JP2003195382A - 形状記憶合金を用いた駆動装置 - Google Patents

形状記憶合金を用いた駆動装置

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JP2003195382A
JP2003195382A JP2001395892A JP2001395892A JP2003195382A JP 2003195382 A JP2003195382 A JP 2003195382A JP 2001395892 A JP2001395892 A JP 2001395892A JP 2001395892 A JP2001395892 A JP 2001395892A JP 2003195382 A JP2003195382 A JP 2003195382A
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shape memory
memory alloy
temperature
drive
circuit
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Yoshihiro Hara
吉宏 原
Junichi Tanii
純一 谷井
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲温度が高温状態での高速応答を可能にで
きる形状記憶合金を用いた駆動装置を提供する。 【解決手段】 2つの形状記憶合金d7、d8が可動部
にそれぞれ接続されており、一方の形状記憶合金d7に
対して電圧又は電流を印加することにより加熱を行い、
加熱により変形した形状記憶合金d7の発生力で他方の
形状記憶合金d8を変形させるとともに可動部を動作さ
せる制御を連続的に行う。形状記憶合金d7、d8はT
i−Ni−Cu合金を300℃以上で熱処理して成り、
駆動温度を70℃以上にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は形状記憶合金を用い
た駆動装置に関し、例えば、形状記憶合金の伸縮により
カメラの手振れ補正を行うことのできる駆動装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金(以下、「SMA」(Shape
Memory Alloy)という場合がある)は、マルテンサイト
変態終了温度以下の温度で力を受けて塑性変形しても、
逆変態終了温度以上の温度に加熱されると形状回復す
る。この形状記憶効果を利用すれば、形状記憶合金でア
クチュエータを構成することが可能であり、従来より様
々な検討が行われている。例えば「システムと制御,第
29巻,第5号,1985年,栗林氏」では、形状記憶
合金を用いた制御要素の数学モデルと位置,力制御につ
いての検討結果が記載されている。
【0003】図18は形状記憶合金を用いた駆動装置の
原理を説明する図である。同図は可動部51の両側に形
状記憶合金52、53が接続されたツインSMA方式の
駆動装置50を示している。形状記憶合金の動作は、形
状記憶合金に電流を流すことにより発生するジュール熱
で行われるのが一般的である。
【0004】即ち、形状記憶合金の両端部間に電流を流
すと発熱により形状記憶合金が記憶長さに戻ることによ
り収縮するとともに引張りに対する弾性係数が大きくな
る。電流を遮断すると放熱により形状記憶合金が降温さ
れて柔らかくなり容易に塑性変形可能になる。
【0005】この時、可動部51に加わる力(以下、
「発生力」という)Fdは、以下の式(1)により表さ
れる。尚、Fpは一方の形状記憶合金の収縮による発生
力を示し、Fmは他方の形状記憶合金による抗力を示し
ている。
【0006】Fd=Fp−Fm ・・・(1)
【0007】従って、形状記憶合金52(以下「pSM
A」という場合がある。)の両端部52a、52b間に
電流を流すとともに、形状記憶合金53(以下「mSM
A」という場合がある。)の両端部53a、53b間の
電流を遮断すると、発生力Fdが、バランス状態から+
側に変化する。
【0008】このとき、加熱により収縮したpSMA5
2の発生力Fpによって他方のmSMA53が伸張する
ため、可動部51が+の方向に移動する。所定量移動し
たところで、発生力Fdが0(Fp=Fm)となり、駆動
装置50は停止する。更に+側に駆動したい場合には、
追加の電流を印加することにより追加の駆動を行うこと
ができる。
【0009】同様に、mSMA53の両端部53a、5
3b間に電流を流すとともに、pSMA52の両端部5
2a、52b間の電流を遮断すると、mSMA53の収
縮に伴ってpSMA52が伸張して可動部51は−の方
向に移動する。
【0010】図19は駆動装置50の駆動時における可
動部51の温度ヒステリシスを示す図である。縦軸は可
動部51の位置を示しており、横軸は形状記憶合金(p
SMA、mSMA)52、53の温度を示している。p
SMA52に電流を流し、mSMA53の電流を遮断し
た場合には矢印A1に示すように可動部51が移動す
る。この時、pSMA52、mSMA53の温度がそれ
ぞれt2、t1の時に可動部51が中点に配置される。
【0011】mSMA53に電流を流し、pSMA52
の電流を遮断した場合には矢印A2に示すように可動部
51が移動する。この時、pSMA52、mSMA53
の温度がそれぞれt1、t2の時に可動部51が中点に
配置される。
【0012】電流の通電と遮断とを短い周期で繰り返し
た場合には、B1に示すように中点付近で可動部51の
位置を変動させることができる。これにより、例えば駆
動装置50をカメラに搭載し、手振れによるカメラの揺
動に追従して逆方向に光学系を移動させることによって
