JP2003173187A - 音響信号コンプレッサ装置 - Google Patents

音響信号コンプレッサ装置

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JP2003173187A JP2001373877A JP2001373877A JP2003173187A JP 2003173187 A JP2003173187 A JP 2003173187A JP 2001373877 A JP2001373877 A JP 2001373877A JP 2001373877 A JP2001373877 A JP 2001373877A JP 2003173187 A JP2003173187 A JP 2003173187A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】面白みがなく平板な音となりがちであるという
従来のディジタルコンプレッサの欠点を解消し、構成が
簡単で、入出力関係が固定的でないようなディジタルコ
ンプレッサを提供することを目的とする。 【解決手段】エンベロープフォロワ101は入力信号の
振幅レベルを抽出して出力する。変換回路102はその
振幅レベルを除数yに変換する。除算フィルタ103は
被除数xと除数yからx/yを演算する。除算フィルタ
103は、この除算をフィルタ演算で実行するので、除
数yに応じて時定数が変化し、除算結果に達する時間も
異なる。除算結果と入力信号とを乗算し、入力信号のレ
ベルを制限する。これにより、コンプレッサの入出力関
係が固定されてないようなレベル制限の特性を与えるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声信号や楽音信
号などの音響信号のレベルを制限する音響信号コンプレ
ッサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンプレッサは、音響信号のダイナミッ
クレンジを圧縮する装置である。ディジタルコンプレッ
サは、ディジタル音響信号を入力とするコンプレッサで
ある。ディジタルコンプレッサでは、例えば、入力信号
のレベルを対数変換し、所定のスレショルドとレシオに
応じた変換を施した後、指数変換し、これと入力信号と
を乗算する、というような処理を行なっている。他の方
法として、テーブルを用いる方法や、折れ線近似で振幅
比を決める方法などもある。
【0003】特開平3−218109号には、入力信号
を所定時間遅延した信号に、入力信号のレベル値に対応
した値を乗算(入力レベルの小さな音響信号のレベルを
増加させ、かつ入力レベルの大きな音響信号のレベルを
減少させるようにする)することにより、音響信号のダ
イナミックレンジを変更するディジタルコンプレッサが
開示されている。特開平6−332454号には、複数
チャンネル分累算されたディジタル楽音信号から振幅エ
ンベロープを検出し、入力信号レベルが小さな領域で一
定のゲインを表しかつ入力信号レベルの大きな領域では
徐々に減少するゲインを表す出力信号を出力する非線形
変換回路を介することにより、ダイナミックレンジを変
更する電子楽器が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来のディジタ
ルコンプレッサでは、その特性が固定的であり、電子楽
器などに適用したとき、面白みのない平板な楽音になり
がちであった。近年では、楽音に歪みを与えることによ
り、変化が豊かで効果的な楽音を生成したいという要求
がある。
【0005】この発明は、上述の従来形における問題点
に鑑み、面白みがなく平板な音となりがちであるという
従来のディジタルコンプレッサの欠点を解消し、構成が
簡単で、入出力関係が固定的でないようなディジタルコ
ンプレッサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、入力信号の振幅レベルを検
出する手段と、該振幅レベルに基づいて除数を決定する
手段と、被除数を入力し、前記被除数を前記除数で除算
する演算を行なうとともに、該除算をフィルタ演算で実
行する除算フィルタ手段と、前記除算の結果に基づい
て、前記入力信号の振幅を制御する手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
