JP2003189855A - 新規薬剤耐性遺伝子 - Google Patents

新規薬剤耐性遺伝子

Info

Publication number
JP2003189855A
JP2003189855A JP2001392710A JP2001392710A JP2003189855A JP 2003189855 A JP2003189855 A JP 2003189855A JP 2001392710 A JP2001392710 A JP 2001392710A JP 2001392710 A JP2001392710 A JP 2001392710A JP 2003189855 A JP2003189855 A JP 2003189855A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
shiitake
seq
resistance gene
vector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001392710A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003189855A5 (ja
Inventor
Toshiji Sato
利次 佐藤
Shunichi Irie
俊一 入江
Kumiko Saito
久美子 齋藤
Hitoshi Ei
仁 江井
Yoichi Honda
与一 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwate Prefectural Government
Original Assignee
Iwate Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Iwate Prefectural Government filed Critical Iwate Prefectural Government
Priority to JP2001392710A priority Critical patent/JP2003189855A/ja
Publication of JP2003189855A publication Critical patent/JP2003189855A/ja
Publication of JP2003189855A5 publication Critical patent/JP2003189855A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シイタケ菌で有効に機能しうる新規薬剤耐性
遺伝子と、これを利用した形質転換効率の高いベクター
系を提供する。 【解決手段】 シイタケ菌の薬剤感受性に関与する遺伝
子に人為的に変異を導入し、薬剤耐性遺伝子を得る。特
に、カルボキシンによって機能が抑制されているsdi1遺
伝子に人為的に塩基置換を導入してカルボキシン耐性遺
伝子を作製し、該遺伝子を用いることにより、子実体を
有する菌類、特にシイタケを安全かつ高効率で形質転換
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規薬剤耐性遺伝
子に関する。より詳細には、シイタケ由来の遺伝子に人
為的変異を導入して作出された新規薬剤耐性遺伝子とこ
れを利用した子実体を有する菌類の形質転換方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年組換えDNA技術の進歩により、様々
な細胞を宿主として異種遺伝子発現用宿主ベクター系が
開発され、種々の有用物質が生産されている。また、植
物の育種においても、古典的交配では不可能であった種
を越えた異種遺伝子導入が、アグロバクテリウム・チュ
メファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプ
ラスミド等の宿主ベクター系を用いて行われ、所望の性
質を有するトランスジェニック植物が作出されている。
【0003】上記宿主ベクター系のうち、現在までに最
も多く実用化されているのは大腸菌の宿主ベクター系で
ある。しかし、大腸菌を宿主として高等動物由来のポリ
ペプチドを生産させると、糖鎖が付加されないことや、
ポリペプチドが適切にフォールディング(folding)さ
れないことが原因で、元来の生理活性を示さないことが
多い。また、大腸菌は目的ポリペプチドの生産過程にお
いて、様々な毒性物質を産生するため、多段階の精製過
程が必要となるなどの問題もある。
【0004】こうした問題を解決するため、糖鎖付加機
能及び適正なフォールディング機能を有する宿主とし
て、酵母細胞や動物細胞などの真核細胞を用いた宿主ベ
クター系の開発が行われてきた。しかし、酵母細胞を用
いてヒトなどの高等動物由来のポリペプチドを生産させ
た場合、元来のものとは異なる高マンノース型の糖鎖が
付加されるとか、目的ポリペプチドの生産量が低いなど
の問題を生じる。また、動物細胞を用いた場合には、目
的産物の収量が極めて低いとか、高価な培地を必要とす
るなどの問題を生じる。そのため、高等動物細胞と同等
の糖鎖付加機能を有し、かつ安価に培養でき、安全性が
高い宿主ベクター系が求められていた。
【0005】ところで、担子菌は一般に酵母よりも動物
に近縁である[T. L. Smith : Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 86: 7063 (1989)]ため、適正な糖鎖付加機能及
び適正なフォールディング機能を有していると考えられ
ている。特に、担子菌の1つであるシイタケ(Lentinul
a edodes )は、長年食用に用いられてきた実績もあ
り、安全性に優れている。また、ビタミンD前駆物質で
あるエルゴステロール含量が高く、抗癌性多糖レンチナ
ンやコレステロール低下作用を有するエリタデニンも含
む。そのため、食品や医薬原料用としての新しいシイタ
ケ育種が望まれ、この点においてシイタケを宿主とする
有効なベクター系の確立が望まれる。
【0006】食用担子菌の形質転換法としては、これま
で、Miranda D.らが、マッシュルームのエレクトロポレ
ーション法[Miranda D. van de Rhee, et.al., Mol.Ge
n.Genet., 250, 252-258, (1996)]、Ming Pengらがヒ
ラタケのエレクトロポレーション法[Peng, M., et.a
l., Curr. Genet., 22, 53-59, (1992)]、そして、 Ya
nai,らが同じくヒラタケでポリエチレングライコール法
[Yanai, K. et. al., Biosci. Biotech. Biochem., 6
0, 472-475 (1996)]について報告し、 Noёl らがフミ
ヅキタケでポリエチレングライコール法[Noёl, T and
Labarere, J. ,Curr. Genet., 25: 432-437 (1994),
Noёl, T. et al., Theor. Appl. Genet., 90: 1019-10
27 (1995)]について報告している。また、発明者らも
種々のシイタケの形質転換方法[Sato, T. et. al., Bi
osci. Biotech. Biochem., 62, 2346-2350 (1998)、佐
藤ら、特願平9-331611号]及び発現ベクター(pLG 及び
pLT)を報告している(Hirano, T. et al., Mol. Gen.
Genet.. 263, 1047-1052 (2000)、特願平10-247470
号、及び特願平11-342347号)。
【0007】しかしながら、上記ベクターではいずれも
マーカー遺伝子として、栄養要求性遺伝子か、異種生物
由来の薬剤耐性遺伝子が用いられている。前者は栄養要
求株を作出するために野生株の変異処理等が必要で、優
良品種の育種を目的とする場合には、宿主のよい性質を
保持することが難しい。また、後者は親株のよい性質を
損なわずに形質転換できるが、異種生物由来のため安全
性上好ましくない。一方、優良品種を育種するという目
的において、マーカー遺伝子は優勢選択マーカーである
ことが望ましいが、担子菌特にシイタケにおいては、異
種生物由来の優勢選択マーカーは、その形質転換効率が
他の生物の場合に比べて低いことが知られている。した
がって、同種由来のマーカーを用いることは形質転換効
率の点からも望ましい。
【0008】ところで、発明者はヒラタケ由来のコハク
酸デヒドロゲナーゼIpサブユニットをコードする遺伝子
に変異を加えることにより、カルボキシン耐性遺伝子を
作出し、これを利用したベクター(pTM1)を開発した。
そして、このベクターによりヒラタケの形質転換に成功
している(特開2001-69987号、Honda, et al., Curr.Ge
net., Vol. 37, 209-212, 2000)。そこで、このpTM1
を利用して、シイタケの形質転換を試みたが、pTM1 は
シイタケでは機能しなかった。なお、シイタケではこれ
までシイタケ以外のプロモーターが機能したという報告
はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、菌類特にシ
イタケ菌で有効に機能しうる新規薬剤耐性遺伝子と、こ
れを利用した形質転換効率の高いベクター系を提供する
ことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、シイタケからカルボキシンによってその機能が
抑制される遺伝子(sad1)を単離し、該遺伝子に人為的
変異を導入することにより、カルボキシン耐性遺伝子を
作出することに成功した。そして、該遺伝子を薬剤耐性
マーカーとして利用することにより、シイタケの形質転
換効率を著しく向上できることを見出し、本発明を完成
させた。
【0011】すなわち、本発明は以下の(1)〜(11)
を提供するものである。 (1) シイタケ菌の薬剤感受性に関与する遺伝子に変異を
導入して得られる、薬剤耐性遺伝子。 (2) 前記薬剤感受性に関与する遺伝子が、コハク酸デヒ
ドロゲナーゼIpサブユニットをコードする遺伝子であ
る、上記(1)記載の薬剤耐性遺伝子。 (3) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個
のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるタンパク
質をコードする、上記(1)記載の薬剤耐性遺伝子。 (4) 配列番号3で表されるプロモーター配列、配列番号
1で表される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠
失、置換もしくは付加された塩基配列、及び配列番号4
で表されるターミネーター配列を含む、上記(1)記載の
薬剤耐性遺伝子。 (5) 配列番号3で表されるプロモーター配列、配列番号
1で表される塩基配列において、1個の塩基が置換され
た塩基配列、及び配列番号4で表されるターミネーター
配列を含む、上記(1)記載の薬剤耐性遺伝子。 (6) 前記薬剤がカルボキシンである、上記(1)〜(5)のい
ずれか1に記載の遺伝子。 (7) 上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の遺伝子を含有す
る組換えベクター。 (8) 上記(7)記載のベクターを導入して得られる形質転
換体。 (9) 宿主が子実体を有する菌類である、上記(8)記載の
形質転換体。 (10) 前記菌類が担子菌に属する菌類である、上記(9)記
載の形質転換体。 (11) 前記菌類がシイタケである、上記(10)記載の形質
転換体。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 1.本発明の薬剤耐性遺伝子 本発明は、シイタケ菌の薬剤感受性に関与する遺伝子に
