次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、(3)核酸を沈澱させる処理を行うことを特徴とする、血液成分からの核酸の抽出方法及び(1)タンパク質分解酵素を含む試薬、(2)界面活性剤及び塩を含む試薬、及び(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬、とを組み合わせてなる血液成分からの核酸抽出用キット。
本発明によれば、血液成分(血清、血漿等)から、核酸、特に血中遊離DNAを高収率且つ簡便に抽出することが可能となり、且つこれに用いられる試薬の保存安定性を向上させることが可能となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血液成分から核酸、特に血中遊離DNAを抽出する方法及びこれに用いるキットに関する。
遺伝子工学、臨床診断、法医学等の分野に於いては、遺伝情報の解析,遺伝子疾患・ウイルス性疾患等の診断・原因究明,或いは個人識別・親子鑑定・犯罪鑑識等、種々の目的で、各種試料からの核酸鎖の遊離(抽出)及びその分析が広く行われている。
特に近年、癌などの様々な疾患を原因とする細胞の死滅や組織の傷害等により遊離したDNA断片が、血液(血清、血漿等)中に浮遊している(血中遊離DNA:plasma DNAもしくはcirculating DNA)ことが知られており、様々な疾患、特に癌の早期診断或いは病状のモニタリングのために、この血中遊離DNAを使った遺伝子診断が有用であるとの報告がなされている。(非特許文献1〜3)
一方、各種試料から核酸を抽出する方法としては、例えば細胞を物理的に、又は界面活性剤等で処理して破壊後、水飽和フェノールやクロロホルム等の有機溶媒を用いて不純物を除去し、次いでアルコールで溶液中のDNAを沈澱させる方法(非特許文献4、非特許文献5等)、例えば血清に、グリコーゲンを含むよう化ナトリウムを加えて細胞膜や細胞壁を破壊し、タンパク質を変性してDNAを遊離させ、遊離したDNA及びグリコーゲンをイソプロパノールにより沈澱させる方法(非特許文献6)例えば全血液を界面活性剤で処理して血球細胞の細胞膜を破壊して露出した細胞核を集め、更にこれを界面活性剤及び塩の存在下、タンパク質分解酵素で処理して核膜及び核タンパク質を破壊した後、カオトロピック剤と接触させてDNAを遊離させ、遊離したDNAをアルコールにより沈澱させる方法(特許文献1)例えば、還元剤、界面活性剤、キレート剤、タンパク質変性剤から選ばれる1種、要すれば塩及び共沈剤の存在下に、血液成分をタンパク質分解酵素で処理してタンパク質等を分解・変性して核酸を遊離し、更にカオトロピック剤を作用させて分解・変性されたタンパク質等を可溶化し、塩及び共沈剤の存在下、遊離したDNAをアルコールにより沈澱させる方法(特許文献2)等が知られている。
しかしながら、これらの方法は、ヒトやウイルスのゲノムDNA(又はRNA)を対象とするものであり、核酸の収率、試薬の安定性等の面からみると必ずしも十分と言えるものではない。
また、これらの方法は、血液成分中に極微量存在する血中遊離DNAの抽出用としては必ずしも満足するものではない。
Sozzi, G., et al., Clin. Cancer Res., 5, 2689 (1999)
Sliva, J. M., et al., Cancer Res., 59, 3251 (1999)
Shao, Z.M., et al., Clin. Cancer Res. 7, 2222 (2001)
生化学実験講座2,「核酸の化学 I」,74〜80頁,262〜270頁,1975年,東京化学同人
「遺伝子操作マニュアル」,20〜23頁,1985年,講談社
Ishizawa, M., et al., Nucleic Acid Res., 19, 5792 (1991)
特開平6−205676号
特開平7−236499
本発明は、血液成分から核酸、特に血中遊離DNAを高収率且つ簡便に抽出する方法及びそれに用いられる、核酸回収率が安定して高く且つ保存安定性に優れた試薬並びにキットを提供することを課題とする。
本発明者等は、血液成分、特に血清や血漿から核酸を高収率且つ簡便に抽出する方法について鋭意研究の結果、血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及び塩の存在下で反応させ、次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、核酸を沈澱させる処理を行うことにより、血液成分からより高収率且つ簡便に核酸を抽出することができ、今まで困難であった血液成分中に極微量存在する血中遊離DNAをも高収率且つ簡便に抽出できることを見い出し、更にタンパク質分解酵素を含む試薬、界面活性剤及び塩を含む試薬、及びカオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬を組み合わせてキットとすることにより、核酸回収率が安定して高く且つ保存安定性に優れたキットとなり得ることも見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の構成よりなる。
1.(1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及び塩の存在下で反応させ、(2)次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、(3)核酸を沈澱させる処理を行うことを特徴とする、血液成分からの核酸の抽出方法。
2.(1)タンパク質分解酵素を含む試薬、(2)界面活性剤及び塩を含む試薬、及び(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬、とを組み合わせてなる血液成分からの核酸抽出用キット。
本発明は、核酸を高収率且つ簡便に抽出する方法及びそれに用いられるキットを提供するものであり、本発明によれば、血液成分(血清、血漿等)から、核酸、特に血中遊離DNAを高収率且つ簡便に抽出することが可能となり、且つこれに用いられる試薬の保存安定性を向上させることが可能となる。
1.タンパク質分解酵素
本発明において用いられるタンパク質分解酵素としては、プロテイナーゼK、プロナーゼ、トリプシン、ズブチリシン等の非特異的タンパク質分解酵素が挙げられる。
なかでも、プロテイナーゼKが好ましい。
タンパク質分解酵素の使用量としては、血液成分中のタンパク質等の混在物を十分に分解し得る量、換言すれば、本発明の方法を実施した後に得られた核酸を各種分析等に共するのに十分な量及び質(純度)の核酸を血液成分から抽出し得る量であればよく、特に限定されない。
具体的には、例えば血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、血液成分1mLに対して下限が通常0.2mg以上、好ましくは1mg以上の濃度添加される。上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、血液成分1mLに対して通常100mg以下、好ましくは10mg以下の濃度添加される。
2.界面活性剤
本発明に於いて用いられる界面活性剤としては、充分なタンパク質変性作用を有し且つ塩と共存させた場合に沈澱を生じないものである。このような界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤から上記した如き性質のものが適宜選択される。
特に、陰イオン界面活性剤が好ましく、その具体例としては、カルボン酸類、スルホン酸類、硫酸エステル類、リン酸エステル類、コール酸類又はこれらの塩等が挙げられる。
カルボン酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸及びその誘導体等が挙げられ、具体的には、例えばオレイン酸、N-ラウロイルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸等が挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えばオレイン酸カリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(SLS)、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等が挙げられる。
スルホン酸類としては、アルキルベンゼンスルホン酸(例えばラウリルベンゼンスルホン酸等)、ナフタレンスルホン酸(例えばジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸等)、スルホコハク酸(例えばジオクチルスルホコハク酸等)等が挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えばラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
硫酸エステル類としては、高級アルコール硫酸エステル(例えばラウリル硫酸等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル(例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等)等が挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えばラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム:SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
リン酸エステル類としては、モノステアリルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸等が挙げられ、具体的には、例えばモノステアリルリン酸、モノラウリルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸等が挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えばモノステアリルリン酸ナトリウム、モノラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸カリウム等が挙げられる。
コール酸類としては、コール酸、コール酸誘導体(例えばデオキシコール酸等)等が挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えばコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等が挙げられる。
上記した陰イオン性界面活性剤のなかから、上記した如き性質を有するものが選択される。
なかでも、充分なタンパク質分解作用を有し且つKClと共存させても沈澱を生じない、N-ラウロイルサルコシン酸又はその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)が好ましく、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムが特に好ましい。
界面活性剤の使用量としては、用いられる界面活性剤の種類等によって異なるため一概には言えないが、通常この分野で用いられる範囲から適宜選択すればよい。
このような使用量としては、血液成分中のタンパク質等の混在物を変性させ、タンパク分解酵素の働きを十分に向上させ得る量、換言すれば、本発明の方法を実施した後に得られた核酸を各種分析等に共するのに十分な量及び質(純度)の核酸を血液成分から抽出し得る量であればよく、特に限定されないが、一般的には、例えば血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常0.1%(w/v)以上、好ましくは0.3%(w/v)以上、より好ましくは1%(w/v)以上であり、更に好ましくは2.0%(w/v)以上、特に好ましくは2.5%(w/v)以上である。上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、通常10%(w/v)以下、好ましくは5%(w/v)以下、より好ましくは3.5%(w/v)以下である。
特に、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを使用する場合は、例えば血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常0.1%(w/v)以上、好ましくは0.3%(w/v)以上、より好ましくは1%(w/v)以上であり、特に好ましくは2.5%(w/v)以上である。上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、通常10%(w/v)以下、好ましくは5%(w/v)以下、より好ましくは3.5%(w/v)以下である。
3.アルカリ金属塩
本発明において用いられるアルカリ金属塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンを陽イオンとして含むものが挙げられ、タンパク質分解酵素を活性化する作用を有するものが好ましい。
このようなアルカリ金属塩としては、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、酢酸ナトリウム等が挙げられ、なかでも、塩化カリウムが好ましい。尚、アルカリ金属塩であっても、よう化ナトリウムのようなカオトロピック剤としての性質を有するものは、タンパク質分解酵素を失活させるので、本発明の目的には用いることができない。
アルカリ金属塩の使用量としては、血液成分中のタンパク質等の混在物を分解するタンパク分解酵素の働きを十分に向上させ得る量、換言すれば、本発明の方法を実施した後に得られた核酸を各種分析等に共するのに十分な量の核酸を血液成分から抽出し得る量であればよく、特に限定されない。
具体的には、例えば血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、下限が通常10mM以上、好ましくは30mM以上の濃度添加される。上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、通常1.5M以下、好ましくは1M以下、より好ましくは500mM以下、特に好ましくは100mM以下の濃度添加される。
特にKClを使用する場合は、例えば血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、下限が通常10mM以上、好ましくは30mM以上の濃度添加される。上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中に、通常1.5M以下、好ましくは1M以下、より好ましくは500mM以下、特に好ましくは100mM以下の濃度添加される。
4.カオトロピック剤
本発明において用いられるカオトロピック剤としては、一般にカオトロピック剤として知られているような、水溶液に添加した際にカオトロピックイオン(イオン半径の大きな1価の陰イオン)を生成し、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しているものであればよく、特に限定されないが、具体的には、例えばよう化アルカリ、チオシアン酸グアニジン、過塩素酸のアルカリ金属塩、トリクロロ酢酸のアルカリ金属塩、及びチオシアン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらアルカリ金属塩或いはよう化アルカリに於けるアルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。なかでも、よう化アルカリが好ましく、よう化ナトリウムが特に好ましい。
カオトロピック剤の使用濃度は、用いるカオトロピック剤の種類により異なるが、具体的には、核酸(及びタンパク質分解酵素によって分解された血液成分由来のタンパク質)とカオトロピック剤とを接触させる際の溶液中の濃度が下限として通常2.5M以上、好ましくは2.6M以上、より好ましくは3.0M以上、更に好ましくは3.2M以上、特に好ましくは3.5M以上、上限として通常7M以下、好ましくは5M以下である。特によう化ナトリウムを使用する場合には、下限として通常2.5M以上、好ましくは3.2M以上、特に好ましくは3.5M以上、上限として通常7M以下、好ましくは5M以下である。
