JP2003166114A - 溶融紡糸装置 - Google Patents

溶融紡糸装置

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JP2003166114A JP2001363992A JP2001363992A JP2003166114A JP 2003166114 A JP2003166114 A JP 2003166114A JP 2001363992 A JP2001363992 A JP 2001363992A JP 2001363992 A JP2001363992 A JP 2001363992A JP 2003166114 A JP2003166114 A JP 2003166114A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紡糸筒内を走行する糸条の随伴気流が原因で
生じる糸揺れによる糸条の繊度斑や染め斑を解消すると
共に、紡出された糸条群に対して、個別の錘毎にそれぞ
れ適した適切な冷却又は遅延冷却条件を錘毎に自在に設
定でき、複数錘から紡出された糸条群を合糸混繊するた
めの溶融紡糸装置を提供する。 【解決手段】 紡糸条件の異なる少なくとも2錘のマル
チフィラメントからなる熱可塑性合成繊維糸条群(Y)を
紡出するための紡糸口金群(2)、前記紡糸口金群(2)から
紡出された糸条群(Y)を冷却又は遅延冷却するための紡
糸筒(3)を含む溶融紡糸装置(1)において、前記紡糸口金
群(2)から紡出された糸条群(Y)に随伴する気流を整流す
ると共に、各糸条(Y1,Y2)の走行領域(A,B,C,D)を各錘毎
に仕切るための仕切板(5)を有することを特徴とする溶
融紡糸装置(1)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリアミド、ポリオレフィンなどからなる
熱可塑性樹脂を溶融紡糸するための溶融紡糸装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リオレフィンなどの熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する際
には、紡糸口金下に設けた紡糸筒中を走行する紡出糸条
に冷却風を吹き付けて、該糸条を冷却固化させることが
行われている。また、その紡糸速度に関しても、300
0m/分を超えるような高速で紡糸を行う高速紡糸が一
般的に行われている。
【0003】このように紡糸速度が高速になってくる
と、従来はそれほど問題でなかった問題、例えば糸条の
走行にともなって副次的に発生する随伴気流の影響によ
るトラブルが多くなってきた。このような問題が生じる
のは、糸条が高速で走行すれば走行する程、走行糸条に
随伴する気流が多くなるために、この随伴気流の影響を
無視できなくなった結果である。
【0004】また、従来、設備コストの削減や作業性の
向上という利点を活用するため、多錘取りの紡糸が行わ
れている。このような場合には、紡出された多錘の糸条
群を一つの紡糸筒内で冷却固化することが一般に行われ
ている。
【0005】このような多錘(2錘以上)の紡出糸条群
がその中を走行する紡糸筒では、紡糸筒の側壁が存在す
る側壁部と、このような側壁が存在しない中央部とで
は、各走行糸条に随伴する気流の状態がそれぞれ変わ
る。
【0006】何故ならば、静止状態にある側壁が存在す
る両端部と、このような側壁が存在しない中央部とで
は、高速走行する糸条に随伴する気流の速度に違いが生
じるからである。そして、このような気流の速度差が原
因となって、紡糸筒内部を流れる気流に乱れが生じるか
らである。
【0007】もし、このような気流の乱れが生じると、
走行する糸条が“糸揺れ現象”を起こし、これによって
各糸条を構成するフィラメント群間、あるいは紡糸筒の
両端錘と中央錘との間で繊度斑や染め斑を誘発するとい