変異を導入して得られる薬剤耐性遺伝子である。
【0013】本発明にかかる「シイタケ菌」(Lentinul
a edodes)とは、担子菌類の亜門に属する食用のキノコ
(子実体を形成する菌)である。シイタケは、白色腐朽
菌の1つであって、木化した維管束植物が含有するリグ
ニンを分解する酵素を菌体外に分泌する性質を備える。
【0014】本発明にかかる「薬剤感受性」とは、ある
微生物が特定の薬剤(抗菌物質や化学療法剤)によって
発育を阻止される性質を意味する。また、「薬剤感受性
に関与する遺伝子」とは、該薬剤の標的タンパク質をコ
ードする遺伝子や、該薬剤によって機能が抑制されてい
る遺伝子など、微生物に薬剤感受性を付与している遺伝
子を意味する。例えば、シイタケ菌のカルボキシン感受
性に関与する遺伝子、カルボキシンの標的タンパクであ
るコハク酸デヒドロゲナーゼIpサブユニットをコードす
る遺伝子(sdi1遺伝子:構造領域:配列番号1、プロモ
ーター領域:配列番号3、ターミネーター領域:配列番
号4)を好適に用いることができる。
【0015】本発明の薬剤耐性遺伝子は前記「薬剤感受
性に関与する遺伝子」に人為的に変異を導入して得られ
る。ここで、「薬剤耐性遺伝子」とは、特定の薬剤に対
する抵抗性(耐性)を宿主(微生物)に付与する遺伝子
を意味する。
【0016】本発明で導入される「変異」は、遺伝子が
本来コードするアミノ酸配列において、1又は数個のア
ミノ酸の欠失、置換もしくは付加を生じさせるものであ
る。変異されるアミノ酸の数は、本発明の遺伝子が目的
とする薬剤耐性遺伝子としての効果を有する限り限定さ
れない。
【0017】本発明の薬剤耐性遺伝子は、例えばシイタ
ケ菌糸より調製したcDNA及びゲノムDNAライブラリーか
ら薬剤感受性に関与する遺伝子を単離し、該遺伝子に1
アミノ酸変異をPCRで導入することにより作製される。
本発明の薬剤耐性遺伝子の作製方法については、次項に
詳述する。
【0018】本発明の薬剤耐性遺伝子をシイタケ菌に導
入すると、シイタケ菌由来でない薬剤耐性遺伝子と比較
して、高効率かつ高レベルで発現され、薬剤耐性を有す
るシイタケに形質転換される。また、本発明の薬剤耐性
遺伝子で形質転換されたシイタケ菌は、シイタケ菌以外
の生物由来の遺伝子が残存する不具合を確実に回避する
ことができ、したがってより安全といえる。
【0019】2.本発明の薬剤耐性遺伝子の作製方法 本発明にかかる薬剤耐性遺伝子は、例えば以下の工程に
より得ることができる。 (1) シイタケのmRNA及びcDNAライブラリーの調製 (2) シイタケのゲノムDNA 及びゲノムDNAライブラリー
の調製 (3) 薬剤感受性に関与する遺伝子(sdi1遺伝子)の単離 (4) 塩基配列の決定 (5) 変異の導入 以下、各工程について順に説明する。
【0020】(1) シイタケのmRNA及びcDNAライブラリー
の調製 mRNAの供給源は、シイタケ(Lentinula edodes)の傘、
菌褶、菌輪、菌柄、脚苞、菌糸など子実体の一部でもよ
く、子実体全体でも良い。また、胞子又は一次菌糸若し
くは二次菌糸を0.25×MYPG培地、SMY培地、グルコース
・ペプトン培地などの固体培地で培養後、菌糸を液体培
地に接種し、生育してきた菌体も用いることができる。
【0021】mRNAの調製は、通常行われる手法により行
うことができる。例えば、液体培地により得られた菌糸
を、濾過によって回収後、液体窒素で凍結する。次い
で、凍結した菌糸を磨砕後、ISOGEN(ニッポンジーン社
製)などを加えて核酸を抽出する。抽出した核酸を、ク
ロロホルムやフェノール試薬などで処理して全RNAを得
る。次いで、オリゴ dT-セルロースやセファロース2Bを
担体とするポリU-セファロース等を用いたアフィニティ
ーカラム法、若しくはStraight A's mRNA Isolation Sy
stem(Novagen社製)などのキットによりmRNA(ポリ(A)
+RNA)を調製する。
【0022】こうして得られたmRNAを鋳型として、市販
のキット(例えば、ZAP ExpressTMcDNA Synthesis Kit
(Stratagene社製)を用い、オリゴdT20及び逆転写酵素
によって一本鎖cDNAを合成した後、該一本鎖cDNAから二
本鎖cDNAを合成する。次いで、得られた二本鎖cDNAにEc
o RIアダプターなどの適切なアダプターを付加後、Uni-
ZAP XR Vector(Stratagene社製)やλgt10(Amersham
社製)などの適当なクローニングベクターに組み込ん
で、組換えベクターを作製する。
【0023】クローニングベクターとしてプラスミドベ
クターを用いた場合、得られた組換えベクターを大腸菌
に形質転換する。ここで、大腸菌の形質転換はHanahan
の方法[Hanahan, D., J. Mol. Biol. 166: 557-580 (1
983)]、すなわち塩化カルシウム、塩化マグネシウム又
は塩化ルビジウムを共存させて調製したコンピテント細
胞に、組換えベクターを加える方法等により行うことが
できる。なお、用いたプラスミドベクターには、プレー
ト上でのコロニーの選択用にテトラサイクリン、アンピ
シリン等の薬剤耐性遺伝子が含有されていることが必要
である。次いで、二本鎖cDNAを含むプラスミドベクター
により大腸菌を形質転換後、テトラサイクリン耐性、ア
ンピシリン耐性を指標として形質転換体を選抜すること
により、cDNAライブラリーを得ることができる。
【0024】一方、クローニングベクターとしてファー
ジベクターを用いた場合には、得られた組換えベクター
をGiga Pack III Gold Packaging Extract(Stratagene
社製)などのキットを用いてin vitroパッケージング
後、形成されたファージを大腸菌に感染させる。これを
LB Agarなどの寒天培地を用いて培養し、プラークを形
成させることによりcDNAライブラリーを得ることができ
る。
【0025】(2) シイタケのゲノムDNA及びゲノムDNAラ
イブラリーの調製 ゲノムDNAの供給源は、上記(1)と同様に、シイタケの
傘、菌褶、菌輪、菌柄、脚苞、菌糸など子実体の一部で
もよく、子実体全体でもよい。また、胞子又は一次菌糸
若しくは二次菌糸を0.25×MYPG培地、SMY培地、グルコ
ース・ペプトン培地などの固体培地で培養後、菌糸を液
体培地に接種し、生育した菌体を用いてもよい。
【0026】ゲノムDNAの調製は、通常行われる手法に
より行うことができる。例えば、まず、液体培養したシ
イタケの菌体を濾過などにより集菌後、菌体を液体窒素
で凍結し、凍結菌体を乳鉢を用いて磨砕する。次いで、
磨砕した菌体にDNA抽出用緩衝液を加え、クロロホルム
を加え激しく撹拌する。その後、クロロホルムを除去
後、水層部分にエタノールを徐々に添加し、DNAが析出
したところでゲノムDNAを巻取り、TE緩衝液に溶解する
ことにより、ゲノムDNA溶液を得ることができる。ある
いは、磨砕した菌体から、市販のキット(例えばISOPLA
NT(ニッポンジーン社製))を用いてゲノムDNAを得て
もよい。
【0027】ゲノムDNAライブラリーの作製は、通常行
われる手法により行うことができる。すなわち、例え
ば、先ず、ゲノムDNAを制限酵素Sau3AIなどの制限酵素
で消化し、フェノール・クロロホルム処理後、エタノー
ル沈殿によりDNA断片を回収する。次いで、市販のキッ
ト(例えばLambda EMBL3/Bam HI Vector Kit(Stratage
ne社製))を用い、該断片を例えばλ EMBL3-Bam HIア
ームにT4 DNAリガーゼを用いて連結し、得られたファー
ジDNAを大腸菌に感染させる。その後、これをLBAgar な
どの寒天培地を用いて培養し、プラークを形成させるこ
とによりゲノムDNAライブラリーを得ることができる。
【0028】(3) 薬剤感受性に関与する遺伝子の単離 目的とする薬剤感受性に関与する遺伝子は、上記(1)で
調製したcDNAライブラリー又は上記(2)で調製したゲノ
ムDNAライブラリーから公知の方法(例えば、プラーク
ハイブリダイゼーション法、PCR法など)によりスクリ
ーニングすることができる。すなわち、既知の糸状菌類
の 薬剤感受性に関与する遺伝子(例えば、カルボキシ
ンの標的タンパクであるコハク酸デヒドロゲナーゼIpサ
ブユニットをコードする遺伝子:sdi1 遺伝子)におい
て保存性の高いアミノ酸配列をもとに縮重センスプライ
マー及び縮重アンチセンスプライマーを合成する。そし
てこれらを用いて縮重ポリメラーゼ連鎖反応(縮重PCR
ともいう)を行う。次いで得られた断片をプローブとし
て、シイタケcDNAライブラリーからスクリーニングする
方法等が挙げられる。
【0029】縮重PCRに用いられる鋳型DNAとしては、上
記(2)で調製したゲノムDNAが挙げられる。また、この縮
重PCRに用いられるプライマーは特に限定されず、糸状
菌類等の薬剤感受性に関与する遺伝子において高度に保
存されたアミノ酸配列に基づいて設計されたものであれ
ば如何なる配列を有するものであってもよい。
【0030】つぎに、上記縮重PCRによって得られたDNA
増幅断片の塩基配列を公知の方法を用いて決定し、シイ
タケ以外の他の担子菌における公知の薬剤感受性に関与
する遺伝子(例えばsdi1 遺伝子)とホモロジーが高い
ことを確認する。その後、該DNA増幅断片をペルオキシ
ダーゼ、アルカリフォスフォターゼなどの酵素による酵
素直接標識又は32P、35Sなどの放射性同位元素による放
射性標識を行う。標識した断片をプローブとして、上記
(1)で得られた cDNA ライブラリ又は上記(2)で得られた
ゲノムライブラリーを変性固定したニトロセルロースや
ナイロンメンブレンフィルターとハイブリダイズさせ
る。そして、得られたポジティブシグナルからファージ
クローンを同定すれば、シイタケ由来の薬剤感受性に関
与する遺伝子をクローニングすることができる。
【0031】(4) 塩基配列の決定 上記(3)のスクリーニングにより得られたファージクロ
ーンは、直接あるいは、pBlueScript SK(+)(Stratagen
e社製)、pCR2.1(Invitrogen社製)等の市販されてい
る適切なプラスミドベクターにサブクローニングするな
どして、サイクルシークエンス法などの塩基配列解析を
行う。塩基配列の決定は、自動塩基配列決定機を用いて
行えばよい。
【0032】こうして、シイタケ由来の薬剤感受性に関
与する遺伝子とそのcDNAの塩基配列が明らかにされれ
ば、それらを比較することにより、該遺伝子のどの領域
がエキソンであり、どの領域がイントロンであるかを知
ることができる。またこの遺伝子の塩基配列に基づいた
プライマーを作成してPCRを行うことによって、該遺伝
子を新たに単離することもできる。
【0033】(5) 変異の導入 つぎに、上述のようにして得られたシイタケ由来の薬剤
感受性に関与する遺伝子に、塩基置換を導入し、薬剤耐
性遺伝子を作出する。 1) 変異を導入する薬剤耐性遺伝子の単離 まず、塩基置換を導入する基になる遺伝子を単離する。
単離は、上記1.(3)において決定された塩基配列に基
づいて、プロモータからターミネーター領域を含む該遺
伝子の全長を挟み込むようにしてセンスプライマー及び
アンチセンスプライマーを合成する。次いで、該プライ
マーを用いて、前述のシイタケのゲノムライブラリーか
らクローニングしたゲノム薬剤耐性遺伝子や、ゲノムDN
Aなどを鋳型としたPCRにより目的とする遺伝子を増幅す
る。 2)塩基置換 前記遺伝子に薬剤耐性を付与するために、構造遺伝子部
分に変異を導入する。導入される変異は特に限定されな
いが、構造遺伝子がコードするアミノ酸配列において、
1アミノ酸置換を生じる変異が好ましい。かかる1アミ
ノ酸置換は、例えばPCR によって構造遺伝子部分に1塩
基置換の変異を導入することで容易に達成することがで
きる。