音響信号コンプレッサ装置において、前記除算フィルタ
手段は、1サンプリング周期で前記除算の演算を複数回
行なうことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の実
施の形態を説明する。
【0009】図1は、この発明の実施の形態に係るディ
ジタルコンプレッサの基本構成を示すブロック図であ
る。このコンプレッサは、エンベロープフォロワ10
1、変換回路102、除算フィルタ103、および乗算
器104を備える。
【0010】エンベロープフォロワ101は、入力信号
のエンベロープレベルを抽出して出力する回路である。
変換回路102は、エンベロープフォロワ101で抽出
した入力信号のエンベロープのレベルを除数yに変換す
る。除算フィルタ103は、被除数xと変換回路102
からの除数yを入力し、x/yを演算出力する。乗算器
104は、除算フィルタ103の出力z=x/yと入力
信号inとを乗算する。乗算器104の出力out=i
n*zが本コンプレッサの出力となる。通常は、乗算器
104の後段にレベル調整のアンプがつながるが、ここ
では省略してある。
【0011】乗算器104の乗算結果outは、除算フ
ィルタ103の出力zと入力信号inとを乗算して得て
いる。除算フィルタ103では、入力信号のエンベロー
プのレベルが大きいほど出力値z=x/yは小さくな
り、入力信号のエンベロープのレベルが小さいほど出力
値z=x/yは大きくなる。これにより、入力信号in
のレベルに応じた出力信号outのレベル制限を実現す
ることができる。
【0012】図2は、図1のディジタルコンプレッサの
具体的な構成例である。このコンプレッサは、全波整流
部201、減算器202、半波整流部203、乗算器2
04、加算器205、遅延回路206、乗算器207、
乗算器208、加算器209、減算器210、遅延回路
211、乗算器212、および乗算器224を備えてい
る。各加算器および各乗算器は、オーバフロープロテク
ト付きのものであり、所定の上限値または下限値をオー
バフローしたときには、その上限値または下限値を出力
する。付番201から206の部分が、図1の101に
相当するエンベロープフォロワ221である。付番20
8と209の部分が、図1の102に相当する変換回路
222である。付番210から212の部分が、図1の
103に相当する除算フィルタ223である。乗算器2
24が、図1の乗算器104に相当する。図2のディジ
タルコンプレッサは、例えばDSP(ディジタルシグナ
ルプロセッサ)とマイクロプログラムにより構成するこ
とができる。
【0013】エンベロープフォロワ221において、入
力信号は全波整流部201に入力する。全波整流部20
1は、入力信号に対する全波整流、すなわち入力が負の
ときに正に変換する処理を行なう。全波整流部201の
出力は、減算器202に入力する。減算器202は、入
力信号から乗算器207の乗算結果を減算して出力す
る。減算器202の出力は、半波整流部203に入力す
る。半波整流部203は、入力信号に対し、正の範囲の
みを通し負の範囲は出力しない。半波整流部203の出
力は、乗算器204に入力し、乗算係数arと乗算され
る。加算器205は、その乗算結果を入力し、乗算器2
07の乗算結果と加算する。加算器205の出力は、遅
延回路206に入力する。遅延回路206は、入力信号
を1サンプリング周期だけ遅延して出力する遅延回路で
ある。遅延回路206の出力は、乗算器207に入力
し、乗算係数rrと乗算される。その乗算結果は、減算
器202と加算器205に入力する。
【0014】加算器202、半波整流部203、乗算器
204、加算器205、遅延回路206、および乗算器
207は、半波整流器とローパスフィルタ(LPF:Lo
w Pass Filter)を兼ねた回路になっている。乗算器
204の乗算係数arはアタックレートで、信号の立ち
上がりの時間的変化を決定するパラメータである。乗算
器207の乗算係数rrはリリースレイトで、信号が下
がってくる際の時間的変化を決定するパラメータであ
る。乗算係数arおよびrrを適宜設定することによっ
て、立ち上がりが速く下りてくるのがゆっくりであるロ
ーパスフィルタ特性が得られる。加算器205の出力
を、エンベロープフォロワ221の出力efとして、次
