JP2003226822A - 重合性フタロシアニン化合物、着色ポリマー、それらを含む着色液および重合性フタロシアニン化合物と着色ポリマーの合成法 - Google Patents

重合性フタロシアニン化合物、着色ポリマー、それらを含む着色液および重合性フタロシアニン化合物と着色ポリマーの合成法

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JP2003226822A
JP2003226822A JP2002028418A JP2002028418A JP2003226822A JP 2003226822 A JP2003226822 A JP 2003226822A JP 2002028418 A JP2002028418 A JP 2002028418A JP 2002028418 A JP2002028418 A JP 2002028418A JP 2003226822 A JP2003226822 A JP 2003226822A
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polymerizable
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phthalocyanine
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JP2002028418A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Yamashita
佳久 山下
Akio Kashiwazaki
昭夫 柏崎
Masafumi Hirose
雅史 広瀬
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐変色性の向上を目的として重合性フタロシア
ニン化合物、それを重合した着色ポリマーを製造すると
ともに、その製造方法を確立する。 【解決手段】金属または無金属フタロシアニン類のスル
ホンアミド化の際に、アセトン、エタノール、イソプロ
ピルアルコールから選ばれた少なくとも1種の水溶性の
有機溶剤を溶媒総量の10〜50質量%、使用して反応
を行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着色剤や機能材料
として有用なフタロシアニン構造部を有する新規な重合
性化合物およびそれを用いて得られる着色ポリマーなら
びにそれらの重合性化合物および/または着色ポリマー
を含む着色液に関する。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン類はその極めて安定な構
造のため耐候性の優れた顔料または、染料として、塗料
やインクなどの着色剤として用いられるほか、大きなπ
電子共役系に基づく特異な光電特性を利用した電子写真
などの機能材料、化学反応の触媒等、非常に広範囲な用
途で使用されている。このような機能を有するフタロシ
アニン類をポリマーと結合させることができれば、フタ
ロシアニン類にポリマーが有する特性を持たせることが
可能となる。具体的な1例を挙げると、繊維などのポリ
マー製品にフタロシアニン類の1つの特徴である消臭作
用等の機能を持たせたり、またガスバリヤー性のポリマ
ーを用いてフタロシアニン類を酸素による酸化分解から
守るなど幅広い応用が期待できる。
【0003】そこで、従来からフタロシアニン類をポリ
マーと結合させる方法が多数、提案されている。主要な
もので以下の3種類がある。 1)フリーデルクラフツ反応などの化学反応を利用し、
ポリマーにフタロシアニン類を反応させ、両者の間に共
有結合を形成させる方法(例えば、Journal o
f Polymer Science:Polymer
LettersEdition,Vol.17,66
1(1979)) 2)アクリル系やスチレン系などの重合性基を持つフタ
ロシアニン類を合成してそれをモノマーとして用い、ラ
ジカル重合等によりポリマー化し、フタロシアニン類を
側鎖にブランチさせた着色ポリマーとする方法(例え
ば、特開昭60−184083号公報、特開平2−28
2385号公報) 3)多官能性のフタロシアニン類と、そのフタロシアニ
ン類の官能基と反応性を有する官能基を複数持った化合
物との縮合反応を利用してフタロシアニン類をポリマー
主鎖中に組み入れる方法(例えば、特開平2−2274
14号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリマーの主鎖ないし
側鎖中にフタロシアニン類を導入する手段として、上記
1)の方法では、反応効率の低さのため、ポリマー中に
高い含有量でフタロシアニン類を導入できないという問
題があり、結果としてフタロシアニン類の使用量がこの
反応の化学量論比と比べて数倍から数10倍量になって
しまうという問題があった。さらに上記3)の方法で
は、縮合反応を効率的に進めるためにどちらか一方の材
料を活性種にしなければならず、このため使用できる材
料・反応条件等が限定され、目的とする特性の生成物を
得にくいという問題があった。
【0005】これに対して、上記2)の方法を利用し、
中間生成物としてスルホン体およびスルホンアミド体を
経由する方法は、最も一般的な方法であり、既に染色の
分野等において重要な地位を築いている。また、この方
法は、フタロシアニン類骨格に各種の官能基の導入を可
能とし、バラエティーに富んだフタロシアニン類が得ら
れるという点でも上記1)、3)の方法に比べて有効な
手法である。しかし、中間生成物としてスルホン体を製
造する際に、モノスルホン体のみならず、ジスルホン
体、トリスルホン体も生じてしまうため、これをアミド
化すると、モノアミド体、ジアミド体、トリアミド体な
どの混合物としてスルホンアミド体が生成することとな
る。このようなジアミド体、トリアミド体を中間生成物
として経由し、製造したフタロシアニン類を有する重合
性フタロシアニン化合物またはポリマーを着色液に用い
た場合、着色液の高粘度化等の問題が生じ、安定的な印
字特性を得ることができない。そのため、スルホンアミ
ド体を合成する時点でジアミド体等の生成を抑制しなけ
ればならないが、アミド化の程度をコントロールする技
術は現在のところ、報告されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題に対して本発明
者らは鋭意研究の結果、スルホンアミド化の条件を操作
することで、選択的にモノアミド体のみが得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。つまりスルホン
アミド化する反応系内においてある種の水溶性有機溶剤
を共存させることでジアミド体やトリアミド体が副成す
ることなく、モノアミド体のみが得られるという全く新