【0034】なお、DNAに変異を導入するには、上述の
方法以外に Kunkel法等の公知の手法又はこれに準ずる
方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変
異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K
やMutant-G(TaKaRa社製))などを用いて、あるいはTa
KaRa社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット
を用いて変異を導入することができる。
【0035】3.カルボキシン耐性遺伝子 本発明の好適な態様において、シイタケ由来の遺伝子よ
りカルボキシン耐性遺伝子を作製することができる。 (1)カルボキシン カルボキシンは、植物などの消毒殺菌剤として用いられ
る抗真菌性を有する合成薬剤であって、好気性生物にお
ける電子伝達系の連続的な反応を阻害する。野生型のシ
イタケ菌は、このカルボキシンを含有する培地上では生
存することができない。カルボキシンの電子伝達系の反
応阻害は、正確には未だに解明されていないが、コハク
酸デヒドロゲナーゼのIp(鉄−イオウタンパク)サブ
ユニットとユビキノンとの間の電子伝達を遮断すると考
えられている。前記コハク酸デヒドロゲナーゼは、フマ
ル酸レダクターゼなどとも呼ばれるミトコンドリアの内
膜及び細菌の細胞膜の電子伝達系に存在する分子量約1
0万の金属フラビンタンパク質である。カルボキシン
は、下記の構造式で示される。
【0036】
【化1】
【0037】野生型のシイタケ菌は、カルボキシンを含
有する培地上では生存することができない。上述したよ
うにカルボキシンは、好気性生物が行う呼吸のうち電子
伝達系におけるComplex IIのIpサブユニットの働きを
阻害する。シイタケ菌におけるComplex IIのIpサブユ
ニットをコードする遺伝子を単離し、この遺伝子を前記
Ipサブユニットのアミノ酸を置換するように変異させ
ることによって、カルボキシン耐性遺伝子を作出するこ
とができる。
【0038】(2)シイタケ由来sdi1遺伝子 まず、シイタケゲノムDNAを鋳型とし、配列番号5及び6
のプライマーを用いたPCRにより、約400bp の断片を得
た。該断片は既知のシイタケ以外の担子菌由来sdi1 遺
伝子と高いホモロジーを有していた。このうち、特に保
存性が高い領域はシステインに富んだ領域(cystein-ri
ch cluster)で、それが全配列中I〜IIIと3カ所あった
(図3及び図4)。さらに、その cDNA 約1.0kb の塩基
配列及び該遺伝子を含むゲノム DNA 領域の塩基配列約
4.1 kb(全長 6.5 kb のうちの約4.1 kb:その内訳は
5' 領域約3.2 kb -これにはプロモータ領域約1.4kb、構
造遺伝子部分1.1kb及びターミネータ部分約0.7kbまでが
含まれる-と3' 末端領域約0.9kb)を決定した。以下、
前記シイタケ由来のカルボキシン耐性遺伝子をシイタケ
由来sdi1遺伝子と呼ぶ。
【0039】より具体的には、シイタケ由来sdi1遺伝子
(図3)は、その配列番号1に示す塩基配列の構造領域
と配列番号3に示すプロモーター配列及び配列番号4に
ターミネーター領域を有する。また、このsdi1遺伝子に
よってコードされるタンパク質(Ipサブユニット)は、
配列番号2に示すアミノ酸配列を有する。
【0040】また前記sdi1遺伝子のうち、5’上流の開
始コドンを1番目とするときに、145番目から205番目ま
で、278番目から329番目まで、514番目から574番目ま
で、674番目から734番目まで、902番目から954番目ま
で、及び1031番目から1090番目までがイントロンであっ
た。(ストップコドンの42塩基対下流に存在するATAAT
塩基配列は、ポリアデニレーション部位と考えられ
る。)
【0041】なお、このシイタケ由来のsdi1遺伝子をヒ
ラタケのsdi1遺伝子と比較すると、構造領域部分では83
%のホモロジーを有するにもかかわらず、プロモーター
領域は42%、ターミネーター領域は30%のホモロジーし
か有していなかった。図4は、シイタケとヒラタケのア
ミノ酸配列を比較したものである。ヒラタケもシイタケ
も保存性の高い領域として cystein-rich cluster がI
〜IIIと3カ所あることがわかる。ヒラタケsdi1遺伝子
のプロモーター領域の塩基配列を配列番号11に、ター
ミネーター領域の塩基配列を配列番号12に、またヒラ
タケsdi1遺伝子がコードするIpサブユニットのアミノ酸
配列を配列番号13に示す。
【0042】シイタケでは、これまでシイタケ以外の食
用担子菌類のプロモーターが機能したという報告はな
い。実際、ヒラタケ由来のsdi1遺伝子に変異を加えて作
製したカルボキシン耐性遺伝子を含むベクター(pTM1)
は、シイタケでは有効に機能しなかった。こうしたこと
は、プロモーター領域やターミネーター領域の配列が同
じ担子菌属でもホモロジーが低いことに関係があるもの
と予測された。
【0043】(3)カルボキシン耐性遺伝子の作製 前述のシイタケ由来のsdi1遺伝子構造領域(配列番号
1)に、1塩基置換を導入し、カルボキシン耐性遺伝子
を作製することができる。塩基置換を導入する部位は、
本発明の目的と効果が得られる限り特に限定されない
が、シイタケ由来sdi1遺伝子中、特に保存性の高い領域
であることが好ましい。すなわち、前記したシステイン
に富んだ領域:配列番号2に示すアミノ酸配列上101〜1
14番目、184〜196番目、241〜253番目の領域である。こ
れは、塩基配列でいえば、配列番号1に示す構造遺伝子
領域上414〜455番目、785〜823番目、1009〜1107番目の
領域である。
【0044】以下に、本発明の好適な態様として、sdi1
遺伝子構造領域(配列番号1)の1016番目の塩基である
アデニンをチミンに置換することにより、243番目のア
ミノ酸をヒスチジンからロイシンに置換した、カルボキ
シン耐性遺伝子の作製について説明する。まず、配列番
号1の5’末端を1番目とするときに1016番目の塩基で
あるアデニンをチミンに置き換えた塩基配列を持つアン
チセンスプライマー(LeSDM-L:配列番号10)を作成
する。このプライマーと通常にデザインされたセンスプ
ライマー(LeSD-U:配列番号7)を用いたPCRを行うこ
とでシイタケ由来sdi1遺伝子プロモータ領域と構造遺伝
子の上流領域を含む断片に1塩基置換の変異を導入する
ことができる。
【0045】また、通常にデザインしたアンチセンスプ
ライマー(LeSD-L:配列番号8)と配列番号1の1016番
目の塩基であるアデニンをチミンに置き換えた塩基配列
を持つセンスプライマー(LeSDM-U:配列番号9)を作
成し、これらを用いたPCRを行うことで、構造遺伝子の
下流領域とsdi1遺伝子ターミネーター領域を含む断片に
1塩基置換の変異を導入することができる。
【0046】なお、LeSD-Lに相当する配列は配列番号1
には示されていない。これはターミネータ領域に約2.5
kb の配列未決定部分が存在するためである。LeSD-Lに
相当する配列は構造遺伝子より約4 kb程度下流にあると
考えられる。
【0047】次に、変異を導入したsdi1遺伝子プロモー
ター領域と構造遺伝子の上流領域を含む断片、及び構造
遺伝子の下流領域とsdi1遺伝子ターミネーター領域を含
む断片をテンプレートとし、LeSD-UとLeSD-Lを用いたPC
Rを行うことにより両断片を連結し、カルボキシン耐性
遺伝子を得ることができる。
【0048】LeSD-UとLeSD-Lを用いたPCRによって得ら
れる断片は、ターミネータ部分が約4kb に及ぶが、その
すべての配列が必要なわけではないので、終始コドンか
ら約0.6kb 下流に存在する SalI サイトで切断すること
により、よりコンパクトな約3.2kb のカルボキシン耐性
遺伝子断片を得ることができる。こうして作製されたカ
ルボキシン耐性遺伝子を薬剤耐性遺伝子1と呼ぶ。
【0049】(4)カルボキシン耐性遺伝子 前記薬剤耐性遺伝子1は、構造遺伝子領域3とプロモー
タ領域4とターミネータ領域5とを有する(図1)。構
造遺伝子領域3は、前記ベクターを導入した子実体を形
成する菌に対して、特定の薬剤に対する耐性を付与する
ようなポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝
子領域である。薬剤耐性遺伝子1は、3222塩基対の長さ
を有するカルボキシン(Carboxin;5,6-dihydro-2-methy
l-1,4-oxathiin-3-carboxanilide)耐性遺伝子である。
【0050】前記構造遺伝子領域3は、前記薬剤耐性遺
伝子1が導入されたシイタケ菌において、前記菌がカル
ボキシンに対する耐性を備えるようなポリペプチドをコ
ードする。構造遺伝子領域3は、配列番号1に示すコハ
ク酸デヒドロゲナーゼのIpサブユニットをコードするsd
i1遺伝子と呼ばれる遺伝子の、5’上流の開始コドンを
1番目とするときに1016番目(イントロン部分を除いた
エキソン部分のみなら728番目)の塩基であるアデニン
をチミンに置き換えた塩基配列を有する。言い換える
と、前記sdi1遺伝子を配列表の配列番号2に示す前記Ip
サブユニットのアミノ酸配列のうち、243番目のHis(ヒ
スチジン)をLeu(ロイシン)に置換するように変異さ
せた塩基配列を有する。
【0051】しかし、本発明のカルボキシン耐性遺伝子
は上記配列に限定されるものではない。該遺伝子が、カ
ルボキシン耐性を有する限り、耐性にほとんど関与しな
い部分の当該塩基配列において少なくとも1個の塩基の
欠失、置換、付加等の変異が生じてもよいし、導入され
ていてもよい。該変異には、1〜10個の短い欠失、置
換、付加のみならず、10〜50塩基、さらには50〜100塩
基の長い欠失、置換、付加も含む。
【0052】本発明のカルボキシン遺伝子には、上記薬
剤耐性遺伝子1とストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズし、かつカルボキシン耐性を有するDNAも含まれ
る。ここで、ストリンジェントな条件とは、例えばナト
リウム濃度が10mM〜300mM(0.2〜2.0×SSC)、温度が25
℃〜70℃、好ましくはナトリウム濃度が20〜100mM(0.1
〜1.0×SSC)、温度が42℃〜55℃の条件をいう。
【0053】また、本発明のカルボキシン耐性遺伝子に
は、前記薬剤耐性遺伝子1と少なくとも90%以上、好
ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の相同
性を有する遺伝子も包含する。なお、上記相同性の数値
は、配列解析ソフトウエアであるDNASIS(日立ソフトウ
エアエンジニアリング)を用いて、例えば、マキシムマ
ッチング法のコマンドを実効することにより求められ
る。その際のパラメーターは、デフォルトの設定(初期
設定)とする。
【0054】上記の遺伝子がカルボキシン耐性を有する
かは、例えば、対象となる遺伝子を有する発現ベクター
を構築し、シイタケ等に導入してカルボキシン耐性株が
得られるかどうかを試験することにより確認することが
できる。
【0055】一旦、本発明のカルボキシン耐性遺伝子の
塩基配列が確定されれば、その後は化学合成によって、
又は本発明のDNA断片を含むcDNAないしゲノムDNAを鋳型
としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断
片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、
同様のカルボキシン耐性遺伝子を得ることができる。
【0056】4.本発明のベクター 本発明にかかるベクターは、上記2.(5)において得られ
た薬剤耐性遺伝子を適当なプラスミドベクター(例えば