段の変換回路222に入力する。
【0015】変換回路222では、エンベロープフォロ
ワ221の出力efを乗算器208に入力し乗算係数r
atと乗算する。乗算器208の出力は、加算器209
に入力し、オフセット値ofsと加算される。乗算係数
ratは、コンプレッサのコンプレッションレシオに相
当し、コンプレッサのかかり具合を決めるパラメータで
ある。オフセット値ofsは、knee(コンプレッサ
のかかり具合がハードかソフトか)を決めるパラメータ
である。加算器209の出力(すなわち、ef*rat
+ofs)は、変換回路222の出力yとして、除算フ
ィルタ223の除数端子に入力する。なお、*は乗算を
意味するものとする。
【0016】除算フィルタ223の被除数端子にはスレ
ショルドレベルth(図1の被除数xである)が入力す
る。スレショルドレベルthは、加算器210に入力す
る。加算器210の出力は、遅延回路211に入力す
る。遅延回路211は、入力信号を1サンプリング周期
だけ遅延して出力する遅延回路である。遅延回路211
の出力は、加算器210および乗算器212に入力す
る。乗算器212は、遅延回路211の出力に変換回路
222からの出力yを乗算し、乗算結果を減算器210
に入力する。減算器210は、スレショルドレベルth
から乗算器212の乗算結果を減算し、遅延回路211
からの出力を加算する。減算器210の出力は、除算フ
ィルタ223の出力として、乗算器224に入力する。
【0017】除算フィルタ223は、IIR(Infinite
Impulse Response)フィルタを構成しており、その
伝達関数は、 H(z)=x/{1−(1−y)z-1} =th/[1−{1−(ofs+rat*ef)}z-1] となる。充分な時間が経過して安定したときの出力は、
上記の伝達関数H(z)でz-1=1と置いて、 H(z)=th/(ofs+rat*ef)=x/y となる。
【0018】なお、変換回路222と除算フィルタ22
3は、図3の回路でも代替できる。図3の回路では、伝
達関数は、 H(z)=x/{1−yz-1} =th/[1−(1−ofs−rat*ef)z-1] となる。充分な時間が経過して安定したときの出力は、
上記の伝達関数H(z)でz-1=1と置いて、 H(z)=th/(ofs+rat*ef)=x/y となるので、図2の回路と等価であることが判る。
【0019】図4〜図8を参照して、図2のコンプレッ
サの特性について詳しく説明する。図4〜図8におい
て、図2の回路への入力をin、出力をout、除数を
y、被除数をx(=th)、除算結果をdとする。充分
な時間が経過した状態(時間→∞)を考慮するものと
し、そのためエンベロープフォロワ221は全波整流に
置き換えて、フィルタの特性を求めるものとする。ま
た、除算フィルタ223のDC応答(z-1→1,時間→
∞と等価)でレベルを求めるものとする。入力inは−
1≦in≦1の範囲で有意であるものとし、図2の各部
での演算もこの範囲で有意とする。この範囲外はオーバ
フローとする。
【0020】図4は、コンプレッションレシオrat=
1、オフセット値ofs=0とし、スレショルドレベル
th=xのみを変化させるときの出力特性を示す図であ
る。図4(a)は、入力inと除数yとの関係を示す。
入力inを全波整流して絶対値|in|とし、変換回路
222でy=|in|*rat+ofsとするから、変
換回路222の出力である除数yは図4(a)に示すよ
うになる。
【0021】図4(b)は、入力inと除算結果dの関
係を示す。除算結果d=x/yであり(x=th)、除
数yは図4(a)に示すとおりであるから、除算結果d
のグラフは図4(b)のようになる。スレショルドレベ
ルth=xのときの除算結果dのグラフを実線401に
示し、スレショルドレベルth=x’(ただし、x’<
x)のときの除算結果dのグラフを破線402に示す。
入力inの絶対値が小さいほど、図4(a)から判るよ
うに除数yが小さくなり、除算結果d=x/yは大きく
なる。入力inの絶対値が被除数xより小さいと、除算
結果dは1を超えてオーバフローになる。オーバフロー
のときは、除算結果d=1が出力される。図4(b)の
グラフのd=1の平坦部403は、除算結果dがオーバ
フローした範囲を示す。
【0022】図4(c)は、入力inと出力outの関