たな知見を得たのである。すなわち、本発明は一般式
(1)で表されることを特徴とする重合性フタロシアニ
ン化合物に関するものである。
【0007】
【化7】
【0008】(式中、R1はHまたはメチル基を表し、
Lは炭素数2〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[M
et Pc]は中心金属がMetであるフタロシアニン
残基を表し、Metは金属原子または2個の水素原子を
表し、MはH、アルカリ金属またはNH4を表し、nは
1〜3の整数を表す)また、本発明は、一般式(1a)
で表される単位を有することを特徴とする着色ポリマー
に関するものである。
【0009】
【化8】
【0010】(式中、R1はHまたはメチル基を表し、
Lは炭素数2〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[M
et Pc]は中心金属がMetであるフタロシアニン
残基を表し、Metは金属原子または2個の水素原子を
表し、MはH、アルカリ金属またはNH4を表し、nは
1〜3の整数を表す。) 本発明は更に一般式(1)で表される重合性フタロシア
ニン化合物と重合性フタロシアニン化合物と共重合し得
るモノマーの少なくとも1種を共重合させたコポリマー
である着色ポリマーに関するものである。本発明は更に
重合性フタロシアニン化合物及び着色ポリマーから選択
された少なくとも1種を液媒体中に含むことを特徴とす
る着色液に関するものである。
【0011】また、本発明は、一般式(1)で表される
重合性フタロシアニン化合物の製造方法であって、
(1)金属または無金属フタロシアニン化合物に、クロ
ロスルホン酸またはクロロスルホン酸に塩化チオニルを
併用して反応させて一般式(2):
【0012】
【化9】
【0013】(一般式(2)中、[Met Pc]、M及
びnは前記一般式(1)と同義である。)で表されるス
ルホニルクロリド体を得る工程と、(2)スルホニルク
ロリド体と、水酸基を持った1級アミノ基を有する化合
物を反応させる際に、水溶性の有機溶剤を10〜50質
量%を含む水溶液中でアミド化を行い、一般式(3):
【0014】
【化10】
【0015】(一般式(3)式中、[Met Pc]、M
及びnは前記一般式(1)と同義である。また、R
2は、水酸基を持った1級アミノ基を有する化合物の残
基を表す。)で表されるスルホンアミド体を得る工程
と、(3)スルホンアミド体と、イソシアナト基を有す
るアクリル系化合物を反応させることによって一般式
(1)で表される重合性フタロシアニン化合物を得る工
程と、を有することを特徴とする重合性フタロシアニン
化合物の製造方法に関するものである。
【0016】また、水溶性の有機溶剤はアセトン、エタ
ノール及びイソプロピルアルコールから選ばれた少なく
とも1種であるのが好ましい。このようにして得られた
重合性フタロシアニン化合物および着色ポリマーから選
択された少なくとも1種を液媒体中に含むことで適度な
粘度を有し、印字特性に優れた着色液を得ることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるフタロ
シアニン類は金属または無金属フタロシアニンであれば
良く、例えば、以下のものが挙げられるが、これに限定
されるわけではない。
【0018】
【化11】
【0019】(Metは、2個の水素原子、Cu、Z
n、Fe、Co、Ni、Al−Xを表し、Xは、水酸基
またはCl,Br等のハロゲン基を表す。Mは、H、L
i、Na、K、Rb、Cs、NH4を表す。) 金属フタロシアニン類を使用する場合の中心金属として
は、特に限定されないが、好ましくは二価金属として
は、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Sn、Mg、P
d、Pt、等があげられ、三価金属としては、Al等が
あげられ、四価金属としては、Si等が挙げられ、三価
または四価金属が中心金属の際は、価数に応じた配位子
を持つ。nが2以上の時、M原子は、同一となる。
【0020】金属または無金属フタロシアニン類のスル
ホニルクロリド体を得る方法としては、金属または無金
属フタロシアニン類をクロロスルホン酸中にて加熱する
方法、およびその際に塩化チオニルなどの酸塩化物化剤
を併用する方法、および金属または無金属フタロシアニ
ン類のスルホン酸またはスルホン酸塩を塩化チオニルや
クロロスルホン酸中で加熱する方法などがある。金属ま
たは無金属フタロシアニン類をクロロスルホン化する際
に使用されるクロロスルホン酸等の量としては、金属ま
たは無金属フタロシアニン類に対して質量基準で3〜2
0倍量、好ましくは5〜9倍量、用いるのが良い。これ
より少ない量では反応に時間がかかり、逆に、これより
多い量を用いると反応速度の割には後処理に手間がかか
り困難を伴うためである。
【0021】このスルホニルクロリド化の反応温度とし
ては25℃〜145℃が良い。これより低い温度では反
応が極めて遅く、これより高い温度で反応を行うと、フ
タロシアニン類の分解反応が起こり、収率が極端に低下
するためである。また、本発明においてモノアミド化の
際に使用される水酸基を持った1級アミノ基を有する化
合物としては、例えば、アルキルアミンとして、エチル
アミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピ
ルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキ
シルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、
ピペリジン等が挙げられ、アルカノールアミンとして、
2−エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミ
ノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられ、芳香
族アミンとして、アニリン、フェネチルアミン、1−ま
たは2−ナフチルアミン等が挙げられ、その他の官能基
を持つアミンとして、アリルアミン、3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、β−アラニン、タウリン等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。また、
これらの水酸基を持った1級アミノ基を有する化合物の
使用量は、特に限定されないが、金属または無金属フタ
ロシアニン類のスルホニルクロリド体に対して大過剰で
あれば良い。尚、金属または無金属フタロシアニン類の
スルホニルクロリド体を単離する操作は煩雑なため、そ
のまま次工程へ進む方が、実用上、効率的である。この
際、原料であるクロロスルホン酸等は残存したままの未