pUC19ベクターなど)に連結することにより構築するこ
とができる。
【0057】例えば、薬剤耐性遺伝子1をpUC19ベクタ
ーに連結することにより発現用組換えベクター pL-Cbx
を構築することができる。また、特願平10-247470 ある
いは特願平11-342347 に開示するプロモータ遺伝子の下
流に適当な外来遺伝子を連結し、そのベクターと上記 p
L-Cbx とを連結して、カルボキシン耐性をマーカーとし
た発現ベクターも構築することができる。
【0058】本発明の好ましい態様として、シイタケ由
来の薬剤耐性遺伝子1を備える、5783塩基対の形質転換
用の環状組込み型ベクター(pL-Cbx:図1)を挙げるこ
とができる。該ベクター:pL-Cbxは、上述の薬剤耐性遺
伝子1をDNAフラグメント6に組込み、環状とすることに
よって作出される。前記DNAフラグメント6としては、た
とえば大腸菌由来のプラスミドベクター pUC19 などを
用いることができる。
【0059】本発明のベクターは、シイタケを宿主とし
た場合、シイタケ菌由来でない薬剤耐性遺伝子を組込ん
だベクターに比較して、より高いレベルでシイタケを形
質転換する。言い換えると、シイタケ菌はより高効率で
耐性を獲得することができる。これにより、シイタケ菌
に遺伝的形質として特定薬剤に対する耐性を付与するこ
とができ、新たな品種を作出することも可能となる。
【0060】また本発明のベクターを用いて、宿主に新
たに付与したい遺伝的形質をコードする外来遺伝子を導
入することも可能である。ここで前記外来遺伝子は本発
明のベクターに組込んで導入しても、別個の発現ベクタ
ーに挿入して導入してもよい。なお、シイタケ発現ベク
ターとしては、発明者らがすでに開発し、特願平10-247
470号や同特願平11-342347号で開示している pLG ベク
ター(Hirano, T. et al., Mol. Gen. Genet.. 263, 10
47-1052、2000)及び pLT ベクターなどが利用できる。
【0061】5.本発明の形質転換体 本発明の組換えベクター或いは発現ベクターを、PEG
法、エレクトロポレーション法、REMI法などの導入法で
宿主に導入し、形質転換体を得ることができる。該形質
転換体は、カルボキシン等の薬剤に対する抵抗性を指標
として選択することができる。
【0062】本発明の形質転換体の宿主は、導入する薬
剤耐性遺伝子が有効に機能しうる子実体を有する菌類
(子のう菌類や担子菌類等)であれば特に限定されない
が、担子菌類が好ましく、特にシイタケ菌が最も好まし
い。本発明の薬剤耐性遺伝子はシイタケ菌を極めて高効
率で形質転換することが可能である。
【0063】例えば、前記シイタケ菌由来の薬剤耐性遺
伝子1を備えるベクター:pL-Cbxを、シイタケ菌のプロ
トプラストに導入してシイタケの形質転換体を作製する
ことができる。なおプロトプラストとは、シイタケ菌の
未分化状態の細胞であり、細胞膜で囲まれた球状の細胞
である。このようなプロトプラストは、シイタケ菌の細
胞をセルラーゼ及びキチナーゼなどの細胞壁溶解酵素で
処理することによって作出することができる。プロトプ
ラストとされる細胞としては、比較的成長の速い菌糸
体、未発芽の胞子、発芽している胞子、又は分生胞子が
用いることができる。pL-Cbxを導入されたプロトプラス
トは、カルボキシン耐性株に高効率で形質転換され、こ
れをマーカーとして容易に形質転換体を選択することが
できる。
【0064】またベクターのシイタケ菌への導入には、
発明者らが既にシイタケ菌に対して開発し(Sato, T. e
t. al., Biosci. Biotech. Biochem., 62, 2346-2350
、1998)、特願平9-331611号に開示した REMI 法によ
って行ってもよい。つまり、前記pL-Cbxとともに適当な
制限酵素を添加する REMI 法で形質転換することによ
り、シイタケ菌の形質転換効率をさらに向上させること
ができる。
【0065】さらに、薬剤耐性遺伝子1はベクターに組
込まず、たとえば外来遺伝子としてシイタケに導入して
もよい。この方法は、ベクターを用いて形質転換を行う
方法と比較して、形質転換体に外来生物由来の遺伝子が
残存する不具合を正確に回避することができ、より安全
な形質転換体を作出することができる。
【0066】6.その他本発明の薬剤耐性遺伝子を含有
する発現ベクターを用いて、シイタケ等の担子菌類にお
いて目的のポリペプチドを遺伝子工学的に生産すること
ができる。本発明の薬剤耐性遺伝子はシイタケ由来であ
るため、安全性が高く、特にシイタケを宿主として発現
させた場合、形質転換効率が著しく向上する。これによ
り、シイタケを用いた食用及び医薬原料の効率的な大量
生産が可能になる。
【0067】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示して具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1:カルボキシン耐性遺伝子の基になる sdi1 遺
伝子の単離 (1)シイタケ菌糸の調製 野生型シイタケの2核菌糸(北研産業から入手したシイ
タケ菌株北研 57)を0.25×MYPG寒天培地(0.25% 麦芽
エキス、0.1% 酵母エキス、0.1% ペプトン、0.5% グ
ルコース及び1.5%寒天を含む)に接種し、約2週間、2
5℃で培養した。生育した菌糸を寒天培地上からかきと
り、100mlの0.25×MYPG液体培地の入った200ml容三角フ
ラスコに接種した。接種後、25℃で約2〜4週間振盪培
養し、菌糸を生育させた。
【0068】(2)シイタケ菌糸cDNAライブラリーの調
製 上記(1)で得られた液体培養液を、ガラスフィルター
で濾過することにより、菌糸を回収した。水分をペーパ
ータオルで十分に除去し、湿重量約1gの菌糸を液体窒
素存在下で乳鉢及び乳棒を用いて、パウダー状になるま
で磨砕した。液体窒素を除くため2分間ほど放置した
後、磨砕した菌糸をポリプロピレン製の遠心チューブに
移し、10mlのISOGEN(ニッポンジーン社製)を加えて、
室温で10分間激しく撹拌後、さらに2mlのクロロホルム
を加えて、室温で1分間激しく撹拌した。これを粉砕液
とする。この磨砕液を10,000×g、4℃で5分間遠心
し、水層を回収した。水層におけるタンパク質やDNAな
どを取り除くため、再度、5mlのISOGEN及び1mlのクロ
ロホルムを加えて、激しく撹拌した。10,000×g、4℃
で5分間遠心後、再び水層を回収し、フェノール・クロ
ロホルム処理及びイソプロパノール沈殿を行い、沈殿物
を得た。
【0069】この沈殿物を1mlのDEPC処理水(滅菌水に
ジエチルピロカーボネイトを0.1%になるように溶解
し、オートクレーブしたもの)に溶解後、250μlの10M
塩化リチウム溶液を加え、-80℃で1時間冷却した。次
いで、12,000×g、4℃で15分間遠心した。上清を除去
した後、ペレットを70%エタノールで洗浄後、200μlの
DEPC処理水に溶解した。10,000×g、4℃で5分間遠心
し、上清を回収し、次いでエタノール沈殿を行うことに
より全RNAを得た。得られた全RNAを200μlのDEPC処理水
に溶解し、吸光度測定法及びホルムアルデヒド変性アガ
ロースゲル電気泳動により、良質の全RNAが調製された
ことを確認した。
【0070】次いで、全RNAからStraight A'sTM mRNA I
solation System (Novagen社製)を用いて、ポリ(A)+RN
Aを精製した。得られたRNAの量をUV分光器により測定し
たところ、20μgであった。得られたポリ(A)+RNAを鋳型
として、ZAP ExpressTM cDNASynthesis Kit (Stratagen
e社製)を用いて二本鎖cDNAの合成を行った。すなわ
ち、まず、表1に示す組成の溶液に、逆転写酵素(MMLV
-RTase)3.5μl(20U/μl)を添加して、37℃、1時間
インキュベートすることにより一本鎖 cDNAを合成し
た。インキュベート後、反応液を氷中で冷却した。
【0071】
【表1】
【0072】次に、得られた一本鎖cDNAの反応液に、表
2に示す試薬を順に加え、16℃で2.5時間インキュベ
ートすることで第2鎖 cDNA を合成した。インキュベー
ト後、反応液を氷中で冷却した。
【0073】
【表2】
【0074】合成した二本鎖cDNAに2μlの2.5U/μl Cl
oned Pfu DNA polymerase(Stratagene社製)を加え、7
2℃で30分間インキュベートすることで、合成した2本
鎖 cDNA の両末端を平滑化した。次いで、フェノール・
クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を行った後、得ら
れた沈殿を9.0μlのEco RIアダプター溶液に溶解した。
得られた溶液9.0μlのうち1.0μlを1%アルカリアガロ
ースゲル電気泳動に供試することによって、合成した二
本鎖cDNAのサイズを確認した。
【0075】次に、残った溶液(8.0μl)に溶解した二
本鎖cDNAに、表3に示す組成の溶液を加えて、8℃で一
晩インキュベートすることにより、二本鎖cDNAの両末端
にEco RIアダプターを付加した。
【0076】
【表3】
【0077】アダプター付加後、反応液を70℃で30分
間加熱処理し、T4 DNAリガーゼを失活させた。次いで、
ベクターとのライゲーションを行うために、表4に示す
組成の溶液を調製し、37℃で30分間インキュベートする
ことで二本鎖cDNAの末端のリン酸化を行った。
【0078】
【表4】
【0079】Eco RI末端のリン酸化後、反応液を70℃で
30分間熱処理し、T4 リボヌクレオチドキナーゼを失活
させた。二本鎖cDNAがベクターにセンス方向に組み込ま
れるように、上記二本鎖cDNAをXho Iで消化し、5'末端
にEco RIサイト、3'末端にXho Iサイトが生じるよう
に、表5に示す反応液組成で37℃で90分間反応させるこ
とにより、3'末端にXho Iサイトを生じさせた。
【0080】
【表5】
【0081】反応後、反応液を室温にまで冷却し、5μ
lの10×STE緩衝液を加えた。上記溶液を、1×STE緩衝液
で平衡化したSephacryl S-500カラム(Stratagene社
製)に供して、未付加のアダプターとXho I消化産物を
除去した。次いで、カラムの溶出画分にフェノールクロ
ロホルム抽出、エタノール沈殿を行い、得られた沈殿を
5μlの滅菌水に溶解した。得られたcDNA溶液の濃度は
吸光度測定法により定量した。
【0082】上記のようにして得られた、5'末端にEco
RIサイト、3'末端にXho Iサイトを有するcDNA(100ng)
を、クローニングベクターであるZAP Express Vector a
rms(Stratagene社製)に2UのT4 DNA リガーゼを用い
て挿入した。反応は12℃で14時間行った。このライゲー
ション反応液5μlのうち2μlを、Giga Pack III Gold
Packaging Extract(Stratagene社製)を用いて、in v
itro パッケージングに供した。
【0083】パッケージングされた組換えバクテリオフ
ァージを含むパッケージング溶液30μlに、10mM MgCl2
でOD.600 = 0.5に調製したE. coli XL1-blue MRF'株(S
tratagene社製)を600μl加え、37℃で15分間培養し
た。これを48℃に保温した6.5mlのNZYトップアガロース
(0.5%塩化ナトリウム、0.2%硫酸マグネシウム7水和
物、0.5%酵母エキス、1%NZアミン、0.7%アガロー
ス、pH7.5)に加え、90mm×130mmの角型シャーレを用い
たNZYプレート(0.5%塩化ナトリウム、0.2%硫酸マグ
ネシウム7水和物、0.5%酵母エキス、1%NZアミン、1.
