JP2003168427A - 非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池

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JP2003168427A JP2001363942A JP2001363942A JP2003168427A JP 2003168427 A JP2003168427 A JP 2003168427A JP 2001363942 A JP2001363942 A JP 2001363942A JP 2001363942 A JP2001363942 A JP 2001363942A JP 2003168427 A JP2003168427 A JP 2003168427A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高電圧モジュールのコストが安く、電解液の分
解が抑制され、かつ入力特性にすぐれる非水電解質電池
を提供する。 【解決手段】一般式がLiNiMn2−y(0
≦x≦1、0.45≦y≦0.6)である活物質を備え
た正極と、負極と、非水電解質を備えた非水電解質電池
において、前記負極が難黒鉛化性炭素を含み、前記非水
電解質中にプロピレンカーボネートを含むことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解質電池に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大気中の二酸化炭素濃度の増加に
起因する地球温暖化が、大きな環境問題として報告され
ている。この問題を解決する手段として、従来のガソリ
ン自動車よりも二酸化炭素排出量の少ないハイブリッド
自動車(HEV)や、二酸化炭素を排出しない電気自動
車(EV)を普及させることが試みられている。HEV
とは、エンジンの動力によって発電した電気を電池に蓄
え、その電気によって動くモーターをエンジンの補助動
力として使用することによって、走行に必要な燃料およ
び排気ガスの少量化が可能となる自動車である。これら
のHEVやEVで使用される電池としては、エネルギー
密度および入出力密度の高いものが求められている。
【0003】また、近年、携帯用無線電話、携帯用パソ
コン、携帯用ビデオカメラ等の電子機器が開発され、各
種電子機器が携帯可能な程度に小型化されている。それ
に伴って、内蔵される電池としても、高エネルギー密度
であるものが採用されている。
【0004】そのような要求を満たす典型的な電池は、
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエ
チルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒に、Li
ClO、LiPF等のリチウム塩を溶解した電解液
を用いる非水電解質電池である。この電池は、理論分解
電圧が1.23Vである水を電解質溶媒とした電池と異
なって、3V以上の高電圧系とすることができる。その
ために、非水電解質電池は高エネルギー密度となりう
る。
【0005】このような電池の例のひとつは、正極活物
質としてLiCoO、LiNiO またはLiMn
などを用い、負極活物質として炭素を用いたリチウ
ムイオン電池である。この電池は、充放電が可能な二次
電池である。このリチウムイオン電池は、金属リチウ
ム、またはリチウム合金を負極活物質として用いた従来
のリチウム二次電池よりも充放電サイクル寿命に優れる
ことから、実用に適している。
【0006】上記非水電解質の正極および負極は、いず
れも薄いシートないし箔状に成形される。そののちに、
これらの正極および負極は、セパレータを介して順に積
層又は渦巻き状に巻回される。このようにして作製した
エレメントは、ステンレス、ニッケルメッキを施した
鉄、又はアルミニウム製等の金属缶からなる電池容器に
収納される。この容器に電解液を注液したのちに注液口
を密封することによって、電池が組み立てられる。ま
た、電池容器の材質に金属箔を樹脂フィルムでラミネー
トしたものを用いる方法も適用されている。この方法に
おいては、電池の軽量化を図ることができる。
【0007】LiCoO、LiNiOおよびLiM
正極活物質の平均放電電位は、Li/Li
準でいずれも4V以下である。これらのリチウムイオン
電池をさらに高エネルギー密度化するために、Li/L
基準で4.7Vの放電電位を有するLiNi0.5
Mn1.5正極活物質をリチウム電池に適用するこ
とが試みられている(特表2000−515672、第
41回電池討論会要旨集p450、452、454、4
56(平成12年)など)。
【0008】リチウムイオン電池の負極に用いる炭素材
料としては、難黒鉛化性炭素、黒鉛、低結晶性炭素、低
温焼成炭素などが報告されている(最新二次電池材料の
技術、監修:小久見善八、シーエムシー、p57〜6
5)。これらの炭素材料のうち、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)をHEV用リチウムイオン電池に用いた例
が報告されている(自動車技術、Vol.54,No.