係を示す。出力outは、乗算器224で図4(b)の
除算結果dに入力inを乗算した結果である。入力in
の絶対値が被除数xより小さい範囲ではd=1であるの
で、出力out=入力inである。したがって、この範
囲では傾き1のグラフ411のようになり、出力out
は入力inにしたがってリニアに変化する。入力inの
絶対値が大きくなってxを超えると、除算結果d=x/
yでyは入力inの絶対値と等しいので、出力out=
d*in=xまたは−xとなる。図4(c)のout=
xおよびout=−xの平坦部412は、この範囲であ
る。出力outは、入力inの絶対値が大きくなって
も、所定範囲にレベルが制限され、コンプレッサの動作
が実現されている。また、スレショルドレベルth=x
を変化させることにより、平坦部412のレベルを変更
制御できる。例えば、スレショルドレベルth=x’
(ただし、x’<x)としたときは、平坦部は破線のグ
ラフ413に示すようになり、出力outをより狭い範
囲にレベル制限することができる。この場合、図4
(b)に示した平坦部403の範囲も、−xからxまで
の範囲が、より狭い−x’からx’までの範囲となり、
これに伴って図4(c)の傾き1のグラフ411の範囲
も同様に−x’からx’までの範囲となる。
【0023】図5は、コンプレッションレシオrat=
1−x、オフセット値ofs=xとし、スレショルドレ
ベルthをオフセット値ofsと同じ値にして変化させ
るときの出力特性を示す図である。コンプレッションレ
シオratは、この変化に連動させるものとする。図5
(a)は、入力inと除数yとの関係を示す。入力in
を全波整流して絶対値|in|とし、変換回路222で
y=|in|*rat+ofsとするから、変換回路2
22の出力である除数yは図5(a)に示すようにな
る。特に、入力in=0のとき、y=ofs=xであ
る。入力|in|=1のとき、y=1−x+x=1であ
る。スレショルドレベルth=xのときの除数yのグラ
フを実線501に示し、スレショルドレベルth=x’
(ただし、x’<x)のときの除数yのグラフを破線5
02に示す。
【0024】図5(b)は、入力inと除算結果dの関
係を示す。除算結果d=x/yであり(x=th)、除
数yは図5(a)に示すとおりであるから、除算結果d
のグラフは図5(b)のようになる。特に、入力in=
0のとき、y=ofs=xとなるから、d=1である。
また、|in|=1のとき、y=|in|*(1−x)
+x=1となるから、d=xである。上述のth=xの
ときの除算結果dのグラフを実線511に示し、th=
x’(ただし、x’<x)のときの除算結果dのグラフ
を破線512に示す。
【0025】図5(c)は、入力inと出力outの関
係を示す。出力outは、乗算器224で図5(b)の
除算結果dに入力inを乗算した結果であるから、図5
(c)のグラフ521のようになる。入力in=0のと
き出力out=0で、入力in=1のとき出力out=
xである。出力outは、入力inの絶対値が大きくな
っても、所定範囲にレベルが制限され、コンプレッサの
動作が実現されている。また、スレショルドレベルth
=xを変化させることにより、レベル制限する範囲を変
更制御できる。例えば、th=x’(ただし、x’<
x)としたときは、出力outは破線のグラフ522に
示すようになり、出力outをより狭い範囲にレベル制
限することができる。
【0026】図6は、コンプレッションレシオrat<
1−x、オフセット値ofs=xとし、th=ofs=
固定値として、コンプレッションレシオratを変化さ
せるときの出力特性を示す図である。図6(a)は、入
力inと除数yとの関係を示す。入力inを全波整流し
て絶対値|in|とし、変換回路222でy=|in|
*rat+ofsとするから、変換回路222の出力で
ある除数yは図6(a)に示すようになる。特に、入力
in=0のとき、y=ofs=xである。入力|in|
=1のとき、y=rat+x<1である。スレショルド
レベルth=xのときの除数yのグラフを実線601に
示す。
【0027】図6(b)は、入力inと除算結果dの関
係を示す。除算結果d=x/yであり(x=th)、除
数yは図6(a)に示すとおりであるから、除算結果d
のグラフは図6(b)のグラフ611のようになる。特
に、入力in=0のとき、y=ofs=xとなるから、