5%アガー、pH7.5)上に、1枚当たり約5万個のプラー
クが形成されるように、計15枚のプレートに播き、合計
75万個のプラークからなるライブラリーを作製した。
【0084】(3)シイタケのゲノムライブラリーの調
製 液体培養により生育させた菌糸をガラスフィルターで回
収し、ペーパータオルで菌糸の水分を可能な限り搾り取
った。回収した菌糸約1gを乳鉢に入れ、液体窒素を適
量加えて磨砕した。磨砕した菌糸を50mlポリプロピレン
チューブに移し、20mlのTESS緩衝液(0.73M シュクロー
ス、10mM トリス緩衝液(pH 8.0)、1mM EDTA(pH8.
0)、1%SDS)を加えて、65℃で1時間インキュベート
した。これに終濃度が1Mとなるように5M NaClを加え
て、8,000×gで20分間遠心し、上清を回収した。回収し
た上清に等量のフェノール・クレゾール試薬(100gのフ
ェノールに、4.7mlのm-クレゾールを加えて50℃で溶解
させる。さらに8-キノリノールを0.05%となるように
加えて、さらに等量の1M NaClで平衡化させた)を加
え、1,300×gで5分間遠心して、上清(水層)を回収し
た。さらに、クロロホルム処理、エタノール沈殿を行っ
て、1mlのTE緩衝液に溶解した。その溶液をRNaseA及び
proteinase Kで処理し、フェノール・クロロホルム処理
とエタノール沈殿を行って、適当量のTE緩衝液に溶解
し、ゲノムDNA試料とした。
【0085】得られたDNA試料を制限酵素Sau 3AIによっ
て消化し、フェノール・クロロホルム処理後、エタノー
ル沈殿を行って適当量のTE緩衝液に溶解した。得られた
DNA断片を用い、Lambda EMBL3/Bam HI Vector Kit(Str
atagene社製)によりゲノムDNAライブラリーを作製し
た。
【0086】(4)縮重プライマーの作製 既知の糸状菌類の sdi1 遺伝子において保存性の高いア
ミノ酸配列をもとに縮重センスプライマー及び縮重アン
チセンスプライマーを合成した。 IP-N:5'- GGNATNTGCGGNTCNTGCGCNATGAA -3'(配列番号
5) IP-C:5'- CAGCANGCGCANAGNATGCANTCGTA -3'(配列番号
6) * NはA、C、G又はTを示す。なお、これらの縮重センス
プライマー及び縮重アンチセンスプライマーは、日本製
粉(株)中央研究所カスタムサービスに委託して合成し
た。
【0087】(5)縮重プライマーを用いたPCR 上記(3)において得られたゲノムDNA試料を鋳型に、
上記(4)において調製した縮重センスプライマー及び
縮重アンチセンスプライマーを用いて、縮重PCRを行っ
た。縮重PCRの反応液の組成は表6の通りである。
【0088】
【表6】
【0089】縮重PCR反応は、96℃で30秒間の熱変性、
続いて50℃で30秒間のアニーリング、続いて72℃で1分
間の伸長反応の条件を1サイクルとして、30サイクル行
った。反応終了後、反応液を新しいマイクロチューブに
移し、そのうち5μlを1%アガロースゲルによる電気
泳動に供し、増幅断片の確認を行った。次いで、残りの
反応液にフェノール・クロロホルム処理とエタノール沈
殿を行い、ペレット化したPCR産物を20μlのTE緩衝液に
溶解した。
【0090】得られたPCR産物を1%低融点アガロース
ゲル電気泳動に供し、約 0.4 kbp(既知の糸状菌類のア
ミノ酸配列等から予測される大きさ)の断片を切り出
し、QIAEX II(QIAGEN社製)を用いてゲルからDNAを抽
出し、所望のPCR産物を回収した。次いで、回収したPCR
産物をTA Cloning Kit(Invitrogen社製)でpCR2.1ベク
ターにサブクローニングした後、蛍光自動DNAシーケン
サー(Parkin Elmer社製、ABI PRISM 310型)により塩
基配列を解析した。その結果、得られたPCR産物は公知
の sdi1遺伝子と高いホモロジー(アミノ酸レベル)を
有していることが示された。そこで、プロモーター及び
ターミネーター領域を含む sdi1 遺伝子の全長配列をク
ローニングするために、このPCR産物を、シイタケ菌糸c
DNAライブラリー及びシイタケゲノムライブラリーをス
クリーニングするためのプローブとして用いた。
【0091】(6)菌糸cDNAライブラリーからの sdi1
遺伝子の単離 sdi1 遺伝子のスクリーニングにおいて、プラークの形
成及びライブラリーの増幅はZAP Express cDNA synthes
is Kit(Stratagene社製)のマニュアルに基づいて行っ
た。すなわち、上記(2)において得られたcDNAライブ
ラリーから合計50万個のプラークをスクリーニングする
ため、1×107pfu/mlのファージ溶液5μlを10本用意
し、それぞれに10mM MgSO4でOD600=0.5に調製した大腸
菌XL1-Blue MRF'株600μlを加えて、37℃で15分間イン
キュベートした。次いで、6.5mlのNZYトップアガーを加
えて、90mm×130mmの角型NZYプレートに重層し、37℃で
6〜8時間インキュベートし、プラークを形成させた。
プラークが形成したプレートは4℃で保存した。
【0092】予め大きさを合わせて切断したHybond N+
ナイロンメンブレン(90mm×130mm、Amersham Life Sci
ence社製)をプレートに重ね、2分間放置し、ファージ
DNAをメンブレンにトランスファーした。次いで、メン
ブレンをアルカリ変性溶液(0.25 M NaOH、1.5 M NaC
l)で20分間処理し、DNAをアルカリ変性させた。変性
後、メンブレンを中和液(0.5M Tris-HCl (pH8.0)、1.5
M NaCl)に浸して、室温で5分間振盪し、続いて、リン
ス溶液(0.2M Tris-HCl (pH7.5)、2×SSC)中で30秒間
メンブレンを洗浄後、ペーパータオルにメンブレンを挟
んで、80℃で2時間加温することで、DNAをメンブレン
に固定した。
【0093】次いで、プラークハイブリダイゼーション
及びシグナルの検出をECL direct nucleic acid labell
ing and detection system(Amersham Life Science社
製)を用いて行った。すなわち、固定したメンブレンを
ハイブリバック(コスモバイオ社製)に入れ、キット付
属のハイブリダイゼーション緩衝液を適量加えて、密閉
し、42℃で1時間プレハイブリダイゼーションを行っ
た。次いで、溶液を除去し、上記(5)において調製し
たプローブをペルオキシダーゼ標識したもの50ngを含む
5mlのハイブリダイゼーション緩衝液を加え、42℃で4
時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼ
ーション完了後、メンブレンを0.4% SDS、36%Ureaを
含む0.5×SSCを用い、42℃で20分間の洗浄を2回行っ
た。さらに、2×SSCを用い、室温で5分間の洗浄を2
回行った。
【0094】このメンブレンを1mlのECL detection re
agentで1分間処理し、サランラップで包み、フィルム
カセットに入れ、生じたシグナルをHyperfilm-ECL(Ame
rsham Life Science 社製)に感光させた。フィルムを
現像したところ、16個の陽性シグナルが得られた。得ら
れたシグナルに対するプラークをピペットで吸い取り、
それを1mlのSM緩衝液(100mM NaCl、100mM MgSO4、50m
M Tris-HCl (pH7.5)、0.01%ゼラチン)に懸濁し、20μ
lのクロロホルムを加えて撹拌した。このファージ懸濁
液を適当に希釈して、プレーティングし、上記と同様の
手法により確認のためにスクリーニングを行い、陽性プ
ラークを得た。
【0095】スクリーニング後、ファージミド形成は Z
ap Express cDNA synthesis kit(Stratagene社製)の
マニュアルに基づいて行った。すなわち、1mlのSM緩衝
液に懸濁した陽性組換えファージ250μlに、10mM MgSO4
でOD600=1.0に調製した大腸菌XL1-Blue MRF'株200μl
と、ExAassist ヘルパーファージを加えて、37℃で15分
間インキュベートした。そこへ、3mlのNZY 培地を加え
て、さらに37℃で2.5時間インキュベートした。インキ
ュベート後、70℃で20分間加温し、1000×gで15分間遠
心して、上清を回収し、ファージミド溶液を得た。次
に、ファージミドを大腸菌に組み込むため、ファージミ
ド溶液100μlもしくは10μlに、10mM MgSO4でOD600=1.0
に調製した大腸菌XLOLR株(Stratagene 社製)200μlを
加えて、37℃で15分間インキュベートした。培養液200
μlを50μg/mlのカナマイシンを含むLBプレートに播
き、37℃で一晩インキュベートし、生じたコロニーから
ファージミドを調製した。
【0096】ファージミドの調製はRPM Kit(BIO 101社
製)を用いて行った。すなわち、上記で得られたコロニ
ーを50μg/mlのカナマイシンを含む3mlのLB液体培地に
接種し、37℃で一晩インキュベートした。培養液をマイ
クロチューブに取り、10,000×gで1分間遠心して、集
菌した。回収した菌体にPre-Lysis緩衝液50μlを加え
て、激しく撹拌し、菌体を懸濁した。さらに、100μlの
アルカリLysis緩衝液を加えて、穏やかに撹拌し、菌体
を完全に溶解させた。次に、100μlの中和溶液を加えて
激しく撹拌し、10,000×gで2分間遠心して、上清を回
収した。キット付属のSPIN FILTERによく混ぜたGlass M
ilkを250μl加えて、そこへ回収した上清を加えてよく
撹拌し、マイクロチューブにSPIN FILTERをのせた。10,
000×gで1分間遠心し、さらにWash緩衝液350μlを加え
て同様に遠心した後、新しいマイクロチューブにSPIN F
ILTERをのせ、TEを50μl加えて10,000×gで30秒間遠心
し、Glass Milkからファージミドを溶出させた。エタノ
ール沈殿後、得られた沈殿を20μlのTEに溶解し、塩基
配列の決定に供した。
【0097】(7)ゲノムライブラリーからの sdi1 遺
伝子の単離 上記(3)において作製したゲノムライブラリーから、
上記(6)とほぼ同様の手順で sdi1 遺伝子を単離し
た。プラークの形成及びライブラリーの増幅は、大腸菌
XL1-blue MRA株を使用して、Lambda EMBL3 / Bam HI ve