手振れを補正することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】カメラ撮影時の手振れ
は通常数Hz〜約10Hzで発生する。手振れ補正のた
めに駆動装置50を用いる場合には少なくとも10Hz
の揺動に追従する高速応答性が求められる。図20は、
形状記憶合金52、53の通電と遮電の周波数を10H
zにした時の駆動装置50の応答特性を示す図である。
縦軸は可動部51の位置を示しており、横軸は時間(単
位:msec)を示している。また、破線は応答遅れの
ない場合(目標位置)を示し、駆動温度50の周囲温度
は25℃及び50℃である。
【0014】また、形状記憶合金52、53としてTi
−Ni合金を使用し、この駆動温度Tは65℃である。
尚、駆動温度Tは駆動時の平均温度を示し、 T=(t1
+t2)/2(図19参照)で表される。
【0015】同図によると、駆動装置50の周囲温度が
25℃の場合は入力電流にほぼ追従して可動部51を変
動させることができる。しかしながら、駆動装置50の
周囲温度が50℃の場合は入力電流に追従することがで
きず目標位置に対して誤差の最大値Dmaxが50%以上
になる。
【0016】即ち、例えばpSMA52に通電した際に
mSMA53の放熱が充分でなくmSMA53の弾性力
がpSMA52の収縮力に打ち勝つ。その後、mSMA
53の放熱とともにpSMA52が遅れて収縮して可動
部51が+側に移動する。しかし、可動部51が目標位
置まで移動する前にmSMA53に通電されるため目標
の補正値に到達できない。このため、一般にカメラ等の
使用保証温度の上限とされる50℃では手振れ補正が充
分できない問題があった。
【0017】本発明は、周囲温度が高温状態での高速応
答を可能にできる形状記憶合金を用いた駆動装置を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、可動部に接続された形状記憶合金と、前記
形状記憶合金に電圧または電流を印加して前記形状記憶
合金を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段の加熱
と加熱停止による放熱とによって前記形状記憶合金を伸
縮して前記可動部を駆動する形状記憶合金を用いた駆動
装置において、前記形状記憶合金の駆動温度を70℃以
上にしたことを特徴としている。
【0019】また本発明は、上記構成の形状記憶合金を
用いた駆動装置において、前記形状記憶合金の加熱時及
び放熱時の温度に対する伸縮量を示す温度ヒステリシス
の幅を20℃以下にしたことを特徴としている。
【0020】また本発明は、上記構成の形状記憶合金を
用いた駆動装置において、前記形状記憶合金はTi−N
i−Cu合金から成ることを特徴としている。
【0021】また本発明は、上記構成の形状記憶合金を
用いた駆動装置において、前記形状記憶合金を300℃
以上で熱処理したことを特徴としている。
【0022】また本発明は、可動部に接続された形状記
憶合金と、前記形状記憶合金に電圧または電流を印加し
て前記形状記憶合金を加熱する加熱手段と、前記形状記
憶合金を冷却する冷却手段とを備え、前記加熱手段の加
熱と、前記加熱手段の加熱停止及び前記冷却手段の冷却
による放熱とによって前記形状記憶合金を伸縮して前記
可動部を駆動することを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】《駆動メカニズム及びアクチュエ
ータの構成》以下に本発明の実施形態を図面を参照して
説明する。図1は一実施形態の駆動装置を手振れ補正シ
ステムに搭載したカメラを示す概略正面図である。手振
れ補正システムは、手振れに応じて光学系を補正するた
めに補正光学系d1を直交する2方向に移動させるよう
になっている。このため、手振れ補正システムには補正
光学系d1を含む可動部の両側に形状記憶合金が接続さ
れたツインSMA方式の駆動装置(アクチュエータ)が
2組組み込まれている。
【0024】補正光学系d1は補正光学系枠d2に保持
されている。補正光学系枠d2にはスライドガイドd
4、d6が一体化され、スライドガイドd4、d6に挿
通されるスライド軸d3、d6Aが台板d9に固定され
ている。これにより、補正光学系d1が台板d9に対し
てY方向に移動可能に支持されている。
【0025】台板d9にはスライドガイドd14、d1
6が一体化され、スライドガイドd14、d16に挿通
されるスライド軸d13、d16Aが土台d19に固定
されている。これにより、台板d9が土台19に対して
X方向に移動可能に支持されている。
【0026】スライドガイド4、14にはアクチュエー
タピンd5、d15がそれぞれ突設されている。アクチ
ュエータピンd5は、形状記憶合金d7、d8を可動部
に接続して止めるための端子(駆動点)であり、アクチュ
エータピンd5の両側に形状記憶合金(pSMA)d7及
び形状記憶合金(mSMA)d8の一端がそれぞれ取り付
けられている。形状記憶合金d7、d8の他端は台板d
9に固定されている。
【0027】pSMA(d7)及びmSMA(d8)は
電圧又は電流を印加して加熱を行うと、記憶長さに戻る
ことにより収縮する。pSMA(d7)及びmSMA
(d8)の電圧又は電流を遮断すると放熱により降温さ
れて弾性係数が低下する。
【0028】従って、pSMA(d7)に通電するとと
もにmSMA(d8)を遮電するとアクチュエータピン
d5がY+方向に移動する。また、mSMA(d8)に
通電するとともにpSMA(d7)を遮電するとアクチ
ュエータピンd5がY−方向に移動する。これにより、
補正光学系d1、補正光学系枠d2、スライドガイドd
4、d6及びアクチュエータピンd5から成る可動部を
一体的にY方向に移動させるY駆動アクチュエータa2
6(図2参照)が構成されている。
