JP2003183539A - 酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水性分散体 - Google Patents
酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水性分散体Info
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Abstract
として好適な酸化処理カーボンブラックと製法及びその
水性分散体を提供する。 【解決手段】 ペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸
塩によりカルボキシル基が2〜5μmol/m2に液相酸化さ
れたカーボンブラックであって、生成したカルボキシル
基の一部あるいは全てが解離定数(pKa) が5未満のアル
カリ溶液で中和されたものであることを特徴とする酸化
処理カーボンブラックとカーボンブラックを液相酸化後
中和し、残塩を除去するその製法。また、酸化処理カー
ボンブラックを水分散媒に分散し、カーボンブラック粒
子凝集体の平均粒径Dupa50%が50〜130nm、最大粒
径Dupa99%が150〜320nm、粒度分布の半値幅ΔD
upa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDupa(mod
e) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理され
た水性分散体。
Description
リンター用や水性インキ用の黒色顔料として有用な酸化
処理カーボンブラック、その製造方法、及びこの酸化処
理カーボンブラックの水性分散体に関する。
濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させるこ
とは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に
存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボ
キシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能
基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔
料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性顔料
インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの表面
性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。
水性の官能基を形成することによりカーボンブラックの
水中への分散性能を改良することは古くから知られてい
る。例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボ
ンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理する
方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカ
ーボンブラックを低温酸素プラズマによって酸化処理す
る方法が開示されている。しかしながら、低温プラズマ
による酸化処理は大量のカーボンブラックに対して均一
な反応を進めることが難しい難点がある。
ックにカップリング剤あるいは界面活性剤などを用いて
水への分散性の向上を図る水性インキの製造方法(特開
平4-189877号公報、同4-359072号公報、同5-43759 号公
報、同5-125306号公報等)も知られているが、温度変化
および経時的変化による界面活性剤などの酸化や分解に
よる変質から分散性能を長期間、安定に維持することは
困難である。
カーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおい
て、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性
水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボ
ンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法にお
いて、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前
記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更
に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方
法が提案されており、また、特開平8−319444号
公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラック
を水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩
を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含す
る水性顔料インキの製造方法が開示されている。
平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化