精製スルホニルクロリド体を用いてスルホンアミド化工
程へ移行することになり、それを中和してあまりある量
の水酸基を持った1級アミノ基を有する化合物を用いる
必要がある。
【0022】また、スルホンアミド化反応の反応温度と
しては、スルホニルクロリド体が加水分解を起こしスル
ホン酸またはスルホン酸塩となるのを抑制するため、反
応初期は−5℃以下で行い、その後、放置して室温まで
昇温させるのが好ましい。スルホンアミド化時の初期の
温度を−5℃より高い温度にしたり、急激に昇温させる
とスルホンアミド体の収率が低下してしまうためであ
る。また、スルホンアミド化の反応時間は急激な反応を
抑制するため、水酸基を持った1級アミノ基を有する化
合物と水溶性有機溶剤を含む冷却した水溶液中に、クロ
ロスルホン酸等が残存したままの未精製スルホニルクロ
リド体を約1時間程度かけて少量ずつ添加し、3時間以
上かけて室温まで昇温させるのが良い。
【0023】スルホンアミド化時に使用される水溶性有
機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコ
ール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の
アルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンア
ルコール等のケトンまたはケトアルコール類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチ
ル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリ
コールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価ア
ルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−
ピロリドン、2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。これらの水溶性有機溶剤の中でも、ア
セトン、エタノール、イソプロピルアルコールが特に好
適である。
【0024】これらの水溶性有機溶剤の使用量として
は、特に限定はされないが、スルホンアミド化の際の反
応系内に存在する溶媒総量の5〜70質量%、好ましく
は10〜50質量%である。これより少ない使用量では
金属または無金属フタロシアニンのスルホニルクロリド
体を溶解させることができず、ジアミド体等の副生成物
が発生する。逆に、これより多い量の水溶性有機溶剤を
使用すると、スルホンアミド化反応が効率的に進行せ
ず、原料であるスルホニルクロリド体が残存し、昇温時
にようやくスルホンアミド化反応が進むため加水分解と
の競争反応となり収率が著しく低下する。
【0025】上記スルホンアミド化の反応機構について
は定かではないが、水に不溶のスルホニルクロリド体を
含む反応溶液中に水溶性有機溶剤を加えることでスルホ
ニルクロリド体が溶媒中に均一に分散した状態でスルホ
ンアミド化反応が起こり、また、モノアミド化の段階で
分子同士の水素結合による会合が起こって、ある程度の
大きさの分子集合体を形成し、結果としてそれ以上のス
ルホンアミド化を抑制するのではないかと考えられる。
【0026】このようにして得られたスルホンアミド体
とイソシアナト基を有するアクリル系化合物とを反応さ
せることによって重合性フタロシアニン化合物を得る。
アクリル系化合物の例としては2−イソシアナトエチル
メタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレー
ト、2−イソシアナトプロピルメタクリレート、2−イ
ソシアナトブチルメタクリレート、2−イソシアナトエ
チルメタクリルアミドが挙げられるが、これらに限定さ
れるわけではない。
【0027】上記諸反応により得られた重合性フタロシ
アニン化合物の具体例としては例えば以下のものが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】このようにして得られた重合性フタロシア
ニン化合物は、フタロシアニン類およびこれと結合した
モノマーの性質を併せ持っており、色材として用いても
良いが、用途はこれに限定されるわけではない。本発明
の一般式(1a)で表される単位を有することを特徴と
する着色ポリマーの製造には、重合性フタロシアニン化
合物のみを使用してホモポリマー等としても良いが、他
のモノマーを併用しても良い。この際、重合性フタロシ
アニン化合物とその他のモノマーは質量比で3:97〜
100:0の割合で使用するのが良い。
【0036】他のモノマーとは、一般式(1)で表され
る重合性フタロシアニン化合物と重合性を有する化合物
のことを表しており、特に限定されるものではないが、
例えばスチレン,4-メチルスチレン,4-エチルスチレ
ン,スチレンスルホン酸およびその塩等の炭素数8〜2
0のα-オレフィン性芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビ
ニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロ
ペニル等の炭素数3〜20のビニルエステル類、例えば
塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テト
ラフルオロエチレン,テトラクロロエチレン等の炭素数
2〜20の含ハロゲン化ビニル化合物類、例えばメタク
リル酸およびその塩,メタクリル酸メチル,メタクリル
酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチ
ル,メタクリル酸-2-エチルヘキシル,メタクリル酸ス
テアリル,アクリル酸およびその塩,アクリル酸メチ
ル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸
-2-エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル,アクリル
酸ステアリル,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,
マレイン酸およびその塩,無水マレイン酸,マレイン酸
メチル,マレイン酸エチル,フマル酸およびその塩,フ
マル酸メチル,フマル酸エチル,クロトン酸およびその
塩,クロトン酸メチル,クロトン酸エチル等の炭素数4
〜20のオレフィンカルボン酸およびエステル類、例え
ばアクリロニトリル,メタクリロニトリル,シアン化ア
リル等の炭素数3〜20の含シアノビニル化合物類、例
えばアクリルアミド,メタクリルアミド,2-アクリル
アミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびその塩等の
炭素数3〜20のビニル系アミド化合物類、例えばアク