う問題を惹起する。
【0008】また、近年、マルチフィラメントからなる
紡出糸条の各フィラメントの繊度もしくは断面形状など
がそれぞれ異なる複数錘の糸条群を同時に紡糸して、紡
出した糸条を合糸した後、あるいは合資と同時に混繊す
る紡糸混繊が盛んに行われるようになってきた。
【0009】この場合、各錘の紡出糸条は、繊度、フィ
ラメント数、フィラメント断面形状などがそれぞれ異な
り、これに伴って各錘の紡出糸条に発生する随伴気流も
各々異なることとなる。また、当然のことながら、これ
に対応して、各錘の紡糸条件もこれに対応させて最適な
条件に設定する必要が生じる。
【0010】したがって、このような条件に対応して、
走行糸条に発生する随伴気流の状態も各錘毎に異なるこ
ととなり、紡糸筒の両端部における随伴気流の影響だけ
ではなく、前述のような要因で生じる隣接錘同士間の随
伴気流の影響も考慮する必要が生じてきた。
【0011】そればかりではなく、前記紡糸混繊技術に
おいては、前述のように、紡出された糸条の繊度、フィ
ラメント数、及びフィラメント断面形状などが各錘毎に
それぞれ異なる。このため、本来一律に冷却又は遅延冷
却条件の設定を行うことは好ましことではなく、それぞ
れの錘の紡出糸条に対応させた冷却及び/又は遅延冷却
条件を設定する必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた従来技術
の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、紡
糸筒内を走行する糸条の随伴気流が原因で生じる糸揺れ
による糸条の繊度斑や染め斑を解消することにある。
【0013】更には、紡出された糸条群に対して、個別
の錘毎にそれぞれ適した適切な冷却及び/又は遅延冷却
条件を錘毎に自在に設定できる溶融紡糸装置を提供する
ことにある。
【0014】以上に述べたように、本発明は、特に、複
数錘から紡出された糸条群を合糸混繊するための溶融紡
糸装置として用いることが好ましい。
【0015】
【課題を解決するための手段】ここに、前記課題を解決
するための本発明によれば、「紡糸条件の異なる少なく
とも2錘のマルチフィラメントからなる熱可塑性合成繊
維糸条群を紡出する紡糸口金群、前記紡糸口金群から紡
出された糸条群を冷却及び/又は遅延冷却する紡糸筒を
含む溶融紡糸装置において、前記紡糸口金群から紡出さ
れた糸条群に随伴する気流を整流すると共に、各糸条の
走行領域を各錘毎に仕切る仕切板を有することを特徴と
する溶融紡糸装置」が提供される。
【0016】その際、本発明の溶融紡糸装置において
は、紡出糸条を冷却する冷却風又は遅延冷却する加熱風
の吹出方向、風量、温度、及び/又は吹出圧力からなる
紡糸条件を紡出糸条毎に設定する冷却条件設定手段を備
えることが、各錘毎に好適な紡糸条件を個別に設定可能
とする上で好ましい。
【0017】更に、前記冷却条件設定手段が、前記冷却
風又は加熱風からなる吹出風を整流するための整流部材
から構成されるか、又は前記冷却風又は前記加熱風から
なる吹出風の風量とその風量分布を制御するための風量
制御部材を含んで構成されることが、紡出された各錘糸
条に対して、安定した紡糸条件を提供することを可能と
するため好ましい。その際、前記冷却条件設定手段が、
前記整流部材と前記風量制御部材の両部材を具備するこ
とがより好ましい。
【0018】なお、物性がそれぞれ異なった複数錘の糸
条群を合糸混繊する紡糸混繊技術においては、前記冷却
条件設定手段が、更に特定錘の紡出糸条を生成された加
熱風によって加熱し、この特定錘の糸条を選択的に遅延
冷却する加熱風生成手段を有することが好ましい。
【0019】何故ならば、このようにすることによっ
て、紡糸混繊された糸条の中に通常冷却されたフィラメ
ント群と遅延冷却されたフィラメント群を混在させるこ
とができるからである。