【0029】同様にアクチュエータピンd15には、両
側に形状記憶合金(pSMA)d17及び形状記憶合金
(mSMA)d18の一端が取り付けられている。形状記
憶合金d17、d18の他端は土台d19に固定されて
いる。従って、pSMA(d17)に通電するとともに
mSMA(d18)を遮電するとアクチュエータピンd
15がX+方向に移動する。また、mSMA(d18)
に通電するとともにpSMA(d17)を遮電するとア
クチュエータピンd15がX−方向に移動する。
【0030】これにより、補正光学系d1等を載せた台
板d9、スライドガイドd14、d16及びアクチュエ
ータピンd15から成る可動部を一体的にY方向に移動
させるX駆動アクチュエータa24(図2参照)が構成
されている。尚、スライドガイドd6、d16は、可動
部をガイドするとともに、可動部が紙面垂直方向に傾く
のを防止する。
【0031】pSMA(d7、d17)及びmSMA
(d8、d18)は、Ti−Ni−Cu合金から成り、
質量比はTiが約50%、Cuが3%以上、Niが47
%以下である。また、Ti−Ni−Cu合金を、9.8
×106Pa以上の応力下において300℃〜700℃
で3分以上の熱処理を2回以上行っている。
【0032】一般的な形状記憶合金であるTi−Ni合
金は2段変態が発生するが、Cuを添加していくことで
低温側の変態の発生を抑制し、変態温度を高くすること
ができる。これにより、Ti−Ni−Cu合金は、Ti
−Ni合金等の他の形状記憶合金に比して変態開始温度
及び逆変態開始温度が高温になり、より好適である。
【0033】図11はpSMA(d7、d17)及びm
SMA(d8、d18)の温度ヒステリシスを示す図で
ある。縦軸は変位量を示し、横軸は温度(単位:℃)を
示している。尚、同図は単一のSMAの特性を示し、S
MAが伸張する方向に適当な付勢力が加えられている。
本実施形態のSMAを実線で示し、比較のため従来のS
MAを破線で示している。また、図中、上方が収縮する
方向である。
【0034】同図によると、従来のSMAの駆動温度t
bが65℃であるのに対し、本実施形態のSMAは駆動
温度taが70℃以上になっている。また、温度ヒステ
リシスの幅twは20℃以下になっている。
【0035】図12はpSMA(d7、d17)及びm
SMA(d8、d18)から成るX、Y軸駆動アクチュ
エータa24、a26(図2参照)の発生力Fdの応答
特性を示している。同図において、縦軸は発生力であり
横軸は時間である。pSMA(d7、d17)に通電す
るとともにmSMA(d8、d18)を遮電しており、
Fd1、Fd2はそれぞれ周囲温度が25℃と50℃の
時の特性である。比較のため従来のSMAから成るアク
チュエータの周囲温度が50℃の特性をFd3に示して
いる。
【0036】発生力Fd1、Fd2、Fd3は前述の式
(1)により得ることができ、Fm1、Fm2、Fm3
はそれぞれFd1、Fd2、Fd3に対応するmSMA
(d8、d18)の放熱による発生力(抗力)の変化を
示している。尚、pSMA(d7、d17)の発生力F
pは、通電による加熱により収縮するため急峻に増加
し、何れの条件においても同様の特性を有する。
【0037】同図によると、周囲温度が50℃の場合の
アクチュエータの発生力Fd2は25℃の場合(Fd
1)よりも若干応答が遅れるが、従来(Fd3)よりも
放熱側のmSMAの放熱時間が短縮されるため、応答時
間が著しく短縮されている。放熱時の熱移動量Q[kcal/
hr]は熱伝導度をk[kcal/hr℃]、周囲との温度差Δt
[℃]とすると、Q=−kΔtで表される。
【0038】このため、放熱時間T(縦軸)と温度差Δ
t(横軸)との関係は図13に示すように、周囲との温
度差Δtが大きいと放熱時間Tが短縮される。従って、
本実施形態のSMAは、駆動温度ta(図11参照)が
83℃であるため、周囲温度が50℃のときに従来より
も温度差が大きくなって放熱時間が短縮される。これに
より、手振れ補正システムの高温下での高速応答に対応
することができる。
【0039】《手振れ補正システム》図2は手振れ補正
システムの構成を示している。手振れ補正システムは、
手振れの検出系としてジャイロ(角速度センサー)検出方
式、手振れの補正光学系としてレンズシフト方式を採用
している。また、可動部に対する駆動制御系には、前述
したツインSMA方式の駆動装置と、PSD(Position
Sensitive Device)を使用した位置検出センサーとを備
えたアナログサーボ制御方式を採用している。
【0040】カメラに振れが発生するとフィルム面や撮
像素子上で振れが発生し、結果として振れた写真が撮影
されてしまう。しかし、検出系で振れ量を検出し、補正
光学系で振れを打ち消す方向に被写体からの光を屈折さ
せることで、振れを防止することが可能となる。人の筋
肉の振動による手振れは、約10Hzであり、10Hz
の正弦波の揺れがカメラに発生すると考えられる。
【0041】図2において、a1はカメラ本体、a2、
a3はジャイロセンサー、a4は振れ検出回路、a5は
振れ量検出部、a6はレリーズ釦、a7はシーケンスコ
ントロール部、a8は係数変換部、a9は目標位置算出
部、a11は駆動制御補正部、a12は温度センサー、
a13はマイクロコンピュータ(μCOM)、a21は撮影
光学系、a22は補正光学系(図1のd1に相当す
る)、a23は駆動制御部、a24は前述したX駆動ア
クチュエータ、a25はX方向位置センサー、a26は
Y駆動アクチュエータ、a27はY方向位置センサーで
ある。
【0042】カメラの振れは、2つのジャイロセンサー
a2、a3により検出される。各ジャイロセンサーa
2、a3は、カメラが振れによって回転したときの振れ
の角速度信号を出力する。ジャイロセンサーa2、a3
はそれぞれ一方向の回転角速度を検出する。即ち、一方