ロレイン,クロトンアルデヒド等の炭素数3〜20のオ
レフィンアルデヒド類、例えば4-ビニルピリジン,4-
ビニルアニリン等の炭素数8〜20のビニル系芳香族ア
ミン類、例えば4-ビニルフェノール等の炭素数8〜2
0のオレフィンフェノール類、例えばブタジエン,イソ
プレン等の炭素数4〜20のジエン系化合物類等が挙げ
られる。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組
み合わせて用いても良い。
【0037】また、重合形態としては、ラジカル重合、
イオン重合などが利用できるが操作性や簡便性、使用で
きる重合性フタロシアニン化合物のバリエーションの広
さなどからラジカル重合で行うのが好適である。更にラ
ジカル重合によるバルク重合、懸濁重合、逆相懸濁重
合、溶液重合、乳化重合、逆相乳化重合など何れの重合
方法でも好適に重合可能である。重合を進める方法とし
ては、熱や光またはその併用による重合の他、熱や光ま
たはその併用により活性種を発生させる開始剤を用いて
も良い。
【0038】開始剤としては、様々な種類のものがあ
る。熱重合開始剤として油溶性では、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2-メチル
ブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4-ジメチル
バレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4-ジメチル
−4-メトキシバレロニトリル)、2,2'−アゾビス
(2-メチルプロピオン酸メチル)等のアゾ系重合開始
剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ビス(4-te
rt-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、
tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ter
t-ブチルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾ
エート、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-
トリメチルシクロヘキサン等の過酸化物系重合開始剤等
がある。
【0039】水溶性では、過硫酸アンモニウム、過硫酸
ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類、過酸化
水素などのパーオキシド化合物類、2,2'−アゾビス
(2-アミノジプロパン)2塩酸塩、アゾビスシアノ吉草
酸などの水溶性アゾ系重合開始剤、過硫酸アンモニウム
と重亜硫酸ナトリウムのような過酸化物と還元性(重)
亜硫酸塩との組み合わせ、過硫酸アンモニウムとジメチ
ルアミノエタノールのような過酸化物とアミン系化合物
との組み合わせ、過酸化水素とFe++のような過酸化物
と多価金属イオンとの組み合わせなどのレドックス系開
始剤等が挙げられる。
【0040】光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、
オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−
4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチ
オキサントン、ジエチルチオキサントン、エチル−4−
(ジエチルアミノ)ベンゾエート等の水素引き抜き型光
重合開始剤、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジ
メチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン、アルキルフェニルグリオキシレー
ト、ジエトキシアセトフェノン等の分子内開裂型光重合
開始剤等が挙げられる。
【0041】また、重合形態に応じて、トリフェニルス
ルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニ
ルスルホニウムホスフェート等の光カチオン重合開始剤
を用いることも可能である。これらの開始剤の使用量
は、重合形態、重合条件、使用する開始剤種などの他、
得ようとする着色ポリマーの物性等により適宜調節しな
ければならないが、一般的に使用する原料に対して0.
05〜10質量%の範囲から選択するのが良い。さら
に、得ようとする着色ポリマーの物性の調整を目的とし
て連鎖移動剤等を併用しても良い。連鎖移動剤の具体例
としては、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメル
カプタン、ラウリルメルカプタン、2-メルカプトエタ
ノール、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸オ
クチル、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0042】本発明の重合性フタロシアニン化合物を用
いて重合反応を行う際の溶媒としては、水の他、有機溶
媒として、例えばトルエン,キシレン,ベンゼン,シク
ロヘキサン,n-ヘキサン,n-オクタン等の炭化水素
類、例えば塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,
ジクロロエタン,トリクロロエタン,キシレンヘキサフ
ロリド等のハロゲン化炭化水素類、例えば酢酸メチル,
酢酸エチル,酢酸n-ブチル,プロピオン酸メチル等の
エステル類、例えばフルオロ酢酸,トリフルオロ酢酸,
無水トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、例えばアセト
ン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン
類、例えばテトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エ
ーテル類、例えばメタノール,エタノール,n-プロパ
ノール,イソプロパノール,n-ブタノール,イソブタ
ノール,tert-ブタノール等のアルコール類、N-メチル
-2-ピロリドン,N,N'-ジメチルホルムアミド,N,
N'-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が
挙げられる。これらは夫々単独で用いても、二種以上適
宜組み合わせて用いても良い。
【0043】また、重合反応は不活性ガス雰囲気下で行
うことが望ましい。不活性ガスとしては、例えば窒素ガ
ス、アルゴンガス等が挙げられる。尚、乳化重合により
着色ポリマーを合成する場合には、乳化剤を用いる。乳