ctor kit(Stratagene社製)のマニュアルに基づいて行
い、プラークハイブリダイゼーション及びシグナルの検
出は、cDNAライブラリーからの sdi1 遺伝子の単離と同
じ手順で行った。そして、得られたシグナル付近のプラ
ークを掻き取り、それをSM緩衝液に懸濁した。このファ
ージ懸濁液を適度に希釈して、プレーティングし、上記
と同様のスクリーニングを行い、ゲノムの sdi1 遺伝子
を含む組換え体ファージを得た。クローン化したファー
ジをそれぞれプレーティングし、37℃で6〜8時間イン
キュベートしてプラークを形成させた。プラークが形成
したプレートに10mlのSM緩衝液を重層し、4℃で12時間
以上振盪培養して、ファージをSM緩衝液中に遊離させ
た。ファージを含むSM緩衝液を15mlのプロピレンチュー
ブに回収し、クロロホルムを終濃度5%となるように加
えて、室温に15分間放置し、それを1,500×gで10分間遠
心し、上清を回収した。次いで、Wizard Lambda Preps
DNA Purification System(Promega社製)を用いて、回
収した上清からファージDNAを精製し、塩基配列の決定
に供した。
【0098】(8)塩基配列の決定 上記(6)及び(7)において得られた陽性クローンの
塩基配列を、ABI PRISM Dye Terminator Cycle Seqeuen
cing Ready Reaction Kit, FS(Perkin Elmer社製)を
用いて決定した。PCR反応はそのマニュアルに基づいて
行い、得られたPCR産物はABI PRISM 310 Genetic Analy
zer(Perkin Elmer社製)によって解析した。いずれも
5'及び3'の塩基配列を決定した。決定した配列は、配列
番号1に構造領域を、配列番号3にプロモーター領域
を、配列番号4にターミネーター領域を示す。配列番号
1、3および4はそれぞれ sdi1 遺伝子を含むゲノムDN
Aの開始コドンより上流約1.4 kbp 及び3'下流約0.6 kbp
の塩基配列である。
【0099】実施例2:カルボキシン耐性遺伝子及びベ
クターの作成 (1)カルボキシン耐性遺伝子の作製 センスプライマーLeSD-Uと配列番号1に示す塩基配列の
うち、5'上流側末端を1番目とするときに1016番目の塩
基であるアデニンをチミンに置き換えた塩基配列を持つ
アンチセンスプライマーLeSDM-Lを作成し、これらを用
いたPCRを行うことでsdi1遺伝子プロモーター領域と構
造遺伝子の上流領域を含む断片へ変異を導入した。PCR
は、表7の組成で94℃で30秒間の熱変性、55℃で30秒間
のアニーリング、72℃で60秒間の伸長反応の条件を1サ
イクルとして、25サイクル行った。 プライマー LeSD-U:5'-TATCTCTGTCGGTGTCTCTC-3'(配列番号7) LeSDM-L:5'-GAAGATAGTGAGGCATCGGTACATGCTCAACTCGTTTT
GC-3'(配列番号8)
【0100】アンチセンスプライマーLeSD-Lと配列番号
1に示す塩基配列のうち、5'上流側末端を1番目とする
ときに1016番目の塩基であるアデニンをチミンに置き換
えた塩基配列を持つセンスプライマーLeSDM-Uを作成
し、これらを用いたPCRを行うことで構造遺伝子の下流
領域とsdi1遺伝子ターミネーター領域を含む断片へ変異
を導入した。PCRは、表7の組成で94℃で30秒間の熱変
性、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で120秒間の伸
長反応の条件を1サイクルとして、25サイクル行っ
た。 プライマー LeSDM-U:5'-GCAAAACGAGTTGAGCATGTACCGATGCCTCACTATCT
TC-3'(配列番号9) LeSD-L:5'-GCTGTCTTTGCCGCACTTGC-3'(配列番号10)
【0101】
【表7】
【0102】得られたPCR産物を1%低融点アガロース
ゲル電気泳動に供し、目的のバンドをゲルから切り出
し、QIAEX II Gel Extraction Kits(QIAGEN)によって
DNAを精製した。変異を導入したsdi1遺伝子プロモータ
ー領域と構造遺伝子の上流領域を含む断片、及び構造遺
伝子の下流領域とsdi1遺伝子ターミネーター領域を含む
断片をテンペレートとし、LeSD-UとLeSD-Lを用いたPCR
を行うことにより両断片を連結し、カルボキシン耐性遺
伝子を得た。このとき、PCRは、表8の組成で94℃で30秒
間の熱変性、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で120
秒間の伸長反応の条件を1サイクルとして、25サイク
ル行った。反応終了後、反応液を新しいマイクロチュー
ブに移し、そのうち5μlを1%アガロースゲルによる
電気泳動に供し、増幅断片の確認を行った。次いで、残
りの反応液にフェノール・クロロホルム処理とエタノー
ル沈殿を行い、ペレット化したPCR産物を20μlのTE緩衝
液に溶解した。
【0103】LeSD-UとLeSD-Lを用いた上記PCRによって
得られる断片は、ターミネータ部分が約4 kb に及ぶ
が、そのすべての配列が必要なわけではないので、終始
コドンから約0.6kb 下流に存在する SalI サイトで切
断することにより、よりコンパクトな約3.1kb のカル
ボキシン耐性遺伝子断片を得ることができる。
【0104】
【表8】
【0105】得られたPCR産物を1%低融点アガロース
ゲル電気泳動に供し、約3.2 kbpの断片を切り出した。
その断片をQIAEX II(QIAGEN社製)を用いてゲルから抽
出し、カルボキシン耐性遺伝子を単離、精製した。 (2)カルボキシン耐性遺伝子ベクターの構築 上記(1)において単離したカルボキシン耐性遺伝子
を、pUC19 等の大腸菌のプラスミドに組み込み、シイタ
ケを宿主とする組換えベクター pL-Cbx を構築した(図
1)。
【0106】ここでは、組換えベクターの一構築例とし
て、図1に示すように、上記(1)において単離したカ
ルボキシン耐性遺伝子とpUC19 等の大腸菌のプラスミド
ベクターとを利用し、シイタケを宿主とする組換えベク
ター pL-Cbx を構築した。最初に、上記PCRで得られた
カルボキシン耐性遺伝子約6.5 kb を StuI (この断片の
5' 末端近くにあるサイト) と上述の SalI とで消化す
ることにより余分な領域を除いた。次いで、この断片を
pUC19 に組み込むために、プラスミドpUC19DNAも同様に
SalI とSmaI とで消化を行った。得られた両方のDNA断
片は、それぞれ1%Sea Plaque Agarose(FMC)を用い
て、4℃、50Vの条件で電気泳動した。泳動後、目的の
バンドをゲルから切り出し、QIAEX II Gel Extraction
Kits(QIAGEN)によってDNAを精製した。エタノール沈
澱後、得られたカルボキシン耐性遺伝子DNA は、Alkali
ne Phosphatase (Calf intestine)によって脱リン酸化
し、フェノール・クロロホルム処理、エタノール沈澱を
行って、上記の SalI とStuI とで2重消化した pUC19
の断片 DNA とを、Ligation Kit によって連結させ、pL
-Cbx プラスミドベクターを得た。
【0107】実施例3:PEG-CaCl2 法によるシイタケの
形質転換 (1)プロトプラストの調製 野性型のシイタケ菌株SR-1((財)岩手生物工学研究セン
ター所有)の二核菌糸を、0.25×MYPG寒天培地(0.25%
麦芽エキス、0.1%酵母エキス、0.1%ペプトン、0.5%
グルコース、1.5%寒天)で、25℃2週間培養した。生
育した菌糸をかきとり、50 ml の0.25×MYPG液体培地で
1週間培養した。得られた菌糸はガラスフィルターで集
菌し、50ml の0.25×MYPG液体培地に懸濁してポリトロ
ンホモジナイザーで裁断し、100μmのナイロンメッシュ
で濾過した濾過菌糸をさらに0.25×MYPG液体培地中で25
℃、5日間培養した。培養菌糸は100μmのナイロンメッ
シュで集菌後、クエン酸緩衝液(0.6 Mマンニトールを
含む50mM クエン酸緩衝液、pH5.6)で2回洗浄し、菌糸
1g当たり10mlの酵素溶液(2.5% セルラーゼ(ヤクルト
社製)、0.1%キチナーゼ(Sigma社製)を含むクエン酸
緩衝液)に菌糸を懸濁し、28℃で3〜4時間インキュベ
ートした。酵素処理した菌糸を40μmのナイロンメッシ
ュで濾過し、濾液を1,500×gで10分間遠心分離して、プ
ロトプラストを沈殿させた。上清を捨て、プロトプラス
トをSTC 緩衝液(10mM塩化カルシウム、1.2Mソルビトー
ルを含む10mM Tris-HCl、pH7.5)で洗浄後、再び1ml
のSTC 緩衝液にプロトプラストを懸濁し、顕微鏡でプロ
トプラストの数を計測した。最終的には、STC緩衝液100
μlに0.5〜1.0×107 protoplastsとなるように調整し
て、形質転換用のプロトプラストとした。
【0108】(2)pL-Cbx プラスミドベクターの導入 形質転換は、2.5μgの pL-Cbx プラスミドベクターを 1
50μl のSTC緩衝液に、上記のプロトプラスト懸濁液100
μl を穏やかに加え、氷中で20分間インキュベートし
た。これに 62.5μlのPEG 溶液(10mM塩化カルシウム、
60% PEG4000を含む10mM Tris-HCl、pH7.5)を加え、氷
中で20分間インキュベートした。さらに1.25 mlのPEG
溶液を加えて、室温で20分間インキュベートした。次
に、12 mlの STC 緩衝液を加えて溶液全体を十分に懸濁
し、1,500×gで10分間遠心し、プロトプラストを沈殿さ
せた。回収したプロトプラストを4mlのMS(2%麦芽エ
キス、0.6 M スクロース)液体培地に懸濁し、25 ℃で3
-4日間静置培養した。
【0109】(3)REMI法によるシイタケの形質転換 形質転換は、pL-Cbx プラスミドベクターを1箇所で切
断する制限酵素 Kpn I あるいは SalI 等を用いたRestr
iction Enzyme Mediasted Integration(REMI)法によ
っても行った(特願平9-331611)。すなわち、2.5μgの
pL-Cbx プラスミドベクターと25ユニットの制限酵素 K
pnI あるいは 50ユニットのSalI を含む150μl のSTC緩
衝液に、上記のプロトプラスト懸濁液100μl を穏やか
に加え、氷中で20分間インキュベートした。これに 62.