のジャイロセンサーa2によりでX方向(水平方向)の回
転振れが検出され、他方のジャイロセンサーa3により
でY方向(垂直方向)の回転振れが検出される。
【0043】振れ検出回路a4は、ジャイロセンサーa
2、a3の信号ノイズをカットするためのフィルター回
路や、角速度信号を角度信号に変換するための積分回路
等から構成されている。シーケンスコントロール部a7
は、振れ量検出部a5、係数変換部a8、目標位置算出
部a9を制御してカメラの撮影や手振れ補正等に関する
シーケンスをコントロールする。
【0044】振れ量検出部a5は、振れ検出回路a4か
ら出力されたX、Y方向の角度信号を所定時間間隔で取
り込み、X、Y方向のカメラの振れ量detx,detyを検出
して出力する。係数変換部a8は、補正光学系a22の
個体バラツキや温度によって変化する光学性能を考慮し
て、撮影準備状態に移行した際に振れ量検出部a5で得
られた振れ量(detx,dety)を係数変換部a8で移動量(p
x,py)に変換する。温度による補正は温度センサーa1
2により検出された温度に基づいて行われる。
【0045】目標位置算出部a9は、駆動制御部a23
及びX,Y駆動アクチュエータa24、a26 (特に内
蔵する形状記憶合金)の温度による環境変化や経時変化
による駆動部の性能変化を考慮して、移動量(px,py)を
実際の駆動信号(drvx,drvy)に変換する。
【0046】駆動制御補正部a11は、駆動の制御状態
を最適化する。つまり、X、Y駆動アクチュエータa2
4、a26及び駆動メカニズムの個体バラツキや温度に
よる駆動性能の変化があっても、各個体・各温度で最適
な駆動制御が発揮できるように最適ゲインを設定する。
【0047】また、温度センサーa12からの信号を入
力することで、温度上昇により性能が変化するツインS
MA方式から成るX、Y駆動アクチュエータa24、a
26のサーボゲイン(P,D,DDの各ゲイン)を補正す
る。尚、マイクロコンピュータa13の枠内のブロック
では、マイクロコンピュータa13によるデジタル処理
が行われる。
【0048】撮影光学系a21は、補正光学系a22と
ともに被写体からの光をカメラのフィルム面或いは撮像
素子面に結像させる。補正光学系a22は、X、Y駆動
アクチュエータa24、a26によって駆動されると、
被写体からの光をそれぞれの方向に屈折する。その結
果、振れを補正することができる。駆動制御部a23
は、目標位置算出部a9から出力されるX,Y方向のそ
れぞれの目標位置に、補正光学系a22を駆動させるた
めの制御を連続的に行うアナログサーボ回路である(詳
細は図4,図5,図16に示す。)。
【0049】X駆動アクチュエータa24及びY駆動ア
クチュエータa26は、前述したようにツインSMA方
式を採り、補正光学系a22をそれぞれX、Y方向に駆
動する。X方向位置センサーa25及びY方向位置セン
サーa27は、可動部である補正光学系a22のX、Y
方向の動き・位置を検出するための位置検出センサーで
あり、この装置では後述するLED(Light Emitting Di
ode)及びスリットを可動側に搭載し(図5参照)、固定側
にはPSD(Position Sensitive Device)を用いた回路
を採用している。
【0050】撮影のためにカメラの使用者がレリーズ釦
a6を操作すると、それをシーケンスコントロール部a
7が検知する。レリーズ釦a6が半押しされると、撮影
準備開始スイッチがON状態となり、シーケンスコント
ロール部a7は撮影の準備をスタートする。撮影の準備
では、測光や被写体距離検出等が行われる。レリーズ釦
a6が全押しされると、撮影状態に移行する。そして、
撮影光学系a21内のピント調節用のレンズを駆動し
て、手振れ補正駆動が開始されるようになっている。
【0051】《駆動制御部の構成》図3は駆動制御部a
23を示す構成図である。図3において、b1はX方向
の目標位置データ受信部、b2はY方向の目標位置デー
タ受信部、b3はX回路調整用のゲインデータ受信部、
b4はY回路調整用のゲインデータ受信部、b5はDA
コンバータ部(DAC)、b6、b7はサンプルホールド
(S/H)回路、b8はX方向用のサーボ制御回路、b9
はY方向用のサーボ制御回路、b10はアクチュエータ
ドライバ部である。サーボ制御回路b8、b9にはサー
ボ制御部b8A、b9A及び位置検出部b8B、b9B
が設けられている。
【0052】駆動制御部a23の回路構成は、データ受
信部b1〜b4と、DAコンバータ部b5と、サーボ制
御回路部b6〜b9と、アクチュエータドライバ部b1
0とに大きく分けられる。X、Y方向の目標位置データ
受信部b1、b2は、目標位置算出部a9(図2参照)か
ら出力されたX、Y方向の駆動信号データ(drvx,drvy)
を保存する。X,Y回路調整部b3、b4は、サーボ制
御回路b8、b9のゲイン設定のため、駆動制御補正部
a11(図2参照)から出力されたX,Y方向のゲイン設
定データを保存する。
【0053】次に、目標位置の設定方法を図3に基づい
て説明する。X/Y方向選択回路(不図示)によりX方向
を選択し、X方向の目標位置データ(drvx)をX方向用の
目標位置データ受信部b1に転送して保存する。保存が
完了すると、DAコンバータ部b5が目標位置データ受
信部b1側の値をD/A変換する。
【0054】このとき、一方のS/H回路b6はサンプ
リング状態となるため、DAコンバータ部b5の出力が
X方向の目標位置電圧としてサーボ制御回路b8に入
る。またこのとき、他方のS/H回路b7はホールド状
態となっているので、DAコンバータ部b5からの出力
はY方向用のサーボ制御回路b9には入らない。
【0055】次のタイミングではY方向を選択して、Y
方向の目標位置データ(drvy)をY方向用の目標位置デー