5.共沈剤
本発明において用いられる共沈剤としては、通常この分野で用いられているものであれば良く、得に限定されないが、例えばグリコーゲン、デキストラン等の高分子多糖類、例えばトランスファーRNA、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
なかでもグリコーゲン、デキストラン等の高分子多糖類が好ましく、グリコーゲンが特に好ましい。
共沈剤の使用量としては、通常この分野で用いられている範囲から適宜選択すれば良く、特に限定されない。
具体的には、核酸及び共沈剤とアルコール類とを接触させる際の溶液中の濃度が下限として通常1μg/mL以上、好ましくは5μg/mL以上、より好ましくは10μg/mL以上、上限として通常1mg/mL以下、好ましくは100μg/mL以下、より好ましくは50μg/mL以下である。特にグリコーゲンを使用する場合には、下限として通常1μg/mL以上、好ましくは5μg/mL以上、より好ましくは10μg/mL以上、上限として通常1mg/mL以下、好ましくは100μg/mL以下、より好ましくは50μg/mL以下となるように、適宜選択して核酸と共沈剤とを接触させる際の溶液中に含有させればよい。
6.本発明の核酸抽出方法
本発明の核酸抽出方法は、(1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させ、(2)次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、(3)核酸を沈澱させる処理を行うことを特徴とするものである。
6−1.血液成分
本発明の方法において用いられる血液成分としては、例えば血清、血漿が挙げられる。
また、本発明の方法において、上記した如き血液成分から抽出される核酸としては、血中遊離DNA、ウイルスDNA等のDNA、血中遊離メッセンジャーRNA、ウイルスRNA等のRNAが挙げられる。なかでも本発明の方法はDNAの抽出に有用であり、特に癌等の各種疾患患部の傷害を受けた細胞や死滅した細胞に由来し、血清或いは血漿中を浮遊している所謂血中遊離DNA(plasma DNAもしくはcirculating DNA)の抽出に有用である。
6−2.工程(1)
以下に、本発明の方法における(1)〜(3)の各工程について詳述する。
本発明の工程(1)により、血液成分中のタンパク質(核酸と複合体を形成しているヒストンタンパク質等)を分解変性及び可溶化し、核酸を遊離させることができる。
尚、本発明の工程(1)において、血液成分とタンパク質分解酵素との反応をアルカリ金属塩の共存下で行うことにより、最終的に得られる(抽出される)核酸の回収率や質(純度)が向上する。
本発明の工程(1)は、上記した如き血液成分と、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する水溶液(反応液)を調製し、界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下、該血液成分にタンパク質分解酵素を作用(反応)させることにより実施することができる。
上記において、血液成分と、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する水溶液を調製する方法としては、最終的にこれら各成分を含有する溶液が得られる方法であれば良く、特に限定されない。
最も一般的な方法としては、(1)タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する水溶液(反応液)に、血液成分を添加する方法、(2)血液成分に、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する水溶液(反応液)を添加する方法等が挙げられる。
また、(3)血液成分に、タンパク質分解酵素を含有する水溶液、界面活性剤を含有する水溶液及びアルカリ金属塩を含有する水溶液を夫々別々に添加しても良い。
更に、(4)タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩のうちの1種以上を含有する水溶液2種以上を、血液成分に夫々別々に添加しても良く、このような方法としては、先ず血液成分に界面活性剤及びアルカリ金属塩を含有する水溶液(溶解液)を添加するか、或いは界面活性剤及びアルカリ金属塩を含有する水溶液(溶解液)に血液成分を添加するかして、血液成分と界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する溶液を調製し、次いで、当該溶液に更にタンパク質分解酵素を含有する水溶液を添加混合する方法が好ましい。
上記方法に於いて、各水溶液中の各成分の使用濃度は、最終的な反応液(血液成分、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩を含有する溶液)中の濃度が上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
本発明の工程(1)における反応条件は、以下の通りである。
例えば、血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際の反応温度としては、下限は通常25℃以上、好ましくは37℃以上、より好ましくは55℃以上であり、上限は通常70℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下である。
反応時間としては、反応温度や血液成分の種類・量等によって左右されるが、一般的には下限が通常1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、上限が通常36時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは5時間以下である。
また、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際のpHとしては、タンパク質分解酵素の活性に悪影響を及ぼさないpHであればよく、特に限定されないが、具体的には、下限は通常pH7以上、好ましくはpH8以上であり、下限は通常pH10以下、好ましくはpH9以下である。
本発明の工程(1)においては、血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際のpHを上記した如き範囲に保つために緩衝剤を使用することができる。
このような緩衝剤としては、上記した如き反応温度に於いて上記した如きpH範囲で緩衝能を有するものであれば良く、特に限定されないが、例えばN-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(EPPS)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-プロパンスルホン酸)(POPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、2-ヒドロキシ-N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、Bis-trisプロパン、コラミンクロリド、グリシン・アミド等のグッド緩衝剤、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(tris)、グリシルグリシン等の緩衝剤が挙げられる。
これらのなかでも好ましい緩衝剤としては、60℃に於けるpKaが下限としては通常6.50以上、好ましくは7.00以上、より好ましくは7.20以上、更に好ましくは7.30以上であり、上限としては通常13.00以下、好ましくは11.00以下、より好ましくは10.00以下、更に好ましくは9.50以下である緩衝剤が挙げられる。
具体的には、例えばBES〔pKa(60℃):6.51〕、TES〔pKa(60℃):6.70〕、HEPES〔pKa(60℃):6.99〕、Tris〔pKa(60℃):7.06〕、グリシン・アミド〔pKa(60℃):7.04〕、HEPPS〔pKa(60℃):7.72〕、Tricine〔pKa(60℃):7.31〕、Bicine〔pKa(60℃):7.63〕、CHES〔pKa(60℃):9.14〕、CAPS〔pKa(60℃):10.04〕、グリシルグリシン〔pKa(60℃):7.28〕等の60℃に於けるpKaが6.50以上である緩衝剤が好ましく、例えばTris、グリシン・アミド、HEPPS、Tricine、Bicine、CHES、CAPS、グリシルグリシン等の60℃に於けるpKaが7.00以上である緩衝剤がより好ましく、例えばHEPPS、Tricine、Bicine、CHES、CAPS、グリシルグリシン等の60℃に於けるpKaが7.20以上である緩衝剤が特に好ましく、例えばHEPPS、Tricine、Bicine、CHES等の60℃に於けるpKaが7.30以上、9.50以下である緩衝剤が更に好ましい。これらのなかでも最も好ましくはTricineである。
また、上記した如き緩衝剤のうち、上記した如き性質を有し、且つΔpKa/℃が通常−0.030以下、好ましくは−0.025以下の緩衝剤を使用すれば、常温から酵素反応を行うための温度上昇に伴うpH変動を減少させることにより、高収率に核酸を遊離させることができる。
このような緩衝剤としては、例えばHEPPS〔ΔpKa/℃:−0.007〕、Tricine〔ΔpKa/℃:−0.021〕、Bicine〔ΔpKa/℃:−0.018〕、CHES〔ΔpKa/℃:−0.009〕、CAPS〔ΔpKa/℃:−0.009〕が挙げられ、なかでもTricineが最も好ましい。
上記した如き緩衝剤の使用量としては、用いられる緩衝剤の種類等により異なるため一概には言えないが、上記した如き反応温度に於いて上記した如きpH範囲を保持し得る量(上記した如きpH範囲において緩衝能が得られるような量)であれば良く、一般的には、血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常1mM以上、好ましくは5mM以上、より好ましくは9mM以上、更に好ましくは9.5mM以上であり、上限は通常500mM以下、好ましくは250mM以下、より好ましくは100mM以下、更に好ましくは50mM以下である。
尚、本発明の工程(1)に於いて上記した如き緩衝剤を使用するには、血液成分にタンパク質分解酵素を作用させる際に、界面活性剤及びアルカリ金属塩と同時に緩衝剤を共存させれば良く、前述した如き血液成分と、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩とを含有する水溶液を調製する方法に準じて行えばよい。即ち、最終的に、血液成分、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤を含有する溶液が得られる方法であればよく、(1)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤の全てを含有する水溶液(反応液)に血液成分を添加するか、(2)血液成分を当該反応液に添加する方法、(3)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤を別々に含有する水溶液を血液成分に夫々添加する方法、或いは(4)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤のうち1種以上を含有する水溶液2種以上を血液成分に夫々添加する方法等が挙げられる。尚、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩、緩衝剤のうちの1種以上を含有する水溶液2種以上を、血液成分に夫々別々に添加する方法としては、先ず血液成分にアルカリ金属塩、界面活性剤及び緩衝剤を含有する水溶液(溶解液)を添加するか、或いはアルカリ金属塩、界面活性剤及び緩衝剤を含有する水溶液(溶解液)に血液成分を添加するかして、血液成分とアルカリ金属塩、界面活性剤及び緩衝剤とを含有する溶液を調製し、次いで、当該溶液に更にタンパク質分解酵素を含有する水溶液を添加混合する方法が好ましい。
上記方法に於いて、各溶液中の緩衝剤の使用濃度及びpHは、最終的な反応液(血液成分、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤を含有する溶液)中の濃度及びpHが上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
本発明の工程(1)においては、上記した如きタンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩以外に、更に、通常この分野で使用される試薬類、例えばキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤、還元剤等を共存させても良い。特にキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤を共存させておくのが好ましい。
即ち、血液成分を、界面活性剤及びアルカリ金属塩、要すればキレート剤又は/及び還元剤の存在下、タンパク質分解酵素と反応させてもよい。
尚、最終的に得られる(抽出される)核酸の回収率が低下する場合があることから、本発明の工程(1)においては、共沈剤を共存させないのが好ましい。即ち、本発明の工程(1)は共沈剤の不存在下で実施するのが好ましい。
キレート剤としては、通常この分野で用いられるものであれば良く、特に限定されないが、二価の金属イオンをキレートし得る能力を有するものが好ましい。
より具体的には、例えばヒドロキシ基を有していてもよいアルキルイミノポリカルボン酸〔ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)等〕、ニトリロポリカルボン酸〔ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)等〕、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基又はヒドロキシアラルキル基を有していてもよいモノ又はポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸〔エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン二プロピオン酸二塩酸塩(EDDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸(HDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸(DTPA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸(HBED)等〕、ポリアミノアルカンポリカルボン酸〔ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA、)、trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CyDTA)等〕、ポリアミノアルカノールポリカルボン酸〔ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)等〕、ヒドロキシアルキルエーテルポリアミンポリカルボン酸〔グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)等〕等の分子中に1〜4個の窒素原子と2〜6個のカルボキシル基を有する含窒素ポリカルボン酸類、例えばアミノポリ(アルキルホスホン酸)〔アミノトリス(メチレンホスホン酸)等〕、ニトリロポリ(アルキルホスホン酸)〔ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTPO)等〕、モノ又はポリアルキレンポリアミンポリ(アルキルホスホン酸)〔エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、エチレンジアミン-N,N'-ビス(メチレンホスホン酸)(EDDPO)、イソプロピレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-ペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンビス(メチレンホスホン酸)、ヘキセンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)等〕、アルキルアミノポリ(アルキルホスホン酸)〔エチルアミノビス(メチレンホスホン酸)、ドデシルアミノビス(メチレンホスホン酸)等〕等の分子中に1〜3個の窒素原子と2〜5個のホスホン酸基を有する含窒素ポリホスホン酸類、例えばメチルジホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1'-ジホスホン酸(HEDPO)、1-ヒドロキシプロピリデン-1,1'-ジホスホン酸、1-ヒドロキシブチリデン-1,1'-ジホスホン酸等のヒドロキシ基を有していてもよいアルカンポリホスホン酸類、例えばジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、並びにこれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等)等が挙げられ、なかでもEDTA又はその塩(ナトリウム塩等)が好ましい。