【0020】そして、本発明においては、前記紡糸口金
群から紡出された糸条群を合糸混繊して紡糸混繊糸を得
る紡糸混繊用溶融紡糸装置として使用することが好まし
い。
【0021】何故ならば、本発明の溶融紡糸装置を使用
することで、各錘毎に好ましい冷却及び/又は遅延冷却
条件を設定できるからである。このため、異なる冷却過
程及び/又は遅延冷却過程を経たマルチフィラメントか
らなる糸条群を紡糸混繊した場合に、紡糸混繊したマル
チフィラメント間で、伸度、強度、沸水収縮率などの物
性差が顕著に生じ、後工程において、熱処理、仮撚加工
等によって様々な用途に加工することを可能とするから
である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】先ず、図1及び2は、本発明の溶融紡糸装
置を適用する、ポリエステル、ポリアミドなどからなる
熱可塑性ポリマーの溶融紡糸工程を例示した説明図であ
る。ここで、図1は模式正面図、そして、図2は模式側
面図をそれぞれ示す。なお、これらの図においては、糸
条群は2錘の場合の実施態様を例示したものである。
【0024】以上に述べた図1及び図2において、参照
符号1は溶融紡糸装置本体、参照符号Yはマルチフィラ
メントからなる糸条群をそれぞれ示す。また、参照符号
2は紡糸口金群、参照符号3は単一の紡糸筒、参照符号
4は冷却装置、参照符号5は仕切板、参照符号6は油剤
付与装置、参照符号7は合糸混繊装置、参照符号8及び
9は引取ローラー、そして、参照符号10は巻取機をそ
れぞれ示す。なお、参照符号A及びBは、仕切板5によ
って仕切られた紡糸筒3内をそれぞれ走行する糸条Y1
及びY2の糸条走行領域をそれぞれ示す。
【0025】以上のように構成される溶融紡糸装置にお
いて、図1及び2に例示したように、定法による溶融紡
糸方法とその装置によって、2錘の糸条群Y1とY2が
紡糸口金21及び22からそれぞれ紡出される。そし
て、このようにして紡出された各糸条Y1とY2は、図
2に例示した冷却装置4から図の矢印の方向に吹出され
た冷却風によって冷却される。
【0026】更に、この冷却装置4の下流側には、非集
束状態の紡出糸条を過熱するために必要に応じて設けら
れた加熱処理(図示せず)を通過して、油剤付与装置6
で油剤を付与され、合糸混繊装置7によって、糸条群Y
1及びY2が合糸混繊された後、引取りローラー8及び
9によって、一定の速度で引き取られた後、巻取機10
によって巻き取られる。
【0027】ただし、前記の図示省略した加熱処理装置
は、紡糸口金2からの距離にして0.5〜1.5m下方
の冷却装置4の下流側に取り付けることが好ましく、そ
の際、紡糸筒3の一部を前記加熱装置の一部として使用
することもできる。また、この加熱処理装置の形状は、
例えば長さ1.5m、内径0.03〜0.06mのステ
ンレス鋼製の円筒状加熱処理筒を好適に用いることがで
きる。
【0028】その際、これを加熱するための手段として
は、前記加熱処理筒の周囲を熱媒ジャケットで囲んで熱
媒を封入した熱媒式加熱装置が好適に用いられる。な
お、他の加熱手段としては、電熱ヒーターを用いてもよ
いが、均一加熱、消費エネルギーの節約の観点から、熱
媒式加熱が好ましい。
【0029】また、前記合糸混繊装置7としては、通
常、合糸ガイドによって糸条群Y1とY2とが合糸ガイ
ドによって合糸して、その後、公知の圧縮空気を利用し
た混繊装置によって、合糸した糸条群のマルチフィラメ
ントに圧縮空気を吹き付けて互いに開繊させながら、混
繊する装置が一般に用いられている。なお、この混繊装
置として、マルチフィラメントに交絡を付与する交絡付
与装置が用いられる場合もある。
【0030】また、前記引取りローラー8及び9は、加
熱されていても、加熱されていなくても構わない。この
際、加熱ローラーとして使用する場合には、加熱ローラ
ー間で糸条群を加熱しながら追延伸したり、熱セットを