1,2000,p85)。この報告において難黒鉛化性
炭素が用いられている理由は、電圧から電池の残存容量
を精度良く検地可能であり、組電池において電池容量が
ばらつかないからである。
【0009】リチウムイオン電池の安全性を向上させる
ことなどを目的として、ポリマー電解質を適用すること
が試みられている(最新二次電池材料の技術、監修:小
久見善八、シーエムシー、p127〜137)。このよ
うなポリマー電解質の例としては、ポリエチレンオキシ
ドとリチウム塩との錯体や、ポリビニリデンフルオライ
ドなどのポリマーを電解液で膨潤させたゲル状のものな
どがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】平均放電電圧が4.5
Vを超えるような高電圧電池の使用は、多くの電池を直
列に接続してモジュールとする際の電池数が少なくてす
むことから、モジュールのコストが安くなるというメリ
ットがある。しかし、このような高電圧電池は、正極の
電位が非常に貴となるために、電解液が正極で酸化分解
されて、自己放電性能がよくない、液枯れが生じる、電
解液の分解生成物である気体によって電池容器が膨れる
などの問題点があった。45℃や60℃などの高温で電
池を充放電または放置した場合には、これらの問題点は
さらに深刻化する。
【0011】通常リチウムイオン電池の負極活物質とし
て用いられる黒鉛は、その平均充放電電位が金属リチウ
ムの析出電位に近い。そのために、黒鉛を負極活物質に
用いた電池を急速充電した場合には、分極の増大によっ
て負極に微粉状の金属リチウムが析出して、その高い反
応性のために電池の安全性が低下するばかりでなく、微
粉状に析出したリチウムが負極から切り離されて、電池
の容量が低下することが問題となる。したがって、この
電池は急速充電ができないという問題点があった。
【0012】つまり、従来においては、モジュールのコ
ストが安く、電解液の分解が抑制され、かつ入力特性に
優れることのすべてを満たした電池は存在しなかった。
なお、ここで「入力特性に優れる」とは、高率充電した
場合においても、電池が劣化しないことを意味する。
【0013】本発明は上記問題を鑑みてなされたもので
あり、高電圧モジュールのコストが安く、電解液の分解
が抑制され、かつ入力特性にすぐれる非水電解質電池を
提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、一般
式がLiNiMn2−y(0≦x≦1、0.4
5≦y≦0.6)である活物質を備えた正極と、負極
と、非水電解質を備えた非水電解質電池であって、前記
負極が難黒鉛化性炭素を含み、前記非水電解質中にプロ
ピレンカーボネートを含むことを特徴とする。
【0015】請求項1の発明によれば、正極における電
解液の分解を抑制することによって、高温においても自
己放電性能に優れ、液枯れおよび電池容器の膨れが生じ
ることがない非水電解質電池を提供することができる。
【0016】請求項2の発明は、上記非水電解質電池に
おいて、非水電解質中の溶媒に占めるプロピレンカーボ
ネートの重量比が10%以上であることを特徴とする。
【0017】請求項2の発明によれば、正極における電
解液の分解を抑制することによって、高温においても自
己放電性能に優れ、液枯れおよび電池容器の膨れが生じ
ることがない非水電解質電池を提供することができる。
【0018】請求項3の発明は、上記非水電解質電池に
おいて、正極または負極の少なくとも一方の活物質粒子
間に高分子電解質を備えたことを特徴とする。
【0019】請求項3の発明によれば、正極または負極
活物質と電解液との接触面積が小さくなり、また正極ま
たは負極近傍の電解液量が大幅に減少するため、正極か
らのMnまたはNiの溶出、それらの負極への析出、お
よび正極での電解液の分解を抑制することができる。
【0020】請求項4の発明は、上記請求項3の非水電
解質電池において、高分子電解質が、多孔性高分子電解
質であることを特徴とする。
【0021】請求項4の発明によれば、正極または負極
活物質と電解液との接触面積が小さくなり、また正極ま
たは負極近傍の電解液量が大幅に減少するため、正極か
らのMnまたはNiの溶出、それらの負極への析出、お
よび正極での電解液の分解を抑制することができる。さ
らに、高分子電解質が多孔性であるために、孔中の電解
液を通ってイオンが速やかに拡散することができるた
め、高率充放電性能に優れた電池となる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、一般式がLiNi
Mn2−y(0≦x≦1、0.45≦y≦0.6)
である活物質を備えた正極と、負極と、非水電解質を備
えた非水電解質電池であって、前記負極が難黒鉛化性炭
素を含み、前記非水電解質中にプロピレンカーボネート
を含むことを特徴とする。
【0023】本発明において、正極活物質に使用するL
NiMn2−y(0≦x≦1、0.45≦y
≦0.6)とは、ニッケルとマンガンとのモル数の和と
酸素のモル数との比が厳密に2:4に限定されるもので
はなく、酸素原子が過剰であるまたは不足しているもの
も含むものとする。また、ニッケルまたはマンガンの一
部がコバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、バナジウムな
どの他の元素で置換されたものも含むものとする。
【0024】また、正極活物質のyの値が0.45≦y
≦0.6の範囲内にあれば、4.7V vs.Li/L
領域を充放電に使用した場合に、実用的な放電容量
が得られる。
【0025】さらに、正極活物質のxの値は、実際に電
池を充放電する過程で0≦x≦1の範囲を利用するもの
である。したがって、電池組立時にはxの値が1よりも
大きくてもよく、また、xが1よりも大きい範囲まで放
電してもよいが、電圧が低くて実用的意味はなくなる。
【0026】また、本発明に用いる一般式がLiNi
Mn2−y(0≦x≦1、0.45≦y≦0.