キレート剤の使用量としては、用いられるキレート剤の種類により異なるため一概には言えないが、一般的には、血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常1mM以上、好ましくは3mM以上、より好ましくは5mM以上、更に好ましくは7mM以上、特に好ましくは9mM以上であり、上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、試料とプロテイナーゼKとを反応させる際の反応液中の濃度として、通常200mM以下、好ましくは100mM以下、より好ましくは50mM以下、更に好ましくは25mM以下、特に好ましくは10mM以下である。
還元剤としては、チオール化合物が好ましい。
チオール化合物としては、例えばジチオトレイトール(以下、DTTと略記する。)、β−メルカプトエタノール(以下、βMEと略記する。)、N−アセチルシステイン、システイン、還元型グルタチオン、ジチオエリトリトール、臭化2−アミノエチルイソチオウロニウム、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオグルコース、2−メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトコハク酸、1−チオ−β−D−グルコース二ナトリウム塩二水和物、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン一水和物、2−アミノ−6−メルカプトプリンリボサイド水和物、チオフェノール、2−チオウラシル等が挙げられる。
なかでも、DTT、βMEが好ましい。
還元剤の使用量としては、用いられる還元剤の種類によって異なるため一概には言えないが、通常この分野で用いられる範囲から適宜選択すればよい。
このような使用量としては、血液成分中のタンパク質等の混在物を分解するタンパク分解酵素の働きを十分に向上させ得る量、換言すれば、本発明の方法を実施した後に得られた核酸を各種分析等に共するのに十分な量及び質(純度)の核酸を血液成分から抽出し得る量であればよく、特に限定されないが、一般的には、血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常9.5mM以上、好ましくは20mM以上、より好ましくは38mM以上、更に好ましくは45mM以上であり、上限は通常1M以下、好ましくは750mM以下、より好ましくは500mM以下、更に好ましくは300mM以下である。
具体的には、例えばDTTを用いる場合には、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中の濃度として、下限は通常9.5mM以上、好ましくは20mM以上、より好ましくは38mM以上であり、上限は通常100mM以下、好ましくは75mM以下、より好ましくは50mM以下である。
また、例えばβMEを用いる場合には、血液成分とタンパク質分解酵素とを反応させる際の反応液中の濃度として、下限は通常100mM以上、好ましくは150mM以上、より好ましくは200mM以上、更に好ましくは300mM以上であり、上限は通常1M以下、好ましくは750mM以下、より好ましくは500mM以下である。
上記に於いて、キレート剤又は/及び還元剤を共存させる方法としては、血液成分にタンパク質分解酵素を作用させる際に、界面活性剤及びアルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)と同時にキレート剤又は/及び還元剤を共存させれば良く、前述した如き血液成分と、タンパク質分解酵素、界面活性剤及びアルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)とを含有する水溶液を調製する方法に準じて行えばよい。即ち、最終的に、血液成分、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤を含有する溶液が得られる方法であればよく、(1)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤の全てを含有する水溶液(反応液)に血液成分を添加するか、(2)血液成分を当該反応液に添加する方法、(3)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤を別々に含有する水溶液を血液成分に夫々添加する方法、或いは(4)タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤のうち1種以上を含有する水溶液2種以上を血液成分に夫々添加する方法等が挙げられる。
尚、このような方法のうち、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤のうちの1種以上を含有する水溶液2種以上を、血液成分に夫々別々に添加する方法としては、先ず血液成分に界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤を含有する水溶液(溶解液)を添加するか、或いは界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤を含有する水溶液(溶解液)に血液成分を添加するかして、血液成分と界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤とを含有する溶液を調製し、次いで、当該溶液に更にタンパク質分解酵素を含有する水溶液を添加混合する方法が好ましい。
上記方法に於いて、各溶液中のキレート剤及び還元剤の使用濃度は、最終的な反応液(血液成分、タンパク質分解酵素、界面活性剤、アルカリ金属塩(要すれば緩衝剤)及びキレート剤又は/及び還元剤を含有する溶液)中の濃度が上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
6−3.工程(2)
かくして上記した如き本発明の工程(1)により得られた反応液を、本発明の工程(2)に付すことにより、更に血液成分中のタンパク質(核酸と複合体を形成しているヒストンタンパク質等)を分解変性及び可溶化し、核酸を遊離させると共に、引き続き行われる工程(3)において遊離した微量の核酸の回収率を高めることができる。
特に、共沈剤を、この段階で初めて血液成分(即ち、工程(1)により得られた反応液)と接触させることにより、核酸の回収率をより高めることができる。即ち、共沈剤を、アルコール沈澱を行う直前のこの工程(2)でカオトロピック剤と共に添加することによって、次の工程(3)アルコール沈澱濃縮時の核酸の損失を防ぎ、同回収率を高めることができる。
本発明の工程(2)は、上記した如き本発明の工程(1)により得られた反応液、即ち、(1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及びアルカリ金属塩(要すれば緩衝剤、キレート剤及び還元剤から選ばれる1種)の存在下で反応させ、血清成分中のタンパク質を分解変性及び可溶化して核酸を遊離させることによって得られた遊離核酸を含有する反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液(反応液)を調製し、当該遊離核酸含有反応液とカオトロピック剤及び共沈剤を接触させることにより実施することができる。
上記において、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液を調製する方法としては、最終的にこれら各成分を含有する溶液が得られる方法であれば良く、特に限定されない。
最も一般的な方法としては、(1)カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液(反応液)に、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液を添加する方法、(2)工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液に、カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液(反応液)を添加する方法等が挙げられる。
上記方法に於いて、各水溶液中の各成分の使用濃度は、最終的な反応液(工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液、カオトロピック剤及び共沈剤を含有する溶液)中の濃度が上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
本発明の工程(2)における反応(接触)に特別な反応時間や反応温度(通常は常温で行う)等を必要とするものではない。即ち、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触(添加・混合)させた後、続けて本発明の工程(3)を行う。
しかしながら、例えば工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際のpHとしては、核酸の遊離を妨げない範囲であればよく、特に限定されないが、具体的には、下限は通常pH6以上、好ましくはpH7以上であり、上限は通常pH9以下、好ましくはpH8以下である。
また、例えば、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際の反応温度としては、下限は通常4℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、上限は通常100℃以下、好ましくは70℃以下である。
反応時間としては、反応温度や血液成分の種類・量等によって左右されるが、一般的には下限が通常1秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、上限が通常24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは5時間以内、更に好ましくは1時間以内である。
本発明の工程(2)においては、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際のpHを上記した如き範囲に保つために緩衝剤を使用することができる。
このような緩衝剤としては、上記した如き反応温度に於いて上記した如きpH範囲で緩衝能を有するものであれば良く、特に限定されないが、例えばN-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(EPPS)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-プロパンスルホン酸)(POPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、2-ヒドロキシ-N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、Bis-trisプロパン、コラミンクロリド、グリシン・アミド等のグッド緩衝剤、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(tris)、グリシルグリシン等の緩衝剤が挙げられる。
これらのなかでもtris、Tricine、MOPSが好ましく、trisが特に好ましい。
上記した如き緩衝剤の使用量としては、用いられる緩衝剤の種類等により異なるため一概には言えないが、上記した如き反応温度に於いて上記した如きpH範囲を保持し得る量(上記した如きpH範囲において緩衝能が得られるような量)であれば良く、一般的には、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常1mM以上、好ましくは5mM以上、より好ましくは9mM以上、更に好ましくは9.5mM以上であり、上限は通常500mM以下、好ましくは250mM以下、より好ましくは100mM以下、更に好ましくは50mM以下である。
尚、本発明の工程(2)に於いて上記した如き緩衝剤を使用するには、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際に、カオトロピック剤及び共沈剤と同時に緩衝剤を共存させれば良く、前述した如き工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液を調製する方法に準じて行えばよい。即ち、最終的に、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液、カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤を含有する溶液が得られる方法であればよく、(1)カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤の全てを含有する水溶液(反応液)に工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液を添加するか、(2)工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液を当該水溶液(反応液)に添加する方法、(3)カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤を別々に含有する水溶液を工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液に夫々添加する方法、或いは(4)カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤のうち1種以上を含有する水溶液2種以上を工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液に夫々添加する方法等が挙げられる。なかでも(1)又は(2)が好ましい。
上記方法に於いて、各溶液中の緩衝剤の使用濃度及びpHは、最終的な反応液(工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液、カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤を含有する溶液)中の濃度及びpHが上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
本発明の工程(2)においては、上記した如きカオトロピック剤及び共沈剤以外に、更に、通常この分野で使用される試薬類、例えばキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤を共存させておくのが好ましい。