施したりすることもできる。また、更に加熱ローラーを
追加し、紡糸段階での歪みを緩和する弛緩処理をするこ
とも可能である。
【0031】なお、前記図1及び2では、2本のマルチ
フィラメント糸条を用いた2錘の紡糸混繊例について説
明してきたが、例えば3錘、4錘及び6錘建ての設備で
あっても構わないことはいうまでもない。
【0032】本発明の溶融紡糸装置において、前記紡糸
筒3は糸条21及び22が各走行領域A及びBを走行す
る際に周囲の風の影響を受けないように走行糸条21及
び22の走行領域A及びBを囲繞するように設けられて
いる。その際、前記紡糸筒3の走行領域A及びBは、そ
れぞれの領域を通過する糸条Y1及びY2を冷却する際
に、それぞれの糸条Y1又はY2に吹き付ける冷却風が
互いに干渉し合うことがないように設けられている。
【0033】また、通常、各紡糸口金21又は22に穿
設されたポリマー吐出孔群に対して、一孔当りの吐出量
や吐出孔数は異なるため、冷却装置4から吹出す冷却風
の吹出条件を同じにすると、何れかの糸条Y1又はY2
に対しては、最適条件を選定することができるが、他の
糸条Y2又はY1に対しては、最適な条件を選択するこ
とが困難となる。このため、紡出された糸条Y1又はY
2毎に冷却条件を設定する必要がある。
【0034】このような各糸条Y1又はY2毎に冷却条
件を設定するための手段として、本発明においては、図
2に参照符号42及び43で示したような冷却条件設定
手段を用いる。なお、このような冷却条件設定手段42
及び43は、前記図1及び2に示したように、紡糸筒3
の上部に取り付けられる。
【0035】ここで、前記冷却条件設定手42及び43
の具体例としては、冷却装置4の一部を構成する冷却風
を送る送風室41の冷却風吹出口において、冷却風の吹
出圧力を均圧化すると共に冷却風の吹出風量を制御する
風量制御部材42及び/又は整流部材43を挙げること
ができる。
【0036】なお、このような風量制御部材42あるい
は整流部材43は、各糸条走行領域A又はBに対して、
それぞれ設けられる。したがって、糸条走行領域Aに対
しては、風量制御部材42A及び/又は整流部材43A
が設けられ、糸条走行領域Bに対しては、風量制御部材
42B及び/又は整流部材43Bが設けられることにな
る。
【0037】このように、風量制御部材42を使用する
ことによって、設定範囲内で冷却風の吹出しを均等に行
ったり、吹出量を調整したりすることが可能となる。な
お、この冷却風の風量調整については、糸条Y1又はY
2の走行方向に沿って、吹出量に一定の分布パターンを
付与することもできる。更に、整流部材43を設けるこ
とによって、吹出す冷却風の方向を一定にすることもで
きる。
【0038】ここで、以上に述べた風量制御部材42の
具体例を挙げるならば、金属製又はプラスチック製から
なる織物状板又は編物状板、冷却風が通過できる間隙が
形成された多孔性焼結金属板、そして、多数の細孔が穿
設された多孔板などを挙げることができる。また、その
際、これらを2種以上組み合わせたものを使用すること
もできる。
【0039】更に、風量制御部材42の一例としては、
多孔板を挙げることができ、例えば、多孔板に穿設され
た孔の形状、孔径、孔ピッチ、孔配列、孔分布などを変
えることにより任意の風量に制御することが出来る。そ
の際、吹出す冷却風の圧力条件を任意に設定できるよう
にしてもよい。
【0040】また、織物状又は編物状板を使用する場合
には、その織組織又は編組織を変更したり、目付けや目
開きを変更したりすることによってり任意の風量に制御
することが出来る。また、多孔性の焼結金属材を使用す
る場合には、空隙率、平均空隙径、目付けなどを変更す
ることによって任意の風量に制御することが出来る。
【0041】そして、このような部材を使用することに
よって、冷却風がこの部材を通過する際に、冷却風に対
して適度な圧力降下(圧力損失)を与えることができ、