タ受信部b2に転送・保存し、その値をDAコンバータ
部b5でD/A変換する。このタイミングでは、一方の
S/H回路b6がホールド状態で前回のX方向のD/A
値を保持したままとなっており、他方のS/H回路b7
はサンプリング状態となり、最新のD/A値をY方向用
のサーボ制御回路b9に出力する。このようにX方向へ
の出力とY方向への出力を交互に繰り返すことにより、
各サーボ制御回路b8、b9へのデータ出力を行う。
【0056】X方向用のサーボ制御回路b8とY方向用
のサーボ制御回路b9とは、基本構成が同じになってい
るので、ここではX方向用のサーボ制御回路b8を例に
挙げて説明する。サーボ制御回路b8の内部に配された
位置検出部b8Bとサーボ制御部b8Aは、X回路調整
部b3での設定値に対応した値に回路ゲイン(XPゲイ
ン,XDゲイン,XDDゲイン)を変更することができ
る。Pゲインとは比例ゲイン(目標位置と現在位置との
差のゲイン)である。Dゲインとは微分ゲイン(90度の
位相進み補償ゲイン)である。DDゲインとは微微分ゲ
イン(更なる90度の位相進み補償ゲイン)である。
【0057】サーボ制御回路b8内の位置検出部b8B
には、X方向位置センサーa25(図1参照)からの出
力が入る。同様に、サーボ制御回路b9内の位置検出部
b9Bには、Y方向位置センサーa27(図1参照)か
らの出力が入る。また、アクチュエータドライバ部b1
0は、リニア出力可能に構成されており、入力電圧に比
例した電圧をX,Y駆動アクチュエータa24、a26
(図1参照)に印加することができる。
【0058】図4はサーボ制御回路b8の回路構成を示
す図である。サーボ制御回路b9についても同様になっ
ている。図4において、c1はS/H回路(図4のb
6、b7に相当する。)、c2は回路調整部(図4のb
3、b4に相当する。)、c3は加算回路、c4は比例
ゲイン回路、c5、c6は微分回路、c7は電圧ゲイン
変換・LPF(ローパスフィルター)回路、c8はサーボ
オフセット回路、c9はVref(基準リファレンス電圧)
部、c10はアクチュエータドライバ(図4のb10に
相当する。)、c11はpSMA(図1のd7、d17に
相当する。)、c12はmSMA(図2のd8、d18に
相当する。)、c21はLED、c22はPSD、c2
3、c24はI/V(電流/電圧)変換回路、c25は減
算回路、c26は加算回路、c27はLED電流制御
部、c28はLPF(ローパスフィルター)である。
【0059】S/H回路c1は、自分自身の方向の値を
D/A変換している場合はサンプリング状態とし、他方
向の値の場合はホールド状態となる。こうすることで、
S/H回路c1から目標位置相当の電圧Vtがサーボ制
御回路に出力される。実際の位置相当の電圧Vnは、位
置検出部c23〜c28を経て生成される。
【0060】回路ゲイン調整部c2は、デジタルデータ
を変更することで、比例ゲイン回路c4でのPゲインの
調整、微分回路c5でのDゲインの調整、微分回路c6
でのDDゲインの調整が可能である。また、必要に応じ
てサーボオフセット回路c8により、サーボ制御回路の
オフセット電圧のアナログ値を変更することができる。
位置検出部c23〜c28の回路について説明を行う前
に、可動部の位置検出の原理を以下に説明する。
【0061】図5に、X,Y方向の各位置検出に使用す
るX、Y方向位置センサーa25、a27(図1参照)
の構成を示す。同図において、e1は面実装のLEDで
あり図4のc21に相等する。e2はLED(e1)内
の発光チップである。e3はLED(e1)からの発光光
束を絞って、指向性を鋭くするためのスリットである。
スリットe3は、発光部側が広く、受光部側が狭くなっ
ており、これによってエネルギーのロスをなるべく抑え
ながら、指向性を鋭くすることを可能としている。ま
た、e4は面実装のPSDであり、e5はPSD(e
4)内の受光チップである。
【0062】X、Y方向位置センサーa25、a27の
発光部側は、補正光学系d1、a22(図1、図2参
照)や補正光学系枠d2(図1参照)を構成している補
正光学ブロックe6に直接取り付けられており、補正光
学ブロックe6の動作にリンクして発光部も矢印e7方
向に移動する。
【0063】これに対して、受光部側のPSD(e4)
は静止した状態を保持しているので、補正光学ブロック
e6が移動するとPSD(e4)上での光の重心位置が
変化する。受光部e5上の光の受光位置が変化すると、
PSD(e4)からの光電変換電流(I1,I2)の比が変化
するので、光電変換電流(I1,I2)の比を測定することに
より、補正光学ブロックe6の位置を確認することがで
きる。
【0064】また、スリットe3から出力される光は、
移動検出方向e7には狭く、それに対して垂直な方向に
は広くなっている。このように発光光束に方向性をもた
せることにより、そのセンサーが検出すべき方向の位置
のみを検出することが可能となる。
【0065】つまり、補正光学ブロックe6が他の方向
(矢印e7に対して垂直方向、例えば紙面垂直方向)に移
動しても、PSD(e4)の受光面上でのスリット光の
状態が変化せず、位置信号に影響が出ないよう構成され
ている。矢印e7の方向に対して垂直な紙面垂直方向の
移動は、上記と同じ構成で配置方向が直交する位置セン
サーにより検知される。
【0066】図4において、位置検出部c23〜c28
の回路構成を説明する。I/V変換回路c23、c24
は、PSD(c22)(図5のe4に相当する。)から
の電流(I1,I2)を電圧に変換する。加算回路c26はI1
+I2=IOを求める。LED電流制御部c27はLED
(c21)の電流制御部であり、加算回路c26との組
み合わせで、V+の電圧を常に一定値に制御するための
回路である。
【0067】V+の電圧を常に一定値に保つことによっ