尚、本発明の工程(1)でキレート剤を用いた場合であって、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液(核酸)とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際に十分な核酸分解酵素阻害作用を得られる量のキレート剤が存在している場合には、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際に、特にキレート剤を添加しなくてもよい。
また、本発明では、アルカリ金属塩は本発明の工程(1)における必須成分であるため、本発明の工程(2)においてあらためて添加する必要はない。むしろ、核酸の回収率や経済性等を考慮すれば、本発明の工程(2)でアルカリ金属塩を添加しないほうが好ましい。即ち、上記工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを含有する水溶液を調製する方法において、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と接触させるために用いられる各種水溶液(反応液)(例えば、カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤の全てを含有する水溶液(反応液)等)はアルカリ金属塩を含まないものが好ましい。
キレート剤、その具体例としては、上記工程(1)と同様のものが挙げられ、なかでもEDTA又はその塩(ナトリウム塩等)が好ましい。
キレート剤の使用量としては、用いられるキレート剤の種類により異なるため一概には言えないが、核酸分解酵素を阻害し得る量であれば良く、一般的には、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際の反応液中の濃度として、例えば下限は通常0.1mM以上、好ましくは1mM以上、より好ましくは5mM以上であり、上限は特に限定されないが、経済性等を考慮すると、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際の反応液中の濃度として、通常500mM以下、好ましくは100mM以下、より好ましくは50mM以下である。
上記に於いて、キレート剤を共存させる方法としては、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液にカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際に、カオトロピック剤及び共沈剤(要すれば緩衝剤)と同時にキレート剤を共存させれば良く、前述した如き工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤(要すれば緩衝剤)とを含有する水溶液を調製する方法に準じて行えばよい。即ち、最終的に、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液、カオトロピック剤、共沈剤(要すれば緩衝剤)及びキレート剤を含有する溶液が得られる方法であればよく、(1)カオトロピック剤、共沈剤(要すれば緩衝剤)及びキレート剤の全てを含有する水溶液(反応液)に工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液を添加するか、(2)工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液を当該水溶液(反応液)に添加する方法、(3)カオトロピック剤、共沈剤(要すれば緩衝剤)及びキレート剤を別々に含有する水溶液を工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液に夫々添加する方法、或いは(4)カオトロピック剤、共沈剤(要すれば緩衝剤)及びキレート剤のうち1種以上を含有する水溶液2種以上を工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液に夫々添加する方法等が挙げられる。なかでも、(1)又は(2)が好ましい。
上記方法に於いて、各溶液中のキレート剤の使用濃度は、最終的な反応液(工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液、カオトロピック剤、共沈剤(要すれば緩衝剤)及びキレート剤を含有する溶液)中の濃度が上記した如き範囲から選ばれるように、各溶液の使用量を考慮に入れて適宜決定すればよい。
上記した如き本発明の工程(1)及び工程(2)により遊離された核酸は、そのまま各種核酸鎖分析等の試料として使用することも可能であり、また、これを更に、この分野で通常使用されている方法によって核酸を採取・精製する際の試料とすることも可能である。
6−4.工程(3)
上記した如き本発明の工程(1)及び工程(2)を実施した後、即ち、(1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及びアルカリ金属塩(要すれば緩衝剤、キレート剤及び還元剤から選ばれる1種)の存在下で反応させて、血清成分中のタンパク質を分解変性及び可溶化して核酸を遊離させ、(2)次いで、得られた遊離核酸を含有する反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤(要すれば緩衝剤又は/及びキレート剤)とを接触させて、更に血清成分中のタンパク質を分解変性及び可溶化して核酸を遊離させた後に、核酸を沈澱させる処理を行って、当該沈澱を採取することにより、遊離した核酸を精製・採取することができる。
尚、本発明は、工程(2)においてカオトロピック剤を用いているので、例えばフェノールやクロロホルム等の有機溶媒による核酸抽出を行うことなく、核酸を沈澱させて遊離した核酸を精製・採取することができる。即ち、有機溶媒による核酸抽出を行うことなく、本発明の工程(1)及び工程(2)を実施した後に得られた遊離核酸含有溶液をそのまま核酸を沈澱又は濃縮させる処理に付すことができる。
本発明の工程(3)における核酸を沈澱又は濃縮させる処理としては、この分野で核酸を沈澱又は濃縮させるために行われている方法であればよく、特に限定されない。
このような方法としては、例えばアルコール沈澱法、塩化セシウム密度勾配遠心法(超遠心法)等が挙げられ、アルコール沈澱法が好ましい。
アルコール沈澱法を実施するには、自体公知の方法に従い、本発明の工程(1)及び工程(2)を実施した後に得られた遊離核酸含有溶液とアルコール類を含有する溶液(試薬)とを混合すればよい。
用いられるアルコール類としては、核酸を特異的に沈澱し得る性質を有するものであれば良く、特に限定されないが、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜9のアルキルアルコールが挙げられる。このようなアルキルアルコールとしては、エタノール,プロパノール(n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール),ブタノール(n−ブチルアルコール,イソブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,tert−ブチルアルコール),アミルアルコール(n−アミルアルコール,sec−アミルアルコール,tert−アミルアルコール,イソアミルアルコール,sec−イソアミルアルコール等),ヘキサノール,ヘプタノール,オクタノール,カプリルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールが挙げられる。尚、上記のうち炭素数が3以下のアルキルアルコール(例えばエタノール、イソプロパノール)は単独で用いても、また、2種を組み合わせて用いても良い。また、炭素数が4以上のアルキルアルコール(例えばブタノール)は、炭素数が3以下のアルキルアルコール(例えばエタノール又は/及びイソプロパノール)と組み合わせて2種以上のアルコール類を含有するアルコール混合液として用いるのが好ましい。
尚、炭素数が4以上のアルキルアルコールとしては、ブタノール(n−ブチルアルコール,イソブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,tert−ブチルアルコール)が好ましく、なかでもn−ブチルアルコール(1−ブタノール)がより好ましい。
特に、血液成分のように脂質類が多く含まれる試料を対象とする場合には、脂質類を可溶化して核酸から取り除くことができるので、炭素数が4以上のアルキルアルコールと炭素数が3以下のアルキルアルコールとを組み合わせた2種以上のアルコール類の混合液を用いて核酸の沈澱を行うことが好ましい。
具体的には、エタノール、イソプロパノール及びブタノールから選ばれた1種以上が好ましく、エタノール又は/及びイソプロパノールとブタノールとを組み合わせた2種以上のアルコール類の混合液がより好ましく、イソプロパノールとブタノールとを組み合わせた混合液が特に好ましい。
また、本発明の工程(2)においてカオトロピック剤としてよう化ナトリウムを用いる場合には、特にイソプロパノール単独、或いはイソプロパノールとブタノールとを組み合わせた混合液を用いて核酸の沈澱を行うことがより好ましい。
これらアルコール類の使用濃度としては、核酸を溶液から沈澱し得るような濃度であればよく、特に限定されないが、一般的には、アルコール類の最終濃度(核酸とアルコール類とを接触させる際の溶液中の濃度)が通常40%以上、好ましくは50%以上となるように、本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加される。具体的には、例えばエタノールを単独で用いる場合には、エタノールの最終濃度(核酸とエタノールとを接触させる際の溶液中の濃度)が通常60%以上、好ましくは70%以上以上となるように、本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加され、また、イソプロパノールを単独で用いる場合には、イソプロパノールの最終濃度(核酸とイソプロパノールとを接触させる際の溶液中の濃度)が通常40%以上、好ましくは50%以上となるように、本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加される。
また、炭素数が3以下のアルキルアルコールを2種以上組み合わせて用いる場合は、一般的には、用いるアルコール類全体の最終濃度(核酸とアルコール類とを接触させる際の溶液中の濃度)が通常40%以上、好ましくは50%以上となるように、本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加される。
炭素数が4以上のアルキルアルコールと炭素数が3以下のアルキルアルコールとを2種以上組み合わせて用いる場合は、一般的には、用いるアルコール類全体の最終濃度(核酸とアルコール類とを接触させる際の溶液中の濃度)が通常40%以上、好ましくは50%以上となるように、本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加される。
具体的には、例えばイソプロパノールとブタノールを組み合わせて用いる場合には、イソプロパノール及びブタノールの最終濃度(核酸とイソプロパノール及びブタノールとを接触させる際の溶液中の濃度)が通常40%以上、好ましくは50%以上となるように本発明の工程(1)及び工程(2)で得られた遊離核酸含有反応液中に添加される。
尚、炭素数が3以下のアルキルアルコール(例えばエタノール又は/及びイソプロパノール)と組み合わせて2種以上のアルコール類を含有するアルコール混合液として用いる場合、当該混合液中に含まれる炭素数が4以上のアルキルアルコールの割合(アルコール混合液中の含有率)は、一般的には、下限として通常20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、上限として通常80%以下、好ましくは70%以下である。
具体的には、エタノール又は/及びイソプロパノールとブタノールとを組み合わせた2種以上のアルコール類の混合液を用いる場合、当該混合液に含まれるブタノールの割合(2種以上のアルコール類混合液中の含有率として)は、下限として通常20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、上限として通常80%以下、好ましくは70%以下である。特に、イソプロパノールとブタノールを組み合わせて用いる場合は、これらの混合液に含まれるブタノールの割合(含有率として)は、下限として通常40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、上限として通常80%以下、好ましくは70%以下である。
尚、ここで、核酸を沈澱させ易くするため、遊離した核酸を含有する溶液とアルコール類とを混合した後−80℃〜4℃の低温で冷却しても良い。
6−5.具体的操作方法
本発明の核酸抽出法(即ち、上記した如き本発明の工程(1)〜(3)を実施するには、例えば以下の如く行えばよい。
(1)血液成分をテストチューブに入れ、適当量の界面活性剤及びアルカリ金属塩含有水溶液(要すれば緩衝剤、キレート剤及び還元剤から選ばれる1種以上を更に含有)、適当量のタンパク質分解酵素含有水溶液を夫々加えて混合し、当該溶液(反応液)を、前述の如き温度で反応させる。
尚、上記においては、タンパク質分解酵素含有水溶液と界面活性剤及びアルカリ金属塩含有水溶液(要すれば緩衝剤、キレート剤及び還元剤から選ばれる1種以上を更に含有)の2つの溶液として、血清成分にそれぞれ添加しているが、当該試料に添加する前に、これら溶液を予め混合して1つの溶液とし、これを当該試料に添加しても良い。
(2)次いで、得られた反応液に、適当量のカオトロピック剤及び共沈剤含有水溶液(要すれば緩衝剤又は/及びキレート剤を更に含有)を加えて混合し、当該反応液とカオトロピック剤及び共沈剤を接触させる。
(3)その後、得られた混合液に、適当量のアルコール類を添加して混合する。混合後、必要に応じてこれを静置してもよい。
尚、ここで、核酸を沈澱させ易くするため、遊離した核酸を含有する溶液とアルコール類とを混合した後−80℃〜4℃の低温で冷却しても良い。
混合後(要すれば静置後)、遠心分離処理し、核酸を沈澱させた後、上清を除き、核酸を沈澱として回収する。
通常、回収された沈澱に、更にアルコール類を含む水溶液を適当量添加して当該沈澱を1回以上洗浄する。換言すれば、アルコール類を含む水溶液1種以上を用いて、当該核酸沈澱を1回以上洗浄する。用いられるアルコール類は本発明の工程(3)と同じものが挙げられ、これらのうち1種を用いてもまた、2種以上組み合わせて用いても良い。特に1回目の洗浄に用いられるアルコール水溶液(本発明の工程(3)に続いて行われる洗浄操作に用いられるアルコール類)としては、本発明の工程(3)で用いられたアルコール類と同じ種類のアルコール類を含有する水溶液を用いるのが好ましい。また、2回目以降の洗浄は、65%〜85%のエタノールを用いるのが好ましい。
これら1回目の洗浄に用いるアルコール水溶液としては、通常40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上のアルコール水溶液が用いられる。尚、2種以上のアルコール類を組み合わせて用いる場合は、用いるアルコール類の総量が上記範囲となるように用いればよい。具体的には、例えばエタノールとブタノールの混合液では、エタノールは60%〜80%が好ましく、ブタノールは5〜10%が好ましい。イソプロパノールとブタノールの混合液では、イソプロパノールは40〜60%が好ましく、ブタノールは5〜10%が好ましい
上記のアルコール溶液を用いた洗浄処理の後、遠心分離処理によって上清を除き、核酸を沈澱として再度回収する。
更に、再度回収された核酸沈澱を、加温や減圧等の常法により乾燥処理してもよい。
尚、上記方法で得られた核酸を、各種核酸鎖分析(例えばPCR法による遺伝子分析等)等の試料として使用する場合には、これを更にこの分野で通常使用されている方法、例えばTE緩衝液(10mM Tris−塩酸緩衝液、1mM EDTA含有、pH8.0)等の通常この分野で用いられている緩衝液等に再溶解したものを使用するのが望ましい。尚、目的の核酸がDNAである場合には、再溶解された核酸溶液にRNase等を添加・反応させて共存するRNAを消化する方法等で核酸を更に精製しても、また、目的の核酸がRNAである場合には、再溶解された核酸溶液にDNase等を添加・反応させて共存するDNAを消化する方法等で核酸を更に精製してもよい。
