JP2003231798A - 乳酸系樹脂組成物とそのシート状物、及び袋状製品 - Google Patents

乳酸系樹脂組成物とそのシート状物、及び袋状製品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、かつOPPに類似した物理
的特性と、優れた耐熱性、湿熱耐久性を有する乳酸系樹
脂シート状物と、これを製造するために用いられる乳酸
系樹脂樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 乳酸系樹脂組成物は、主成分として、乳
酸系樹脂67質量%〜96質量%と、常圧における沸点
が220℃以上であるか、あるいは5Torr〜10T
orrにおける沸点が170℃以上である可塑剤4質量
%〜33質量%とを含む。また、乳酸系樹脂シート状物
は、この乳酸系樹脂組成物からなるシート状物を少なく
とも一方向に延伸したものであり、20℃における貯蔵
弾性率が500MPa〜3,000MPaであり、温度
120℃で15分間加熱した後の加熱収縮率がTD及び
MD共に10%以下であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳酸系樹脂組成物
とそのシート状物及び袋状製品に関し、特に、可塑剤を
混合した乳酸系樹脂組成物とそのシート状物及び乳酸系
樹脂シート状物から形成された袋状製品に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック製品等は使用後廃棄等され
ることが多く、焼却や埋立て等の処分が問題となってい
る。すなわち通常のプラスチックは、自然環境中で長期
にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃
棄物埋め立て処理地の短命化を促進したり、自然の景観
や野生動植物の生活環境を損なうという問題点が指摘さ
れていた。そのため、自然環境下で経時的に分解、消失
する材料の研究が行われている。このような材料として
今日注目を集めているのは、生分解性プラスチックであ
る。生分解性プラスチックは土壌中や水中で加水分解や
生分解によって徐々に崩壊、分解し、最終的には微生物
の作用によって無害な分解物となることが知られてい
る。実用化され始めている生分解性プラスチックとして
は、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セル
ロースエステル化合物、デンプン変性体、及びこれらの
ブレンド体等があり、特に乳酸系樹脂はコストパフォー
マンスが良く、植物由来原料から得られること等の点か
ら大きな注目を集めている。
【0003】乳酸系樹脂は、高剛性、透明性という特徴
を活かし、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)等の代替品として、とりわけ、特開
平7−207041号公報に開示されているように延伸
フィルム分野において利用され始めている。一方、汎用
フィルムとして広く使われているプロピレン延伸フィル
ム(OPP)は、食品包装をはじめとする電子、医療、
薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、農業用フィル
ム、工業用保護フィルム、粘着テープ等に広く使われて
おり、2次加工工程や実用において、フィルムの柔軟
性、良好な溶断シール強度、耐熱性、湿熱耐久性等の特
性が要求される。ところが乳酸系樹脂からなるフィルム
は、OPPの代替品としては、硬すぎたり、溶断シール
強度が低すぎる。特表平8−501584号公報、特開
平7−177826号公報に、乳酸系樹脂に可塑剤を添
加することにより柔軟性等を改良する技術が開示されて
いる。しかし、これらの技術では、耐熱性(熱寸法安定
性)が乏しかったり、湿熱耐久性が乏しく実用的でな
い。また、溶断シール袋の作製のためには、溶断シール
機に対する適性が良好ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、乳酸
系樹脂が本来有している生分解性に加え、OPPに類似
した物理的特性と、優れた耐熱性、湿熱耐久性を有する
シート状物及び袋と、これらを製造するために用いられ
る乳酸系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の乳酸系樹脂組成
物は、主成分として、乳酸系樹脂67質量%〜96質量
%と、常圧における沸点が220℃以上であるか、ある
いは5Torr〜10Torrにおける沸点が170℃
以上である可塑剤4質量%〜33質量%とを含むことを
特徴とする。ここで、可塑剤はジグリセリンテトラアセ
テートであることができる。また、さらにカルボジイミ
ド化合物を、乳酸系樹脂と可塑剤との合計量100質量
%に対し0.1質量%〜10質量%の範囲内で混合する
ことができる。本発明の乳酸系樹脂シート状物は、上記
乳酸系樹脂組成物からなるシート状物であって、少なく
とも一方向に延伸されていることを特徴とする。ここ
で、20℃における貯蔵弾性率は500MPa〜3,0
00MPaであり、温度120℃で15分間加熱した後
の加熱収縮率はTD及びMD共に10%以下であること
が好ましい。また、温度40℃、湿度80%RHの雰囲
気下に4週間保管された後の乳酸系樹脂の重量平均分子
量保持率が80%以上であることができる。本発明の袋