化剤の具体例としては、以下のものがある。アニオン型
乳化剤としては、例えばラウリン酸塩,ミリスチン酸塩
等の炭素数12〜18の脂肪酸石けん類、ドデシルベン
ゼンスルホン酸塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩
類、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩等のアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類、ジ(2-エチルヘキシル)
スルホコハク酸エステル塩等のジアルキルスルホコハク
酸エステル塩類、硫酸化油類、ドデシル硫酸エステル塩
等の炭素数12〜18の高級アルコール硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸塩等のア
ルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸塩等のポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンドデシ
ルエーテルリン酸エステル塩等のアルキルエーテルリン
酸エステル塩類、ドデシルリン酸エステル塩,オクタド
デシルリン酸エステル塩等のアルキルリン酸エステル塩
類などが挙げられる。
【0044】カチオン型乳化剤としては、例えばオクチ
ルアミン塩,ドデシルアミン塩,ステアリルアミン塩等
の炭素数8〜24の脂肪族アミン塩類、オクタドデシル
トリメチルアンモニウムクロリド等の脂肪族4級アンモ
ニウム塩類、ベンザルコニウム塩類、ベンゼトニウム塩
類、セチルピリジニウムクロリド等の炭素数12〜18
のピリジニウム塩類、イミダゾリニウム塩類などが挙げ
られる。両性型乳化剤としては、例えばラウリルジメチ
ルベタイン等のカルボキシベタイン類、N-ドデシルグ
リシン等のアミノカルボン酸塩類、2-ドデシル-N-カ
ルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム
ベタイン等のイミダゾリニウムベタイン類などが挙げら
れる。
【0045】ノニオン型乳化剤としては、例えばポリオ
キシエチレンラウリルエーテル,ポリオキシエチレンセ
チルエーテル等の炭素数12〜22のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレ
ンブロックポリマー及びそのアルキルエーテル類、ポリ
オキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエ
チレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリエチレング
リコールラウリルエステル等のポリエチレングリコール
脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類などが
挙げられる。これらの乳化剤は、夫々単独で用いても、
二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0046】また、その時の重合温度としては、重合形
態や使用する開始剤の活性度等により適宜調整しなけれ
ばならない。ラジカル重合開始剤を使用する場合には、
一般的に開始剤の活性の指標とされる10時間で原料が
半分となる温度(10時間半減期温度)に対して、約1
0〜20度、高温の条件で行うのが好ましいが、得よう
とする着色ポリマーの物性(分子量等)を考えて適切な
条件下で行うのが良い。重合反応に要する重合時間につ
いても、重合形態や使用する開始剤の活性度等により適
宜調整しなければならない。一般的には2時間から24
時間程度で重合が完結するような条件下に行うのが良
い。
【0047】重合時に使用する重合性フタロシアニン化
合物の量としては、特に限定されないが金属または無金
属フタロシアニン類の特性を十分発揮するだけの量を含
有させれば良く、具体的には着色ポリマーの質量に対し
て3質量%以上であるが、より好ましくは5質量%以上
である。これより少ないと前述した1)の方法で合成す
ることも可能であり、高い含有量でポリマー中に金属ま
たは無金属フタロシアニン類を導入することを目的とす
る本方法の趣旨にそぐわない。このようにして得られた
着色ポリマーの数平均分子量は、50000以下(GP
C:ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定)
であることが好ましい。また、本発明の着色液は重合性
フタロシアニン化合物および着色ポリマーを少なくとも
1種含み、溶媒、更に必要に応じて添加剤を含有してい
る。なお、着色ポリマーおよび着色液の粘度等の物性は
用途に応じて適宜、調整する。例えば、インクジェット
用インクとして用いる場合には、着色液の粘度を3ポイ
ズ以下とするのが良い。
【0048】着色液中の着色ポリマーの配合量としては
特に限定されないが、着色液として十分な濃度を有する
よう適宜配合されていれば良い。ただし、着色ポリマー
を大量に配合したことに基づく高粘度については考慮し
なければならない。着色液に使用する溶媒は、上記の着
色ポリマーの性質により水溶性、油溶性、両親媒性のも
のから適宜選択され、具体的には、水、エタノール、イ
ソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオー
ル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ
低級アルキルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げ
られ、これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み
合わせて用いても良いが、これらに限定されるものでは
ない。また添加剤としては、界面活性剤、分散剤、増量
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、抗菌剤、
防腐剤、保湿剤等を使用しても良い。
【0049】
【実施例】
【0050】
【実施例1】スルホニルクロリド体の合成(1) マントルヒーター、冷却塔、攪拌機、温度計および濃水
酸化ナトリウム水溶液のトラップを備えた3000ml
の反応容器に、クロロスルホン酸900gを仕込み、こ
こに室温下でCuフタロシアニン(Pigment B
lue 15:3)100gを5回に分けて少量ずつ添
加し、しばらく攪拌し充分溶解させた。黒緑色を呈する
この溶液を内温が135℃になるまで加熱し、その温度
のまま4時間攪拌し、反応を行った。加熱を止め、自然
冷却により室温程度まで内温が下がったところで、純水
300g、砕氷1.2kg、精製塩150gからなる塩
析槽に塩析槽内の温度が−5℃以下を維持するように注