6)である正極活物質の代表例としては、特表2000
−515672号に記載されているような、充放電反応
によって結晶構造が変化せず、充放電を繰り返した場合
の体積変化が少なくかつ容量の減少が少ない、格子定数
が8.190オングストローム以下のスピネル構造を有
するものが挙げられる。
【0027】本発明においては、Li/Li基準で
4.7Vの放電電位を有するLiNiMn2−y
(0≦x≦1、0.45≦y≦0.6)を正極活物質
として用いる。このため、コバルト酸リチウム、ニッケ
ル酸リチウム、およびリチウムマンガンスピネルなど
の、平均放電電位がLi/Li基準で4Vよりも卑な
正極活物質を用いた通常のリチウムイオン電池と比較し
て、本発明による電池の電圧は高くなる。
【0028】多くの電池を直列に接続する、ハイブリッ
ド自動車(HEV)用のモジュールなどにおいては、単
電池の電圧が高いほど、モジュールに必要な電池数が少
なくなり、コストにおいて有利となる。したがって、本
発明による非水電解質電池は、高電圧のモジュールとす
る際に、コストにおいて有利である。
【0029】各種非水電解液の耐酸化性は、使用される
正極活物質の種類によって異なる。その理由は,その活
物質の種類によって、各種電解液の酸化分解反応に対す
る触媒活性度がそれぞれ異なるからである。したがっ
て、耐酸化性に優れる電解液の探索は、実際に電池で使
用する正極を用いておこなう必要がある。
【0030】発明者は、研究の結果、LiNiMn
2−y(0≦x≦1、0.45≦y≦0.6)であ
る正極活物質を用いた場合には、非水電解質中にプロピ
レンカーボネート(PC)を含む場合に、特異的に電解
液の分解が抑制されることを見いだした。本発明を用い
ることによって、正極における電解液の分解が抑制され
るために、高温においても自己放電性能に優れ、液枯れ
および電池容器の膨れが生じない非水電解質電池が得ら
れる。このような効果は、非水電解質の溶媒中に占める
PCの重量比が10%以上の場合に、とくに顕著とな
る。
【0031】また、非水電解質中の溶媒のすべてをPC
とした場合よりも、粘性の低い鎖状カーボネートなどを
重量比で10%以上混合した場合の方が、高率や低温で
の放電性能にすぐれる電池となることから、非水電解質
中の溶媒に占めるPCの重量比は、10%以上90%以
下であることが最も好ましい。
【0032】非水電解質中にPCを含む場合には、リチ
ウムイオン電池において一般的に負極活物質として用い
られている黒鉛の初回充電時の不可逆容量が大きくなる
ために、その後の電池の充放電容量が小さくなることが
問題となる。特に、非水電解質中に占めるPCの比率が
高い場合には、黒鉛負極上に安定な皮膜が形成されない
ため、電解液が分解しつづける。
【0033】そこで、本発明においては、負極活物質と
して難黒鉛化性炭素を負極に含むことを特徴とする。本
発明によって、PCを用いた場合においても、初回充電
時の負極不可逆容量の増加や、継続的な負極での電解液
の分解を抑制することができる。
【0034】本発明においては、リチウムイオン電池用
負極活物質として通常用いられている黒鉛と比較して充
放電電位が貴である難黒鉛化性炭素を負極に備えること
を特徴とする。このことによって、急速充電によって分
極が増大した場合においても、負極を金属リチウムの析
出電位よりも貴に維持することができる。したがって、
本発明の適用によって、急速充電時にも負極に金属リチ
ウムが析出しない、入力特性にすぐれた非水電解質電池
が得られる。
【0035】つまり、本発明は、一般式がLiNi
Mn2−y(0≦x≦1、0.45≦y≦0.6)
である正極活物質と、負極活物質としての難黒鉛化性炭
素と、電解質溶媒としてのPCとを組み合わせて用いる
ことによって、高電圧モジュールのコストが安く、電解
液の分解が抑制され、かつ入力特性にすぐれることのす
べてを満たした、従来には無かった非水電解質電池を提
供するものである。
【0036】HEV用電池は、多くの電池を直列に接続
した高電圧のモジュールとして用いられる。また、HE