状製品は、蒸気乳酸系樹脂シート状物を用いて形成した
ことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、乳酸系樹脂67質量%〜
96質量%と可塑剤4質量%〜33質量%とを主成分と
して含む。ただし、乳酸系樹脂と可塑剤とは合計で10
0質量%となるように混合する。可塑剤の混合量が4質
量%より少ないとシート状物の軟質化が進まず、33質
量%より多いと、シート状物を溶融押し出しする際に粘
度が下がり過ぎたり、耐熱性が得られないという問題が
生じる。したがって、可塑剤の混合量が上記範囲外で
は、OPP類似のシート状物としての特性が付与されな
い。
【0007】本発明に用いられる乳酸系樹脂は、構造単
位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−
乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及び
D−乳酸の両方である共重合体、すなわちポリ(DL−
乳酸)や、これらの混合体であり、さらには、α−ヒド
ロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位と
の共重合体であっても、脂肪族ジオール/脂肪族ジカル
ボン酸との共重合体であってもよい。ただし、乳酸系樹
脂のD乳酸(D体)とL乳酸(L体)との構成比は、L
体:D体=100:0〜90:10、もしくは、L体:
D体=0:100〜10:90であることが好ましい。
D体とL体との構成比がこの範囲外では、シート状物の
耐熱性が得難い。
【0008】本発明においては、L体とD体との共重合
比が異なる乳酸系樹脂をブレンドしてもよい。この場合
には、複数の乳酸系樹脂のL体とD体との共重合比の平
均値が上記範囲内に入るようにすれば良い。L体又はD
体のホモポリマーと、共重合体をブレンドすることによ
り、ブリードのしにくさと耐熱性の発現とのバランスを
とることができる。
【0009】乳酸系樹脂に共重合される他のヒドロキシ
カルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸
に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、
グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪
酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3
−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−
メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪
族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラク
トン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。乳
酸系樹脂に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、脂肪
族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
【0010】乳酸系樹脂の重量平均分子量は、5万〜4
0万の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは
10万〜25万である。乳酸系樹脂の重量平均分子量が
5万未満では実用物性が発現されにくく、40万より大
きい場合には溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣ること
がある。
【0011】乳酸系樹脂の重合法としては、縮合重合
法、開環重合法など公知のいずれの方法も採用すること
ができる。例えば、縮合重合法ではL−乳酸又はD−乳
酸、あるいはこれらの混合物を、直接脱水縮合重合して
任意の組成を有する乳酸系樹脂を得ることができる。ま
た、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチド
を、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、適宜選択
された触媒を使用して乳酸系樹脂を得ることができる。
ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D
−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸と
D−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要
に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶
性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
【0012】さらに、必要に応じて耐熱性等を向上させ
るために、少量の共重合成分を添加することもでき、テ
レフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール等
を用いることもできる。さらにまた、分子量増大を目的