して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有
させることにより、水分散性が良好で、長期間の分散安
定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかし
ながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散
状態を維持するためには、カーボンブラック粒子表面と
水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大き
な機能を果たし、単にカーボンブラック単位重量当たり
の官能基量では分散性の良否を的確に判断することは困
難である。
に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面
積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目
し、酸化処理により改質されたカーボンブラックであっ
て、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル
基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積当たり3μ
eq/m2以上であることを特徴とする易水分散性カーボン
ブラック(特開平11−148027号公報)を提案した。
能基を形成するのみでは水中へのカーボンブラックの分
散性を高め、長期に亘る分散安定性を維持するためには
限界があることから、更に研究を進めた結果、水中への
易分散性や分散安定性などの分散性能はカーボンブラッ
ク粒子の凝集形態と密接な関係があることを見出し、窒
素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が
70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカ
ーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモ
ード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa(nm)
との比Dupa /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備え
る易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公
報)を開発提案した。
分散性能及びインキ性能の向上を図るために更に研究し
た結果開発されたもので、その目的は普通紙、専用紙、
OHPシート、アート紙等に優れた紙定着濃度、印字品
位、吐出安定性、耐光性を与え、更に、保存安定性が極
めて良好であり、インクジェットプリンター用や水性イ
ンク用等の黒色顔料として有用な酸化処理カーボンブラ
ック、その製造方法、及びこの酸化処理カーボンブラッ
クの水性分散体を提供することを目的とする。
処理カーボンブラックは、ペルオキソ二酸あるいはペル
オキソ二酸塩によりカルボキシル基が2〜5μmol/m2に
液相酸化されたカーボンブラックであって、生成したカ
ルボキシル基の一部あるいは全てが解離定数 (pKa)が5
未満のアルカリ溶液で中和されたものであることを特徴
とする。
をペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸塩水溶液に混
合してカルボキシル基を2〜5μmol/m2に酸化処理した
のち、解離定数 (pKa)が5未満のアルカリ溶液でカルボ
キシル基の一部あるいは全てを中和し、次いで、残塩を
除去することを特徴とする。
ーボンブラックが水分散媒に分散し、カーボンブラック
粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値が50〜130
nm、最大粒径Dupa99%(nm)の値が150〜320nm、粒
度分布の半値幅ΔDupa(mode)とモード径Dupa(mode)
との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以
下に分級処理されたことを特徴とする。但し、Dupa50%
は,カーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し
て散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累
積度数分布曲線を作成し、同分布曲線における50%累
積度数の値を示し、Dupa99%は同分布曲線における99
%累積度数の値を示す。また粒度分布の半値幅ΔDupa
(mode) はアグロメレート粒径の分布曲線におけるモー
ド径における頻度の1/2に相当する大小2点間の距離
を示す。
クを酸化するための酸化剤にはペルオキソ二酸やペルオ
キソ二酸塩が限定的に用いられる。ペルオキソ二酸とし
ては、例えばペルオキソ硫酸、ペルオキソ炭酸、ペルオ
キソ燐酸等が、また塩にはアルカリ金属塩やアンモニウ
ム塩等が例示される。
酸化剤、例えば、次亜ハロゲン酸やその塩を使用した場
合には、カーボンブラック中にハロゲンが残存するため
に、印字物を焼却処理する際にダイオキシン等が発生す
る可能性が生じ、環境に悪影響を与えることになる。ま
た、重クロム酸やその塩、過マンガン酸やその塩等も酸