Vにおいてブレーキによって減速する際には、車の運動
エネルギーを回生して発電し、直ちに電池に充電する必
要があることから、その電池は入力特性にすぐれること
が必要となる。本発明による非水電解質電池は、上記し
たように、高電圧モジュールのコストが安く、かつ入力
特性にすぐれことから、HEV用として用いることが特
に適している。
【0037】本発明においては、正極または負極の少な
くとも一方の活物質粒子間に高分子電解質を備えたこと
を特徴とする。液体の電解質のみを用いた従来の電池で
は、正極および負極の活物質粒子間は導電材および結着
材を除いてすべて電解液で占められているのに対し、正
極活物質粒子間に高分子電解質を備えることによって、
高分子の体積に相当する分だけ確実に正極中の電解液量
を減少させることができる。さらに、正極または負極の
活物質粒子と高分子電解質との接触面積に相当する分だ
け活物質粒子と電解液との直接の接触面積が減少する。
【0038】以上述べたように、本発明においては、正
極活物質と電解液との接触面積が小さくなり、また正極
近傍の電解液量が大幅に小さくなるため、正極による電
解液の酸化分解反応が抑制される。結果として、液がれ
および電池容器の膨れを、さらに抑制することができ
る。
【0039】LiNiMn2−y(0≦x≦
1、0.45≦y≦0.6)/炭素系非水電解質電池に
おいては、一般的に負極の方が正極よりも大きい初期不
可逆容量を有するため、放電時には、正極よりも先に負
極の残存容量が無くなる、いわゆる負極制限電池とな
る。この電池においては、初回充放電以降においても、
負極において充電電気量よりも放電容量の方が小さくな
るという現象が観察されていた。その結果、正極と負極
とに含まれる、充放電に関与しうるリチウムの総量が、
充放電サイクルの進行にともなって減少するために、電
池容量が低下するという問題点があった。初回充放電以
降においても、負極において充電電気量よりも放電容量
の方が小さくなることの原因は、正極から溶出したMn
またはNiなどが負極に影響を与えているものと推察さ
れる。
【0040】本発明においては、正極または負極の少な
くとも一方の活物質粒子間に高分子電解質を備えた場
合、正極または負極活物質と電解液との接触面積が小さ
くなり、また正極または負極近傍の電解液量が大幅に減
少するため、正極からのMnまたはNiの溶出、または
それらの負極への析出を抑制することができる。その結
果として、炭素系負極の充電電気量と放電容量との差を
十分に小さくすることができ、充放電サイクルによる電
池容量の低下を抑制することができる。
【0041】本発明の請求項に記載の多孔性高分子電解
質とは、高分子の多孔体であって、孔以外の高分子の部
分がリチウムイオン伝導性を有する電解質となっている
ものである。この孔中に有機電解液を保持させることに
よって高いリチウムイオン拡散係数が得られるため、多
孔性高分子電解質を用いた電池は、孔のない高分子電解
質を用いた場合と比較して非常にすぐれた高率放電性能
を示す。
【0042】この場合においても、孔のない高分子電解
質を用いた場合と同様に、正極または負極活物質と電解
液との接触面積が小さくなり、また正極または負極近傍
の電解液量が大幅に減少するため、正極からのMnまた
はNiの溶出、またはそれらの負極への析出を抑制する
ことができる。
【0043】また、本発明の請求項記載の「活物質粒子
間に高分子電解質を備えた」とは、高分子電解質が、活
物質粒子間に均一に分布していても、また活物質粒子の
表面に膜状に存在していてもよい。
【0044】本発明における多孔性高分子の多孔度は2
5%から90%が望ましく、その孔径は0.003μm
以上10μm以下であることが好ましい。高分子が高多
孔度である場合、電極を電子顕微鏡などで観察すると、
高分子は多孔性というよりはむしろ網状のように観察さ
れるが、この場合も本明細書記載の多孔性高分子に含ま
れるものとする。
【0045】また、本発明において、一般式がLi
Mn2−y(0≦x≦1、0.45≦y≦0.