7.本発明のキット
本発明のキットは、上記した如き本発明の核酸抽出方法、特に血清、血漿等の血液成分からの血中遊離DNAの抽出を効果的に実施するために使用されるもので、(1)タンパク質分解酵素を含む試薬、(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬、及び(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬、とを組み合わせてなるものであり、夫々の構成要素の好ましい態様、具体例等については先に述べた通りである。
尚、上記した如き本発明のキットにおいて、各成分を含む試薬は、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲から選ばれる量となるように各成分を含有する水溶液等の溶液状態のものでも、また、当該濃度範囲から選ばれる量となるように各成分を含有する凍結乾燥状態又は乾燥状態のものでも良く、試薬形態については特に限定されない。尚、試薬形態が凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液と組み合わせても良い。
7−1.試薬(1)
本発明の(1)タンパク質分解酵素を含む試薬は、タンパク質分解酵素を主成分として含むものである。
タンパク質分解酵素の具体例、好ましい態様等は前述した通りであるが、タンパク質分解酵素としてはプロテイナーゼKが好ましい。また、使用濃度についても、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲となるように適宜選択して試薬中に含有させればよい。
また、本発明の試薬(1)においては、タンパク質分解酵素以外に、更に、通常この分野で使用される試薬類を共存させてもよく、特に安定化剤を共存させておくのが好ましい。このような安定化剤としては、例えばグリセロール等の糖類、例えばマグネシウム,カルシウム等のアルカリ土類金属イオンを陽イオンとして含むアルカリ土類金属塩(例えば塩化カルシウム等)が挙げられる。また、安定化剤の使用濃度は、通常この分野で用いられる範囲であれば特に限定されないが、例えばグリセロールの場合には、本発明の試薬(1)中に10%〜80%含有させ、また、例えば塩化カルシウムの場合には、本発明の試薬(1)中に0.1mM〜10mM含有させる。
尚、試薬(1)の試薬形態は、水溶液等の溶液状態でも、凍結乾燥状態又は乾燥状態でも良いが、調製する手間が必要ない溶液状態が好ましい。尚、凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液を別途組み合わせても良い。
本発明の試薬(1)は、前述した本発明の方法における工程(1)に用いられるものである。即ち、本発明の工程(1)におけるタンパク質分解酵素は、好ましくは本発明の試薬(1)から供給される。尚、本発明の試薬(1)を工程(1)に用いる際には、試薬(1)を直接血液成分と混合させても、また、血液成分と試薬(2)とを混合させた後、これらの混合液と試薬(1)とを混合させてもどちらでもよいが、血液成分と試薬(2)とを混合させた後、これらの混合液と試薬(1)とを混合させるのがより好ましい。
7−2.試薬(2)
本発明の(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬は、界面活性剤とアルカリ金属塩とを主成分として含むものである。
界面活性剤及びアルカリ金属塩の具体例、好ましい態様等は前述した通りであるが、界面活性剤としてはN−ラウロイルサルコシン酸又はその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)が好ましく、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属塩としては塩化カリウムが好ましい。また、これらの使用濃度についても、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲となるように適宜選択して試薬中に含有させればよい。
本発明の試薬(2)は、血液成分、試薬(1)及び試薬(2)を混合させた際のpH、即ち、本発明の工程(1)における血液成分とタンパク質分解酵素とを界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させる際のpHが、前述した如きpH範囲となるように適宜調整されたものであり、具体的には、下限は通常pH7以上、好ましくはpH8以上であり、下限は通常pH10以下、好ましくはpH9以下のpHを有する。
本発明の試薬(2)においては、pHを上記した如き範囲とするために、緩衝剤を用いることができる。
このような緩衝剤の具体例、好ましい態様等は前述の本発明の工程(1)で述べた通りであるが、HEPPS、Tricine、Bicine、CHES、CAPS、グリシルグリシン等の60℃に於けるpKaが7.20以上である緩衝剤が特に好ましく、HEPPS、Tricine、Bicine、CHES等の60℃に於けるpKaが7.30以上、9.50以下である緩衝剤が更に好ましく、なかでもTricineが最も好ましい。
また、本発明の試薬(2)においては、界面活性剤及びアルカリ金属塩以外に、更に、通常この分野で使用される試薬類、例えばキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤、還元剤等を共存させても良い。特にキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤を共存させておくのが好ましい。
キレート剤及び還元剤の具体例、好ましい態様等は前述の本発明の工程(1)で述べた通りであるが、キレート剤としてはEDTA又はその塩(ナトリウム塩等)が好ましく、還元剤としてはDTT、βMEが好ましい。また、これらの使用濃度についても、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲となるように適宜選択して試薬中に含有させればよい。
尚、試薬(2)の試薬形態は、水溶液等の溶液状態でも、凍結乾燥状態又は乾燥状態でも良いが、調製する手間が必要ない溶液状態が好ましい。尚、凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液を別途組み合わせても良い。
上述した理由により、本発明の試薬(2)(及び試薬(1))は、共沈剤を含有しないものが好ましい。これらの試薬中に共沈剤を含有させておくと、最終的に得られる(抽出される)核酸の回収率が低下するおそれがある。
本発明の試薬(2)は、前述した本発明の方法における工程(1)に用いられるものである。即ち、本発明の工程(1)における界面活性剤及びアルカリ金属塩は、本発明の試薬(2)から供給される。尚、本発明の試薬(2)を工程(1)に用いる際には、試薬(2)を直接血液成分と混合させても、また、血液成分と試薬(1)とを混合させた後、これらの混合液と試薬(2)とを混合させてもどちらでもよいが、血液成分と試薬(1)との混合液と試薬(2)とを混合させるのが好ましい。
7−3.試薬(3)
本発明の(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬は、カオトロピック剤と共沈剤とを主成分として含むものである。
本発明の試薬(3)は、カオトロピック剤と共沈剤とを共存させているので、試薬の保存安定性が向上し、結果として最終的に得られる(抽出される)核酸の回収率が向上する。
カオトロピック剤及び共沈剤の具体例、好ましい態様等は前述した通りであるが、カオトロピック剤としてはよう化ナトリウムが好ましく、共沈剤としてはグリコーゲンが好ましい。また、これらの使用濃度についても、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲となるように適宜選択して試薬中に含有させればよい。
本発明の試薬(3)は、血液成分、試薬(1)及び試薬(2)を混合反応させた反応液と、試薬(3)とを混合させた際のpH、即ち、本発明の工程(2)における工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液と、カオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際のpHが、前述した如きpH範囲となるように適宜調整されたものが好ましい。具体的には、試薬(3)は、下限は通常pH6以上、好ましくはpH7以上であり、上限は通常pH9以下、好ましくはpH8以下のpHを有するものが好ましい。
本発明の試薬(3)においては、pHを上記した如き範囲とするために、緩衝剤を用いることができる。
このような緩衝剤の具体例、好ましい態様等は前述の本発明の工程(2)で述べた通りであるが、tris、Tricine、MOPSが好ましく、trisが特に好ましい。
また、本発明の試薬(3)においては、カオトロピック剤及び共沈剤以外に、更に、通常この分野で使用される試薬類、例えばキレート剤等の核酸分解酵素(例えばDNase、RNase等)の阻害剤を共存させておくのが好ましい。尚、試薬(2)がキレート剤を含有する場合であって、工程(1)で得られた遊離核酸含有反応液(核酸)とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させる際に十分な核酸分解酵素阻害作用を得られる量のキレート剤が試薬(2)に含有している場合には、特に試薬(3)にキレート剤を含有させなくてもよい。
キレート剤の具体例、好ましい態様等は前述の本発明の工程(2)で述べた通りであるが、キレート剤としてはEDTA又はその塩(ナトリウム塩等)が好ましい。また、使用濃度についても、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲となるように適宜選択して試薬中に含有させればよい。
尚、試薬(3)の試薬形態は、水溶液等の溶液状態でも、凍結乾燥状態又は乾燥状態でも良いが、調製する手間が必要ない溶液状態が好ましい。尚、凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液を別途組み合わせても良い。
上述した理由により、本発明の試薬(3)は、アルカリ金属塩を含有しないものが好ましい。アルカリ金属塩は試薬(2)に既に含有されているので、試薬(3)に含有させておく必要はなく、核酸の回収率や経済性等を考慮すれば、試薬(3)にアルカリ金属塩を含有させない方が好ましい。
本発明の試薬(3)は、前述した本発明の方法における工程(2)に用いられるものである。即ち、本発明の工程(2)におけるカオトロピック剤及び共沈剤は、本発明の試薬(3)から供給される。
7−4.本発明のキットの具体例
以下に、本発明のキットの一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬(水溶液)
以下に、本発明のキットの他の一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤(要すればキレート剤)を含む試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤(要すればキレート剤)を含む試薬(水溶液)
以下に、本発明のキットの更に他の一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含むpH7〜10の試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含むpH6〜9の試薬(水溶液)
本発明のキットには、更に、上記した如き本発明の工程(3)、即ち、核酸を沈澱させる処理において用いられる試薬(核酸を沈澱させるための試薬)を組み合わせても良い。このような試薬としては、アルコール類が挙げられる。アルコール類の具体例、好ましい態様等は前述の本発明の工程(3)で述べた通りであるが、例えばエタノール、イソプロパノール及びブタノールから選ばれた1種以上が好ましく、イソプロパノール、又はエタノール又は/及びイソプロパノールとブタノールとを組み合わせた2種以上のアルコール類の混合液がより好ましく、イソプロパノールとブタノールとを組み合わせた混合液が特に好ましい。
尚、使用濃度等については先に述べた通りである。
また更に、本発明のキットには、本発明の工程(3)、即ち、核酸を沈澱させる処理により得られた核酸沈澱を洗浄するために用いられる、アルコール類を含む水溶液1種以上を組み合わせても良い。このようなアルコール類の具体例、好ましい態様等は前述の6−5.具体的操作方法で述べた通りであるが、例えばエタノール、イソプロパノール及びブタノールから選ばれた1種又は2種以上の組み合わせ等が挙げられる。特に、上記した核酸を沈澱させるための試薬として用いたアルコール類と同じ種類のアルコール類を含有する水溶液を少なくとも1種組み合わせておくのが好ましい。尚、2種以上のアルコール含有水溶液を組み合わせる場合は、全て同じアルコール類を含有する水溶液であっても良いが、異なるアルコール類を含有する水溶液を組み合わせるのが好ましい。具体的には、エタノール又は/及びイソプロパノールとブタノールとを含む水溶液と、エタノールを含む水溶液の2種の水溶液を組み合わせるのが好ましく、イソプロパノールとブタノールとを含む水溶液及びエタノールを含む水溶液の2種の水溶液を組み合わせるのがより好ましい。
尚、使用濃度等については先に述べた通りである。
以下に、本発明のキットの好ましい一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬(水溶液)
(4)アルコール類を含む試薬1種以上
尚、(4)の試薬には、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬や核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液が含まれる。即ち、上記キットは、これら試薬及び水溶液から選ばれる1種以上の試薬又は/及び水溶液を組み合わせてなるものである。なかでも、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬を少なくとも1種を組み合わせてなるキットが好ましく、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液1種以上を組み合わせてなるキットがより好ましい。特に、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液2種を組み合わせてなるキットが特に好ましい。
以下に、本発明のキットの他の好ましい一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤、アルカリ金属塩及び緩衝剤(要すればキレート剤)を含む試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤、共沈剤及び緩衝剤(要すればキレート剤)を含む試薬(水溶液)
(4)アルコール類を含む試薬1種以上
尚、(4)の試薬には、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬や核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液が含まれる。即ち、上記キットは、これら試薬及び水溶液から選ばれる1種以上の試薬又は/及び水溶液を組み合わせてなるものである。なかでも、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬を少なくとも1種を組み合わせてなるキットが好ましく、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液1種以上を組み合わせてなるキットがより好ましい。特に、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液2種を組み合わせてなるキットが特に好ましい。
以下に、本発明のキットの更に他の好ましい一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含むpH7〜10の試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含むpH6〜9の試薬(水溶液)