d=1である。また、|in|=1のとき、y=|in
|*rat+x=rat+x<1となるから、d>xで
ある。
【0028】図6(c)は、入力inと出力outの関
係を示す。出力outは、乗算器224で図6(b)の
除算結果dに入力inを乗算した結果であるから、図6
(c)のグラフ621のようになる。入力in=0のと
き出力out=0で、入力in=1のとき出力out=
d=x/y>xである。出力outは、入力inの絶対
値が大きくなっても、所定範囲にレベルが制限され、コ
ンプレッサの動作が実現されている。また、コンプレッ
ションレシオratを変化させることにより、除算結果
dのグラフ611や出力outのグラフ621の変化の
程度を変更制御でき、これによりコンプレッサのかかり
具合を制御できる。例えば、オフセット値ofs=スレ
ッショルドレベルth(=x)を固定値としたままコン
プレッションレシオratを最小値(=0)から最大値
(=1−x)まで変化させることにより、コンプレッサ
がかかっていない状態(ゲイン=1で一定)から最大に
かかっている状態(図5の実線521)まで連続的に変
化させることができる。これが、後に説明するknee
=softの場合のパラメータratioに応じたコン
プレッサ特性の変化に対応している。
【0029】図7は、スレショルドレベルth=xを固
定値とし、除数yの入力inに対するグラフが(x,
x)を通るようにオフセット値ofsを決定して、コン
プレッションレシオratを変化させるときの出力特性
を示す図である。図7(a)は、入力inと除数yとの
関係を示す。(x,x)を通るようにすることから、i
nとyとの関係式は、inが0から1の範囲でy−x=
rat*(in−x)となる。これより、y=rat*
(in−x)+x=rat*in+(1−rat)*x
であるから、ofs=(1−rat)*xである。特
に、rat=1のときは図4の場合と同じであり、図7
(a)のグラフ701は図4(a)と、図7(b)のグ
ラフ711(平坦部714も含む)は図4(b)のグラ
フ401(平坦部403も含む)と、図7(c)のグラ
フ721および722は図4(c)のグラフ411およ
び412と、それぞれ同じである。
【0030】図7では他にrat=0.5の場合と0.
25の場合を図示した。上記のinとyとの関係式よ
り、これらの場合のyのグラフは図7(a)の702,
703に示すようになる。除算結果d=x/yであり、
y<xの範囲では除算結果dがオーバフローし、図7
(b)の除算結果dのグラフでd=1の平坦部714を
形成している。平坦部714の外側では、除算結果dは
711,712に示すとおりとなる。
【0031】図7(c)は、入力inと出力outの関
係を示し、図7(b)の除算結果dに入力inを乗算し
た結果である。図7(b)の平坦部714の範囲、すな
わち−xからxまでの範囲では傾き1のグラフ721の
ようになり、出力outは入力inにしたがってリニア
に変化する。その外側の範囲では、ratの値に応じた
グラフ723,724のようになる。特に、オーバフロ
ーする−xからxまでの範囲は変更することなくリニア
な特性とし、−xからxまでの範囲の外側では、コンプ
レッションレシオratの値を変更することにより、コ
ンプレッションのかかり具合を制御できる。すなわち、
コンプレッションレシオrat=0はコンプレッサがか
かっていない状態であり、rat=1はコンプレッサが
最大にかかっている状態(図7の実線722)である。
これが、後に説明するknee=hardの場合のパラ
メータratioに応じたコンプレッサ特性の変化に対
応している。
【0032】図8は、スレショルドレベルth=xを固
定値とし、除数yの入力inに対するグラフが(1,
1)を通るようにして、オフセット値ofsを変化させ
る(すなわち、kneeが可変)ときの出力特性を示す
図である。コンプレッションレシオratは、オフセッ
ト値ofsに連動して変化させる。図8(a)は、入力
inと除数yとの関係を示す。(1,1)を通るように
することから、inとyとの関係式は、inが0から1
の範囲でy=(1−ofs)in+ofsとなる。した
がって、rat=1−ofsである。
【0033】特に、ofs=0のときは図4で説明した
のと同様であるから、図8(a)のグラフ801は図4