6)である活物質粒子を高分子で被覆した後に集電体に
固着する場合、前記正極活物質に対する前記高分子の重
量比は、0.01%から5%が望ましい。
【0046】さらに、本発明においては、電解液中にビ
ニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートまた
はピリジンを含む場合に、特に高温での充放電サイクル
寿命性能が優れる。さらに、支持電解質塩として、Li
PF(CまたはLiN(CSO
を備える場合に特に高温での充放電サイクル寿命性能
が優れる。
【0047】本発明において、高分子電解質の高分子と
しては、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロ
ピレンとの共重合体、ポリエチレンオキシドやポリプロ
ピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメ
チルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタク
リロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロ
リドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリス
チレン、ポリイソプレン、もしくはこれらの誘導体を、
単独で、あるいは混合して用いてもよい。また、上記有
機高分子を構成する各種モノマーを共重合させた高分子
を用いてもよい。ただし、耐酸化性に優れることから、
ポリビニリデンフルオライド、テフロン(登録商標)、
P(VdF/HFP)などのフッ素樹脂が本発明に特に
適している。
【0048】また、本発明になる非水電解質電池におい
ては、正・負極間に用いる短絡防止膜として、ビニリデ
ンフルオライドとヘキサフルオロプロピレン、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレン
の積層体等を使用することができる。また、正極又は負
極の少なくとも一方に塗布した高分子膜によって正・負
極間の短絡が防止される場合には、これとは別に短絡防
止膜を用いなくともよい。
【0049】また、電極が備える多孔性高分子および正
・負極間の短絡防止のための高分子膜の多孔化法は、延
伸法、溶媒抽出法、発泡剤を用いる方法、粉末を接着す
る方法、膜中に固体を析出させる方法のいずれであって
もよい。ただし、高分子を簡便に3次元連通多孔体とす
ることができることから、特に溶媒抽出法が優れてい
る。
【0050】溶媒抽出法とは、固体高分子を溶解する第
1の溶媒と、固体高分子溶液から第1の溶媒を抽出する
抽出用の第2の溶媒とを用いて有孔性固体高分子を得る
方法であって、固体高分子を第1の溶媒に溶解した固体
高分子溶液を、第1の溶媒と相溶性のある第2の溶媒中
に浸漬することによって、固体高分子溶液から第1の溶
媒を抽出し、固体高分子の第1の溶媒が除去された部分
が孔となって、有孔性固体高分子が形成されるものであ
る。そして、この湿式法により、固体高分子に開口部が
円形の貫通孔を形成することができる。
【0051】また、本発明においては、電池が備える電
解液量が、正・負極および正・負極間の短絡防止膜の孔
体積の和に対して90%以下である場合に、高温放置後
の電池の膨れがとくに小さくなるものである。
【0052】本発明になる非水電解質電池の電解液溶媒
としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スル
ホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジ
メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソ
ラン、メチルアセテート等の極性溶媒、またはこれらの
混合物を、PCと混合して使用してもよい。
【0053】さらに、非水電解液に含有させる塩として
は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO
、LiSCN、LiI、LiCFSO、LiCl、
LiBr、LiCFCO等のリチウム塩、もしくは
これらの混合物を用いてもよい。これらのなかでは、耐
酸化性にすぐれることから、とくにLiPFが優れて
いる。
【0054】さらに、本発明は、一般式がLiNi
Mn2−y(0≦x≦1,0.45≦y≦0.6)
である活物質粒子を正極に備えるものであるが、これの
みを正極活物質として用いられる場合に限定されるもの
ではなく、つぎに記す活物質を混合して用いてもよい。
無機化合物としては、組成式LiMO、又はLi
(ただし、Mは遷移金属、0≦x≦1、0≦y
≦2)で表される、複合酸化物、トンネル状の空孔を有
する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物などを用い
ることができる。その具体例としては、LiCoO
LiNiO、LiMn、LiMn、Mn
、FeO、V、V13、TiO 、TiS
、NiOOH、FeOOHなどが挙げられる。また、
有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電性有
機高分子等が挙げられる。さらに、無機化合物、有機化