5μlのPEG 溶液(10mM塩化カルシウム、60% PEG4000を
含む10mM Tris-HCl、pH7.5)を加え、氷中で20分間イン
キュベートした。さらに1.25 mlのPEG 溶液を加えて、
室温で20分間インキュベートした。次に、12 ml の STC
緩衝液を加えて溶液全体を十分に懸濁し、1,500×gで1
0分間遠心し、プロトプラストを沈殿させた。回収した
プロトプラストを4mlのMS(2%麦芽エキス、0.6 M ス
クロース)液体培地に懸濁し、25 ℃で3-4日間静置培養
した。
【0110】(4)カルボキシン 耐性菌糸の選抜 プロトプラストから菌糸を再生し、再生した菌糸を1,50
0×gで10分間遠心することで回収した。回収した菌糸を
1mlのMS 液体培地に再懸濁し、0.5μg/ml カルボキシ
ンを含む最少寒天培地(2%グルコース、0.2%酒石酸ア
ンモニウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.1% リン酸二
水素カリウム、 0.112% 炭酸ナトリウム、0.132%フマ
ル酸、10ppm硫化鉄、8.8ppm 硫化亜鉛、7.2ppm 塩化マ
ンガン、pH4.5、1.5%寒天)にまき、 25 ℃で5〜7日
間培養した。次に、一旦溶解し、50℃程度に冷却させた
0.25×MYPG 寒天培地に、2μg/ml カルボキシンを加
え、それを最少寒天培地上で生育した菌糸上に重層し
た。25 ℃で3〜5日間培養後、増殖してきた菌糸を分
離し、新しい2μg/ml カルボキシンを含むMYPG 寒天培
地に植え替えた。 さらに1週間程度培養し、増殖して
きた菌糸を新しい2μg/mlカルボキシンを含むMYPG 寒天
培地に植え替えて培養し、カルボキシン耐性を獲得した
菌糸を選抜した。
【0111】(5)結果 結果を表9、10に示す。数値は3〜6連の実験の平均
値である。
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【0114】表9から判るように、ヒラタケ由来のカル
ボキシン耐性遺伝子ベクター pTM1を導入したシイタケ
はカルボキシン耐性にならなかったが、シイタケ由来の
カルボキシン耐性遺伝子ベクターはカルボキシン耐性を
獲得した。また、先に発明者らが特願平10-247470で開
示したシイタケベクター pLG-hph を用いた形質転換で
は、上記同条件では表に示したように得られる形質転換
体の数は、pL-Cbx に比べて約10分の1であった。このこ
とはシイタケ以外から由来する薬剤耐性遺伝子の場合
は、耐性を付与できないか、あるいは効率が低いことを
示している。
【0115】得られた形質転換体に関しては、図2に示
すように、サザン解析を行ったところ、カルボキシン耐
性株は、そのゲノムDNAにカルボキシン耐性遺伝子を保
持していることが明らかとなった。以上のようにシイタ
ケ形質転換体が作出され、本発明の発現用組換えベクタ
ーが、シイタケを宿主とするカルボキシン耐性ベクター
として有効であることを確認した。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、シイタケ由来の遺伝子
から新規薬剤耐性遺伝子を作製することができる。該薬
剤耐性遺伝子を含むベクターを用いれば、シイタケ菌を
従来より安全かつ高効率で形質転換することができる。
【0117】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Iwate Prefecture <120> A new drug registance gene <130> P01-0896 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1164 <212> DNA <213> Lentinula edodes <220> <221> exon <222> (1)..(144) <221> intron <222> (145)..(205) <221> exon <222> (206)..(277) <221> intron <222> (278)..(329) <221> exon <222> (330)..(513) <221> intron <222> (514)..(574) <221> exon <222> (575)..(673) <221> intron <222> (674)..(734) <221> exon <222> (735)..(900) <221> intron <222> (901)..(954) <221> exon <222> (955)..(1030) <221> intron <222> (1031)..(1090) <221> exon <222> (1091)..(1164) <400> 1 atgtccgttc tcagccaagc tgctcgccga cttgtcaggg catctgttgt cgatgctcgc 60 accttcacta ccagcactcg caggcgccag gctgagcctt tgcaaaaacc agttttgaac 120 aaggagttca agatttatcg ttgggcaagt tttaagttac tacggtattt gaaatgactg 180 ggactaacaa atgtgcgtat tgtagaaccc tgatgagcct gctaagaagc ctactttgca 240 atcgtacacg attgatctta accagacagg gcctatggtg tgtcttgtac tggtcctctc 300 cagctcaaaa gtttaccgtt attgggcaga ttcttgatgc actcatcaaa atcaagaatg 360 aaattgaccc tactctcact ttccgtcgtt cgtgcagaga gggaatctgc ggctcgtgtg 420 caatgaacat caatggccaa aatacactgg cctgtctttg ccgcatagac agggatgctt 480 ctaaagactc taagatttat cctctacctc atagtgcgtg tttaaatttc aatgcaagca 540 acggataacc gttctcatgg acgatgtcgc gcagtgtaca ttgtaaagga tctagttcct 600 gacctcactc aattctacaa acagtacaag tcaattcagc catacctcca gaacgacaac 660 cctccagaaa aaggcgagac atctctactt ctgcttctgt atctccatgc gctgacagct 720 tcgcttcata ttaggagaat tccttcagtc tcaagaagaa cgtcgcaaac tcgacggatt 780 gtacgaatgt atcctatgtg catgctgttc aacatcctgc ccttcgtact ggtggaatca 840 agacgagtac cttggtccgg ctactttgat gcaggcatac cggtggatcg ccgactctcg 900 agtacgtatc ataatctctt tgtaggcgtt cgctgactga atcatcttat ataggacagc 960 aacggtgcga agcgaaaaga gtatctgcaa aacgagttga gcatgtaccg atgccacact 1020 atcttcaact gttagttgtc acctttccgg agtcgtctat ctgctttaat gaattccttt 1080 ctctatgtag gttctagaac ttgtccgaag ggtctcaacc ctgctgcagc tattgcaaag 1140 atcaaactcg agctcgccgc agat 1164 <210> 2 <211> 272 <212> PRT <213> Lentinula edodes <400> 2 Met Ser Val Leu Ser Gln Ala Ala Arg Arg Leu Val Arg Ala Ser Val 1 5 10 15 Val Asp Ala Arg Thr Phe Thr Thr Ser Thr Arg Arg Arg Gln Ala Glu 20 25 30 Pro Leu Gln Lys Pro Val Leu Asn Lys Glu Phe Lys Ile Tyr Arg Trp 35 40 45 Asn Pro Asp Glu Pro Ala Lys Lys Pro Thr Leu Gln Ser Tyr Thr Ile 50 55 60 Asp Leu Asn Gln Thr Gly Pro Met Ile Leu Asp Ala Leu Ile Lys Ile 65 70 75 80 Lys Asn Glu Ile Asp Pro Thr Leu Thr Phe Arg Arg Ser Cys Arg Glu 85 90 95 Gly Ile Cys Gly Ser Cys Ala Met Asn Ile Asn Gly Gln Asn Thr Leu 100 105 110 Ala Cys Leu Cys Arg Ile Asp Arg Asp Ala Ser Lys Asp Ser Lys Ile 115 120 125 Tyr Pro Leu Pro His Met Tyr Ile Val Lys Asp Leu Val Pro Asp Leu 130 135 140 Thr Gln Phe Tyr Lys Gln Tyr Lys Ser Ile Gln Pro Tyr Leu Gln Asn 145 150 155 160 Asp Asn Pro Pro Glu Lys Gly Glu Phe Leu Gln Ser Gln Glu Glu Arg 165 170 175 Arg Lys Leu Asp Gly Leu Tyr Glu Cys Ile Leu Cys Ala Cys Cys Ser 180 185 190 Thr Ser Cys Pro Ser Tyr Trp Trp Asn Gln Asp Glu Tyr Leu Gly Pro 195 200 205 Ala Thr Leu Met Gln Ala Tyr Arg Trp Ile Ala Asp Ser Arg Asp Ser 210 215 220 Asn Gly Ala Lys Arg Lys Glu Tyr Leu Gln Asn Glu Leu Ser Met Tyr 225 230 235 240 Arg Cys His Thr Ile Phe Asn Cys Ser Arg Thr Cys Pro Lys Gly Leu 245 250 255 Asn Pro Ala Ala Ala Ile Ala Lys Ile Lys Leu Glu Leu Ala Ala Asp 260 265 270 <210> 3 <211> 1398 <212> DNA <213> Lentinula edodes <400> 3 cttcttctat ctctgtcg -18 cttcttctat ctctgtcggt gtctctcaaa agaaattatc ctgtgtttaa ggcctggcgc 60 tactttggat taacttcagc tgcaggccgc taaaatccaa agtaacgaaa ggcgatttaa 120 agccgagaat cttcatatac cagctccttt aaggtatacg atacttaatc cttgaagtac 180 gggtggctga aaccgactct gtgaaatggc tcaaaatgaa tttacttcga ccaagtacag 240 gaatacaagt attgactgca gagtaaagct ccgtgcccaa cttgcactag cacatctcga 300 actacttata tacatatatg cgaaactccc gttataattc aaagcgaaga atatttaagg 360 cagcatgagt tctaattttt agcatcgttt ctcctttaat tcaccagaag taaaacgaaa 420 cccaccagaa tccattatta ctaccgatat gttcaaattc gctctccaga ctgtcttcgt 480 gctattgttc actcaggctc tgttcatggg ggcatctgct acttgtaagt cttatttgat 540 attcgttttt cgcgcaatca ttgagtttgc ctgttgcatg taggcaccag tgattcggac 600 gtaagtgttc tggctaactc agagtcaaga gactgaattc atactggaaa ttggttcatt 660 tctctacagt gtatgtgtct ttcctagtta ataagtttcc tcgtgttgat gaatggtcat 720 aggtcccacc ggcgaaattt gctgtccaag acttactagc gatccttctg ggtaggcatc 780 gttggggtga caactctaaa gtctccagtg gtgctgatct ccattccatt cagatgtaga 840 acccctctcc ccgctgggtt tgggcctgga cctgcgtgct aggtttgtgg aactgtgagt 900 cgatcatgat aacaagttcg taccaaagga tacttacgat tgtacgtcga tagaccttta 960 taagagctcg ggcataactt atgaagatac ttaaatgaag agactcttta caaaacctgt 1020 caatcttatc acttagtttg aattgttagt actgtttgag actgtttgca acgttcgatt 1080 tgagctcgaa acccgttcca agaaagcaca gtgtgggtgt tccgtgactg tatattacta 1140 agagaactcc acttgtgata gaccgcgggg ctgttgagag atgtgtgcct gttgtgggct 1200 acgagtgata gtagttgtga agtaagcgaa catctgtaaa gaagatatcg cgcacaatgc 1260 ggggtccgtt gtgattgaag gagtgttctg aagaaagcca gtcagccaat aggagtaatc 1320 tgattggaca atgctcgcgt tccggatttg ccctcatacc cgccgttccg gcgcttgtga 1380 cactcattgc tctcctcc 1398 <210> 4 <211> 660 <212> DNA <213> Lentinula edodes <400> 6 taaacatact ttctcgcgtt gagtttggta tgttcaattg tatacataat ccgcaggccc 60 tcaaacaaat gtctgcaagg agttggagaa ttatgagggg tgtctcgatt gtcatagaca 120 taagcttttt ttccgcttgt tttcatttcg tgcggtataa ggtggattcg tgtttaacca 180 tttttgatcg cgttgaacat gaacctccaa cataatagca attcttcttt aaccaatctc 240 atgttcggcc aaaagctgat atctgatcag ttggtccatg gatgtgtact gaaagccatt 300 cgcaccatgt ttggtatacc gttcgagatg gggtaactgt gcttgcaatt tgggcaggtc 360 atgctccctt cctcgacatg aatctacaaa aatgacttag agccatatgt ttcacgttga 420 cggttcaata tatatacctc aagcaataca tggtgtaaat ttttcaagaa ttcatcgtct 480 aacatttcag gctgttctaa cggcaatgaa gtatccccca gctaaattaa aacatatatc 540 agcctaaaat aagtcttcgt aacagatatt aaatgaacga tctgcttgca tctttcgcgc 600 tgtcgaccag ggncttccac tcgagtttcg gtaagaaatt tttgaggaaa tcagcgttga 660 <210> 5 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 