として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化
合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもで
きる。
【0013】乳酸系樹脂に、耐衝撃性や耐寒性を付与す
る目的で、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の脂肪族
ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂等
を、乳酸系樹脂に対して同量以下でブレンドすることも
できる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、乳酸系樹脂
を除く脂肪族ポリエステル樹脂、例えば、脂肪族ジオー
ルと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリ
エステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエ
ステル、合成系脂肪族ポリエステル等が挙げられる。脂
肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる
脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールであるエチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール及び1,4−シク
ロヘキサンジメタノール等と、脂肪族ジカルボン酸であ
るコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及び
ドデカン二酸等の中から、それぞれ1種類以上を選択し
て縮合重合することにより得られる。必要に応じてイソ
シアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマ
ーを得ることができる。また、耐熱性や機械的強度を高
めるために、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸等
の芳香族モノマー成分を50モル%以下の範囲で共重合
することもできる。例えば、イーストマンケミカル社製
のイースターバイオや、BASF社製のエコフレックス
等が例示される。環状ラクトン類を開環重合した脂肪族
ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレ
ロラクトン等から1種類以上選択されて重合された脂肪
族ポリエステル等が挙げられる。合成系脂肪族ポリエス
テルとしては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、
無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イド等との共重合体等が挙げられる。
【0014】本発明において「シート状物」とは、シー
ト又はフィルムをいう。JISにおける定義上、シート
とは薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりに小さく平
らな製品をいい、フィルムとは、長さ及び幅に比べて厚
さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄
い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものを
いう(JIS K 6900)。したがって、シートの
中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえる。
しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確に
区別しにくいので、本発明においては、上記のとおり、
シートとフィルムの両方を含んだ概念として「シート状
物」の用語を使用する。
【0015】本発明に用いられる可塑剤は、相溶性や生
分解性の観点から、下記(1)〜(10)に示される化
合物の中から少なくとも1種類選ばれてなることが好ま
しい。 (1) H53(OH)3-n(OOCCH3)n 0<n≦3 これは、グリセリンのモノアセテート、ジアセテート又
はトリアセテ−トであり、これらの混合物でも構わな
い。ただし、nは3に近い方が好ましい。 (2)グリセリンアルキレート(アルキル基は炭素数2
〜20であり、水酸基の残基があってもよい)又はジグ
リセリンテトラアルキレート。例えば、グリセリントリ
プロピオネート、グリセリントリブチレート、ジグリセ
リンテトラアセテート、アセチル化モノグリセライド変
性物(理研ビタミン(株)製のPL009)等が挙げら
れる。 (3)エチレングリコールアルキレート (アルキル基は
炭素数1〜20であり、水酸基の残基があってもよ
い)。例えば、エチレングリコールジアセテート等が挙
げられる。 (4)エチレン繰り返し単位が5以下のポリエチレング
リコールアルキレート (アルキル基は炭素数1〜20で
あり、水酸基の残基があってもよい)。例えば、ジエチ
レングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール
ジアセテート等が挙げられる。 (5)脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル(アルキ