(4)アルコール類を含む試薬1種以上
尚、(4)の試薬には、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬や核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液が含まれる。即ち、上記キットは、これら試薬及び水溶液から選ばれる1種以上の試薬又は/及び水溶液を組み合わせてなるものである。なかでも、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬を少なくとも1種を組み合わせてなるキットが好ましく、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液1種以上を組み合わせてなるキットがより好ましい。特に、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液2種を組み合わせてなるキットが特に好ましい。
以下に、本発明のキットの更に好ましい一例を具体的に示す。
(1)タンパク質分解酵素を含む試薬(水溶液)
(2)界面活性剤、アルカリ金属塩、緩衝剤及びキレート剤を含むpH7〜10の試薬(水溶液)
(3)カオトロピック剤、共沈剤、緩衝剤及びキレート剤を含むpH6〜9の試薬(水溶液)
(4)アルコール類を含む試薬1種以上
尚、(4)の試薬には、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬や核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液が含まれる。即ち、上記キットは、これら試薬及び水溶液から選ばれる1種以上の試薬又は/及び水溶液を組み合わせてなるものである。なかでも、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬を少なくとも1種を組み合わせてなるキットが好ましく、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液1種以上を組み合わせてなるキットがより好ましい。特に、核酸を沈澱させるためのアルコール類からなる試薬1種及び核酸沈澱を洗浄するために用いられるアルコール類を含む水溶液2種を組み合わせてなるキットが特に好ましい。
本発明のキットは、例えば下記の如き構成からなるものが特に好ましい。
(1)プロテイナーゼKを含む試薬(水溶液)
(2)N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、塩化カリウム、緩衝剤及びキレート剤を含むpH7〜10の試薬(水溶液)
(3)よう化ナトリウム、グリコーゲン、緩衝剤及びキレート剤を含むpH6〜9の試薬(水溶液)
(4)イソプロパノール及びブタノールを含む核酸沈澱用試薬
(5)イソプロパノール及びブタノールを含む核酸沈澱洗浄用試薬
(6)エタノールを含む核酸沈澱洗浄用試薬
本発明の方法及びキットを用いて得られた核酸は、遺伝子工学、臨床診断、法医学等の分野に於ける、遺伝情報の解析,遺伝子疾患・ウイルス性疾患等の診断・原因究明,或いは個人識別・親子鑑定・犯罪鑑識等の各種分析(例えばサザンブロッティング法やPCR法を利用する方法等)に用いられる試料として用いることができる。
なかでも、血中遊離DNAを用いた、癌等の各種疾患の早期診断或いは病状のモニタリング等の遺伝子診断DNAタイピング法やDNAフィンガープリント法(例えばPCR-RFLP法、PCR-SSOP法、PCR-LIPA法、PCR-SSCP法、PCR-SSP法、PCR-CFLP法、PCR-RAPD法、PCR-RDA法、RNaseプロテクション法、DGGE法、TGGE法)において有用に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
〔カオトロピック剤(よう化ナトリウム)のタンパク可溶化効果の検討〕
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM(加温反応時の濃度33.2mM) Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM:加温反応時の濃度6.6mM
KCl 75mM:加温反応時の濃度49.8mM
DTT 45mM:加温反応時の濃度29.9mM
SLS 0.2%:加温反応時の濃度0.13%
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M
EDTA 20mM
グリコーゲン 70μg/mL
(アルコール混合液)
イソプロパノール 37.5%(v/v)
2−ブタノール 62.5%(v/v)
(操作方法)
ヒト血清100μLをマイクロ遠沈管に入れ、溶解液200μLを添加混合した。さらに、プロテイナーゼK溶液〔20μg/μL プロテイナーゼ K(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製)含有蒸留水〕1.0μLを添加混合し、37℃で10分間、加温した。その後、よう化ナトリウム溶液を表1に記載の所定量添加混合した。次いで、アルコール混合液を表1に記載の所定量添加混合して、10分間、室温で放置後、20,000G、10分間、遠心処理した。
尚、使用した、よう化ナトリウム溶液とアルコール混合液の添加量、及び添加後の濃度を表1に示す。
(結果)
遠心操作後に得られた沈澱物のうち、核酸及び共沈剤グリコーゲン以外の沈殿物の有無については、沈殿物を適当量の蒸留水やトリス緩衝液に溶解させることにより、水溶性を示すか否かで判定した。不溶性の沈澱がある場合、その大きさと共に、その結果を表2に示す。尚、判断基準は以下の通り。
[判定基準]
+++++:遠沈管の底に著しく大きな沈殿物(直径約5mm以上)が認められた。
++++ :遠沈管の底に非常に大きな沈殿物(直径約3mm〜5mm)が認められた。
+++ :遠沈管の底に大きな沈殿物(直径約2mm〜3mm)が認められた。
++ :遠沈管の底に沈殿物(直径約1mm〜2mm)が認められた。
+ :遠沈管の底に小さな沈殿物(直径約0.5mm〜1mm)が認められた。
± :遠沈管の底に沈殿物(直径約0.5mm以下)が殆ど認められなかった。
表2から明らかなように、よう化ナトリウム濃度が2.53M以下となるサンプルNo.1〜3の場合には、アルコール混合液を添加して遠心処理した後、遠沈管の底に沈澱してくるタンパク質など核酸(及び共沈剤グリコーゲン)以外の不純物の不溶性沈澱物が非常に多く、大きな塊となっていた。
一方、よう化ナトリウム濃度が3.04M以上となるサンプルNo.4〜6の場合には、不純物の不溶性沈殿物が少なく、高質(純度)の核酸が得られた。
さらに、この不純物の不溶性沈澱物は、よう化ナトリウム濃度が高いほど少なくなり、3.46M以上(サンプルNo.5及び6)では、4と比べても非常に小さなものとなっていた。このことは、カオトロピック剤であるよう化ナトリウムを、3M以上、特に、約3.5M以上の濃度で使用すれば、充分なタンパク質可溶化効果を得ることができることを示している。
〔塩(KCl)の添加時期についての検討〕
(試料)
ヒト血清:7検体及びヒト血漿:4検体を試料とした。
・ケース1
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM
KCl 75mM
SLS 1.0%
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M
EDTA 20mM
グリコーゲン 70μg/mL
・ケース2
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM
SLS 0.2%
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M
EDTA 50mM
KCl 75mM
グリコーゲン 70μg/mL
尚、下記に示すように、上記ケース1及びケース2において、よう化ナトリウム溶液添加後の各構成試薬の濃度は何れも同じ濃度である。
Tricine 16.5mM
EDTA 13.2mM
KCl 24.8mM
SLS 0.33%
グリコーゲン 34.8μg/mL
NaI 3.78M
Tris-HCl 19.9mM
(操作方法)
ケース1及びケース2について、それぞれ以下の通り測定を行った。
試料100μLをマイクロ遠沈管に入れ、溶解液200μLを添加混合した。さらに、プロテイナーゼK溶液〔20μg/μL プロテイナーゼ K(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製)含有蒸留水〕2.0μLを添加混合し、37℃で10分間、加温した。その後、2μg/μLサーモン***由来DNA(和光純薬工業(株)製)2μLを添加し、更によう化ナトリウム溶液を300μL添加混合した。次いで、100%イソプロパノールを600μL添加混合して、10分間、室温で放置後、20,000G、10分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの50% イソプロパノール水溶液を添加して、撹拌し、再度、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を取得した。さらに、得られた沈澱に対して、1mLの70% エタノール水溶液を添加して、撹拌し、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱を乾燥させ、100μLのTE緩衝液(1mM EDTA含有10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.0)に溶解して、測定試料とした。
得られた測定試料について、吸光度260nmによる測定を行い、DNA含量(サーモン***由来DNAの回収率)を測定した。
(結果)
ケース1及びケース2について、DNA含量(サーモン***由来DNAの回収率)を測定した結果、表3に示す。尚。表3中、各試料の値は、ケース1の測定値(吸光度)を100とした場合のケース2の測定値(吸光度)の相対値を示す。
表3から、塩(KCl)を溶解液に含有させ且つ共沈剤(グリコーゲン)をよう化ナトリウム溶液に含有させたケース1に比べ、塩(KCl)と共沈剤(グリコーゲン)を共によう化ナトリウム溶液に含有させたケース2では、ほぼ全ての試料についてDNAの回収率が低くなっており、特に、2つの試料(血清検体3及び血漿検体1)では、DNAの回収率が著しく低下しているのが判る。この2つの試料では、得られた沈澱中に不溶性の沈澱物の混入があり、純度の低いDNA試料となっていた。おそらく、ケース2では、ケース1と異なり、溶解液中に塩(KCl)が含まれないため、タンパク分解酵素(ProteinaseK)の働きが悪くなって、その結果、残存タンパク質などがDNA試料中に混入して不溶性沈澱となり、TE緩衝液で沈澱を溶解しても溶液中にDNAが溶け出せなくなり、その結果、DNAの回収率が悪くなったものと推論できた。ケース2のように、CV(%)が約20%と悪く、試料によってDNAの回収率にばらつきが生じる場合には、全ての試料を均等に解析することが困難となり、DNA抽出法としては、致命傷となる。従って、ケース1(本発明)のように、安定的にDNAを回収するためにも、塩(KCl)は、溶解液に添加する必要性があると判断できた。
〔界面活性剤(N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム:SLS)の除タンパク効果の検討〕
(溶解液)
・ケースA
下記試薬を下記濃度となるように50mM(加温反応時の濃度6.6mM) Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM:加温反応時の濃度
KCl 75mM:加温反応時の濃度49.8mM
DTT 5mM:加温反応時の濃度3.3mM
SLS 表4に規定の所定濃度
・ケースB
下記試薬を下記濃度となるように50mM(加温反応時の濃度6.6mM) Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM:加温反応時の濃度
KCl 75mM:加温反応時の濃度49.8mM
DTT 45mM:加温反応時の濃度29.9mM
SLS 表4に規定の所定濃度
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM(よう化ナトリウム溶液添加後の濃度20mM) Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M:よう化ナトリウム溶液添加後の濃度3.8M
EDTA 20mM:よう化ナトリウム溶液添加後の濃度10mM
グリコーゲン 70μg/mL :アルコール混合液添加後の濃度17μg/mL
(アルコール混合液:ケースA及びB共通):アルコール類の最終濃度50%
イソプロパノール 37.5%(v/v)
2−ブタノール 62.5%(v/v)
(操作方法)
ケースA及びケースBについて、それぞれ以下の通り測定を行った。
ヒト血清100μLをマイクロ遠沈管に入れ、溶解液200μLを添加混合した。さらに、プロテイナーゼK溶液〔20μg/μL プロテイナーゼ K(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製)含有蒸留水〕1.0μLを添加混合し、56℃で10分間、加温した。その後、よう化ナトリウム溶液を300μL添加混合した。次いで、アルコール混合液を600μL添加混合して、10分間、室温で放置後、20,000G、10分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの50% イソプロパノール水溶液を添加して、撹拌し、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を取得した。さらに、得られた沈澱に対して、1mLの70% エタノール水溶液を添加して、撹拌し、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を取得した。得られた沈澱を乾燥させた後、400μLの4% SDSに溶懸濁し、分析試料とした。
得られた分析試料20μLに対して、プロテインブロットアッセイキット(和光純薬工業製)によるタンパク質定量を行い、沈澱(核酸)に残存しているタンパク質量を測定し、それぞれを比較することによってSLSの除タンパク効果を調べた。
(結果)
ケースA及びケースBについて、沈澱(核酸)に残存しているタンパク質量を測定した結果を図1に示す。
尚、図1において、上段はケースAの場合を、下段はケースBの場合をそれぞれ示し、1〜6はそれぞれサンプルNo.を示す。
また、比較は、キットに添付されているPVDF膜にスポットした試料の発色度を、相対比較して判断した。
図1から明らかなように、ケースB(溶解液に45mM DTT含有)で、PVDF膜にスポットした各試料の発色度を比較すると、SLS濃度が0.1%であるサンプルNo.1は発色が極端に強く、沈澱中に残存タンパク質が非常に多く混入していることがわかる。結果的に、溶解液中のSLS濃度を高くするほど発色度が低くなっていることが明らかで、特に、サンプルNo.5〜6の場合、即ち、溶解液中のSLS濃度が3%〜5%の場合(プロテイナーゼ Kによるタンパク質分解反応時のSLSの濃度が1.99%〜3.32%の場合)、殆ど発色が見られなくなり、沈澱中の残存タンパク質が殆ど消失していることが判る。
また、ケースA(溶解液に5mM DTT含有)では、サンプルNo.1〜5(プロテイナーゼ Kによるタンパク質分解反応時のSLSの濃度が1.99%以下の時)で、若干発色が認められ、サンプルNo.6(プロテイナーゼ Kによるタンパク質分解反応時のSLSの濃度が3.32%の場合)になると、殆ど発色が見られず、沈澱中の残存タンパク質が殆ど消失していることが判る。
以上のことから、高い濃度のSLS(特に、プロテイナーゼ Kによるタンパク質分解反応時のSLSの濃度が2%以上)が、界面活性剤の作用として、或いは、タンパク分解酵素と共に働いた結果として、除タンパク効果をより強く示した結果と結論づけることができた。
〔ブタノールの除脂質効果の検討〕
(試料)