化後のカーボンブラック中あるいは廃液中に重金属が残
留し易いために環境汚染上問題が生じる。
ニトロソ基が形成され、このニトロソ基を有するカーボ
ンブラックは変異原生を有し、人体に有害である。ま
た、過酸化水素による酸化は酸化力が弱く、水分散性に
有効機能するカルボキシル基の生成量が不充分になり易
い。
現象が起こるためカーボンブラック表面に均一にカルボ
キシル基を生成することが不可能であり、酸化力も弱い
ためカルボキシル基の生成量も少ない。なお、液相中で
オゾンガスをバブリングさせて酸化させる方法ではオゾ
ンガスの水への溶解度が低いため、カルボキシル基の生
成がより少なくなる。
二酸あるいはペルオキソ二酸塩が用いられ、酸化処理は
酸化剤水溶液にカーボンブラックを混合して攪拌するこ
とにより行われる。酸化処理によりカーボンブラックの
表面にはカルボキシル基、キノン基、ヒドロキシル基、
ラクトン基等が生成するが、水分散に関係する官能基は
酸性官能基であるカルボキシル基とヒドロキシル基であ
る。しかし、ヒドロキシル基の解離定数は8〜10で、
カルボキシル基の2〜5に比べて非常に大きいので水分
散性に関係する官能基はカルボキシル基が支配的とな
る。
れば水への分散性は向上することになる。しかし、同時
に紙の繊維間への浸透性も大きくなり、印字した際に黒
色度が低下する傾向が生じる。そこで、水分散性と黒色
度を同時に満足するカルボキシル基として液相酸化時の
酸化剤濃度、反応温度、反応時間、攪拌速度等を調節す
ることにより、カーボンブラック表面のカルボキシル基
量を2〜5μmol/m2に酸化処理する。
のように液相酸化して生成したカルボキシル基の一部あ
るいは全てが解離定数(pKa) が5未満のアルカリ溶液で
中和されたものである。解離定数が5以上のアルカリ溶
液(炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等)で中和す
ると、僅かではあるが形成したヒドロキシル基をフェノ
ラート塩に置換することは困難となり、分散体中のカー
ボンブラックの分散安定性が経時的に不安定になる可能
性が高くなる。
は、例えば無機系としては水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等があり、有機系としては水酸
化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアン
モニウム等が例示される。
方法は、カーボンブラックをペルオキソ二酸あるいはペ
ルオキソ二酸塩水溶液に混合して、酸化剤濃度、反応温
度、反応時間、攪拌速度等を調節することにより、カー
ボンブラック表面のカルボキシル基量が2〜5μmol/m2
に酸化処理する。次いで、酸化カーボンブラックに解離
定数(pKa) が5未満のアルカリ溶液を加えてカルボキシ
ル基の一部あるいは全てを中和し、次いで、残塩を除去
することを特徴とする。
ックの分散液には、中和により生成した塩類が存在する
ので、これらの残塩は電気透析あるいは逆浸透膜、限外
濾過膜、ルーズ R.O等の分離膜で分離除去し、酸化カー
ボンブラックを精製する。カーボンブラック分散液の残
塩濃度は、カーボンブラック分散濃度を20wt%として
電気伝導度が2mS/cm 未満となるように除去することが
好ましい。残塩除去が不充分な場合には水分散体の分散
性、保存安定性、粘性等が悪化し、また装置腐食の問題
も生じることになる。
ーボンブラックを水分散媒に分散させ、更に分級処理し
てカーボンブラック粒子の凝集形態を特定した点に特徴
を有する。すなわち、分級処理してカーボンブラック粒
子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値を50〜130n
m、最大粒径Dupa99%(nm)の値を150〜320nm、粒
度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode)
との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値を1.20以
下に特定するものである。
合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持
するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集
形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集体を形
成し難いことが有利である。一方、カーボンブラック粒
子の凝集形態が小さくなると分散性能の向上には有利で
あるが、水性インキとした場合には紙繊維の隙間からカ
ーボンブラックが通過して紙定着濃度が低下する。しか
し、凝集形態が大きくなると分散性が悪化し、インキの
吐出安定性および濾過性等が低下することになる。ま
た、カーボンブラック粒子凝集体の大きさによって酸化
される度合に差異が生じ、大きい粒子凝集体は酸化が不
充分になり易い等の問題がある。
子凝集体、すなわちアグロメレート粒径の粒度分布のシ
ャープ化を図るものであり、具体的にはカーボンブラッ
ク粒子凝集体の平均粒径Dupa50%(nm)の値を50〜13
0nm、最大粒径Dupa99%(nm)の値を150〜320nm、
粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mod
e) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値を1.2
0以下に特定する。なお分級処理は遠心分離法、機能性
膜による分離法等適宜な方法により行われる。
あると紙へ印字した際に紙繊維の隙間をカーボンブラッ
クが通過する割合が増大するため黒色度が低下する。一
方、130nmを越えると黒色度は高くなるが、分散安定
性が低下し、例えば濾過性が悪化し、沈殿残渣率が増大
する。また、最大粒径Dupa99%(nm)の値が150nm未満
であると紙に印字した場合に黒色度が低くなり、320
nmを越えると濾過性、沈殿残渣率、吐出安定性等が不良
となる。更に、粒度分布の半値幅ΔDupa(mode)とモー
ド径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode)
の値が1.20を越えると、濾過性、沈殿残渣率、吐出
安定性等が悪化することになる。
特性は、下記の測定方法によって得られた値が用いられ
る。 (1)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、最大粒径
Dupa99%(nm);カーボンブラックを水に分散して0.1
〜0.5kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロダインレーザ
ドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社
製、UPA mode1 9340) を用いて分散液中においてブラウ
ン運動しているアグロメレート粒子にレーザー光を照射
して、ドップラー効果による散乱光の周波数変調の度合
いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。こ
のようにして測定したアグロメレート粒径からその累積
度数分布曲線を作成し、この累積度数分布曲線の50%
累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(n
m)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径D
upa99%(nm)とする。 (2)アグロメレートの粒度分布の半値幅ΔDupa(mode)(n
m) ;上記の方法により測定したアグロメレート粒径か
ら粒度分布曲線を作成し、この粒度分布曲線におけるモ
ード径Dupa(mode)(nm) における頻度の1/2に相当す
る大小2点間の距離を半値幅ΔDupa(mode)(nm) とす
る。
具体的に説明する。
5cm3/100gのカーボンブラック(実施例1)、および及
び窒素吸着比表面積(N2SA)204m2/g、DBP吸収量1
29cm3/100gのカーボンブラック(実施例2)を用いて
酸化処理した。酸化処理はカーボンブラック100g を
濃度1.0mol/dm3 のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶
液3dm3 に添加し、反応温度333K 、反応時間10時
間、攪拌速度0.12 s-1の条件で行った。反応終了
後、酸化カーボンブラックと反応溶液を濾別し、酸化カ
ーボンブラックを濃度1.0mol/dm3 の水酸化ナトリウ
ム溶液で中和した。中和後、遠心分離器(日立工機製 C
R22F)で7.5×10-3 S-1、15分間の条件で処理し
た。その後、上澄み液を限外濾過膜(旭化成製 AHP-101
0 、分画分子量 50000)で残存する塩を分離したのちカ
ーボンブラック固形分20wt%に濃縮した。このカーボ
ンブラック分散体の電導度は1.3mS/cm であった。
mol/dm3 の過マンガン酸カリウム水溶液3dm3 に添加
し、反応温度343K 、反応時間3時間、攪拌速度0.
12 s-1の条件で酸化処理した。反応終了後、酸化カー
ボンブラックと反応溶液を濾別し、酸化カーボンブラッ
クを濃度1.0mol/dm3 の水酸化ナトリウム溶液で中和
した。中和後、実施例1と同じ方法で残存する塩を分離
したのちカーボンブラック固形分20wt%に濃縮した。
このカーボンブラック分散体の電導度は1.5mS/cm で
あった。
ナトリウム水溶液(有効塩素濃度4%)3dm3 に添加
し、反応温度373K 、反応時間5時間、攪拌速度0.
12 s-1の条件で酸化処理した。反応終了後、塩酸でp
H2に調整して、酸化カーボンブラックと反応溶液を濾
別し、次いで酸化カーボンブラックを濃度1.0mol/dm
3 の水酸化ナトリウム溶液で中和した。中和後、実施例
1と同じ方法で残存する塩を分離したのちカーボンブラ
ック固形分20wt%に濃縮した。このカーボンブラック
分散体の電導度は1.2mS/cm であった。
器に入れ、オゾン発生機(日本オゾン株製 10T-4A6)に
より発生電圧200V、オゾン発生量18g/hの条件で
1時間処理したのち水中に分散させ、濃度1.0mol/dm
3 の水酸化ナトリウム溶液で中和した。中和後、実施例
1と同じ方法で残存する塩を分離したのちカーボンブラ
ック固形分20wt%に濃縮した。このカーボンブラック
分散体の電導度は0.8mS/cm であった。
dm3 とした他は、実施例1と同じ方法で酸化処理、中和
処理及び残塩除去を行って、カーボンブラック分散体を
作製した。
施例1と同じ方法でカーボンブラック分散体を作製し
た。
同じ方法でカーボンブラック分散体を作製した。
水性分散体について、作製条件を対比して表1に示し