(a)と、図8(b)のグラフ811(平坦部814も
含む)は図4(b)のグラフ401(平坦部403も含
む)と、図8(c)のグラフ821および822は図4
(c)のグラフ411および412と、それぞれ同じで
ある。また、ofs=xの場合は、図5で説明したのと
同様であるから、図8(a)のグラフ803は図5
(a)のグラフ501と、図8(b)のグラフ813は
図5(b)のグラフ511と、図8(c)のグラフ82
4は図5(c)のグラフ521と、それぞれ同じであ
る。
【0034】図8では他にofsを0<ofs<xの範
囲にとった場合を示した。この場合、入力inと除数y
との関係式は上述の通りであるから、除数yのグラフは
図8(a)の802に示すようになる。図8(b)の除
算結果d=x/yのグラフでは、除数yが固定値th=
xより小さくなる範囲でオーバフローが起こり、この範
囲でd=1となる。この範囲は、−(x−ofs)/
(1−ofs)から(x−ofs)/(1−ofs)ま
での範囲である。この範囲の外側では、グラフ812に
示すようになる。
【0035】図8(c)は、入力inと出力outの関
係を示し、図8(b)の除算結果dに入力inを乗算し
た結果である。図8(b)の平坦部の範囲、すなわち−
(x−ofs)/(1−ofs)から(x−ofs)/
(1−ofs)までの範囲では傾き1のグラフになり、
出力outは入力inにしたがってリニアに変化する。
その外側の範囲では、グラフ823のようになる。本例
では、オフセット値ofsの値を変更することにより、
図8(c)のように特性を変更して、コンプレッサが最
大にかかっている状態におけるゲイン変化特性(図8
(c)のような)の肩のなだらかさを制御することがで
きる。この肩のなだらかさを制御するパラメータは、k
neeと呼ばれている。
【0036】上述の図4〜図8では充分な時間が経過し
た後のコンプレッサの特性を説明したが、実際には除算
フィルタ部分で出力が安定するまでの時間遅れがあり、
またエンベロープフォロワ部分でも同様の時間遅れがあ
る。特に、図2(あるいは図3)の除算フィルタでは、
LPFの係数に除数yを与えた形で構成しているので、
除数yに応じて時定数が変化し、除算結果に達する時間
も異なる。除数yが大きいほど時定数は小さくなり、除
算結果に至る到達時間も速くなる。また、除数yが小さ
いほど時定数が大きくなり、除算結果に至る到達時間は
遅くなる。したがって、入力信号のエンベロープレベル
が大きくなったときにこれを押え込むのは速いが、小さ
いレベルでの変動にはゆっくり追従する。レベルが1/
100程度の変化をしたとき時定数は2.3ms程度(サン
プリング周波数が44.1kHzのとき)なので、実用上問題
はない。却って、この時間遅れにより、入力が変化した
とき少しオーバシュート気味に変化した後に安定した結
果に到達するので、従来のコンプレッサでは得ることが
できない変化が豊かで効果的な楽音を生成できる。
【0037】なお、図2の各部は、所定のサンプリング
クロックに同期して動作しており、1サンプリング周期
で1回動作するように構成されているが、除算フィルタ
223での処理を1サンプリング周期で複数回行なうこ
とにより応答速度を上げることができる。これは一種の
オーバサンプリングで、時定数はその回数分の1とな
る。
【0038】以上のようにして、図2のコンプレッサに
おいては、上述したような各種のパラメータを設定する
ことによりその特性を制御できる。実際に電子楽器の効
果付与装置などに適用した場合は、ユーザが適当な操作
子で以下のような値を設定できるようにし、これらの設
定値から上述の各種のパラメータ値を決めればよい。例
えば、図6のようにth=ofsを固定値としてrat
を変化させる例であれば、 (1)ratio:1〜∞の範囲 (2)threshold:−48〜−6(dB)の範
囲 (3)knee:softまたはhardの別の3つの
値をユーザに設定させ、(1)knee=softのと
きは rat=(1−th)*(ratio−1)/rati
o ofs=th th=pow(10,threshold/20) (2)knee=hardのときは rat=(ratio−1)/ratio ofs=th*(1−rat) th=pow(10,threshold/20) とすればよい。powはdB値をリニア値に変換する関
数である。他の図の特性に対しても同様にすればよい。