意して反応溶液を2時間かけて滴下しCuフタロシアニ
ンスルホニルクロリドを析出させた。これを遠心機を用
いて脱液してCuフタロシアニンスルホニルクロリドの
ウエットケーキ約450g(固形分:26%)を得た。
【0051】
【実施例2】スルホニルクロリド体の合成(2) マントルヒーター、冷却塔、攪拌機、温度計および濃水
酸化ナトリウム水溶液のトラップを備えた3000ml
の反応容器に、クロロスルホン酸500gを仕込み、こ
こに室温下でCuフタロシアニンテトラスルホン酸ナト
リウム100gを約1時間かけて少量ずつ添加し、しば
らく攪拌し充分溶解させた。黒緑色を呈するこの溶液を
内温が75℃になるまで加熱し、その温度のまま3時間
攪拌し、反応を行った。続いて溶液の内温を一旦、60
℃に下げてから塩化チオニル120gを90分かけて滴
下し、滴下終了後、溶液の内温を再び75℃に上げ、こ
の温度で2時間反応を続けた。加熱を止め、自然冷却に
より室温程度まで内温が下がったところで、純水300
g、砕氷1.2kg、精製塩150gからなる塩析槽に
塩析槽内の温度が−5℃以下を維持するように注意して
反応溶液を2時間かけて滴下しCuフタロシアニンスル
ホニルクロリドを析出させた。これを遠心機を用いて脱
液してCuフタロシアニンスルホニルクロリドのウエッ
トケーキ約490g(固形分:28%)を得た。
【0052】
【実施例3】スルホンアミド体の合成(1) スルホンアミド化をおこなう反応槽(3000ml)
に、エタノールアミン12g(200mmol)、アセ
トン200g、水800gを仕込み、氷浴を用いて内温
が5℃以下になるよう維持し、実施例1で得たCuフタ
ロシアニンスルホニルクロリドのウエットケーキ200
g(推定50mmol)を徐々に加え、全体の1/4加
えたところでpHをチェックし、強酸性ならトリエチル
アミンを追加してpHを4〜4.5に調節する。以下、
同じように1/4加える毎にpHチェックとpH調整を
おこなう。全量を加えたところで約1時間、5℃以下を
維持して攪拌する。その後、氷浴を外して室温に戻し、
4時間攪拌する。この時pHが低下するので30分毎に
pHチェックをおこないトリエチルアミンを追加してp
Hを5〜6に調節する。pHが低下しなくなったところ
で攪拌を12時間続け反応を完結させる。反応液をロー
タリーエバポレーターにかけて、アセトンを溜去した
後、濃塩酸250ml、次いで純水600gを加え、C
uフタロシアニンスルホンアミドを酸析させて、ヌッチ
ェを用いて濾取した。続いて膜処理による脱塩精製をお
こない、Cuフタロシアニンスルホンアミド精製品22
gを得た。このCuフタロシアニンスルホンアミド精製
品を、TOF−MS(アプライドバイオシステムズ社:
MARINER)を用い、HPLCと連動させて含有さ
れる物質の同定をおこない、HPLCの面積%(検出波
長254nm)としてその存在比を確認した。詳細な結
果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】この結果から、モノアミド体が77.8%
(HPLC面積%)、非アミド体(スルホン酸)が2
2.0%(同)、その他0.2%(同)であり、ジアミ
ド体などの副生成物は確認されず、実質的にモノアミド
体が選択的に合成された。
【0055】
【実施例4〜8】スルホンアミド体の合成(2) スルホニルクロリドのアミド化に用いるアミンとしてエ
タノールアミンに代えて表2に示す化合物を用いた以外
は実施例3と同じ方法によりCuフタロシアニンスルホ
ンアミド精製品を合成し、TOF−MSとHPLCを連
動させて実施例3と同様の分析をおこない生成物の同定
を行った。結果を表2に示す。
【0056】
【実施例9】スルホンアミド体の合成(3) 実施例1で得たCuフタロシアニンスルホニルクロリド
のウエットケーキの代わりに、実施例2で得たCuフタ
ロシアニンスルホニルクロリドのウエットケーキを用い
た以外は実施例3と全く同じ操作によりCuフタロシア
ニンスルホンアミド精製品を合成し、TOF−MSとH
PLCを連動させて実施例3と同様の分析をおこない生
成物の同定を行った。結果を表2に示す。
【0057】
【実施例10】スルホンアミド体の合成(4) スルホンアミド化時に使用する溶媒としてアセトンに代
えてイソプロピルアルコールを用いた以外は実施例3と
同じ方法によりCuフタロシアニンスルホンアミド精製
品を合成し、TOF−MSとHPLCを連動させて実施
例3と同様の分析をおこない生成物の同定を行った。結
果を表2に示す。
【0058】
【比較例1】スルホンアミド体の合成(5) スルホンアミド化をおこなう反応槽(3000ml)に
仕込む溶剤の量を、アセトン50g、水950gにした
以外は実施例3と同じ方法によりCuフタロシアニンス
ルホンアミド精製品を合成し、TOF−MSとHPLC
を連動させて実施例3と同様の分析をおこない生成物の
同定を行った。結果を表2に示す。
【0059】
【比較例2】スルホンアミド体の合成(6) スルホンアミド化をおこなう反応槽(3000ml)に
仕込む溶剤の量を、水1000gにした以外は実施例3
と同じ方法によりCuフタロシアニンスルホンアミド精
製品を合成し、TOF−MSとHPLCを連動させて実
施例3と同様の分析をおこない生成物の同定を行った。
結果を表2に示す。
【0060】
【比較例3】スルホンアミド体の合成(7) スルホンアミド化をおこなう反応槽(3000ml)に
仕込む溶剤の量を、アセトン800g、水200gにし
た以外は実施例3と同じ方法によりCuフタロシアニン
スルホンアミド精製品を合成し、TOF−MSとHPL
Cを連動させて実施例3と同様の分析をおこない生成物
の同定を行った。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【実施例11】重合性フタロシアニン化合物の合成
(1) マントルヒーター、冷却塔、攪拌機、温度計を備え、窒
素により容器内を十分置換した100mlの反応容器
に、無水ジメチルアセトアミド 40mlとBHT 2
mgを仕込み、実施例3で得た生成物(全アミド体のH
PLC純度 77.8%) 2gを添加して十分撹拌溶
解させた。この溶液を内温が60℃になるまで加温し、
2−イソシアナトエチルメタクリレート 2mlをマイ
クロシリンジにより5分かけて滴下注入した。60℃を
維持したまま2時間反応を続け、さらに80℃に温度を
上げて1時間反応させた。反応液を再度60℃に戻し、
t−ブチルアルコール 5mlをマイクロシリンジによ
り5分かけて滴下注入し、残存する未反応のイソシアネ
ートをクエンチした。反応生成物が室温程度まで冷却さ
れたことを確認してから、ロータリーエバポレーターを
用いて大半の溶剤を溜去し、残さにアンモニア水により
pH=9に調整した水とトルエンを加え、分液処理をし
た。水層中の水を再びロータリーエバポレーターで突沸