ル基は炭素数1〜20)。例えば、ステアリン酸ブチル
等が挙げられる。 (6)脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル
基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基があ
ってもよい)。例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アジペ
ート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート等が挙げられ
る。 (7)芳香族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル
基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基があ
ってもよい)。例えば、ジブチルフタレート、ジオクチ
ルフタレート等が挙げられる。 (8)脂肪族トリカルボン酸アルキルエステル(アルキ
ル基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基が
あってもよい)。例えば、クエン酸トリメチルエステル
等が挙げられる。 (9)重量平均分子量2万以下の低分子量脂肪族ポリエ
ステル。例えば、コハク酸とエチレングリコール/プロ
ピレングリコール縮合体(大日本インキ(株)によって
「ポリサイザ−」の商品名で販売されている)等が挙げ
られる。 (10)天然油脂及びそれらの誘導体。例えば、大豆
油、エポキシ化大豆油、ひまし油、桐油、菜種油等が挙
げられる。
【0016】可塑剤は、常圧(1気圧)における沸点が
220℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは
250℃以上である。あるいは、5〜10Torrにお
ける沸点が170℃以上であることが好ましく、さらに
好ましくは180℃以上である。常圧における沸点が2
20℃未満か、あるいは5〜10Torrにおける沸点
が170℃未満では、耐熱性を得るために必要なD体と
L体との比を有する乳酸系樹脂の融点との関係におい
て、乳酸系樹脂を溶融押出加工する際に、押出温度で可
塑剤が揮発しやすくなる。また、可塑剤の溶解性パラメ
ータ(SP値)が9.0〜11.0の範囲内のものが、
乳酸系樹脂に対する相溶性の観点から好ましい。本発明
に用いられる可塑剤としては、ブリードのしにくさ、衛
生性、経済性等の観点からジグリセリンテトラアセテー
ト(5Torrの沸点が193℃、SP値が10.3)
が特に好ましい。
【0017】乳酸系樹脂シート状物をOPPの代替品と
して使用するためには、湿熱耐久性を有することが必要
である。乳酸系樹脂に可塑剤を入れた樹脂組成物は、通
常、大気雰囲気下で空気中の水分のアタックを受けて、
乳酸系樹脂の重量平均分子量の低下が進行する。乳酸系
樹脂の組成や可塑剤の種類にもよるが、シート状物を延
伸することにより結晶化構造が成長して、分子が水のア
タックを受けにくくなり、温度40℃、湿度80%RH
の雰囲気において4週間保管された後の乳酸系樹脂の重
量平均分子量保持率が、実用上問題のない80%以上に
なる。なお、重量平均分子量保持率とは、所定温度、所
定湿度下保管した後の重量平均分子量を保管前の重量平
均分子量で割った値を百分率で示したものである。
【0018】湿熱耐久性をさらに改良するためには、樹
脂組成物に、乳酸系樹脂と可塑剤との総量100質量部
に対し、カルボジイミド化合物を0.1〜10質量部添
加することが望ましい。かかる樹脂組成物を用いて形成
されたシート状物は高い湿熱耐久性を有する。カルボジ
イミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば湿熱
耐久性の改良効果が十分に発現され、10質量部以下で
あればカルボジイミド化合物のブリードアウトによりシ
ート状物の外観不良や機械的物性の低下が生じることが
なく、また生分解性が著しく損なわれることもない。カ
ルボジイミド化合物としては、下記一般式の基本構造を
有するものが挙げられる。 −(N=C=N−R−)n− ただし、上記一般式において、nは1以上の整数を示
す。Rはその他の有機系結合単位を示し、例えば脂肪
族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。ま
た、nが2以上の整数である場合に、2以上のRは同一
でも異なっていてもよい。高温多湿下における加水分解
性を防止するためには、nが大きい方が好ましく、特に
nが10〜100の範囲内であることが好ましい。nが
10未満では高温で速く失活する傾向にあり、100よ
り大きいと、可塑剤を添加した時に白濁したり、耐加水
分解性の改良効果が乏しかったり、製造コストが高くな
る場合がある。また、常温大気中における耐加水分解性
付与を目的とする場合には、nが1〜30の範囲内であ
ることが好ましい。かかる範囲内であれば、低温での効
果も得られる。具体的には、例えば、ポリ(4,4'−
ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニ
レンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジ
イミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイ
ソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル
−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ
(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及
び、これらの単量体が挙げられる。カルボジイミド化合
物は、単独、又は、2種以上組み合わせて用いられる。
【0019】本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定
剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、
滑剤、核剤、無機フィラー等の添加剤を添加することが
できる。
【0020】次に、本発明の乳酸系樹脂シート状物の製
造方法について説明する。乳酸系樹脂及び可塑剤等の混
合は、同一の押出機にそれぞれの原料を投入して行うこ
とができる。押出機の口金からそのまま押出して直接フ
ィルムを作製する方法、あるいはストランド形状に押し
出してペレットを作製した後、再度押出機を用いてフィ
ルムを作製する方法がある。いずれの方法においても原
料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、
均一に混合させるためには後者を選択することが好まし
い。乳酸系樹脂はL−乳酸とD−乳酸の組成比によって
融点が変化すること、可塑剤の混合の割合によって樹脂
組成物の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温
度を適宜選択することが好ましい。通常、100〜25
0℃の温度範囲が選択される。
【0021】溶融成形された生分解性のシート状物は、
回転するキャスティングドラム(冷却ドラム)に接触さ
せて急冷することが好ましい。乳酸系樹脂と可塑剤との
混合割合や、これらの樹脂の性質によって適宜選択され
ることが好ましいが、例えば、キャスティングドラムの
温度は60℃以下が適当である。キャスティングドラム
の温度が60℃以下ならば、シート状物がキャスティン
グドラムに粘着して引き取れなかったり、ポリ乳酸部分
の結晶化が促進されて延伸できなくなるという不都合な
事態は生じない。従って、キャスティングドラムの温度
が60℃以下において急冷し、ポリ乳酸部分を実質上非
晶性にすることが好ましい。
【0022】得られたシート状物は少なくとも一方向に
延伸される。本発明の延伸フィルムは、通常の延伸フィ
ルム成形法であれば、任意の方法をとることが可能であ
る。原料となる樹脂組成物を同方向2軸押出機、ニーダ
ー、ヘンシェルミキサー等を用い、予めプレコンパウン
ドしても構わないし、樹脂組成物を構成する乳酸系樹
脂、可塑剤等をドライブレンドした後、押出機に投入し
ても構わない。可塑剤等の液状成分は固体成分をブレン
ドするときに同時にブレンドしても良いが、固体成分と
は別に、ポンプ等を用いて押出機のベント口から注入し
てもよい。延伸方法としてはシート状物を周速差のある
2個のロール間で延伸するロール延伸法や、テンターを
用いクリップでシートを把持しながらクリップ列の列間
隔を拡大させて延伸するテンター延伸法、チューブラー
法、インフレーション法等が、適宜、必要に応じて組み
合わせて採用される。二軸延伸する場合には、同時延伸
法あるいは逐次延伸法が採用される。延伸条件は、シー
ト状物の温度が20〜140℃であることが好ましく、
さらに好ましくは40〜110℃であり、延伸倍率が
1.5倍〜5.0倍の範囲内であることが好ましい。か
かる範囲内であれば、シート状物の破断や白化が生じた
り、ドローダウンが生じる等のトラブルが発生すること
がない。
【0023】本発明の効果をより高めるためには、シー
ト状物を延伸した後、幅固定で熱処理を行うことが望ま
しい。熱処理条件は、温度が70〜160℃であること
が好ましく、さらに好ましくは90〜140℃、特に好
ましくは100〜140℃であり、処理時間が5秒〜5
分の範囲内であることが好ましい。温度が70℃未満で
は熱処理効果を得にくく、160℃より上回るとシート
状物がドローダウンしやすい。処理時間が5秒未満では
熱処理効果が得にくく、5分を上回ると熱処理設備が長
大なものになり、経済性が低下する。
【0024】乳酸系樹脂のD体とL体との比率選択、可
塑剤の種類の選択、延伸及び熱処理等により、温度12
0℃で15分間加熱処理した後の加熱収縮率をTD、M
D共に10%以下にすることができる。シート状物の加
熱収縮率が、TDが10%以下、かつMDが10%以下
であれば、耐熱性(熱寸法安定性)に優れ、印刷、製袋
等の2次加工中や、場合によっては保管中にシート状物
が収縮したり、波打ちやカール等の不具合が発生するこ
ともない。ここで、「TD」はシート状物の幅方向(横
方向)を示し、「MD」はシート状物の長手方向(縦方
向)を示す。
【0025】本発明においては、動的粘弾性測定により
周波数10Hz、温度20℃で測定したシート状物の貯
蔵弾性率(E’)が500MPa〜3,000MPaの
範囲内にあることが好ましい。貯蔵弾性率(E’)が5
00MPa未満では、過度に柔らかくて変形しやすいの
で、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによ
ってシート状物が伸びて位置ずれやカールを起こした
り、自己支持性が乏しく商品のディスプレー効果に劣る
場合がある。また、貯蔵弾性率E’が3,000MPa
を越えると硬くて伸びにくいシート状物になるので、2
次加工時にシワが入りやすかったり、使用時にカサカサ
した感じを受けることがある。OPP類似の特性や風合
いを求める場合には、シート状物の貯蔵弾性率(E’)
が500MPa〜3,000MPaの範囲内にあること
が好ましい。シート状物の貯蔵弾性率(E’)をかかる
範囲にするためには、可塑剤の量を4〜33質量%の範
囲内にすることが最も重要であるが、乳酸系樹脂の組
成、可塑剤の種類、成形加工条件の組み合わせ等を適宜
調整することにより、貯蔵弾性率を所定の範囲内にする
ことができる。
【0026】本発明の乳酸系樹脂組成物は乳酸系樹脂シ
ート状物の原料として好適であり、形成された本発明の
乳酸系樹脂シート状物は、OPPに類似の物性を有し、
溶断シール加工に適しており袋状製品を製造することが
できる。可塑剤を含まない乳酸系樹脂を2軸延伸したシ
ート状物は硬すぎて伸びにくいので寸法差の吸収しろが
乏しく製袋時にシワが入りやすいが、本発明の乳酸系樹
脂シート状物は製袋時にシワが入ることもなく良好に加
工することができる。また、可塑剤を含まない乳酸系樹
脂を2軸延伸したシート状物は溶断シール強度が出にく
いが、本発明の乳酸系樹脂シート状物は、OPPと同程
度の溶断シール強度を有する。
【0027】
【実施例】以下に実施例を用いて、本発明をさらに具体
的に説明する。なお、本発明は以下に記載される事項に
よって、限定されるものではない。実施例中に示す測定
値や評価は下記に示すような条件で測定等を行った。
【0028】(1)貯蔵弾性率(E’) 岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーター「VE
S−F3」を用い、振動周波数10Hz、温度20℃
で、シート状物のMDについて貯蔵弾性率を測定した。 (2)引張強度と伸び JIS K 7127に基づいて引張試験を行い、シー
ト状物が破断した時の強度と伸びを測定した。試験サン
プルとしては2号試験片を用い、引張り速度100mm
/minで5回測定し、その平均値を求めた。 (3)耐熱性(加熱収縮率) シート状物片を120℃のオーブン中に15分間吊り下
げ、下記式に基づいて、加熱収縮率を求めた。ただし、
オーブンで加熱する前のシート状物の長さをL1,加熱
処理後のシート状物の長さをL2とした。 加熱収縮率(%)=(L1−L2)/L1×100 (4)湿熱耐久性(重量平均分子量保持率) あらかじめ乳酸系樹脂の重量平均分子量を測定したシー
ト状物片を、温度80℃、湿度40%RHに調整した恒
温恒湿槽(タバイエスペック(株)製、恒温恒湿器LH
−112)中に4週間静置し、下記式に基づいて重量平
均分子量保持率を求めた。重量平均分子量保持率が80
%以上のものは湿熱耐久性に優れている。 (5)乳酸系樹脂の重量平均分子量 東ソー(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー「HLC−8120GPC」に、(株)島津製作所
製のクロマトカラムShim−Packシリーズの「G
PC−800CP」を装着し、溶媒としてクロロホルム
を、溶液濃度0.2wt/vol質量%となるように、
溶液注入量200μL、溶媒流速1.0mL/分、溶媒
温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算により乳酸
系樹脂の重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリス
チレンの重量平均分子量は、2,000,000、67
0,000、110,000、35,000、10,0
00、4,000、600である。 (6)ヘイズ JIS K 7105に基づいて、全光線透過率及び拡
散透過率を求め、以下の式を用いて算出した。 ヘイズ(%)=拡散透過率/全光線透過率 ×100 (7)溶断シール製袋機適性 トタニ技研(株)製の溶断シール製袋機「HK65V」
において、幅500mmのシート状物をロール状に巻回
したサンプルを用い、間口100mm×長さ250mm
のサイドシール袋を最適条件で1000枚作製した。得
られた袋の外観を目視し、以下の評価基準に基づいて評
価を行った。 評価基準: ○ シワやカールの発生がない袋が、900〜100
0枚できた △ シワやカールの発生がない袋が、700〜899
枚できた × シワやカールの発生がない袋が、699枚以下し
かできなかった
【0029】(実施例1)まず、乳酸系樹脂を作製し
た。ピューラックジャパン社製のL−ラクチド(商品名
「PURASORB L」)97kgと同社製のDL−
ラクチド(商品名「PURASORB DL」)3kg
に、オクチル酸スズを15ppm添加し、攪拌機と加熱
装置とを備えた500Lのバッチ式重合槽に入れた。次
いで窒素置換を行い、温度185℃、攪拌速度100r
pmで60分間重合を行った。得られた溶融物を、真空
ベントを3段備えた三菱重工社製の40mmφ、同方向
2軸押出機に供し、ベント圧4torrで脱気しなが
ら、200℃でストランド状に押し出してペレット化
し、ペレット形状の乳酸系樹脂を得た。得られた乳酸系
樹脂は、重量平均分子量が20万、L体含有量が98.