これによって、冷却風の吹出しを均一化できるという効
果がある。
【0042】その際、糸条走行方向に沿って、風量制御
部材42を通過する冷却風の圧力降下に勾配をつけるこ
とによって、上流側で多くの冷却風を吹出し、下流側で
は少しの冷却風を吹出すといような具合に、冷却風の吹
出量に差をつけることも可能である。
【0043】更には、前記整流部材43の具体例として
は、多数の板を一定の間隔を置いて垂直又は水平に並行
して多重に設けた偏向板、あるいはハニカム状、あるい
は格子状に平板を多重に互いに組み合わせて構成した偏
向板などを挙げることができる。このようにして偏向板
を設けることで、吹出す冷却風の方向を自由に設定する
ことができる。
【0044】その際、冷却風の吹出方向として、上流側
では糸条走行方向に対して、ほぼ直角方向に吹出させ、
下流側へ行くにしたがって、徐々に糸条走行方向に対し
て冷却風が並流するような方向に吹出方向を制御するこ
ともできる。
【0045】本発明においては、冷却条件設定手段とし
て、電気式加熱手段を必要な錘に設けて、冷却風の温度
を必要な錘毎に制御できるようにしてもよい。何故なら
ば、このようにすることによって、合糸混繊した際に、
混繊糸を構成するフィラメント群の何れもかの伸度及び
沸水収縮率において、フィラメント群間の物性差を発現
させることができるからである。
【0046】つまり、通常の冷却条件で紡糸された糸条
と、前記の電気式加熱手段によって加熱された冷却風に
よって遅延冷却された糸条とが合糸混繊することができ
るのである。そして、このようにして得られた混繊糸を
織物とした場合に、後工程において熱処理を施すことで
沸水収縮率などの物性差が発現させたり、後加工時にお
いてアルカリ減量加工をした時にフィブリル化し易いと
いった物性を与えたりすることで、風合に優れた混繊糸
を用いた織物を得うることができるのである。
【0047】次に、本発明の他の実施形態について、図
3及び4を参照しながら、詳細に説明する。この図3及
び4では、前述の2錘の紡出糸条群Y1及びY2に対し
て、4錘の紡出糸条群Y1〜Y4が一つの紡糸筒3内を
同時に走行するという点で異なっている。
【0048】この場合、合糸混繊という点においては、
4錘の糸条群Y1〜Y4を前述の合糸混繊装置7によっ
て、一度に合糸混繊する場合と、4錘の糸条群Y1〜Y
4を2錘づつの2群に分けて、それぞれに分割した2錘
の群ごとで、合糸混繊する場合とが考えられる。
【0049】なお、本発明においては、これらの全ての
場合を含むことはいうまでもないが、以下の実施形態の
説明においては、後者の場合についてのみ説明し、前者
の場合は錘数が4錘に増えるだけで、2錘の場合と実質
的に変わらないのでその説明を省略する。したがって、
糸条Y1とY2、及び糸条Y3とY4とがそれぞれ合糸
混繊されることとなる。
【0050】以下、具体的に図3及び4を参照しながら
説明して行くことにするが、使用する参照符号について
は、以下に改めて説明する符号以外は図1及び2の参照
符号で示した構成要素に準拠するものとする。すなわ
ち、同一の参照符号は、本発明の溶融紡糸装置において
は、本質的に同一の構成要素を示すものとする。
【0051】ただし、その違いは、糸条群Y、紡糸口金
群2、そして、油剤付与装置群6においては、錘数が2
錘から4錘に変わるという点に関するものである。その
際、合糸混繊装置7の設置個数については、4錘の糸条
群を一度に合糸混繊する場合には一つでよく、2錘毎の
2群に分ける場合には、各群に対して一個ずつ必要にな
ることはいうまでもない。なお、これらの図において
は、主要部のみ図示し、油剤付与装置6から下流側の装
置の構成要素については重複説明を回避するために図示
を省略してある。
【0052】また、前記図3及び4において、参照符号
A、B、C、及びDは、各糸条Y1〜Y4が走行する各
糸条走行領域であって、これらの糸条走行領域A〜D