しないよう注意しながら溜去し、残さにイソプロピルア
ルコールを加え重合性フタロシアニン化合物の生成物
1.6gを粉体として取り出した。この生成物の分析に
は、TOF−MS(アプライドバイオシステムズ社:M
ARINER)を用い、HPLCと連動させて含有され
る物質の同定をおこない、HPLCの面積%(検出波長
254nm)としてその存在比を確認した。詳細な結果
を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】この結果より、HPLCの面積%として8
0.1%の純度で重合性フタロシアニン化合物が得ら
れ、しかも重合時のゲル化の原因となる多官能の重合性
フタロシアニン化合物が確認できなかった。
【0065】
【比較例4】重合性フタロシアニン化合物の合成(2) 比較例1で得た生成物(全アミド体のHPLC純度 6
9.7%)を用いた以外は実施例11と全く同様の操作
により、重合性フタロシアニン化合物の生成物1.4g
を粉体として取り出した。この生成物の分析には、TO
F−MS(アプライドバイオシステムズ社:MARIN
ER)を用い、HPLCと連動させて含有される物質の
同定をおこない、HPLCの面積%(検出波長254n
m)としてその存在比を確認した。詳細な結果を表4に
示す。
【0066】
【表4】
【0067】この結果より、HPLCの面積%として7
9.3%の純度で重合性フタロシアニン化合物が得られ
たが、その内、重合時のゲル化の原因となる多官能の重
合性フタロシアニン化合物が4.4%生成した。
【0068】
【実施例12】着色ポリマーの作製(1) マントルヒーター、冷却塔、攪拌機、温度計を備え、窒
素により容器内を十分置換した50mlの反応容器に、
無水ジメチルホルムアミド 20mlを仕込み、75℃
まで昇温した。そこに実施例11で得たフタロシアニン
構造部を有する重合性フタロシアニン化合物 0.6
g、メタクリル酸 0.3g、メタクリル酸メチル
0.3g、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル 50
mgを無水ジメチルホルムアミド 10mlに溶解させ
た溶液をマイクロシリンジにより30分かけて滴下注入
した。滴下終了後75℃を維持したまま4時間反応を行
い、さらに2,2'-アゾビスイソブチロニトリル 10
mgを無水ジメチルホルムアミド 2mlに溶解させた
溶液をマイクロシリンジにより5分かけて滴下し、温度
を85℃に上げて1時間反応を続けた。冷却後、反応液
を大量のメタノール中に注入し、析出させて乾燥するこ
とにより、着色ポリマー生成物 1.1gを粉体として
得た。この着色ポリマー生成物について分光光度計(日
立 U−3300)を用いて可視−紫外スペクトルのλ
=615nm付近にあるピークの吸光度を標品と比較す
ることにより、着色ポリマー中のフタロシアニン含有率
を算出した。標品としては、実施例3で得たCuフタロ
シアニンスルホ−2−ヒドロキシエチルアミド精製品を
分取クロマトグラフィーにかけ、モノアミド体のピーク
部分のみを分取することで、モノアミド体のHPLC面
積%を97.1%にまで高めたものを使用した。表5に
生成物の分析結果を示す。
【0069】
【表5】
【0070】この様に、39.2%という高い含有率で
ポリマー中にフタロシアニン類を導入する事ができた。
【0071】
【比較例5】着色ポリマーの作製(2) 実施例11で得たフタロシアニン構造部を有する重合性
フタロシアニン化合物の代わりに比較例4で得たフタロ
シアニン構造部を有する重合性フタロシアニン化合物を
用いた以外は実施例12と全く同様の操作により重合を
行ったが、重合初期からゲル状の物質が発生し始め、系
内の粘度がかなり上昇してきたため重合反応を中止し
た。結果としてゲル状の着色ポリマー生成物が 0.9
g得られ、水等の溶剤に対して膨潤する傾向が見られ
た。しかし、この生成物を溶解させる溶剤がなかったた
め、これ以上の分析は行わなかった。
【0072】
【実施例13】印字テスト(1) 実施例12で得られた着色ポリマーを色材成分として表
6に示す組成で配合し、撹拌溶解後、pH=7.5に調
節、ポアサイズ0.2μmのメンブランで濾過して着色
液を作製し、耐変色性の評価を行った。評価方法は、被
記録材としてコピー用紙Canon PAPER DR
Y(商品名、キヤノン販売(株)製)を用い、インクジ
ェットプリンター(BJF−8500)に本発明の着色
液を搭載して、10mm×30mmのベタ模様を印字
し、印字サンプルを作成した。この印字サンプルの耐変
色性を評価するため、変色の促進法としてオゾン濃度が
常に0.1±0.05体積%の範囲に保たれる遮光され
た槽内に印字サンプルを120分間放置し、試験前後の
印字サンプルの色差ΔE×abを測定した(JISZ
8730に準拠)。結果を表7に示す。この結果よりフ
タロシアニン構造部をポリマーに結合させることで、単
にポリマーを配合しただけでは効果の無かった耐変色性
に効果が見られることが分かった。この理由としてフタ
ロシアニン構造部が極めて会合しやすい構造であるた
め、被記録材上で会合した際に、結合されているポリマ
ー部分がそれにつられてフタロシアニン構造部を包むよ
うな立体配置をとり、オゾンからの攻撃を抑制したので
はないかと考えている。
【0073】
【比較例6】印字テスト(2) 実施例3で得たスルホンアミド体を着色成分として、更
にポリマー成分として合成ポリマー(メタクリル酸:メ
タクリル酸メチル=50:50 数平均分子量880
0)加えた表6に示す組成で着色液を作製し、インクジ
ェットプリンターに本着色液を搭載した以外は実施例1
2と全く同じ方法で印字サンプルを作成し、評価を行っ
た。結果を表7に示す。
【0074】
【比較例7】印字テスト(3) 実施例3で得たスルホンアミド体を着色成分として、ポ
リマー成分を含まない表6に示す組成で着色液を作製
し、インクジェットプリンターに本着色液を搭載した以
外は実施例12と全く同じ方法で印字サンプルを作成
し、評価を行った。結果を表7に示す。
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
【0077】
【発明の効果】モノアミド体を中間生成物として経由し
て製造した重合性フタロシアニン化合物及び着色ポリマ
ーから選択された少なくとも1種を着色液の色材成分と
して使用することで着色液の耐変色性を飛躍的に高める