て、減算回路c25の出力V−をモニターすれば、補正
光学ブロックe6の移動位置が検出可能となる。LPF
(c28)は、位置検出のノイズ(高周波成分)をカット
して、実際のレンズ位置相当の電圧Vnを出力する回路
である。
【0068】次に、サーボ制御部b8Bの回路構成を説
明する。サーボ制御部b8BはPDD制御を行ってい
る。加算回路c3は、目標位置電圧Vtと実際位置電圧
Vnとの差を演算する(実際位置電圧は、符号がマイナ
ス状態であるため、加算回路で差を求めることができ
る。)。比例ゲイン回路c4は電圧のゲイン変換を行う
回路であり、比例のゲインを設定する。微分回路c5は
90度の位相進み補償を行い、微分回路c6は更なる9
0度の位相進み補償を行う。
【0069】比例ゲイン回路c4及び微分回路c5、c
6はそれぞれ回路調整部c2によって調整されるため、
駆動メカ部の個体バラツキがあっても、個体バラツキを
吸収することが可能である。また回路調整部c2によっ
て温度変化による影響も補正することができるため、温
度を検知して最適なゲインに修正することが可能であ
る。
【0070】電圧ゲイン変換・LPF回路c7は、最終
的なゲイン変換と高周波ノイズ除去を行う。サーボ制御
回路のオフセット回路c8は必要に応じて用いられ、個
体バラツキや温度の影響をサーボ回路のオフセット電圧
を調整することで最適化する。
【0071】Vref部c9は、アクチュエータドライバ
c10に対して基準リファレンス電圧(Vref)を出力す
る。リニア出力可能なアクチュエータドライバc10
は、IC(Integrated Circuit)に入力された電圧と同電
位の電圧をアクチュエータに印加する役割を果たす。
【0072】例えばモータを接続する場合の+側の端子
はpSMA(c11)に接続され、−側の端子はmSM
A(c12)に接続されることで、逆方向の移動を実現
することができる。pSMA(c11)の一端はアクチ
ュエータドライバc10の出力側に接続され、他端はグ
ランド(パワーグランド)に接地されている。mSMA
(c12)も同様であり、その一端がアクチュエータド
ライバc10の出力側に接続され、他端はグランド(パ
ワーグランド)に接地されている。
【0073】《アクチュエータドライバ部の構成》図6
はアクチュエータドライバc10(図4参照)の詳細を
示す図である。同図において、f1はアクチュエータド
ライバIC本体、f2はVin端子、f3はVref端子、
f4はVM+端子、f5はVM−端子、f7はpSMA
(図5のc11に相当する。)、f8はmSMA(図5の
c12に相当する。)である。
【0074】アクチュエータドライバIC本体(f1)
は、DCモータやムービングコイルのサーボドライブ用
のドライバICである。アナログのサーボドライブで
は、目標の位置(状態)と実際の位置(状態)に応じて最適
な印加電圧が決定し、そこで求められた印加電圧をアク
チュエータに印加するために、電流供給能力の高いリニ
アドライバ回路が使用される。
【0075】Vin端子f2は、印加すべき電圧値を入力
する。入力は電圧ゲイン変換・LPF回路c7(図4参
照)により行う。Vref端子f3は、基準電圧レベルを
入力する。入力はサーボ制御回路の基準リファレンス電
圧(Vref)部c9(図4参照)により行う。
【0076】VM+端子f4は、アクチュエータへの出
力端子(+側)であり、pSMA(f7)の一端が接続さ
れる。VM−端子f5は、アクチュエータへの出力端子
(−側)であり、mSMA(f7)の一端が接続される。
pSMA(f7)及びmSMA(f8)の他端は、パワ
ーGNDに接続される。
【0077】図7に、アクチュエータドライバIC本体
f1の入出力特性(Vin−Vrefの入力に対するVM+,
VM−の出力特性)を示す。同図において、横軸は入力
のVin−Vrefの値であり、縦軸は出力のVM+,VM
−の値である。VM+の出力(pSMA(f7)への印
加電圧)は、入力(Vin−Vref)が+の場合には入力に
対して比例の関係になるが、入力(Vin−Vref)が−の
場合には出力がゼロとなる。
【0078】VM−の出力(mSMA(f8)への印加
電圧)は、入力(Vin−Vref)が−の場合には入力に対
して比例の関係になるが、入力(Vin−Vref)が+の場
合には出力がゼロとなる。つまり、1つのサーボ演算ル
ープとその後段に接続されたモータ駆動用のリニアモー
タドライバ(印加方法も含めて、入力電圧に比例した印
加電圧をVM+,VM−間に発生させるドライバ回路)
を使用して、VM+端子f4をX、Y駆動アクチュエー
タa24、a26(図2参照)の一方のpSMA(f
7)に接続し、VM−端子f5を他方のmSMA(f
8)に接続することにより、2つのSMA(f7、f
8)を最適かつシンプルに制御して、高速なドライブを
達成することが可能となる。また、必要なアクチュエー
タ発生力の演算結果を、シンプルな回路構成で得ること
ができる。
【0079】《サーボ制御特性》ツインSMA方式のア
クチュエータの駆動原理を説明する。SMAに電圧を印
加して位置制御を行う場合の位相遅れは次のような関係
になる。
【0080】[電圧]→[電流]→→[発熱]→[引っ張り力
(引っ張り力量差)]→[加速度]→→[速度]→→[位置]
【0081】上記において、「→→」の部分が90度分
の位相遅れとなる。したがって、ツインSMAアクチュ
エータに電圧を印加した場合の位相遅れはトータル3次
(270度)遅れとなる。
【0082】図8に、ツインSMA方式のアクチュエー
タのオープン特性を示す。同図において、縦軸はゲイン
(単位:dB)及び位相θ(単位:deg)を示し、横
軸は周波数(単位:Hz)を示している。実線はゲイン
特性、一点鎖線は位相(θ)特性である。また、ツインS
MA方式のアクチュエータの実測結果等からモデル式を