合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いてもよ
い。
【0055】さらに、本発明は、難黒鉛化性炭素を負極
に含むものであるが、これのみを負極活物質として用い
る場合に限定されるものではなく、球状グラファイトで
あるMCMB、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛などを混合して使
用することができる。また、Al、Si、Pb、Sn、
Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe等の
遷移金属複合酸化物、MoO、スズ酸化物等の遷移金
属酸化物、Li(LiN)等の窒化リチウム、もしく
は金属リチウム箔などを難黒鉛化性炭素と混合して用い
てもよい。
【0056】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を用いて説明す
る。
【0057】[実施例1]LiNi0.5Mn1.5
粉末70wt%と、導電材としてのアセチレンブラッ
ク6wt%と、結着材としてのポリビニリデンフルオラ
イド(PVdF)9wt%と、結着材を溶解する溶剤と
してのn−メチルピロリドン(NMP)15wt%とを
混合したものを幅120mm、長さ500mm、厚さ2
0μmのアルミニウム箔上に塗布し、150℃で乾燥し
てNMPを蒸発させた。以上の操作をアルミニウム箔の
両面におこない、両面に活物質を含む合剤層を備えた正
極板を製作した。
【0058】難黒鉛化性炭素粉末81wt%と、PVd
F9wt%と、NMP10wt%とを混合した活物質ペ
ーストを幅120mm、長さ500mm、厚さ14μm
の銅箔上に塗布し、150℃で乾燥してNMPを蒸発さ
せた。この作業を銅箔の両面に対しておこない、両面に
活物質を含む合剤層を備えた負極板を製作した。
【0059】このようにして製作した正極板および負極
板は、プレスしたのちに、正極板は幅19mm、長さ4
80mmに、負極板は幅20mm、長さ500mmのサ
イズに切断した。このようにして準備した正極板及び負
極板を、厚さ20ミクロン、多孔度40%の連通多孔体
であるポリエチレンセパレータを間に挟んで重ねて巻
き、高さ47.0mm、幅22.2mm、厚さ6.4m
mのアルミニウム容器中に挿入して、角形電池を組み立
てた。
【0060】この電池の内部に、電解質塩として1.2
mol/lのLiPFを含む非水電解液を減圧注液に
よって加えた。その際、プロピレンカーボネート(P
C)、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカ
ーボネート(DMC)を表1に示す比率で混合した10
種類の電解液溶媒を用いることによって、10種類の本
発明による電池(A)、(B)、(C)、(D)、
(E)、(F)、(G)、(H)、(I)および(J)
を製作した。これらの電池の設計容量は、500mAh
とした。
【0061】
【表1】
【0062】つぎに、電解質溶媒として、重量比が5
0:50のECとDMCとの混合液を用いて、PCを用
いなかったこと以外は、本発明による電池(A)〜
(J)と同様にして、比較電池(K)を製作した。さら
に、負極活物質として黒鉛粉末を用いたこと以外は、本
発明による電池(J)と同様にして、比較電池(L)を
製作した。
【0063】上記のようにして製作した本発明による電
池(A)〜(J)および比較電池(K)を用いて、25
℃において、1CmAの電流で4.9Vまで充電し、続
いて4.9Vの定電圧で5時間充電した後、これらの電
池を60℃で2日間放置した。この放置の前後での電池
の厚さの変化を図1に示した。
【0064】図1から、本発明による電池(A)〜
(J)は、電解液中にPCを用いることによって、60
℃2日間放置による厚さの増加が、著しく抑制されてい
ることが理解される。これは、電解液中にPCを用いる
ことによって、電解液の正極による分解が抑制され、電
池内で発生する気体の量が減少したためであると考えら
れる。
【0065】つぎに、本発明による電池(J)と比較電
池(L)とを用いて、25℃において、1CmAの電流
で4.9Vまで充電し、続いて4.9Vの定電圧で5時
間充電した後、1CmAの電流で3.5Vまで放電し
た。その後、再度1CmAの電流で4.9Vまで充電
し、続いて4.9Vの定電圧で5時間充電した後に、1
CmAの電流で30分間放電した。その後に、15Cm
Aの2秒間の充電と、15CmAの2秒間の放電とを1
00,000回繰り返した。その後、1CmAの電流で
4.9Vまで充電し、続いて4.9Vの定電圧で5時間
充電した後、1CmAの電流で3.5Vまで放電した。
これらの電池の、15CmAでの充放電サイクルの前後
の放電容量を表2に示した。
【0066】
【表2】
【0067】表2から、本発明による電池(J)は、負
極活物質として難黒鉛化性炭素を用いることによって、
15CmAでの充放電サイクルによる電池容量の低下が
著しく抑制されていることが理解される。さらに、これ
らの電池を解体したところ、本発明電池(J)の負極上
には金属リチウムの析出がなかったのに対し、比較電池
(L)の負極上には多量の金属リチウムが析出してい
た。以上の結果から、負極に難黒鉛化性炭素を用いるこ
とによって、高率充電時においても負極への金属リチウ
ムの析出が抑制され、その結果として電池容量の低下も