は、図4に例示したように仕切板51〜53によって紡
糸筒3の内部を仕切られて形成されたものである。この
とき、2本の合糸混繊糸は、糸条群Y1とY2とのペ
ア、そして、糸条群Y3とY4とのペアでそれぞれ形成
される。
【0053】更に、その際、糸条走行領域A及びCのグ
ループと、糸条走行領域B及びDとのグループが、それ
ぞれのグループ内において同じ冷却条件に設定される。
このため、糸条走行領域AとCとに設けられる風量制御
部材42Aと43C、あるいは整流部材43Aと43B
とは、同一の冷却条件が設定可能なように、その属性が
決定されている。なお、糸条走行領域BとDとに設けら
れる風量制御部材42Bと42D、あるいは整流部材4
3Bと43Dとに関しても同様である。
【0054】このように、冷却条件設定手段として、仕
切板51〜53、風量制御部材42A〜42D、そし
て、整流部材43A〜43D、更には必要に応じて図示
省略した電気式加熱手段を設けることによって、紡出糸
条Y1〜Y46のそれぞれの物性を錘毎に変更自在とし
ている。
【0055】そして、このような例から明らかなよう
に、本発明においては、多数錘(本例では4錘)の糸条
群Yが一つの紡糸筒3の内部に同時に紡出された場合で
あっても、それぞれの錘毎に冷却あるいは遅延冷却条件
を設定することができる。
【0056】したがって、紡糸筒3の中を走行する糸条
群Yに随伴する気流は、各錘間に設置された取り外し可
能な仕切り板5によって整流されるとともに、隣接する
糸条に随伴する気流が互いに影響し合うことがなくな
る。また、冷却装置4の送風室41から吹出される冷却
風は、各錘毎に適切な風量あるいは吹出方向となるよう
に風量制御部材42と整流部材43とによって、冷却条
件が設定される。
【0057】ここで、このようにして設定される冷却条
件について、図5を参照しながら以下に簡単に説明す
と、先ず、前記仕切板5は、既に述べたように、冷却風
の送風室41からの冷却風と随伴気流とを整流すること
を一つの目的とする。
【0058】この整流を良好に行うためには、その仕切
板5の糸条走行方向への長さHと奥行き長Lとが重要と
なる(図5参照)。先ず、後者の奥行き長Lとしては、
各錘の糸条間で互いに影響し合う随伴流を整流するため
に、マルチフィラメントからなる各糸条Y1〜Y4が走
行する走行領域A〜Dをカバーする位置まで延ばす必要
がある。
【0059】その際、隣接する他錘の走行糸条に随伴す
る冷却風の巻き込みを防止するため、紡糸口金群2から
紡出された糸条群Yの位置を冷却風を吹出す送風室41
の吹出位置L1に対し、L>L1であることが好まし
く、より好ましくは、L>2×L1である。
【0060】また、前者の仕切り板5の長さHは、少な
くとも糸条群Yが冷却固化される温度となる位置までの
長さとすることが好ましく、冷却装置の直下に加熱装置
などを設けない場合には、糸条群Yを集束しながら油剤
を付与する油剤付与装置6の直上まで設置することがよ
り好ましい。なお、この仕切板5は、その詳細説明は省
略するが冷却風の送風室41の冷却風吹出面や紡糸筒3
や冷却装置4のいずれかに、例えば公知のボルト・ナッ
ト、クランプ装置などの係合手段によって着脱自在に固
定する構造としておくことが好ましい。
【0061】以上に述べたように、仕切板5によって各
錘の糸条走行領域が仕切られることにより、風量制御部
材42と整流部材43とによって必要な冷却条件に制御
された冷却風の影響は、同時に紡糸されている他錘の糸
条群に及ぶことがないため、必要な錘の糸条に対しての
みの適正な冷却条件を設定することができる。
【0062】
【発明の効果】以上に述べた本発明によれば、次のよう
な効果を奏する。すなわち、糸条群を高速で紡出した場
合に、高速走行する糸条に発生した随伴気流を仕切板に
よって整流するとともに、錘毎に冷却条件を設定するこ
とができる。