ヒト血清90μLに、イントラファット注射液(10%w/vダイズ油:日本製薬製)10μLを加えたものを試料とした。
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM(加温反応時の濃度33.2mM) Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM:加温反応時の濃度6.6mM
KCl 75mM:加温反応時の濃度49.8mM
SLS 4%:加温反応時の濃度2.66%
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM(よう化ナトリウム溶液添加後の濃度20mM) Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M:よう化ナトリウム溶液添加後の濃度3.8M
EDTA 20mM:よう化ナトリウム溶液添加後の濃度10mM
グリコーゲン 70μg/mL :アルコール混合液添加後の濃度17μg/mL
(アルコール混合液):アルコール類の最終濃度50%
表5に規定の所定濃度(%(v/v))
(洗浄液A)
イソプロパノール 40%(v/v)
1-ブタノール 10%(v/v)
(操作方法)
試料100μLをマイクロ遠沈管に入れ、溶解液200μLを添加混合した。さらに、プロテイナーゼK溶液〔20μg/μL プロテイナーゼ K(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製)含有蒸留水〕1.0μLを添加混合し、56℃で10分間、加温した。その後、よう化ナトリウム溶液を300μL添加混合した。次いで、アルコール混合液を600μL添加混合して、10分間、室温で放置後、まず、混合液の濁り(白濁)具合を観察した。
その後、混合液を、20,000G、10分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの洗浄液Aを添加して、撹拌し、再度、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの70% エタノール水溶液を添加して、撹拌し、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てた後、マイクロ遠沈管の内壁のベタつきの有無を観察した。
尚、アルコール混合液添加後の濁りの判断基準は以下の通り。
[判定基準]
++++〜+:濁りがあることを示す。+の数が多いほど、相対的に濁りが強いことを示す。
− :濁りがないことを示す。
(結果)
アルコール混合液添加後の濁り(白濁)の観察結果、及び遠心後の遠沈管内壁のベタつきの観察結果をそれぞれ表6に示す。
表5から明らかなように、イソプロパノール濃度が高くなるに従って(1-ブタノール濃度が低くなるに従って)、アルコール混合液添加後の濁りが強くなり、即ち、アルコールに溶けない脂質が白濁して顕在化し、さらに、それが遠心後も残存して遠沈管内壁のベタつきとして残っていることがわかった。アルコール混合液中の1-ブタノール濃度が58.3%以上になると血液検体に由来する脂質がアルコール混合液中に溶け出して溶液の濁りが無くなり、且つ、遠心後に脂質の残存も観察されない純度の高い沈澱(核酸)が取得できた。 尚、ここには示さないが、2-ブタノールを使用しても同様の結果が得られたため、このことは、ブタノールの除脂質効果を示す結果と判断された。
〔共沈剤(グリコーゲン)の添加時期についての検討〕
(試料)
ヒト血清99μLにα-アミラーゼ(7units/μL:ニッポンジーン社製)1μL及び100mM塩化カルシウム3μLを加えたものを試料とした。
・ケース1
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM
KCl 75mM
SLS 4.0%
グリコーゲン 105μg/mL
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M
EDTA 20mM
・ケース2
(溶解液)
下記試薬を下記濃度となるように50mM Tricine緩衝液(pH8.5)に溶解したものを溶解液とした。
EDTA 10mM
KCl 75mM
SLS 4.0%
(よう化ナトリウム溶液)
下記試薬を下記濃度となるように40mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解したものをよう化ナトリウム溶液とした。
NaI 7.62M
EDTA 20mM
KCl 75mM
グリコーゲン 70μg/mL
尚、下記に示すように、上記ケース1及びケース2において、よう化ナトリウム溶液添加後の各構成試薬の濃度は何れも同じ濃度である。
Tricine 16.5mM
EDTA 13.2mM
KCl 24.8mM
SLS 1.32%
グリコーゲン 34.7μg/mL
NaI 3.78M
Tris-HCl 19.8mM
(アルコール混合液:ケース1及び2共通):アルコール類の最終濃度50%
イソプロパノール 40%(v/v)
1−ブタノール 60%(v/v)
(洗浄液A:ケース1及び2共通)
イソプロパノール 40%(v/v)
1-ブタノール 10%(v/v)
(操作方法)
ケース1及びケース2について、それぞれ以下の通り測定を行った。
試料100μLをマイクロ遠沈管に入れ、溶解液200μLを添加混合した。さらに、プロテイナーゼK溶液〔20μg/μL プロテイナーゼ K(Tritirachium album由来、和光純薬工業(株)製)含有蒸留水〕5.0μL添加混合し、56℃で10分間、加温した。その後、よう化ナトリウム溶液を300μL添加混合し。次いで、下記組成からなるアルコール混合液を600μL添加混合して、10分間、室温で放置後、20,000G、10分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの洗浄液Aを添加して、撹拌し、再度、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。得られた沈澱に対して、1mLの70% エタノール水溶液を添加して、撹拌し、20,000G、5分間、遠心処理し、上清を捨てて沈澱を得た。
得られた沈澱を乾燥させた後、20μLのTE緩衝液(1mM EDTA含有10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.0)に溶解して、DNA試料とした。
得られたDNA試料2μLを下記条件で示したPCRに供し、試料から得られた核酸(血中遊離DNA)に対して、癌抑制遺伝子として知られるp53-Exon5 (308bp)領域の増幅を行った。尚、増幅用のキット及びプライマーセットを含む試薬類は下記に示すニッポンジーン社製を用い、キットに添付のプロトコールに従ってPCRを行った。
PCR終了後、3%アガロースゲル電気泳動を行い、各DNA試料の増幅断片量を比較した。
[試薬類]
Exon5 F-primer(ニッポンジーン社製):4pmol
Exon5 R-primer(ニッポンジーン社製):4pmol
dNTP(ニッポンジーン社製) :200μM
1×Universal Buffer(ニッポンジーン社製)
GenTaq-NT(ニッポンジーン社製) :0.5units
[PCR条件]
反応液 :10μL
DNA試料: 2μL
装置:サーマルサイクラー(型番:岩城ガラスTSR-300:岩城硝子製)
温度・時間:96℃で30秒反応後、94℃30秒、65℃30秒、72℃1分の反応を38サイクル行い、その後更に72℃で5分反応させた。
(結果)
ケース1及びケース2について、3%アガロースゲル電気泳動を行った結果を図2に示す。
尚、図2において、レーンMは分子量マーカーDNA Step Ladder Mix(80bp〜10kb)(和光純薬工業(株)製)を、レーン1はケース1において検体1を試料とした場合を、レーン2はケース2において検体2を試料とした場合をそれぞれ示す。また、レーン3は、ケース1において検体2を試料とした場合を、レーン4はケース2において検体2を試料とした場合をそれぞれ示す。また、矢印は、308bpのp53-Exon5領域を示す。
図2の結果から、塩(KCl)と共沈剤(グリコーゲン)を共に溶解液に含有させたケース1は、塩(KCl)を溶解液に含有させ且つ共沈剤(グリコーゲン)をよう化ナトリウム溶液に含有させたケース2と比べて、検体1及び検体2共に、PCR後の増幅断片量が明らかに少ないことが判る。これは、ケース2よりもケース1の方が、DNA回収率が明らかに悪く、PCRに影響を与えた結果と考えられた。これらの検体は、高アミラーゼ血症という特殊な検体であり、血液中に含まれるアミラーゼが働いて、溶解液中の共沈剤であるグリコーゲンを分解して核酸(血中遊離DNA)の回収率が低下したためではないかと思われる。実際に、ケース1では、グリコーゲンの量が低下して、アルコール沈澱後の沈澱の大きさがケース2に比べ小さくなっているのが観察された。
血中遊離DNAの解析においては、血中アミラーゼ濃度が異常な高濃度になる膵臓癌なども検査の対象となっており、さらに、癌など悪性腫瘍では、血中アミラーゼ活性を亢進させるカルシウムイオンの血中濃度が異常に高値に達する高Ca血症が頻繁に起こりうることも知られている。そのため、このような現象が発生して、共沈剤が分解される危険性を回避するためにも、ケース2のように高分子多糖類である共沈剤は、溶解液中に添加するよりも、よう化ナトリウム溶液に添加している方が望ましいことが判った。
実施例3で得られた、界面活性剤(N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム)含有量の異なる溶解液を用いて得られた沈澱(核酸)について、プロテインブロットアッセイを行った結果である。図1において、上段はケースAの場合を、下段はケースBの場合をそれぞれ示し、1〜6はそれぞれサンプルNo.を示す。 実施例5で得られた、共沈剤(グリコーゲン)の添加時期が異なる2つの方法(ケース1及びケース2)により高アミラーゼ血症検体中の核酸を抽出した後、p53-Exon5 (308bp)領域をPCRにより増幅したものを、3%アガロースゲル電気泳動を行った結果を示す。図2において、レーンMは分子量マーカーDNA Step Ladder Mix(80bp〜10kb)(和光純薬工業(株)製)を、レーン1はケース1において検体1を試料とした場合を、レーン2はケース2において検体2を試料とした場合をそれぞれ示す。また、レーン3は、ケース1において検体2を試料とした場合を、レーン4はケース2において検体2を試料とした場合をそれぞれ示す。また、矢印は、308bpのp53-Exon5領域を示す。

Claims (27)

  1. (1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下で反応させ、(2)次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、(3)核酸を沈澱させる処理を行うことを特徴とする、血液成分からの核酸の抽出方法。
  2. 血液成分が、血清又は血漿である、請求項1に記載の方法。
  3. 核酸が、血中遊離DNAである、請求項1に記載の方法。
  4. (1)血液成分とタンパク質分解酵素とを、界面活性剤及びアルカリ金属塩の存在下、25〜70℃で加温反応させ、(2)次いで、得られた反応液とカオトロピック剤及び共沈剤とを接触させた後、(3)更にこれにアルコール類を混合させて核酸を沈澱させる処理を行う、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. アルコール類が、エタノール、イソプロパノール及びブタノールから選ばれる1種以上であるである請求項4に記載の方法。
  6. タンパク質分解酵素が、タンパク質分解酵素を含む試薬から供給されるものであり、界面活性剤及びアルカリ金属塩が、界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬から供給されるものであり、及びカオトロピック剤及び共沈剤が、カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬から供給されるものである、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. タンパク質分解酵素を含む試薬が、タンパク質分解酵素を主成分として含むものであり、界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬が、界面活性剤、アルカリ金属塩、キレート剤及び緩衝剤を主成分として含むものであり、及びカオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬が、カオトロピック剤、共沈剤、キレート剤及び緩衝剤を主成分として含むものである、請求項6に記載の方法。
  8. (1)タンパク質分解酵素を含む試薬、(2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬、及び(3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬、とを組み合わせてなる血液成分からの核酸抽出用キット。
  9. 血液成分が、血清又は血漿である、請求項8に記載のキット。
  10. 核酸が、血中遊離DNAである、請求項8に記載のキット。
  11. タンパク質分解酵素が、プロテイナーゼK、プロナーゼ、トリプシン及びズブチリシンから選ばれるものである請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  12. 界面活性剤が、陰イオン界面活性剤である請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  13. 界面活性剤が、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムである請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  14. アルカリ金属塩が、塩化カリウムである請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  15. カオトロピック剤が、よう化ナトリウムである請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  16. 共沈剤が、グリコーゲン又はデキストランである請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  17. (2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬が、pH7〜pH10である請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  18. (2)界面活性剤及びアルカリ金属塩を含む試薬に、更にキレート剤又は/及び緩衝剤が含まれる請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  19. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸又はその塩である、請求項18に記載のキット。
  20. 緩衝剤が、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)である、請求項18に記載のキット。
  21. (3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬が、pH6〜pH9である請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  22. (3)カオトロピック剤及び共沈剤を含む試薬に、更にキレート剤又は/及び緩衝剤が含まれる請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  23. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸又はその塩である、請求項22に記載のキット。