【0039】これによりユーザは、ratioを所望の
値に設定することでコンプレッサのかかり具合を調整で
き、thresholdを所望の値に設定することでコ
ンプレッサのかかるレベルを調整することができる。ま
た、ユーザは、コンプレッサのかかり方について、ソフ
トかハードかを選択できる。また、図4〜図8の各特性
を組み合わせてもよいし、切り替え可能(例えば、モー
ド切り替え手段を設け、第1のモードのときは図4の特
性、第2のモードのときは図5の特性、…というように
する)にしてもよい。
【0040】図9は、本発明のコンプレッサを適用する
電子楽器の構成例を示す。この電子楽器は、マイコン9
01、演奏入力部902、パネル903、各種入出力
(I/O)インタフェース904、音源905、エフェ
クタ906、ディジタルアナログ変換器(DAC)90
7、およびサウンドシステム908を備える。
【0041】マイコン901は、この電子楽器全体の動
作を制御する処理装置である。演奏入力部902は、ユ
ーザが演奏操作する鍵盤などの操作子である。パネル9
03は、各種の設定を行なうための操作子や表示部を備
えており、例えば上述のratioやthreshol
dやkneeを設定する操作子を含む。音源905は、
マイコン901からの指示に応じてディジタル楽音信号
を発生する音源であり、その方式は任意である。例え
ば、波形メモリ音源、FM音源、あるいは物理モデル音
源などでもよいし、外部からの波形入力でもよい。エフ
ェクタ906は、音源905から出力される楽音信号に
対して効果を付与するエフェクタであり、本発明に係る
コンプレッサを含む。エフェクタ906の出力は、ディ
ジタルアナログ変換器(DAC)907でアナログ楽音
信号に変換され、サウンドシステム908により放音さ
れる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、除算フィルタを用いて除算演算を行なうようにして
いるので、テーブルが不要であり、該除算フィルタの構
成も非常に単純なもので済むので、簡単な構成で様々な
制御が可能なコンプレッサを実現することができる。さ
らに、除算フィルタにおける時間遅れがあるため、固定
的な入出力関係でなく、従来のコンプレッサでは得るこ
とができない変化が豊かで効果的な楽音を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンプレッサのブロ
ック図
【図2】実施の形態のコンプレッサの構成例を示す図
【図3】変換回路と除算フィルタの別の構成例を示す図
【図4】実施の形態のコンプレッサの特性の例(その
1)を示す図
【図5】実施の形態のコンプレッサの特性の例(その
2)を示す図
【図6】実施の形態のコンプレッサの特性の例(その
3)を示す図
【図7】実施の形態のコンプレッサの特性の例(その
4)を示す図
【図8】実施の形態のコンプレッサの特性の例(その
5)を示す図
【図9】本発明の適用例である電子楽器の構成例を示す
【符号の説明】
101,221……エンベロープフォロワ、102,2
22……変換回路、103,223……除算フィルタ、
104,204,207,208,212,224……
乗算器、201……全波整流部、202,210……減
算器、203……半波整流部、205,209……加算
器、206,211……遅延回路。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力信号の振幅レベルを検出する手段と、 該振幅レベルに基づいて除数を決定する手段と、 被除数を入力し、前記被除数を前記除数で除算する演算
    を行なうとともに、該除算をフィルタ演算で実行する除
    算フィルタ手段と、 前記除算の結果に基づいて、前記入力信号の振幅を制御
    する手段とを備えたことを特徴とする音響信号コンプレ
    ッサ装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の音響信号コンプレッサ装
    置において、 前記除算フィルタ手段は、1サンプリング周期で前記除
    算の演算を複数回行なうことを特徴とする音響信号コン
    プレッサ装置。
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