抑制されたことが理解される。
【0068】[実施例2]まず第1工程として、ビニリ
デンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマ
ー(P(VdF/HFP))をN―メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)に1wt%の濃度で溶解した溶液(P
(VdF/HFP)/NMP溶液)を製作した。
【0069】つぎに第2工程では、LiNi0.5Mn
1.5正極活物質粒子をP(VdF/HFP)で被
覆した。まず、LiNi0.5Mn1.51kgと
第1工程で製作したP(VdF/HFP)/NMP溶液
1.5リットルを混合し、それを60℃に加熱したあ
と、0.1Torrの減圧状態で30分間保持した。L
iNi0.5Mn1.5とP(VdF/HFP)/
NMP溶液との混合物を取り出し、吸引濾過によって余
分なP(VdF/HFP)/NMP溶液を除去した。
【0070】その後、100℃で乾燥をおこなってNM
Pを除去した。このあと減圧乾燥をおこなって、P(V
dF/HFP)で被覆されたLiNi0.5Mn1.5
正極活物質粒子を得た。正極活物質粒子に対する、
P(VdF/HFP)被膜の重量比は、約0.1%であ
った。
【0071】さらに、第3工程では、難黒鉛化性炭素粉
末をP(VdF/HFP)で被覆した。まず、難黒鉛化
性炭素粉末1kgと第1工程で製作したP(VdF/H
FP)/NMP溶液1.5リットルを混合し、それを6
0℃に加熱したあと、0.1Torrの減圧状態で30
分間保持した。MCMBとP(VdF/HFP)/NM
P溶液の混合物を取り出し、吸引濾過によって余分なP
(VdF/HFP)/NMP溶液を除去した。その後、
MCMB/P(VdF/HFP)/NMP混合物を10
0℃で乾燥してNMPを除去した。このあと減圧乾燥を
おこない、P(VdF/HFP)で被覆された黒鉛化M
CMBを得た。負極活物質粒子に対する、P(VdF/
HFP)被膜の重量比は、約0.1%であった。
【0072】上記のようにしてP(VdF/HFP)で
被覆したLiNi0.5Mn1.5を70wt%、
導電材としてのアセチレンブラック6wt%、結着材と
してのポリビニリデンフルオライド(P(VdF/HF
P))9wt%、および結着材を溶解する溶剤としての
NMP15wt%を混合したものを幅120mm、長さ
500mm、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布
し、150℃で乾燥してNMPを蒸発させた。以上の操
作をアルミニウム箔の両面におこない、両面に活物質を
含む合剤層を備えた正極板を製作した。
【0073】上記のようにしてP(VdF/HFP)で
被覆した難黒鉛化性炭素粉末81wt%、P(VdF/
HFP)9wt%、NMP10wt%を混合した活物質
ペーストを幅120mm、長さ500mm、厚さ14μ
mの銅箔上に塗布し、150℃で乾燥してNMPを蒸発
させた。この作業を銅箔の両面に対しておこない、両面
に活物質を含む合剤層を備えた負極板を製作した。
【0074】上記のようにして製作した正極板および負
極板を、P(VdF/HFP)を6wt%の濃度でNM
Pに溶解したペースト中に浸漬して、P(VdF/HF
P)を活物質粒子間の隙間にP(VdF/HFP)ペー
ストを充填した。これらの正極板および負極板をペース
ト中から引き上げ、ローラーの間を通すことによって、
電極内に浸透せず、電極上に付着している状態の高分子
ペーストを除去した。
【0075】この電極を100℃において30分間乾燥
して、活物質粒子間のP(VdF/HFP)を固化し
た。その後にプレスをおこない、正極板は幅19mm、
長さ480mmに、負極板は幅20mm、長さ500m
mのサイズに切断した。以上の方法によって、活物質粒
子間に高分子を備えた正極板および負極板を製作した。
【0076】これ以後の工程は、実施例1における本発
明による電池(J)と同様にして、本発明による電池
(M)を製作した。さらに、正・負極活物質を被覆した
P(VdF/HFP)および正・負極の孔中に充填した
P(VdF/HFP)を多孔化したこと以外は、本発明
による電池(M)と同様にして、本発明による電池
(N)を製作した。P(VdF/HFP)の多孔化は、
つぎのようにしておこなった。
【0077】まず、LiNi0.5Mn1.51k
gと第1工程で製作したP(VdF/HFP)/NMP
溶液1.5リットルを混合し、それを60℃に加熱した
あと、0.1Torrの減圧状態で30分間保持した。
LiNi0.5Mn1.5 とP(VdF/HFP)
/NMP溶液との混合物を取り出し、吸引濾過によって
余分なP(VdF/HFP)/NMP溶液を除去した。
【0078】その後、LiNi0.5Mn1.5
P(VdF/HFP)/NMP混合物を10分間エタノ
ールに浸漬した後、100℃で乾燥をおこなってエタノ
ールとNMPを除去する溶媒抽出法によってP(VdF
/HFP)を多孔化した。このあと減圧乾燥をおこなっ
て、多孔性P(VdF/HFP)で被覆されたLiNi
0.5Mn1.5正極活物質粒子を得た。正極活物
質粒子に対する、多孔性P(VdF/HFP)被膜の重
量比は、約0.1%であった。
【0079】さらに、難黒鉛化性炭素粉末1kgと第1
工程で製作したP(VdF/HFP)/NMP溶液1.