  24. 緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである、請求項22に記載のキット。
  25. 更に、アルコール類を含む試薬1種以上を組み合わせてなる請求項8〜10の何れかに記載のキット。
  26. アルコール類が、エタノール、イソプロパノール及びブタノールから選ばれる1種以上である請求項25に記載のキット。
  27. キットが、(1)タンパク質分解酵素を主成分として含む試薬、(2)界面活性剤、アルカリ金属塩、キレート剤及び緩衝剤を主成分として含むpH7〜10の試薬、及び(3)カオトロピック剤、共沈剤、キレート剤及び緩衝剤を主成分として含むpH6〜pH9の試薬、要すれば、(4)アルコール類を主成分として含む試薬1種以上、とを組み合わせてなる血清又は血漿からの血中遊離DNA抽出用キットである、請求項8に記載のキット。

JP2004279718A 2004-09-27 2004-09-27 核酸抽出方法および核酸抽出キット Pending JP2006087394A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004279718A JP2006087394A (ja) 2004-09-27 2004-09-27 核酸抽出方法および核酸抽出キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004279718A JP2006087394A (ja) 2004-09-27 2004-09-27 核酸抽出方法および核酸抽出キット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006087394A true JP2006087394A (ja) 2006-04-06

Family

ID=36228935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004279718A Pending JP2006087394A (ja) 2004-09-27 2004-09-27 核酸抽出方法および核酸抽出キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006087394A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007097503A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Kurabo Ind Ltd 核酸の分離精製方法および当該方法を利用した核酸分離キット
JP2008092835A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Ebara Jitsugyo Co Ltd 核酸抽出方法
WO2008090930A1 (ja) * 2007-01-23 2008-07-31 Olympus Corporation 癌の診断方法
JP2012235743A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd Rna検出用試薬およびrna検出方法
JP2012235716A (ja) * 2011-05-10 2012-12-06 Eiji Konishi Rna検出用試薬およびrna検出方法
WO2013002354A1 (ja) 2011-06-29 2013-01-03 株式会社ダナフォーム 生体試料の前処理方法、rnaの検出方法及び前処理キット
JP2015067695A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東洋製罐グループホールディングス株式会社 生分解性樹脂の分解方法
JP2016529489A (ja) * 2013-07-12 2016-09-23 ジェネンテック, インコーポレイテッド イオン交換クロマトグラフィーのインプットの最適化の解明
US9926425B2 (en) 2013-09-27 2018-03-27 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Method for degrading biodegradable resin
CN109957561A (zh) * 2017-12-25 2019-07-02 无锡药明康德生物技术股份有限公司 一种提取残留dna的方法
EP3568475A4 (en) * 2017-01-16 2020-09-23 Spectrum Solutions L.L.C. NUCLEIC ACID CONSVERVATION SOLUTION AND METHOD OF MANUFACTURING AND USE
JP2021007403A (ja) * 2015-11-05 2021-01-28 序康医療科技(蘇州)有限公司 胚盤胞培養液で胚の染色体異常を検出する方法
CN112921031A (zh) * 2021-04-20 2021-06-08 深圳职业技术学院 一种土壤微生物总dna高效提取方法
CN113621684A (zh) * 2021-07-08 2021-11-09 中国人民解放军空军特色医学中心 一种游离dna保存试剂及制备方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1991002740A1 (en) * 1989-08-14 1991-03-07 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods and compositions for isolation of nucleic acids from eukaryotic and prokaryotic sources
JPH06165676A (ja) * 1992-06-16 1994-06-14 Wako Pure Chem Ind Ltd マイコバクテリウム属の菌体からの核酸鎖抽出方法
JPH06205676A (ja) * 1992-12-04 1994-07-26 Wako Pure Chem Ind Ltd 全血液検体からのdna抽出方法及び抽出キット
JPH07236499A (ja) * 1994-03-01 1995-09-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 血液成分からのウイルス核酸抽出キットおよび該試薬を用いるウイルス核酸抽出方法
JP2003144150A (ja) * 2001-11-15 2003-05-20 Hitachi Ltd 核酸の精製分離方法および装置
JP2003235555A (ja) * 2002-02-08 2003-08-26 Jsr Corp 一本鎖核酸および/または二本鎖核酸の単離方法
JP2005501523A (ja) * 2000-11-28 2005-01-20 アプレラ コーポレイション 界面活性剤およびプロテアーゼを使用して核酸を単離するための組成物、方法およびキット

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1991002740A1 (en) * 1989-08-14 1991-03-07 Board Of Regents, The University Of Texas System Methods and compositions for isolation of nucleic acids from eukaryotic and prokaryotic sources
JPH06165676A (ja) * 1992-06-16 1994-06-14 Wako Pure Chem Ind Ltd マイコバクテリウム属の菌体からの核酸鎖抽出方法
JPH06205676A (ja) * 1992-12-04 1994-07-26 Wako Pure Chem Ind Ltd 全血液検体からのdna抽出方法及び抽出キット
JPH07236499A (ja) * 1994-03-01 1995-09-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 血液成分からのウイルス核酸抽出キットおよび該試薬を用いるウイルス核酸抽出方法
JP2005501523A (ja) * 2000-11-28 2005-01-20 アプレラ コーポレイション 界面活性剤およびプロテアーゼを使用して核酸を単離するための組成物、方法およびキット
JP2003144150A (ja) * 2001-11-15 2003-05-20 Hitachi Ltd 核酸の精製分離方法および装置
JP2003235555A (ja) * 2002-02-08 2003-08-26 Jsr Corp 一本鎖核酸および/または二本鎖核酸の単離方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007097503A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Kurabo Ind Ltd 核酸の分離精製方法および当該方法を利用した核酸分離キット
JP2008092835A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Ebara Jitsugyo Co Ltd 核酸抽出方法
WO2008090930A1 (ja) * 2007-01-23 2008-07-31 Olympus Corporation 癌の診断方法
JP2012235716A (ja) * 2011-05-10 2012-12-06 Eiji Konishi Rna検出用試薬およびrna検出方法
JP2012235743A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd Rna検出用試薬およびrna検出方法
US9518901B2 (en) 2011-06-29 2016-12-13 Kabushiki Kaisha Dnaform Pretreatment method of biological sample, detection method of RNA, and pretreatment kit
WO2013002354A1 (ja) 2011-06-29 2013-01-03 株式会社ダナフォーム 生体試料の前処理方法、rnaの検出方法及び前処理キット
JP2016529489A (ja) * 2013-07-12 2016-09-23 ジェネンテック, インコーポレイテッド イオン交換クロマトグラフィーのインプットの最適化の解明
US10274466B2 (en) 2013-07-12 2019-04-30 Genentech, Inc. Elucidation of ion exchange chromatography input optimization
US10921297B2 (en) 2013-07-12 2021-02-16 Genentech, Inc. Elucidation of ion exchange chromatography input optimization
JP2015067695A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東洋製罐グループホールディングス株式会社 生分解性樹脂の分解方法
US9926425B2 (en) 2013-09-27 2018-03-27 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Method for degrading biodegradable resin
JP2021007403A (ja) * 2015-11-05 2021-01-28 序康医療科技(蘇州)有限公司 胚盤胞培養液で胚の染色体異常を検出する方法
EP3568475A4 (en) * 2017-01-16 2020-09-23 Spectrum Solutions L.L.C. NUCLEIC ACID CONSVERVATION SOLUTION AND METHOD OF MANUFACTURING AND USE
EP4177342A1 (en) * 2017-01-16 2023-05-10 Spectrum Solutions L.L.C. Nucleic acid preservation solution and methods of use
CN109957561A (zh) * 2017-12-25 2019-07-02 无锡药明康德生物技术股份有限公司 一种提取残留dna的方法
CN112921031A (zh) * 2021-04-20 2021-06-08 深圳职业技术学院 一种土壤微生物总dna高效提取方法
CN113621684A (zh) * 2021-07-08 2021-11-09 中国人民解放军空军特色医学中心 一种游离dna保存试剂及制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110072999B (zh) 核酸保存溶液及其制造和使用方法
US20190100750A1 (en) Rapid Methods for the Extraction of Nucleic Acids from Biological Samples
US7303876B2 (en) Compositions, methods, and kits for isolating nucleic acids using surfactants and proteases
AU2013240200B2 (en) Compositions and methods for the collection and isolation of nucleic acids from biological specimens
US20070015185A1 (en) Lysis and stabilization buffer suitable for inclusion in PCR reactions
WO2010134246A1 (ja) 核酸含有試料の調製方法
JP2006087394A (ja) 核酸抽出方法および核酸抽出キット
WO2007049326A1 (ja) 核酸抽出方法および核酸抽出キット
US20210071232A1 (en) Rna preservation solution and methods of manufacture and use
US10889810B2 (en) Methods and kits
JP5924888B2 (ja) 核酸抽出方法、核酸抽出試薬キットおよび核酸抽出用試薬
US20110300550A1 (en) Method for detecting nucleic acid in biological sample
US20200316493A1 (en) A composition, system and method for removal of detergents from aqueous solutions
KR101777168B1 (ko) 별도의 세포 용해 과정 없이 핵산을 추출하기 위한 검체 수송 배지 조성물 및 이의 용도
JP4228688B2 (ja) Dna遊離方法
US11078476B2 (en) Methods and kits for extracting nucleic acids from paraffin embedded samples
JP6301260B2 (ja) Rna調製法
JP3125633B2 (ja) 遺伝子分析用試料としてのパラフィン包埋組織標本の処理方法及び処理用キット
US20230140574A1 (en) Nucleic acid purification from fixed biological samples
JP2004008094A (ja) 核酸抽出法
JP2007151470A (ja) 試料を用いた核酸増幅方法
KR20200041020A (ko) 자성비드를 이용한 작은 핵산의 분리 방법 및 이 방법에 사용되는 키트
JPWO2012014694A1 (ja) 糞便由来核酸の合成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100907