た。
分散濃度20wt%のカーボンブラック水性分散体につい
て、下記の方法で水分散性能、インキ性能等を測定し
た。得られた結果を表2に示した。
れ、70℃の温度に保持して1〜4週間の粘度変化を回
転振動式粘度計(山一電機株式会社製、VM-100A-L )に
より測定した。
び保存安定性試験を行った各サンプルについて、ヘテロ
ダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイク
ロトラック社製、UPA mode1 9340)を用いてアグロメレ
ートの粒子径を測定した。
濾紙(NO.2)、及び膜孔径3μm 、0.8μm 、0.6
5μm 、0.45μm の各フィルターを用いて266
6.4Paの減圧下で濾過試験を行い、通過量を比較し
た。
の重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿
残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重
量(M0)とを測定して、その重量比(M1/M0) を沈殿残渣率
とした。この値が小さいほど分散安定性は良好になる。
ク濃度4wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を
使用し、これに#6バーコータにより印字して、マクベス
濃度計(コルモーゲン社製 RD-927 )を用いて光学濃度
を測定した。
定;サンプルを限外濾過膜により電導度が0.5mS/cm
まで精製した後、30g を精秤し、20000Gの重力
加速度で1時間遠心分離して固−液を分離する。分離し
たカーボンブラックを真空乾燥器中に入れ、313Kで
24時間真空乾燥する。乾燥後のカーボンブラックを超
音波浴槽にて、再度20wt%の分散濃度に再分散させ、
次いで再び遠心分離により固−液を分離する。その上澄
み液を下記の方法により、上澄み液中の重金属及びハロ
ゲンを測定し、液中に存在するカーボンブラック量で除
して残留重金属濃度、残留ハロゲン濃度を測定した。 残留重金属測定 マンガンの定量は、JISK0101の過ヨウ素酸吸光
光度法による。 残留ハロゲン測定 JISK0122のイオン電極法による。
ンブラックを分散させた水性分散体は、優れた保存安定
性、濾過性、印字濃度、沈殿残渣率を兼ね備えているこ
とが判る。これに対し、比較例1は保存安定性、濾過
性、印字濃度、沈殿残渣率等良好であるが残留重金属が
多く、比較例2も水性分散体としての特性は良好である
が残留ハロゲンが多く、共に環境汚染及び安全性で問題
がある。比較例3のオゾンにより酸化処理したカーボン
ブラックの水性分散体は、酸化が不充分なためゲル化が
生じて分散状態を維持することができなかった。また、
カルボキシル基が多い酸化処理カーボンブラックを分散
させた比較例4では、水分散性は良好であるが印字濃度
(黒色度)が著しく低下した。更に、解離定数が5以上
のNaHCO3 で中和した比較例5の水性分散体は、粘
度や粒子凝集体の粒度分布が増大傾向にあり、分級処理
を行わなかった比較例6は濾過性が著しく低下すること
が認められた。
性能に優れた酸化処理カーボンブラックとその製造方法
が提供され、またその水性分散体は長期安定性、黒色
度、濾過性、沈殿残渣率等が良好であり、インクジェッ
トプリンター用の水性インク等として優れた実用性が期
待される。
Claims (3)
- 【請求項1】 ペルオキソ二酸あるいはペルオキソ二酸
塩によりカルボキシル基が2〜5μmol/m2に液相酸化さ
れたカーボンブラックであって、生成したカルボキシル
基の一部あるいは全てが解離定数 (pKa)が5未満のアル
カリ溶液で中和されたものであることを特徴とする酸化
処理カーボンブラック。 - 【請求項2】 カーボンブラックをペルオキソ二酸ある
いはペルオキソ二酸塩水溶液に混合してカルボキシル基
を2〜5μmol/m2に酸化処理したのち、解離定数 (pKa)
が5未満のアルカリ溶液でカルボキシル基の一部あるい
は全てを中和し、次いで、残塩を除去することを特徴と
する請求項1記載の酸化処理カーボンブラックの製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1記載の酸化処理カーボンブラッ
クが水分散媒に分散し、カーボンブラック粒子凝集体の
平均粒径Dupa50%(nm)の値が50〜130nm、最大粒径
Dupa99%(nm)の値が150〜320nm、粒度分布の半値
幅ΔDupa(mode) とモード径Dupa(mode) との比ΔDup
a(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理
されたことを特徴とする水性分散体。但し、Dupa50%
は、カーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し
て散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累
積度数分布曲線を作成し、同分布曲線における50%累
積度数の値を示し、Dupa99%は同分布曲線における99
%累積度数の値を示す。また粒度分布の半値幅ΔDupa
(mode) はアグロメレート粒径の分布曲線におけるモー
ド径における頻度の1/2に相当する大小2点間の距離
を示す。
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