5 ggnatntgcg gntcntgcgc natgaa 26 <210> 6 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 6 cagcangcgc anagnatgca ntcgta 26 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 7 tatctctgtc ggtgtctctc 20 <210> 8 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 8 gaagatagtg aggcatcggt acatgctcaa ctcgttttgc 40 <210> 9 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 9 gcaaaacgag ttgagcatgt accgatgcct cactatcttc 40 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 10 gctgtctttg ccgcacttgc 20 <210> 11 <211> 688 <212> DNA <213> Pleurotus ostreatus <400> 11 gcattgaata tatgatgaag aattcgctcg ctcgcatcga agcaagtaaa aaagcggaac 60 tggattggac tcaacgagta gatgaaatcg gtgccagggg gctttggaat cgggcaaact 120 cgtggtacag aggtgcgaac gttccaggca aggttctgga gcatatgttt tgggctggag 180 gatgtccgtc gtatcaaaag atttgcgaag aagtcgtcga aagtggatac gatggaatca 240 tgttcataaa gacgccctga ctaccctctc aggataacaa caatatgtat cgtctgctca 300 cgtaccttga gacttcctag gtgctcctat aagtatgtac gccttactat tgaagggagt 360 acgattggcg caaagattat cgattgtctc gtatcgttgt tcttctgtct tactttattg 420 tccatcaaag taacgttgga tgtgtatcat ttactactca ataccccaat tttacatgta 480 cttttcctgg cctggaacca aatacgaagc ctatgagctt cccttaagtc caccggcatt 540 ttccgaagag taacacaccc cttctgattg gtccgggcca cgagccttcc cgctccgttc 600 ccgaactcac gcgatcccgc cgcagaattg atatttctcc tcttcaccat cgtcgacgac 660 gtcccgggaa cacacaaatc attgaacc 688 <210> 12 <211> 192 <212> DNA <213> Pleurotus ostreatus <400> 12 taaacacaag ttaacggcca cggattaaaa gcatcgagtc agaggcagat ttctttcctg 60 tagcagttga cagttctttc cacttcatca tacagtgtcc atcacgagca tcaaatcata 120 ttcattctat aacatccact tgttcttgag cctgtctgag gtaggtatac cctcggtttc 180 acttgcgatg ct 192 <210> 13 <211> 268 <212> PRT <213> Pleurotus ostreatus <400> 12 Met Gln Ala Leu Thr Ser Arg Ser Leu Ala Arg Ser Ser Arg Ser Ile 1 5 10 15 Arg Ala Phe Ser Thr Ser Pro Gly Arg Trp Gln Ala Glu Pro Leu Gln 20 25 30 Lys Pro Val Leu Gln Lys Glu Phe Lys Ile Tyr Arg Trp Asn Pro Asp 35 40 45 Glu Pro Ala Lys Lys Pro His Leu Gln Ser Tyr Thr Ile Asp Leu Asn 50 55 60 Gln Thr Gly Pro Met Ile Leu Asp Ala Leu Ile Lys Ile Lys Asn Glu 65 70 75 80 Ile Asp Pro Thr Leu Thr Phe Arg Arg Ser Cys Arg Glu Gly Ile Cys 85 90 95 Gly Ser Cys Ala Met Asn Ile Asp Gly Gln Asn Thr Leu Ala Cys Leu 100 105 110 Cys Arg Ile Asp Arg Asn Ala Ser Lys Asp Ser Lys Ile Tyr Pro Leu 115 120 125 Pro His Met Tyr Ile Val Lys Asp Leu Val Pro Asp Leu Thr Leu Phe 130 135 140 Tyr Lys Gln Tyr Lys Ser Ile Lys Pro Tyr Leu Gln Asn Asp Asn Val 145 150 155 160 Pro Glu Arg Glu His Leu Gln Ser Pro Glu Asp Arg Lys Lys Leu Asp 165 170 175 Gly Met Tyr Glu Cys Ile Leu Cys Ala Cys Cys Ser Thr Ser Cys Pro 180 185 190 Ser Tyr Trp Trp Asn Gln Asp Glu Tyr Leu Gly Pro Ala Ala Leu Met 195 200 205 Ala Ala Tyr Arg Trp Ile Ala Asp Ser Arg Asp Thr Tyr Gly Ala Gln 210 215 220 Arg Lys Glu His Phe Gln Asn Glu Leu Ser Leu Phe Arg Cys His Thr 225 230 235 240 Ile Phe Asn Cys Ser Arg Thr Cys Pro Lys Gly Leu Asn Pro Ala Lys 245 250 255 Ala Ile Ala Glu Ile Lys Leu Ala Leu Ala Thr Glu 260 265
【0118】
【配列表フリーテキスト】
配列番号5:プライマー 配列番号6:プライマー 配列番号7:プライマー 配列番号8:プライマー 配列番号9:プライマー 配列番号10:プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ベクターpL-Cbxの構造を示す。
【図2】図2は、形質転換体のサザン解析の概略を示
す。
【図3】図3は、シイタケのsdi1遺伝子(3.2kb)の配
列を示す。
【図4】図4は、シイタケとヒラタケのIpサブユニット
のアミノ酸配列を比較したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 久美子 岩手県北上市常磐台4−7−55 ハーモニ アスK B棟202号 (72)発明者 江井 仁 岩手県北上市新穀町1−6−27 メルベイ ユ北上304号 (72)発明者 本田 与一 京都府京都市伏見区竹田狩賀町144−8 Fターム(参考) 4B024 AA05 BA08 CA04 CA11 DA06 EA03 FA02 FA07 4B065 AA26X AA71Y AB01 BA01 CA28 CA41

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シイタケ菌の薬剤感受性に関与する遺伝
    子に変異を導入して得られる、薬剤耐性遺伝子。
  2. 【請求項2】 前記薬剤感受性に関与する遺伝子が、コ
    ハク酸デヒドロゲナーゼIpサブユニットをコードする遺
    伝子である、請求項1記載の薬剤耐性遺伝子。
  3. 【請求項3】 配列番号2で表されるアミノ酸配列にお
    いて、1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からな
    るタンパク質をコードする、請求項1記載の薬剤耐性遺
    伝子。
  4. 【請求項4】 配列番号3で表されるプロモーター配
    列、配列番号1で表される塩基配列において、1又は数
    個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列、及
    び配列番号4で表されるターミネーター配列を含む、請
    求項1記載の薬剤耐性遺伝子。
  5. 【請求項5】 配列番号3で表されるプロモーター配
    列、配列番号1で表される塩基配列において、1個の塩
    基が置換された塩基配列、及び配列番号4で表されるタ
    ーミネーター配列を含む、請求項1記載の薬剤耐性遺伝
    子。
  6. 【請求項6】 前記薬剤がカルボキシンである、請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の遺
    伝子を含有する組換えベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のベクターを導入して得ら
    れる形質転換体。
  9. 【請求項9】 宿主が子実体を有する菌類である、請求
    項8記載の形質転換体。
  10. 【請求項10】 前記菌類が担子菌に属する菌類であ
    る、請求項9記載の形質転換体。
  11. 【請求項11】 前記菌類がシイタケである、請求項1
    0記載の形質転換体。
JP2001392710A 2001-12-25 2001-12-25 新規薬剤耐性遺伝子 Pending JP2003189855A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001392710A JP2003189855A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 新規薬剤耐性遺伝子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001392710A JP2003189855A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 新規薬剤耐性遺伝子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003189855A true JP2003189855A (ja) 2003-07-08
JP2003189855A5 JP2003189855A5 (ja) 2004-09-09

Family

ID=27599932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001392710A Pending JP2003189855A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 新規薬剤耐性遺伝子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003189855A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007104937A (ja) * 2005-10-12 2007-04-26 Oji Paper Co Ltd 薬剤耐性遺伝子の利用
JP2007312618A (ja) * 2006-05-23 2007-12-06 Iwate Prefecture シイタケの保存過程で発現する細胞壁分解酵素関連遺伝子群、及びその利用方法
CN114875048A (zh) * 2022-05-05 2022-08-09 中国热带农业科学院环境与植物保护研究所 胶孢炭疽菌琥珀酸脱氢酶亚基突变体、其构建方法及其应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007104937A (ja) * 2005-10-12 2007-04-26 Oji Paper Co Ltd 薬剤耐性遺伝子の利用
JP2007312618A (ja) * 2006-05-23 2007-12-06 Iwate Prefecture シイタケの保存過程で発現する細胞壁分解酵素関連遺伝子群、及びその利用方法
CN114875048A (zh) * 2022-05-05 2022-08-09 中国热带农业科学院环境与植物保护研究所 胶孢炭疽菌琥珀酸脱氢酶亚基突变体、其构建方法及其应用
CN114875048B (zh) * 2022-05-05 2023-12-08 中国热带农业科学院环境与植物保护研究所 胶孢炭疽菌琥珀酸脱氢酶亚基突变体、其构建方法及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102194612B1 (ko) 비-유전성 물질을 이용한 식물 게놈의 부위-특이적인 변형 방법
KR102229968B1 (ko) 메틸영양성 효모를 유전적으로 조작하는 발현 구축물 및 방법
US9512409B2 (en) Thermostable catalase
US11124797B1 (en) Wheat male-sterility gene WMS and its anther-specific expression promoter and uses thereof
JP2001518786A (ja) 糸状菌、特にアスペルギルス属に属する糸状菌のアグロバクテリウム媒介性形質転換
CN113302305A (zh) 提高丝状真菌细胞在多肽的产生方面的生产力的方法
CA2132433A1 (en) A novel enzyme and a dna sequence
CN108588060B (zh) 一种用丝状真菌宿主细胞表达的重组草酸脱羧酶
JP2002515252A (ja) 糸状菌変異体細胞においてポリペプチドを生産するための方法
JP3538428B2 (ja) 植物プロモーターおよび該プロモーターを用いた遺伝子発現方法
CN110819634B (zh) 一种细叶百合基因LpNAC6的克隆及其应用
JP3343567B2 (ja) 糸状菌のエンハンサーdna塩基配列およびその用途
CN108779155A (zh) RlmA灭活的丝状真菌宿主细胞
CA2132299A1 (en) A process for producing heme proteins
JP2003189855A (ja) 新規薬剤耐性遺伝子
CA2167152A1 (en) Production and application of transgenic mushroom mycelium and fruitbodies
JP4610044B2 (ja) プロモーター遺伝子及び発現ベクター
JP2001157586A (ja) プロモーター遺伝子
JP3694928B2 (ja) 担子菌コリオラス属由来プロモーター活性を有するdna断片
JP4619487B2 (ja) プロモーター遺伝子
US6660851B1 (en) DNA fragment elevating gene expression dose
JP4016948B2 (ja) プロモーター活性を有するdna断片
US7307158B2 (en) Selection marker gene
KR20210011394A (ko) Crispr/cas9 시스템을 이용하여 플라보노이드 생합성 유전체를 편집하기 위한 조성물 및 이의 이용
JP4920865B2 (ja) 緑色組織特異的プロモーター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041115

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061010

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20061211

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070213