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 雅史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4J026 AA17 AA19 AA20 AA24 AA25 AA26 AA32 AA37 AA38 AA44 AA45 AA48 AA49 AA50 AA53 AA54 AA55 AA60 AA61 AA62 AA68 AA69 BA30 GA07 4J100 AB01Q AB04Q AB07Q AC02Q AC03Q AC04Q AC24Q AC26Q AF05Q AF06Q AG02Q AG03Q AG04Q AJ02Q AJ09Q AK01Q AK18Q AK32Q AL03Q AL04Q AL05Q AL08P AL14Q AL36Q AL44Q AM01Q AM02Q AM15Q AM21Q AQ12Q AS02Q AS03Q BA03Q BA29Q BA38P BA56P BA56Q BA59P BC65P CA01 CA04 JA07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表されることを特徴とす
    る重合性フタロシアニン化合物。 【化1】 (式中、R1はHまたはメチル基を表し、Lは炭素数2
    〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[Met Pc]は
    中心金属がMetであるフタロシアニン残基を表し、M
    etは金属原子または2個の水素原子を表し、MはH、
    アルカリ金属またはNH4を表し、nは1〜3の整数を
    表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(1a)で表される単位を有する
    ことを特徴とする着色ポリマー。 【化2】 (式中、R1はHまたはメチル基を表し、Lは炭素数2
    〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[Met Pc]は
    中心金属がMetであるフタロシアニン残基を表し、M
    etは金属原子または2個の水素原子を表し、MはH、
    アルカリ金属またはNH4を表し、nは1〜3の整数を
    表す。)
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)で表される重合性フタ
    ロシアニン化合物と該重合性フタロシアニン化合物と共
    重合し得るモノマーの少なくとも1種を共重合させたコ
    ポリマーである請求項2に記載の着色ポリマー。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の重合性フタロシアニン
    化合物及び請求項2または3に記載の着色ポリマーから
    選択された少なくとも1種を液媒体中に含むことを特徴
    とする着色液。
  5. 【請求項5】 一般式(1): 【化3】 (式中、R1はHまたはメチル基を表し、Lは炭素数2
    〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[Met Pc]は
    中心金属がMetであるフタロシアニン残基を表し、M
    etは金属原子または2個の水素原子を表し、MはH、
    アルカリ金属またはNH4を表し、nは1〜3の整数を
    表す。)で表される重合性フタロシアニン化合物の製造
    方法であって、(1)金属または無金属フタロシアニン
    化合物に、クロロスルホン酸またはクロロスルホン酸に
    塩化チオニルを併用して反応させて一般式(2): 【化4】 (一般式(2)中、[Met Pc]、M及びnは前記一
    般式(1)と同義である。)で表されるスルホニルクロ
    リド体を得る工程と、(2)該スルホニルクロリド体
    と、水酸基を持った1級アミノ基を有する化合物を反応
    させる際に、水溶性の有機溶剤を10〜50質量%含む
    水溶液中でアミド化を行い、一般式(3): 【化5】 (一般式(3)式中、[Met Pc]、M及びnは前記
    一般式(1)と同義である。また、R2は、水酸基を持
    った1級アミノ基を有する化合物の残基を表す。)で表
    されるスルホンアミド体を得る工程と、(3)該スルホ
    ンアミド体と、イソシアナト基を有するアクリル系化合
    物を反応させることによって前記一般式(1)で表され
    る重合性フタロシアニン化合物を得る工程と、を有する
    ことを特徴とする重合性フタロシアニン化合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記水溶性の有機溶剤が、アセトン、エ
    タノール及びイソプロピルアルコールから選ばれた少な
    くとも1種である請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の重合性フタロシアニン
    化合物の少なくとも1種をモノマーとして用いることを
    特徴とする一般式(1a)で表される単位を有する着色
    ポリマーの製造方法。 【化6】 (式中、R1はHまたはメチル基を表し、Lは炭素数2
    〜4の直鎖状のアルキレン基を表し、[Met Pc]は
    中心金属がMetであるフタロシアニン残基を表し、M
    etは金属原子または2個の水素原子を表し、MはH、
    アルカリ金属またはNH4を表し、nは1〜3の整数を
    表す。)
  8. 【請求項8】 前記重合性フタロシアニン化合物と、該
    重合性フタロシアニン化合物と共重合し得るモノマーの
    少なくとも1種を共重合させてコポリマーを得る請求項
    7に記載の着色ポリマーの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記重合性フタロシアニン化合物が請求
    項5〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたも
    のである請求項7または8に記載の着色ポリマーの製造
    方法。
JP2002028418A 2002-02-05 2002-02-05 重合性フタロシアニン化合物、着色ポリマー、それらを含む着色液および重合性フタロシアニン化合物と着色ポリマーの合成法 Pending JP2003226822A (ja)

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JP2002028418A JP2003226822A (ja) 2002-02-05 2002-02-05 重合性フタロシアニン化合物、着色ポリマー、それらを含む着色液および重合性フタロシアニン化合物と着色ポリマーの合成法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014043555A (ja) * 2012-07-30 2014-03-13 Fujifilm Corp 着色硬化性組成物およびカラーフィルタ

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