6%であった。次に、得られた乳酸系樹脂と、可塑剤と
してジグリセリンテトラアセテート(理研ビニル(株)
製のリケマールPL710)とを87:13(質量%)
で混合し、三菱重工(株)製の40mmφ小型同方向二
軸押出機を用いて温度180℃でコンパウンドし、ペレ
ット形状にした。得られたペレットを三菱重工(株)製
の110mmφ単軸押出機を用いてTダイを介してバレ
ル温度200℃で押出し、30℃のキャスティングロー
ルを用いて急冷し、300μm厚のシート状物を得た。
引き続き、三菱重工(株)製の逐次2軸テンターを用い
て、温度50℃でMD、TDにそれぞれ延伸倍率2.5
倍で延伸を行った後、140℃で15秒熱処理を行い、
膜厚50μmの延伸したシート状物を得た。得られた乳
酸系樹脂シート状物について、貯蔵弾性率(E’)、引
張強度と伸び、加熱収縮率、ヘイズ、溶断シール製袋機
適性の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】(実施例2)実施例1において製造した乳
酸系樹脂と、可塑剤としてジグリセリンテトラアセテー
ト(理研ビニル(株)製のリケマールPL710)とを
84質量%:16質量%とした以外は実施例1と同様に
して、乳酸系樹脂シート状物を作成した。得られた乳酸
系樹脂シート状物について、実施例1と同様の測定と評
価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】(実施例3,4)実施例1において製造し
た乳酸系樹脂と、可塑剤としてアセチル化モノグリセラ
イド変性物(理研ビタミン(株)製の「PL009」、
5Torrの沸点193℃、SP値9.70)とを、そ
れぞれ87:13及び84:16の割合で混合した以外
は実施例1と同様にして、実施例3及び実施例4の乳酸
系樹脂シート状物を得た。得られた実施例3及び実施例
4のシート状物のそれぞれについて、実施例1と同様の
測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】(実施例5)実施例1において製造した乳
酸系樹脂と、可塑剤としてグリセリントリアセテート
(大八化学(株)製の「トリアセチン」、常圧における
沸点258℃、SP値10.24)とを、93:7の割
合で混合した以外は実施例1と同様にして、実施例5の
乳酸系樹脂シート状物を得た。得られた実施例5のシー
ト状物について、実施例1と同様の測定と評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0033】(比較例1,2)実施例1において、可塑
剤の添加量をそれぞれ3質量%、35質量%に変更した
以外は実施例1と同様にして、比較例1及び比較例2の
膜厚50μmのシート状物を得た。得られたシート状物
のそれぞれについて、実施例1と同様の測定と評価を行
った。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例6)実施例1においてコンパウン
ドして得られたペレットに、スタバクゾール(バイエル
社製の商品名「スタバクゾールP−100」、一般式
−(N=C=N−R−N=C=N−R’)n−;重合度
n≒28、Rは2,5−ジイソプロピルフェニル基、
R’はフェニル基である)を2.0質量部ドライブレン
ドした以外は実施例1と同様にして、乳酸系樹脂シート
状物を得た。得られた乳酸系樹脂シート状物について湿
熱耐久性試験を行った。その結果を表2に示す。
【0036】(実施例7)実施例1において得られたシ
ート状物について湿熱耐久性の評価を行い、重量平均分
子量保持率を求めた。その結果を表2に示す。
【0037】(比較例3)実施例1において製造した乳
酸系樹脂と、可塑剤としてジグリセリンテトラアセテー
ト(理研ビニル(株)製のリケマールPL710)とを
87:13(質量%)で混合した。これを、三菱重工
(株)製の40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて1
80℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られ
たペレットを三菱重工(株)製の110mmφ単軸押出
機を用いてTダイを介してバレル温度200℃で押出
し、キャスティングロールを用いて30℃に急冷し、膜
厚50μmの無延伸シート状物を得た。得られたシート
状物について、実施例6と同様にして湿熱耐久性の評価
を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】表1から明らかなように、実施例1〜5の
乳酸系樹脂シート状物はMD及びTDの伸びがそれぞれ
100%以上であり、耐破断性に優れており、また、加
熱収縮率がMD及びTD共に10%以下であり、耐熱性
(熱安定性)に優れていることが分かった。また、実施
例1〜5の乳酸系樹脂シート状物はヘイズが15%以下