作成して周波数特性を求めている。ツインSMA方式の
アクチュエータは応答遅れが少なく、同図によると、約
70Hz程度で共振を起こし、それ以降は270度の位
相遅れ特性を示している。
【0083】図9は、ツインSMA方式のアクチュエー
タに対してPDD(比例+微分+微分)制御を行った場合
のオープン特性である。目標とする手振れ補正性能(例
えば、発生する振れ量を1/8にする)を達成するため
に必要なループゲインを設定した場合を示している。表
示形式は図8と同様である
【0084】微分(90度の位相進み補償)を2回入れ
て、180度の位相進み補償を行っているので、位相余
裕K1(ゲイン値が0dBとなった場合の180deg
の位相遅れに対する余裕量)、ゲイン余裕K2(位相が1
80deg遅れたときのゲイン値0dBに対する余裕
量)とも有している。この状態では安定したサーボ制御
が可能となる。
【0085】図10は、ツインSMA方式のアクチュエ
ータに対してPDD(比例+微分+微分)制御を行った場
合のフィードバック(FB)特性である。表示形式は図8
と同様である。ゲイン特性が0dBに対して高くなるほ
ど共振が大きくなるが、同図によると、0dBよりも高
くなる量Kが小さいため大きな共振が発生せず、理想的
なサーボ制御が可能となる。以上のような制御によりツ
インSMA方式のアクチュエータを使用して、高速なサ
ーボ制御を実現している。
【0086】上記構成のカメラ1において、手振れ補正
システムを駆動したときのX、Y軸アクチュエータa2
4、a26(図2参照)の応答特性を図14に示す。縦
軸は可動部の位置(単位:μm)であり、横軸は時間
(単位:msec)である。形状記憶合金d7、d8、
d17、d18(図1参照)は、駆動温度が70℃、8
3℃の場合について示し、比較のため従来の形状記憶合
金(駆動温度:65℃)を示している。また、周囲温度
が50℃の時にアクチュエータの駆動周波数を10Hz
にしており、破線は±100μmの揺動に対する目標位
置である。
【0087】同図によると、駆動温度の異なる何れの形
状記憶合金も目標位置に対して遅延する。即ち、例えば
pSMA(d7、d17)(図1参照)に通電した際に
mSMA(d8、d18)(図1参照)の放熱が充分で
なくmSMA(d8、d18)の弾性力がpSMA(d
7、d17)の収縮力に打ち勝つ。
【0088】その後、mSMA(d8、d18)の放熱
とともにpSMA(d7、d17)が遅れて収縮して可
動部が+側に移動する。しかし、可動部が目標の位置ま
で移動する前にmSMA(d8、d18)に通電される
ため目標の補正値に到達できない。
【0089】しかしながら、駆動温度が83℃、70℃
の場合は従来(駆動温度65℃)よりも遅延量が小さく
なっている。各駆動温度毎の応答特性と目標位置との差
が補正に対する誤差となる。図15は補正に対する誤差
を示す図である。縦軸は誤差(単位:μm)を示し横軸
は時間(単位:msec)を示している。
【0090】従来の駆動温度が65℃の場合は誤差が約
75%(75μm/100μm)である。これに対し、
駆動温度が83℃の場合は誤差が約10%(10μm/
100μm)であり、駆動温度が70℃の場合は誤差が
約40%(40μm/100μm)である。
【0091】従って、駆動温度が70℃以上であれば周
囲温度が50℃の時であっても手振れにより揺動する量
に対して1/2以上補正することができ、実用可能にな
る。これにより、一般にカメラ等の使用保証温度の上限
とされる50℃以下の範囲で手振れ補正を充分行うこと
ができる。
【0092】また、駆動温度を80℃以上にすることに
より、補正の誤差を約10%以下にすることができ、高
精度の応答性が必要な場合に有効である。尚、周囲温度
が25℃の場合は、駆動温度が65℃、70℃、83℃
の何れの形状記憶合金も図14の83℃の場合と同様の
良好な応答特性を示した。
【0093】また、温度ヒステリシスの幅tw(図11
参照)は20℃以下であれば、形状記憶合金の電圧印加
(温度上昇)に対する変位の時間遅れが短くなるので高
速応答を実現できる。
【0094】更に、形状記憶合金d7、d8、d17、
d18を冷却する冷却装置を設けると、形状記憶合金d
7、d8、d17、d18の放熱が促進されるのでより
望ましい。冷却装置として前述の図1に示すファンd2
0やペルチェ素子等を用いることができる。
【0095】また、本実施形態はツインSMA方式にし
ているが、図16に示すように一方を形状記憶合金d7
により引張り、他方をバネ等の付勢手段d21により引
張る方式にしてもよい。このようにしても、形状記憶合
金d7の駆動温度を70℃以上にすることにより高温高
速応答に対応させることができる。
【0096】尚、本実施形態は形状記憶合金の駆動温度
を熱処理により高くしているが、形状記憶合金に加えら
れる応力により駆動温度を高くしてもよい。図17は、
伸張方向に付勢された従来例(図20参照)と同じ形状
記憶合金の温度ヒステリシスを示す図である。縦軸は歪
み(単位:%)、横軸は温度(単位:℃)を示してい
る。
【0097】また図中、上方が収縮する方向であり、付
勢力による応力が274MPa、323MPa、372
MPaの場合を示している。同図によると、同じ形状記
憶合金であっても加えられる応力が大きいと駆動温度が
上昇する。これにより、駆動温度を70℃以上にするこ
とができ、上記のように、周囲温度が50℃の高温下で
も高速な応答が可能になる。
【0098】尚、本実施形態の駆動装置(X、Y軸アク
チュエータa24、a26)をカメラの手振れ補正シス
テム以外の機器に応用することも可能である。
【0099】
【発明の効果】本発明によると、形状記憶合金の駆動温
度を70℃以上にすることによって、周囲温度が50℃