5リットルを混合し、それを60℃に加熱したあと、
0.1Torrの減圧状態で30分間保持した。MCM
BとP(VdF/HFP)/NMP溶液の混合物を取り
出し、吸引濾過によって余分なP(VdF/HFP)/
NMP溶液を除去した。
【0080】その後、MCMB/P(VdF/HFP)
/NMP混合物を10分間水に浸漬した後、100℃で
乾燥をおこなって水とNMPを除去する溶媒抽出法によ
ってP(VdF/HFP)を多孔化した。このあと減圧
乾燥をおこない、多孔性P(VdF/HFP)で被覆さ
れた難黒鉛化性炭素粉末を得た。負極活物質粒子に対す
る、多孔性P(VdF/HFP)被膜の重量比は、約
0.1%であった。
【0081】上記のようにして多孔性P(VdF/HF
P)で被覆したLiNi0.5Mn 1.5および難
黒化性炭素粉末は、実施例1と同様にして集電体に塗布
および乾燥した。
【0082】上記のようにして製作した正極板および負
極板を、P(VdF/HFP)を6wt%の濃度でNM
Pに溶解したペースト中に浸漬して、P(VdF/HF
P)を活物質粒子間の隙間にP(VdF/HFP)ペー
ストを充填した。これらの正極板および負極板をペース
ト中から引き上げ、ローラーの間を通すことによって、
電極内に浸透せず、電極上に付着している状態の高分子
ペーストを除去した。
【0083】その後に、正極は1×10−3mol/l
のリン酸水溶液に、負極は脱イオン水に5分間浸漬し
て、P(VdF/HFP)を溶解しているNMPを水で
置換するという溶媒抽出法によって、活物質粒子間のP
(VdF/HFP)を連通多孔化処理し、固化した。
【0084】この電極を100℃において30分間乾燥
して水を除去した後にプレスをおこない、正極板は幅1
9mm、長さ480mmに、負極板は幅20mm、長さ
500mmのサイズに切断した。以上の方法によって、
活物質粒子間に多孔性高分子を備えた正極板および負極
板を製作した。
【0085】上記のようにして製作した本発明による電
池(M)および(N)を、実施例1において製作した本
発明による電池(J)とともに、25℃において、1C
mAの電流で4.9Vまで充電し、続いて4.9Vの定
電圧で5時間充電した後、これらの電池を60℃で2日
間放置した。この放置の前後での電池の厚さの変化を表
3に示した。
【0086】
【表3】
【0087】表3から、本発明による電池においては、
活物質粒子間に高分子電解質を備えることによって、高
温放置時の電池厚さの増加が著しく抑制されることがわ
かった。これは、活物質粒子間に高分子電解質を備える
ことによって、電解液の正極による分解が抑制され、電
池内で発生する気体の量が減少したためであると考えら
れる。
【0088】つぎに、本発明による電池(J)、(M)
および(N)を用いて、25℃において1CmAの電流
で4.9Vまで充電し、続いて4.9Vの定電圧で5時
間充電した後に、1CmAの電流で3.5Vまで放電す
ることを1サイクルとして、50サイクルの充放電試験
をおこなった。これらの電池の1サイクル目に対する5
0サイクル目の容量維持率を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】表4から、本発明による電池においては、
活物質粒子間に高分子電解質を備えることによって、充
放電サイクルによる容量の低下が著しく抑制されること
がわかった。これは、正極活物質粒子間に高分子電解質
を備えることによって、正極からのマンガンおよびニッ
ケルの溶出が抑制され、加えて負極活物質粒子間に高分
子電解質を備えることによって正極から溶出したマンガ
ンおよびニッケルの負極への析出が抑制されたためであ
ると考えられる。
【0091】つぎに、本発明による電池(M)および
(N)を用いて、25℃において1CmAの電流で4.
9Vまで充電し、続いて4.9Vの定電圧で5時間充電
した後に、0.2CmAの電流で3.5Vまで放電し
た。そののちに、再度1CmAの電流で4.9Vまで充
電し、続いて4.9Vの定電圧で5時間充電した後に、
今度は2CmAの電流で3.5Vまで放電した。これら
の電池の0.2CmAに対する2CmA放電時の容量の
比率を表5に示す。
【0092】
【表5】
【0093】表5から、本発明による電池においては、
活物質粒子間に備える高分子電解質を多孔性とすること
によって、高分子電解質の適用による高率放電性能の低
下が著しく抑制されることがわかった。これは、多孔性
高分子電解質の孔中の電解液部分をリチウムイオンが速
やかに拡散することができるためであると考えられる。
【0094】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、高電圧モ
ジュールのコストが安く、電解液の分解が抑制され、か
つ入力特性にすぐれることのすべてを満たした非水電解
質電池を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による非水電解質電池および比較電池に
おける、電解質溶媒中に占めるPCの重量比と、60℃
での2日間放置による電池厚さの増加との関係を示す
図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式がLiNiMn2−y
    (0≦x≦1、0.45≦y≦0.6)である活物質
    を備えた正極と、負極と、非水電解質を備えた非水電解
    質電池であって、前記負極が難黒鉛化性炭素を含み、前
    記非水電解質中にプロピレンカーボネートを含むことを
    特徴とする非水電解質電池。
  2. 【請求項2】 非水電解質中の溶媒に占めるプロピレン
    カーボネートの重量比が10%以上であることを特徴と
    する請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 【請求項3】 正極または負極の少なくとも一方の活物
    質粒子間に高分子電解質を備えたことを特徴とする請求
    項1または2記載の非水電解質電池。
  4. 【請求項4】 高分子電解質が、多孔性高分子電解質で
    あることを特徴とする請求項3記載の非水電解質電池。
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