であり、透明性に優れていることが分かった。さらに、
実施例1〜5の乳酸系樹脂シート状物は貯蔵弾性率
(E’)が500〜3,000MPaの範囲内であり、
溶断シール製袋機適性が良好であることが分かった。一
方、比較例1のシート状物は貯蔵弾性率(E’)が3,
000MPaより大きいので伸びにくいシート状物であ
り、2次加工時にシワが入りやすいことが分かった。比
較例2の乳酸系樹脂シート状物は、加熱収縮率がMD及
びTDともに10%より大きく耐熱性に問題があり、ま
た、貯蔵弾性率(E’)が500MPaより小さいの
で、2次加工時にシート状物が伸びて位置ずれやカール
が発生しやすく、溶断シール製袋機適性に劣っているこ
とが分かった。また、表2から明らかなように、本発明
の乳酸系樹脂シート状物は貯蔵弾性率が80%以上であ
り、湿熱耐久性に優れていることが分かった。一方、比
較例3の未延伸のシート状物は本発明の乳酸系樹脂シー
ト状物より貯蔵弾性率が劣っていることが分かった。な
お、実施例2〜4の乳酸系樹脂シート状物についても湿
熱耐久性の評価を行ったところ、重量平均分子量保持率
は80%以上であった。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の乳酸系樹脂組成物を用いて形成された乳酸系樹脂シー
ト状物や袋状製品は、OPPに類似した物理的特性を有
し、耐熱性(熱安定性)、湿熱耐久性に優れている。本
発明の乳酸系樹脂組成物はポリ乳酸系樹脂と可塑剤とを
主成分とするため生分解性を有し、自然環境中に廃棄さ
れた場合でも生分解され、自然環境に悪影響を与えな
い。また、本発明の乳酸系樹脂組成物は熱収縮性フィル
ムとして従来使用されていたポリエチレン系樹脂等と比
較して燃焼カロリーが低いので、仮に焼却処理された場
合でも、焼却炉を傷めにくい。すなわち、本発明によ
り、自然環境に負荷をかけない生分解性の、OPPに類
似した物理的特性と優れた耐熱性、湿熱耐久性を有する
乳酸系樹脂組成物、シート状物、袋状製品を提供するこ
とができ、包装材や工業材分野に適用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/02 C08L 67/02 79/00 79/00 Z 91/00 91/00 Fターム(参考) 3E086 AA01 AB01 AC07 AD01 BA02 BA15 BA33 BB21 BB41 BB42 BB85 BB90 DA08 4F071 AA43 AA44 AA58 AC10 AE04 AF20Y AF53Y AF61Y AH04 BB02 BB06 BB07 BB08 BB09 BC01 4J002 AE052 CF032 CF181 CM052 EH036 EH046 EH056 EH096 EH146 FD022 FD026 FD033 GG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分として、乳酸系樹脂67質量%〜
    96質量%と、常圧における沸点が220℃以上である
    か、あるいは5Torr〜10Torrにおける沸点が
    170℃以上である可塑剤4質量%〜33質量%とを含
    むことを特徴とする乳酸系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記可塑剤がジグリセリンテトラアセテ
    ートであることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 さらにカルボジイミド化合物を、乳酸系
    樹脂と可塑剤との合計量100質量%に対し0.1質量
    %〜10質量%の範囲内で混合したことを特徴とする請
    求項1又は2に記載の乳酸系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項に記載の
    乳酸系樹脂組成物からなるシート状物であって、少なく
    とも一方向に延伸されていることを特徴とする乳酸系樹
    脂シート状物。
  5. 【請求項5】 20℃における貯蔵弾性率が500MP
    a〜3,000MPaであり、温度120℃で15分間
    加熱した後の加熱収縮率がTD及びMD共に10%以下
    であることを特徴とする請求項4に記載の乳酸系樹脂シ
    ート状物。
  6. 【請求項6】 温度40℃、湿度80%RHの雰囲気下
    に4週間保管された後の乳酸系樹脂の重量平均分子量保
    持率が80%以上であることを特徴とする請求項4又は
    5に記載の乳酸系樹脂シート状物。
  7. 【請求項7】 請求項4から6のいずれか1項に記載の
    乳酸系樹脂シート状物を用いて形成したことを特徴とす
    る袋状製品。
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