の時であっても手振れにより揺動する量に対して1/2
以上補正することができ、実用可能になる。これによ
り、一般にカメラ等の使用保証温度の上限とされる50
℃以下の範囲で手振れ補正を充分行うことができる。ま
た、高温高速応答が求められる機器に搭載可能となる。
【0100】また本発明によると、温度ヒステリシスの
幅を20℃以下にしているので、形状記憶合金の電圧印
加(温度上昇)に対する変位の時間遅れが短くなるので
高速応答を実現できる。
【0101】また本発明によると、形状記憶合金がTi
−Ni−Cu合金から成るので、容易に駆動温度を70
℃以上にすることができる。
【0102】また本発明によると、形状記憶合金を30
0℃以上で熱処理するので、容易に駆動温度を70℃以
上にすることができる。
【0103】また本発明によると、形状記憶合金を冷却
する冷却手段を備えるので、形状記憶合金の放熱を促進
して周囲温度が高温下での高速応答を可能にすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施形態の駆動装置を示す概略構
成図である。
【図2】は、本発明の実施形態の駆動装置を搭載した手
振れ補正システムを示すブロック図である。
【図3】は、手振れ補正システムの駆動制御部を示すブ
ロック図である。
【図4】は、手振れ補正システムのサーボ制御回路を示
すブロック図である。
【図5】は、手振れ補正システムの位置センサーを示す
概略構成図である。
【図6】は、ツインSMA方式のアクチュエータのアク
チュエータドライバICを示すブロック図である。
【図7】は、図6のアクチュエータドライバICの入出
力特性を示すグラフである。
【図8】は、ツインSMA方式のアクチュエータのオー
プン特性を示すグラフである。
【図9】は、ツインSMA方式のアクチュエータをPD
D制御した時のオープン特性を示すグラフである。
【図10】は、ツインSMA方式のアクチュエータをP
DD制御した時のフィードバック特性を示すグラフであ
る。
【図11】は、本発明の実施形態の形状記憶合金の温度
ヒステリシスを示すグラフである。
【図12】は、本発明の実施形態の駆動装置の放熱応答
特性を示すラフである。
【図13】は、形状記憶合金の放熱時間と周囲温度との
関係を示すラフである。
【図14】は、本発明の実施形態の駆動装置の応答特性
を示すラフである。
【図15】は、本発明の実施形態の駆動装置の補正誤差
を示すラフである。
【図16】は、本発明の他の実施形態の駆動装置を示す
概略図である。
【図17】は、形状記憶合金の応力による温度ヒステリ
シスの変化を示す図である。
【図18】は、ツインSMA方式の駆動装置の原理を説
明する図である。
【図19】は、ツインSMA方式の駆動装置の温度ヒス
テリシスを示すグラフである。
【図20】は、従来の駆動装置の応答特性を示すグラフ
である。
【符号の説明】
a12,c15,c16 温度センサー a22,d1 補正光学系(可動部) e6 補正光学ブロック(可動部) a23 駆動制御部 a24,a26 X,Y駆動アクチュエータ a25,a27 X,Y方向位置センサー b8,b9 X,Y方向用のサーボ制御回路 b10 アクチュエータドライバ部 c10 アクチュエータドライバ f1 アクチュエータドライバIC c11,d7,d17,f7 pSMA c12,d8,d18,f8 mSMA d3、d6A、d13、d16A スライド軸 d4、d6、d14、d16 スライドガイド d9 台板 d19 土台 d20 ファン
フロントページの続き Fターム(参考) 5C022 AA13 AB55 AC42 AC54 AC69 AC74

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部に接続された形状記憶合金と、前
    記形状記憶合金に電圧または電流を印加して前記形状記
    憶合金を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段の加
    熱と加熱停止による放熱とによって前記形状記憶合金を
    伸縮して前記可動部を駆動する形状記憶合金を用いた駆
    動装置において、 前記形状記憶合金の駆動温度を70℃以上にしたことを
    特徴とする形状記憶合金を用いた駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記形状記憶合金の加熱時及び放熱時の
    温度に対する伸縮量を示す温度ヒステリシスの幅を20
    ℃以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の形状記
    憶合金を用いた駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記形状記憶合金はTi−Ni−Cu合
    金から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の形状記憶合金を用いた形状記憶合金を用いた駆動
    装置。
  4. 【請求項4】 前記形状記憶合金を300℃以上で熱処
    理したことを特徴とする請求項3に記載の形状記憶合金
    を用いた駆動装置。
  5. 【請求項5】 可動部に接続された形状記憶合金と、前
    記形状記憶合金に電圧または電流を印加して前記形状記
    憶合金を加熱する加熱手段と、前記形状記憶合金を冷却
    する冷却手段とを備え、前記加熱手段の加熱と、前記加
    熱手段の加熱停止及び前記冷却手段の冷却による放熱と
    によって前記形状記憶合金を伸縮して前記可動部を駆動
    することを特徴とする形状記憶合金を用いた駆動装置。
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