【0063】このため、乱れた気流に起因する走行糸条
の糸揺れの発生がなくなるとともに、異なる条件で紡糸
されている各紡糸口金から紡出された糸条に対し適正な
条件で冷却風を供給することができ、繊度斑や染斑のな
い良好な糸を得ることが出来る。
【0064】特に、フィラメント数、繊度、物性などに
関し、異なった性質を有する2錘以上の糸条群を各紡糸
口金から一つの紡糸筒内へそれぞれ紡出して、これら糸
条群を紡糸混繊するための溶融紡糸工程に本発明の溶融
紡糸装置を用いる場合において、顕著な効果を奏する。
【0065】何故ならば、紡糸混繊工程においては、本
発明の溶融紡糸装置を適用することによって、隣接する
錘に影響を及ぼしたり、及ぼされることがなくなるから
である。このため、錘毎に適正な冷却条件を任意に設定
することが可能となり、各フィラメント間に、伸度差、
強度差、沸水収縮率などの物性差を錘毎に与えることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融紡糸装置を適用する溶融紡糸工程
を例示した説明図であって、模式正面図である。
【図2】本発明の溶融紡糸装置を適用する溶融紡糸工程
を例示した説明図であって、模式側面図模式正面図であ
る。
【図3】4錘の紡出糸条群を紡糸混繊するための溶融紡
糸工程の主要部を例示した説明図であって、模式正面図
である。
【図4】本発明の仕切位置と冷却条件設定手段の設置例
を示した概略斜視図である。
【図5】本発明の紡糸紡糸装置において好適な仕切板の
設置例を示した模式側面図である。
【符号の説明】
1 溶融紡糸装置本体 2 紡糸口金群 3 紡糸筒 4 冷却装置 42 風量制御部材 43 整流部材 5 仕切板 A〜D 糸条の走行領域 Y 糸条群

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸条件の異なる少なくとも2錘のマル
    チフィラメントからなる熱可塑性合成繊維糸条群を紡出
    する紡糸口金群、前記紡糸口金群から紡出された糸条群
    を冷却及び/又は遅延冷却する紡糸筒を含む溶融紡糸装
    置において、 前記紡糸口金群から紡出された糸条群に随伴する気流を
    整流すると共に、各糸条の走行領域を各錘毎に仕切る仕
    切板を有することを特徴とする溶融紡糸装置。
  2. 【請求項2】 紡出糸条を冷却する冷却風又は遅延冷却
    する加熱風の吹出方向、風量、温度、及び/又は吹出圧
    力からなる紡糸条件を紡出糸条毎に設定する冷却条件設
    定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の溶融紡
    糸装置。
  3. 【請求項3】 前記冷却条件設定手段が、前記冷却風又
    は加熱風からなる吹出風を整流するための整流部材、及
    び/又は前記冷却風又は前記加熱風からなる吹出風の風
    量とその風量分布を制御するための風量制御部材を含ん
    で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の溶融紡糸装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却条件設定手段が、更に特定錘の
    紡出糸条を選択的に遅延冷却する加熱風を生成する加熱
    風生成手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何
    れか一項に記載の溶融紡糸装置。
  5. 【請求項5】 前記溶融紡糸装置が前記紡糸口金群から
    紡出された糸条群を合糸混繊して紡糸混繊糸を得るため
    の紡糸混繊用溶融紡糸装置である請求項1〜4の何れか
    一項に記載の溶融紡糸装置。
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